説明

画像形成装置

【課題】開閉姿勢を取り得る上部構造体を備えた画像形成装置において原稿を読み取らせる作業を効率よく行わせる。
【解決手段】原稿検出部P1によって載置部51に載置されている原稿が無いことが検出され、かつ原稿搬送部70による原稿の搬送中であり、かつ姿勢検出部P5によって閉姿勢が検出されない場合において、原稿反転部76によって表裏が反転された後の原稿の後端が読取位置73を通過したことが原稿通過検出部12によって検出されていないときは原稿搬送部70による原稿の搬送を停止させる一方、原稿反転部76によって表裏が反転された後の原稿の後端が読取位置73を通過したことが原稿通過検出部12によって検出されているときは原稿搬送部70による原稿の搬送を停止させることなく搬送中の原稿を原稿排出部56へ排出させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置本体と装置本体の上面を覆う閉姿勢と上面を露出させる開姿勢とを取り得る上部構造体を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば、下記特許文献1に記載されているように、装置本体の上部に開閉可能に設けられた自動原稿給送装置(上部構造体)を備えた画像形成装置が知られている。当該自動原稿給送装置には、原稿が載置される原稿載置部と原稿排出部とが設けられ、自動原稿給送装置が読み取り姿勢(閉姿勢)のときに、原稿載置部に載置した原稿を原稿読取面に供給して原稿排出部に排出するように構成されている。
【0003】
この種の画像形成装置では、自動原稿給送装置によって原稿が原稿排出部に排出されるまでの間に、自動原稿給送装置の開閉操作が行われると、原稿が搬送経路上から逸脱して、原稿を正常に読み取ることができない虞があり、また、転落や紙詰まりを発生させる虞がある。このため、自動原稿給送装置の姿勢を検出する検出手段(姿勢検出部)が設けられ、自動原稿給送装置による原稿の搬送中に、当該検出手段によって自動原稿給送装置が閉状態にないことが検出されたときは、自動原稿給送装置を使用禁止にする制御が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−49786号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載された自動原稿給送装置を備えた画像形成装置では、最終の原稿が排出されるまでの間に、ユーザーが別の原稿を手動で原稿読取面に載置して読み取らせようとして、早めに自動原稿給送装置の開閉操作を行う場合がある。この場合、既に原稿の読み取りは終了しているので、その後の画像形成動作に支障はきたさないにもかかわらず、自動原稿給装装置が使用禁止の状態になり、最終の原稿が排出されなくなる。このため、自動原稿給送装置の使用禁止の状態を解除するまで、別の原稿を読み取ることを待機しなければならず、ユーザーに煩わしさを感じさせる虞があった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、装置本体と装置本体の上面を覆う閉姿勢と上面を露出させる開姿勢とを取り得る上部構造体を備えた画像形成装置であって、原稿を読み取らせる作業を効率よく行うことができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る画像形成装置は、装置本体と、前記装置本体の上面を覆う閉姿勢と前記上面を露出させる開姿勢とを取り得る上部構造体を備えた画像形成装置であって、前記装置本体は、前記上面における所定の読取位置において、原稿の画像を読み取る読取部と、前記読取部によって読み取られた画像に基づき用紙に画像を形成する画像形成部とを備え、前記上部構造体は、前記原稿が載置される載置部と、前記読取部によって画像が読み取られた原稿の表裏を反転させる原稿反転部と、前記読取部によって両面の画像が読み取られた原稿が排出される原稿排出部と、前記載置部に載置された原稿を一枚ずつ繰り出して、前記読取位置を経由して前記原稿反転部へ搬送し、前記原稿反転部によって表裏が反転された前記原稿を、前記読取位置を経由して前記原稿排出部へ搬送する原稿搬送部と、前記載置部に載置されている原稿の有無を検出する原稿検出部とを備え、前記画像形成装置は、前記上部構造体の姿勢を検出する姿勢検出部と、前記原稿搬送部によって搬送された原稿の後端が前記読取位置を通過したことを検出する原稿通過検出部と、前記原稿検出部によって前記載置部に載置されている原稿が無いことが検出され、かつ前記原稿搬送部による前記原稿の搬送中であり、かつ前記姿勢検出部によって前記閉姿勢が検出されない場合において、前記原稿反転部によって表裏が反転された後の原稿の後端が前記読取位置を通過したことが前記原稿通過検出部によって検出されていないときは前記原稿搬送部による原稿の搬送を停止させる一方、前記原稿反転部によって表裏が反転された後の原稿の後端が前記読取位置を通過したことが前記原稿通過検出部によって検出されているときは前記原稿搬送部による原稿の搬送を停止させることなく前記搬送中の原稿を前記原稿排出部へ排出させる制御部とを備える。
【0008】
この構成によれば、原稿検出部によって載置部に載置されている原稿が無いことが検出された場合、つまり、原稿搬送部によって最終の原稿が搬送されている場合に、上部構造体が閉姿勢ではない状態になったときであっても、原稿反転部によって表裏が反転された後の原稿の後端が読取位置を通過したことが原稿通過検出部によって検出されることによって、当該最終の原稿の両面の読み取りの終了が検出されたときには、当該最終の原稿は搬送を停止されることなく、原稿排出部に排出される。このため、最終の原稿が排出された後即座に、別の原稿を読み取らせることができ、次の原稿を読み取らせる作業を効率よく実施することができる。
【0009】
また、前記上部構造体は、前記原稿搬送部による前記原稿の搬送経路における、前記読取位置の上流に設けられた検出位置において前記原稿を検出し、前記原稿の有無を示す信号を出力する上流検出部をさらに備え、前記原稿通過検出部は、前記信号が前記原稿有りを示す信号から前記原稿無しを示す信号に変化した後、前記検出位置から前記読取位置までの距離以上の距離として予め設定された設定距離、前記原稿搬送部によって前記原稿が搬送されたとき、前記原稿の後端が前記読取位置を通過したと判定することが好ましい。
