画像形成装置
【課題】 複数のモニタ制御によるスループットを最小限に抑えることができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】 パワーモニタにて、分割印字を行うか否かとキャリッジ移動速度を、色むらモニタにより分割印字の印字範囲における色むらを判定し印字方向を、過昇温防止モニタにより、分割印字の印字範囲における温度上昇を判定しキャリッジ速度を決定し、上記決定項目を考慮した印字を行う。
【解決手段】 パワーモニタにて、分割印字を行うか否かとキャリッジ移動速度を、色むらモニタにより分割印字の印字範囲における色むらを判定し印字方向を、過昇温防止モニタにより、分割印字の印字範囲における温度上昇を判定しキャリッジ速度を決定し、上記決定項目を考慮した印字を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録手段を走査しながら被記録媒体にインク等の記録液体を吐出して画像を形成する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写装置や、ワードプロセッサ、コンピュータ等の情報処理機器、さらには通信機器の普及に伴い、それらの機器で処理される文字、画像等の情報を出力するための画像形成(記録)装置の一つとして、インクジェット方式によりデジタル画像記録を行うものが普及している。このようなインクジェット記録装置では、記録ヘッドの特性により様々な問題があり、これらを解決するために様々なモニタ制御が行われている。前記記録ヘッドの諸問題とこれを解決するための方法には、以下のようなモニタ制御が開示されている。
【0003】
[色むらモニタ制御]
前記記録ヘッドは、複数色のインクが用いられ、インクを吐出するノズル列が副走査方向に直線上に配置されおり、往復記録を行うことで生じる吐出色順の違いによる色むら、および単方向記録しか行わないことによる記録速度の低下が問題となっていた。これを解決するために、画像データのそれぞれのインクの混合状態を定量化し、前記情報を基にキャリッジの移動方向を決定する方法が開示されている。(特許文献1参照)。
【0004】
[パワーモニタ制御]
画像データの内容によって情報量が大きく異なり、また、記録紙の一頁分等、所定領域中の記録箇所に応じて記録ドット密度に分布が存在し、前記記録ヘッドが駆動にかかる必要電力量が大容量になってしまうことが問題となっていた。これを解決するために、所定単位に分割した領域のドットカウントが所定のドットカウント以上の場合にキャリッジ移動速度および分割印字回数を決定する方法が開示されている。(特許文献2参照)。
【0005】
[過昇温防止モニタ制御]
画像データの内容によって情報量が大きく異なり、また、ある特定のインクの記録ドット密度に分布が存在し、インク吐出量が増加し前記記録ヘッドの温度が昇温し、吐出インク液滴の体積が増加し、インクのリフィルが間に合わなくなり、よれやショボ等の吐出不良を発生させることが問題となっていた。これを解決するために、前記記録ヘッドの温度に対応する閾値とドットカウントを比較し、駆動周波数とキャリッジ移動速度を決定する方法が開示されている。(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−248798号公報
【特許文献2】特開2005−224955号公報
【特許文献3】特開2005−246641号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献は、ドットカウント情報を基にそれぞれの問題を解決するためのモニタ制御であり、それぞれのモニタは、周波数、キャリッジ移動速度、キャリッジの走査方向及び分割印字数の何れかを決定することで問題を解決している。しかしながら、これらのモニタ制御がそれぞれに動作する場合、画像データによっては、予想外の画像品位の低下やスループットの低下を招いてしまう。このため、画像品位を保つことと、スループットを最小限に抑えることは困難であった。
【0008】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、それぞれのモニタ制御によって決定された、周波数、キャリッジ移動速度、キャリッジ走査方向及び分割印字数によるスループットの低下を最小限に抑えることができる画像形成装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1にパワーモニタ制御にて、分割印字を行うか否か、分割印字を行う場合の分割印字数及びキャリッジ移動速度を決定する。前記決定手段により分割印字と判定された場合、1度のスキャンで印字する印字範囲を分割印字数により設定する。色むらモニタ制御と過昇温防止モニタ制御は、ドットカウントを判定するための印字領域を前記設定手段により設定された範囲に変更する。第2に、色むらモニタ制御は、前記印字領域から片方向印字に変更するか否か決定する。前記決定手段により片方向印字をすると判定された場合、過昇温防止モニタ制御の判定要素である記録ヘッドの温度あたりのドットカウント閾値を変更する。過昇温防止モニタ制御は、変更された印字領域の範囲のドットカウントと温度あたりのドットカウント閾値とを比較し、キャリッジ移動速度を減速するか否か決定する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、それぞれのモニタ制御による画像品位の低下を抑え、スループットの低下を最小限に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】インクジェットプリンタの概略図
