説明

画像形成装置

【課題】
排気口からの排気が直接当ったり、ファンの回転に伴う駆動音等の騒音にされされてしまう等の弊害の発生を防止し、画像形成装置の設置環境を快適にすることが可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】
トナーを熱溶融により定着させ画像形成を行う画像形成部を備えた画像形成装置であって、画像形成部を覆い、装置外面を形成するカバー部材と、画像形成に伴い発生した熱を排熱する排熱部材と、排熱部材の排熱位置に対応し、カバー部材の互いに隣接する2面に形成された排気口と、排気口の開閉を切替える開閉切替部材とを備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、複合機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置が備える排熱構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複写機、複合機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置内部に実装された定着器や電源等の熱源から発生する熱は、印刷プロセス等の性能維持に係る温度管理や、該印刷プロセス等において、高温にさらされる高温部品の溶融防止の観点から、装置外部に排熱される必要がある。
【0003】
装置外部に熱を排熱する排熱構造を備えた画像形成装置の一例として、例えば、特許文献1には、装置に実装された排熱部材としてのファンの回転により流れた空気を装置側面、又は背面に形成された排気口を介して排気することにより、装置内部の熱を排熱する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−249888号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の画像形成装置では、装置設置場所の事情により、例えば、装置の排気口がユーザの机の横、若しくは座席の横等に位置してしまう状況が起こりえる。この場合、排気口からの排気が直接当ったり、ファンの回転に伴う駆動音等の騒音にされされてしまう等の弊害が発生し、ユーザに対して不快感を与えてしまうといった問題があった。
【0006】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、本発明の課題は、排気口からの排気が直接当ったり、ファンの回転に伴う駆動音等の騒音にされされてしまう等の弊害の発生を防止し、画像形成装置の設置環境を快適にすることが可能な画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る画像形成装置は、トナーを熱溶融により定着させ画像形成を行う画像形成部を備えた画像形成装置であって、前記画像形成部を覆い、装置外面を形成するカバー部材と、画像形成に伴い発生した熱を排熱する排熱部材と、前記排熱部材の排熱位置に対応し、前記カバー部材の互いに隣接する2面に形成された排気口と、前記排気口の開閉を切替える開閉切替部材とを備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る画像形成装置は、トナーを熱溶融により定着させ画像形成を行う画像形成部を備えた画像形成装置であって、前記画像形成部を覆い、装置外面を形成するカバー部材と、画像形成に伴い発生した熱を排熱する排熱部材と、前記カバー部材の互いに隣接する2面の角部に排気口が形成され、該排気口からの排気の流れの向きを2面のうちの一方の面、又は他方の面の何れかに切替える切替手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、排気口からの排気が直接当ったり、ファンの回転に伴う駆動音等の騒音にされされてしまう等の弊害の発生を防止し、画像形成装置の設置環境を快適にすることが可能な画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】プリンタの概略断面図である。
【図2】排熱部を説明するための外観図である。
【図3】排熱部を説明するための図2A断面図である。
【図4】排熱部を説明するための詳細図である。
【図5】ユーザによる排気切替カバの切替動作を説明する図である。
【図6】ユーザによる排気切替カバの切替動作を説明する図である。
【図7】排熱部を説明するための詳細図である。
【図8】排熱部を説明するための図7P方向矢視図である。
