画像形成装置
【課題】カートリッジの寿命を短くすることなく、画像形成時に中間転写体の速度変動が起こらず、転写位置ずれによる画像問題を防ぐことのできる画像形成装置を提供する。
【解決手段】クリーニング手段が中間転写体11から除去したトナーを再び中間転写体11に吐き出す吐き出し手段108を有し、中間転写体11の移動方向に関して画像形成を行う最上流の像形成部4yにおける現像手段7yが感光体5yに対する離間状態から当接状態に移動することにより現像手段7yにより現像されたトナー像が一次転写部T1yに到達するまでの間に、吐き出し手段108は、クリーニング手段により除去されたトナーが一次転写部T1yに介在するタイミングでトナーを中間転写体11へ吐き出す。
【解決手段】クリーニング手段が中間転写体11から除去したトナーを再び中間転写体11に吐き出す吐き出し手段108を有し、中間転写体11の移動方向に関して画像形成を行う最上流の像形成部4yにおける現像手段7yが感光体5yに対する離間状態から当接状態に移動することにより現像手段7yにより現像されたトナー像が一次転写部T1yに到達するまでの間に、吐き出し手段108は、クリーニング手段により除去されたトナーが一次転写部T1yに介在するタイミングでトナーを中間転写体11へ吐き出す。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、例えば電子写真方式で画像形成を行う複写機、プリンタ、ファクシミリ装置、及び複合機等の画像形成装置に関するものである。特に、像担持体としての感光体に形成したトナー像を中間転写体を介して転写材に転写した後に、中間転写体に残留したトナーを除去、清掃するために用いられるクリーニング手段を備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、電子写真方式のカラー画像形成装置では、複数の現像装置から像担持体としての感光体上に各々供給される異なった色のトナーを用いて複数色からなるカラー画像を形成する。斯かる画像形成装置では、感光体上に形成したトナー像を直接転写材上に転写せずに、中間転写体上に全てのトナー像を重ねて転写(一次転写)した後に、この複数色のトナー像を一括して転写材上に転写(二次転写)するようにしている。中間転写体上のトナー像を転写材上に転写する手段としては、中間転写体表面に転動しながら接する転写ローラを使用する。転写ローラには、転写ローラと中間転写体との間に転写材を通過させる際に、転写ローラからトナーの極性とは逆極性のバイアスを印加することにより、中間転写体上のトナーを転写材上に転写させている。転写材への転写工程では、中間転写体上の全てのトナーが転写材に転写されているわけではなく、中間転写体上にトナーが残っている(以後、「転写残トナー」という。)。この転写残トナーが中間転写体にそのまま残った状態で一次転写部に移動することを防ぐために、二次転写部の下流で且つ一次転写部の上流に、転写残トナーを機械的な力や静電気的な力を利用して除去するクリーニング手段を備えている。クリーニング手段としては、様々な構成が考案されている。
【0003】
機械的な力を利用するクリーニング手段としては、中間転写体に圧接された清掃部材であるクリーニングブレードで中間転写体上のトナーを掻き取った後に、画像形成装置内部に設けている廃トナー容器に回収する構成がある。静電気的な力を利用するクリーニング手段として、導電ゴム層を有したクリーニングローラに中間転写体上の転写残トナーと逆極性のバイアス電圧を印加して、中間転写体上の転写残トナーの極性を変える。これにより、転写残トナーを感光体に移動させて、カートリッジ内に回収する構成がある。
【0004】
その他、クリーニングブレードとクリーニングローラの両方を備え、転写残トナーをクリーニングローラから中間転写体に吐き出し、吐き出した転写残トナーと共に中間転写体上の潤滑剤を同時にクリーニングブレードで除去する構成がある。この構成では、中間転写ベルトの表面エネルギーを上げて、画像の中抜けを防止する構成とされている(特許文献1参照)。
【0005】
また、特許文献2では、感光体表面に残留したトナーを除去するクリーニング部において、感光体に当接したクリーニングブレード、残留トナーを除去して保持する機能と残留トナーを感光体に吐き出す機能を有するブラシを備えている。一部の感光体上でのみトナー像が形成されている場合にトナー像が形成されない複数の感光体のうち、相対的に上流側に位置する感光体に対応するブラシから残留トナーを吐き出して、相対的に下流側に位置するカートリッジ内に回収する構成である。なお、カートリッジ内への回収は、感光体に当接しているクリーニングブレードで、感光体表面に残留したトナーを掻き取ることで行っている。
【0006】
具体的には、最下流に位置している黒画像用カートリッジにおける白黒画像形成時に、白黒画像形成には使用されないカラー画像用カートリッジの中で相対的に下流側に位置するカートリッジの感光体を駆動させておく。次にカラー画像を形成する際に遅延が生じないように準備させておく。白黒画像形成には使用されないカラー画像用カートリッジの中で、相対的に上流に位置したカートリッジで発生した残留トナーを、相対的に下流に位置したカートリッジに向けて吐き出す。そうすることで、相対的に下流に位置したカートリッジの感光体と、感光体に接しているクリーニングブレードとの摩擦を低下させる潤滑剤の役割を担わせ、クリーニングブレードと感光体の寿命を向上させる効果を得ている。
【0007】
一次転写ローラを感光体側へ動かすことで、中間転写体が張力を得て感光体へ当接し、その後に現像装置、即ち、現像ローラが感光体に当接してレーザーによって形成された感光体上の静電潜像へトナーを付着させて現像する。一次転写は、一次転写ローラにトナーの極性とは逆極性のバイアスを印加することによりトナーを中間転写体へ転写する。中間転写体の移動速度と感光体の周速には、トナーの転写効率を上げるために速度差があるのが一般的であり、中間転写体の速度が若干速い。その為、中間転写体と感光体との摩擦抵抗により相対的に中間転写体へブレーキがかかっている。感光体に中間転写体が当接してから現像ローラが当接するまでは、中間転写体と感光体の当接部にトナーは介在していない。現像ローラが感光体に当接すると、中間転写体と感光体の当接部に微少のトナーが介在し、潤滑剤の役割を担うために摩擦抵抗が下がる。その為、トナーが中間転写体と感光体の当接部に介在する前後で、中間転写体を移動させる駆動ローラにトルク変動が生じて中間転写体の速度変動を引き起こす。
【0008】
一次転写は、複数色のカートリッジによってトナー画像を重ね合わせて行われるが、現像ローラの寿命の観点から、画像書き出し位置の直前に現像ローラと感光ドラムを当接させる。その為、現像ローラの当接は上流側から順に行われる。先に転写する上流側の一次転写部は、後に転写する下流側の一次転写部のトナーの介在による中間転写体の速度変動の影響を受け、トナー画像の転写位置がずれてしまう。その結果、各色間での転写位置ずれを生じるという画像問題があった。
【0009】
この問題に対して、上流側のカートリッジから中間転写体へ常にトナーを吐き出す方法がある(特許文献3参照)。上流側から常にトナーを吐き出すことで、中間転写体が移動し始めてから画像の書き出し位置までの間と、連続通紙における画像間時でも、すべての色の一次転写部で中間転写体と感光体の間にトナーが介在するので、速度変動が起こらず、画像問題の発生を防いでいる。
【0010】
しかしながら、特許文献3に記載するような上記手段を用いると、上流に位置するカートリッジ内のトナーを画像形成以外に使用するため、トナー消費量が多く、カートリッジの寿命が短くなり、ユーザにストレスを与えてしまう問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2006−30358号公報
【特許文献2】特開2007−192987号公報
【特許文献3】特開2004−117601号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、画像形成時に中間転写体の速度変動が起こらず、転写位置ずれによる画像問題を防ぐことのできる画像形成装置を提供することである。
【0013】
本発明の他の目的は、カートリッジの寿命を短くすることなく、画像形成時に中間転写体の速度変動が起こらず、転写位置ずれによる画像問題を防ぐことのできる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的は本発明に係る画像形成装置にて達成される。要約すれば、本発明は、
静電潜像が形成される感光体、及び、前記感光体に形成された静電潜像を現像してトナー像とする現像手段を各々備えた複数の像形成部と、
前記現像手段を前記感光体に当接及び離間させる接離手段と、
前記複数の像形成部に沿って移動し、前記感光体のトナー像が転写される中間転写体と、
前記感光体のトナー像を一次転写部にて前記移動する中間転写体に転写する一次転写手段と、
前記中間転写体のトナー像を二次転写部にて転写材に転写する二次転写手段と、
前記中間転写体の移動方向に関して前記一次転写手段の上流且つ前記二次転写手段の下流に配置され、前記中間転写体の転写残トナーを除去するクリーニング手段と、
を有する画像形成装置において、
前記クリーニング手段が前記中間転写体から除去したトナーを再び中間転写体に吐き出す吐き出し手段を有し、
前記中間転写体の移動方向に関して画像形成を行う最上流の前記像形成部における前記現像手段が前記感光体に対する離間状態から当接状態に移動することにより前記現像手段により現像された前記トナー像が前記一次転写部に到達するまでの間に、前記吐き出し手段は、前記クリーニング手段により除去されたトナーが前記一次転写部に介在するタイミングで前記トナーを前記中間転写体へ吐き出す、及び/又は、
前記中間転写体の移動方向に関して画像形成を行う最上流の前記像形成部における前記現像手段が前記感光体に対する当接状態から離間状態に移動することにより前記現像手段により現像された前記トナー像が前記一次転写部に介在しなくなる後に、前記吐き出し手段は、前記クリーニング手段により除去されたトナーが前記一次転写部に介在するタイミングで前記トナーを前記中間転写体へ吐き出す、
ことを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、中間転写体と感光体が当接してから、現像手段と感光体が当接するまで、中間転写体と感光体の間に吐き出し手段から吐き出されたトナーが介在する。そして、現像手段が当接してからは、現像手段上のトナーが中間転写体と感光体の間に微少に介在する。従って、本発明によれば、中間転写体の速度変動を防ぐことができる。そして、先に現像手段が感光体に当接する上流側の一次転写に対して、後に現像手段が感光体に当接する下流側の一次転写による画像への影響を防ぐことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る画像形成装置の一実施例の概略構成断面図である。
【図2】カートリッジを構成する現像装置の感光体ドラムに対する当接離間の構成を説明する図である。
【図3】中間転写ベルトクリーニング装置の構成及び動作を説明する全体構成図である。
【図4】中間転写ベルトクリーニング装置における帯電ローラ周辺の構成を説明する斜視図である。
【図5】中間転写ベルトクリーニング装置における帯電ローラの当接離間の構成を説明する斜視図である。
【図6】印刷中における1枚目の画像先端部への転写残トナー吐き出しの開始動作を説明する図である。
【図7】印刷中における1枚目の画像先端部への転写残トナー吐き出しの終了動作を説明する図である。
【図8】印刷中における二次転写の動作を説明する図である。
【図9】印刷中における最後の画像後端部への転写残トナー吐き出しの開始動作を説明する図である。
