説明

画像形成装置

【課題】センサの光源の光度が変動するような状況の下でも、トナーパッチの色味や濃度を正確に検知し、画像形成装置の高画質化、低価格化、小型化又はダウンタイムの低減のいずれかを実現すること。
【解決手段】CPU9は、トナーパッチ検知部8によりパッチ列画像を検知することによって光源103の光度の時間変化に関する情報を取得し、取得した情報に基づいて、トナーパッチ検知部8により検知したパッチ列画像の検知結果を補正する(S1〜S3)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式の画像形成装置や、インクジェット方式の画像形成装置などの画像形成装置、特に画像の色味や濃度の安定化を可能にするカラー画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置は、環境の変化や長時間の使用による装置各部の変動があると、得られる画像の濃度が変動してしまう。特にカラー画像形成装置の場合、わずかな濃度の変動でもカラーバランスが崩れてしまうおそれがある。従って、常に一定の濃度−階調特性を保つ必要がある。そのため、例えば電子写真方式のカラー画像形成装置では、各色のトナーに対して、絶対温度に応じた数種類の露光量や現像電圧等の画像形成条件を補正する画像形成条件補正手段や、ルックアップテーブル方式の階調補正手段を備えている。そして、温湿度センサによって検知された温度や湿度に応じて、画像形成条件補正手段や階調補正手段により、露光量や現像電圧等の画像形成条件や、階調補正の最適値を選択している。また、装置各部の変動が起こっても一定の濃度−階調特性を維持できるように、各色のトナーで色味や濃度検知用のトナーパッチを中間転写体上や記録材上に形成し、そのトナーパッチを検知センサで検知した結果に基づき、画像形成条件を補正する。
【0003】
一方で、一定の濃度−階調特性を維持するように画像形成条件を補正するためには、第一にトナーパッチを検知センサで検知する際の検知精度を安定させることが重要となる。トナーパッチの色味を検知するカラーセンサの検知精度を安定させるために、センサの光源や受光素子が、発熱する定着器の熱の影響を受けないように、定着器からカラーセンサを十分離して配置しているものがある(例えば、特許文献1参照)。また、カラーセンサを冷却するファンモータを設けた画像形成装置がある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−287934号公報
【特許文献2】特開2005−62271号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、例えば特許文献1等の従来例では、カラーセンサの検知の安定化のため、定着器とカラーセンサの距離を十分離す必要があり、画像形成装置の小型化の妨げとなるおそれがある。また、例えば特許文献2等の従来例では、センサを冷却するためにファンモータを設ける必要があり、ファンモータの部品費、実装費、検査費、管理費等のコストを考慮しなければならないため、画像形成装置の低価格化の妨げとなるおそれがある。更に、ファンモータを設置する領域を確保する必要があり、画像形成装置の小型化の妨げとなるおそれがある。また、カラーセンサについては、周囲温度の変化以外にも、センサのLEDを点灯することによるLEDの自己発熱によっても、LEDの光度が変動してしまう。この光度が変化している間にトナーパッチの色味や濃度の検知を行うと、正確な検知結果が得られないおそれがある。このため、LEDの光度の変化が落ち着くまで、LEDを予備点灯させてから検知を行う方法もあるが、この予備点灯時間は例えば1分間程度必要となり、その分トナーパッチの色味や濃度の検知終了までの時間が延びてしまう。その結果、プリンタのダウンタイムが増加するおそれがある。
【0006】
本発明は、このような課題及び他の課題のうち、少なくとも1つを解決することを目的とする。本発明では、センサの光源の光度が変動するような状況の下でも、トナーパッチの色味や濃度を正確に検知することを目的とする。そして、画像形成装置の高画質化、低価格化、小型化又はダウンタイムの低減のいずれかを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述の課題を解決するために、本発明は以下の構成を備える。
【0008】
(1)搬送方向に配置された複数のパッチ画像からなるパッチ列画像を記録材上に形成する画像形成手段と、前記画像形成手段により形成されたパッチ列画像を記録材上に定着させる定着手段と、光源と受光部を有し、前記定着手段により記録材上に定着されたパッチ列画像を検知する検知手段と、前記検知手段により検知されたパッチ列画像の検知結果に基づき、前記画像形成手段の画像形成条件を補正する制御手段と、を備える画像形成装置であって、前記制御手段は、前記検知手段によりパッチ列画像を検知することによって前記光源の光度の時間変化に関する情報を取得し、取得した情報に基づいて、前記検知手段により検知したパッチ列画像の検知結果を補正することを特徴とする画像形成装置。
【0009】
(2)搬送方向に配置された複数のパッチ画像からなるパッチ列画像を記録材上に形成する画像形成手段と、前記画像形成手段により形成されたパッチ列画像を記録材上に定着させる定着手段と、光源と受光部を有し、前記定着手段により記録材上に定着されたパッチ列画像を検知する検知手段と、前記検知手段により検知されたパッチ列画像の検知結果に基づき、前記画像形成手段の画像形成条件を補正する制御手段と、を備える画像形成装置であって、前記制御手段は、前記検知手段によりパッチ列画像を検知することによって前記光源の光度の時間変化に関する情報を取得し、取得した情報に基づいて、前記光源の光度を調整することを特徴とする画像形成装置。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、センサの光源の光度が変動するような状況の下でも、トナーパッチの色味や濃度を正確に検知することができる。そして、画像形成装置の高画質化、低価格化、小型化又はダウンタイムの低減のいずれかを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施例1の画像形成装置の全体を説明する図
【図2】実施例1のトナーパッチ列を示す図
【図3】実施例1のトナーパッチ検知部、蓄積型センサ、同期回路、光源の回路構成を示す図
【図4】実施例1の蓄積型センサと同期回路の動作を示すタイミングチャート
【図5】実施例1のLEDの相対光度の変化を示す図
【図6】実施例1のセンサの光度補正処理を説明するフローチャート
【図7】実施例2のトナーパッチ列を示す図、LEDの相対光度の変化と近似曲線を示す図
【図8】実施例2のセンサの光度補正処理を説明するフローチャート
【図9】実施例3のPWM信号の生成を説明する図、オンデューティー比とLEDの相対光度の変化を示す図
【図10】実施例3のセンサの光度補正処理を説明するフローチャート、実施例4のLEDのPWM値の更新処理を説明するフローチャート
【図11】実施例4のオンデューティー比とLEDの相対光度の変化を示す図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態を、実施例により詳しく説明する。
【実施例1】
【0013】
実施例1では、トナーパッチ検知中の、センサのLEDの光度変化カーブをあらかじめ求めて、画像形成装置の制御部の記憶手段であるメモリ等に記憶しておく。そして、記憶してあるLEDの光度変化カーブに応じて、トナーパッチの反射光から得た色味や濃度の情報を補正する。
【0014】
[画像形成装置の構成]