【図9】ユーザによる排気切替回転カバの切替動作を説明するための図7F断面図である。
【図10】排熱部を説明するための詳細図である。
【図11】排熱部を説明するための図10K断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、本発明は以下の記述に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0012】
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態に係る排熱構造が適用された画像形成装置としてのプリンタ101の概略断面図である。プリンタ101は、例えば、電子写真方式により記録紙上に画像を形成することが可能な画像形成装置である。プリンタ101には、記録紙収納部201を始点とし、記録紙給紙ローラ202、第1レジストローラ203、第2レジストローラ204、第1イジェクトローラ207、第2イジェクトローラ208を終点とする略S字状に形成された記録紙搬送経路Sに沿って、画像形成部としての印刷プロセス部205、定着器206等が設けられている。また、図1中右側におけるプリンタ101装置後側には、印刷プロセス部205、定着器206等から発生した熱を排熱する排熱部材としてのファン211が設けられている。
【0013】
記録紙収納部201は、内部に記録紙を積層した状態で収納し、プリンタ101の下部に着脱自在に装着されている。そして、記録紙収納部201の上部に設けられた記録紙給紙ローラ202は、記録紙収納部201に収納された記録紙をその最上部から1枚ずつ取り出して記録紙搬送経路Sに繰出す。
【0014】
第1レジストローラ203、第2レジストローラ204は、記録紙給紙ローラ202から繰出された記録紙の斜行を矯正するとともに、記録紙を印刷プロセス部205に搬送する。
【0015】
印刷プロセス部205は、図示せぬ露光装置としてLED(Light Emitting Diode)素子等の発光素子とレンズアレイとを有するLEDヘッドを用いた電子写真方式の印刷エンジンを用いることができる。本実施形態において、電子写真方式の印刷エンジンを備える印刷プロセス部205は、図示せぬ露光装置から照射された光によって図示せぬ感光体上に形成された静電潜像にトナーを付着させることでトナー像を形成する。形成されたトナー像は、図示せぬ転写装置によって記録用紙に転写される。トナー像が転写された記録用紙は定着器206に搬送される。なお、印刷プロセス部205としては、電子写真方式以外の、例えば、レーザ方式、インクジェット方式、又はドットマトリックスインパクト方式の印刷エンジンも用いることも可能であり、プリンタ101外部に排熱する必要のある、あらゆる画像形成装置、又は他の機器においても同様の構成が可能である。
【0016】
定着器206は、印刷プロセス部205以降の記録紙搬送経路S下流側に配設されており、ヒートローラ、バックアップローラ、及びサーミスタ等を備える。ヒートローラは、例えば、アルミニウム等からなる中空円筒状の芯金にシリコーンゴムの耐熱弾性層を被覆し、その上にPFA(テトラフルオロエチレンーパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)チューブを被服することによって形成されている。そして、その芯金内には、例えば、ハロゲンランプ等の加熱ヒータが設けられている。バックアップローラは、例えば、アルミニウム等からなる芯金にシリコーンゴムの耐熱弾性層を被覆し、その上にPFAを被覆した構成であり、ヒートローラとの間に圧接部が形成されるように配設されている。サーミスタは、ヒートローラの表面温度検出手段であり、ヒートローラの近傍に非接触で配設されている。サーミスタが検出したヒートローラの表面温度の検出結果に基づき、上記加熱ヒータを制御することで、ヒートローラの表面温度は所定の温度に維持される。印刷プロセス部205において形成されたトナー像が転写された記録用紙が所定の温度に維持されたヒートローラとバックアップローラとから形成される圧接部を通過することにより、記録用紙上のトナーに熱、及び圧力が付与され、当該トナーは溶融し、トナー像が定着される。
【0017】
第1イジェクトローラ207、第2イジェクトローラ208は、定着器206を通過した記録用紙を挟持搬送し、プリンタ101の外筺を利用して形成された記録紙スタック210に排出記録紙209として排出する。
【0018】
