説明

画像形成装置

【課題】画像安定化制御におけるトナー消費量を低減できるとともに、画像安定化制御時にゴーストが発生する場合でも適切な画像安定化制御を行うことができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る画像形成装置は、トナーパターンとして、像担持体の走行方向に沿って濃度が段階的に変化する複数の階調パッチからなる第1の階調パッチ群の両端に、同一濃度の基準パッチが配置された第1のトナーパターンと、第1の階調パッチ群が逆向きに配置された第2の階調パッチ群からなる第2のトナーパターンを有する。階調補正部は、第1の階調パッチ群にゴーストが生じている場合に、濃度検出部による第1の階調パッチ群の検出結果と第2の階調パッチ群の検出結果を組み合わせて、現在の階調特性を決定し、この階調特性に基づいて階調補正データを生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電子写真方式の画像形成装置(プリンター、複写機、ファクシミリ等)は、帯電した感光体ドラムに対して、画像データに基づくレーザー光を照射(露光)することにより静電潜像を形成し、この静電潜像に着色粒子であるトナーを付着させることにより静電潜像を可視化してトナー像を形成する。そして、このトナー像を直接又は間接的に用紙に転写させた後、定着器において加熱、加圧して定着させることにより用紙に画像を形成する。
【0003】
このような画像形成装置では、感光体ドラム、現像剤等の経時的な劣化や、装置周辺の環境(温湿度の変動)等によって、出力画像(用紙に形成された画像)の画質が低下するという問題がある。具体的には、入力画像の階調が出力画像に忠実に再現されないという現象が生じる。そこで、従来の画像形成装置では、入力画像の階調等を出力画像に安定して再現させるための画像安定化制御が行われるようになっている(例えば特許文献1、2)。
画像安定化制御としては、例えば、像担持体としての中間転写ベルトに形成されたCMYKの各色トナーパターンの濃度を光センサーで検出し、この検出結果(階調特性)に基づいて階調補正データ(いわゆるガンマ補正曲線)を生成し、帯電電位、現像電位、露光量等の画像形成条件にフィードバックさせる階調補正等がある。
【0004】
特許文献1には、階調レベルが次第に変化する階調画像部の前に、トナー担持体(現像ローラー)の周長以上でベタ画像からなるヘッダ部を形成し、ヘッダ部における各位置の濃度検出結果(例えば反射濃度)を用いて階調画像部における各位置の濃度検出結果を補正し、補正後の濃度検出結果に基づいて階調補正を行う画像形成装置が開示されている。
また、特許文献2には、ハイライト部階調パッチとシャドウ部階調パッチを形成し、これら二つの階調パッチの濃度検出結果を、前回の階調補正における二つの階調パッチの濃度検出結果と比較し、階調補正用に形成する階調パッチの個数、階調を比較結果に応じて選択し、階調補正を行う画像形成装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−49425号公報
【特許文献2】特開2010−262243号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した画像安定化制御においては、像担持体上に形成されたトナーパターンの濃度を正確に検出し、現在の階調特性を正確に把握する必要がある。しかしながら、画像形成装置で繰り返し画像形成を行うと、現像剤の耐久度合いが低下することに伴い、副走査方向の下流(先に画像形成される側)から上流(後に画像形成される側)に向かって濃度が低下していくような、いわゆるゴーストが発生しやすくなる。そして、画像安定化制御時にゴーストが生じると、トナーパターンの濃度検出結果にゴーストの影響が含まれることとなるため、濃度検出結果から算出された階調特性は正確ではなく、この階調特性に基づいて階調補正を行っても、適切な画像安定化制御とならない。
【0007】
例えば、現像剤の主成分としてトナーとキャリアー(磁性体)を用いる2成分現像方式の現像装置を備えた画像形成装置では、現像剤中のトナー濃度が低下する(キャリアリッチとなる)ことによりゴーストが生じる。また例えば、現像剤の主成分としてトナーのみを用いる1成分現像方式の現像装置を備えた画像形成装置では、現像ローラーへのトナーの供給能力が不足することによりゴーストが生じる。
【0008】
このゴーストは、特に、濃度の高い画像(例えば黒ベタ画像)を形成した後に発生しやすい。特許文献1のように、トナーパターンの一部としてトナー担持体の周長以上で黒ベタ画像を形成する場合には、ゴーストが発生する可能性が高くなるので注意を要する。また、特許文献1に記載の画像安定化制御では、像担持体の周長以上でベタ画像からなるヘッダ部を形成するため、トナー消費量が増大してしまう。
【0009】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、画像安定化制御におけるトナー消費量を低減できるとともに、画像安定化制御時にゴーストが発生する場合でも適切な画像安定化制御を行うことができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る画像形成装置は、入力画像データに基づいて、露光装置により感光体に静電潜像を形成させ、現像装置により前記感光体にトナーを付着させることにより前記静電潜像を現像してトナー像を形成し、前記感光体に形成された前記トナー像を像担持体に転写させる画像形成部と、
前記像担持体上に形成されたトナーパターンを構成するパッチの濃度を検出する濃度検出部と、
前記濃度検出部による検出結果に基づいて階調補正データを生成し、この階調補正データを用いて階調補正を行う階調補正部と、を備える画像形成装置であって、
前記トナーパターンとして、前記像担持体の走行方向に沿って濃度が段階的に変化する複数の階調パッチからなる第1の階調パッチ群の両端に、同一濃度の基準パッチが配置された第1のトナーパターンと、
前記第1の階調パッチ群が逆向きに配置された第2の階調パッチ群からなる第2のトナーパターンを有し、
前記階調補正部は、前記濃度検出部による2つの前記基準パッチの検出結果に基づいて、前記第1の階調パッチ群にゴーストが生じているか否かを判定し、ゴーストが生じていると判定した場合に、前記濃度検出部による前記第1の階調パッチ群の検出結果と前記第2の階調パッチ群の検出結果を組み合わせて、現在の階調特性を決定し、前記階調特性に基づいて前記階調補正データを生成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、画像安定化制御におけるトナー消費量を低減できるとともに、画像安定化制御時にゴーストが発生する場合でも適切な画像安定化制御を行うことができる画像形成装置が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の全体構成を概略的に示す図である。