【0010】
この構成によれば、例えば配置スペースがない等の理由で、読取位置から原稿排出部までの間に、原稿を検出する検出部を設けることができない場合であっても、原稿通過検出部は、読取位置の上流に設けられた検出位置で原稿を検出する上流検出部を用いて、原稿の後端が読取位置を通過したことを判定することができる。
【0011】
または、前記上部構造体は、前記原稿搬送部による前記原稿の搬送経路における、前記読取位置の下流に設けられた検出位置において前記原稿を検出し、前記原稿の有無を示す信号を出力する下流検出部をさらに備え、前記原稿通過検出部は、前記信号が前記原稿有りを示す信号から前記原稿無しを示す信号に変化したとき、前記原稿の後端が前記読取位置を通過したと判定することが好ましい。
【0012】
この構成によれば、下流検出部が読取位置の下流に設けられた検出位置に設けられているので、原稿通過検出部は、読取位置よりも下流の検出位置を原稿が通過したことによって、原稿の後端が読取位置を通過したことを精度良く判定することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、装置本体と装置本体の上面を覆う閉姿勢と上面を露出させる開姿勢とを取り得る上部構造体を備えた画像形成装置であって、原稿を読み取らせる作業を効率よく行うことができる画像形成装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る画像形成装置の一例としての複合機を示す概略断面図。
【図2】本発明に係る上部構造体の一例を示す概略断面図。
【図3】図2に示した上部構造体のうち、読取位置近傍を部分的に拡大した概略断面図。
【図4】図2及び図3に示す上部構造体の下面側の一例を示す斜視図。
【図5】読取ガイドの分解斜視図。
【図6】本発明に係る姿勢検出部の一例を示す斜視図であり、上部構造体が開姿勢の状態のときを示す。
【図7】本発明に係る姿勢検出部の一例を示す斜視図であり、上部構造体が閉姿勢の状態のときを示す。
【図8】複合機の電気的な構成の一例を示すブロック図。
【図9】上部構造体を用いた原稿給紙動作の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る画像形成装置の一例としての複合機を図面に基づいて説明する。図1に示すように、複合機100は、コピー、プリンター、及びスキャナー等の複数の機能を兼ね備えたものであり、本体部(装置本体)200と、本体部200の左方に配設されたスタックトレイ300と、ユーザーが種々の操作指令等を入力するための操作部36と、本体部200の上部に配設された画像読取部(読取部)4と、画像読取部4の上方に配設された原稿給紙部(上部構造体)5とを備えている。
【0016】
本体部200は、複数の給紙カセット23と、給紙カセット23から記録紙を1枚ずつ繰り出して画像形成部25へ搬送する給紙ローラー24と、給紙カセット23から搬送されてきた記録紙に画像を形成する画像形成部25とを備えている。
【0017】
画像形成部25は、後述する画像読取部4で取得された画像信号に基づきレーザ光等を出力して感光体ドラム26を露光する光学ユニット27と、感光体ドラム26上にトナー像を形成する現像部28と、感光体ドラム26上のトナー像を記録紙に転写する転写部29と、トナー像が転写された記録紙を加熱してトナー像を記録紙に定着させる一対のローラー30及び31からなる定着装置32と、画像形成部25内の用紙搬送路中に設けられ、記録紙をスタックトレイ300または排出トレイ33まで搬送する搬送ローラー34及び35等とを備えている。
【0018】
尚、記録紙の両面に画像を形成する場合は、画像形成部25で記録紙の一方の面に画像を形成した後、この記録紙を排出トレイ33側の搬送ローラー34にニップされた状態とする。この状態で搬送ローラー34を反転させて記録紙をスイッチバックさせ、記録紙を用紙搬送路に送って画像形成部25の上流域に再度搬送し、画像形成部25により他方の面に画像を形成した後、記録紙をスタックトレイ300または排出トレイ33に排出する。
【0019】
操作部36は、ユーザーが印刷実行指示を入力するためのスタートキー361と、印刷部数等を入力するためのテンキー362と、各種複写動作の操作ガイド情報等を表示し、これら各種設定入力用にタッチパネル機能を有する液晶ディスプレイ等からなる表示部363と、表示部363で設定された設定内容等をリセットするリセットキー364と、実行中の印刷(画像形成)動作を停止させるためのストップキー365と、コピー機能、プリンター機能、スキャナー機能及びファクシミリ機能を切り換えるための機能切換キー366とを備えている。
【0020】
画像読取部4は、原稿の画像を光学的に取得して画像信号を出力する。画像読取部4は、図2に示すように、コンタクトガラス410、光源42、第1ミラー431、第2ミラー432、第3ミラー433、第1キャリッジ46、第2キャリッジ47、結像レンズ48、CCD(Charge Coupled Device)49を備えている。光源42及び第1ミラー431は第1キャリッジ46によって支持され、第2ミラー432及び第3ミラー433は第2キャリッジ47によって支持されている。
【0021】
コンタクトガラス410は、幅広の原稿載置用ガラス412と原稿載置用ガラス412の左側に位置する細長い原稿自動読取用ガラス411とから構成されている。
【0022】
画像読取部4による原稿の画像読取方法には、原稿載置用ガラス412上に載置された原稿を読み取るフラットベッド読取モードと、原稿給紙部5によって原稿を搬送させ、原稿が読取位置73を通過する際に、原稿を読み取るADF読取モードの2種類の方法が存在する。
【0023】
具体的には、フラットベッド読取モードでは、光源42が原稿載置用ガラス412上に載置された原稿を照射し、当該原稿からの反射光が第1ミラー431、第2ミラー432、第3ミラー433の順に反射して、結像レンズ48に入射する。結像レンズ48に入射した光は、CCD49の受光面で光電変換によって結像され、画像信号として出力される。1ライン分の読み取りが終了すると、原稿の主走査方向(図2の紙面に対して垂直方向)と直交する方向(副走査方向、矢印Y方向)に第1キャリッジ46及び第2キャリッジ47が移動され、次のラインの読み取りが行われる。
【0024】
