説明

画像形成装置

【課題】ユーザが給紙カセットを画像形成装置本体から引き抜く際、ユーザに確実に給紙カセットを保持させることにより、給紙カセットの落下防止が可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置は、画像形成装置本体と、記録紙を収納する画像形成装置本体から引き抜き可能な給紙カセットと、給紙カセットの画像形成装置本体からの引き抜きを防止するロック手段と、給紙カセットの画像形成装置本体からの引き抜き防止を解除するロック解除手段と、を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式やインクジェット方式などの、画像形成装置に用いられる給紙カセットについては、画像形成装置の本体から引き出して使用する方式のものが存在する。当該方式においては、用紙を補給する際に給紙カセットを画像形成装置の本体から引き出すが、給紙カセットの落下防止のため、給紙カセットが本体から完全に抜けてしまうことを防止するため、ストッパを設ける機構が知られている。
【0003】
このストッパ機構については、印刷容量の多くなる大型の画像形成装置では給紙カセットも大きくなるため、その重量から容易に給紙カセットが取り外しできないものが存在する。また、家庭用のインクジェットプリンタのように小型の画像形成装置では、引っ掛け部を設けることによりストッパとしている場合が多いが、用紙のセットのしやすさから、給紙時は給紙カセットを本体から引き抜くことを推奨する場合や、ストッパが無い画像形成装置も存在している。
【0004】
また、小型の画像形成装置では、用紙が画像形成装置の奥側から手前に向かう搬送経路を採用するケースが多いが、この場合、給紙機構は画像形成装置の奥側となるため、給紙時に紙詰まりを起こした場合に備えて、給紙カセットを引き抜き可能にしておく必要がある。
【0005】
図11は従来の画像形成装置の本体に給紙カセットがセットされている状態を示す図である。給紙カセット125は画像形成装置の筐体115の中に収まっている。
【0006】
図12は従来の画像形成装置の本体から給紙カセット125が引き出されている状態を示す図である。給紙カセット125に設けられたストッパ120と筐体115に設けられたストッパ121により、給紙カセット125は本体から完全に引き出される前に止まる。この際、給紙カセット125は、筐体115によって支えられており、手を離しても落下しない。
【0007】
図13は画像形成装置の本体から給紙カセット125を引き抜く状態を示す図である。給紙カセット125を本体から引き抜く場合は、一度上方向に持ち上げてから引き抜く。このように従来の画像形成装置では、一方向の力だけで引き抜けないようにすることにより、ユーザに給紙カセット125の落下についての注意を与え、給紙カセット125の落下防止対策を行っている。
【0008】
図14は画像形成装置の本体から給紙カセット125を引き抜く際の支点を示す図である。給紙カセット125の取っ手122をユーザが手123で掴み、支点124にて給紙カセット125を支えながら引き抜きを行う。給紙カセット125に設けられている支点124は、給紙カセット125の重量を支え、ユーザへの負担を軽減するため、つまりは、給紙カセット125の本体からの引き抜きを容易にするためである。
【0009】
しかし、上述した従来の技術は、給紙カセット125の引き抜き操作を基本的に片手のみで行っていたため、給紙カセット125を本体から引き抜いた際、ユーザが給紙カセット125を保持することができずに、落下させてしまうという問題が存在した。
【0010】
近年においては、小型のインクジェットプリンタにおいても、A3サイズ以上の用紙が印刷できる機種や、給紙容量の多い機種が増えてきている。用紙を積載した給紙カセットの重量は数kg(A4サイズ用紙250枚で約1kg)になるものもある。このような場合は、ユーザが給紙カセットを本体から引き抜いた際、片手で保持することは困難である。
【0011】
加えて、給紙カセットの重量は大きいものの、装着状態から引き抜きの際までは本体に支えられているという事実がユーザにとっては分かりにくくなっている。そのため、引き抜いた後でその重さに気づき、給紙カセットを落下させてしまう場合が多々ある。
【0012】
給紙カセットの落下を防止するためには、給紙カセットの本体からの引き抜きの際、ユーザに給紙カセットをしっかりと保持させる必要がある。そのためには、ユーザに給紙カセットの保持方法を明確に指示する必要があるが、イラストや文章などの指示のみではユーザの目に留まらない場合も多く、ユーザに当該情報を伝えることは困難な状況にある。