【図2】画像形成装置のブロック図
【図3】色むらモニタ制御の処理の一例を示したフローチャート(境界部)
【図4】色むらモニタ制御の処理の一例を示したフローチャート(中央部)
【図5】デューティを算出するためのウィンドウ説明図
【図6】パワーモニタ制御の処理の一例を示したフローチャート
【図7】印字方法におけるキャリッジ速度の減速の有無と分割印字をする場合の分割数を示した表
【図8】過昇温防止モニタ制御の処理の一例を示したフローチャート
【図9】実施形態を説明するための印字イメージ図1
【図10】実施形態を説明するための印字イメージ図2
【図11】実施形態を説明するための印字イメージ図3
【図12】実施形態の処理の一例を示したフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0013】
図1は本実施形態を実施したインクジェット記録装置の外観を示す図である。記録ヘッド12を搭載するキャリッジ11と、キャリッジの位置を光学式に読みとる光学位置センサ13と、記録ヘッド12の回復処理を行うための回復手段14などを有する。また、記録ヘッド12は、記録ヘッド12の温度を検出するための温度センサを備えている。このような構成を有するインクジェット記録装置は、キャリッジ11をシリアルスキャンさせ、インクジェットヘッドの吐出口(ノズル数)に対応した幅の印字を行う一方、非プリント時に被記録媒体を所定量、間欠的に搬送する。
【0014】
さらに回復手段14において、141は吸引および放置キャップ、142は吐出回復時の吐出した処理液を受ける吐出受け、143は吐出回復時の吐出したインクを受ける吐出受けである。144はフェイス面をワイピングするワイパーブレードであり、矢印の方向に移動しながらフェイス面をワイピングする。
【0015】
図2は本実施形態を実施したインクジェット記録装置の構成を表すブロック図である。
【0016】
図中201はモータドライバであり、シリアル記録装置の印字動作を行うためのキャリッジモータ(記録ヘッドを動作させる)、紙送りモータ(被記録媒体を動かし、給排紙を行う)、回復モータ(印字ヘッドの回復動作を行う)等のモータ類を制御するための制御回路である。
【0017】
12.記録ヘッドは、被記録媒体上に画像を印字する機能を持つ。交換式ヘッドの場合、記録ヘッドごとに固有のIDを持ち、ヘッドが交換されたかどうかはこのIDを比較することで判別できる。
【0018】
202.RAM(Random Access Memory)は、電力が供給されている間のみ情報を保持できる記憶装置であり、電力の供給が断たれると保持している情報は消滅してしまう。
【0019】
203.ROM(Read Only Memory)は、読み出しのみ可能な記録装置で、インクジェット記録装置の制御プログラムを記録してあり、これをCPUで参照して制御動作を行う。
【0020】
204.CPUはROMより制御プログラムを読み出し、プログラムに従って各制御装置の制御を実行する。
【0021】
205.インターフェースは、インクジェット記録装置と107.ホストコンピュータを接続し、ホストコンピュータより印字データを受信したり、ホストコンピュータへステータスを送信したりする機能を持つ。
【0022】
207.不揮発メモリは各種情報を保持記録している記録装置であり、電力の供給が断たれても記録した情報を保持し続けることが可能である。
【0023】
208.操作部は、ユーザーからのキー操作を受け付けるキーと、ユーザーへエラーなどを通知するための表示装置などからなる。
【0024】
209.ドットカウント部は、実際に印字ヘッドから吐出されるインク滴の数を測定する機能を持つ回路である。
【0025】
210.パワーモニタ制御部は、ドットカウント部209によって、計算された一走査中に印字するブロックを副走査方向に複数に分割し、一走査で駆動するヘッド記録素子の駆動回数を計算する。そして、あらかじめ決められた閾値よりも大である場合には、キャリッジ移動速度の減速、2分割印字、さらには4分割印字を行うことにより1回の走査によるヘッド記録素子の駆動回数を抑える。
【0026】
