説明

画像形成装置

【課題】無駄なコストをかけずに無線通信装置を使用する場合と有線接続で使用する場合とで適宜使い分けができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置本体に設けられた無線LAN装置60と、無線LAN装置60のケーブル61を介したLANコネクタ62を接続するLAN接続口56と外部装置からの有線ケーブル57を接続するUSB接続口54とを備える入力部を有し、該入力部はLAN接続口56及びUSB接続口54からの何れか一方の印刷指令のみを受けるとともに、無線LAN装置60を使用しない場合の無線LAN装置のLANコネクタ62をLAN接続口56から外して収納するコネクタ収納部58を、LAN接続口56、USB接続口54とともに1箇所に集約して配設する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像データの印刷指令を受けて画像を形成する画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記形式の画像形成装置として、パソコン等の印刷命令を出す機械からの印刷命令を無線にて受信できる機能を備えた装置が知られている。かかる装置において、近接無線通信用アンテナ部を内蔵した近接無線通信装置を装置本体に備え、近接位置にいる印刷命令を出力する機器(例えばパソコン、デジタルカメラ、デジタルビデオなど)からの印刷命令を受信し、装置で印刷を行なう近接無線通信技術を用いることは既に知られており、特許文献1等に記載されている。
【0003】
ところで、今までの近接無線通信装置を備えた画像形成装置、例えばプリンタにおいて、無線通信装置を使用する場合と無線通信装置を使用せず有線接続でプリンタを使用する場合とで使用者が適宜使い分けすることができるようにした装置も既に公知である。そして、無線通信装置と有線とを使い分ける方法としては、無線通信装置を常にプリンタ本体に接続状態とするため、無線通信装置の専用の入力部と、さらに有線を使用するための有線用の入力部を設け、その有線入力部の接続口に有線ケーブルのコネクタを接続する方法がある。
【0004】
しかしながら、この方法を採用すると、画像データを入力する入力部を無線用と有線用の2箇所設ける必要があり、コスト高となることが避けられない。しかも、入力部を設ける電気基板上のスペースも限られているので、2つの入力部の配置に苦慮してしまうという問題もあった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記した従来の問題を解消し、無駄なコストをかけずに無線通信装置を使用する場合と有線接続で使用する場合とで適宜使い分けができる画像形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、本発明は、画像データの印刷指令を受けて画像を形成する画像形成装置において、画像形成装置本体に設けられた無線通信装置と、該無線通信装置のケーブルを介した出力コネクタを接続する無線接続口と外部装置からの有線ケーブルを接続する有線接続口とを備える入力部を有し、該入力部は前記無線接続口及び前記有線接続口からの何れか一方の印刷指令のみを受けるとともに、前記無線通信装置を使用しない場合の無線通信装置の出力コネクタを前記無線接続口から外して収納するコネクタ収納部を、前記無線接続口、前記有線接続口とともに1箇所に集約して配設したことを特徴とする画像形成装置を提案する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、無線接続口及び有線接続口からの何れか一方の印刷指令のみを受けるとともに、無線通信装置を使用しない場合の無線通信装置の出力コネクタを無線接続口から外して収納するコネクタ収納部を前記無線接続口、前記有線接続口とともに1箇所に集約して配置しているので、無駄なコストをかけずに無線通信装置を使用する場合と有線接続で使用する場合とで適宜使い分けすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の一形態に係る画像形成装置を示す外観斜視図である。
【図2】その画像形成装置の画像形成部を示す平面説明図である。
【図3】図1の画像形成装置のコネクタカバーを外した斜視図である。
【図4】図1の画像形成装置のコネクタカバーと正面板を外した斜視図である。
【図5】LAN無線装置60を使用する状態を示す斜視図である。
【図6】LANコネクタを収容部へ収容を説明する主要部の拡大斜視図である。
