説明

画像形成装置

【課題】画像印字時に搬送ベルトの搬送停止動作を必要とするインクジェット方式の画像形成装置において、搬送ベルトユニットの着脱・交換をより容易に行なえる駆動連結構成とするとともに、着脱・交換時に生じる駆動ガタによる用紙停止位置精度の低下を防ぐ。
【解決手段】装置本体1に対して着脱可能な搬送ベルトユニット115に設けられたギヤ101と、搬送ベルトユニット115の装置本体1への装着時に、ギヤ101と噛み合いギヤ連結部を構成する装置駆動系に設けられたアイドラギヤ102と、アイドラギヤ102に連結され、これを回動する正逆転可能なモータ113と、搬送ベルトユニット115の装置本体1への装着時に、アイドラギヤ102をギヤ101に対して噛み合う向きに一定の力で加圧し変位揺動させる揺動機構110と、ギヤ連結部に生じるバックラッシを除去すべくモータ113を制御する制御手段121等とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、さらに詳しくは、シートを搬送する搬送ベルトと、該搬送ベルトと対向して配置され、シート搬送方向と直交する主走査方向に走査され、シート上にインクを吐出して画像を印字する記録ヘッドとを有し、画像印字時に搬送ベルトの搬送停止動作を必要とし、搬送ベルトの搬送動作が間歇的に行われるインクジェット方式の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シート上にインクを吐出して画像を形成する記録ヘッドをシート搬送方向と直交する主走査方向に走査し、画像印字時にシート(以下、「用紙」の例で代表する)の搬送停止動作を必要とし、シートを保持して搬送する搬送ベルトの搬送が間歇的に行われる、いわゆるシリアル型と呼ばれているインクジェット方式の画像形成装置において、メンテナンス性、組み付け性向上の要望から、少なくとも2つのローラ(回転部材)間に掛け回されている搬送ベルトをローラと共に一体化し、装置本体に対して着脱・交換可能な搬送ベルトユニットとして構成する場合がある。
このような搬送ベルトユニットを備えたインクジェット方式の画像形成装置において、装置本体側の本体駆動系との駆動連結構成として、ギヤ同士の連結構成を用いた場合、駆動・停止・駆動の間歇駆動動作時に生じるバックラッシ等の駆動系のガタが用紙停止位置精度に大きく影響を与え、画像品質低下へと繋がる。そのため、バックラッシが発生せず、搬送ベルトの精密駆動に適しているタイミングベルトを用いた駆動伝達構成が一般的に広く用いられている(例えば、特許文献1および2参照)。
【0003】
タイミングベルトを用いた従来の駆動伝達構成の一般的なものとして、駆動源であるモータからの駆動をタイミングベルトにより、搬送ベルトユニットの上流側の搬送ローラ(駆動ローラ)へ伝達させている構成が挙げられる。また、下流側(排紙側)の駆動伝達は、搬送ベルトを介し、搬送ベルトユニット下流側に弾性体により支持され、搬送ベルトのテンションを一定に保つ役割を担っている搬送ベルトテンションローラ(従動ローラ)に伝達され、さらに下流へ配置されている排紙ローラへタイミングベルトにより連結されて駆動を伝達している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記したタイミングベルトを備えた駆動伝達構成で、搬送ベルトユニットの着脱・交換を行う場合、駆動連結部のタイミングベルトの着脱が必須となり、着脱前後のタイミングベルトの張力管理が問題点として挙げられる。また、タイミングベルトの張力のバラつきは用紙停止制御に大きな影響を与える。
さらに、前記駆動連結構成では、搬送ベルトユニット交換に伴う交換作業手数が増え、客先でのダウンタイム増によりサービス性低下を招く虞があるなどの問題点もあった。
【0005】
上記タイミングベルトを用いた場合の問題点を解消して、搬送ベルトユニットの着脱(交換)を容易に行なえる構成とするためには、搬送ベルトユニットと本体駆動列(本体駆動系)間の駆動連結部にギヤを用いた方が好ましい。その場合、ギヤ同士による駆動連結で懸念点として挙げられるギヤ間のバックラッシ、ギヤ連結部の位置ズレによる駆動ガタ等の問題点に加え、搬送ベルトユニットの着脱・交換時に生じるギヤ連結部の互いのギヤの軸間距離のバラつきが問題点として挙げられ、両者が食い込みすぎると互いのギヤの磨耗および破損へと繋がる虞がある。逆に両者が離れすぎると駆動力伝達不足へと繋がる虞がある。
加えて、上記したギヤ連結部でのギヤ間のバックラッシ、ギヤ連結部の位置ズレによる駆動ガタにより、用紙停止時に微小な正逆転動作を繰り返すことで目標とする用紙停止位置に近づける用紙停止制御の目標値が定まらず、用紙停止位置精度が低下する虞もある。
【0006】
なお、電子写真方式の画像形成装置の分野では、簡単な操作で用紙搬送手段の駆動連結を解除でき、ジャム等の処理操作がきわめて簡便に行い得る画像形成装置を提供することを目的として、駆動伝達用ギヤを介して駆動が伝達される駆動ローラ体を具備した用紙搬送手段を有し、画像形成装置本体に設けられた開閉部材の開閉と連動し、駆動連結を解除し、前記開閉部材が閉じられたとき、駆動連結を復帰させる駆動接離機構を有する技術が開示されている(例えば、特許文献3参照)。
【0007】
しかしながら、上記特許文献3記載の技術は、一方向へ連続的に駆動されることを前提とした駆動構成であり、画像印字時に用紙停止を伴う搬送ベルトの間歇駆動を必要とするインクジェット方式の画像形成装置に上記特許文献3記載の技術を転用したとしても、用紙停止位置付近で、駆動ギヤ間のバックラッシ等により停止位置がバラつくという課題を解決することは到底できない。
【0008】
本発明は、上述した問題点・事情に鑑みてなされたものであり、画像印字時に搬送ベルトの搬送停止動作を必要とし、シートを保持した搬送ベルトの搬送が間歇的に行われるインクジェット方式の画像形成装置において、メンテナンス性、組み付け性向上を図るため、搬送ベルトユニットの着脱・交換をより容易に行なえる駆動連結構成とするとともに、着脱・交換時に生じる駆動ガタによる用紙(シート)停止位置精度の低下を防ぐことを主な目的とする。
具体的には、第1に、搬送ベルトユニットと本体駆動系間はギヤによる駆動連結とし、両ギヤの軸間距離を一定に保つ機構を設けることにより、搬送ベルトユニットの着脱・交換時の連結部のガタを防止することにある。
第2に、前記ギヤ駆動により生じるギヤ間の駆動ガタやバックラッシによる影響を予め考慮した用紙停止制御を用いることにより、ギヤ連結部間の駆動ガタやバックラッシにより、用紙停止位置の目標値が定まらないことで、用紙停止位置精度が低下するということを防ぐことにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するとともに上述した目的を達成するために、請求項ごとの発明では、以下のような特徴ある手段・発明特定事項(以下、「構成」という)を採っている。
