説明

画像形成装置

【課題】所定日時に設定された所定動作を画像形成装置に確実に実行させる。
【解決手段】装置内部のRTC4から日時情報を取得するタイマ取得手段11と、該タイマ取得手段11から取得した日時情報に基づいて、予め設定された所定日時に装置内部の各モジュール6〜8に対して、所定動作を実行させるモジュール管理手段12と、を備えた画像形成装置1において、ネットワーク20から代替日時情報を取得するネットワークタイマ取得手段13を備え、モジュール管理手段12は、所定日時経過時に所定動作が実行されない場合には、ネットワークタイマ取得手段13が取得した代替日時情報に基づいて、所定動作を実行させる

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。さらに詳述すると、設定された所定日時、所定時刻に所定動作の実行を登録可能な画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、ファクシミリ、複写装置、これらの複合機等の画像形成装置として、例えば、像担持体である感光ドラムの表面に静電潜像を形成し、感光ドラム上の静電潜像を現像剤であるトナー等によって現像して可視像化し、現像された画像を転写装置により記録紙(用紙、記録媒体ともいう)に転写して画像を担持させ、圧力や熱等を用いる定着装置によって記録紙上のトナー画像を定着する電子写真方式の画像形成装置が知られている。
【0003】
また、このような画像形成装置では、所定時間操作がない場合などに省エネルギーモードに切り替える省エネルギー機能を有している。
【0004】
このような画像形成装置として、設定された所定日時(以下、毎日、所定日付、所定曜日等における所定時刻も含むものとする)に所定動作の実行を登録可能なものが広く用いられている。すなわち、画像形成装置内部にタイマモジュール(リアルタイムクロック(RTC)など)を有し、ユーザが任意に設定した時間が経過したときにタイマイベントを発行して、装置の起動/シャットダウン、ファクシミリの送受信、省エネルギーモードへの移行/復帰等を実行させるものである。
【0005】
例えば、特許文献1には、夜間に受信したFAXデータの出力時刻を任意に設定し、又は履歴日時に自動設定して、当該設定時刻までにFAXデータを印字出力する画像形成装置が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ユーザが指定した日時を経過したときに、装置の起動/シャットダウン、ファクシミリの送受信、省エネルギーモードへの移行/復帰等の予め設定された動作を実行する従来の画像形成装置では、タイマモジュールが動作していない場合等において、設定された日時に設定された処理が実行されないという問題があった。
【0007】
そこで本発明は、予めユーザにより設定された日時が経過し、設定された動作の実行がなされない場合でも、代替手段を用いて当該所定動作を実行させることができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的を達成するため、本発明に係る画像形成装置は、装置内部のタイマから日時情報を取得するタイマ取得手段と、該タイマ取得手段から取得した日時情報に基づいて、予め設定された所定日時に装置内部の各モジュールに対して、所定動作を実行させる制御手段と、を備えた画像形成装置において、当該画像形成装置外部から代替日時情報を取得する代替タイマ取得手段を備え、制御手段は、所定日時経過時に所定動作が実行されない場合には、代替タイマ取得手段が取得した代替日時情報に基づいて、所定動作を実行させるものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、所定日時に設定された所定動作を確実に実行させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施形態に係る画像形成装置の機能ブロック図である。
【図2】代替日時情報を取得して、設定された動作を行う処理のフローチャートである。
【図3】代替日時情報を取得して、設定された動作を行う処理およびエラー通知処理のフローチャートである。
【図4】代替タイマを有効にするか否かを設定する処理を示すフローチャートである。
【図5】モジュールでエラーが発生している場合に、当該モジュールに登録されている他の処理についても実行しないようにする処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る構成を図1から図5に示す実施の形態に基づいて詳細に説明する。
【0012】
