説明

画像形成装置

【課題】両面画像形成可能な2つの搬送路を有していながら、コンパクト且つ剛性の高いフレーム構造を有する画像形成装置を提供する。
【解決手段】メインフレーム24の平面部24aより上方に、左右両側から立ち上がる一対の側板間を繋ぐようにインナーフレーム29を固定する。インナーフレーム29の上方の第1搬送路31と下方の反転搬送路34におけるそれぞれの平面とUターン経路に近い側の内側ガイドブロック71とにより囲まれて、画像形成装置の側面視で三角形状の空間を形成する。両搬送路にそれぞれ複数の構成部材が配置される。これによって、フレーム構造の剛性を確保しつつ、両搬送路の配置関係も確実に保持できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被搬送媒体に両面画像形成が可能な画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、被搬送媒体に両面画像形成が可能でスキャン・コピー機能等を備えた複合機などの画像形成装置は種々知られている。
【0003】
小型で両面画像形成が可能な画像形成装置として知られた特許文献1、2及び3に記載の構成では、記録ヘッド(記録部)とその下方の給紙カセットとの上下間に、Uターン搬送路とこれにより搬送される用紙を支持するプラテンとを配置し、記録ヘッドよりも下流側には、スイッチバックローラ対(または逆転可能な排紙ローラ対)を設ける。給紙カセットから送られた用紙の上面に画像形成(以下、印刷ともいう)した後、スイッチバックローラ対の位置まで用紙の搬送方向上流側端部を送り、ここでスイッチバックローラ対を逆転させることで、プラテンの下方に設けられた反転搬送路から再度Uターン搬送路を介して記録部とプラテンとの間に被搬送媒体を裏返し状態で送り、両面画像形成する構成が開示されている。
【0004】
また、特許文献3に開示された画像形成装置では、記録用紙などである被搬送媒体に加え、CDやDVDなどが載置される媒体トレイなどである他の被搬送媒体を搬送できるように、搬送路の隙間(被搬送媒体が通過できる隙間)を拡張する(拡張することをリリースするという)リリース手段が備えられている。
【0005】
さらに、特許文献4に開示された画像形成装置のフレーム構造では、金属製の左右両側板の間に、同じく金属製で剛性の高いステー部材をネジ止めした後、左右両側板に対して、画像形成装置の複数の構成部材を順次取り付けることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−327793号公報
【特許文献2】特開2006−35802号公報
【特許文献3】特開2010−76421号公報
【特許文献4】特開2008ー28988号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記いずれの特許文献にも、両面画像形成(両面印刷ともいう)可能な2つの搬送路を有していながら、コンパクト且つ剛性の高いフレーム構造については何ら記載されていないし示唆する記載もないのであった。
【0008】
本発明は、両面画像形成(両面印刷ともいう)可能な2つの搬送路を有していながら、コンパクト且つ剛性の高いフレーム構造を有する画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の画像形成装置は、装置本体内の下方の給紙カセットから被搬送媒体を1枚ずつ記録部に給送する給紙手段と、被搬送媒体へ画像形成する記録部と、この記録部を通過する被搬送媒体の第1搬送路と、前記記録部を通過した後の被搬送媒体に両面画像形成するための第2搬送路と、を備えた画像形成装置であって、前記両搬送路は、前記給紙手段を支持する平面部と、この平面部の左右両側から立ち上がる一対の側板とを備えたメインフレームに囲まれ、前記一対の側板には、前記平面部より上方にインナーフレームが固定され、前記インナーフレームを挟んで上方に前記第1搬送路が配置され、下方に前記第2搬送路が配置され、前記第1搬送路と前記第2搬送路とは、そのそれぞれの平面が前記被搬送媒体の搬送方向下流側で交わるように角度を持って形成されており、前記給紙カセットから前記記録部へ被搬送媒体を搬送するUターン経路に近い側には、前記第1搬送路と前記第2搬送路とを上下に繋ぐ内側ガイドブロックが設けられたものである。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、前記第1搬送路及び前記第2搬送路におけるそれぞれの平面と前記Uターン経路の内側ガイドブロックとで囲まれたほぼ三角形の空間に、前記第1搬送路の複数の構成部材及び前記第2搬送路における複数の構成部材が配置され、前記三角形の空間内に前記インナーフレームが配置されているものである。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の画像形成装置において、前記インナーフレームは、前記給紙カセットから前記記録部へ被搬送媒体を搬送するUターン経路に近い第1面と、前記記録部の記録ヘッドに近く且つ前記第1面より上方に位置する第2面とが備えられて、前記第1面と前記第2面とが連設され、前記インナーフレームにおける前記第1面には前記第1搬送路の構成部材における搬送押えローラホルダと、前記Uターン経路の内側ガイドブロックとが保持され、前記第2面には前記第2搬送路における少なくとも復路搬送従動ローラを含む構成部材が保持されているものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、給紙カセットから給送される被搬送媒体に記録部で片面画像形成するために、この記録部を通過する被搬送媒体の第1搬送路と前記記録部を通過した後の被搬送媒体に両面画像形成するための第2搬送路との両搬送路が、給紙手段を支持する平面部と、この平面部の左右両側から立ち上がる一対の側板とを備えたメインフレームに囲まれており、且つ、前記一対の側板には、前記平面部と前記第1搬送路との上下空間内にインナーフレームが固定されているので、上下方向に2つの搬送路を有するフレームをコンパクトにできると共に、フレーム構造全体としての剛性を高めることができる。