なお、図1には示されていないが、プリンタ101を構成する他の部材として、プリンタ101は、マイクロプロセッサ,ROM(Read Only Memory),RAM(Random Access Memory),入出力ポート,タイマ等を備える印刷制御部、印刷データ及び制御コマンドを受信してプリンタ101の全体のシーケンスを制御し印刷動作を実行するインタフェース制御部、また、インタフェース制御部を介して入力された印刷データを一時的に記憶する受信メモリ、この受信メモリに記憶された印刷データを受け取ると共に、この印刷データを編集処理することによって、形成された画像データ(イメージデータ)を記憶する画像データ編集メモリ、プリンタ101の状態を表示するための、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)等の表示装置を備える表示部、ユーザからの指示を受付けるための、例えばタッチパネル等の入力手段を備える操作部、プリンタ101の動作状態を監視するための、例えば、用紙位置検出センサ,温湿度センサ,濃度センサ等の各種センサ、画像データ編集メモリに記憶されたイメージデータを図示せぬ露光装置に送り、この図示せぬ露光装置の駆動を制御する露光装置駆動制御部、定着器206の温度を制御する温度制御部、記録用紙を搬送する記録紙給紙ローラ202、第1レジストローラ203、第2レジストローラ204、第1イジェクトローラ207、第2イジェクトローラ208等を回転させるための駆動モータを制御する用紙搬送モータ制御部、図示せぬ感光体等の印刷プロセスに係る各種ローラを回転させるための駆動モータを制御する駆動制御部、及び各種ローラに電圧を印加する高圧電源等を備える。
【0019】
次に、上記定着器206、印刷プロセスに係る図示せぬ各種ローラ、又は各種ローラに電圧を印加する高圧電源等から発生した熱を排熱する排熱部材としてのファン211、及びファン211の回転により流れた空気をプリンタ101外部に排気する排気口の構成について説明する。なお、本発明の説明においては、ファン211、及び排気口を含めた構成を排熱部として説明するものとする。
【0020】
図2は、第1の実施形態に係る排熱部を説明するための外観図、図3は、第1の実施形態に係る排熱部を説明するための図2A断面図、図4は、第1の実施形態に係る排熱部を説明するための詳細図である。
【0021】
ファン211は、メインカバ102の装置コーナ稜線部を基準に隣接する2面に対応する位置に実装されている。本実施形態において、ファン211は、メインカバ102の一面に対し、装置左方向に45度の傾斜を持って実装されている。なお、傾斜の角度は厳密に45度でなくともよく、45度前後の傾斜角度であっても問題は無い。そして、ファン211の近傍には、メインカバ102との間の排熱を誘導するためのダクト113が設けられている。
【0022】
図4に示すように、メインカバ102には、装置コーナ稜線部を基準に隣接する2面に排気切替カバ摺動面108と、固定穴112が形成されている。開閉切替部材、又は切替手段としての排気切替カバ103は、排気切替カバ摺動面108と面接触し、固定爪107と固定穴112とが勘合することによって固定されている。また、排気切替カバ103の装置コーナ稜線部に対応する位置には、操作部105が設けられており、該操作部105を装置コーナ稜線方向に駆動することにより、排気切替カバ103自体を同方向に可動させることができる。
【0023】
また、排気切替カバ摺動面108には、排気口109、及び排気口110が装置コーナ稜線方向に対して直交するスリット形状で形成され、排気口110の配置位置は、排気口109に対して装置コーナ稜線方向に一列上側にオフセットさせている。なお、このような排気口109、又は排気口110のオフセット方向は、特に限定されるものではなく、例えば、排気口110の配置位置を、排気口109に対して装置コーナ稜線方向に一列下側にオフセットさせてもよい。
【0024】
また、排気切替摺動面108には、固定溝111と固定溝116とが装置コーナ稜線方向に直列に配置されており、両固定溝の何れかの溝が、排気切替カバ103に設けられた固定突起106と勘合することで、排気切替カバ103の位置決めを選択可能としている。
【0025】
排気切替カバ103には、装置コーナ稜線部を基準に隣接する2面両側に排気切替カバ排気口104が形成されている。2両面における排気切替カバ排気口104の配置位置は、装置コーナ稜線方向に対して直交するスリット形状でそれぞれ同じ高さ位置となるように形成されている。なお、本実施形態においては、プリンタ101の装置右後方部の稜線に隣接する右側面と後側面とを装置コーナ稜線部を基準に隣接する2両面の一例として説明しているが、同様な構成が可能な稜線部であれば、その稜線部の選択に制限は無い。
