説明

画像形成装置

【課題】耐久を通して転写ニップ領域の均一性を維持することによって、局所的な過電流や異常放電による画像不良を生じることのない画像形成装置を提供する。
【解決手段】ベルト体13の搬送方向に直交するベルト体搬送面の幅方向における弾性部材101aの両端部101a2、101a2のシート部材方向への高さtyが、弾性部材101aの中央部101a1のシート部材方向への高さty1よりも大きくされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、像担持体上に担持されたトナー像を、中間転写体、又は、転写材搬送体が担持する転写材に転写する、例えば、プリンタ、複写機等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の電子写真技術として、トナー像を担持する像担持体と転写ローラにて挟持(ニップ)されるベルト状の中間転写体、即ち、中間転写ベルト上に像担持体上のトナー像を転写する画像形成装置がある。また、転写材を担持搬送するベルト状の転写材搬送体、即ち、転写材搬送ベルトが、像担持体と転写ローラにニップされ、像担持体上のトナー像をベルト上の転写材に転写する画像形成装置がある。
【0003】
ここで、転写ローラと上記ベルトが接触する領域、所謂、転写ニップ領域は、良好な転写性を確保するために重要であり、特に、ベルト移動方向下流のテンションニップ領域の確保は、異常放電抑制のためにも必要である。
【0004】
しかしながら、転写ローラを用いた場合、転写ニップ領域を大きくするためには、ローラ径を大きくするか、転写ローラの硬度を小さくするしかなく、装置の小型化や、製造上の安定性を考慮すると限界がある。
【0005】
このような背景に基づき、転写ローラの代わりに導電性のシート部材を転写部材として用い、弾性体の支持部材で押圧することで、ベルトとシート部材を密着させ、広い転写ニップを形成する方法が提案されている(特許文献1参照)。
【0006】
例えば、本願添付の図2を参照して説明すれば、転写部材としてシート部材102aを備え、シート部材102aが、弾性部材101aに押圧されて感光ドラム1aの方向へと付勢され、中間転写ベルト13に接触している。
【0007】
斯かる構成にて、転写ニップNは、物理ニップNpとテンションニップNtの二つの領域からなっている。物理ニップNpは、A−B間であり、感光ドラム1a、中間転写ベルト13、シート部材102aのすべてが当接した領域である。テンションニップNtは、B―C間であり、中間転写ベルト13とシート部材102aだけが当接した領域である。物理ニップNp(A−B間)は転写プロセスを行う上で必要な領域であり、テンションニップNt(B−C間)は、異常放電を抑制する上で必要な領域である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−310060号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記背景技術に記載の構成において通紙耐久を行うと、次のような問題があった。つまり、シート部材102aを押圧する弾性部材101aの中間転写ベルト13の移動方向に直交するベルト幅方向の両端部や、シート部材自体の両端部が変形してしまい、転写ニップ領域Nが不均一になり画像不良が発生する場合があった。
【0010】
前述したように、転写ニップNは、物理ニップNpとテンションニップNtの二つの領域からなっており、物理ニップNpは転写プロセスを行う上で必要な領域であり、テンションニップNtは、異常放電を抑制する上で必要な領域である。
【0011】
つまり、転写ニップ領域Nが不均一になると、局所的な過電流や異常放電による画像不良が発生する場合がある。
【0012】
本発明の目的は、上記課題を鑑みて、耐久を通して転写ニップ領域の均一性を維持することによって、局所的な過電流や異常放電による画像不良を生じることのない画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的は本発明に係る画像形成装置にて達成される。要約すれば、本発明の第一の態様によると、
トナー像を担持する回転可能な像担持体と、
前記トナー像が転写される中間転写体か、又は、前記トナー像が転写される転写材を搬送する転写材搬送体とされる移動可能な無端状のベルト体と、
前記ベルト体に前記像担持体の反対側から当接するシート部材と、
前記像担持体の反対側から前記シート部材を前記ベルト体の方向へ押圧する弾性部材と、
を備え、
前記シート部材にバイアスが印加されることで、前記像担持体が担持するトナー像を前記中間転写体か又は前記転写材に転写する画像形成装置において、
前記ベルト体搬送方向に直交する前記ベルト体搬送面の幅方向における前記弾性部材の両端部の前記シート部材方向への高さが、前記弾性部材の中央部の前記シート部材方向への高さよりも大きいことを特徴とする画像形成装置が提供される。
【0014】
本発明の第二の態様によると、
トナー像を担持する回転可能な像担持体と、
前記トナー像が転写される中間転写体か、又は、前記トナー像が転写される転写材を搬送する転写材搬送体とされる移動可能な無端状のベルト体と、
前記ベルト体に前記像担持体の反対側から当接するシート部材と、
前記像担持体の反対側から前記シート部材を前記ベルト体の方向へ押圧する弾性部材と、
を備え、
前記シート部材にバイアスが印加されることで、前記像担持体が担持するトナー像を前記中間転写体か又は前記転写材に転写する画像形成装置において、
前記ベルト体搬送方向に直交する前記ベルト体搬送面の幅方向における前記弾性部材の両端部の前記ベルト体搬送方向への幅が、前記弾性部材の中央部の前記ベルト体搬送方向への幅よりも大きいことを特徴とする画像形成装置が提供される。