【0013】
そして、前記インナーフレームを挟んで上方に前記第1搬送路が配置され、下方に前記第2搬送路が配置され、前記第1搬送路と前記第2搬送路とは、そのそれぞれの平面が前記被搬送媒体の搬送方向下流側で交わるように角度を持って形成されており、前記給紙カセットから前記記録部へ被搬送媒体を搬送するUターン経路に近い側には、前記第1搬送路と前記第2搬送路とを上下に繋ぐ内側ガイドブロックが設けられたものであるから、フレーム構造の剛性を確保しつつ、両搬送路の配置関係も確実に保持できる。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、前記第2搬送路におけるそれぞれの平面と前記Uターン経路の内側ガイドブロックとで囲まれたほぼ三角形の空間に、前記第1搬送路の複数の構成部材及び前記第2搬送路における複数の構成部材が配置され、前記三角形の空間内に前記インナーフレームが配置されているものであるので、これによっても、フレーム構造の剛性を確保しつつ、両搬送路の配置関係も確実に保持できる。
【0015】
請求項3の発明によれば、前記インナーフレームは、前記給紙カセットから前記記録部へ被搬送媒体を搬送するUターン経路に近い第1面と、前記記録部の記録ヘッドに近く且つ前記第1面より上方に位置する第2面とが備えられているので、第2搬送路をUターン経路に向かって下向き傾斜状に配置することが容易である。そして、前記第1面と前記第2面とが連設されているものであるから、インナーフレームの剛性が一段と高めることができる。
【0016】
しかも、前記インナーフレームにおける前記第1面には前記第1搬送路の構成部材における搬送押えローラホルダと、前記Uターン経路の内側ガイドブロックとが保持され、前記第2面には前記第2搬送路における少なくとも復路搬送従動ローラを含む構成部材が保持されているものであるから、複数の構成部材の配置精度が高くなる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】複合機の斜視図である。
【図2】プリンタ部の模式的な断面図である。
【図3】プリンタ部の斜視図である。
【図4】キャリッジを省略して示す搬送装置の平面図である。
【図5】(A)は図4のVA-VA 線矢視断面図、(B)は図4の別の箇所の断面図である。
【図6】駆動部を含む搬送装置の平面図である。
【図7】インナーフレーム組の部材分解斜視図である。
【図8】(A)はインナーフレーム組の平面図、(B)は下面図である。
【図9】(A)は図8(A)のIX-IX 線矢視で示す搬送押えローラ用のカムのリリース位置の側面図、(B)は同じくカムの非リリース位置を示す側面図である。
【図10】両面印刷状態のプリンタ部の断面図である。
【図11】リリースロッドと側板の斜視図である。
【図12】(A)は図6のXIIA-XIIA 線で示す非リリース姿勢のリリースロッドと側板の側断面図、(B)は同じくリリース姿勢のリリースロッドと側板の側断面図である。
【図13】(A)は図6と同じ断面で示すリリース姿勢のリリースロッド示す図、(B)は同じくリリース姿勢のプラテン等の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下では、本発明の画像形成装置の好ましい実施形態として、スキャン・印刷・コピー・ファックス機能を備えた図1の複合機10が説明される。なお、外形直方体状に形成された複合機10の高さ方向(Z軸線方向)が上下方向と定義され、奥行き方向(Y軸線方向)が前後方向と定義され(なお、前又は前側とは後述の凹所11aの開口部11bを有する側を言い、後、後部又は奥側とは後述のUターン経路を有する側をいう)、幅方向(X軸線方向)が左右方向と定義されて(図1参照)、以下説明がされる。
【0019】
[複合機10の概要]
複合機10は、プリンタ筐体11と、このプリンタ筐体11の上面に載置されたスキャナ筐体12と、このスキャナ筐体12の上面に載置された原稿カバー13と、を備える。原稿カバー13は、開閉可能にスキャナ筐体12に支持され、開閉されることでスキャナ筐体12と共に原稿を挟む。この原稿の画像は、スキャナ筐体12に収容されたフラットベッドスキャナなどの不図示のスキャナにより走査されて取り込まれる。スキャナを収容したスキャナ筐体12は、プリンタ筐体11に開閉可能に支持されている。
【0020】
プリンタ筐体11は、給紙カセット14を収容する凹所11aを下部に備え、給紙カセット14を引き出し可能に支持する。給紙カセット14は、ユーザによりプリンタ筐体11の前面の開口部11bから引き出され、用紙などである第1被搬送媒体19が載置される。第1被搬送媒体19には、プリンタ筐体11に収容されたプリンタ部15により画像が記録される。
【0021】
プリンタ部15や上述のスキャナの制御は制御部により行われる。制御部は、制御基板に実装されたマイコンなどの種々の電子部品により実現される。制御部には、プリンタ筐体11に装着された図1の操作パネル16やパソコンなどの外部機器から信号が入力され、入力した信号により、制御部は、スキャナを駆動させたり、スキャナで取り込んだ画像をパソコンや電話回線に送出したり、スキャナで取り込んだ画像やパソコンや電話回線から入力された画像を第1被搬送媒体19や、第2被搬送媒体に記録させる。第2被記録媒体は、CDやDVDであり、不図示のトレイに載置される。トレイは、例えば第2被搬送媒体が嵌る円形状の凹所を備える厚さ数mmの板状に形成される。トレイは、プリンタ部15が備える後述のトレイガイド(不図示)にユーザにより載置される。
