説明

画像形成装置

【課題】 画像形成のために記録液を吐出させる部分の洗浄時期を容易に知ることができるようにする。
【解決手段】 主制御部89は、メモリ部89に前回使用時間の履歴情報とそれぞれ異なる時間長の複数のしきい値を保持し、メモリ部89から前回使用時間の履歴情報を取得し、その履歴情報と現在の時間に基づいて現時間までの経過時間を計算し、その経過時間がメモリ部89から読み出したいずれかのしきい値を超えていると判断した場合、操作表示部8に記録ヘッドの洗浄を上記超えていると判断したしきい値の時間長に応じた強度で推奨する通知を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ファクシミリ装置、インクジェットプリンタ、複写機、並びにそれらの機能を備えた複合機を含むインクジェット方式で画像を形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクを吐出する記録ヘッドを備え、記録紙等の記録媒体を搬送しながら、上記記録ヘッドの内部の液室内のインクを電気的な方法などで刺激することにより、記録ヘッドに設けられた微細なノズルからインクを吐出し、記録媒体上に記録ヘッドから吐出したインクによって画像を形成するファクシミリ装置、プリンタ、複写機、並びにそれらの機能を備えた複合機等の画像形成装置が知られている。
【0003】
このような画像形成装置では、ノズルからインクを吐出した後に未吐出の状態が長期間になると、記録ヘッドの内部の液室内、インクカートリッジから記録ヘッドにインクを供給するインク供給チューブ内、またはノズル内などの部分でインクが凝固して固着する恐れがある。
例えば、ヘッドのノズルは非常に微細であるため、そのノズルに凝固したインク塊が流れ込むことでノズルが目詰まりし、記録媒体に画像が描画されなくなる不具合(この不具合を「ノズル抜け」という)、または記録媒体に描画した画像がかすれる不具合(この不具合を「画像かすれ」という)が発生する。
【0004】
上記の不具合が発生した場合、例えば、記録用のインクもしくはノズル洗浄用の液体をノズルに通し、そのノズルの吐出方向側からインクもしくは液体を吸引してノズルの目詰まりを解消している。
従来、カートリッジの装着を検出すると、そのカートリッジの種類が記録液入りカートリッジ又は保護液入りカートリッジであると判別した場合、記録ヘッド駆動手段に対して記録ヘッドのフラッシングの実行を指令する装置(例えば、特許文献1参照)があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来の装置では、画像形成装置の使用者がノズル洗浄を実施すべきタイミングを判断できないので、ノズル洗浄が不要なときに実施してしまってインクを無駄に消費してしまうという問題があった。
例えば、ノズルからインクを吐出した後に未吐出の状態が長期間になると、記録ヘッドのヘッドタンク内の負圧が減圧しているため、ヘッドタンクにインクの充填と吸引をすることによってヘッドタンク内の負圧を元の状態に回復させるヘッドメンテナンスを行う必要がある。
【0006】
そのヘッドメンテナンスには、画像の描画にのみ使用されるべきインクを使用するが、負圧回復後に印刷を行ったときに画像かすれが判明し、改めて洗浄液によってノズル洗浄を行った場合、先に行ったヘッドメンテナンスに使用したインクが無駄になってしまう。
この発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、画像形成のために記録液を吐出させる部分の洗浄時期を容易に知ることができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は上記の目的を達成するため、記録媒体に対して記録液吐出手段から記録液を吐出させて上記記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、上記記録液吐出手段を洗浄する洗浄手段とを備えた画像形成装置であって、上記記録液吐出手段から記録液を吐出していない状態の経過時間を取得する取得手段と、それぞれ異なる時間長の複数のしきい値を保持し、上記取得手段によって取得した経過時間が上記いずれかのしきい値を超えていると判断した場合、上記洗浄手段による上記記録液吐出手段の洗浄を上記超えていると判断したしきい値の時間長に応じた強度で推奨する通知を出力する通知手段を有する画像形成装置を提供する。
【発明の効果】
【0008】
この発明による画像形成装置は、画像形成のために記録液を吐出させる部分の洗浄時期を容易に知ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図2に示したプリンタの制御部の機能部をその各部と関連する各部と共に示すブロック図である。
【図2】発明の一実施形態であるインクジェットプリンタを前方側から見た外観斜視図である。
【図3】図2に示したインクジェットプリンタの機構部を示す概略構成図である。
【図4】図2に示したインクジェットプリンタの機構部の要部を示す平面図である。
【図5】図2に示したインクジェットプリンタのインク供給装置の概略構成図である。
【図6】図1に示した主制御部によるフルオート洗浄実施通知処理を示すフローチャート図である。
【図7】図1に示した主制御部による他のフルオート洗浄実施通知処理例を示すフローチャート図である。
【図8】図1に示した主制御部によるまた他のフルオート洗浄実施通知処理例を示すフローチャート図である。
【図9】図1に示した主制御部によるさらに他のフルオート洗浄実施通知処理例を示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、この発明を実施するための形態を図面に基づいて具体的に説明する。
図2は、発明の一実施形態であるインクジェットプリンタ(インクジェット記録装置とも称す)を前方側から見た外観斜視図である。
このインクジェットプリンタ(以下単に「プリンタ」という)は、用紙等の記録媒体(以下「用紙」という)にインク等の記録液(以下「インク」という)を吐出して、用紙に画像を描画する画像形成装置である。
【0011】
このプリンタは、装置本体1と、その装置本体1に着脱自在に装着される給紙トレイ2と排紙トレイ3とを備えている。
上記給紙トレイ2は、用紙を装填して格納するためのものであり、上記排紙トレイ3はインクによって画像が描画(形成)された用紙を蓄積(ストック)するためのものである。
また、装置本体1には、上部に内部の機構部を覆う上カバー4を開閉可能に設けている。
【0012】
この装置本体1の上面を形成する上カバー4の表面は略平坦な面に形成し、さらに、上カバー4の中央部には、内部の機構部を外部から視認することができるように透明又は半透明の部材からなる窓部材5を取り付けている。
また、装置本体1の前カバーで形成される前面6は上カバー4の前端部から斜め下後方に向かって傾斜している形状にしている。
したがって、装置本体1の上面を広く活用することができる。
【0013】
さらに、装置本体1の前面6の一端部側(給紙トレイ2及び排紙トレイ3の側方側)には、前面6から装置本体1の前方側に突き出し、上カバー4よりも低くなったカートリッジ装填部7を有する。
このカートリッジ装填部7の上面は操作ボタンやディスプレイ等の表示器18などを設ける操作表示部8を備えている。
【0014】
また、カートリッジ装填部7には、色の異なる記録液(インク)、例えば、黒(K)インク、シアン(C)インク、マゼンタ(M)インク、イエロー(Y)インクをそれぞれ収容した複数の記録液カートリッジであるインクカートリッジ9k、9c、9m、9y(以下、色を区別しないときは総称して「インクカートリッジ9」という。)を、装置本体1の前面側から後方側に向って挿入して装填可能にしている。
このインクカートリッジ9k、9c、9m、9yには、それぞれのインクに係る各種の情報であるインク情報を格納するIDチップ(図示を省略)を備えている。
【0015】
さらに、このカートリッジ装填部7の前面側には、インクカートリッジ9を着脱するときに開く前カバー10を開閉可能に設けている。
そして、インクカートリッジ9k、9c、9m、9yは縦置き状態で横方向に並べて装填する構成にしている。
この前カバー10は、閉じた状態で、カートリッジ装填部7内に装填されている複数のインクカートリッジ9k、9c、9m、9yを外部から視認することができるように、全体が透明又は半透明の部材で形成されている。
【0016】
なお、インクカートリッジ9k、9c、9m、9yを外部から視認することができれば、前カバー10の一部が透明又は半透明の部材で形成されている構成にすることもできる。