【図10】印刷中における最後の画像後端部への転写残トナー吐き出しの終了動作を説明する図である。
【図11】転写残トナー吐き出し動作のシーケンスを説明するフロー図である。
【図12】第2の実施例における帯電ローラの転写残トナー回収動作を説明する図である。
【図13】第2の実施例における保持ローラの転写残トナー保持動作を説明する図である。
【図14】第2の実施例における帯電ローラから保持ローラへ転写残トナーが移動するときのバイアスを説明する図である。
【図15】第2の実施例における保持ローラから中間転写ベルトへの吐き出し動作を説明する図である。
【図16】第2の実施例における保持ローラから帯電ローラへ転写残トナーが移動するときのバイアスを説明する図である。
【図17】第2の実施例にて、印刷中における1枚目の画像先端部への転写残トナー吐き出しの開始動作を説明する図である。
【図18】第2の実施例にて、印刷中における1枚目の画像先端部への転写残トナー吐き出しの終了動作を説明する図である。
【図19】第2の実施例にて、印刷中における二次転写の動作を説明する図である。
【図20】第2の実施例にて、印刷中における最後の画像後端部への転写残トナー吐き出しの開始動作を説明する図である。
【図21】第2の実施例にて、印刷中における最後の画像後端部への転写残トナー吐き出しの終了動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。
【0018】
実施例1
本発明に係る画像形成装置1を電子写真方式で4連ドラム方式のカラー画像形成装置を用いて説明する。図1は、本実施例のカラー画像形成装置であるフルカラーレーザービームプリンタ(以後、単に「プリンタ」という。)の全体構成を示す縦断面図である。
【0019】
本実施例にて、プリンタ1の下部には、カセット2が引き出し可能に収納されている。そして、プリンタ1の右側には手差し給送部3が配設されている。カセット2、手差し給送部3にそれぞれ転写材Sを積載収容し転写材Sを1枚毎に分離し、給送するようになっている。プリンタ1は、横一列に並設してなる画像形成手段(像形成部)として、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色毎に対応する複数の、本実施例では4つのカートリッジ4(4y、4m、4c、4k)を備えている。カートリッジ4は、像担持体であるドラム状の電子写真感光体(以下、「感光体ドラム」という。)5(5y、5m、5c、5k)を有している。感光体ドラム5の周りには、感光体ドラム5の表面を均一にマイナス帯電する帯電装置6(6y、6m、6c、6k)、一様に帯電された感光体ドラム5に画像情報を露光し、静電潜像を形成するスキャナユニットとされる露光装置9が配置される。また、感光体ドラム5の回りには、感光体ドラム上の静電潜像にトナーを付着させてトナー像として現像する現像手段としての現像装置を構成する現像ローラ7(7y、7m、7c、7k)が配置されている。更に、感光体ドラム5の周りには、感光体ドラム5に残っている残留トナーを除去する感光体クリーニング手段としてのクリーニングブレード8(8y、8m、8c、8k)が内設されている。
【0020】
図2を参照して、代表としてカートリッジ4yに関連して、現像装置の感光体ドラム5に対する接離手段について説明する。本実施例にて現像装置に設けられた現像ローラ7yは、接離手段により感光体ドラム5yに対して当接状態と離間状態とに移動可能な状態、即ち、当接離間可能な構成になっている。接離手段としては、種々の構成を採用し得るが、例えば、図2に示すように、駆動軸42a及びカム42bを備えたカム機構42とすることができる。即ち、本実施例では、カートリッジ4yは、現像ローラ7yを回転自在に担持している現像フレーム40を有し、現像フレーム40は、カートリッジ4yを一体に構成しているカートリッジ枠体(図示せず)に対して支持軸41により揺動自在に取付けられている。そして、この現像フレーム40を、カム機構42の駆動軸42aを駆動モータ(図示せず)などにより制御駆動することによりカム42bを揺動させ、それによって、現像フレーム40及び現像ローラ7yを、感光体ドラム5に対して当接離間させることができる。他のカートリッジ4m、4c、4kも同様の構成とされる。
【0021】
上記接離手段42により、静電潜像に合わせて現像ローラ7の感光体ドラム5に対する当接及び離間を行うことで、現像ローラ7の寿命を向上させている。即ち、詳しくは後述するが、複数の現像ローラ7を異なるタイミングで感光体ドラム5に対して当接、或いは、離間させる構成により、現像ローラ7の寿命を延ばすことができる。本実施例にて、現像ローラ7は、現像ローラ7y、7m、7c、7kの順に当接する。
【0022】
また、上述したように、画像情報に基づいてレーザービームを照射して感光体ドラム5上に静電潜像を形成するスキャナユニット9、及び、中間転写ユニット10Aがトナーカートリッジ4近傍に設けられている。
【0023】
図1にて、中間転写ユニット10Aは、一次転写ローラ10(10y、10m、10c、10k)、中間転写ベルト11、駆動ローラ12、従動ローラ13、中間転写ベルト11の転写残トナーを除去するクリーニング装置100を一体的に有して構成されている。また、中間転写体としての中間転写ベルト11は消耗品であるため、中間転写ユニット10Aは画像形成装置本体に着脱可能となっている。
【0024】
中間転写ベルト11は、無端円筒状のベルトで、駆動ローラ12、従動ローラ13に張架されている。従動ローラ13は接地しており、図1の矢印A方向に付勢手段(不図示)により付勢され、中間転写ベルト11に所定の張力を付与している。そして、駆動ローラ12が、モータ(不図示)などにより回転駆動することで、中間転写ベルト11は、図1の矢印B方向に所定の速度で回転する。
【0025】
一次転写は、一次転写手段としての一次転写ローラ10y、10m、10c、10kにプラスのバイアス電圧を印加して、マイナス帯電された感光体ドラム5y、5m、5c、5k表面との電位差を利用することで行っている。一次転写ローラ10y、10m、10c、10kと感光体ドラム5とで形成されるニップ部(一次転写部)T1(T1y、T1m、T1c、T1k)で感光体ドラム5から一次転写された中間転写ベルト11上のトナー像は、二次転写部T2で転写材Sに転写される。二次転写部T2には、二次転写対向ローラとしての駆動ローラ12に対向して、二次転写手段としての二次転写ローラ14が配置されている。
【0026】
次いで、二次転写部T2でトナー像が転写された転写材Sは、転写画像の定着を行う定着装置15を通過する。その後、両面フラッパ16によって搬送路が切り替えられ、排出ローラ対17、スイッチバックローラ対18のどちらかに搬送される。スイッチバックローラ対18側に搬送された転写材は、スイッチバックローラ対18部で反転搬送して、再度、二次転写部T2、定着装置15を通過した後、排出ローラ対17側に搬送される。排出ローラ対17を通過後、転写材Sは転写材積載部19に排出される。
【0027】
次に、本実施例における中間転写ベルト11の転写残トナークリーニング装置の全体構成及び作動を、図3に基づいて説明する。
【0028】
クリーニング装置100は、中間転写ベルト11の移動方向(図3の矢印B方向)に関して、感光体ドラム5yと一次転写ローラ10yとで形成される一次転写部T1yよりも上流で、且つ二次転写部T2よりも下流に配置されている。クリーニングブレード101は、変形可能な弾性ゴムを材料に使用しており、板金で形成された保持部材102に接着されている。そして、長手方向でLTR紙サイズ以上の幅を有しており、中間転写ベルト11に圧接することで中間転写ベルト11上の転写残トナーを除去している。また、転写残トナーを除去可能な所望の線圧を得るために、従動ローラ13に対してクリーニングブレード101を押圧している。中間転写ベルト11からクリーニングブレード101によって掻き取られた転写残トナーは、トナー搬送部材103によってトナー搬送路104を移動し、保持部材102とクリーニング装置100のフレーム100Fとで形成される溝106を自由落下する。そして、一時収納部105に収納される。即ち、一次収納部105は、連続印字などで二次転写後の中間転写ベルト11に残った転写残トナーの量が多くても、クリーニングブレード101で除去したトナーを貯留しておくことができる。
【0029】
トナー搬送部材103は、格子状に穴を配しており、偏心して回転する軸107に保持されている。軸107は偏心して回転しているため、トナー搬送部材103全体として図3の矢印C1、C2方向に略往復運動を行っている。往動時にはトナー搬送部材103がトナー搬送路104の底面を沿って略水平に移動することで、転写残トナーを図3の矢印C1方向に搬送させる。復動時にはトナー搬送部材103がトナー搬送路104の底面から斜め上方に浮き上がることにより、押し動かした転写残トナーから離れてクリーニングブレード101側に戻さないようにしている。
【0030】
転写残トナーがある程度一時収納部105に収納されると、転写残トナーは帯電ローラ108と接触し始める。その後、帯電ローラ108に、一次転写時に一次転写ローラ10へ印加しているバイアス電圧と同極性のバイアス電圧を印加して、転写残トナーに対して放電を行う。一次転写ローラ10に印加しているバイアス電圧と同じ極性を有した転写残トナーは、帯電ローラ108から中間転写ベルト11に移動した後、一次転写時と同じ極性にある最上流側の感光体ドラム5yに移動する。次いで、感光体ドラム5yに当接している感光体クリーニングブレード8yにて掻き取られ、カートリッジ4y内に回収される。本実施例にて、帯電ローラ108は、中間転写ベルト11から除去したトナーを再び中間転写ベルト11に吐き出すトナー吐き出し手段として機能している。
【0031】
プリンタ1が使用初期の場合は、転写残トナーが溜まるまで、帯電ローラ108から中間転写ベルト11へトナーを吐き出すために、予め一時収納部105に少量のトナーを入れておく。なお、一度に大量の転写残トナーが中間転写ベルト11に吐き出されることを防止するために、帯電ローラ108表面には、保持部材102に固定されている金属製のトナー規制部材109が当接している。これにより、帯電ローラ108上の転写残トナーを薄く均一に延ばしている。また、クリーニング装置100と中間転写ベルト11との間にはシート110を備えており、中間転写ベルト11と軽接触させることで一時収納部105からの転写残トナーの流出を防止している。
【0032】
次に、帯電ローラ108周辺の詳細説明を図4に基づいて行い、帯電ローラ108の当接離間の構成説明を図5に基づいて行う。
【0033】
図4に示すように、帯電ローラ108は、金属の芯金108aと導電ゴム層108bで構成されており、両端を樹脂製の軸受111で回転可能に保持している。そして、軸受111の少なくとも1つに導電性の樹脂を使用している。軸受111をバネ112で従動ローラ13に向けて押圧することで、帯電ローラ108と中間転写ベルト11とを所望の圧で接触させている。帯電ローラ108の両端を押圧しているため、帯電ローラ108は長手方向で中間転写ベルト11に対して均一に押圧されている。また、バネ112は電気接点の機能も有しており、接点部112aを画像形成装置本体側に設けている接点(不図示)と接触させることで、バイアス電圧をバネ112に印加することが可能となっている。バネ112にバイアス電圧を印加すると、導電性を有した軸受111を経由して、帯電ローラ108の導電ゴム層108bまでバイアス電圧が流れる。
【0034】