【0022】
[プリンタ部15]
プリンタ部15は、図2に示されたように、給紙カセット14からUターン経路32へ第1被搬送媒体19を給送する給紙手段41と、Uターン経路32からの第1被搬送媒体19を記録部20を経て排紙方向へ搬送する第1搬送路31及び搬送手段30と、搬送される被搬送媒体に画像を形成する記録部20と、第1被搬送媒体19に両面印刷(両面画像形成)するときUターン経路32の終端部へ第1被搬送媒体19を搬送する反転搬送路34(請求項にいう第2搬送路)と、を備える。なお、第1搬送路31は両面印刷(両面画像形成)するときの往路であり、反転搬送路34第2搬送路)は復路でもある。
搬送手段30は、後述のように第1被搬送媒体19を直接搬送し、第2被搬送媒体をトレイごと搬送する。第1被搬送媒体19及びトレイは請求項に記載の被搬送媒体に相当する。
【0023】
[記録部20(請求項でいう記録部)]
記録部20は、給紙カセット14の後部の上方に配置された板状のプラテン22と、このプラテン22の上方に対向配置された記録ヘッド21と、この記録ヘッド21が下面に備えられたキャリッジ17を左右方向にスライド可能に支持する一対のレール体23a、23bと、この一対のレール体23a、23bなどを支持するメインフレーム24を備える。
【0024】
[記録ヘッド21]
記録ヘッド21は、下方に開放する吐出口を有するノズルを備え、このノズルが圧電素子などにより変形されることで吐出口からインク滴を下方のプラテン22に向けて吐出する。後述されるように、第1被搬送媒体19及びトレイは、プラテン22上を搬送される。第1被搬送媒体19及びトレイの搬送と、記録ヘッド21の左右方向に沿った移動とにより、プリンタ部15は、第1被搬送媒体19及び第2被搬送媒体の表面のほぼ全面に画像を記録し得る。記録ヘッド21は、プラテン22と共に後述の第1搬送路31の一部を形成し、搬送手段30の一部でもある。プラテン22については後述される。
【0025】
[給紙手段41]
給紙手段41は、図2に示されたように給紙カセット14の後部の上方に配置され、支軸42とアーム43とその先端の給紙ローラ44とを備えている。支軸42は、メインフレーム24の底部である平面部24aにその中心軸を中心に回転可能に支持され、右側板25aの外側に配置された駆動部26により回転される。アーム43には支軸42の回転を給紙ローラ44に伝達する複数個の伝達ギア(不図示)が設けられた構成を有する。給紙ローラ44は、アーム43が支軸42周りに回転することで給紙カセット14に載置された第1被搬送媒体19に接触し、支軸42が回転することにより給紙ローラ44が回転することで第1被搬送媒体19を以下に説明されるUターン経路32を介して第1搬送路31に送り出す。
【0026】
[メインフレーム24]
メインフレーム24は、図2、図3、図6等に示されたように、支軸42より下方位置の平面部24aとこの平面部24aの左右両側から垂直に立設する側板25a,25bとを備え、プリンタ筐体11に固定される。側板25a,25bの上端間には、上述の一対のレール体23a、23bなどが支持・固定される。また、一対のレール体23a、23bより下方であって、平面部24aよりも上方には側板25a,25bの内面に対して、後述するインナーフレーム29の両端部がねじ止めやカシメにより固定されている。メインフレーム24及びインナーフレーム29は金属板からなる板金製である。側板25a,25bの間にはインナーフレーム29より上方位置にプラテン22が配置・固定される。このように、一対の側板25a,25bには、平面部24aと第1搬送路31との上下空間内にインナーフレーム29が固定されるので、メインフレーム24が、平面部24aとインナーフレーム29と一対の側板25a,25bとにより断面矩形状の枠組となるから、当該メインフレーム24を含むフレーム構造全体としての剛性を高めることができる。
【0027】
右側板25aの外側には不図示のメンテナンス部が配置され、ここでは記録ヘッド21の待機位置兼用のメンテナンス位置とする。待機位置兼用のメンテナンス位置では、メンテナンス部におけるキャップ部が記録ヘッド21のノズル面を下方から覆っている。右側板25aの外側に配置された駆動モータ及び伝動機構を有する右駆動部26により吸引ポンプ(図示せず)を作動させてノズルからインクを選択的に吸引したり、記録ヘッド21上の図示しないバッファタンク内の気泡を除去するための回復処理等を行う。第1被搬送媒体19の給送方向から見て左側の側板25bの外側部位にインク受け部(不図示)が配置されている。記録ヘッド21はインク受け部に設けられたフラッシング位置にて記録動作中に定期的にノズルの目詰まり防止のためのインク吐出を行い、インク受け部にてインクを受ける。
【0028】
左側板25bより外側には後述する搬送駆動ローラ35a,排紙駆動ローラ36a,スイッチバック駆動ローラ37aを回転駆動させるためのPFモータ27a及びその伝動機構27bが配置されているPF駆動部27が配置されている。PFモータ27a及びその伝動機構27bを支持するPFフレーム27cは、レール体23a、23bに吊支持されると共に、左側板25bに固着されている(図6参照)。
【0029】
[インナーフレーム29]
インナーフレーム29は、給紙カセット14から記録部20(記録ヘッド21の下方)へ第1被搬送媒体19を搬送するUターン経路32に近い第1面29aと、記録部の記録ヘッドに近く且つ第1面29aより上方に位置する第2面29bとが備えられて、板金製の第1面29aと第2面29bとが垂直な連結板29cで連設されている。第1面29aの後端には同じく上向きに垂直な後端板29d(請求項でいう端部位)が備えられている。第2面29bの前端にも上向きに垂直な前端板29eが備えられている。これらはプレス加工により曲げ起こし形成されている(図7等参照)。