請求項1記載の発明は、少なくとも2つの回転部材間に掛け回されて周回移動され、シートを搬送する搬送ベルトと、前記搬送ベルトと対向して配置され、シート搬送方向と直交する主走査方向に走査され、シート上にインクを吐出して画像を印字する記録ヘッドとを有し、画像印字時に前記搬送ベルトの搬送停止動作を必要とし、前記搬送ベルトの搬送動作が間歇的に行われるインクジェット方式の画像形成装置において、前記少なくとも2つの回転部材および前記搬送ベルトが一体化されて装置本体に対して着脱可能に構成された搬送ベルトユニットと、前記搬送ベルトユニットの前記回転部材に設けられた第1のギヤと、前記搬送ベルトユニットの前記装置本体への装着時に、前記第1のギヤと噛み合いギヤ連結部を構成する、前記装置本体側の本体駆動系に設けられた第2のギヤと、前記第2のギヤを回動する正逆転可能な駆動手段と、前記搬送ベルトユニットの前記装着時に、前記第2のギヤを前記第1のギヤに対して噛み合う向きに一定の力で加圧し変位させる変位手段と、前記搬送ベルトの搬送量を検出する搬送量検出手段と、前記搬送ベルトユニットが前記装着されたとき、前記搬送量検出手段からの信号に基づいて、前記駆動手段の回転量と前記搬送ベルトの搬送量との偏差を検出し、該偏差を補正定数として演算する演算手段と、前記画像印字時のシート停止動作時において、目標シート停止位置よりも多くシートを搬送した場合、前記ギヤ連結部に生じるバックラッシを除去すべく、前記駆動手段をして前記補正定数を加味した回転量を逆転させた後、再度正転方向へ駆動させるシート停止制御を行わせる制御手段とを具備することを特徴とする画像形成装置である。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の画像形成装置において、前記第1のギヤおよび前記第2のギヤは、各ギヤ軸の中心間距離が一定であり、それぞれ円錐形状のギヤからなり、少なくとも一方のギヤは、そのギヤ軸方向にスライド可能に構成され、かつ、加圧手段により前記ギヤ軸方向に一定の力で加圧されていることを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の画像形成装置において、前記駆動手段の回転量を検出する回転量検出手段を有し、前記演算手段は、前記搬送量検出手段および前記回転量検出手段からの各信号に基づいて、前記駆動手段の回転量と前記搬送ベルトの搬送量との偏差を検出し、補正定数を演算することを特徴とする。
【0011】
請求項4記載の発明は、請求項1記載の画像形成装置において、前記制御手段は、前記補正定数算出時、前記駆動手段の正逆転の1方向のみならず、正逆転の2方向の動作を伴う制御を行うことを特徴とする画像形成装置。
請求項5記載の発明は、請求項3または4記載の画像形成装置において、前記搬送ベルトによるシート改行搬送動作中に、前記演算手段により前記偏差を繰り返し検出し、前記補正定数を繰り返し算出した結果を、次改行の改行量へフィードバックすることを特徴とする。
【0012】
請求項6記載の発明は、請求項1ないし5の何れか一つに記載の画像形成装置において、前記搬送量検出手段は、前記搬送ベルト表面上に設けられたリニアエンコーダと、該リニアエンコーダの搬送量を検出するリニアエンコーダセンサとからなり、前記リニアエンコーダセンサからの信号に基づいて、前記演算手段により前記駆動手段の回転量と前記搬送ベルトの搬送量との偏差を検出し、該偏差を補正定数として前記駆動手段にフィードバックすることを特徴とする。
【0013】
請求項7記載の発明は、請求項6記載の画像形成装置において、前記リニアエンコーダとして、前記搬送ベルト表面に画像分解能に相当する微小な等間隔の白黒の縞、またはスリット孔を設けたことを特徴とする。
請求項8記載の発明は、請求項1ないし7の何れか一つに記載の画像形成装置において、前記偏差を検出する動作を定期的に実施するとともに、前記補正定数の書き換えを自動またはユーザ操作により実施することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、前記構成により、前記課題を解決して新規な画像形成装置を実現し提供することができる。すなわち、本発明によれば、搬送ベルトユニットと本体駆動系間はギヤによる駆動連結とし、両ギヤの軸間距離を一定に保つ変位手段を設けたことにより、搬送ベルトユニットの着脱・交換をより容易に行なえることでメンテナンス性、組み付け性が向上することは元より、搬送ベルトユニットの着脱・交換時のギヤ連結部のガタを防止することが可能となるとともに、ギヤ駆動により生じるギヤ間の駆動ガタやバックラッシによる影響を予め考慮したシート停止制御構成を有することにより、ギヤ連結部間の駆動ガタやバックラッシによりシート停止位置の目標値が定まらないことで、シート停止位置精度が低下するのを未然に防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明を適用するインクジェット方式の画像形成装置としてのインクジェット記録装置を前方から見た外観斜視図である。
【図2】同インクジェット記録装置の主な機構部の模式的な側面図である。
【図3】同インクジェット記録装置の要部の平面図である。
【図4】第1の実施形態における搬送ベルトの駆動伝達機構周りの平面図である。
【図5】搬送ベルトユニットの着脱機構を説明する図であって、(a)は、搬送ベルトユニットが装置本体に装着された状態を、(b)は、搬送ベルトユニットが装置本体から離脱された状態を、それぞれ表わす左側面図である。
【図6】第1の実施形態の揺動機構を説明する平面図である。
【図7】図6の揺動機構の側面図である。
【図8】(a)は、第1の実施形態の制御構成を示すブロック図、(b)は、モータと搬送ベルトの入出力値等の一例を示す説明図である。
【図9】第2の実施形態の揺動機構を説明する平面図である。
【図10】(a)は、第3の実施形態の制御構成を示すブロック図、(b)は、モータと搬送ベルトの入出力値等の一例を示す図である。
【図11】(a)は、第4の実施形態の制御構成を示すブロック図、(b)は、モータと搬送ベルトの入出力値等の一例を示す図である。
【図12】(a)は、第5の実施形態の制御構成を示すブロック図、(b)は、モータと搬送ベルトの入出力値等の一例を示す図である。
【図13】(a)は、第6の実施形態における搬送ベルトの駆動伝達機構周りの平面図、(b)は、リニアエンコーダおよびセンサの配置箇所を説明する(a)の要部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図を参照して実施例を含む本発明の実施の形態(以下、「実施形態」という)を詳細に説明する。各実施形態および各変形例等に亘り、同一の機能および形状等を有する構成要素(部材や構成部品等)については、混同の虞がない限り一度説明した後では同一符号を付すことによりその説明を省略する。図および説明の簡明化を図るため、図に表されるべき構成要素であっても、その図において特別に説明する必要がない構成要素は適宜断わりなく省略することがある。公開特許公報等の構成要素を引用して説明する場合は、その符号に括弧を付して示し、各実施形態等のそれと区別するものとする。
【0017】
まず、図1〜図3を参照して、本発明の後述する実施形態を適用するインクジェット方式の画像形成装置の一例としてのインクジェット記録装置の全体構成および動作を説明する。図1は、本発明を適用するインクジェット記録装置を前方から見た外観斜視図、図2は、同インクジェット記録装置の主な機構部の模式的な側面図、図3は、同インクジェット記録装置の要部の平面図である。
【0018】
図1〜図3に示すインクジェット記録装置は、いわゆるシリアル型のインクジェット記録装置である。図1に示すインクジェット記録装置は、装置本体1と、装置本体1に装着されたシートとしての用紙を装填するための給紙トレイ2と、装置本体1に着脱自在に装着されて画像が記録・形成された用紙をストックするための排紙トレイ3とを備えている。
装置本体1の前面の一端部側(給排紙トレイ部の側方)には、前面から装置本体1の前方側に突き出し、上面よりも低くなったインクカートリッジを装填するためのカートリッジ装填部4を有し、このカートリッジ装填部4の上面は操作ボタンや表示器などを設ける操作/表示部5としている。
【0019】
カートリッジ装填部4の前面側には、色の異なる色材である記録液(インク)、例えば黒(K)インク、シアン(C)インク、マゼンタ(M)インク、イエロー(Y)インクをそれぞれ収容した複数の記録液収容手段としての記録液カートリッジであるインクカートリッジ10k、10c、10m、10y(以下、色を区別しないときは「インクカートリッジ10」という)を、装置本体1の前面側から後方側に向って挿入して装填可能とし、インクカートリッジ10を着脱するときに開く前カバー(カートリッジカバー)6を開閉可能に設けている。
インクカートリッジ10k、10c、10m、10yは、縦置き状態で横方向に並べて装填する構成としている。
【0020】
操作/表示部5には、各色のインクカートリッジ10k、10c、10m、10yの装着位置(配置位置)に対応する配置位置で、各色のインクカートリッジ10k、10c、10m、10yの残量がニアーエンドおよびエンドになったことを表示するための各色の残量表示部を配置している。また、この操作/表示部5には、電源ボタン、用紙送り/印刷再開ボタン、キャンセルボタンなども配置している。
