説明

画像形成装置

【課題】製造コストを低減しつつ、ユーザが必要と判断したときに画像補正処理を可能として、画像形成された画像の品質を向上させる。
【課題を解決するための手段】画像形成部12による記録紙への画像形成後、ユーザが、当該画像の品質に問題があると判断して操作部61に当該記録紙の読取指示を入力し、当該読取指示が操作部61に受け付けられたとき(S3でYES)、原稿読取部51が記録紙上の画像を読み取って出力画像データを取得し(S4)、この後、操作部61に画像補正の実行指示がユーザから受け付けられると(S6でYES)、画像処理部31は、当該出力画像データと、原稿読取部51によって読み取られた元原稿の画像の元画像データとを同一又は近似とさせる画像補正内容を算出し、当該算出した画像補正内容を用いて、当該出力画像データを画像補正処理する(S8乃至S12)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、特に、記録紙等に画像形成される画像の品質を向上させる画像補正処理に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、記録紙等に画像形成される画像の品質を向上させる画像補正処理が可能な画像形成装置が提案されている(下記特許文献1)。この画像形成装置では、画像形成後の記録紙上の画像を、原稿画像読取用の画像読取装置とは別個に設けられた第2の画像読取装置により得られた画像データを画像比較部で比較し、当該比較結果に基づいて補正部が画像処理プロセスデータ等を補正する。この画像形成装置は、当該補正された画像処理プロセスデータ等を用いて次回の画像形成時に画像補正処理を行うことで、画像形成される画像の品質を向上させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−266690号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に示される上記の画像形成装置では、記録紙上に画像形成が行われた全ての画像について、補正部が上記画像補正処理を行うため、ユーザが必要としない場合にまで画像補正処理が行われる。また、上記画像形成装置による画像補正処理では、原稿画像読取用の画像読取装置とは別個に上記第2の画像読取装置が必要であるため、製造コストが高くなるという問題がある。
【0005】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたもので、製造コストを低減しつつ、ユーザが必要と判断したときに画像補正処理を行って、画像形成された画像の品質を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に記載の発明は、出力対象データを取得する出力対象データ取得部と、
前記出力対象データ取得部によって取得された出力対象データに基づいた画像を形成する画像形成部と、
ユーザから操作指示を受け付ける指示受付部と、
前記画像形成部による前記出力対象データに基づいた画像形成後、前記指示受付部にユーザから画像データ取得指示が受け付けられたときに、当該画像形成部により画像形成された画像の画像データを取得する出力画像取得部と、
前記指示受付部によってユーザから画像補正の実行指示が受け付けられたときに、前記出力画像取得部に取得された前記画像データを、前記出力対象データ取得部によって取得された出力対象データに同一又は近似とさせるために必要な画像補正内容を算出し、当該算出した画像補正内容を用いて、前記出力画像取得部に取得された画像データを画像補正処理する画像補正処理部と、
を備える画像形成装置である。
【0007】
この発明によれば、出力対象データに基づいた画像形成部による上記画像形成後、ユーザは、当該画像形成により得られた例えば記録紙上の画像を確認して、当該画像の品質に問題があると判断した場合、指示受付部に画像データ取得指示を入力して、出力画像取得部に記録紙上の画像を取得させ、指示受付部に画像補正の実行指示を入力することで、当該取得させた画像を画像補正処理部により上記画像補正内容で補正することが可能になる。本発明では、出力画像取得部による上記画像データの取得を、画像形成部による上記画像形成後に指示受付部によりユーザからの画像データ取得指示が受け付けられたことを条件として行うため、出力対象データ取得部と出力画像取得部とを同一の機構に任せることも可能になり、製造コストの低減が可能となる。さらに、指示受付部によってユーザから更に画像補正の実行指示が受け付けられたことを条件として、画像補正処理部による画像補正処理が行われるため、ユーザが必要と判断したときに画像補正処理を行って、画像形成された画像の品質を向上させることができる。
【0008】
また、請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の画像形成装置であって、前記出力対象データ取得部は、前記取得した出力対象データの入手先を示す入手先情報を取得し、当該入手先情報が示す入手先から、前記画像補正処理部による前記画像補正内容の算出に用いられる出力対象データを取得するものである。
【0009】
この発明によれば、出力対象データ取得部が出力対象データについての上記入手先情報を取得しておき、当該入手先情報の示す入手先から出力対象データを取得するので、例えば、当該画像形成装置に接続されたクライアントコンピュータから受信した画像データに基づいて画像形成が行われた場合に、当該画像形成により得られた画像の画像補正処理内容の算出に必要な出力対象データを容易に入手することが簡単になる。
【0010】
また、請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置であって、前記出力画像取得部は、原稿の画像を読み取る原稿画像読取部をなし、前記画像形成部による前記画像形成後、前記指示受付部にユーザから画像データ取得指示が受け付けられたときに、前記原稿画像読取部が前記原稿の画像を読み取って前記画像データを取得するものである。
【0011】
この発明によれば、ユーザが、画像形成部により例えば記録紙上に形成された画像を上記原稿画像読取部に読み取らせることで、画像補正処理部による上記画像補正処理の対象とする画像の画像データを簡単な操作で取得することができる。
【0012】
また、請求項4に記載の発明によれば、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の画像形成装置であって、ユーザに対して操作案内を報知する報知部と、
