説明

画像形成装置

【課題】互いに接している両面印刷された媒体の面上の現像剤同士が結着する事態を回避することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】両面印刷機能を有するプリンタ500は、記録媒体に現像剤を定着させる定着器141と、印刷ジョブが両面印刷であるか否かを判定するデータ解析部120と、印刷された記録媒体の数を検知する制御部130と、データ解析部120による判定結果と制御部130による検知結果とに基づいて、定着器141の温度を制御する温度制御部132と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像剤を用いて両面印刷を行う機能を有する画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に現像剤を用いて印刷を行う画像形成装置においては、記録媒体としての、用紙等の印刷媒体(以下、単に「媒体」ともいう。)上に、現像剤としてのトナーを載せたものに対して、熱定着を施して出力する方法が用いられる。
【0003】
特に、両面印刷を行う画像形成装置では、媒体の両面に熱を加える必要があるため、媒体の厚さに応じて定着ローラの温度制御を行うなど、より効果的で確実な熱定着を実現する方法が考案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−209157号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、両面印刷を行って高温で定着した媒体を、一般に印刷機本体の上部に設定されている排出トレイに載積すると、定着時に加えられた熱と、積み重なった媒体の自重と、印刷機本体から発生する定着器の熱とによって、互いに接している媒体の面上のトナー同士が結着する虞がある。この現象により、出力した媒体が汚れたり、媒体面上のトナーが一部分剥がれたりするなどの不具合が生じる。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、互いに接している両面印刷された媒体の面上の現像剤同士が結着する事態を回避することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成すべく、本発明は、両面印刷機能を有する画像形成装置であって、記録媒体に現像剤を定着させる定着手段と、印刷ジョブが両面印刷であるか否かを判定する判定手段と、印刷された記録媒体の数を検知する検知手段と、前記判定手段による判定結果と前記検知手段による検知結果とに基づいて、前記定着手段の温度を制御する制御手段と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明の画像形成装置によれば、両面印刷された媒体の数に基づいて定着手段の温度が制御されるため、互いに接している両面印刷された媒体の面上の現像剤同士が結着する事態を回避することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置としてのプリンタの概略構成を示す模式図である。
【図2】第1実施形態における機能ブロック図である。
【図3】待機温度テーブルの一例を示す図である。
【図4】第1実施形態に係るプリンタの全体処理の手順を示すフローチャートである。
【図5】データ受信処理の詳細フローチャートである。
【図6】データ解析処理の詳細フローチャートである。
【図7】印刷準備処理の詳細フローチャートである。
【図8】画像形成処理の詳細フローチャートである。
【図9】排紙積算処理の詳細フローチャートである。
【図10】待機処理の詳細フローチャートである。
【図11】第2実施形態における機能ブロック図である。
【図12】定着/待機温度テーブルの一例を示す図である。
【図13】第2実施形態に係るプリンタの全体処理の手順を示すフローチャートである。
【図14】印刷準備処理の詳細フローチャートである。
【図15】印刷条件設定処理の詳細フローチャートである。
【図16】定着器温度抑制処理の詳細フローチャートである。
【図17】待機処理の詳細フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。
【0011】
(第1実施形態)
本実施形態では、画像形成装置としてプリンタを想定する。このプリンタは、両面印刷される媒体の数が所定の制限枚数を超える印刷ジョブを実行した後は、定着器の待機温度を定められた定格値よりも低めにすることにより、両面印刷を実行後、排出トレイに載積されている媒体をプリンタの本体側から更に暖めることのないように制御する。
【0012】
図1は、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置としてのプリンタの概略構成を示す模式図である。図1のプリンタ500は、モノクロ直接転写方式で印刷を行うものである。
【0013】
媒体1の片面、及び両面に印刷が可能なプリンタ500には、媒体1を搬送方向である矢印A方向に搬送する搬送路2に沿って、媒体1が収納される着脱可能な供給トレイ7、トナー転写部5、熱定着部6、及び印刷済みの媒体1が排出される排出トレイ13が設けられている。
【0014】
給紙ローラ9が供給トレイ7に収納された媒体1を繰り出し、続いて、搬送ローラ4がこれを矢印A方向に搬送する。媒体1の進行方向先頭端が給紙センサ40を通過すると、給紙センサ40がこれを検知する。これによって供給トレイ7から媒体1が送出されたことが判断され、レジストローラ12a,12bが媒体1の位置合わせをして搬送し、これを搬送路2に送出する。
【0015】
次に、搬送路2上の搬送センサ41が、媒体1の先端が通過したことを検知し、これによって媒体1への書き込みタイミングが制御される。
【0016】
トナー転写部5は、それぞれ矢印方向に回転する感光ドラム21と転写ローラ22との接触部で構成される。また、トナー転写部5は、感光ドラム21、転写ローラ22、帯電ローラ23、LED(Light Emitting Diode)ヘッド24、現像ローラ25、及びトナーカートリッジ29を含む画像形成機構50の一部である。
【0017】
帯電ローラ23は、感光ドラム21の表面全体にマイナスの電荷を付着してマイナスに帯電させる。LEDヘッド24は、印刷パターンに対応した光を発光し、帯電した感光ドラム21の表面に当てて露光する。感光ドラム21では、露光した表面部分の電荷の状態が変わって電位がゼロに近くなり、この部分が静電潜像となる。