211.色むらモニタ制御部は、ドットカウント部209によって、計算された一走査中に印字する範囲を捜査方向と副走査方向に複数に分割し、分割した範囲のそれぞれのドットカウント値を算出する。そして、ドットカウント情報を基にあらかじめ決められた閾値よりも大きい範囲が印字境界部もしくは、中央部で所定の回数が連続した場合に、片方向で印字を行ことにより色むらを抑える。
【0027】
212.過昇温防止モニタ制御部は、ドットカウント部209によって、計算された一走査中に印字する範囲を捜査方向と副走査方向に複数に分割し、分割した範囲のそれぞれのドットカウント値を算出する。そして、記録ヘッド12の温度に対応するあらかじめ決められた閾値をよりも大きい場合、駆動周波数とキャリッジ移動速度を変更し、温度上昇を抑える。
【0028】
213.印字方法制御部は、1スキャン分のデータが印字バッファ上に貯まるまで待ち、パワーモニタ210、色むらモニタ制御部211及び過昇温防止モニタ制御212に処理を依頼する。そして、パワーモニタ制御部210によって決定されたキャリッジ移動速度と分割印字数、色むらモニタ制御部211によって決定された印字方向及び過昇温防止モニタ制御212によって決定された駆動周波数とキャリッジ移動速度から最適な印字方法を決定する。
【0029】
色むらモニタ制御部211の制御についてフローチャートを用い説明する。図3及び図4は、色むらモニタをフローチャートに表したものである。以下、図3及び図4のフローチャートを参照して本実施形態による片方向印字、往復印字の指定制御について説明する。
【0030】
まずステップ301では初期化として、判定カウントを0とし、これから印字をする画像データの上方の境界領域(図5では、領域E')のモニタを開始する。続いてステップS302では、ウィンドウCの領域毎にシアン、マゼンタ、イエローのドットカウントを行う。このドットカウントからデューティー(インクの付与量)を求める。100%のディーティは、1/1200inch平方の被記録媒体上に約4.5plのインク滴を1度付与する、つまりある指定領域のそれぞれの1/1200inch平方全てに約4.5plのインク滴を1度付与することである。ステップS303では、算出したデューティを用いて残余デューティDrを計算する。残余デューティとは、2色以上のインクの混ざり具合を指すものであり、具体的には、各色ごとのデューティの総和(total)とデューティの最大値(Max)との差の計算を行う。
【0031】
続いてステップS304では、ステップS303で求められた残余デューティDrに対して判定を行う。ここでは境界領域のモニタリングをしているため低めの閾値である30%が用いられ、残余デューティDrが閾値30%以上か否かを判断する。残余デューティDrが30%未満の場合はステップS308で判定カウントを0にもどしステップS309に進む。一方、残余デューティが30%以上の時には、ステップS305に進み、判定カウントに1を加える。ステップS306では連続して3回以上残余デューティが30%以上となったかどうかを判断するために、判定カウントが3以上であるかを判断する。
【0032】
そして、判定カウントが3以上の場合はその時点で境界部に連続して残余デューティDrの高い領域が存在すると判断されたため、モニタリングを停止して指定方向印字(片方向印字)を行う。判定カウントが2以下であった場合は、ステップS309へ進む。ステップS309では、判定用のウィンドウCが画像右端に来ていないかを判断する。右端まで来ていない場合はステップS310へ進み、ウィンドウCを右へ1ブロック分移動させ、再びステップS302に戻ってモニタリングを継続する。こうして、ウィンドウCが右端まで来た場合には、上方境界領域が終了したため、次の領域へウィンドウCを移動するためにステップS311へ進む。
【0033】
以上のような処理を繰り返すことにより、これから印字を行う画像上方の境界領域E'のモニタリングをすべて行うことができる。そして、画像上方の境界領域に残余デューティの高いエリアが連続して存在しなかった場合には、処理はステップS309からステップS311へ進み、次の領域のモニタリングに移動する。上の境界領域E'がモニタリングされていた場合は、次の領域として、画像下方の境界領域Eの残余デューティを同様の作業によってモニタリングしていく。すなわちステップS311からステップS312に進み、ウィンドウCを下側境界Eの右端部に配置し、判定カウントを0に初期化してステップS302に処理を戻す。下方の境界領域においても残余デューティの高いエリアが連続して存在しなかった場合には、ステップS311からステップS313に進み、画像の中央部における残余デューティを同様な計算によってモニタリングすることになる。
【0034】