【図2】実施の形態に係る画像形成装置の制御系の主要部を示す図である。
【図3】濃度検出センサーと階調補正用のトナーパターンの位置関係を示す図である。
【図4】第1の実施の形態で用いる第1のトナーパターンのパッチ構成を示す図である。
【図5】第1の実施の形態で用いる第2のトナーパターンのパッチ構成を示す図である。
【図6】濃度検出センサーによる第1の階調パッチ群の検出結果から得られる階調特性(入力階調値−反射濃度)の一例を示す図である。
【図7】濃度検出センサーによる第2の階調パッチ群の検出結果から得られる階調特性(入力階調値−反射濃度)の一例を示す図である。
【図8】第1の実施の形態に係る階調補正データ生成処理の一例を示すフローチャートである。
【図9】第1の階調パッチ群の検出結果と第2の階調パッチ群の検出結果を平均化して得られる階調特性(入力階調値−反射濃度)の一例を示す図である。
【図10】実施の形態で採用される階調特性曲線及び階調補正曲線を示す図である。
【図11】第2の実施の形態で用いる第1のトナーパターンTP1のパッチ構成を示す図である。
【図12】第2の実施の形態に係る階調補正データ生成処理の一例を示すフローチャートである。
【図13】第1の階調パッチ群の検出結果と第2の階調パッチ群の検出結果を部分的に利用して得られる階調特性(入力階調値−反射濃度)の一例を示す図である。
【図14】第1のトナーパターンの変形例を示す図である。
【図15】第1のトナーパターンの変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[第1の実施の形態]
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置1の全体構成を概略的に示す図である。図2は、実施の形態に係る画像形成装置1の制御系の主要部を示す図である。
図1、2に示す画像形成装置1は、電子写真プロセス技術を利用した中間転写方式のカラー画像形成装置である。すなわち、画像形成装置1は、感光体ドラム413上に形成されたC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)の各色トナー像を中間転写ベルト421に転写(一次転写)し、中間転写ベルト421上で4色のトナー像を重ね合わせた後、用紙に転写(二次転写)することにより、画像を形成する。
また、画像形成装置1には、CMYKの4色に対応する感光体ドラム413を中間転写ベルト421の走行方向に直列配置し、中間転写ベルト421に一回の手順で各色トナー像を順次転写させるタンデム方式が採用されている。
【0014】
図1、2に示すように、画像形成装置1は、制御部10、操作表示部20、画像処理部30、画像形成部40、搬送部50、及び定着部60を備える。
【0015】
制御部10は、CPU(Central Processing Unit)11、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13等を備える。CPU11は、ROM12から処理内容に応じたプログラムを読み出してRAM13に展開し、展開したプログラムと協働して画像形成装置1の各ブロックの動作を集中制御する。このとき、記憶部72に格納されている各種データが参照される。記憶部72は、例えば不揮発性の半導体メモリ(いわゆるフラッシュメモリ)やハードディスクドライブで構成される。
【0016】
制御部10は、通信部71を介して、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等の通信ネットワークに接続された外部の装置(例えばパーソナルコンピュータ)との間で各種データの送受信を行う。制御部10は、例えば、外部の装置から送信された画像データを受信し、この画像データ(入力画像データ)に基づいて用紙に画像を形成させる。通信部71は、例えばLANカード等の通信制御カードで構成される。
【0017】
操作表示部20は、例えばタッチパネル付の液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)で構成され、表示部21及び操作部22として機能する。表示部21は、制御部10から入力される表示制御信号に従って、各種操作画面、画像の状態表示、各機能の動作状況等の表示を行う。操作部22は、テンキー、スタートキー等の各種操作キーを備え、ユーザによる各種入力操作を受け付けて、操作信号を制御部10に出力する。
【0018】
画像処理部30は、入力画像データに対して、初期設定又はユーザ設定に応じたデジタル画像処理を行う回路等を備えている。例えば、画像処理部30は、制御部10の制御下で、階調補正データ(階調補正テーブル)に基づいて階調補正を行う。すなわち、本発明に係る階調補正部は、制御部10と画像処理部30により構成される。
また、画像処理部30は、入力画像データに対して、階調補正の他、色補正、シェーディング補正等の各種補正処理や、圧縮処理等を施す。これらの処理が施されたデジタル画像データに基づいて、画像形成部40が制御される。
【0019】
画像形成部40は、入力画像データに基づいて、Y成分、M成分、C成分、K成分の各有色トナーによる画像を形成するための画像形成ユニット41Y、41M、41C、41K、中間転写ユニット42、及び濃度検出センサー43等を備えている。
【0020】
Y成分、M成分、C成分、K成分用の画像形成ユニット41Y、41M、41C、41Kは、同様の構成を有する。図示及び説明の便宜上、共通する構成要素は同一の符号で示し、それぞれを区別する場合には符号にY、M、C、又はKを添えて示すこととする。図1では、Y成分用の画像形成ユニット41Yの構成要素についてのみ符号を付し、その他の画像形成ユニット41M、41C、41Kの構成要素については符号を省略している。
【0021】
画像形成ユニット41は、露光装置411、現像装置412、感光体ドラム413、帯電装置414、及びドラムクリーニング装置415等を備える。
【0022】
感光体ドラム413は、例えばアルミニウム製の導電性円筒体(アルミ素管)の周面に、アンダーコート層(UCL:Under Coat Layer)、電荷発生層(CGL:Charge Generation Layer)、電荷輸送層(CTL:Charge Transport Layer)を順次積層した負帯電型の有機感光体(OPC:Organic Photo-conductor)である。
【0023】
帯電装置414は、光導電性を有する感光体ドラム413の表面を一様に負極性に帯電させる。
露光装置411は、例えば半導体レーザーで構成され、感光体ドラム413に対して各色成分の画像に対応するレーザー光を照射する。感光体ドラム413にレーザー光を照射すると、感光体ドラム413の電荷発生層で正電荷が発生し、電荷輸送層の表面まで輸送される。そして、感光体ドラム413の表面電荷(負電荷)が中和される。感光体ドラム413の表面には、周囲との電位差により各色成分の静電潜像が形成されることとなる。