一方、ADF読取モードでは、後述するように原稿給紙部5によって搬送された原稿が、原稿自動読取用ガラス411と読取ガイド60との隙間部である読取位置73を通過するとき、光源42が原稿自動読取用ガラス411を介して原稿に光を照射する。当該原稿からの反射光が第1ミラー431、第2ミラー432、第3ミラー433の順に反射して、結像レンズ48に入射し、結像レンズ48に入射した光は、CCD49の受光面で光電変換によって結像され、画像信号として出力される。1ライン分の読み取りが終了すると、原稿が原稿給紙部5によって搬送され、次のラインの読み取りが行われる。
【0025】
原稿給紙部5は、図2に示すように、原稿載置トレイ(載置部)51、リフト板52、原稿搬送部70、及び原稿排出トレイ(原稿排出部)56を備えている。
【0026】
原稿載置トレイ51は、原稿給紙部5の上部に設けられている。原稿載置トレイ51には、原稿が積み上げて載置される。原稿載置トレイ51は、原稿搬送方向の上流から下流、つまり、図2において右方から左方に向かって下る傾斜をなすように構成されている。
【0027】
リフト板52は、原稿載置トレイ51の原稿搬送方向の下流側に設けられている。リフト板52は、原稿載置トレイ51の載置面に沿った形をなす板状部材で構成されている。リフト板52は、その上流部に設けられた原稿給紙部5の前後方向(図3の紙面に対して垂直方向)に延びる略水平な支軸52aを中心とし、下流端を自由端として、原稿搬送方向に沿った垂直面内で回転可能にして設けられている。リフト板52は、原稿給紙時に図略の駆動機構によって支軸52aを中心として回転され、原稿載置トレイ51に積み上げられた原稿の下流端が、その上方に配置された給紙部54に接触するように、上方に向かって付勢される。
【0028】
原稿搬送部70は、原稿載置トレイ51の原稿搬送方向下流端に、原稿供給口71と、給紙部54とを備えている。給紙部54は、原稿載置トレイ51に積み上げられた原稿を、最上層から1枚ずつ分離して、原稿供給口71を通して原稿搬送部70の内部に向けて供給する。原稿供給口71の下流側には、原稿搬送部70の内部に向けて第1原稿搬送路72が設けられている。
【0029】
第1原稿搬送路72の下流端は、原稿給紙部5の底面に到達するように構成されている。この第1原稿搬送路72の下流端の位置に、ADF読取モードにおける原稿の読取位置73が設けられている。読取位置73の下流側には、第2原稿搬送路74が設けられている。また、第1原稿搬送路72と第2原稿搬送路74との間には、原稿自動読取用ガラス411と対峙するようにして、読取ガイド60が設けられている。つまり、第1原稿搬送路72から第2原稿搬送路74へと搬送される原稿が、原稿自動読取用ガラス411と読取ガイド60との隙間部である読取位置73を通過するときに、下方に設けられた画像読取部4によって、下側の面である第1面(表面)の画像が読み取られる。
【0030】
第2原稿搬送路74において、読取位置73の下流には、原稿切替部75が設けられている。読取位置73で第1面の画像が読み取られ、原稿切替部75まで搬送されてきた原稿は、第2原稿搬送路74の上方へ振り分けられる。その原稿搬送方向下流側には、原稿反転部76が設けられており、原稿反転部76において、第1面の画像が読み取られた原稿の搬送方向が反対方向に変更される。搬送方向が変更され、つまり、下側の面が第1面となった原稿は、原稿切替部75の上方の搬送路を経て第1原稿搬送路72に送り込まれる。そして、読取位置73まで搬送されたときには、当該原稿の上側の面は第1面となり、画像読取部4で第1面と反対側の第2面(裏面)の画像が読み取られることになる。このように、原稿反転部76において、第1面の画像が読み取られた原稿の搬送方向が反対方向に変更されることによって、第1面の画像が読み取られた原稿の表裏が反転される。
【0031】
原稿切替部75の下流であって第2原稿搬送路74の下流端には、原稿排出口77が設けられている。表裏両面の画像の読み取りが終了した原稿は、原稿排出口77から原稿排出トレイ56に排出される。
【0032】
原稿排出トレイ56は、原稿載置トレイ51の下方に設けられている。原稿排出トレイ56に排出された原稿は、原稿給紙部5の前面側から取り出すことができる。
【0033】
このように、原稿搬送部70は、原稿載置トレイ51に載置された原稿を一枚ずつ繰り出して、読取位置73を経由して原稿反転部76へ搬送し、原稿反転部76によって表裏が反転された原稿を、読取位置73を経由して原稿排出トレイ56に搬送するように構成されている。
【0034】
次に、原稿搬送部70の詳細な構成について、図3を用いて説明する。尚、図3における実線矢印は原稿の搬送経路及び搬送方向を示している。
【0035】
上記のように、原稿搬送部70は、原稿載置トレイ51の原稿搬送方向下流端に、原稿供給口71と、給紙部54とを備えている。そして、第1原稿搬送路72が、原稿供給口71の下流側に下方に向かって延びている。
【0036】
給紙部54は、原稿搬送方向と直角をなす原稿幅方向略中央部の上方に設けられ、ピックアップローラー54a、給紙ベルト54b、及び分離ローラー54cを備えている。
【0037】
ピックアップローラー54aは、原稿供給口71の下流側に設けられている。原稿給紙時、原稿載置トレイ51に積み上げられた原稿がリフト板52によって持ち上げられると、最上部の原稿がピックアップローラー54aに下方から接触する。この最上部の原稿は、ピックアップローラー54aによって給紙ベルト54bへと引き渡され、給紙ベルト54bにより原稿搬送部70の内部へと搬送される。
【0038】
給紙ベルト54bは、ピックアップローラー54aの下流側において、その表面下部が第1原稿搬送路72に突出するように配置されている。また、給紙ベルト54bは、2個のプーリに巻き掛けられ、原稿供給口71から図3における左方に原稿を搬送できるよう、時計回りに回転する。
【0039】
分離ローラー54cは、給紙ベルト54bの下方に配置され、給紙ベルト54bに接触している。この給紙ベルト54bと分離ローラー54cとが接触して形成される搬送ニップに原稿が挿通される。
【0040】
