説明

画像形成装置

【課題】定着装置において、エネルギの利用効率を高めつつ、ウェークアップ完了までの時間を短縮する。
【解決手段】プリンタにおいて、印字処理の完了後(ステップS12においてYES判断時)から次回の印字もしくはウェークアップの開始前の期間中に、直前の印字動作において第2の領域A2であった部分が、第1の領域A1に対応する位置に移動するまで(ステップS330でYES判断時)、定着ベルト301が回転され、そして、その後、回転が停止される(ステップS340)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、定着装置を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置等において用いられる定着装置には、シートに形成されたトナー画像を加熱定着させるものがある。
【0003】
このような定着装置は、たとえばベルトのような回転体をヒータ等によって加熱し、当該回転体の一部を他の回転部材等の部材に当接させ、そして、当該当接部分においてシートを挟持する。そして、上記回転体を回転させることにより、シートは搬送される。上記したような当接部分は、一般にニップ部と呼ばれる。
【0004】
このような定着装置において、上記回転体の加熱のための消責電力を抑制するために、シートの搬送の終了直後に、上記回転体の加熱および回転駆動が停止される場合がある。このような場合、加熱等の停止後、回転体において、ヒータ等に加熱された後シートと当接するまでの区間(以下、「第1の区間」という)と、シートに当接してからヒータ等に加熱されるまでの区間(以下、「第2の区間」という)とで、回転体が保有している熱量が異なる。
【0005】
具体的には、シートとの当接により回転体からシートに熱が移動することから、第1の区間はトナー画像の定着に十分温まっている状態でも、第2の区間は熱量が不足する状態である場合がある。このため、次回の印字時や、省電力状態からの復帰時(ウェイクアップ時)などでは、温度の低い第2の区間に対する加熱処理が必要とされる場合がある。
【0006】
このような定着装置に関し、従来から種々の技術が開示されている。
たとえば、特許文献1(特開平7−13461号公報)では、定着ローラの駆動速度を温度の立ち上がり特性や放熱による温度の下降特性、定着ローラ部の温度に対する駆動速度テーブルから速度を決定して駆動し、定着ローラの熱容量や放熱量の違いによる画像ムラやオフセットを防止する技術が知られている。
【0007】
また、特許文献2(特開2001−194947号公報)では、待機中にも定着ローラを加熱しておくことで、立ち上がり時間を短くし、印字開始時には定着ローラを所定期間回転させてから加熱処理を開始することにより、あらかじめ定着ローラの周方向の温度差を均一化させて、画像の光沢むらを防止する技術も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平7−13461号公報
【特許文献2】特開2001−194947号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来、定着部の加熱は温度の高い区間や低い区間の区別関係なく行っていたために、区間1に対して十分温まっているにもかかわらず加熱することとなり、余分に消章電力が増加している。
【0010】
特許文献1に記載の技術によれば、定着ローラの駆動速度を制御しながら最適な熱量を予めローラに与えておくことにより、駆動している間は、定着ローラの熱量を均一とすることができる。これにより、定着ローラにおける温度ムラを防止できると考えられる。しかしながら、当該技術では、定着ローラの駆動が停止される直前まで、定着ローラの加熱と駆動が継続される。このため、加熱停止後しばらく加熱部に残っている予熱を有効活用することができない。さらに、定着のための駆動の開始直後では駆動速度を最適にすることができるが、駆動が継続されることにより、上記した第1の区間に相当する、加熱が不要と考えられる区間に対しても加熱がなされてしまう。このため、余分に加熱の時間が必要となり、ウェークアップ時間が長くなるという課題も残る。
【0011】
また、特許文献2に記載の技術では、ウェークアップ開始時にまず定着ローラを駆動し、これにより、定着ローラの周方向の温度分布が均一化される。このため、その後の加熱時に温度の高い領域を無駄に加熱しないので、その点には、エネルギを効率よく利用していると言える。しかしながら、このとき、しばらくの間は加熱せずに定着ローラが駆動される。このため、ウェークアップ完了までの時間が長くなるという課題が残る。
【0012】
本発明は、かかる実情に鑑み考え出されたものであり、その目的は、定着装置において、エネルギの利用効率を高めつつ、ウェークアップ完了までの時間を短縮することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に従った画像形成装置は、印字媒体上のトナー像を加熱定着するための定着手段と、定着手段を加熱するための加熱手段とを備え、定着手段は、循環するように移動する移動体と、移動体を循環させるために駆動するための駆動手段とを含み、移動体を印字媒体に接触させることにより、当該印字媒体上のトナー像を定着し、加熱手段の加熱動作および駆動手段の駆動態様を制御するための制御手段をさらに備え、加熱手段は、移動体の一部分を加熱し、制御手段は、印字処理の完了後から次回の印字もしくはウェークアップの開始前に、移動体の、当該印字処理において印字媒体と当接した部分であって、当該印字処理後に加熱手段によって加熱されていない部分のみを加熱する、特別加熱処理を実行する。
【0014】
好ましくは、制御手段は、特別加熱処理を、当該印字処理において印字媒体に当接しなかった部分または印字媒体と当接した後加熱手段によって加熱された部分である第1の部分と、当該印字処理において印字媒体と当接した部分であって当該印字処理後に加熱手段によって加熱されていない部分である第2の部分との温度差が所定温度以上であることを条件として実行する。
【0015】
好ましくは、制御手段は、加熱手段の温度が基準温度を下回る場合は、特別加熱処理を実行しない。
【0016】