【0024】
現像装置412は、各色成分の現像剤(例えば、小粒径のトナーとキャリアーとからなる二成分現像剤)を収容しており、感光体ドラム413の表面に各色成分のトナーを付着させることにより静電潜像を可視化してトナー像を形成する。現像装置412の詳細な構成については後述する。
【0025】
ドラムクリーニング装置415は、感光体ドラム413の表面に摺接されるドラムクリーニングブレードを有する。一次転写後に感光体ドラム413の表面に残存する転写残トナーは、ドラムクリーニングブレードによって掻き取られ、除去される。
【0026】
中間転写ユニット42は、中間転写体となる中間転写ベルト421、一次転写ローラー422、二次転写ローラー423、駆動ローラー424、従動ローラー425、及びベルトクリーニング装置426等を備える。
【0027】
中間転写ベルト421は無端状ベルトで構成され、駆動ローラー424及び従動ローラー425に張架される。中間転写ベルト421は、駆動ローラー424の回転により矢印A方向に一定速度で走行する。一次転写ローラー422によって、中間転写ベルト421が感光体ドラム413に圧接されると、中間転写ベルト421に各色トナー像が順次重ねて一次転写される。そして、中間転写ベルト421が二次転写ローラー423によって用紙Sに圧接されると、中間転写ベルト421に一次転写されたトナー像が用紙Sに二次転写される。
ベルトクリーニング装置426は、中間転写ベルト421の表面に摺接されるベルトクリーニングブレードを有する。二次転写後に中間転写ベルト421の表面に残存する転写残トナーは、ベルトクリーニングブレードによって掻き取られ、除去される。
【0028】
濃度検出センサー43は、トナー像が用紙Sに二次転写される二次転写位置よりも中間転写ベルト421の走行方向(副走査方向)上流側に、中間転写ベルト421に対向して配置される。濃度検出センサー43は、例えば中間転写ベルト421の幅方向(中間転写ベルト421の走行方向と直交する方向、主走査方向)の両側部のそれぞれに対向して2つ配置される(図3参照)。濃度検出センサー43は、階調補正データを生成する際に用いられ、中間転写ベルト421の非画像形成領域(中間転写ベルト421の幅方向両側部)に形成された階調補正用のトナーパターンの濃度を検出する。
【0029】
濃度検出センサー43には、例えば発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)などの発光素子と、フォトダイオード(PD:Photodiode)などの受光素子を備え、トナーパターンの反射濃度を検出する反射型の光センサーを適用することができる。トナーパターンの反射濃度は、測定対象物への入射光量をI0、測定対象物からの反射光量をIとしたとき、−log(I/I0)で表される。
中間転写ベルト421上に形成されたトナー像の濃度が高い(例えば黒ベタ画像)ほど反射光量Iは小さく、反射濃度、すなわち濃度検出センサー43から出力されるセンサー出力値は大きくなる。逆に、中間転写ベルト421上に形成されたトナー像の濃度が低い(例えば白ベタ画像、又はトナー像が形成されないベース面)ほど反射光量Iは大きく、反射濃度、すなわち濃度検出センサー43から出力されるセンサー出力値は小さくなる。
【0030】
なお、濃度検出センサー43の数、配置は上述した態様に限定されず、中間転写ベルト421に形成されたトナーパターンの濃度を検出できるようになっていればよい。
また、中間転写ベルト421が透光性の材料で構成されている場合には、濃度検出センサー43として、発光素子と受光素子が中間転写ベルト421を挟んで対向配置される透過型の光センサーを適用することができる。
【0031】
定着部60は、用紙Sを狭持して搬送するためのニップ部(定着ニップ)を形成する加圧部(例えば定着面(画像形成面)側の定着ローラーと裏面側の加圧ローラー)と、トナー像が転写された用紙Sに接触して定着温度で加熱する加熱部(例えば定着ローラー)等を備える。定着部60には、公知の技術を適用することができる。定着部60は、搬送されてきた用紙Sをニップ部で加熱、加圧することにより、用紙Sにトナー像を定着させる。
【0032】
搬送部50は、給紙部51、搬送機構52、及び排紙部53等を備える。給紙部51を構成する2つの給紙トレイユニット51a、51bには、坪量やサイズ等に基づいて識別された用紙S(規格用紙、特殊用紙)が予め設定された種類ごとに収容される。
【0033】
給紙トレイユニット51a、51bに収容されている用紙Sは、最上部から一枚ずつ送出され、レジストローラー52a等の複数の搬送ローラーを備えた搬送機構52により画像形成部40に搬送される。このとき、レジストローラー52aが配設されたレジスト部により、給紙された用紙Sの傾きが補正されるとともに搬送タイミングが調整される。
そして、画像形成部40において、中間転写ベルト421のトナー像が用紙Sの一方の面(画像形成面)に一括して二次転写され、定着部60において定着工程が施される。画像形成された用紙Sは、排紙ローラー53aを備えた排紙部53により機外に排紙される。
【0034】
このように、画像形成装置1は、入力画像データに基づいて、露光装置411により感光体ドラム413(感光体)に静電潜像を形成させ、現像装置412により感光体ドラム413にトナーを付着させることにより静電潜像を現像してトナー像を形成し、感光体ドラム413に形成されたトナー像を中間転写ベルト421(像担持体)に転写させる画像形成部40を備えている。
また、中間転写ベルト421上に形成されたトナーパターンを構成するパッチの濃度を検出する濃度検出センサー43(濃度検出部)と、濃度検出センサー43による検出結果に基づいて階調補正データを生成し、この階調補正データを用いて階調補正を行う階調補正部(画像処理部30、制御部10)を備えている。
【0035】
図3は、濃度検出センサー43と階調補正用のトナーパターンTPの位置関係を示す図である。図3において、画像形成領域は画像形成ユニット41によりトナー像が形成され得る領域であり、非画像形成領域は画像形成ユニット41によりトナー像が形成されない領域である。
図3に示すように、CMYK各色のトナーパターンTPC、TPM、TPY、TPKは、中間転写ベルト421の非画像形成領域、すなわち中間転写ベルト421の幅方向両側部に形成される。トナーパターンTPを構成するパッチの幅は、各パッチの濃度が濃度検出センサー43で精度良く検出されるように、濃度検出センサー43の検出幅以上に設定される。
【0036】
本実施の形態では、階調補正用のトナーパターンTPとして、第1のトナーパターンTP1と、第2のトナーパターンTP2が用意されている。階調補正データを生成する際、基本的には第1のトナーパターンTP1が用いられるが、第1のトナーパターンTP1にゴーストが発生していると判定された場合には、第2のトナーパターンTP2が用いられるようになっている。