本実施例では、画像形成する際にトナーをマイナス帯電している。そのため、一次転写及び二次転写の際には一次転写ローラ10及び二次転写ローラ14には、トナーの帯電極性と逆のプラス電圧を印加している。そのため、一次転写及び二次転写の際にプラス特性に変化するトナーは幾分存在するものの、二次転写後に中間転写ベルト11上に残留している転写残トナーのほとんどはマイナス帯電したままの状態になっている。帯電ローラ108にプラス電圧を印加すると、一時収納部105から帯電ローラ108に付着した転写残トナーに対して放電が行われるため、転写残トナーはプラスに帯電する。例えば、高湿環境下において最良の転写性能を得ようと二次転写電圧を高めると、転写残トナーの帯電極性は非常に不安定になる場合がある。このような場合においても、帯電ローラ108にプラス電圧を印加して放電を行っているため、転写残トナーがプラスであろうがマイナスであろうが、帯電ローラ108表面に付着した転写残トナーを問題無くプラスに帯電することができる。
【0035】
マイナス極性からプラス極性に反転した転写残トナーは、帯電ローラ108と接地している従動ローラ13の電位差により中間転写ベルト11に移動する。この際、前述した通り、一度に大量の転写残トナーが中間転写ベルト11に吐き出されることを防止するために、帯電ローラ108には金属製のトナー規制部材109が当接しており、帯電ローラ108上の転写残トナーを薄く均一に延ばしている。中間転写ベルト11上には転写残トナー以外にも、転写材から剥離した紙粉、ホコリやゴミケバ等の異物が残留している。転写残トナーに混在して、それら異物も一時収納部105に搬送されてくるわけだが、トナー規制部材109で帯電ローラ108上の転写残トナーを薄く均一に延ばす際に、前述した異物の分別も同時に行うことができる。また、薄く均一に延ばした転写残トナーを安定して中間転写ベルト11に吐き出すためには、中間転写ベルト11に対して一定の速度で帯電ローラ108が回転していることが理想的である。一定の速度を得るために、従動ローラ13と帯電ローラ108とをギア(不図示)で連結しており、従動ローラ13を駆動源とすることで、帯電ローラ108を回転させている。
【0036】
帯電ローラ108から中間転写ベルト11に移動した転写残トナーは、通常は、上述したように、プラスのバイアスを印加している最上流の一次転写ローラ10yと、帯電装置6yによってマイナス帯電された感光体ドラム5y表面との電位差を利用することで、感光体ドラム5yに移動する。その後、感光体ドラム5yに当接している感光体クリーニングブレード8yにてクリーニングされ、カートリッジ4y内に回収される。
【0037】
図5に示すように、帯電ローラ108を保持している軸受111近傍に離間部材113を設けており、帯電ローラ108と中間転写ベルト11とを当接離間させるためのカム113aと回転駆動を伝えるギア113bとが一体に形成されている。帯電ローラ108の上部に位置する駆動軸114の両端には、ギア114aが設けられており、画像形成装置本体内に備えているモータ(不図示)で駆動軸114とギア114aを回転させている。ギア114aからの回転駆動がギア113bに伝達することでカム113aは回転し、軸受111が図5の矢印D1及びD2方向にスライド移動する。D1方向にスライド移動した時は帯電ローラ108と中間転写ベルト11とを離間状態にすることができ、D2方向にスライド移動した時は当接状態にすることができる。なお、本実施例においては、トナー規制部材109が塑性変形しない量だけ帯電ローラ108を中間転写ベルト11から離間させており、その離間量は0.5〜1mmである。中間転写ベルト11上の転写残トナーのクリーニングはクリーニングブレード101で行っている。そのため、帯電ローラ108の中間転写ベルト11への当接離間が可能になると、自由なタイミングで選択的に転写残トナーを中間転写ベルト11に吐き出すことが可能になる。
【0038】
次に、本発明に従って実施される転写残トナーを吐き出す領域について、印刷時の1枚目の画像における先端域を図6〜図8に基づいて説明し、印刷時の最後の画像における後端域を、図9と図10に基づいて説明する。印刷枚数が1枚だけの場合は、画像の先端と後端に転写残トナーが吐き出される。なお、トナーの種類を判別しやすくするため、カートリッジ4からのトナーを丸、転写残トナーを四角で表現している。
【0039】
前述したとおり、帯電装置6により感光体ドラム5の表面を均一にマイナス帯電した後、画像情報に基づいて露光装置9によりレーザービームを照射して感光体ドラム5上に静電潜像を形成している。その後、現像ローラ7によって静電潜像にトナーを付着させてトナー像として現像し、一次転写ニップ部T1(T1y、T1m、T1c、T1k)で感光体ドラム5上のトナー像は中間転写ベルト11に一次転写される。連続印刷時は、帯電、潜像、現像、一次転写、クリーニングの工程を繰り返し行っている。
【0040】
図6は、プリンタ1が印刷信号を受信した直後の転写残トナー吐き出し動作を示す。プリンタ1は、印刷信号を受信すると、画像情報に基づいて給紙部2で転写材Sを搬送し始め、また、像形成部4で画像形成の動作を始める。像形成部4では、上述のように上流側から順番に画像形成が行われるが、最上流の感光体ドラム5yに現像ローラ7yが当接するよりも前に、帯電ローラ108が中間転写ベルト11に当接し、プラスに帯電することで転写残トナーを吐き出す。一次転写部T1y〜T1cでは、感光体ドラム5y〜5cはプラスに、一次転写ローラ10y〜10cはマイナスに制御されており、プラスに帯電している転写残トナーは一次転写ニップ部T1y〜T1cを、中間転写ベルト11に担持されたまま下流へ移動する(図7参照)。
【0041】
図7に示すように、最下流の感光体ドラム5kに到達した転写残トナーは、一次転写ローラ10kに印加しているプラスのバイアスと、帯電装置6kによってマイナス帯電された感光体ドラム5k表面との電位差を利用して、感光体ドラム5kに移動する。そして、感光体クリーニングブレード8kにて掻き取られ、カートリッジ4k内に回収される。その後、最上流の像形成部(カートリッジ)4yで感光体ドラム5yへの現像が行われ始めると、現像ローラ7yは感光体ドラム5y上の静電潜像部にトナー像を現像するため、画像領域よりも若干早く当接する。現像ローラ7yが当接した段階で、微少のトナーが感光体ドラム5yに移動し、その後静電潜像部に現像を行う。
【0042】
転写残トナーを吐き出す領域は、吐き出したトナー後端が最上流側カートリッジ4yの一次転写ニップ部T1yを通過するときに、少なくとも吐き出したトナー先端が最下流側カートリッジ4kの一次転写ニップ部T1kに介在するようになっている。また、下流側の全てのカートリッジ4m、4c、4kにおいて、現像ローラ7yが感光体ドラム5yに当接し、微少トナーが一次転写ニップ部T1yに介在し始めるよりも先に、吐き出したトナーが一次転写ニップ部T1m、T1c、T1kに到達するようになっている。吐き出したトナーの後端は、最上流側のカートリッジ4yにおいて、微少トナーが一次転写ニップ部T1yに介在して、吐き出したトナーと微少トナーが重なるようになっている。また、微少トナーの介在し始めに合わせて帯電ローラ108が離間して吐き出しを止めるように制御されている。
【0043】
また、最上流の像形成部4yより下流に配置された像形成部4m〜4kにおいては、各現像ローラ7m〜7kは、相対的に上流の像形成部4にてトナー像の一次転写を行っているときに、感光体ドラムに対して当接状態へと移動する。
【0044】
トナー像の一次転写が最下流のカートリッジ4kまで行われると、図8に示すように、中間転写ベルト11上のトナー像は、先端がトナー像と揃うように制御されて搬送されてきた転写材Sに二次転写される。
【0045】
以上が、1枚目の画像における先端域の転写残トナーの吐き出し領域についての説明である。2枚目以降の連続印刷中は、常に現像ローラ7が感光体ドラム5に当接しており、カートリッジ4内のトナーが一次転写ニップT1(T1y〜T1k)に介在する。印刷時の最後の画像における後端域は、画像形成が終了した上流側のカートリッジ4yから下流側のカートリッジ4kへと順に現像ローラ7と感光体ドラム5が離間する。即ち、各像形成部の現像ローラ7は、相対的に下流の像形成部にてトナー像の一次転写を行っているときに、当接状態から離間状態へと移動する。
【0046】
図9に示すように、帯電ローラ108は、最上流のカートリッジ4yからトナーが一次転写ニップT1yに供給されなくなるすぐ上流に転写残トナーが介在し始めるように、当接をして吐き出しを行う。転写残トナーの吐き出しは、図10に示すように、最下流のカートリッジ4kでトナー像の一次転写が終了するまで、最上流のカートリッジ4yの一次転写ニップT1yに転写残トナーが介在するように吐き出し、帯電ローラ108が離間して、吐き出しを止めるように制御されている。
【0047】
以上が、最後の画像における先端域の転写残トナーの吐き出し領域についての説明である。
【0048】
プリンタ1は、図11に示すように、印刷信号を受信すると(S1)、先ず、連続印刷か否かの判別を行う(S2)。連続印刷の場合(S2でYes)は、最初の画像か、最後の画像かの判別をして(S3)、前述した通り、画像先端か後端に転写残トナーを吐き出すように制御する。即ち、最初の画像の場合(S3でYes)、画像先端に転写残トナーを吐き出すように制御する(S4)。最初の画像でない場合(S3でNo)は、最後の画像であるか否かを判別して(S5)、最後の画像である場合(S5でYes)、画像後端に転写残トナーの吐き出しを行うように制御する(S6)。最後の画像でない場合(S5でNo)は、転写残トナーを吐き出さないように制御する(S7)。
【0049】
印刷が、連続印刷ではない場合(S2でNo)、画像先端と画像後端に転写残トナーの吐き出しを行うように制御される(S8)。
【0050】
以下に本実施例の効果について説明する。トナーが一次転写部T1に介在しない状態から介在し始める場合、トナーが潤滑剤の役割をして中間転写ベルト11と感光体ドラム5の摩擦抵抗が低くなるので、中間転写ベルト11の移動速度は一瞬速くなる。逆に、トナーが一次転写部T1に介在する状態から介在しなくなる場合、摩擦抵抗が高くなるので、中間転写ベルト11の移動速度が一瞬遅くなる。
【0051】
上述したように、画像を現像する際の現像ローラ7の当接は、現像ローラ7の寿命を延ばすために上流側のカートリッジ4から順に行う。そのため、上流側で一次転写が行われているときに、下流側の一次転写ニップ部T1にカートリッジ4のトナーが介在し始めると、中間転写ベルト11の速度が一瞬速くなる。そのため、上流側で一次転写している全てのニップ部で中間転写ベルト11上のトナー間隔が変化し、下流側の一次転写部で重ね合わせられる画像と位置がずれて、転写むら画像として画像問題が発生する。同様に、現像ローラ7の離間は上流側のカートリッジ4から順に行う。そのため、下流側で一次転写が行われているときに、上流側の一次転写ニップ部にカートリッジ4のトナーが介在しなくなると、中間転写ベルト11の速度が一瞬遅くなる。そのため、下流側で一次転写している全てのニップ部で中間転写ベルト11上のトナー間隔が変化し、上流側の一次転写部で重ね合わせられた画像と位置がずれてしまう。
【0052】
そこで、本実施例のように1枚目の画像先端部では上流側の現像ローラ7が当接する前に全ての一次転写ニップ部に転写残トナーを介在させる。これにより、下流側の現像ローラ7が当接してカートリッジ4のトナーが一次転写ニップ部に介在しても、中間転写ベルト11の速度は変化しない。同様に、最後の画像後端部では下流側の現像ローラ7が離間する前に上流側の全ての一次転写ニップ部に転写残トナーを介在させる。これによって、下流側の現像ローラ7が離間してカートリッジ4のトナーが一次転写ニップ部に介在しなくなっても、中間転写ベルト11の速度は変化しない。そのため、転写むら画像としての画像問題を防ぐことができる。
【0053】