また、操作表示部8には、各色のインクカートリッジ9k、9c、9m、9yの装着位置(配置位置)に対応する配置位置で、各色のインクカートリッジ9k、9c、9m、9yの残量がニアーエンド及びエンドになったことを表示するための各色(黒、シアン、マゼンタ、及びイエロー)の残量表示部11k、11c、11m、11y(以下、色を区別しないときは「残量表示部11」と総称する。)を配置している。
【0017】
この残量表示部11は、例えば、対応するインクカートリッジ9に収容されたインクの色と同じ色で発光する発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)等の半導体素子で構成し、例えば、灯りを点滅させることによってインクニアーエンドを表示し、灯りを点灯状態にすることによってインクエンドを表示する。
上記インクニアーエンドとは、インク残量が少なくなり、インクエンドが近い状態を示し、上記インクエンドとは、用紙に正常な画像を描画できなくなるほどのインク残量の状態を示すものである。
【0018】
また、残量表示部11の平面形状は液滴形状(涙形状)として、インクに関係する表示であることをユーザがイメージで認識できるようにするとよい。
このようにすれば、インクに関係する表示であることを使用者がイメージで認識できるようにすると使い勝手を良くすることができる。
なお、例えば、各色の発光をする残量表示部11に対応して更に各色の指標を付設するようにしてもよい。
【0019】
また、操作表示部8には、電源ボタン12、用紙送り/印刷再開ボタン13、キャンセルボタン14も配置している。
さらに、上記残量表示部11、電源ボタン12、用紙送り/印刷再開ボタン13、及びキャンセルボタン14の近傍には、ユーザが認識できるようにそれぞれ「インク残量表示」、「電源」、「用紙送り/印刷再開」「キャンセル」の各文字も付記するとよい。
【0020】
給紙トレイ2は、用紙を収納する(スタックする)トレイ本体と、このトレイ本体の上部を覆う透明又は半透明の部材からなるトレイカバーとを備えている。
そして、給紙トレイ2のトレイ本体の前面側壁部にはスタックされた用紙を視認することができるための覗き窓15を形成している。この覗き窓15は切り欠き部で形成するとよい。このようにすれば、別途窓部を作成して取り付けるよりもプリンタの製造コストを低減することができる。
【0021】
また、給紙トレイ2のトレイカバーの横方向(図中では用紙送り方向と直交する左右方向)の中央部前面側には排紙トレイ3を下側から支えるトレイ支え部16を立ち上げて設けている。
このトレイ支え部16の立ち上げによって、大きなサイズの用紙、例えば、A3サイズの用紙を使用できるようにした場合の排紙スタック性を向上することができる。
さらに、給紙トレイ2のトレイカバーの横方向(図中では用紙送り方向と直交する左右方向)の両端部には用紙送り方向に沿って、リブ中央部前面側にリブ17を形成している。
【0022】
このように、排紙トレイ3の下側に位置する給紙トレイ2のトレイカバー上にリブ17を設けることによって、排紙トレイ3に排紙される用紙の両端部が下方向に撓んだ場合でも、リブ17によって横方向へのズレを規制することができる。
したがって、排紙トレイ3に排紙された用紙がバラけることなく略まとまって積載されることになり、使用者が用紙束を手に取るときにまとめる作業をせずに済み、印刷後の用紙束を手間無く取上げることができる。
【0023】
次に、このプリンタの機構部の一例を説明する。
図3は、図2に示したプリンタの機構部を示す概略構成図であり、図4は、図2に示したプリンタの機構部の要部を示す平面図である。
このプリンタの機構部は、図4に示すフレーム20を構成する左右の側板20a、20bに架け渡した(これを「横架した」という)ガイド部材であるガイドロッド21と図3に示すステー22とで、キャリッジ23を主走査方向に移動自在に図2に示した装置本体1に保持している。そのキャリッジ23を図示を省略した主走査モータとベルト機構等によって、図4の矢示X方向(キャリッジ主走査方向)に移動走査する。
【0024】
このキャリッジ23には、前述したように黒(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色のインク滴を吐出する4個のインクジェットヘッドからなる記録ヘッド24をその複数のインク吐出口を主走査方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。
その記録ヘッド24は、例えば、図4に示すように、黒(B)のインク滴を吐出する記録ヘッド24kと、シアン(C)のインク滴を吐出する記録ヘッド24cと、マゼンタ(M)のインク滴を吐出する記録ヘッド24mと、イエロー(Y)のインク滴を吐出する記録ヘッド24yとで構成されている。以下、色を区別しないときは総称して「記録ヘッド24」という。
【0025】
この記録ヘッド24が、記録媒体に対して記録液吐出手段から記録液を吐出させて上記記録媒体に画像を形成する画像形成手段の機能を果たす。
記録ヘッド24を構成するインクジェットヘッドとしては、圧電素子などの圧電アクチュエータ、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータ、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータなどをインクを吐出するためのエネルギー発生手段として備えたものを使用できる。
【0026】
また、記録ヘッド24の構成は上述した例に限られるものではなく、1つまたは複数の色のインク滴を吐出する1つまたは複数のノズル列を有する記録ヘッドを1つまたは複数用いて構成することができる。
この記録ヘッド24にはドライバICを搭載しており、図2乃至図4では図示を省略した制御部との間で、図4のハーネス(フレキシブルプリントケーブル)25を介してデータのやり取りが可能に接続されている。
また、キャリッジ23には、記録ヘッド24に各色のインクを供給するための各色のヘッドタンク26を搭載している。
【0027】
ヘッドタンク26は、例えば、図4に示すように、黒(B)のインクのヘッドタンク26kと、シアン(C)のインクのヘッドタンク26cと、マゼンタ(M)のインクのヘッドタンク26mと、イエロー(Y)のインクのヘッドタンク26yとの4つから構成されている。以下、色を区別しないときは総称して「ヘッドタンク26」という。
この各色のヘッドタンク26にはそれぞれ、図4に示すように、各色のインク供給チューブ27を介して、前述したカートリッジ装填部7に装着されたインクカートリッジ9(9k、9c、9m、9y)から各色のインクが補充供給される。
【0028】
なお、このカートリッジ装填部7にはインクカートリッジ9内のインクを送液するための供給ポンプユニット28が設けられている。
また、インク供給チューブ27は這い回しの途中で、フレーム20を構成する後板20cにホルダ29を用いて固定保持されている。
さらに、そのインク供給チューブ27はキャリッジ23上でも、固定リブ30を用いて固定されている。
【0029】
一方、図3に示すように、給紙トレイ2の用紙積載部(昇降板)31上に積載した用紙Pを給紙するための給紙部として、矢示方向に回転して用紙積載部31から用紙Pを1枚ずつ給送する給紙コロ(半月コロ)32と、その給紙コロ32に対向する摩擦係数の大きな材質からなる分離パッド33とを備え、その分離パッド33は給紙コロ32側に押付けられている。
【0030】
そして、この給紙部から1枚ずつ分離されて給紙される用紙Pを記録ヘッド24の下方側へ送り込むための搬送部として、用紙Pを静電吸着して記録ヘッド24に対向する位置で搬送するための搬送ベルト34と、給紙部からガイド35を介して送られる用紙Pを搬送ベルト34との間で挟んで搬送するためのカウンタローラ36と、図3において略鉛直上方に送られる用紙Pを略90°方向転換させて、搬送ベルト34上に倣わせるための搬送ガイド37と、押さえ部材38で搬送ベルト34側に押付けられた先端加圧コロ39とを備えている。
【0031】
また、搬送ベルト34の表面を帯電させるための帯電手段である帯電ローラ40を備えている。
ここで、搬送ベルト34は、無端状ベルトであり、搬送ローラ41とテンションローラ42との間に掛け渡されて、図示を省略した副走査モータ等によって、搬送ローラ41を矢示方向に回転させることにより、図4に矢示Yで示すベルト搬送方向(副走査方向)に周回移動(以下「回動」と云う)するように構成している。
【0032】
この搬送ベルト34は、例えば、抵抗制御を行っていない純粋な厚さ40μm程度の樹脂材、例えば、熱可塑性フッ素樹脂(例えば、ETFEピュア材)で形成した用紙吸着面となる表層と、この表層と同材質でカーボンによる抵抗制御を行った裏層(例えば、中抵抗層、又はアース層)とを有している。