【0037】
図4は、第1の実施の形態で用いる第1のトナーパターンTP1のパッチ構成を示す図である。図4に示すように、第1のトナーパターンTP1は、中間転写ベルト421の走行方向に沿って、12個のパッチBP1、P1〜P10、BP2が連続して配列された構成を有する。
【0038】
パッチP1〜P10は、階調補正データを生成するための階調パッチであり、濃度(各パッチを形成するための入力画像の濃度、入力階調値に対応)が段階的に変化する。階調パッチP1〜P10を第1の階調パッチ群PAと称する。以下において、入力階調値が同じ階調パッチには、同一の符号を用いるものとする。
【0039】
本実施の形態では、第1の階調パッチ群PAを構成する階調パッチP1〜P10の入力階調値が、濃淡変化を256階調で表現したとき、0(白ベタ)から255(黒ベタ)に段階的に変化する。すなわち、第1の階調パッチ群PAにおいては、複数の階調パッチP1〜P10が、中間転写ベルト421の走行方向の下流(先に形成される側)から上流(後で形成される側)に向かって濃度が高くなるように配置されている。
この場合、第1の階調パッチ群PAの低濃度側(ハイライト側)を形成する際のトナー消費量が少なくなるので、ゴーストの発生を抑制することができる。そして、第1の階調パッチ群PAにゴーストが発生しなければ、第2のトナーパターンTP2を形成する必要がなくなるので、トナー消費量を低減することができる。
【0040】
なお、階調パッチP1〜P10の入力階調値が255(黒ベタ)から0(白ベタ)に段階的に変化するようにしてもよいが、この場合、第1の階調パッチ群PAの形成当初からトナー消費量が多くなり、ゴーストの発生が助長されるので望ましくない。
【0041】
第1のトナーパターンTP1の先端に配置されるパッチBP1、及び第1のトナーパターンTP1の後端に配置されるパッチBP2は、ゴーストの発生を検出するための基準パッチであり、同一の濃度(入力階調値)で形成される。ここでは、基準パッチBP1、BP2として、最高濃度(入力階調値が255)の黒ベタ画像を用いる。
【0042】
基準パッチBP1、階調パッチP1〜P10、及び基準パッチBP2は、先頭の基準パッチBP1から順に中間転写ベルト421上に形成され、順次、濃度検出センサー43により反射濃度(センサー出力値に相当)を検出される。
【0043】
基準パッチBP1、BP2の反射濃度を比較することにより、第1のトナーパターンTP1(第1の階調パッチ群PA)にゴーストが生じているか否かを判定することができる。ゴーストが発生しない場合は、基準パッチBP1、BP2の反射濃度がほぼ同等となるのに対して、ゴーストが発生する場合は、後から形成されたパッチほど反射濃度が低くなり、基準パッチBP1、BP2の反射濃度が大きく乖離するためである。
ここでは、基準パッチBP1、BP2として、最高濃度(入力階調値が255)の黒ベタ画像を用いているので、反射濃度の差からゴーストが発生しているか否かを容易に判定することができる。
【0044】
図5は、実施の形態で用いる第2のトナーパターンTP2のパッチ構成を示す図である。
図5に示すように、第2のトナーパターンTP2は、中間転写ベルト421の走行方向に沿って、10個のパッチP10〜P1が連続して配列された構成を有する。すなわち、第2のトナーパターンTP2は、第1の階調パッチ群PAが逆向きに配置された第2の階調パッチ群PBで構成される。
【0045】
図6は、濃度検出センサー43による第1の階調パッチ群PAの検出結果から得られる階調特性(入力階調値−反射濃度)の一例を示す図である。図7は、濃度検出センサー43による第2の階調パッチ群PBの検出結果から得られる階調特性(入力階調値−反射濃度)の一例を示す図である。
図6、7では、ゴースト発生時の階調特性を実線で表し、ゴースト非発生時の階調特性を破線で表している。また、図6、7の上部には、横軸に対応する階調パッチを示している(図9、13において同じ)。なお、図6、7において、ゴースト非発生時の階調特性は、左右反転しているだけで実質的に同じである。
【0046】
図6、7に示すように、第1の階調パッチ群PA、第2の階調パッチ群PBともに、ゴーストが発生する場合の反射濃度(センサー出力値に相当)は、ゴーストが発生しない場合よりも低くなる。
また、第1の階調パッチ群PAの場合には、反射濃度の乖離幅(ゴースト非発生時とゴースト発生時の差)が徐々に大きくなるのに対して、第2の階調パッチ群PBの場合には、反射濃度の乖離幅が徐々に大きくなった後、小さくなるという傾向にある。ゴーストは、トナー消費量が多いパッチ(入力階調値が高いパッチ)を形成した後ほど大きくなるためである。
【0047】
第1の階調パッチ群PAのゴースト発生時の検出結果から得られる階調特性は、ゴースト非発生時の検出結果から得られる階調特性とは異なり、正確な階調特性とはいえない。つまり、この階調特性に基づいて階調補正を行っても、適切な画像安定化制御とならない。
そこで、本実施の形態では、第1のトナーパターンTP1(第1の階調パッチ群PA)にゴーストが発生している場合には、第1の階調パッチ群PAの検出結果と、第2の階調パッチ群PBの検出結果を平均化することにより、正確な階調特性(ゴースト非発生時の階調特性)に近づけた上で、適切な階調補正データを生成する(階調補正データ生成処理)。具体的には、図8に示すフローチャートに従って、階調補正データ生成処理が行われる。
【0048】
図8は、第1の実施の形態に係る階調補正データ生成処理の一例を示すフローチャートである。図8に示す階調補正データ生成処理は、例えば画像形成装置1の電源が投入されることに伴い、CPU11がROM12に格納されている所定のプログラムを実行することにより実現される。
また、この階調補正データ生成処理は、前回の階調補正データ生成後、所定時間経過したとき、所定枚数の画像形成が完了したとき、又は現像装置412のトナーが交換されたとき等、定期的に行われるのが望ましい。また、階調補正データ生成処理時は、二次転写ローラー423と駆動ローラー424を離間させておく。
【0049】
図8のステップS101において、制御部10は、各色について、階調補正用の画像データに基づく第1のトナーパターンTP1を画像形成ユニット41Y、41M、41C、41Kにより中間転写ベルト421上に形成させる(図4参照)。階調補正に用いられる第1のトナーパターンTP1及び第2のトナーパターンTP2の画像データは、例えばROM12に記憶されている。
【0050】
ステップS102において、制御部10は、濃度検出センサー43による各パッチBP1、P1〜P10、BP2の検出結果(反射濃度、センサー出力値)を取得する。取得された反射濃度は、一時的にRAM13に記憶される。中間転写ベルト421上に形成された第1のトナーパターンTP1は、濃度検出センサー43の検出領域を通過した後、ベルトクリーニング装置426で除去される。