【0013】
図15は一般的な画像形成装置の外観を示す斜視図である。昨今では、画像形成装置の本体サイズ縮小のため、給紙カセット125が本体1内に収まっている場合が多い。この場合、ユーザは給紙カセット2を引き抜く際、取っ手122にしかアクセスできない。そのため、ユーザの注意は取っ手122だけに行ってしまう。給紙カセット125を一旦途中まで本体から引き抜いた後、取っ手122以外の部分を持つように意識させるのは困難な状況にある。
【0014】
上記の通り、従来の画像形成装置においては、給紙カセットの引き抜きを容易にする技術については様々な対策が取られているが、給紙カセットの落下防止については十分な対策が取られていないという問題が存在していた。
【0015】
また、特許文献1には、給紙カセットの落下防止のためのストッパとストッパ解除部材を安価でありながら操作性を良くする目的で、給紙装置本体に形成されたストッパ受け部に対して、ストッパ解除部が撓むことによって、ストッパの掛け止めを解除する構成が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかし、上記従来技術においては下記の問題が存在している。
【0017】
引用文献1に記載の技術は、給紙カセットの落下防止のため、ストッパ部材とストッパ解除部材を設ける構成を採用しているが、ユーザが給紙カセットへアクセスする部分は取っ手のみである。
【0018】
そのため、ユーザは片手で給紙カセットにアクセスし、その重量を認識しないまま不用意に画像形成装置の本体から引き抜いてしまうケースが多い。給紙カセットの重量を認識しないまま給紙カセットを本体から引き抜くと、片手で給紙カセットを保持することができずに、落下させてしまう。つまり、引用文献1に記載の技術は、ユーザが給紙カセットの重量を認識しないまま、不用意に引きぬくことを防止し、給紙カセットの落下防止のために、確実に給紙カセットを保持させるという問題が解消できていない。
【0019】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、ユーザが給紙カセットを画像形成装置本体から引き抜く際、ユーザに確実に給紙カセットを保持させることにより、給紙カセットの落下防止が可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の画像形成装置は、画像形成装置本体と、記録紙を収納する前記画像形成装置本体から引き抜き可能な給紙カセットと、前記給紙カセットの前記画像形成装置本体からの引き抜きを防止するロック手段と、前記給紙カセットの前記画像形成装置本体からの引き抜き防止を解除するロック解除手段と、を備えた画像形成装置であって、前記ロック手段は、前記給紙カセットの引き抜き方向に対して左右両側の側壁に設置された掛け止め部材および前記画像形成装置本体内部の前記掛け止め部材に対応した位置に設置されたストッパ部材であり、前記ロック解除手段は、前記給紙カセットの引き抜き方向に対して左右両側の側壁上面に位置する解除ボタンにより前記掛け止め部材と前記ストッパ部材との掛け止めを解除するものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、ユーザが給紙カセットを画像形成装置本体から引き抜く際、ユーザに確実に給紙カセットを保持させることにより、給紙カセットの落下防止が可能な画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る給紙カセットの構成を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る給紙カセットのストッパの構成を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る給紙カセットのロック解除ボタン、レバー部材の構成を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る給紙カセットのレバー部材の非解除状態、解除状態を示す図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る給紙カセットのロック解除ボタン、レバー部材の構成を示す図である。
【図6】本発明の第3の実施形態に係る給紙カセットのロック解除ボタン、レバー部材の構成を示す図である。
【図7】本発明の第4の実施形態に係る給紙カセットのロック解除ボタン、レバー部材、ストッパの構成を示す図である。