【0015】
本発明の第三の態様によると、
トナー像を担持する回転可能な像担持体と、
前記トナー像が転写される中間転写体か、又は、前記トナー像が転写される転写材を搬送する転写材搬送体とされる移動可能な無端状のベルト体と、
前記ベルト体に前記像担持体の反対側から当接するシート部材と、
前記像担持体の反対側から前記シート部材を前記ベルト体の方向へ押圧する弾性部材と、
を備え、
前記シート部材にバイアスが印加されることで、前記像担持体が担持するトナー像を前記中間転写体か又は前記転写材に転写する画像形成装置において、
前記ベルト体搬送方向に直交する前記ベルト体搬送面の幅方向における前記弾性部材の両端部であって、前記ベルト体搬送方向にて前記弾性部材の下流側における前記弾性部材の前記両端部の前記シート部材方向への高さが、前記弾性部材の中央部の前記シート部材方向への高さよりも大きく、且つ、
前記ベルト体搬送方向に直交する前記ベルト体搬送面の幅方向における前記弾性部材の両端部であって、前記ベルト体搬送方向にて前記弾性部材の下流側における前記弾性部材の前記両端部の前記シート部材方向への高さが、前記弾性部材の上流側の前記シート部材方向への高さよりも大きい、
ことを特徴とする画像形成装置が提供される。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、耐久を通して転写ニップ領域の均一性を維持することによって、局所的な過電流や異常放電による画像不良を生じることがない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る画像形成装置の一実施例の概略構成を表す概略構成図である。
【図2】感光ドラム、中間転写ベルト及び1次転写部材の作動を説明するための概略構成図である。
【図3】1次転写部材の弾性部材の一実施例の斜視図である。
【図4】中間転写ベルト及び1次転写部材の作動を説明するための概略構成図である。
【図5】従来の1次転写部材の弾性部材の一例を説明する斜視図である。
【図6】1次転写部材の弾性部材の他の実施例の斜視図である。
【図7】1次転写部材の弾性部材の他の実施例の斜視図である。
【図8】本発明に係る画像形成装置の他の実施例の概略構成を表す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。
【0019】
実施例1
(1)画像形成装置
図1に、本発明に係る画像形成装置の一実施例である複数の画像形成部(ステーション)を備えた多色画像形成装置の概略構成を示す。
【0020】
本実施例の画像形成装置は、4つのステーションS(Sa、Sb、Sc、Sd)を有しており、第1ステーションSaをイエロー(Y)、第2ステーションSbをマゼンタ(M)、第3ステーションScをシアン(C)、第4ステーションSdをブラック(K)としている。
【0021】
第1ステーションSaは、回転可能に担持された像担持体としてのOPC感光ドラム1aを備えている。感光ドラム1aの回りには、帯電手段としての帯電ローラ2a、クリーニング手段としての感光ドラム1a上の転写残トナーをクリーニングするクリーニングユニット3a、及び現像手段としての現像ユニット8aが配置されている。現像ユニット8aは、現像スリーブ4a、非磁性一成分トナー5a、現像剤塗布ブレード7aを備えている。上述の感光ドラム1a、帯電ローラ2a、クリーニングユニット3a、現像ユニット8aは、一体型のプロセスカートリッジ9aとなっている。
【0022】
露光手段11aは、レーザー光を多面鏡によって走査させるスキャナユニット又はLEDアレイから構成され、画像信号に基づいて変調された走査ビーム12aを感光ドラム1a上に照射する。
【0023】
また、帯電ローラ2aは、帯電ローラ2aへの電圧供給手段である帯電バイアス電源20aに接続されており、現像スリーブ4aは、現像スリーブ4aへの電圧供給手段である現像電源21aに接続されている。また、後述する1次転写手段としての1次転写部材10aは、1次転写部材10aへの電圧供給手段である1次転写電源22aに接続され、2次転写ローラ25は2次転写電源26に接続されている。
【0024】
次に、感光ドラム1a上の画像形成動作について説明する。
【0025】
本実施例によると、4つのステーションSa〜Sdの下方には中間転写体としての無端状のベルト体(以下、「中間転写ベルト」という。)13が配置されている。中間転写ベルト13は、駆動ローラ14、テンションローラ15、二次転写対向ローラ24間に張設され、矢印方向に循環移動する。
【0026】
画像形成動作がスタートすると、感光ドラム1a〜1dや中間転写ベルト13等は所定のプロセススピードで矢印方向に回転を始める。感光ドラム1aは、帯電ローラ2aによって一様に負極性に帯電され、続いて露光手段11aからの走査ビーム12aによって画像情報に従った静電潜像が形成される。
【0027】
現像ユニット8a内のトナー5aは、現像剤塗布ブレード7aによって負極性に帯電されて現像スリーブ4aに塗布される。そして、現像スリーブ4aには、現像バイアス電源21aより、バイアスが供給され、感光ドラム1aが回転して感光ドラム1a上に形成された静電潜像が現像スリーブ4aに到達すると、静電潜像は負極性のトナーによって可視化される。これにより、感光ドラム1a上には第1色目(本実施例ではイエロー(Y))のトナー像が形成される。
【0028】