即ち、本発明によれば、中間転写ベルト11と感光体ドラム5が当接してから、現像ローラ7と感光体ドラムが当接するまで、中間転写ベルト11と感光体ドラム5の間に吐き出し手段(帯電ローラ108)から吐き出されたトナーが介在する。また、現像ローラ7が当接してからは、現像ローラ7上のトナーが中間転写ベルト11と感光体ドラム5の間に微少に介在するので、中間転写ベルト11の速度変動を防ぐことができる。そして、先に現像ローラ7が感光体ドラム5に当接する上流側の一次転写に対して、後に現像ローラ7が感光体ドラム5に当接する下流側の一次転写による画像への影響を防ぐことが可能である。
【0054】
また、一時収納部105を設けることで、転写残トナーが多くなる画像を印刷しても除去可能で、更にクリーニング装置100が新品の際にも、予め吐き出し用のトナーを収納しておくことが可能である。
【0055】
また、中間転写ベルト11から除去した転写残トナーと逆極性のバイアス電圧を帯電ローラ108に印加することで、一次転写ローラ10kに印加しているバイアス電圧と感光体表面との電位差を利用して、確実にカートリッジ4kに転写残トナーを回収することが可能である。
【0056】
更に、本発明によれば、上流に位置するカートリッジ内のトナーを画像形成以外に使用するといったことはなく、上流のカートリッジに対して、トナー消費量が多くなり、カートリッジの寿命が短くなるといった問題も解決される。
【0057】
実施例2
本発明の第2の実施例におけるプリンタ1は、転写残トナーのクリーニング装置100と吐き出し方法以外は実施例1と同じであるためその全体構成についての説明は省略し、実施例1の説明を援用する。転写残トナーのクリーニング装置100と吐き出し方法に関して実施例1と異なる特徴的な部分を図12〜図16を用いて説明する。図12と図13、図15は、本実施例2のクリーニング装置100の構成及び動作説明図である。図14と図16は、本実施例2における、帯電ローラ108と保持ローラ117の電位関係の例を表す図である。
【0058】
図12に示すように、クリーニング装置100は、中間転写ベルト11に常に当接しており、バイアスを印加できる帯電ローラ108と、帯電ローラ108に当接していてバイアスを印加できる導電性ゴムを使用した保持ローラ117とからなる。従動ローラ13は接地している。中間転写ベルト11には、中間転写ベルト11の移動方向にてクリーニング装置100の上流で、二次転写部T2の下流に位置し、転写残トナーの極性を一様にするためのバイアスローラ118が当接している。中間転写ベルト11上の転写残トナーはバイアスローラ118にマイナスバイアスを印加することで、マイナスに帯電する。帯電ローラ108はプラスに帯電することで、マイナスに帯電している中間転写ベルト11上の転写残トナーを中間転写ベルト11から帯電ローラ108に移動させる。
【0059】
その後、保持ローラ117は、図13に示すように、帯電ローラ108よりもプラスに帯電させることで、例えば図14に示すように、相対的な電位差を付け、転写残トナーを帯電ローラ108から保持ローラ117に移動させることで中間転写ベルト11から転写残トナーを除去する。
【0060】
クリーニング装置100に回収された転写残トナーを吐き出す際は、図15に示すように、保持ローラ117と帯電ローラ108をマイナスに帯電させて、例えば図16のように相対的な電位差を付けることで、回収した転写残トナーが保持ローラ117から帯電ローラ108へ移動する。従動ローラ13は接地しているので、帯電ローラ108と電位差が生じて、中間転写ベルト11へ転写残トナーを吐き出す。帯電ローラ108から中間転写ベルト11への吐き出す領域は、実施例1と同様である。ただ、本実施例では、帯電ローラ108により吐き出された転写残トナーは、実施例1の場合と異なり、マイナスに帯電されている。そのため、各感光体ドラム5及び一次転写ローラ10に印加される電圧の極性は実施例1とは異なるものとされる。
【0061】
図17〜図21は、実施例1で説明した図6〜図10に相当する。即ち、図17〜図19は、転写残トナーを吐き出す領域について、印刷時の1枚目の画像における先端域を説明するものであり、図20と図21は、印刷時の最後の画像における後端域を説明している。実施例1と同様に、印刷枚数が1枚だけの場合は、画像の先端と後端に転写残トナーが吐き出される。また、トナーの種類を判別しやすくするため、カートリッジ4からのトナーを丸、転写残トナーを四角で表現している。
【0062】
図17は、プリンタ1が印刷信号を受信した直後の転写残トナー吐き出し動作を示す。実施例1と同様に、プリンタ1は、印刷信号を受信すると、画像情報に基づいて給紙部2で転写材Sを搬送し始め、また、像形成部4で画像形成の動作を始める。像形成部4では、上述のように上流側から順番に画像形成が行われるが、最上流の感光体ドラム5yに現像ローラ7yが当接するよりも前に、帯電ローラ108及び保持ローラ117にマイナスバイアスを印加することにより、マイナスに帯電された転写残トナーを吐き出す。一次転写部T1y〜T1cにて感光体ドラム5y〜5cはマイナスに、一次転写ローラ10y〜10cはプラスに制御されており、マイナスに帯電している転写残トナーは一次転写ニップ部T1y〜T1cを、中間転写ベルト11に担持されたまま下流へ移動する(図18参照)。
【0063】
図18に示すように、最下流の感光体ドラム5kに到達した転写残トナーは、一次転写ローラ10kに印加しているマイナスのバイアスと、帯電装置6kによってプラス帯電された感光体ドラム5k表面との電位差を利用して、感光体ドラム5kに移動する。そして、感光体クリーニングブレード8kにて掻き取られ、カートリッジ4k内に回収される。その後、最上流の像形成部(カートリッジ)4yで感光体ドラム5yへの現像が行われ始めると、現像ローラ7yは感光体ドラム5y上の静電潜像部にトナー像を現像するため、画像領域よりも若干早く当接する。現像ローラ7yが当接した段階で、微少のトナーが感光体ドラム5yに移動し、その後静電潜像部に現像を行う。
【0064】
転写残トナーを吐き出す領域は、吐き出したトナー後端が最上流側カートリッジ4yの一次転写ニップ部T1yを通過するときに、少なくとも吐き出したトナー先端が最下流側カートリッジ4kの一次転写ニップ部T1kに介在するようになっている。また、下流側の全てのカートリッジ4m、4c、4kにおいて、現像ローラ7yが感光体ドラム5yに当接し、微少トナーが一次転写ニップ部T1yに介在し始めるよりも先に、吐き出したトナーが一次転写ニップ部T1m、T1c、T1kに到達するようになっている。吐き出したトナーの後端は、最上流側のカートリッジ4yにおいて、微少トナーが一次転写ニップ部T1yに介在して、吐き出したトナーと微少トナーが重なるようになっている。また、微少トナーの介在し始めに合わせて帯電ローラ108及び保持ローラ117にプラスのバイアスを印加して吐き出しを止めるように制御されている。
【0065】
トナー像の一次転写が最下流のカートリッジ4kまで行われると、図19に示すように、中間転写ベルト11上のトナー像は、先端がトナー像と揃うように制御されて搬送されてきた転写材Sに二次転写される。
【0066】
以上が、1枚目の画像における先端域の転写残トナーの吐き出し領域についての説明である。2枚目以降の連続印刷中は、常に現像ローラ7が感光体ドラム5に当接しており、カートリッジ4内のトナーが一次転写ニップT1に介在する。印刷時の最後の画像における後端域は、画像形成が終了した上流側のカートリッジ4yから下流側のカートリッジ4kへと順に現像ローラ7と感光体ドラム5が離間する。
【0067】
図20に示すように、帯電ローラ108は、最上流のカートリッジ4yからトナーが一次転写ニップT1yに供給されなくなるすぐ上流に転写残トナーが介在し始めるように、帯電ローラ108及び保持ローラ117にマイナスのバイアスを印加することによって吐き出しを行う。転写残トナーの吐き出しは、図21に示すように、最下流のカートリッジ4kでトナー像の一次転写が終了するまで、最上流のカートリッジ4yの一次転写ニップT1yに転写残トナーが介在するように吐き出し、その後、帯電ローラ108及び保持ローラ117にプラスのバイアスを印加することによって、吐き出しを止めるように制御されている。
【0068】
本実施例においても、実施例1と同様の作用効果を達成し得る。
【符号の説明】
【0069】
1 プリンタ(画像形成装置)
4(4y〜4k) カートリッジ(像形成部)
5(5y〜5k) 感光体ドラム(感光体)
7(7y〜7k) 現像ローラ(現像手段)
10A 中間転写ユニット
10(10y〜10k) 一次転写ローラ(一次転写手段)
11 中間転写ベルト(中間転写体)
14 二次転写ローラ(二次転写手段)
42 接離手段
100 中間転写ベルトクリーニング装置(クリーニング手段)
108 帯電ローラ(トナー吐き出し手段)
117 保持ローラ
118 バイアスローラ
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、例えば電子写真方式で画像形成を行う複写機、プリンタ、ファクシミリ装置、及び複合機等の画像形成装置に関するものである。特に、像担持体としての感光体に形成したトナー像を中間転写体を介して転写材に転写した後に、中間転写体に残留したトナーを除去、清掃するために用いられるクリーニング手段を備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、電子写真方式のカラー画像形成装置では、複数の現像装置から像担持体としての感光体上に各々供給される異なった色のトナーを用いて複数色からなるカラー画像を形成する。斯かる画像形成装置では、感光体上に形成したトナー像を直接転写材上に転写せずに、中間転写体上に全てのトナー像を重ねて転写(一次転写)した後に、この複数色のトナー像を一括して転写材上に転写(二次転写)するようにしている。中間転写体上のトナー像を転写材上に転写する手段としては、中間転写体表面に転動しながら接する転写ローラを使用する。転写ローラには、転写ローラと中間転写体との間に転写材を通過させる際に、転写ローラからトナーの極性とは逆極性のバイアスを印加することにより、中間転写体上のトナーを転写材上に転写させている。転写材への転写工程では、中間転写体上の全てのトナーが転写材に転写されているわけではなく、中間転写体上にトナーが残っている(以後、「転写残トナー」という。)。この転写残トナーが中間転写体にそのまま残った状態で一次転写部に移動することを防ぐために、二次転写部の下流で且つ一次転写部の上流に、転写残トナーを機械的な力や静電気的な力を利用して除去するクリーニング手段を備えている。クリーニング手段としては、様々な構成が考案されている。
【0003】
機械的な力を利用するクリーニング手段としては、中間転写体に圧接された清掃部材であるクリーニングブレードで中間転写体上のトナーを掻き取った後に、画像形成装置内部に設けている廃トナー容器に回収する構成がある。静電気的な力を利用するクリーニング手段として、導電ゴム層を有したクリーニングローラに中間転写体上の転写残トナーと逆極性のバイアス電圧を印加して、中間転写体上の転写残トナーの極性を変える。これにより、転写残トナーを感光体に移動させて、カートリッジ内に回収する構成がある。
【0004】
その他、クリーニングブレードとクリーニングローラの両方を備え、転写残トナーをクリーニングローラから中間転写体に吐き出し、吐き出した転写残トナーと共に中間転写体上の潤滑剤を同時にクリーニングブレードで除去する構成がある。この構成では、中間転写ベルトの表面エネルギーを上げて、画像の中抜けを防止する構成とされている(特許文献1参照)。
【0005】
また、特許文献2では、感光体表面に残留したトナーを除去するクリーニング部において、感光体に当接したクリーニングブレード、残留トナーを除去して保持する機能と残留トナーを感光体に吐き出す機能を有するブラシを備えている。一部の感光体上でのみトナー像が形成されている場合にトナー像が形成されない複数の感光体のうち、相対的に上流側に位置する感光体に対応するブラシから残留トナーを吐き出して、相対的に下流側に位置するカートリッジ内に回収する構成である。なお、カートリッジ内への回収は、感光体に当接しているクリーニングブレードで、感光体表面に残留したトナーを掻き取ることで行っている。