一方、図3に示す帯電ローラ40は、搬送ベルト34の表面を帯電させるための帯電手段であり、その搬送ベルト34の表層に接触して、搬送ベルト34の回動に従って連れ回り(従動回転)するように配置されており、搬送ベルト34に対する加圧力として軸の両端に所定の押圧力をかけている。
【0033】
また、搬送ローラ41はアースローラの役目も担っており、搬送ベルト34の中抵抗層(裏層)と接触しており、それを接地する。
さらに、搬送ベルト34の裏側には、記録ヘッド24による印刷領域に対応してガイド部材43を配置している。
このガイド部材43は、上面が搬送ベルト34を支持する2つのローラ(搬送ローラ41とテンションローラ42)に共通の外接線よりも記録ヘッド24側に突出している。
【0034】
これにより、搬送ベルト34は印刷領域ではガイド部材43の上面によって押し上げられてガイドされるので、高精度な平面性を維持される。
さらに、記録ヘッド24で記録された用紙Pを排紙するための排紙部として、搬送ベルト34から用紙Pを分離するための分離爪52と、排紙ローラ53及び排紙コロ54とを備え、排紙ローラ53の下方に排紙トレイ3を備えている。
【0035】
ここで、排紙ローラ53と排紙コロ54との間から排紙トレイ3までの高さは排紙トレイ3にストックできる量を多くするためにある程度高くしている。
また、装置本体1の背面部には、両面給紙ユニット44が着脱自在に装着されている。
この両面給紙ユニット44は、両面印刷時に、搬送ベルト34の逆方向回転で戻される用紙を取り込んで反転させ、再度先端加圧コロ39と搬送ベルト34との間に給紙する機能を有する。
【0036】
また、この両面給紙ユニット44の上面には、手差しの用紙を給紙するための手差し給紙部45が設けられている。
一方、図4に示すように、キャリッジ23の走査方向の一方側(右側)の非印字領域には、記録ヘッド24のノズルの状態を維持し、回復するための図4の維持回復機構部46を配置している。
【0037】
この維持回復機構部46には、記録ヘッド24の各ノズル面をキャッピングするための各キャップ部材(以下「キャップ」という。)47a〜47d(区別しないときは「キャップ47」と総称する)と、そのノズル面を拭取る(ワイピングする)ためのブレード部材であるワイパーブレード48と、増粘したインクを排出するために、記録に寄与しないインク滴を吐出させる空吐出を行うときのインク滴を受ける空吐出受け49などを備えている。
【0038】
ここでは、キャップ47aを吸引及び保湿用キャップにし、他のキャップ47b〜47dは保湿用キャップのみにしている。
また、キャリッジ23の走査方向の他方側(図4では左側)の非印刷領域には、記録中などに増粘したインクを排出するために、記録に寄与しないインク滴を吐出させる空吐出を行うときのインク滴を受ける空吐出受け50を配置し、この空吐出受け50には記録ヘッド24のノズル配列方向に沿った開口部51を設けている。
【0039】
このように構成した実施形態のプリンタにおいては、図3に示した給紙トレイ2から用紙Pが1枚ずつ分離給紙され、同図中で略鉛直上方に給紙された用紙Pはガイド35で案内され、搬送ベルト34とカウンタローラ36との間に挟まれて搬送される。さらに、先端を搬送ガイド37で案内されて、先端加圧コロ39で搬送ベルト34に押し付けられ、略90°搬送方向を転換される。
【0040】
このとき、図1によって後述する制御部によって、ACバイアス供給部から帯電ローラ40に対してプラス出力とマイナス出力とが交互に繰り返す交番電圧が印加され、搬送ベルト34が交番する帯電電圧パターン、すなわち、回動方向である副走査方向に、プラスとマイナスの電荷が所定の幅で帯状に交互に生じたものとなる。
【0041】
このプラスとマイナスに交互に帯電した搬送ベルト34上に用紙Pが給紙されると、その用紙Pにも静電誘導によって、搬送ベルト34の帯電極性と反対極性のプラスとマイナスに交互に帯電が生じる。そのため、用紙Pが搬送ベルト34に静電引力によって吸着されると共に、相対的な位置ずれが生じることなく、その搬送ベルト34の回動によって用紙Pが副走査方向に正確に搬送される。
そこで、キャリッジ23を主走査方向へ移動させながら、画像信号に応じて記録ヘッド24を駆動することにより、停止している用紙Pにインク滴を吐出して1行分を記録し、その用紙Pを所定量搬送後、次の行の記録を行う。
【0042】
そして、記録終了信号又は用紙Pの後端が記録領域の副走査端に達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、用紙Pを排紙トレイ3に排紙する。
また、印刷(記録)待機中はキャリッジ23は維持回復機構部46側に移動されて、キャップ47で記録ヘッド24がキャッピングされて、ノズルを湿潤状態に保つことによりインクの乾燥によるインクの吐出不良を防止する。
【0043】
さらに、キャップ47で記録ヘッド24をキャッピングした状態で図示を省略した吸引ポンプによってノズルからインクを吸引(これを「ノズル吸引」又は「ヘッド吸引」という。)し、増粘したインクや気泡を排出する回復動作を行う。
また、記録開始前、記録途中などに記録と関係しないインクを吐出する空吐出動作を行う。これによって、記録ヘッド24の安定した吐出性能を維持する。
【0044】
次に、このプリンタにおける記録ヘッド24にインクを供給するインク供給装置について説明する。
図5は、図2に示したプリンタのインク供給装置の概略構成図である。
この図5には、インクカートリッジ9k、9c、9m、9yの内の1つを図示し、その1つのインクカートリッジ9に関する動作を説明し、その他のものについては説明を省略するが、インクカートリッジ9k、9c、9m、9yの全てについて同様の動作をする。
【0045】
インクカートリッジ9は、カートリッジケース55内にインクを収容したインク袋56を収納している。このインク袋56は、柔軟性を有し、内部のインクを供給するためのインク供給口部57を備えている。インク供給口部57は内部にゴムなどの弾性部材を有している。
ヘッドタンク26は、インク58を収容するタンクケース59と図示を省略した負圧発生部と大気解放機構部60を備えている。
図示を省略した負圧発生部は、例えば、フィルムと弾性部材からなり、ヘッドタンク26内に負圧を発生させる。
【0046】
大気解放機構部60は、タンクケース59内を開放して負圧を解放する。
タンクケース59の下部には記録ヘッド24が取り付けられている。また、タンクケース59の上部にはヘッドタンク満タン検出部61を備えている。
ヘッドタンク満タン検出部61は、タンクケース59内に収容されたインク58の液面が所定の位置になったことを検知する2本の検知電極などで構成したセンサである。
【0047】
供給ポンプユニット28は、供給ポンプ62、ピストン63、カム64、ギア65とギア66、駆動モータ67、モータ軸68、中空針69及びジョイント部70を備えている。
供給ポンプ62は、インクカートリッジ9のインクをヘッドタンク26に給送する。
カム64は、供給ポンプ62のピストン63を図5の上下方向(図中矢示Z方向)に往復移動させる。
【0048】
ギヤ66はギア65と噛み合ってそれを回転させ、そのギア65はカム64を回転させる。
駆動モータ67は、モータ軸68を回転駆動させ、そのモータ軸68に取り付けられたギア66を回転駆動させる。
供給ポンプ62に設けた中空針69をインクカートリッジ9のインク袋56のインク供給口部57内の弾性部材(例えば、ゴム栓)に差し込むことによって、供給ポンプ62内とインク袋56内とをインクが行き来するようにジョイントする。
【0049】
そして、供給チューブ27の一端部は供給ポンプ62のジョイント部70に、もう一端部はヘッドタンク26にそれぞれ接続されており、この供給チューブ27を介してインク袋56のインクがヘッドタンク26に供給される。
この供給ポンプ62の作動と停止を制御するための制御手段である図1に示す主制御部80は、ヘッドタンク26に対してインクカートリッジ9からインクを供給させるとき、ヘッドタンク満タン検出部61からの検知信号に基づいてインク供給モータ駆動部90を介して図5に示した駆動モータ67の回転駆動及び停止を制御する。
【0050】
次に、このプリンタの制御部の機能構成を説明する。
図1は、図2に示したプリンタの制御部の機能部をその各部と関連する各部と共に示すブロック図である。
【0051】
このプリンタの制御部は、CPU、ROMおよびRAMを含むマイクロコンピュータによって実現され、主制御部80、操作表示制御部81、通信部82、印刷制御部83、主走査モータ駆動部84、副走査モータ駆動部85、給紙コロ駆動部86、維持回復機構駆動用モータ駆動部87、インク供給モータ駆動部88、メモリ部89、カートリッジ通信部90、Kカートリッジメモリ部91、Cカートリッジメモリ部92、Mカートリッジメモリ部93、及びYカートリッジメモリ部94を備えている。これらは全てバスによって接続され、相互にデータ及び信号のやり取りが可能である。