尚、第2〜第4ステーションSb〜Sdも上記第1ステーションSaと同様の構成とされ、同様にして画像形成動作が行われ、本実施例では、第2色目(マゼンタ(M))、第3色目(シアン(C))、及び第4色目(ブラック(K))のトナー像が形成される。従って、第2〜第4ステーションSb〜Sdの画像形成動作については説明を省略する。
【0029】
中間転写ベルト13は、図1に示すように、4つの感光ドラム1a〜1d全てに対し当接する様に配置される。
【0030】
次に、転写の動作に関して説明をする。中間転写ベルト13は、上述のように、その張架部材として2次転写対向ローラ24、駆動ローラ14、テンションローラ15の3本のローラにより移動可能に支持されており、適当なテンションが維持されるようになっている。駆動ローラ14を駆動させることにより中間転写ベルト13は感光ドラム1a〜1dに対して順方向に略同速度で移動する。また、中間転写ベルト13は、矢印方向に回転し、1次転写部材10aは、中間転写ベルト13を挟んで感光ドラム1aと反対側に配置されている。以下、本明細書にて「上流」、「下流」とは、中間転写ベルト13の移動方向に対して呼ぶこととする。
【0031】
上述にて理解されるように、中間転写ベルト13の周囲、感光ドラム1a〜1dとの対向部に、各々の感光ドラム1a〜1dに対応させて1次転写部材10a〜10dが配置されている。
【0032】
各色の1次転写位置間の距離に応じて、各色、一定のタイミングでコントローラ200からの書き出し信号を遅らせながら、露光による静電潜像を各感光ドラム1a〜1d上に形成する。そして、それぞれの1次転写部材10a〜10dに1次転写電源22aよりトナーと逆極性の電圧(ここでは正極性)を印加するようにする。以上の工程により、順に中間転写ベルト13にトナー像を一次転写していき、中間転写ベルト13上に多重画像が形成される。
【0033】
その後、露光による静電潜像の作像に合わせて、転写材カセット16に積載されている記録媒体である転写材Pは、給紙ローラ17によりピックアップされ、不図示の搬送ローラによりレジストローラ18にまで搬送される。次いで、転写材Pは、中間転写ベルト13上のトナー像に同期してレジストローラ18によって、中間転写ベルト13と2次転写ローラ(2次転写手段)25とで形成される当接部へ搬送される。その後、2次転写ローラ25には2次転写電源26により、トナーと逆極性の電圧印加(ここでは正極性)を行い、転写材P上に中間転写ベルト13上に担持された4色の多重トナー像は一括して2次転写される。
【0034】
尚、本実施例では、2次転写ローラ25は、外径8mmのニッケルメッキ鋼棒に抵抗値(体積抵抗率)107Ω・cm(1000V印加時)、厚み5mmに調整したNBRの発泡スポンジ体で覆った外径18mmのものを用いた。また、2次転写ローラ25は、中間転写ベルト13に対して、5〜15g/cm程度の線圧で当接させ、且つ中間転写ベルト13の移動方向に対して順方向に略等速度で回転する様に配置した。
【0035】
一方、2次転写を終えた後、中間転写ベルト13上に残留した転写残トナーと、転写材Pが搬送されることによって発生する紙粉は、中間転写ベルト13に当接配置されたベルトクリーニング手段27により、その表面から除去・回収される。
【0036】
尚、本実施例の画像形成装置ではベルトクリーニング手段27としてウレタンゴム等で形成された弾性を有するクリーニングブレードを用いた。
【0037】
2次転写終了後の転写材Pは、定着手段19へと搬送され、トナー像の定着を受けて画像形成物(プリント、コピー)として画像形成装置外へと排出される。
【0038】
尚、中間転写ベルト13の構成としては、厚さ100μm、体積抵抗率1010Ω・cm(250V印加時)のポリイミド(PI)を用いている。
【0039】
張架部材としての駆動ローラ14は、アルミニウム芯金にカーボンを導電剤として分散した体積抵抗率104Ω・cm、肉厚1.0mmのEPDMゴムを被覆した外径25mmのものを用いている。
【0040】
張架部材としてのテンションローラ15は、外径25mmのアルミニウムの金属棒を用いており、テンションは片側19.6N、総圧39.2Nとしている。
【0041】
張架部材としての2次転写対向ローラ24は、アルミニウム芯金にカーボンを導電剤として分散した体積抵抗率104Ω・cm(50V印加時)、肉厚1.5mmのEPDMゴムを被覆した外径25mmのものを用いている。
【0042】
(2)1次転写部材の構成
以下の1次転写部材周辺部の説明において、図2に示すように、X軸方向は、中間転写ベルト13の搬送方向(ベルト体搬送方向)と平行であり、中間転写ベルト13の搬送方向を正とした。Y軸方向、即ち、ベルト体搬送方向に直交する方向は、中間転写ベルト13のトナー像担持搬送面に対し垂直に交わる方向であり、1次転写部材10aから感光ドラム1aへ向かう方向を正とした。Z軸方向は、中間転写ベルト13の搬送方向と垂直に交わるベルト体搬送面の幅方向、即ち、感光ドラム1aの回転軸線方向であり、図2における奥行き方向を正とした。
【0043】
本実施例における1次転写部材10aの特徴を述べる。図2に1次転写部材10aのXY断面図を示す。
【0044】
1次転写部材10aは、弾性部材101aと可撓性を有するシート部材102aを有しており、シート部材102aは緩やかなカーブを形成し、中間転写ベルト13と弾性部材101aの間に挟持されている。
【0045】
シート部材102aは、1次転写電源22aと接続され、画像形成動作中は500Vの電圧が印加されている。また、弾性部材101a及びシート部材102aは、台座103aによって支持され、加圧バネ104aによって感光ドラム1a側に総圧9.8Nで加圧されている。勿論、シート部材102aは、台座103とは別部材とされる支持部材(図示せず)によって支持することもできる。中間転写ベルト13は、矢印の方向(即ち、ベルト体搬送方向)に移動される。
