説明

画像形成装置

【課題】色トナー像の光沢度を示す値を調整できる画像形成装置を提供する。
【解決手段】印刷指示に基づいて、複数の色トナーを用いて形成された色トナー像を記録媒体に転写された色トナー像を定着させる定着手段168と、前記定着手段168による定着後に高い光沢を実現するグロス型の透明トナーを用いて透明トナー像を形成する第1の透明トナー像形成手段162Grossと、前記定着手段168による定着後に低い光沢を実現するマット型の透明トナーを用いて透明トナー像を形成する第2の透明トナー像形成手段162Mattと、前記色トナー像形成手段によって形成された色トナー像が前記第1の透明トナー像形成手段162Grossによって形成された透明トナー像及び前記第2のトナー像形成手段162Mattによって形成された透明トナー像の少なくともいずれかと重なって前記記録媒体に定着するよう制御する制御手段とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像を形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、透明トナーの段階的なトナー比率に基づいて、透明トナー像と色トナー像との重ね合わせ度合いを可変制御する画像形成装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−82508号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、色トナー像の光沢度を示す値を調整できる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[画像形成装置]
上記目的を達成するために、請求項1に係る画像形成装置は、印刷指示に基づいて、複数の色トナーを用いて色トナー像を形成する色トナー像形成手段と、前記色トナー像形成手段によって形成された色トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、前記転写手段によって前記記録媒体に転写された色トナー像を定着させる定着手段と、前記定着手段による定着後に高い光沢を実現するグロス型の透明トナーを用いて透明トナー像を形成する第1の透明トナー像形成手段と、前記定着手段による定着後に低い光沢を実現するマット型の透明トナーを用いて透明トナー像を形成する第2の透明トナー像形成手段と、前記色トナー像形成手段によって形成された色トナー像が前記第1の透明トナー像形成手段によって形成された透明トナー像及び前記第2のトナー像形成手段によって形成された透明トナー像の少なくともいずれかと重なって前記記録媒体に定着するよう制御する制御手段とを有する。
【0006】
請求項2に係る画像形成装置において、前記グロス型の透明トナーは、染料及び顔料などの着色剤の含有量が0.01質量パーセント以下であり、ポリエステル系の樹脂をバインダとするトナーであり、前記マット型の透明トナーは、染料及び顔料などの着色剤の含有量が0.01質量パーセント以下であり、スチレンアクリル系の樹脂をバインダとするトナーである。
【0007】
請求項3に係る画像形成装置は、予め定められた前記色トナー像の光沢度を示す値から前記色トナー像の光沢度を示す値を減じた値を前記色トナー像の光沢度補正値とする光沢度補正値算出手段をさらに有し、前記制御手段は、前記光沢度補正値算出手段によって算出された前記色トナー像の光沢度補正値に基づいて、前記色トナー像形成手段によって形成された色トナー像が前記第1の透明トナー像形成手段によって形成された透明トナー像及び前記第2のトナー像形成手段によって形成された透明トナー像の少なくともいずれかと重なって前記記録媒体に定着するよう制御する。
【0008】
請求項4に係る画像形成装置は、前記色トナーの光沢度を示す値と網点面積率との対応付けを示す第1の対応付け、前記グロス型の透明トナーの光沢度を示す値と網点面積率との対応付けを示す第2の対応付け、及び、前記マット型の透明トナーの光沢度を示す値と網点面積率との対応付けを示す第3の対応付けを記憶する対応付け記憶手段をさらに有し、前記光沢度補正値算出手段は、前記対応付け記憶手段に記憶された前記第1の対応付けを用いて、前記色トナー像の光沢度を示す値を求め、前記制御手段は、前記対応付け記憶手段に記憶された前記第2の対応付け及び前記第3の対応付けを用いて、前記光沢度補正値算出手段によって算出された光沢度補正値に基づいて、前記光沢度補正値算出手段によって算出された光沢度補正値に基づいて、前記色トナー像形成手段によって形成された色トナー像が前記第1の透明トナー像形成手段によって形成された透明トナー像及び前記第2のトナー像形成手段によって形成された透明トナー像の少なくともいずれかと重なって前記記録媒体に定着するよう制御する。