【0021】
図1の装置本体1の骨組みをなすフレーム21を構成する、図3に示す左右の側板21A、21Bには、横架したガイド部材であるガイドロッド31と図2に示すステー32とが配設されている。これらのガイドロッド31とステー32とで、キャリッジ33を主走査方向に摺動自在に保持し、図示しない主走査モータによってタイミングベルトを介して図3で矢示方向(キャリッジ主走査方向)に移動走査する。なお、左右の側板21A、21Bおよび後述する後板21Cとで、フレーム21が構成されている。
【0022】
キャリッジ33には、前述したようにイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)の各色のインク滴を吐出する4個の液滴吐出ヘッドからなる記録ヘッド34の複数のインク吐出口を主走査方向と交差する方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。
記録ヘッド34を構成するインクジェットヘッドとしては、圧電素子などの圧電アクチュエータ、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータ、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータなどの、液滴を吐出するための圧力を発生する圧力発生手段として備えたものなどを使用できる。この記録ヘッド34にはドライバICを搭載し、図示しない制御部との間でハーネス(フレキシブルプリントケーブル)22を介して接続している。
【0023】
キャリッジ33には、記録ヘッド34(図3には記録ヘッド34a,34bを示す)に各色のインクを供給するための各色のヘッドタンク35(図3にはヘッドタンク35a,35bを示す)を搭載している。この各色のヘッドタンク35には、各色のインク供給チューブ36を介して、前述したように、カートリッジ装填部4に装着された各色のインクカートリッジ10から各色のインクが補充供給される。
カートリッジ装填部4には、インクカートリッジ10内のインクを送液するための供給ポンプユニット24が設けられ、また、インク供給チューブ36は這い回しの途中で上記したフレーム21を構成する後板21Cに係止部材25にて保持されている。
【0024】
一方、図2に示すように、給紙トレイ2の用紙積載部(圧板)41上に積載した用紙42を給紙するための給紙部として、用紙積載部41から用紙42を1枚ずつ分離給送する半月コロ(給紙コロ)43と、この給紙コロ43に対向し、摩擦係数の大きな材質からなる分離パッド44とを備えている。この分離パッド44は給紙コロ43側に付勢されている。
給紙部から給紙された用紙42を記録ヘッド34の下方側に送り込むために、用紙42を案内するガイド部材45と、カウンタローラ46と、搬送ガイド部材47と、先端加圧コロ49を有する押さえ部材48とを備えるとともに、給送された用紙42を静電吸着して記録ヘッド34に対向する位置に搬送するための搬送手段である搬送ベルト51とを備えている。
【0025】
搬送ベルト51は、無端状ベルトであり、少なくとも2つの回転部材としての搬送ローラ52とテンションローラ53との間に掛け渡されて、ベルト搬送方向(副走査方向)に周回移動するように構成している。
また、搬送ベルト51の表面を帯電させるための帯電手段である帯電ローラ56を備えている。この帯電ローラ56は、搬送ベルト51の表層に接触し、搬送ベルト51の回動に従動して回転するように配置されている。搬送ベルト51の裏側には、記録ヘッド34による印写領域に対応してガイド部材57を配置している。搬送ベルト51は、図示しない副走査モータによりタイミングベルトを介して搬送ローラ52が回転駆動されることによって、図3のベルト搬送方向に周回移動する。
【0026】
さらに、記録ヘッド34で記録された用紙42を排紙するための排紙部として、搬送ベルト51から用紙42を分離するための分離爪61と、排紙ローラ62および排紙コロ63と、排紙ローラ62の下方に配置された排紙トレイ3とを備えている。
【0027】
図2に示すように、装置本体1の背面部には、両面ユニット71が図1の装置本体1に対して着脱自在に装着されている。この両面ユニット71は、搬送ベルト51の逆方向回転で戻される用紙42を取り込んで反転させて、再度カウンタローラ46と搬送ベルト51との間に給紙する機能を有する。両面ユニット71の上面は、手差しトレイ72としている。
【0028】
図3に示すように、キャリッジ33の主走査方向一方側の非印字領域には、記録ヘッド34のノズルの状態を維持し、回復するための回復手段を含む維持回復機構81を配置している。
この維持回復機構81には、記録ヘッド34の各ノズル面をキャップングするための各キャップ部材(以下、「キャップ」という)82(図3には82a、82bを示し、以下、区別しないときは「キャップ82」という)と、ノズル面をワイピングするためのブレード部材であるワイパーブレード83と、増粘した記録液を排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行なうときの液滴を受ける空吐出受け84などを備えている。ここでは、キャップ82aを吸引および保湿用キャップとし、他のキャップ82b等は保湿用キャップとしている。
【0029】
上記した維持回復機構81による維持回復動作で生じる記録液の廃液、キャップ82に排出されたインク、あるいはワイパーブレード83に付着してワイパークリーナ(図示せず)で除去されたインク、空吐出受け84に空吐出されたインクは図示しない廃液タンクに排出されて収容される。
また、図3に示すように、キャリッジ33の主走査方向他方側の非印字領域には、記録中などに増粘した記録液を排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行なうときの液滴を受ける空吐出受け88を配置し、この空吐出受け88には記録ヘッド34のノズル列方向に沿った開口89などを備えている。
【0030】
次に、図2に基づいて、インクジェット記録装置の全体動作を説明する。
まず、給紙コロ43および分離パッド44の協働作用により、給紙トレイ2から用紙42が1枚ずつ分離給紙される。略鉛直上方に給紙された用紙42はガイド部材45で案内され、搬送ベルト51とカウンタローラ46との間に挟まれて搬送され、更に先端を搬送ガイド部材47で案内されて、先端加圧コロ49で搬送ベルト51に押し付けられ、略90°搬送方向を転換される。
この時、図示しない副走査モータにより搬送ローラ52が回転駆動されることによって、搬送ベルト51は副走査方向(ベルト搬送方向)に周回移動している。この際、図示しない制御部のACバイアス供給部から帯電ローラ56に対してプラス出力とマイナス出力とが交互に繰り返すように、つまり交番する電圧が印加され、搬送ベルト51が交番する帯電電圧パターン、すなわち、周回方向である副走査方向に、プラスとマイナスが所定の幅で帯状に交互に帯電されたものとなる。
【0031】
このプラス、マイナス交互に帯電した搬送ベルト51上に用紙42が給送されると、用紙42が搬送ベルト51に吸着され、搬送ベルト51の周回移動によって用紙42がベルト搬送方向(副走査方向)に搬送される。
そこで、キャリッジ33を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド34を駆動することにより、停止している用紙42にインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙42を所定量搬送後、次の行の記録を行なう。
そして、再びの搬送ローラ52の回転駆動を介して搬送ベルト51によって用紙42が搬送され、この際、テンションローラ53と搬送ローラ52との間に揺動可能に配設されている分離爪61を介して、搬送ベルト51から分離された印刷済みの用紙42は、排紙ローラ62に従動する排紙コロ(拍車)63により搬送される。記録終了信号または用紙42の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、用紙42を排紙トレイ3に排紙する。