【0046】
具体的には、シート部材102aとしては、体積抵抗率106Ω・cm(50V印加時)であり、樹脂製のシートを用いている。本実施例では、シート部材102aとして酢酸ビニルシートを用いているが、ポリカーボネイト(PC)、Pvdf、PET、ポリイミド(PI)、ポリエチレン(PE)、ポリアミド(PA)などのシートを用いても良い。シート部材102aの厚みは、30μm〜500μmが望ましい。本実施例では、150μmの厚みのシート部材102aを用いているが、上述した厚みの範囲から外れるシート部材を使用した場合、シート部材の剛性による当接ができなくなってしまうためである。30μmより薄い場合は、剛性が著しく低下することで、シート部材102aが変形(しわ)し易くなり、画像不良が発生し易くなる。また、500μmよりも厚い場合は、剛性が高過ぎて、シートが緩やかなカーブを形成することができず、転写ニップNを確保することが難しくなる。
【0047】
図3に弾性部材101aの詳細形状を示す。図の左下の角を零点とすると、弾性部材101aの形状は、X方向の厚さtx=4.0mm、Z方向の長さtz=230mmであり、Z軸方向の中央部から両端部にかけて、Y軸方向の厚みty2が0.4mm大きくなるような逆クラウン形状をしている。逆クラウン形状の部分は、着色(網点)を施してある。最端部(Z=0、230mmの位置)においては、ty=3.4mmである。Z方向中央部長さtz1=115mm、Z方向両端部の長さtz2=57.5mmとした時、逆クラウンの始まる位置(Z=57.5、172.5mmの位置)においては、ty1=3.0mmである。
【0048】
弾性部材101aの材質としては、絶縁体のウレタン樹脂を発泡スポンジ状にしたものを用いている。アスカーC硬度は30°(500g荷重時)である。
【0049】
本実施例では、弾性部材101aとしてウレタン樹脂を用いているが、エピクロルヒドリンゴム、NBR、EPDMなどのゴム材料を用いても良い。
【0050】
(3)各種ニップの役割と画像不良
先ず、各種ニップについて説明する。本実施例では、転写ニップNは、物理ニップNpとテンションニップNtの二つの領域から成るものとしている。即ち、図2においては、境界位置AとCの間を転写ニップNとする。物理ニップNpとテンションニップNtの詳細を以下に記す。
【0051】
物理ニップNpは、図2において感光ドラム1a、中間転写ベルト13及びシート部材102aの三つが接触している領域、即ち、境界位置AとBの間の領域である。物理ニップNpを通じて、500Vの電圧が印加されたシート部材102aから正電荷が中間転写ベルト13に注入され(以下、[転写電流]という。)、感光ドラム1a上から中間転写ベルト13上に転写されたトナーの担持電荷となる。これにより、一次転写が成立する。しかしながら、物理ニップNpが不均一である場合には、転写電流の大きさも不均一になるために、転写不良が発生する場合がある。物理ニップNpの大きい領域は、転写電流超過によってトナー自体が持つ電荷が反転してしまい、転写不良が発生する傾向がある。物理ニップNpの小さい領域は、転写電流不足による転写不良が発生する傾向がある。
【0052】
テンションニップNtは、境界位置Bと、中間転写ベルト13とシート部材102aとが接触している領域の下流端にある境界線Cとの間の領域である。物理ニップ部Npで注入された正電荷は、主に中間転写ベルト13上のトナーの担持電荷となる。一方で、担持電荷として使用されなかった余剰の正電荷はテンションニップ部Ntでの電荷の循環によって、シート部材102aに戻る。この電荷循環機構によって、一次転写ニップ下流部での感光ドラム1aと中間転写ベルト13の間の異常放電を防ぐことができる。従って、テンションニップ領域Ntが十分に確保できていない、即ち、中間転写ベルト13とシート部材102aとの密着性が十分でない場合には、余剰の正電荷が中間転写ベルト表面に残留する。その結果、転写ニップ下流部での中間転写ベルト13の表面電位が高まることで感光ドラム1aとの間で異常放電が起こり、画像不良を引き起こす場合がある。
【0053】
なお、物理ニップNpよりも上流側にテンションニップNtを設けた場合には、中間転写ベルト13と感光ドラム1aとが接する前にトナーに対して転写電界がかかる。その結果、トナーが所定の位置以外に飛び散ってしまうことによる画像不良を引き起こす場合がある。そのため、本実施例では物理ニップNpとテンションニップNtの上流端は略一致させている。
【0054】
前述した境界位置A、B、Cに関して、測定方法を記載する。
【0055】
先ず、中間転写ベルト13とシート部材102aとによって形成される境界位置A及び境界位置Cの測定方法を記載する。これら二つの境界線A、Cは、シート部材102aの中間転写ベルト13の搬送方向における摺擦痕の両端である。摺擦痕を見易くするために、バイアス印加し静電吸着力を発生させた状態で中間転写ベルト13を回転駆動させる。その結果、シート部材102a上に形成される摺擦痕からA−C間距離が測定でき、境界位置Aと境界位置Cが決定できる。
【0056】
次に、中間転写ベルト13と感光ドラム1aとによって形成される境界位置Bの測定方法を記載する。
【0057】
境界線Bは、感光ドラム1aが物理的に中間転写ベルト13と接触している領域の中間転写ベルト13の搬送方向における端部である。そこで、中間転写ベルト13上にトナー像がある状態で、中間転写ベルト13の駆動を止めて、感光ドラム1aのみを回転させる。この時、感光ドラム1aと中間転写ベルト13が接触している領域のみトナー像が剥がされるため、A−B間距離が測定でき、境界線Bが決定できる。