前記画像補正処理部によって算出された前記画像補正内容を前記報知部に報知させる制御部とを備え、
前記指示受付部は、前記画像補正処理部が前記報知された画像補正内容に基づいて行う画像補正処理の度合いを指定する指示をユーザから受け付け、
前記画像補正処理部は、前記指示受付部に指定が受け付けられた前記画像補正処理の度合いに従って前記画像補正内容に基づいた画像補正処理を行うものである。
【0013】
この発明によれば、ユーザは、報知部により報知される画像補正内容を確認して、指示受付部から画像補正処理の度合いを指定する指示を入力することで、ユーザ所望のレベルで画像補正処理部に上記画像処理補正を行わせることが可能である。
【0014】
また、請求項5に記載の発明によれば、請求項4に記載の画像形成装置であって、前記画像補正処理部は、前記画像補正内容を示す単数又は複数の補正対象項目を抽出し、
前記制御部は、前記画像補正処理部により抽出された前記補正対象項目を前記報知部に報知させ、
前記指示受付部は、前記画像補正処理部により抽出された前記補正対象項目を指定する指示をユーザから受け付け、
前記画像補正処理部は、前記指示受付部に指定が受け付けられた前記補正対象項目について前記画像補正内容に基づいた画像補正処理を行うものである。
【0015】
この発明によれば、ユーザは、報知部により報知される画像補正内容を示す単数又は複数の補正対象項目を確認して、指示受付部から所望の補正対象項目を指定する指示を入力することで、画像補正処理部により画像補正処理が行われる場合に、ユーザ所望の補正対象項目についての上記画像処理補正を行うことが可能である。
【0016】
また、請求項6に記載の発明によれば、請求項5に記載の画像形成装置であって、前記画像補正処理部は、前記抽出した補正対象項目と共に、補正対象とされている前記画像データを前記出力対象データに同一とする又は近似とさせるために要する補正の度合いを各補正対象項目毎に抽出し、
前記制御部は、前記画像補正処理部により抽出された前記補正対象項目の前記補正の度合いに基づいて、前記補正の度合いが大きいものから順に前記補正対象項目を前記報知部に報知させるものである。
【0017】
この発明によれば、画像補正処理での補正度合いの大きい順に上記各補正対象項目が報知されるので、ユーザは、画像形成後の画像が含有する成分のうち、劣化した度合いの高い成分に対応する補正対象項目を把握した上で、上記画像処理補正を行う補正対象項目を選択することが可能となる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、製造コストを低減しつつ、ユーザが必要と判断したときに画像補正処理を行って、画像形成された画像の品質を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の構造を示す正面断面図である。
【図2】画像形成装置の主要内部構成を概略的に示す機能ブロック図である。
【図3】画像形成装置による画像補正処理時における制御の第1実施形態を示すフローチャートである。
【図4】(A)(B)は表示部の表示画面の一例を示す図である。
【図5】表示部の表示画面の一例を示す図である。
【図6】画像形成装置による画像補正処理時における制御の第2実施形態を示すフローチャートである。
【図7】表示部の表示画面の一例を示す図である。
【図8】画像形成装置による画像補正処理時における制御の第3実施形態を示すフローチャートである。
【図9】表示部の表示画面の一例を示す図である。
【図10】表示部の表示画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面に基づき本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、本発明は、電子写真方式を採用し中間転写ベルトを備える画像形成装置、例えばコピー機、プリンタ、ファクシミリ、これらの機能を備える複合機等に適用することができる。
【0021】
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置の構造を示す正面断面図である。画像形成装置1は、例えば複合機であり、装置本体11に、画像形成部12、定着装置13、給紙部14、用紙排出部15、および原稿読取部16等を備えて構成されている。
【0022】
装置本体11は、下部本体111と、この下部本体111の上方に対向配置された上部本体112と、この上部本体112と下部本体111との間に設けられた連結部113とを備えている。連結部113は、下部本体111と上部本体112との間に用紙排出部15を形成させた状態で両者を互いに連結するための構造物であり、図1においては下部本体111の左部および後部から立設され、平面視でL字状とされている。上部本体112は、連結部113の上端部に支持されている。
【0023】
下部本体111には、画像形成部12、定着装置13および給紙部14が内装されている。上部本体112には原稿読取部16が設けられている。給紙部14は、装置本体11に対して挿脱可能の給紙カセット142を有している。この給紙カセット142には記録紙Pが積層されてなる用紙束P1が収容されている。なお、本実施形態では、給紙カセット142は1段で設けられているが、2段以上設けてもよい。
【0024】
画像形成部12は、給紙部14から給紙された記録紙Pにトナー像を形成する画像形成動作を行う。画像形成部12は、中間転写ベルト125の走行方向において上流側から下流側へ向けて順次配設された、マゼンタ色のトナーを用いるマゼンタ用の画像形成ユニット12M、シアン色のトナーを用いるシアン用の画像形成ユニット12C、イエロー色のトナーを用いるイエロー用の画像形成ユニット12Yおよびブラック色のトナーを用いるブラック用の画像形成ユニット12B(以下、各画像形成ユニットを区別することなく述べる場合には、それぞれを「画像形成ユニット120」と言う)と、駆動ローラ125a(二次転写対向ローラ)等の複数のローラ間に画像形成における副走査方向へ無端走行可能に張架された中間転写ベルト125と、中間転写ベルト125が駆動ローラ125aに張架される部分で中間転写ベルト125の外周面に当接する二次転写ローラ210とを備えている。
【0025】
各画像形成ユニット120は、感光体ドラム121と、感光体ドラム121へトナーを供給する現像装置122と、トナーを収容するトナーカートリッジ(不図示)と、帯電装置123と、露光装置124と、一次転写ローラ126と、ドラムクリーニング装置127とをそれぞれ一体的に備えている。
