説明

画像形成装置

【課題】キャリッジ上のセンサでヘッドタンクへの供給制御を行うときに供給不良を早期に検出することができない。
【解決手段】第2センサ301を使用しないでメインタンク10からヘッドタンク35への液体を供給しているとき、液体の供給開始から予め定めた所定時間が経過する前に、第1センサ251が変位部材205を検知しないときには液体の供給を停止させ、所定時間は、ヘッドタンク35の液体を消費しながら供給するときの第1所定時間(印刷時タイムアウト値)と、ヘッドタンク35の液体を消費しないで供給するときの第2所定時間(メンテナンス時タイムアウト値)とが設定され、第1所定時間は第2所定時間よりも長く設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置に関し、特に液滴を吐出する記録ヘッド及び記録ヘッドに液体を供給するヘッドタンクを備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プロッタ、これらの複合機等の画像形成装置として、例えばインク液滴を吐出する液体吐出ヘッド(液滴吐出ヘッド)からなる記録ヘッドを用いた液体吐出記録方式の画像形成装置としてインクジェット記録装置などが知られている。
【0003】
このような画像形成装置において、印字動作中でも記録ヘッド側に設けたヘッドタンク(サブタンクともいう。)にメインタンクから液体の補充供給を行えるようにするため、ヘッドタンクに液体残量に応じて変位する変位部材を有し、キャリッジには変位部材が所定の第1位置になったことを検知する第1センサを、装置本体側には変位部材が所定の第2位置になったことを検知する第2センサを設け、第1センサで検知される位置と第2センサで検知される位置との間の変位部材の変位量に対応する差分量を検出して保持しておき、装置本体側の第2センサを使用しないでメインタンクからヘッドタンクに液体を供給するとき、第1センサが変位部材を検知した後差分供給量の液体をヘッドタンクに供給する制御を行うようにしたものがある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−297206号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1に開示の構成にあっては、ヘッドタンクに液体を供給するために送液手段を駆動したとき、メインタンクの液体残量が少ない場合、送液手段に障害が発生している場合、供給流量が所定流量よりも少ない場合、供給系でリークが発生している場合などの各種の要因によって正常な供給動作を行えない場合がある。
【0006】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、キャリッジ上のセンサのみを使用してヘッドタンクに液体を供給するときのフューエルセーフ機能を持たせることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明に係る画像形成装置は、
液滴を吐出する記録ヘッドと、
前記記録ヘッドに供給する液体を収容するヘッドタンクと、
前記記録ヘッド及び前記ヘッドタンクを搭載したキャリッジと、
前記ヘッドタンクに供給する液体を収容するメインタンクと、
前記メインタンクから前記ヘッドタンクへの液体供給を行う送液手段と、
前記送液手段を駆動して前記メインタンクから前記ヘッドタンクへの液体供給を制御する供給制御手段と、を備え、
前記ヘッドタンクは液体残量に応じて変位する変位部材を有し、
前記キャリッジには前記変位部材を検知する第1検知手段が設けられ、
装置本体側には前記変位部材を検知する第2検知手段が設けられ、
前記第1検知手段で検知する前記変位部材の第1位置は前記第2検知手段で検知する前記変位部材の第2位置よりも前記ヘッドタンクの液体残量が少ない位置であり、
前記供給制御手段は、
前記第1検知手段で検知される位置と前記第2検知手段で検知される位置との間の前記変位部材の変位量に対応する差分量を検出して保持し、
前記第2検知手段を使用しないで前記メインタンクから前記ヘッドタンクに前記液体を供給するときには、前記変位部材が、前記第1検知手段で検知される位置から前記ヘッドタンクの液体残量が少なくなる方向に変位するときの液体消費量を計測して、
前記液体消費量が予め定めた閾値になったときから前記液体の供給を開始させ、前記第1検知手段が前記変位部材を検知した後前記差分量の供給を行わせる制御を行い、
前記第2検知手段を使用しないで前記メインタンクから前記ヘッドタンクへの前記液体を供給しているとき、前記液体の供給開始から予め定めた所定時間が経過する前に、前記第1検知手段が前記変位部材を検知しないときには前記液体の供給を停止させ、
前記所定時間は、前記ヘッドタンクの液体を消費しながら前記ヘッドタンクに前記液体を供給するときの第1所定時間と、前記ヘッドタンクの液体を消費しないで前記ヘッドタンクに前記液体を供給するときの第2所定時間とが設定され、前記第1所定時間は前記第2所定時間よりも長く設定されている
構成とした。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る画像形成装置によれば、キャリッジ上のセンサのみを使用してヘッドタンクに液体を供給するときのフューエルセーフ機能を適切に持たせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係る画像形成装置の一例の機構部を説明する側面説明図である。
【図2】同機構部の要部平面説明図である。
【図3】ヘッドタンクの一例を示す模式的平面説明図である。
【図4】同じく図3の模式的正断面説明図である。
【図5】インク供給排出系の説明に供する模式的説明図である。
【図6】第1センサ及び第2センサの配置例の第1例を説明する説明図である。
【図7】第1センサ及び第2センサの配置例の第2例を説明する説明図である。
【図8】制御部の概要を説明するブロック説明図である。
【図9】ヘッドタンクの変位部材の変位の説明に供する模式的説明図である、
【図10】ヘッドタンク変位部材の位置検知の説明に供する模式的平面説明図である。
【図11】ヘッドタンク内負圧と液体量の関係を説明する説明図である。
【図12】ヘッドタンクのインク供給上限設定位置の説明に供する説明図である。
【図13】画像形成装置の周囲環境と変位部材の変位量の関係の説明に供する説明図である。
【図14】大気開放時にヘッドタンク内のインク量を充填満タン位置に設定する方法の説明に供する説明図である。
【図15】本発明の第1実施形態におけるインク供給制御の概要の説明に供する説明図である。
【図16】同実施形態における制御パラメータ値を設定する前準備設定としての変位距離Lの測定の説明に供する説明図である。
【図17】同じく変位インク量lの算出の説明に供する説明図である。
【図18】同じくインク量Wの設定の説明に供する説明図である。
【図19】同じく駆動時間tの設定の説明に供する説明図である。
【図20】同実施形態における実際の制御範囲の説明に供する説明図である。
【図21】印刷動作中のヘッドタンクの大気開放状態から送液ポンプ駆動停止までの状態遷移の説明に供する説明図である。
【図22】制御部による前準備設定の説明に供するフロー図である。
【図23】本発明の第1実施形態における制御部による第2センサを用いないインク充填制御(供給制御)の説明に供する説明図である。
【図24】本発明の第2実施形態における制御部による第2センサを用いない印刷動作中のインク充填制御(供給制御)の説明に供するフロー図である。
【図25】本発明の第3実施形態における制御部による第2センサを用いない印刷動作中のインク充填制御(供給制御)の説明に供するフロー図である。
【図26】本発明の第4実施形態における制御部による第2センサを用いない印刷動作中のインク充填制御(供給制御)の説明に供するフロー図である。
【図27】本発明の第6実施形態の説明に供するインク供給系の模式的説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。まず、本発明に係る画像形成装置の一例について図1及び図2を参照して説明する。なお、図1は同画像形成装置の全体構成を説明する側面説明図、図2は同装置の要部平面説明図である。
【0011】
この画像形成装置はシリアル型インクジェット記録装置であり、装置本体1の左右の側板21A、21Bに横架したガイド部材である主従のガイドロッド31、32でキャリッジ33を主走査方向に移動可能に保持し、後述する主走査モータによってタイミングベルトを介してキャリッジ主走査方向に移動走査する。
【0012】
このキャリッジ33には、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色のインク滴を吐出するための液体吐出ヘッドからなる記録ヘッド34a、34b(区別しないときは「記録ヘッド34」という。)を複数のノズルからなるノズル列を主走査方向と直交する副走査方向に配列し、滴吐出方向を下方に向けて装着している。
【0013】
記録ヘッド34は、それぞれ2つのノズル列を有し、記録ヘッド34aの一方のノズル列はブラック(K)の液滴を、他方のノズル列はシアン(C)の液滴を、記録ヘッド34bの一方のノズル列はマゼンタ(M)の液滴を、他方のノズル列はイエロー(Y)の液滴を、それぞれ吐出する。
【0014】
また、キャリッジ33には、記録ヘッド34のノズル列に対応して各色のインクを供給するためのヘッドタンク35a、35b(区別しないときは「ヘッドタンク35」という。)を搭載している。このヘッドタンク35には、カートリッジ装填部4に着脱自在に装着される各色のメインタンクであるインクカートリッジ10y、10m、10c、10kから、供給ポンプユニット24によって各色の供給チューブ36を介して、各色の記録液が補充供給される。
【0015】
また、キャリッジ33の主走査方向に沿ってエンコーダスケール91が配設され、キャリッジ33にはエンコーダスケール91を読み取るエンコーダセンサ92が設けられて、これらのエンコーダスケール91とエンコーダセンサ92によってリニアエンコーダ90を構成し、このリニアエンコーダ90の検出信号によってキャリッジ33の主走査位置(キャリッジ位置)や移動量を検出するようにしている。
【0016】
一方、給紙トレイ2の用紙積載部(圧板)41上に積載した用紙42を給紙するための給紙部として、用紙積載部41から用紙42を1枚ずつ分離給送する半月コロ(給紙コロ)43及び給紙コロ43に対向し、摩擦係数の大きな材質からなる分離パッド44を備え、この分離パッド44は給紙コロ43側に付勢されている。
