説明

画像形成装置

【課題】定着器のニップ解除機構の設置スペースを小さくし、装置全体の小型化を図り、かつ定着器のニップ解除動作を円滑に行う。
【解決手段】プロセスカートリッジおよび定着器100を間に収容する一対の本体フレーム50に、フロントドア30と定着器100とを結ぶ方向に延びる直動カム60が直線状に移動可能に支持されている。フロントドア30を開放することで、リンク機構を介して直動カム60は、後方(定着器100側)へ移動し、定着器100の操作レバー184を押し、定着器のニップ状態を解除する。その反力として操作レバー184は、直動カム60をその移動方向と交差する方向から押す。直動カム60を本体フレーム50に支持するガイド部材は、操作レバー184からの反力を受ける受面を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉可能なドアの開放に連動させて定着器の用紙挟持状態(ニップ状態)を解除する機構を有する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真技術を用いた画像形成装置では、通常、画像形成部において用紙に転写されたトナー像を用紙に定着させるための定着器が設けられている。定着器は、トナー像の転写された用紙に熱を付与する加熱部材と、この加熱部材に対して押圧されるように対向配置された加圧部材とからなり、ニップ状態にある加熱部材と加圧部材との間を用紙が通過する間に、トナー像を用紙に熱定着する。
【0003】
しかるに、加熱部材と加圧部材との間において用紙ジャムが発生した場合には、加熱部材と加圧部材とが圧接状態にあることから、これらを離間させて、用紙を取り除く必要がある。そのため、たとえば、装置本体に対して開閉されるドアの開放動作に連動させて、加熱部材と加圧部材との間のニップ状態を解除する機構を備える画像形成装置が提案されている。
【0004】
特許文献1には、トップカバーの開閉に連動させて定着器のニップ状態を解除する画像形成装置が記載されている。この特許文献1に記載の画像形成装置を簡略化した構成図を図13に示す。この画像形成装置は、ニップ解除機構として定着器の加圧部材に連結されたニップ解除部材210と、そのニップ解除部材210とトップカバー200とを連結する連結ロッド220とを有しており、トップカバー200の開閉に連動してニップ解除部材210を上下に移動させることで定着器をニップ状態あるいはその状態を解除する。ニップ解除部材210には、溝211が設けられ、連結ロッド220に設けられている軸212が溝211の中を摺動自在に支持されている。
【0005】
トップカバー200を開放する(図13に破線で示す)と、トップカバー200は、連結ロッド220を軸212を中心に回動させながら上方へ引き上げ、ニップ解除部材210を上昇させて定着器のニップ状態を解除する。トップカバー200を閉鎖する(図13に破線で示す)と、連結ロッド220は軸212を中心に回動しながら下降し、ニップ解除部材210を下方に移動させ、定着器をニップ状態にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−148992号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の連結ロッド220は、トップカバー200の開閉にともない軸212を中心に円弧運動する。そのため、図13に実線で示した位置から破線で示した位置まで連結ロッド220を円弧運動させるためのスペースを画像形成装置内に設けなければならない。また、連結ロッド220とニップ解除部材210との連結部すなわち軸212と溝211に定着器の大きなニップ荷重が作用するため、両者を荷重に耐えかつ円滑に動作するよう頑強に製作しなければならない。
【0008】
本発明の目的とするところは、定着器のニップ解除機構の設置スペースを小さくし、装置全体の小型化を図り、かつ定着器のニップ解除動作を円滑に行うことができる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために請求項1に記載の発明は、画像形成装置の筐体に開閉可能に設けられたドアと、画像形成部においてトナー像が形成された被記録媒体を挟持しながら圧力と熱を加えてトナー像を前記被記録媒体上に定着する定着器と、前記筐体内に設けられ、前記ドアと前記定着器とをほぼ結ぶ方向に延びる本体フレームと、前記ドアと前記定着器とをほぼ結ぶ方向に延びる直動部材と、前記本体フレームに設けられ、前記直動部材を前記方向に直線状に移動可能に案内するガイド部材と、前記ドアと前記直動部材とを連結し、前記ドアの開閉に連動して前記方向に往復移動させるリンク機構と、前記直動部材の前記移動により操作され、前記被記録媒体を挟持する状態とその挟持を解除する状態とに前記定着器を操作する操作部材と、を有し、前記直動部材は、前記移動方向と交差する方向から前記操作部材が当接する当接部を有し、前記ガイド部材は、前記直動部材の当接部と反対側の面を移動可能に支持しかつ前記操作部材からの反力を受ける受面を有することを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、前記リンク機構は、前記ドアの閉鎖状態から開放状態への移動によって、前記当接部が前記操作部材を押す方向に前記直動部材を前記ドア側から前記定着器側へ移動させるように、前記ドアと前記直動部材とを連結しており、前記定着器は、常態では前記被記録媒体を挟持する状態に付勢され、前記直動部材は、前記ドアの閉鎖状態から開放状態への移動によって、前記操作部材を前記付勢に抗して操作することを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の画像形成装置において、前記ドアの閉鎖状態において、前記当接部と前記操作部材とが間隔をおいて位置していることを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の画像形成装置において、前記ドアは前記筐体の一端側に開閉可能に設けられており、前記定着器は前記筐体の他端側に設けられていることを特徴とする。