図4はその動作をフローチャートにしたものである。ステップS401〜S410の処理は、ステップS401〜S410の処理と同様である。但し、中央部に於いては次回印字領域や前回印字領域と接することはないため、ステップS404において高い閾値(100%)を用いる。そして、ウィンドウCが右端部に到達した場合は、ステップS411からステップS412に進み、1段下の断の右端部にウィンドウCを移動し、判定カウントを0に初期化して、処理をステップS402に戻す。こうして、中央部の領域すべてに関してモニタリングを行って、残余デューティの高い領域が連続して存在しないと判断された場合には、ステップS413へ進み、方向指定を行わない、つまり双方向印字を行うべく決定する。
【0035】
なお、双方向印字を行なうべく決定された場合は、例えば、直前の走査方向と逆方向への走査を行なうように制御すればよい。但し、必ず著前の走査方向と逆方向へ記録操作を行うようにすると、前の走査領域で左半分に画像があり、次の走査領域に右半分だけの画像がある場合でも、各走査ごとに全走査領域に渡って記録ヘッドを移動させる必要があるので、次のような制御を行なってもよい。すなわち、指定方向印字を行なわないと決定された場合に、時間的に最短となる走査手順を選択するめに、前の走査領域の左半分だけに画像があってそれを左側から記録走査した場合で、次の走査領域の右半分だけの画像があるような場合は、左半分の記録走査の終了位置で記録ヘッドを停止し、記録紙を搬送した後、そのまま左から右に、すなわち走査方向を保ったまま2回印字をする。
【0036】
210.パワーモニタ部の制御についてについてフローチャートを用い説明する。
【0037】
図6は、パワーモニタをフローチャートに表したものである。まず、ステップS601で、ドットカウント値の判定を開始する。ステップS602でドットカウントが所定の閾値以上である領域が存在した場合、ステップS604に進み、1スキャン分の判定処理を途中で中断し、図7のドットカウント閾値と印字方法の関連表に基づき、印字方法を決定する。ステップS603においては、閾値以上のモニタ領域が無く1スキャン分のモニタ領域の判定が終了した場合も、ステップS604により印字方法は決定される。ステップS605により、ステップS604で決定された印字方法がキャリッジ速度を落とす必要があるかを判定され、必要がある場合には、ステップS606により速度設定の変更を行われ、無い場合は、ステップS607により、速度設定の変更は行わず、決定された印字方法が分割印字する必要があるかを判定する。分割の必要が無い場合は、ステップS608に進み、通常どおりに、1スキャン印字を行う。
【0038】
ステップS607の判定において、2分割印字である場合には、ステップS609先打ち側の上半分の印字を先に行った後、ステップS610後打ち側の下半分の印字を行う。ステップS607の判定において、4分割印字が必要であると判定された場合は、上側の印字(1/4および2/4)を行ったあと(ステップS611、ステップS612)、下側の印字(3/4、4/4)を行う(ステップS613、ステップS614)。
【0039】
212.過昇温防止モニタ部の制御についてフローチャートを用い説明する。
【0040】
図8は、過昇温防止モニタの各ブロックにおいて実行される処理を図8は、過昇温防止モニタをフローチャートに表したものである。まず、ステップS801において、記録ヘッドで記録する1スキャンに対応する領域を所定のモニタサイズ単位で区画することで得られる分割領域毎にドットカウントが行われる。このドットカウントは各色独立に行われる。なお、この分割領域はドットカウントを行う単位である。
【0041】
次にステップS802において、カウントされたドットカウントは、1バンド内の分割領域それぞれでカウントされたドットカウントの内、最大ドットカウントに対応した値が各色それぞれで算出される。ステップS803では、各色記録ヘッドのヘッド温度が取得され、ステップS804は、取得されたヘッド温度の情報を基に各色のヘッド温度から各色の閾値ドットカウントを算出する。さらに、ステップS805では、各色それぞれに対応した最大ドットカウントと各色それぞれに対応した閾値ドットカウントとが比較され、いずれか1色でも最大ドットカウントが閾値ドットカウントを越えているか否かが判定される。閾値ドットカウントを越えている場合には、ステップS807に進み、駆動周波数及びキャリッジ速度を低下させる。
【0042】
一方、閾値ドットカウントを超えていない場合には、ステップS806に進み、予め定められた駆動周波数及びキャリッジ速度を維持する。次にステップS808に進み、決定された駆動周波数及びキャリッジ速度により、記録が行われる。
【0043】
213.印字方法制御部の制御について図とフローチャートを用いて説明する。
【0044】
図9は、画像データが被記録媒体に印字されたイメージであり、本画像データは、1スキャン目のドットカウントが高く1スキャン目を1度のスキャンで印字すると電力容量のオーバと温度上昇による吐出不良が起こるが、1スキャン目と2スキャン目を往復印字で印字を行っても色むらは発生しない。しかし、F、G、Hでは、中央部での色むらは発生しないが、境界部になった場合に色むらが発生する。本画像データを互いのモニタを考慮せずに、それぞれのモニタ(パワーモニタ210、色むらモニタ211及び過昇温防止モニタ212)で処理した場合に印字されたイメージ図10について説明する。パワーモニタ210の処理フローに図6により4分割印字でキャリッジスピード減速なしと処理される。このため、1スキャン目は、1−1スキャン、1−2スキャン、1−3スキャン及び1−4スキャンの4回のスキャンにより印字される。
