説明

画像形成装置

【課題】 画像処理部による展開時間が予め決められた所定時間よりも長くなる画像を連続して複数形成する場合、画像形成が可能な状態を毎回に中断させることでダウンタイムが増大してしまう。
【解決手段】 画像処理部208で画像の展開を開始してから、この画像の展開が完了するまでの時間Pnを計数し、所定枚数分の計数結果に基づいて中断するまでの待ち時間Tを決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式の画像形成装置に関し、特に、連続して複数の画像を形成する場合の制御に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置が画像データに応じた印刷物を出力する場合、先ず、画像形成装置の画像処理部が入力される画像データをビットマップ形式の画像データに展開して画像形成部に出力する。次いで、画像形成装置の画像形成部が展開された画像データに応じた画像を紙などの記録材上に形成して出力する。
【0003】
この画像形成装置は、画像形成部による1枚分の画像を形成する時間が一律で所定時間となるように制御されるのに対して、画像処理部による1枚分の画像データを展開する時間(以後、展開時間と称す)が、この画像データの複雑さに応じて変化してしまう。
【0004】
そこで、従来から、連続して複数の画像を形成する場合、画像形成部が1枚分の画像を形成し終えたときに、画像処理部が次の1枚分の画像データの展開を終了していなければ、画像形成部の感光ドラム等の動作を一旦停止させるものがある(例えば、特許文献1)。特許文献1では、画像処理部による1枚分の画像データの展開が完了するまで潜像形成が行われないにも拘わらず、感光ドラムを回転させ続け、この感光ドラムに対して帯電と除電を繰り返すことによって、感光ドラムの寿命が短くなってしまうことを防いでいる。
【0005】
なお、画像形成部は、画像データの展開が終了すると感光ドラムの回転等を再開し、この感光ドラムの回転速度が所定の速度で安定した後、画像処理部で展開された画像データに応じた画像の形成を開始する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平2−50852号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、展開時間が所定時間よりも長くなってしまう画像データを連続して形成する場合、画像形成部は、停止した感光ドラムの回転速度が所定の速度となってから画像の形成を開始するため、ダウンタイムが増大してしまうという問題があった。
【0008】
そこで、本発明の目的は、展開時間が長い画像を連続して複数形成する場合にもダウンタイムを抑制することができる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の画像形成装置は、入力される画像データの展開処理を行う画像処理手段と、前記画像処理手段により展開されたデータに応じた画像を形成する画像形成手段と、前記画像処理手段による画像の展開に要する時間を計数する計数手段と、前記画像処理手段により次に形成する画像の展開が終了していない状態で、前記計数手段により計数される時間が所定時間よりも長い場合、前記画像形成手段の動作を停止させ、前記次に形成する画像の展開が終了することに応じて、前記画像形成手段を画像形成が開始できる状態にするための準備動作を行った後、前記画像形成手段に画像形成を開始させる制御手段と、前記計数手段により計数される前記時間に基づいて前記所定時間を決定する決定手段と、を有し、前記決定手段は、前記計数手段により計数される時間が前記所定時間よりも長い場合、前記所定時間を前記計数された前記時間に応じた長い時間に決定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、展開時間が長い画像を連続して複数形成する場合にもダウンタイムを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】画像形成装置の概略断面図
【図2】第1の実施形態の画像形成装置の制御ブロック図
【図3】画像形成装置が停止状態へ移行するタイミングを示す図
【図4】第1の実施形態の画像データに応じた画像を形成する処理を表すフローチャート図