【0009】
請求項5に係る画像形成装置において、前記光沢度補正値算出手段は、予め定められた前記記録媒体の光沢度を示す値から前記記録媒体の光沢度を示す値を減じた値を前記記録媒体の光沢度補正値とし、前記制御手段は、前記光沢度補正値算出手段によって算出された前記記録媒体の光沢度補正値に基づいて、前記色トナー像形成手段によって形成された色トナー像が前記第1の透明トナー像形成手段によって形成された透明トナー像及び前記第2のトナー像形成手段によって形成された透明トナー像の少なくともいずれかと重なって前記記録媒体に定着するよう制御する。
【0010】
請求項6に係る発明において、前記対応付け記憶手段は、前記記録媒体の種別と当該記録媒体の光沢度を示す値との対応付けを示す第4の対応付けをさらに記憶し、前記光沢度補正値算出手段は、前記対応付け記憶手段に記憶された前記第4の対応付けを用いて、前記記録媒体の光沢度を示す値を求める。
【0011】
請求項7に係る発明において、前記所望する色トナー像の光沢度を示す値及び前記所望する記録媒体の光沢度を示す値の入力を受け付ける受付手段をさらに有する。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る本発明によれば、本構成を有しない場合に比べ、色トナー像の光沢度を示す値を柔軟に調整することができる。
【0013】
請求項2に係る本発明によれば、本構成を有しない場合に比べ、グロス型の透明トナー及びマット型の透明トナーを定着させることができる。
【0014】
請求項3に係る本発明によれば、本構成を有しない場合に比べ、色トナー像における光沢度の差を目立たなくすることができる。
【0015】
請求項4に係る本発明によれば、本構成を有しない場合に比べ、色トナー像の光沢度を簡易に求めることができる。
【0016】
請求項5に係る本発明によれば、本構成を有しない場合に比べ、色トナー像の光沢度と記録媒体の光沢度との差を目立たなくすることができる。
【0017】
請求項6に係る本発明によれば、本構成を有しない場合に比べ、記録媒体の光沢度を簡易に求めることができる。
【0018】
請求項7に係る本発明によれば、本構成を有しない場合に比べ、所望する色トナー像の光沢度を示す値及び記録媒体の光沢度を示す値を簡易に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置を含む、画像形成システムを示す図である。
【図2】図1の端末装置などに表示される、グロス設定画面の一例である。
【図3】本発明の実施形態に係る画像形成装置を示す図である。
【図4】図3の装置本体制御部において実行される装置本体制御プログラムの構成を例示する図である。
【図5】グロスタイプのトナーのグロス値と入力網点カバレッジとの対応付け及びマットタイプのトナーのグロス値と入力網点カバレッジとの対応付けの一例である。
【図6】画像部の目標グロス値のみが設定された場合にグロス補正値を算出する方法を説明するための図である。
【図7】画像部の目標グロス値及び非画像部の目標グロス値が設定された場合にグロス補正値を算出する方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を説明する。なお、以下の説明は本発明を実施するのにあたっての一例に過ぎず、本発明が以下に説明される事項に限定されるわけではなく、必要に応じて適宜変更可能である。
例えば、以下、装置本体制御プログラム、操作パネルにおいて指定される電子文書、及び、色変換処理後の電子文書の画像データなどは、装置本体制御部内のメモリなどに記憶されるものとして説明しているが、画像形成装置内のハードディスクや、画像形成装置とネットワークを介して接続される他の装置などに記憶されてもよい。
【0021】
[画像形成システム]