【0017】
そして、この給紙部から給紙された用紙42を記録ヘッド34の下方側に送り込むために、用紙42を案内するガイド部材45と、カウンタローラ46と、搬送ガイド部材47と、先端加圧コロ49を有する押さえ部材48とを備えるとともに、給送された用紙42を静電吸着して記録ヘッド34に対向する位置で搬送するための搬送手段である搬送ベルト51を備えている。
【0018】
この搬送ベルト51は、無端状ベルトであり、搬送ローラ52とテンションローラ53との間に掛け渡されて、ベルト搬送方向(副走査方向)に周回するように構成している。また、この搬送ベルト51の表面を帯電させるための帯電手段である帯電ローラ56を備えている。この帯電ローラ56は、搬送ベルト51の表層に接触し、搬送ベルト51の回動に従動して回転するように配置されている。この搬送ベルト51は、後述する副走査モータによってタイミングを介して搬送ローラ52が回転駆動されることによってベルト搬送方向に周回移動する。
【0019】
さらに、記録ヘッド34で記録された用紙42を排紙するための排紙部として、搬送ベルト51から用紙42を分離するための分離爪61と、排紙ローラ62及び排紙コロである拍車63とを備え、排紙ローラ62の下方に排紙トレイ3を備えている。
【0020】
また、装置本体1の背面部には両面ユニット71が着脱自在に装着されている。この両面ユニット71は搬送ベルト51の逆方向回転で戻される用紙42を取り込んで反転させて再度カウンタローラ46と搬送ベルト51との間に給紙する。また、この両面ユニット71の上面は手差しトレイ72としている。
【0021】
さらに、キャリッジ33の走査方向一方側の非印字領域には、記録ヘッド34のノズルの状態を維持し、回復するための維持回復機構81を配置している。この維持回復機構81には、記録ヘッド34の各ノズル面をキャピングするための各キャップ部材(以下「キャップ」という。)82a、82b(区別しないときは「キャップ82」という。)と、ノズル面をワイピングするためのワイパ部材(ワイパブレード)83と、増粘した記録液を排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け84と、キャリッジ33をロックするキャリッジロック87などとを備えている。また、このヘッドの維持回復機構81の下方側には維持回復動作によって生じる廃液を収容するための廃液タンク100が装置本体に対して交換可能に装着される。
【0022】
また、キャリッジ33の走査方向他方側の非印字領域には、記録中などに増粘した記録液を排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け88を配置し、この空吐出受け88には記録ヘッド34のノズル列方向に沿った開口部89などを備えている。
【0023】
このように構成したこの画像形成装置においては、給紙トレイ2から用紙42が1枚ずつ分離給紙され、略鉛直上方に給紙された用紙42はガイド部材45で案内され、搬送ベルト51とカウンタローラ46との間に挟まれて搬送され、更に先端を搬送ガイド37で案内されて先端加圧コロ49で搬送ベルト51に押し付けられ、略90°搬送方向を転換される。
【0024】
このとき、帯電ローラ56に対してプラス出力とマイナス出力とが交互に繰り返すように、つまり交番する電圧が印加され、搬送ベルト51が交番する帯電電圧パターン、すなわち、周回方向である副走査方向に、プラスとマイナスが所定の幅で帯状に交互に帯電されたものとなる。このプラス、マイナス交互に帯電した搬送ベルト51上に用紙42が給送されると、用紙42が搬送ベルト51に吸着され、搬送ベルト51の周回移動によって用紙42が副走査方向に搬送される。
【0025】
そこで、キャリッジ33を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド34を駆動することにより、停止している用紙42にインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙42を所定量搬送後、次の行の記録を行う。記録終了信号又は用紙42の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、用紙42を排紙トレイ3に排紙する。
【0026】
そして、記録ヘッド34のノズルの維持回復を行うときには、キャリッジ33をホーム位置である維持回復機構81に対向する位置に移動して、キャップ部材82によるキャッピングを行ってノズルからの吸引を行うノズル吸引、画像形成に寄与しない液滴を吐出する空吐出などの維持回復動作を行うことにより、安定した液滴吐出による画像形成を行うことができる。
【0027】
次に、ヘッドタンク35の一例について図3及び図4を参照して説明する。なお、図3は同ヘッドタンク35の1つのノズル列分の模式的上面説明図、図4は同じく模式的正面説明図である。
ヘッドタンク35は、インクを保持するための一側部が開口したインク収容部を形成するタンクケース201を有し、このタンクケース201の開口部は撓むことが可能な部材であるフィルム203で密閉してインク収容部202を形成し、タンクケース201内に配置した弾性部材としてバネ204の復元力によってフィルム203を常時外方へ付勢している。このように、タンクケース201のフィルム203にバネ204の復元力が作用していることで、タンクケース201のインク収容部202内のインク残量が減少することによって負圧が発生する。
【0028】
また、タンクケース201の外側には、一端部側を支軸206で揺れ動くことが可能なように支持され、スプリング210によってタンクケース201側に向けて付勢されているフィラからなる変位部材(以下、単に「フィラ」とも表記することがある。)205がフィルム203に接着などで固定され、フィルム部材203の動きに連動して変位部材205が変位する。この変位部材205をキャリッジ33に設ける後述する第1検知手段(第1センサ)251や装置本体側に配置された後述する第2検知手段(第2センサ)301などで検知することでヘッドタンク35内のインク残量や負圧などを検知することができる。
【0029】
また、タンクケース201の上部には、インクカートリッジ10からインクを供給するための供給口部209があり、インク供給チューブ36に接続されている。また、タンクケース201の側部には、ヘッドタンク35内を大気に開放する大気開放機構207が設けられている。この大気開放機構207は、ヘッドタンク35内に連通する大気開放路207aを開閉する弁体207b及びこの弁体207bを閉弁状態に付勢するスプリング207cなどを備え、装置本体側の大気開放ソレノイド302によって弁体207bを押すことで開弁されて、ヘッドタンク35内に大気開放状態(大気に連通した状態)になる。
【0030】
また、ヘッドタンク35内のインク液面高さを検出するための電極ピン208aと208bが取り付けられている。インクは電導性を持っており、電極ピン208aと208bの所までインクが到達すると、電極ピン208aと208b間に電流が流れて両者の抵抗値が変化するため、インク液面高さが所定高さ以下になった、すなわち、ヘッドタンク35の空気量が所定量以上になったことを検出することができる。
【0031】
次に、この画像形成装置におけるインク供給排出系について図5を参照して説明する。
まず、インクカートリッジ(以下、「メインタンク」という。)10からヘッドタンク35に対するインク供給は、供給ポンプユニット24の送液手段である送液ポンプ241によって供給チューブ36を介して行なわれる。なお、送液ポンプ241は、チューブポンプなどで構成した可逆ポンプであり、インクカートリッジ10からヘッドタンク35にインクを供給する動作と、ヘッドタンク35からインクカートリッジ10にインクを戻す動作とを行なえるようにしている。
【0032】
また、維持回復機構81は、前述したように記録ヘッド34のノズル面をキャッピングする吸引キャップ82aと、吸引キャップ82aに接続された吸引ポンプ812を有し、キャップ82aでキャッピングした状態で吸引ポンプ812を駆動することで吸引チューブ811を介してノズルからインクを吸引することによってヘッドタンク35内のインクを吸引することができる。なお、吸引された廃インクは廃液タンク100に排出される。
【0033】
また、装置本体側にはヘッドタンク35の大気開放機構207を開閉する部材である大気開放ソレノイド302が配設され、この大気開放ソレノイド302を作動させることで大気開放機構207を開放することができる。
【0034】
さらに、キャリッジ33には変位部材205を検知する第1検知手段である光学センサからなる第1センサ251が設けられ、装置本体側には変位部材205を検知する光学センサからなる第2検知手段である第2センサ301が設けられている。後述するように、これらの第1センサ251と第2センサ301の検知結果を使用してヘッドタンク35に対するインク供給動作を制御する。
【0035】
なお、上述した送液ポンプ241、大気開放ソレノイド302、吸引ポンプ812の駆動制御、本発明に係るインク供給制御動作は、制御部500によって行なわれる。
【0036】
次に、第1センサ及び第2センサの配置例の異なる例について図6及び図7を参照して説明する。図6及び図7は同配置例の説明に供する側面説明図である。
【0037】
図6に示す第1例は、ヘッドタンク35の変位部材205に支軸206(支点)からの長さの異なる検知部205A、205Bを下方に設けて設け、キャリッジ33に設けた第1センサ251で検知部205Aを、装置本体側の部材(ベース部材)101に設けた第2センサ301で検知部205Bを検知する構成としている。
【0038】
図7に示す第2例は、ヘッドタンク35の変位部材205に支軸206(支点)からの長さが同じ検知部205A、205Bを設けて、キャリッジ33の第1センサ251で検知部205Aを、装置本体側の第2センサ301で検知部205Bを検知する構成としている。
【0039】
次に、この画像形成装置の制御部の概要について図8を参照して説明する。図8は同制御部の全体ブロック説明図である。
この制御部500は、この装置全体の制御を司り、本発明における供給制御手段などの各種制御手段を兼ねるCPU501と、CPU501が実行するプログラム、その他の固定データを格納するROM502と、画像データ等を一時格納するRAM503と、装置の電源が遮断されている間もデータを保持するための書き換え可能な不揮発性メモリ504と、画像データに対する各種信号処理、並び替え等を行う画像処理やその他装置全体を制御するための入出力信号を処理するASIC505とを備えている。