【0032】
印字(記録)待機中には、図3に示すように、キャリッジ33は維持回復機構81側に移動されて、キャップ82で記録ヘッド34がキャッピングされて、ノズルを湿潤状態に保つことによりインク乾燥による吐出不良を防止する。また、キャップ82で記録ヘッド34をキャッピングした状態で図示しない吸引ポンプによってノズルから記録液を吸引し(「ノズル吸引」または「ヘッド吸引」という)し、増粘した記録液や気泡を排出する回復動作を行なう。また、記録開始前、記録途中などに記録と関係しないインクを吐出する空吐出動作を行なう。これによって、記録ヘッド34の安定した吐出性能を維持する。
なお、両面ユニット71を用いて行なわれる両面印刷時の動作については、本実施形態での説明の必要性がないため省略する。
【0033】
(第1の実施形態)
図4〜図8を参照して、図1〜図3に示したインクジェット方式の画像形成装置であるインクジェット記録装置に適用する本発明の第1の実施形態を説明する。
図4は、第1の実施形態における搬送ベルトの駆動伝達機構周りの平面図、図5は、搬送ベルトユニットの着脱機構を説明する左側面図であって、(a)は、搬送ベルトユニットが装置本体に装着された状態を、(b)は、搬送ベルトユニットが装置本体から離脱された状態を、それぞれ表わしている。図6は、第1の実施形態の揺動機構を説明する平面図、図7は、同揺動機構の側面図、図8は、第1の実施形態の制御構成および入出力値等の一例を示す図である。なお、ギヤ同士が噛み合っている状態を示す図においては、図の簡明化のため、実線で示すべき歯先円を省略するとともに一点鎖線で示すべきピッチ円直径を実線で表わすことにより簡略的に図示していることを付記しておく。
【0034】
図5に示すように、搬送ベルト51、搬送ローラ52およびテンションローラ53は、図示しないユニット側板を介して一体化され、図1の装置本体1に対して着脱可能な搬送ベルトユニット115(図中二点鎖線で示す)を構成している。搬送ローラ52の軸52aおよびテンションローラ53の軸53aは、上記図示しないユニット側板に軸受(図示せず)を介して回動自在に支持されている。
図4〜図6に示すように、搬送ベルトユニット115側の搬送ローラ52の軸52aには、第1のギヤとしてのギヤ101が固設されている。同様に、搬送ベルトユニット115側のテンションローラ53の軸53aには、第1のギヤとしてのギヤ104が固設されている。
図4に示すように、排紙ローラ62の軸62aには、ギヤ106が固設されている。
【0035】
一方、装置本体1側の本体駆動系には、搬送ベルトユニット115の装置本体1への装着時に、搬送ローラ52のギヤ101と噛み合いギヤ連結部を構成する、第2のギヤとしてのアイドラギヤ102と、このアイドラギヤ102と噛み合うギヤ103と、ギヤ103の軸103aに連結されたモータ113とが設けられている。
モータ113は、ギヤ103を介してアイドラギヤ102を回動する正逆転可能な駆動手段として機能し、装置本体1の図示しない不動部材に固設されている。モータ113は、例えば、DCモータや、パルス入力で駆動するステッピングモータなどが用いられるが、本実施形態では比較的安価なDCモータを採用しているものとして以下説明する。
【0036】
同様に、装置本体1側の本体駆動系には、搬送ベルトユニット115の装置本体1への装着時に、テンションローラ53のギヤ104と噛み合いギヤ連結部を構成する、第2のギヤとしてのアイドラギヤ105と、このアイドラギヤ105と噛み合うギヤ106とが設けられている。
本体駆動系のギヤ103の軸103aとギヤ106の軸106aとは、図示しない歯付きのプーリを介してタイミングベルト(図示せず)で連結されていて、駆動力伝達関係にある。
【0037】
上述のとおり、モータ113の駆動力は、モータ113からギヤ103に伝えられ(もしくは、モータ113の出力軸上にギヤ103がある構成でもよい)、アイドラギヤ102を介して搬送ローラ52の軸52a上のギヤ101へ伝えられることにより、搬送ベルト51がベルト搬送方向またはこれと反対方向に駆動・走行される。この搬送ベルト51の駆動・走行により、モータ113の駆動力がベルト搬送方向下流側のテンションローラ53へ伝えられ、テンションローラ53の軸53a上のギヤ104からアイドラギヤ105を介して、排紙ローラ62の軸62a上のギヤ106へ伝えられ、排紙ローラ62へと伝えられる。
【0038】
図4に示すように、搬送ローラ52の軸52aには、ロータリエンコーダ108が固設されている。一方、搬送ベルトユニット115が装置本体1に装着され装着位置を占めたときに、ロータリエンコーダ108を挟む態様でエンコーダセンサ(以下、単に「センサ」ともいう)107が装置本体1の不動部材に固設されている。センサ107は、光透過型のフォトセンサである。センサ107およびロータリエンコーダ108は、搬送ベルト51の搬送量を検出する搬送量検出手段を構成していて、パルスエンコーダとも呼ばれる。
搬送ベルト51に吸着保持されて搬送される用紙42の搬送量は、ロータリエンコーダ108およびセンサ107により検出される搬送ローラ52の回転量で分かるから、ロータリエンコーダ108およびセンサ107により検出される搬送ローラ52の回転量を制御することで、用紙42の搬送量を決定することができる。
【0039】
図5(a)は、搬送ベルトユニット115が上方向から下方向に向けて装置本体1に装着され、装着位置を占めた状態を表わしている。図5(b)は、搬送ベルトユニット115が装置本体1から上方向に離脱され離脱位置を占めた状態を表わしている。本実施形態では、搬送ベルトユニット115の装置本体1に対する着脱方向は上下方向となっている。
搬送ベルトユニット115が装着位置を占めたとき、上記したとおりギヤ101とアイドラギヤ102とが噛み合うと同時に、ギヤ104とアイドラギヤ105とが噛み合うとともに、搬送ベルトユニット115の上記図示しないユニット側板がクランプやネジ等の保持手段ないし締結手段によって上記装着位置に保持されるようになっている。
上記したとおり、本実施形態によれば、搬送ベルトユニット115が装置本体1に対して着脱可能に構成されているので、搬送ベルトユニット115の交換を伴うメンテナンス性の向上を図ることができる。
【0040】
図6および図7は、搬送ベルトユニット115の装置本体1への装着時に、本体駆動系側のアイドラギヤ102を、搬送ベルトユニット115側のギヤ101に対して噛み合う向きに一定の力で加圧し変位させる変位手段としての揺動機構110を示す。この揺動機構110は、ギヤ連結部のバックラッシを比較的減少させる機構を含んでいる。
揺動機構110は、図6および図7に示すように、本体駆動系側のアイドラギヤ102とギヤ103とは、これら両ギヤを連結する連結部材としてのブラケット109により噛み合い状態で一体化されており、アイドラギヤ102がギヤ103の軸103aを中心として揺動可能に構成されている。すなわち、アイドラギヤ102は、搬送ベルトユニット115が装置本体1から離脱しているとき、装置本体1側に設けられた本体フレーム116に植設されたストッパ部材116aにブラケット109が当接することで搬送ベルトユニット115側のギヤ101から離間している離間位置と、搬送ベルトユニット115の装置本体1への装着時に、搬送ベルトユニット115側のギヤ101と噛み合う噛合位置との間で揺動可能に構成されている。
【0041】
図6において左側におけるアイドラギヤ102の軸102aとギヤ103の軸103aとの各一端部は、ブラケット109に回動可能かつ位置不動に支持され、図6において右側における軸103aの他端部は、本体フレーム116に回動可能かつ位置不動に支持されている。また、図6において右側における軸102aの他端部は、図7に示すように軸103aを揺動中心とする図において破線で示す円弧状の移動軌跡117に沿って本体フレーム116に形成された部分円弧状の溝(図示せず)に案内支持されるようになっている。