好ましくは、制御手段は、移動体を循環するように移動させることにより印字媒体を搬送し、印字処理における第2の部分が、当該印字処理において第1の部分が位置していたところに移動するまで、移動体を、印字媒体の搬送とは異なる速度で移動させる。
【0017】
好ましくは、印字媒体に対する印字処理の実施頻度を計測する頻度計測手段をさらに備え、制御手段は、頻度計測手段で計測した実施頻度に応じて、特別加熱処理を実行するか否かを判断する。
【0018】
好ましくは、制御手段は、印字処理完了時に加熱手段による加熱処理を停止してから所定時間経過前にウェークアップを実行する場合には、印字処理において印字媒体に当接しなかった部分または印字媒体と当接した後加熱手段によって加熱された部分である第1の部分が位置した位置に、印字処理において印字媒体と当接した部分であって当該印字処理後に加熱手段によって加熱されていない部分である第2の部分を移動するように、移動体を移動させた後、当該ウェークアップを実行する。
【0019】
好ましくは、所定時間は、第1の部分の温度が、第2の部分との温度差が所定温度以下まで低下よりも短い時間である。
【0020】
好ましくは、制御手段は、ウェークアップ前の移動体の移動の際に、印字処理における第2の部分が、印字処理における第1の部分が保持している熱量を越えない程度に、加熱手段を駆動する。
【0021】
好ましくは、制御手段は、ウェークアップ前の移動体の移動の際に、印字処理における第2の部分全体を加熱する。
【0022】
好ましくは、制御手段は、移動体を循環するように移動させることにより印字媒体を搬送し、移動体を加熱手段に対して相対的に移動させることにより、移動体を加熱し、第2の部分が加熱手段によって同時に加熱できる領域より広い場合には、移動体を、印字媒体の搬送の際の速度とは異なる速度で移動させる。
【0023】
好ましくは、制御手段は、移動体における第2の部分の加熱手段による加熱が終了した後は、移動体の移動速度を印字媒体の搬送の際の速度で移動させる。
【発明の効果】
【0024】
この発明によると、エネルギの利用効率を高めつつ、ウェークアップ完了までの時間を短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の画像形成装置の第1の実施の形態の断面を模式的に示す図である。
【図2】本発明の画像形成装置の制御システムブロック図である。
【図3】図1の画像形成装置の定着部の構成を模式的に示す図である。
【図4】本実施の形態における、定着部の駆動制御のための処理(定着駆動制御処理)のフローチャートである。
【図5】定着部駆動判断処理のサブルーチンのフローチャートである。
【図6】定着部駆動要否判断のサブルーチンのフローチャートである。
【図7】定着部駆動速度判断処理のサブルーチンのフローチャートである。
【図8】本発明の画像形成装置の第2の実施の形態であるプリンタにおいて、CPUが実行する、定着駆動制御のフローチャートである。
【図9】本発明の画像形成装置の第3の実施の形態であるプリンタにおいて、CPUが実行する、定着駆動制御のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。
【0027】
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の画像形成装置の第1の実施の形態の断面を模式的に示す図である。
【0028】
図1に示されたプリンタ1は、タンデム型のカラープリンタである。なお、本発明の画像形成装置は、プリンタに限定されず、ファクシミリ装置や、プリンタ機能とファクシミリ機能とを有する複合機などであっても良い。
【0029】
プリンタ1は、装置本体の下部に給紙部200を、中央部にカラー画像形成部100を、そして、上部に排紙部600を備えている。給紙部200から排紙部600に渡って、給紙部200から繰り出されたシート(印字媒体)Sを垂直上方に搬送するシート搬送路206が架設されている。また、プリンタ1は、ユーザからの操作を受け付ける操作パネル部500と、プリンタ1の動作を制御するための制御回路等を含む制御ユニット400とを備える。
【0030】
カラー画像形成部100は、駆動ローラ40と従動ローラ50を備え、また、駆動ローラ40と従動ローラ50には、中間転写ベルト30が水平に支架されている。また、カラー画像形成部100では、プリンタ1の本体の中央において矢印によって示される、中間転写ベルト30の走行方向に沿って、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の作像ユニット(イメージングユニット)10Y,10M,10C,10Bが設けられている。各作像ユニット10Y,10M,10C,10Bで作成されたトナー画像は、中間転写ベルと30上で重ね合わせられるように転写される。そのように生成されたトナー画像は、転写ベルト30の搬送端で、シート搬送路206を搬送されてくるシートに対して転写(2次転写)される。その後、シートは、トナー画像を定着するために、定着部300に送られる。
【0031】
カラー画像形成部100は、さらに露光部20を備える。
各作像ユニット10Y,10M,10C,10Bは、静電複写方式により作像する。そして、露光部20は、作像ユニット10Y,10M,10C,10Bの周囲に配された、帯電器、プリントヘッド21、および、反射ミラーを備える。作像ユニット10Y,10M,10C,10Bは、さらに、現像器、転写器などを含む。
【0032】
また、カラー画像形成部100は、各作像ユニット10Y,10M,10C,10Bの現像器にトナーを補給する補給機構として、トナーカートリッジ70Y,70M,70C,70B及びサブホッパ80Y,80M,80C,80Bを備える。トナーカートリッジ70Y,70M,70C,70B及びサブホッパ80Y,80M,80C,80Bは、作像ユニット10Y,10M,10C,10Bの上方に配置されている。
【0033】
図2は、本発明の画像形成装置の制御システムブロック図である。
図2を参照して、制御ユニット400は、主な構成要素として、CPU(central processing unit)401、通信インターフェース(I/F)部402、画像処理部403、画像メモリ404、レーザダイオード駆動部405、ROM(Read Only Member)406、RAM(Random Access Memory)407、エンジン制御部408などを備える。