本実施形態に係る画像形成装置は、装置内部のタイマ(RTC4)から日時情報を取得するタイマ取得手段(タイマ取得手段11)と、該タイマ取得手段から取得した日時情報に基づいて、予め設定された所定日時に装置内部の各モジュール(FAXモジュール6、電源モジュール7、印刷モジュール8)に対して、所定動作を実行させる制御手段(コントローラ部10、モジュール管理手段12)と、を備えた画像形成装置(画像形成装置1)において、当該画像形成装置外部(ネットワーク20)から代替日時情報を取得する代替タイマ取得手段(ネットワークタイマ取得手段13)を備え、制御手段は、所定日時経過時に所定動作が実行されない場合には、代替タイマ取得手段が取得した代替日時情報に基づいて、所定動作を実行させるものである。
【0013】
[第1の実施形態]
図1は、本実施形態に係る画像形成装置の機能ブロック図である。画像形成装置1は、操作・設定手段としての操作パネル2、通知手段としてのユーザ通知部3、リアルタイムクロック(RTC)4、CPU5、FAXモジュール6、電源モジュール7、印刷モジュール8、通信手段としてのネットワークインターフェース(I/F)9、コントローラ部10等を備えている。また、画像形成装置1は、ネットワークI/F9を介してLANなどのネットワーク20に接続されている。
【0014】
操作パネル2としては、LCDディスプレイによるタッチパネル形式や、入力I/Fをボタン形式で行うものなどが挙げられる。また、コントローラ部10からの各指令に基づいて、ユーザへの各種の設定内容、エラー内容の通知等を行うユーザ通知部3としては、例えば、LCDディスプレイによるパネル表示(操作パネル2との兼用)のほか、LEDの点灯、ブザー音などがある。また、CPU5はCPUクロックを意味し、RTC4とクロックの周期は異なる。
【0015】
制御手段としてのコントローラ部10は、タイマ取得手段11と、モジュール管理手段12と、ネットワークタイマ取得手段(代替タイマ取得手段)13等を備えている。
【0016】
タイマ取得手段11は、RTC4から現在の日時情報(時刻情報ともいう)を取得しつつ、何らかの動作が登録されている日付、時刻に到達したかを監視している。また、動作が登録されている日時への到達時には、モジュール管理手段12に対し、タイマイベントを渡す。
【0017】
本実施形態の画像形成装置1は、ファクシミリの機能を実現するFAXモジュール6、電源の起動/シャットダウンを実現する電源モジュール7、印刷の機能を実現する印刷モジュール8等の各モジュールを備えており、これらの各モジュール6〜8について、ユーザが操作パネル2を通して、予め任意の日時と動作内容を設定しておくことが可能となっている。
【0018】
操作パネル2の操作に応じて設定された情報については、例えば、モジュール管理手段12には、設定された日時と動作内容が登録され、タイマ取得手段11には、設定された日時が登録される。
【0019】
上述のように、設定した日時に到達した場合、タイマ取得手段11は、モジュール管理部12に対し、タイマイベントを通知する。これを受けたモジュール管理部12は、登録された動作の対象となるモジュールに対し、登録されている動作を実行するようにイベントを通知するものである。
【0020】
また、コントローラ部10は、ネットワークタイマ取得手段13を備え、装置外部であるネットワーク20上のネットワークタイマ(代替タイマ)からネットワークI/F9を介して、日付、日時についての情報(代替日時情報ともいう)を取得している。ネットワークタイマ取得手段13による代替日時情報の取得は、周期的に行われ、ネットワークタイマ取得手段13は、モジュール管理手段12に代替日時情報を周期的に通知している。なお、代替日時情報の取得間隔、通知間隔については、ユーザが、操作パネル2を介して任意に設定可能であることが好ましい。
【0021】
また、ネットワーク20上の代替日時情報の取得先は、特に限られるものではないが、NTPサーバ、画像形成装置1に関するログ情報を取得、管理する管理情報ベース(Management Information Base)等で有ればよい。
【0022】
モジュール管理手段12は、ネットワークタイマ取得手段13から取得した代替日時情報に基づいて、登録された所定動作の実行が登録されている日時との比較を行っている。例えば、登録された日時を経過しているが、タイマ取得手段11からタイマイベントを受けていない場合に、モジュール管理手段12は、対象となるモジュールに対して登録された動作を行うように指示し、その旨を、ユーザ通知部3を通じてユーザに通知する。
【0023】
また、モジュール管理手段12は、タイマ取得手段11からタイマイベントの通知を受けたが、該当するモジュールで登録された処理が実行されない場合は、その旨を、ユーザ通知部3を通じてユーザに通知する。