【0013】
請求項5に記載の発明は、被記録媒体上にトナー像を形成する画像形成部およびトナー像が形成された被記録媒体を挟持しながら圧力と熱を加えてトナー像を前記被記録媒体上に定着する定着器を、間に収容する一対の本体フレームと、その一対の本体フレーム間の空間の一方の側の開放部であって、前記画像形成部を挟んで前記定着器とは反対側の開放部を開閉可能に覆うドアと、前記ドアと前記定着器とをほぼ結ぶ方向に延びる直動部材と、前記本体フレームの一方に設けられ、前記直動部材を前記方向に直線状に移動可能に案内するガイド部材と、前記ドアと前記直動部材とを連結し、前記ドアの開閉に連動して前記方向に往復移動させるリンク機構と、前記被記録媒体を挟持状態とその挟持を解除する状態とに前記定着器を操作する操作部材であって、前記直動部材の移動方向とは直交する方向に離れた位置の一軸線のまわりに回動可能に設けられ、その回動中心から前記直動部材の移動軌跡内に延びる操作部材と、を有し、前記直動部材は、前記移動方向と交差する方向から前記操作部材が当接する当接部を有し、前記ガイド部材は、前記直動部材の当接部と反対側の面を移動可能に支持しかつ前記操作部材からの反力を受ける受面を有することを特徴とする。
【0014】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の画像形成装置において、前記画像形成部は、前記開放部をとおして着脱可能であり、前記ドアが開放状態でかつ前記画像形成部が取り外された状態で、前記定着器への被記録媒体の搬送路が前記開放部側に露出されることを特徴とする。
【0015】
請求項7に記載の発明は、請求項5または請求項6に記載の画像形成装置において、前記定着器は前記被記録媒体を挟持する状態に付勢され、その状態にあるとき前記操作部材は、先端が前記直動部材の移動軌跡内に延びており、前記直動部材は、前記ドアの閉鎖状態から開放状態への移動によって、前記操作部材を前記付勢に抗して操作し、前記被記録媒体を挟持する状態を解除することを特徴とする。
【0016】
請求項8に記載の発明は、請求項5ないし請求項7のいずれかに記載の画像形成装置において、前記ドアの閉鎖状態において、前記当接部と前記操作部材とが間隔をおいて位置していることを特徴とする。
【0017】
請求項9に記載の発明は、請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の画像形成装置において、前記操作部材は、前記ドアが開放状態にあるとき、前記直動部材の移動方向とほぼ平行になる面を有し、その面を前記当接部と当接させていることを特徴とする。
【0018】
請求項10に記載の発明は、請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の画像形成装置において、前記ドアは、一軸線のまわりに回動することで前記筐体に対して開閉可能に設けられ、前記リンク機構は、前記本体フレームに回動可能に支持され二又状の第1リンクと、その第1リンクの一方のアームと前記ドアとを連結する第2リンクとを備え、前記第1リンクの他方のアームと前記直動部材とが連結されていることを特徴とする。
【0019】
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の画像形成装置において、前記直動部材と前記第1リンクの他方のアームとは、一方に設けられた摺動軸と、他方に設けられ、前記摺動軸を収容した軸溝とによって連結され、前記軸溝は、前記第1リンクの他方のアームの回動方向と交差する方向に延びていることを特徴とする。
【0020】
請求項12に記載の発明は、請求項11に記載の画像形成装置において、前記軸溝は、前記延びている第1部分と、その第1部分の一端から前記第1リンクの他方のアームの回動方向にほぼ沿う第2部分とを有することを特徴とする。
【0021】
請求項13に記載の発明は、請求項1ないし請求項12のいずれかに記載の画像形成装置において、前記操作部材は、前記直動部材の移動方向とは直交する方向に離れた位置の一軸線のまわりに回動可能に設けられ、その回動中心から前記直動部材の移動軌跡内に延びており、前記ガイド部材は、前記直動部材の、前記操作部材の回動中心が位置する側とは反対側の面を移動可能に支持していることを特徴とする。
【0022】
請求項14に記載の発明は、請求項1ないし請求項13のいずれかに記載の画像形成装置において、前記ガイド部材は、前記本体フレームに設けられ前記直動部材の移動方向に延びるスリットおよびそのスリットに挿入された凸部のいずれかと、前記直動部材の前記反対側の面を支持する前記受面とからなり、前記スリットおよび凸部のいずれかは、少なくとも前記直動部材の、前記リンク機構側の端部の近傍に設けられ、前記受面は、前記直動部材の、前記操作部材側の端部の近傍に設けられていることを特徴とする。
【0023】
請求項15に記載の発明は、請求項1ないし請求項14のいずれかに記載の画像形成装置において、前記画像形成部および前記定着器は、前記本体フレームの一方の側に位置し、前記リンク機構は、前記本体フレームの他方の側に位置しており、前記直動部材の前記操作部材側の端部は、前記本体フレームの一方の側に露出し、前記直動部材の前記リンク機構側の端部は、前記本体フレームの他方の側に露出する状態に、前記直動部材が前記本体フレームを貫通しかつ沿って支持されていることを特徴とする。
【0024】
請求項16に記載の発明は、請求項1ないし請求項15のいずれかに記載の画像形成装置において、前記直動部材は、その移動方向と平行な面でかつ前記本体フレームと直交する面に開口し、前記本体フレームとほぼ平行な方向に貫通する通気孔を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
