説明

画像形成装置

【課題】異常音になってから装置の駆動停止が長時間となるのを防止する画像形成装置を提供する。
【解決手段】各部品の異常発生時の異常動作音を記憶する既知異音データメモリ1016と、異常動作音の大きさと、部品交換時期換算データメモリ10181と、経時動作音メモリ1014と、経時動作音メモリに新たな動作音を含むデータが記憶されると、過去のデータとを比較して、経時異音判定部10171と、経時異音判定部で異常の兆しのある動作音であると判定されると、該動作音と既知異音メモリに記憶されたいずれかの異常動作音とを照合し、照合一致の場合異常音を発する部品を特定する異音特定部10172と、異音特定部が部品を特定すると、該特定された部品と、当該部品が発する異常音の大きさとに基づいて交換時期換算データメモリを検索し、部品交換時期算出部1018と、部品交換時期を通知する部品交換時期通知部1019とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置の動作音を集音手段により採取し、該採取した音が異常音であるか否かを判断し、異常音の場合、装置が故障する前に該装置の駆動を停止させるべく制御する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の装置として、特許文献1に開示されているように、装置の内部に配設したマイクロフォンを用いて装置の動作音を採取し、該採取したアナログ形式の音をデジタル形式の音に変換し、該変換したデジタル形式の音が予め設定した閾値音以上の大きさであると、異常音であると判定し、装置が故障する前に該装置の動作を停止させるべく制御する画像形成装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−54558号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記画像形成装置では、装置が動作を停止した後、ユーザが管理会社等に連絡し、その後サービス員により異常音の発生に起因する部品が交換又は修理され、再び装置が復旧するまでに膨大な時間がかかっていた。このため、異常音の発生により画像形成装置が長時間停止するという状況が発生し、この間、装置を使用することができず、ユーザにとって使用勝手が悪いという問題点があった。
【0005】
以上の問題点に鑑み、本発明の目的は、装置の内部に配設した集音手段により動作音を採取し、該採取した動作音が以前の動作音と比べて所定の閾値を超えて増大しているか否かを判断し、増大していると判断すると、動作音が増大した部品を異常の兆しがあると判断し、該異常の兆しのある部品の交換時期又は修理時期を算出し、該算出した時期を通知手段を介してユーザに通知することができ、これにより動作音が緊急停止が必要となる大きさの異常音になってから装置の駆動を停止するために該装置が長時間利用不可となる状況を防止し得る画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以上の点を解決するために、次の構成を採用する。
<構成>
本発明の画像形成装置は、装置内部の動作音を取得する動作音取得部を有する画像形成装置であって、装置内の各部品の異常発生時の異常動作音を予め記憶する既知異音メモリと、各部品の異常動作音の大きさと、各部品の寿命との関係を示す部品交換時期換算データを予め記憶する部品交換時期換算データ記憶部と、動作音取得部で取得した動作音を含むデータを定期的に記憶する経時動作時音メモリと、経時動作時音メモリに新たな動作音を含むデータが記憶されると、該新たなデータと該メモリに記憶された過去のデータとを比較して、新たな動作音が過去の動作音より所定の閾値以上大きな動作音であると、該新たな動作音を異常の兆しのある動作音であると判定する経時異常判定部と、経時異常判定部で新たな動作音が異常の兆しのある動作音であると判定されると、該動作音と既知異音メモリに記憶されたいずれかの異常動作音とを照合し、照合一致の場合異常音を発する部品を特定する異音特定部と、異音特定部が部品を特定すると、該特定された部品と、当該部品が発する異常音の大きさとに基づいて交換時期換算データ記憶部を検索し、該部品の寿命を示す部品交換時期を算出する部品交換時期算出部と、部品交換時期算出部が算出した部品交換時期を通知する通知部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明では、所定の期間毎に該装置の動作音を各処理(ヒータ動作音、媒体給紙音など)に分けて取得し、該取得した動作音が過去の動作音と比べて増加しているか否かを判定し、増加している場合、該増加量(差分)が示す異常音の特徴と、予め既知異常音としてメモリに記憶した各部品の異常音とを照合して異常の兆しのある部品を特定し、該特定した部品に関する部品交換時間換算データ300と、該部品の上記増加量に基づいて該部品の交換時期を算出する。そして、本発明では、上記算出した交換時期の通知を、ユーザが確認可能なように通知する。
これにより、本発明では、部品の劣化などにより装置駆動時に緊急停止が必要なほど大きな異音を発する前に、部品の交換時期をユーザに対し通知することができるので、よりユーザの利便性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明に係る実施例1の画像形成装置100の制御構成を示すブロック図である。
【図2】本発明に係る実施例1の画像形成装置100の構成を示す図である。
【図3】本発明に係る実施例1の経時動作音データメモリ1014の構成の一例を示す図である。
【図4】本発明に係る実施例1の基準動作音データメモリ1015の構成の一例を示す図である。
【図5】本発明に係る実施例1の既知異音データメモリ1016の構成の一例を示す図である。
【図6】本発明に係る実施例1の部品交換時期換算データ300の構成の一例を示す図である。
【図7】本発明に係る実施例1の集音部1041の構成の一例である集音回路部400の構成を示す図である。
【図8】本発明に係る実施例1の画像形成装置100の印刷処理時の各動作と各動作時に発する動作音の音圧レベルとの関係を示すタイムチャートである。
【図9】本発明に係る実施例1の画像形成装置100の異常の兆しのある動作音検出時の動作を示すフローチャート(その1)である。
【図10】本発明に係る実施例1の画像形成装置100の異常の兆しのある動作音検出時の動作を示すフローチャート(その2)である。
【図11】本発明に係る実施例2の画像形成装置100aの制御構成を示すブロック図である。
【図12】本発明に係る実施例2の管理装置500の制御構成を示すブロック図である。
【図13】本発明に係る実施例2の画像形成装置100aの接続形態の一例を示す図である。
【図14】本発明に係る実施例2の画像形成装置100の不特定異音検出時の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を、図を用いて詳細に説明する。ここでは、本発明の画像形成装置を電子写真方式のモノクロプリンタに適用した場合を例に、説明を行う。
【実施例1】
【0010】
<実施例1の構成>
図2は、本発明に係る実施例1の画像形成装置100の構成を示す図である。
図2を用いて、本発明に係る実施例1の画像形成装置100の構成について説明する。
画像形成装置100の下部には、図2に示すように、図示しない印刷媒体が積載保持されている給紙カセット1が着脱可能に装着されている。本実施例では、画像形成装置100は、1つの給紙カセットを有する構成となっているが、本発明はこれに限らず、複数の給紙カセットを有する構成にも適用可能である。
【0011】
給紙カセット1の繰り出し側には、該カセット内に積載されている印刷媒体を、上から1枚ずつ順に繰り出すためのホッピングローラ2が配設されている。
ホッピングローラ2は、給紙カセット1に積載された最上位の印刷媒体に当接するように配設されており、制御回路部101の制御に基づき回転すると、該回転に基づいて印刷媒体を1枚ずつ分離して該カセット内から繰り出す。ホッピングローラ2により繰り出された印刷媒体は、搬送経路Aに給紙される。
【0012】
ホッピングローラ2の後方には、図示しない入口センサが配されている。このセンサは、レジストローラ4を回転駆動させるタイミングを検知するために用いるセンサであり、印刷媒体の先端を検知すると、制御回路部101へ通知する。
【0013】
同様に、ホッピングローラ2の後方には、媒体幅検出センサ3が配されている。この媒体幅検出センサ3は、ホッピングローラ2から給紙された印刷媒体の幅、即ち該媒体のサイズを検知するために用いるセンサであり、該媒体の幅を検知すると、制御回路部101へ通知する。
【0014】
レジストローラ4は、上記入口センサ及び媒体幅検出センサ3の後方に配され、図2に示すように、プレッシャローラ5と対向し、かつ圧接して配設されている。
そして、レジストローラ4は、レジストモータ6と接続されており、制御回路部101の制御に基づき該モータが駆動すると、回転を開始する。
回転を開始したレジストローラ4は、自己の回転に基づき従動回転を行うプレッシャローラ5と共にホッピングローラ2により搬送された印刷媒体を搬送経路Aに沿って搬送する。
【0015】
レジストローラ4及びプレッシャローラ5の後方には、媒体位置検出センサ7が配されている。この媒体位置検出センサ7は、図2に示す電子写真プロセス部8が有する感光ドラム821上に形成されたトナー象を印刷媒体上に形成するために、該ドラム上のトナー像の開始位置と、該媒体上のトナー像の書き出し位置とを合わせるために用いるセンサである。
そして、媒体位置検出センサ7は、レジストローラ4及びプレッシャローラ5により搬送された印刷媒体の先端を検知すると、制御回路部101へ通知する。
【0016】
電子写真プロセス部8は、感光ドラム821上にブラック(K)色のトナー像を形成するための機構であり、図2に示すように、ブラック色のトナーを収容するトナーカートリッジ81と、筐体の中に像担持体としての感光ドラム821、該ドラムを帯電させるための図示しない帯電部材としての帯電ローラ、該ドラム上の静電潜像を現像する現像部材としての図示しない現像ローラ、図示しないクリーニングブレード等を収容したイメージドラムユニット82と、転写装置としての転写ローラ83とから構成される。
イメージドラムユニット82に含まれる感光ドラム821及び各ローラは、メインモータ10に接続されており、制御回路部101の制御に基づき該モータが駆動すると、各々回転を開始する。
【0017】
上記帯電ローラは、感光ドラム821が回転すると、制御回路部101の制御に基づき電源部107(図1参照)から電源を供給され、該ドラムの表面を帯電させる。
【0018】