【0051】
ステップS103において、制御部10は、基準パッチBP1、BP2の反射濃度を比較して、第1のトナーパターンTP1にゴーストが発生しているか否かを判定する。制御部10は、例えば、基準パッチBP1、BP2の反射濃度の差が所定値を超えていた場合に第1のトナーパターンTP1にゴーストが発生していると判定する。
そして、制御部10は、第1のトナーパターンTP1にゴーストが発生していると判定した場合にはステップS104の処理に移行し、ゴーストが発生していないと判定した場合にはステップS107の処理に移行する。
【0052】
ステップS104において、制御部10は、第1のトナーパターンTP1にゴーストが発生していると判定された色について、階調補正用の画像データに基づく第2のトナーパターンTP2を画像形成ユニット41Y、41M、41C、41Kにより中間転写ベルト421上に形成させる(図5参照)。
【0053】
ステップS105において、制御部10は、濃度検出センサー43による各パッチP10〜P1の検出結果(反射濃度)を取得する。取得された反射濃度は、一時的にRAM13に記憶される。中間転写ベルト421上に形成された第2のトナーパターンTP2は、濃度検出センサー43の検出領域を通過した後、ベルトクリーニング装置426で除去される。
【0054】
ステップS106において、制御部10は、階調パッチP1〜P10の反射濃度を決定する。具体的には、階調パッチP1〜P10について、第1の階調パッチ群PAの検出結果と第2の階調パッチ群PBの検出結果を平均化して得られる値を、それぞれの反射濃度として決定する。
【0055】
図9は、第1の階調パッチ群PAと第2の階調パッチ群PBの検出結果を平均化して得られる階調特性(入力階調値−反射濃度)の一例を示す図である。
図9に示すように、第1の階調パッチ群PAの検出結果と第2の階調パッチ群PBの検出結果を平均化することにより、図6、7に示す場合に比較して、ゴースト発生時とゴースト非発生時の乖離幅は小さくなる。また、各階調パッチP1〜P10における乖離幅は、偏りがなく一様になる。
【0056】
このように、図9に示す階調特性においては、ゴーストの影響が効果的に排除されている。したがって、これに基づいて階調補正データを生成することにより、適切な階調補正が行われることとなる。
さらには、図9に示す階調特性を、ゴースト非発生時の階調特性に近づくようにオフセットすることにより、ゴースト非発生時の階調特性とのズレはさらに小さくなる。例えば、最高濃度の階調パッチP10のゴースト発生時の反射濃度CP10が、ゴースト非発生時の反射濃度CP10’に一致するようにオフセットする。これにより、より適切な階調補正が行われる。
【0057】
図8のステップS107において、制御部10は、各階調パッチP1〜P10の出力階調値を算出し、階調特性曲線を生成する。具体的には、制御部10は、各階調パッチP1〜10の反射濃度CPn(CP1〜CP10)を、階調パッチP10(黒ベタ)の規格化値が0、階調パッチP1(白ベタ)の規格化値が255で表されるように、下式(1)に従って8ビットで規格化し、この規格化値を出力階調値に変換する。
規格化値={(CPn−CP10)/(CP1−CP10)}×255 ・・・(1)
【0058】
ここで、第1のトナーパターンTP1にゴーストが発生している場合(ステップS103で“YES”)は、ステップS106で決定された反射濃度が用いられ、ゴーストが発生していない場合(ステップS103で“NO”)は、ステップS102で取得された反射濃度が用いられる。何れの場合も同等の結果が得られる。
【0059】
そして、制御部10は、各階調パッチP1〜P10の入力階調値と、算出された出力階調値を対応付けて、階調特性曲線を生成する。この階調特性曲線は、例えば図10の曲線L1で表される。
【0060】
ステップS108において、制御部10は、ステップS107で生成された階調特性曲線L1に基づいて、入力画像の階調を出力画像に忠実に再現させる、すなわち図10に示す目標階調特性L0が得られるように入力画像の階調値を補正するための階調補正曲線(ガンマ補正曲線)L2を生成する。この階調補正曲線L2は、目標階調特性L0に関して階調特性曲線L1と線対称な曲線で表される。入力階調値をx、出力階調値をyとし、階調特性曲線L1をy=f(x)で表した場合、目標階調特性L0はy=xとなるので、階調補正曲線L2は階調特性曲線L1の逆関数(y=f-1(x))となる。
【0061】
ステップS109において、制御部10は、ステップS108で生成された階調補正曲線L2に基づいて、入力階調値と、この入力階調値が補正されるべき補正階調値を対応付けた階調補正データ(階調補正テーブル)を生成し、更新する。生成された階調補正データは、例えばRAM13に記憶される。
以降の画像形成時には、更新された階調補正データを参照して階調補正が行われ、補正階調値に基づいて画像形成条件が決定されることとなる。
【0062】
このように、画像形成装置1は、階調補正用のトナーパターンとして、中間転写ベルト421(像担持体)の走行方向に沿って濃度が段階的に変化する複数の階調パッチP1〜P10からなる第1の階調パッチ群PAの両端に、同一濃度の基準パッチBP1、BP2が配置された第1のトナーパターンTP1と、第1の階調パッチ群PAが逆向きに配置された第2の階調パッチ群PBからなる第2のトナーパターンTP2を有する。
そして、制御部10(階調補正部)は、濃度検出センサー43(濃度検出部)による2つの基準パッチBP1、BP2の検出結果(反射濃度)に基づいて、第1の階調パッチ群PAにゴーストが生じているか否かを判定し(図8のステップS103)、ゴーストが生じていると判定した場合に(図8のステップS103で“YES”)、濃度検出センサー43による第1の階調パッチ群PAの検出結果と第2の階調パッチ群PBの検出結果を組み合わせて、現在の階調特性を決定し(図8のステップS104〜S106)、この階調特性に基づいて階調補正データを生成する(図8のステップS107〜S109)。
【0063】
具体的には、制御部10(階調補正部)は、第1の階調パッチ群PAにゴーストが生じていると判定した場合に、濃度検出センサー43(濃度検出部)による第1の階調パッチ群PAの検出結果(反射濃度)と第2の階調パッチ群PBの検出結果を平均化して、現在の階調特性を決定する。
【0064】
画像形成装置1によれば、階調補正データを生成するための第1のトナーパターンTP1にゴーストが発生していても、ゴーストの影響を排除した所望の階調特性曲線L1を得ることができ、適切な階調補正データを生成することができる。したがって、適切な画像安定化制御が行われ、入力画像を忠実に再現した画像を形成することができる。