請求項1に記載の発明によれば、ドアを開放することで、直動部材を直線状に移動させ、定着器の被記録媒体挟持状態を解除することができる。その際、直動部材は本体フレームに設けたガイド部材に直線状に移動可能に支持されており、ドアの開閉にともない回動もしくは揺動することがないため、装置内に直動部材の動作のためのスペースを大きくとる必要がなく、装置の小型化を図ることができる。また、定着器を操作する操作部材は、直動部材に対しその移動方向と交差する方向から当接し、直動部材の移動にともなう操作部材からの反力を、ガイド部材の受面で受けるから、定着器の挟持圧力が大きなものであっても、直動部材および操作部材を円滑に動作させることができる。
【0026】
請求項2に記載の発明によれば、ドアの開放によって、直動部材が、定着器において被記録媒体を挟持するように付勢されている状態からその付勢に抗して操作部材を押す。したがって、ドアの開放、直動部材の移動、操作部材への押圧、の各動作を連動させやすく、定着器において用紙挟持状態に付勢する大きな荷重を解除させやすい。
【0027】
請求項3に記載の発明によれば、ドアの閉鎖状態において、直動部材の当接部と操作部材とが間隔をおいて位置しており、ドアを開放し始める際に、定着器における付勢力の影響をうけることなく、開放操作することができる。
【0028】
請求項4に記載の発明のように装置のほぼ両端にドアと定着器とが配置されるものにおいて、上記直動部材および受面を有するガイド部材は、長い距離はなれたドアと定着器とを連結するに際して好都合であり、また直動部材は直線移動するので、上記のように装置を小型化することができる。
【0029】
請求項5に記載の発明によれば、ドアを開放することで、直動部材を直線状に移動させ、定着器の用紙挟持状態を解除し、一対の本体フレーム間の画像形成部、定着器に接近して被記録媒体のジャムを除去することができる。その際、直動部材は本体フレームに設けたガイド部材に直線状に移動可能に支持されており、ドアの開閉にともない回動もしくは揺動することがないため、装置内に直動部材の動作のためのスペースを大きくとる必要がなく、装置の小型化を図ることができる。また、定着器を操作する操作部材は、直動部材に対しその移動方向と交差する方向から当接し、直動部材の移動にともなう操作部材からの反力を、ガイド部材の受面で受けるから、定着器の挟持圧力が大きなものであっても、直動部材および操作部材を円滑に動作させることができる。
【0030】
請求項6に記載の発明によれば、ドアを開放することで、画像形成部を取り外し定着器への被記録媒体の搬送路を露出させ、その搬送路上の被記録媒体のジャムを除去することができる。
【0031】
請求項7に記載の発明によれば、ドアの開放によって、直動部材が、定着器において被記録媒体を挟持するように付勢されている状態からその付勢に抗して操作部材を操作し、その挟持状態を解除する。したがって、ドアの開放、直動部材の移動、操作部材への押圧、の各動作を連動させやすく、定着器において挟持状態に付勢する大きな荷重を解除させやすい。
【0032】
請求項8に記載の発明によれば、ドアの閉鎖状態において、直動部材の当接部と操作部材とが間隔をおいて位置しており、ドアを開放し始める際に、定着器における操作部材の影響をうけることなく、開放操作することができる。
【0033】
請求項9に記載の発明によれば、ドアが開放状態にあるとき、直動部材の移動方向とほぼ平行になる面を操作部材が有しており、その面を当接部と当接させているので、操作部材の移動量に対し、直動部材の移動量が大きくても、操作部材を所定位置に止めて直動部材を移動させることができる。
【0034】
請求項10に記載の発明によれば、ドアの開閉方向の回動により、第2リンク、二又状の第1リンクを順次動作させ、直動カム60を直線状に移動させることができる。
【0035】
請求項11に記載の発明によれば、第1リンクのアームに設けた摺動軸の円弧運動により、それと交差する方向に設けられた軸溝の壁面を押すことで、直動部材を直線状に移動させることができる。
【0036】
請求項12に記載の発明によれば、ドアの所定範囲の回動においては、上記のように摺動軸が軸溝の壁面を押すことで、直動部材を直線状に移動させ、その回動範囲を超えると、摺動軸がその円弧運動方向に沿う第2部分に入り、ドアの回動にかかわらず、直動部材は所定量だけ移動したところで停止する。このため、ドアの所定範囲を超える回動によって摺動軸が過剰に円弧運動しても、その円弧運動方向に直動部材に余分な負荷を与えることはない。
【0037】
請求項13に記載の発明によれば、操作部材が、直動部材の移動方向とは直交する方向に離れた位置の一軸線のまわりに回動可能に設けられ、その回動中心から直動部材の移動軌跡内に延びることで、直動部材に対しその移動方向と交差する方向から当接する。そして、上記のように、ガイド部材の受面で、直動部材の、操作部材の回動中心が位置する側とは反対側の面を移動可能に支持していることで、受面で操作部材からの反力を受け、定着器の挟持圧力が大きなものであっても、直動部材および操作部材を円滑に動作させることができる。
【0038】
請求項14に記載の発明によれば、直動部材を本体フレームに移動可能に支持するためのガイド部材として、前述の受面のほか、本体フレームに形成したスリットおよびそのスリットに挿入された凸部のいずれかが用いられる。受面は操作部材側の端部の近傍に設けられ、定着器において挟持状態を解除する大きな荷重を受けることができる。また、スリットおよび凸部のいずれかは、直動部材の、リンク機構側の端部の近傍を支持しており、直動部材に作用する大きな荷重の支持と、直動部材自体の支持とを達成することができる。
【0039】
請求項15に記載の発明によれば、直動部材の操作部材側の端部は、本体フレームの画像形成部および定着器側に露出し、直動部材のリンク機構側の端部はリンク機構とともに、本体フレームの画像形成部および定着器とは反対の側に露出する状態に、直動部材が本体フレームを貫通しかつ沿って支持されている。このため、被記録媒体のジャムの除去する際に、直動部材やリンク機構が妨げとなることがない。
【0040】