【図5】第1の実施形態の待ち時間を特定する処理を表すフローチャート図
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1の実施形態)
図1は本実施形態の画像形成装置100の概略断面図である。本実施形態では、各色成分のトナー像を形成する4つの像形成部StY、StM、StC、StKが1列に配列された画像形成装置を用いる。
【0013】
各像形成部は、StYがイエローのトナー像を形成し、StMがマゼンタのトナー像を形成し、StCがシアンのトナー像を形成し、StKがブラックのトナー像を形成する。
【0014】
各像形成部StY、StM、StC、StKは同様の構成であるため、以下ではイエローのトナー像を形成する像形成部StYの構成について説明し、他の像形成部StM、StC、StKについての説明を省略する。
【0015】
像形成部StYは、イエローの色成分のトナー像を担持する感光ドラム1Yと、この感光ドラム1Yを帯電する帯電器2Yと、感光ドラム1Yにイエローの色成分に対応した静電潜像を形成するため、感光ドラム1Yを露光する露光装置3Yを有している。さらに、像形成部StYは、感光ドラム1Y上に形成された静電潜像をトナーを有する現像剤を用いてトナー像として顕像化する現像器4Yと、感光ドラム1Y上のトナー像を後述の中間転写ベルト6に転写する一次転写ローラ7Yを有している。なお、感光ドラム1Yはイエローのトナー像を担持搬送する像担持体として機能する。また、像形成部StYは、トナー像を転写した後に感光ドラム1Y上に残留したトナーを除去するドラムクリーナ8Yも有している。
【0016】
前述の中間転写ベルト6は、トナー像が担持される像担持体であり、各像形成部StY、StM、StC、StKで形成された各色成分のトナー像を重ねて担持することでフルカラーのトナー像が形成される。また、中間転写ベルト6は、この中間転写ベルト6を回転駆動させる駆動ローラ13、および、従動ローラ14に掛け回されている。
【0017】
また、中間転写ベルト6の周囲には、この中間転写ベルト6上のトナー像を紙などの記録材Pへ転写するための二次転写ローラ9、および、二次転写対向ローラ12が配設されている。さらに、中間転写ベルト6の周囲には、この中間転写ベルト6から記録材Pへと転写されずに残留したトナーを除去するベルトクリーナ11が配設されている。
【0018】
また、画像形成装置100には、トナー像を担持した記録材Pに、このトナー像を定着させるための定着器10が設けられている。この定着器10は、不図示の電源から電圧が供給されることで電圧に応じた熱量で発熱するヒータを有する加熱ローラと、この加熱ローラに押圧する加圧ローラから構成されている。
【0019】
次に、本実施形態の画像形成装置100が、後述の画像処理部208(図3)によって展開した画像データに応じて画像を形成する画像形成動作について説明する。
【0020】
各像形成部StY、StM、StC、StKにおいて、先ず、帯電器2Y、2M、2C、2Kが感光ドラム1Y、1M、1C、1Kを一様に帯電する。次いで、露光装置3Y、3M、3C、3Kが各感光ドラム1Y、1M、1C、1Kに展開済みの各色成分の画像データに応じた露光光を照射することで、画像データに応じた各色成分の静電潜像が形成される。その後、感光ドラム1Y、1M、1C、1K上の静電潜像は現像器4Y、4M、4C、4Kによって各色成分のトナー像として顕像化される。
【0021】
感光ドラム1Y、1M、1C、1K上の各色成分のトナー像は、この感光ドラム1Y、1M、1C、1Kの回転に伴い一次転写ローラ7Y、7M、7C、7Kが中間転写ベルト6を介して感光ドラム1Y、1M、1C、1Kを押圧する一次転写ニップ部へ搬送される。この一次転写ニップ部において、感光ドラム1Y、1M、1C、1K上の各色成分のトナー像は一次転写ローラ7Y、7M、7C、7Kから一次転写電圧が印加され、中間転写ベルト6上に順次重ねて転写される。これにより、中間転写ベルト6上にはフルカラーのトナー像が形成される。また、感光ドラム1Y、1M、1C、1Kに残留したトナーは、ドラムクリーナ8Y、8M、8C、8Kによって除去される。
【0022】