LEDヘッド9は、LED(Light Emitting Diode)アレイを配列してなり、制御回路部101の制御に基づいて発光し、帯電する感光ドラム821の表面に画像形成装置100が有する図示しない画像メモリに記憶された画像データに基づいた静電潜像を形成する、静電潜像書き込み装置である。
【0019】
感光ドラム821が回転すると、トナーカートリッジ81からイメージドラムユニット82が有する図示しないトナーホッパーへと供給され、該ホッパーで一時的に保持されているトナーは、制御回路部101の制御により回転する上記供給ローラの表面に供給される。
【0020】
上記供給ローラの表面に供給されたトナーは、制御回路部101の制御に基づき回転する上記現像ローラの表面に付着し、その後、イメージドラムユニット82が有する図示しない層形成ブレードにより均一の厚さに形成され、感光ドラム821上の静電潜像に現像される。これにより、感光ドラム821の表面には、静電潜像に応じたブラック色の現像剤像であるトナー像が形成される。
【0021】
感光ドラム821と対向する位置には、図2に示すように転写ローラ83が配設されている。この転写ローラ83は、感光ドラム821上に形成されたトナー像を印刷媒体上に転写するための機構である。
そして、転写ローラ83は、感光ドラム821の表面に当接した状態で、制御回路部101の制御に基づき回転を開始し、該ドラムと共に印刷媒体を搬送する。
【0022】
感光ドラム821と、転写ローラ83とは、制御回路部101の制御により、同期して回転駆動される。
レジストローラ4及びプレッシャローラ5の回転に基づき搬送される印刷媒体は、先ず感光ドラム821と転写ローラ83との間に搬送される。その際、転写ローラ83には制御回路部101の制御により転写電圧が印加され、感光ドラム821の表面に形成されたブラック(K)色のトナー像が、印刷媒体の表面に転写される。ブラック色のトナー像が転写された印刷媒体1は、感光ドラム821と転写ローラ83との回転に基づき、更に定着ユニット11へと搬送される。
【0023】
感光ドラム821の表面に形成されたブラック色のトナー像が印刷媒体上に転写された後、該ドラムの表面に残留する転写残トナーは、上記クリーニングブレードにより掻き取られる。
上記掻き取られた転写残トナーは、例えば図示しない廃トナー搬送部材により電子写真プロセス部8の外部に備えられた図示しない廃トナー収容室に搬送される。
【0024】
感光ドラム821と転写ローラ83の下流側には、図2に示すように、定着ユニット11が配設されている。定着ユニット11は、印刷媒体上に転写されたトナー像を該媒体に定着させるための機構であり、ヒートローラ111と、バックアップローラ112とから構成される。
ヒートローラ111は、図2に示すように、自己のローラ内部に自己を加熱するためのハロゲンランプ1111を有する。
ヒートローラ111は、バックアップローラ112と圧接して配設されている。
これら両ローラは、制御回路部101の制御に基づき同期して回転する。
定着ユニット11により印刷媒体上に形成された各色のトナー像を定着処理された印刷媒体は、図2に示すように、排出センサレバー12方向へと搬送される。
【0025】
定着ユニット11の下流側には、図2に示すように、排出センサレバー12が配設されている。
この排出センサレバー12は、排出口15へ向けて印刷媒体1が搬送されていることを検知するために用いるレバー付きのセンサであり、該媒体の先端を検知すると、制御回路部101へ通知する。
【0026】
排出センサレバー12の下流側には、排出ローラ対13及び14が設けられている。これら排出ローラ対13及び14は、図2に示すように、印刷媒体を排出口15へと搬送して装置外の排出スタッカ16に排出するために用いられる。
排出口15から装置外に排出された印刷媒体は、排出スタッカ16に積載保持される。
【0027】
図1は、本発明に係る実施例1の画像形成装置100の制御構成を示す図である。
次に、本発明の画像形成装置100の制御構成について、図1を用いて詳細に説明を行う。
画像形成装置100は、装置全体を制御するための制御回路部101と、I/F(インターフェース)部102と、入力表示部103と、動作音取得部104と、低圧電源回路部105と、AC(Alternating Current)スイッチ106と、電源部107と、高圧電源回路部108とを備える。
そして、画像形成装置100aは、図1に示すように、ネットワークを介してユーザが操作するPC(Personal Computer)等のホスト200と接続されている。
【0028】
制御回路部101は、画像形成装置100全体を制御するために、図1に示すように、CPU(Central Processing Unit)1011と、タイマ1012と、経時動作音データ生成部1013と、経時動作音データメモリ1014と、基準動作音データメモリ1015と、既知異音データメモリ1016と、異音検出部1017と、部品交換時期算出部1018と、部品交換時期通知部1019とから構成される。
【0029】
CPU1011は、画像形成装置100全体を制御するプロセッサであり、該装置の内蔵する図示しないクロック(時間を決めるための水晶発信器を内蔵している回路)の発するパルス信号に同期して装置全体を制御している。
【0030】
タイマ1012は、計時手段であり、制御回路部101が所定期間毎に動作音取得部104に画像形成装置100の動作音を取得させるための該取得日の算出に用いられる。
また、タイマ1012は、経時動作音データ生成部1013が有する後述する環境条件取得部10132において、後述する経時動作音データを生成した年月日及び時間を得るために用いられる。
【0031】
経時動作音データ生成部1013は、動作音取得部104が所定期間毎に取得する後述する画像形成装置100が各動作時に発する各動作音に基づき、各動作音(デジタル形式)と、後述する騒音指標と、後述する環境条件とからなる経時動作音データを生成する部分である。
この経時動作音データ生成部1013は、図1に示すように、騒音指標化処理部10131と、環境条件取得部10132とから構成される。
【0032】
騒音指標化処理部10131は、動作音取得部104が取得したデジタル形式の動作音をフーリエ変換し、該動作音を予め設定された周波数毎にサンプリングして各音圧レベルを取得し、該動作音の騒音指標(図3参照)を生成する部分である。
【0033】
環境条件取得部10132は、騒音指標化処理部10131が騒音指標を生成した時点における、画像形成装置100の内部の「温度」及び「湿度」と、該生成日時を示す「Date」及び「時間」とから成る「環境条件」(図3参照)を取得する部分である。
上記「温度」は、画像形成装置100の内部に配設された図示しない温度検出センサなどから成る温度検出手段による検出結果(温度データ)に基づく。
上記「湿度」は、画像形成装置100の内部に配設された図示しない湿度検出センサなどから成る湿度検出手段による検出結果(湿度データ)に基づく。
上記「Date」及び「時間」は、タイマ1012が示す「年月日」及び「時間」から成るタイマデータに基づく。
【0034】
図3は、本発明に係る実施例1の経時動作音データメモリ1014の構成の一例を示す図である。
経時動作音データメモリ1014は、図3に示すように、経時動作音データ生成部1013で所定期間毎に生成される各動作音の経時動作音データ(デジタル形式の動作音、騒音指標、環境条件)を記憶するための記憶部である。
この経時動作音データメモリ1014は、例えば数ヶ月分の「経時動作音データ」を記憶可能なデータ容量を有しており、該メモリに記憶されたデータ数が予め設定された所定数を超えると、古いデータから順次新しいデータにより上書きされる。
【0035】
図4は、本発明に係る実施例1の基準動作音データメモリ1015の構成の一例を示す図である。
基準動作音データメモリ1015は、図4に示すように、実験等により予め取得した画像形成装置100の標準機の各動作時の動作音(デジタル形式)と、該動作音の「標準指標」と、該動作音を取得した「環境条件」とから成る各動作時の「基準動作音データ」を予め設定するための記憶部である。
この基準動作音データメモリ1015は、ROM(Read Only Memory)等から成る不揮発性メモリである。
また、この「基準動作音データ」は、画像形成装置100を製造するメーカー側により、該装置を出荷前に、基準動作音データメモリ1015に設定される。
【0036】
図5は、本発明に係る実施例1の既知異音データメモリ1016の構成の一例を示す図である。
既知異音データメモリ1016は、図5に示すように、実験等により予め取得した画像形成装置100の標準機の各動作時の異音(デジタル形式)と、該異音の「標準指標」と、該異音を取得した「環境条件」とから成る「既知異音データ」を予め設定するための記憶部である。
この既知異音データメモリ1016は、ROM等から成る不揮発性メモリである。
また、この「既知異音データ」は、画像形成装置100を製造するメーカー側により、該装置を出荷前に、既知異音メモリ1022に設定される。
【0037】
上記異音として、例えば図5(a)に示すように、「ホッピングローラ磨耗による給紙不良時の異音」や、図5(b)に示すように、「メインモータギヤ磨耗による異音」などが挙げられる。
本実施例では、上記2つの異音のみを図5に例示しているが、これに限らずあらゆる原因により各部品が発する異音が既知異音データメモリ1016に格納されている。
既知異音データメモリ1016に記憶されている既知異音データは、サービス員による保守管理の際に、新たな既知異音が追加された新規の既知異音データにバージョンアップが可能である。これにより、異常の兆しが有る部品を特定するための精度を向上させることができる。
【0038】
異音検出部1017は、経時動作音データメモリ1014に記憶された新たな「経時動作音データ」に基づき異常の発生の兆しのある部品の有無を検出する部分である。
この異音検出部1017は、図1に示すように、経時異音判定部10171と、異音特定部10172とから構成される。
【0039】
経時異音判定部10171は、経時動作音データメモリ1014に記憶された新たな経時動作音データと、該メモリに記憶された過去の経時動作音データとを比較して、各動作音の差分(音の増加量)に基づき異常の発生の兆しのある動作音であるか否かを判定する部分である。
ここで、経時異音判定部10171は、経時動作音データメモリ1014に1つの経時動作音データ(新たな経時動作音データのみ)が記憶されていた場合には、基準動作音データメモリ1015に予め記憶された基準動作音データを過去の経時動作音データの代わりに用いる。
【0040】
そして、経時異音判定部10171は、新たに取得した経時動作音データに含まれる騒音指標の各周波数毎の音圧レベルH(n)と、過去の経時動作音データに含まれる騒音指標の各周波数毎の音圧レベルP(n)とを比較するために、先ず、次の式(1)を用いて各周波数の差分の2乗平均を算出することで得られる、動作音の差分(音の増加量)MACHを求める。