【0034】
通信I/F部402は、LAN(Local Area Network)カード、LANボードといったLANに接続するためのインターフェースであり、外部からのプリントジョブのデータを受信して、受信したデータを画像処理部403に送る。
【0035】
画像処理部403は、通信I/F402からのプリントジョブのデータをYMCKの再現色の画像データに変換して、画像メモリ404に出力し、この画像データを再現色ごとに格納させる。
【0036】
レーザダイオード駆動部405は、各色の画像データを画像メモリ404から読み出して、露光部のレーザダイオードを起動する。
【0037】
ROM406には、画像形成動作に関する制御プログラムのほか、ウォームアップ制御、定着制御に用いられ、更に制御に使用されるテーブル等のデータが格納されている。
【0038】
RAM407は、CPU402のワークエリアとして用いられる。
CPU401は、ROM406から必要なプログラムを読み出して、画像処理部403での画像データの変換処理や、画像メモリ404における画像データの書き込み/読み出し等を行う。また、CPU401は、カラー画像形成部100や給紙部200などの動作を、タイミングを取りながら統一的に制御して円滑なプリント動作を実行させる。
【0039】
エンジン制御部408は、トナーカートリッジ70Y,70M,70C,70K等におけるトナー残量を検出するためのピエゾセンサ、トナー濃度を検出するためのTCR(Toner Carrier Ratio)センサ、トナーカートリッジ70Y,70M,70C,70Kの搭載の有無を検出するためのトナーカートリッジセットセンサ、トナーカートリッジ70Y,70M,70C,70Kの扉カバーの開閉を検出するためのTC(Toner Cartridge)扉カバー(センサ)、および、プリンタ1本体の前面のカバーの開閉を検出するための前カバー(センサ)から、検出出力を入力され、これらをCPU401に送信する。CPU401は、これらの検出出力を、プリンタ1の全体的な動作制御に利用する。また、エンジン制御部408は、CPU401からの信号に基づいて、トナーカートリッジ70Y,70M,70C,70Kを回転駆動するためのモータ(カートリッジモータ)、および、サブホッパ80Y,80M,80C,80Bを回転駆動するためのモータ(サブホッパモータ)に対して駆動信号を出力する。
【0040】
図3は、定着部300の構成を模式的に示す図である。
定着部300は、定着ベルト301と、定着ベルト301の内面を支持する発熱部材302及び定着ローラ303と、定着ベルト301を介して定着ローラ303と圧接してニツプ部を形成する加圧ローラ304と、定着ベルト301を介して発熱部材302に対向する励磁コイル305と、発熱部材302の温度を検出する加熱サーミスタ308と、加圧ローラ304の温度を検出する加圧サーミスタ309とを含む。
【0041】
定着部300では、励磁コイル305に交流電流が流されることによって、定着ベルト301と発熱部材302とが誘導加熱される。これにより、ニップ部において挟持搬送されるシートの上に形成されたトナー画像がシートに定着される。なお、ニップ部とは、定着ローラ303で支持された定着ベルト301と加圧ローラ304とが当接する部分である。定着ベルト301により、本発明の移動体が構成される。
【0042】
次に、定着部300における温度調整について説明する。
本明細書では、プリンタ1の電源がオンされてから、定着ベルト301と加圧ローラ304の表面をプリント可能温度にするための動作を「ウォームアップ」と呼ぶ。プリンタ1では、CPU401は、電源を入れ直した時や、ジャム処理復帰時、プリンタ1本体の前面カバーがオープン状態からクローズ状態にされた時、スリーブモードから復帰した時等に、ウォームアップ動作を実行する。
【0043】
ウォームアップ動作では、CPU401は、定着ベルト301と加圧ローラ304の表面の温度をプリント可能温度まで上昇させるために、励磁コイル305に交流電流を流す。これにより、定着ベルト301と発熱部材302とを誘導加熱する。
【0044】
プリンタ1の電源がオンされると、CPU401は、ヒータが点灯し、そして、定着ローラ303および加圧ローラ304の回転を開始させる。このヒータ点灯とローラ回転により、定着ベルト301と加圧ローラ304の表面をプリント可能温度に上昇させる。なお、ヒータ点灯とは、励磁コイル305への通電を意味する。加熱サーミスタ308により検出された温度と、加圧サーミスタ309により検出された温度に非接触の分だけ補正をかけた補正後温度とが、それぞれ、所定のプリント可能な温度になれば、ウォームアップ完了とする。
【0045】
プリント時の温調は、ヒータ点灯とローラ回転を行い、定着ベルト301と加圧ローラ304の表面をプリント可能温度に温調し続ける。
【0046】
本実施の形態では、定着ベルト301について、図3に示されるように、第1の領域A1と第2の領域A2に分けて考えられる。第1の領域A1とは、励磁コイル305によって加熱されてからニップ部に到達する領域をいう。また、第2の領域A2とは、ニップ部に到達してから励磁コイル305によって加熱されるまでの領域をいう。
【0047】
なお、本実施の形態では、矢印R1は、定着ベルト301の回転方向を示す。また、矢印R2は、シートの搬送方向を示す。定着ベルト301は、定着ローラ303が図示せぬモータ(CPU401によって駆動制御される)によって回転されることにより、矢印R1方向に循環するように回転する。したがって、定着ベルト301において、第1の領域A1および第2の領域A2を構成する部分は、固定されていない。定着ベルト301において、第1の領域A1を構成する部分は、定着ベルト301の回転とともに入れ替わる。また、定着ベルト301において、第2の領域A2を構成する部分は、定着ベルト301の回転とともに入れ替わる。
【0048】
図4は、本実施の形態における、定着部の駆動制御のための処理(定着駆動制御処理)フローチャートである。なお、以下に説明される各処理においてフラグが利用される場合、各フラグは、初期状態ではOFFされているものとする。
【0049】