【0018】
トナーカートリッジ29中に充填された現像剤としてのトナーは、複数のローラを経て現像ローラ25に供給される。現像ローラ25に供給されたトナーは、マイナスに帯電している。感光ドラム21と現像ローラ25との接触部26において、感光ドラム21の露光していない箇所、すなわち帯電ローラ23によって付着されたマイナスの電荷が残っている場所には、マイナスに帯電したトナーは反発して付着しないが、露光により電位がゼロになった箇所には付着し、画像として目で見えるようになる。
【0019】
トナーを付着した感光ドラム21は、回転によってトナー転写部5に達し、搬送されてきた媒体1の、感光ドラム21に接する面に、このトナーが転写される。この際、転写ローラ22が媒体1の裏面からプラスの高電位を与えることにより、感光ドラム21上にあるマイナスに帯電したトナーを引き離し、媒体1の上に乗せる。
【0020】
トナーが転写された媒体1は、搬送路2上を熱定着部6まで搬送される。
熱定着部6は、熱定着機構60に含まれるものであり、それぞれ矢印方向に回転する定着ローラ10と圧接ローラ11との圧接部で構成される。定着ローラ10は、ハロゲンランプ等の熱源を内在させ、媒体1に付着したトナーを圧接ローラ11との圧接部において熱定着させる。
【0021】
図中矢印方向にそれぞれ回転する排紙ローラ31は、熱定着が終了した媒体1を搬送路2aに向けて送出する。
【0022】
図中矢印方向にそれぞれ回転する排出ローラ33a,33bは、熱定着が終了した媒体1を搬送路2aに沿って排出トレイ13に向けて搬送する。また、両面印刷を行う媒体1の片面だけに印刷が終了したものは、この媒体1の後端が排出センサ42を通過してから所定時間後に、回転方向をそれぞれ図中に示した矢印方向と反対方向に切り替えて、媒体1をプリンタ500内部に戻し、両面中間搬送路2bに沿って矢印B方向に送出する。また途中で、媒体1の後端が排出センサ42を通過したことを排出センサ42が検知すると、出力枚数カウンタの値が1増える。なお、図中符号「39」は搬送経路を切り替えるための経路設定ガイドを示す。
【0023】
両面搬送ローラ14a,14b,14cは、図中矢印の方向に回転して媒体1を両面中間搬送路2bに沿って矢印B方向に搬送する。必要な印刷が終了した媒体1は排出トレイ13上に排出される。
【0024】
インタフェースコネクタ111は、LAN(Local Area Network)、USB(Universal Serial Bus)等の手段を介して、PC(Personal Computer)等の上位装置から、印刷ジョブを実行するための一般にページ記述言語で記述されたデータである印刷ジョブデータを受信する。
なお、各ローラは、図示しない伝動機構によって駆動される。
【0025】
図2は、第1実施形態における機能ブロック図である。
プリンタ500は、上位装置であるところのPC100を含む1台以上のPCと接続されている。PC100は、印刷ジョブデータをプリンタ500に送信する。
【0026】
プリンタ500は、データ受信部110と、データ解析部120と、温度制御部132及び一時メモリ220を含む制御部130と、定着手段としての定着器141を含む画像形成部140と、イメージデータバッファ200と、待機温度テーブル400とを備える。
【0027】
PC100等の上位装置からプリンタ500に印刷ジョブデータが送信されると、データ受信部110がこれを受信し、データ解析部120に転送する。データ受信部110は、インタフェースコネクタ111で実現される。
【0028】
データ解析部120は、受信したデータの解析及び画像化を実行する。
判定手段としてのデータ解析部120は、データ受信部110から転送されたデータを解析する。そして、データ解析部120は、転送されたデータが印刷ジョブデータであれば、例えば印刷ジョブデータのヘッダ情報から、印刷種別が両面印刷か、片面印刷かを判定し、判定結果を制御部130に通知する。また、データ解析部120は、印刷ジョブデータをもとにビットマップ形式の印刷画像データを作成し、作成した印刷画像データをイメージデータバッファ200に格納する。イメージデータバッファ200は、メモリ等の記憶手段で実現される。なお、印刷ジョブデータ以外のデータを受信した場合には、そのデータに沿った内容の処理が実行される。
【0029】
制御部130は、プリンタ500の各機能と、それぞれの機能を実現するモジュールとを統合的に制御する。制御部130は、データ解析部120から、印刷ジョブデータについての片面/両面の印刷種別を表す信号を受信すると、この情報を一時メモリ220に記録する。また、制御部130は、温度制御部132を介して定着器141が定格定着温度となるように制御し、定着器141が定格定着温度近傍に達すると画像形成部140に印刷を指令する。制御部130は、CPU(Central Processing Unit)とメモリで実現され、CPUが必要なプログラムをメモリ上に読み出して実行することで制御を行う。
【0030】
温度制御部132は、印刷ジョブ実行時に定着器141の温度が定格定着温度になるように制御するほか、1つの印刷ジョブが終了した時点で、必要に応じて待機温度テーブル400を参照し、印刷状況に応じた定着器141の待機温度を取得し、取得した待機温度にあわせて定着器141を制御する。待機温度とは、印刷ジョブの完了後、次の印刷ジョブの印刷に備えて、定着器を所定の温度のまま待機させるときの温度である。ここで、制御部130及び温度制御部132は、定着器141の温度を制御する制御手段を構成している。
【0031】
一時メモリ220は、不揮発性メモリで実現され、「両面フラグ」と「両面カウンタ」との2種類の情報を格納する。
【0032】
「両面フラグ」は、boolean型(論理型)の変数で、デフォルトは「False」である。実行する印刷ジョブが両面印刷の場合に「True」とされる。「両面カウンタ」は、1ずつ増える整数で、初期値は0である。両面印刷ジョブを実行した場合に、この印刷ジョブにおいて出力した枚数がその都度カウントされて両面カウンタに格納される。両面フラグ及び両面カウンタの各情報は、この情報を記録した印刷ジョブが完了した時点でクリアされる。
【0033】