図1は本実施例の電子写真方式のカラー画像形成装置を示す。図1に示す本実施例の電子写真方式のカラー画像形成装置は、4色の画像形成手段である画像形成部を備えたカラープリンタ(以下、単にプリンタともいう)である。ここで、例えば4色とは、イエロー(以下Yと記述する)、マゼンタ(以下Mと記述する)、シアン(以下Cと記述する)、ブラック(以下Kと記述する)である。静電潜像が形成される感光ドラム1a,1b,1c,1dは、ドラムモータ6a,6b,6c,6dにより駆動される。尚、a,b,c,dは、各々Y,M,C,K用を示しており、以降、特定の色について説明する場合を除き省略する。レーザスキャナ2は、例えばコンピュータ等の外部機器から入力された画像信号に応じて露光を行い、感光ドラム1上に静電潜像を形成する。転写ベルト3は、感光ドラム1上に形成されたトナー像が転写される無端状のベルトである。駆動ローラ4は、モータとギア等でなる駆動手段であるベルトモータ6eと接続され、転写ベルト3を駆動する。ベルトモータ6eは、駆動ローラ4を駆動する。定着手段である定着器5は、画像が形成される(又は印字される)記録材である紙10に転写されたトナー像を溶融、固着する。転写部7は、転写ベルト3上のトナー像を紙10に転写する。
【0015】
検知手段であるトナーパッチ検知部8は、紙10上(記録材上)に形成された定着後のトナーパッチを検知する。給紙カセット11は、紙10をストックしておく。トレイ12は、プリント後の紙10を積載する。両面パス13は、紙10の両面にプリントする際に、片面に印字した紙10を、画像形成装置内に再度搬送するための搬送路である。本実施例では、図1に示すように、トナーパッチ検知部8は、両面パス13に搬送された紙10を検知可能なように設けられており、熱源となる定着器5から距離を離さずに配置されている。
【0016】
外部機器であるパーソナルコンピュータ等からプリンタに送られた、プリントすべきデータの画像データへの変換が終了し、印刷可能状態となると、転写ベルト3の回転とタイミングを合せて、各色の画像信号が各レーザスキャナ2に送られる。そしてレーザスキャナ2により感光ドラム1上に静電潜像が形成され、図示しない現像器により静電潜像がトナーで現像されて、転写ベルト3上に転写される。その後転写ベルト3上のトナー像が転写部7に到達するタイミングにあわせて、紙10が給紙カセット11から搬送され、転写部7により、転写ベルト3上のトナー像が紙10に転写される。続いてトナー像が転写された紙10は定着器5に搬送され、定着器5の熱によってトナー像が紙10上に定着されて排出される。定着器5から排出された紙10は、片面プリントの場合はトレイ12に積載される。一方、両面プリントの場合は、定着器5直後で一旦停止し、両面パス13に搬送され、再度転写部7に搬送される。また、色味や濃度検知用のトナーパッチ列(パッチ列画像)が印刷された紙10をトナーパッチ検知部8により検知する場合にも、紙10は両面パス13に搬送される。
【0017】
[紙上のトナーパッチ列の検知動作]
トナーの色味や濃度検知を行う場合の動作について説明する。図2は、色味や濃度を検知するためのトナーパッチ列を示す。尚、図2(a)、図2(b)の詳細については後述する。制御手段である制御部(後述するCPU9)は、上述した印字動作に従って、図2(a)に示すようなトナーパッチ列を、紙10上に形成する。トナーパッチ列が形成された紙10は、両面プリント時の動作と同様に、定着器5から排出された後に、定着器5直後で一旦停止して両面パス13に搬送される。これにより、トナーパッチ列が形成された定着後の紙10が、トナーパッチ検知部8に到達する。紙10は、トナーパッチ検知部8によりトナーパッチ列が検知された後、トナーパッチ列が形成された面とは異なる面に画像形成が行われることなく、転写部7、定着器5を通過して、トレイ12に排出される。すなわち、トナーパッチ列が形成された紙10は、トナーパッチ検知部8によりトナーパッチ列を検知するためにのみ両面パス13に搬送される。
【0018】
[トナーパッチ列の検知方法]
トナーパッチ列の検知方法について説明する。図3(a)にトナーパッチ検知系の全体構成ブロック図及びパッチ検知用センサ、同期回路、光源、トナーパッチの関係を示す。トナーパッチ検知部8は、パッチ検知用センサ101(受光部)、同期回路102、光源103から構成されている。光源103から発せられた光は、紙10に対して約45°の角度で紙10の上に形成された位置検知用トナーパッチ151(パッチ画像)や色味や濃度検知用のトナーパッチ150(パッチ画像)に入射し、トナー面で乱反射し上面に広がる。パッチ検知用センサ101、同期回路102はこの反射光を検知する。より詳しくは、パッチ検知用センサ101は、乱反射光を受光し、同期回路102は正反射光を受光する。尚、同期回路102が光源103からの正反射光を受光できる構成であればよく、光源から紙10又はトナーパッチ151、150への光の入射角や、パッチ検知用センサ101及び同期回路102の位置関係は、図3(a)に示す構成に限定されない。
【0019】
制御部であるCPU9は、トナーパッチ検知部8を制御する。CPU9は、ADコンバータ(ADC)、RAM、不揮発メモリを内蔵している。また、CPU9は、時間計測用の不図示のタイマも備える。CPU9は、同期回路102から出力された信号に基づき、トナーパッチ検知部8へ後述する各種制御信号を出力し、パッチ検知用センサ101からの出力を取り込む。また光源103のオン・オフの制御を行う。
【0020】
(同期回路)
図3(b)に同期回路102の具体例を示す。同期回路102は、コンパレータ110と、抵抗分圧により定電圧V116を生成する抵抗108と109と、フォトダイオード141と、フォトダイオード141で生じる電流をIV変換してV115とする抵抗107と、から構成されている。コンパレータ110は、リファレンス電圧となる定電圧V116と、フォトダイオード141に流れる電流に応じて決定する電圧V115とを比較した結果を、電圧V111として出力する。
【0021】
ここでフォトダイオード141が、例えば転写ベルト3や紙10からの反射光を受けている場合、フォトダイオード141に流れる電流は、トナーパッチからの反射光を受けている場合に比較して大きい。このため、フォトダイオード141のカソード側の電圧V115はリファレンス電圧V116に対して十分小さい。このため、コンパレータ110の出力V111はローレベルとなる。次に、フォトダイオード141が、位置検知用のトナーパッチ151からの反射光を受けると、フォトダイオード141に流れる電流が減少し、電圧V115は上昇して、コンパレータ110の出力は反転し、出力V111はハイレベルとなる。更に、位置検知用のトナーパッチ151が移動し、フォトダイオード141が、再び紙10からの反射光を受けるようになると、コンパレータ110は再度反転して出力V111はローレベルとなる。
【0022】
従って出力V111が、ハイレベルからローレベルになるタイミングから所定時間後に、蓄積型センサであるパッチ検知用センサ101の蓄積を開始すれば、正確にトナーパッチに合わせた検知が可能となる。尚、出力V111がハイレベルからローレベルになるタイミングは、位置検知用トナーパッチ151の検知から紙10そのものの検知に切り替わるタイミングである。また、所定時間とは、位置検知用トナーパッチ151と、これに引き続く色味や濃度検知用のトナーパッチ150との時間間隔のことである。尚、この時間間隔は、転写ベルト3の搬送速度が一定(例えば、100ミリメートル/秒)であるとすると、位置検知用トナーパッチ151とこれに引き続く色味や濃度検知用のトナーパッチ150との距離間隔に相当する。この時間間隔については、位置検知用トナーパッチ151に、図2(b)に示すようなトナーパッチ非形成部分が続く場合でも、同じ所定時間を用いて良い。このように、CPU9は、同期回路102の出力V111をモニタすることにより、蓄積型センサであるパッチ検知用センサ101を駆動させるタイミングを正確に知ることができる。
【0023】
(光源)