【0045】
次に、色むらモニタ211の処理が行われる。色むらモニタでは、1スキャン目を一度のスキャンで処理すると判断するため、1−1スキャン、1−2スキャン、1−3スキャン及び1−4スキャンに対し、同じ印字領域での判定処理が行われる。本画像データは、図3、4の処理により、1スキャン目と2スキャン目で色むらが発生しないと判断され、1−1スキャン、1−2スキャン、1−3スキャン及び1−4スキャンの全てのスキャンで往復印字となる。これにより、F、G、Hで往復印字による色むらが発生する。次に、過昇温防止モニタ212の処理が行われる。1−1スキャン、1−2スキャン、1−3スキャン及び1−4スキャンに対し、同じ印字領域での判定処理が行われる。本画像データは、図6の処理によりキャリッジスピード減速が指示される。しかし、実際に記録ヘッドの温度が閾値を起こるのは、1−2スキャンのみであり、1−1スキャン、1−3スキャン及び1−4スキャンでのキャリッジ速度の減速によりスループットが低下してしまう。
【0046】
次に、それぞれのモニタを考慮した印字方法制御部213についてについてフローチャートを用い説明する。図12は、印字方法制御部213モニタをフローチャートに表したものである。まず、ステップS1201においてパワーモニタ210に処理を依頼する。パワーモニタは、図6の処理を行い、印字方法(分割印字、キャリッジスピードの減速)を決定する。次にステップS1202に進み、2分割又は4分割と判定された場合、ステップ1203に進み、スキャン回数を2もしくは4に設定し直す。分割印字しないと判定された場合は、スキャン回数を1から変更せず、ステップS1204に進む。ステップS1204は、分割印字数とスキャン数から次スキャンで印字される範囲を決定する。印字範囲は、図13に示すように、分割数2の場合は、1−1スキャン目と1−2スキャン目が1回のスキャンで行われる印字範囲となる。分割数4の場合は、1−1スキャン目が1回のスキャンで行われる印字範囲となる。分割されない場合は、スキャン範囲は変更されず1−1スキャン目、1−2スキャン目、1−3スキャン目及び1−4スキャン目が印字範囲となる。
【0047】
次にステップS1205において、色むらモニタ211に処理を依頼する。色むらモニタは、ステップ1204で決定された印字範囲を基に、図3、4の処理を行い、スキャン方向を決定する。次にステップS1206に進み、片方向印字と判定された場合は、ステップS1207に進む。ステップS1207では、過昇温防止モニタ211用の温度による閾値を変更する。前記閾値は、キャリッジの戻る距離から決定される。ステップS1206において、往復印字と判定された場合は、過昇温防止モニタ211用の温度による閾値を変更せず、ステップS1208に進む。ステップS1208において、過昇温防止モニタ212に処理を依頼する。色むらモニタは、ステップ1207によって決定された前記閾値を基にキャリッジ速度を決定する。
【0048】
次にステップ1209に進み、前記処理により決定された、分割印字数、印字方向及びキャリッジ速度を設定し印字を行う。ステップS1210に進み、スキャン回数が到達していない場合は、ステップ1204からステップS1209までの処理を繰り返す。スキャン回数が到達した場合は、終了し、2スキャン目の処理に移行する。
【符号の説明】
【0049】
11 キャリッジ
12 記録ヘッド
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録手段を走査しながら被記録媒体にインク等の記録液体を吐出して画像を形成する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写装置や、ワードプロセッサ、コンピュータ等の情報処理機器、さらには通信機器の普及に伴い、それらの機器で処理される文字、画像等の情報を出力するための画像形成(記録)装置の一つとして、インクジェット方式によりデジタル画像記録を行うものが普及している。このようなインクジェット記録装置では、記録ヘッドの特性により様々な問題があり、これらを解決するために様々なモニタ制御が行われている。前記記録ヘッドの諸問題とこれを解決するための方法には、以下のようなモニタ制御が開示されている。
【0003】
[色むらモニタ制御]
前記記録ヘッドは、複数色のインクが用いられ、インクを吐出するノズル列が副走査方向に直線上に配置されおり、往復記録を行うことで生じる吐出色順の違いによる色むら、および単方向記録しか行わないことによる記録速度の低下が問題となっていた。これを解決するために、画像データのそれぞれのインクの混合状態を定量化し、前記情報を基にキャリッジの移動方向を決定する方法が開示されている。(特許文献1参照)。
