説明

画像形成装置

【課題】液滴を垂直方向上方に向けて空吐出する記録ヘッドを備える場合に、空吐出された液体が重力で下方に落下し、ヘッドの周りを汚してしまう。
【解決手段】第2記録ヘッド114から吐出される空吐出滴300を受ける箱状の空吐出受け174が第2記録ヘッド174に対向する位置に配設され、空吐出受け174には空吐出滴300が進入する開口部203を有し、空吐出受け174の内部には開口部203の周縁部から立ち上る流出防止壁204が形成され、流出防止壁204の開口部側と反対側の内壁面204bは、空吐出滴300の進入方向に向かって収束する方向に傾斜している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置に関し、液滴を垂直方向上方に向けて吐出する記録ヘッドを備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プロッタ、これらの複合機等の画像形成装置として、例えばインク液滴を吐出する記録ヘッドを用いた液体吐出記録方式の画像形成装置としてインクジェット記録装置などが知られている。この液体吐出記録方式の画像形成装置は、記録ヘッドからインク滴を、搬送される用紙に対して吐出して、画像形成(記録、印字、印写、印刷も同義語で使用する。)を行なうものであり、記録ヘッドが主走査方向に移動しながら液滴を吐出して画像を形成するシリアル型画像形成装置と、記録ヘッドが移動しない状態で液滴を吐出して画像を形成するライン型ヘッドを用いるライン型画像形成装置がある。
【0003】
なお、本願において、「画像形成装置」は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等の媒体にインクを着弾させて画像形成を行う装置を意味し、また、「画像形成」とは、文字や図形等の意味を持つ画像を媒体に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を媒体に付与すること(単に液滴を媒体に着弾させること)をも意味する。また、「インク」とは、インクと称されるものに限らず、記録液、定着処理液、液体、樹脂などと称されるものなど、画像形成を行うことができるすべての液体の総称として用いる。また、「用紙」とは、材質を紙に限定するものではなく、上述したOHPシート、布なども含み、インク滴が付着されるものの意味であり、被記録媒体、記録媒体、記録紙、記録用紙などと称されるものを含むものの総称として用いる。また、「画像」とは平面的なものに限らず、立体的に形成されたものに付与された画像、また立体自体を三次元的に造形して形成された像も含まれる。
【0004】
画像形成装置としては、垂直方向下向きに液滴を吐出する記録ヘッドを備え、記録ヘッドに対向して搬送される用紙上に液滴を吐出させて画像を形成する構成が一般的である。そして、記録ヘッドのノズルの吐出安定性を維持するため、ノズル内のインク乾燥、ノズル内への埃混入防止のため、記録ヘッドのノズル面をキャッピングするキャップと、記録ヘッドのノズル面を払拭して清浄化するワイパ部材(ワイパブレード、ワイピングブレード、ブレードなどとも称される。)などを含む維持回復機構を備え、例えばノズルから増粘インクをキャップ内に排出した後、ノズル面をワイパ部材で払拭してノズルメニスカスを形成する回復動作などを行なう。
【0005】
また、回復動作後や印字途中でノズルの吐出状態を良好に維持するために、画像形成に寄与しない空吐出滴を空吐出受け部材に向けて吐出(空吐出)する空吐出動作が行われる。
【0006】
従来、吐出口からインクを重力に逆らって上向きに吐出して被記録媒体の下面に画像記録を行う記録ヘッドから該記録ヘッドのインク吐出性能の維持および回復を図るために予備吐出されたインクを受ける予備吐出受けを備え、予備吐出受けは、予備吐出されたインクの入口となる開口部を有し、予備吐出受け内に予備吐出されたインクが開口部から予備吐出受けの外に漏出することを防止するインク漏出防止手段が開口部の上方に設けられているものが知られている(特許文献1)。
【0007】
また、空吐出受け部材としては、記録ヘッドから空吐出される液滴を収容する収容部を形成している容器本体と、容器本体を覆い液滴が通過する開口部を形成した蓋部材とを備え、蓋部材の内面側(容器本体側)には、1つの開口部の両側(主走査方向両側)に容器本体の液体収容部側に向って立ち下がるリブを有し、他の開口部の両側(主走査方向両側)に容器本体の液体収容部側に向って立ち下がるリブを有しているものが知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−341321号公報