中間転写ベルト6に転写されたトナー像は、二次転写ローラ9が中間転写ベルト6を介して二次転写対向ローラ12を押圧する二次転写ニップ部に搬送される。一方、記録材Pはタイミングを調整されてフルカラーのトナー像と接触するように二次転写ニップ部へと搬送されると、二次転写電圧が印加された二次転写ローラ9により、中間転写ベルト6上のフルカラーのトナー像が記録材P上に転写される。また、二次転写ニップ部で記録材Pに転写されずに中間転写ベルト6に残留したトナーは、ベルトクリーナ11によって除去される。
【0023】
トナー像を担持した記録材Pは定着器10へと搬送され、このトナー像が加熱ローラと加圧ローラからの熱と圧力によって定着される。
【0024】
ここで、画像形成部StY、StM、StC、StK、中間転写ベルト6と駆動ローラ13、定着器10は画像形成手段として機能する。
【0025】
{全体構成}
図2は本実施形態の画像形成装置の制御ブロック図である。
【0026】
画像形成装置100は、図1の像形成部StY、StM、StC、StK、定着器10の他に、CPU201、ROM202、RAM203、I/F204、画像処理部208、駆動モータ130を備えている。
【0027】
CPU201は、画像形成装置全体を制御する制御回路である。
【0028】
ROM202は、画像形成装置で実行する各種処理を制御するための制御プログラムが格納されている。
【0029】
RAM203は、CPU201が処理のために使用するシステムワークメモリである。
【0030】
I/F204は、ネットワークと接続されており、ネットワークに接続されたコンピュータから画像データを受信する。
【0031】
画像処理部208は、I/F204を介して入力された画像データに対して必要な画像処理を加え、この画像データを公知の方法で画像形成装置が画像形成可能なデータ形式(ビットマップデータ)に展開する。
【0032】
駆動モータ130は、図1の画像形成装置の駆動ローラ13を回転駆動させるDCモータである。
【0033】
{待ち時間の説明}
次に、画像処理部208による画像データの展開と、この展開されたビットマップデータに応じた画像の形成のタイミングについて説明する。
【0034】
画像データをビットマップデータに展開する時間は、基となる画像データの解像度、種類、データの複雑さによって異なる。そのため、次の画像形成が開始されるタイミングとなっても、画像処理部208による画像データの展開が間に合わない場合がある。
【0035】
そのため、画像形成装置のCPU201は、所定時間が経過しても画像処理部208から像形成部StY、StM、StC、StKに展開されたビットマップデータが入力されない場合、ビットマップデータが入力されるまで画像形成が可能な状態を一時中断させる。
【0036】
図3(a)と図3(b)は、画像処理部208が画像データを展開する画像展開処理と、像形成部StY、StM、StC、StKが展開されたビットマップデータに応じて画像形成する画像形成処理とが実行されるタイミングを示した図である。
【0037】
この画像形成装置の像形成部StY、StM、StC、StKは、画像処理部208から展開されたビットマップデータが入力されてから、900[msec]で、このビットマップデータに応じたフルカラーのトナー像を記録材P上に定着することができる。なお、展開されたビットマップデータが複数ある場合には、画像の形成が終了してから100[msec]経過後に次の画像の形成が開始されるように設定されている。
【0038】
また、像形成部StY、StM、StC、StK、定着器10、駆動モータ130の待ち時間は1500[msec]である。つまり、CPU201は、像形成部StY、StM、StC、StKが先行する画像の形成を開始し、この形成された画像を定着器10で紙などの記録材に定着させてから600[msec]が経過すると、停止動作を開始する。
【0039】
本実施形態のCPU201が停止動作を開始すると、感光ドラム1Y、1M、1C、1K、露光装置3Y、3M、3C、3Kのポリゴンミラー(不図示)、駆動ローラ13を駆動させる駆動モータ130の回転を停止する。さらに、帯電器2Y、2M、2C、2Kが感光ドラム1Y、1M、1C、1Kに印加する帯電電圧を0[v]にし、感光ドラム1Y、1M、1C、1Kと現像器4Y、4M、4C、4Kとの間に印加する現像バイアスを0[v]にする。さらに、定着器10の不図示のヒータへの通電をオフにする。
【0040】
これにより、感光ドラムの寿命が短くなることを抑制し、定着器10のヒータへの通電により消費される電力を抑制している。