画像形成部140は、図1を用いて説明した供給トレイ7から排出トレイ13までの搬送路2に沿って設置してあるモジュールを機能として概念的に捉えたものである。画像形成部140の特に大きな機能を司るものとして、画像形成機構50と熱定着機構60とがある。
【0034】
制御部130から印刷を指令された画像形成部140は、イメージデータバッファ200から印刷画像データを読み出し、画像形成機構50で画像を形成して媒体1にトナーを転写し、熱定着機構60でトナーを転写した媒体1に熱定着処理を施す。
【0035】
定着器141は、図1を用いて説明した熱源を内在する定着ローラ10で実現され、温度制御部132によって制御される。
【0036】
待機温度テーブル400には、条件別に定着器141の待機温度が格納されている。待機温度テーブル400は、不揮発性メモリ等の記憶手段で実現される。
【0037】
図3は、待機温度テーブル400の一例を示す図である。第1実施形態では、1回の両面印刷ジョブで排紙した枚数が制限枚数を超えた場合の待機温度(図3の「低め」(第2待機温度))と、それ以外の場合の定格待機温度(図3の「通常」(第1待機温度))とが格納されている。これは、排出トレイ13に載積された両面印刷媒体が所定枚数を超えて重なると、自重によって互いに接している媒体面のトナー同士が結着する虞があるため、定着器の待機温度を低めに設定して、プリンタ500の本体から該本体の上部に設定されている排出トレイ13になるべく熱を加えないようにするためのものである。
【0038】
次に、上記のように構成された第1実施形態の動作について説明する。
図4は、第1実施形態に係るプリンタ500の全体処理の手順を示すフローチャートである。
【0039】
プリンタ500に対し上位装置から印刷ジョブデータが送信されると、データ受信部110がデータ受信処理を行う(Sl00)。続いて、データ解析処理(S200)において、データ解析部120は、受信した印刷ジョブデータについての片面/両面の印刷種別を取得し、結果を制御部130に通知する。また、データ解析部120は、印刷ジョブデータを解析して印刷画像データを作成し、イメージデータバッファ200に格納する。制御部130は、印刷準備処理(S300)を実行し、定着器141を制御して、これが定格定着温度になったら画像形成部140に印刷を指令する。
【0040】
印刷画像データがイメージデータバッファ200にある間は、画像形成処理(S500)と排紙積算処理(S600)とが繰り返される。
【0041】
画像形成処理(S500)において、画像形成部140は、イメージデータバッファ200から印刷画像データを読み出し、媒体1に画像形成して、1枚画像形成するごとにこれを制御部130に通知する。
【0042】
排紙積算処理(S600)において、検知手段としての制御部130は、実行中の処理が両面印刷であれば、両面カウンタの値を1増やす。プリンタ500上では、両面印刷であっても片面の印刷が終了するたびに、排出センサ42がカウント情報を制御部130に渡すので、実際に両面印刷で排出される媒体の数は、両面カウンタの値を2で割ったものとなる。
【0043】
イメージデータバッファ200に実行中の印刷ジョブについての印刷画像データがなくなると、制御部130が待機処理(S700)を実行する。待機処理(S700)において、制御部130は、排出した両面印刷媒体の枚数を勘案して、定着器141の待機温度を決定する。
【0044】
次に、図4に示した各処理の詳細を説明する。
図5は、データ受信処理(S100)の詳細フローチャートである。データ受信部110がデータ受信処理(S100)を実行する。
【0045】
データ受信部110は、上位装置から印刷ジョブデータを受信すると(Sll0)、これをデータ解析部120に転送する(S120)。
【0046】
図6は、データ解析処理(S200)の詳細フローチャートである。データ解析部120がデータ解析処理(S200)を実行する。
【0047】
データ解析部120は、データ受信部110から転送された印刷ジョブデータを受信すると(S210)、これを解析して片面/両面の印刷種別を取得し(S220)、取得した結果を制御部130に通知する(S230)。続いて、受信した印刷ジョブデータから印刷画像データを作成し(S240)、作成した印刷画像データをイメージデータバッファ200に格納する(S250)。
【0048】
図7は、印刷準備処理(S300)の詳細フローチャートである。制御部130が印刷準備処理(S300)を実行する。
【0049】
制御部130は、データ解析部120から印刷ジョブデータについての片面/両面の印刷種別を受信すると(S310)、これが両面印刷を示す値であれば(S320;Yes)、一時メモリ220の所定領域に設けられた両面フラグを「True」に設定する(S330)。
【0050】
続いて、制御部130は、定着器141の温度が定格定着温度になるように、温度制御部132を介して制御する(S340)。なお、ステップS310において受信した片面/両面の印刷種別が、片面印刷を示す値であれば(S320;No)、制御部130は、もともと「False」に設定されている両面フラグを書き換えずに、ステップS340を実行する。定着器141の温度が定格定着温度近傍になったら(S350;Yes)、制御部130は、画像形成部140に対して印刷開始を指令する(S360)。なお、定着器141の温度が定格定着温度近傍に未だ到達していない場合は(S350;No)、ステップS340に戻る。
【0051】
図8は、画像形成処理(S500)の詳細フローチャートである。画像形成部140が画像形成処理(S500)を実行する。
【0052】
画像形成部140は、制御部130から印刷開始を指令されると、イメージデータバッファ200から当該印刷ジョブについての印刷画像データがなくなるまで本処理を実行する。すなわち、画像形成部140は、イメージデータバッファ200にアクセスして印刷画像データを読み出し(S5l0)、読み出した印刷画像データに基づく画像を媒体1に形成して排紙する(S520)。この際、図1を用いて説明した排出センサ42が排紙を検知すると、「1枚排紙」のカウント情報を制御部130に通知する(S530)。
【0053】
図9は、排紙積算処理(S600)の詳細フローチャートである。制御部130が排紙積算処理(S600)を実行する。
【0054】