【0052】
主制御部80は、81〜90の各部を制御してプリンタの全体の制御を司り、この実施形態に係る計算、判定、及び通知を含む各種の制御処理をする。
この主制御部80が、後述する取得手段と通知手段の各機能を果たす。
操作表示制御部81は、操作表示部8から入力される操作情報を主制御部80に送り、主制御部80からの指示に基づいて操作表示部8に各種の通知及び情報を表示させる制御を司る。
【0053】
通信部82は、このプリンタと通信線で直接に接続又はローカルエリアネットワーク、インターネット等のネットワークを介して接続した図示を省略したホストコンピュータと主制御部80との間の各種の情報のやり取りを制御する。
印刷制御部83は、主制御部80からの指示に基づいてヘッド駆動部95を含む印刷に係る各部の制御を司る。
【0054】
主制御部80は、通信部82から入力される印刷処理の情報に基づいて前述したように用紙に画像を形成するために、主走査モータ駆動部84を介して主走査モータ96を、副走査モータ駆動部85を介して副走査モータ97をそれぞれ駆動制御すると共に、印刷制御部83に対して印刷用データを送出するなどの制御をする。
また、主制御部80には、図3と図4に示したキャリッジ23の位置を検出するキャリッジ位置検出部98からの検出信号が入力され、主制御部80はこの検出信号に基づいてキャリッジ23の移動位置及び移動速度を制御する。
【0055】
キャリッジ位置検出部98は、例えば、キャリッジ23に搭載されたフォトセンサであり、キャリッジ23の走査方向に配置されたエンコーダシートのスリット数を光学的に読み取って計数し、その計数データを主制御部80へ出力する。こうして、キャリッジ23の位置を検出することができる。
主走査モータ駆動部84は、主制御部80から入力されるキャリッジ移動量に応じて主走査モータ96を回転駆動させて、キャリッジ23を所定の位置に所定の速度で移動させる。
【0056】
主制御部80には、図3と図4に示した搬送ベルト34の移動量を検出する搬送量検出部99からの検出信号が入力され、主制御部80はこの検出信号に基づいて搬送ベルト34の移動量及び移動速度を制御する。
搬送量検出部99は、例えば、フォトセンサであり、搬送ローラ41の回転軸に取り付けられた回転エンコーダシートのスリット数を光学的に読み取って計数し、その計数データを主制御部80へ出力する。こうして、搬送量を検出することができる。
【0057】
副走査モータ駆動部85は、主制御部80から入力される搬送量に応じて副走査モータ97を回転駆動させて、図3と図4に示した搬送ローラ41を回転駆動して搬送ベルト34を所定の位置に所定の速度で移動させる。
主制御部80は、給紙コロ駆動部86に給紙コロ駆動指令を与えることによって図3に示した給紙コロ32を一回転させる。
【0058】
そして、主制御部80は、維持回復機構駆動用モータ駆動部87を介してモータ100を回転駆動することにより、図4に示したキャップ47とワイパーブレード48のそれぞれの昇降を行わせる。
また、主制御部80は、インク供給モータ駆動部88を介して図5に示した供給ポンプユニット28の供給ポンプ63を駆動するための駆動モータ(「インク供給モータ」ともいう)68を駆動制御し、図4に示したカートリッジ装填部7に装填されたインクカートリッジ9からヘッドタンク26に対してインクを補充供給する。
【0059】
主制御部80には、ヘッドタンク26がインクで満タン状態にあることを検知するヘッドタンク満タン検出部61からの検知信号、図2に示したカートリッジ装填部7の前カバー10の開閉を検知するカートリッジカバー開閉検出部101からの検知信号などが入力される。
【0060】
また、主制御部80は、カートリッジ通信部90を通じて、図2及び図4に示したカートリッジ装填部7に装着された各インクカートリッジ9k〜9yに、それぞれ設けられる記憶手段である不揮発性メモリのKカートリッジメモリ部91、Cカートリッジメモリ部92、Mカートリッジメモリ部93、Yカートリッジメモリ部94に記憶されている情報を取り込んで、所要の処理を行って、プリンタの本体の記憶手段であるメモリ部89(例えば、不揮発性であり書き換え可能なEEPROM)に格納して保持する。
このメモリ部89には、後述する前回使用時間、各種のしきい値、印刷した総枚数、所定枚数、インクの規格情報も主制御部80が参照可能に記憶する。
【0061】
印刷制御部83は、主制御部80からの信号とキャリッジ位置検出部98からのキャリッジ位置及び搬送量検出部99からの搬送量等に基づいて、図3乃至図5に示した記録ヘッド24のインク滴を吐出させるための圧力を発生させる圧力発生手段を駆動するヘッド駆動部95の駆動データを生成し、その駆動データをヘッド駆動部95に与える。
ヘッド駆動部95は、印刷制御部83からの印刷データに基づいて記録ヘッド24の圧力発生手段(ピエゾ型ヘッドであれば圧電素子)を駆動して、所要のノズルからインク滴を吐出させる。
【0062】
次に、このプリンタにおける上記制御部が実行するフルオート洗浄処理に関して説明する。
ここでは、インクカートリッジ9に代えて、インクカートリッジ9と同じ構造の洗浄液を収容する洗浄液カートリッジを図2及び図4に示したカートリッジ装填部7に装填してフルオート洗浄する。
なお、洗浄液は、完全に洗浄するものに限らず、最終的に流路内を乾燥し難くするという作用を有する液であればよい。
また、フルオート洗浄処理は、例えば、図2及び図4に示した操作表示部8に設けた、電源ボタン12、用紙送り/印刷再開ボタン13、キャンセルボタン14の組み合せ操作によって指示するものとしている。
【0063】
そこで、図1に示した主制御部80はフルオート洗浄処理が指示されると、カートリッジ装填部7に洗浄液カートリッジが装着(装填)されているか否かを判別し、洗浄液カートリッジが装着されていれば、当該洗浄液カートリッジの残量が所要量以上有るか否かを判別する。
なお、洗浄液カートリッジの残量検出は、例えば洗浄液カートリッジに設けた記憶素子に使用後の残量を記憶させておくことで対応しているが、これに限るものではない。
ここで、カートリッジ装填部7に洗浄液カートリッジが装着(装填)されていないとき、装着されているが残量が所要量以上ないときには、操作表示部8にカートリッジの交換要求のメッセージを表示する。
【0064】
そして、所要量の残量を有する洗浄液カートリッジが装着されているときには、プリンタ内に設けた図示を省略した環境センサによって環境温度を検出し、その環境温度が予め定めた設定温度Tを超えているか否かを判別し、環境温度が設定温度T以下の場合にはこのフルオート洗浄処理を終了する。
ここで、設定温度Tは、洗浄液の電気伝導度が低く(抵抗が高く)なって、図5に示したヘッドタンク満タン検出部61の検知電極が満タンを検知し難くなる温度である。
つまり、検知電極を用いてインクの満タンを検知する場合、インクの抵抗値が高い場合には検知できないため、このような温度以下では洗浄処理を行わないようにしている。
【0065】
そして、環境温度が設定温度Tを超えていれば、記録ヘッド24のノズル面(インク滴を吐出するノズルを形成した面)を図4に示したキャップ47aでキャッピングした後、記録ヘッド24内の気泡を抜く気泡抜き工程を実施させる。
この気泡抜き工程では、吸引ポンプを駆動して記録ヘッド24のノズルから液体を吸引するヘッド吸引を1回又は複数回行う。
また、ヘッドタンク26の大気解放機構部60を開状態にし、ヘッドタンク26内を大気開放状態にして行い、気泡抜き工程終了後はヘッドタンク26の大気開放機構部60を閉じた状態に戻す。
【0066】
その後、供給ポンプ62から記録ヘッド24までの液体流路内を洗浄液で洗浄する洗浄工程を行う。
この洗浄工程では、供給ポンプ62を駆動して洗浄液カートリッジから供給ポンプ62、インク供給チューブ27を経て洗浄液を供給し、ヘッドタンク26に洗浄液を満タンになるまで(ヘッドタンク満タン検出部61が洗浄液を検知するまで)充填する。
【0067】
そして、維持回復機構部46の吸引ポンプを作動して記録ヘッド24に対してヘッド吸引を1回又は複数回行い、ヘッドタンク26の大気開放機構部60を開状態にし、所定時間経過後大気開放機構部60を閉じる。
さらに、再度、維持回復機構部46の吸引ポンプを作動して記録ヘッド24に対してヘッド吸引を1回又は複数回行う。
次いで、ヘッドタンク26に洗浄液を充填する洗浄液充填工程を行う。
【0068】
この洗浄液充填工程では、供給ポンプ62を駆動して洗浄液カートリッジから供給ポンプ62、インク供給チューブ27を経て洗浄液を供給し、ヘッドタンク26に所要量(供給ポンプ62の作動時間で規定している。)の洗浄液を充填する。