【0030】
インナーフレーム29を挟んで上方には第1搬送路31が配置され、下方には第2搬送路である反転搬送路34が配置されている。インナーフレーム29には第1搬送路31及び第2搬送路である反転搬送路34における後述する複数の構成部材が備えられている。即ち、インナーフレーム29における第1面29a及び第1面29aから上向きに曲げ起こした端部位である後端板29dにて構成部材である搬送押えローラホルダ35bと、Uターン経路32の上端側の内側ガイドブロック71とを保持し、第2面29bで反転搬送路34における少なくとも復路搬送従動ローラ73を含む構成部材を固定する(図7、図8等参照)。これらの構成部材はインナーフレーム29をメインフレーム24に組み込む前に予め組み付けておく。
【0031】
より詳しくは、複数の搬送押えローラ35bが先端に並列配置された押えホルダ33の後端部の軸部75が、インナーフレーム29の後端板29dに曲げ形成された軸受部76に支持されている。内側ガイドブロック71内側ガイドブロック71は軸受部76を覆うようにして後端板29dに切欠き形成された係合部77に装着されている(図7参照)。
従って、上下方向に2つの搬送路(第1搬送路31及び反転搬送路34)を有するメインフレーム24をコンパクトにできると共に、メインフレーム24及びインナーフレーム29の両方の剛性を高めることができる。そして、第1搬送路31及び第2搬送路である反転搬送路34における複数の構成部材がインナーフレーム29に予め組み付けられているものであるから、複数の構成部材の相互間の配置精度が高くなる。
【0032】
反転搬送路34が平面部24aとインナーフレーム29と一対の側板25a,25bとにより囲まれた断面矩形状の枠組内に配置されているものであるから、反転搬送路34の配置が一層安定し、位置精度も高まる。
【0033】
そして、上記複数の構成部材が予め組付けられた状態のインナーフレーム29の両端部が側板25a,25bの内面に対して、ねじ止めやカシメにより固定されているものであるから、インナーフレーム29を取り付けた後に複数の構成部材を順次組み付けるのに比べて工数を大幅に少なくし、迅速且つ正確な組立てが可能となる。
【0034】
インナーフレーム29は、給紙カセット14から記録部へ被搬送媒体を搬送するUターン経路32に近い第1面24aと、記録部の記録ヘッドに近く且つ第1面24aより上方に位置する第2面24bとが備えられているので、反転搬送路34をUターン経路32に向かって下向き傾斜状に配置することが容易である。そして、第1面24aと第2面24bとが連結板29cで連設されていたり、後端板29dや前端板29eのような曲げ部位を有するものであるから、インナーフレーム29自体の剛性が一段と高めることができる。
【0035】
[第1搬送路31]
第1搬送路31は、図2に示されたように、上述の記録ヘッド21及びプラテン22と、このプラテン22の後端部寄りに配置された搬送ローラ対35と、プラテン22の前端部寄りに配置された排紙ローラ対36と、この排紙ローラ対36の前方に配置されたスイッチバックローラ対37(以下、スイッチバックをSBと記載する)とで断面直線状に形成されている。プラテン22の後方に位置するUターン経路32の下端が給紙カセット14の後端部の上に位置し、Uターン経路32の上端に第1搬送路31の後端部が位置している。第1搬送路31は搬送往路ともいう。第1搬送路31と後述する第2搬送路(反転搬送路34)とは給紙手段41を支持する平面部24aと、この平面部24aの左右両側から立ち上がる一対の側板25a,25bとを備えたメインフレーム24に囲まれている。
【0036】
[搬送ローラ対35]
プラテン22の後端部寄りに配置された搬送ローラ対35は、上側の搬送駆動ローラ35aと下側で対向する従動ローラである搬送押えローラ35bとで構成されて、レジスト作用も有している。上側の搬送駆動ローラ35aは、メインフレーム24にその中心軸を中心に回転可能に支持され、上述のPF駆動部27により回転される。搬送押えローラ35bは、プラテン22と一体で、上側の搬送駆動ローラ35aに接触して被搬送媒体を挟持搬送可能な非リリース姿勢と、搬送駆動ローラ35aに対して搬送押えローラ35bが下降して第1搬送路31を拡張する(リリースする)リリース姿勢と、の間で移動する。つまり、搬送ローラ対35は、上下方向において第1搬送路31を拡張できる構成を有する。
【0037】
[反転搬送路34(請求項にいう第2搬送路)]
反転搬送路34は、第1被搬送媒体19に後述するように両面印刷するときの当該第1被搬送媒体19をその表裏が反転させた状態にて再度記録ヘッド21の下方に搬送する搬送路を言い、搬送復路ともいう。反転搬送路34はメインフレーム24の平面部24aとインナーフレーム29との間に配置されている。反転搬送路34は後述するSBローラ対37側で高い位置でUターン経路32側で低い位置になるように傾斜状に配置されている。言い換えると、第1搬送路と第2搬送路とは、そのそれぞれの平面が被搬送媒体の搬送方向下流側で交わるように角度を持って形成されており、給紙カセット14から記録部20へ被搬送媒体を搬送するUターン経路32に近い側には、第1搬送路と第2搬送路とを上下に繋ぐ内側ガイドブロック71が設けられていることになる。さらに言い換えると、第1搬送路及び第2搬送路におけるそれぞれの平面とUターン経路32の内側ガイドブロック71とで囲まれたほぼ三角形の空間に、第1搬送路の複数の構成部材及び第2搬送路における複数の構成部材が配置され、上記三角形の空間内にインナーフレーム29が配置されていることになる。これによって、フレーム構造の剛性を確保しつつ、両搬送路の配置関係も確実に保持できる。