【0026】
次に、上記構成を備えたプリンタ101の印刷プロセスについて説明する。
【0027】
まず、プリンタ101に対して印刷データが入力され、当該印刷データに基づく画像データが生成されると、プリンタ101は印刷プロセスを開始する。印刷プロセスの開始にあたって、記録収納部201に収納された記録用紙は、図示せぬ駆動モータの駆動により回転した記録紙給紙ローラ202の回転により1枚ずつ記録用紙搬送経路Sに繰り出される。その後、記録用紙は第1レジストローラ203、第2レジストローラ204により斜行が矯正されながら、用紙搬送経路Sに沿って印刷プロセス部205に搬送される。
【0028】
印刷プロセス部205においては、図示せぬ露光装置から照射された光によって図示せぬ感光体上に形成された静電潜像にトナーを付着させることでトナー像が形成される。形成されたトナー像は、図示せぬ転写装置によって記録用紙に転写される。
【0029】
その後、記録用紙はヒートローラとバックアップローラとを備えた定着器206に搬送される。トナー像が転写された記録用紙は、図示せぬ温度制御手段により制御され、所定の表面温度に保たれたヒートローラとバックアップローラトにより形成される圧接部に搬送される。そして、ヒートローラから付与される熱によりトナーが溶融され、さらに圧接部で加圧されることにより、トナー像は記録用紙上に定着される。
【0030】
トナー像が定着された記録用紙は、第1イジェクトローラ207、第2イジェクトローラ208により挟持搬送された後、記録紙スタック210に排出記録紙209として排出され、一連の印刷プロセスは終了する。
【0031】
次に、上記印刷プロセスにおいて、例えば、定着器206、印刷プロセスに係る図示せぬ各種ローラ、又は各種ローラに電圧を印加する高圧電源等から発生した熱を排熱するための動作について前述の図3、図4、図5、及び図6を用いて説明する。図5、及び図6は、ユーザによる排気切替カバ103の切替動作を説明する図である。
【0032】
まず、ユーザが図5に示すように、排気切替カバ103の操作部105を図中B方向に操作すると、図4に示す排気切替カバ103の固定突起106と排気切替カバ摺動面108の固定溝111とが勘合し、排気切替カバ103はメインカバ102の下方向に保持されることになる。
【0033】
このとき、排気切替カバ摺動面108の排気口109と排気切替カバ103の排気切替カバ排気口104との高さ位置が一致し、図3、及び図5に示されるように、装置内部の熱はファン211の回転により装置右側のC方向に排熱される。
【0034】
これに対して、ユーザが図6に示すように、排気切替カバ103の操作部105を図中D方向に操作すると、図4に示す排気切替カバ103の固定突起106と排気切替カバ摺動面108の固定溝116とが勘合し、排気切替カバ103はメインカバ102の上方向に保持されることになる。
【0035】
このとき、排気切替カバ摺動面108の排気口110と排気切替カバ103の切替カバ排気口104との高さ位置が一致し、図3、及び図6に示されるように、装置内部の熱はファン211の回転により装置後側のE方向に排熱される。
【0036】
以上のように、第1の実施形態によれば、排気切替カバ103の位置をユーザが操作することにより、排熱方向を装置右側、又は装置後側等の2面の何れかを選択することができるため、排気口からの排気が直接当ったり、ファンの回転に伴う駆動音等の騒音にされされてしまう等の弊害の発生を防止し、画像形成装置の設置環境を快適にすることが可能となる。
【0037】
[第2の実施形態]
第2の実施形態では、第1の実施形態で説明したファン211、及び排気口を含めた排熱部の構成が異なる。以下の説明では、第1の実施形態と同一な箇所については、同一の符号を付してその説明を省略し、異なる箇所について説明する。
【0038】
図7は、第2の実施形態に係る排熱部を説明するための詳細図、図8は、第2の実施形態に係る排熱部を説明するための図7P方向矢視図である。
【0039】
図7に示すように、第2の実施形態に係るメインカバ102には、装置コーナ稜線部を基準に隣接する2面に排気口120、及び排気口121が装置コーナ稜線方向に対して同方向にスリット形状で形成されている。
【0040】
そして、図8に示すように、メインカバ102内部には、装置コーナの形状に合わせてダクトリブ125が上下2ヶ所にそれぞれ形成されており、一方のダクトリブ125(本実施形態においては、下方側のダクトリブ125)に位置決め穴123、両方のダクトリブ125に回転支点穴124がそれぞれ設けられている。