【0026】
感光体ドラム121は、その周面に静電潜像およびこの静電潜像に沿ったトナー像を形成する。現像装置122は、感光体ドラム121へトナーを供給する。各現像装置122には、前記トナーカートリッジからトナーが適宜補給される。
【0027】
帯電装置123は、感光体ドラム121の直下位置に設けられている。帯電装置123は、各感光体ドラム121の周面を一様に帯電させる。
【0028】
露光装置124は、感光体ドラム121の下方位置であって、帯電装置123の更に下方位置に設けられている。露光装置124は、コンピュータ等から入力された画像データや原稿読取部16が取得した画像データに基づく各色に対応したレーザ光を、帯電後の感光体ドラム121の周面に照射し、各感光体ドラム121の周面に静電潜像を形成する。露光装置124は、いわゆるレーザ露光装置であり、レーザビームを出力するレーザ光源と、当該レーザビームを感光体ドラム121表面に向けて反射させるポリゴンミラーと、ポリゴンミラーによって反射されたレーザ光を感光体ドラム121に導くためのレンズやミラー等の光学部品を備えている。
【0029】
本実施形態では、露光装置124は、マゼンタ用の画像形成ユニット12M用に露光装置124M、シアン用の画像形成ユニット12C用に露光装置124C、イエロー用の画像形成ユニット12Y用に露光装置124Y、及びブラック用の画像形成ユニット12B用に露光装置124Bがそれぞれに別個に設けられているが、各色用の露光装置が一体的に配置されてもよい。
【0030】
現像装置122は、矢印の方向へ回転する感光体ドラム121の周面の静電潜像にトナーを供給して当該トナーを積層させ、感光体ドラム121の周面に前記画像データに応じたトナー像を形成する。
【0031】
中間転写ベルト125は、各感光体ドラム121の上方位置に配置されている。中間転写ベルト125は、図1における左側の駆動ローラ125aと、同図の右側の従動ローラ125bとの間に無端走行可能に張架され、下方の外周面が各感光体ドラム121の周面に当接している。従動ローラ125bは、駆動ローラ125aに対向する位置に設けられて、中間転写ベルト125の無端走行に伴って従動回転する。中間転写ベルト125は、その外周面にトナー像が転写される像担持面が設定され、感光体ドラム121の周面に当接した状態で駆動ローラ125aによって駆動される。中間転写ベルト125は、各感光体ドラム121と同期しながら、駆動ローラ125aと従動ローラ125bとの間を無端走行する。
【0032】
中間転写ベルト125を挟んで各感光体ドラム121に対向する位置には、一次転写ローラ126が設けられている。この一次転写ローラ126には、図略の転写バイアス印加機構により転写バイアスが印加され、一次転写ローラ126は、各感光体ドラム121の外周周面に形成された上記トナー像を中間転写ベルト125の表面に転写させる。
【0033】
駆動ローラ125aは、図略の制御部による制御の下で駆動される駆動モータ(図略)から与えられる回転駆動力により中間転写ベルト125を無端走行させる。
【0034】
主制御部(図2)は、各色の毎に一次転写ローラ126及び画像形成ユニット120を駆動制御して、中間転写ベルト125の表面に、マゼンタ用の画像形成ユニット12Mにより形成されたマゼンタのトナー像の転写と、次いで中間転写ベルト125の同一位置にシアン用の画像形成ユニット12Cにより形成されたシアンのトナー像の転写と、次いで中間転写ベルト125の同一位置にイエロー用の画像形成ユニット12Yにより形成されたイエローのトナー像の転写と、最後のブラック用の画像形成ユニット12Bにより形成されたブラックのトナー像の転写とを、各色のトナー像が重なり合うように行わせ、これによりカラーのトナー像を中間転写ベルト125の表面に形成させる(中間転写(一次転写))。
【0035】
二次転写ローラ210は、図略の転写バイアス印加機構により転写バイアスが印加されている。二次転写ローラ210は、中間転写ベルト125の表面に形成されたカラーの上記トナー像を、給紙部14から搬送されてきた記録紙Pに転写させる。二次転写ローラ210は、中間転写ベルト125が駆動ローラ125aに張架される部分の用紙搬送路190に、中間転写ベルト125の外周面に当接させて設けられている。二次転写ローラ210は、前記トナー像が記録紙Pに二次転写されるニップ部Nを、中間転写ベルト125を挟んで駆動ローラ125aとの間に形成する。用紙搬送路190を搬送されつつある記録紙Pは、ニップ部Nにおいて中間転写ベルト125と二次転写ローラ210とに押圧挟持され、ここにおいて中間転写ベルト125上のトナー像が記録紙Pに二次転写される。
【0036】
ドラムクリーニング装置127は、各感光体ドラム121の図1で左方位置に設けられ、感光体ドラム121の周面の残留トナーを除去してクリーニングする。このドラムクリーニング装置127によってクリーニングされた感光体ドラム121の周面は、新たな帯電処理のために再び帯電装置123へ向かう。
【0037】
画像形成部12に対して図1での左方位置には、上下方向に延びる用紙搬送路190が形成されている。用紙搬送路190には、適所に搬送ローラ対192が設けられている。搬送ローラ対192は、給紙部14から繰り出された記録紙Pを、ニップ部N及び定着装置13に向けて搬送する。
【0038】
定着装置13は、内部に加熱源である通電発熱体を備えた加熱ローラ132と、加熱ローラ132に対向配置された加圧ローラ134とを備えている。定着装置13は、画像形成部12で転写された記録紙P上のトナー像に対し、記録紙Pが加熱ローラ132と加圧ローラ134との間の定着ニップ部を通過する間に、加熱ローラ132から熱を与えて定着処理を施す。定着処理の完了したカラー画像形成済みの記録紙Pは、定着装置13の上部から延設された排紙搬送路194を通って、下部本体111の頂部に設けられた排出トレイ151へ向けて排出される。
【0039】
給紙部14は、装置本体11の図1における右側壁に開閉自在に設けられた手差しトレイ141と、下部本体111内における露光装置124より下方位置に挿脱可能に装着された給紙カセット142とを備えている。
【0040】
手差しトレイ141は、下部本体111の右面の下方位置に設けられた、記録紙Pを手差し操作で画像形成部12へ向けて給紙するためのトレイである。給紙カセット142は、複数枚の記録紙Pが積層されてなる用紙束P1を収容する。給紙カセット142の上方には、ピックアップローラ143が設けられ、ピックアップローラ143は、給紙カセット142に収容された用紙束P1の最上位の記録紙Pを用紙搬送路190へ向けて繰り出す。