【0040】
また、記録ヘッド34を駆動制御するためのデータ転送手段、駆動信号発生手段を含む印刷制御部508と、キャリッジ33側に設けた記録ヘッド34を駆動するためのヘッドドライバ(ドライバIC)509と、キャリッジ33を移動走査する主走査モータ554、搬送ベルト51を周回移動させる副走査モータ555、維持回復機構81の維持回復モータ556を駆動するためのモータ駆動部510と、帯電ローラ56にACバイアスを供給するACバイアス供給部511と、ヘッドタンク35の大気開放機構207を開閉する装置本体側に設けられた大気開放ソレノイド302、送液ポンプ241を駆動する供給系駆動部512などを備えている。
【0041】
また、この制御部500には、この装置に必要な情報の入力及び表示を行うための操作パネル514が接続されている。
【0042】
この制御部500は、ホスト側とのデータ、信号の送受を行うためのI/F506を持っていて、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置、イメージスキャナなどの画像読み取り装置、デジタルカメラなどの撮像装置などのホスト600側から、ケーブル或いはネットワークを介してI/F506で受信する。
【0043】
そして、制御部500のCPU501は、I/F506に含まれる受信バッファ内の印刷データを読み出して解析し、ASIC505にて必要な画像処理、データの並び替え処理等を行い、この画像データを印刷制御部508からヘッドドライバ509に転送する。なお、画像出力するためのドットパターンデータの生成はホスト600側のプリンタドライバ601で行っている。
【0044】
印刷制御部508は、上述した画像データをシリアルデータで転送するとともに、この画像データの転送及び転送の確定などに必要な転送クロックやラッチ信号、制御信号などをヘッドドライバ509に出力する以外にも、ROMに格納されている駆動パルスのパターンデータをD/A変換するD/A変換器及び電圧増幅器、電流増幅器等で構成される駆動信号生成部を含み、1の駆動パルス或いは複数の駆動パルスで構成される駆動信号をヘッドドライバ509に対して出力する。
【0045】
ヘッドドライバ509は、シリアルに入力される記録ヘッド34の1行分に相当する画像データに基づいて印刷制御部508から与えられる駆動信号を構成する駆動パルスを選択的に記録ヘッド34の液滴を吐出させるエネルギーを発生する駆動素子(例えば圧電素子)に対して印加することで記録ヘッド34を駆動する。このとき、駆動信号を構成する駆動パルスを選択することによって、例えば、大滴、中滴、小滴など、大きさの異なるドットを打ち分けることができる。
【0046】
I/O部513は、装置に装着されている各種のセンサ群515からの情報を取得し、プリンタの制御に必要な情報を抽出し、印刷制御部508やモータ駆動部510、ACバイアス供給部511の制御、ヘッドタンク35に対するインク供給の制御などに使用する。
【0047】
センサ群515は、前述した第1センサ251、第2センサ301、検知電極ピン208a、208bのほか、用紙の位置を検出するための光学センサや、機内の温度、湿度を監視するためのサーミスタ(環境温度センサ、環境湿度センサ)、帯電ベルトの電圧を監視するセンサ、カバーの開閉を検出するためのインターロックスイッチなどがあり、I/O部513は様々のセンサ情報を処理することができる。
【0048】
次に、ヘッドタンク35の変位部材205の位置検知について図9及び図10を参照して説明する。図9はヘッドタンクの変位部材の変位の説明に供する模式的説明図、図10は同位置検知の説明に供する模式的平面説明図である。なお、以下の図ではヘッドタンクは簡略化して図示する。
【0049】
ヘッドタンク35の変位部材205は、内部の液体残量に応じて例えば図9(a)の実線図示の位置と同図(b)の破線図示の位置の間で変位する。
【0050】
そこで、図10に示すように、装置本体側の第2センサ301にてヘッドタンク35の変位部材205を検知したときのキャリッジ33の位置をエンコーダ90にて記憶しておき、ヘッドタンク35の変位部材205が変位したときに、再度第2センサ301にてヘッドタンク35の変位部材205を検知するまでキャリッジ33を移動させて、その時のキャリッジ33の位置をエンコーダ90で読取ることで、変位部材205の位置ないし変位量をキャリッジ位置の差分として検知することができる。
【0051】
このとき、変位部材205の初期位置に対応するヘッドタンク35の液体残量と、変位部材205の変位量に対応する液体量を予め把握しておくことで、検出した変位部材205の変位量からヘッドタンク35内の液体残量を把握することができる。
【0052】
そこで、例えば、第2センサ301を使用してヘッドタンク35の変位部材205を検知することでヘッドタンク35に対する液体供給を制御するときには、印刷動作を停止して、第2センサ301によって変位部材205が検知される位置までキャリッジ33を移動させて液体供給動作を行う。
【0053】
一方、印刷動作中にヘッドタンク35に液体供給を行うときには、後述するように、第2センサ301によって変位部材205が検知される位置までキャリッジ33を移動させることなく、第1センサ251を使用して液体供給動作を行う。
【0054】
次に、ヘッドタンク35内の負圧と液体量の関係について図11を参照して説明する。図11はヘッドタンク内負圧と液体量(以下「インク量」ともいう。)の関係を説明する説明図である。
【0055】
前述したように、ヘッドタンク35内にインクを供給した状態で、ヘッドタンク35内のインクをノズルから吸引して排出させ、あるいは、送液ポンプ241によってメインタンク10に逆送することで、フィルム部材203がバネ204の復元力に抗して内方に引き込まれ、バネ204が圧縮されて負圧が高まる。この状態から、ヘッドタンク35内にインクを供給すると、フィルム部材203が外方向に押し出されるので、バネ204が伸びて負圧が低下する。
【0056】
ここで、ヘッドタンク35内の負圧が弱すぎる(負圧が低すぎる)と、記録ヘッド34のノズルからのインク漏れが発生し、逆に、負圧が強すぎる(高すぎる)と、ノズルから空気や塵を内部に引き込んで、吐出不良の原因となる。また、良好な滴吐出のために最適化されたメニスカス形状保持するためには、ヘッドタンク35内の負圧(圧力)を一定の範囲内になるように制御する必要がある。
【0057】
すなわち、図11に示すように、ヘッドタンク35内の負圧はヘッドタンク35内のインク量と相関関係にあり、ヘッドタンク35内のインク量が多いとき、ヘッドタンク35内の負圧は小さく弱い状態であり、インク量が少ないとき、ヘッドタンク35内の負圧は大きく強くなる。
【0058】
そこで、ヘッドタンク35内からの排出されるインク量を、ヘッドタンク35内の負圧が所定の負圧管理範囲A内に収まる排インク量Bの範囲内になるように、ヘッドタンク35に対するインク供給を制御するようにしている。
【0059】
この負圧管理範囲Aの下限値(負圧が小さい値、排インク量が少ない値)に対応するヘッドタンク35の排インク量を変位部材205の変位位置で「インク供給上限位置」(インク量で「インク供給上限値」)とし、上限値(負圧が大きい値、排インク量が多い値)に対応するヘッドタンク35の排インク量を変位部材205の変位位置で「インク消費下限位置」(インク量で「インク消費下限値」)とする。図10には各位置におけるヘッドタンク35の状態を付記している。
【0060】
次に、ヘッドタンク35のインク供給上限設定位置について図12を参照して説明する。図12は同設定位置の説明に供する説明図である。
【0061】
本実施形態においては、ヘッドタンク35は大気開放機構(大気開放弁)207を有する構成としている。大気開放機構207を開けると、ヘッドタンク35内に空気が流入し、フィルム部材103が伸びきるまで変位し、それに伴って変位部材205も変位した位置が大気開放位置となり、これが変位部材205の基準位置となる。本実施形態では、インク供給上限値は、大気開放位置から、変位部材205が、液体残量が減少する方向に所定変位量r1だけ変位した位置に定めている。
【0062】
なお、前述したように、大気開放位置やインク供給上限位置は、変位部材205を第2センサ301で検知した位置を、キャリッジ33の位置としてエンコーダ90で検出して記憶している。
【0063】
次に、画像形成装置の周囲環境と変位部材205の変位量の関係について図13を参照して説明する。図13は同関係の説明に供する説明図である。なお、以下、図中では変位部材205を「フィラ」と表記する。
【0064】
環境の変化は湿度や温度、気圧などの変化などがある。例えば、湿度の変化によってフィルム部材203が伸縮する場合、大気開放機構207によってヘッドタンク35内を大気開放したとき、ヘッドタンク35内の圧力が大気圧になり、変位部材205がそれに伴い変位した位置は、湿度環境により異なる位置となる。
【0065】
例えば、図13に示すように、高湿時はフィルム部材203が伸びることで、低湿時に比べて変位部材205はヘッドタンク35から離れる位置(液体残量で見た場合に液体残量が多くなる方向)となり、低湿時はフィルム部材20が縮むことで高湿時に比べて、変位部材205はヘッドタンク35に近づく位置(液体残量で見た場合に液体残量が少なくなる方向)に変位する(このときの変位量を変位量r2とする)。
【0066】
前述したように、変位部材205の基準位置を大気開放位置としているので、大気開放位置の変化に伴ってインク供給上限位置も変化することになる。
【0067】
そこで、周囲環境の変化を検知可能な環境検知センサ123を設けて、環境変化に伴ってフィルム部材203が伸縮変化し、ヘッドタンク35内の圧力及び変位部材205の位置が環境変化以前の状態と異なる環境変化を環境検知センサ123で検知したときには、再度、大気開放機構207を開放し、その環境変化での大気開放位置(基準位置)及びインク供給上限位置を、再び測定、記憶する。
【0068】
これにより、装置が置かれている時点の場所における周囲環境に合ったヘッドタンク35内負圧及びインク量の管理を正確に行なうことが可能となる。
【0069】
次に、大気開放時にヘッドタンク35内のインク量を充填満タン位置に設定する方法について図14を参照して説明する。図14は同方法の説明に供する説明図である。
【0070】
前述したように、ヘッドタンク35は、液面を検知可能な電極ピン208を有し、ヘッドタンク35内を大気と連通するための大気開放路207aを有し、大気開放路207aを開閉する大気開放機構207を有している。