分離ローラー54cは、給紙ベルト54bと分離ローラー54cとが接触して形成される搬送ニップに原稿が重なって複数枚進入したときに、重なった下側の原稿を送り出さないように、回転駆動力が制限されている。つまり、給紙ベルト54bと分離ローラー54cとが接触して形成される搬送ニップに原稿が重なって複数枚進入したときには、重なった上側の原稿だけが給紙ベルト54bによって送り出される。これによって、原稿が重なって送られてしまう重送という問題が起こるのを防止して、原稿を1枚ずつ搬送することができる。
【0041】
第1原稿搬送路72上において、給紙部54の下流には、レジストローラー78と、搬送ローラー79と、読取前ローラー80とが設けられている。
【0042】
レジストローラー78は、対峙するコロとの間でニップを形成し、原稿の斜め送りを矯正しつつ、調整された所定のタイミングで原稿を送出する。搬送ローラー79は、対峙するコロとの間で原稿を挟持し、その回転により原稿を搬送する。読取前ローラー80は、対峙するコロとの間でニップを形成し、その回転により原稿を読取位置73に向けて搬送する。
【0043】
第2原稿搬送路74上において、読取位置73の下流側には、読取後ローラー82と、原稿切替部75と、が設けられている。原稿切替部75には、原稿給紙部5の前後方向(図3の紙面に対して垂直方向)に延びる略水平な図略の支軸を中心として、垂直面内で揺動可能な切替ガイド83が備えられている。切替ガイド83は、原稿給紙部5の前後方向(図3の紙面に対して垂直方向)、つまり、原稿幅方向に長く延びている。切替ガイド83は、図略のソレノイドによって駆動するように構成され、原稿搬送方向上流側の先端部を上下に振るように姿勢変更する。
【0044】
原稿切替部75の下流側であって、第2原稿搬送路74の下流端には、排出ローラー84及び原稿排出口77が設けられている。排出ローラー84は、その対峙するコロとの間でニップを形成し、その回転により原稿を原稿排出口77から原稿排出トレイ56に排出する。
【0045】
一方、原稿切替部75の下流には、図3において略右方に延びる第2原稿搬送路74に対して右斜め上方に、第3原稿搬送路85が設けられている。読取位置73で第1面の画像が読み取られた後、原稿切替部75まで搬送されてきた原稿は、原稿切替部75の切替ガイド83が下方へと姿勢変更することによって、第2原稿搬送路74の途中から第3原稿搬送路85を経て、原稿反転部76に搬送される。
【0046】
第3原稿搬送路85上において、原稿切替部75の下流には、第1原稿分岐部86が設けられている。第1原稿分岐部86は、第3原稿搬送路85よりも原稿排出トレイ56側に設けられた、後述する第5原稿搬送路93との分岐箇所である。第3原稿搬送路85と第5原稿搬送路93との間には、第1分岐ガイド87が設けられている。
【0047】
第1分岐ガイド87は、原稿給紙部5の前後方向(図3の紙面に対して垂直方向)、つまり、原稿幅方向に長く延びている。また、第1分岐ガイド87は、その下部が原稿給紙部5のフレームに図略のバネ材で連結されて支持され、この支持部を中心として上端側を、原稿搬送方向に沿った垂直面内で揺動可能に構成されている。
【0048】
第1分岐ガイド87は、その上端側が第3原稿搬送路85を塞ぐように構成されている。第1分岐ガイド87を支持するバネ材は、原稿の第1分岐ガイド87への当接によって湾曲する程度の弾発力を有している。これによって、第1分岐ガイド87は、原稿が第3原稿搬送路85を通過するとき、上端部を図3において右方に振るように姿勢変更する。そして、原稿の後端が第1分岐ガイド87を通過したとき、或いは原稿が当接していないとき、第1分岐ガイド87は、上端部を左方に振り、図3に示す姿勢、すなわち第3原稿搬送路85を塞ぐような姿勢を保持する。
【0049】
第3原稿搬送路85の下流端であって、原稿反転部76との間には、第2原稿分岐部88が設けられている。第2原稿分岐部88には、第2分岐ガイド89が設けられている。第2分岐ガイド89は、原稿給紙部5の前後方向(図3の紙面に対して垂直方向)、すなわち原稿幅方向に長く延びている。また、第2分岐ガイド89は、図略のソレノイドによって駆動するように構成され、その右端部を上下に振るように姿勢変更する。
【0050】
第2分岐ガイド89は、原稿が第3原稿搬送路85を通過するとき、右端部を図3において上方に振るように姿勢変更する。そして、原稿の後端が第2分岐ガイド89を通過したとき、或いは原稿が当接していないとき、第2分岐ガイド89は、右端部を下方に振り、図3に示す姿勢、すなわち第3原稿搬送路85を塞ぐような姿勢を保持する。
【0051】
原稿反転部76は、第3原稿搬送路85の下流であって、第2原稿搬送路74の上方に設けられている。原稿反転部76は、反転ローラー76aと反転用トレイ76bとを備えている。
【0052】
反転ローラー76aは、第3原稿搬送路85に対して原稿反転部76の最上流部に配置され、図略のモーターによって時計方向及び反時計方向に回転駆動する。反転用トレイ76bは、原稿載置トレイ51のすぐ下方に比較的狭い隙間を隔てて配置され、原稿載置トレイ51と同様に斜め上方に向かって延びるように構成されている(図2参照)。
【0053】
原稿反転部76では、第3原稿搬送路85を通って図3において左方から右方へと搬送されてきた原稿の先端を反転用トレイ76bへと一旦送り込み、その原稿の後端が反転ローラー76aに差し掛かったとき、対峙するコロとの間に原稿を保持した状態で反転ローラー76aの回転を逆転させることにより、原稿の搬送方向を右方から左方へと変更する。
【0054】
図3において、原稿反転部76及び第2原稿分岐部88の左方であって、第3原稿搬送路85の上方には、第4原稿搬送路92が設けられている。第4原稿搬送路92は、第2原稿分岐部88から図3において左方に向かって延び、その先で第1原稿搬送路72のレジストローラー78の上流の位置に合流している。これによって、第2原稿分岐部88を完全に通過して原稿反転部76で搬送方向が変更された原稿は、第4原稿搬送路92を通り、再度第1原稿搬送路72に送り込まれ、読取位置73に到達して、下側の面である第2面(裏面)の画像が読み取られる。
【0055】
また、第3原稿搬送路85には、第1原稿分岐部86で分岐する形で第5原稿搬送路93が設けられている。第5原稿搬送路93は、第1原稿分岐部86で第3原稿搬送路85から分岐して下方に向かって延び、第2原稿搬送路74に合流している。第5原稿搬送路93の途中には、搬送ローラー94が備えられている。搬送ローラー94は、対峙するコロとの間で原稿を挟持し、その回転により原稿を第2原稿搬送路74の下流部に搬送する。