【0058】
(4)従来例での画像不良発生原因
弾性部材101aが直方体である場合(比較例として後述する)において通紙耐久を行うと、転写ニップNのZ軸方向における両端部で物理ニップNpとテンションニップNtが減少する場合がある。
【0059】
図4にシート部材102aの先端形状の耐久前後の様子を模式的に示す。この図は、中間転写ベルト13の搬送方向下流から上流を見た様子、即ち、1次転写部材10aのX軸の正方向側からみたYZ断面である。
【0060】
図4(a)は、耐久前の様子を示しており、図4(b)は、耐久後の様子を示している。耐久前は、シート部材102aの先端102aF(図2参照)はZ軸方向長手に略一様に接している。一方、耐久後は、特にシート部材102aの両端部102a2、102a2が中間転写ベルト13から離れてしまう。
【0061】
耐久後はシート部材102aの両端部102a2、102a2において、前述した電荷循環機構が働かず、放電による画像不良問題が発生する。
【0062】
ここで、シート部材102a両端部102a2、102a2のテンションニップNt領域が減少する2つの原因を述べる。
【0063】
1つ目は、シート部材102aの変形によるものである。シート部材102aの両端部102a2、102a2は、中央部102a1と比較して、シート部材自体のコシ(剛性)が弱い。これは、シート自体のZ軸方向のつながりがないためである。その結果、シート部材102aの両端部102a2、102a2は、中央部102a1よりも変形が起こり易い。
【0064】
2つ目は、弾性部材101aの中央部101a1と両端部101a2、101a2で受ける力に差があることである。弾性部材101aは、シート部材102aを介して、常に中間転写ベルト13に押圧されている。その際、弾性部材101aは加圧バネ104aによる力と、中間転写ベルト13の張力による力を受ける。
【0065】
加圧バネ104aによる力は弾性部材101aの中央部101a1から両端部101a2、101a2にかけて略均等に働く。これは、変形量の非常に小さい台座103a上に弾性部材が貼り付けられているためである。
【0066】
一方、中間転写ベルト13の張力による力は、弾性部材101aの中央部101a1よりも両端部101a2、101a2の方が大きい。これには、次の理由がある。
【0067】
先ず、シート部材102aが中間転写ベルト13を感光ドラム1a方向に押し上げる様に配置されている。その上、中間転写ベルト13のZ軸方向の長さWz13がシート部材102aのZ軸方向の長さWz102aよりも長いため、中間転写ベルト13の両端部13a2、13a2は、中央部13a1に比べてY軸方向の高さが低くなっている。その結果、中間転写ベルト13の両端部の張力による力は、シート部材102aの両端部13a1、13a1に対して集中的に働く。
【0068】
上記2つの力を合算すると、弾性部材101aの両端部101a2、101a2は、中央部101a1と比較して受けている力が大きい。この状態が長く持続すると弾性部材101aの両端部101a2、101a2から永久変形が起こり、永久変形が起こった部分の押圧力が低下してしまう。その結果、Z軸方向において両端部101a2、101a2の物理ニップNpが減少してしまう。
【0069】
また、シート部材102aの変形が起こり、その後、弾性部材101aの端部101a2、101a2が徐々に変形するため、耐久に従いシート部材102aの両端部102a2、102a2のテンションニップNtが減少してしまう。
【0070】
(5)本実施例の効果確認
前述のような背景を考慮し、本実施例は、弾性部材101aの形状を変更することによって、転写ニップNを維持する思想のものである。つまり、本実施例では、弾性部材101aの両端部101a2、101a2のシート部材方向への高さが、弾性部材101aの中央部101a1の高さより大きくされる。従って、仮に弾性部材101aの両端部101a2、101a2が中央部101a1よりも多く永久変形を起こしても、図3に示すように、弾性部材101aの両端部101a2、101a2が中央部101a1よりも厚みが厚いため、両端部101a2、101a2の物理ニップNpとテンションニップNtを維持できるようになっている。その結果、耐久を通して転写不良や異常放電による画像不良の発生を防ぐことができる。
【0071】
本実施例において、50000枚の通紙耐久を行い、画像不良が発生するかを確認したところ、画像不良が発生することはなかった。以下に各ニップの耐久前後の大きさを示す。なお、端部の大きさは、両端部の値の平均値とした。
・耐久前の中央部は、物理ニップNpが2.5mm、テンションニップNtが2.5mmであった。
・耐久後の中央部は、物理ニップNpが2.4mm、テンションニップNtが2.4mmであった。
・耐久前の端部は、物理ニップNpが2.7mm、テンションニップNtが2.3mmであった。
・耐久後の端部は、物理ニップNpが2.4mm、テンションニップNtが2.4mmであった。
【0072】
<比較例>
図5に、比較例としての弾性部材101a−1を示す。この弾性部材101a−1にて、図5の左下の角を零点とすると、弾性部材101a−1の形状は、X方向の厚さtx=4.0mm、Y方向の厚さty=3.0mm、Z方向の長さtz=230mmの直方体である。弾性部材101aの材質としては、絶縁体のウレタン樹脂を発泡スポンジ状にしたものを用いている。アスカーC硬度は30°(500g荷重時)である。
【0073】
比較例において50000枚の通紙耐久を行ったところ、20000枚を超えたあたりから両端部において放電による画像不良が発生し始めた。また、30000枚を超えたあたりから、両端部において転写不良による画像不良が発生し始めた。以下に各ニップの耐久前後の大きさを示す。