【0041】
用紙排出部15は、下部本体111と上部本体112との間に形成されている。用紙排出部15は、下部本体111の上面に形成された排出トレイ151を備える。排出トレイ151は、画像形成部12でトナー像が形成された記録紙Pが、定着装置13で定着処理が施された後に排出されるトレイである。
【0042】
原稿読取部16は、上部本体112の上面開口に装着された、原稿を載置するためのコンタクトガラス161と、このコンタクトガラス161に載置された原稿を押さえる開閉自在の原稿押さえカバー162と、コンタクトガラス161に載置された原稿の画像を読み取る読取機構163とを備えている。読取機構163は、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等のイメージセンサを用いて原稿の画像を光学的に読み取り、画像データを生成する。
【0043】
次に、画像形成装置1の構成を説明する。図2は画像形成装置1の主要内部構成を概略的に示す機能ブロック図である。
【0044】
画像形成装置1は、制御ユニット10を備える。制御ユニット10は、CPU(Central Processing Unit)、RAM、ROM及び専用のハードウェア回路等から構成され、画像形成装置1の全体的な動作制御を司る。
【0045】
制御ユニット10は、原稿読取部51、画像処理部31、画像形成部12、操作部61、ファクシミリ通信部71、HDD(ハードディスクドライブ)81、並びに、ネットワークインタフェイス部91と接続されている。
【0046】
制御ユニット10は、上述した画像形成装置1の全体的な動作制御を司る主制御部100を備える。主制御部(特許請求の範囲でいう制御部の一例)100は、スキャナ機能、プリンタ機能、コピー機能及びプリンタ機能の各機能についての動作制御を実行するために必要な各機構部の駆動及び処理を制御する。
【0047】
原稿読取部(特許請求の範囲でいう出力対象データ取得部、出力画像取得部、原稿読取部の一例)51は、スキャナ機能を有し、図示しないスキャナを構成する画像照射ランプ511及びCCD(電荷結合素子:Charge Coupled Device)センサ512を備える。原稿読取部51は、画像照射ランプ511により原稿を照射し、その反射光をCCDセンサ512で受光することにより、原稿から画像を読み取る。
【0048】
画像処理部(特許請求の範囲でいう画像補正処理部の一例)31は、原稿読取部51で読み取られた画像の画像データを必要に応じて画像処理する。例えば、画像処理部31は、原稿読取部51により読み取られた画像が画像形成部12により画像形成された後の品質を向上させるために、予め定められた画像処理(通常時の画像処理)を行う。
【0049】
画像処理部31は、補正部311及び画像加工部312を備える。補正部311は、画像形成部12の画像出力プロセスデータとしての帯電装置123の出力電圧、露光装置124の露光光量、現像装置122の現像バイアス電圧、転写ローラ126の転写バイアス、二次転写ローラ210の転写バイアス等の値を調整する。画像加工部312は、例えば、原稿読取部51で読み取られた画像データに対してレベル補正、ガンマ補正等の所定の補正処理を行い、或いは、画像データの圧縮又は伸張処理、及び拡大又は縮小処理等の種々の加工処理を行う。画像処理部31により処理された画像データは、画像メモリ32に記憶され、又は、画像形成部12或いはファクシミリ通信部71等に出力される。
【0050】
また、本実施形態では、画像処理部31は、操作部61によってユーザから画像補正の行指示が受け付けられたときに、原稿読取部51による画像読取で得られた上記画像形成部12による記録紙上等への画像形成後の画像の画像データと、当該画像形成に用いられた元の画像データ(原稿読取部51による原稿画像の読取で得られた元画像データ、又は、画像形成装置1にネットワーク接続されたPC7等の外部装置からネットワーク制御部104及びネットワークインタフェイス部91が取得した元画像データ。以下、元画像データという)との比較により算出した画像補正内容を用いて、原稿読取部51による読み取りで得られた画像データを画像補正処理する(上記の通常時の画像処理とは異なる。詳細は後述)。
【0051】
画像メモリ32は、上記原稿読取部51で読み取られた画像データ等を記憶する。
【0052】
記録紙搬送部411は、図1に示した給紙カセット142、ピックアップローラ143、及び搬送ローラ192等から構成され、給紙カセット142に収納されている記録紙を画像形成部12及び排出トレイ151まで搬送する。
【0053】
画像形成部12は、上述したように、画像形成ユニット12M、12C、12Y、12Bと、駆動ローラ125aに張架された中間転写ベルト125と、二次転写ローラ210とを備えている。画像形成部12による出力対象となる画像データは、原稿読取部51で読み取られた画像データ、LAN5及びネットワーク制御部104を介してローカルエリア内のクライアントコンピュータ等から送信されてきた画像データ、インターネット6、LAN5及びネットワーク制御部104を介して外部のパーソナルコンピュータ等から送信されてきた画像データ等である。以下、当該クライアントコンピュータ及びパーソナルコンピュータの総称としてパーソナルコンピュータ7(以下、PC7)を用いる。
【0054】
操作部(特許請求の範囲でいう指示受付部の一例)61は、画像形成装置1が実行可能な各種動作及び処理についてユーザからの指示を受け付けるタッチパネル部及び操作キー部を備える。タッチパネル部は、タッチパネルが設けられたLCD(Liquid Crystal Display)等の表示部(特許請求の範囲でいう報知部の一例)611を備えてなる。タッチパネル部及び操作キー部は、例えば、画像処理部31による画像補正処理の実行指示をユーザから受け付ける。特許請求の範囲でいう報知部は、音声等によりユーザに対して報知を行う装置等であってもよい。
【0055】
ファクシミリ通信部71は、図略の符号化/復号化部、変復調部及びNCU(Network Control Unit)を備え、公衆電話回線網を用いてのファクシミリの送信を行うものである。ファクシミリ通信部71は、例えば原稿読取部51によって読み取られた原稿の画像データを、電話回線を介してファクシミリ装置等へ送信したり、ファクシミリ装置等から送信された画像データを受信する。