また、特許文献1のように、トナー担持体(現像ローラー)の周長以上でベタ画像を形成する必要はないので、画像安定化制御におけるトナー消費量を抑制することができる。
【0065】
[第2の実施の形態]
第1の実施の形態では、第1のトナーパターンTP1にゴーストが発生する場合に好適な手法として、第1の階調パッチ群PAの検出結果と第2の階調パッチ群PBの検出結果を平均化することについて説明した。第2の実施の形態では、第1のトナーパターンTP1にゴースト非発生部がある場合に好適な手法について説明する。画像形成装置1の基本構成については、第1の実施の形態と同様であるので説明を省略する。
【0066】
ゴーストはトナーの消費に伴い発生するため、第1のトナーパターンTP1、第2のトナーパターンTP2においては、先に形成される階調パッチほどゴーストの影響は少ない(図6、7参照)。つまり、第1のトナーパターンTP1において、ゴーストの影響が少ない階調パッチ(ゴーストが発生していないとみなすことができる階調パッチ)については、その検出結果を用いることにより正確な階調特性を得ることができる。
第2の実施の形態では、第1のトナーパターンTP1にゴーストが発生していても、ゴーストの影響が少ない階調パッチがある場合には、その検出結果を有効に利用する。
【0067】
図11は、第2の実施の形態で用いる第1のトナーパターンTP1のパッチ構成を示す図である。図11に示すように、第1のトナーパターンTP1は、中間転写ベルト421の走行方向に沿って、13個のパッチBP1、P1〜P5、BP3、P6〜P10、BP2が連続して配列された構成を有する。
すなわち、第2の実施の形態では、第1のトナーパターンTP1において、第1の階調パッチ群PAを2つの小パッチ群PA1、PA2に分割する位置に、基準パッチBP3が配置されている。
【0068】
基準パッチBP1〜BP3の反射濃度を比較することにより、第1のトナーパターンTP1(第1の階調パッチ群PA)にゴーストが発生しているか否かを判定することができるとともに、第1のトナーパターンTP1(第1の階調パッチ群PA)にゴースト非発生部があるか否かを判定できる。具体的には、基準パッチBP1、BP3の反射濃度の差から第1の階調パッチ群PAにおける前半部(小パッチ群PA1)にゴーストが発生しているか否かを判定することができる。
なお、基準パッチBP3、BP2の反射濃度の差から第1の階調パッチ群PAの後半部(小パッチ群PA2)にゴーストが発生しているか否かを判定することもできるが、第1のトナーパターンTP1にゴーストが発生する場合には、通常、小パッチ群PA2にはゴーストが発生しているため、特に考慮しなくてもよい。
【0069】
第2の実施形態で用いる第2のトナーパターンTP2は、第1の実施の形態と同様である(図5参照)。すなわち、第2のトナーパターンTP2は、第1の階調パッチ群PAが逆向きに配置された第2の階調パッチ群PBで構成される。
【0070】
第2の実施の形態では、第1のトナーパターンTP1(第1の階調パッチ群PA)にゴースト非発生部がある場合に、第1の階調パッチ群PAの検出結果と、第2の階調パッチ群PBの検出結果を部分的に利用して、正確な階調特性(ゴースト非発生時の階調特性)に近づけた上で、適切な階調補正データを生成する(階調補正データ生成処理)。具体的には、図12に示すフローチャートに従って、階調補正データ生成処理が行われる。
【0071】
図12は、第2の実施の形態に係る階調補正データ生成処理の一例を示すフローチャートである。図12に示す階調補正データ生成処理は、例えば画像形成装置1の電源が投入されることに伴い、CPU11がROM12に格納されている所定のプログラムを実行することにより実現される。
また、この階調補正データ生成処理は、前回の階調補正データ生成後、所定時間経過したとき、所定枚数の画像形成が完了したとき、又は現像装置412のトナーが交換されたとき等、定期的に行われるのが望ましい。また、階調補正データ生成処理時は、二次転写ローラー423と駆動ローラー424を離間させておく。
【0072】
図12のステップS201において、制御部10は、各色について、階調補正用の画像データに基づく第1のトナーパターンTP1を画像形成ユニット41Y、41M、41C、41Kにより中間転写ベルト421上に形成させる(図11参照)。階調補正に用いられる第1のトナーパターンTP1及び第2のトナーパターンTP2の画像データは、例えばROM12に記憶されている。
【0073】
ステップS202において、制御部10は、濃度検出センサー43による各パッチBP1、P1〜P5、BP3、P6〜P10、BP2の検出結果(反射濃度、センサー出力値)を取得する。取得された反射濃度は、一時的にRAM13に記憶される。中間転写ベルト421上に形成された第1のトナーパターンTP1は、濃度検出センサー43の検出領域を通過した後、ベルトクリーニング装置426で除去される。
【0074】
ステップS203において、制御部10は、基準パッチBP1、BP2の反射濃度を比較して、第1のトナーパターンTP1にゴーストが発生しているか否かを判定する。制御部10は、例えば、基準パッチBP1、BP2の反射濃度の差が所定値を超えていた場合に第1のトナーパターンTP1にゴーストが発生していると判定する。
そして、制御部10は、第1のトナーパターンTP1にゴーストが発生していると判定した場合にはステップS204の処理に移行し、ゴーストが発生していないと判定した場合にはステップS211の処理に移行する。
【0075】
ステップS204において、制御部10は、基準パッチBP1、BP3の反射濃度を比較して、第1のトナーパターンTP1の前半部(小パッチ群PA1)にゴーストが発生しているか否かを判定する。制御部10は、例えば、基準パッチBP1、BP3の反射濃度の差が所定値を超えていた場合に、小パッチ群PA1にゴーストが発生していると判定する。
そして、制御部10は、小パッチ群PA1にゴーストが発生していない(ゴースト非発生部あり)と判定した場合にはステップS205の処理に移行し、ゴーストが発生していると判定した場合にはステップS208の処理に移行する。
【0076】
ステップS205において、制御部10は、第1のトナーパターンTP1にゴーストが発生していると判定された色について、階調補正用の画像データに基づく第2のトナーパターンTP2を画像形成ユニット41Y、41M、41C、41Kにより中間転写ベルト421上に形成させる(図5参照)。
このとき、第2のトナーパターンTP2のうち、第2の階調パッチ群PBの前半部(第1の階調パッチ群PAの後半部(小パッチ群PA2)に対応する階調パッチP10〜P6)だけが形成されるようにしてもよい。現在の階調特性を決定するに際し、第2の階調パッチ群PBの後半部(階調パッチP5〜P1)の検出結果は参照されないためである。これにより、画像安定化制御におけるトナー消費量をさらに抑制することができる。
【0077】