光源103は、図3(c)に示すようにLED142と電流制限抵抗112、LED142のオン・オフを切り替えるNMOSFET113を備えている。CPU9から出力される制御信号Lがローレベルのとき、NMOSFET113はオフし、LED142には電流が流れず、光源103は消灯する。逆に制御信号Lがハイレベルのとき、NMOSFET113がオンし、電源からLED142に電流が流れ、光源103は点灯する。従って、CPU9は、制御信号Lのハイレベルとローレベルを切り替えることにより、光源103の点灯と消灯を制御することができる。トナーの色味を検出する場合、光源103としては、白色LEDのように可視光全域にスペクトルを持つような光源を用いる。
【0024】
尚、本実施例では、後述する図4に示すように、CPU9がNMOSFET113に出力する制御信号Lは、トナーパッチ列が形成された紙10の先端の到達タイミングに合わせてハイレベルとなる。そして、制御信号Lは、トナーパッチ列が検知されている間、ハイレベルを維持する。すなわち、光源103は、トナーパッチ列が検知されている間、点灯を維持する。CPU9が制御信号Lを出力するタイミングは、次のようにして決定される。例えば、搬送路上に備えられた給紙センサや搬送センサなどで紙10の到達を検知し、センサにより検知された位置からトナーパッチ検知部8までの距離と、紙10の搬送速度とに基づいて、誤差を考慮したマージンを持たせて決定される。
【0025】
(パッチ検知用センサ)
次にパッチ検知用センサ101について説明する。本実施例では、パッチ検知用センサ101には、蓄積型センサを用いている。蓄積型センサの等価回路を図3(d)に示す。121はバイポーラタイプ蓄積型センサの1画素の等価回路例であり、以降、センサ121という。トランジスタ124は光を検知する高電流増幅率のバイポーラトランジスタであり、コンデンサ125は、トランジスタ124のベース−コレクタ間の容量で、電荷を蓄積する。PMOSFET126は、ベースリセット信号brに基づき、トランジスタ124のベース電圧を電圧Vbbにリセットする。NMOSFET127は、エミッタリセット信号erに基づき、トランジスタ124のエミッタを電圧Vebにリセットするエミッタリセットを行う。NMOSFET128は、転送信号tに基づきコンデンサ125に蓄積された電荷を、コンデンサ129に一括して転送する。NMOSFET130は、コンデンサ129に転送された電荷を、シフトレジスタ132の出力sr1に応じて出力ラインVoutに出力する。NMOSFET131は、出力ラインリセット信号hrに基づき出力ラインVoutを電圧Vhrにリセットする。
【0026】
図3(d)では、パッチ検知用センサ101を、RGB各色に対応して3画素分(121,122,123)設けている。そして、各画素の表面にオンチップカラーフィルタを設けることにより、反射光のうちR(赤)、G(緑)、B(青)3色の信号を検知することが可能となる。例えば、本実施例では、センサ121をR用、センサ122をG用、センサ123をB用とする。尚、センサ122,123の構成は、センサ121と同じ構成であるため、図中符号を省略し説明も省略する。CPU9は、出力ラインVoutに出力された信号を受信し、AD変換することにより、トナーパッチ面で反射した反射光のうちR、G、Bの各波長に対応した光を所定時間蓄積した信号を得ることができる。
尚、CPU9は、各制御信号(br,er,t,hr)をパッチ検知用センサ101に出力する。
【0027】
[同期回路とパッチ検知用センサの動作]
図4のタイミングチャートを用いて同期回路102と蓄積型センサであるパッチ検知用センサ101の動作を説明する。CPU9は、紙10上に上述した画像形成工程によりトナーパッチ列を形成する。CPU9が、制御信号Lをハイレベルとし光源103を点灯(オン)する。ここで、同期回路102のフォトダイオード141は転写ベルト3からの反射光を受け、コンパレータ110の出力V111はローレベルとなる。その後、時刻t1で同期回路102を含むトナーパッチ検知部8に、定着後の紙10の先端が到達する。
【0028】
次に、時刻t2でトナーパッチ検知部8の検知エリアに位置検知用トナーパッチ151が到達すると、同期回路102のコンパレータ110の出力が反転し、出力V111はハイレベルとなる。時刻t3において位置検知用トナーパッチ151がトナーパッチ検知部8の検知エリアから出ると、同期回路102のコンパレータ110の出力が反転し、出力V111はローレベルとなる。CPU9がこの2回目の出力V111の立ち下り(時刻t3の立ち下がり)を検知し、パッチ検知用センサ101の動作を開始させることにより、トナーパッチ153の位置に合わせた蓄積タイミングの設定が可能となる。尚、1回目の出力V111の立ち下がりは、CPU9が制御信号Lをハイレベルとしたタイミングである。具体的には、CPU9は、出力V111の立ち下がりを検知して、所定のパルス幅のベースリセット信号brとエミッタリセット信号erを生成し、パッチ検知用センサ101に出力して、パッチ検知用センサ101のリセットを行う。即ち、CPU9がベースリセット信号brをローレベルにすると、PMOSFET126がオンし、トランジスタ124のベースは電圧Vbbにリセットされる。また、CPU9がエミッタリセット信号erをハイレベルにすると、NMOSFET127がオンし、トランジスタ124のエミッタはほぼ電圧Vebにリセットされ、トランジスタ124のベース電位はエミッタ電位に応じて低下する(V117)。
【0029】
時刻t4でCPU9がエミッタリセット信号erをローレベルにすると、トランジスタ124はエミッタ、ベースともフローティング状態となりパッチ検知用センサ101は電荷の蓄積を開始する(V117)。
【0030】
CPU9がエミッタリセット信号erをローレベルにした時刻t4から所定の蓄積時間ts経過後、CPU9は、時刻t5において転送信号tをパッチ検知用センサ101に出力する。尚、所定の蓄積時間tsは、トナーパッチやセンサの性能により決定される。パッチ検知用センサ101は、CPU9から転送信号tを入力されると、コンデンサ125に蓄積された電荷を、コンデンサ129に転送し蓄積を終了する。その後、CPU9は、シフトレジスタ132を動作させて、例えば信号sr1を出力させることにより、NMOSFET130をオンし、コンデンサ129に転送された電荷を信号として出力ラインVoutから出力させる。これにより、CPU9は、パッチ検知用センサ101の出力を出力ラインVoutから読み出す。読み出された信号は、CPU9に搭載されたAD変換器でAD変換され、CPU9に搭載されたRAMに収納される。CPU9は、1つのセンサ例えばR用のセンサ121の出力を読み出した後、出力ラインリセット信号hrをハイレベルとすることにより、NMOSFET131によって出力ラインVoutが電圧Vhrにリセットされる。
【0031】
同様に、CPU9は、R用のセンサ121の出力に引き続き順次、G用のセンサ122、B用のセンサ123のフィルタに対応したセンサ出力を読み出す。すなわち、CPU9は、シフトレジスタ132の出力sr2をオンにし、センサ122の出力を読み出し、その後出力ラインリセット信号hrをハイレベルにし、出力ラインをリセットする。次に、CPU9は、シフトレジスタ132の出力sr3をオンにし、センサ123の出力を読み出し、その後出力ラインリセット信号hrをハイレベルにし、出力ラインをリセットする。図4に示す時刻t5後のVoutの3つの波形は、パッチ検知用センサ101により色味や濃度検知用のトナーパッチ153を検知した結果、センサ121〜123から出力されたRGBそれぞれに対応する出力信号である。
【0032】
CPU9は、ひとつ目の位置検知用トナーパッチ151に対応する信号を読み出した後は、再び同期回路102が出力するタイミング信号(同期回路102の出力V111)に応じてセンサリセット、信号の蓄積、読み出しを繰り返す。これにより、CPU9は、色味や濃度検知用の複数のトナーパッチ153〜160(図2(a)参照)を読み取っていく。これにより、CPU9は、本実施例の画像形成装置の各種制御の基となるデータを得ることができる。例えば、CPU9は、トナーパッチ検知部8により検知したトナーパッチ列の検知結果に基づいて、例えば露光量や現像電圧等の画像形成条件の補正を行う。
【0033】
[トナーパッチ列]