MACH=√(H(f1)−P(f1))+(H(f2)−P(f2))
+(H(f3)−P(f3))+(H(f4)−P(f4))
+・・・(H(fn)−P(fn)) ・・・式(1)

【0041】
次に、経時異音判定部10171は、上記算出した動作音の差分が、予め設定した後述する差分基準値を超えたか否かに基づき、新たな動作音に異常の発生の兆しがあるか否かを判定する。
ここで、経時異音判定部10171では、画像形成装置100の使用期間が3ヶ月以内(短期間)の場合に用いる差分基準値REF1と、該使用期間が3ヶ月以上(長期間)の場合に用いる差分基準値REF2とが該判定部が有する図示しないメモリに記憶されている。この差分基準値REF1>差分基準値REF2である。
画像形成装置100を長期間使用すると、各揺動部分の削れや、グリス切れなどにより、徐々に動作音が低い音になり、かつ該音が徐々に増大する場合がある。
このように、長期使用により部品が徐々に劣化していく場合、部品にひび割れ等の不具合がある等の場合と比べ、当該部品が発する動作音と、該部品が過去に発した動作音との差異は小さい。
そのため、本発明では、上記のように、画像形成装置100の使用期間が長期の場合と短期の場合において、用いる差分基準値を分けている。
【0042】
先ず、経時異音判定部10171は、経時動作音データメモリ1014に3ヶ月以上経時動作音データが記憶されているか否かを判定する。
そして、経時異音判定部10171は、3ヶ月以上経時動作音データが記憶されていると判定すると、上記メモリに記憶された使用期間が長期用の差分基準値REF2を超えたか否か、即ち、MACH>REF2であるか否かを判定する。
MACH>REF2の場合には、経時異音判定部10171は、異常の発生の兆しがある動作音であると判定する。
一方、MACH≦REF2の場合には、経時異音判定部10171は、異常の発生の兆しがない動作音であると判定する。
【0043】
一方、経時異音判定部10171は、3ヶ月以内しか経時動作音データが記憶されていないと判定すると、上記メモリに記憶された使用機関が短期間の差分基準値REF1を超えたか否か、即ち、MACH>REF1であるか否かを判定する。
そして、MACH>REF1の場合には、経時異音判定部10171は、異常の発生の兆しがある動作音であると判定する。
一方、MACH≦REF1の場合には、経時異音判定部10171は、異常の発生の兆しがない動作音であると判定する。
【0044】
経時異音判定部10171が異常の発生の兆しがある動作音であると判定すると、異音検出部1017は、該異常の発生の兆しのある部品を特定すべく、異音特定部10172に異常部品の特定を指示する。ここで、この指示には、画像形成装置100の使用期間が付与されている。
【0045】
一方、経時異音判定部10171が異常の発生の兆しがない動作音であると判定すると、異音検出部1017は、制御回路部101に異常音発生無しを通知し、当該動作音の判定処理を終了する。
そして、経時異音判定部10171は、次に判定すべき動作音がある場合には、再び判定処理を行う。
【0046】
異音特定部10172は、経時異音判定部10171で異常の発生の兆しがあると判定された上記新たな経時動作音データの騒音指標と、上記過去の経時動作音データの騒音指標とを比較して得られた各周波数毎の差分(異音特徴)に基づき、異常の発生の兆しのある部品を特定する部分である。
即ち、異音特定部10172は、新たに取得した経時動作音データに含まれる騒音指標の各周波数毎の音圧レベルH(n)と、過去の経時動作音データに含まれる騒音指標の各周波数毎の音圧レベルP(n)とから各周波数毎の差分を算出し、異音の特徴を示す騒音指標(異音騒音指標)を求める。
【0047】
そして、異音特定部10172は、上記異音騒音指標を算出すると、該算出した異音騒音指標と、既知異音メモリデータ1016に予め記憶された各部品の既知異音データの騒音指標とを比較する。
このとき、異音特定部10172は、異音騒音指標を既知異音データの騒音指標と比較できるように、該異音騒音指標の音圧レベルをn倍したn倍異音騒音指標を生成する。
このn倍のnの値は、各部品の既知異音データの騒音指標毎に異なった値となる。
【0048】
そして、異音特定部10172は、各部品に対応するnの値に基づいて生成したn倍異音騒音指標と、各既知異音データの騒音指標とを順次照合し、照合が一致した場合には、該当する部品を特定する。
ここで、照合結果が所定の誤差範囲内であった場合には、照合一致と判定する。
【0049】
一方、異音特定部10172は、いずれの部品の既知異音データとも照合不一致の場合、異常の兆しのある部品を特定できなかった(異常の兆しのある不特定部品がある
)旨を異音検出部1017に通知する。
【0050】
異音検出部1017は、異音特定部10172が異音を発する部品を特定すると、制御回路部101を介して部品交換時期算出部1018に異音を発する部品の交換時期の算出を指示する。
【0051】
一方、異音検出部1017は、上記異常の兆しのある不特定部品がある旨の通知を受けると、制御回路部101を介して、経時動作音データメモリ1014に記憶された当該経時動作音データに「不特定異音あり」を示すワーニング情報を付加し、当該動作音に対する検出処理を終了する。
上記ワーニング情報が付加された経時動作音データは、画像形成装置100の管理会社による次回の保守点検時において、該装置が有する図示しない保守用タッチパネルディスプレイを介したサービス員の操作により、上記メモリから読み出され、異常の兆しのある部品の特定に用いられる。
【0052】
部品交換時期算出部1018は、異音特定部10172で特定された異常の発生の兆しのある当該部品の交換時期を算出する部分である。
そして、部品交換時期算出部1018は、図1に示すように、部品交換時期換算データメモリ10181を備える。
【0053】
図6は、本発明に係る実施例1の部品交換時期換算データ300の構成の一例を示す図である。
部品交換時期換算データメモリ10181は、部品交換時期算出部1018が部品交換時期の算出に用いる、図6に示すような部品交換時期換算データ300が予め設定される記憶部である。
この部品交換時期換算データ300は、図6に示すように、実験等により予め取得した、「新たな経時動作音データの騒音指標」と、「過去の経時動作音データの騒音指標」とを比較し、上記(1)式を用いて各周波数の差分の2乗平均を算出することで得られた、動作音の差分(音の増加量)MACHと、音の差分対する当該部品の交換時期(例えば、何週間後、何ヶ月後など)とから構成される。
【0054】
上記各部品毎の部品交換時期換算データ300は、画像形成装置100を製造するメーカー側により、該装置を出荷前に、上記メモリに設定される。
また、各部品毎の部品交換時期換算データ300は、経時動作音データを生成する周期に対応している。即ち、制御回路部101の図示しない制御プログラムにより例えば1週間毎に該経時動作音データを生成する設定になっている場合には、上記差分(増加量)は、1週間の間の増加量に対応している。また、上記制御プログラムにより例えば1ヶ月枚に経時動作音データを生成する設定になっている場合には、上記差分(増加量)は、1ヶ月の間の増加量に対応している。
【0055】
更に、各部品毎の部品交換時期換算データ300は、図6(a)に示すように部品の使用期間が3ヶ月以内と短い場合に用いる換算データと、図6(b)に示すように使用期間が3ヶ月以上と長い場合に用いる換算データとから構成される。
【0056】
そして、部品交換時期算出部1018は、ある部品の部品交換時期算出の指示を受けると、先ず該指示に付与された画像形成装置100の使用期間に基づき、長期間又は短期間いずれの部品交換時期換算データを用いるのかを判定する。
その後、部品交換時期算出部1018は、上記差分MACHと、上記判定したいずれかの部品交換時期換算データとに基づいて、当該部品の部品交換時期を算出する。
本発明では、図6(a)に画像形成装置100のある部品1における、装置を短期間使用した場合の部品交換時期換算データ300を示し、図6(b)に該部品における装置を長期間使用した場合の部品交換時期換算データ300を示しているが、部品交換時期換算データメモリ10181には、各部品毎のこうような両データが記憶されている。
また、この部品交換時期換算データは、サービス員による保守管理時等において、バージョンアップされ、部品交換時期換算データメモリ10181に記憶される。
【0057】
部品交換時期算出部1018が当該部品の部品交換時期を算出すると、制御回路部101は、部品交換時期通知部1019に部品交換時期の通知を指示する。
【0058】
部品交換時期通知部1019は、部品交換時期算出部1018で算出された部品交換時期を上記タッチパネルディスプレイ、又は該ディスプレイ及びホスト200が有する画面上に表示させるべく、通知メッセージを生成し、該メッセージを送信する部分である。
即ち、部品交換時期通知部1019は、上記部品交換時期の通知の指示を受けると、上記算出された部品の部品交換時期に基づき、当該部品名及び交換時期が含まれる通知メッセージを生成する。
ここで、部品交換時期通知部1019は、新たな部品交換時期の通知の指示を受ける毎に、上記生成した通知メッセージに当該部品の部品名及び交換時期を追加する。
そして、動作音取得部104が新たに取得した全ての動作音に対する異常の兆しがある動作音であるか否かの判定を終えると、部品交換時期通知部1019は、生成した通知メッセージを制御回路部101を介して上記タッチパネルディスプレイに表示させる。
【0059】
また、部品交換時期通知部1019は、印刷ジョブがホスト200から送信された場合には、上記メッセージを該ホストの画面上に表示させるべく、制御回路部101を介して該ホストに該メッセージを送信する。
ホスト200は、上記メッセージを受けると、該ホストの図示しないメモリに予め設定されている画像形成装置100のプリンタドライバを用いて、該メッセージを該ホストが有するディスプレイに表示する。
これにより、画像形成装置100のタッチパネルディスプレイだけではなく、ユーザが操作するホスト200のディスプレイ上にも上記メッセージが表示されるので、管理会社への部品交換の連絡をより確実に行うことができる。
【0060】
入力表示部103は、各種画面(本発明に係る部品交換時期を通知するための画面も含む)を表示し、かつ各種設定及び指示(本発明に係る部品交換時期通知画面の表示終了の指示も含む)を入力するためのタッチパネルディスプレイ、0〜9までの各数字に対応するボタン群、「スタート」ボタン、「キャンセル」ボタン等から構成される。
この入力表示部103は、制御回路部101を介して上記部品交換時期の通知を受けると、該通知を表示するための画面を上記タッチパネルディスプレイ上に表示する。