【0071】
ヘッドタンク35内を充填満タン位置に設定する一例としては、まず図14(a)に示す状態から、大気開放機構207を開いてヘッドタンク35内の負圧を開放することで、図14(b)に示すようにヘッドタンク35内の液面が低下する。
【0072】
なお、このとき、供給口部209の供給口209aは液面下にあることが好ましい。すなわち、供給口209aが液面上になると、供給口209aか供給口部209を介して供給チューブ36に空気が混入し、次にインクを供給したとき、供給口209aからインクと共に気泡が排出されることがあり、そのまま供給を続けると、気泡が大気開放機構207内に付着して、弁の固着や液漏れを生じるおそれがある。
【0073】
そして、ヘッドタンク35の負圧が開放され、液面が下がった後、図14(c)に示すように、インク300を供給する。インク300を供給することで液面が上昇し、電極ピン208a、208bが所定高さの液面を検知するまで、つまり所定の位置までインク300を供給する。
【0074】
その後、大気開放機構207を閉じて、例えば所定量インクをノズルから排出し、或いはメインタンク10に逆送することで、所定の負圧値となり、ヘッドタンク35のインク量を所定の負圧値が得られる量にすることができる。
【0075】
次に、本発明の第1実施形態におけるインク供給制御の概要について図15を参照して説明する。図15は同説明に供する説明図である。
【0076】
本実施形態では、キャリッジ33上に設置したキャリッジ側第1センサ251にて検知する変位部材205の位置(これを「第1位置」とする。)と、本体ベース101側に設置した本体側第2センサ301にて検知した大気開放検知位置(これを「第2位置」とする)の差分であるフィラ変位量を検出し、印刷中は第1センサ251による検知位置を基準として設定したインク供給上限位置(上限値)とインク消費下限位置(下限値)を管理することで、印刷中のインク供給管理を行っている。
【0077】
このように、印刷中のインク供給制御を行うとき、本来の基準位置となる大気開放位置からキャリッジ側第1センサ251による検知位置に基準を移し、キャリッジ側第1センサ251による検知位置を基準として設定したインク供給上限位置とインク消費下限位置の範囲内で、インク消費とインク供給を繰り返し行い、ヘッドタンク35内のインク残量を常時適正量になるように制御している。
【0078】
ここで、キャリッジ側第1センサ251のキャリッジ33上への設置位置、ヘッドタンク35の部品寸法、フィルム部材203の湿度環境影響による伸縮変位など、個々の装置ごとに各種バラツキが存在するため、個々の装置に適したインク供給制御を管理する必要がある。
【0079】
そこで、本実施形態では、各種制御パラメータ値を設定する前準備設定を行っている。この前準備設定について図16ないし図19を参照して説明する。
【0080】
印刷中のインク供給制御では、変位部材205のキャリッジ側第1センサ251による検知位置(第1位置)を基準とすることから、本来の基準となる大気開放位置からキャリッジ側第1センサ251による検知位置までの変位部材205の変位距離L[mm]を測定する。
【0081】
すなわち、図16(a)に示すように、本体側第2センサ301が変位部材205を検知可能な位置にキャリッジ33を移動させる。そして、図16(b)に示すように、変位部材205が大気開放位置にある状態から送液ポンプ241を逆転駆動して、ヘッドタンク35からメインタンク10に逆送し、キャリッジ側第1センサ251が変位部材205を検知するまでヘッドタンク35からインクを排出してから逆送動作を停止する。
【0082】
その後、図16(c)に示すように、キャリッジ側第1センサ251が変位部材205を検知している状態で、キャリッジ33を、本体側第2センサ301が変位部材205を検知するまで移動させる。このときの移動距離をエンコーダ90で測定することで、大気開放位置からキャリッジ側第1センサ251が変位部材205を検知するまでの変位部材205の変位距離(差分変位量)L[mm]を測定する。
【0083】
そして、測定した変位距離L[mm]を元に、図17に示すように、ヘッドタンク35内からの排インク量と変位部材205の変位量の相関関係を考慮した、変位距離L[mm]に対するインク量換算係数Rmax[cc/mm]にて、変位距離L[mm]当たりの変位インク量l[cc]を算出する。なお、図17中の矢印S1はインク供給方向、矢印S2はインク消費方向を示している(以下、同様である。)。
【0084】
図17は算出した変位インク量l[cc]の負圧−ヘッドタンク35内からの排インク量と変位インク量l[cc]との領域を示している。変位インク量lの算出は、次の(1)式で行うことができる。
【0085】
【数1】

【0086】
なお、インク量換算係数Rmax[cc/mm]は、変位部材205の変位量に対する排インク量が最大値となるよう考慮した換算係数である。
【0087】
次に、前準備設定2として第1センサ251による変位部材205の検知からインク消費下限位置までのインク量W[cc]の設定を行う。
【0088】
つまり、印刷によってヘッドタンク35内のインクが消費されることで、変位部材205は液体残量が減少する方向に変位する。このとき、キャリッジ側第1センサ251が変位部材205を検知した時点から、記録ヘッド34のノズルから吐出される液滴量(液体消費量)をソフトカウントによってソフトカウントしたとき、インク消費下限位置(値)を検知するまでのインク量W[cc]を設定する。なお、ソフトカウントでは、吐出された液滴の滴量毎の滴数をカウントし、滴量×滴数で得られる滴の大きさ毎の滴量の合計値を合算して液体消費量とする。
【0089】
図18はこの前準備設定2について説明するものである。インク量W[cc]の設定として、大気開放位置とインク消費下限位置との間のインク量を最大排インク量E[cc]とするとき、最大排インク量E[cc]から、前準備設定1にて算出した変位インク量l[cc]を差し引いたものが、インク量W[cc]となる。
【0090】
詳しくは、キャリッジ側第1センサ251の設置位置のバラツキやセンサ検知誤差、印刷動作における変位部材205の振動バタツキなどの最大バラツキ、及びソフトカウント量の最大バラツキ(100+Smax)[%]を含めた条件でも、インク消費下限位置(値)以下にならないようなソフトカウント量としてのインク量W[cc]を設定する。このインク量W[cc]の算出は、次の(2)式で行うことができる。
【0091】
【数2】

【0092】
次に、図19は前準備設定3について説明するものである。ここでは、印刷時にインク消費下限値をソフトカウントによって検知した後、送液ポンプ241を駆動してメインタンク10からヘッドタンク35にインクを供給する。このとき、キャリッジ側第1センサ251が変位部材205を検知した時点からの送液ポンプ241の駆動時間t[sec]を設定する。
【0093】
大気開放位置から算出されるインク供給上限値になる負圧形成用インク量a[cc]と、キャリッジ側第1センサ251や本体側第2センサ301のセンサ検知誤差などバラツキ量を前準備設定1にて先に算出したl[cc]から差し引くことで、インク量V1[cc]を求めることができる。
【0094】
そこで、キャリッジ側第1センサ251が変位部材205を検知した後の送液ポンプ241の駆動時間t[sec]は、インク量V1[cc]を送液ポンプ241の最大インク供給流量Qmax[cc/sec]で供給する時間とする。
【0095】
また、駆動時間t[sec]は、最大にインク供給してしまう条件、例えば送液ポンプ241の送液流量、ソフト制御遅延、キャリッジ側第1センサ251の検知誤差、変位部材205の振動バタツキなど各々のバラツキの影響を考慮しても、インク供給上限値を超えない時間を設定する。
【0096】
ここで、これらのインク量V1[cc]、駆動時間t[sec]の算出は、次の(3)式、(4)式で行うことができる。
【0097】
【数3】

【0098】
【数4】

【0099】
なお、負圧形成用インク量a[cc]は、大気開放位置から所定距離A[mm]から換算した負圧形成に必要なインク量とすることもできる。すなわち、大気開放位置−A[mm]=第2位置、とすることもできる。
【0100】
これらの前準備設定は、各メカ的バラツキや、光学的検知バラツキ、制御バラツキの考慮の他に、ヘッドタンク35の負圧特性も考慮して行っている。ヘッドタンク35は、その構成上、前述した図20に示すような、温湿度環境、ヘッドタンク35からのインク排出及び供給によるヒステリシスを有する負圧特性を持つため、これらを考慮した制御範囲内でヘッドタンク35内のインク量を常時コントロールする。
【0101】
次に、印刷動作中のインク消費、供給制御の基本的な動作について図21を参照して説明する。図21はヘッドタンクの大気開放状態から送液ポンプ駆動停止までの状態遷移の説明に供する説明図である。
【0102】
状態P1、P2にて、印刷中インク供給制御のための前準備設定である測定、制御値設定を行い、インク供給上限値で待機する。
【0103】
印刷を実行すると、状態P3からインク消費と共に変位部材205が変位し、状態P4のキャリッジ側第1センサ251によって変位部材205を検知するまでインク消費すると、インク消費量のソフトカウントを開始する。
【0104】
その後、インク消費量のソフトカウントにて、インク消費下限値までインク量W[cc]をインク消費したことが検知されると、状態P5となり、状態P6である送液ポンプ241の駆動を開始し、メインタンク10からヘッドタンク35にインクを供給する。
【0105】
インクが供給されることで、ヘッドタンク35の変位部材205が再びキャリッジ側第1センサ251による検知位置まで変位して状態P7となる。
【0106】
さらに、送液ポンプ241の駆動時間t[sec]分を追加して送液ポンプ241を駆動してインク供給を継続することで、状態P8となって、印刷開始時の初期状態P3に戻る。
【0107】
このような一連のインク消費及びインク供給制御動作が可能となるのは、キャリッジ側第1センサ251で変位部材205を検知した時点で、ソフトカウント誤差や送液ポンプ241のインク供給量の誤差などの検知誤差の積み上がりをなくすることができるからである。
【0108】
また、キャリッジ側第1センサ251と本体側第2センサ301の2つのセンサを用いることで、個々の装置の部品精度や、周辺環境による各種バラツキに適合する制御設定が可能となるからである。
【0109】
次に、本実施形態における送液ポンプの駆動制御に関して説明する。
【0110】