【0042】
また、バネ(圧縮バネ)などの弾性体114または付勢手段により、アイドラギヤ102をギヤ101に対して噛み合う向きに一定の力で加圧している。弾性体114としてのバネの一端は、装置本体1の不動部材に、他端はアイドラギヤ102の軸102aの両端部に介装された軸受(図示せず)に、それぞれ係止されている。
【0043】
上記のとおり、本実施形態によれば、揺動機構110を有していることにより、搬送ベルトユニット115の装置本体1への装着時における、噛み合うギヤ101とアイドラギヤ102との中心間距離のバラつきを低減することができる。このような揺動機構110を、搬送ベルト51の上流側に限定せず、上述したように下流側の駆動系にも同様に適用することで同様の効果が期待できる。その際の揺動機構110の各ギヤには、図7に括弧を付して示している。
【0044】
ここで、搬送ベルトユニット115の着脱動作および揺動機構110の動作を説明する。図5(a)に示すように、搬送ベルトユニット115が上方向から下方向に向けて主として搬送ベルトユニット115の自重による降下によって装置本体1に装着されるとき、図7において、搬送ベルトユニット115側のギヤ101(104)は、ストッパ部材116aとブラケット109との当接により離間位置を占めていたアイドラギヤ102(105)と当接した後、弾性体114の加圧力(付勢力)に抗して搬送ベルトユニット115が自重によって降下することによって、アイドラギヤ102(105)が反時計回り方向に揺動しつつ、ギヤ101(104)とアイドラギヤ102(105)とが適切な加圧力の下で噛み合う噛合位置を占めることとなり、モータ113の駆動力がギヤ101(104)とアイドラギヤ102(105)との噛合を介して、搬送ローラ52に伝達される。
搬送ベルトユニット115が装置本体1から上方向に離脱され離脱位置を占める動作は、上述の動作と逆に行われるが、当業者であれば容易に理解できるからこれ以上の説明を省略する。
【0045】
上述したとおり、モータ113の駆動力は、搬送ベルト51の駆動・走行を介してテンションローラ53側に伝達される構成であるため、テンションローラ53のギヤ104および本体駆動系のギヤ列105,106は必ずしも必要な駆動力伝達構成ではなく、テンションローラ53に対応して配設される後述する揺動機構110を含めて除去しても良い。この場合、搬送ベルトユニット115の装置本体1への装着時における、テンションローラ53に対応した搬送ベルトユニット115側の装置本体1での支持方法としては、例えば、上記図示しないユニット側板の下端を装置本体1側に配設した圧縮バネ等の弾性部材で支持する構成を採ることが望ましい。
【0046】
図8を参照して、用紙停止時の用紙搬送量の制御に関して説明する。本実施形態では、搬送ベルトユニット着脱(または交換)作業が行われた直後に、下記動作を実施し、着脱(または交換)作業時の駆動ガタを予め検出し、補正値として反映させる特有の制御を行う。
すなわち、本実施形態の制御構成としては、図5(a)および図7において、搬送ベルトユニット115が装置本体1に装着され、ギヤ101(104)とアイドラギヤ102(105)とが噛合位置を占めたとき、図8(a)に示すように、ロータリエンコーダ108およびセンサ107からの信号に基づいて、モータ113の回転量と搬送ベルト51の搬送量との偏差を検出し、該偏差を補正定数として演算する演算手段120と、画像印字時の用紙(シート)停止動作時において、目標用紙停止位置よりも多く用紙を搬送した場合、ギヤ連結部(ギヤ101とアイドラギヤ102との噛合部)に生じるバックラッシを除去すべく、モータ113をして前記補正定数を加味した回転量を逆転させた後、再度正転方向へ駆動させる用紙停止制御を行わせる制御手段121とを具備する。
【0047】
制御手段121は、例えば、内部にCPU(中央演算処理装置)、ROM(読み出し専用記憶装置)やPROM、RAM(読み書き可能な記憶装置)およびタイマ等を備え、それらが図示しない信号バスによって接続された構成を有するマイクロコンピュータを具備している(以下の実施形態でも同様)。
上記CPUは、演算手段120から送信される上記演算された補正定数に係る信号および上記ROMから呼び出された動作プログラムに基づいて、モータ113の駆動回路を駆動制御する。上記ROMには、図8(b)に示す入出力値に関する関係データ、モータ113の駆動回路を駆動制御するための関係データおよびそれらの動作プログラムが記憶されており、この動作プログラムは上記CPUによって適宜呼び出される。上記RAMは、上記CPUの計算結果を一時的に記憶する機能、センサ107から出力されたデータ信号等を随時記憶する機能等を有している。なお、演算手段120は、本実施形態のように制御手段121の上記CPUが有する演算・制御機能に割り当ててもよいし、制御手段121の外部に設けたものでもよい(以下の実施形態でも同様)。
【0048】
図8(a)において、予め設定した用紙搬送量(に対応する搬送ベルト51の搬送量)を制御手段121からモータ113へ指示し、モータ113からの駆動が搬送ベルト51へ伝達され、搬送ベルト51の駆動ローラである搬送ローラ52軸上のロータリエンコーダ108およびこれに近接して配置されたセンサ107によって搬送ローラ52の駆動量、すなわち搬送ベルト51の搬送量を検出する。この際、演算手段120は図8(b)に示すモータ113により例えば搬送ローラ52を1回転させる分の回転量(A〜B間を入力値とする)と、ロータリエンコーダ108およびセンサ107により検出された搬送ベルト51の搬送量(S〜T間を出力値とする)との入出力値の偏差を検出し、この偏差(もしくは差分)を補正定数として演算する。
【0049】
制御手段121は、演算手段120から送信されてくる補正定数を加味して、モータ113の図示しない駆動回路にフィードバックする制御、すなわち画像印字時の用紙(シート)停止動作時において、目標用紙停止位置よりも多く用紙を搬送した場合、ギヤ連結部(ギヤ101とアイドラギヤ102との噛合部)に生じるバックラッシを除去すべく、モータ113をして前記補正定数を加味した回転量を逆転させた後、再度正転方向へ駆動させる用紙停止制御を行わせることとなる。
【0050】
上述したとおり、本実施形態によれば、搬送ベルトユニット115および揺動機構110を有することにより、メンテナンス性、組み付け性が向上するとともに、搬送ベルトユニット115と本体駆動系間とはギヤによる駆動連結とし、両ギヤの軸間距離を一定に保つ揺動機構110を設けたことにより、搬送ベルトユニット115側のギヤ101と、本体駆動系側のアイドラギヤ102との中心間距離のバラつきを低減できる。
また、ギヤ連結部により生じるギヤ間の駆動ガタやバックラッシによる影響を予め考慮した用紙停止制御を用いたことにより、ギヤ間の駆動ガタやバックラッシにより生じる用紙停止位置のバラつきを低減できるとともに、用紙停止位置精度が低下することを未然に防止できる。
【0051】
(第2の実施形態)
図9を参照して、本発明の第2の実施形態を説明する。図9は、第2の実施形態の揺動機構を説明する平面図である。
第2の実施形態は、図4〜図8に示した第2の実施形態と比較して、搬送ベルトユニット115側の第1のギヤであるギヤ101に代えて、第1のギヤとしての円錐形状をなすテーパギヤ101Aを用いる点、本体駆動系の第2のギヤであるアイドラギヤ102に代えて、本体駆動系の第2のギヤとして円錐形状をなすテーパギヤ102Aを用いる点、および揺動機構110に代えて、揺動機構110Aを用いる点が主に相違する。この相違点および下記する以外の第2の実施形態の構成は、第1の実施形態と同様である。
第2の実施形態は、図示を省略しているが、第1の実施形態と同様の、搬送ベルトユニット115、センサ107、ロータリエンコーダ108および図8に示した制御構成等を具備している。
【0052】