トナーパッチ列について図2(a)により説明する。図2(a)において、151は位置検知用トナーパッチ、153〜160は色味や濃度検知用のトナーパッチである。尚、位置検知用トナーパッチ151は、上述したように、パッチ検知用センサ101の電荷の蓄積を開始するタイミングを決めるために用いられる。このため、同期回路102の出力V111が、位置検知用トナーパッチ151の検知から紙10の検知に移行することに伴い、ハイレベルからローレベルとなるような濃さのトナーパッチとなるようにする。トナーパッチ列は、図2(a)に示すように、位置検知用トナーパッチと、色味や濃度検知用のトナーパッチが、交互に並んでいる。また、トナーパッチ列は図の左方向に搬送されるものとする。すなわち図の一番左のパッチが先頭のパッチとなる。尚、説明上の便宜のため、トナーパッチ列の先頭のパッチから、1つの位置検知用トナーパッチと1つの色味や濃度検知用のトナーパッチを1セットとして、順に1、2、3・・・とパッチ番号を割り当てる。CPU9は、トナーパッチ検知部8により図2(a)に示すトナーパッチ列を検知することにより、色味や濃度を検知して、色味や濃度の補正を行う。図2(b)については後述する。
【0034】
[LEDの光度補正方法]
LEDの光度補正方法について説明する。前述のように、画像形成装置の制御部であるCPU9は、あらかじめLED142の光度データを記憶しておく。このデータは、例えばCPU9の不揮発メモリに保存しておくことができる。光度データの取得方法についての詳細は後述する。トナーパッチ検知部8の光源103のLED142点灯後の、LED142の光度変化の様子の一例を図5(a)に示す。図5(a)において、横軸は、その時点で検知を行っているパッチ番号、縦軸はLED相対光度(%)である。トナーパッチ検知部8は、トナーパッチ列をパッチ番号1から順に検知するため、図5(a)は、LED142の光度の時間変化を表しているともいえる。LED相対光度は、パッチ番号1のパッチの検知を開始(センサの蓄積開始時)したときの光度を100%とした場合の光度を示している。図5(a)に示すように、LED142の光度が変化する場合、CPU9は、後述する取得方法に従って、各パッチを検知するタイミング(センサの蓄積開始時)ごとの光度を不揮発メモリに記憶しておく。CPU9の不揮発メモリに保存されたLEDの光度データの一例を表1に示す。
【0035】
【表1】

【0036】
そして、CPU9は、不揮発メモリに記憶している表1のようなLED142の光度データから、トナーパッチ検知部8により図2(a)に示すような各トナーパッチ153〜160を検知したときのLED142の光度を求める。そして、CPU9は、トナーパッチの色度(色味や濃度)を補正する。例えば、後述する光度データの取得方法により取得し不揮発メモリに記憶した光度データ(表1)から、パッチ番号2の検知を開始したときのLED相対光度が99.41%であったとする。また、パッチ番号3の検知を開始したときのLED相対光度が98.89%であったとする。このような場合、CPU9は、紙10に印刷された色味や濃度検知用トナーパッチをトナーパッチ検知部8により検知した結果を次のように補正する。すなわち、CPU9は、色味や濃度検知用トナーパッチのパッチ番号2をトナーパッチ検知部8により検知した結果であるRGB出力(Vout)をそれぞれ100/99.41倍し、パッチ番号3のRGBの出力(Vout)をそれぞれ100/98.89倍する。
【0037】
尚、CPU9の不揮発メモリには、LED光度に応じた補正係数をあらかじめ記憶しておき、トナーパッチの検知結果を補正しても良い。この場合、補正係数は、例えば、パッチ番号2の検知を開始したときのLED相対光度が99.41%、パッチ番号3の検知を開始したときのLED相対光度が98.89%だった場合、次のようにする。すなわち、CPU9は、パッチ番号2の補正係数を100/99.41、パッチ3番号の補正係数を100/98.89と求める。そして、パッチ番号2に対しては1.006(≒100/99.41)、パッチ番号3に対しては1.011(≒100/98.89)という値を、それぞれ不揮発メモリに記憶しておく。そして、補正係数に応じて、トナーパッチの検知結果の補正を行う。
【0038】
[トナーパッチ検知部の検知結果の補正処理]
トナーパッチ検知部8による検知結果の補正処理のフローチャートを図6に示す。ステップ(以下、Sとする)1で、CPU9は、トナーパッチ検知部8によるパッチ検知を行う。パッチ検知の対象となるトナーパッチ列は、例えば図2(a)に示すものである。S2でCPU9は、あらかじめ不揮発メモリに記憶しているLED142の光度データ(例えば、図5(a)や表1)から、検知しているパッチ番号についての補正係数を読み出す。例えば、CPU9は、トナーパッチ検知部8により、パッチ番号2の色味や濃度検知用のトナーパッチを検知している場合は、不揮発メモリに記憶している例えば表1の光度データから、パッチ番号2についての99.41(%)という情報を読み出す。
【0039】
S3でCPU9は、読み出した補正係数を用いて、検知を行っているパッチについての検知結果を補正する。例えば、トナーパッチ検知部8がパッチ番号2のパッチを検知している場合、CPU9が読み出した補正係数が、例えば表1から99.41である場合は、パッチ検知用センサ101からの出力結果を、100/99.41倍して補正する。また、例えば、LED光度に応じた補正係数をあらかじめ不揮発メモリに記憶しておく構成である場合には、CPU9は次のように補正処理を行う。例えば、CPU9が不揮発メモリから読み出した補正係数が、パッチ番号2では1.006(≒100/99.41)であるとする。そうすると、CPU9は、パッチ番号2のパッチ検知用センサ101からの出力結果(センサ121〜123からのRGBの出力信号)を、1.006倍することにより補正する。また、例えば、トナーパッチ検知部8がパッチ番号3のパッチを検知している場合は、パッチ番号3についての補正係数を、不揮発メモリから読み出す。CPU9が読み出した補正係数が、例えばパッチ番号3では1.011(≒100/98.89)であるとすると、パッチ番号3のパッチ検知用センサ101からの出力結果を1.011倍することにより補正する。
【0040】
S4でCPU9は、トナーパッチ列のすべてのパッチの検知が終了したかどうかを判断し、トナーパッチ列のすべてのパッチの検知が終了していないと判断した場合は、S1の処理に戻りS1〜S3の動作を繰り返す。S4でCPU9は、トナーパッチ列のすべてのパッチの検知が終了したと判断した場合は、トナーパッチの検知動作を終了する。
【0041】
[LEDの光度データの取得方法]
LED142の光度データの取得方法について説明する。図5(a)に示すようなLED142の光度データは、位置検知用トナーパッチ151のみを印字した紙を検知することにより取得することができる。すなわち、図2(b)に示す位置検知用トナーパッチ151のみのトナーパッチ列を紙10に印字し、通常のパッチ検知と同様に検知を行う。この場合、検知結果は、紙表面の素の状態(紙そのもの)を検知した結果となる。そして紙表面の色味や反射率といった特性は紙全面にわたってほぼ均一であるので、パッチ検知用センサ101の検知結果から、LED142の光度変化のデータが取得できる。
【0042】