【0038】
以下、反転搬送路34の構成を説明する。第1被搬送媒体19の通路を挟む下構成部材と上構成部材(共に合成樹脂からなる)とを備える。下構成部材は、インナーフレーム29より下方にてメインフレーム24に固定された第1傾斜ガイド部材34aと、この第1傾斜ガイド部材34aより後ろでUターン経路32に隣接する第2傾斜ガイド部材34bと、第1傾斜ガイド部材34aの前方で後述するSB駆動ローラ37aの軸に回動可能に吊り支持された第3傾斜ガイド部材34cと、で形成されている(図2、図5、図10参照)。上部構成部材は、プラテン22の下面と、インナーフレーム29の下面に取付けられた上側搬送ガイド部材74とからなる。復路ローラ対38は、第1傾斜ガイド部材34aに付設された復路駆動ローラ38aと、上側搬送ガイド部材74の前端部に設けられらた復路従動ローラ38bとからなる(図2、図5、図7、図10参照)。
【0039】
Uターン経路32のうち上部であって、外側ガイドブロック69と内側ガイドブロック71との間に中間ガイドブロック70を配置することにより、Uターン経路32は第1被搬送媒体19が給紙カセット14から搬送される経路と反転搬送路34から搬送される経路とが合流することになる。
【0040】
インナーフレーム29における第1面29a及び第1面29aから上向きに曲げ起こした後端板29d(端部位)で構成部材における搬送押えローラホルダ33と、Uターン経路32の内側ガイドブロック71とを保持し、第2面29bで反転搬送路34における少なくとも復路従動ローラ38bを含む構成部材である上側搬送ガイド部材74を保持する。
【0041】
インナーフレーム29に立設する図5、図9(B)に示された第1コイルばね45により押えホルダ33上向きに付勢されることで搬送押えローラ35bが搬送駆動ローラ35aに押圧される。
【0042】
搬送押えローラ35bをリリースする構成は、押えホルダ33の前端部に下向きに突出して複数に並列された筒状拘束片46と、この筒状拘束片46に挿通された押え軸47と、押え軸47の端部に設けられたカム48と、インナーフレーム29の上面に切り起こし形成された規制部49と、を備える(図7、図9参照)。右駆動部26からの回転力で所定の回転角度だけ押え軸47が回転すると、カム48の周面が規制部49を押圧し、押え軸47が所定寸法だけ下降する(図9(A)参照)。これにより、押え軸47の回転により、筒状拘束片46の下辺側を下押しするので、搬送押えローラ35bが搬送駆動ローラ35aから離間し、リリース姿勢となる。この状態から、さらに所定の回転角度だけ押え軸47が回転すると、カム48の周面が規制部49から離れる(図9(B)参照)。第1コイルばね45の上向きに付勢力により押えホルダ33が上向き回動して、搬送押えローラ35bが搬送駆動ローラ35aと接触する非リリース姿勢となる。
【0043】
[排紙ローラ対36]
プラテン22の前端部寄りに配置された排紙ローラ対36は、下側の排紙駆動ローラ36aと上側の排紙従動ローラ36bとで構成されている。排紙従動ローラ36bは拍車型であり、メインフレーム24にその中心軸を中心に回転可能に支持されている。
【0044】
排紙駆動ローラ36aは、後述のリリースロッド50に支持されて排紙従動ローラ36bに接触する非リリース姿勢と、この非リリース姿勢より下方の位置においてメインフレーム24に支持されたリリース姿勢と、の間で上下方向に移動可能に設けられている。具体的には、排紙駆動ローラ36aの支軸36cは、左右側板25a,25bに設けられた上下方向に長い長孔58aに通され、リリース姿勢において長孔58aの下側の周壁に当接してメインフレーム24に支持される。また、排紙駆動ローラ36aは、排紙従動ローラ36bに接触する非リリース姿勢においては、後述の第2コイルばね62により上向きに付勢され、排紙従動ローラ36bに押圧される。排紙駆動ローラ36aは、上述のPF駆動部27により回転される。
【0045】
[プラテン22]
板状のプラテン22の前端部の左右両端部は、排紙駆動ローラ36aの支軸36cにより支持され、排紙駆動ローラ36aと共に前部が上下方向に移動可能である。プラテン22の後部も、後述されるように上下方向に移動可能に設けられる。
【0046】
プラテン22の左右両端部の後部寄りには、ばねホルダ54が取り付けられる取付部がそれぞれ設けられている。ばねホルダ54は、取付部の下方に配置されたホルダ部と、このホルダ部の前後両端部から上方の取付部に向かって突出する前後一対の取付片と、この取付片の先端部に設けられて取付部に引っ掛かる引掛爪と、を一体で備える。ばねホルダ54は、引掛爪が取付部に引っ掛かる位置を下限位置としてプラテン22に対して上下方向に移動する。ばねホルダ54のホルダ部とプラテン22の取付部との間には第2コイルばね52が配置されている(図5(B)参照)。この第2コイルばね52は、ホルダ部に対して取付部を上向きに付勢する。ホルダ部が後述のようにリリースロッド50により支持されることで、プラテン22の後部は第2コイルばね52により上向きに付勢された状態でばねホルダ54に支持される。後述のようにリリースロッド50がユーザにより移動されてばねホルダ54がリリースロッド50による支持を失うと、プラテン22の後部は、前部と共に自重により下がり、リリース姿勢においてメインフレーム24に支持される。プラテン22の上下移動距離はトレイの厚み寸法とほぼ同じとなるように設定されている。従って、プラテン22がリリース姿勢にあるときは、搬送ローラ対35及び排紙ローラ対36によりトレイを搬送することができる。
【0047】
[SBローラ対37]