制御部130は、画像形成部140から「1枚排紙」のカウント情報を受信すると(S610)、一時メモリ220をチェックして、両面フラグが「True」であれば(S620;Yes)、その一時メモリ220内の両面カウンタの値を1増やす(S630)。
【0055】
イメージデータバッファ200から、格納してある当該印刷ジョブについての印刷画像データが全て読み出されると、制御部130が待機処理(S700)を実行して、定着器141の待機温度を決定し制御する。
【0056】
図10は、待機処理(S700)の詳細フローチャートである。制御部130が待機処理(S700)を実行する。
【0057】
制御部130は、一時メモリ220をチェックし、両面フラグが「True」であれば(S710;Yes)、両面カウンタの値を1/2にして排紙枚数とし、当該プリンタ500に当初から設定されている制限枚数(例えば30枚)と比較する(S720)。なお、この制限枚数は、不揮発性メモリ等の記憶手段に保存されており、適宜変更可能である。両面カウンタの値を1/2にするのは、図4のステップS600で説明したとおり、排出センサ42は、両面印刷でも片面印刷でも、媒体1の後が当該排出センサ42を通過すると、制御部130にカウント情報を渡すため、両面印刷の場合には1枚の媒体を排出する際に2回カウントされるからである。
【0058】
比較の結果、排紙枚数が制限枚数を超えていれば(S720;Yes)、温度制御部132が、待機温度テーブル400(図3参照)を参照して、「通常」の第1待機温度よりも「低め」に設定されている第2待機温度を取得する。
【0059】
一方、いま終了した印刷ジョブが片面印刷であった場合(S710;No)、あるいは両面印刷した媒体の排紙枚数が制限枚数以下であった場合には(S720;No)、温度制御部132は、待機温度テーブル400(図3)を参照して、「通常」の第1待機温度を取得する(S740)。
【0060】
次に、制御部130は、一時メモリ220の両面フラグを「False」とし(S750)、両面カウンタをクリアする(S760)。そして、温度制御部132は、ステップS730またはS740で取得した待機温度を目標値として、定着器141を制御する(S770)。
【0061】
以上のように第1実施形態によれば、プリンタ500は、利用状況別に定着器141の目標待機温度を設定した待機温度テーブル400(図3参照)を備えており、両面印刷した媒体を例えば30枚よりも多く出力した場合には、この印刷ジョブを終了した後の次の印刷ジョブが来るまでの定着器141の待機温度を通常よりも低めにして、プリンタ500の本体の上部に設定されている排出トレイになるべく熱を加えないようにする。これにより、排出トレイに載積された両面印刷媒体が所定の制限枚数よりも多くなって、互いに接している媒体の面上のトナー同士が自重で結着する可能性がある場合に、簡単な構造でこれを回避することができる。
【0062】
すなわち、両面印刷された媒体の数に基づいて定着器141の待機温度が制御されるため、排出されて互いに接している両面印刷された媒体の面上のトナー同士が結着する事態を回避することが可能となる。
【0063】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。第1実施形態と共通する部分については、第1実施形態に示した構成及び説明を援用するものとする。第1実施形態と相違する部分について主に説明する。なお、第1実施形態と共通する部分については同一の符号を付してある。
【0064】
本実施形態では、画像形成装置としてプリンタを想定する。このプリンタは、第1実施形態において説明した定着器の待機温度の制御に加えて、所定の制限枚数を超えて両面印刷を実行する場合には、途中から定着器の温度を下げてゆっくり印刷することにより、両面印刷した媒体が排出トレイにおいて互いに結着することが更になくなるように制御する。
【0065】
第2実施形態に係る画像形成装置としてのプリンタ500aの概略構成は、図1を用いて説明した第1実施形態のものと同じであるため、詳細な説明を省略する。
【0066】
図11は、第2実施形態における機能ブロック図である。
プリンタ500aは、上位装置であるところのPCl00を含む1台以上のPCと接続されている。PCl00は、印刷ジョブデータをプリンタ500aに送信する。
【0067】
プリンタ500aは、データ受信部110と、データ解析部120と、温度制御部132、駆動制御部133、タイマ135、及び一時メモリ220を含む制御部130aと、定着器141及びメインモータ142を含む画像形成部140aと、イメージデータバッファ200と、定着/待機温度テーブル410とを備える。
【0068】
PC100等の上位装置からプリンタ500aに印刷ジョブデータが送信されると、データ受信部110がこれを受信し、データ解析部120に転送する。
【0069】
データ解析部120は、受信したデータの解析及び画像化を実行する。
データ解析部120は、データ受信部110から転送されたデータを解析する。そして、データ解析部120は、転送されたデータが印刷ジョブデータであれば、印刷種別が両面印刷か、片面印刷かを判定し、判定結果を制御部130aに通知する。また、データ解析部120は、印刷ジョブデータをもとに印刷画像データを作成し、作成した印刷画像データをイメージデータバッファ200に格納する。なお、印刷ジョブデータ以外のデータを受信した場合には、そのデータに沿った内容の処理が実行される。
【0070】
制御部130aは、プリンタ500aの各機能と、それぞれの機能を実現するモジュールとを統合的に制御する。制御部130aは、データ解析部120から、印刷ジョブデータについての片面/両面の印刷種別を表す信号を受信すると、この情報を一時メモリ220に記録する。また、制御部130aは、既に一時メモリ220に記録されている印刷実績を含む情報をもとに、定着/待機温度テーブル410を参照して、条件に応じた定着温度、及びプロセス速度としての印刷速度を取得し、取得した定着温度を温度制御部132に、取得した印刷速度を駆動制御部133に伝達する。
【0071】
温度制御部132は、定着器141が制御部130aから伝達された定着温度になるように制御するほか、1つの印刷ジョブが終了した時点で、定着/待機温度テーブル410を参照し、印刷状況に応じた定着器141の待機温度を取得し、取得した待機温度にあわせて定着器141を制御する。
【0072】