【図8】本発明の実施形態に係る画像形成装置の外観を示す図である。
【図9】本発明の実施形態に係る画像形成装置の機構部の構成を示す図である。
【図10】本発明の実施形態に係る画像形成装置の機構部の要部を示す図である。
【図11】従来の画像形成装置の給紙カセットとその周辺の構成を示す図である。
【図12】従来の画像形成装置の給紙カセット引き出し時の状態を示す図である。
【図13】従来の画像形成装置の給紙カセット引き抜き時の状態を示す図である。
【図14】従来の画像形成装置の給紙カセット引き抜き時の支点を示す図である。
【図15】従来の画像形成装置の外観を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に本発明の実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0024】
図8は、本実施形態に係る画像形成装置を前方側から見た斜視説明図である。この画像形成装置は、本体1と、本体1に装着された用紙を装填するための給紙カセット2と、本体1に着脱自在に装着されて画像が記録(形成)された用紙をストックするための排紙トレイ3とを備えている。さらに、本体1の前面の一端部側(給排紙トレイ部の側方)には、インクカートリッジを装填するためのカートリッジ装填部4を有し、このカートリッジ装填部4の上面は操作ボタンや表示器などを設ける操作・表示部5を有している。
【0025】
このカートリッジ装填部4には、色の異なるインク、例えばブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色のインクを収容した複数の液体カートリッジ10k、10c、10m、10y(色を区別しないときは「液体カートリッジ10」という。)を、装置本体1の前面側から後方側に向かって挿入して装填可能とし、このカートリッジ装填部4の前面側には、液体カートリッジ10を着脱するときに開く前カバー6を開閉可能に設けている。
【0026】
次に、この画像形成装置の機構部について図9および図10を参照して説明する。なお、図9は同機構部の全体構成を説明する概略構成図、図10は同機構部の要部平面説明図である。ここで、装置前方側は、図9では右側、図10では下側に対応する。
【0027】
キャリッジ33は、フレーム20を構成する左右のメイン側板21A、21Bに横架した主ガイドロッド31と従ガイドロッド32とにより主走査方向に摺動自在に保持され、図示しない主走査モータによってタイミングベルトを介して図10で矢示方向(キャリッジ主走査方向)に移動走査する。
【0028】
このキャリッジ33には、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色のインクを吐出する複数のノズル列を有する液体吐出ヘッド34が装着されている。
【0029】
また、キャリッジ33には、液体吐出ヘッド34に各色のインクを供給するための各色の液体タンク35を搭載している。この各色の液体タンク35には、各色の可撓性を有する供給チューブ36を介して、カートリッジ装填部4に装着された各色の液体カートリッジ10から各色のインクが補充供給される。このカートリッジ装填部4には、液体カートリッジ10内のインクを送液するための送液手段である供給ポンプユニットが設けられている。なお、供給チューブ36は、前ステー29上に保持部材37にて途中部分が保持されている。
【0030】
一方、給紙カセット2の用紙積載部41上に積載した用紙42を給紙するための給紙部として、用紙積載部41から用紙42を1枚ずつ分離給送する給紙ローラ43と、給紙ローラ43に対向し摩擦係数の大きな材質からなる分離パッド44とを備えている。
【0031】
そして、この給紙部から給紙された用紙42を液体吐出ヘッド34の下方側に送り込むために、用紙42を案内するガイド部材45と、カウンタローラ46と、搬送ガイド部材47と、先端加圧コロ49を有する押さえ部材48とを備えるとともに、給送された用紙42を静電吸着して液体吐出ヘッド34に対向する位置で搬送するための搬送手段である搬送ベルト51を備えている。
【0032】
この搬送ベルト51は、無端状ベルトであり、搬送ローラ52とテンションローラ53との間に掛け渡されて、ベルト搬送方向(副走査方向)に周回するように構成している。また、この搬送ベルト51の表面を帯電させるための帯電手段である帯電ローラ56を備えている。この帯電ローラ56は、搬送ベルト51の表層に接触し、搬送ベルト51の回動に従動して回転するように配置されている。さらに、搬送ベルト51の裏側には、液体吐出ヘッド34による印写領域に対応してプラテン部となるガイド部材57を配置している。