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置10を含む、画像形成システム1を示す図である。図1に示すように、画像形成装置10及び端末装置12−1〜12−nが、ネットワーク14を介して互いに接続されて構成される。
画像形成装置10は、コピー、プリント及びファクシミリ送信などの機能を備える複合機であるが、これに限らない。例えば、画像形成装置10は、プリンタであってもよい。
端末装置12−1〜12−nは、各種アプリケーションを用いて電子文書を作成し、この電子文書の画像データを印刷する指示(印刷指示)を画像形成装置10に送信するなど、一般的なコンピュータの機能を備える。例えば、ユーザは、端末装置12−1において、Adobe Illustrator(登録商標)を用いてカラーパンフレットを作成し、このカラーパンフレットを印刷する指示を送信する。
このような構成により、端末装置12−1〜12−nにおいて作成された電子文書の画像データが、画像形成装置10によって印刷される。
【0022】
なお、nは1以上の整数であって、nが常に同じ数を示すとは限らない。
以下の各図において、実質的に同じ構成部分には、同じ符号が付される。
以下、「端末装置12−1〜12−n」など、複数存在しうる構成部分のいずれかが、特定されずに示される場合には、単に「端末装置12」などと略記されることがある。
【0023】
図1において、画像形成装置10は一台しかないが、複数台あってもよい。
また、端末装置12において作成された電子文書が端末装置12とは別の装置(共有サーバなど)に保存された後、この電子文書の画像データが画像形成装置10によって印刷されてもよい。
また、画像形成装置10の操作パネルを介して、共有サーバなどに保存された電子文書の画像データを印刷する指示が、画像形成装置10の装置本体に送信されてもよい。画像形成装置10の操作パネル及び装置本体については、図3を参照して後述する。
【0024】
[端末装置]
端末装置12において、印刷しようとする電子文書の画像データに対し、用紙(記録媒体)の種別(上質紙やコート紙)、用紙名、用紙を供給する給紙トレイの種別、画像部の目標グロス値、非画像部のグロス値を補正するか否か、及び、非画像部の目標グロス値などを設定することができる。端末装置12は、これらの設定内容及び電子文書の画像データを印刷指示として画像形成装置10に送信する。
これらの設定のうち、グロス(光沢度)に関する設定は、図2を参照して後述するグロス設定画面を介してなされる。
これらの設定は、画像形成装置10の操作パネルを介してなされてもよく、この場合、印刷指示は、操作パネルを介して画像形成装置10の装置本体に送信される。
【0025】
図2は、電子文書の画像データを印刷する際の設定のうち、グロスに関する設定項目を表示するグロス設定画面の一例である。
図2に示すように、グロス設定画面には、画面名を表示する画面名表示部120、及び、グロスに関する設定項目を表示する設定項目表示部122が表示される。
設定項目表示部122において、第1のテキストボックス124の数値を調整することにより、画像部の目標グロス値を設定することができ、チェックボックス126にチェックを入れることにより、非画像部のグロス値を補正するよう設定することができる。さらに、第2のテキストボックス128の数値を調整することにより、非画像部の目標グロス値を設定することができる。
【0026】
グロス設定画面を開いた場合、設定項目表示部122には、第1のテキストボックス124及びチェックボックス126が表示され、チェックボックス126にチェックが入ったとき、第2のテキストボックス128があわせて表示される。
ここで、画像部とは、用紙上で画像形成可能な領域のうち、画像が形成される部分であり、非画像部とは、用紙上で画像形成可能な領域のうち、画像が形成されず、用紙の地色が出る部分である。画像部には、カラートナー及び透明トナーを定着させることができ、非画像部には、透明トナーのみを定着させることができる。
【0027】
図3は、本発明の実施形態に係る画像形成装置10を示す図である。
図3に示すように、本発明の実施形態に係る画像形成装置10は、装置本体16、装置本体16に装着される操作パネル18及び給紙装置20を有する。
【0028】
[装置本体]