駆動制御部133は、制御部130aから伝達された印刷速度になるように、メインモータ142を制御する。印刷速度は、印刷におけるプロセス速度であり、単位は例えばppm(page per minute)で表される。
【0073】
一時メモリ220は、不揮発性メモリで実現され、「両面フラグ」、「両面カウンタ」、及び「低温フラグ」の3種類の情報を格納する。
【0074】
「両面フラグ」は、boolean型の変数で、デフォルトは「False」である。実行する印刷ジョブが両面印刷の場合に「True」とされる。両面フラグの情報は、この情報を記録した印刷ジョブが完了した時点でクリアされる。
【0075】
「両面カウンタ」は、1ずつ増える整数で、初期値は0である。両面印刷ジョブを実行した場合に、この印刷ジョブにおいて出力した枚数がその都度カウントされて両面カウンタに格納される。ここでは、両面カウンタの情報は、プリンタ500aが省電力モードに移行するか、プリンタ500aの主電源が遮断された時点でクリアされる。
【0076】
「低温フラグ」は、boolean型の変数で、デフォルトは「False」である。両面印刷時における低温フラグの「True」は、プリンタ500aが定着器141を通常よりも低めの定着温度に設定して媒体をゆっくり搬送するモードであることを示す。低温フラグの情報は、プリンタ500aが省電力モードに移行するか、プリンタ500aの主電源が遮断された時点でクリアされる。
【0077】
なお、両面カウンタ及び低温フラグの各情報は、この情報を記録した印刷ジョブが完了した時点でクリアされるように構成されることも可能である。この場合、印刷ジョブごとにその印刷ジョブの中で印刷された媒体の数が検知され、これを用いて制御が行われる。
【0078】
画像形成部140aは、図1を用いて説明した供給トレイ7から排出トレイ13までの搬送路2に沿って設置してあるモジュールを機能として概念的に捉えたものである。画像形成部140aの特に大きな機能を司るものとして、画像形成機構50と熱定着機構60とがある。
【0079】
制御部130aから印刷を指令された画像形成部140aは、イメージデータバッファ200から印刷画像データを読み出し、画像形成機構50で画像を形成して媒体1にトナーを転写し、熱定着機構60でトナーを転写した媒体1に熱定着処理を施す。
【0080】
定着器141は、図1を用いて説明した熱源を内在する定着ローラ10で実現され、温度制御部132によって制御される。
【0081】
メインモータ142は、画像形成部140aにおける給紙ローラ9以外の全てのローラを駆動する。
【0082】
定着/待機温度テーブル410には、条件別に定着器141の定着温度とこれに対応する印刷速度、及び条件別に定着器141の待機温度が格納されている。定着/待機温度テーブル410は、不揮発性メモリ等の記憶手段で実現される。
【0083】
図12は、定着/待機温度テーブル410の一例を示す図である。第2実施形態では、次の2種類の情報が格納されている。
(1)プリンタ500aの定格定着温度と定格印刷速度(図12の「通常」)、及びプリンタ500aが例えば連続して両面印刷を所定の制限枚数実行し、更に続けて両面印刷を実行する場合に設定すべき定着温度と印刷速度(図12の「低め」)
(2)プリンタ500aが例えば連続して両面印刷を所定の制限枚数よりも多く実行した場合、この印刷ジョブが終了した後に設定すべき待機温度(図12の「低め」(第2待機温度))と、それ以外の場合の定格待機温度(図12の「通常」(第1待機温度))
【0084】
次に、上記のように構成された第2実施形態の動作について説明する。
図13は、第2実施形態に係るプリンタ500aの全体処理の手順を示すフローチャートである。
【0085】
プリンタ500aに対し上位装置から印刷ジョブデータが送信されると、データ受信部110がデータ受信処理を行う(S100)。続いて、データ解析処理(S200)において、データ解析部120は、受信した印刷ジョブデータについての片面/両面の印刷種別を取得し、結果を制御部130aに通知する。また、データ解析部120は、印刷ジョブデータを解析して印刷画像データを作成し、イメージデータバッファ200に格納する。制御部130aは、印刷準備処理(S400)を実行する。ここで、制御部130aは、定着/待機温度テーブル410を参照して、現在のプリンタ500aの状況に応じた定着温度及び印刷速度を取得し、定着器141を制御して、これが目標の定着温度になったら画像形成部140aに印刷を指令する。
【0086】
印刷画像データがイメージデータバッファ200にある間は、画像作成処理(S500)と印刷条件設定処理(S800)とが繰り返される。
【0087】
画像形成処理(S500)において、画像形成部140aは、イメージデータバッファ200から印刷画像データを読み出し、媒体1に画像形成して、1枚画像形成するごとにこれを制御部130aに通知する。
【0088】
印刷条件設定処理(S800)において、制御部130aは、実行中の処理が両面印刷であれば、両面カウンタの値を1増やし、両面カウンタの値が所定値を超えると画像形成部140aに対し、印刷を一旦停止するように指令する。続いて、制御部130aは、定着/待機温度テーブル410を参照して、通常よりも低めに設定されている定着温度及び印刷速度を取得する。定着器141が「低め」の定着温度近傍になったことを温度制御部132が検知すると、制御部130aは、「低め」の定着温度に対応する印刷速度を画像形成部140aに渡して印刷再開を指令する。
【0089】
イメージデータバッファ200に実行中の印刷ジョブについての印刷画像データがなくなると、制御部130aが待機処理(S900)を実行する。待機処理(S900)において、制御部130aは、終了した印刷ジョブの実績を勘案して、定着器141の待機温度を決定する。また、印刷ジョブ終了後所定の時間が経過するまでに新規印刷ジョブを受信しなかった場合には、プリンタ500aは省電力モードに移行する。
【0090】
次に、図13に示した各処理の詳細を説明する。
データ受信処理(S100)は、図5を用いて説明した第1実施形態と同じであるため、説明を省略する。
データ解析処理(S200)は、図6を用いて説明した第1実施形態と同じであるため、説明を省略する。
【0091】
図14は、印刷準備処理(S400)の詳細フローチャートである。制御部130aが印刷準備処理(S400)実行する。