【0033】
さらに、液体吐出ヘッド34で記録された用紙42を排紙するための排紙部として、搬送ベルト51から用紙42を分離するための分離爪61と、排紙ローラ62及び排紙コロ63とを備え、排紙ローラ62の下方に排紙トレイ3を備えている。
【0034】
また、装置本体1の背面部には両面ユニット71が設けられている。この両面ユニット71は搬送ベルト51の逆方向回転で戻される用紙42を取り込んで反転させて再度カウンタローラ46と搬送ベルト51との間に給紙する。
【0035】
さらに、図10に示すように、キャリッジ33の主走査方向一方側の非印字領域には、液体吐出ヘッド34のノズルの状態を維持し、回復するための回復手段を含む維持回復機構81を配置している。
【0036】
この維持回復機構81には、液体吐出ヘッド34の各ノズルを一括してキャッピングするためのキャップ部材82と、ノズル面をワイピングするためのブレード部材であるワイパーブレード83と、増粘したインクを排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け84などを備えている。
【0037】
そして、この維持回復機構81による維持回復動作で生じる記録液の廃液、キャップ82に排出された液体、あるいはワイパーブレード83に付着してワイパークリーナ(図示しない)で除去された液体、空吐出受け(図示しない)に空吐出されたインクは廃液タンク(図示しない)に排出されて収容される。
【0038】
また、図10に示すように、キャリッジ33の主走査方向他方側の非印字領域には、記録中などに増粘したインクを排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け88を配置し、この空吐出受け88には液体吐出ヘッド34のノズル列方向に沿った開口部89などを備えている。
【0039】
このように構成した液体吐出ヘッド記録装置においては、給紙カセット2から用紙42が1枚ずつ分離給紙され、略鉛直上方に給紙された用紙42はガイド45で案内され、搬送ベルト51とカウンタローラ46との間に挟まれて搬送され、さらに先端を搬送ガイド47で案内されて先端加圧コロ49で搬送ベルト51に押し付けられ、搬送方向を転換される。
【0040】
このとき、図示しない制御部のACバイアス供給部から帯電ローラ56に対してプラス出力とマイナス出力とが交互に繰り返すように、つまり交番する電圧が印加され、搬送ベルト51が交番する帯電電圧パターン、すなわち、周回方向である副走査方向に、プラスとマイナスが所定の幅で帯状に交互に帯電されたものとなる。このプラス、マイナス交互に帯電した搬送ベルト51上に用紙42が給送されると、用紙42が搬送ベルト51に吸着され、搬送ベルト51の周回移動によって用紙42が副走査方向に搬送される。
【0041】
そこで、キャリッジ33を移動させながら画像信号に応じて液体吐出ヘッド34を駆動することにより、停止している用紙42に液滴を吐出して1行分を記録し、用紙42を所定量搬送後、次の行の記録を行う。記録終了信号又は用紙42の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、用紙42を排紙トレイ3に排紙する。
【0042】
また、印字(記録)待機中にはキャリッジ33は維持回復機構81側に移動されて、キャップ部材82で液体吐出ヘッド34の吐出面がキャッピングされて、ノズルを湿潤状態に保つことにより液体乾燥による吐出不良を防止する。また、キャップ部材82で液体吐出ヘッド34の吐出面をキャッピングした状態で、図示しない吸引ポンプによってノズルから記録液を吸引し、増粘した液体を排出する回復動作を行う。
【0043】
次に、実施形態について、図面を用いて具体的に説明する。
【0044】
<第1の実施形態>
図1は第1の実施形態に係る給紙カセットの構成を示す図である。給紙カセット2は、用紙の各一端を押さえるサイドガイド101a、101b、エンドガイド102を備えている。また、画像形成装置の前側には給紙カセット2を引き出すための取っ手122が設けてあり、給紙カセット2の左右両側の下部には本体1から給紙カセット2を引き抜く際にユーザが掴む取っ手103a、103b(103bは図示しない)が設けられている。
【0045】