【0024】
図2は、電源起動中の画像形成装置1において、装置外部のネットワークタイマ(代替タイマ)からの代替日時情報を取得して、予めユーザに設定された動作を行う処理のフローチャートである。
【0025】
画像形成装置1には、予めユーザが任意の日時を指定して、所定の動作を実行する登録がなされている。本実施形態では、ネットワークタイマ取得手段13は、ネットワーク20から現在の日時情報(代替日時情報)を取得する(S101)。
【0026】
次に、モジュール管理手段12は、ネットワークタイマ取得手段13で取得した代替日時情報について、モジュール管理手段12に設定されている所定動作の実行日時(タイマ取得手段11によるタイマイベントの発生日時)が経過していないかを確認する(S102)。
【0027】
経過していない場合(S102:No)は、処理は終了する(何も処理がない)が、経過している場合(S102:Yes)は、タイマ4やタイマ取得手段11のエラー等により、本来実行されるべき処理が実行されていない状態を意味するので、当該登録された所定動作を、モジュール管理手段12により実行させる(S103)。
【0028】
このように、本実施形態に係る画像形成装置によれば、ユーザ等により予め指定された日時が経過しても、タイマイベントを受け取れない場合等、各機能を実現するための処理が実行されなかったときでも、代替手段となる日時源から現在日時を取得し、当該代替日時情報に基づいて、ユーザが設定した処理を実行することにより、登録されている動作を確実に実行することが可能となる。
【0029】
[第2の実施形態]
以下、画像形成装置のその他の実施形態について説明する。なお、上記実施形態と同様の点についての説明は省略する。
【0030】
また、所定時刻に登録された動作が実行されない場合、タイマモジュール(RTC4やタイマ取得手段11)が動作していないのか、タイマイベントを受け取ってもモジュール6〜8側が動作していないのか、といったエラー要因の特定をすることができないという問題があった。
【0031】
そこで、本実施形態では、登録された動作が実行されなかったとき、タイマ側のエラーであるのか、イベントを受け取ったモジュール側のエラーであるのかのエラー要因を特定して、その旨をユーザに通知するものである。
【0032】
図3は、装置外部のネットワークタイマからの代替日時情報を取得して、予めユーザに設定された動作を行う処理であって、かつ、エラーの要因を通知する処理のフローチャートである。
【0033】
画像形成装置1には、予めユーザが任意の日時を指定して、所定の動作を実行する登録がなされている。本実施形態では、ネットワークタイマ取得手段13は、ネットワーク20から現在の日時情報(代替日時情報)を取得する(S201)。
【0034】
次に、モジュール管理手段12は、ネットワークタイマ取得手段13で取得した代替日時情報について、モジュール管理手段12に設定されている所定動作の実行日時(タイマ取得手段11によるタイマイベントの発生日時)が経過していないかを確認する(S202)。
【0035】
経過していない場合(S202:No)は、処理は終了する(何も処理がない)が、経過している場合(S202:Yes)は、モジュール管理手段12は、タイマ取得手段11から日時に到達したかのタイマイベントの通知を受け取っているか否かのフラグ確認(S203)を行う。
【0036】
フラグが有効のとき(S203:Yes)は、タイマイベントを受けてモジュール側に登録された動作を行うように指示したが、実行されていない場合であるので、動作を実行するモジュール側でエラーが発生していることをユーザ通知部3へ通知する(S204)。
【0037】
一方、フラグが無効のとき(S203:No)は、タイマ4やタイマ取得手段11のエラー等により、タイマイベントを受け取れないことで本来実行されるべき処理が実行されていない状態を意味するので、タイマ側のエラーであることをユーザ通知部3へ通知し(S205)、当該登録された所定動作を、モジュール管理手段12により実行させる(S206)。
【0038】
本実施形態によれば、ユーザが設定した日時で所定の動作が実行されなかった場合に、そのエラー要因、すなわち、処理を実行するモジュール側のエラーであるのか、タイマ側のエラーであるのかについて、ユーザに通知することができる。
【0039】
[第3の実施形態]
また、画像形成装置1は、ネットワークタイマ取得手段13の有効/無効を設定可能な設定手段を備えることも好ましい。
【0040】
図4は、ネットワークタイマ取得手段13によるネットワークタイマを利用するかどうかを設定する処理を示すフローチャートである。
【0041】