【特許文献2】特開2007−210121号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述したように液滴を垂直方向上方に向けて吐出する記録ヘッドを備える画像形成装置にあっては、空吐出も垂直方向上方に向けて行われるため、空吐出された液体を回収するとき、ヘッドの上方に吐出した大量の液体を回収できず、重力で下方に落下し、ヘッドの周りを汚してしまうという課題がある。
【0010】
そこで、特許文献1に開示されているように開口部の周縁部にリブを設けることで、底部に溜まる液体が開口部から垂れることを防止できるが、受け部材内に空吐出滴が吐出されることによって発生する気流によって内部で空吐出滴やミストが回流して開口部から飛散することまでは防止できないという課題がある。
【0011】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、空吐出滴を垂直方向上方に向けて吐出する場合でも、空吐出された液体やミストの開口部からの飛散をより確実に防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するため、本発明に係る画像形成装置は、
液滴を垂直方向上方に向けて吐出する記録ヘッドを備え、
被記録媒体を前記記録ヘッドの上方位置で搬送して前記記録ヘッドによって画像を形成する画像形成装置であって、
前記記録ヘッドから吐出される画像形成に寄与しない空吐出滴を受ける箱状の空吐出受けが前記記録ヘッドに対向する位置に配設され、
前記空吐出受けには前記空吐出滴が進入する開口部を有し、
前記空吐出受けの内部には前記開口部の周縁部から立ち上る流出防止壁が形成され、
前記流出防止壁の前記開口部側と反対側の内壁面は、前記空吐出滴の進入方向に向かって収束する方向に傾斜している
構成とした。
【0013】
ここで、前記空吐出受けの内部底面底及び前記流出防止壁の内壁面には液体を吸収する吸収部材が配設されている構成とできる。
【0014】
また、前記空吐出受けの内部には前記開口部に対向し、前記空吐出滴の進入方向に対して交差する方向に傾斜する液体制御面が設けられている構成とできる。
【0015】
この場合、前記液体制御面は前記空吐出滴の進入方向に対して拡散する方向に傾斜している構成とできる。
【0016】
また、前記液体制御面は平面又は曲面である構成とできる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る画像形成装置によれば、空吐出受けには空吐出滴が進入する開口部を有し、空吐出受けの内部には開口部の周縁部から立ち上る流出防止壁が形成され、流出防止壁の開口部側と反対側の内壁面は、空吐出滴の進入方向に向かって収束する方向に傾斜している構成としたので、空吐出滴を流出防止壁で堰き止めて開口部からの流出を防止し、空吐出滴の進入時に生じる気流で流出防止壁の内壁面に回り込む空液滴やミストを早期に内壁面に衝突させて回収することで、空吐出滴を垂直方向上方に向けて吐出する場合でも、空吐出された液体やミストの開口部からの飛散をより確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る画像形成装置の側面説明図である。
【図2】同じく平面説明図である。
【図3】本発明の第1実施形態における空吐出受けの断面説明図である。
【図4】本発明の第2実施形態における空吐出受けの断面説明図である。
【図5】本発明の第3実施形態における空吐出受けの断面説明図である。
【図6】本発明の第4実施形態における空吐出受けの断面説明図である。
【図7】本発明の第5実施形態における空吐出受けの断面説明図である。
【図8】本発明の第6実施形態における空吐出受けの断面説明図である。
【図9】本発明の第7実施形態における空吐出受けの断面説明図である。
【図10】本発明の第8実施形態における空吐出受けの断面説明図である。
【図11】本発明の第9実施形態における空吐出受けの断面説明図である。
【図12】本発明の第10実施形態における空吐出受けの断面説明図である。
【図13】本発明の第11実施形態における空吐出受けの断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。まず、本発明に係る画像形成装置について図1及び図2を参照して説明する。なお、図1は同画像形成装置の側面説明図、図2は同じく平面説明図である。