請求項16に記載の発明は、直動部材が、その移動方向と平行な面でかつ本体フレームと直交する面に開口し、本体フレームとほぼ平行な方向に貫通する通気孔を有している。このため、直動部材は画像形成装置内の空気の流れを妨げない。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の中央断面図である。
【図2】上記の画像形成装置における定着器のニップ状態の側面図である。
【図3】上記定着器のニップ解除状態の側面図である。
【図4】上記の画像形成装置における本体フレームの斜視図である。
【図5】上記の画像形成装置における直動カム(直動部材)の斜視図である。
【図6】図4の本体フレームの裏面の斜視図である。
【図7】図6の一部拡大図である。
【図8】ドア、リンク機構、直動カム(直動部材)および定着器の側面図である。
【図9】図8においてドア開放状態にした図である。
【図10】リンク機構と直動カム(直動部材)の拡大側面図である。
【図11】他の実施形態のドア、リンク機構および直動カム(直動部材)の側面図である。
【図12】さらに他の実施形態の直動カム(直動部材)および定着器の側面図である。
【図13】従来の画像形成装置のニップ解除機構の図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。
【0043】
<画像形成装置の全体構成>
画像形成装置1は、図1に示すように、大略、給紙トレイ5に収容した被記録媒体、たとえば用紙を用紙搬送機構10によって一枚ずつ搬送し、画像形成部20においてその用紙上にトナー像を形成し、定着器100により用紙上にトナー像を定着して、排紙トレイ6上に排出するものである。なお、以下の説明において、図1の紙面左側を画像形成装置1正面としてフロント側とし、右側を背面としてリア側とし、紙面奥側を画像形成装置1の左側とし、紙面手前側を画像形成装置1の右側とする。
【0044】
画像形成装置1は、一対の本体フレーム50(図4に一方のみを示す)を有し、その一対の本体フレーム50間に、給紙トレイ5、用紙搬送機構10、画像形成部20、定着器100を収容している。一対の本体フレーム50は、それぞれ前後および上下方向に延びる板状に形成され、棒状または板状の連結部材で互いに連結されており、また、画像形成装置の外装をなす筐体すなわち本体ケーシング2で覆われている。
【0045】
一対の本体フレーム50間の空間は、本体ケーシング2の前面および後面の開口から外部に開放され、その各開口には、フロントドア30およびリアドア40が開閉可能に設けられている。フロントドア30およびリアドア40は、それぞれ下端部において水平な軸30A,40Aのまわりに回動可能に支持されている。
【0046】
画像形成部20は、図1に示すように、プロセスカートリッジ21を含む。プロセスカートリッジ21は、トナー収容室および感光ドラム26を備え、フロントドア30を開放した状態で、装置の前面側から一対の本体フレーム50間に着脱可能に装着される。
【0047】
感光ドラム26上には、露光ユニット28により静電潜像が形成された後にトナーが供給されることでトナー像が形成される。感光ドラム26上のトナー像は、搬送されてきた用紙に転写される。その後、用紙はリア側に設けられた定着器100にて用紙に定着される。トナー像が定着された用紙は、排紙トレイ6上に排紙される。
【0048】
<定着器の構成>
定着器100としては、公知のように熱源を内蔵した加熱ローラと加圧ローラとを圧接させたもの、あるいは加熱ローラに代え無端筒状の定着フィルムを用いるものなどが利用できる。この実施の形態では、図2に示すように、無端筒状の定着フィルム110に熱源たとえばハロゲンランプ120およびニップ板130を内包し、加圧ローラ140を、定着フィルム110を介してニップ板130に圧接させた構成を用いる。そして、加圧ローラ140を回転駆動することで用紙を介して定着フィルム110が従動回転され、トナー像が転写された用紙が、加圧ローラ140と定着フィルム110との間で挟持されて搬送されることで用紙上にトナー像が熱定着される。
【0049】
加圧ローラ140は、左右一対の定着フレーム180間に橋渡して支持されている。定着フィルム110と、ハロゲンランプ120と、ニップ板130とは、ガイド部材170に支持されている。ガイド部材170は、定着フレーム180に上下動、すなわち加圧ローラ140に対してニップ板130が接近離隔する方向に移動可能に支持されている。
【0050】
定着フレーム180は、ガイド部材170の上方へ延びる上フレーム181を有し、上フレーム181とガイド部材170との間には、ガイド部材170を常時下方、すなわちニップ板130が加圧ローラ140に圧接する方向に付勢するスプリングSが設けられている。これにより、画像形成時においてニップ板130と加圧ローラ140との間に、好適なニップ圧がかかる。
【0051】
また、定着フレーム180の左右の側壁に渡って延びる回動軸185の左右両端には、径方向外側に突出するカム186が一体に固定されている。そのカム186は、ガイド部材170からリア側に適宜屈曲しながら延びる延在板176に下側から対向している。また、回動軸185の一方の端部には操作レバー184が一体に固定されている。
【0052】
そのため、操作レバー184を回動させて左右のカム186で左右の延在板176を上方に押圧すると、図3に示すように、左右のガイド部材170をスプリングSの付勢力に抗して上昇させ、ニップ板130を加圧ローラ140に対して離隔あるいは両者の圧接圧力を弱めることができる。また、この状態から操作レバー184を元の位置に戻すと、図2に示すように、カム186が左右の延在板176から外れ、コイルスプリングSの付勢力によりガイド部材170が下降し、ニップ板130を加圧ローラ140を圧接させることができる。
【0053】
<フレームと直動カム>
一対の本体フレーム50の一方には、図4に示すように、操作レバー184を操作するための直動部材すなわち直動カム60と、リンク機構80とが支持されている。直動カム60は、フロントドア30と定着器100とをほぼ結ぶ方向に延びる直線棒状の部材で、本体フレーム50にその壁面に沿って、ガイド部材により前記方向に直線状に移動可能に支持されている。直動カム60はそのフロントドア30寄りの前方部分を、本体フレーム50の定着器100とは反対側に露出させているが、後端部分(すなわち定着器100寄りの部分)を、本体フレーム50の開口50A(図7)を貫通して本体フレーム50の定着器100側に露出させている。