装置本体16は、装置本体制御部160、トナー像形成部162、中間転写ベルト164、転写ローラ166、定着部168、用紙搬送路170、搬送ローラ172及び排出トレイ174を有する。
装置本体制御部160は、例えば、メモリなどの記憶媒体、プロセッサ及びこれらを接続するバスなどを備える制御基板である。図示しないが、装置本体制御部160は、ケーブル、コネクタ及び図1のネットワーク14などを介して、操作パネル18及び図1の端末装置12などと互いに通信可能に接続されている。
メモリなどには、装置本体制御プログラム22が記憶される。装置本体制御部160において、プロセッサがメモリなどから装置本体制御プログラム22を読み出して実行することにより、端末装置12から受信した印刷指示のうちグロスに関する設定に基づいて電子文書の画像データを印刷するよう、装置本体16の各部が制御される。装置本体制御プログラム22の詳細は、図4を参照して後述する。
【0029】
トナー像形成部162は、カラートナー及び透明トナーごとに設けられる。
ここでは、カラートナーとして、イエロートナー(Y),マゼンタトナー(M),シアントナー(C),ブラックトナー(K)が用いられ、透明トナーとして、グロスタイプのトナー(Gross),マットタイプのトナー(Matt)が用いられるものとしたが、これに限らない。例えば、イエロートナー(Y),マゼンタトナー(M),シアントナー(C),ブラックトナー(K)では再現できない色を表現するため、特色トナーを加えてもよい。
【0030】
ここで、カラートナーとは、カラートナー像の形成に用いるトナーである。カラートナーには、透明トナー以外のトナー全般(白や黒などの無彩色を含む)が含まれる。
透明トナーとは、透明トナー像の形成に用い、染料及び顔料などの着色剤の含有量が0.01質量パーセント以下のトナーである。透明トナーには、可視光を全く吸収しない完全透明なトナーだけでなく、可視光を若干吸収するほぼ透明なトナーも含まれる。
グロスタイプのトナーは、透明トナーのうち、ポリエステル系の樹脂をバインダとし、定着後に高い光沢を再現するものであり、グロスタイプのトナーのグロス値は大きい。グロスタイプのトナーをカラートナーの上に定着させる場合、通常、定着させるグロスタイプのトナーの量が多くなるにつれて、グロス値は高くなる。
マットタイプのトナーは、透明トナーのうち、スチレンアクリル系の樹脂をバインダとし、定着後に低い光沢を実現するものであり、マットタイプのトナーのグロス値は小さい。マットタイプのトナーをカラートナーの上に定着させる場合、通常、定着させるマットタイプのトナーの量が多くなるにつれて、グロス値は低くなる。
【0031】
トナー像形成部162によって形成されたトナー像は、中間転写ベルト164に転写された後、転写ローラ166によってトナー像形成部162との対向位置において用紙に転写される。転写ローラ166によってトナー像が転写された用紙は、複数組の搬送ローラ172が配列された用紙搬送路170を経て、定着部168に搬送される。定着部168は、フラッシュランプ176からフラッシュ光を照射して、用紙に転写されたトナー像を定着させる。このように印刷処理が施された用紙は、印字面を下にして、排出トレイ174に排出される。
【0032】
[操作パネル]
上述したように、操作パネル18において、共有サーバなどに格納された電子文書を指定するとともに、指定した電子文書の画像データに対し、用紙の種別、画像部の目標グロス値、非画像部の目標グロス値及び非画像部のグロスを調整するか否かなどを設定することができる。操作パネル18は、これらの設定内容を印刷指示として装置本体制御部160に送信する。
【0033】
[給紙装置]
給紙装置20は、給紙トレイ200、給紙装置制御部202、給紙ヘッド204、給紙通路206及び搬送ローラ208を有する。
給紙トレイ200は、用紙の種別ごとに設けられ、例えば、給紙トレイ200−1はグロス値が5の用紙を供給し、給紙トレイ200−2はグロス値が25の用紙を供給し、給紙トレイ200−3は、グロス値が41の用紙を供給する。
給紙装置制御部202は、例えば、メモリなどの記憶媒体、プロセッサ及びこれらを接続するバスなどを備える制御基板である。図示しないが、給紙装置制御部202は、ケーブル、コネクタ及びネットワーク14などを介して、操作パネル18及び端末装置12などと互いに通信可能に接続されている。