プラテン22の前方に配置されたSBローラ対37は、図2に示されたように、上側のSB従動ローラ37bと下側のSB駆動ローラ37aとで構成されている。上側のSB従動ローラ37bは、メインフレーム24などにその中心軸を中心に回転可能に支持された拍車タイプである。下側のSB駆動ローラ37aは、後述のリリースロッド50にその中心軸を中心に回転可能に支持され、上述のPF駆動部27により回転される(図7(B)参照)。また、SB駆動ローラ37aは、上下方向に移動可能に後述のリリースロッド50に支持される。上側のSB従動ローラ37bに接触した非リリース姿勢と、この非リリース姿勢の下方に位置するリリース姿勢と、の間で上下方向に沿って移動する。なお、SB駆動ローラ37aの上下移動距離は、SB駆動ローラ37aとSB従動ローラ37bとの離間寸法がトレイの厚み寸法に等しいか、それよりも大きくなるように設定されている。
【0048】
SB駆動ローラ37aの支軸37cは、各側板25a,25bの上下方向に長い長孔58bに左右両端部の一方がそれぞれ通され、不図示の左右一対のねじりコイルばねの一端が当該両端部にそれぞれ当接する。このねじりコイルばねは、メインフレーム24に中心部及び他端が支持され、上記一端により支軸37cを上向きに付勢する。ねじりコイルばね63により支軸37cが上向きに付勢されることにより、非リリース姿勢にあるSB駆動ローラ37aはSB従動ローラ37bに押圧される。SB従動ローラ37bに押圧されたSB駆動ローラ37aは、上述の駆動部により回転されることで第1被搬送媒体19を搬送する。SB駆動ローラ37aは、片面印刷の時に第1被搬送媒体19を前方に向かって搬送することにより第1被搬送媒体19を給紙カセット14の上面を覆うように設けられた排紙部14aに排出する。第1被搬送媒体19の搬送方向の上流端部がSBローラ対37の箇所にきた時、SB駆動ローラ37aを一旦停止する。次いで、SB駆動ローラ37aを反転回動させて、第1被搬送媒体19を後方に向かって搬送することで第1被搬送媒体19を反転搬送路34に搬送する。反転搬送路34に進入した第1被搬送媒体19は、Uターン搬送路32から第1搬送路31に戻され、表裏が反転した状態でプラテン22上を通過し、裏面に画像が形成されるというように両面画像形成(両面印刷)することができる。
【0049】
[リリースロッド50]
リリース手段の一例としてのリリースロッド50は、図3,図5,図12に示されたように、左右方向を厚み方向とする板状にそれぞれ形成された基部51を備える。左右一対のリリースロッド50は、左右方向においてプラテン22とメインフレーム24における左右側板25a,25bの内側面との間にそれぞれ配置され、左右側板25a,25bの内側面に沿って前後方向に移動可能に支持される。
【0050】
リリースロッド50は、後述するように、基部51の前部に形成されたガイド溝孔53と、基部51の後部に形成されて上方に開放された逆T字状の蟻溝55と、基部51の後端から後方に向かって延びる支持片56と、が備えられている。この各リリースロッド50を前後移動可能で且つ倒れ不能に支持する構成は、左右側板25a,25bの内側面に切り起こされて水平部を有する曲げ片64と、インナーフレーム29又は側板25a,25bの内側面に切り起こされて支持片56が挿通されるガイド枠65と、上記支持片56が摺動自在に支持されるインナーフレーム29上面の支持面66と、からなる(図11参照)。従って、リリースロッド50は左右側板25a,25b及びインナーフレーム29により前後方向に移動可能に支持され、且つ、ガイド枠65の内径部に支持片56が挿通されることにより、リリースロッド50は側板25a,25bから離れる方向への倒れが防止される。
【0051】
リリースロッド50の前端には、下向きに開放された把持部50aが形成されている。第1搬送路31や、反転搬送路34中に第1被搬送媒体19が詰まった時(紙ジャム発生時)には、ユーザーが給紙カセット14を開口部11bから取り除く。次いで、大きく開放された凹所11a内に手を入れて、少なくとも左右いずれか一方のリリースロッド50の把持部50aを掴んで前方にリリースロッド50を引くことで、後述のように第1搬送路31が拡張して紙ジャムを処理できる。
【0052】
なお、第2被搬送媒体に画像形成することの可能な画像形成装置では、CDやDVDである第2被搬送媒体が載置されるトレイを第1搬送路31に送り込むためのトレイガイド(不図示)に、左右リリースロッド50の前端の把持部50aに連結されるので、後方の初期姿勢と、前方の拡張姿勢と、の間で前後方向に移動可能な構成を有する。つまり、トレイを載置できる状態にする動作に連動してリリースロッド50が移動する。初期姿勢は非リリース姿勢に相当し、拡張姿勢はリリース姿勢に相当する。
【0053】
以下、リリースロッド50がSB駆動ローラ37aを移動可能に支持する構成が説明される。リリースロッド50の基部51の前部には、図11に示されたように、SB駆動ローラ37aの支軸37cの左右方向の端部が通されるガイド溝孔53がそれぞれ設けられている。ガイド溝孔53は、上方に開放された開放部53aと、この開放部53aの後方に設けられた傾斜部53bと、この傾斜部53bの後方に設けられた直線状部53cと、を備える。傾斜部53bの上側の周面である傾斜面53dは、後方に向かうに従って下がるように傾斜する。傾斜面53dは、例えば、1乃至複数の平面や曲面により形成される。図示例では、傾斜面53dは、ほぼ一の平面で形成されている。直線状部53cは、傾斜部53bから後方に向かって直線状に延びる。ガイド溝孔53は、図11及び図12(A)に示されたように、リリースロッド50が後方の非リリース姿勢にあるときにSB駆動ローラ37aが傾斜部53bの前端部にある位置に設けられている。リリースロッド50が非リリース姿勢にあるときは、不図示のねじりコイルばねにより上向きに付勢されたSB駆動ローラ37aは、SB従動ローラ37b及び上側の傾斜面53dに押圧される。図12(b),図13に示されたように、リリースロッド50が非リリース姿勢のから前方(リリース姿勢)に向かって移動すると、ねじりコイルばねにより傾斜面53dに押圧されたSB駆動ローラ37aは、当該傾斜面53dに摺接しながら押し下げられ、図13に示されたように、直線状部53cに至る。つまり、SB駆動ローラ37aは、非リリース姿勢からリリース姿勢に姿勢変化する。