【0056】
読取位置73で表裏両面の画像の読取が完了した原稿は、再度原稿反転部76に送り込まれて搬送方向を逆方向に変更される。この後、第2分岐ガイド89は右端部を上方に振るように姿勢変更され、原稿が第5原稿搬送路93に送り込まれる。これによって、原稿が当初原稿載置トレイ51に積み上げられていた状態と表裏を合わせた状態で原稿排出トレイ56に排出される。
【0057】
また、原稿給紙部5には、原稿検出センサー(原稿検出部)P1、読取検出センサー(上流検出部)P2、排出検出センサー(下流検出部)P3、及び反転検出センサーP4が備えられている。
【0058】
原稿検出センサーP1は、ピックアップローラー54aの下方近傍に設けられ、例えば、発光素子と受光素子とを原稿給紙部5内の両側面(図3の紙面に対して垂直方向の両側面)に備えた光透過型センサーで構成されている。原稿検出センサーP1は、原稿載置トレイ51に載置された原稿がリフト板52によって持ち上げられ、最上部の原稿がピックアップローラー54aに接触しているときは、発光素子から発光された光が当該原稿によって遮光されるため、受光素子によって、原稿が有ることを示すローレベルの検出信号を出力する。一方、原稿載置トレイ51に原稿が載置されていない場合には、発光素子から発光された光が受光素子によって受光されるため、受光素子によって、原稿が無いことを示すハイレベルの検出信号を出力する。尚、原稿検出センサーP1は、これに限定する趣旨ではなく、光反射型センサーで構成されていてもよい。また、これに限らず、例えば、原稿載置トレイ51の底面に備えられたバネ等で上方に付勢された突起物が、原稿に触れて下に移動することによって、原稿が有ることを検出する等、機械的なセンサーで構成されていてもよい。
【0059】
読取検出センサーP2は、第1原稿搬送路72において読取前ローラー80の上流側近傍に設けられ、例えば、第1原稿搬送路72を介して発光部と受光部とが対向するフォトインタラプタで構成されている。読取検出センサーP2は、発光部から受光部に向けて発光された光が遮光されていない間は、ハイレベルの検出信号を出力し、発光部から受光部に向けて発光された光が、搬送される原稿によって遮光されている間は、ローレベルの検出信号を出力する。
【0060】
つまり、原稿の先端が読取検出センサーP2まで搬送されたときに、読取検出センサーP2から出力される検出信号がハイレベルからローレベルに切り替わり、その後、原稿の後端が読取検出センサーP2を通過したときに、読取検出センサーP2から出力される検出信号がローレベルからハイレベルに切り替わる。
【0061】
排出検出センサーP3は、第2原稿搬送路74において排出ローラー84の上流側近傍に設けられ、例えば、第2原稿搬送路74を介して発光部と受光部とが対向するフォトインタラプタで構成されている。排出検出センサーP3は、発光部から受光部に向けて発光された光が遮光されていない間は、ハイレベルの検出信号を出力し、発光部から受光部に向けて発光された光が、排出される原稿によって遮光されている間は、ローレベルの検出信号を出力する。
【0062】
つまり、原稿の先端が排出検出センサーP3まで搬送されたときに、排出検出センサーP3から出力される検出信号がハイレベルからローレベルに切り替わり、その後、原稿の後端が排出検出センサーP3を通過したときに、排出検出センサーP3から出力される検出信号がローレベルからハイレベルに切り替わる。
【0063】
反転検出センサーP4は、第4原稿搬送路92において、第2原稿分岐部88の下流側であって第2分岐ガイド89の下流側の近傍に設けられ、例えば、第4原稿搬送路92を介して発光部と受光部とが対向するフォトインタラプタで構成されている。反転検出センサーP4は、発光部から受光部に向けて発光された光が遮光されていない間は、ハイレベルの検出信号を出力し、発光部から受光部に向けて発光された光が、原稿反転部76で搬送方向が変更された後に第2原稿分岐部88を経て搬送されてきた原稿によって遮光されている間は、ローレベルの検出信号を出力する。
【0064】
つまり、原稿の先端が反転検出センサーP4まで搬送されたときに、反転検出センサーP4から出力される検出信号がハイレベルからローレベルに切り替わり、その後、原稿の後端が反転検出センサーP4を通過したときに、反転検出センサーP4から出力される検出信号がローレベルからハイレベルに切り替わる。
【0065】
尚、読取検出センサーP2、排出検出センサーP3、及び反転検出センサーP4は、これに限定する趣旨ではなく、光反射型センサーで構成されていてもよい。また、例えば、搬送路の下側の面に備えられたバネ等で上方に付勢された突起物が、原稿に触れて一旦下に移動後上に移動することによって、原稿が通過したことを検出する等、機械的なセンサーで構成されていてもよい。
【0066】
原稿給紙部5は、原稿押さえとしても機能しており、例えば、図4に示すように、複合機100の背面側(図1乃至図3における紙面裏側)のヒンジ部68にて、本体部200に回動自在に支持され、コンタクトガラス410を覆う閉姿勢とコンタクトガラス410を露出させる開姿勢とを取り得るように構成されている。
【0067】
原稿給紙部5の下面には押圧板69が設けられ、原稿載置用ガラス412が押圧板69に対峙するように構成されている。つまり、原稿給紙部5を閉姿勢にして、原稿載置用ガラス412に載置した原稿を押圧板69で押さえつけ、ユーザーによる操作部36の操作によって、フラットベッド読取モードで画像読取部4に原稿を読み取らせることができる。
【0068】
読取ガイド60は、図5に示すように、原稿の幅方向(主走査方向)に長いものであり、その長さ方向の両端部に設けたコイルばね61a、61bによる付勢力によって、コンタクトガラス410に向けて押圧される。尚、コイルばね61aは、取付部65aに取り付けられ、コイルばね61bは、取付部65bに取り付けられる。
【0069】
読取ガイド60の下面は、長さ方向の両端部(図2及び図3における実線部)が中央部(図2及び図3における破線部)よりも下側に突出し、原稿給紙部5を閉姿勢にしたときに、長さ方向の両端部がコンタクトガラス410に当接するように構成され、中央部とコンタクトガラス410との間で形成される一定の隙間を原稿が通過するように構成されている。
【0070】