・耐久前の中央部は、物理ニップNpが2.5mm、テンションニップNtが2.5mmであった。
・耐久後の中央部は、物理ニップNpが2.4mm、テンションニップNtが2.4mmであった。
・耐久前の端部は、物理ニップNpが2.4mm、テンションニップNtが2.6mmであった。
・耐久後の端部は、物理ニップNpが2.0mm、テンションニップNtが1.5mmであった。
【0074】
なお、放電による画像不良が発生し始めたときの弾性部材101a−1のテンションニップNtの幅は、2.0mmであった。転写不良による画像不良が発生し始めたときの弾性部材101a−1の物理ニップNpの幅は、2.1mmであった。
【0075】
以上の結果から分かるように、比較例においては、耐久後の両端部において物理ニップNpとテンションニップNtが減少しており、その位置で転写不良と異常放電による画像不良が発生していた。
【0076】
一方、本実施例においては、初期の物理ニップNpは大きいがテンションニップNtが耐久を通して維持されており、シート部材102aと中間転写ベルト13との密着性を確保でき、異常放電による画像不良を抑制することができた。
【0077】
補足として、本実施例における逆クラウン高さを決定するために行った検討について記載しておく。弾性部材101aの最端部の高さの水準を振って、耐久前後における、物理ニップ幅及びテンションニップ幅及び画像不良の有無について確認した。結果をまとめたものを表1に示す。
【0078】
【表1】

【0079】
前述した通り、テンションニップNtは、2.0mm以下になると異常放電による画像不良が発生する。物理ニップNpは2.1mm以下になると転写不良による画像不良が発生する。また表1で分かるように、物理ニップNpは2.9mm以上になっても転写電流の不均一による画像不良が発生する。この結果から、本実施例では逆クラウン高さを0.4mmとした。本実施例では、耐久前における物理ニップNpの大きさが、中央部と端部で異なるものの、耐久前後で問題は発生しなかった。しかしながら、表1の結果から、耐久を通して物理ニップNpの大きさはZ軸方向で均一であるほうが好ましいことが分かる。
【0080】
なお、弾性部材101aは、両端部の永久変形を補うことで転写ニップNの減少を抑制できる形状であれば、本実施例の形状や材質に限定されるわけではない。
【0081】
実施例2
本実施例において、本発明が適用される画像形成装置の基本構成は、実施例1のものと同じであるため、実施例1のものと同一若しくは相当する機能、構成を有する要素には同一符号を付し、詳しい説明は省略する。
【0082】
図6に、本実施例における弾性部材101aの詳細形状を示す。
【0083】
図6の左下の角を零点とすると、弾性部材101aの形状は、Y方向の厚さty=3.0mm、Z方向の長さtz=230mmである。Z軸方向の中央部(中央部の長さtz1=115mm)から両端部(両端部長さTz2=57.5mm)にかけて、X軸方向の幅が1.0mm大きくなるような逆クラウン形状をしている。即ち、tx=5.0mm、tx1=4.0mm、tx2=1.0mmである。逆クラウン形状の部分は、着色(網点)をしている。つまり、最端部(Z=0、230mmの位置)においては、X方向の厚さtx=5.0mmである。逆クラウンの始まる位置(Z=57.5、172.5mmの位置)においては、X方向の厚さtx1=4.0mmである。弾性部材101aの材質としては、絶縁体のウレタン樹脂を発泡スポンジ状にしたものを用いている。アスカーC硬度は30°(500g荷重時)である。
【0084】
本実施例では、弾性部材101aの両端部101a2、101a2の中間転写ベルト13の搬送方向(X方向)への幅が、弾性部材101aの中央部101a1の幅より大きくされる。即ち、本実施例にて弾性部材101aのZ方向における両端部101a2、101a2が中央部101a1よりも、中間転写ベルト13と接する面積が広い。弾性部材101aの両端部にかかる面圧を下げることによって、永久変形量を抑え、両端部の物理ニップNpとテンションニップNtを維持できるようになっている。その結果、耐久を通して転写不良や異常放電による画像不良の発生を防ぐというものである。
【0085】
本実施例において、50000枚の通紙耐久を行い、画像不良が発生するかを確認したところ、画像不良が発生することはなかった。以下に各ニップの耐久前後の大きさを示す。
・耐久前の中央部は、物理ニップNpが2.5mm、テンションニップNtが2.5mmであった。
・耐久後の中央部は、物理ニップNpが2.4mm、テンションニップNtが2.4mmであった。
・耐久前の端部は、物理ニップNpが2.4mm、テンションニップNtが2.6mmであった。
・耐久後の端部は、物理ニップNpが2.2mm、テンションニップNtが2.2mmであった。
【0086】
以上の結果から、本実施例においては、物理ニップNpとテンションニップNtが耐久を通して維持されており、転写不良や異常放電による画像不良を抑制することができた。
【0087】
補足として、本実施例の逆クラウン幅を決定するために行った検討について記載しておく。弾性部材101aの最端部の幅の水準を振って、耐久前後における、物理ニップ幅およびテンションニップ幅および画像不良の有無について確認した。結果をまとめたものを表2に示す。
【0088】
【表2】

【0089】
表2から分かるように、逆クラウン幅が0.5mm以下のときには画像不良が発生した。本実施例では、逆クラウン幅の最大値は1.0mmである。1.0mmを超えると、弾性部材101aのX軸方向下流の端部が、中間転写ベルト13と接触してしまうからである。