そして、ヘッド吸引を行ってヘッドタンク26に負圧を形成して、後処理工程を行う。
後処理工程では、上述した充填工程でヘッドタンク26に対する負圧形成のためのヘッド吸引を行っているので、記録ヘッド24のノズル面をワイパーブレード48でワイピングし、また、キャップ内吸引を行ってキャップ47a内に残留している洗浄液を除去する。
【0069】
このように、主制御部80が(1)記録ヘッド24の気泡を抜く気泡抜き工程、(2)インクカートリッジ9に代えて装着される洗浄液収容手段に収容された洗浄液を供給して給送手段から記録ヘッド24までの液体流路内を洗浄する洗浄工程、(3)ヘッドタンク26に洗浄液を充填する洗浄液充填工程、(4)記録ヘッド24の維持回復機構部46から洗浄液を除去する工程、を含む洗浄シーケンスを実行させる洗浄手段を備えていることによって、自動的に、流路内を洗浄することができ、製造コストの低減を図れ、また、洗浄液カートリッジを使用することでメンテナンスも容易になる。
【0070】
次に、このプリンタにおけるフルオート洗浄実施通知処理について説明する。
この処理の場合、メモリ部89に、記録ヘッド24のフルオート洗浄実施を強く勧めるしきい値と記録ヘッド24のフルオート洗浄実施を勧めるしきい値の2種類のしきい値を予め記憶して保持している。
上記各しきい値は、この実施例では、(記録ヘッド24のフルオート洗浄実施を強く勧めるしきい値)>(記録ヘッド24のフルオート洗浄実施を勧めるしきい値)の関係を有する場合、例えば、予め試験して得られたそれぞれ異なる時間長の時間を設定した場合を説明する。
【0071】
すなわち、上記記録ヘッド24のフルオート洗浄実施を強く勧めるしきい値は、記録ヘッド24からインクを吐出していない状態が継続し、記録ヘッド24や記録ヘッド24にインクを供給する部分でインクの凝固や固着が起こる場合の時間を設定する。
また、上記記録ヘッド24のフルオート洗浄実施を勧めるしきい値は、記録ヘッド24からインクを吐出していない状態が継続し、記録ヘッド24や記録ヘッド24にインクを供給する部分でインクの凝固や固着が起こることがある場合の時間を設定する。
【0072】
すなわち、主制御部80は、記録ヘッド24(記録液吐出手段に相当する)からインク(記録液に相当する)を吐出していない状態の経過時間を取得する取得手段と、メモリ部89に複数の異なる時間長のしきい値を保持し、上記取得手段によって取得した経過時間が上記いずれかのしきい値を超えていると判断した場合、上記洗浄手段による記録ヘッド24の洗浄を上記超えていると判断したしきい値の時間長に応じた強度で推奨する通知を出力する通知手段の機能を果たす。
【0073】
図6は、図1に示した主制御部80によるフルオート洗浄実施通知処理を示すフローチャート図である。
この処理は、図1に示した主制御部80が、プリンタの電源オンによるシステムの初期化処理中に、カートリッジ通信部90とメモリ部89へのアクセスが可能になる時点から初期化処理の終了後のインクの充填を開始するまでの間に実行する。
【0074】
図1に示した主制御部80は、図6のステップ(図中「S」で示す)1の処理で、前回使用時の履歴情報を取得して経過時間を算出する。
この処理では、主制御部80は、メモリ部89から前回使用時間の履歴情報を取得し、その履歴情報と現在の時間に基づいて現時間までの経過時間を計算する。
上記メモリ部89に保存される前回使用時間の履歴情報とは、図3乃至図5に示した記録ヘッド24からインクを吐出した前回の時間である。この場合、図4に示した記録ヘッド24k〜24yのうちの最後にインクを吐出した時間を前回の時間にする。
【0075】
また、経過時間とは、記録ヘッド24からインクを吐出していない状態の継続時間である。この場合、記録ヘッド24k〜24yのうちの最後にインクを吐出した記録ヘッドについての時間になる。
なお、メモリ部89に保存した前回使用時間の履歴は、印刷または記録ヘッド24の洗浄(「ヘッドメンテナンス」という)が行われた時に更新するとよい。
【0076】
次に、ステップ2の処理で、上記経過時間がフルオート洗浄実施を強く勧めるしきい値を超えているか否かを判断する。
この判断処理では、図1に示した主制御部80は、メモリ部89からフルオート洗浄実施を強く勧めるしきい値を読み出し、上記経過時間と比較して、(フルオート洗浄実施を強く勧めるしきい値)>(経過時間)なら経過時間がフルオート洗浄実施を強く勧めるしきい値を超えていると判断する。
ステップ2の判断処理で経過時間がフルオート洗浄実施を強く勧めるしきい値を超えていると判断したら(「Y」の場合)、ステップ3でフルオート洗浄実施を強く勧める通知処理を実行し、この処理を終了する。
【0077】
上記フルオート洗浄実施を強く勧める通知処理は、主制御部80が操作表示制御部81を介して図2に示した操作表示部8の表示器18にプリンタの使用者に対してフルオート洗浄実施を強く勧めるメッセージを表示する。また、通信部82を介してプリンタに接続されているホストコンピュータにフルオート洗浄実施を強く勧める情報を送信する。ホストコンピュータでは、その情報に基づいてホストコンピュータの表示部に使用者に対してフルオート洗浄実施を強く勧めるメッセージを表示する。
上記フルオート洗浄実施を強く勧めるメッセージは、例えば、「ノズルノセンジョウヲオコナッテクダサイ」にするとよい。
【0078】
このように、経過時間がフルオート洗浄実施を強く勧めるしきい値を超えている場合は、印刷の際にインクの凝固や固着によるノズル抜けが発生する可能性が大であるため、使用者にフルオート洗浄の実施を強く推奨することにより、印刷の際の画像の品質維持を図ると共に、インクを無駄にしてしまわないようにすることができる。
なお、上記フルオート洗浄実施を強く勧める通知処理をした場合は、印刷の要求があった場合に実行の確認の要否を問い合わせる処理を実行するようにして、使用者になるべくフルオート洗浄を実施するように促すようにするとよい。
【0079】
一方、ステップ2の判断で経過時間がフルオート洗浄実施を強く勧めるしきい値を超えていないと判断したら(「N」の場合)、ステップ4へ進む。
ステップ4の処理では、上記経過時間がフルオート洗浄実施を勧めるしきい値を超えているか否かを判断する。
この判断処理では、主制御部80は、メモリ部89からフルオート洗浄実施を勧めるしきい値を読み出し、上記経過時間と比較して、(フルオート洗浄実施を勧めるしきい値)>(経過時間)なら経過時間がフルオート洗浄実施を勧めるしきい値を超えていると判断する。
【0080】
この際、上記経過時間は上記フルオート洗浄実施を強く勧めるしきい値以下の値であることはいうまでもない。
ステップ4の判断処理で経過時間がフルオート洗浄実施を勧めるしきい値を超えていると判断したら(「Y」の場合)、ステップ5でフルオート洗浄実施を勧める通知処理を実行し、この処理を終了する。
上記フルオート洗浄実施を勧める通知処理では、上記フルオート洗浄実施を強く勧めるメッセージよりも控えた表現にする。
【0081】
なお、フルオート洗浄実施を勧める通知処理の場合は、フルオート洗浄よりも弱めの洗浄、例えば、インクの消費量を抑えたノズル洗浄の実施を推奨するようにしてもよい。
このフルオート洗浄実施を勧めるメッセージは、例えば、「ノズルノセンジョウヲスイショウシマス」にするとよい。
一方、ステップ4の判断処理で経過時間がフルオート洗浄実施を勧めるしきい値を超えていないと判断したら(「N」の場合)、この処理を終了する。
このように、インクの吐出がされない状態の経過時間の長短に応じて使用者に適切な洗浄の実施を示すことができるため、一律で強力なオート洗浄を行うことによるインクの無駄な消費を防ぐことができる。また、洗浄に使用する洗浄液も浪費せずに済む。
【0082】
なお、主制御部80は、上記経過時間を、前回の使用終了時からカウントアップするタイマを使用し、そのタイマのカウント値として取得するようにしてもよい。
また、上述の処理では、2種類のしきい値を設けた場合を説明したが、さらに多くのしきい値を設けて上記経過時間がそれぞれのしきい値を超えた場合に詳細な情報と共にインクが保持又は通過される部分の洗浄を促すようにすれば、きめの細かいメンテナンスを実施することができ、印刷の際のノズル抜けによる画質の劣化を防止することができ、インクの無駄な消費を防ぐことができる。
【0083】
次に、このプリンタにおける他のフルオート洗浄実施通知処理例について説明する。
この処理の場合、メモリ部89に、経過時間に基いて図3乃至図5に示した記録ヘッド24のフルオート洗浄実施を強く勧めるしきい値と記録ヘッド24のフルオート洗浄実施を勧めるしきい値の2種類のしきい値と、インクの洗浄後の印刷総枚数に基いて記録ヘッド24のフルオート洗浄実施を勧める所定枚数とを予め記憶して保持し、さらに記録ヘッド24を洗浄した後に印刷した用紙の総印刷枚数を記憶する。