また、読取ガイド60の長手方向の両端には、それぞれ異なるガイド孔62a、62bが設けられている。ガイド孔62aは、原稿給紙部5の前面側に配されるもので、上下方向に貫通していて、原稿給紙部5に固定された上下方向に長いガイド棒63が挿入されている。このガイド棒63は、例えば上端が原稿給紙部5に固定され、下端側にはガイド孔62aよりも下側に環状の抜け防止部材63aが取付けられている。つまり、読取ガイド60の前側は、ガイド棒63に沿って上下動可能に構成されている。
【0071】
一方、ガイド孔62bは、原稿給紙部5の背面側に配されるもので、前後方向に貫通しかつ上下方向に長く形成されていて、原稿給紙部5から水平に突出したガイド片64が挿入されている。つまり、読取ガイド60の後側は、ガイド片64に沿って上下動可能となっており、読取ガイド60はその全体が上下方向に移動可能となっていて、コンタクトガラス410に対して接離する。
【0072】
読取ガイド60の前面側端の近傍には、上方に向けて突出した板状の遮光部材66が設けられている。遮光部材66は、所定の高さ寸法を有する。図6及び図7は、遮光部材66の近傍に設けられた開閉検出センサーP5を示す斜視図である。尚、図6は、原稿給紙部5が開姿勢の状態のときで、図7は、閉姿勢の状態のときを示している。
【0073】
開閉検出センサーP5は、例えば、遮光部材66を介して発光素子P5aと受光素子P5bとが対向する光透過型センサーで構成されている。開閉検出センサーP5は、図6に示すように、発光素子P5aから発光された光が受光素子P5bで受光されると、原稿給紙部5が開姿勢になっていることを示すハイレベルの検出信号を出力する。一方、開閉検出センサーP5は、図7に示すように、受光素子P5bで受光されるはずの光が遮光部材66にて遮光されると、受光素子P5bによって、原稿給紙部5が紙詰まりを発生させる許容高さ位置を超える程度に浮き上がり、原稿給紙部5が閉姿勢になっていることを示すローレベルの検出信号を出力する。尚、開閉検出センサーP5は、これに限定する趣旨ではなく、光反射型センサーで構成されていてもよい。
【0074】
次に、複合機100の電気的な構成について図8を用いて説明する。複合機100は、複合機100の各部の動作制御を司るコントローラー10を備えている。コントローラー10は、例えば、CPUと、ROMやRAM等のメモリと、を備えたマイクロコンピュータで構成されており、メモリに記憶された各種制御プログラムをCPUによって実行することによって各部の動作制御を行う。
【0075】
コントローラー10は、上記の画像読取部4、画像形成部25、各種検出センサーP1〜P5、ピックアップローラー54a,分離ローラー54c,レジストローラー78,読取前ローラー80,読取後ローラー82,排出ローラー84,反転ローラー76a,及び搬送ローラー79,94と互いに通信可能なように接続されている。
【0076】
尚、以下では説明の便宜上、ピックアップローラー54a,分離ローラー54c,レジストローラー78,読取前ローラー80,読取後ローラー82,排出ローラー84,反転ローラー76a,及び搬送ローラー79,94をまとめて「各種ローラー」と記載する。
【0077】
コントローラー10は、例えば、モーター制御部11、原稿通過検出部12、及び給紙異常検出部(制御部)13、として機能する制御プログラムをCPUによって実行することによって、原稿給紙部5による原稿給紙動作の制御を行う。
【0078】
モーター制御部11は、各種ローラーを駆動させる図略の各モーターに駆動信号を出力し、各種ローラーをそれぞれ予め定められた所定速度で回転駆動させる制御を行う。尚、各モーターは、例えば、ステッピングモーターで構成されており、駆動信号のパルス数に応じて、所定角度だけ回転駆動する。
【0079】
原稿通過検出部12は、各種ローラーを介して搬送される原稿の後端が、読取位置73を通過したことを検出する。
【0080】
具体的には、原稿通過検出部12は、読取検出センサーP2から出力された検出信号が、原稿有りを示すローレベルの信号から原稿無しを示すハイレベルの信号に変化した後、読取前ローラー80を駆動させるモーターの駆動信号のパルス数が、予め定められたパルス数に到達したときに、原稿が読取位置73を通過したことを検出する。
【0081】
尚、予め定められたパルス数には、例えば、試験運転等の実験値に基づいて、読取検出センサーP2が配置されている位置(検出位置)から読取位置73までの距離分、原稿を搬送するために読取前ローラー80を駆動させるモーターを回転させたときの駆動信号のパルス数以上のパルス数が定められている。
【0082】
給紙異常検出部13は、原稿検出センサーP1によって原稿載置トレイ51に載置されている原稿が有ることが検出され、かつ、原稿の搬送中に開閉検出センサーP5によって原稿給紙部5の閉姿勢が検出されないときは、各種ローラーを停止して、原稿の搬送を停止させる制御を行う。
【0083】
また、給紙異常検出部13は、原稿検出センサーP1によって原稿載置トレイ51に載置されている原稿が無いことが検出され、かつ、原稿の搬送中に開閉検出センサーP5によって原稿給紙部5の閉姿勢が検出されない場合において、原稿反転部76によって表裏が反転された後の原稿の後端が、読取位置73を通過したことが原稿通過検出部12によって検出されていないときは、各種ローラーを停止して、原稿の搬送を停止させる制御を行う。
【0084】
一方、給紙異常検出部13は、原稿検出センサーP1によって原稿載置トレイ51に載置されている原稿が無いことが検出され、かつ、原稿の搬送中に開閉検出センサーP5によって原稿給紙部5の閉姿勢が検出されない場合において、原稿反転部76によって表裏が反転された後の原稿の後端が、読取位置73を通過したことが原稿通過検出部12によって検出されているときは、各種ローラーを停止させることなく、搬送中の原稿を原稿排出トレイ56へ排出させる。
【0085】
以下、図9を用いて、原稿給紙部5を用いた原稿給紙動作の流れについて説明する。
【0086】
コントローラー10によって、例えば、操作部36から入力されたコピー機能の実行指示に基づいて、ADF読取モードで原稿の両面を読み取る動作が開始されると、モーター制御部11は、各種ローラーの駆動用モーターの駆動を開始し、原稿載置トレイ51の最上部の原稿の給紙を開始する(S1)。
【0087】
ステップS1が実行された後、給紙異常検出部13は、後述のステップS2以降の処理と並行して、反転原稿読取位置通過検出処理を開始する。