【0054】
直動カム60を本体フレーム50に移動可能に支持するガイド部材は、本体フレーム50に直動カム60の移動方向に長く延びて穿設されたスリット55(図6,図7)と、直動部材60の定着器100側の端部近傍の下面65を摺動可能に支持する受面51とからなる。
【0055】
直動カム60は、図5に示すように、樹脂材料で断面をほぼ中空の矩形に形成され、中空内を格子形状のリブで連結し強度を上げている。直動カム60は、スリット55に挿入されるガイド片64を有する。ガイド片64は、スリット55よりも上下方向の高さが小さい凸部64Aと、スリット55よりも上下方向の高さが大きい頭部64Bとからなる。スリット55は一端に、頭部64Bよりも上下および前後方向とも大きい開口部55Aを有し、その開口部55Aから頭部64Bを通して凸部64Aをスリット55内に位置させることができる。頭部64Bは、直動カム60が本体フレーム50から離れる方向に移動するのを規制する。
【0056】
受面51は、本体フレーム50の実質上下方向に延びる壁面に対してほぼ直角な平面をなし、直動カム60をその下面65と面接触して摺動可能に支持する。また、後述するように定着器100の操作レバー184から直動カム60に作用する力を受面51によって受ける強度を有するように、受面51は、本体フレーム50の上記壁面と連続した段状をなす。スリット55およびガイド片64は、直動カム60の長手方向に2組あるが、受面51に近い凸部64Aはスリット55の内側の稜線のうち下側の稜線には接触せず、受面51で直動カム60を支持している。つまり、スリット55の内側の稜線は、受面51に比して狭いので、操作レバー184から作用する力を受けない。フロントドア30に近い凸部64Aはスリット55の下側の稜線に摺動可能に接触し、直動カム60の重量をスリット55で受けている。つまり、操作レバー184から作用する力は、遠い側のスリット55にはほぼ作用しない。
【0057】
フロントドア30と直動カム60とはリンク機構80によって連動される。リンク機構80は、第1リンク82と、第2リンク81とからなる。第1リンク82は、本体フレーム50の外側(画像形成部20が位置する側とは反対側)の壁面に軸83Cにより回動可能に支持され、その軸83Cから延びる2つのアーム82A,82Bを有する二又状をなす。第2リンク81は、一端を一方のアーム82Aに軸83Bにより回動可能に連結され、他端をフロントドア30に軸83Aにより回動可能に連結されている。第1リンク82の他方のアーム82Aは、その先端に有する摺動軸84を、直動カム60に形成した軸溝61に摺動可能に挿入して、直動カム60に連結されている。
【0058】
軸溝61は、直動カム60のフロントドア30側端部に設けられており、図10に示すように、直動カム60の動作方向と直交しかつ第1リンク82の他方のアーム82Aの円弧運動方向と交差する方向に延びる第1部分61Aと、その第1部分の一端から他方のアーム82Aの摺動軸84の円弧運動方向にほぼ沿うように傾斜した第2部分61Bとを有する。
【0059】
したがって、フロントドア30を閉鎖位置から開放位置へ向け回動させると、第2リンク81が第1リンク82を図において反時計方向に回転させる。その結果、摺動軸84が第1部分61Aの後壁面を押し、直動カム60を後方に直線移動させる。直動カム60が所定量だけ直線移動した後(後述するように定着器の用紙挟持状態が解除された後)は、さらにフロントドア30が開放位置へ向けて回動しても、摺動軸84が第2部分61B内をその傾斜方向に沿って円弧運動し、直動カム60を押すことはない。つまり、直動カム60は停止したまま、フロントドア30は回動を続け開放位置に達する。
フロントドア30を開放位置から閉鎖位置へ向け回動させると、第2リンク81が第1リンク82を図において時計方向に回転させ、摺動軸84が第2部分61Bから第1部分61Aに入った後、第1部分61Aの前壁面を前方へ引き、直動カム60を前方に直線移動させる。
【0060】
直動カム60はその後端に、定着器100の操作レバー184と当接可能に円弧状に形成された当接部63を有する。操作レバー184の回転中心となる軸185は、直動カム60に対しその移動方向とは直交する方向に離れて位置しており、その結果、操作レバー184は、軸185から直動カム60の移動軌跡に向けその移動軌跡に対して傾斜して延びている。
【0061】
フロントドア30が閉鎖位置にある状態では、図8に示すように、直動カム60は前方へ移動しており、後端の当接部63を操作レバー184から離間させている。フロントドア30を開放位置へ向け回動させるとき、当接部63が操作レバー184に当接するまでは、フロントドア30を定着器100からのスプリングSの付勢力に無関係に回動させることができる。
直動カム60は、当接部63を操作レバー184に当接させると、図9に示すように、スプリングSの付勢力に抗して操作レバー184を回動させ、定着器100のニップ板130を加圧ローラ140から離間させる。
【0062】
このとき、操作レバー184は、直動カム60の移動方向に対して傾斜する方向から当接部63に当接しているため、スプリングSの付勢力で直動カム60を前方および下方へ押すことになる。しかし、当接部63と反対側の直動カム60下面65は、前述のように受面51により広い面積で、かつ受面51と本体フレーム51とがなす頑強な構成で支持されているので、スプリングSの付勢力が大きなものであっても受けることができる。
【0063】
フロントドア30が開放位置にある状態で、プロセスカートリッジ21を本体フレーム50から取り外すと、プロセスカートリッジ21の下を経て定着器100に至る用紙搬送経路が露出する。さらに、この状態において前述のように定着器100の用紙挟持状態が解除されているので、プロセスカートリッジ21の下または定着器100において発生した用紙ジャムを除去することができる。