【0004】
[パワーモニタ制御]
画像データの内容によって情報量が大きく異なり、また、記録紙の一頁分等、所定領域中の記録箇所に応じて記録ドット密度に分布が存在し、前記記録ヘッドが駆動にかかる必要電力量が大容量になってしまうことが問題となっていた。これを解決するために、所定単位に分割した領域のドットカウントが所定のドットカウント以上の場合にキャリッジ移動速度および分割印字回数を決定する方法が開示されている。(特許文献2参照)。
【0005】
[過昇温防止モニタ制御]
画像データの内容によって情報量が大きく異なり、また、ある特定のインクの記録ドット密度に分布が存在し、インク吐出量が増加し前記記録ヘッドの温度が昇温し、吐出インク液滴の体積が増加し、インクのリフィルが間に合わなくなり、よれやショボ等の吐出不良を発生させることが問題となっていた。これを解決するために、前記記録ヘッドの温度に対応する閾値とドットカウントを比較し、駆動周波数とキャリッジ移動速度を決定する方法が開示されている。(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−248798号公報
【特許文献2】特開2005−224955号公報
【特許文献3】特開2005−246641号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献は、ドットカウント情報を基にそれぞれの問題を解決するためのモニタ制御であり、それぞれのモニタは、周波数、キャリッジ移動速度、キャリッジの走査方向及び分割印字数の何れかを決定することで問題を解決している。しかしながら、これらのモニタ制御がそれぞれに動作する場合、画像データによっては、予想外の画像品位の低下やスループットの低下を招いてしまう。このため、画像品位を保つことと、スループットを最小限に抑えることは困難であった。
【0008】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、それぞれのモニタ制御によって決定された、周波数、キャリッジ移動速度、キャリッジ走査方向及び分割印字数によるスループットの低下を最小限に抑えることができる画像形成装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1にパワーモニタ制御にて、分割印字を行うか否か、分割印字を行う場合の分割印字数及びキャリッジ移動速度を決定する。前記決定手段により分割印字と判定された場合、1度のスキャンで印字する印字範囲を分割印字数により設定する。色むらモニタ制御と過昇温防止モニタ制御は、ドットカウントを判定するための印字領域を前記設定手段により設定された範囲に変更する。第2に、色むらモニタ制御は、前記印字領域から片方向印字に変更するか否か決定する。前記決定手段により片方向印字をすると判定された場合、過昇温防止モニタ制御の判定要素である記録ヘッドの温度あたりのドットカウント閾値を変更する。過昇温防止モニタ制御は、変更された印字領域の範囲のドットカウントと温度あたりのドットカウント閾値とを比較し、キャリッジ移動速度を減速するか否か決定する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、それぞれのモニタ制御による画像品位の低下を抑え、スループットの低下を最小限に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】インクジェットプリンタの概略図
【図2】画像形成装置のブロック図
【図3】色むらモニタ制御の処理の一例を示したフローチャート(境界部)
【図4】色むらモニタ制御の処理の一例を示したフローチャート(中央部)
【図5】デューティを算出するためのウィンドウ説明図
【図6】パワーモニタ制御の処理の一例を示したフローチャート
【図7】印字方法におけるキャリッジ速度の減速の有無と分割印字をする場合の分割数を示した表
【図8】過昇温防止モニタ制御の処理の一例を示したフローチャート
【図9】実施形態を説明するための印字イメージ図1
【図10】実施形態を説明するための印字イメージ図2
【図11】実施形態を説明するための印字イメージ図3
【図12】実施形態の処理の一例を示したフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0013】
図1は本実施形態を実施したインクジェット記録装置の外観を示す図である。記録ヘッド12を搭載するキャリッジ11と、キャリッジの位置を光学式に読みとる光学位置センサ13と、記録ヘッド12の回復処理を行うための回復手段14などを有する。また、記録ヘッド12は、記録ヘッド12の温度を検出するための温度センサを備えている。このような構成を有するインクジェット記録装置は、キャリッジ11をシリアルスキャンさせ、インクジェットヘッドの吐出口(ノズル数)に対応した幅の印字を行う一方、非プリント時に被記録媒体を所定量、間欠的に搬送する。