【0084】
上記各しきい値は、(記録ヘッド24のフルオート洗浄実施を強く勧めるしきい値)>(記録ヘッド24のフルオート洗浄実施を勧めるしきい値)の関係を有し、例えば、予め試験して得られたそれぞれ異なる時間長の時間を設定するとよい。
すなわち、上記記録ヘッド24のフルオート洗浄実施を強く勧めるしきい値は、記録ヘッド24からインクを吐出していない状態が継続し、記録ヘッド24や記録ヘッド24にインクを供給する部分でインクの凝固や固着が起こる場合の時間を設定する。
【0085】
また、上記記録ヘッド24のフルオート洗浄実施を勧めるしきい値は、記録ヘッド24からインクを吐出していない状態が継続し、記録ヘッド24や記録ヘッド24にインクを供給する部分でインクの凝固や固着が起こることがある場合の時間を設定する。
さらに、上記総印刷枚数は、主制御部80がカウントしてメモリ部89に記憶する。
すなわち、メモリ部89が、記録ヘッド24を洗浄した後に上記画像形成手段で画像を形成した用紙の総枚数を記憶する記憶手段の機能を果たす。
【0086】
また、主制御部80は、上述した機能と共に、上記取得手段によって取得した経過時間が上記いずれかのしきい値を超えていないと判断した場合でも、メモリ部89に記憶された上記総枚数が予め保持した所定枚数を超えていると判断した場合、上記洗浄手段による記録ヘッド24の洗浄を推奨する通知を出力する手段の機能も果たす。
【0087】
図7は、図1に示した主制御部80による他のフルオート洗浄実施通知処理例を示すフローチャート図である。
この処理は、図1に示した主制御部80が、プリンタの電源オンによるシステムの初期化処理中に、カートリッジ通信部90とメモリ部89へのアクセスが可能になる時点から初期化処理の終了後のインクの充填を開始するまでの間に実行する。
図1に示した主制御部80は、図7のステップ(図中「S」で示す)11の処理で、前回使用時の履歴情報を取得して経過時間を算出する。
【0088】
この処理では、主制御部80は、メモリ部89から前回使用時間の履歴情報を取得し、その履歴情報と現在の時間に基づいて現時間までの経過時間を計算する。
上記メモリ部89に保存される前回使用時間の履歴情報とは、図3乃至図5に示した記録ヘッド24からインクを吐出した前回の時間である。この場合、図4に示した記録ヘッド24k〜24yのうちの最後にインクを吐出した時間を前回の時間にする。
【0089】
また、経過時間とは、記録ヘッド24からインクを吐出していない状態の継続時間である。この場合、記録ヘッド24k〜24yのうちの最後にインクを吐出した記録ヘッドについての時間になる。
なお、メモリ部89に保存した前回使用時間の履歴は、印刷または記録ヘッド24のヘッドメンテナンスが行われた時に更新するとよい。
【0090】
次に、ステップ12の処理で、上記経過時間がフルオート洗浄実施を強く勧めるしきい値を超えているか否かを判断する。
この判断処理では、図1に示した主制御部80は、メモリ部89から経過時間に基づくフルオート洗浄実施を強く勧めるしきい値を読み出し、上記経過時間と比較して、(フルオート洗浄実施を強く勧めるしきい値)>(経過時間)なら経過時間がフルオート洗浄実施を強く勧めるしきい値を超えていると判断する。
【0091】
ステップ12の判断処理で経過時間がフルオート洗浄実施を強く勧めるしきい値を超えていると判断したら(「Y」の場合)、ステップ13でフルオート洗浄実施を強く勧める通知処理を実行し、この処理を終了する。
上記フルオート洗浄実施を強く勧める通知処理は、上述と同様にして、主制御部80が図2に示した操作表示部8の表示器18にプリンタの使用者に対してフルオート洗浄実施を強く勧めるメッセージを表示し、また、プリンタに接続されているホストコンピュータにフルオート洗浄実施を強く勧める情報を送信するとよい。
【0092】
このように、経過時間がフルオート洗浄実施を強く勧めるしきい値を超えている場合は、印刷の際にインクの凝固や固着によるノズル抜けが発生する可能性が大であるため、使用者にフルオート洗浄の実施を強く推奨することにより、印刷の際の画像の品質維持を図ると共に、インクを無駄にしてしまわないようにすることができる。
なお、上記フルオート洗浄実施を強く勧める通知処理をした場合は、印刷の要求があった場合に実行の確認の要否を問い合わせる処理を実行するようにして、使用者になるべくフルオート洗浄を実施するように促すようにするとよい。
【0093】
一方、ステップ12の判断で経過時間がフルオート洗浄実施を強く勧めるしきい値を超えていないと判断したら(「N」の場合)、ステップ14へ進む。
ステップ14の処理では、上記経過時間がフルオート洗浄実施を勧めるしきい値を超えているか否かを判断する。
この判断処理では、主制御部80は、メモリ部89から経過時間に基づくフルオート洗浄実施を勧めるしきい値を読み出し、上記経過時間と比較して、(フルオート洗浄実施を勧めるしきい値)>(経過時間)なら経過時間がフルオート洗浄実施を勧めるしきい値を超えていると判断する。
【0094】
この際、上記経過時間は上記フルオート洗浄実施を強く勧めるしきい値以下の値であることはいうまでもない。
ステップ14の判断処理で経過時間がフルオート洗浄実施を勧めるしきい値を超えていると判断したら(「Y」の場合)、ステップ15でフルオート洗浄実施を勧める通知処理を実行し、この処理を終了する。
一方、ステップ14の判断で経過時間がフルオート洗浄実施を勧めるしきい値を超えていないと判断したら(「N」の場合)、ステップ16へ進む。
【0095】
ステップ16の処理では、前回洗浄時からの総印刷枚数を取得する。
この処理では、図1に示した主制御部80は、メモリ部89から前回洗浄時からの総印刷枚数を読み出す。
なお、メモリ部89に保存した総印刷枚数は印刷の度に更新する。また、メモリ部89から所定枚数も読み出す。
次に、ステップ17の処理で、上記総印刷枚数がフルオート洗浄実施を勧める所定枚数を超えているか否かを判断する。
【0096】
この判断処理では、主制御部80は、メモリ部89から総印刷枚数に基づいてフルオート洗浄実施を勧める所定枚数を読み出し、上記総印刷枚数と比較して、(総印刷枚数)>(所定枚数)ならフルオート洗浄実施を勧める所定枚数を超えていると判断する。
ステップ17の判断処理で総印刷枚数が所定枚数を超えていると判断したら(「Y」の場合)、ステップ15でフルオート洗浄実施を勧める通知処理を実行し、この処理を終了する。
【0097】
このように、記録ヘッド24からインクが吐出されない状態の経過時間がいずれのしきい値を超えていなくても、前回洗浄時からの総印刷枚数が多いということは、記録ヘッド24のノズルからのインク吐出量が多いということになり、ノズルに固着したインクが堆積されている可能性があるため、ノズル洗浄の実施推奨を使用者に通知する。
この場合は、フルオート洗浄よりも弱めの洗浄、例えば、インクの消費量を抑えたノズル洗浄の実施を推奨するとよい。
一方、ステップ17の判断処理で総印刷枚数が所定枚数を超えていないと判断したら(「N」の場合)、この処理を終了する。
【0098】
このように、インクの吐出がされない状態の経過時間の長短に応じて使用者に適切な洗浄の実施を示すことができるため、一律で強力なオート洗浄を行うことによるインクの無駄な消費を防ぐことができる。また、洗浄に使用する洗浄液も浪費せずに済む。
なお、主制御部80は、上記経過時間を、前回の使用終了時からカウントアップするタイマを使用し、そのタイマのカウント値として取得するようにしてもよい。
【0099】
また、上述の処理では、2種類のしきい値を設けた場合を説明したが、さらに多くのしきい値を設けて上記経過時間がそれぞれのしきい値を超えた場合に詳細な情報と共にインクが保持又は通過される部分の洗浄を促すようにすれば、きめの細かいメンテナンスを実施することができ、印刷の際のノズル抜けによる画質の劣化を防止することができ、インクの無駄な消費を防ぐことができる。
さらに、前回使用時間の履歴情報は、印刷またはヘッドメンテナンスが行われた時に更新し、前回洗浄時からの総印刷枚数は、ノズル洗浄を実施するたびに0に更新するとよい。
【0100】
次に、このプリンタにおけるまた他のフルオート洗浄実施通知処理例について説明する。
上述の処理では、図4に示した記録ヘッド24k〜24yのうちのインクを吐出していない状態の経過時間がしきい値を超えた場合にフルオート洗浄実施を推奨するようにしたが、記録ヘッド24k〜24yのそれぞれについてインクを吐出していない状態の経過時間がしきい値を超えたか否かを判断し、しきい値を超えたものについて個別にフルオート洗浄実施を推奨すれば、さらに無駄なインクの消費をせずに済む。
【0101】