図4を参照して、定着駆動制御処理では、CPU401は、ステップS10で、外部から受信したプリントジョブなどに起因する印字動作を実行し、そして、ステップS12で、当該印字動作が終了したか否かを判断する。そして、終了したと判断するとステップS20へ処理を進める。
【0050】
ステップS20では、CPU401は、定着加熱部の加熱を停止(つまり、励磁コイル305への通電を停止)し、ステップS30へ処理を進める。
【0051】
ステップS30では、定着部300の駆動を停止するか否かを判断するための処理である、定着部駆動判断処理を実行する。
【0052】
図5は、定着部駆動判断処理のサブルーチンのフローチャートである。
図5を参照して、定着駆動判断処理では、CPU401は、ステップS300で、定着部駆動要否判断処理を実行する。
【0053】
図6は、定着部駆動要否判断のサブルーチンのフローチャートである。
図6を参照して、定着部駆動要否判断処理では、CPU401は、ステップS3000で、印字頻度データを取得し、ステップS3010へ処理を進める。印字頻度データとは、プリンタ1における、たとえば、印字動作の時間間隔を表すデータにより構成される。印字頻度データは、CPU401が、或る印字動作が終了してから次の印字動作が開始するまでの時間間隔を計測することによって取得することもできる。
【0054】
ステップS3010では、CPU401は、後述する温度下降データを取得して、ステップS3020へ処理を進める。なお、環境データは、たとえばROM406に記憶されている。
【0055】
ステップS3020では、CPU401は、取得した印字頻度データと、温度下降データから、第1の領域A1と第2の領域A2の温度差がなくなると推測される時間以上印字動作間の間隔があいているか否かを判断する。温度下降データとは、定着部300の環境データと、定着部300に定着ベルト301の加熱を実行させない状態で放置した場合に第1の領域A1と第2の領域A2の温度差が特定の温度を下回ると判断される最短の時間とが関連付けられたデータである。ここで、環境データとしては、たとえば、定着部300近傍の雰囲気温度や湿度が挙げられる。プリンタ1では、図示せぬ温度センサや湿度センサによって、当該環境データが検出される。CPU401は、ステップS3020において、当該環境データを取得し、温度下降データにおいて当該取得した環境データに関連付けられた時間を取得し、そして、ステップS3000において取得した印字動作間の時間間隔が上記環境データに関連付けられた時間以上であるか否かを判断することにより、上記したような「推測される時間」以上印字動作間の間隔があいているか否かを判断する。そして、CPU401は、あいていると判断するとステップS3030へ処理を進め、あいていないと判断するとステップS3040へ処理を進める。
【0056】
ステップS3030では、CPU401は、駆動継続が不要であることを決定して、処理を図5へリターンさせる。ここでは、CPU401は、たとえば、駆動継続が不要である旨のフラグをONさせる。
【0057】
一方、ステップS3040では、CPU401は、駆動継続が必要であることを決定して、処理を図5へリターンさせる。ここでは、CPU401は、たとえば、駆動継続が必要である旨のフラグをONさせる。
【0058】
図5へ戻って、ステップS300で定着部駆動要否判断処理を実行した後、CPU401は、ステップS310で、ステップS300における判断(決定)の結果が、駆動継続が必要であるというものであるか否かを判断し、そうであると判断するとステップS32へ処理を進め、そうではないと判断すると(つまり、駆動継続が不要である)ステップS340へ処理を進める。ここでは、CPU401は、たとえば、ステップS3030またはステップS3040でONされたフラグの種類を検出する。なお、この場合、ステップS310では、CPU401は、当該検出の後、ONされたフラグをOFFさせて、ステップS320へ処理を進める。
【0059】
ステップS320では、CPU401は、第1の領域A1と第2の領域A2の温度差が所定温度以上であるか否かを判断し、そうであると判断するとステップS330へ処理を進め、そうではないと判断するとステップS340へ処理を進める。
【0060】
なお、ステップS320での判断は、たとえば第1の領域A1と第2の領域A2のそれぞれの近傍に温度センサを設け、各温度センサによって検出された温度に基づいて、行なわれても良い。
【0061】
また、ステップS320での判断は、直前にニップ部に通過した用紙の種類に応じて、第2の領域A2における温度低下量を推測し、当該推測された温度低下量に基づいて、行なわれても良い。具体的には、たとえば、ニップ部を通過した用紙が、厚紙であった場合には、普通紙であった場合よりも、第2の領域A2における温度低下量は大きいと推測される。また、連続してニップ部を通過した枚数が多い場合、少ない場合よりも、第2の領域A2における温度低下量は大きいと推測される。ROM406には、用紙の種類や連続通紙枚数等に対する温度低下量の推測値が、記憶されている。CPU401は、直前に実行されたジョブデータから、ニップ部を通過した用紙の種類や連続通紙枚数等のデータを取得し、当該データに対応する温度低下量の推測値を取得する。そして、当該推測値が所定温度以上であるか否かに基づいて、ステップS320における判断を実行する。
【0062】
ステップS330では、CPU401は、定着ベルト301における、直前の印字動作終了直後において第2の領域A2に位置した部分(つまり、ニップ部においてシートと当接した部分)が、当該直前の印字動作終了後に、励磁コイル305と対向する領域を通過して、第1の領域A1に位置しているか否かを判断し、そうであると判断するとステップS340へ処理を進め、そうではないと判断するとステップS350へ処理を進める。なお、CPU401は、たとえば、直前の印字動作終了後に、定着ベルト301を、直前の印字動作の終了直後に第2の領域A2に位置した部分を第1の領域A1に送ることができる程度(角度)以上回転させたか否かを判断し、回転させたと判断するとステップS340へ処理を進め、回転させていないと判断するとステップS350へ処理を進める。
【0063】