【0014】
さらに回復手段14において、141は吸引および放置キャップ、142は吐出回復時の吐出した処理液を受ける吐出受け、143は吐出回復時の吐出したインクを受ける吐出受けである。144はフェイス面をワイピングするワイパーブレードであり、矢印の方向に移動しながらフェイス面をワイピングする。
【0015】
図2は本実施形態を実施したインクジェット記録装置の構成を表すブロック図である。
【0016】
図中201はモータドライバであり、シリアル記録装置の印字動作を行うためのキャリッジモータ(記録ヘッドを動作させる)、紙送りモータ(被記録媒体を動かし、給排紙を行う)、回復モータ(印字ヘッドの回復動作を行う)等のモータ類を制御するための制御回路である。
【0017】
12.記録ヘッドは、被記録媒体上に画像を印字する機能を持つ。交換式ヘッドの場合、記録ヘッドごとに固有のIDを持ち、ヘッドが交換されたかどうかはこのIDを比較することで判別できる。
【0018】
202.RAM(Random Access Memory)は、電力が供給されている間のみ情報を保持できる記憶装置であり、電力の供給が断たれると保持している情報は消滅してしまう。
【0019】
203.ROM(Read Only Memory)は、読み出しのみ可能な記録装置で、インクジェット記録装置の制御プログラムを記録してあり、これをCPUで参照して制御動作を行う。
【0020】
204.CPUはROMより制御プログラムを読み出し、プログラムに従って各制御装置の制御を実行する。
【0021】
205.インターフェースは、インクジェット記録装置と107.ホストコンピュータを接続し、ホストコンピュータより印字データを受信したり、ホストコンピュータへステータスを送信したりする機能を持つ。
【0022】
207.不揮発メモリは各種情報を保持記録している記録装置であり、電力の供給が断たれても記録した情報を保持し続けることが可能である。
【0023】
208.操作部は、ユーザーからのキー操作を受け付けるキーと、ユーザーへエラーなどを通知するための表示装置などからなる。
【0024】
209.ドットカウント部は、実際に印字ヘッドから吐出されるインク滴の数を測定する機能を持つ回路である。
【0025】
210.パワーモニタ制御部は、ドットカウント部209によって、計算された一走査中に印字するブロックを副走査方向に複数に分割し、一走査で駆動するヘッド記録素子の駆動回数を計算する。そして、あらかじめ決められた閾値よりも大である場合には、キャリッジ移動速度の減速、2分割印字、さらには4分割印字を行うことにより1回の走査によるヘッド記録素子の駆動回数を抑える。
【0026】
211.色むらモニタ制御部は、ドットカウント部209によって、計算された一走査中に印字する範囲を捜査方向と副走査方向に複数に分割し、分割した範囲のそれぞれのドットカウント値を算出する。そして、ドットカウント情報を基にあらかじめ決められた閾値よりも大きい範囲が印字境界部もしくは、中央部で所定の回数が連続した場合に、片方向で印字を行ことにより色むらを抑える。
【0027】
212.過昇温防止モニタ制御部は、ドットカウント部209によって、計算された一走査中に印字する範囲を捜査方向と副走査方向に複数に分割し、分割した範囲のそれぞれのドットカウント値を算出する。そして、記録ヘッド12の温度に対応するあらかじめ決められた閾値をよりも大きい場合、駆動周波数とキャリッジ移動速度を変更し、温度上昇を抑える。
【0028】
213.印字方法制御部は、1スキャン分のデータが印字バッファ上に貯まるまで待ち、パワーモニタ210、色むらモニタ制御部211及び過昇温防止モニタ制御212に処理を依頼する。そして、パワーモニタ制御部210によって決定されたキャリッジ移動速度と分割印字数、色むらモニタ制御部211によって決定された印字方向及び過昇温防止モニタ制御212によって決定された駆動周波数とキャリッジ移動速度から最適な印字方法を決定する。
【0029】
色むらモニタ制御部211の制御についてフローチャートを用い説明する。図3及び図4は、色むらモニタをフローチャートに表したものである。以下、図3及び図4のフローチャートを参照して本実施形態による片方向印字、往復印字の指定制御について説明する。
【0030】
まずステップ301では初期化として、判定カウントを0とし、これから印字をする画像データの上方の境界領域(図5では、領域E')のモニタを開始する。続いてステップS302では、ウィンドウCの領域毎にシアン、マゼンタ、イエローのドットカウントを行う。このドットカウントからデューティー(インクの付与量)を求める。100%のディーティは、1/1200inch平方の被記録媒体上に約4.5plのインク滴を1度付与する、つまりある指定領域のそれぞれの1/1200inch平方全てに約4.5plのインク滴を1度付与することである。ステップS303では、算出したデューティを用いて残余デューティDrを計算する。残余デューティとは、2色以上のインクの混ざり具合を指すものであり、具体的には、各色ごとのデューティの総和(total)とデューティの最大値(Max)との差の計算を行う。