【0088】
給紙異常検出部13は、反転原稿読取位置通過検出処理を開始すると、RAMに後述する反転原稿読取位置通過検出情報が記憶されている場合はこれを削除(初期化)する(S11)。そして、反転検出センサーP4によって、ステップS1で給紙開始された原稿が通過したことが検出されるまで待機し(S12;NO)、反転検出センサーP4によって当該原稿が通過したことが検出されると(S12;YES)、原稿通過検出部12によって、当該原稿が読取位置73を通過したことが検出されるまで、つまり、当該原稿が原稿反転部76によって表裏が反転された後に読取位置73を通過したことが検出されるまで待機する(S13;NO)。
【0089】
そして、原稿通過検出部12によって、ステップS1で給紙開始された原稿が原稿反転部76によって表裏が反転された後に読取位置73を通過したことが検出されると(S13;YES)、給紙異常検出部13は、ステップS1で給紙開始された原稿が原稿反転部76によって表裏が反転された後に読取位置73を通過したことを示す反転原稿読取位置通過検出情報をRAMに記憶する(S14)。
【0090】
一方、ステップS1が実行された後、各種ローラーによって原稿の搬送中、開閉検出センサーP5から原稿給紙部5が閉姿勢になっていることを示すローレベルの検出信号が出力されている場合は(S2;YES)、給紙異常検出部13は、排出検出センサーP3から出力される検出信号がローレベルからハイレベルに切り替わり、つまり、原稿の後端が排出検出センサーP3を通過したことによって、搬送中の原稿が原稿排出トレイ56に排出されたことが検出されるまでの間(S3;NO)、各種ローラーによる原稿の搬送を継続する。そして、搬送中の原稿が原稿排出トレイ56に排出されると(S3;YES)、ステップS1に戻り、次の原稿、つまり、原稿載置トレイ51の最上部の原稿の給紙を開始する。
【0091】
一方、給紙異常検出部13は、原稿の搬送中、開閉検出センサーP5から原稿給紙部5が開姿勢になっていることを示すハイレベルの検出信号が出力された場合は(S2;NO)、原稿検出センサーP1によって原稿載置トレイ51に原稿が載置されているか否かを検出させる(S4)。
【0092】
原稿載置トレイ51に原稿が載置されており、原稿検出センサーP1によって原稿が有ることを示すローレベルの検出信号が出力された場合、つまり、最終の原稿ではない原稿が搬送されている場合(S4;YES)、給紙異常検出部13は、モーター制御部11に対して、各種ローラーの駆動用モーターを停止させるよう指示し、これによって、原稿の搬送を停止する(S5)。尚、給紙異常検出部13は、ステップS5の実行に合わせて、例えば、原稿給紙部5が原稿の搬送中に開かれた旨のメッセージを表示部363に表示する等して、原稿の搬送を停止した理由をユーザーに通知するように構成してもよい。
【0093】
また、原稿載置トレイ51に原稿が載置されておらず、原稿検出センサーP1によって原稿が無いことを示すハイレベルの検出信号が出力された場合であって、つまり、最終の原稿が搬送されている場合であって(S4;NO)、反転原稿読取位置通過検出処理によってRAMに反転原稿読取位置通過検出情報が記憶されていず、つまり、原稿通過検出部12によって、表裏が反転された後の最終の原稿が読取位置73を通過したことがまだ検出されていないときは(S6;NO)、給紙異常検出部13は、ステップS5を実行する。
【0094】
尚、ステップS6において、反転原稿読取位置通過検出処理によってRAMに反転原稿読取位置通過検出情報が記憶されていず、つまり、原稿通過検出部12によって、表裏が反転された後の最終の原稿が読取位置73を通過したことがまだ検出されていないときは、給紙異常検出部13は、ステップS5を実行するとともに、例えば、最終の原稿の読み取り中に原稿給紙部5が開かれたため、最終の原稿を読み取り直す必要がある旨のメッセージを表示部363に表示する等して、最終の原稿を読み取り直す必要があることをユーザーに通知するように構成してもよい。
【0095】
一方、原稿検出センサーP1によって原稿が無いことを示すハイレベルの検出信号が出力された場合であって、つまり、最終の原稿が搬送されている場合であって(S4;NO)、反転原稿読取位置通過検出処理によって、RAMに反転原稿読取位置通過検出情報が記憶されており、つまり、原稿通過検出部12によって、表裏が反転された後の最終の原稿が読取位置73を通過したことが既に検出されていたときは(S6;YES)、給紙異常検出部13は、排出検出センサーP3から出力される検出信号がローレベルからハイレベルに切り替わった時点、つまり、最終の原稿の後端が排出検出センサーP3を通過した時点から、所定時間経過後に、搬送中の最終の原稿が排出ローラー84を通過して原稿排出トレイ56に排出されたことが検出されるまでの間(S7;NO)、各種ローラーによる最終の原稿の搬送を継続する。
【0096】
尚、ステップS6において、反転原稿読取位置通過検出処理によって、RAMに反転原稿読取位置通過検出情報が記憶されており、つまり、原稿通過検出部12によって、表裏が反転された後の最終の原稿が読取位置73を通過したことが既に検出されていたときは、給紙異常検出部13は、例えば、原稿の読み取りが終了している旨のメッセージを表示部363に表示する等して、原稿の読み取りが終了したことをユーザーに通知するように構成してもよい。
【0097】
そして、搬送中の最終の原稿が原稿排出トレイ56に排出されたことが検出されると(S7;YES)、給紙異常検出部13は、モーター制御部11に対して、各種ローラーの駆動用モーターを停止させるよう指示し、これによって、原稿給紙部5を用いた原稿給紙動作を終了する。
【0098】
このように、最終の原稿が搬送されている場合に、原稿給紙部5が閉姿勢ではない状態になったときであっても、原稿反転部76によって表裏が反転された後の原稿の後端が読取位置73を通過したことが原稿通過検出部12によって検出されることによって、当該最終の原稿の両面の読み取りの終了が検出されたときには、当該最終の原稿は搬送を停止されることなく、原稿排出トレイ56に排出される。このため、最終の原稿が排出された後即座に、別の原稿を読み取らせることができ、次の原稿を読み取らせる作業を効率よく実施することができる。
【0099】