【0090】
この結果から、本実施例では逆クラウン幅を1.0mmとした。
【0091】
なお、弾性部材101aは、両端部にかかる面圧を下げることで転写ニップNの減少を抑制できる形状であれば、本実施例の形状や材質に限定されるわけではない。
【0092】
実施例3
本実施例において、本発明が適用される画像形成装置の基本構成は、実施例1のものと同じであるため、実施例1のものと同一若しくは相当する機能、構成を有する要素には同一符号を付し、詳しい説明は省略する。
【0093】
図7に本実施例における弾性部材101aの詳細形状を示す。
【0094】
図7の左下の角を零点とすると、弾性部材101aの形状は、Z方向の長さtz=230mmであり、Z軸方向の中央部(長さtz1=115mm)から両端部(長さtz2=57.5mm)にかけて、Y軸方向の厚みty2(=ty−ty1)が0.8mm大きくなるような逆クラウン形状をしている。かつ、X軸方向の上流から下流にかけて、Y軸方向の厚みty2(=ty−ty1)が0.8mm大きくなるような逆クラウン形状をしている。逆クラウン形状の部分は、着色(網点)をしている。Z軸方向において、逆クラウンの始まる位置は、Z=57.5、172.5mmである。即ち、tz2=57.5mm、tz1=115mmである。X軸方向において、逆クラウンの始まる位置は、X=2.0mmの位置、即ち、tx1=2.0mmである。弾性部材101aの材質としては、絶縁体のウレタン樹脂を発泡スポンジ状にしたものを用いている。アスカーC硬度は30°(500g荷重時)である。
【0095】
本実施例では、弾性部材101aの両端部101a2、101a2のシート部材方向への高さが、弾性部材101aの中央部101a1の高さより大きくされる。且つ、弾性部材101aの両端部101a2、101a2のシート部材方向への高さが、中間転写ベルト13の搬送方向(X方向)にて下流側が上流側より高くされる。
【0096】
従って、本実施例は、仮に弾性部材101aの両端部101a2、101a2が中央部101a1よりも多く永久変形を起こしても、弾性部材101aの両端部101a2、101a2が中央部101a1よりも厚みが厚いため、両端部のテンションニップNtを維持できるようになっている。また、物理ニップ部Np(tx1に相当する領域)ではX方向で厚みが略変化せず、テンションニップ部上流から下流にかけてX方向で厚みが厚くなることによって、物理ニップNpの幅を均一にできるようになっている。その結果、物理ニップNpとテンションニップNtの幅を均一に保ち、転写不良や異常放電による画像不良の発生を防ぐというものである。
【0097】
本実施例において、50000枚の通紙耐久を行い、画像不良が発生するかを確認したところ、画像不良が発生することはなかった。以下に各ニップの耐久前後の大きさを示す。
・耐久前の中央部は、物理ニップNpが2.5mm、テンションニップNtが2.5mmであった。
・耐久後の中央部は、物理ニップNpが2.4mm、テンションニップNtが2.4mmであった。
・耐久前の端部は、物理ニップNpが2.5mm、テンションニップNtが2.5mmであった。
・耐久後の端部は、物理ニップNpが2.4mm、テンションニップNtが2.3mmであった。
【0098】
以上の結果から、本実施例においては、物理ニップNpとテンションニップNtが耐久を通して略均一に維持されており、転写不良や異常放電による画像不良を抑制することができた。
【0099】
また、実施例1や実施例2よりも物理ニップ幅の均一性が高いため、物理ニップの中央部と端部の転写電流量の違いがなくなり、転写制御にマージンを確保できた。
【0100】
補足として、本実施例の逆クラウン高さを決定するために行った検討について記載しておく。弾性部材101aの最端部の高さの水準を振って、耐久前後における、物理ニップ幅およびテンションニップ幅および画像不良の有無について確認した。結果をまとめたものを表3に示す。
【0101】
【表3】

【0102】
表3から分かるように、逆クラウン高さが0.4mm以下のときには画像不良が発生した。
【0103】
0.8mm以上になると画像不良が発生しなくなるが、1.2mm以上になると物理ニップ幅も大きくなってくる。この結果から本実施例では、逆クラウン高さを0.8mmとした。
【0104】
なお、弾性部材101aは、物理ニップNpを均一に保ちつつ、テンションニップNtの減少を抑制できる形状であれば、本実施例の形状や材質に限定されるわけではない。
【0105】
最後に、比較例と実施例1から実施例3について、各ニップの50000枚の通紙耐久前後での大きさをまとめた。結果を以下の表4に記す。
【0106】
【表4】

【0107】
比較例において、両端部において発生していた転写不良と異常放電による画像不良は、実施例1から実施例3によって抑制されることが分かった。
【0108】
また、実施例3においては、物理ニップNpも耐久前後で略均一に維持することが出来、転写制御のマージンを確保できた。
【0109】
以上、実施例1から実施例3について説明をした。
【0110】
上記各実施例においては、本発明の画像形成装置は、中間転写方式のカラー画像形成装置であるとして説明した。
【0111】
しかし、本発明の原理は、図8に記載したような中間転写ベルトの代わりに記録媒体である転写材Pを搬送する無端状のベルト体である転写材搬送体、即ち、転写材搬送ベルト110を備えた、所謂、直接転写方式の画像形成装置にても同様に適用できる。直接転写方式の画像形成装置は、各画像形成部S(Sa〜Sd)へと転写材搬送ベルト110にて搬送される転写材Pに対して、それぞれ感光ドラム1(1a〜1d)の表面に形成されたトナー像が順次直接転写されてカラー画像が記録される構成とされる。斯かる画像形成装置は、当業者には周知であるので、これ以上の説明は省略する。また、本発明が、モノカラーの画像形成装置にても適用し得ることは当然である。