紙表面の色味や反射率はほぼ均一であり、例えば定着器5の熱やLED142自体の自己発熱がない理想的な状況であれば、光源103のLED142の光度は一定となるはずである。しかし、背景技術でも説明したように、LED142は、周囲温度の変化や自己発熱により影響を受け、時間的に光度が変化してしまう。本実施例では、図2(b)に示すような位置検知用トナーパッチ151のみのトナーパッチ列を紙10上に形成し、LED142の光度の時間変化をあらかじめ検知しておく。そして、パッチ番号1に対するその他のパッチ番号のLEDの相対光度(%)をCPU9の不揮発メモリに記憶しておく。これにより、LED142の光度がパッチ番号1からパッチ番号10までの間に図5(a)のように変化している区間でも、従来のようにLED142の光度が安定するまでLED142の予備点灯を行うことなく、色味や濃度の検知を行うことができる。尚、このように求めたLED142の光度変化のデータは、蓄積型センサで検知したものであるので、パッチ検知中に照射されたLEDの総光量となる。LED142の光度変化のデータを求める際の蓄積時間は、色味や濃度検知用のトナーパッチを検知する際の蓄積時間tsと同一にしても良い。この場合、LED142の光度変化のデータを求める際の蓄積時間は、tsとなる。また、色味や濃度検知用のトナーパッチを検知する際の蓄積時間tsと同一にしてしまうと、パッチ検知用センサ101の出力が飽和してしまう場合は、LED142の光度変化のデータを求める際の蓄積時間を短くしても良い。
【0043】
色味や濃度検知用のトナーパッチを検知する際の蓄積時間tsが、各々のパッチで違う場合は、その各々の蓄積時間の比率を保つような蓄積時間を設定する。例えば、色味や濃度検知用のトナーパッチを検知する際の蓄積時間が、パッチ番号1ではts1、パッチ番号2ではts2だった場合、次のようにする。すなわち、LED142の光度変化のデータを求める際の蓄積時間をそれぞれts1/2、ts2/2として、パッチ番号によらず同じ1/2になるようにする。また、LED142の光度変化のデータは、画像形成装置とは別に用意した照度センサを用いて検知し、記憶させても良い。この場合、例えば画像形成装置の組み立て/調整工程などで、LEDの光度データ取得及び記憶をさせることができる。
【0044】
LED142の光度に応じた補正係数を予め求める際には、センサ121〜123の蓄積期間中のLED142の光度の変化を考慮して、補正係数を求める構成としても良い。すなわち、センサ蓄積期間中のLED142の光度を積分し、パッチごとに照射されたLED142の総光量を求める。そして、パッチごとの総光量に基づいて、パッチごとの補正係数を求める構成としてもよい。図5(b)には、各パッチごとに照射されたLED142の総光量の変化を示している。これにより、1つのパッチ番号について、センサ121〜123の蓄積開始時と、蓄積終了時とでも、LED142の光度が変化するような場合でも、その変化量をも考慮した補正係数を得ることができる。
【0045】
尚、ここでは、パッチ検知用センサ101として、蓄積型センサを用いた場合の例を示した。しかし、センサはフォトトランジスタやフォトダイオードでも良いし、蓄積型センサとしてCCDやCMOSを用いたものでも良い。また、フィルタが透過する波長もRGBに限定されない。更に、分光測光方式に対応しプリズム等で分光された光がそれぞれ入射するようにした多数のセンサを設けたラインセンサでもよい。更に、R、G、BのLEDといった異なる発光波長の光源のオン・オフを時分割で切り替えて1つのセンサでトナーパッチの反射光を検知する場合でも、同様の効果が得られる。
【0046】
以上の構成によれば、トナーパッチ検知部8が定着器5から離れて配置されていない構成である場合や、LED142の光度が自己発熱により変動する場合でも、その補正が可能となる。従って、トナーパッチの色味又は濃度の正確な検知が可能であり、その検知結果により正確に画像形成部の動作条件や画像処理にフィードバックをかけることが可能となり、色再現性のよい画像形成装置を実現できる。以上、本実施例によれば、センサの光源の光度が変動するような状況の下でも、トナーパッチの色味や濃度を正確に検知することができる。そして、画像形成装置の高画質化、低価格化、小型化又はダウンタイムの低減のいずれかを実現することができる。
【実施例2】
【0047】
実施例2では、色味や濃度検知用のトナーパッチ列中に、少なくとも1箇所以上のトナーパッチ非形成部分を設け、トナーパッチ非形成部分からの反射光により、LEDの光度を検知して、LEDの光度データを取得する。そして、取得したLEDの光度データに基づいて、色味や濃度検知用のトナーパッチの反射光から得た、色味や濃度の情報を補正する。本実施例の画像形成装置の構成、トナーパッチ検知部の構成は実施例1と同様なので説明を省略する。
【0048】
[トナーパッチ列]
本実施例のトナーパッチ列について図7(a)を参照しながら説明する。図7(a)において、151は位置検知用トナーパッチ、152はトナーパッチ非形成部、153〜160は色味や濃度検知用のトナーパッチである。トナーパッチ列は、図7(a)に示すように、パッチを形成した部分であるトナーパッチ形成部(153〜160)とパッチを形成しない部分であるトナーパッチ非形成部152からなる。トナーパッチ非形成部152はトナーパッチ列中に少なくとも1箇所以上設ける。トナーパッチ非形成部152は、実施例1で説明した図2(b)のトナーパッチ列のトナーパッチ非形成部に相当する。また、トナーパッチ形成部及びトナーパッチ非形成部には、図7(a)に示す搬送方向のそれぞれの下流側に、位置検知用トナーパッチ151が形成されている。すなわち、位置検知用トナーパッチ151と、トナーパッチ形成部及びトナーパッチ非形成部のいずれか1つとが、1セットとなっている。また、図7(a)では、色味や濃度検知用トナーパッチ5個ごとに、色味や濃度検知用トナーパッチ1個分のサイズ(搬送方向の長さ)のトナーパッチ非形成部152を設けている。尚、本実施例では、トナーパッチ非形成部152を、色味や濃度検知用トナーパッチの5個ごとに形成しているが、これに限定されない。
【0049】
[LEDの光度補正方法と光度データの取得方法]
本実施例のLEDの光度補正方法について説明する。前述のように、トナーパッチ列には、少なくとも1箇所以上のトナーパッチ非形成部分が設けられている。トナーパッチ非形成部分におけるパッチ検知用センサ101の検知結果は、紙表面の素の状態(紙そのもの)を検知した結果となる。そして紙表面の色味や反射率といった特性は紙全面にわたってほぼ均一であるので、パッチ検知用センサ101の検知結果から、LEDの光度の変化データが取得できる。
【0050】
本実施例のLEDの光度補正動作について具体的に説明する。例えば、図7(a)に示すトナーパッチ列の場合、トナーパッチ5個ごとに、トナーパッチ1個分のサイズのトナーパッチ非形成部を設けている。前述のようにトナーパッチ非形成部分をパッチ検知用センサ101で検知し、検知した結果から紙表面の輝度を求める。次に、各トナーパッチ非形成部分の輝度を求めた結果から、LED光度の変化カーブの近似曲線を求める。
【0051】
各トナーパッチ非形成部分の輝度を求めた結果と、その近似曲線の例を図7(b)に示す。図7(b)では、パッチ番号1、7、13(図7(a)には不図示)がトナーパッチ非形成部152であり、パッチ番号2〜6、8〜12がトナーパッチ形成部153〜160(パッチ番号11,12は図7(a)には不図示)である。図7(b)において、パッチ番号1、7、13については、実際にトナーパッチ検知部8によりトナーパッチ非形成部152を検知した結果(すなわちLED光度測定結果)である。例えば、パッチ番号1、7のトナーパッチ非形成部152のLEDの光度データを用いて、パッチ番号2〜6を検知中のLED光度の変化カーブを、例えば1次多項式により求めることができる。同様に、パッチ番号7、13のトナーパッチ非形成部152のLEDの光度データを用いて、パッチ番号8〜12を検知中のLED光度の変化カーブを、例えば1次多項式により求めることができる。尚、パッチ番号1、7、13のトナーパッチ非形成部152のLEDの光度データを用いて、例えば2次多項式により近似曲線を求めてもよい。このように、図7(b)において、パッチ番号2〜6、パッチ番号8〜12については、近似曲線から求めたLED相対光度(%)を示している。
【0052】
次に、求めた近似曲線から、トナーパッチ検知部8により各トナーパッチを検知したときのLEDの光度を求め、このトナーパッチの出力結果を、例えば図7(b)に示すような近似曲線を用いて補正する。
【0053】