【0056】
HDD(ハードディスクドライブ)81は、原稿読取部51によって読み取られた画像データ及び同画像データに設定されている出力形式等の種々のデータ等を記憶する。HDD81に記憶されている画像データは、画像形成装置1及びこれに採用される各種プログラムで用いられる。また、HDD81は、HDD81に記憶されているデータが、ネットワーク制御部104を介してクライアントPC等からの確認が可能とされ、クライアントPCやFTPサーバ等の所定のフォルダへ転送されるように構成されてもよい。
【0057】
ネットワークインタフェイス部91は、LANボード等の通信モジュールから構成され、当該ネットワークインタフェイス部91に接続されたLAN5等を介して、ローカルエリア内外の装置(PC7等)と種々のデータの送受信を行う。
【0058】
また、制御ユニット10は、ネットワーク制御部104を更に備える。ネットワーク制御部104は、LAN又はインターネットを通じてPC7等とのネットワーク通信を行うための制御を担当する。例えば、ネットワーク制御部104は、PC7等からの送信、又は画像形成装置1からの要求に基づいて、PC7等からネットワークを介してプリンタ機能によるプリントの対象とする出力対象データを受信する。
【0059】
なお、当該ネットワーク制御部104及びネットワークインタフェイス部91が、特許請求の範囲における出力画像取得部の一例となる。
【0060】
なお、PC7は、ネットワーク制御部70と、主制御部72と、データ記憶部73とを備える。ネットワーク制御部70は、ネットワークを通じたデータ通信を制御する。主制御部72は、PC7の全体的な動作制御を司る。データ記憶部73は、メモリ又はHDD等からなり、ネットワークを通じて外部機器から受信したデータを記憶する装置である。
【0061】
次に、画像形成装置1による画像補正処理時における制御の第1実施形態を説明する。図3は画像形成装置1による画像補正処理時における制御の第1実施形態を示すフローチャートである。図4(A)(B),図5は、表示部611の表示画面の一例を示す図である。
【0062】
画像形成装置1の操作部61は、ユーザから、画像形成部12により記録紙等に画像形成された出力画像の品質を向上させる画像補正処理(上述した通常画像形成時における画像処理部31による画像処理とは別個の画像処理)の実行指示を受け付ける(S1)。操作部61に画像補正処理の実行指示が受け付けられると(S1でYES)、主制御部100は、表示部611に、当該画像補正処理の対象とする補正対象画像の読取をユーザに促す旨のメッセージを表示させる(S2)。例えば、主制御部100は、表示部611に、図4(A)に例を示すような表示画面610Aにより、画像補正を行いたい画像が形成された記録紙を原稿読取部51にセットすることを促す旨のメッセージを表示させる。
【0063】
ここで、ユーザが、例えば、画像形成部12により表面に画像が形成された記録紙を原稿読取部51にセットして、表示画面610A上の開始ボタン6101を押下する等の操作部61の操作により、当該セットした記録紙の読み取りの指示がタッチパネル機能等により操作部61に入力されると、操作部61に当該記録紙の読み取り指示が補正対象画像の読取指示として受け付けられる(S3でYES)。例えば、ユーザは、先に画像形成部12により画像形成されていた記録紙上の画像を確認して、当該画像の品質が低いと判断したときに、このようにして原稿読取部51に当該記録紙をセットし、読み取り指示を操作部61から入力する。
【0064】
このようにして操作部61が上記記録紙の読み取り指示を受け付けると(S3でYES)、主制御部100が原稿読取部51に当該記録紙上の画像(出力画像及び補正対象画像)の読み取り動作を行わせる(S4)。原稿読取部51が読み取った当該記録紙上の画像を示す画像データは、画像メモリ32に一時的に記憶される。
【0065】
上記読み取り動作後、主制御部100は、表示部611に、S4で読み取られた記録紙への画像形成に用いられた画像が形成されている元原稿の読み取りを促すメッセージを表示させる(S5)。例えば、主制御部100は、表示部611に、図4(B)に例を示すような表示画面610Bにより、元原稿を原稿読取部51にセットすることを促す旨のメッセージを表示させる。
【0066】
ここで、ユーザが、当該元原稿を原稿読取部51にセットして、操作部61を操作して当該セットした元原稿の読み取りの指示を入力し、操作部61に当該元原稿の読み取り指示が受け付けられると(S6でYES)、主制御部100が原稿読取部51に当該元原稿上の画像(出力対象画像)の読み取り動作を行わせる(S7)。原稿読取部51が読み取った当該元原稿の画像を示す元画像データ(出力対象データ)は、画像メモリ32に一時的に記憶される。
【0067】
続いて、画像処理部31は、上記S4での読取で得られた画像データ(補正対象画像の画像データ)と、S7での読取で得られた元画像データ(出力対象データ)とを比較して、両画像データの相違を検出する(S8)。例えば、画像処理部31は、S7での読取で得られた元画像データの示す元画像に対して、S4での読取で得られた画像データの示す出力画像(補正対象画像)が、濃度、階調性、色味、画像先端位置、画像形成幅、画像の歪などについて、これらの相違が予め定められた許容範囲(例えば、元画像データが示す濃度、階調性、色味、画像先端位置、画像形成幅、画像の歪などの値に対して、S4での読取で得られた画像データの示す出力画像が記すこれら各項目の値が予め定められた一定範囲内にあること)に収まっているか否かを判断する。
【0068】
そして、画像処理部31は、濃度や階調性が当該許容範囲を逸脱すると判断した場合には、出力画像の元画像に対する上記濃度、階調性、色味、画像先端位置、画像形成幅、画像の歪等の相違を上記許容範囲に入れるために必要な画像処理プロセスデータ及び画像出力プロセスデータの上記各項目についての値を算出する(S9)。すなわち、ここで算出される画像処理プロセスデータ及び画像出力プロセスデータの各項目についての値が画像補正処理内容を示す。例えば、画像加工部312は、濃度や階調性が当該許容範囲を逸脱すると判断された場合には、出力画像の元画像に対する上記相違が上記許容範囲に入るように、画像処理(上述した通常時の画像処理)用の画像処理プロセスデータとしての階調補正テーブルデータや濃度補正テーブルデータなどの補正テーブルデータの数値を変更する。画像処理プロセスデータは画像処理部31又は画像メモリ32に格納されている。
【0069】