【0020】
この画像形成装置は、シリアル型画像形成装置であり、装置本体101内部に画像形成部102等を有し、装置本体101の下方側に配設された多数枚の被記録媒体(用紙)103を積載可能な給紙部104を備え、この給紙部104から給紙される用紙103を取り込み、搬送機構部105によって用紙103を搬送しながら画像形成部102によって所要の画像を記録した後、装置本体101の側方に装着された排紙トレイ106に用紙103を排紙する。
【0021】
ここで、画像形成部102は、第1キャリッジ111及び第2キャリッジ112を有し、第1キャリッジ111は左右の側板100L、100R間に横架した主ガイド部材121及び従ガイド部材122に摺動自在に保持され、また、第2キャリッジ112は左右の側板100L、100R間に横架した主ガイド部材123及び従ガイド部材124に摺動自在に保持され、主走査方向に移動走査される。
【0022】
第1キャリッジ111には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のインク滴を吐出するための液体吐出ヘッドからなる第1記録ヘッド113a、113b(区別しないときは「記録第1ヘッド113」という。)を、液滴を吐出する複数のノズルからなるノズル列を主走査方向と直交する副走査方向に配列し、液滴を垂直方向下向きに吐出させる状態で装着している。また、第2キャリッジ112には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のインク滴を吐出するための液体吐出ヘッドからなる第2記録ヘッド114a、114b(区別しないときは「第2記録ヘッド114」という。)を、液滴を吐出する複数のノズルからなるノズル列を主走査方向と直交する副走査方向に配列し、液滴を垂直方向上向きに吐出させる状態で装着している。
【0023】
なお、第1、第2記録ヘッド113、114は、それぞれ複数の液滴を吐出するノズルが列設された2つのノズル列を有し、記録ヘッド113a、114aの一方のノズル列はイエロー(Y)の液滴を、他方のノズル列はマゼンタ(Y)の液滴を、記録ヘッド113b、114bの一方のノズル列はブラック(K)の液滴を、他方のノズル列Nbはシアン(C)の液滴を、それぞれ吐出する。
【0024】
また、第1、第2記録ヘッド113、114を構成する液体吐出ヘッドとしては、圧電素子などの圧電アクチュエータ、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータ、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータなどを、液滴を吐出するための圧力を発生する圧力発生手段として備えたものなどを使用できる。また、第1、第2キャリッジ111、112には、インクと反応することでインクの定着性を高める定着液を吐出する液体吐出ヘッドなども搭載できる。
【0025】
給紙部104の用紙403は、給紙コロ(半月コロ)131と図示しない分離パッドによって1枚ずつ分離されて給紙され、搬送ローラ132によって搬送路133を介してレジストローラ対134に送られ、レジストローラ対134によって所定のタイミングで搬送路135を介して、搬送機構部105の搬送コロ151と152との間に送り込まれる。
【0026】
搬送機構部105は、第1キャリッジ111に対向してガイド部材(プラテン部材)153、第2キャリッジ112に対向してガイド部材(プラテン部材)154を有し、搬送コロ151、152によって用紙103を第1記録ヘッド111、第2記録ヘッド112に対向させて搬送する。
【0027】
搬送機構部105の下流側には、画像が記録された用紙103を排紙トレイ106に送り出すための排紙ローラ161、162が配設されている。
【0028】
また、図2に示すように、第1キャリッジ111の走査方向一方側の非印字領域には、第1記録ヘッド113のノズルの状態を維持し、回復するための維持回復機構171を配置している。この維持回復機構171には、第1記録ヘッド113の各ノズル面をキャピングするための吸引キャップ182a及び保湿キャップ182b(区別しないときは「キャップ182」という。)と、ノズル面をワイピング(払拭)するワイパ部材(ワイパブレード)183が保持され、また増粘したインクを排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる予備吐出(空吐出)を行うときの液滴を受ける空吐出受け184などを備えている。吸引キャップ182aには吸引手段としての図示しない吸引ポンプが接続され、吸引ポンプは廃液タンクに通じている。また、第1キャリッジ111の走査方向他方側の非印字領域には、記録に寄与しない液滴を吐出させる予備吐出(空吐出)を行うときの液滴を受ける空吐出受け172が配設されている。