制御部130aは、データ解析部120から印刷ジョブデータについての片面/両面の印刷種別を受信すると(S410)、これが両面印刷を示す値であるか否かを判断する(S420)。印刷種別が両面印刷を示す値であれば(S420;Yes)、制御部130aは、一時メモリ220の所定領域に設けられた両面フラグを「True」に設定し(S430)、一時メモリ220に既に記録されている両面カウンタの値を取得して、両面カウンタの値の1/2が制限枚数を超えているか否かを判断する(S440)。
【0092】
両面カウンタの値の1/2が制限枚数を超えている場合(S440;Yes)、制御部130aは、定着/待機温度テーブル410(図12)を参照して、目標定着温度が「低め」、印刷速度が「低め(遅め)」のモードの値を取得する(S450)。そして、制御部130aは、定着器141の温度が目標定着温度になるように、温度制御部132を介して制御する(S460)。定着器141の温度が目標定着温度近傍になったら(S470;Yes)、制御部130aは、画像形成部140aに、ステップS450で取得した印刷速度を渡して印刷開始を指令する(S480)。なお、定着器141の温度が目標定着温度近傍に未だ到達していない場合は(S470;No)、ステップS460に戻る。
【0093】
一方、受信した新規印刷ジョブが片面印刷であった場合(S420;No)、あるいは両面カウンタの値の1/2が制限枚数以下であった場合には(S440;No)、制御部130aは、定着/待機温度テーブル410(図12)を参照して、目標定着温度が定格、印刷速度が定格のモードの値を取得する(S490)。そして、制御部130aは、定着器141の温度が目標定着温度になるように制御し(S460)、定着器141の温度が目標定着温度近傍になったら(S470;Yes)、画像形成部140aに、ステップS490で取得した印刷速度を渡して印刷開始を指令する(S480)。
【0094】
なお、温度制御部132及び駆動制御部133は、プリンタ500aでの印刷ジョブ実行中に、それぞれ定着器141及びメインモータ142を制御して、目標定着温度及び目標印刷速度での印刷を実現する。
【0095】
画像形成処理(S500)(図13参照)は、図8を用いて説明した第1実施形態と同じであるため、説明を省略する。
【0096】
図15は、印刷条件設定処理(S800)の詳細フローチャートである。制御部130aが印刷条件設定処理(S800)を実行する。
制御部130aは、画像形成部140aから「1枚排紙」のカウント情報を受信すると(S810)、一時メモリ220をチェックして、両面フラグが「True」であれば(S820;Yes)、その一時メモリ220内の両面カウンタの値を1増やす(S830)。両面カウンタの値の1/2(両面印刷の排紙枚数)が制限枚数よりも多い場合は(S840;Yes)、低温フラグをチェックし、「False」の場合は(S850;No)、定着器温度抑制処理(S1000)を起動して、次の媒体の両面印刷からは、定着器141の温度を「低め」にして、「低め(遅め)」の印刷速度で(ゆっくり)印刷する。
【0097】
一方、受信した「1枚排紙」のカウント情報に該当する印刷ジョブが片面印刷の場合には(S820;No)、何もしない。また、両面印刷の場合であっても(S820;Yes)、両面印刷の排紙枚数が制限枚数以下の場合には(S840;No)、そのままの定着器温度で印刷を続ける。
【0098】
なお、両面印刷の排紙枚数が制限枚数を超えた後、一度定着器温度抑制処理(S1000;図16参照)が起動していた場合には、ステップS850の判断において低温フラグは「True」となっており(S850;Yes)、この場合、定着器141は、既に「低め」の温度で制御されているので、このまま印刷を続ける。
【0099】
図16は、定着器温度抑制処理(S1000)の詳細フローチャートである。制御部130aが定着器温度抑制処理(S1000)を実行する。
【0100】
定着器温度抑制処理(S1000)が起動されると、制御部130aは、画像形成部140aに印刷の一時停止を指令し(S1010)、定着/待機温度テーブル410(図12)を参照して取得した「低め」(両面印刷媒体を30枚超排紙)の定着温度と、これに対応する印刷速度とを取得して、「低め」の定着温度を定着器141の目標定着温度とする(S1020)。続いて、制御部130aは、定着器141の温度が目標定着温度になるように、温度制御部132を介して制御する(S1030)。定着器141の温度が目標定着温度近傍になったら(S1040;Yes)、一時メモリ220内の低温フラグを「True」に設定し(S1050)、取得した印刷速度を画像形成部140aに渡して印刷再開を指令する(S1060)。なお、定着器141の温度が目標定着温度近傍に未だ到達していない場合は(S1040;No)、ステップS1030に戻る。
【0101】
画像形成部140aは、定着器141が温度制御部132によって、メインモータ142が駆動制御部133によってそれぞれ制御されながら、当該印刷ジョブにおいて残っている未印刷のページの画像形成を続ける。なお、定着器温度抑制処理(S1000)が起動されたときに温度制御部132及び駆動制御部133が制御目標とする値は、所定の制限枚数を超える両面印刷を実行したときの値であり、例えば図12の例では、定着温度が170℃で、印刷速度が20ppmとなる。
【0102】
図17は、待機処理(S900)の詳細フローチャートである。制御部130aが待機処理(S900)を実行する。
【0103】
印刷ジョブが終了すると、制御部130aは、タイマ135を起動し(S910)、続いて、一時メモリ220をチェックして、両面フラグが「True」であれば(S915;Yes)、両面カウンタの値を1/2にして排紙枚数とし、当該プリンタ500aに当初から設定されている制限枚数(例えば30枚)と比較する(S920)。
【0104】
比較の結果、排紙枚数が制限枚数を超えていれば(S920;Yes)、制御部130aは、定着/待機温度テーブル410(図12参照)を参照して、「通常」の第1待機温度よりも「低め」に設定されている第2待機温度を取得する(S930)。図12の例では、待機温度は、「低め」(両面印刷媒体を30枚超排紙)の100℃となる。
【0105】