【図7】USBケーブルを介した外部装置を使用する状態を示す斜視図である。
【図8】接続部の平面説明図である。
【図9】本発明の別の実施形態を示す主要部の拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。本発明に係る画像形成装置の一例の概要について図1及び図2を参照して説明する。なお、図1は同画像形成装置の外観斜視説明図、図2は同装置の機構部の平面説明図である。
【0010】
この画像形成装置は、シリアル型のインクジェットプリンタであり、装置本体100の上面側に開閉可能にカバー101が設けられ、このカバー101を開くことで内部の機構部にアクセスすることができる。
【0011】
機構部は、図2に示すように、左右のメイン側板1A、1Bに横架した案内部材であるガイド部材3にてキャリッジ4を主走査方向に摺動自在に支持し、主走査モータ5によって駆動プーリ6と従動プーリ7との間に張架されたタイミングベルト8を介してキャリッジ4を主走査方向に移動走査する。
【0012】
このキャリッジ4には、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色の液滴を吐出する画像形成手段としての液体吐出ヘッド及びこの液体吐出ヘッドにインクを供給するヘッドタンクを含む記録ヘッドユニット(以下、単に「記録ヘッド」ともいう。)11を複数のノズルからなるノズル列を主走査方向と直交する副走査方向に配列し、滴吐出方向を下方に向けて装着している。これらの複数の記録ヘッド11は図示しないヘッドホルダに保持されることでユニット化されてキャリッジ4に搭載されている。
【0013】
また、キャリッジ4の主走査方向に沿ってエンコーダスケール15を配置し、キャリッジ4側にはエンコーダスケール15の目盛り(スケール:位置識別部)を読み取る透過型フォトセンサからなるエンコーダセンサ16を取り付け、これらのエンコーダスケール15とエンコーダセンサ16とで位置検出装置としてのリニアエンコーダを構成している。
【0014】
一方、キャリッジ4の下側には、図示しない記録媒体を副走査方向に搬送する搬送手段としての搬送ベルト21を配置している。この搬送ベルト21は、無端状ベルトであり、搬送ローラ22とテンションローラ23との間に掛け渡されて、副走査モータ31によってタイミングベルト32及びタイミングプーリ33を介して搬送ローラ22が回転駆動されることによって副走査方向に周回移動される。
【0015】
さらに、キャリッジ4の主走査方向の一方側には搬送ベルト21の側方に記録ヘッド11の維持回復を行う維持回復機構41が配置されている。なお、維持回復機構41は、例えば記録ヘッド11のノズル面(ノズルが形成された面)をキャッピングするキャップ部材、ノズル面を払拭するワイパ部材、画像形成に寄与しない液滴を吐出する空吐出受けなどで構成されている。
【0016】
また、図1に示すように、用紙(紙に限定するものではなく、OHPなどを含み、インク滴、その他の液体などが付着可能なものの意味であり、被記録媒体あるいは記録媒体、記録紙、記録用紙などとも称される。)を収納してこれを搬送ベルト21に給紙する給紙手段を構成する給紙トレイ102や、画像形成手段としての記録ヘッド11から吐出された液体が付着して画像が形成された記録媒体を排紙する排紙手段を構成する排紙トレイ103などが装置本体100に対して着脱自在に装着される。排紙トレイ103は、給紙トレイ102の上方に設けられており、奥側に設けられた軸(不図示)を中心に上方に回転可能であり、また大きめのサイズの記録媒体に対応するために延長部が延長可能である。
【0017】
このように構成したプリンタにおいては、給紙された記録媒体を搬送ベルト21で間欠的に搬送し、キャリッジ4を主走査方向に移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド11を駆動することにより、停止している記録媒体に液滴を吐出して1行分を記録し、記録媒体を所定量搬送後、次の行の記録を行なう動作を繰り返して記録媒体上に画像を形成し、画像形成後、記録媒体を排紙する。
【0018】
ところで、このようなプリンタで画像を出力するためには、外部機器であるパソコン等とUSBケーブルで有線接続し、パソコン等からの出力信号を伝えられるようにしている。このため、プリンタには有線接続するための接続部50が設けられ、本実施形態のプリンタでは取り外し可能なコネクタカバー51の内部に備えられている。
【0019】