図2は第1の実施形態に係るストッパの構成を示す図である。ストッパは、給紙カセット2の左右に設けられたレバー部材A104a、104bに対応し、本体1内部の左右両側にストッパ107a、107b(107aは図示しない)が設けられている。
【0046】
図3は第1の実施形態に係るロックの解除ボタン、レバー部材の構成を示す図である。給紙カセット2の本体正面側から見て左右対称の構成となっている。説明の便宜のため、給紙カセット2の本体正面側から見て左に位置する構成について説明する(以下に説明する各実施形態においても同様に給紙カセット2の本体正面側から見て左に位置する構成について説明する)。
【0047】
取っ手A103aの上部にはレバー部材A104aと一体となっている解除ボタンA105aがある。解除ボタンA105aは、給紙カセット2の本体1からの引き抜き防止のロックを解除するボタンである。レバー部材A104aはスプリングA109aにより通常は本体1に設けられたストッパ107aに掛け止めされている(ストッパは、図2に示す通り、給紙カセット2の左右に設けられたレバー部材A104a、104bに対応して、本体1内部の左右両側に設けられている(ストッパ107a、107b)。
【0048】
左右対称の構成のため、解除ボタンA105a、105bの双方を押して左右のロックの解除を行わなければ給紙カセット2を本体1から引き抜くことはできない構造となっている。
【0049】
解除ボタンA105aをユーザが押すと、回転支点108を支点としてレバー部材A104aのストッパ107aに掛け止めされている側の一端が上がり、本体1側のストッパ部材107aとの掛け止めが外れる。反対側に位置するロックについても同様に解除されれば、給紙カセット2の引き抜きが可能となる。
【0050】
図4は第1の実施形態に係るレバー部材のロック非解除状態、解除状態を示す図である。図4(a)は非解除状態を、図4(b)は解除状態を示している。解除ボタンA105aとレバー部材A104aは一体として形成されており、レバー部材A104aの中央には回転支点108を有する。解除ボタンA105aの下にはスプリングA109aが設置され、レバー部材A104aをロック非解除状態・解除状態への移動を可能としている。
【0051】
上述の通り、給紙カセット2を引き抜く際には、給紙カセット2の左右に設けられた双方の解除ボタンA105a、105bを操作しなければならない構成となっている。解除ボタンA105a、105bが給紙カセット2の引き抜き用の取っ手A103a、103bの上部に設けられているため、ユーザは解除ボタンA105a、105bの操作により、自然と両手が給紙カセット2を支える形態になる。そのため、給紙カセット2はユーザの両手によって安定的に保持される。
【0052】
<第2の実施形態>
図5は第2の実施形態に係る給紙カセットの構成を示す図である。給紙カセット2およびレバー部材A104aを側面から見た構成となっている。本実施形態においては、解除ボタンの画像形成装置前面側が奥側よりも低くなるように傾斜をつけ、解除ボタンB110aとしている。
【0053】
給紙カセット2を本体1から引き抜く際に、ユーザが給紙カセット2を両手で保持する形態になるのは第1の実施形態と同じである。しかしながら、解除ボタンを本形状とすることにより、ユーザが解除ボタンB110aを押した際、給紙カセット2がわずかに本体1側に押し込まれる力が働くようになる。
【0054】
つまり、ユーザは解除ボタンB110aに触れるのみでは、ロックの解除はできるものの、給紙カセット2に本体1からの引き抜きの力を加えることができない。そのため、解除ボタンB110aを上から押しただけでは給紙カセット2を本体1から引き抜くことはできない状態となる。
【0055】
上記の構成を取ることによって、ユーザは解除ボタンB110aを操作する以外の指で給紙カセット2を手前に引き出すことが必要となる。ユーザが親指以外の指で解除ボタンB110aを操作すると給紙カセット2の保持が不自然となる。つまり、ユーザに親指によって解除ボタンB110aの操作をさせることで、自然と親指以外の4本の指で給紙カセット2を保持させることが可能となる。
【0056】
第2の実施形態では、第1の実施形態と比較して、ユーザが給紙カセット2を本体1から引き抜く際に給紙カセット2を下方向から与える力がより強く必要になる。そのため、ユーザが給紙カセット2を支える力が強くなり、より安定的に給紙カセット2を保持することが可能となる。
【0057】
<第3の実施形態>
図6は第3の実施形態に係る給紙カセットの構成を示す図である。本実施形態では、取っ手A103aを給紙カセット2の給紙ローラ側に寄せた位置に配置している。給紙カセット2には様々なサイズの用紙がセットされるが、印刷の方式上、用紙の端は、給紙ローラの近辺にセットされることとなる。