本実施形態では、メインタンク10からヘッドタンク35にインクを供給するために送液ポンプ241を駆動するとき、送液ポンプ241の駆動累積時間を計測し、駆動累積時間が予め設定した所定時間(これを「タイムアウト閾値」という。)を経過したとき、送液ポンプ241の駆動を停止する制御を行っている。
【0111】
ここで、送液ポンプ241の駆動累積時間は、印刷動作中では、図21の状態P5であるインク消費下限値になるインク量W[cc]までインク消費したことを検知し、送液ポンプ241の駆動を開始したときから、変位部材205がキャリッジ側第1センサ251で検知されるまでの間計測する。
【0112】
ところで、送液ポンプ241によって送液を行っているにもかかわらず、正常な送液を行えない場合が生じることがある。この正常な送液を行えない場合としては、例えば、メインタンク10内のインク残量が極少量、又は空になった場合がある。また、送液ポンプ241に障害が生じ、インク供給をできない、又はインク供給流量が所定流量(駆動時間tを設定するときに予定した流量)よりも少ない場合がある。また、インク供給経路(供給チューブ36)やヘッドタンク35からインクや空気がリークしている場合がある。また、変位部材205が破損していることや、キャリッジ側第1センサ251が故障している場合などもあり得る。
【0113】
そこで、送液ポンプ241を駆動しても変位部材205がキャリッジ側第1センサ251で所定時間所定に検知されないときには、送液ポンプ241の駆動を停止する制御をする。この場合、正常状態でないことを報知することもできる。
【0114】
なお、第2センサ301を使用してメインタンク10からヘッドタンク35にインクを供給するときに、予め定めた時間内に変位部材205が変位しない場合にメインタンク10のニアーエンドやエンドと判定する機能を有している場合にも、上記本発明における制御はフェイルセーフ機能として作用する。
【0115】
また、本実施形態では、印刷終了時に、図21に示す状態P4から状態P5の間である、変位部材205がキャリッジ側第1センサ251で検知された後にインク消費量のソフトカウントを開始していたときには、同様に、送液ポンプ241を駆動してインク供給を行い、送液ポンプ241の駆動累積時間が、予め設定した所定のタイムアウト閾値を経過したとき、送液ポンプ241の駆動を停止するようにしている。
【0116】
本実施形態において、予め設定する所定のタイムアウト閾値は、可能な限り短時間の方が良い。
【0117】
これは、例えば、インク供給経路(供給チューブ36)やヘッドタンク35からインクや空気がリークしている場合、変位部材205が破損している場合、キャリッジ側第1センサ251が故障している場合など、送液ポンプ241を駆動しても変位部材205がキャリッジ側第1センサ251で検知されないときには、装置自体の破損や多大なインク漏れなどが発生するおそれがある。そのため、障害発生の検知ないし報知は、可能な限り早いほうが良いためである。
【0118】
また、メインタンク10内のインクが極少量、又は空になってからも、送液ポンプ241の駆動を継続すると、メインタンク10から送液ポンプ241までの間のインク供給経路内の圧力が強負圧となり、インク供給経路内に多量の空気が混入するおそれがある。インク供給経路内に多量の空気が混入すると、混入した空気がヘッドタンク35内に供給口209aからインクと共に気泡となって排出されることがある。
【0119】
このような状態になると、ヘッドタンク35に対して大気開放状態でのインク供給(大気開放充填という。)を行うときは、そのままインク供給を続けると、インク液面を電極ピン208にて検知する前に、気泡が大気開放路207aを通り、大気開放機構207内の弁体207bなどに付着して、弁の固着、またはインク漏れの障害になることもある。
【0120】
また、ヘッドタンク35内に多量の空気が混入すると、温度環境変化により空気が膨張及び収縮することで、ヘッドタンク内圧力が大きく変動して、インク漏れの障害を生じるか、又は電極ピン208にてインク液面を検知できなくなり、空気の多量混入を検知することで、無駄に大気開放によるインク充填制御を行うことになる。
【0121】
そこで、本実施形態では、送液ポンプ241の駆動累積時間の計測は、ヘッドタンク35内のインク量がインク供給上限値になるまで行うのではなく、変位部材205がキャリッジ側第1センサ251にて検知されるまで行うものとし、少ないインク量分を供給するための時間を考慮したタイムアウト閾値を設定している。
【0122】
これにより、予め設定する所定のタイムアウト閾値を短時間にすることができる。
【0123】
このタイムアウト閾値の設定は、送液ポンプ241を駆動し、インク供給を行なっている間、印刷動作により記録ヘッド34から液滴を吐出して、ヘッドタンク35内のインクが消費されていく印刷動作中のインク供給動作に対して特に有効となる。
【0124】
ここで、所定のタイムアウト閾値の設定について説明する。
【0125】
所定のタイムアウト閾値tout[sec]は、送液ポンプ241を駆動するときのヘッドタンク35内のインク量から、変位部材205がキャリッジ側第1センサ251で検知されるまでのインク供給量C[cc]と、送液ポンプ241のインク供給量Q[ml/sec]から算出するようにしている。
【0126】
まず、タイムアウト閾値tout[sec]の内、記録ヘッド34から液滴を吐出している印刷動作中など、ヘッドタンク35のインクを消費しながらヘッドタンク35にインク供給を行っているときの第1所定時間である第1タイムアウト閾値(第1所定時間)tout1[sec]は、インク供給量C[cc]と送液ポンプ241の所定の最小インク供給量Qmin[ml/sec]と最大インク吐出量dmax[cc/sec]から算出する((4)式による。)。
【0127】
これに対し、非印刷動作時など、ヘッドタンク35のインクを消費しないでヘッドタンク35にインク供給を行っているときの第2所定時間である第2タイムアウト閾値(第2所定時間)tout2[sec]は、送液ポンプ241の所定の最小インク供給量Qmin[ml/sec]から算出する((5)式による。)。
【0128】
このとき、(5)式、(6)式に示すように、キャリッジ側第1センサ251のセンサ検知誤差、印刷動作中のインク供給の場合は変位部材205の振動バタツキを考慮した補正値αを追加して算出することができる。
【0129】
【数5】

【0130】
【数6】

【0131】
次に、タイムアウト閾値tout[sec]の設定の異なる例について説明する。
【0132】
まず、印刷動作としては、例えば画質よりも速度を優先する高速モード、速度よりも画質を優先する高精細モードなどの各種の印刷モードがある。この例では、高速モードでは、高精細モードに比べて、少数のキャリッジ走査で画像形成することから、ヘッドから吐出するインク滴サイズが大きくなり、1走査あたりでの吐出するインク量が相対的に多くなる。
【0133】
そこで、印刷動作を行うときの印刷モードによってヘッドからの吐出滴量や吐出速度の制御が異なり、上述した最大インク吐出量dmax[cc/sec]が異なるときは、各印刷モードに応じて第1タイムアウト閾値tout1[sec]を異ならせることができる。
【0134】
また、印刷動作中のヘッドタンク35に対するインク供給を、被記録媒体に対する印字を行う領域(印字領域)以外の非印字領域でも行うようにした場合には、非印字領域における記録ヘッド滞在時間と印字領域における記録ヘッド滞在時間を考慮して、第1タイムアウト閾値tout1[sec]を算出することができる。なお、滞在時間とは記録ヘッドが印字領域又は非印字領域に対向している時間である。
【0135】
この場合、印字領域における記録ヘッド滞在時間は、被記録媒体のサイズによって異なることになる。そこで、被記録媒体のサイズに応じた第1タイムアウト閾値tout1[sec]を設定する。つまり、被記録媒体のサイズに応じて第1タイムアウト閾値tout1[sec]を変更することが好ましい。
【0136】
一方、非印字領域における記録ヘッド滞在時間は、例えばキャリッジ33の加減速駆動時間、又は被記録媒体を搬送するため搬送時間である。被記録媒体を搬送する搬送量が印刷モード、例えば高速モードや高精細モードなどの違いによって異なるときには、各印刷モードに応じて第1タイムアウト閾値tout1[sec]を設定することもできる。
【0137】
また、印刷動作として、キャリッジ33の往路及び復路で印刷を行う双方向印刷モードと、キャリッジ33の往路又は復路で印刷を行う片方向印刷モードとを選択できるとき、双方向印刷及び片方向印字での印刷モードの選択によって第1タイムアウト閾値tout1[sec]を異ならせることもできる。
【0138】
次に、上述した制御部による前準備設定について図22のフロー図を参照して説明する。
【0139】
まず、ヘッドタンク35を大気開放状態にし、第2センサ301で変位部材205を検知する位置(これを「第2位置」とする。)にキャリッジ33を移動する。
【0140】
そして、送液ポンプ241の逆転動作にて、第1センサ251が変位部材205を検知するまでインク吸引してから逆転動作を停止する。
【0141】
次いで、第2センサ301が変位部材205を検知する位置までキャリッジ33の移動を開始し、リニアエンコーダ90によるカウントを開始して、第2センサ301が変位部材205を検知したときにカウントを停止する。
【0142】
これにより、大気開放位置(第2位置)と第1センサ251が変位部材205を検知する第1位置との間の変位部材205の変位量(変位距離)Lを算出する。
【0143】
その後、前述したように、変位量Lなどから変位インク量lを算出し、インク量Wを設定して、インク量V1を算出し、第2センサ301を使用しないでインク供給を行うときの差分供給量に相当する送液ポンプ241の駆動時間tを設定する。
【0144】
また、ここでは、大気開放位置を第2位置としているが、前述したように、充填満タン位置そのものを第2位置として、第2位置と第1位置との間の変位量に相当する供給量を差分供給として記憶するようにすることもできる。これは、充填満タン位置の決定の仕方によるものである。
【0145】
次に、本発明の第1実施形態における制御部による第2センサを用いないインク充填制御(供給制御)について図23のフロー図を参照して説明する。
【0146】
前述したように、ヘッドタンク35のインク残量が減少して変位部材205が第1センサ251で検知され、その後のインク消費量がインク消費下限値になったことがソフトカウントで検知されることで、このインク供給(充填)制御がエントリイされる。