続いて、制御部130aは、一時メモリ220に設定してある両面フラグを「False」とし(S940)、ステップS930で取得した第2待機温度を目標値として、定着器141を制御する(S950)。この間、制御部130aは、ステップS910で起動したタイマ135から経過時間を取得し、所定の経過時間を超えていない場合(S955;No)、ステップS950に戻る。所定の経過時間を超えた場合には(S955;Yes)、制御部130aは、一時メモリ220に設定してある両面カウンタの情報をクリアし(S960)、低温フラグの情報を初期化して「False」とし(S970)、プリンタ500aを構成する各モジュールから通信に必要な電力以外の供給を遮断する指令を発してスリープモード等の省電力モードに移行させる(S980)。なお、省電力モードにおける省電力の具体的内容は適宜設定され得る。
【0106】
一方、ステップS915において両面フラグが「False」であった場合(S915;No)(いま終了した印刷ジョブが片面印刷であった場合)、あるいは両面カウンタの値を1/2にした値が制限枚数以下であった場合(S920;No)(いま終了した印刷ジョブは両面印刷であったが少ししか出力していない場合)には、制御部130aは、低温フラグをチェックする(S925)。低温フラグが「False」の場合(S925;No)、制御部130aは、定着/待機温度テーブル410(図12)を参照して、「通常」の第1待機温度を取得する(S990)。図12の例では、待機温度は、「通常」(定格)の160℃となる。その後、ステップS940以降の処理は上記に示したとおりである。
【0107】
なお、両面印刷の排紙枚数が制限枚数を超えた後、一度定着器温度抑制処理(S1000;図16参照)が起動していた場合には、ステップS925の判断において低温フラグは「True」となり(S925;Yes)、この場合、制御部130aは、定着/待機温度テーブル410(図12参照)を参照して、「通常」の第1待機温度よりも「低め」に設定されている第2待機温度を取得する(S930)。
【0108】
以上のように第2実施形態では、1回の印刷ジョブで連続して所定の制限枚数(例えば30枚)の媒体に両面印刷をした場合、(1)31枚目からの印刷は、「低め」の温度で定着して「低め(遅め)」の印刷速度で(ゆっくり)排紙するように行われ、更に、(2)この印刷ジョブが終了した後の次の印刷ジョブが来るまでの定着器141の待機温度が「低め」になる。したがって、排出トレイに排出された媒体が温まることがより一層抑制される。
【0109】
また、印刷ジョブの実行中に、以前に実行終了した印刷ジョブを含め所定時間内に両面印刷された媒体の数が検知される。このため、例えば比較的印刷枚数が少ない小口の両面印刷ジョブが複数連続して、両面印刷された媒体が所定の制限枚数を超えた場合にも、プリンタ500aは上記と同様の処理をする。
【0110】
更に、面面印刷ジョブを実行した後に片面印刷ジョブを受信した場合には、(1)「通常」(定格)の定着温度で定着処理が行われる(図14のS490参照)。また、(2)この片面印刷ジョブが終了した後の次の印刷ジョブが来るまでの定着器141の待機温度は、例えば直前の両面印刷ジョブが所定の制限枚数よりも多ければ、低温フラグが「True」なので、「低め」の第2待機温度になり(図17のS930参照)、所定の制限枚数以下であれば、低温フラグが「False」なので、「通常」(定格)の第1待機温度となる(図17のS990参照)。
【0111】
また、両面カウンタ及び低温フラグは、プリンタ500aの省電力モードへの移行、あるいはプリンタ500aの電源遮断によって、定着器141が十分に冷めてからクリアされる。したがって、室温程度に冷めたプリンタ500aを用いて両面印刷を所定の制限枚数以内にて行う場合、「通常」(定格)の定着温度及び印刷速度で画像形成することができる。
【0112】
したがって第2実施形態によれば、第1実施形態による効果に加え、両面印刷された媒体の数に基づいて印刷ジョブ実行中における定着器141の定着温度が制御されるため、排出されて互いに接している両面印刷された媒体の面上のトナー同士が結着する事態をより確実に回避することが可能となる。更に、印刷ジョブ実行中における定着器141のプロセス速度が制御されるため、熱定着品質をより確実に保持することができる。
【0113】
以上、本発明について、実施形態に基づいて説明したが、本発明は、上記実施形態に記載した構成に限定されるものではなく、各実施形態に記載した構成を適宜組み合わせ乃至選択することを含め、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【0114】
例えば、上記第2実施形態は、両面印刷された媒体の数に基づいて、印刷ジョブ実行中における定着器141の定着温度、印刷速度、及び印刷ジョブが実行された後の定着器141の待機温度の3つを制御するように構成されているが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、例えば、両面印刷された媒体の数に基づいて、印刷ジョブ実行中における定着器141の定着温度、及び印刷速度を制御するように構成されてもよい。また、本発明は、例えば、印刷ジョブ実行中における定着器141の定着温度、及び印刷ジョブが実行された後の定着器141の待機温度を制御するように構成されてもよい。このような構成によっても、重なった両面印刷媒体の面上のトナー同士が結着する事態を回避することが可能である。
【0115】
また、上記実施形態では、モノクロ直接転写方式のプリンタを例に挙げて説明を行ったが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、例えば中間転写ベルトを用いるカラープリンタ、複写機、ファクシミリ装置、MFP(Multifunction Peripheral)等、現像剤を用いて両面印刷を実行できる全ての画像形成装置に適用可能である。
【0116】
なお、上記実施形態に係る画像形成装置が有する各構成要素において、その機能の一部又は全部は、ハードウェアによって実現されてもよく、あるいはソフトウェアによって実現されてもよい。例えばソフトウェアによって機能が実現される場合、当該機能を実現するためのプログラムが、当該プログラムを記録した記録媒体やインターネット等のネットワークを介して、装置に提供される。そして、当該装置のCPUが当該プログラムをメモリ上に読み出して実行することによって機能を実現する。
【符号の説明】
【0117】
1 媒体(記録媒体)
2,2a 搬送路
2b 両面中間搬送路
6 熱定着部
10 定着ローラ
13 排出トレイ
42 排出センサ