ステップS350では、CPU401は、加熱部(発熱部材302)の温度が基準温度よりも低下しているか否かを判断し、低下していると判断するとステップS340へ処理を進め、低下していないと判断すると、そのまま処理を図4へリターンさせる。なお、基準温度とは、定着ベルト301をトナー画像の定着に適する温度まで加熱するには低い温度であり、たとえば予めROM406に記憶されている。なお、たとえば、プリンタ1の設置場所や、定着部300において励磁コイル305が長時間通電されない場合などに、発熱部材302の温度が上記基準温度を下回ることが有り得る。
【0064】
ステップS340では、CPU401は、駆動停止させる旨の決定をして、図4へ処理をリターンさせる。この場合、たとえば、CPU401は、駆動停止させる旨のフラグをONさせる。
【0065】
図4に戻って、ステップS30の後、CPU401は、ステップS40で、ステップS30の処理における判断の結果、駆動停止をさせる旨の決定をしたか否かを判断し、駆動停止をさせる旨の決定をしたと判断した場合にはステップS50へ処理を進め、そのような決定をしていないと判断した場合にはステップS60へ処理を進める。なお、ステップS40では、CPU401は、たとえばステップS340において上記したフラグをONしたか否かを判断する。なお、当該判断の後、CPU401は、ONされたフラグをOFFにして、ステップS50へ処理を進める。
【0066】
ステップS50では、CPU401は、定着部300における加熱駆動を停止して、次の印字動作の要求を待つ。印字動作の要求される場合とは、たとえば、新たなジョブの実行を開始を指示する情報を受信した場合や、印字動作中に発生したジャムが解消して印字動作を再開する場合が挙げられる。
【0067】
一方、ステップS60では、CPU401は、定着部駆動速度判断処理を実行する。
図7は、定着部駆動速度判断処理のサブルーチンのフローチャートである。この処理は、定着ベルト301(定着ローラ303)の回転速度を決定するための処理である。
【0068】
図7を参照して、定着部駆動速度判断処理では、CPU401は、まずステップS600で、直前の印字動作においてトナー画像を定着させたシートは普通紙であったか否かを判断し、そうであったと判断するとステップS610へ処理を進め、そうではないと判断するとステップS640へ処理を進める。
【0069】
ステップS610では、CPU401は、ステップS320(図5参照)と同様に、第1の領域A1と第2の領域A2の温度差が所定温度以上か否かを判断し、そうであると判断するとステップS620へ処理を進め、そうではないと判断するとステップS640へ処理を進める。
【0070】
ステップS620では、CPU401は、加熱部(発熱部材302)の温度が所定温度範囲内であるか否かを判断し、そうであると判断するとステップS630へ処理を進め、そうではないと判断するとステップS640へ処理を進める。なお、所定温度範囲内とは、通常の加熱動作が実行できる範囲内である。たとえば、基準温度(図6のステップS350)より温度が低下している場合には所定の範囲外である。また、オーバーシュートにより、予め定められた温度を越えて高温となっている場合にも、所定の範囲外である。
【0071】
ステップS630では、CPU401は、定着ベルト301の回転速度を予め定められた速度(所定速度)に決定して、処理を図4へリターンさせる。当該決定に基づき、CPU401は、当該所定速度で回転するように定着ベルト301の回転を制御して、処理を図4へリターンさせる。
【0072】
一方、ステップS640では、CPU401は、定着ベルト301の回転速度を上記所定速度から変更させて、処理を図4へリターンさせる。CPU401は、変更後の速度で回転するように定着ベルト301の回転を制御する。
【0073】
図4に戻って、ステップS60において定着部駆動速度判断処理を実行した後、CPU401は、ステップS70で、定着ベルト301の回転駆動を継続させて、ステップS10へ処理を戻す。
【0074】
ここで、図7のステップS640における回転速度の変更の例を挙げる。
たとえば、ステップS600において、直前の印字動作で搬送の対象となったシートの種類が厚紙である場合には、CPU401は、定着ベルト301の回転速度を所定速度よりも低くする。これにより、シートの種類が普通紙であった場合よりも定着ベルト301における温度低下量が多いと想定されるこの場合において、誘導加熱により発熱する発熱部材302と当接する時間が長くなり、確実に、定着ベルト301に、失った熱量を補給できる。
【0075】
また、たとえば、ステップS610において、第1の領域A1と第2の領域A2の温度差が所定温度未満である場合には、CPU401は、所定速度よりも定着ベルト301の回転速度を高くする。定着ベルト301において温度ムラが少なく、部分的に加熱をする必要がないためである。
【0076】
また、たとえば、ステップS620において、加熱部(発熱部材302)の温度が所定範囲外である場合であって、当該加熱部の温度が所定範囲に対して低い側で外れている場合には、CPU401は、定着ベルト301の回転速度を所定速度より低くして、より確実に定着ベルト301の加熱が行なわれるように制御する。一方、加熱部(発熱部材302)の温度が所定範囲外である場合であって、当該加熱部の温度が所定範囲に対して高い側で外れている場合には、CPU401は、定着ベルト301の回転速度を所定速度より高くして、定着ベルト301と加熱部(発熱部材302)の当接が継続する時間を短くして、1回転の間に定着ベルト301に与えられる熱量を抑える。
【0077】
以上説明した本実施の形態では、印字処理の完了後(ステップS12においてYES判断時)から次回の印字もしくはウェークアップの開始前の期間中に、直前の印字動作において第2の領域A2であった部分が、第1の領域A1に対応する位置に移動するまで(ステップS330でYES判断時)、定着ベルト301が回転され、そして、その後、回転が停止された(ステップS340)。これにより、上記第2の領域A2であった部分が、発熱部材302や励磁コイル305における余熱により加熱される。このような処理内容が、移動体(定着ベルト301)の、当該印字処理において印字媒体と当接した部分であって、当該印字処理後に前記加熱手段によって加熱されていない部分(第2の領域A2)のみを加熱する、特別加熱処理に相当行する。