このタッチパネルディスプレイに表示された部品交換時期の通知画面は、サービスマンにより画像形成装置100が有する当該部品が交換される、又は修理される等のメンテナンスが行われた後、該サービスマンの入力表示部103を介した入力に基づき、表示を終了する。
【0061】
動作音取得部104は、図2に示すように、定着ユニット11の近傍に配設されており、画像形成装置100の各部が発する動作音を検出する部分である。
ここで、動作音取得部104が定着ユニット11の近傍に配設される理由は、該ユニット近傍が空洞になっており、装置内部の音を集音するのに適した位置であるからである。
そして、動作音取得部104は、図1に示すように、集音部1041と、動作音A/D(Analogue Digital)変換部1042と、動作時音メモリ1043とから構成される。
【0062】
図7は、本発明に係る実施例1の集音部1041の構成の一例である集音回路部400を示す図である。
集音部1041は、マイクロフォンなどから成る、アナログ形式の動作音をデジタル形式の動作音に変換する部分である。
次に、本発明に係る実施例1の集音部1041の構成について、該部が集音回路部400であった場合を例に詳細説明を行う。
集音回路部400は、図7に示すように、集音用マイク(コンデンサマイク)MICを有する。
R6は、コンデンサマイクMICが集音した騒音の大きさに比例した電圧を検出するためにバイアス電圧を印加する抵抗である。
C1は、カップリングコンデンサであり、直流成分を除去し、交流成分を通過させるために接続されている。
【0063】
抵抗R1、R2及びオペレーショナルアンプCOMP1から成る回路部分は反転増幅回路であり、増幅率はーR2/R1である。
C2は、C1と同様の動作を行うカップリングコンデンサである。
更に、抵抗R3、R4及びオペレーショナルアンプCOMP2から成る回路部分も反転増幅回路であり、増幅率はーR4/R3である。
ここで、集音回路部400としての増幅率はR2/R1*R4/R3である。
【0064】
また、上記オペレーショナルアンプCOMP1及びCOMP2の非判定入力に接続されている抵抗R5とR6の分圧によって、増幅出力の中心値が設定されている。
尚、カップリングコンデンサC3及びC4は、ノイズ除去用に追加されている。
本実施例では、集音部1041の一例として集音回路部400を説明したが、このような回路に限らず、集音可能であれば、集音部1041として適応可能である。
【0065】
低圧電源回路部105は、ACスイッチ106とともに、定着ユニット11に電源部107からの駆動電力を供給するためのゲート素子であるサイリスタ1051を内蔵する。
そして、低圧電源回路部105は、制御回路部101及び高圧電源回路部108に+5[V]の電圧で電力を供給する。
【0066】
高圧電源回路部108は、電子写真プロセス部8へ高圧の電力を供給する。
【0067】
また、集音部1041(集音回路部400)には、低圧電源回路部105から+5Vの電圧で電力が供給される。
尚、集音部1041が出力するアナログ形式の動作音は、動作音取得部104の動作音AD変換部1042に入力される。
また、定着ユニット11のハロゲンランプ1111には、制御回路部101に予め組み込まれた制御プログラムに従って、低圧電源回路部105から駆動用の電力が供給される。
更に、電子写真プロセス部8のイメージドラムユニット82には、制御回路部101に予め組み込まれた制御プログラムに従って、高圧電源回路部108から高圧の電力が供給される。
更に、LEDヘッド9には、低圧電源回路部105から+5Vの電圧で電力が供給される。
尚、LEDヘッド9の動作は、制御回路部101によって制御される。
【0068】
また、レジストモータ6には、制御回路部101に予め組み込まれた制御プログラムに従って、低圧電源回路部105から駆動用の電力が供給される。
また、メインモータ10には、制御回路部101に予め組み込まれた制御プログラムに従って、低圧電源回路部105から駆動用の電力が供給される。
【0069】
図8は、本発明に係る実施例1の画像形成装置100の印刷処理時の各動作と各動作時に発する動作音の音圧レベルとの関係を示すタイムチャートである。
次に、画像形成装置100が行う各動作と、各動作時に発する動作音の音圧レベルとの関係について、図8を用いて詳細に説明を行う。
画像形成装置100の制御回路部101は、該装置が有する図示しない電源スイッチがONになると、該回路の図示しないメモリに予め記憶された制御プログラムのイニシャル処理を開始する。
そして、制御回路部101は、上記イニシャル処理を終えると、画像形成装置100が有する図示しないファン(装置内部の熱を装置外に排出するために、図示しない排気口の近傍に設置されている部品)を駆動させる。
【0070】
上記ファンが駆動すると、制御回路部101は、定着ユニット11をウォームアップ状態にするために該ユニットのハロゲンランプ1111を点灯させるべく、低圧電源回路部105を制御して、該回路部から該ランプに対し電力を供給させる。
そして、制御回路部101は、タイマ1012が示す年月日及び時間が上記制御プログラムに設定された動作時音取得周期が示す動作時音取得時に該当する場合には、動作音取得部104に「ヒータ動作音の取得」を指示する。
動作音取得部104は、上記指示に基づき、ヒータ(ハロゲンランプ1111)の動作音(図8の動作音A)の取得を開始する。
【0071】
一方、制御回路部101は、動作時音取得時ではない場合には、以下に記載する動作音取得部104に対する各動作音の取得を指示せず、画像形成装置100が印刷処理動作のみを行うべく制御する。
【0072】
制御回路部101は、ハロゲンランプ1111に電力供給すべく制御すると、定着ユニット11の近傍に配設した図示しないサーミスタを用いて、該ユニットが所定の加熱時間内に所定の定着加熱温度になるよう監視する。
ここで、制御回路部101は、所定の加熱時間内でハロゲンランプ1111が加熱されたか否かをタイマ1012を用いて判定する。
そして、制御回路部101は、ハロゲンランプ1111が所定の時間内に所定の定着可能温度に加熱されると、動作音取得部104に「ヒータ動作音の取得の終了」を指示する。
動作音取得部104は、上記指示に基づき、ヒータの動作音(図8の動作音A)の取得を終了する。
【0073】
一方、制御回路部101は、所定の加熱時間を経過してもハロゲンランプ1111が所定の加熱温度に達しない場合には、定着ユニットに異常があると判定する。
そして、制御回路部101は、上記判定を行うと、低圧電源回路部105を制御して、ハロゲンランプ1111への電力供給を遮断すると共に、メインモータ10への電力供給を遮断する。
また、制御回路部101は、上記電力供給の遮断を行うと共に、動作音取得部104に「ヒータ動作音の取得の中断」を指示する。
動作音取得部104は、上記指示に基づき、ヒータ(ハロゲンランプ1111)の動作音(図8の動作音A)の取得を中断する。
その後、制御回路部101は、該回路が有する図示しないメモリに予め設定された「定着ユニット異常通知メッセージ」を上記タッチパネルディスプレイに表示する。
上記異常が発生した場合、動作音取得部104において、ウォームアップ時のヒータ動作音と、メインモータ6の動作音とが取得されるので、画像形成装置100の管理会社のサービス員が取得した動作音に基づき、当該異常の発生に起因する部品を特定することが可能である。
【0074】
その後、制御回路部101は、I/F部102を介して「印刷ジョブ」を受信している場合には、次の印刷動作(メインモータ10を回転させる)を行うべく、低圧電源回路部105を制御して、該回路部から該モータに対し電力を供給させる。
そして、制御回路部101は、上記電力供給すべく制御すると共に、動作音取得部104に「メインモータの動作音の取得」を指示する。
動作音取得部104は、上記指示に基づき、ドラムモータの動作音(図8の動作音B)の取得を開始する。
【0075】
一方、制御回路部101は、「印刷ジョブ」を受信していない場合には、印刷ジョブ待ち状態に移行する。
【0076】
次に、制御回路部101は、給紙カセット1から印刷媒体を給紙すべく、低圧電源回路部105を制御して、該回路から図示しないホッピングローラ2を駆動させるためのモータに対し電力を供給させる。
そして、制御回路部101は、上記電力供給すべく制御すると共に、動作音取得部104に上記「メインモータの動作音の取得の終了」を指示すると共に、「給紙時動作音の取得」を指示する。
動作音取得部104は、上記指示に基づき、メインモータの動作音(図8の動作音B)の取得を終了し、ホッピングローラ2の回転音を示す給紙時動作音(図8の動作音C)の取得を開始する。
【0077】
上記入口センサが印刷媒体の先端を検知してONになったとき、レジストローラ4は、回転を停止している。
これにより、給紙された印刷媒体は、回転を停止しているレジストローラ4及び該ローラと圧接した対向するプレッシャローラ5のニップ部分に突き当たる。
このとき、印刷媒体は、該媒体の先端が上記ニップ部分に突き当てられたことで該媒体の斜め送りが補正される。
【0078】
そして、上記ニップ部分により印刷媒体の斜め送りが補正されると、制御回路部101は、レジストローラ4を回転させるべく、低圧電源回路部105を制御して、該回路からレジストモータ6に対し電力を供給させる。
その後、上記電力の供給に基づきレジストローラ4が回転を開始すると、該ローラとプレッシャローラ5との回転に従って、印刷媒体は搬送経路Aに沿って搬送される。
そして、媒体位置検出センサ7が印刷媒体の先端を検知すると、制御回路部101は、動作音取得部104に「給紙時動作音の取得の終了」を指示すると共に、「媒体走行時の動作音の取得」を指示する。
動作音取得部104は、上記指示に基づき、給紙時動作音(図8の動作音C)の取得を終了し、媒体走行時の動作音(図8の動作音D)の取得を開始する。
この媒体走行時の動作音が出力されている間に、搬送される印刷媒体に対し、画像形成処理、画像定着処理が行なわれる。
【0079】
その後、排出センサレバー12が上記搬送された印刷媒体の先端を検知すると、制御回路部101は、排出ローラ対13及び14を回転させるための図示しない排出モータを回転させるべく、低圧電源回路部105を制御して、該回路から該モータに対し電力を供給させる。
そして、制御回路部101は、上記電力供給すべく制御すると共に、動作音取得部104に上記「用紙走行音の取得の終了」を指示すると共に、「排出動作音の取得」を指示する。
動作音取得部104は、上記指示に基づき、用紙走行時の動作音(図8の動作音D)の取得を終了し、排出ローラ対13及び14の回転音と排出モータの駆動音を示す排出動作音(図8の動作音E)の取得を開始する。
この排出動作音が出力されている間に、搬送経路Aを沿って搬送される印刷媒体は、排出ローラ対13及び14により搬送され、その後排出口15から装置外に排出され、排出スタッカ16上に積載される。
【0080】