【0147】
まず、印刷動作中のインク充填か否かを判別する。ただし、これはインク充填前毎の判断でなく、印刷動作前に判断してもよい。
【0148】
ここで、印刷動作中のインク充填であれば、つまり、ヘッドタンク35のインクを消費しながら充填を行うときには、印刷時タイムアウト値(第1タイムアウト閾値tout1)を設定する。その後、送液ポンプ241の駆動を開始する。
【0149】
そして、第1センサ251が変位部材205を検知したか否かを判別する。このとき、第1センサ251が変位部材205を検知していなければ、送液ポンプ241の駆動開始から印刷時タイムアウト値の時間が経過したか否かを判別し、印刷時タイムアウト値の時間が経過していなければ、再度第1センサ251が変位部材205を検知したか否かの判別処理に戻る。
【0150】
そして、印刷時タイムアウト値の時間が経過する前に、第1センサ251が変位部材205を検知すれば、駆動時間t分送液ポンプ241を駆動して差分量分のインクを充填し、送液ポンプ241の駆動を停止し、このインク充填制御を正常終了する。
【0151】
これに対し、印刷時タイムアウト値の時間が経過する前に、第1センサ251が変位部材205を検知しなければ、つまり、第1センサ251が変位部材205を検知する前に、印刷時タイムアウト値の時間が経過したときには、送液ポンプ241を停止し、タイムアウト検知を報知する。なお、報知は画像形成装置の操作パネルやホスト側のプリンタドライバを介して行うことができる。
【0152】
一方、印刷動作中のインク充填であれば、つまり、ヘッドタンク35のインクを消費しないで充填を行うとき(これを「メンテナンス時」と称する。)には、メンテナンス時タイムアウト値(第2タイムアウト閾値tout2)を設定する。その後、送液ポンプ241の駆動を開始する。なお、ここでいう「メンテナンス時」は、例えば記録ヘッド34のノズルから回復動作のために吸引を行っているときにヘッドタンク35にインクを供給していることまで意味するものではない。
【0153】
そして、第1センサ251が変位部材205を検知したか否かを判別する。このとき、第1センサ251が変位部材205を検知していなければ、送液ポンプ241の駆動開始からメンテナンス時タイムアウト値の時間が経過したか否かを判別し、メンテナンス時タイムアウト値の時間が経過していなければ、再度第1センサ251が変位部材205を検知したか否かの判別処理に戻る。
【0154】
そして、メンテナンス時タイムアウト値の時間が経過する前に、第1センサ251が変位部材205を検知すれば、駆動時間t分送液ポンプ241を駆動して差分量分のインクを充填し、送液ポンプ241の駆動を停止し、このインク充填制御を正常終了する。
【0155】
これに対し、メンテナンス時タイムアウト値の時間が経過する前に、第1センサ251が変位部材205を検知しなければ、つまり、第1センサ251が変位部材205を検知する前に、メンテナンス時タイムアウト値の時間が経過したときには、送液ポンプ241を停止し、タイムアウト検知を報知する。なお、報知は画像形成装置の操作パネルやホスト側のプリンタドライバを介して行うことができる。
【0156】
このように、送液ポンプを駆動する前に、印刷動作中(ヘッドタンクのインク消費を伴う供給)か非印字動作(ヘッドタンクのインク消費を伴わない供給)かを判定し、予め定める所定のタイムアウト閾値tout[sec]を設定することにより、非印字動作時に無駄に長時間のタイムアウト閾値を設定することなく、適正なタイムアウト値を設定することができる。
【0157】
つまり、前述したように、供給が正常に行われない場合に対処するために、送液ポンプの駆動開始から所定時間内に第2センサで変位部材を検知できないときには駆動を停止する制御を行っている。
【0158】
ここで、同じ供給流量であれば、非印刷動作中に供給を行うときには、印刷動作中に供給を行う場合に比べて、短時間でヘッドタンク内のインクが増加することになる。そのため、非印刷動作中のタイムアウト時間を印刷動作中のタイムアウト時間と同じに設定すると、無駄に長いタイムアウト時間が設定されることになる。
【0159】
そこで、本実施形態では、非印刷動作中の第2タイムアウト閾値tout2を印刷動作中の第1タイムアウト閾値tout1よりも短く(tout2<tout1)設定することで、無駄に長いタイムアウト閾値を設定しないだけでなく、より正確にタイムアウト閾値を設定できて、供給不良による装置の損傷や画像品質の低下などを未然に確実に防止することができるようになる。
【0160】
次に、本発明の第2実施形態における制御部による第2センサを用いない印刷動作中のインク充填制御(供給制御)について図24のフロー図を参照して説明する。
【0161】
本実施形態では、印刷動作中(ヘッドタンク35のインクを消費しながら供給を行うとき)の第1タイムアウト閾値tout1として、第1の1タイムアウト閾値tout1−1と、第1の2タイムアウト閾値tout1−2を設定している。
【0162】
ここで、第1の1タイムアウト閾値tout1−1は、送液ポンプ241の駆動開始からの経過時間が、第1センサ251によって変位部材205が検知される前に、第1の1タイムアウト閾値tout1−1に達したときに印刷動作を停止するための時間である。
【0163】
第1の2タイムアウト閾値tout1−2は、上記第1の1タイムアウト閾値tout1−1によって印刷動作を停止することで、ヘッドタンク35のインクを消費しないでインク供給を継続することになるが、この状態になってからの経過時間が、第1センサ251によって変位部材205が検知される前に、第1の2タイムアウト閾値tout1−2に達したときに送液ポンプ241を停止するための時間である。
【0164】
このとき、第1のタイムアウト閾値tout1−1と、第1の2タイムアウト閾値tout1−2は、例えば、次の(7)式、(8)式のように表してもよい。
【0165】
【数7】

【0166】
【数8】

【0167】
また、第1の2タイムアウト閾値tout1−2[sec]は、第1の1タイムアウト閾値tout1−1[sec]を経過するまでに最小送液流量Qmin[cc/sec]にてインク供給したインク量とインク吐出積算量(累積消費量)w[cc]を差し引いたインク量を、前述のインク供給量C[cc]から差し引き、残りのインク量分を送液する時間を送液ポンプ241の最小送液流量Qmin[cc/sec]から算出する。また、センサ検知誤差などを考慮したα[sec]分を追加してもよい。
【0168】
そこで、図24を参照して、印刷時インク充填制御を開始すると、まず、印刷時タイムアウト値として、第1印刷時タイムアウト値(前記第1の1タイムアウト閾値tout1−1)と、第2印刷時タイムアウト値(前記第1の2タイムアウト閾値tout1−2)を設定する。その後、送液ポンプ241の駆動を開始する。
【0169】
そして、第1センサ251が変位部材205を検知したか否かを判別する。このとき、第1センサ251が変位部材205を検知していなければ、送液ポンプ241の駆動開始から第1印刷時タイムアウト値の時間が経過したか否かを判別し、第1印刷時タイムアウト値の時間が経過していなければ、再度第1センサ251が変位部材205を検知したか否かの判別処理に戻る。
【0170】
そして、第1印刷時タイムアウト値の時間が経過する前に、第1センサ251が変位部材205を検知すれば、駆動時間t分送液ポンプ241を駆動して差分量分のインクを充填し、送液ポンプ241の駆動を停止し、このインク充填制御を正常終了する。
【0171】
これに対し、第1印刷時タイムアウト値の時間が経過する前に、第1センサ251が変位部材205を検知しなければ、つまり、第1センサ251が変位部材205を検知する前に、第1印刷時タイムアウト値の時間が経過したときには、送液ポンプ241を停止し、更に印刷動作を停止する。その後、その後、第1印刷時タイムアウト値と第1印刷時タイムアウトを検知するまでにインク吐出したインク吐出積算量(累積消費量)w[cc]から算出した第2印刷時タイムアウト値を設定し、送液ポンプ241の駆動を開始する。これにより、ヘッドタンク35のインクを消費しない状態でインク充填が開始される。
【0172】
そして、第1センサ251が変位部材205を検知したか否かを判別する。このとき、第1センサ251が変位部材205を検知していなければ、送液ポンプ241の再駆動開始から第2印刷時タイムアウト値の時間が経過したか否かを判別し、第2印刷時タイムアウト値の時間が経過していなければ、再度第1センサ251が変位部材205を検知したか否かの判別処理に戻る。
【0173】
そして、第2印刷時タイムアウト値の時間が経過する前に、第1センサ251が変位部材205を検知すれば、駆動時間t分送液ポンプ241を駆動して差分量分のインクを充填し、送液ポンプ241の駆動を停止し、このインク充填制御を正常終了する。
【0174】
これに対し、第2印刷時タイムアウト値の時間が経過する前に、第1センサ251が変位部材205を検知しなければ、つまり、第1センサ251が変位部材205を検知する前に、第2印刷時タイムアウト値の時間が経過したときには、送液ポンプ241を停止し、タイムアウト検知を報知する。
【0175】
本実施形態による印刷時インク充填制御は、特に、送液ポンプ241のインク供給流量Qmin[cc/sec]と記録ヘッド34からの最大インク吐出量dmax[cc/sec]が近似し、供給しても消費されるために、印刷動作中のインク供給でのタイムアウト閾値tout[sec]が長時間になるときに有効である。
【0176】
つまり、このように供給と消費がバランスしているときには、変位部材205が第1センサ251で検知されないまま、第1の1タイムアウト閾値(第1印刷時タイムアウト値)を経過したときには、一旦印刷動作を停止し、記録ヘッド34からのインク吐出を停止してインク供給を行う。そして、その状態で第1の2タイムアウト閾値(第2印刷時タイムアウト値)が経過しても、変位部材205が第1センサ251で検知されないときには、送液ポンプ241の駆動を停止し、供給不良による装置の損傷や画像品質の低下などを未然に確実に防止でき、タイムアウト検知を報知することで、異常状態を早期に報知することができる。
【0177】
次に、本発明の第3実施形態における制御部による第2センサを用いない印刷動作中のインク充填制御(供給制御)について図25のフロー図を参照して説明する。
【0178】