図9に示すように、テーパギヤ101Aは、搬送ベルトユニット115側の搬送ローラ52の軸52aに固設されている。テーパギヤ102Aは、本体駆動系に回動自在に設けられた軸102aに固設されている。テーパギヤ101Aおよびテーパギヤ102Aは、各軸52a、102aの中心距離が一定に設定されている。
【0053】
装置本体1側の本体駆動系には、搬送ベルトユニット115の装置本体1への装着時に、搬送ローラ52のテーパギヤ101Aと噛み合いギヤ連結部を構成する、上記した第2のギヤとしてのテーパギヤ102Aと、このテーパギヤ102Aと同軸上に固設されたギヤ118と、このギヤ118と噛み合うギヤ103と、ギヤ103の軸103aに連結されたモータ113とが設けられている。
モータ113は、ギヤ103,118を介してテーパギヤ102Aを回動する正逆転可能な駆動手段として機能し、装置本体1の図示しない不動部材に固設されている。
【0054】
上述のとおり、モータ113の駆動力は、モータ113からギヤ103に伝えられ、ギヤ118と同軸上のテーパギヤ102Aを介して搬送ローラ52の軸52a上のテーパギヤ101Aへ伝えられることにより、搬送ベルト51がベルト搬送方向またはこれと反対方向に駆動・走行される。この搬送ベルト51の駆動・走行により、第1の実施形態と同様に最終的に排紙ローラ62へと伝えられる。
【0055】
揺動機構110Aは、図9に示すように、本体駆動系側のギヤ103とギヤ118とはブラケット109により噛み合い状態で一体化され、かつ、ギヤ118と同じ軸102aに固定されたテーパギヤ102Aとも一体化されており、テーパギヤ102Aがギヤ103の軸103aを中心として揺動可能に構成されている。すなわち、図7を借りて説明すると、テーパギヤ102Aは、搬送ベルトユニット115が装置本体1から離脱しているとき、装置本体1側に設けられた本体フレーム116に植設されたストッパ部材116aにブラケット109が当接することで搬送ベルトユニット115側のテーパギヤ101Aから離間している離間位置と、搬送ベルトユニット115の装置本体1への装着時に、搬送ベルトユニット115側のテーパギヤ101Aと噛み合う噛合位置との間で揺動可能に構成されている。上記のとおり、揺動機構110Aは、ギヤ連結部のバックラッシを比較的減少させる機構を含んでいる。
【0056】
図9において、テーパギヤ102Aの軸102aとギヤ103の軸103aとの各両端部は、テーパギヤ102Aを挟んで両側に設けられた各ブラケット109に回動可能かつ位置不動に支持され、ギヤ103と右側のブラケット109との間における軸103aは、本体フレーム116に回動可能かつ位置不動に支持されている。また、ギヤ118とテーパギヤ102Aとの間の軸102aは、図7を借りて説明すると、軸103aを揺動中心とする図において破線で示す円弧状の移動軌跡117に沿って本体フレーム116に形成された部分円弧状の溝(図示せず)に案内支持されるようになっている。
【0057】
テーパギヤ102Aは、軸102aに形成されたキー溝119に、テーパギヤ102Aの軸102a挿通部に突出形成された凸部(図示せず)が緩く嵌入されていることで、図9における軸102a方向に所定の範囲でスライド可能になっている。
テーパギヤ102Aは、テーパギヤ102Aの一端部とフレーム116との間に介装された加圧手段としての弾性体112により、図9における右側の軸102a(スラスト)方向に一定の力で加圧されている。
【0058】
上述したとおり、本実施形態によれば、搬送ベルトユニット115および揺動機構110Aを有することにより、メンテナンス性、組み付け性が向上するとともに、搬送ベルトユニット115と本体駆動系間とはテーパギヤ101A,102Aによる駆動連結とし、両ギヤ101A,102Aの軸間距離を一定に保つ揺動機構110Aを設けるとともに、弾性体112によりテーパギヤ102Aがテーパギヤ101Aと一層噛み合う軸102a(スラスト)方向に一定の力で加圧されていることにより、搬送ベルトユニット115側のテーパギヤ101Aと、本体駆動系側のテーパギヤ102Aとの中心間距離のバラつきを低減できる。
また、第1の実施形態と同様に、ギヤ連結部により生じるギヤ間の駆動ガタやバックラッシによる影響を予め考慮した用紙停止制御を用いたことにより、ギヤ間の駆動ガタやバックラッシにより生じる用紙停止位置のバラつきを低減できるとともに、用紙停止位置精度が低下することを未然に防止できる。
【0059】
(第3の実施形態)
図10を参照して、本発明の第3の実施形態における用紙停止時の用紙搬送量の制御に関して説明する。図10は、第3の実施形態の制御構成およびモータと搬送ベルトの入出力値の一例を示す図である。
第3の実施形態は、第1の実施形態と比較して、図8(a)に示した制御構成に代えて、図10(a)に示す制御構成を用いる点、図8(b)に示したモータ113と搬送ベルト51との入出力値例に代えて、図10(b)に示すモータ113および搬送ベルト51の入出力値例を用いる点のみ相違する。この相違点以外の第3の実施形態の構成は、第1の実施形態と同様である。
第3の実施形態では、図示を省略しているが、図4〜図7に示した第1の実施形態の搬送ベルトユニット115、揺動機構110等のハードウェア構成を具備していることが前提条件である。
【0060】
第3の実施形態の制御構成は、第1の実施形態のそれと比較して、図10(a)に示すように、モータ113の軸(図示せず)上にロータリエンコーダ122が固設されている点、搬送ベルトユニット115が装置本体1に装着され装着位置を占めたときに、ロータリエンコーダ122を挟む態様でセンサ123が装置本体1の不動部材に固設されている点、および演算手段120は、2つのセンサ107,センサ123からの各信号に基づいて、モータ113の回転量と搬送ベルト51の搬送量との偏差を検出し、補正定数を演算する点が主に相違する。
ロータリエンコーダ122およびセンサ123は、モータ113の回転量を検出する回転量検出手段として機能する。
【0061】
すなわち、本実施形態の制御構成としては、図5(a)および図7を借りて説明すると、搬送ベルトユニット115が装置本体1に装着され、ギヤ101(104)とアイドラギヤ102(105)とが噛合位置を占めたとき、図10(a)に示すように、2つのセンサ107,センサ123からの各信号に基づいて、モータ113の回転量と搬送ベルト51の搬送量との偏差を検出し、補正定数を演算する演算手段120と、画像印字時の用紙(シート)停止動作時において、目標用紙停止位置よりも多く用紙を搬送した場合、ギヤ連結部(ギヤ101とアイドラギヤ102との噛合部)に生じるバックラッシを除去すべく、モータ113をして前記補正定数を加味した回転量を逆転させた後、再度正転方向へ駆動させる用紙停止制御を行わせる制御手段121とを具備する。
【0062】
図10(b)において、演算手段120による補正定数算出動作時に、駆動源であるモータ113により例えば搬送ローラ52を1回転させる分の回転量(A’〜B間を補正値計算範囲の入力値とする)と、搬送ベルト51の搬送量(S’〜T間を補正値計算範囲の出力値とする)との入出力値の偏差T〜Bを検出する。この偏差T〜Bは、主に搬送ベルトユニット115が装着されたときに発生した駆動ガタとなるので、前記偏差(もしくは差分)を補正定数として演算する。
ここで、補正値計算範囲をA〜Bでなく、A’〜Bとしているのは、補正定数算出動作時にギヤ連結部間のバックラッシによる影響をキャンセルするためである。
【0063】
上述したとおり、本実施形態によれば、第1の実施形態のハードウェア構成による上記利点・効果に加えて、駆動源であるモータ113の回転量をも検出することで、ギヤ連結部間のバックラッシによる伝達誤差をキャンセルし、駆動ガタのみ検出することができ、第1の実施形態の制御構成による用紙停止制御よりも用紙停止位置の補正精度が向上する。
第3の実施形態は、当然に、図9に示した第2の実施形態の搬送ベルトユニット115、揺動機構110A等のハードウェア構成に対して適用できることは無論である。
【0064】
(第4の実施形態)
図11を参照して、本発明の第4の実施形態における用紙停止時の用紙搬送量の制御に関して説明する。図11は、第4の実施形態の制御構成およびモータと搬送ベルトの入出力値の一例を示す図である。