【0041】
また、開閉切替部材、又は切替手段としての排気切替回転カバ114の長手方向両端部には、回転支点117が形成されており、一端側には回転ノブ119が設けられている。前述のダクトリブ125に形成された回転支点穴124と該回転支点117とが勘合し、メインカバ102に形成された回転ノブ穴122を介して装置外部から操作可能な回転ノブ119を回転させることにより、排気切替回転カバ114を回動させることができる。また、排気切替回転カバ114に設けられた位置決め突起118を前述のダクトリブ125に形成された位置決め穴123と係合させることにより、排気切替回転カバ114を位置決め保持することができる。
【0042】
次に、印刷プロセスにおいて、例えば、定着器206、印刷プロセスに係る図示せぬ各種ローラ、又は各種ローラに電圧を印加する高圧電源等から発生した熱を排熱するための動作について図9を用いて説明する。図9は、ユーザによる排気切替回転カバ114の切替動作を説明するための図7F断面図である。
【0043】
図9に示されるように、例えば、排気切替回転カバ114が装置右側に位置している場合、つまり、排気切替回転カバ114が、排気口121と当接することで該排気口121が塞がれている場合は、装置内部の熱はファン211の回転により装置後側のT方向に排熱される。
【0044】
ユーザがメインカバ102に形成された回転ノブ穴122を介して回転ノブ119を回転させることにより、排気切替回転カバ114を図中Q位置まで回動させた場合、排気切替回転カバ114に設けられた位置決め突起118が前述のダクトリブ125に形成された位置決め穴123と係合することにより、排気切替回転カバ114は図中Q位置で位置決め保持される。すると、排気口120、及び排気口121の両排気口は開放された状態となり、装置内部の熱はファン211の回転により装置後側のT方向、及び装置右側のS方向の両方向に排熱される。
【0045】
さらに、ユーザがメインカバ102に形成された回転ノブ穴122を介して回転ノブ119を回転させることにより、排気切替回転カバ114を図中R位置まで回動させた場合、つまり、排気切替回転カバ114が、排気口120と当接することで該排気口120が塞がれている場合は、装置内部の熱はファン211の回転により装置右側のS方向に排熱される。
【0046】
第2の実施形態の説明においては、排気口の形状として装置コーナ稜線方向と同方向に形成した縦スリット形状を一例として説明したが、排気口の形状はこれに限定されない。例えば、排気口の形状が○形、△形等のどのような異形であったとしても、本実施形態によれば、排熱の排気方向を制御することが可能であり、製品意匠上の制約を排除でき、デザインの自由度を向上させることができる。また、本実施形態によれば、排熱の排気方向に制約が無い場合には、排気口120、及び排気口121の両排気口から排熱させることが可能であるため、例えば、画像形成装置の排熱量が増大する高速印刷時等においても対応することが可能となる。
【0047】
[第3の実施形態]
第3の実施形態においても、第2の実施形態と同様に第1の実施形態で説明したファン211、及び排気口を含めた排熱部の構成が異なる。以下の説明では、第1の実施形態、又は第2の実施形態と同一な箇所については、同一の符号を付してその説明を省略し、異なる箇所について説明する。
【0048】
図10は、第3の実施形態に係る排熱部を説明するための詳細図、図11は、第3の実施形態に係る排熱部を説明するための図10K断面図である。
【0049】
図10に示すように、第3の実施形態に係るメインカバ102には、装置コーナ稜線部を基準に隣接する2面を装置内側にへこませ、ファン211の対面近傍に形成された排気口形成面126が設けられている。
【0050】
排気口形成面126には、排気口115が形成されているとともに、メインカバ102に設けられた回転支点117により回動可能な排気切替回転カバ114’が取り付けられている。すなわち、排気口形成面126、及び排気口115は、ファン211と排気切替回転カバ114’との間の挟まる位置となるように形成されている。
【0051】
次に、印刷プロセスにおいて、例えば、定着器206、印刷プロセスに係る図示せぬ各種ローラ、又は各種ローラに電圧を印加する高圧電源等から発生した熱を排熱するための動作について図10、及び図11を用いて説明する。
【0052】
図11に示されるように、例えば、排気切替回転カバ114’が装置右側に位置している場合、装置内部の熱はファン211の回転により装置後側のL方向に排熱される。また、ユーザが排気切替回転カバ114’を図中U位置まで回動させた場合、装置内部の熱はファン211の回転により装置右側のM方向に排熱される。