【0006】
具体的には、最下流に位置している黒画像用カートリッジにおける白黒画像形成時に、白黒画像形成には使用されないカラー画像用カートリッジの中で相対的に下流側に位置するカートリッジの感光体を駆動させておく。次にカラー画像を形成する際に遅延が生じないように準備させておく。白黒画像形成には使用されないカラー画像用カートリッジの中で、相対的に上流に位置したカートリッジで発生した残留トナーを、相対的に下流に位置したカートリッジに向けて吐き出す。そうすることで、相対的に下流に位置したカートリッジの感光体と、感光体に接しているクリーニングブレードとの摩擦を低下させる潤滑剤の役割を担わせ、クリーニングブレードと感光体の寿命を向上させる効果を得ている。
【0007】
一次転写ローラを感光体側へ動かすことで、中間転写体が張力を得て感光体へ当接し、その後に現像装置、即ち、現像ローラが感光体に当接してレーザーによって形成された感光体上の静電潜像へトナーを付着させて現像する。一次転写は、一次転写ローラにトナーの極性とは逆極性のバイアスを印加することによりトナーを中間転写体へ転写する。中間転写体の移動速度と感光体の周速には、トナーの転写効率を上げるために速度差があるのが一般的であり、中間転写体の速度が若干速い。その為、中間転写体と感光体との摩擦抵抗により相対的に中間転写体へブレーキがかかっている。感光体に中間転写体が当接してから現像ローラが当接するまでは、中間転写体と感光体の当接部にトナーは介在していない。現像ローラが感光体に当接すると、中間転写体と感光体の当接部に微少のトナーが介在し、潤滑剤の役割を担うために摩擦抵抗が下がる。その為、トナーが中間転写体と感光体の当接部に介在する前後で、中間転写体を移動させる駆動ローラにトルク変動が生じて中間転写体の速度変動を引き起こす。
【0008】
一次転写は、複数色のカートリッジによってトナー画像を重ね合わせて行われるが、現像ローラの寿命の観点から、画像書き出し位置の直前に現像ローラと感光ドラムを当接させる。その為、現像ローラの当接は上流側から順に行われる。先に転写する上流側の一次転写部は、後に転写する下流側の一次転写部のトナーの介在による中間転写体の速度変動の影響を受け、トナー画像の転写位置がずれてしまう。その結果、各色間での転写位置ずれを生じるという画像問題があった。
【0009】
この問題に対して、上流側のカートリッジから中間転写体へ常にトナーを吐き出す方法がある(特許文献3参照)。上流側から常にトナーを吐き出すことで、中間転写体が移動し始めてから画像の書き出し位置までの間と、連続通紙における画像間時でも、すべての色の一次転写部で中間転写体と感光体の間にトナーが介在するので、速度変動が起こらず、画像問題の発生を防いでいる。
【0010】
しかしながら、特許文献3に記載するような上記手段を用いると、上流に位置するカートリッジ内のトナーを画像形成以外に使用するため、トナー消費量が多く、カートリッジの寿命が短くなり、ユーザにストレスを与えてしまう問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2006−30358号公報
【特許文献2】特開2007−192987号公報
【特許文献3】特開2004−117601号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、画像形成時に中間転写体の速度変動が起こらず、転写位置ずれによる画像問題を防ぐことのできる画像形成装置を提供することである。
【0013】
本発明の他の目的は、カートリッジの寿命を短くすることなく、画像形成時に中間転写体の速度変動が起こらず、転写位置ずれによる画像問題を防ぐことのできる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的は本発明に係る画像形成装置にて達成される。要約すれば、本発明は、
静電潜像が形成される感光体、及び、前記感光体に形成された静電潜像を現像してトナー像とする現像手段を各々備えた複数の像形成部と、
前記現像手段を前記感光体に当接及び離間させる接離手段と、
前記複数の像形成部に沿って移動し、前記感光体のトナー像が転写される中間転写体と、
前記感光体のトナー像を一次転写部にて前記移動する中間転写体に転写する一次転写手段と、
前記中間転写体のトナー像を二次転写部にて転写材に転写する二次転写手段と、
前記中間転写体の移動方向に関して前記一次転写手段の上流且つ前記二次転写手段の下流に配置され、前記中間転写体の転写残トナーを除去するクリーニング手段と、
を有する画像形成装置において、
前記クリーニング手段が前記中間転写体から除去したトナーを再び中間転写体に吐き出す吐き出し手段を有し、
前記中間転写体の移動方向に関して画像形成を行う最上流の前記像形成部における前記現像手段が前記感光体に対する離間状態から当接状態に移動することにより前記現像手段により現像された前記トナー像が前記一次転写部に到達するまでの間に、前記吐き出し手段は、前記クリーニング手段により除去されたトナーが前記一次転写部に介在するタイミングで前記トナーを前記中間転写体へ吐き出す、及び/又は、
前記中間転写体の移動方向に関して画像形成を行う最上流の前記像形成部における前記現像手段が前記感光体に対する当接状態から離間状態に移動することにより前記現像手段により現像された前記トナー像が前記一次転写部に介在しなくなる後に、前記吐き出し手段は、前記クリーニング手段により除去されたトナーが前記一次転写部に介在するタイミングで前記トナーを前記中間転写体へ吐き出す、
ことを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、中間転写体と感光体が当接してから、現像手段と感光体が当接するまで、中間転写体と感光体の間に吐き出し手段から吐き出されたトナーが介在する。そして、現像手段が当接してからは、現像手段上のトナーが中間転写体と感光体の間に微少に介在する。従って、本発明によれば、中間転写体の速度変動を防ぐことができる。そして、先に現像手段が感光体に当接する上流側の一次転写に対して、後に現像手段が感光体に当接する下流側の一次転写による画像への影響を防ぐことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る画像形成装置の一実施例の概略構成断面図である。
【図2】カートリッジを構成する現像装置の感光体ドラムに対する当接離間の構成を説明する図である。
【図3】中間転写ベルトクリーニング装置の構成及び動作を説明する全体構成図である。
【図4】中間転写ベルトクリーニング装置における帯電ローラ周辺の構成を説明する斜視図である。
【図5】中間転写ベルトクリーニング装置における帯電ローラの当接離間の構成を説明する斜視図である。
【図6】印刷中における1枚目の画像先端部への転写残トナー吐き出しの開始動作を説明する図である。
【図7】印刷中における1枚目の画像先端部への転写残トナー吐き出しの終了動作を説明する図である。
【図8】印刷中における二次転写の動作を説明する図である。
【図9】印刷中における最後の画像後端部への転写残トナー吐き出しの開始動作を説明する図である。
【図10】印刷中における最後の画像後端部への転写残トナー吐き出しの終了動作を説明する図である。
【図11】転写残トナー吐き出し動作のシーケンスを説明するフロー図である。
【図12】第2の実施例における帯電ローラの転写残トナー回収動作を説明する図である。
【図13】第2の実施例における保持ローラの転写残トナー保持動作を説明する図である。
【図14】第2の実施例における帯電ローラから保持ローラへ転写残トナーが移動するときのバイアスを説明する図である。
【図15】第2の実施例における保持ローラから中間転写ベルトへの吐き出し動作を説明する図である。
【図16】第2の実施例における保持ローラから帯電ローラへ転写残トナーが移動するときのバイアスを説明する図である。
【図17】第2の実施例にて、印刷中における1枚目の画像先端部への転写残トナー吐き出しの開始動作を説明する図である。
【図18】第2の実施例にて、印刷中における1枚目の画像先端部への転写残トナー吐き出しの終了動作を説明する図である。
【図19】第2の実施例にて、印刷中における二次転写の動作を説明する図である。
【図20】第2の実施例にて、印刷中における最後の画像後端部への転写残トナー吐き出しの開始動作を説明する図である。
【図21】第2の実施例にて、印刷中における最後の画像後端部への転写残トナー吐き出しの終了動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。
【0018】
実施例1
本発明に係る画像形成装置1を電子写真方式で4連ドラム方式のカラー画像形成装置を用いて説明する。図1は、本実施例のカラー画像形成装置であるフルカラーレーザービームプリンタ(以後、単に「プリンタ」という。)の全体構成を示す縦断面図である。
【0019】
本実施例にて、プリンタ1の下部には、カセット2が引き出し可能に収納されている。そして、プリンタ1の右側には手差し給送部3が配設されている。カセット2、手差し給送部3にそれぞれ転写材Sを積載収容し転写材Sを1枚毎に分離し、給送するようになっている。プリンタ1は、横一列に並設してなる画像形成手段(像形成部)として、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色毎に対応する複数の、本実施例では4つのカートリッジ4(4y、4m、4c、4k)を備えている。カートリッジ4は、像担持体であるドラム状の電子写真感光体(以下、「感光体ドラム」という。)5(5y、5m、5c、5k)を有している。感光体ドラム5の周りには、感光体ドラム5の表面を均一にマイナス帯電する帯電装置6(6y、6m、6c、6k)、一様に帯電された感光体ドラム5に画像情報を露光し、静電潜像を形成するスキャナユニットとされる露光装置9が配置される。また、感光体ドラム5の回りには、感光体ドラム上の静電潜像にトナーを付着させてトナー像として現像する現像手段としての現像装置を構成する現像ローラ7(7y、7m、7c、7k)が配置されている。更に、感光体ドラム5の周りには、感光体ドラム5に残っている残留トナーを除去する感光体クリーニング手段としてのクリーニングブレード8(8y、8m、8c、8k)が内設されている。
【0020】
図2を参照して、代表としてカートリッジ4yに関連して、現像装置の感光体ドラム5に対する接離手段について説明する。本実施例にて現像装置に設けられた現像ローラ7yは、接離手段により感光体ドラム5yに対して当接状態と離間状態とに移動可能な状態、即ち、当接離間可能な構成になっている。接離手段としては、種々の構成を採用し得るが、例えば、図2に示すように、駆動軸42a及びカム42bを備えたカム機構42とすることができる。即ち、本実施例では、カートリッジ4yは、現像ローラ7yを回転自在に担持している現像フレーム40を有し、現像フレーム40は、カートリッジ4yを一体に構成しているカートリッジ枠体(図示せず)に対して支持軸41により揺動自在に取付けられている。そして、この現像フレーム40を、カム機構42の駆動軸42aを駆動モータ(図示せず)などにより制御駆動することによりカム42bを揺動させ、それによって、現像フレーム40及び現像ローラ7yを、感光体ドラム5に対して当接離間させることができる。他のカートリッジ4m、4c、4kも同様の構成とされる。
【0021】
上記接離手段42により、静電潜像に合わせて現像ローラ7の感光体ドラム5に対する当接及び離間を行うことで、現像ローラ7の寿命を向上させている。即ち、詳しくは後述するが、複数の現像ローラ7を異なるタイミングで感光体ドラム5に対して当接、或いは、離間させる構成により、現像ローラ7の寿命を延ばすことができる。本実施例にて、現像ローラ7は、現像ローラ7y、7m、7c、7kの順に当接する。