第4の実施形態は、第3の実施形態と比較して、図10(a)に示した制御構成に代えて、図11(a)に示す制御構成を用いる点、図10(b)に示したモータ113と搬送ベルト51との入出力値例に代えて、図11(b)に示すモータ113および搬送ベルト51の入出力値例を用いる点のみ相違する。この相違点以外の第4の実施形態の構成は、第3の実施形態と同様である。
第4の実施形態では、図示を省略しているが、図4〜図7に示した第1の実施形態の搬送ベルトユニット115、揺動機構110等のハードウェア構成を具備していることが前提条件である。
【0065】
第4の実施形態の制御構成は、第3の実施形態のそれと比較して、制御手段121は、演算手段120による補正定数算出時、モータ113の正逆転の1方向のみならず、正逆転の2方向の動作を伴う制御を行うこと点のみ相違する。
【0066】
すなわち、本実施形態の制御構成としては、図5(a)および図7を借りて説明すると、搬送ベルトユニット115が装置本体1に装着され、ギヤ101(104)とアイドラギヤ102(105)とが噛合位置を占めたとき、図11(a)に示すように、2つのセンサ107,センサ123からの各信号に基づいて、モータ113の回転量と搬送ベルト51の搬送量との偏差を検出し、補正定数を演算する演算手段120と、画像印字時の用紙(シート)停止動作時において、目標用紙停止位置よりも多く用紙を搬送した場合、ギヤ連結部(ギヤ101とアイドラギヤ102との噛合部)に生じるバックラッシを除去すべく、モータ113をして前記補正定数を加味した回転量を、正逆転の2方向の動作を伴う用紙停止制御を行わせる制御手段121とを具備する。
【0067】
図11(b)において、駆動源であるモータ113の逆転による回転量(A〜B)による入力値1(逆転)後、モータ113の正転により例えば搬送ローラ52を1回転させる分の回転量(B〜C間)による入力値2(正転)として正転させることで生じる搬送ベルト51の搬送量との偏差1(T〜U)を、バックラッシの最大値として検出し、制御手段121は用紙停止制御時の改行量へ反映する。
【0068】
上述したとおり、本実施形態によれば、第1の実施形態のハードウェア構成による上記利点・効果に加え、さらに駆動源であるモータ113の回転量をも検出することによる第3の実施形態の利点効果を奏するとともに、バックラッシの最大値を検出し、前記偏差1を明確にしてシート停止制御時の改行量へ反映することで、停止位置付近での逆転動作量を最小限にすることができ、生産性が向上するという効果も奏する。
第4の実施形態は、当然に、図9に示した第2の実施形態の搬送ベルトユニット115、揺動機構110A等のハードウェア構成に対して適用できることは無論である。
【0069】
(第5の実施形態)
図12を参照して、本発明の第5の実施形態における用紙停止時の用紙搬送量の制御に関して説明する。図12は、第5の実施形態の制御構成およびモータと搬送ベルトの入出力値の一例を示す図である。
第5の実施形態は、第3の実施形態と比較して、図10(a)に示した制御構成に代えて、図12(a)に示す制御構成を用いる点、図10(b)に示したモータ113と搬送ベルト51との入出力値例に代えて、図12(b)に示すモータ113および搬送ベルト51の入出力値例を用いる点のみ相違する。この相違点以外の第5の実施形態の構成は、第3の実施形態と同様である。
【0070】
第5の実施形態の制御構成は、第3の実施形態のそれと比較して、搬送ベルト51による用紙改行搬送動作中に、演算手段120により偏差を繰り返し検出し、補正定数を繰り返し算出した結果を、次改行の改行量へフィードバックする点のみ相違する。
【0071】
図12(b)に示すように、モータ113の回転量による1改行目の入力値1(A〜B)と、搬送ベルト51の搬送量による出力値1(S〜T)との偏差1(T−T’)を、モータ113の回転量による2改行目の入力値(B’〜C)に加える。以降、同様の制御を繰り返す、すなわち演算手段120により偏差を繰り返し検出し、補正定数を繰り返し算出した結果を、次改行の改行量へフィードバックする制御を行う。
【0072】
上述したとおり、本実施形態によれば、第1の実施形態のハードウェア構成による上記利点・効果に加え、さらに駆動源であるモータ113の回転量をも検出することによる第3の実施形態の利点効果を奏するとともに、改行動作中に入出力偏差を繰り返し検出し、次改行へ反映することで、停止位置精度が向上する。
第5の実施形態は、第4の実施形態の制御に適用できるほか、当然に、図9に示した第2の実施形態の搬送ベルトユニット115、揺動機構110A等のハードウェア構成に対して適用できることは無論である。
【0073】
(第6の実施形態)
図13を参照して、本発明の第6の実施形態における用紙停止時の用紙搬送量の制御に関して説明する。図13は、第6の実施形態における搬送ベルトの駆動伝達機構周りおよびリニアエンコーダおよびリニアエンコーダセンサ(以下、単に「センサ」ともいう)の配置箇所を拡大して示している。
第6の実施形態は、図4に示した第1の実施形態と比較して、搬送ローラ52の軸52aに固設したロータリエンコーダ108とセンサ107とを除去しこの組み合わせに代えて、搬送ベルト51の搬送量を直接的に検出する搬送量検出手段として、搬送ベルト51の図において左側の一側端縁表面上にハッチを施して示すリニアエンコーダ126を設けるとともに、リニアエンコーダ126上に近接してセンサ125を設けた点のみ相違する。この相違点以外の第6の実施形態の構成は、第1の実施形態と同様である。
【0074】
すなわち、第6の実施形態における用紙停止時の用紙搬送量の制御構成は、その図示を省略しているが、図8(a)のブロック図におけるロータリエンコーダ108とセンサ107との組み合わせに代えて、リニアエンコーダ126とセンサ125との組み合わせである点のみ相違する。センサ125は、例えば反射型フォトセンサからなり、装置本体1側に固定されている。
搬送ベルト51の表面上のリニアエンコーダ機能として、リニアエンコーダ126は、搬送ベルト51の表面に画像分解能に相当する微小な等間隔の白黒の縞、またはスリット孔を設けたものである。
【0075】
第6の実施形態における用紙停止時の用紙搬送量の制御を、図5(a)、図7および図8(b)を借りて説明すると次のとおりである。すなわち、搬送ベルトユニット115が装置本体1に装着され、ギヤ101(104)とアイドラギヤ102(105)とが噛合位置を占めたとき、リニアエンコーダ126およびセンサ125からの信号に基づいて、モータ113の回転量と搬送ベルト51の搬送量との偏差を検出し、該偏差を補正定数として演算する演算手段120と、画像印字時の用紙(シート)停止動作時において、目標用紙停止位置よりも多く用紙を搬送した場合、ギヤ連結部(ギヤ101とアイドラギヤ102との噛合部)に生じるバックラッシを除去すべく、モータ113をして前記補正定数を加味した回転量を逆転させた後、再度正転方向へ駆動させる用紙停止制御を行わせる制御手段121とを具備する。
【0076】
本実施形態によれば、リニアエンコーダ126およびセンサ125により、直接的に検出された搬送ベルト51の搬送量を上記制御によって制御することで、搬送ローラ52の振れなどのバラつきにより、装置毎に搬送ベルトの搬送速度が異なったり、搬送ベルトの位置により搬送速度が変動したりすることによる影響を受けないという効果を奏する。
また、スリット孔からなるリニアエンコーダ126を搭載することにより、インクミストやその他埃、ゴミなどによる汚れなどによるエンコーダ読み飛ばしの影響を受けにくくなるという効果も奏する。
【0077】
本実施形態のリニアエンコーダ126およびセンサ125は、第1の実施形態のみならず、第2〜第5の実施形態におけるロータリエンコーダ108とセンサ107との組み合わせに代えて、第2〜第5の実施形態に適用できることは無論である。
【0078】
(第7の実施形態)