【0058】
そのため、給紙カセットの重心は、給紙ローラ側に偏りやすい構造となっている。そこで、本実施形態においては、用紙がセットされていない状態の給紙カセット2の重心ではなく、用紙がセットされている状態の給紙カセット2の重心にあわせ、給紙ローラ2に近い位置に取っ手A103aを配置する構成とした。
【0059】
図6では、給紙ローラの位置を本体1の奥側(図6左手方向)で想定している。そのため、本体1の奥側を想定しているため、取っ手A103aを本体1の奥側(図6左手方向)に寄せている。これとは逆に、給紙ローラが本体1の前面側(図6で言えば右手方向)に位置している場合は取っ手A103を本体1の前面側(図6右手方向)に寄せることとなる。
【0060】
本実施形態によれば、ユーザが給紙カセット2を本体1から引き抜く際の重心が安定し、給紙カセット2の重量バランスが良くなることによって、より安定的に給紙カセット2を保持し、本体1から引き抜くことが可能となる。
【0061】
<第4の実施形態>
図7は第4の実施形態に係る給紙カセットの構成を示す図である。本実施形態においては、レバー部材とロックの解除ボタンを給紙カセット2の下に配置している。解除ボタンC111aは、親指以外の4本の指で握れるようにグリップ形状とし、レバー部材B112aと一体として形成されている。
【0062】
レバー部材B112aは解除ボタンC111aと一体となって上下動する。レバー部材B112aはスプリングB113aによって下方向に押し当てられており、通常は給紙カセット2の引き抜きができないロック状態(非解除状態)となっている。
【0063】
ユーザが給紙カセット2を本体1から引き抜く場合は、給紙カセット2の左右にある解除ボタンC111aを握ってロックを解除しなければならない。本実施形態において給紙カセット2に取り付けられているスプリングの反発力の強さ(複数のスプリングの合計)は、印刷可能な最大サイズの用紙を給紙カセット2に最大限に収容した場合の重量よりも重く(強く)することがユーザの給紙カセット2の安定的な保持に有効である。
【0064】
スプリングの反発力を上記の通りに設定すると、ユーザは給紙カセット2の引き抜きの際には、必ず給紙カセット2の全ての重量を支えている力をかけ続けなければロックの解除ができないこととなる。そのため、ユーザは給紙カセットを落とすことはなくなる。
【0065】
上述した実施形態は以下のようにすることもできる。
【0066】
本実施形態の画像形成装置は、給紙カセットを保持するための取っ手をさらに備え、取っ手は、給紙カセットの底部且つ解除ボタンの下部に位置していることを特徴とする。
【0067】
本実施形態の画像形成装置は、解除ボタンは、上面部に給紙カセットの引き抜き方向側の高さが差し込み方向側の高さよりも低くなる傾斜が付けられていることを特徴とする。
【0068】
本実施形態の画像形成装置は、解除ボタンおよび取っ手は、記録紙の給紙を行う給紙ローラ側に寄せられて位置していることを特徴とする。
【0069】
本実施形態の画像形成装置は、ロック解除手段は、給紙カセットの引き抜き方向に対して左右両側の側壁底部に位置する解除ボタンにより掛け止め部材と前記ストッパ部材との掛け止めを解除するものであることを特徴とする。
【0070】
本実施形態の画像形成装置は、給紙カセットを保持するための取っ手をさらに備え、取っ手は、給紙カセットの上面部且つ解除ボタンの上部に位置していることを特徴とする。
【0071】
本実施形態の画像形成装置は、解除ボタンおよび取っ手は、記録紙の給紙を行う給紙ローラ側に寄せられて位置していることを特徴とする。
【0072】
本実施形態の画像形成装置は、解除ボタンの入力に必要な押圧力を合計した値は、給紙カセットに記録紙を容量限度までセットした際の重量よりも大きいことを特徴とする。
【0073】
本実施形態の画像形成装置は、本体からの引き抜き防止用のストッパと、ストッパの解除機構を持つ給紙カセットにおいて、ストッパの解除機構は給紙カセットの左右両側にあり、引き用の取っ手部に、解除機構があることを特徴とする。
【0074】
本実施形態の画像形成装置は、解除ボタンは給紙カセットの上側にあり、ボタンの押す箇所が手前が低い傾斜面であることを特徴とする。本実施形態によれば、解除ボタンに斜面を設けることで、給紙カセットを引き抜く方向と反対に力がかかり、より給紙給紙カセットを安定的に保持できるようにユーザを誘導できる。
【0075】