【0029】
同様に、第2キャリッジ112の走査方向一方側の非印字領域には、第2記録ヘッド114のノズルの状態を維持し、回復するための維持回復機構173を配置している。この維持回復機構173には、第2記録ヘッド114の各ノズル面をキャピングするための吸引キャップ182a及び保湿キャップ182b(区別しないときは「キャップ182」という。)と、ノズル面をワイピング(払拭)するワイパ部材(ワイパブレード)183が保持され、また増粘したインクを排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる予備吐出(空吐出)を行うときの液滴を受ける空吐出受け184などを備えている。吸引キャップ182aには吸引手段としての図示しない吸引ポンプが接続され、吸引ポンプは廃液タンクに通じている。また、第2キャリッジ112の走査方向他方側の非印字領域には、記録に寄与しない液滴を吐出させる予備吐出(空吐出)を行うときの液滴を受ける本発明における空吐出受け174が配設されている。
【0030】
このように構成したこの画像形成装置においては、給紙部104から用紙103が1枚ずつ分離給紙されて搬送機構部105に送られ、搬送機構部105によって間歇的に用紙103が搬送される。そこで、第1キャリッジ111を移動させながら画像信号に応じて第1記録ヘッド113から液滴を吐出させることよって、停止している用紙103の一面にインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙103を所定量搬送後、次の行の記録を行う。また、第1キャリッジ112を移動させながら画像信号に応じて第2記録ヘッド114から液滴を吐出させることよって、停止している用紙103の他面にインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙103を所定量搬送後、次の行の記録を行う。なお、第1記録ヘッド113、第2記録ヘッド114による記録及び用紙103の搬送は、一方の記録中に用紙103が搬送されないようにタイミングが取られている。そして、両面に画像が形成された用紙103は排紙トレイ106に排紙される。
【0031】
また、第1、第2記録ヘッド113、114のノズルの維持回復を行うときには、第1、第2キャリッジ111、112をホーム位置である維持回復機構171、173に対向する位置に移動して、吸引キャップ182aによるキャッピングを行ってノズルからの吸引排出を行うノズル吸引、画像形成に寄与しない液滴を吐出する空吐出などの維持回復動作を行うことにより、安定した液滴吐出による画像形成を行うことができる。また、印字中などには、第1、第2キャリッジ111、112を空吐出受け172、174側に移動して空吐出を行ってノズルの状態を維持回復しながら、印字を継続する。
【0032】
次に、本発明の第1実施形態における空吐出受けについて図3を参照して説明する。なお、図3は同空吐出受けの断面説明図である。
空吐出受け174は、容器本体201と底部材202とからなり、第2記録ヘッド114のノズル面に対向する底部材202には、第2記録ヘッド114から垂直方向上方に向かって吐出される空吐出滴300が進入する開口部203が設けられている。
【0033】
そして、底部材202の容器本体201の内部側には開口部203の周縁部から立ち上る流出防止壁204が形成されている。この流出防止壁204は、外壁面(開口部203を形成している壁面)204a及び内壁面(容器本体201内部側の壁面)204bは、空吐出滴300の進入方向に向かって収束する方向に傾斜している面としている。
【0034】
また、容器本体201の内部側壁面201bには液体を吸収する吸収部材205が設けられている。また、容器本体201の側壁面201bと流出防止壁204との間で形成されている貯留部(底部)206にも吸収部材205が設けられている。
【0035】
このように構成したので、第2記録ヘッド114から垂直方向上方に向かって吐出される空吐出滴300が空吐出受け174の開口部203から内部に進入すると、この空吐出滴174によって容器本体201の内部空間207で気流301が生じて、この気流301は開口部203に対向する面(天面)201aから側壁面201bに向かって循環し、流出防止壁204の内壁面204bに衝突する。