【0112】
また前述した実施例では、画像形成装置としてプリンタを例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば複写機、ファクシミリ装置等の他の画像形成装置や、或いはこれらの機能を組み合わせた複合機等の他の画像形成装置であっても良く、該画像形成装置に本発明を適用することにより同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0113】
1(1a〜1d) 感光ドラム(像担持体)
2(2a〜2d) 帯電ローラ(帯電手段)
3(3a〜3d) クリーニングユニット(クリーニング手段)
8(8a〜8d) 現像ユニット(現像手段)
10(10a〜10d) 1次転写部材(1次転写手段)
13 中間転写ベルト(中間転写体、無端状ベルト体)
101(101a〜101d) 弾性部材
102(102a〜102d) シート部材
103(103a〜103d) 台座
104(104a〜104d) 加圧バネ
110 転写材搬送ベルト(転写材搬送体、無端状ベルト体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー像を担持する回転可能な像担持体と、
前記トナー像が転写される中間転写体か、又は、前記トナー像が転写される転写材を搬送する転写材搬送体とされる移動可能な無端状のベルト体と、
前記ベルト体に前記像担持体の反対側から当接するシート部材と、
前記像担持体の反対側から前記シート部材を前記ベルト体の方向へ押圧する弾性部材と、
を備え、
前記シート部材にバイアスが印加されることで、前記像担持体が担持するトナー像を前記中間転写体か又は前記転写材に転写する画像形成装置において、
前記ベルト体搬送方向に直交する前記ベルト体搬送面の幅方向における前記弾性部材の両端部の前記シート部材方向への高さが、前記弾性部材の中央部の前記シート部材方向への高さよりも大きいことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記ベルト体搬送方向に直交する前記ベルト体搬送面の幅方向における前記弾性部材の前記シート部材方向への高さが逆クラウン形状であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
トナー像を担持する回転可能な像担持体と、
前記トナー像が転写される中間転写体か、又は、前記トナー像が転写される転写材を搬送する転写材搬送体とされる移動可能な無端状のベルト体と、
前記ベルト体に前記像担持体の反対側から当接するシート部材と、
前記像担持体の反対側から前記シート部材を前記ベルト体の方向へ押圧する弾性部材と、
を備え、
前記シート部材にバイアスが印加されることで、前記像担持体が担持するトナー像を前記中間転写体か又は前記転写材に転写する画像形成装置において、
前記ベルト体搬送方向に直交する前記ベルト体搬送面の幅方向における前記弾性部材の両端部の前記ベルト体搬送方向への幅が、前記弾性部材の中央部の前記ベルト体搬送方向への幅よりも大きいことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
前記ベルト体搬送方向に直交する前記ベルト体搬送面の幅方向における前記弾性部材の前記ベルト体搬送方向への幅が、逆クラウン形状であることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
トナー像を担持する回転可能な像担持体と、
前記トナー像が転写される中間転写体か、又は、前記トナー像が転写される転写材を搬送する転写材搬送体とされる移動可能な無端状のベルト体と、
前記ベルト体に前記像担持体の反対側から当接するシート部材と、
前記像担持体の反対側から前記シート部材を前記ベルト体の方向へ押圧する弾性部材と、
を備え、
前記シート部材にバイアスが印加されることで、前記像担持体が担持するトナー像を前記中間転写体か又は前記転写材に転写する画像形成装置において、
前記ベルト体搬送方向に直交する前記ベルト体搬送面の幅方向における前記弾性部材の両端部であって、前記ベルト体搬送方向にて前記弾性部材の下流側における前記弾性部材の前記両端部の前記シート部材方向への高さが、前記弾性部材の中央部の前記シート部材方向への高さよりも大きく、且つ、
前記ベルト体搬送方向に直交する前記ベルト体搬送面の幅方向における前記弾性部材の両端部であって、前記ベルト体搬送方向にて前記弾性部材の下流側における前記弾性部材の前記両端部の前記シート部材方向への高さが、前記弾性部材の上流側の前記シート部材方向への高さよりも大きい、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
前記ベルト体搬送方向に直交する前記ベルト体搬送面の幅方向における前記弾性部材の前記シート部材方向への高さが逆クラウン形状であることを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−24942(P2013−24942A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−157071(P2011−157071)
【出願日】平成23年7月15日(2011.7.15)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】