以下に、本発明の第7の実施形態を説明する。この第7の実施形態は、第1〜6実施形態におけるインクジェット記録装置において、駆動源であるモータの回転量(入力値とする)と搬送ベルトの搬送量(出力値とする)との入出力値の偏差を検出する動作を、搬送ベルトユニットの装着するときのみならず、定期的に実施するとともに、補正定数の書き換えを自動、またはユーザ操作により実施するというものである。
【0079】
上記動作を定期的に実施するとともに、補正定数の書き換えを自動で行う場合には、例えば、第1〜第6の実施形態における制御手段121の上記ROMにその実施時期等を含むプログラムを予め記憶させておけばよい。また、ユーザ操作により実施する場合には、例えば、実施時期や補正定数等を含むデータやプログラムを書き換え可能なPROM(EPROM、EEPROM・フラッシュメモリ等)を制御手段121に設けると共に、操作/表示部5等から書き換えデータを設定可能にする、いわゆるサービスプログラムないしサービスマンプログラムを利用する例が挙げられる。
本実施形態によれば、上記構成により、使用環境の変化、経時変化等から生まれる駆動ガタによる用紙停止位置のバラつきを低減することができる。
【0080】
以上述べたとおり、本発明を特定の実施形態等について説明したが、本発明が開示する技術は、上述した実施例を含む実施形態等に例示されているものに限定されるものではなく、それらを適宜組み合わせて構成してもよく、本発明の範囲内において、その必要性および用途等に応じて種々の実施形態や変形例あるいは実施例を構成し得ることは当業者ならば明らかである。
【0081】
本発明に係る画像形成装置は、上記実施形態におけるインクジェット記録装置に限らず、例えば、プリンタ、プロッタ、ワープロ、ファクシミリ、複写機等またはこれら2つ以上の機能を備えた複合機等においてインクジェット記録装置を含む画像形成装置にも適用可能である。
また、シートとしては、用紙に限らず、使用可能な薄紙から厚紙等まで、インクジェット方式で画像形成可能な全てのシートを含むものである。
【符号の説明】
【0082】
1 装置本体
2 給紙トレイ
3 排紙トレイ
4 カートリッジ装填部
5 操作/表示部
33 キャリッジ
34 記録ヘッド(画像記録手段・画像形成手段)
42 用紙(被記録媒体、シート・シート状記録媒体)
51 搬送ベルト(搬送手段)
52 搬送ローラ(駆動・回転部材)
53 テンションローラ(従動・回転部材)
101 ギヤ(第1のギヤ)
101A テーパギヤ(第1のギヤ、円錐形状のギヤ)
102 アイドラギヤ(第2のギヤ)
102A テーパギヤ(第2のギヤ、円錐形状のギヤ)
107 ロータリエンコーダセンサ(搬送量検出手段)
108 ロータリエンコーダ(搬送量検出手段)
110、110A 揺動機構(変位手段)
112 弾性体(加圧手段)
113 モータ(駆動手段)
120 演算手段
121 制御手段
122 ロータリエンコーダ(回転量検出手段)
123 ロータリエンコーダセンサ(回転量検出手段)
125 リニアエンコーダセンサ(搬送量検出手段)
126 リニアエンコーダ(搬送量検出手段)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0083】
【特許文献1】特開2010−58431号公報
【特許文献2】特開2005−219835号公報
【特許文献3】特開平11−119583号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの回転部材間に掛け回されて周回移動され、シートを搬送する搬送ベルトと、
前記搬送ベルトと対向して配置され、シート搬送方向と直交する主走査方向に走査され、シート上にインクを吐出して画像を印字する記録ヘッドとを有し、
画像印字時に前記搬送ベルトの搬送停止動作を必要とし、前記搬送ベルトの搬送動作が間歇的に行われるインクジェット方式の画像形成装置において、
前記少なくとも2つの回転部材および前記搬送ベルトが一体化されて装置本体に対して着脱可能に構成された搬送ベルトユニットと、
前記搬送ベルトユニットの前記回転部材に設けられた第1のギヤと、
前記搬送ベルトユニットの前記装置本体への装着時に、前記第1のギヤと噛み合いギヤ連結部を構成する、前記装置本体側の本体駆動系に設けられた第2のギヤと、
前記第2のギヤを回動する正逆転可能な駆動手段と、
前記搬送ベルトユニットの前記装着時に、前記第2のギヤを前記第1のギヤに対して噛み合う向きに一定の力で加圧し変位させる変位手段と、
前記搬送ベルトの搬送量を検出する搬送量検出手段と、
前記搬送ベルトユニットが前記装着されたとき、前記搬送量検出手段からの信号に基づいて、前記駆動手段の回転量と前記搬送ベルトの搬送量との偏差を検出し、該偏差を補正定数として演算する演算手段と、
前記画像印字時のシート停止動作時において、目標シート停止位置よりも多くシートを搬送した場合、前記ギヤ連結部に生じるバックラッシを除去すべく、前記駆動手段をして前記補正定数を加味した回転量を逆転させた後、再度正転方向へ駆動させるシート停止制御を行わせる制御手段と、
を具備することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像形成装置において、
前記第1のギヤおよび前記第2のギヤは、各ギヤ軸の中心間距離が一定であり、それぞれ円錐形状のギヤからなり、
少なくとも一方のギヤは、そのギヤ軸方向にスライド可能に構成され、かつ、加圧手段により前記ギヤ軸方向に一定の力で加圧されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の画像形成装置において、
前記駆動手段の回転量を検出する回転量検出手段を有し、
前記演算手段は、前記搬送量検出手段および前記回転量検出手段からの各信号に基づいて、前記駆動手段の回転量と前記搬送ベルトの搬送量との偏差を検出し、補正定数を演算することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1記載の画像形成装置において、
前記制御手段は、前記補正定数算出時、前記駆動手段の正逆転の1方向のみならず、正逆転の2方向の動作を伴う制御を行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項3または4記載の画像形成装置において、
前記搬送ベルトによるシート改行搬送動作中に、前記演算手段により前記偏差を繰り返し検出し、前記補正定数を繰り返し算出した結果を、次改行の改行量へフィードバックすることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1ないし5の何れか一つに記載の画像形成装置において、
前記搬送量検出手段は、前記搬送ベルト表面上に設けられたリニアエンコーダと、該リニアエンコーダの搬送量を検出するリニアエンコーダセンサとからなり、
前記リニアエンコーダセンサからの信号に基づいて、前記演算手段により前記駆動手段の回転量と前記搬送ベルトの搬送量との偏差を検出し、該偏差を補正定数として前記駆動手段にフィードバックすることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項6記載の画像形成装置において、
前記リニアエンコーダとして、前記搬送ベルト表面に画像分解能に相当する微小な等間隔の白黒の縞、またはスリット孔を設けたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項1ないし7の何れか一つに記載の画像形成装置において、
前記偏差を検出する動作を定期的に実施するとともに、前記補正定数の書き換えを自動またはユーザ操作により実施することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−171766(P2012−171766A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−37433(P2011−37433)
【出願日】平成23年2月23日(2011.2.23)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】