【0053】
以上のように、第3の実施形態では、第1の実施形態、又は第2の実施形態と比較して最もファン211に近い位置に排気口115が形成されているとともに、装置内部でのダクト113も第1の実施形態、又は第2の実施形態と比較して最も短くなるように配設されている。したがって、第3の実施形態によれば、排熱に係る排気損失を低く抑えることが可能となり、冷却効率の高い排熱方向の制御が可能な画像形成装置を提供することができる。
【0054】
本発明の説明において、画像形成装置の具体例としてプリンタを一例として説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、複写機、複合機、ファクシミリ等の装置内部の熱を排熱する必要がある装置であれば、いずれの画像形成装置においても適用可能である。
【符号の説明】
【0055】
101 プリンタ
102 メインカバ
103 排気切替カバ
104 排気切替カバ排気口
105 操作部
106 固定突起
107 固定爪
108 排気切替カバ摺動面
109 排気口
110 排気口
111 固定溝
112 固定穴
113 ダクト
114 排気切替回転カバ
114’ 排気切替回転カバ
115 排気口
116 固定溝
117 回転支点
119 回転ノブ
120 排気口
121 排気口
122 回転ノブ穴
123 位置決め穴
124 回転支点穴
125 ダクトリブ
126 排気口形成面
201 記録紙収納部
202 記録紙給紙ローラ
203 第1レジストローラ
204 第2レジストローラ
205 印刷プロセス部
206 定着器
207 第1イジェクトローラ
208 第2イジェクトローラ
209 排出記録紙
210 記録紙スタック
211 ファン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーを熱溶融により定着させ画像形成を行う画像形成部を備えた画像形成装置であって、
前記画像形成部を覆い、装置外面を形成するカバー部材と、
画像形成に伴い発生した熱を排熱する排熱部材と、
前記排熱部材の排熱位置に対応し、前記カバー部材の互いに隣接する2面に形成された排気口と、
前記排気口の開閉を切替える開閉切替部材とを備えること
を特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記開閉切替部材は、2面に形成された排気口の何れかを選択して切替えること
を特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記排気口は、その長手方向が前記開閉切替部材の移動方向と直交する方向に形成され、各々の面において配設位置が異なること
を特徴とする請求項1、又は請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記開閉切替部材は、互いに隣接する2面の稜線方向にスライド自在に配設されること
を特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記開閉切替部材は、互いに隣接する2面の稜線方向と同方向に回転軸を有し、回動自在に配設されること
を特徴とする請求項1、又は請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記開閉切替部材は、前記排気口が形成された面に対して外側、若しくは内側の何れかに配設されること
を特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
トナーを熱溶融により定着させ画像形成を行う画像形成部を備えた画像形成装置であって、
前記画像形成部を覆い、装置外面を形成するカバー部材と、
画像形成に伴い発生した熱を排熱する排熱部材と、
前記カバー部材の互いに隣接する2面の角部に排気口が形成され、該排気口からの排気の流れの向きを2面のうちの一方の面、又は他方の面の何れかに切替える切替手段とを備えること
を特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−73419(P2012−73419A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−218215(P2010−218215)
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】