【0022】
また、上述したように、画像情報に基づいてレーザービームを照射して感光体ドラム5上に静電潜像を形成するスキャナユニット9、及び、中間転写ユニット10Aがトナーカートリッジ4近傍に設けられている。
【0023】
図1にて、中間転写ユニット10Aは、一次転写ローラ10(10y、10m、10c、10k)、中間転写ベルト11、駆動ローラ12、従動ローラ13、中間転写ベルト11の転写残トナーを除去するクリーニング装置100を一体的に有して構成されている。また、中間転写体としての中間転写ベルト11は消耗品であるため、中間転写ユニット10Aは画像形成装置本体に着脱可能となっている。
【0024】
中間転写ベルト11は、無端円筒状のベルトで、駆動ローラ12、従動ローラ13に張架されている。従動ローラ13は接地しており、図1の矢印A方向に付勢手段(不図示)により付勢され、中間転写ベルト11に所定の張力を付与している。そして、駆動ローラ12が、モータ(不図示)などにより回転駆動することで、中間転写ベルト11は、図1の矢印B方向に所定の速度で回転する。
【0025】
一次転写は、一次転写手段としての一次転写ローラ10y、10m、10c、10kにプラスのバイアス電圧を印加して、マイナス帯電された感光体ドラム5y、5m、5c、5k表面との電位差を利用することで行っている。一次転写ローラ10y、10m、10c、10kと感光体ドラム5とで形成されるニップ部(一次転写部)T1(T1y、T1m、T1c、T1k)で感光体ドラム5から一次転写された中間転写ベルト11上のトナー像は、二次転写部T2で転写材Sに転写される。二次転写部T2には、二次転写対向ローラとしての駆動ローラ12に対向して、二次転写手段としての二次転写ローラ14が配置されている。
【0026】
次いで、二次転写部T2でトナー像が転写された転写材Sは、転写画像の定着を行う定着装置15を通過する。その後、両面フラッパ16によって搬送路が切り替えられ、排出ローラ対17、スイッチバックローラ対18のどちらかに搬送される。スイッチバックローラ対18側に搬送された転写材は、スイッチバックローラ対18部で反転搬送して、再度、二次転写部T2、定着装置15を通過した後、排出ローラ対17側に搬送される。排出ローラ対17を通過後、転写材Sは転写材積載部19に排出される。
【0027】
次に、本実施例における中間転写ベルト11の転写残トナークリーニング装置の全体構成及び作動を、図3に基づいて説明する。
【0028】
クリーニング装置100は、中間転写ベルト11の移動方向(図3の矢印B方向)に関して、感光体ドラム5yと一次転写ローラ10yとで形成される一次転写部T1yよりも上流で、且つ二次転写部T2よりも下流に配置されている。クリーニングブレード101は、変形可能な弾性ゴムを材料に使用しており、板金で形成された保持部材102に接着されている。そして、長手方向でLTR紙サイズ以上の幅を有しており、中間転写ベルト11に圧接することで中間転写ベルト11上の転写残トナーを除去している。また、転写残トナーを除去可能な所望の線圧を得るために、従動ローラ13に対してクリーニングブレード101を押圧している。中間転写ベルト11からクリーニングブレード101によって掻き取られた転写残トナーは、トナー搬送部材103によってトナー搬送路104を移動し、保持部材102とクリーニング装置100のフレーム100Fとで形成される溝106を自由落下する。そして、一時収納部105に収納される。即ち、一次収納部105は、連続印字などで二次転写後の中間転写ベルト11に残った転写残トナーの量が多くても、クリーニングブレード101で除去したトナーを貯留しておくことができる。
【0029】
トナー搬送部材103は、格子状に穴を配しており、偏心して回転する軸107に保持されている。軸107は偏心して回転しているため、トナー搬送部材103全体として図3の矢印C1、C2方向に略往復運動を行っている。往動時にはトナー搬送部材103がトナー搬送路104の底面を沿って略水平に移動することで、転写残トナーを図3の矢印C1方向に搬送させる。復動時にはトナー搬送部材103がトナー搬送路104の底面から斜め上方に浮き上がることにより、押し動かした転写残トナーから離れてクリーニングブレード101側に戻さないようにしている。
【0030】
転写残トナーがある程度一時収納部105に収納されると、転写残トナーは帯電ローラ108と接触し始める。その後、帯電ローラ108に、一次転写時に一次転写ローラ10へ印加しているバイアス電圧と同極性のバイアス電圧を印加して、転写残トナーに対して放電を行う。一次転写ローラ10に印加しているバイアス電圧と同じ極性を有した転写残トナーは、帯電ローラ108から中間転写ベルト11に移動した後、一次転写時と同じ極性にある最上流側の感光体ドラム5yに移動する。次いで、感光体ドラム5yに当接している感光体クリーニングブレード8yにて掻き取られ、カートリッジ4y内に回収される。本実施例にて、帯電ローラ108は、中間転写ベルト11から除去したトナーを再び中間転写ベルト11に吐き出すトナー吐き出し手段として機能している。
【0031】
プリンタ1が使用初期の場合は、転写残トナーが溜まるまで、帯電ローラ108から中間転写ベルト11へトナーを吐き出すために、予め一時収納部105に少量のトナーを入れておく。なお、一度に大量の転写残トナーが中間転写ベルト11に吐き出されることを防止するために、帯電ローラ108表面には、保持部材102に固定されている金属製のトナー規制部材109が当接している。これにより、帯電ローラ108上の転写残トナーを薄く均一に延ばしている。また、クリーニング装置100と中間転写ベルト11との間にはシート110を備えており、中間転写ベルト11と軽接触させることで一時収納部105からの転写残トナーの流出を防止している。
【0032】
次に、帯電ローラ108周辺の詳細説明を図4に基づいて行い、帯電ローラ108の当接離間の構成説明を図5に基づいて行う。
【0033】
図4に示すように、帯電ローラ108は、金属の芯金108aと導電ゴム層108bで構成されており、両端を樹脂製の軸受111で回転可能に保持している。そして、軸受111の少なくとも1つに導電性の樹脂を使用している。軸受111をバネ112で従動ローラ13に向けて押圧することで、帯電ローラ108と中間転写ベルト11とを所望の圧で接触させている。帯電ローラ108の両端を押圧しているため、帯電ローラ108は長手方向で中間転写ベルト11に対して均一に押圧されている。また、バネ112は電気接点の機能も有しており、接点部112aを画像形成装置本体側に設けている接点(不図示)と接触させることで、バイアス電圧をバネ112に印加することが可能となっている。バネ112にバイアス電圧を印加すると、導電性を有した軸受111を経由して、帯電ローラ108の導電ゴム層108bまでバイアス電圧が流れる。
【0034】
本実施例では、画像形成する際にトナーをマイナス帯電している。そのため、一次転写及び二次転写の際には一次転写ローラ10及び二次転写ローラ14には、トナーの帯電極性と逆のプラス電圧を印加している。そのため、一次転写及び二次転写の際にプラス特性に変化するトナーは幾分存在するものの、二次転写後に中間転写ベルト11上に残留している転写残トナーのほとんどはマイナス帯電したままの状態になっている。帯電ローラ108にプラス電圧を印加すると、一時収納部105から帯電ローラ108に付着した転写残トナーに対して放電が行われるため、転写残トナーはプラスに帯電する。例えば、高湿環境下において最良の転写性能を得ようと二次転写電圧を高めると、転写残トナーの帯電極性は非常に不安定になる場合がある。このような場合においても、帯電ローラ108にプラス電圧を印加して放電を行っているため、転写残トナーがプラスであろうがマイナスであろうが、帯電ローラ108表面に付着した転写残トナーを問題無くプラスに帯電することができる。
【0035】
マイナス極性からプラス極性に反転した転写残トナーは、帯電ローラ108と接地している従動ローラ13の電位差により中間転写ベルト11に移動する。この際、前述した通り、一度に大量の転写残トナーが中間転写ベルト11に吐き出されることを防止するために、帯電ローラ108には金属製のトナー規制部材109が当接しており、帯電ローラ108上の転写残トナーを薄く均一に延ばしている。中間転写ベルト11上には転写残トナー以外にも、転写材から剥離した紙粉、ホコリやゴミケバ等の異物が残留している。転写残トナーに混在して、それら異物も一時収納部105に搬送されてくるわけだが、トナー規制部材109で帯電ローラ108上の転写残トナーを薄く均一に延ばす際に、前述した異物の分別も同時に行うことができる。また、薄く均一に延ばした転写残トナーを安定して中間転写ベルト11に吐き出すためには、中間転写ベルト11に対して一定の速度で帯電ローラ108が回転していることが理想的である。一定の速度を得るために、従動ローラ13と帯電ローラ108とをギア(不図示)で連結しており、従動ローラ13を駆動源とすることで、帯電ローラ108を回転させている。
【0036】
帯電ローラ108から中間転写ベルト11に移動した転写残トナーは、通常は、上述したように、プラスのバイアスを印加している最上流の一次転写ローラ10yと、帯電装置6yによってマイナス帯電された感光体ドラム5y表面との電位差を利用することで、感光体ドラム5yに移動する。その後、感光体ドラム5yに当接している感光体クリーニングブレード8yにてクリーニングされ、カートリッジ4y内に回収される。
【0037】
図5に示すように、帯電ローラ108を保持している軸受111近傍に離間部材113を設けており、帯電ローラ108と中間転写ベルト11とを当接離間させるためのカム113aと回転駆動を伝えるギア113bとが一体に形成されている。帯電ローラ108の上部に位置する駆動軸114の両端には、ギア114aが設けられており、画像形成装置本体内に備えているモータ(不図示)で駆動軸114とギア114aを回転させている。ギア114aからの回転駆動がギア113bに伝達することでカム113aは回転し、軸受111が図5の矢印D1及びD2方向にスライド移動する。D1方向にスライド移動した時は帯電ローラ108と中間転写ベルト11とを離間状態にすることができ、D2方向にスライド移動した時は当接状態にすることができる。なお、本実施例においては、トナー規制部材109が塑性変形しない量だけ帯電ローラ108を中間転写ベルト11から離間させており、その離間量は0.5〜1mmである。中間転写ベルト11上の転写残トナーのクリーニングはクリーニングブレード101で行っている。そのため、帯電ローラ108の中間転写ベルト11への当接離間が可能になると、自由なタイミングで選択的に転写残トナーを中間転写ベルト11に吐き出すことが可能になる。
【0038】
次に、本発明に従って実施される転写残トナーを吐き出す領域について、印刷時の1枚目の画像における先端域を図6〜図8に基づいて説明し、印刷時の最後の画像における後端域を、図9と図10に基づいて説明する。印刷枚数が1枚だけの場合は、画像の先端と後端に転写残トナーが吐き出される。なお、トナーの種類を判別しやすくするため、カートリッジ4からのトナーを丸、転写残トナーを四角で表現している。
【0039】
前述したとおり、帯電装置6により感光体ドラム5の表面を均一にマイナス帯電した後、画像情報に基づいて露光装置9によりレーザービームを照射して感光体ドラム5上に静電潜像を形成している。その後、現像ローラ7によって静電潜像にトナーを付着させてトナー像として現像し、一次転写ニップ部T1(T1y、T1m、T1c、T1k)で感光体ドラム5上のトナー像は中間転写ベルト11に一次転写される。連続印刷時は、帯電、潜像、現像、一次転写、クリーニングの工程を繰り返し行っている。
【0040】