本実施形態の画像形成装置は、給紙カセットを引き出す用の取っ手は、給紙カセットの重心位置よりも、給紙ローラの側に寄っていることを特徴とする。用紙のセットは給紙ローラに近い箇所にセットされるため、本実施形態によれば、給紙カセットに設けられた取っ手は給紙カセットの重心位置から少しローラよりに位置しているため、用紙の入っている際は、より安定的に給紙カセットの保持ができる。
【0076】
本実施形態の画像形成装置は、給紙カセットの引き出しボタンは、引き出し用の取っ手の下部自体であり、解除力が給紙カセットの想定最大重量よりも大きいことを特徴とする。
【0077】
以上、本発明の好適な実施の形態により本発明を説明した。ここでは特定の具体例を示して本発明を説明したが、特許請求の範囲に定義された本発明の広範囲な趣旨および範囲から逸脱することなく、これら具体的に様々な修正および変更が可能である。
【符号の説明】
【0078】
2 給紙カセット
101a,b サイドガイド
102 エンドガイド
103a 取っ手A
104a,b レバー部材A
105a,b 解除ボタンA
107a,b ストッパ
108a 回転支点
109a スプリングA
110a 解除ボタンB
111a 解除ボタンC
112a レバー部材B
113a スプリングB
114a 取っ手B
【先行技術文献】
【特許文献】
【0079】
【特許文献1】特開2006−248649号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置本体と、
記録紙を収納する前記画像形成装置本体から引き抜き可能な給紙カセットと、
前記給紙カセットの前記画像形成装置本体からの引き抜きを防止するロック手段と、
前記給紙カセットの前記画像形成装置本体からの引き抜き防止を解除するロック解除手段と、を備えた画像形成装置であって、
前記ロック手段は、前記給紙カセットの引き抜き方向に対して左右両側の側壁に設置された掛け止め部材および前記画像形成装置本体内部の前記掛け止め部材に対応した位置に設置されたストッパ部材であり、
前記ロック解除手段は、前記給紙カセットの引き抜き方向に対して左右両側の側壁上面に位置する解除ボタンにより前記掛け止め部材と前記ストッパ部材との掛け止めを解除するものであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記給紙カセットを保持するための取っ手をさらに備え、
前記取っ手は、前記給紙カセットの底部且つ前記解除ボタンの下部に位置していることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記解除ボタンは、上面部に前記給紙カセットの引き抜き方向側の高さが差し込み方向側の高さよりも低くなる傾斜が付けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記解除ボタンおよび前記取っ手は、記録紙の給紙を行う給紙ローラ側に寄せられて位置していることを特徴とする請求項2または3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記ロック解除手段は、前記給紙カセットの引き抜き方向に対して左右両側の側壁底部に位置する解除ボタンにより前記掛け止め部材と前記ストッパ部材との掛け止めを解除するものであることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記給紙カセットを保持するための取っ手をさらに備え、
前記取っ手は、前記給紙カセットの上面部且つ前記解除ボタンの上部に位置していることを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記解除ボタンおよび前記取っ手は、記録紙の給紙を行う給紙ローラ側に寄せられて位置していることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記解除ボタンの入力に必要な押圧力を合計した値は、前記給紙カセットに記録紙を容量限度までセットした際の重量よりも大きいことを特徴とする請求項5から7の何れか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−112461(P2013−112461A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−259270(P2011−259270)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】