【0036】
これにより、空吐出滴300やこれに伴うミストは側壁面201bの吸収部材205に付着して吸収され、また、流出防止壁204の内壁面204bに衝突して内壁面204に沿って流れ落ちて、容器本体201の側壁面201bと流出防止壁204との間で形成されている貯留部(底部)206に溜まり、流出防止壁204によって堰き止められて、開口部203から流出することがない。
【0037】
このとき、流出防止壁204の内壁面(容器本体201内部側の壁面)204bが空吐出滴300の進入方向に向かって収束する方向に傾斜しているので、内壁面204bが垂直方向に立ちあがっている場合よりも、気流301が内壁面204bに早く衝突して、空吐出滴300やミストを回収することができる。
【0038】
このようにして、空吐出滴を流出防止壁で堰き止めて開口部からの流出を防止し、空吐出滴の進入時に生じる気流で流出防止壁の内壁面に回り込む空液滴やミストを早期に内壁面に衝突させて回収することで、空吐出滴を垂直方向上方に向けて吐出する場合でも空吐出された液体やミストの開口部からの飛散をより確実に防止することができる。
【0039】
次に、本発明の第2実施形態における空吐出受けについて図4を参照して説明する。なお、図4は同空吐出受けの断面説明図である。
ここでは、開口部203を形成している流出防止壁204の外壁面204aを空吐出滴300に進入方向に沿う方向に形成したものである。このようにしても、前記第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0040】
次に、本発明の第3実施形態における空吐出受けについて図5を参照して説明する。なお、図5は同空吐出受けの断面説明図である。
ここでは、容器本体201の内部には、開口部203に対向する面側に、空吐出滴300の進入方向に対して交差する方向に傾斜する液体制御面210を有する部材211が設けられている。液体制御面210は空吐出滴300の進入方向に湾曲した曲面形状をなし、下側の端部が貯留部206の上方に臨んで配置されている。
【0041】
これにより、空吐出受け174内に開口部203から進入した空吐出滴300の一部が液体制御面210に着弾し、着弾した廃液302は液体制御面210に沿って貯留部206上に垂れ落ちて回収される。また、発生したミストは、液体制御面210で発生する気流によって、斜め上方向に移動し、重力によって、下方向に落下して貯留部206に回収される。
【0042】
このように、液体制御面を設けることで、空吐出滴が開口部に対向する面に着弾しても、それにより生じる廃液がそのまま真下の開口部に落下することが防止される。
【0043】
次に、本発明の第4実施形態における空吐出受けについて図6を参照して説明する。なお、図6は同空吐出受けの断面説明図である。
ここでは、液体制御面210は空吐出滴300の進入方向に向かう方向に湾曲した曲面形状をなし、下側の端部が貯留部206の上方に臨んで配置されている。このようにしても前記第2実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0044】
次に、本発明の第5実施形態における空吐出受けについて図7を参照して説明する。なお、図7は同空吐出受けの断面説明図である。
ここでは、液体制御面210は平面で傾斜した形状とし、下側の端部が貯留部206の上方に臨んで配置されている。このようにしても前記第2実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0045】
次に、本発明の第6実施形態における空吐出受けについて図8を参照して説明する。なお、図8は同空吐出受けの断面説明図である。
ここでは、容器本体201の開口部203に対向する天面201aを傾斜させて形成することで傾斜した液体制御面としている。このようにすれば、液体制御面を有する部材を別途設ける必要がなく、構成が簡単になる。
【0046】
次に、本発明の第7実施形態における空吐出受けについて図9を参照して説明する。なお、図9は同空吐出受けの断面説明図である。
ここでは、2つの第2記録ヘッド114a、114bからの空吐出滴を受ける空吐出受け174に前記第6実施形態の構成を適用したものである。なお、空吐出受け174の内部空間は2つの第2記録ヘッド114a、114bに対応する領域ごとに分割されているが、一体にすることもできる。