また、補正部311は、濃度や階調性が当該許容範囲を逸脱すると判断された場合には、出力画像の元画像に対する上記相違が上記許容範囲に入るように、画像形成部12の画像出力プロセスデータとしての帯電装置123の出力電圧、露光装置124の露光光量、現像装置122の現像バイアス電圧、転写ローラ126の転写バイアス、二次転写ローラ210の転写バイアス等の各値を変更する。なお、画像処理部31は、出力画像の元画像に対する上記相違を上記許容範囲に入れるための必要性に応じて、画像処理プロセスデータ及び画像出力プロセスデータのいずれか一方又は両方の値を算出する。補正部311及び画像加工部312は後述するユーザからの画像補正処理の実行指示に基づいて上述した各値の変更処理を実行する。また、出力画像と元画像との比較に用いられる事項は上述に限定されず、画像処理プロセスデータや画像出力プロセスデータは例示に過ぎない。
【0070】
また、例えば、画像先端位置がずれている場合には、補正部311は、画像形成部12の画像出力プロセスデータとしてのレジストローラの駆動タイミングを補正する等の処理を行う。尚、画像出力プロセスデータは、制御ユニット10に備えられるROM又はRAM等に格納されている。
【0071】
なお、画像処理部31は、濃度や階調性が当該許容範囲を逸脱していないと判断した場合には、上記画像処理プロセスデータ及び画像出力プロセスデータの現状の値を維持する。
【0072】
また、画像処理部31は、出力画像の元画像に対する上記相違を上記許容範囲に入れるための値が、画像処理プロセスデータ及び画像出力プロセスデータの限界値(画像形成可能な値の上限又は下限)を超える値であると算出した場合は、画像形成部12による画像形成が異常であることを示す値を算出する。
【0073】
なお、S9においては、補正部311及び画像加工部312は、出力画像の元画像に対する上記相違を無くして出力画像と元画像が同一となるように、画像出力プロセスデータ及び画像処理用の画像処理プロセスデータを変更するようにしてもよい。
【0074】
画像処理部31により上記画像補正内容が算出されると、主制御部100は、図5に例を示す表示画面610C等により、表示部611に上記算出結果である画像補正内容を、各補正対象項目を示して表示させる(S10)。この画像補正処理内容は、上述したように、例えば、上記画像形成部12の画像出力プロセスデータとしての帯電装置123の出力電圧、露光装置124の露光光量、現像装置122の現像バイアス電圧、転写ローラ126の転写バイアス、二次転写ローラ210の転写バイアス等の各値、画像処理(上述した通常時の画像処理)用の画像処理プロセスデータとしての階調補正テーブルデータや濃度補正テーブルデータなどの補正テーブルデータの数値により構成されるが、表示部611には、ユーザの理解度を高めるため、図5に示すように、濃度、階調性、色味、画像先端位置、画像形成幅、画像の歪といった各補正対象となる補正対象項目について、それぞれがどの程度(レベル)変更するかを示すことで、画像補正処理内容を表示してもよい。なお、特に図示しないが、主制御部100は、出力画像の元画像に対する上記相違を上記許容範囲に入れるための値が、画像処理プロセスデータ及び画像出力プロセスデータの限界値を超える値であると算出された場合は、画像形成部12による画像形成が異常であることを示すメッセージを表示部611に表示させる。
【0075】
ユーザは、このように表示部611に表示された画像補正内容を視認することによって、原稿読取部51に読み取らせた上記記録紙上の画像を、元々の原稿画像に同一とする又は近付けるために画像補正処理が必要か否かを判断可能である。
【0076】
表示部611による上記表示後、ユーザが操作部61を操作して、上記画像補正処理内容による画像補正処理の実行指示が入力され、操作部61が当該指示を受け付けると(S11でYES)、画像処理部31は、上記算出した画像出力プロセスデータ及び画像処理プロセスデータの各値が示す画像補正処理内容で画像補正処理を実行する(S12)。なお、出力画像の元画像に対する上記相違を上記許容範囲に入れるための値が、画像処理プロセスデータ及び画像出力プロセスデータの限界値を超える値であると算出されて表示部611に上記異常メッセージが表示されている場合は、画像処理部31は、画像補正処理を行わないか、又は、ユーザから画像補正処理実行指示が操作部61に受け付けられたことをもって、画像処理プロセスデータ及び画像出力プロセスデータを限界値まで変更した内容での画像補正処理を行うようにする。
【0077】
この第1実施形態によれば、画像形成部12による画像形成後に、操作部61にユーザから補正対象画像の出力画像データの取得指示(上記画像形成がされた記録紙の画像読取指示)が受け付けられたことを条件として出力画像データの取得が行われるため、原稿読取部51を、元画像データと、補正対象画像の出力画像データの両方を取得可能な機構として用いることが可能である。このため、当該画像形成装置1は、補正対象となる出力画像データを取得するために別個の画像読取装置を必要としないので、製造コストの低減が可能となる。さらに、操作部61によってユーザから画像補正の実行指示が受け付けられたことを条件として、画像処理部31による画像補正処理が行われるため、ユーザが必要と判断したときに画像補正処理を行って、画像形成された画像の品質を向上させることができる。
【0078】
次に、画像形成装置1による画像補正処理時における制御の第2実施形態を説明する。図6は画像形成装置1による画像補正処理時における制御の第2実施形態を示すフローチャートである。なお、第1実施形態と同様の処理は説明を省略する。図7は、表示部611の表示画面の一例を示す図である。
【0079】
上述した第1実施形態では、元画像データの取得は、ユーザによる指示に基づいて原稿読取部51が原稿画像を読み取ることで取得されていたが、本第2実施形態では、ネットワーク制御部104及びネットワークインタフェイス部91が、元画像データを保有しているPC7等の外部装置にアクセスして、当該外部装置から元画像データを取得することが可能とされている。
【0080】
本第2実施形態では、上記画像形成がされた記録紙上の画像がユーザの指示で原稿読取部51により読み取られた後に(S24)、主制御部100は、例えば図7に示す表示画面610Dを表示部611に表示させることで、原稿読取部51による原稿読取、又は外部装置からの元画像データの取得、のいずれによって、元画像データを取得するかの選択を促す案内を表示させる(S25)。