【0064】
定着器100の用紙挟持状態が解除されているとき、スプリングSはカム186を操作レバー184が直動カム60に当接する方向に付勢している。したがって、フロントドア30を閉鎖位置に回動すると、定着器100はスプリングSの付勢力により用紙を挟持することが可能な状態にもどる。また、直動カム60は、操作レバー184に押され、フロントドア30の閉鎖方向への回動を助ける。
【0065】
本体フレーム50の、画像形成部20とは反対側、すなわち本体フレーム50とそれに対向する本体ケーシング2の側壁との間には、図4に示すように、低圧電源基板70と、その基板70を収容するシールド箱71とが配置されている。なお、基板70およびシールド箱71は、直動カム60よりも下に位置する。
【0066】
シールド箱71は、低圧電源基板70を電磁波に対し遮蔽しかつ放熱性をよくするために例えば金属材料により構成されている。箱71の前後の壁面には通気孔52A,52B、上の壁面には通気孔53が形成されている。
【0067】
低圧電源基板70上には、発熱しやすい回路素子72を装着したヒートシンク73が支持されている。ヒートシンク73は、熱伝導性の良い材料(例えばアルミニウムなどの金属材料)により形成され、シールド箱71の上面に熱伝導可能に接触している。フロントドア30が閉鎖位置にある状態でシールド箱71上面の通気孔53と対向する直動カム60の箇所には、通気孔62が形成されている。通気孔62は、直動カム60の移動方向と平行な面でかつ本体フレーム50と直交する面に開口し、本体フレーム50とほぼ平行な方向に貫通している。
【0068】
本体フレーム50において直動カム60よりも上の位置には、排気ファン90が設けられている。排気ファン90は、主として定着器100まわりの加熱された空気を、排気ファン90と対向する本体ケーシング2の側壁(本体フレーム50を挟んで定着器100とは反対側の側壁)の箇所に設けた排気口(図示しない)から機外へ排出するものである。
【0069】
また、排気ファン90に隣接する箇所において本体フレーム50には、本体フレーム50を貫通する通気孔92(図6)が形成されている。排気ファン90は、直動カム60の通気孔62の上側の空間の空気を、一旦本体フレーム50の内側(すなわち定着器100側)の空間に吸引し、定着器100周りの空気とともに上記のように排出する。つまり、図4に示すように、通気孔52A,52Bからシールド箱71内に入った空気は、矢印91A,91Bで示すように、シールド箱71上面の通気孔53から直動カム60の通気孔62を通り、矢印91Dに示すように直動カム60の上の空間に流れ、通気孔92から本体フレーム50の内側へ迂回し、排気ファン90により機外へ排出される。このとき、シールド箱71外のその周囲の空気も直動カム60の通気孔62を通って吸引されるため、ヒートシンク73からシールド箱71に伝導した熱も排出される。
【0070】
上記のように、本体フレーム50と本体ケーシング2の側壁との間隔が狭く、しかも直動カム60が、基板70と排気ファン90との間を遮断するように配置されていたとしても、直動カム60に通気孔62を設けたことで、基板70から排気ファン90への空気の流通を妨げることがなく、回路素子の冷却を効率よく行うことができる。
【0071】
<本実施形態の作用効果>
本実施形態では、フロントドア30を開放することで、直動カム60を直線状に移動させ、定着器100の用紙挟持状態を解除する。したがって、プロセスカートリッジ21を取り出して、定着器100への用紙搬送経路に生じた紙ジャムを除去することができる。
この際、直動カム60のフロントドア30側端部は、本体フレーム50に対しプロセスカートリッジ21とは反対側に位置し、同側に設けられたリンク機構80を介してフロントドア30と連結されている。つまり、プロセスカートリッジ21の着脱や紙ジャムの除去の作業をする部分において直動カム60やリンク機構80が突出していないので、その作業の妨げとなることがない。
【0072】
リンク機構81は、二又状の第1リンク82と、その第1リンクの一方のアーム82Aとフロントドア30とを連結する第2リンク81とからなり、第1リンクの他方のアーム82Bと直動カム60とが連結されている。このため、フロントドア30の開閉方向の回動により、直動カム60を移動させることができる。また、アーム82Bの摺動軸84の円弧運動により、交差する方向に設けられた軸溝61Aの壁面を押すことで、直動カム60を直線状に移動させることができる。
【0073】
フロントドア30の所定範囲の回動においては、上記のように摺動軸84が軸溝61Aの壁面を押すことで、直動カム60を直線状に移動させるが、その回動範囲を超えると、摺動軸84がその円弧運動方向に沿う部分に入り、フロントドア30の回動にかかわらず、直動カム60は所定量だけ移動したところで停止する。また、フロントドア30の所定範囲を超える回動によって摺動軸84が過剰に円弧運動しても、その円弧運動方向に直動カム60に余分な負荷を与えることはない。
【0074】
また、直動カム60は本体フレームに設けたガイド部材に直線状に移動可能に支持されている。フロントドア30の回動にともない直動カム60も回動もしくは揺動するものではないため、装置内に直動カム60の動作のためのスペースを大きくとる必要がない。特に、装置のほぼ両端に配置されるフロントドア30と定着器100とを連結するに際して好都合である。
【0075】
直動カム60が定着器100の用紙挟持状態を解除するために、操作レバー184が直動カム60に対しその移動方向と交差する方向から当接している。その際に、本体フレームに設けたガイド部材の受面51で、直動カム60の当接部とは反対側の面65を支持し操作レバー184からの反力を受ける。したがって、定着器100において用紙挟持状態を解除する荷重が大きくても本体フレームでそれを受けるので、直動カム60は変形する等のことなく安定して直線移動することができる。
【0076】