【0041】
図3(a)は、画像処理部208から先行する画像のビットマップデータが出力され、この画像の画像形成が完了してから600[msec]が経過するより前に、画像処理部208から次の画像のビットマップデータが出力される場合を示している。
【0042】
像形成部StY、StM、StC、StKは、画像処理部208からビットマップデータが入力されることに応じて順次、画像形成を開始する。
【0043】
一方、図3(b)は、画像処理部208から先行する画像のビットマップデータが出力され、この画像の画像形成が完了してから600[msec]が経過しても、画像処理部208から次の画像のビットマップデータが出力されない場合を示している。
【0044】
例えば、図3(b)では、画像処理部208によって3枚目の画像の展開に1600[msec]を要しているため、展開時間が待ち時間(1500[msec])以上となってしまい、展開の終了を待たずに停止動作が開始されている。また、3枚目の画像の展開が完了しても直ぐには画像形成が開始されず、画像処理部208によって3枚目の画像の展開が完了してから3000[msec]経過後に画像形成が開始される。
【0045】
停止動作により、感光ドラム1Y、1M、1C、1Kなどの回転の停止や、定着器10の温度を低下させた画像形成装置は、画像処理部208からビットマップデータが入力されると、準備動作を開始し、画像形成を開始できる状態に移行する必要がある。
【0046】
なお、準備動作とは、停止させた感光ドラム1Y、1M、1C、1K、駆動モータ130、ポリゴンミラーの回転を再開し、所定の回転速度に安定させ、帯電電圧や現像バイアスを画像形成が可能な所定の電圧まで上昇させ、定着器10へ通電を再開する動作である。
【0047】
この画像形成装置は、準備動作によって画像形成を開始できる状態へ移行した後、展開されたビットマップデータに応じた画像の形成を開始する。
【0048】
図3(b)では、3枚目の画像の展開が完了してから3000[msec]後に画像形成が再開されており、準備動作に3000[msec]掛かったことを意味している。
【0049】
ところが、図3(a)と図3(b)とでは、3枚目の画像の展開時間の差が200[msec]しかないにも拘わらず、この3枚目の画像が実際に形成されるまでに3000[msec]もの違いがある。
【0050】
つまり、画像形成装置は、一旦停止動作を実行すると、画像形成が開始できる状態へと移行させるまでの準備動作に時間を要してしまうため、その生産性を大幅に低下させてしまう。
【0051】
{画像形成制御}
次に、画像データに応じた画像を形成する処理を図4に表すフローチャートに基づいて説明する。このフローチャートの処理はCPU201がROM202に格納されたプログラムを読み出すことにより実行される。
【0052】
CPU201は、画像形成装置の主電源がオンされると、枚数カウンタnをリセットし(S100)、画像データが入力されるまで待機する(S101)。
【0053】
次いで、画像データが入力されると、CPU201は像形成部StY、StM、StC、StK、定着器10、駆動モータ130の準備動作を行い(S102)、この準備動作が完了すると、プリントレディーフラグRdyを1に設定する(S103)。
【0054】
次いで、CPU201は、枚数カウンタnを1増加させ(S104)、展開時間カウンタPnをリセットする(S105)。
【0055】
次いで、CPU201は、画像処理部208により、入力される画像データをビットマップデータに展開させる画像展開処理を開始する(S106)。なお、画像展開処理においては、ページ記述言語で記載されたデータを画像形成が可能なビットマップデータに変換する公知の処理であるため、詳細な説明を省略する。
【0056】
次いで、CPU201は、画像処理部208による画像展開処理が完了したか否かを判定(S107)し、画像展開処理が完了していなければ、展開時間カウンタPnを1増加させる(S108)。なお、本実施形態では、CPU201が不図示のカウンタにより、1[msec]毎に画像展開処理が完了したか否かを判定している。つまり、展開時間カウンタPnは、画像展開処理に要した時間(単位は[msec])と等しい値となる。なお、ステップS107からステップS108において、CPU201は、展開時間を計数する計数手段として機能する。