尚、上記実施形態では、原稿通過検出部12は、読取検出センサーP2から出力された検出信号が原稿有りを示すローレベルの信号から原稿無しを示すハイレベルの信号に変化した後、読取前ローラー80を駆動させるモーターの駆動信号のパルス数が予め定められたパルス数に到達したときに、原稿が読取位置73を通過したことを検出するように構成されていた。
【0100】
このため、例えば配置スペースがない等の理由で、読取位置73から原稿排出トレイ56までの間に、原稿を検出するための検出センサーを設けることができない場合であっても、原稿通過検出部12は、読取位置73の上流に設けられた検出位置で原稿を検出する読取検出センサーP2を用いて、原稿の後端が読取位置73を通過したことを判定することができた。
【0101】
しかし、当該構成に代えて、原稿通過検出部12は、排出検出センサーP3から出力される検出信号が原稿有りを示すローレベルの信号から原稿無しを示すハイレベルの信号に変化したとき、つまり、最終の原稿が原稿排出トレイ56に排出されるときに、原稿の後端が読取位置73を通過したと判定するように構成してもよい。
【0102】
この場合、排出検出センサーP3は、読取位置73の下流に設けられているので、原稿通過検出部12は、読取位置73よりも下流の位置を原稿が通過したことによって、原稿の後端が読取位置73を通過したことを精度良く判定することができる。尚、例えば、読取ガイド60と読取後ローラー82との間や、読取後ローラー82と排出ローラー84との間等、読取位置73の下流に、原稿を検出するセンサーを別途設け、排出検出センサーP3に代えて、当該別途設けたセンサーによって原稿の通過を検出したときに、原稿の後端が読取位置73を通過したと判定するように構成してもよい。
【0103】
尚、上記実施形態においては、本発明に係る画像形成装置の一例として複合機を例に説明したが、本発明は、プリンター、コピー機、スキャナー、或いはFAX等の画像形成装置にも適用可能である。
【0104】
また、上記実施形態において図1乃至図9に示した構成及び設定は単なる一例に過ぎず、本発明を当該実施形態に限定する趣旨ではない。例えば、各種信号がハイレベル又はローレベルである場合に示される情報が、上記実施形態とは反対の意味を示すように構成してもよい。
【符号の説明】
【0105】
10 コントローラー
11 モーター制御部
12 原稿通過検出部
13 給紙異常検出部(制御部)
100 複合機(画像形成装置)
25 画像形成部
200 本体部(装置本体)
36 操作部
4 画像読取部(読取部)
5 原稿給紙部(上部構造体)
51 原稿載置トレイ(載置部)
56 原稿排出トレイ(原稿排出部)
68 ヒンジ部
70 原稿搬送部
73 読取位置
76 原稿反転部
P1 原稿検出センサー(原稿検出部)
P2 読取検出センサー(上流検出部)
P3 排出検出センサー(下流検出部)
P4 反転検出センサー
P5 開閉検出センサー(姿勢検出部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体と、前記装置本体の上面を覆う閉姿勢と前記上面を露出させる開姿勢とを取り得る上部構造体を備えた画像形成装置であって、
前記装置本体は、
前記上面における所定の読取位置において、原稿の画像を読み取る読取部と、
前記読取部によって読み取られた画像に基づき用紙に画像を形成する画像形成部とを備え、
前記上部構造体は、
前記原稿が載置される載置部と、
前記読取部によって画像が読み取られた原稿の表裏を反転させる原稿反転部と、
前記読取部によって両面の画像が読み取られた原稿が排出される原稿排出部と、
前記載置部に載置された原稿を一枚ずつ繰り出して、前記読取位置を経由して前記原稿反転部へ搬送し、前記原稿反転部によって表裏が反転された前記原稿を、前記読取位置を経由して前記原稿排出部へ搬送する原稿搬送部と、
前記載置部に載置されている原稿の有無を検出する原稿検出部とを備え、
前記画像形成装置は、
前記上部構造体の姿勢を検出する姿勢検出部と、
前記原稿搬送部によって搬送された原稿の後端が前記読取位置を通過したことを検出する原稿通過検出部と、
前記原稿検出部によって前記載置部に載置されている原稿が無いことが検出され、かつ前記原稿搬送部による前記原稿の搬送中であり、かつ前記姿勢検出部によって前記閉姿勢が検出されない場合において、前記原稿反転部によって表裏が反転された後の原稿の後端が前記読取位置を通過したことが前記原稿通過検出部によって検出されていないときは前記原稿搬送部による原稿の搬送を停止させる一方、前記原稿反転部によって表裏が反転された後の原稿の後端が前記読取位置を通過したことが前記原稿通過検出部によって検出されているときは前記原稿搬送部による原稿の搬送を停止させることなく前記搬送中の原稿を前記原稿排出部へ排出させる制御部とを備える画像形成装置。
【請求項2】
前記上部構造体は、
前記原稿搬送部による前記原稿の搬送経路における、前記読取位置の上流に設けられた検出位置において前記原稿を検出し、前記原稿の有無を示す信号を出力する上流検出部をさらに備え、
前記原稿通過検出部は、
前記信号が前記原稿有りを示す信号から前記原稿無しを示す信号に変化した後、前記検出位置から前記読取位置までの距離以上の距離として予め設定された設定距離、前記原稿搬送部によって前記原稿が搬送されたとき、前記原稿の後端が前記読取位置を通過したと判定する請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記上部構造体は、
前記原稿搬送部による前記原稿の搬送経路における、前記読取位置の下流に設けられた検出位置において前記原稿を検出し、前記原稿の有無を示す信号を出力する下流検出部をさらに備え、
前記原稿通過検出部は、
前記信号が前記原稿有りを示す信号から前記原稿無しを示す信号に変化したとき、前記原稿の後端が前記読取位置を通過したと判定する請求項1記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−102388(P2013−102388A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−245779(P2011−245779)
【出願日】平成23年11月9日(2011.11.9)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】