さらに操作レバー184は、具体的には、直動カム60の移動方向とは直交する方向に離れた位置の一軸線のまわりに回動可能に設けられ、その回動中心から直動カム60の移動軌跡内に延びることで、直動カム60に対しその移動方向と交差する方向から当接している。そして、上記のように、ガイド部材の受面51で、直動カム60を支持し操作レバー184からの反力を受けることができる。
【0077】
直動カム60は、フロントドア30の開放方向への回動によって、定着器100において用紙を挟持するように付勢されている状態からその付勢に抗して操作レバー184を押す。したがって、フロントドア30の開放方向への回動、直動カム60の後退、操作レバーの押圧、の各動作を連動させやすく、定着器100において用紙挟持状態に付勢する大きな荷重を解除させやすい。また、この場合、フロントドア30の閉鎖状態において、直動カム60と操作レバー184とが間隔をおいて位置しており、フロントドア30を開放方向へ回動し始める際に、上記付勢力の影響をうけることなく、回動操作することができる。
【0078】
直動カム60を本体フレーム50に移動可能に支持するためのガイド部材として、前述の受面51のほか、本体フレーム50に形成したスリット55が用いられ、直動カム60に形成した凸部64Aがスリット55に挿入される。ここで、受面51は定着器100の近傍に設けられ、定着器100において用紙挟持状態を解除する大きな荷重を受ける。また、スリット55は、フロントドア30近傍の直動カム60の部分を支持している。
【0079】
<その他の実施形態>
直動カム60は、図11に示すように、装置の前後方向に対して斜めに直線移動するような構成、あるいは装置の上下方向に直線移動するような構成としても良い。いずれにしても操作レバー184と当接する側と反対の直動カム60の面をフレーム50の受面51で支持するような構成とする。
【0080】
また、操作部材すなわち操作レバー184は、図12に示すように、先端を直動カム60により押される方向に屈曲した形状とし、フロントドア30の開放により直動カム60が後方へ移動したとき、屈曲した先端部において直動カム60と対向する面184Aが、その直動カム60の移動方向と平行に位置する構成とすることもできる。このように構成することで、定着器100を用紙挟持状態から解除状態にするための操作レバー184の移動量に対し、直動カム60の移動量が大きくても、操作レバー184を所定位置に止めて直動カム60を移動させることができる。また、面184Aが直動カム60の移動方向と平行に位置する状態において、スプリングSはカム186を操作レバー184が直動カム60に当接する方向に付勢しているので、フロントドア30の閉鎖方向への回動にともない、直動カム60が前方へ移動すると、操作レバー184が時計方向に回動し、定着器100は用紙挟持状態にもどる。
【0081】
また、上記の実施形態では、リンク機構80に摺動軸84、直動カム60に軸溝61を設けたが、リンク機構に軸溝、直動カムに摺動軸を設ける構成としても良い。さらに、本体フレーム50にスリット55、直動カム60にガイド片64を設けたが、本体フレーム50にガイド片、直動カム60にスリットを設ける構成としても良い。
【0082】
また、上記の実施形態では、直動カム60の下方に低圧電源基板70およびシールド箱71を配置したが、その他の発熱をともなう電気的な回路基板等を配置しても良い。
【符号の説明】
【0083】
1 画像形成装置
2 本体ケーシング(筐体)
30 フロントドア
50 本体フレーム
51 受面
60 直動カム(直動部材)
61 軸溝
61A 第1部分
61B 第2部分
62 通気孔
63 当接部
80 リンク機構
81 第2リンク
82 第1リンク
84 摺動軸
100 定着器
184 操作レバー(操作部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置の筐体に開閉可能に設けられたドアと、
画像形成部においてトナー像が形成された被記録媒体を挟持しながら圧力と熱を加えてトナー像を前記被記録媒体上に定着する定着器と、
前記筐体内に設けられ、前記ドアと前記定着器とをほぼ結ぶ方向に延びる本体フレームと、
前記ドアと前記定着器とをほぼ結ぶ方向に延びる直動部材と、
前記本体フレームに設けられ、前記直動部材を前記方向に直線状に移動可能に案内するガイド部材と、
前記ドアと前記直動部材とを連結し、前記ドアの開閉に連動して前記方向に往復移動させるリンク機構と、
前記直動部材の前記移動により操作され、前記被記録媒体を挟持する状態とその挟持を解除する状態とに前記定着器を操作する操作部材と、を有し、
前記直動部材は、前記移動方向と交差する方向から前記操作部材が当接する当接部を有し、
前記ガイド部材は、前記直動部材の当接部と反対側の面を移動可能に支持しかつ前記操作部材からの反力を受ける受面を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記リンク機構は、前記ドアの閉鎖状態から開放状態への移動によって、前記当接部が前記操作部材を押す方向に前記直動部材を前記ドア側から前記定着器側へ移動させるように、前記ドアと前記直動部材とを連結しており、
前記定着器は、常態では前記被記録媒体を挟持する状態に付勢され、前記直動部材は、前記ドアの閉鎖状態から開放状態への移動によって、前記操作部材を前記付勢に抗して操作することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記ドアの閉鎖状態において、前記当接部と前記操作部材とが間隔をおいて位置していることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記ドアは前記筐体の一端側に開閉可能に設けられており、
前記定着器は前記筐体の他端側に設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
被記録媒体上にトナー像を形成する画像形成部およびトナー像が形成された被記録媒体を挟持しながら圧力と熱を加えてトナー像を前記被記録媒体上に定着する定着器を、間に収容する一対の本体フレームと、