この処理の場合、図1に示した主制御部80は、上述した機能と共に、図4に示した複数の記録ヘッド24k〜24yがある場合、その各記録ヘッド24k〜24y毎にインクを吐出していない状態の経過時間をそれぞれ取得する手段と、各記録ヘッド24k〜24y毎に上記取得手段によって取得した経過時間が上記いずれかのしきい値を超えているか否かを判断し、その超えていると判断した記録ヘッド(記録ヘッド24k、記録ヘッド24c、記録ヘッド24m、又は記録ヘッド24y)について、それぞれ上記洗浄手段による記録ヘッド(記録ヘッド24k、記録ヘッド24c、記録ヘッド24m、又は記録ヘッド24y)の洗浄を上記超えていると判断したしきい値の時間長に応じた強度で推奨する通知を出力する手段の機能も果たす。
【0102】
図8は、図1に示した主制御部80によるまた他のフルオート洗浄実施通知処理例を示すフローチャート図である。
図1に示した主制御部80は、図8のステップ(図中「S」で示す)21で、黒のインク滴を吐出する記録ヘッド等のフルオート洗浄推奨通知処理を実行し、ステップ22で、シアンのインク滴を吐出する記録ヘッド等のフルオート洗浄推奨通知処理を実行し、ステップ23で、マゼンタのインク滴を吐出する記録ヘッド等のフルオート洗浄推奨通知処理を実行し、ステップ24でイエローのインク滴を吐出する記録ヘッド等のフルオート洗浄推奨通知処理を実行し、この処理を終了する。
【0103】
すなわち、図6によって説明した処理を、図4に示した記録ヘッド24k〜24yのそれぞれについて行い、記録ヘッド24k〜24yのうちでインクを吐出していない状態の経過時間がしきい値を超えている記録ヘッドについて、フルオート洗浄の実施を強く推奨あるいは推奨する。
このようにして、全ての記録ヘッド24k〜24yを一律のノズル洗浄の実施推奨通知を行うよりも、記録ヘッド毎に洗浄を行うように通知するため、より無駄なインク消費を抑えることができる。また、洗浄に使用する洗浄液も浪費せずに済む。
【0104】
なお、上述の処理では、記録ヘッドが4つのものについての処理であるが、2種類の色のインクを1つの記録ヘッドで共用するプリンタの場合、その記録ヘッド毎に上述の処理を実行するようにするとよい。
【0105】
次に、このプリンタにおけるさらに他のフルオート洗浄実施通知処理例について説明する。
この処理の場合、このプリンタに非純正インクのインクカートリッジが装着されて使用されたときは、それを非純正インク使用履歴情報としてメモリ部89に記憶する。
【0106】
非純正インクの使用有無は、例えば、図2及び図4に示した各インクカートリッジ9k〜9yに取り付けられたIDチップにインクカートリッジからのインク使用量を記録しておき、インク使用量があるしきい値以上になった場合には、非純正インクが付け足されたと判断し、非純正インクの使用有りと判断する。非純正インクを使用されたと判断した場合は、カートリッジ9k〜9yのIDチップとプリンタの図1に示したメモリ部89に非純正インクが使用されたということを示す非純正インク使用履歴情報を記録する。
【0107】
そして、図1に示した主制御部80は、インクが予め決められた規格のものか否かを示す規格情報と、図3乃至図5に示した記録ヘッド24から記録液を吐出していない状態の経過時間を取得する取得手段と、メモリ部89に複数の異なる時間長のしきい値を保持し、上記取得手段によって取得した規格情報に基いてインクが予め決められた規格のものではないと判断し、上記取得手段によって取得した経過時間が上記いずれかのしきい値を超えていると判断した場合、その超えていると判断したしきい値の時間長に応じた強度で上記洗浄手段による記録ヘッド24の洗浄の推奨を通知する通知手段の機能を果たす。
【0108】
図9は、図1に示した主制御部80によるさらに他のフルオート洗浄実施通知処理例を示すフローチャート図である。
この処理は、図1に示した主制御部80が、プリンタの電源オンによるシステムの初期化処理中に、カートリッジ通信部90とメモリ部89へのアクセスが可能になる時点から初期化処理の終了後のインクの充填を開始するまでの間に実行する。
【0109】
図1に示した主制御部80は、図9のステップ(図中「S」で示す)31の処理で、非純正インク使用履歴情報を取得する。
この処理では、メモリ部89を検索して非純正インク使用履歴情報を取得する。
ステップ32の処理で、非純正インクを使用しているか否かを判断する。
この判断処理では、メモリ部89から非純正インク使用履歴情報を取得した場合、非純正インクを使用していると判断し、メモリ部89に非純正インク使用履歴情報が記録されておらず、取得できなかった場合は非純正インクを使用していないと判断する。
【0110】
ステップ32の判断処理で非純正インクを使用していない場合(「N」の場合)、ステップ36でフルオート洗浄推奨通知処理を実行し、この処理を終了する。
ステップ36のフルオート洗浄推奨通知処理では、図6〜図8に示したいずれかの処理と同様の処理を実行する。
一方、ステップ32の判断処理で非純正インクを使用している場合(「Y」の場合)、ステップ33で前回使用時の履歴情報を取得して経過時間を算出する処理を実行する。
この処理では、主制御部80は、メモリ部89から前回使用時間の履歴情報を取得し、その履歴情報と現在の時間に基づいて現時間までの経過時間を計算する。
【0111】
上記メモリ部89に保存される前回使用時間の履歴情報とは、図3乃至図5に示した記録ヘッド24からインクを吐出した前回の時間である。この場合、図4に示した記録ヘッド24k〜24yのうちの最後にインクを吐出した時間を前回の時間にする。
また、経過時間とは、記録ヘッド24からインクを吐出していない状態の継続時間である。この場合、記録ヘッド24k〜24yのうちの最後にインクを吐出した記録ヘッドについての時間になる。
なお、図1に示したメモリ部89に保存した前回使用時間の履歴は、印刷または記録ヘッド24のヘッドメンテナンスが行われた時に更新するとよい。
【0112】
次に、ステップ34で、上記経過時間が非純正インクを使用している場合のフルオート洗浄実施を強く勧めるしきい値を超えているか否かを判断する。
この判断処理では、図1に示した主制御部80は、メモリ部89から非純正インクを使用している場合のフルオート洗浄実施を強く勧めるしきい値を読み出す。
この場合のしきい値は、上述したフルオート洗浄実施を強く勧めるしきい値より短時間に設定するが、その具体的な時間については試験によって求めた時間にするとよい。
【0113】
そして、上記経過時間と比較して、(非純正インクを使用している場合のフルオート洗浄実施を強く勧めるしきい値)>(経過時間)なら経過時間がフルオート洗浄実施を強く勧めるしきい値を超えていると判断する。
ステップ34の判断処理で経過時間が非純正インクを使用している場合のフルオート洗浄実施を強く勧めるしきい値を超えていると判断したら(「Y」の場合)、ステップ35でフルオート洗浄実施を強く勧める通知処理を実行し、この処理を終了する。
【0114】
上記非純正インクを使用している場合のフルオート洗浄実施を強く勧める通知処理は、上述と同様にして、主制御部80が図2に示した操作表示部8の表示器18にプリンタの使用者に対してフルオート洗浄実施を強く勧めるメッセージを表示、あるいは、プリンタに接続されているホストコンピュータにフルオート洗浄実施を強く勧める情報を送信する。
このように、非純正インクを使用している場合は、純正インクを使用している場合よりも短時間でインクの凝固や固着が発生する恐れがある。
【0115】
さらに、経過時間が非純正インクを使用している場合のフルオート洗浄実施を強く勧めるしきい値を超えている場合は、印刷の際にインクの凝固や固着によるノズル抜けが発生する可能性がさらに大であるため、使用者にフルオート洗浄の実施を強く推奨することにより、印刷の際の画像の品質維持を図ると共に、インクを無駄にしてしまわないようにすることができる。
なお、上記非純正インクを使用している場合のフルオート洗浄実施を強く勧める通知処理をした場合は、印刷の要求があった場合に実行の確認の要否を問い合わせる処理を実行するようにして、使用者になるべくフルオート洗浄を実施するように促すようにするとよい。
【0116】
一方、ステップ34の判断で経過時間が非純正インクを使用している場合のフルオート洗浄実施を強く勧めるしきい値を超えていないと判断したら(「N」の場合)、この処理を終了する。
このように、非純正インクの使用履歴があるということは、記録ヘッド内部に品質の保証されていないインクが固着して堆積されている可能性があるため、非純正インクの使用履歴がない場合より短い経過時間で洗浄の実施推奨を使用者に通知する。
【0117】