【0057】
次いで、CPU201は、展開時間カウンタPnが待ち時間T以上であるか否かを判定する(S109)。ここで、CPU201は、展開時間が待ち時間以上であるか否かを判定している。
【0058】
ステップS109において、展開時間カウンタPnが待ち時間Tよりも短い場合、CPU201は、前述の停止動作を行わずにステップS107へ移行する。なお、画像形成装置の主電源がオンされた直後の待ち時間Tは1500[msec]に設定されており、この時間は予めROM202に格納されている。
【0059】
一方、CPU201は、展開時間カウンタPnが待ち時間T以上となっても画像展開処理が完了していない場合、前述の停止動作を行う(S110)。ステップS110において、CPU201は、像形成部StY、StM、StC、StK、定着器10、駆動モータ130の停止動作を行った後、プリントレディーフラグRdyを0に設定し(S111)、ステップS107へ移行する。
【0060】
次いで、ステップS107において、画像処理部208によって画像の展開が完了すると、CPU201は、展開時間カウンタPnをRAM203に格納し、後述の待ち時間Tの決定処理を行うサブルーチン(図5)を実施する(S112)。
【0061】
次いで、CPU201は、プリントレディーフラグRdyが1であるか否かを判定する(S113)。
【0062】
ステップS113において、プリントレディーフラグRdyが1である場合、CPU201は、像形成部StY、StM、StC、StKにビットマップデータを転送し、画像形成を開始させる信号を出力する(S116)。これにより、画像形成装置は画像形成動作を開始し、このビットマップデータに応じた画像を形成する。
【0063】
一方、ステップS113において、プリントレディーフラグRdyが0である場合、CPU201は、像形成部StY、StM、StC、StKにビットマップデータを転送するが、停止動作を行っているため、すぐに画像形成を開始できない状態であると判定する。
【0064】
そのため、プリントレディーフラグRdyが0である場合、CPU201は、前述の準備動作を行い(S114)、準備動作が完了すると、プリントレディーフラグRdyを1に設定し(S115)、画像形成を開始させる信号を出力する(S116)。
【0065】
ステップS116において、CPU201が像形成部StY、StM、StC、StKに画像形成を開始させる信号を出力した後、枚数カウンタnが1000であるか否かを判定する(S117)。ステップS117において、CPU201は、枚数カウンタnが1000である場合、nをリセットする(S118)。
【0066】
これは、RAM203に格納される展開時間カウンタPnの数が1000枚分を超えた場合に、1枚目の展開時間カウンタPnが格納されている領域に1001枚目の展開時間カウンタPnを上書きすることを意味する。
【0067】
なお、本実施形態では、RAM203に格納される展開時間カウンタPnの数を1000枚分としたが、この数値に限定されない。格納される数を変更した場合、ステップS117における判定で用いる数(本実施形態では1000)が変更される。
【0068】
次いで、CPU201は、画像処理部208が最終ページの画像展開処理を行ったか否かを判定する(S119)。
【0069】
ステップS119において、CPU201は、画像処理部208が最終ページの画像展開処理を完了させている場合、最終ページの画像の形成が終了してから停止動作を行い(S120)、ステップS101へ移行する。
【0070】
一方、ステップS119において、CPU201は、画像処理部208が最終ページの画像展開処理を行っていない場合、次に形成する画像の展開を開始するため、ステップS104へ移行する。
【0071】
{待ち時間Tの決定方法}
本実施形態では、所定枚数分の展開時間カウンタPnのデータから、展開時間が長くなる複雑な画像データを展開して複数の画像を連続して形成する場合であっても、生産性の低下を抑制することができる待ち時間Tが特定される。
【0072】
以下、図4のフローチャートのステップS112の待ち時間Tの決定処理を図5に表すフローチャートに基づいて説明する。
【0073】