50 画像形成機構
60 熱定着機構
120 データ解析部(判定手段)
130,130a 制御部(検知手段、制御手段)
132 温度制御部(制御手段)
133 駆動制御部(制御手段)
135 タイマ
140,140a 画像形成部
141 定着器(定着手段)
142 メインモータ
200 イメージデータバッファ
220 一時メモリ
400 待機温度テーブル(記憶手段)
410 定着/待機温度テーブル(記憶手段)
500,500a プリンタ(画像形成装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
両面印刷機能を有する画像形成装置であって、
記録媒体に現像剤を定着させる定着手段と、
印刷ジョブが両面印刷であるか否かを判定する判定手段と、
印刷された記録媒体の数を検知する検知手段と、
前記判定手段による判定結果と前記検知手段による検知結果とに基づいて、前記定着手段の温度を制御する制御手段と、
を備える画像形成装置。
【請求項2】
前記判定手段は、実行対象の印刷ジョブが両面印刷であるか否かを判定し、
前記検知手段は、前記実行対象の印刷ジョブが両面印刷である場合に、前記実行対象の印刷ジョブの実行後における両面印刷された記録媒体の数を検知し、
前記制御手段は、前記判定手段による判定結果と前記検知手段による検知結果とに基づいて、前記実行対象の印刷ジョブが実行された後の前記定着手段の待機温度を制御する、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記印刷ジョブが両面印刷であって、且つ両面印刷された記録媒体の数が所定数を超えた場合、前記印刷ジョブが実行された後の前記定着手段の待機温度を通常の待機温度よりも低く制御する、
請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記検知手段は、前記印刷ジョブが両面印刷である場合に、前記印刷ジョブの実行中に、両面印刷された記録媒体の数を検知し、
前記制御手段は、前記印刷ジョブが両面印刷であって、且つ両面印刷された記録媒体の数が所定数を超えた場合、前記印刷ジョブの実行中に、前記定着手段の定着温度を通常の定着温度よりも低く制御する、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記検知手段は、前記印刷ジョブにおいて両面印刷された記録媒体の数を検知する、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記検知手段は、所定時間内に両面印刷された記録媒体の数を検知する、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記定着手段の目標温度を格納した記憶手段を備え、
前記制御手段は、前記記憶手段に格納されている前記定着手段の前記目標温度を参照して、前記定着手段の温度を制御する、
請求項1〜6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記判定手段による判定結果と前記検知手段による検知結果とに基づいて、前記定着手段のプロセス速度を制御する、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記判定手段は、実行対象の印刷ジョブが両面印刷であるか否かを判定し、
前記検知手段は、前記実行対象の印刷ジョブが両面印刷である場合に、前記実行対象の印刷ジョブの実行中に、両面印刷された記録媒体の数を検知し、
前記制御手段は、前記判定手段による判定結果と前記検知手段による検知結果とに基づいて、前記実行対象の印刷ジョブの実行中における前記定着手段の定着温度及びプロセス速度を制御する、
請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記制御手段は、前記印刷ジョブが両面印刷であって、且つ両面印刷された記録媒体の数が所定数を超えた場合、前記印刷ジョブの実行中に、前記定着手段の定着温度を通常の定着温度よりも低く、且つ前記定着手段のプロセス速度を通常のプロセス速度よりも遅く制御する、
請求項8又は9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記検知手段は、前記印刷ジョブが両面印刷である場合に、前記印刷ジョブの実行後における両面印刷された記録媒体の数を検知し、
前記制御手段は、前記印刷ジョブが両面印刷であって、且つ両面印刷された記録媒体の数が所定数を超えた場合、前記印刷ジョブが実行された後の前記定着手段の待機温度を通常の待機温度よりも低く制御する、
請求項8〜10のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記検知手段は、前記印刷ジョブにおいて両面印刷された記録媒体の数を検知する、
請求項8〜11のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記検知手段は、所定時間内に両面印刷された記録媒体の数を検知する、
請求項8〜11のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記所定時間は、前記画像形成装置が通常よりも消費電力の低い省電力モードに移行した時点又は前記画像形成装置の電源が遮断された時点のいずれか早い方の時点までの時間である、
請求項13に記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記定着手段の目標温度と前記定着手段の目標プロセス速度とを対応付けて格納した記憶手段を備え、
前記制御手段は、前記記憶手段に格納されている前記定着手段の前記目標温度及び前記目標プロセス速度を参照して、前記定着手段の温度及びプロセス速度を制御する、
請求項8〜14のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate


【公開番号】特開2012−108325(P2012−108325A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−257314(P2010−257314)
【出願日】平成22年11月17日(2010.11.17)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】