【0054】
次に、リリースロッド50が排紙駆動ローラ36aを移動させる構成が説明される。リリースロッド50の各基部51は、図11,図12(A),図12(B)に示されたように、上方に開放された逆T字状の蟻溝55を後部にそれぞれ備える。この蟻溝55は、リリースロッド50が初期姿勢にあるときに排紙駆動ローラ36aの支軸36cの真下となる位置に設けられている。各蟻溝55には、ばねホルダ61がそれぞれ収容される。このばねホルダ61は、蟻溝55の上部に配置されたホルダ部と、このホルダ部の前後両端部から下方に向かってそれぞれ突出する前後一対の取付片と、この取付片の下端部に設けられ蟻溝55の下部の周壁に引っ掛かる引掛爪と、を一体に備える。ばねホルダ61は、引掛爪が蟻溝55の周壁に引っ掛かる位置を上限位置として基部51に対して上下方向に移動する。蟻溝55の上部に配置されたホルダ部と蟻溝55の内底面(下面)との間には、第2コイルばね62が配置されている。この第2コイルばね62によりばねホルダ61は基部51に対して上向きに付勢される。
【0055】
図5(B)に示されたように、リリースロッド50が非リリース姿勢にある場合において、ばねホルダ61のホルダ部の上面には排紙駆動ローラ36aの支軸36cが接触し、ばねホルダ61は上限位置よりも下方に位置する。排紙駆動ローラ36aは、リリースロッド50が初期姿勢にあると、ばねホルダ61を介して第2コイルばね62により上向きに付勢され、排紙従動ローラ36bに搬送ローラ36aが押圧される。
【0056】
上述のように、ばねホルダ61は、リリースロッド50の基部51に取り付けられるから、基部51と一体で前後方向にスライドする。ここに、ばねホルダ61のホルダ部の後部には、後方に向かうに従って下がる傾斜面が設けられている。初期姿勢にあるリリースロッド50が前方に向かって移動されると、排紙駆動ローラ36aの支軸36cは、傾斜面を滑って、ばねホルダ61から外れる。ばねホルダ61による支持を失った支軸36cは、自重により下方に下がり、左右側板25a,25bに支持される。
【0057】
次にリリースロッド50がプラテン22の後部を姿勢変化させる構成が説明される。リリースロッド50は、図11、図13に示されたように、基部51の後端から後方に向かって延びる支持片56を備える。この支持片56の後端部には、図5(B)に示されたように、リリースロッド50が非リリース姿勢にある場合においてプラテン22の取付部に取り付けられた上述のばねホルダ54のホルダ部の下面に接触する支持凸部が設けられている。つまり、リリースロッド50は、支持片56により、ばねホルダ54を介してプラテン22の後部を支持する。支持片56の支持凸部の後部には、傾斜面56bが設けられている。この傾斜面56bは、後方に向かうに従って下がるように傾斜する。図12(A)から図12(B)に示されたように、リリースロッド50が初期姿勢から前方に向かって移動すると、ばねホルダ54は、傾斜面56bを滑りながら下方に移動し、図13(A)に示されたように、支持凸部から外れる。ばねホルダ54が支持凸部から外れることで、プラテン22は自重により下がってリリース姿勢となる。
【0058】
[動作]
リリースロッド50の非リリース姿勢は、給紙カセット14に載置された第1被搬送媒体19に画像を形成(記録)するための姿勢である。一対のリリースロッド50が初期姿勢にある場合は、上述のように搬送押えローラ35bは搬送駆動ローラ35aに押圧され、排紙駆動ローラ36aは排紙従動ローラ36bに押圧され、SB駆動ローラ37aはSB従動ローラ37bに押圧され、プラテン22は記録ヘッド21から所定距離(印字ギャップ)だけ離間する非リリース姿勢にある。リリースロッド50が非リリース姿勢にある場合において、第1被搬送媒体19への画像の形成が指示されると、上述の制御部は、給紙ローラ41を回転させて給紙カセット14に載置された第1被搬送媒体19をUターン搬送路32に送り出す。送り出された第1被搬送媒体19は、搬送ローラ対35により第1第1搬送路31に引き込まれ、搬送ローラ対35及び排紙ローラ対36により搬送されながら記録ヘッド21にて、片面又は両面に画像が形成され、SB駆動ローラ37aにより給紙カセット14上の排紙部14aに排出される。
【0059】
リリースロッド50のリリース姿勢は、CDやDVDなどの第2被搬送媒体に画像を形成するための姿勢である。トレイガイドがユーザにより前方に引き出され、一対のリリースロッド50が初期姿勢からリリース姿勢(拡張姿勢)に姿勢変化すると、第1搬送路31の下側(一方)を構成する複数の部材(部品)であるプラテン22、排紙駆動ローラ36a、SB駆動ローラ37aは一挙に下方に移動する。なお、第2被搬送媒体への画像の形成が指示されると、上述の制御部により、押え軸47を所定角度回動させ、上述のごとく搬送押えローラ35bを下降させて、搬送駆動ローラ35aとの間隔を拡張させる。これらにて第1搬送路31が上下方向に拡張される。第2被搬送媒体が載置されたトレイは、トレイガイドに支持されつつ、ユーザにより、排紙ローラ対36間に挿入される。第2被搬送媒体への画像の形成が指示されると、上述の制御部は、排紙駆動ローラ36a、搬送押えローラ35bを回転させてトレイを後方に向かって搬送し、次いで、搬送押えローラ35b、排紙駆動ローラ36aを逆回転させてトレイを前方に向かって搬送する。第2被搬送媒体には、トレイがプラテン22上を通過する間に記録ヘッド21により画像が形成される。