例えば、パッチ番号1(トナーパッチ非形成部152)のLEDの光度を100%とする。この場合、パッチ番号1とパッチ番号7の検知結果から求めた近似曲線から、パッチ番号2のLED相対光度が99.41%と求められたとする。また、近似曲線から、パッチ番号3のLED相対光度が98.89%と求められたとする。この場合、CPU9は、パッチ番号2のパッチ検知用センサ101による出力結果(RGB出力信号)を100/99.41倍する。また、パッチ番号3のパッチ検知用センサ101による出力結果(RGBの出力信号)を100/98.89倍する。
【0054】
尚、パッチ番号1、7、13を検知する際の蓄積時間は同一の値とする。また、パッチ番号1、7、13とそれ以外のパッチで蓄積時間が異なる場合は、近似曲線から求めたLED光度を、蓄積時間の違いに応じて更に補正する。例えばパッチ番号1の蓄積時間が1、LED相対光度が100%とする。また、パッチ番号2の蓄積時間が2、近似曲線から求めたLED相対光度が99.41%であり、パッチ番号3の蓄積時間が2.2、近似曲線から求めたLED相対光度が98.89%であるとする。この場合、パッチ番号2のパッチ検知用センサ101による出力結果(RGB出力信号)を100/99.41×2倍し、パッチ番号3のパッチ検知用センサ101による出力結果(RGB出力信号)を100/98.89×2.2倍する。これにより、蓄積時間が異なる場合でも、補正することができる。
【0055】
[トナーパッチ検知部の検知結果の補正処理]
本実施例のLED光度補正動作のフローチャートを図8に示す。S1でCPU9は、パッチ検知用センサ101により、パッチ非形成部分(例えば、図7(a)の152(パッチ番号1))の検知を行う。すなわち、パッチ検知用センサ101は、紙そのものを検知する。S2でCPU9は、紙の搬送に伴い、パッチ検知用センサ101により、パッチ形成部分の検知を行う。例えばCPU9は、パッチ検知用センサ101により、パッチ形成部分153の検知を行う。S3でCPU9は、5パッチ分の検知を行ったか否かを判断する。S3でCPU9は、5パッチ分の検知を行っていないと判断すると、S2の処理に戻る。一方、S3でCPU9は、5パッチ分の検知を行ったと判断した場合、例えば、図7(a)で153〜157までのパッチ(パッチ番号2〜6)の検知を行った場合、S4の処理に進む。S4でCPU9は、パッチ検知用センサ101により、パッチ非形成部分(例えば図7(a)の152(パッチ番号7))の検知を行う。尚、S1、S2、S4で検知した結果は、例えばRAMに保存しておく。
【0056】
S5でCPU9は、S1とS4でパッチ検知用センサ101により検知したパッチ非形成部分(パッチ番号1、7)の検知結果から、例えば図7(b)に示すようなLED光度の変化カーブの近似曲線を求める。そして、求めたLED光度の変化カーブの近似曲線から、5個のパッチそれぞれを検知したときのLED光度を求める。例えば、CPU9は、S4で求めた近似曲線から、パッチ番号2については99.41%、パッチ番号3については98.89%等のように、LED相対光度を求める。S6でCPU9は、S5で近似曲線から求めた5個のパッチ番号それぞれに対応するLED相対光度により、S2で検知した5個のパッチの検知結果をそれぞれ補正する。S7でCPU9は、パッチ形成部分の5個のパッチ全てについて、補正が終了したか否かを判断する。S7でCPU9は、5個のパッチ全てについて補正が終了していないと判断した場合は、S6の処理に戻り、5個のパッチ全てについて補正が終了したと判断した場合は、S8の処理に進む。以上の動作を、紙10上に形成したすべてのパッチに対して行う。S8でCPU9は、トナーパッチ列のすべてのパッチの検知が終了したか否かを判断し、全パッチについて終了していないと判断した場合はS2の処理に戻り、全パッチについて終了したと判断した場合は、トナーパッチの検知動作を終了する。
【0057】
尚、各トナーパッチ非形成部分の検知については、センサのRGBの出力をすべて読み出さずに、例えば、紙10の搬送に伴い一番最初に読み出される例えばRの出力のみ読み出して、LEDの輝度を求めても良い。同様に、センサにラインセンサを用いた場合、全画素の出力を読み出さずに、一部の画素の出力を読み出してLEDの光度を求めても良い。このようにすることで、センサ出力の読み出し時間を短縮することができ、トナーパッチ非形成部分の紙搬送方向のサイズを小さくできる。従って、その分、トナーパッチ形成部を増やすことができ、パッチ数を増やせることにより、より多くの情報に基づいた制御が可能となり、色安定化制御の精度向上がはかれる。
【0058】
以上の構成によれば、LEDの光度が変動しても、LED光度の変動の検知と、その補正が可能となる。従って、トナーパッチの色味又は濃度の正確な検知が可能であり、その検知結果により正確にエンジンの動作条件や画像処理にフィードバックをかけることが可能となり、色再現性のよい画像形成装置を実現できる。例えば、紙の熱によりLEDの光度が変化し、あらかじめLEDの光度の変化を記憶して補正することが困難な場合でも、補正が可能となる。また、センサの受光素子によりLEDの光度を検知するため、受光素子の温度による感度変化の影響も同時に補正することができる。また、実施例1では光度データの取得とパッチの検知結果の補正を別々に行ったが、本実施例では、光度データである近似曲線の算出とパッチの検知結果の補正を1枚の紙10上に形成したパッチにより行うことができる。以上、本実施例によれば、センサの光源の光度が変動するような状況の下でも、トナーパッチの色味や濃度を正確に検知することができる。そして、画像形成装置の高画質化、低価格化、小型化又はダウンタイムの低減のいずれかを実現することができる。
【実施例3】
【0059】
実施例3では、トナーパッチ列中に、少なくとも1箇所以上のトナーパッチ非形成部分を設け、トナーパッチ非形成部分からの反射光により、LED光度を検知する。そして、LED光度を検知した結果により、LED光度調整を行う。本実施例の画像形成装置の構成、トナーパッチ検知部の構成は実施例1と同様であるため説明を省略する。
【0060】
[光源の制御]
実施例1で説明した図3(c)を用いて光源の制御について説明する。CPU9は、PWM信号Lを生成する。CPU9は、NMOSFET113のゲートにPWM信号Lを入力する。PWM信号Lがローレベルのとき、NMOSFET113はオフし、LED142には電流が流れず消灯する。逆にPWM信号Lがハイレベルのとき、NMOSFET113がオンし、電源からLED142に電流が流れ光源は点灯する。従って、CPU9は、PWM信号Lのハイレベル・ローレベルを切り替えることにより、光源の点灯・消灯を制御することができる。また、CPU9は、PWM信号LによりLED142のオンデューティー比を変えることにより、LED142の光度を調整することができる。すなわち、オンデューティー比が100%の場合は、LED142はフル点灯となり、オンデューティー比が50%の場合は、100%のフル点灯の場合のおおよそ50%の光度となる。
【0061】
CPU9は内部に16ビット幅のカウンタ(不図示)と16ビット幅の周期レジスタ(不図示)、16ビット幅のコンペアレジスタ(不図示)を備える。周期レジスタには、コンペアレジスタより大きな値を設定する。図9(a)にPWM信号生成の様子を示す。図9(a)には、PWM信号L、カウンタのカウント値(以下、カウンタ値)、コンペアレジスタの値(以下、コンペアレジスタ値)、周期レジスタの値(以下、周期レジスタ値)をそれぞれ示す。CPU9は、カウンタを常に増加させる動作(以下、アップカウント動作)を行う。CPU9は、カウンタ値が周期レジスタ値と一致したら、カウンタ値を0にクリアし、再びアップカウント動作を継続する。また、CPU9は、カウンタ値が周期レジスタと一致したときに、PWM信号をハイレベルにする。一方、CPU9は、カウンタ値がコンペアレジスタ値と一致したときに、PWM信号をローレベルにする。従って、CPU9は、周期レジスタ値により、PWM信号Lのキャリア周波数を設定でき、コンペアレジスタ値によりPWM信号Lのオンデューティー比を設定できる。以下、コンペアレジスタ値をPWM値と称する。