【0078】
また、上記のような特別加熱処理は、ステップS320においてYES判断時にのみ実行され、NO判断時には実行されない(NO判断時には、ステップS330に処理が進められることなく、定着ベルト301の回転駆動が停止される)。つまり、特別加熱処理は、直前の印字動作における第1の領域A1であった部分と第2の領域A2であった部分の温度差が所定温度以上であると判断された場合にのみ実行される。
【0079】
なお、本実施の形態では、定着ベルト301の第2の領域A2に対応する部分は、直前の印字処理において印字媒体と当接した部分であって当該印字処理後に発熱部材302によって加熱されていない部分に相当する。また、定着ベルト301の第1の領域A1に対応する部分は、直前の印字処理において印字媒体に当接しなかった部分または印字媒体と当接した後に発熱部材302によって加熱された部分に相当する。
【0080】
なお、本実施の形態において、温度下降データは、定着部の構成や材質などから予め決められたデータを有する場合や、周囲温度などの環境状態から推測する場合、加熱部の加熱を停止している状態での温度下降データを計測することで機械毎に取得することなど、様々な方法が考えられる。
【0081】
また、ステップS310〜ステップS330,ステップS350において、定着ベルト301の回転駆動の継続の可否のための判断がなされたが、当該判断の方法としては、1)第1の領域A1と第2の領域A2の温度差がなくなる、あるいは、所定範囲内の温度差に縮まると推測された場合に回転駆動を停止するように判断する場合や、2)駆動を継続した場合(ステップS340における駆動停止の決定をしない場合)の消責電力と、所定温度からの起動時に要する消責電力との比較から、駆動継続した方が消費電力を軽減できると判断して駆動を停止しない場合、あるいは、3)予め駆動継続する/しないをチョイスにて選択し、RAM407等において記憶したデータから判断する場合、などが考えられる。
【0082】
また、本実施の形態では、印字終了時に駆動を継続しないと判断された場合、起動時に、第1の領域A1と第2の領域A2の温度差をなくす処理を実行することによって、無断に定着ベルト301の駆動による電力を消費することなく消費電量を抑えつつ、ウェークアップの処理時間の短縮化を図ることが考えられる。
【0083】
その際、駆動停止と決定した場合には駆動停止し、待機状態、あるいは、省電力状態に遷移する。
【0084】
定着駆動判断では、加熱部(発熱部材302)に当接する部分から印字媒体接触位置(ニップ部)までの加熱後の第1の領域と、印字媒体通紙により印字媒体/加圧側に温度を与えた後の印字媒体接触位置から加熱部までの第2の領域とで、第1の領域に比べ温度が低い状態である第2の領域との温度差を検出し、その温度差が所定以上ある場合、第2の領域部を温めるために加熱部に第2の領域を進める。
【0085】
第2の領域が第1の領域の位置まで移動が完了した場合、第2の領域も第1の領域と同等に温まっていると判断できるため駆動を停止する。
【0086】
しかし、第2の領域が第1の領域の位置に到達する前に加熱部の温度が所定温度よりも低下した場合は、それ以上駆動を継続しても第2の領域に対して熱を与えることができないため、定着部300の駆動を停止する判断を行う。
【0087】
この場合、駆動停止するための条件として設定した所定温度とは、第2の領域温度以上、あるいは、温調温度から一定温度低下した温度としてもよい。
【0088】
また、加熱部が所定温度を下回った場合としているが、印字用紙の種類とベルト駆動速度により、低下する熱量が推測できるため、環境や用紙種、印字時の定着駆動速度に対して低下する温度を推定し、加熱部温度が推定温度下回った場合に駆動停止してもよい。
【0089】
定着駆動速度については、印字用紙種、第1の領域と第2の領域との温度差、加熱部の温度低下/上昇に応じて駆動速度を決定する。
【0090】
例えば、普通紙印字後の場合は印字時と等速で駆動を継続するが、厚紙などの通紙の場合は普通紙通紙時以上に第2の領域の温度が低下するため、駆動速度を遅くさせることで、第2の領域へ与える熱量を増加することを可能とする。
【0091】
あるいは、印字直後で加熱部がオーバーシュートにより温度が上がっている場合、印字速度を速めることで加熱部からの与える熱量を制御し、第1の領域と同等の温度にする。
【0092】
速度の決定については、印字した用紙種/環境などの情報、および、第1の領域/第2の領域の温度差から算出することを想定しているが、入力情報を元にテーブルから速度情報を決定することや、演算から速度決定することも考えられる。
【0093】
また、本実施の形態では、次回印字、あるいはウェークアップ開始時の定着領域(第1の領域と第2の領域)の温度を均一にすることで、起動時の消費電力を軽減することを目的とする。そして、このような目的に従い、印字終了時の定着駆動を継続させている。なお、印字後に省電力状態に移行し、次回印字までの経過時間が長い場合、定着領域自体の温度が室温付近まで低下する場合がある。
【0094】
この場合、印字終了時に駆動継続したことが次回起動時の消費電力軽減に寄与しないため、駆動継続したこと分だけ余分な電力を消費することになる。
【0095】
よって、ユーザーの印字頻度(間隔)に応じて定着部駆動判定で駆動を継続するか否かを判断する。
【0096】
駆動継続するか否かは定着部駆動要否判断処理にて行う。
ユーザーの印字時刻を記憶しておき各印字時刻の間隔から印字頻度を計測することや、前回の印字から次印字までの間隔を記憶しておくなど、印字頻度計測手投により印字頻度データを取得する。
【0097】
取得した印字頻度データと、定着部を放置した際の温度下降データから、第1の領域と第2の領域の温度差がなくなると推測される時間間隔があくと判断された場合、印字終了時の定着部駆動継続は不要であると判断する。
【0098】
温度下降データは、定着部の構成や材質などから予め決められたデータを有する場合や、周囲温度などの環境状態から推測する場合、加熱部の加熱を停止している状態での温度下降データを計測することで機械毎に取得することなど、様々な方法が考えられる。
【0099】