ステップS206において、制御部10は、濃度検出センサー43による階調パッチP10〜P6の検出結果(反射濃度)を取得する。取得された反射濃度は、一時的にRAM13に記憶される。中間転写ベルト421上に形成された第2のトナーパターンTP2は、濃度検出センサー43の検出領域を通過した後、ベルトクリーニング装置426で除去される。
【0078】
ステップS207において、制御部10は、階調パッチP1〜P10の反射濃度を決定する。具体的には、制御部10は、ゴーストが生じていないと判定された階調パッチP1〜P5については第1の階調パッチ群PAの検出結果を用い、ゴーストが生じていると判定された階調パッチP6〜P10については第2の階調パッチ群PBの検出結果を用いる。
【0079】
図13は、第1の階調パッチ群PAと第2の階調パッチ群PBの検出結果を部分的に利用して得られる階調特性(入力階調値−反射濃度)の一例を示す図である。
図13に示すように、第1の階調パッチ群PAの検出結果におけるゴーストが発生していないとみなせる部分(図6の左半部に相当)と、第2の階調パッチ群PBの検出結果におけるゴーストが発生していないとみなせる部分(図7の左半部に相当)を利用することにより、図6、7に示す場合に比較して、ゴースト発生時とゴースト非発生時の乖離幅は小さくなる。また、各階調パッチP1〜P10における乖離幅は、偏りがなく一様になる。
【0080】
このように、図13に示す階調特性においては、ゴーストの影響が効果的に排除されている。したがって、これに基づいて階調補正データを生成することにより、適切な階調補正が行われることとなる。
【0081】
図12のステップS204でゴースト非発生部がない(ゴーストが全体的に発生している)と判定された場合には、第1の実施の形態と同様の処理が行われる。すなわち、制御部10は、第2のトナーパターンTP2(全部)を中間転写ベルト421上に形成させ(ステップS208)、濃度検出センサー43による各パッチP10〜P1の検出結果(反射濃度)を取得し(ステップS209)、階調パッチP1〜P10の反射濃度を決定する(ステップS210)。
【0082】
そして、制御部10は、各階調パッチP1〜P10の階調特性曲線を生成し(ステップS211)、階調補正曲線を生成し(ステップS212)、階調補正データを生成・更新する(ステップS213)。ステップS211〜S213の処理については、第1の実施の形態と同様であるので、説明を省略する。
以降の画像形成時には、更新された階調補正データを参照して階調補正が行われ、補正階調値に基づいて画像形成条件が決定されることとなる。
【0083】
ステップS211において、第1のトナーパターンTP1にゴーストが全体的に発生している場合(ステップS203で“YES”、ステップS204で“NO”)は、ステップS210で決定された反射濃度が用いられる。また、第1のトナーパターンTP1にゴーストが部分的に発生している場合(ステップS203で“YES”、ステップS204で“YES”)は、ステップS207で決定された反射濃度が用いられる。また、ゴーストが発生していない場合(ステップS203で“NO”)は、ステップS202で取得された反射濃度が用いられる。何れの場合も同等の階調特性曲線が得られる。
【0084】
このように、画像形成装置1は、階調補正用のトナーパターンとして、中間転写ベルト421(像担持体)の走行方向に沿って濃度が段階的に変化する複数の階調パッチP1〜P10からなる第1の階調パッチ群PAの両端に、同一濃度の基準パッチBP1、BP2が配置された第1のトナーパターンTP1と、第1の階調パッチ群PAが逆向きに配置された第2の階調パッチ群PBからなる第2のトナーパターンTP2を有する。
そして、制御部10(階調補正部)は、濃度検出センサー43(濃度検出部)による2つの基準パッチBP1、BP2の検出結果(反射濃度)に基づいて、第1の階調パッチ群PAにゴーストが生じているか否かを判定し(図12のステップS203)、ゴーストが生じていると判定した場合に(図12のステップS203で“YES”)、濃度検出センサー43による第1の階調パッチ群PAの検出結果と第2の階調パッチ群PBの検出結果を組み合わせて、現在の階調特性を決定し(図12のステップS204〜S207、又はステップS204〜S210))、この階調特性に基づいて階調補正データを生成する(図12のステップS211〜S213)。
【0085】
画像形成装置1によれば、階調補正データを生成するための第1のトナーパターンTP1にゴーストが発生していても、ゴーストの影響を排除した所望の階調特性曲線L1を得ることができ、適切な階調補正データを生成することができる。したがって、適切な画像安定化制御が行われ、入力画像を忠実に再現した画像を形成することができる。
また、特許文献1のように、トナー担持体(現像ローラー)の周長以上でベタ画像を形成する必要はないので、画像安定化制御におけるトナー消費量を抑制することができる。
【0086】
特に、第2の実施形態においては、制御部10(階調補正部)が、濃度検出センサー43(濃度検出部)による3つの基準パッチBP1〜BP3の検出結果に基づいて、第1の階調パッチ群PAにゴーストが生じているか否かを判定し、第1の階調パッチ群PAにゴーストが部分的に生じていると判定した場合に(図12のステップS204で“YES”)、ゴーストが生じていないと判定された階調パッチP1〜P5については、濃度検出センサー43による第1の階調パッチ群PAの検出結果を用い、ゴーストが生じていると判定された階調パッチP6〜P10については、濃度検出センサー43による第2の階調パッチ群PBの検出結果を用いて、現在の階調特性を決定する(図12のステップS204〜S207)。
【0087】
これにより、第1の階調パッチ群PAにゴーストが部分的に生じている場合は、平均化する演算処理が省略されるので、処理速度の向上を図ることができる。また、第2のトナーパターンTP2を形成するために消費されるトナー量を低減することができる。
【0088】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0089】
例えば、第1の階調パッチ群PAにゴーストの非発生部があるか否かに関わらず、第1の階調パッチ群PAに全体としてゴーストが発生している場合に、第1の階調パッチ群PAの検出結果と第2の階調パッチ群PBの検出結果を部分的に利用するようにしてもよい。すなわち、制御部10(階調補正部)は、第1の階調パッチ群PAにゴーストが生じていると判定した場合に、濃度検出センサー43(濃度検出部)による第1の階調パッチ群PAの前半部の検出結果と、第2の階調パッチ群PBの前半部の検出結果(第1の階調パッチ群PAの後半部に対応する第2の階調パッチ群PBの検出結果)を用いて、現在の階調特性を決定するようにしてもよい。