先ず、コントローラ部10は、操作パネル2にタイマの設定画面(日時設定画面)を表示(S301)させる。このとき、併せて、ネットワークタイマ取得手段13を利用した代替タイマを利用するか否かを選択可能に表示させる。なお、日時設定画面とは別に表示させても良いのは勿論である。
【0042】
代替タイマを利用することが選択された場合(S302:Y)は、その旨をユーザ通知部3に通知して、以後、ネットワークタイマ取得手段13をオン(有効)にする(S303)。一方、代替タイマを利用しないことが選択された場合(S302:N)は、その旨をユーザ通知部3に通知して、以後、ネットワークタイマ取得手段13をオフ(無効)にする(S304)。
【0043】
本実施形態によれば、ユーザはネットワークタイマを利用して、日時指定の処理を動作させるか否かを選択することが可能となる。
【0044】
[第4の実施形態]
図5は、登録された処理を実行するモジュール(FAXモジュール6、電源モジュール7、印刷モジュール8)でエラーが発生している場合に、当該モジュールに登録されている他の処理についても実行しないようにする処理を示すフローチャートである。
【0045】
S401〜S406については、第2の実施形態(図3のS201〜S206)と同様の処理であるので説明は、省略する。
【0046】
本実施形態では、処理を実行するモジュールがエラーの発生要因(S404)の場合、そのモジュールが他に日時指定の処理が登録されていないかについてモジュール管理手段12が検索し(S407)、該当するモジュールについて他の処理が登録されていれば、登録されている処理の要求を全て消去(S408)するものである。
【0047】
本実施形態によれば、タイマモジュール以外のモジュールが、エラー発生要因になっている場合、該当するモジュールについて他に登録されている処理の要求を消去することで、同じように誤って処理が実行されないようにして、不要なエラーの発生を防ぐことができる。
【0048】
尚、上述の実施形態は本発明の好適な実施の例ではあるがこれに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。
【符号の説明】
【0049】
1 画像形成装置
2 操作パネル(操作・設定手段)
3 ユーザ通知部(通知手段)
4 リアルタイムクロック(RTC)
5 CPU
6 FAXモジュール
7 電源モジュール
8 印刷モジュール
9 ネットワークI/F
10 コントローラ部(制御手段)
11 タイマ取得手段
12 モジュール管理手段
13 ネットワークタイマ取得手段
20 ネットワーク
【先行技術文献】
【特許文献】
【0050】
【特許文献1】特開2002−218120号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置内部のタイマから日時情報を取得するタイマ取得手段と、
該タイマ取得手段から取得した日時情報に基づいて、予め設定された所定日時に装置内部の各モジュールに対して、所定動作を実行させる制御手段と、を備えた画像形成装置において、
当該画像形成装置外部から代替日時情報を取得する代替タイマ取得手段を備え、
前記制御手段は、前記所定日時経過時に前記所定動作が実行されない場合には、前記代替タイマ取得手段が取得した代替日時情報に基づいて、前記所定動作を実行させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記所定日時経過時に前記所定動作が実行されない場合に、
前記タイマ取得手段から日時情報を取得したか否かに基づいて、前記タイマ取得手段側のエラーであるか、前記各モジュール側のエラーであるかを判断し、該判断結果を通知することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記各モジュール側のエラーであると判断した場合、
対象となるモジュールについて他に設定されている所定動作がある場合は、該対象となるモジュールについて設定されている所定動作をクリアすることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記代替タイマ取得手段の有効/無効を設定可能な設定手段を備えたことを特徴とする請求項1から3までのいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−103402(P2013−103402A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−248522(P2011−248522)
【出願日】平成23年11月14日(2011.11.14)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】