図3は、接続部50を示すプリンタの斜視図であり、図3において給紙トレイ102や排紙トレイ103にアクセスできる面を正面104とすると、接続部50は正面104近傍の左側面105上部に配設されている。なお、図3では取り外したコネクタカバー51が宙に浮いた状態で表示している。
【0020】
コネクタカバー51を取り外すことで現出する接続部50は、コネクタカバー51の幅分の厚みを持った断面扇状の内部空間を有し、コネクタカバー51面と対向する垂直面53にUSBケーブル55が接続されるUSB接続口54が設けられている。そして、左側面105の正面104側にはUSBケーブル55を這わせるための垂直方向に延び、かつ、接続部50に通ずる案内溝108が設けられている。
【0021】
ところで、画像データはこのような有線のUSBケーブルを使用せずに、機器同士を近づけるだけで、非接触のデータ転送を行うことが可能な近接無線通信技術も開発されている。このような近接無線通信技術としてたとえば無線LANがある。なお、無線LANは通常使用者に近い位置に設置されるほうが通信に有利であるため、画像形成装置1の前面である正面104近傍に配置されることが好ましい。
【0022】
図4は、正面カバー106を外したプリンタを示す斜視図である。なお、図4では説明のため、正面カバー106とコネクタカバー51を非表示にしている。プリンタの正面近傍に無線LAN装置60が配置されている。無線LAN装置60にはアンテナ機能が備えられており、パソコン等からの電波を受信しプリンタに印刷指令を与え画像印刷を行う。
【0023】
そして、無線LAN装置60からのデータはプリンタの入力部(図示せず)に入力されるが、本実施形態のプリンタでは無線LAN装置60専用の入力部を設けずに、有線LANケーブル(図示せず)を接続するための有線用の入力部を利用するように構成している。そのため、上記接続部50の垂直面53には図3ないし図5に示すように、USB接続口54と並べて無線LANと有線LANが使用できるLAN接続口56が配置され、無線LAN装置60を使用する場合は図5に示すように、LAN接続口56にLANコネクタ62を接続する。なお、有線LANを使用する場合は、LAN接続口56からLANコネクタ62を外して有線LANケーブルのコネクタ(図示せず)を接続する。
【0024】
また、USBケーブル55を介した外部装置を使用する場合は図7に示すように、LANコネクタ62をLAN接続口56から外した状態で後に詳述するコネクタ収容部58に収容し、USBケーブル55のUSBコネクタ57をUSB接続口54に接続して使用する。なお、無線LAN装置60を使用する場合、USBケーブル55のUSBコネクタ57をUSB接続口54に接続したままでも使用することができる。
【0025】
本プリンタでは、有線LANケーブルを介した外部装置を使用する場合、有線LANケーブルをLAN接続口56に接続するため、無線LAN装置60からのLANコネクタ62をLAN接続口56から外さなければならない。そして、本実施形態のプリンタでは上記接続部50に外したLANコネクタ62を収容するコネクタ収容部58を設けている。コネクタ収容部58は、図6に示すように、コネクタカバー51面と対向する垂直面53とほぼ直交する平面59に設けられたLANコネクタ62の入り込む程度の大きさに形成され、LANコネクタ62は平面59上をすべるようにしてコネクタ収容部58に挿入することができる。
【0026】
このように、USB接続口54、LAN接続口56やコネクタ収容部58は接続部50の一箇所に集約して配置していることで、パソコン等と接続する際この場所だけで全ての接続箇所がわかるのは利便性が良い。しかも、接続部50はコネクタカバー51で覆うことで、外観上の印象を良くすることができ、不用意にケーブルにひっかかりコネクタから抜けるということも起こりにくい。
【0027】
ところで、無線LAN装置60のケーブル61は弾性を持った比較的径のあるケーブルが用いられており、無線LAN装置60を出たケーブル61はほぼUターンするようにして先端のLANコネクタ62がLAN接続口56に接続している。この場合、プリンタの正面と左側面間にはケーブル61が通り抜け可能なほぼ円弧状のガイド溝107が形成され、プリンタ正面の無線LAN装置60から出たケーブル61がこのガイド溝107を通って側面に回り込み、LAN接続口56に接続される。
【0028】