印刷媒体の後端が排出口15から排出されると、制御回路部101の制御により、上記排出モータが回転を停止する。
これに伴い、制御回路部101は、動作音取得部104に上記「排出動作音の取得の終了」を指示すると共に、「印刷ジョブ待機時の動作音の取得」を指示する。
動作音取得部104は、上記指示に基づき、排出動作音(図8の動作音E)の取得を終了し、印刷ジョブ待機時の動作音(上記FANの回転音:図8の動作音F)の取得を開始する。
このとき、画像形成装置100では、該装置内部の熱を上記排気口から該装置外に排出するための上記FANを抜かし、他の機械系統の部品は駆動を停止している。
【0081】
上記FANは、制御回路部101の制御に基づき、所定時間駆動すると回転を停止する。
制御回路部101は、上記FANが回転を停止するタイミングで、動作音取得部104に「印刷ジョブ待機時の動作音の取得の終了」を指示する。
動作音取得部104は、上記指示に基づき、印刷ジョブ待機時の動作音(図8の動作音F)の取得を終了する。
上記FANが回転を停止すると、画像形成装置100では、電気系統の部品を抜かして、全ての機械系統の部品が駆動を停止している「スリープモード」に移行する。
【0082】
集音部1041が取得した上記「動作音A」、「動作音B」、「動作音C」、「動作音D」、「動作音E」、「動作音F」の各アナログ形式の動作音は、動作音AD変換部1042により順次各デジタル形式の動作音A〜Fに変換される。
そして、上記変換されたデジタル形式の動作音A〜Fは、動作音取得部104により、動作時音メモリ1043に順次記憶される。
【0083】
動作時音メモリ1043に記憶されたデジタル形式の各動作音A〜Fは、経時動作音データ生成部1013の騒音指標化処理部10131において、各々フーリエ変換され、各騒音指標が生成される。
また、経時動作音データ生成部1013の環境条件取得部10132において、デジタル形式の各動作音A〜Fに関する環境条件が生成される。
その後、制御回路部101の制御に基づき、各デジタル形式の各動作音A〜Fと、各音の騒音指標と、各音の環境条件とは、各音毎に対応付けられて経時動作音データメモリ1014に記憶される。
【0084】
動作音取得部104では、上記したように、画像形成装置100の印刷処理時の一連の動作から、各動作音A〜Fの取得を行っているが、異常の兆しのある部品の動作音をより高精度に取得すべく、各ユニットを単独動作させ、各動作音を取得することも可能である。
上記単独動作の音の例としては、
1. メインモータ駆動動作音
2. 給紙動作音(ホッピングモータ駆動と図示しない給紙クラッチの切り替え音)
3. ファン動作音
4. 定着ユニット駆動音
5. 高圧電源回路駆動音
6. スリープ時の動作音
等が考えられる。
【0085】
上記したように、各ユニットを単独動作させ、各動作音を取得する処理は、通常時には行われることはない。
上記処理が行われるのは、管理会社のサービス員が画像形成装置100の保守点検時において、入力表示部103が有する保守管理用の図示しないタッチパネルを介して、該装置を保守モードに切り替え、自己診断機能メニューの動作音取得を選択した場合に限る。
この動作音取得を選択した場合、更に、上記1〜6に示すような各動作音を選択するために単独動作音取得メニューを選択し、取得したい動作音をリストの中から選択する。
これにより、各ユニットの単独動作音の取得が可能となる。
【0086】
<実施例1の動作>
図9は、本発明に係る実施例1の画像形成装置100の異常の兆しのある動作音検出時の動作を示すフローチャート(その1)である。図10は、本発明に係る実施例1の画像形成装置100の異常の兆しのある動作音検出時の動作を示すフローチャート(その2)である。
次ぎ、実施例1の画像形成装置100の異常の兆しのある動作音を検出した場合における、該装置の動作について、図9及び図10を用いて詳細に説明を行う。
ここで、画像形成装置100は、長期使用(6ヶ月使用)されている場合を例に、説明を行う。
また、異常の兆しがある部品が「ホッピングローラ」である場合を例に、説明を行う。
【0087】
制御回路部101は、印刷ジョブ待機中において、タイマ1012により該回路が有する制御プログラムに予め設定された経時動作音取得の日時になったことを検知する(ステップS101)。
その後、制御回路部101は、I/F部102を介して印刷ジョブを受信すると(ステップS102)、動作音取得部104を制御して、図8に示すような、
動作音A:定着ヒータ動作音
動作音B:ドラムモータの回転開始の動作音
動作音C:給紙時動作音
動作音D:媒体走行時動作音
動作音E:排出時動作音
動作音F:印刷ジョブ待ち時の動作音(スリープモード時の動作音)
を、集音部1041を用いて順次取得する(ステップS103)。
【0088】
集音部1041が取得した上記「動作音A」、「動作音B」、「動作音C」、「動作音D」、「動作音E」、「動作音F」の各アナログ形式の動作音は、動作音AD変換部1042により順次各デジタル形式の動作音A〜Fに変換される(ステップS104)。
そして、上記変換されたデジタル形式の動作音A〜Fは、動作音取得部104により、動作時音メモリ1043に順次記憶される。
【0089】
動作時音メモリ1043に記憶されたデジタル形式の各動作音A〜Fは、制御回路部101の経時動作音データ生成部1013の騒音指標化処理部10131において、各々フーリエ変換され、各騒音指標が生成される。
また、経時動作音データ生成部1013の環境条件取得部10132において、デジタル形式の各動作音A〜Fに関する環境条件が生成される。
その後、制御回路部101の制御に基づき、各デジタル形式の各動作音A〜Fと、各音の騒音指標と、各音の環境条件とは、各音毎に対応付けられて各経時動作音データとして経時動作音データメモリ1014に記憶される(ステップS105)。
【0090】
経時動作音データメモリ1014に新たな経時動作音データが記憶されると、制御回路部101は、異音検出部1017に異常の兆しのある動作音の検出を指示する。
【0091】
異音検出部1017は、上記指示を受けると、経時異音判定部10171に異常の兆しのある動作音の有無の判定を指示する。
【0092】
経時異音判定部10171は、経時動作音データメモリ1014に記憶された新たな経時動作音データと、該メモリに記憶された3ヶ月前の経時動作音データとを比較する(ステップS106)。
【0093】
そして、経時異音判定部10171は、新たに取得した経時動作音データに含まれる騒音指標の各周波数毎の音圧レベルH(n)と、3ヶ月前の経時動作音データに含まれる騒音指標の各周波数毎の音圧レベルP(n)とを比較するために、先ず、上記式(1)を用いて各周波数の差分の2乗平均を算出することで得られる、動作音の差分(音の増加量)MACHを求める(ステップS107)。
【0094】
次に、経時異音判定部10171は、経時動作音データメモリ1014に3ヶ月以上経時動作音データが記憶されているので、上記算出したMACHと、該判定部の図示しないメモリに予め記憶されている使用期間が長期用の差分基準値REF2とを比較する(ステップS108)。
【0095】
そして、経時異音判定部10171は、上記比較結果がMACH>REF2の場合には(ステップS109)、経時異音判定部10171は、異常の発生の兆しがある動作音であると判定する(ステップS110)。
一方、MACH≦REF2の場合には、経時異音判定部10171は、異常の発生の兆しが無い動作音であると判定する(ステップS111)。
【0096】
経時異音判定部10171が異常の発生の兆しがある動作音であると判定すると、異音検出部1017は、該異常の発生の兆しのある部品を特定すべく、異音特定部10172に異音の特定を指示する。この指示には、画像形成装置100の使用期間が付与されている。
【0097】
一方、経時異音判定部10171が異常の発生の兆しがない動作音であると判定すると、異音検出部1017は、制御回路部101に異常音発生無しを通知し、当該動作音の判定処理を終了する。
そして、経時異音判定部10171は、次に判定すべき動作音がある場合には(ステップS112)、再び判定処理を行う。
【0098】
異音特定部10172は、新たに取得した経時動作音データに含まれる騒音指標の各周波数毎の音圧レベルH(n)と、3ヶ月前の経時動作音データに含まれる騒音指標の各周波数毎の音圧レベルP(n)とから各周波数毎の差分を算出し、異音の特徴を示す騒音指標(異音騒音指標)を求める(ステップS113)。
【0099】
そして、異音特定部10172は、上記異音騒音指標を算出すると、該算出した異音騒音指標と、既知異音データメモリ1016に予め記憶された各部品の既知異音データの騒音指標とを比較する。
このとき、異音特定部10172は、異音騒音指標を既知異音データの騒音指標と比較できるように、該異音騒音指標の音圧レベルをn倍したn倍異音騒音指標を生成する(ステップS114)。
【0100】
異音特定部10172は、各部品に対応するnの値に基づいて生成したn倍異音騒音指標と、各既知異音データの騒音指標とを順次照合し(ステップS115)、照合が一致した場合には(ステップS116)、該当する部品「ホッピングローラ(の磨耗)」を特定する(ステップS117)。
このとき、照合結果が所定の誤差範囲内であった場合には、照合一致と判定する。
【0101】
一方、異音特定部10172は、いずれの部品の既知異音データとも照合不一致の場合、異常の兆しのある部品を特定できなかった(異常の兆しのある不特定部品がある
)旨を異音検出部1017に通知する(ステップS118)。
【0102】
異音検出部1017は、異音特定部10172が異音を発する部品を特定すると、制御回路部101を介して部品交換時期算出部1018に異音を発する部品の交換時期の算出を指示する。
【0103】
一方、異音検出部1017は、上記異常の兆しのある不特定部品がある旨の通知を受けると、制御回路部101を介して、経時動作音データメモリ1014に記憶された当該経時動作音データに「不特定異音あり」を示すワーニング情報を付加し(ステップS119)、当該動作音に対する検出処理を終了する。
上記ワーニング情報が付加された経時動作音データは、画像形成装置100の管理会社による次回の保守点検時において、該装置が有する図示しない保守用タッチパネルディスプレイを介したサービス員の操作により、上記メモリから読み出され、異常の兆しのある部品の特定に用いられる。
【0104】
部品交換時期算出部1018は、上記指示を受けると、先ず該指示に付与された画像形成装置100の使用期間(6ヶ月)に基づき、図6(b)に示すような長期間用の部品交換時期換算データを用いることを判定する。
その後、部品交換時期算出部1018は、上記差分MACHと、上記判定した長期間用の部品交換時期換算データ300とに基づいて、当該部品の部品交換時期(例えば、3週間後)を算出する(ステップS120)。