メモリなどには、給紙装置制御プログラムが記憶される。給紙装置制御部202において、プロセッサがメモリなどから給紙装置制御プログラムを読み出して実行することにより、端末装置12などから受信した印刷指示に含まれる給紙トレイの種別に基づいて用紙を供給するよう、給紙装置20が制御される。給紙装置制御プログラムの詳細は省略するが、端末装置12などから印刷指示を受信したことをトリガにして、該当する給紙トレイ200の給紙ヘッド204が作動し、給紙通路206を介して、給紙トレイ200から装置本体16に用紙が供給される。給紙通路206には、用紙搬送路170と同様、給紙通路206に沿って複数組の搬送ローラ208が配列される。
図示しないが、給紙装置20の装置本体16側の側面の一部は、給紙通路206を用紙搬送路170に連通させるためのガイド面として利用されている。
【0034】
図4は、図3の装置本体制御部160において実行される装置本体制御プログラム22の構成を例示する図である。
図4に示すように、装置本体制御プログラム22は、受付部220、画像処理部24、対応付け記憶部222、グロス補正値算出部224及び制御部226により構成される。さらに、画像処理部24は、第1の色変換部240、第2の色変換部242、階調補正部244及びスクリーン処理部246により構成される。装置本体制御プログラム22は、図1の端末装置12などから印刷指示が送信されたことをトリガにして処理を開始する。
【0035】
[受付部]
受付部220は、端末装置12などから送信された印刷指示に基づいて、印刷すべき電子文書の画像データを受け付け、第1の色変換部240に出力する。受付部220によって受け付けられる電子文書の画像データは、図1の端末装置12(入力デバイス)に依存する色空間で表現され、ここでは、RGB色空間で表現されているものとする。
【0036】
[第1の色変換部]
第1の色変換部240は、受付部220によって受け付けられた電子文書の画像データを入力デバイスや出力デバイスに依存しない色空間の画像データに変換し、第2の色変換部242に出力する。ここでは、第1の色変換部240は、L色空間の画像データに変換するものとするが、L色空間などの画像データに変換してもよい。
第1の色変換部240による色変換後の画像データは、メモリなどに記憶しておき、第2の色変換部242によって読み出されてもよい。
【0037】
[第2の色変換部]
第2の色変換部242は、第1の色変換部240による色変換後の画像データを図1の画像形成装置10(出力デバイス)に依存する色空間の画像データに変換し、階調補正部244に出力する。ここでは、第2の色変換部242は、CMYK色空間の画像データに変換するものとするが、CMYKOGV色空間などの画像データに変換してもよい。
第2の色変換部242による色変換後の画像データは、メモリなどに記憶しておき、階調補正部244によってメモリなどから読み出されてもよい。
【0038】
[階調補正部]
階調補正部244は、第2の色変換部242による色変換後の画像データの階調を補正する。つまり、所望の階調(例えば、リニアな階調)を再現できるよう、画像データを構成する色ごとに入力網点カバレッジ(網点面積率)Cinを変換する。
階調補正後の画像データは、スクリーン処理部246及びグロス補正値算出部224に出力される。
【0039】
[スクリーン処理部]
スクリーン処理部246は、階調補正部244による階調補正後の画像データに対してスクリーン処理を施す。つまり、画像データの各画素の階調がドットマトリクスで表現された二値画像データに変換する。
スクリーン処理後の画像データは、制御部226に出力される。
【0040】
[対応付け記憶部]
対応付け記憶部222は、トナーのグロス値と入力網点カバレッジとの対応付け(以下、単に「トナー対応付け」と記載)、及び、給紙トレイの種別と当該給紙トレイによって供給される用紙のグロス値との対応付け(以下、単に「用紙対応付け」と記載)を記憶する。