第1の階調パッチ群PAの後半部の検出結果よりも、第1の階調パッチ群PAの後半部に対応する第2の階調パッチ群PBの前半部の検出結果の方が、ゴーストの影響は少ないため、第1の階調パッチ群PAの検出結果をそのまま利用するよりも正確な階調特性を得ることができる。
【0090】
また、第1のトナーパターンTP1に配置される基準パッチBP1〜BP3の濃度(入力階調値)は、最高濃度(入力階調値が255)でなくてもよく、図14に示すように中間調の濃度であってもよい。ただし、ゴーストの発生を精度よく検出するためには、高濃度であることが望ましい。
【0091】
また、図4に示す例では、同一濃度の階調パッチP10と基準パッチBP2が連続して形成されているが、この場合、図15に示すように基準パッチBP2を省略することができる。これにより、第1のトナーパターンTP1を形成するために消費されるトナー量を低減することができる。
【0092】
また、第2の実施の形態において、第1の階調パッチ群PAの中間に配置される基準パッチBP3の数、配置態様は、実施の形態で示したもの(図11参照)に限定されない。
【0093】
また、実施の形態では、本発明における像担持体が中間転写ベルト421で構成される場合について説明したが、本発明は、中間転写ドラム、又は用紙が像担持体となる場合にも適用することができる。
また、本発明は、単色画像を形成するモノクロの画像形成装置や、CMYK4色が一体となった画像形成ユニットを利用したロータリー方式(4サイクル方式)の画像形成装置に適用することもできる。
【0094】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0095】
1 画像形成装置
10 制御部(階調補正部)
20 操作表示部
21 表示部
22 操作部
30 画像処理部(階調補正部)
40 画像形成部
41、41Y、41M、41C、41K 画像形成ユニット
42 中間転写ユニット
43 濃度検出センサー(濃度検出部)
50 搬送部
60 定着部
S 用紙
TP1 第1のトナーパターン
TP2 第2のトナーパターン
PA 第1の階調パッチ群
PB 第2の階調パッチ群
P1〜P10 階調パッチ
BP1〜BP3 基準パッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力画像データに基づいて、露光装置により感光体に静電潜像を形成させ、現像装置により前記感光体にトナーを付着させることにより前記静電潜像を現像してトナー像を形成し、前記感光体に形成された前記トナー像を像担持体に転写させる画像形成部と、
前記像担持体上に形成されたトナーパターンを構成するパッチの濃度を検出する濃度検出部と、
前記濃度検出部による検出結果に基づいて階調補正データを生成し、この階調補正データを用いて階調補正を行う階調補正部と、を備える画像形成装置であって、
前記トナーパターンとして、前記像担持体の走行方向に沿って濃度が段階的に変化する複数の階調パッチからなる第1の階調パッチ群の両端に、同一濃度の基準パッチが配置された第1のトナーパターンと、
前記第1の階調パッチ群が逆向きに配置された第2の階調パッチ群からなる第2のトナーパターンを有し、
前記階調補正部は、前記濃度検出部による2つの前記基準パッチの検出結果に基づいて、前記第1の階調パッチ群にゴーストが生じているか否かを判定し、ゴーストが生じていると判定した場合に、前記濃度検出部による前記第1の階調パッチ群の検出結果と前記第2の階調パッチ群の検出結果を組み合わせて、現在の階調特性を決定し、前記階調特性に基づいて前記階調補正データを生成することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記階調補正部は、前記第1の階調パッチ群にゴーストが生じていると判定した場合に、前記濃度検出部による前記第1の階調パッチ群の検出結果と前記第2の階調パッチ群の検出結果を平均化して、現在の階調特性を決定することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記階調補正部は、前記第1の階調パッチ群にゴーストが生じていると判定した場合に、前記濃度検出部による前記第1の階調パッチ群の検出結果と前記第2の階調パッチ群の検出結果を平均化した後、さらにゴーストが生じない場合の階調特性に近づくようにオフセットして、現在の階調特性を決定することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記基準パッチが、前記第1の階調パッチ群を複数の小パッチ群に分割する位置にも配置され、
前記階調補正部は、前記濃度検出部による3つ以上の前記基準パッチの検出結果に基づいて、前記第1の階調パッチ群にゴーストが部分的に生じているか否かを判定し、前記第1の階調パッチ群にゴーストが部分的に生じていると判定した場合に、
ゴーストが生じていないと判定された階調パッチについては、前記濃度検出部による前記第1の階調パッチ群の検出結果を用い、
ゴーストが生じていると判定された階調パッチについては、前記濃度検出部による前記第2の階調パッチ群の検出結果を用いて、現在の階調特性を決定することを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記階調補正部は、前記第1の階調パッチ群にゴーストが生じていると判定した場合に、前記濃度検出部による前記第1の階調パッチ群の前半部の検出結果と、前記第1の階調パッチ群の後半部に対応する前記第2の階調パッチ群の検出結果を用いて、現在の階調特性を決定することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記第1の階調パッチ群は、前記複数の階調パッチが前記像担持体の走行方向の上流から下流に向かって濃度が高くなるように配置されてなることを特徴とする請求項1から5の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記基準パッチが、前記階調パッチの一部を兼用することを特徴とする請求項1から6の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記基準パッチが、最高濃度の黒ベタ画像であることを特徴とする請求項1から7の何れか一項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図8】
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【図12】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−109060(P2013−109060A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−252420(P2011−252420)
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】