【0105】
部品交換時期算出部1018が当該部品「ホッピングローラ(の磨耗)」の部品交換時期(3週間後)を算出すると、制御回路部101は、部品交換時期通知部1019に部品交換時期の通知を指示する。
【0106】
部品交換時期通知部1019は、上記部品交換時期の通知の指示を受けると、上記算出された部品「ホッピングローラ(の磨耗)」の部品交換時期「3週間後」に基づき、当該部品名及び交換時期が含まれる通知メッセージ「ホッピングローラが磨耗しています。ホッピングローラを3週間以内に交換してください。」を生成する(ステップS121)。
このとき、部品交換時期通知部1019は、新たな部品交換時期の通知の指示を受ける毎に、上記生成した通知メッセージに当該部品の部品名及び交換時期を追加する。
そして、動作音取得部104が新たに取得した全ての動作音に対する異常の兆しがある動作音であるか否かの判定を終えると(ステップS122)、部品交換時期通知部1019は、生成した通知メッセージを制御回路部101を介して上記タッチパネルディスプレイに表示させる(ステップS123)。
【0107】
また、部品交換時期通知部1019は、印刷ジョブがホスト200から送信された場合には、上記メッセージを該ホストの画面上に表示させるべく、制御回路部101を介して該ホストに該メッセージを送信する。
ホスト200は、上記メッセージを受けると、該ホストの図示しないメモリに予め設定されている画像形成装置100のプリンタドライバを用いて、該メッセージを該ホストが有するディスプレイに表示する。
【0108】
<実施例1の効果>
本発明の実施例1の画像形成装置100では、所定の期間毎に該装置の動作音を各処理(ヒータ動作音、媒体給紙音など)に分けて取得し、該取得した動作音が過去の動作音と比べて増加しているか否かを判定し、増加している場合、該増加量(差分)が示す異音の特徴と、予め既知異音としてメモリに記憶した各部品の異音とを照合して異常の兆しのある部品を特定し、該特定した部品に関する部品交換時間換算データ300と、該部品の上記増加量に基づいて該部品の交換時期を算出することができる。
そして、画像形成装置100では、上記算出した交換時期の通知を、該装置が有するディスプレイ上に当該部品名と共に表示する、又は該ディスプレイに表示する及びホスト200から印刷ジョブを受信した場合には該ホストが有するディスプレイに該通知を表示させるので、ユーザがより確実に管理会社に部品交換の連絡を迅速に行うことができる。
これにより、画像形成装置100では、部品の劣化などにより装置駆動時に緊急停止が必要なほど大きな異音を発する前に、部品の交換時期をユーザに対し通知することができるので、よりユーザの利便性を向上させることが可能となる。
【実施例2】
【0109】
<実施例2の構成>
実施例1の画像形成装置100では、異音検出部1017が不特定異音を検出した場合、経時動作音データメモリ1014に記憶された当該経時動作音に不特定異音であることを示すワーニング情報を付与し、管理会社による保守管理時において、サービス員が該ワーニング情報に対する対応を行う構成となっている。
このため、画像形成装置100では、不特定異音が検出された場合、該検出音に対して迅速な対応ができない。
【0110】
実施例2の画像形成装置100aでは、不特定異音が検出された場合に該検出音に対し迅速に対応すべく、実施例1の画像形成装置100に対し、管理装置500(不特定異音を解析する機能を有する)に該検出を通知する不特定異音検出通知部1020を追加した構成にしている。
【0111】
そして、実施例2の画像形成装置100aでは、実施例1の画像形成装置100に対し、管理装置500において上記不特定異音を発する部品が特定された場合、該管理装置から特定結果(既知異音データ、部品交換時期換算データ)を受け、その結果を既知異音データメモリ1016a及び部品交換時期換算データメモリ10181aに各々新たに記憶する構成に変更している。
これにより、実施例2の画像形成装置100aでは、次回以降の動作音取得処理時に上記特定された異音と同じ動作音が検出された場合、該異音を発する部品が特定され、かつ該部品の交換時期を算出することが可能な構成となっている。
尚、実施例2の画像形成装置の画像形成ユニット200aを除くその他の構成は、実施例1の画像形成装置100の画像形成ユニット200を除くその他の構成と同じである。
【0112】
図11は、本発明に係る実施例2の画像形成装置100aの制御構成を示す図である。
図13は、本発明に係る実施例2の画像形成装置100aの接続形態の一例を示す図である。
次に、画像形成装置100aの制御構成について、図11を用いて詳細に説明を行う。
画像形成装置100aは、制御回路部101aと、I/F(インターフェース)部102と、入力表示部103と、動作音取得部104と、低圧電源回路部105と、AC(Alternating Current)スイッチ106と、電源部107と、高圧電源回路部108とを備える。
【0113】
そして、画像形成装置100aは、図13に示すように、ネットワークを介してホスト200及び管理装置500と接続されている。
また、上記ネットワークには、図13に示すように、画像形成装置100aと同じ機種の他の画像形成装置600が複数接続されている。
更に、上記ネットワークには、図13に示すように、ホスト200だけでなく、他のホストも接続されている。
管理装置500は、画像形成装置100aを管理する管理会社が該装置を管理するために用いる装置である。この管理装置500の構成については、後で詳細に説明を行う。
【0114】
制御回路部101aは、画像形成装置100a全体を制御するために、図11に示すように、CPU1011と、タイマ1012と、経時動作音データ生成部1013と、経時動作音データメモリ1014aと、基準動作音データメモリ1015と、既知異音データメモリ1016aと、異音検出部1017aと、部品交換時期算出部1018aと、部品交換時期通知部1019と、不特定異音検出通知部1020とから構成される。
【0115】
異音検出部1017aは、異音特定部10172から上記不特定異音がある旨の通知を受けると、経時動作音データメモリ1014aに記憶された当該経時動作音データに「不特定異音」を示すワーニング情報を付加する。
そして、異音検出部1017aは、上記付加処理を行うと、不特定異音検出通知部1020に不特定異音の通知を指示する。
尚、実施例2の異音検出部1017aのその他の構成は、実施例1の異音検出部1017のその他の構成と同じである。
【0116】
不特定異音検出通知部1020は、経時動作音データメモリ1014aに記憶されたワーニング情報「不特定異音」が付加された経時動作音データがあると、管理装置500に対し、不特定異音が検出された旨を通知する部分である。
即ち、不特定異音検出通知部1020は、上記不特定異音の通知の指示を受けると、制御回路部101a及びI/F部102を介して管理装置500に「不特定異音が検出された」旨を通知する。
【0117】
そして、制御回路部101aでは、上記通知後に、管理装置500により経時動作音データメモリ1014aに記憶されたワーニング情報「不特定異音」が付加された経時動作音データが収集される。
【0118】
その後、制御回路部101aは、管理装置500から、上記不特定異音の解析結果の返答として後述する「解析結果通知」を受信する。
ここで、制御回路部101aは、上記解析結果通知に、新たな異音データ(ある部品の異常に起因した異音)と、新たな部品交換時期換算データとが含まれていると、該新たな異音データを既知異音データメモリ1016aに追加記憶すると共に、該新たな部品交換時期換算データを部品交換時期換算データメモリ10181aに追加記録する。
このとき、制御回路部101aは、経時動作音データメモリ1014aに記憶された当該ワーニング情報が付加された経時動作音データに対し、「異音特定済」を示す情報を付加する。
これにより、次回の動作音取得処理時において、異音検出部1017aが上記特定された異音と同じ経時動作音が検出されると、既知異音データメモリ1016aに当該異音に該当する既知異音データが記憶されているので、異音特定され、該異音を発する部品の部品交換時期が算出され、その後、部品交換時期通知部1019からタッチパネルディスプレイ等に該部品交換時期が画面表示される。
【0119】
一方、制御回路部101aは、上記解析結果通知に、「部品異常に起因していない雑音であり、問題なし」を示すメッセージのみが含まれていると、経時動作音データメモリ1014aに記憶された当該ワーニング情報が付加された経時動作音データに対し、「雑音と特定済」を示す情報を付加する。
【0120】
また、制御回路部101aは、管理装置500から同機種全ての画像形成装置に対し送信される、後述する「新既知異音データ追加の通知」を受けると、該通知に含まれる新たな既知異音データを既知異音データメモリ1016aに追加記憶すると共に、該新たな部品交換時期換算データを部品交換時期換算データメモリ10181aに追加記録する。
これにより、管理装置500にネットワークを介して接続された画像形成装置100aと、該装置と同じ機種の他の画像形成装置600とは、各装置に生じて解析された既知異音データを互いに共有することができる。
尚、実施例2の制御回路部101aのその他の構成は、実施例1の制御回路部101のその他の構成と同じである。
また、実施例2の画像形成装置100aのその他の構成は、実施例1の画像形成装置100のその他の構成と同じである。
【0121】
図12は、本発明に係る実施例2の管理装置500の制御構成を示すブロック図である。
管理装置500は、画像形成装置100a及び他の画像形成装置600を管理するための装置であり、図13に示すように、これら各装置とネットワークを介して接続されている。
ここで、管理装置500は、画像形成装置100aを製造したメーカーの管理部門に設置される。
そして、管理装置500は、図12に示すように、該管理装置全体を制御するための管理制御回路部501と、上記各画像形成装置とデータのやり取りを行うための管理I/F部502と、管理入力表示部503とを備える。
本実施例では、管理装置500を画像形成装置100aを製造したメーカーの管理部門に設置する構成にしたが、これに限らず、該画像形成装置を管理会社に設置する、又は画像形成装置が設置された一般の会社内の管理部門に設置する構成にしてもよい。メーカーの管理部門以外に管理装置500を設置する場合には、該管理装置において特定できなかった不特定動作音に関連したデータは、該管理装置からメーカー側の後述する解析員が操作する操作端末宛にメール等の送信手段を用いて送信される。
【0122】
管理制御回路部501は、図12に示すように、管理CPU5011と、不特定異音収集部5012と、不特定異音特定部5013と、既知異音データDB5014と、部品交換時期換算データDB5015と、基準動作音データDB5016と、経時動作音データ収集部5017と、解析動作音データDB5018と、解析結果通知部5019とを備える。