上述したように、ここでは、イエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー及びブラックトナーというカラートナー並びにグロスタイプのトナー及びマットタイプのトナーという透明トナーが用いられるので、対応付け記憶部222は、トナー対応付けとして、少なくとも、イエロートナーのグロス値と入力網点カバレッジとの対応付け、マゼンタトナーのグロス値と入力網点カバレッジとの対応付け、シアントナーのグロス値と入力網点カバレッジとの対応付け、ブラックトナーのグロス値と入力網点カバレッジとの対応付け、グロスタイプのトナーのグロス値と入力網点カバレッジとの対応付け、及び、マットタイプのトナーのグロス値と入力網点カバレッジとの対応付けを記憶する。
これらの対応付けのうち、グロスタイプのトナーのグロス値と入力網点カバレッジとの対応付け及びマットタイプのトナーのグロス値と入力網点カバレッジとの対応付けの具体例は、図5を参照して後述する。
【0041】
上述したように、ここでは、給紙トレイ200−1がグロス値5の用紙を供給し、給紙トレイ200−2がグロス値25の用紙を供給し、給紙トレイ200−3がグロス値41の用紙を供給するので、対応付け記憶部222は、用紙対応付けとして、少なくとも、給紙トレイ200−1とグロス値5との対応付け、給紙トレイ200−2とグロス値25との対応付け、及び、給紙トレイ200−3とグロス値41との対応付けを記憶する。
トナー対応付け及び用紙対応付けは、いずれも、実験等により予め取得され、対応付け記憶部222に予め記憶される。対応付け記憶部222に予め記憶された対応付けは、適宜、追加、変更又は削除してもよい。
【0042】
[グロス補正値算出部]
グロス補正値算出部224は、端末装置12などから送信された印刷指示に基づいて、対応付け記憶部222から対応付けを読み出し、読み出した対応付けに基づいて、階調補正部244から出力された画像データにおけるグロス補正値(光沢度の補正値)を算出し、制御部226に出力する。
グロス補正値の算出方法については、図6,図7を参照して後述する。
【0043】
[制御部]
制御部226は、スクリーン処理部246によるスクリーン処理後の画像データがグロス補正値算出部224によって算出されたグロス補正値に基づき印刷されるよう、図3の装置本体16の各部(トナー像形成部162、転写ローラ166及び定着部168など)を制御する。
具体的には、制御部226は、プラスのグロス補正値が算出された場合には、対応付け記憶部222から、グロスタイプのトナーのグロス値と入力網点カバレッジとの対応付けを読み出し、グロス補正値に対応付けられる入力網点カバレッジでグロスタイプのトナーが定着するよう制御する。
また、制御部226は、マイナスのグロス補正値が算出された場合には、対応付け記憶部222から、マットタイプのトナーのグロス値と入力網点カバレッジとの対応付けを読み出し、グロス補正値に対応付けられる入力網点カバレッジでマットタイプのトナーが定着するよう制御する。
【0044】
図5は、図4の対応付け記憶部222に記憶されるトナー対応付けのうち、グロスタイプのトナーのグロス値と入力網点カバレッジとの対応付け及びマットタイプのトナーのグロス値と入力網点カバレッジとの対応付けの一例である。図中のαは任意の正数である。
【0045】
図6,図7は、いずれも、図4のグロス補正値算出部224が、グロス補正値を算出する方法を説明するための図である。
ここで、領域1〜nは、いずれも、図4の階調補正部244から出力された画像データ(CMYK色空間の画像データ)の一部を占める領域のうち、印刷時に画像が形成されてカラートナーが定着する領域である。
は、領域1のグロス値であり、領域1に定着するトナーのグロス値を合計することにより求められる。例えば、図6に示すように、領域1に、入力網点カバレッジがCinのイエロートナー及び入力網点カバレッジがCinのマゼンタトナーが定着する場合、図4の対応付け記憶部222からトナー対応付けを読み出し、Cinにおけるグロス値及びCinにおけるグロス値を取得し、これらのグロス値を合計することによりGを求める。
〜Gは、領域2〜nのグロス値であり、Gと同様にして求められる。
【0046】
また、領域pは、階調補正部244から出力された画像データの一部を占める領域のうち、印刷時に画像が形成されず、用紙の地色が出る領域である。
は、領域pのグロス値であり、対応付け記憶部222から、用紙対応付けを読み出し、図1の端末装置12から受信した印刷指示に含まれる給紙トレイの種別に対応付けられる用紙のグロス値を取得することにより求められる。