無線LAN装置60からのケーブル61の長さは適宜設定されるが、使用者がLANコネクタ62のLAN接続口56への接続操作が支障なく行えて、かつ、Uターンするケーブル61がコネクタカバー51の装着を邪魔にしないような長さに設定している。それに加えて、USBケーブル55を介した外部装置を使用するため、LANコネクタ62をコネクタ収容部58に収容した場合においてもUターンするケーブル61がコネクタカバー51の装着を邪魔にしないような長さに設定している。この場合のケーブル61の長さ設定を行い易くするため、LAN接続口56とコネクタ収容部58の位置を次のように決定している。ケーブル61の長さは、Uターンするガイド溝107の位置からLAN接続口56とコネクタ収容部58までの距離を合せることが有効である。そこで、図7から見てUターンするガイド溝107の位置からLAN接続口56まで距離が短いが、図8に示すようにLAN接続口56の位置をコネクタ収容部58よりも奥側に引っ込めることで両者の距離をほぼ一致させ、その距離に適したケーブル61の長さに設定することができる。
【0029】
次に、無線LAN装置60を使用していた状態からUSBケーブル55を介した外部装置を使用する際の操作について説明する。
まず、コネクタカバー51を外し、案内溝108を介して接続部50に導いたUSBコネクタ57をUSB接続口54に接続する。次に、LANコネクタ62をLAN接続口56から外してコネクタ収容部58に接続する。このとき、先にUSBコネクタ57をUSB接続口54に接続してあるため、ケーブル61とUSBケーブル55が襷状に交差するが、図8に示すようにコネクタ収容部58をUSB接続口54の位置より手前側に配置しているので、USBケーブル55がLANコネクタ62の操作に邪魔になることはない。勿論、無線LAN装置60を使用していた状態からUSBケーブル55を介した外部装置を使用する際の操作は、先にLANコネクタ62をLAN接続口56から外してからUSBコネクタ57をUSB接続口54に接続してもよく、このときはLANコネクタ62の移動操作を先に行うので操作性の問題が生じない。
【0030】
図9は、本発明の別の実施形態を示す説明図である。
図9において、コネクタ収容部58Aの形をLANコネクタ62の形と同形の前から見て凸状に形成している。これにより、無線LAN装置60を使用しないときにコネクタ収容部58Aに差し込まれたLANコネクタ62ががたつきなく収容できるので、機械の振動などでLANコネクタ62が振動して騒音発生源となるようなことはない。
【0031】
なお、本発明の画像形成装置としてインクジェット方式のプリンタで説明したが、本発明は他の方式、例えば電子写真方式のもの等にも適用することができる。
【符号の説明】
【0032】
50 接続部
51 コネクタカバー
54 USB接続口
55 USBケーブル
56 LAN接続口
57 USBコネクタ
58 コネクタ収容部
60 無線LAN装置
61 ケーブル
62 LANコネクタ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0033】
【特許文献1】特開2009−292123号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データの印刷指令を受けて画像を形成する画像形成装置において、
画像形成装置本体に設けられた無線通信装置と、該無線通信装置のケーブルを介した出力コネクタを接続する無線接続口と外部装置からの有線ケーブルを接続する有線接続口とを備える入力部を有し、
該入力部は前記無線接続口及び前記有線接続口からの何れか一方の印刷指令のみを受けるとともに、
前記無線通信装置を使用しない場合の無線通信装置の出力コネクタを前記無線接続口から外して収納するコネクタ収納部を、前記無線接続口、前記有線接続口とともに1箇所に集約して配設したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、前記無線接続口、前記有線接続口及びコネクタ収納部が装置本体の一側面の正面近傍側に設けられた接続部内に配置されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像形成装置において、前記接続部が着脱可能なカバーで覆われていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項2に記載の画像形成装置において、前記装置本体には前記有線ケーブルを前記接続部内に導く案内溝が設けられていることを特徴とする画像形成装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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