本実施形態では、RAM203に格納された1000枚分の展開時間のデータから、この展開時間の割合に応じて待ち時間Tを1500[msec]、2000[msec]、3500[msec]の中から特定している。なお、本実施形態では、ROM202に予め待ち時間Tが3種類(1500[msec]、2000[msec]、3500[msec])記憶されている。
【0074】
CPU201は、待ち時間Tの決定処理を開始すると、先ず、カウンタAとカウンタBをリセットし(S200)、カウンタmを0に設定する(S201)。ここで、カウンタAは展開時間が1500[msec]以上2000[msec]未満となった画像データの枚数を計数し、カウンタBは展開時間が2000[msec]以上となった画像データの枚数を計数する。
【0075】
次いで、CPU201は、カウンタmを1増加させ(S202)、RAM203に格納されているm枚目の画像の展開時間(以後展開時間Pmと記載する)が1500[msec]未満であるか否かを判定する(S203)。
【0076】
ステップS203において、展開時間Pmが1500[msec]未満である場合、CPU201は、後述のステップS207へ移行する。
【0077】
一方、ステップS203において、展開時間Pmが1500[msec]以上である場合、CPU201は、RAM203に格納されている展開時間Pmが2000[msec]未満であるか否かを判定する(S204)。
【0078】
ステップS204において、CPU201は、RAM203に格納されている展開時間Pmが1500[msec]以上2000[msec]未満である場合、カウンタAを1増加させる(S205)。
【0079】
一方、ステップS204において、CPU201は、RAM203に格納されている展開時間Pmが2000[msec]以上である場合、カウンタBを1増加させる(S206)。
【0080】
次に、CPU201は、RAM203に格納された全ての展開時間を分別したか否かを判定する(S207)。本実施形態では、RAM203に1000枚分の展開時間が格納される構成となっている。そのため、ステップS207では、CPU201が、画像処理部208による過去1000枚分の画像の展開時間を、前述の時間帯に分別したか否かを判定している。
【0081】
ステップS207において、RAM203に格納された全ての展開時間を分別していない場合、CPU201は、ステップS202へ移行し、次の画像の展開時間Pmを分別する。
【0082】
一方、ステップS207において、RAM203に格納された全ての展開時間を分別した場合、CPU201は、展開枚数に対する前述の各時間帯に分別された画像データの枚数の割合から、適正な待ち時間Tを特定する処理を開始する。ここで、展開枚数とは、画像処理部208によって今までに展開された画像データの合計枚数である。
【0083】
CPU201は、先ず、展開枚数に対するカウンタBのカウント値の割合が10[%]以上であるか否かを判定する(S208)。つまり、CPU201は、RAM203に格納された展開時間の内、2000[msec]以上となる割合を算出し、この割合が10[%]以上あるか否かを判定している。
【0084】
ステップS208において、画像形成装置の主電源をオンしてから1000枚分の画像展開処理が行われていない場合、つまり、RAM203に1000枚分の展開時間が格納されていない場合、前述の判定を式1によって行う。一方、1000枚以上の画像展開処理が行われている場合、つまり、RAM203に1000枚分の展開時間が格納されている場合、前述の判定を式2によって行う。
【0085】
【数1】

【0086】
ステップS208において、展開枚数に対するカウンタBのカウント値の割合が10[%]以上である場合、CPU201は、カウンタAの値に拘わらず、待ち時間Tを3500[msec]に設定し(S209)、待ち時間Tの決定処理を終了する。
【0087】
一方、ステップS208において、展開枚数に対するカウンタBのカウント値の割合が10[%]未満である場合、CPU201は、展開枚数に対するカウンタAのカウント値の割合が10[%]以上であるか否かを判定する(S210)。つまり、CPU201は、RAM203に格納された展開時間の内、1500[msec]以上2000[msec]未満となる割合を算出し、この割合が10[%]以上あるか否かを判定している。
【0088】