【0047】
t1は、図2のグロス設定画面において設定された画像部の目標グロス値であり、Gt2は、グロス設定画面において設定された非画像部の目標グロス値である。図6では、画像部の目標グロス値のみが設定され、図7では、画像部の目標グロス値及び非画像部の目標グロス値が設定されている。
【0048】
まず、図6を参照して、画像部の目標グロス値のみが設定された場合にグロス補正値を算出する方法を説明する。
領域1におけるグロス補正値は、Gt1からGを減じることにより求められる。領域2〜nにおけるグロス補正値についても、領域1におけるグロス値と同様にして求められる。
具体的には、領域1におけるグロス補正値は、Gt1からGを減じることにより求められる。図6に示すように、Gt1はGより大きいので、領域1におけるグロス補正値はプラスになる。また、領域2におけるグロス補正値は、Gt1からGを減じることにより求められる。図6に示すように、Gt1はGより大きいので、領域2におけるグロス補正値はプラスになる。領域3におけるグロス補正値は、Gt1からGを減じることにより求める。図6に示すように、Gt1はGより小さいので、領域3におけるグロス補正値はマイナスになる。
なお、非画像部の目標グロス値が設定されていないので、領域pにおけるグロス補正値は求められない。
【0049】
次に、図7を参照して、画像部の目標グロス値及び非画像部の目標グロス値が設定された場合にグロス補正値を算出する方法を説明する。
領域1〜nにおけるグロス補正値は、図6の場合と同様に求められる。
領域pにおけるグロス補正値は、Gt2からGを減じることにより求められる。図7に示すように、Gt2はGより大きいので、領域pにおけるグロス補正値はプラスになる。
なお、Gがあまりに小さく、グロスタイプのトナーがとりうるグロス値の最大値を加えたとしてもGt2に達しない場合がある。この場合には、領域pにおけるグロス補正値は、グロスタイプのトナーがとりうるグロス値の最大値とする。例えば、グロスタイプのトナーのグロス値と入力網点カバレッジが図5の関係にある場合、領域pにおけるグロス補正値はα4.6とする。
【0050】
以上説明したように、グロスタイプのトナー及びマットタイプのトナーを用いることにより、グロス値を柔軟に調整することができる。
また、グロス補正値に基づいてグロスタイプのトナー及びマットタイプのトナーを定着させることにより、用紙上で画像が形成される領域間のグロス差を目立たなくするとともに、用紙上で画像が形成される領域と用紙上で画像が形成されない領域とのグロス差を目立たなくすることができる。入力網点カバレッジが20パーセント以下のハイライト領域と複数のカラートナー(特に、三次色のトナーや四次色のトナー)が定着する領域とのグロス差は目立つことが多いため、ハイライト領域と複数のカラートナーが定着する領域とが隣接する場合に有効である。
【符号の説明】
【0051】
1 画像形成システム
10 画像形成装置
12 端末装置
120 画面名表示部
122 設定項目表示部
124 第1のテキストボックス
126 チェックボックス
128 第2のテキストボックス
14 ネットワーク
16 装置本体
160 装置本体制御部
162 トナー像形成部
164 中間転写ベルト
166 転写ローラ
168 定着部
170 用紙搬送路
172 搬送ローラ
174 排出トレイ
176 フラッシュランプ
18 操作パネル
20 給紙装置
200 給紙トレイ
202 給紙装置制御部
204 給紙ヘッド
206 給紙通路
208 搬送ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷指示に基づいて、複数の色トナーを用いて色トナー像を形成する色トナー像形成手段と、
前記色トナー像形成手段によって形成された色トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、
前記転写手段によって前記記録媒体に転写された色トナー像を定着させる定着手段と、
前記定着手段による定着後に高い光沢を実現するグロス型の透明トナーを用いて透明トナー像を形成する第1の透明トナー像形成手段と、
前記定着手段による定着後に低い光沢を実現するマット型の透明トナーを用いて透明トナー像を形成する第2の透明トナー像形成手段と、