本実施形態は、前記第2実施形態において、複数の被記録媒体に連続して印刷を行うとき、第1印刷時タイムアウト値が経過する前に、印刷中の被記録媒体への印刷動作が終了したときには、第1印刷時タイムアウト値が経過していなくとも、印刷動作を一旦停止して、ヘッドタンク35のインクを消費しないで供給を行う状態に移行し、この状態で第2印刷時タイムアウト値が経過したときには送液ポンプ241の駆動を停止し、タイムアウト検知を報知するようにしたものである。
【0179】
つまり、図25を参照して、印刷時インク充填制御を開始すると、まず、印刷時タイムアウト値を設定する。その後、送液ポンプ241の駆動を開始する。
【0180】
そして、第1センサ251が変位部材205を検知したか否かを判別する。このとき、第1センサ251が変位部材205を検知していなければ、送液ポンプ241の駆動開始から第1印刷時タイムアウト値の時間が経過したか否かを判別する。
【0181】
ここで、第1印刷時タイムアウト値の時間が経過していなければ、次の印刷媒体(被記録媒体)に移行するか否かを判別し、次の印刷媒体へ移行しないときには、再度第1センサ251が変位部材205を検知したか否かの判別処理に戻る。
【0182】
そして、第1印刷時タイムアウト値の時間が経過する前で、かつ、次の印刷媒体へ移行する前に、第1センサ251が変位部材205を検知すれば、駆動時間t分送液ポンプ241を駆動して差分量分のインクを充填し、送液ポンプ241の駆動を停止し、このインク充填制御を正常終了する。
【0183】
これに対し、第1印刷時タイムアウト値の時間が経過する前に、第1センサ251が変位部材205を検知しなければ、つまり、第1センサ251が変位部材205を検知する前に、第1印刷時タイムアウト値の時間が経過したときには、送液ポンプ241を停止し、更に印刷動作を停止する。その後、第1印刷時タイムアウト値と第1印刷時タイムアウトを検知するまでにインク吐出したインク吐出積算量(累積消費量)w[cc]から算出した第2印刷時タイムアウト値を設定し、送液ポンプ241の駆動を開始する。これにより、ヘッドタンク35のインクを消費しない状態でインク充填が開始される。
【0184】
そして、第1センサ251が変位部材205を検知したか否かを判別する。このとき、第1センサ251が変位部材205を検知していなければ、送液ポンプ241の再駆動開始から第2印刷時タイムアウト値の時間が経過したか否かを判別し、第2印刷時タイムアウト値の時間が経過していなければ、再度第1センサ251が変位部材205を検知したか否かの判別処理に戻る。
【0185】
ここで、第2印刷時タイムアウト値の時間が経過する前に、第1センサ251が変位部材205を検知すれば、印刷動作を再開し、駆動時間t分送液ポンプ241を駆動して差分量分のインクを充填し、送液ポンプ241の駆動を停止し、このインク充填制御を正常終了する。
【0186】
これに対し、第2印刷時タイムアウト値の時間が経過する前に、第1センサ251が変位部材205を検知しなければ、つまり、第1センサ251が変位部材205を検知する前に、第2印刷時タイムアウト値の時間が経過したときには、送液ポンプ241を停止し、タイムアウト検知を報知する。
【0187】
また、第1センサ251が変位部材205を検知する前で、かつ、第1印刷時タイムアウト値の時間が経過する前に、次の印刷媒体へ移行するときにも、第1センサ251が変位部材205を検知する前に、第1印刷時タイムアウト値の時間が経過したときと同様の処理を行う。
【0188】
つまり、上述したように、送液ポンプ241を停止し、更に印刷動作を停止する。その後、送液ポンプ241の駆動を開始する。これにより、ヘッドタンク35のインクを消費しない状態でインク充填が開始される。
【0189】
そして、第1センサ251が変位部材205を検知したか否かを判別する。このとき、第1センサ251が変位部材205を検知していなければ、送液ポンプ241の再駆動開始から第2印刷時タイムアウト値の時間が経過したか否かを判別し、第2印刷時タイムアウト値の時間が経過していなければ、再度第1センサ251が変位部材205を検知したか否かの判別処理に戻る。
【0190】
ここで、第2印刷時タイムアウト値の時間が経過する前に、第1センサ251が変位部材205を検知すれば、印刷動作を再開し、駆動時間t分送液ポンプ241を駆動して差分量分のインクを充填し、送液ポンプ241の駆動を停止し、このインク充填制御を正常終了する。
【0191】
これに対し、第2印刷時タイムアウト値の時間が経過する前に、第1センサ251が変位部材205を検知しなければ、つまり、第1センサ251が変位部材205を検知する前に、第2印刷時タイムアウト値の時間が経過したときには、送液ポンプ241を停止し、タイムアウト検知を報知する。
【0192】
このように構成した場合にも、連続印刷を行っているとき、供給不良による装置の損傷や画像品質の低下などを未然に確実に防止でき、タイムアウト検知を報知することで、異常状態を早期に報知することができる。
【0193】
なお、ここでは、複数の被記録媒体に連続して印刷を行う場合について説明しているが、ロール紙などの連続紙に印刷する場合などにも、所要の画像領域への印刷動作が終了した(上記の制御で1つの被記録媒体への印刷が終了したに相当する)か否かを判別することで、同様な制御を行うことができる。
【0194】
また、複数の被記録媒体に連続して印刷を行う場合や連続紙に印刷を行う場合、途中で印刷モードが変更されたときには、前述したように予め各印刷モードに応じた印刷時タイムアウト閾値を設定しておき、印刷モードの変更に伴って印刷時タイムアウト閾値も変更するようにすることが好ましい。これにより、より適切なタイムアウト閾値を設定することができる。
【0195】
次に、本発明の第4実施形態における制御部による第2センサを用いない印刷動作中のインク充填制御(供給制御)について図26のフロー図を参照して説明する。
【0196】
本実施形態では、印刷動作中にインク供給を行うとき、記録ヘッド34が非印刷領域に移動し、その時点でのキャリッジ33の1走査分の印刷が終了しているとき、例えば印刷動作中に空吐出受け88側に移動させて空吐出動作を入れるようなとき、一旦、印刷動作を停止し、記録ヘッド34からのインク吐出が無い状態(ヘッドタンク35のインクを消費しない状態)にしてインク供給を行う。
【0197】
この状態で、第1センサ251が変位部材205を検知するまでに第1印刷時タイムアウト値と第1印刷時タイムアウトを検知するまでにインク吐出したインク吐出積算量(累積消費量)w[cc]から算出した第2印刷時タイムアウト値が経過したときには、送液ポンプ241の駆動を停止し、タイムアウト検知を報知するようにしている。
【0198】
なお、第2印刷時タイムアウト値は、前述した(8)式の第2印刷時タイムアウト値を用いる。
【0199】
そこで、図26を参照して、印刷時インク充填制御を開始すると、まず、印刷時タイムアウト値として、第1印刷時タイムアウト値(前記第1の1タイムアウト閾値tout1−1)を設定する。その後、送液ポンプ241の駆動を開始する。
【0200】
そして、第1センサ251が変位部材205を検知したか否かを判別する。このとき、第1センサ251が変位部材205を検知していなければ、送液ポンプ241の駆動開始から第1印刷時タイムアウト値の時間が経過したか否かを判別する。
【0201】
ここで、第1印刷時タイムアウト値の時間が経過していなければ、記録ヘッド34が印刷領域外に位置するか否かを判別し、記録ヘッド34が印刷領域外に位置しないときには、再度第1センサ251が変位部材205を検知したか否かの判別処理に戻る。
【0202】
そして、第1印刷時タイムアウト値の時間が経過する前で、かつ、記録ヘッド34が印刷領域外に位置する前に、第1センサ251が変位部材205を検知すれば、駆動時間t分送液ポンプ241を駆動して差分量分のインクを充填し、送液ポンプ241の駆動を停止し、このインク充填制御を正常終了する。
【0203】
これに対し、第1印刷時タイムアウト値の時間が経過する前に、第1センサ251が変位部材205を検知しなければ、つまり、第1センサ251が変位部材205を検知する前に、第1印刷時タイムアウト値の時間が経過したときには、送液ポンプ241を停止し、更に印刷動作を停止する。その後、第1印刷時タイムアウト値と第1印刷時タイムアウトを検知するまでにインク吐出したインク吐出積算量(累積消費量)w[cc]から算出した第2印刷時タイムアウト値を設定し、送液ポンプ241の駆動を開始する。これにより、ヘッドタンク35のインクを消費しない状態でインク充填が開始される。
【0204】
そして、第1センサ251が変位部材205を検知したか否かを判別する。このとき、第1センサ251が変位部材205を検知していなければ、送液ポンプ241の再駆動開始から第2印刷時タイムアウト値の時間が経過したか否かを判別し、第3印刷時タイムアウト値の時間が経過していなければ、再度第1センサ251が変位部材205を検知したか否かの判別処理に戻る。
【0205】
ここで、第2印刷時タイムアウト値の時間が経過する前に、第1センサ251が変位部材205を検知すれば、印刷動作を再開し、駆動時間t分送液ポンプ241を駆動して差分量分のインクを充填し、送液ポンプ241の駆動を停止し、このインク充填制御を正常終了する。
【0206】
これに対し、第2印刷時タイムアウト値の時間が経過する前に、第1センサ251が変位部材205を検知しなければ、つまり、第1センサ251が変位部材205を検知する前に、第2印刷時タイムアウト値の時間が経過したときには、送液ポンプ241を停止し、タイムアウト検知を報知する。
【0207】
また、第1センサ251が変位部材205を検知する前で、かつ、第1印刷時タイムアウト値の時間が経過する前に、記録ヘッド34が印刷領域外に位置したときにも、第1センサ251が変位部材205を検知する前に、第1印刷時タイムアウト値の時間が経過したときと同様の処理を行う。
【0208】
つまり、上述したように、送液ポンプ241を停止し、更に印刷動作を停止する。その後、送液ポンプ241の駆動を開始する。これにより、ヘッドタンク35のインクを消費しない状態でインク充填が開始される。
【0209】
そして、第1センサ251が変位部材205を検知したか否かを判別する。このとき、第1センサ251が変位部材205を検知していなければ、送液ポンプ241の再駆動開始から第3印刷時タイムアウト値の時間が経過したか否かを判別し、第2印刷時タイムアウト値の時間が経過していなければ、再度第1センサ251が変位部材205を検知したか否かの判別処理に戻る。
【0210】
ここで、第2印刷時タイムアウト値の時間が経過する前に、第1センサ251が変位部材205を検知すれば、印刷動作を再開し、駆動時間t分送液ポンプ241を駆動して差分量分のインクを充填し、送液ポンプ241の駆動を停止し、このインク充填制御を正常終了する。