その一対の本体フレーム間の空間の一方の側の開放部であって、前記画像形成部を挟んで前記定着器とは反対側の開放部を開閉可能に覆うドアと、
前記ドアと前記定着器とをほぼ結ぶ方向に延びる直動部材と、
前記本体フレームの一方に設けられ、前記直動部材を前記方向に直線状に移動可能に案内するガイド部材と、
前記ドアと前記直動部材とを連結し、前記ドアの開閉に連動して前記方向に往復移動させるリンク機構と、
前記被記録媒体を挟持状態とその挟持を解除する状態とに前記定着器を操作する操作部材であって、前記直動部材の移動方向とは直交する方向に離れた位置の一軸線のまわりに回動可能に設けられ、その回動中心から前記直動部材の移動軌跡内に延びる操作部材と、を有し、
前記直動部材は、前記移動方向と交差する方向から前記操作部材が当接する当接部を有し、
前記ガイド部材は、前記直動部材の当接部と反対側の面を移動可能に支持しかつ前記操作部材からの反力を受ける受面を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
前記画像形成部は、前記開放部をとおして着脱可能であり、前記ドアが開放状態でかつ前記画像形成部が取り外された状態で、前記定着器への被記録媒体の搬送路が前記開放部側に露出されることを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記定着器は前記被記録媒体を挟持する状態に付勢され、その状態にあるとき前記操作部材は、先端が前記直動部材の移動軌跡内に延びており、前記直動部材は、前記ドアの閉鎖状態から開放状態への移動によって、前記操作部材を前記付勢に抗して操作し、前記被記録媒体を挟持する状態を解除することを特徴とする請求項5または請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記ドアの閉鎖状態において、前記当接部と前記操作部材とが間隔をおいて位置していることを特徴とする請求項5ないし請求項7のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記操作部材は、前記ドアが開放状態にあるとき、前記直動部材の移動方向とほぼ平行になる面を有し、その面を前記当接部と当接させていることを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記ドアは、一軸線のまわりに回動することで前記筐体に対して開閉可能に設けられ、
前記リンク機構は、前記本体フレームに回動可能に支持され二又状の第1リンクと、その第1リンクの一方のアームと前記ドアとを連結する第2リンクとを備え、前記第1リンクの他方のアームと前記直動部材とが連結されていることを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記直動部材と前記第1リンクの他方のアームとは、一方に設けられた摺動軸と、他方に設けられ、前記摺動軸を収容した軸溝とによって連結され、
前記軸溝は、前記第1リンクの他方のアームの回動方向と交差する方向に延びていることを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記軸溝は、前記延びている第1部分と、その第1部分の一端から前記第1リンクの他方のアームの回動方向にほぼ沿う第2部分とを有することを特徴とする請求項11に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記操作部材は、前記直動部材の移動方向とは直交する方向に離れた位置の一軸線のまわりに回動可能に設けられ、その回動中心から前記直動部材の移動軌跡内に延びており、
前記ガイド部材は、前記直動部材の、前記操作部材の回動中心が位置する側とは反対側の面を移動可能に支持していることを特徴とする請求項1ないし請求項12のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記ガイド部材は、前記本体フレームに設けられ前記直動部材の移動方向に延びるスリットおよびそのスリットに挿入された凸部のいずれかと、前記直動部材の前記反対側の面を支持する前記受面とからなり、
前記スリットおよび凸部のいずれかは、少なくとも前記直動部材の、前記リンク機構側の端部の近傍に設けられ、
前記受面は、前記直動部材の、前記操作部材側の端部の近傍に設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項13のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記画像形成部および前記定着器は、前記本体フレームの一方の側に位置し、前記リンク機構は、前記本体フレームの他方の側に位置しており、
前記直動部材の前記操作部材側の端部は、前記本体フレームの一方の側に露出し、前記直動部材の前記リンク機構側の端部は、前記本体フレームの他方の側に露出する状態に、前記直動部材が前記本体フレームを貫通しかつ沿って支持されていることを特徴とする請求項1ないし請求項14のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項16】
前記直動部材は、その移動方向と平行な面でかつ前記本体フレームと直交する面に開口し、前記本体フレームとほぼ平行な方向に貫通する通気孔を有することを特徴とする請求項1ないし請求項15のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図13】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−93700(P2012−93700A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−35487(P2011−35487)
【出願日】平成23年2月22日(2011.2.22)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】