【0081】
上記表示後、ユーザが、上記画像形成がされた記録紙を原稿読取部51にセットして、例えば図7の表示画面610Dにおけるボタン6102及び開始ボタン6101をユーザが押下する等の操作部61の操作を行って、当該セットした記録紙の読み取りの指示をタッチパネル機能等により入力し、操作部61に当該記録紙の読取指示が受け付けられると(S26で「原稿読取指示」)、第1実施形態と同様に、主制御部100が原稿読取部51に当該記録紙上の画像(補正対象画像)の読み取り動作を行わせる(S27)。
【0082】
一方、上記表示後、例えば図7の表示画面610Dにおけるボタン6103の押下と、操作部61に備えられるテンキー又はキーボードの操作によるIPアドレス及びファイル名称の入力(元画像データの入手先である外部装置の特定、及び元画像データの特定)とをユーザが行い、更に、ユーザが開始ボタン6101を押下する操作により、元画像を特定する情報(以下、元画像特定情報という。ここでは、ファイル名称)と、当該元画像の入手先を示す入手先特定情報(ここではIPアドレス)と、元画像データの取得指示とが操作部61に受け付けられると(S26で「入手先情報」)、ネットワーク制御部104及びネットワークインタフェイス部91(特許請求の範囲でいう出力対象データ取得部の一例)が、当該入力された入手先情報が示す外部装置にネットワークを通じてアクセスし、上記入力された元画像特定情報が示す元画像のデータの送信を当該外部装置に要求する(S33)。そして、例えば、当該入手先情報が示す入手先がPC7であったとすると、当該PC7は、上記画像形成装置1からの画像データの送信要求に応じて、画像形成装置1から送られてきた元画像特定情報の示す元画像を画像形成装置1に対して送信する。画像形成装置1のネットワーク制御部104及びネットワークインタフェイス部91は、当該PC7から送信されてきた元画像データを受信する(S34)。
【0083】
この後、上記S27で原稿読取部51による読み取りで得られた元画像データ、又は、上記S34でPC7から受信した元画像データを用いて、画像処理部31が、出力画像の画像データ及び元画像データを比較する処理以降の一連の処理を実行する(S28乃至S32)。
【0084】
この第2実施形態によれば、例えば、当該画像形成装置1に接続されたPC7等から受信した画像データを画像形成部12により画像形成した場合に、当該画像形成により得られた画像の画像処理部31による上記画像補正処理を簡単な操作で行うことができる。
【0085】
なお、当該第2実施形態では、ネットワーク制御部104及びネットワークインタフェイス部91は、操作部61からユーザより入力された入手先特定情報を得ているが、これに代えて、ネットワークを通じて外部装置(PC7等)から受信した出力対象データに基づいて画像形成部12により画像形成が行われたときに、当該画像形成に用いた出力対象データを元画像データとして、当該元画像データを送信してきた当該外部装置をそのIPアドレス等により入手先特定情報として記憶しておき、後にユーザから元画像特定情報が操作部61に受け付けられた場合に、当該元画像特定情報の送信元である外部装置を示す入手先特定情報を、記憶しておいた入手先特定情報の中から抽出して取得するようにしてもよい。
【0086】
次に、画像形成装置1による画像補正処理時における制御の第3実施形態を説明する。図8は画像形成装置1による画像補正処理時における制御の第3実施形態を示すフローチャートである。図9は表示部611の表示画面の一例を示す図である。なお、第1又は第2実施形態と同様の処理は説明を省略する。
【0087】
本第3実施形態では、上記出力後の画像データと、元画像データとの比較により算出した画像補正処理内容をどの程度の度合いまで画像処理部31が行うかの指定を、操作部61がユーザから受け付け、当該受け付けた度合いまでの上記画像補正処理を画像処理部31が行うものである。
【0088】
図8を参照して説明すると、画像処理部31により上記画像補正内容が算出されると、主制御部100は、図9に例を示す表示画面610E等により、表示部611に、上記算出結果である画像補正内容を各項目の表示により示すと共に、出力画像データに対して元画像データを上述した許容範囲内とするために必要な各補正対象項目毎の上記画像処理プロセスデータ及び画像出力プロセスデータの変更量から算出した、各補正対象項目の補正度合い(本実施形態では、変更量が小から大の順にレベル1〜5として示す)を示し、更に、出力画像データをどの程度まで元画像データに近付けるかの補正程度の入力を促す案内を表示する(S50)。なお、上記変更量からの各補正対象項目の補正度合いの算出は画像処理部31が行い、主制御部100は、当該算出結果を表示部611に表示させるようにしてもよい。
【0089】
例えば、図9に示すようにして当該表示が行われている場合、ユーザが、図9に示す各補正対象項目毎のレベル表示欄6105の矢印キー6106を押下することで、タッチパネル機能により補正度合いの変更指示が操作部61に受け付けられる。例えば、ユーザが上向き矢印キー6106Aを押下すると、補正度合いを1段階上げる指示が操作部61に受け付けられ、ユーザが下向き矢印キー6106Bを押下すると、補正度合いを1段階下げる指示が操作部61に受け付けられる。画像処理部31は、当該受け付けられた各補正対象項目の補正度合いを、対応する各補正対象項目について設定し、主制御部100は、当該受け付けられた指示が示す補正度合いを対応する補正対象項目の上記レベル表示欄6105に表示させる。
【0090】
なお、本実施形態では、ユーザが、各補正対象項目についての上記上向き矢印キー6106A又は下向き矢印キー6106Bを押下することで、補正が不要とされている補正対象項目の補正度合いを上げて画像処理部31に補正を行わせることも可能であり、また、補正が必要な補正対象項目の補正度合いを、補正を行わないことを示すレベル0とすることで画像処理部31に補正を行わせないことも可能とされている。すなわち、ユーザは、画像補正処理を行う補正対象項目の指定と、各補正対象項目についての補正度合いの指定とが操作部61で可能とされている。
【0091】
表示部611による上記表示後、上記のようにしてユーザが操作部61を操作して、補正対象項目及び補正度合いの指定と共に、画像補正処理の実行指示を入力し、操作部61がこれらの指示を受け付けると(S51でYES)、画像処理部31が当該指定された補正レベルでの上記画像補正処理内容の画像補正処理を実行する(S55)。
【0092】