また、定着駆動継続の要否判断としては、温度差がなくなる、あるいは、所定範囲内の温度差に縮まると推測されることで判断する場合や、駆動継続した場合の消責電力と、所定温度からの起動時に要する消責電力との比較から、駆動継続した方が消費電力が軽減できると判断する場合、あるいは、予め駆動継続する/しないをチョイスにて選択し記憶したデータから判断する場合などが考えられる。
【0100】
また、印字終了時に駆動を継続しないと判断された場合、起動時に第1の領域と第2の領域の温度差をなくす処理にて消章電力軽減を図ることが考えられる。
【0101】
[第2の実施の形態]
図8は、画像形成装置の第2の実施の形態であるプリンタ1において、CPU401が実行する、定着駆動制御のフローチャートである。なお、本実施の形態では、プリンタ1のハードウェア構成については、第1の実施の形態と同様とすることができる。そして、本実施の形態では、定着部300における定着ベルト301の回転駆動の開始(再開)時に、間欠動作で、当該回転駆動を行う例について説明する。
【0102】
図8を参照して、CPU401は、S101にて、定着駆動(印字動作における、シート上のトナー画像の定着のためのモータ等の駆動)が停止状態であるかを判断する。そして、停止状態であると判断すると、ステップS101へ処理を進める。
【0103】
S102では、CPU401は、ジャム処理復帰時、カバークローズ時、スリーブモード復帰時等の定着駆動要因が発生したか否かを判断し、発生したと判断すると(S102−YES)、ステップS103へ処理を進める。一方、定着駆動要因が発生していなければ(S102−NO)、定着駆動を行う必要がないので、本制御を終了する。
【0104】
S103では、CPU401は、前回定着駆動を停止した時からの経過時間が所定の時間以内であれば(S103−YES)、S104へ処理を進める。ここで、所定の時間とは定着ベルト301の下部と上部の表面温度が時間経過により温度差が少なくなるまでの時間とし、実験データなどから求められる時間とする。ここでは、仮に10分とする。なお、ステップS103では、図示しない温度センサにより定着ベルト301の第1の領域A1での温度と第2の領域A2での温度が検出され、当該温度差が所定の温度よりも少なくなっていると判断できるので、本制御を終了する。
【0105】
S104では、CPU401は、定着ローラ303を半周回し、つまり、定着ベルト301を半周させるように定着ローラ303を回転させることにより、定着ベルト301の第1の領域A1に対応する部分、つまり、表面温度が低い部分を、発熱部材302によって加熱される位置に移動させて、S105へ処理を進める。
【0106】
S105では、CPU401は、励磁コイル305に通電する等して、定着ベルト301の表面の加熱を開始し、S106へ処理を進める。
【0107】
S106では、CPU401は、一定時間だけ加熱を行なう。ここで、一定時間とは、加熱部と面している定着ベルト301の表面が、温度差の高い方のベルト表面温度(サーミスタで検出した温度)を超えない程度の加熱時間とする。ここでは仮に2秒とする。そして、CPU401は、S107へ処理を進める。
【0108】
S107では、CPU401は、定着ベルト301の表面温度が低い部分、すなわち、第2の領域A2に対応していた部分が、まだ発熱部材302や励磁コイル305によって加熱されずに残っているか否かを判断する。そして、そのような部分が加熱されずに残っている場合は、再びS104からの制御を行う。たとえば、定着ベルト301の回転方向における寸法が長い構成の場合などは、S104〜S107の制御を複数回繰り返すことになる。一方、そのような部分が残っていないと判断すると(S107−NO)、CPU401は、定着ベルト301表面の温度が均一となったので、S108にて通常の定着駆動制御(ウォームアップ制御)を開始し、本制御を終了させる。
【0109】
すなわち、本実施の形態では、定着駆動を停止後しばらく経過後に再び定着駆動が行なわれる場合、定着ベルト301を駆動したまま加熱動作を行なわず、冷えている部分だけ加熱部によって加熱される位置に移動させ、そして、定着ベルト301を駆動せず加熱する。これにより、駆動のために必要とされる電力の消費を抑制できるとともに、すでに温まっている部分を無断に加熱することを回避できる。
【0110】
[第3の実施の形態]
図9は、本発明の画像形成装置の第3の実施の形態であるプリンタ1において、CPU401が実行する、定着駆動制御のフローチャートである。なお、本実施の形態では、プリンタ1のハードウェア構成については、第1の実施の形態と同様とすることができる。そして、本実施の形態では、定着部300における定着駆動の開始時に、定着の駆動速度を通常の速度より遅くして駆動を行なう例について説明する。
【0111】
なお、本実施の形態においても、第2の実施の形態における処理と同様に、定着駆動要因があった時に前回定着駆動を停止した時からの経過時間が所定の時間経過以内かどうかが判断される。この点については、第2の実施の形態と同様の処理内容であるため、説明を繰り返さない。つまり、図8のS201〜S203は、図7のS101〜S103と同様の内容である。
【0112】
そして、S204では、CPU401は、定着ローラ303を、通常の速度(印字処理においてシートを挟持搬送する際の回転速度)より遅い第2の速度で駆動し、S205に処理を進める。
【0113】
S205では、定着ベルト301の表面を励磁コイル305に通電する等により、加熱する。ここで、第2の速度とは、定着ベルト301を回転させたままでも、加熱部が、定着ベルト301に対して第1の領域A1と第2の領域A2の温度差をなくすまでの熱量を与えられるだけの速度であり、例えば、通常の速度−50%の速度とする。
【0114】
次に、S206にて、CPU401は、図9の処理開始時(または、前回の印字終了時)に第2の領域A2に位置していた部分が、第1の領域A1に位置するまで定着ローラ303を回転させて、第2の領域A2に対応していた部分の加熱が完了したか否かを判断し、完了するまでS204〜S205の処理を続ける。完了したと判断すると、S207へ処理を進める。
【0115】
S207では、CPU401は、通常の定着駆動制御を開始し、本制御を終了する。