【0062】
また、PWM信号Lの分解能も、周期レジスタ値により決定されるので、LED142の光度の調整に必要な分解能を持たせるように、周期レジスタ値を決定する。例えば、本実施例では周期レジスタ値を1000とし、1/1000の分解能とする。尚、LED142は点灯後の光度調整に備えて、オンデューティー比の初期値を、例えば90%としておく。
【0063】
トナーパッチ列については、実施例2と同様であり、説明を省略する。
【0064】
[LEDの光度補正方法]
LED142の光度補正動作について具体的に説明する。例えば、図7(a)に示すトナーパッチ列の場合、トナーパッチ5個(153〜157)ごとに、トナーパッチ1個分のサイズのトナーパッチ非形成部(152)を設けている。前述のように、CPU9は、トナーパッチ非形成部分をパッチ検知用センサ101で検知し、検知した結果から紙表面の輝度を求める。次に、CPU9は、各トナーパッチ非形成部分の輝度を求めた結果から、PWM値(言い換えればコンペアレジスタ値)を調整する。
【0065】
例えば、CPU9は、PWMとLED光度がリニアな関係とみなせる場合、所望のLED光度と現状のLED光度の差から、所望のLED光度を達成するPWM値を求める。すなわち、LED142が、オンデューティー比90%で点灯していて、LED光度が所望の値に対して1%暗かった場合、オンデューティー比を1%増加させ90.9%(90+90×0.01)とする。ここで、上述のように周期レジスタ値は1000であり、オンデューティー比90%でPWM値は900(=1000×0.9)である。従って、CPU9は、PWM値を909と補正して更新する。
【0066】
LED光度の変化と、オンデューティー比の変化の様子を図9(b)に示す。図9(b)において、横軸は、その時点で検知を行っているパッチ番号、縦軸はLED相対光度及びオンデューティー比である。LEDの光度はパッチ番号1のパッチを検知したときの光度に対する相対光度である。又は、オンデューティー比とLED光度の関係を示すデータを、あらかじめ記憶しておき、このデータを元に所望のLED光度を達成するオンデューティー比を求めても良い。
【0067】
[トナーパッチ検知部の検知結果の補正処理]
LED142の光度補正動作のフローチャートを図10(a)に示す。S1でCPU9は、パッチ検知用センサ101によりパッチ非形成部分(例えば、図7(a)の152(パッチ番号7))の検知を行う。S2でCPU9は、S1で検知したパッチ非形成部分の検知結果によりPWM値を更新し、LED142の光度が所望の値になるように調整する。例えば、パッチ番号1のLED相対光度を100%とし、パッチ番号7を検知した結果LED相対光度が99%であったとすると、所望の値より1%暗いため、オンデューティー比90%に対して1%増加させ、PWM値を90.9%と補正して更新する。尚、S1で検知したパッチが、パッチ番号1の場合は、S2は行わず、LED相対光度を100%とする。
【0068】
S3でCPU9は、パッチ検知用センサ101により、パッチ形成部分である5パッチ分(例えば、図7(a)の153〜157)の検知を行う。S4でCPU9は、5パッチ分の検知が終了したか否かを判断し、終了していないと判断した場合はS3の処理に戻り、終了したと判断した場合はS5の処理に進む。尚、S3でパッチを検知したときのLED相対光度が、図9(b)の黒四角部分に相当する。この間、LED光度調整は行わないため、図9(b)に示すようにオンデューティー比は、例えばパッチ番号2からパッチ番号6まで(例えば、図7(a)の153〜157)90%が維持される。S5でCPU9は、トナーパッチ列のすべてのパッチの検知が終了したかどうかを判断し、トナーパッチ列のすべてのパッチの検知が終了していないと判断した場合、S1の処理に戻りS1〜S4の動作を繰り返す。
【0069】
例えば、CPU9は、図9(b)に示すように、S1でパッチ番号7(トナーパッチ非形成部152)の検知を行う。パッチ番号7の検知を行ったとき、オンデューティー比は更新前の値であり、例えば90%となっている。パッチ番号7の光度は、所望の光度(パッチ番号1の光度100%)に対して1%暗くなっている。そこで、上述したように、オンデューティー比を1%増加させて、90.9%とし、PWM値を例えば909に更新する。尚、更新したPWM値は、次のパッチ(例えば、パッチ番号8)をパッチ検知用センサ101により検知する際に反映される。図9(b)では、その反映の様子を、パッチ番号7等の光度検知からパッチ番号8等のPWM値更新への一点鎖線矢印で表している。S5でCPU9は、トナーパッチ列のすべてのパッチの検知が終了したと判断した場合、トナーパッチの検知動作を終了する。これにより、図9(b)に示すように、パッチ番号13、パッチ番号19の検知が行われた後に、パッチ番号14で91.4%、パッチ番号20で91.8%と、オンデューティー比、言い換えればPWM値の更新が行われる。
【0070】
本実施例では、LED142の光度調整にはPWM方式を用いた例を示した。しかし、光度調整方法はPWM方式に限定されるものではなく、LED142に流す電流をアナログ的に調整しても良いし、LED142に印加する電圧をアナログ的に調整しても良い。
【0071】
以上の構成によれば、LED142の光度が変動しても、LED光度の変動の検知と、LED光度の調整が可能となる。例えば、紙の熱によりLEDの光度が変化し、あらかじめLEDの光度の変化を記憶して補正することが困難な場合でも、補正が可能となる。また、センサの受光素子によりLED142の光度を検知するため、受光素子の温度による感度変化の影響も同時に補正することができる。更には、LED光度に応じたパッチ検知結果の補正を行う必要がないため、高速な演算処理が可能なCPUを用いる必要がなく、画像形成装置の低コスト化がはかれる。以上、本実施例によれば、センサの光源の光度が変動するような状況の下でも、トナーパッチの色味や濃度を正確に検知することができる。そして、画像形成装置の高画質化、低価格化、小型化又はダウンタイムの低減のいずれかを実現することができる。
【実施例4】
【0072】
実施例4では、LED142の光度をPWM点灯により調整可能なハードウェア構成とし、トナーパッチ検知中のLED光度の変化カーブをあらかじめ求めて、その光度変化を打ち消すようなPWM値を画像形成装置の制御部の記憶手段に記憶しておく。そして、記憶してあるPWM値に応じて、LED142をPWM点灯する。尚、本実施例の画像形成装置の構成、トナーパッチ検知部の構成、センサ用光源の構成は実施例3と同様であり、説明を省略する。
【0073】
[LEDの光度補正方法]
LEDの光度補正方法について説明する。前述のように、画像形成装置の制御部であるCPU9は、あらかじめLED点灯用のPWM値を記憶手段である不図示のメモリ等に記憶しておく。例えば、LED点灯後のLED光度の変化と、オンデューティー比の変化の様子を図11に示す。図11において、横軸は、その時点で検知を行っているパッチ番号、縦軸はLED相対光度(%)及びオンデューティー比(%)である。LED142の光度はパッチ番号1のパッチを検知したときの光度に対する相対光度である。尚、図11(a)では5パッチごとにPWM値を更新しているが、PWM値の更新は1パッチごとでも良いし、パッチの検知精度を満足する範囲で、更新間隔を延ばしても良い。特に、LED142の光度変化がなだらかな区間では、更新間隔を延ばすことができる。図11(b)では、LED142の光度変化がなだらかになるのに従って、4パッチ、6パッチ、7パッチ・・・と更新間隔を変えた例を示している。
【0074】
[PWM値の更新処理]