ステップS210において、画像形成装置の主電源をオンしてから1000枚分の画像展開処理が行われていない場合、つまり、RAM203に1000枚分の展開時間が格納されていない場合、前述の判定を式3によって行う。また、1000枚以上の画像展開処理が行われている場合、つまり、RAM203に1000枚分の展開時間が格納されている場合、前述の判定を式4によって行う。
【0089】
【数2】

【0090】
ステップS210において、展開枚数に対するカウンタAのカウント値の割合が10[%]以上である場合、CPU201は、待ち時間Tを2000[msec]に設定し(S211)、待ち時間Tの決定処理を終了する。
【0091】
一方、ステップS210において、展開枚数に対するカウンタAのカウント値の割合が10[%]未満である場合、CPU201は、待ち時間Tを1500[msec]に設定し(S212)、待ち時間Tの決定処理を終了する。
【0092】
本実施形態では、待ち時間Tよりも長い展開時間となる画像データが複数入力され、このような画像データの枚数の展開枚数に対する割合が閾値以上となった場合、このような画像データが入力されても停止動作を行わない待ち時間Tが設定される。
【0093】
そのため、待ち時間Tよりも長い展開時間となる画像データが複数入力された場合であっても、これら画像データの展開時間に応じた待ち時間Tが設定される。その結果、画像データを展開している間に停止動作に移行することで発生するダウンタイムを抑制することができる。
【0094】
また、本実施形態では、待ち時間Tを1500[msec]、2000[msec]、3500[msec]から特定する構成としたが、これらの時間は本実施形態の値に限定されない。
【0095】
また、本実施形態では、展開枚数に対するカウンタBのカウント値の割合が10[%]以上である場合、待ち時間Tを3500[msec]とした。しかしながら、この待ち時間Tを決定する構成は、カウンタBのカウント値の割合が10[%]以外の値であってもよい。
【0096】
また、本実施形態では、展開枚数に対するカウンタBのカウント値の割合が10[%]未満であり、且つ、展開枚数に対するカウンタAのカウント値の割合が10[%]以上である場合、待ち時間Tを2000[msec]とした。しかしながら、この待ち時間Tを決定する構成は、カウンタBのカウント値の割合及びカウンタAのカウント値の割合が10[%]以外の値であってもよい。
【0097】
また、待ち時間Tを決定するための閾値はカウンタAとカウンタBとで夫々異なる値としてもよい。
【0098】
また、本実施形態では、最も遅い時間帯に含まれる画像データの割合が閾値以上である場合、待ち時間Tが予め決められた待ち時間の上限値に設定される。しかしながら、待ち時間Tは、最も遅い時間帯に含まれる展開時間の平均値としてもよい。さらに、この平均値に所定の時間を加算した時間が待ち時間Tに設定される構成としてもよい。例えば、所定の時間は200[msec]とすればよい。なお、所定の時間は予備時間に相当する。ここで、最も遅い時間帯は、展開時間が2000[msec]以上となる時間帯に相当する。
【0099】
また、本実施形態では、最も遅い時間帯に含まれる画像データの割合が閾値未満であれば、次に遅い時間帯に含まれる画像データの割合が閾値以上であるか否かが判定され、この割合が閾値以上であれば次に遅い時間帯の上限の時間が待ち時間Tとして設定される。しかしながら、待ち時間Tは、次に遅い時間帯に含まれる展開時間の平均値としてもよい。さらに、この平均値に所定の時間を加算した時間が待ち時間Tに設定される構成としてもよい。例えば、所定の時間は200[msec]とすればよい。なお、所定の時間は予備時間に相当する。ここで、次に遅い時間帯は、展開時間が1500[msec]以上2000[msec]未満となる時間帯に相当する。
【0100】
また、本実施形態では、所定枚数を1000枚として、所定枚数以上の展開時間が計数された場合、最新の1000枚分の展開時間に基づいて待ち時間Tを決定する構成とした。しかしながら、所定枚数は1000枚に限定されず適宜決めることができる。
【0101】
また、本実施形態では、停止動作によって、感光ドラム1Y、1M、1C、1K、ポリゴンミラー、駆動モータ130などの回転が停止される。さらに、帯電器2Y、2M、2C、2Kの帯電電圧や現像器4Y、4M、4C、4Kの現像バイアスなどが0[V]となり、定着器10のヒータへの通電がオフされる構成とした。しかしながら、停止動作はこれら全てを行う構成に限定されず、前述の内の少なくとも一部が実施される構成としてもよい。