一方、ユーザが、補正対象項目の指定及び補正度合いの指定をせずに画像補正処理の実行指示を入力し、操作部61が当該指示を受け付けると(S51でNO)、画像処理部31は、上記算出した通りの画像補正処理内容で画像補正処理を実行する(S52)。
【0093】
この第3実施形態によれば、ユーザは、表示部611により表示される画像補正内容を確認した上で、操作部61から画像補正処理の補正度合いを指定する指示を入力することで、ユーザ所望の補正度合いによる上記画像処理補正を行うことが可能であり、ユーザが、出力画像をどの程度まで元画像に近付けるかを調整することができる。また、ユーザは、画像補正処理内容を示す各補正対象項目毎に補正度合いの指定が可能なので、当該各補正対象項目単位で、出力画像をどの程度まで元画像に近付けるかを調整できる。
【0094】
なお、図8には、本第3実施形態に係る一連の処理として、操作者からの指示に基づいて、ネットワーク制御部104及びネットワークインタフェイス部91が、当該入力された入手先情報が示す外部装置にネットワークを通じてアクセスし、上記入力された元画像特定情報が示す元画像のデータの送信を当該外部装置から受信する処理(S46,S53,S54)を行う例を示しているが、第1実施形態と同様に、当該外部装置から受信する処理(S46,S53,S54)を行わず、原稿読取部51からの原稿読取により元画像データを取得するものとしてもよい。
【0095】
なお、本発明は上記実施の形態の構成に限られず種々の変形が可能である。例えば、上記第3実施形態では、主制御部100は、画像処理部31により算出された上記画像補正処理内容を各補正対象項目毎に表示部611に表示させているが(図8のS50)、主制御部100は、この表示時に、図10に例を示す表示画面610Fのように、各補正対象項目を、その補正度合いが大きいものから順に並べて、表示部611に表示させてもよい。
【0096】
これにより、ユーザは、画像形成装置1による画像形成後の画像が含有する成分のうち、劣化した度合いの高い成分に対応する補正対象項目を把握した上で、上記画像処理補正を行う補正対象項目を選択することが可能となる。
【0097】
なお、図1乃至図10を用いて上記各実施形態により示した構成及び処理は、本発明の一実施形態に過ぎず、本発明を当該構成及び処理に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0098】
1 画像形成装置
10 制御ユニット
100 主制御部
104 ネットワーク制御部
12 画像形成部
31 画像処理部
311 補正部
312 画像加工部
32 画像メモリ
51 原稿読取部
61 操作部
611 表示部
91 ネットワークインタフェイス部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
出力対象データを取得する出力対象データ取得部と、
前記出力対象データ取得部によって取得された出力対象データに基づいた画像を形成する画像形成部と、
ユーザから操作指示を受け付ける指示受付部と、
前記画像形成部による前記出力対象データに基づいた画像形成後、前記指示受付部にユーザから画像データ取得指示が受け付けられたときに、当該画像形成部により画像形成された画像の画像データを取得する出力画像取得部と、
前記指示受付部によってユーザから画像補正の実行指示が受け付けられたときに、前記出力画像取得部に取得された前記画像データを、前記出力対象データ取得部によって取得された出力対象データに同一又は近似とさせるために必要な画像補正内容を算出し、当該算出した画像補正内容を用いて、前記出力画像取得部に取得された画像データを画像補正処理する画像補正処理部と、
を備える画像形成装置。
【請求項2】
前記出力対象データ取得部は、前記取得した出力対象データの入手先を示す入手先情報を取得し、当該入手先情報が示す入手先から、前記画像補正処理部による前記画像補正内容の算出に用いられる出力対象データを取得する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記出力画像取得部は、原稿の画像を読み取る原稿画像読取部をなし、前記画像形成部による前記画像形成後、前記指示受付部にユーザから画像データ取得指示が受け付けられたときに、前記原稿画像読取部が前記原稿の画像を読み取って前記画像データを取得する請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
ユーザに対して操作案内を報知する報知部と、
前記画像補正処理部によって算出された前記画像補正内容を前記報知部に報知させる制御部とを備え、
前記指示受付部は、前記画像補正処理部が前記報知された画像補正内容に基づいて行う画像補正処理の度合いを指定する指示をユーザから受け付け、
前記画像補正処理部は、前記指示受付部に指定が受け付けられた前記画像補正処理の度合いに従って、前記画像補正内容に基づいた画像補正処理を行う請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記画像補正処理部は、前記画像補正内容を示す単数又は複数の補正対象項目を抽出し、
前記制御部は、前記画像補正処理部により抽出された前記補正対象項目を前記報知部に報知させ、
前記指示受付部は、前記画像補正処理部により抽出された前記補正対象項目を指定する指示をユーザから受け付け、
前記画像補正処理部は、前記指示受付部に指定が受け付けられた前記補正対象項目について前記画像補正内容に基づいた画像補正処理を行う請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記画像補正処理部は、前記抽出した補正対象項目と共に、補正対象とされている前記画像データを前記出力対象データに同一とする又は近似とさせるために要する補正の度合いを各補正対象項目毎に抽出し、
前記制御部は、前記画像補正処理部により抽出された前記補正対象項目の前記補正の度合いに基づいて、前記補正の度合いが大きいものから順に前記補正対象項目を前記報知部に報知させる請求項5に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−15597(P2013−15597A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−146889(P2011−146889)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】