なお、上述の処理では、黒、シアン、マゼンタ、及びイエローの全ての色のインクについて非純正インクを使用した場合を説明したが、例えば、最も使用する量の多い黒のインクのみが非純正インクを使用し、シアン、マゼンタ、及びイエローの各色については純正インクを使用した場合には、黒のインクについて経過時間が非純正インクを使用している場合のフルオート洗浄実施を強く勧めるしきい値を超えているときには、黒のインクを吐出または記録ヘッドに供給する部分の洗浄を強く勧めるようにする。
【0118】
このようにすれば、使用者が黒のインクを吐出または記録ヘッドに供給する部分の洗浄を実施することにより、シアン、マゼンタ、及びイエローの各色については洗浄をしなくて済むので、無駄なインクを消費せずに済み、洗浄に使用する洗浄液も浪費せずに済む。
また、上述の説明では、公知のフルオート洗浄とノズル洗浄を実施する例を示したが、その他の洗浄方法を用いてもよい。
【0119】
さらに、使用者に洗浄を勧める場合に洗浄方法のガイダンスも合わせて通知するようにすれば、より使い勝手を良くすることができる。
なお、上述の実施例では、各しきい値について、(記録ヘッド24のフルオート洗浄実施を強く勧めるしきい値)>(記録ヘッド24のフルオート洗浄実施を勧めるしきい値)の関係を有するように設定した場合を説明したが、(記録ヘッド24のフルオート洗浄実施を強く勧めるしきい値)に内包するように(記録ヘッド24のフルオート洗浄実施を勧めるしきい値)を設定することもできる。
さらに、上述の実施例では、各しきい値の時間長に応じた強度で推奨する通知例として、図2に示した操作表示部8の表示器18にメッセージで通知する場合を示したが、操作表示部8に各しきい値の時間長に応じた強度で点灯するランプ表示で通知するようにしてもよい。
【0120】
以上で実施形態の説明を終了するが、この発明において、各部の具体的な構成、処理の内容、データの形式等は、実施形態で説明したものに限るものではない。
また、上述の実施形態では、この発明をインクジェットプリンタに適用した例について説明した。
しかし、この発明は、インクジェット方式で画像を形成するファクシミリ装置、複写機、並びにそれらの機能を備えた複合等の画像形成装置にも適用可能である。
さらに、以上説明してきた実施形態の構成は、相互に矛盾しない限り任意に組み合わせて実施可能であることは勿論である。
また、以上説明してきた実施形態の構成は、相互に矛盾しない限り任意に組み合わせて実施可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0121】
1:プリンタの装置本体 2:給紙トレイ 3:排紙トレイ 4:上カバー 5:窓部材 6:装置本体の前面 7:カートリッジ装填部 8:操作表示部 9:インクカートリッジ 9k:黒のインクカートリッジ 9c:シアンのインクカートリッジ 9m:マゼンタのインクカートリッジ 9y:イエローのインクカートリッジ 10:カートリッジ装填部の前カバー 11:残量表示部 11k:黒の残量表示部 11c:シアンの残量表示部 11m:マゼンタの残量表示部 11y:イエローの残量表示部 12:電源ボタン 13:用紙送り/印刷再開ボタン 14:キャンセルボタン 15:覗き窓 16:トレイ支え部 17:リブ 18:表示器 20:フレーム 20a:フレームの左側板 20b:フレームの右側板 20c:フレームの後板 21:ガイドロッド 22:ステー 23:キャリッジ 24:記録ヘッド 24k:黒のインク滴を吐出する記録ヘッド 24c:シアンのインク滴を吐出する記録ヘッド 24m:マゼンタのインク滴を吐出する記録ヘッド 24y:イエローのインク滴を吐出する記録ヘッド 25:ハーネス 26:ヘッドタンク 26k:黒のインクのヘッドタンク 26c:シアンのインクのヘッドタンク 26m:マゼンタのインクのヘッドタンク 26y:イエローのインクのヘッドタンク 27:インク供給チューブ 28:供給ポンプユニット 29:ホルダ 30:固定リブ 31:用紙積載部 32:給紙コロ 33:分離パッド 34:搬送ベルト 35:ガイド 36:カウンタローラ 37:搬送ガイド 38:押さえ部材 39:先端加圧コロ 40:帯電ローラ 41:搬送ローラ 42:テンションローラ 43:ガイド部材 44:両面給紙ユニット 45:手差し給紙部 46:維持回復機構部 47:キャップ 47a〜47d:キャップ部材 48:ワイパーブレード 49、50:空吐出受け 51:空吐出受けの開口部 52:分離爪 53:排紙ローラ 54:排紙コロ 55:カートリッジケース 56:インク袋 57:インク供給口部 58:インク 59:タンクケース 60:大気解放機構部 61:ヘッドタンク満タン検出部 62:供給ポンプ 63:ピストン 64:カム 65、66:ギア 67:駆動モータ 68:モータ軸 69:中空針 70:ジョイント部 80:主制御部 81:操作表示制御部 82:通信部 83:印刷制御部 84:主走査モータ駆動部 85:副走査モータ駆動部 86:給紙コロ駆動部 87:維持回復機構駆動用モータ駆動部 88:インク供給モータ駆動部 89:メモリ部 90:カートリッジ通信部 91:Kカートリッジメモリ部 92:Cカートリッジメモリ部 93:Mカートリッジメモリ部 94:Yカートリッジメモリ部 95:ヘッド駆動部 96:主走査モータ 97:副走査モータ 98:キャリッジ位置検出部 99:搬送量検出部 100:モータ 101:カートリッジカバー開閉検出部 P:用紙
【先行技術文献】
【特許文献】
【0122】
【特許文献1】特開2009−34825号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に対して記録液吐出手段から記録液を吐出させて前記記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、前記記録液吐出手段を洗浄する洗浄手段とを備えた画像形成装置であって、
前記記録液吐出手段から記録液を吐出していない状態の経過時間を取得する取得手段と、
それぞれ異なる時間長の複数のしきい値を保持し、前記取得手段によって取得した経過時間が前記いずれかのしきい値を超えていると判断した場合、前記洗浄手段による前記記録液吐出手段の洗浄を前記超えていると判断したしきい値の時間長に応じた強度で推奨する通知を出力する通知手段とを有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記記録液吐出手段を洗浄した後に前記画像形成手段で画像を形成した前記記録媒体の総枚数を記憶する記憶手段を有し、
前記通知手段は、前記取得手段によって取得した経過時間が前記いずれかのしきい値を超えていないと判断した場合でも、前記記憶手段に記憶された前記総枚数が予め保持した所定枚数を超えていると判断した場合、前記洗浄手段による前記記録液吐出手段の洗浄を推奨する通知を出力する手段を有することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記取得手段は、前記記録液吐出手段が複数ある場合、該各記録液吐出手段毎に記録液を吐出していない状態の経過時間をそれぞれ取得する手段を有し、
前記通知手段は、前記各記録液吐出手段毎に前記取得手段によって取得した経過時間が前記いずれかのしきい値を超えているか否かを判断し、該超えていると判断した前記記録液吐出手段について、それぞれ前記洗浄手段による前記記録液吐出手段の洗浄を前記超えていると判断したしきい値の時間長に応じた強度で推奨する通知を出力する手段を有することを特徴とする請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
記録媒体に対して記録液吐出手段から記録液を吐出させて、前記記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、前記記録液吐出手段を洗浄する洗浄手段とを備えた画像形成装置であって、
前記記録液が予め決められた規格のものか否かを示す規格情報と、前記記録液吐出手段から記録液を吐出していない状態の経過時間とを取得する取得手段と、
複数の異なる時間長のしきい値を保持し、前記取得手段によって取得した規格情報に基いて前記記録液が予め決められた規格のものではないと判断し、前記取得手段によって取得した経過時間が前記いずれかのしきい値を超えていると判断した場合、該超えていると判断したしきい値の時間長に応じた強度で前記洗浄手段による前記記録液吐出手段の洗浄の推奨を通知する通知手段とを有することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−107217(P2013−107217A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−251713(P2011−251713)
【出願日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】