図6は、プリンタ1が印刷信号を受信した直後の転写残トナー吐き出し動作を示す。プリンタ1は、印刷信号を受信すると、画像情報に基づいて給紙部2で転写材Sを搬送し始め、また、像形成部4で画像形成の動作を始める。像形成部4では、上述のように上流側から順番に画像形成が行われるが、最上流の感光体ドラム5yに現像ローラ7yが当接するよりも前に、帯電ローラ108が中間転写ベルト11に当接し、プラスに帯電することで転写残トナーを吐き出す。一次転写部T1y〜T1cでは、感光体ドラム5y〜5cはプラスに、一次転写ローラ10y〜10cはマイナスに制御されており、プラスに帯電している転写残トナーは一次転写ニップ部T1y〜T1cを、中間転写ベルト11に担持されたまま下流へ移動する(図7参照)。
【0041】
図7に示すように、最下流の感光体ドラム5kに到達した転写残トナーは、一次転写ローラ10kに印加しているプラスのバイアスと、帯電装置6kによってマイナス帯電された感光体ドラム5k表面との電位差を利用して、感光体ドラム5kに移動する。そして、感光体クリーニングブレード8kにて掻き取られ、カートリッジ4k内に回収される。その後、最上流の像形成部(カートリッジ)4yで感光体ドラム5yへの現像が行われ始めると、現像ローラ7yは感光体ドラム5y上の静電潜像部にトナー像を現像するため、画像領域よりも若干早く当接する。現像ローラ7yが当接した段階で、微少のトナーが感光体ドラム5yに移動し、その後静電潜像部に現像を行う。
【0042】
転写残トナーを吐き出す領域は、吐き出したトナー後端が最上流側カートリッジ4yの一次転写ニップ部T1yを通過するときに、少なくとも吐き出したトナー先端が最下流側カートリッジ4kの一次転写ニップ部T1kに介在するようになっている。また、下流側の全てのカートリッジ4m、4c、4kにおいて、現像ローラ7yが感光体ドラム5yに当接し、微少トナーが一次転写ニップ部T1yに介在し始めるよりも先に、吐き出したトナーが一次転写ニップ部T1m、T1c、T1kに到達するようになっている。吐き出したトナーの後端は、最上流側のカートリッジ4yにおいて、微少トナーが一次転写ニップ部T1yに介在して、吐き出したトナーと微少トナーが重なるようになっている。また、微少トナーの介在し始めに合わせて帯電ローラ108が離間して吐き出しを止めるように制御されている。
【0043】
また、最上流の像形成部4yより下流に配置された像形成部4m〜4kにおいては、各現像ローラ7m〜7kは、相対的に上流の像形成部4にてトナー像の一次転写を行っているときに、感光体ドラムに対して当接状態へと移動する。
【0044】
トナー像の一次転写が最下流のカートリッジ4kまで行われると、図8に示すように、中間転写ベルト11上のトナー像は、先端がトナー像と揃うように制御されて搬送されてきた転写材Sに二次転写される。
【0045】
以上が、1枚目の画像における先端域の転写残トナーの吐き出し領域についての説明である。2枚目以降の連続印刷中は、常に現像ローラ7が感光体ドラム5に当接しており、カートリッジ4内のトナーが一次転写ニップT1(T1y〜T1k)に介在する。印刷時の最後の画像における後端域は、画像形成が終了した上流側のカートリッジ4yから下流側のカートリッジ4kへと順に現像ローラ7と感光体ドラム5が離間する。即ち、各像形成部の現像ローラ7は、相対的に下流の像形成部にてトナー像の一次転写を行っているときに、当接状態から離間状態へと移動する。
【0046】
図9に示すように、帯電ローラ108は、最上流のカートリッジ4yからトナーが一次転写ニップT1yに供給されなくなるすぐ上流に転写残トナーが介在し始めるように、当接をして吐き出しを行う。転写残トナーの吐き出しは、図10に示すように、最下流のカートリッジ4kでトナー像の一次転写が終了するまで、最上流のカートリッジ4yの一次転写ニップT1yに転写残トナーが介在するように吐き出し、帯電ローラ108が離間して、吐き出しを止めるように制御されている。
【0047】
以上が、最後の画像における先端域の転写残トナーの吐き出し領域についての説明である。
【0048】
プリンタ1は、図11に示すように、印刷信号を受信すると(S1)、先ず、連続印刷か否かの判別を行う(S2)。連続印刷の場合(S2でYes)は、最初の画像か、最後の画像かの判別をして(S3)、前述した通り、画像先端か後端に転写残トナーを吐き出すように制御する。即ち、最初の画像の場合(S3でYes)、画像先端に転写残トナーを吐き出すように制御する(S4)。最初の画像でない場合(S3でNo)は、最後の画像であるか否かを判別して(S5)、最後の画像である場合(S5でYes)、画像後端に転写残トナーの吐き出しを行うように制御する(S6)。最後の画像でない場合(S5でNo)は、転写残トナーを吐き出さないように制御する(S7)。
【0049】
印刷が、連続印刷ではない場合(S2でNo)、画像先端と画像後端に転写残トナーの吐き出しを行うように制御される(S8)。
【0050】
以下に本実施例の効果について説明する。トナーが一次転写部T1に介在しない状態から介在し始める場合、トナーが潤滑剤の役割をして中間転写ベルト11と感光体ドラム5の摩擦抵抗が低くなるので、中間転写ベルト11の移動速度は一瞬速くなる。逆に、トナーが一次転写部T1に介在する状態から介在しなくなる場合、摩擦抵抗が高くなるので、中間転写ベルト11の移動速度が一瞬遅くなる。
【0051】
上述したように、画像を現像する際の現像ローラ7の当接は、現像ローラ7の寿命を延ばすために上流側のカートリッジ4から順に行う。そのため、上流側で一次転写が行われているときに、下流側の一次転写ニップ部T1にカートリッジ4のトナーが介在し始めると、中間転写ベルト11の速度が一瞬速くなる。そのため、上流側で一次転写している全てのニップ部で中間転写ベルト11上のトナー間隔が変化し、下流側の一次転写部で重ね合わせられる画像と位置がずれて、転写むら画像として画像問題が発生する。同様に、現像ローラ7の離間は上流側のカートリッジ4から順に行う。そのため、下流側で一次転写が行われているときに、上流側の一次転写ニップ部にカートリッジ4のトナーが介在しなくなると、中間転写ベルト11の速度が一瞬遅くなる。そのため、下流側で一次転写している全てのニップ部で中間転写ベルト11上のトナー間隔が変化し、上流側の一次転写部で重ね合わせられた画像と位置がずれてしまう。
【0052】
そこで、本実施例のように1枚目の画像先端部では上流側の現像ローラ7が当接する前に全ての一次転写ニップ部に転写残トナーを介在させる。これにより、下流側の現像ローラ7が当接してカートリッジ4のトナーが一次転写ニップ部に介在しても、中間転写ベルト11の速度は変化しない。同様に、最後の画像後端部では下流側の現像ローラ7が離間する前に上流側の全ての一次転写ニップ部に転写残トナーを介在させる。これによって、下流側の現像ローラ7が離間してカートリッジ4のトナーが一次転写ニップ部に介在しなくなっても、中間転写ベルト11の速度は変化しない。そのため、転写むら画像としての画像問題を防ぐことができる。
【0053】
即ち、本発明によれば、中間転写ベルト11と感光体ドラム5が当接してから、現像ローラ7と感光体ドラムが当接するまで、中間転写ベルト11と感光体ドラム5の間に吐き出し手段(帯電ローラ108)から吐き出されたトナーが介在する。また、現像ローラ7が当接してからは、現像ローラ7上のトナーが中間転写ベルト11と感光体ドラム5の間に微少に介在するので、中間転写ベルト11の速度変動を防ぐことができる。そして、先に現像ローラ7が感光体ドラム5に当接する上流側の一次転写に対して、後に現像ローラ7が感光体ドラム5に当接する下流側の一次転写による画像への影響を防ぐことが可能である。
【0054】
また、一時収納部105を設けることで、転写残トナーが多くなる画像を印刷しても除去可能で、更にクリーニング装置100が新品の際にも、予め吐き出し用のトナーを収納しておくことが可能である。
【0055】
また、中間転写ベルト11から除去した転写残トナーと逆極性のバイアス電圧を帯電ローラ108に印加することで、一次転写ローラ10kに印加しているバイアス電圧と感光体表面との電位差を利用して、確実にカートリッジ4kに転写残トナーを回収することが可能である。
【0056】
更に、本発明によれば、上流に位置するカートリッジ内のトナーを画像形成以外に使用するといったことはなく、上流のカートリッジに対して、トナー消費量が多くなり、カートリッジの寿命が短くなるといった問題も解決される。
【0057】
実施例2
本発明の第2の実施例におけるプリンタ1は、転写残トナーのクリーニング装置100と吐き出し方法以外は実施例1と同じであるためその全体構成についての説明は省略し、実施例1の説明を援用する。転写残トナーのクリーニング装置100と吐き出し方法に関して実施例1と異なる特徴的な部分を図12〜図16を用いて説明する。図12と図13、図15は、本実施例2のクリーニング装置100の構成及び動作説明図である。図14と図16は、本実施例2における、帯電ローラ108と保持ローラ117の電位関係の例を表す図である。
【0058】
図12に示すように、クリーニング装置100は、中間転写ベルト11に常に当接しており、バイアスを印加できる帯電ローラ108と、帯電ローラ108に当接していてバイアスを印加できる導電性ゴムを使用した保持ローラ117とからなる。従動ローラ13は接地している。中間転写ベルト11には、中間転写ベルト11の移動方向にてクリーニング装置100の上流で、二次転写部T2の下流に位置し、転写残トナーの極性を一様にするためのバイアスローラ118が当接している。中間転写ベルト11上の転写残トナーはバイアスローラ118にマイナスバイアスを印加することで、マイナスに帯電する。帯電ローラ108はプラスに帯電することで、マイナスに帯電している中間転写ベルト11上の転写残トナーを中間転写ベルト11から帯電ローラ108に移動させる。
【0059】
その後、保持ローラ117は、図13に示すように、帯電ローラ108よりもプラスに帯電させることで、例えば図14に示すように、相対的な電位差を付け、転写残トナーを帯電ローラ108から保持ローラ117に移動させることで中間転写ベルト11から転写残トナーを除去する。
【0060】
クリーニング装置100に回収された転写残トナーを吐き出す際は、図15に示すように、保持ローラ117と帯電ローラ108をマイナスに帯電させて、例えば図16のように相対的な電位差を付けることで、回収した転写残トナーが保持ローラ117から帯電ローラ108へ移動する。従動ローラ13は接地しているので、帯電ローラ108と電位差が生じて、中間転写ベルト11へ転写残トナーを吐き出す。帯電ローラ108から中間転写ベルト11への吐き出す領域は、実施例1と同様である。ただ、本実施例では、帯電ローラ108により吐き出された転写残トナーは、実施例1の場合と異なり、マイナスに帯電されている。そのため、各感光体ドラム5及び一次転写ローラ10に印加される電圧の極性は実施例1とは異なるものとされる。
【0061】
図17〜図21は、実施例1で説明した図6〜図10に相当する。即ち、図17〜図19は、転写残トナーを吐き出す領域について、印刷時の1枚目の画像における先端域を説明するものであり、図20と図21は、印刷時の最後の画像における後端域を説明している。実施例1と同様に、印刷枚数が1枚だけの場合は、画像の先端と後端に転写残トナーが吐き出される。また、トナーの種類を判別しやすくするため、カートリッジ4からのトナーを丸、転写残トナーを四角で表現している。
【0062】