【0047】
次に、本発明の第8実施形態における空吐出受けについて図10を参照して説明する。なお、図10は同空吐出受けの断面説明図である。
ここでは、2つの第2記録ヘッド114a、114bからの空吐出滴を受ける空吐出受け174に前記第3実施形態の構成を適用したものである。この場合、液体制御面210a、210bを形成する部材210は一体にしている。
【0048】
次に、本発明の第9実施形態における空吐出受けについて図11を参照して説明する。なお、図11は同空吐出受けの断面説明図である。
ここでは、前記第7実施形態の構成において、容器本体201の側壁面201b、201bに排気ファン215、215を設け、飛散したミストを強制的に内部空間の上方に吸引するようにしている。排気ファン215の前又は後にフィルタ部材216を設けてミストを回収することで、ミストが空吐出受け174の外部に飛散しないようすることが好ましい。
【0049】
次に、本発明の第10実施形態における空吐出受けについて図12を参照して説明する。なお、図12は同空吐出受けの断面説明図である。
ここでは、前記第8実施形態の構成において、容器本体201の天面201aに排気ファン215を設け、飛散したミストを強制的に内部空間の上方に吸引するようにしている。排気ファン215の前又は後にフィルタ部材216を設けてミストを回収することで、ミストが空吐出受け174の外部に飛散しないようすることが好ましい。
【0050】
次に、本発明の第11実施形態における空吐出受けについて図13を参照して説明する。なお、図13は同空吐出受けの断面説明図である。
ここでは、2つの第2記録ヘッド114a、114bからの空吐出滴を受ける空吐出受け174の容器本体201内の空間を一体にし、それぞれの開口部203に対向して液体制御面210を側壁面201bにも対向させて配設することで、斜め上方から中央部下方に向かう気流301を生じさせるようにしている。
【0051】
なお、上記実施形態では、シリアル型画像形成装置で説明しているが、ライン型画像形成装置にも同様に適用できる。
【符号の説明】
【0052】
102 画像形成部
104 給紙部
105 搬送機構
106 排紙トレイ
111 第1キャリッジ
112 第2キャリッジ
113 第1記録ヘッド
114 第2記録ヘッド
174 空吐出受け
201 容器本体
202 底部材
203 開口部
204 流出防止壁
210 液体制御面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液滴を垂直方向上方に向けて吐出する記録ヘッドを備え、
被記録媒体を前記記録ヘッドの上方位置で搬送して前記記録ヘッドによって画像を形成する画像形成装置であって、
前記記録ヘッドから吐出される画像形成に寄与しない空吐出滴を受ける箱状の空吐出受けが前記記録ヘッドに対向する位置に配設され、
前記空吐出受けには前記空吐出滴が進入する開口部を有し、
前記空吐出受けの内部には前記開口部の周縁部から立ち上る流出防止壁が形成され、
前記流出防止壁の前記開口部側と反対側の内壁面は、前記空吐出滴の進入方向に向かって収束する方向に傾斜している
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記空吐出受けの内部底面底及び前記流出防止壁の内壁面には液体を吸収する吸収部材が配設されていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記空吐出受けの内部には前記開口部に対向し、前記空吐出滴の進入方向に対して交差する方向に傾斜する液体制御面が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記液体制御面は前記空吐出滴の進入方向に対して拡散する方向に傾斜していることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記液体制御面は平面又は曲面であることを特徴とする請求項3又は4に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−187737(P2012−187737A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−51125(P2011−51125)
【出願日】平成23年3月9日(2011.3.9)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】