前記色トナー像形成手段によって形成された色トナー像が前記第1の透明トナー像形成手段によって形成された透明トナー像及び前記第2のトナー像形成手段によって形成された透明トナー像の少なくともいずれかと重なって前記記録媒体に定着するよう制御する制御手段と
を有する画像形成装置。
【請求項2】
前記グロス型の透明トナーは、染料及び顔料などの着色剤の含有量が0.01質量パーセント以下であり、ポリエステル系の樹脂をバインダとするトナーであり、
前記マット型の透明トナーは、染料及び顔料などの着色剤の含有量が0.01質量パーセント以下であり、スチレンアクリル系の樹脂をバインダとするトナーである
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
予め定められた前記色トナー像の光沢度を示す値から前記色トナー像の光沢度を示す値を減じた値を前記色トナー像の光沢度補正値とする光沢度補正値算出手段
をさらに有し、
前記制御手段は、前記光沢度補正値算出手段によって算出された前記色トナー像の光沢度補正値に基づいて、前記色トナー像形成手段によって形成された色トナー像が前記第1の透明トナー像形成手段によって形成された透明トナー像及び前記第2のトナー像形成手段によって形成された透明トナー像の少なくともいずれかと重なって前記記録媒体に定着するよう制御する
請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記色トナーの光沢度を示す値と網点面積率との対応付けを示す第1の対応付け、前記グロス型の透明トナーの光沢度を示す値と網点面積率との対応付けを示す第2の対応付け、及び、前記マット型の透明トナーの光沢度を示す値と網点面積率との対応付けを示す第3の対応付けを記憶する対応付け記憶手段
をさらに有し、
前記光沢度補正値算出手段は、前記対応付け記憶手段に記憶された前記第1の対応付けを用いて、前記色トナー像の光沢度を示す値を求め、
前記制御手段は、前記対応付け記憶手段に記憶された前記第2の対応付け及び前記第3の対応付けを用いて、前記光沢度補正値算出手段によって算出された光沢度補正値に基づいて、前記光沢度補正値算出手段によって算出された光沢度補正値に基づいて、前記色トナー像形成手段によって形成された色トナー像が前記第1の透明トナー像形成手段によって形成された透明トナー像及び前記第2のトナー像形成手段によって形成された透明トナー像の少なくともいずれかと重なって前記記録媒体に定着するよう制御する
請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記光沢度補正値算出手段は、予め定められた前記記録媒体の光沢度を示す値から前記記録媒体の光沢度を示す値を減じた値を前記記録媒体の光沢度補正値とし、
前記制御手段は、前記光沢度補正値算出手段によって算出された前記記録媒体の光沢度補正値に基づいて、前記色トナー像形成手段によって形成された色トナー像が前記第1の透明トナー像形成手段によって形成された透明トナー像及び前記第2のトナー像形成手段によって形成された透明トナー像の少なくともいずれかと重なって前記記録媒体に定着するよう制御する
請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記対応付け記憶手段は、前記記録媒体の種別と当該記録媒体の光沢度を示す値との対応付けを示す第4の対応付けをさらに記憶し、
前記光沢度補正値算出手段は、前記対応付け記憶手段に記憶された前記第4の対応付けを用いて、前記記録媒体の光沢度を示す値を求める
請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記所望する色トナー像の光沢度を示す値及び前記所望する記録媒体の光沢度を示す値の入力を受け付ける受付手段
をさらに有する
請求項3又は5に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−109276(P2013−109276A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−256084(P2011−256084)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】