【0211】
これに対し、第3印刷時タイムアウト値の時間が経過する前に、第1センサ251が変位部材205を検知しなければ、つまり、第1センサ251が変位部材205を検知する前に、第3印刷時タイムアウト値の時間が経過したときには、送液ポンプ241を停止し、タイムアウト検知を報知する。
【0212】
このように構成した場合にも、供給不良による装置の損傷や画像品質の低下などを未然に確実に防止でき、タイムアウト検知を報知することで、異常状態を早期に報知することができる。
【0213】
次に、ヘッドタンク35のインクを消費しながら供給を行う場合と、ヘッドタンク35のインクを消費しないで供給を行う場合とにおける送液ポンプ241の駆動制御について説明する。
【0214】
記録ヘッド34からインク吐出がなく、ヘッドタンク35内のインクが消費されることがない状態でインク供給を行う場合には、短時間でインク充填制御動作を終了することができる。これに対し、ヘッドタンク35内のインクが生じされる状態となる印刷動作中にインク供給を行う場合には、長時間のインク充填制御動作となる。
【0215】
そこで、印刷動作中のインク供給時には、非印刷動作時の送液ポンプ241のインク供給流量に比べ、インク供給流量が大きくなるよう、送液ポンプ241の駆動制御の変更、例えば電流値の増加などを行う。これにより、インク充填制御動作の時間を短縮することができる。
【0216】
この場合、予め定めた所定のタイムアウト閾値tout[sec]は送液ポンプ241の駆動制御の変更に伴うインク供給流量を考慮した値に設定することが好ましい。これにより、より確実に、供給不良による装置の損傷や画像品質の低下などを未然に防止でき、タイムアウト検知を報知することで、異常状態を早期に報知することができる。
【0217】
次に、本発明の第6実施形態について図27を参照して説明する。図27は同実施形態の説明に供するインク供給系の模式的説明図である。
【0218】
本実施形態では、1つのメインタンク10から2つのヘッドタンク35A、35Bにそれぞれ同じ色のインクを供給する構成とし、メインタンク10の供給口部151と各ヘッドタンク35A、35Bとの間の供給経路36A、36Bには、それぞれ送液ポンプ241A、241Bを設けている。
【0219】
このような構成において、2つのヘッドタンク35A、35Bに同時にインク供給を行なうときには、2つのヘッドタンク35A、35Bのいずれか一方にだけインク供給を行うときと比べて、送液ポンプ241A、241Bの駆動制御を変更する、例えば電流値を増加するなどの制御を行う。
【0220】
これにより、2つの送液ポンプ241A、241Bを同時に駆動することによって、送液ポンプ241にメインタンク10から引き込むインク供給流量の低下を防止することができる。
【0221】
そして、この場合、一方のヘッドタンク35へのインク供給が終了し、他方のヘッドタンク35へのインク供給を継続するときには、送液ポンプ241の駆動制御を再び変更する(例えば電流値を減少させる)ようにすることもできる。
【0222】
これにより、無駄に送液ポンプ241に負荷、負担を加えることなく適正にインク供給流量を保つことができる。
【0223】
なお、本願において、「用紙」とは材質を紙に限定するものではなく、OHP、布、ガラス、基板などを含み、インク滴、その他の液体などが付着可能なものの意味であり、被記録媒体、記録媒体、記録紙、記録用紙などと称されるものを含む。また、画像形成、記録、印字、印写、印刷はいずれも同義語とする。
【0224】
また、「画像形成装置」は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等の媒体に液体を吐出して画像形成を行う装置を意味し、また、「画像形成」とは、文字や図形等の意味を持つ画像を媒体に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を媒体に付与すること(単に液滴を媒体に着弾させること)をも意味する。
【0225】
また、「インク」とは、特に限定しない限り、インクと称されるものに限らず、記録液、定着処理液、液体などと称されるものなど、画像形成を行うことができるすべての液体の総称として用い、例えば、DNA試料、レジスト、パターン材料、樹脂なども含まれる。
【0226】
また、「画像」とは平面的なものに限らず、立体的に形成されたものに付与された画像、また立体自体を三次元的に造形して形成された像も含まれる。
【0227】
また、画像形成装置には、特に限定しない限り、シリアル型画像形成装置及びライン型画像形成装置のいずれも含まれる。
【符号の説明】
【0228】
10 インクカートリッジ(メインタンク)
33 キャリッジ
34、34a、34b 記録ヘッド(液体吐出ヘッド)
35 ヘッドタンク
81 維持回復機構
201 タンクケース(液体収容部)
203 フィルム部材
205 変位部材(フィラ)
241 送液ポンプ
251 第1センサ(第1検知手段)
301…第2センサ(第2検知手段)
500…制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液滴を吐出する記録ヘッドと、
前記記録ヘッドに供給する液体を収容するヘッドタンクと、
前記記録ヘッド及び前記ヘッドタンクを搭載したキャリッジと、
前記ヘッドタンクに供給する液体を収容するメインタンクと、
前記メインタンクから前記ヘッドタンクへの液体供給を行う送液手段と、
前記送液手段を駆動して前記メインタンクから前記ヘッドタンクへの液体供給を制御する供給制御手段と、を備え、
前記ヘッドタンクは液体残量に応じて変位する変位部材を有し、
前記キャリッジには前記変位部材を検知する第1検知手段が設けられ、
装置本体側には前記変位部材を検知する第2検知手段が設けられ、
前記第1検知手段で検知する前記変位部材の第1位置は前記第2検知手段で検知する前記変位部材の第2位置よりも前記ヘッドタンクの液体残量が少ない位置であり、
前記供給制御手段は、
前記第1検知手段で検知される位置と前記第2検知手段で検知される位置との間の前記変位部材の変位量に対応する差分量を検出して保持し、
前記第2検知手段を使用しないで前記メインタンクから前記ヘッドタンクに前記液体を供給するときには、前記変位部材が、前記第1検知手段で検知される位置から前記ヘッドタンクの液体残量が少なくなる方向に変位するときの液体消費量を計測して、
前記液体消費量が予め定めた閾値になったときから前記液体の供給を開始させ、前記第1検知手段が前記変位部材を検知した後前記差分量の供給を行わせる制御を行い、
前記第2検知手段を使用しないで前記メインタンクから前記ヘッドタンクへの前記液体を供給しているとき、前記液体の供給開始から予め定めた所定時間が経過する前に、前記第1検知手段が前記変位部材を検知しないときには前記液体の供給を停止させ、
前記所定時間は、前記ヘッドタンクの液体を消費しながら前記ヘッドタンクに前記液体を供給するときの第1所定時間と、前記ヘッドタンクの液体を消費しないで前記ヘッドタンクに前記液体を供給するときの第2所定時間とが設定され、前記第1所定時間は前記第2所定時間よりも長く設定されている
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記供給制御手段は、
前記送液手段の累積動作時間を計測し、
前記累積動作時間が前記所定時間を経過したか否かを判別する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第1所定時間は、前記記録ヘッドから吐出する液体量が異なる印刷モード及び前記記録ヘッドで画像を形成する被記録媒体のサイズの少なくともいずれかに応じて変更されることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記記録ヘッドで画像を形成する被記録媒体が連続紙であり、
前記連続紙に画像形成を行っている途中で前記記録ヘッドから吐出する液体量が異なる印刷モードに変更されたときに、前記第1所定時間を変更する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
複数の被記録媒体に連続して画像を形成する動作を行っているときに、
前記ヘッドタンクの前記液体を消費しながら前記ヘッドタンクに前記液体を供給するとき、
印刷時第1所定時間が経過する前に、画像形成中の被記録媒体への画像形成が終了したときには、画像形成動作を中断して、
印刷時第2所定時間が経過する前に、前記第1検知手段が前記変位部材を検知しないときに前記液体の供給を停止させ、
前記ヘッドタンクの前記液体を消費しながら前記ヘッドタンクに前記液体を供給するときの前記第1所定時間は、前記ヘッドタンクの液体を消費しないで前記ヘッドタンクに前記液体を供給するときの前記印刷時第2所定時間よりも長く設定されている
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記ヘッドタンクの液体を消費しながら前記ヘッドタンクに前記液体を供給するとき、印刷時第1所定時間が経過する前に、前記記録ヘッドが画像形成領域外に移動したときには、画像形成動作を中断して、第2所定時間が経過する前に、前記第1検知手段が前記変位部材を検知しないときに前記液体の供給を停止させることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記ヘッドタンクの液体を消費しながら前記ヘッドタンクに前記液体を供給するときと、前記ヘッドタンクの液体を消費しないで前記ヘッドタンクに前記液体を供給するときとでは、前記送液手段の駆動制御を異ならせることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項8】
1つの前記メインタンクに複数の前記ヘッドタンクが接続され、
各ヘッドタンク毎に前記送液手段が設けられ、
各ヘッドタンクに同時に前記液体の供給を行うときと1つのヘッドタンクに前記液体の供給を行うときとでは、前記送液手段の駆動制御を異ならせる
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2013−111801(P2013−111801A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−258235(P2011−258235)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】