そして、管理制御回路部501は、画像形成装置100aから上記「不特定異音が検出された旨」の通知を受けると、不特定異音収集部5012に不特定異音の収集を指示する。
【0123】
不特定異音収集部5012は、上記不特定異音の検出を通知した画像形成装置(画像形成装置100a又は他の画像形成装置600のいずれか1台)から、該装置が有する経時動作音データメモリを検索し、ワーニング情報「不特定異音検出」が付加された当該異音の経時動作音データを取得する部分である。
即ち、不特定異音収集部5012は、上記不特定異音の収集の指示を受けると、上記不特定異音の検出を通知した当該画像形成装置の経時動作音データメモリを検索し、ワーニング情報「不特定異音検出」が付加された当該異音の経時動作音データを取得する。
【0124】
不特定異音収集部5012が上記異音の経時動作音データを取得すると、管理制御回路部501は、不特定異音特定部5013に不特定異音の特定を指示する。
【0125】
既知異音データDB5014は、画像形成装置100a及びその他の画像形成装置600の基準機に対する実験から取得した、既知異音データ(部品異常に起因する異音データ)を記憶すると共に、これら画像形成装置を納入後に各画像形成装置からの異音通知に対する解析結果に基づき、新たに生成した異音データを記憶するための記憶部である。この新たな異音データの生成については、後で詳細に説明を行う。
ここで、既知異音データDB5014に記憶されている既知異音データの中には、画像形成装置100aの既知異音データメモリ1016aに記憶されている既知異音データに含まれていないデータ(他の画像形成装置600から通知された異音通知に基づき生成した異音データ)がある。
【0126】
部品交換時期換算データDB5015は、画像形成装置100a及びその他の画像形成装置600の基準機に対する実験から取得した、部品交換時期換算データを記憶すると共に、これら画像形成装置を納入後に各画像形成装置からの異音通知に対する解析結果に基づき、新たに生成した部品交換時期データを記憶するための記憶部である。この新たな部品交換時期換算データの生成については、後で詳細に説明を行う。
ここで、部品交換時期換算データDB5015に記憶されている部品交換時期換算データの中には、画像形成装置100aの部品交換時期換算データメモリ10181aに記憶されている部品交換時期換算データに含まれていないデータ(他の画像形成装置600から通知された異音通知に基づき生成した換算データ)がある。
【0127】
基準動作音データDB5016は、画像形成装置100aの基準動作音データメモリ1015に記憶された基準動作音データと同じデータを記憶する記憶部である。
【0128】
不特定異音特定部5013は、画像形成装置100a及びその他の画像形成装置600から収集された異常の兆しがあると判定された経時動作音データの騒音指標と、基準動作音データDB5016に記憶された当該動作音の基準動作音データの騒音指標とを比較して得られた各周波数成分の差分(異音特徴)に基づき、既知異音データDB5014から該当する異音データを特定する部分である。
即ち、不特定異音特定部5013は、異音の兆しのある経時動作音データに含まれる騒音指標の各周波数毎の音圧レベルと、当該基準動作音データに含まれる騒音指標の各周波数毎の音圧レベルとから各周波数毎の差分を算出し、異音の特徴を示す騒音指標(異音騒音指標)を求める。
【0129】
そして、不特定異音特定部5013は、上記異音騒音指標を算出すると、該算出した異音騒音指標と、既知異音データDB5014に予め記憶された各異音データの騒音指標とを比較する。
このとき、不特定異音特定部5013は、異音騒音指標を各異音データの騒音指標と比較できるように、該異音指標の音圧レベルをn倍したn倍異音騒音指標を生成する。
このn倍のnの値は、各異音データの騒音指標毎に異なった値となる。
【0130】
そして、不特定異音特定部5013は、各異音に対応するnの値に基づいて生成したn倍異音騒音指標と、各異音データの騒音指標とを順次照合し、照合が一致した場合には、当該異音データを特定する。
不特定異音特定部5013は、異音データを特定すると、該結果を管理制御回路部501に通知する。
ここで、照合結果が所定の誤差範囲内であった場合には、照合一致と判定する。
【0131】
一方、不特定異音特定部5013は、いずれの既知異音データとも照合不一致の場合、既知の異音ではない旨を管理制御回路部501に通知する。
【0132】
管理制御回路部501は、異音データが特定された旨の判定結果を受けると、該特定された異音の既知異音データを管理I/F部502を介して画像形成装置100aに送信する。
【0133】
一方、管理制御回路部501は、既知の異音では無い旨の判定結果を受けると、他の画像形成装置600が有する図示しない経時動作時音メモリから最新の経時動作音データを収集すべく、経時動作音データ収集部5017に最新経時動作音データの収集を指示する。
【0134】
経時動作音データ収集部5017は、管理装置500とネットワーク接続されている画像形成装置100a及び他の画像形成装置600の内、当該データ収集が必要となる要因の異音を送信した1つの装置を抜かした他の装置が有する経時動作音データメモリから最新の経時動作音データを収集する部分である。
即ち、経時動作音データ収集部5017は、上記経時動作音データの収集の指示を受けると、上記他の装置が有する経時動作音データメモリから最新(予め設定された期間であり、例えば1ヶ月以内)の経時動作音データを収集する。
【0135】
そして、経時動作音データ収集部5017は、上記各装置から各最近の経時動作音データを収集すると、該収集したデータを解析動作音データとして解析動作音データDB5018に記憶する。
【0136】
解析動作音データDB5018は、上記他の装置から収集された最新の経時動作音データを記憶するための記憶部である。
ここで、解析動作音データDB5018に記憶されたデータは、後述するメーカーの解析員による管理入力表示部503を介した操作に基づき消去可能である。
【0137】
解析動作音データDB5018に解析動作音データが記憶されると、管理制御回路部501は、メーカーの解析員に不特定異音の解析を通知すべく、該回路の図示しないメモリに予め設定されている「不特定異音解析指示通知」を管理入力表示部503が有する図示しないディスプレイ上に表示させる。
上記「不特定異音解析指示通知」がディスプレイ上に表示されると、メーカー側の解析員は、管理入力表示部503を介して解析動作音データDB5017に記憶された各解析動作音データを該ディスプレイに表示する。
そして、解析員は、ディスプレイに表示された各解析動作音データから、他の装置においても当該不特定異音と同じ傾向の異音が発生する兆しがあるか否かを調べる。
【0138】
上記解析員は、分析の結果、他の装置にも同様の傾向があることが分かると、経時動作音のひとつであると判断する。
そして、解析員は、経時動作音のひとつであると判断すると、別途、画像形成装置100aの標準機に対し評価試験を行い、当該異音の発生箇所と部品を特定し、どの程度の期間で磨耗が増加し、異常の兆しのある動作音になるのかを検証する。
このとき、解析員は、当該異音が波及性の高い部品異常に結びつく音であるか否かをも判断する。
【0139】
一方、解析員は、分析の結果、他の装置に同様の傾向が無いことが分かると、別途、画像形成装置100aの標準機に対し評価試験を行い、当該異音が経時動作音であるのか、それとも雑音であるのかを調べる。
そして、解析員は、経時動作音であることが分かると、当該異音の発生箇所と部品を特定し、どの程度の期間で磨耗が増加し、異常の兆しのある動作音になるのかを検証する。
一方、解析員は、雑音であることが分かると、解析結果を「雑音である」と結論付ける。
【0140】
その後、解析員は、管理装置500の管理入力表示部503を介して、上記評価試験により得られた結果が経時動作音である場合には、当該異音に対する既知異音データ(デジタル形式の動作音、騒音指標、環境条件)と、当該部品の部品交換時期換算データとを生成する。
このとき、解析員は、当該異音が波及性の高い部品異常に結びつく音である場合には、上記各データに「全装置へ通知」を示す緊急通知情報を付加して生成する。
【0141】
一方、解析員は、上記評価試験により得られた結果が雑音である場合には、管理入力表示部503を介して「異常の兆しの無い雑音である」旨を示す通知を指示する。
管理制御管理部501は、上記通知を受けると、解析結果通知部5019に解析結果の通知を指示する。
【0142】
上記新たな既知異音データ及び部品交換時期換算データが生成されると、管理制御回路部501は、既知異音データDB5014に該既知異音データを記憶すると共に、部品交換時期換算データDB5015に該部品交換時期換算データを記憶する。
管理制御回路部501は、上記記憶を終えると、解析結果通知部5019に解析結果の通知を指示する。
【0143】
解析結果通知部5019は、不特定異音の解析結果を、該異音が発生した画像形成装置のみに通知する、又は該装置と同じ機種の全ての画像形成装置に通知する部分である。
即ち、解析結果通知部5019は、上記解析結果の通知の指示を受けると、既知異音データDB5014に記憶された新たな異音データ及び部品交換時期換算データDB5015に記憶された新たな部品交換時期換算データに上記緊急通知情報が付加されている場合には、ネットワークに接続された全ての画像形成装置へこれら各データを含む「新既知異音データの登録通知」を送信する。
【0144】
一方、解析結果通知部5019は、上記各データに上記緊急通知情報が付加されていない場合には、ネットワークに接続された当該異音を検出した画像形成装置のみに該各データを含む「解析結果」を送信する。
【0145】
また、解析結果通知部5019は、上記「異常の兆しの無い雑音である」旨を示す通知の指示を受けると、ネットワークを接続された当該異音を検出した画像形成装置のみに該メッセージが含まれる通知を送信する。
【0146】
<実施例2の動作>
図14は、本発明に係る実施例2の画像形成装置100aの不特定異音検出時の動作を示すフローチャートである。
次ぎ、実施例2の画像形成装置100aの不特定異音を検出した場合における、該装置の動作について、図14を用いて詳細に説明を行う。
ここで、不特定の異音が「雷の音による雑音」であった場合を例に、説明を行う。
【0147】
画像形成装置100aの異音検出部1017aは、異音特定部10172から上記不特定異音がある旨の通知を受けると(ステップS201)、経時動作音データメモリ1014aに記憶された当該経時動作音データに「不特定異音」を示すワーニング情報を付加する(ステップS202)。