【0060】
第1搬送路31または反転搬送路34中で紙ジャムが発生した場合には、ユーザが給紙カセット14をプリンタ筐体11から抜き出し、凹所11aにユーザの手が入る空間を確保する。この凹所11aにユーザの手を入れ、左右のリリースロッド50のうち少なくとも一方の把持部50aを掴んで前方に引くと、上述の第1搬送路31の下側(一方)を構成する複数の部材(部品)であるプラテン22、排紙駆動ローラ36a、SB駆動ローラ37aにおける、上述のリリースされた側の部位が少なくとも一挙に下方に移動する。このように第1搬送路31が拡張しているから、ジャムとなった第1被搬送媒体19を簡単に抜き出すことができる。なお、搬送押えローラ35bのみがリリース状態であっても紙ジャム処理は容易である。
【0061】
拡張姿勢にあるリリースロッド50がユーザにより非リリース姿勢に戻されると、上述と逆の作用で、第1搬送路31の下側(一方)を構成する複数の部材(部品)である搬送押えローラ35b、プラテン22、排紙駆動ローラ36a、SB駆動ローラ37aSB駆動ローラ37aの支軸37cは、ねじりコイルばね63の付勢力により傾斜面53Dに摺接しながら上方に移動し、支持片56の支持凸部は、ホルダ部の下に潜り込んでばねホルダ54を押し上げ、ばねホルダ61は、排紙駆動ローラ36aの支軸36cの下に潜り込んで支軸36cを押し上げる。つまり、SB駆動ローラ37aと、プラテン22と、排紙駆動ローラ36aとが一挙に非リリース姿勢に復帰できる。
【0062】
なお、メインフレーム24に固定された主傾斜ガイド部材34aより前方の可動ガイド部材34bの前端はSB駆動ローラ37aの支軸37cに連結され、可動ガイド部材34bの後端はフリーである。給紙カセット14を凹所11a内に押し込むと、当該給紙カセット14の左右両側端の前端部に上向き突出している押圧部14bが可動ガイド部材34bの後端下部を押し上げる。これにより、当該可動ガイド部材34bの後端が主傾斜ガイド部材34aの前端より若干上位置となる傾斜状の姿勢であるので(図5(A)参照)、反転搬送される第1被搬送媒体19は円滑に反転搬送路34上に搬送される。給紙カセット14を引き出すと、押圧部14bによる可動ガイド部材34bの拘束が解除されて、図13(B)に示すように、可動ガイド部材34bの後端が下向きになるように吊り支持され、反転搬送路34中の紙ジャム処理が容易となる。
【0063】
本発明では、左右一方のリリースロッド50を備えた画像形成装置であっても良い。また、第1搬送路31の下側(一方)を構成する部材として搬送押えローラ35bを含めても良い。
【符号の説明】
【0064】
19‥‥第1被搬送媒体(被搬送媒体)
20‥‥記録部
22‥‥プラテン
24‥‥メインフレーム
24a‥‥平面部
25a,25b‥‥側板
29‥‥インナーフレーム
29a‥‥第1面
29b‥‥第2面
29c‥‥後端板
30‥‥搬送手段
31‥‥第1搬送路
32‥‥Uターン経路
33‥‥押えホルダ
34‥‥反転搬送路(第2搬送路)
35‥‥搬送ローラ対
35a‥‥搬送駆動ローラ
35b‥‥搬送従動ローラ
37‥‥SBローラ対
37a‥‥SB駆動ローラ
37b‥‥SB従動ローラ
71‥‥内側ガイドブロック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体内の下方の給紙カセットから被搬送媒体を1枚ずつ記録部に給送する給紙手段と、被搬送媒体へ画像形成する記録部と、この記録部を通過する被搬送媒体の第1搬送路と、前記記録部を通過した後の被搬送媒体に両面画像形成するための第2搬送路と、を備えた画像形成装置であって、
前記両搬送路は、前記給紙手段を支持する平面部と、この平面部の左右両側から立ち上がる一対の側板とを備えたメインフレームに囲まれ、
前記一対の側板には、前記平面部より上方にインナーフレームが固定され、
前記インナーフレームを挟んで上方に前記第1搬送路が配置され、下方に前記第2搬送路が配置され、
前記第1搬送路と前記第2搬送路とは、そのそれぞれの平面が前記被搬送媒体の搬送方向下流側で交わるように角度を持って形成されており、前記給紙カセットから前記記録部へ被搬送媒体を搬送するUターン経路に近い側には、前記第1搬送路と前記第2搬送路とを上下に繋ぐ内側ガイドブロックが設けられた、画像形成装置。
【請求項2】
前記第1搬送路及び前記第2搬送路におけるそれぞれの平面と前記Uターン経路の内側ガイドブロックとで囲まれたほぼ三角形の空間に、前記第1搬送路の複数の構成部材及び前記第2搬送路における複数の構成部材が配置され、
前記三角形の空間内に前記インナーフレームが配置されている、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記インナーフレームは、前記給紙カセットから前記記録部へ被搬送媒体を搬送するUターン経路に近い第1面と、前記記録部の記録ヘッドに近く且つ前記第1面より上方に位置する第2面とが備えられて、前記第1面と前記第2面とが連設され、
前記インナーフレームにおける前記第1面には前記第1搬送路の構成部材における搬送押えローラホルダと、前記Uターン経路の内側ガイドブロックとが保持され、前記第2面には前記第2搬送路における少なくとも復路搬送従動ローラを含む構成部材が保持されている、請求項1または2に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−71565(P2012−71565A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−220298(P2010−220298)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】