すなわち、本実施の形態では、定着駆動を停止後しばらく経過後に再び定着駆動を行う場合、定着ベルトを通常の速度より遅い第2の速度で駆動しながら定着ベルトを加熱することで、無駄に温まっている部分を加熱することなく、且つ第2の実施例と比較して駆動の立ち上げ/立ち下げの制御が必要とないことで、定着ベルト温度の均一化をよりいっそう早めることが可能となり、ウェークアップ時間の短縮が可能となる。
【0116】
[実施の形態の効果]
印字終了からウェークアップ開始までの期間において、前記記載の第2の領域に対応する部分のみを加熱部に通過させるように定着駆動を制御することで、加熱部の予熱の有効活用と、余分に加熱する領域を抑えることが可能となり、定着部で消章する電力の低減が可能となる。
【0117】
さらに、あらかじめ定着ベルト301における温度差をなくしておくことにより、ウェークアップまでの時間もしくはウェークアップ完了時間を縮めることが可能となる。
【0118】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0119】
1 プリンタ、100 カラー画像形成部、200 給紙部、300 定着部、302 発熱部材、303 定着ローラ、304 加圧ローラ、305 励磁コイル、308 加熱サーミスタ、309 加圧サーミスタ、400 制御ユニット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印字媒体上のトナー像を加熱定着するための定着手段と、
前記定着手段を加熱するための加熱手段とを備え、
前記定着手段は、
循環するように移動する移動体と、
前記移動体を循環させるために駆動するための駆動手段とを含み、
前記移動体を印字媒体に接触させることにより、当該印字媒体上のトナー像を定着し、
前記加熱手段の加熱動作および前記駆動手段の駆動態様を制御するための制御手段をさらに備え、
前記加熱手段は、前記移動体の一部分を加熱し、
前記制御手段は、印字処理の完了後から次回の印字もしくはウェークアップの開始前に、前記移動体の、当該印字処理において印字媒体と当接した部分であって、当該印字処理後に前記加熱手段によって加熱されていない部分のみを加熱する、特別加熱処理を実行する、画像形成装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記特別加熱処理を、当該印字処理において印字媒体に当接しなかった部分または印字媒体と当接した後前記加熱手段によって加熱された部分である第1の部分と、当該印字処理において印字媒体と当接した部分であって当該印字処理後に前記加熱手段によって加熱されていない部分である第2の部分との温度差が所定温度以上であることを条件として実行する、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記加熱手段の温度が基準温度を下回る場合は、前記特別加熱処理を実行しない、請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御手段は、
前記移動体を循環するように移動させることにより印字媒体を搬送し、
前記印字処理における前記第2の部分が、当該印字処理において前記第1の部分が位置していたところに移動するまで、前記移動体を、印字媒体の搬送とは異なる速度で移動させる、請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
印字媒体に対する印字処理の実施頻度を計測する頻度計測手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記頻度計測手段で計測した実施頻度に応じて、前記特別加熱処理を実行するか否かを判断する、請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御手段は、印字処理完了時に前記加熱手段による加熱処理を停止してから所定時間経過前にウェークアップを実行する場合には、前記印字処理において印字媒体に当接しなかった部分または印字媒体と当接した後前記加熱手段によって加熱された部分である第1の部分が位置した位置に、前記印字処理において印字媒体と当接した部分であって当該印字処理後に前記加熱手段によって加熱されていない部分である第2の部分を移動するように、前記移動体を移動させた後、当該ウェークアップを実行する、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記所定時間は、前記第1の部分の温度が、前記第2の部分との温度差が所定温度以下まで低下よりも短い時間である、請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記ウェークアップ前の前記移動体の移動の際に、前記印字処理における前記第2の部分が、前記印字処理における前記第1の部分が保持している熱量を越えない程度に、前記加熱手段を駆動する、請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記制御手段は、前記ウェークアップ前の前記移動体の移動の際に、前記印字処理における前記第2の部分全体を加熱する、請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記制御手段は、
前記移動体を循環するように移動させることにより印字媒体を搬送し、
前記移動体を前記加熱手段に対して相対的に移動させることにより、前記移動体を加熱し、
前記第2の部分が前記加熱手段によって同時に加熱できる領域より広い場合には、前記移動体を、印字媒体の搬送の際の速度とは異なる速度で移動させる、請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記制御手段は、前記移動体における前記第2の部分の前記加熱手段による加熱が終了した後は、前記移動体の移動速度を印字媒体の搬送の際の速度で移動させる、請求項6に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−233983(P2012−233983A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−101327(P2011−101327)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】