【0102】
また、本実施形態では、停止動作によって定着器10のヒータへの通電がオフされる構成としたが、停止動作に移行することで、定着器10の温度を定着するための温度よりも低い温度へ切り替える構成としてもよい。
【符号の説明】
【0103】
201 CPU
208 画像処理部
StY イエローの像形成部
StM マゼンタの像形成部
StC シアンの像形成部
StK ブラックの像形成部
10 定着器
130 駆動モータ
Pn 展開時間カウンタ
T 待ち時間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力される画像データの展開処理を行う画像処理手段と、
前記画像処理手段により展開されたデータに応じた画像を形成する画像形成手段と、
前記画像処理手段による画像の展開に要する時間を計数する計数手段と、
前記画像処理手段により次に形成する画像の展開が終了していない状態で、前記計数手段により計数される時間が所定時間よりも長い場合、前記画像形成手段の動作を停止させ、前記次に形成する画像の展開が終了することに応じて、前記画像形成手段を画像形成が開始できる状態にするための準備動作を行った後、前記画像形成手段に画像形成を開始させる制御手段と、
前記計数手段により計数される前記時間に基づいて前記所定時間を決定する決定手段と、を有し、
前記決定手段は、前記計数手段により計数される時間が前記所定時間よりも長い場合、前記所定時間を前記計数された前記時間に応じた長い時間に決定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記決定手段は、前記計数手段により計数される時間を複数の時間帯に分別し、前記展開されたデータの数に対して最も遅い時間帯に分別される割合が閾値以上となる場合、前記所定時間を前記最も遅い時間帯に応じた時間に決定することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記決定手段は、前記最も遅い時間帯に分別される割合が前記閾値未満である場合、前記展開されたデータの数に対して前記最も遅い時間帯の次に遅い時間帯に分別される割合が前記閾値以上であれば、前記所定時間を前記次に遅い時間帯に応じた時間に決定することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記決定手段は、前記次に遅い時間帯の上限の時間を前記所定時間に決定することを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記決定手段は、前記最も遅い時間帯に分別された前記時間の平均値を前記所定時間に決定することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記決定手段は、前記次に遅い時間帯に分別された前記時間の平均値を前記所定時間に決定することを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記画像形成手段は、回転駆動される像担持体と、前記像担持体を帯電させるための帯電手段と、回転駆動されるポリゴンミラーに光を照射することで前記像担持体を露光させ、静電潜像を形成させる露光手段と、前記像担持体に形成される静電潜像をトナーを用いて現像する現像手段と、記録材に転写されたトナー像を熱により前記記録材に定着させる定着手段を有し、
前記制御手段は、前記画像処理手段により次に形成する画像の展開が終了していない状態で、前記計数手段により計数される時間が所定時間よりも長い場合、前記像担持体の駆動の停止、前記帯電手段の動作の停止、前記ポリゴンミラーの駆動の停止、前記現像手段の動作の停止、前記定着手段の温度の低下の少なくとも1つを実施することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−128291(P2012−128291A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−281060(P2010−281060)
【出願日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】