そして、異音検出部1017aは、上記付加処理を行うと、不特定異音検出通知部1020に不特定異音の通知を指示する。
【0148】
不特定異音検出通知部1020は、上記不特定異音の通知の指示を受けると、制御回路部101a及びI/F部102を介して管理装置500に「不特定異音が検出された」旨を通知する(ステップS203)。
【0149】
管理装置500の管理制御回路部501は、管理I/F部502を介して画像形成装置100aから上記「不特定異音が検出された旨」の通知を受けると、不特定異音収集部5012に不特定異音の収集を指示する。
【0150】
不特定異音収集部5012は、上記不特定異音の収集の指示を受けると、上記不特定異音の検出を通知した当該画像形成装置の経時動作音データメモリを検索し、ワーニング情報「不特定異音検出」が付加された当該異音の経時動作音データを取得する(ステップS204)。
【0151】
その後、管理装置500において、上記したように、異音に対する解析が行われ、該異音が特定される。そして、管理装置500は、画像形成装置100aに対し、管理I/F部502を介して解析結果を通知する(ステップS205)。
【0152】
画像形成装置100aの制御回路部101aは、管理装置500から、上記不特定異音の解析結果の返答として「解析結果通知」を受信する(ステップS206)。
このとき、制御回路部101aは、上記解析結果通知に、新たな異音データ(ある部品の異常に起因した異音)と、新たな部品交換時期換算データとが含まれていると(ステップS207)、該新たな異音データを既知異音データメモリ1016aに追加記憶すると共に、該新たな部品交換時期換算データを部品交換時期換算データメモリ10181aに追加記録する。
そして、制御回路部101aは、経時動作音データメモリ1014aに記憶された当該ワーニング情報が付加された経時動作音データに対し、「異音特定済」を示す情報を付加する。(ステップS208)
【0153】
一方、制御回路部101aは、上記解析結果通知に、「部品異常に起因していない雑音であり、問題なし」を示すメッセージのみが含まれていると、経時動作音データメモリ1014aに記憶された当該ワーニング情報が付加された経時動作音データに対し、「雑音と特定済」を示す情報を付加する(ステップS209)。
【0154】
<実施例2の効果>
本発明の実施例2の画像形成装置100aでは、不特定異音を検出した場合、管理装置500に該音の検出を通知し、これにより管理装置500が該異音に該当する経時動作音データを該装置から収集する。そして、管理装置500では、上記収集した不特定異音の経時動作音データを解析し、該解析結果を画像形成装置100aに送信することができる。従って、画像形成装置100aでは、該装置で特定できなかった不特定異音に対し、メーカー側から迅速な解析結果を得ることができるので、ユーザの利便性を向上させることが可能である。
【0155】
また、管理装置500では、画像形成装置100a及び該装置と同機種の他の画像形成装置600から不特定の異音データを収集して解析し、該異音が経時動作音であると判定すると、自機が有する既知異音データDB5014に記憶する。これにより、画像形成装置100aでは、不特定の異音検出を管理装置500に通知した後、該管理装置が自機の上記DBを用いて該異音の特定を行う。このように、管理装置500において、各画像形成装置から通知された不特定異音に基づき生成された既知異音データが管理されているので、画像形成装置100aでは、より迅速に解析結果を得ることができる。
【0156】
更に、管理装置500では、ある画像形成装置から通知された不特定異音が波及性のある故障に基づく異音であることを判定すると、全ての画像形成装置に対し、該異音に基づく異音データを送信する。これにより、画像形成装置100a及び他の画像形成装置において、自機と同機種の他の装置とが互いの装置に生じた異音データを共有することができる。従って、画像形成装置100aでは、より異音特定の精度を向上することが可能である。
【0157】
尚、本実施例1の画像形成装置100と、本実施例2の画像形成装置100aでは、集音部1041がマイクを有する構成にしたが、これら画像形成装置がMFP装置の場合において、該マイクの代わりに該MFP装置に備えられた受話器を用いる構成にしてもよい。上記構成の場合、装置内部の音を効率良く伝導できる集音管を配置するなどして装置内部の動作音を取得することが可能である。
【0158】
上記構成において、装置内部の動作音取得時に、制御回路部101又は101aでは、装置外部の人の話声が入り込むことを防ぐために、受話器のマイクに人の声の音声帯域にフィルタをかけるべく制御を行う。
また、装置内部の動作音を取得する場合には、印刷動作音取得時に、該受話器に上記フィルタを有効にする制御を行う。
受話器のマイクからの音も同時に動作音AD変換部1042においてデジタル音に変換する。
上記変換したデジタル音を経時動作音データ生成部1013においてフーリエ変換して指標化処理を行い、該処理により得た経時動作音から差し引き保存する。
【0159】
また、実施例1の画像形成装置100及び実施例2の画像形成装置100aにおいて、自機が寿命になった、又は寿命間近の場合には、各状況に則したメッセージの表示を行う構成にしてもよい。
上記構成において、装置が寿命になった、又は寿命間近になると、稼動部品の磨耗による異音が発生している場合には、制御回路部101又は100aは、「装置が寿命です。異音が発生し始めていますので、新しい装置の導入をお勧めします。」の旨を示すメッセージを該装置が有するタッチパネルディスプレイ上に表示させる。
【0160】
更に、実施例1の画像形成装置100及び実施例2の画像形成装置100aでは、該装置が有するタッチパネルディスプレイ上に通知を画面表示する構成にしたが、これに限らず、該通知を該装置が有する図示しないスピーカーを用いて音声通知する構成にしてもよい。
【0161】
そして、実施例1の画像形成装置100及び実施例2の画像形成装置100aでは、装置内部の動作音を検出して異常の兆しの有無を判定しているが、これに限らず、装置内部の振動音を検出して異常の兆しの有無を判定する構成にしてもよい。
上記構成の場合、画像形成装置100及び実施例2の画像形成装置100aでは、振動センサを該装置内部に配設し、該センサからの出力に基づき振動データを取得する。
その後、上記構成では、上記取得した振動データをAD変換部においてデジタルデータに変換し、フーリエ変換を行い、振動指標を生成する。この振動指標に基づいて、異常の有無を判定する。
ここで、上記構成の場合には、装置の筐体内の振動が取得されるので、動作音取得処理とは異なり、外部からの影響を受けにくいという利点がある。
【0162】
また、実施例1の画像形成装置100及び実施例2の画像形成装置100aでは、1つの動作音取得部104を図2に示す位置に配設する構成にしたが、これに限らず、各動作音を発する部分に各々1つずつ、即ち、装置内部に複数の動作音取得部104を配設する構成にしてもよい。
上記構成の場合、各動作音を発する部分の動作音をより高精度な音で取得することができる。
【産業上の利用可能性】
【0163】
前記した実施例では、本発明の画像形成装置を電子写真方式のモノクロプリンタとして説明したが、これに限る必要はなく、例えばカラープリンタ、複写機、ファクシミリ、複合機(MFP)等に適用可能である。
また、前記実施例では、本発明を画像形成装置に適用した例を説明したが、これに限る必要はなく、例えば可動部があり、寿命による可動部の劣化により動作音が増加する装置にも適用可能である。
更に、上記装置に適用を行った場合、該装置は、ネットワークを介して管理装置に接続され、該管理装置により異常を監視される装置としても適用可能である。
【符号の説明】
【0164】
100 画像形成装置
101 制御回路部
1013 経時動作音データ生成部
10131 騒音指標化処理部
10132 環境条件取得部
1014 経時動作音データメモリ
1015 基準動作音データメモリ
1016 既知異音データメモリ
1017 異音検出部
10171 経時異常判定部
10172 異音特定部
1018 部品交換時期算出部
10181 部品交換時期換算データメモリ
1019 部品交換時期通知部
1020 不特定異音検出通知部
103 入力表示部
104 動作音取得部
1041 集音部
1042 動作音AD変換部
1043 動作時音メモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置内部の動作音を取得する動作音取得部を有する画像形成装置であって、
装置内の各部品の異常発生時の異常動作音を予め記憶する既知異音メモリと、
前記各部品の異常動作音の大きさと、各部品の寿命との関係を示す部品交換時期換算データを予め記憶する部品交換時期換算データ記憶部と、
前記動作音取得部で取得した動作音を含むデータを定期的に記憶する経時動作時音メモリと、
前記経時動作時音メモリに新たな動作音を含むデータが記憶されると、該新たなデータと該メモリに記憶された過去のデータとを比較して、新たな動作音が過去の動作音より所定の閾値以上大きな動作音であると、該新たな動作音を異常の兆しのある動作音であると判定する経時異常判定部と、
前記経時異常判定部で新たな動作音が異常の兆しのある動作音であると判定されると、該動作音と前記既知異音メモリに記憶されたいずれかの異常動作音とを照合し、照合一致の場合異常音を発する部品を特定する異音特定部と、
前記異音特定部が部品を特定すると、該特定された部品と、当該部品が発する異常音の大きさとに基づいて前記交換時期換算データ記憶部を検索し、該部品の寿命を示す部品交換時期を算出する部品交換時期算出部と、
前記部品交換時期算出部が算出した部品交換時期を通知する通知部とを備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記画像形成装置は、該装置を管理する管理装置とネットワークを介して接続されており、
前記異音特定部が前記異常音を発する部品を特定できない場合、この不特定の異音の検出を前記管理装置に通知する不特定異音検出通知部と、
前記管理装置から前記通知に対する解析結果を受けると、該管理装置で前記不特定異音が特定された場合には、該解析結果に付与された新たな異常音を前記既知異音メモリに記憶させ、かつ該解析結果に付与された当該異常音を発する部品の新たな部品交換時期換算データを前記部品交換時期換算データメモリに記憶させる制御部とを更に備えることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−177748(P2012−177748A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−39589(P2011−39589)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】