図11(a)のように5パッチごとにPWM値を更新する処理のフローチャートを図10(b)に示す。S1でCPU9は、PWM値を設定しLED142を点灯する。例えば、パッチ番号1について、上述したようにオンデューティー比の初期値90%に対応するPWM値を設定してLED142を点灯する。S2でCPU9は、パッチ検知用センサ101によりパッチの検知を行う。S3でCPU9は、5パッチ分の検知が終了したか否かを判断する。S3でCPU9は、5パッチ分の検知が終了していないと判断した場合は、S2の処理に戻り、5パッチ分の検知が終了したと判断した場合は、S4の処理に進む。S4でCPU9は、トナーパッチ列のすべてのパッチの検知が終了したかどうかを判断し、トナーパッチ列のすべてのパッチの検知が終了していないと判断した場合は、S1の処理に戻りS1〜S4の動作を繰り返す。例えば、パッチ番号5に続いてパッチ番号6からの5パッチ分を検知する場合、S1でCPU9は、パッチ番号6について、予め不揮発メモリに記憶された例えばオンデューティー比90.65%に相当するPWM値を設定する。S4でCPU9は、トナーパッチ列のすべてのパッチの検知が終了したと判断した場合は、トナーパッチの検知動作を終了する。
【0075】
[LEDのPWM値の取得方法]
LEDのPWM値の取得方法について説明する。LED142のPWM値は、画像形成装置とは別に用意した照度センサを用いて光度を検知しながら、一定の光度となるようにPWM値を調整し、そのPWM値を記憶させることで、取得することができる。この場合、例えば画像形成装置の組み立て/調整工程などで、PWM値の取得及び記憶をさせることができる。また、PWM値は、位置検知用パッチのみを印字した紙を検知することにより取得することができる。すなわち、図2(b)に示す位置検知用パッチのみのトナーパッチ列を紙10に印字し、通常のパッチ検知と同様に検知を行うことによっても、PWM値を取得することができる。各トナーパッチ非形成部分の輝度を求めた結果から、PWM値を調整する。例えば、PWMとLED光度がリニアな関係とみなせる場合、所望のLED光度と現状のLED光度の差から、所望のLED光度を達成するPWM値を求める。例えば1パッチごとにLED光度の検知とPWM値の微調整を行い、記憶するPWM値としては、数パッチおきのPWM値データとしても良い。このようにして各パッチ番号に対して求めたPWM値を例えば不揮発メモリ等にパッチ番号(パッチ番号1、パッチ番号6・・・等)に対応させて記憶しておく。
【0076】
以上の構成によれば、LED光度が自己発熱により変動してしまう場合でも、LED光度の変動を抑制することが可能となる。従って、トナーパッチの色味又は濃度の正確な検知が可能であり、その検知結果により正確に画像形成部の動作条件や画像処理にフィードバックをかけることが可能となり、色再現性のよい画像形成装置を実現できる。また、LED光度に応じたパッチ検知結果の補正を行う必要がないため、高速な演算処理が可能なCPUを用いる必要がなく、画像形成装置の低コスト化がはかれる。以上、本実施例によれば、センサの光源の光度が変動するような状況の下でも、トナーパッチの色味や濃度を正確に検知することができる。そして、画像形成装置の高画質化、低価格化、小型化又はダウンタイムの低減のいずれかを実現することができる。
【0077】
[その他の実施例]
・実施例1〜4では、電子写真方式の画像形成装置について説明したが、例えばインクジェット方式の画像形成装置等でも、記録媒体上にトナーパッチ列を形成して、センサで読み取る構成の装置であれば、適用できる。
・実施例1〜4では、カラーの画像形成装置について説明したが、例えばモノクロの画像形成装置についても適用できる。
以上、その他の実施例においても、センサの光源の光度が変動するような状況の下でも、トナーパッチの色味や濃度を正確に検知することができる。そして、画像形成装置の高画質化、低価格化、小型化又はダウンタイムの低減のいずれかを実現することができる。
【符号の説明】
【0078】
8 トナーパッチ検知部
9 CPU
101 パッチ検知用センサ
103 光源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送方向に配置された複数のパッチ画像からなるパッチ列画像を記録材上に形成する画像形成手段と、
前記画像形成手段により形成されたパッチ列画像を記録材上に定着させる定着手段と、
光源と受光部を有し、前記定着手段により記録材上に定着されたパッチ列画像を検知する検知手段と、
前記検知手段により検知されたパッチ列画像の検知結果に基づき、前記画像形成手段の画像形成条件を補正する制御手段と、
を備える画像形成装置であって、
前記制御手段は、前記検知手段によりパッチ列画像を検知することによって前記光源の光度の時間変化に関する情報を取得し、取得した情報に基づいて、前記検知手段により検知したパッチ列画像の検知結果を補正することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御手段が取得した前記光源の光度の時間変化に関する情報を記憶する記憶手段を備え、
前記制御手段は、前記検知手段により記録材を検知した結果に基づいて、前記光源の光度の時間変化に関する情報を取得して前記記憶手段に記憶し、前記記憶手段に記憶した情報に基づいて、前記検知手段により検知したパッチ列画像の検知結果を補正することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記パッチ列画像は、パッチを形成した部分とパッチを形成しない部分とから構成され、
前記制御手段は、前記検知手段により前記パッチを形成しない部分を検知した結果に基づいて、前記光源の光度の時間変化に関する情報を取得し、取得した情報に基づいて、前記検知手段により検知した前記パッチを形成した部分の検知結果を補正することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記検知手段により検知した前記パッチを形成しない部分の複数の検知結果に基づいて、前記光源の光度の時間変化に関する近似曲線を求め、前記近似曲線に基づいて、前記検知手段により検知した前記パッチを形成した部分の検知結果を補正することを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
搬送方向に配置された複数のパッチ画像からなるパッチ列画像を記録材上に形成する画像形成手段と、
前記画像形成手段により形成されたパッチ列画像を記録材上に定着させる定着手段と、
光源と受光部を有し、前記定着手段により記録材上に定着されたパッチ列画像を検知する検知手段と、
前記検知手段により検知されたパッチ列画像の検知結果に基づき、前記画像形成手段の画像形成条件を補正する制御手段と、
を備える画像形成装置であって、
前記制御手段は、前記検知手段によりパッチ列画像を検知することによって前記光源の光度の時間変化に関する情報を取得し、取得した情報に基づいて、前記光源の光度を調整することを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
前記制御手段が取得した前記光源の光度の時間変化に関する情報を記憶する記憶手段を備え、
前記制御手段は、前記検知手段により記録材を検知した結果に基づいて、前記光源の光度の時間変化に関する情報を取得して前記記憶手段に記憶し、前記記憶手段に記憶した情報に基づいて、前記光源の光度を調整することを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記パッチ列画像は、パッチを形成した部分とパッチを形成しない部分とから構成され、
前記制御手段は、前記検知手段により前記パッチを形成しない部分を検知した結果に基づいて、前記光源の光度の時間変化に関する情報を取得し、取得した情報に基づいて、前記光源の光度を調整することを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−113909(P2013−113909A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−257697(P2011−257697)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】