図17は、プリンタ1が印刷信号を受信した直後の転写残トナー吐き出し動作を示す。実施例1と同様に、プリンタ1は、印刷信号を受信すると、画像情報に基づいて給紙部2で転写材Sを搬送し始め、また、像形成部4で画像形成の動作を始める。像形成部4では、上述のように上流側から順番に画像形成が行われるが、最上流の感光体ドラム5yに現像ローラ7yが当接するよりも前に、帯電ローラ108及び保持ローラ117にマイナスバイアスを印加することにより、マイナスに帯電された転写残トナーを吐き出す。一次転写部T1y〜T1cにて感光体ドラム5y〜5cはマイナスに、一次転写ローラ10y〜10cはプラスに制御されており、マイナスに帯電している転写残トナーは一次転写ニップ部T1y〜T1cを、中間転写ベルト11に担持されたまま下流へ移動する(図18参照)。
【0063】
図18に示すように、最下流の感光体ドラム5kに到達した転写残トナーは、一次転写ローラ10kに印加しているマイナスのバイアスと、帯電装置6kによってプラス帯電された感光体ドラム5k表面との電位差を利用して、感光体ドラム5kに移動する。そして、感光体クリーニングブレード8kにて掻き取られ、カートリッジ4k内に回収される。その後、最上流の像形成部(カートリッジ)4yで感光体ドラム5yへの現像が行われ始めると、現像ローラ7yは感光体ドラム5y上の静電潜像部にトナー像を現像するため、画像領域よりも若干早く当接する。現像ローラ7yが当接した段階で、微少のトナーが感光体ドラム5yに移動し、その後静電潜像部に現像を行う。
【0064】
転写残トナーを吐き出す領域は、吐き出したトナー後端が最上流側カートリッジ4yの一次転写ニップ部T1yを通過するときに、少なくとも吐き出したトナー先端が最下流側カートリッジ4kの一次転写ニップ部T1kに介在するようになっている。また、下流側の全てのカートリッジ4m、4c、4kにおいて、現像ローラ7yが感光体ドラム5yに当接し、微少トナーが一次転写ニップ部T1yに介在し始めるよりも先に、吐き出したトナーが一次転写ニップ部T1m、T1c、T1kに到達するようになっている。吐き出したトナーの後端は、最上流側のカートリッジ4yにおいて、微少トナーが一次転写ニップ部T1yに介在して、吐き出したトナーと微少トナーが重なるようになっている。また、微少トナーの介在し始めに合わせて帯電ローラ108及び保持ローラ117にプラスのバイアスを印加して吐き出しを止めるように制御されている。
【0065】
トナー像の一次転写が最下流のカートリッジ4kまで行われると、図19に示すように、中間転写ベルト11上のトナー像は、先端がトナー像と揃うように制御されて搬送されてきた転写材Sに二次転写される。
【0066】
以上が、1枚目の画像における先端域の転写残トナーの吐き出し領域についての説明である。2枚目以降の連続印刷中は、常に現像ローラ7が感光体ドラム5に当接しており、カートリッジ4内のトナーが一次転写ニップT1に介在する。印刷時の最後の画像における後端域は、画像形成が終了した上流側のカートリッジ4yから下流側のカートリッジ4kへと順に現像ローラ7と感光体ドラム5が離間する。
【0067】
図20に示すように、帯電ローラ108は、最上流のカートリッジ4yからトナーが一次転写ニップT1yに供給されなくなるすぐ上流に転写残トナーが介在し始めるように、帯電ローラ108及び保持ローラ117にマイナスのバイアスを印加することによって吐き出しを行う。転写残トナーの吐き出しは、図21に示すように、最下流のカートリッジ4kでトナー像の一次転写が終了するまで、最上流のカートリッジ4yの一次転写ニップT1yに転写残トナーが介在するように吐き出し、その後、帯電ローラ108及び保持ローラ117にプラスのバイアスを印加することによって、吐き出しを止めるように制御されている。
【0068】
本実施例においても、実施例1と同様の作用効果を達成し得る。
【符号の説明】
【0069】
1 プリンタ(画像形成装置)
4(4y〜4k) カートリッジ(像形成部)
5(5y〜5k) 感光体ドラム(感光体)
7(7y〜7k) 現像ローラ(現像手段)
10A 中間転写ユニット
10(10y〜10k) 一次転写ローラ(一次転写手段)
11 中間転写ベルト(中間転写体)
14 二次転写ローラ(二次転写手段)
42 接離手段
100 中間転写ベルトクリーニング装置(クリーニング手段)
108 帯電ローラ(トナー吐き出し手段)
117 保持ローラ
118 バイアスローラ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電潜像が形成される感光体、及び、前記感光体に形成された静電潜像を現像してトナー像とする現像手段を各々備えた複数の像形成部と、
前記現像手段を前記感光体に当接及び離間させる接離手段と、
前記複数の像形成部に沿って移動し、前記感光体のトナー像が転写される中間転写体と、
前記感光体のトナー像を一次転写部にて前記移動する中間転写体に転写する一次転写手段と、
前記中間転写体のトナー像を二次転写部にて転写材に転写する二次転写手段と、
前記中間転写体の移動方向に関して前記一次転写手段の上流且つ前記二次転写手段の下流に配置され、前記中間転写体の転写残トナーを除去するクリーニング手段と、
を有する画像形成装置において、
前記クリーニング手段が前記中間転写体から除去したトナーを再び中間転写体に吐き出す吐き出し手段を有し、
前記中間転写体の移動方向に関して画像形成を行う最上流の前記像形成部における前記現像手段が前記感光体に対する離間状態から当接状態に移動することにより前記現像手段により現像された前記トナー像が前記一次転写部に到達するまでの間に、前記吐き出し手段は、前記クリーニング手段により除去されたトナーが前記一次転写部に介在するタイミングで前記トナーを前記中間転写体へ吐き出す、及び/又は、
前記中間転写体の移動方向に関して画像形成を行う最上流の前記像形成部における前記現像手段が前記感光体に対する当接状態から離間状態に移動することにより前記現像手段により現像された前記トナー像が前記一次転写部に介在しなくなる後に、前記吐き出し手段は、前記クリーニング手段により除去されたトナーが前記一次転写部に介在するタイミングで前記トナーを前記中間転写体へ吐き出す、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記最上流の像形成部より下流に配置された前記像形成部においては、各前記像形成部の前記現像手段は、上流の前記像形成部における前記一次転写手段が前記感光体から前記中間転写体にトナー像の一次転写を行っているときに、前記感光体に対して離間状態から当接状態へと移動することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
各像形成部の前記現像手段は、下流の前記像形成部における前記一次転写手段が前記感光体から前記中間転写体にトナー像の一次転写を行っているときに、前記感光体に対して当接状態から離間状態へと移動することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記クリーニング手段は、前記中間転写体から除去したトナーを収納しておく一時収納部を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかの項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記吐き出し手段は、前記一時収納部に収納されたトナーを前記中間転写体に吐き出す帯電ローラであり、前記帯電ローラにバイアス電圧を印加してトナーを前記中間転写体に吐き出すことを特徴とする請求項1〜4のいずれかの項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記帯電ローラは、前記中間転写体に対して当接及び離間が可能であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかの項に記載の画像形成装置。
【請求項1】
静電潜像が形成される感光体、及び、前記感光体に形成された静電潜像を現像してトナー像とする現像手段を各々備えた複数の像形成部と、
前記現像手段を前記感光体に当接及び離間させる接離手段と、
前記複数の像形成部に沿って移動し、前記感光体のトナー像が転写される中間転写体と、
前記感光体のトナー像を一次転写部にて前記移動する中間転写体に転写する一次転写手段と、
前記中間転写体のトナー像を二次転写部にて転写材に転写する二次転写手段と、
前記中間転写体の移動方向に関して前記一次転写手段の上流且つ前記二次転写手段の下流に配置され、前記中間転写体の転写残トナーを除去するクリーニング手段と、
を有する画像形成装置において、
前記クリーニング手段が前記中間転写体から除去したトナーを再び中間転写体に吐き出す吐き出し手段を有し、
前記中間転写体の移動方向に関して画像形成を行う最上流の前記像形成部における前記現像手段が前記感光体に対する離間状態から当接状態に移動することにより前記現像手段により現像された前記トナー像が前記一次転写部に到達するまでの間に、前記吐き出し手段は、前記クリーニング手段により除去されたトナーが前記一次転写部に介在するタイミングで前記トナーを前記中間転写体へ吐き出す、及び/又は、
前記中間転写体の移動方向に関して画像形成を行う最上流の前記像形成部における前記現像手段が前記感光体に対する当接状態から離間状態に移動することにより前記現像手段により現像された前記トナー像が前記一次転写部に介在しなくなる後に、前記吐き出し手段は、前記クリーニング手段により除去されたトナーが前記一次転写部に介在するタイミングで前記トナーを前記中間転写体へ吐き出す、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記最上流の像形成部より下流に配置された前記像形成部においては、各前記像形成部の前記現像手段は、上流の前記像形成部における前記一次転写手段が前記感光体から前記中間転写体にトナー像の一次転写を行っているときに、前記感光体に対して離間状態から当接状態へと移動することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
各像形成部の前記現像手段は、下流の前記像形成部における前記一次転写手段が前記感光体から前記中間転写体にトナー像の一次転写を行っているときに、前記感光体に対して当接状態から離間状態へと移動することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記クリーニング手段は、前記中間転写体から除去したトナーを収納しておく一時収納部を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかの項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記吐き出し手段は、前記一時収納部に収納されたトナーを前記中間転写体に吐き出す帯電ローラであり、前記帯電ローラにバイアス電圧を印加してトナーを前記中間転写体に吐き出すことを特徴とする請求項1〜4のいずれかの項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記帯電ローラは、前記中間転写体に対して当接及び離間が可能であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかの項に記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2012−242404(P2012−242404A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−108798(P2011−108798)
【出願日】平成23年5月13日(2011.5.13)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月13日(2011.5.13)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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