【0031】
続いてステップS304では、ステップS303で求められた残余デューティDrに対して判定を行う。ここでは境界領域のモニタリングをしているため低めの閾値である30%が用いられ、残余デューティDrが閾値30%以上か否かを判断する。残余デューティDrが30%未満の場合はステップS308で判定カウントを0にもどしステップS309に進む。一方、残余デューティが30%以上の時には、ステップS305に進み、判定カウントに1を加える。ステップS306では連続して3回以上残余デューティが30%以上となったかどうかを判断するために、判定カウントが3以上であるかを判断する。
【0032】
そして、判定カウントが3以上の場合はその時点で境界部に連続して残余デューティDrの高い領域が存在すると判断されたため、モニタリングを停止して指定方向印字(片方向印字)を行う。判定カウントが2以下であった場合は、ステップS309へ進む。ステップS309では、判定用のウィンドウCが画像右端に来ていないかを判断する。右端まで来ていない場合はステップS310へ進み、ウィンドウCを右へ1ブロック分移動させ、再びステップS302に戻ってモニタリングを継続する。こうして、ウィンドウCが右端まで来た場合には、上方境界領域が終了したため、次の領域へウィンドウCを移動するためにステップS311へ進む。
【0033】
以上のような処理を繰り返すことにより、これから印字を行う画像上方の境界領域E'のモニタリングをすべて行うことができる。そして、画像上方の境界領域に残余デューティの高いエリアが連続して存在しなかった場合には、処理はステップS309からステップS311へ進み、次の領域のモニタリングに移動する。上の境界領域E'がモニタリングされていた場合は、次の領域として、画像下方の境界領域Eの残余デューティを同様の作業によってモニタリングしていく。すなわちステップS311からステップS312に進み、ウィンドウCを下側境界Eの右端部に配置し、判定カウントを0に初期化してステップS302に処理を戻す。下方の境界領域においても残余デューティの高いエリアが連続して存在しなかった場合には、ステップS311からステップS313に進み、画像の中央部における残余デューティを同様な計算によってモニタリングすることになる。
【0034】
図4はその動作をフローチャートにしたものである。ステップS401〜S410の処理は、ステップS401〜S410の処理と同様である。但し、中央部に於いては次回印字領域や前回印字領域と接することはないため、ステップS404において高い閾値(100%)を用いる。そして、ウィンドウCが右端部に到達した場合は、ステップS411からステップS412に進み、1段下の断の右端部にウィンドウCを移動し、判定カウントを0に初期化して、処理をステップS402に戻す。こうして、中央部の領域すべてに関してモニタリングを行って、残余デューティの高い領域が連続して存在しないと判断された場合には、ステップS413へ進み、方向指定を行わない、つまり双方向印字を行うべく決定する。
【0035】
なお、双方向印字を行なうべく決定された場合は、例えば、直前の走査方向と逆方向への走査を行なうように制御すればよい。但し、必ず著前の走査方向と逆方向へ記録操作を行うようにすると、前の走査領域で左半分に画像があり、次の走査領域に右半分だけの画像がある場合でも、各走査ごとに全走査領域に渡って記録ヘッドを移動させる必要があるので、次のような制御を行なってもよい。すなわち、指定方向印字を行なわないと決定された場合に、時間的に最短となる走査手順を選択するめに、前の走査領域の左半分だけに画像があってそれを左側から記録走査した場合で、次の走査領域の右半分だけの画像があるような場合は、左半分の記録走査の終了位置で記録ヘッドを停止し、記録紙を搬送した後、そのまま左から右に、すなわち走査方向を保ったまま2回印字をする。
【0036】
210.パワーモニタ部の制御についてについてフローチャートを用い説明する。
【0037】
図6は、パワーモニタをフローチャートに表したものである。まず、ステップS601で、ドットカウント値の判定を開始する。ステップS602でドットカウントが所定の閾値以上である領域が存在した場合、ステップS604に進み、1スキャン分の判定処理を途中で中断し、図7のドットカウント閾値と印字方法の関連表に基づき、印字方法を決定する。ステップS603においては、閾値以上のモニタ領域が無く1スキャン分のモニタ領域の判定が終了した場合も、ステップS604により印字方法は決定される。ステップS605により、ステップS604で決定された印字方法がキャリッジ速度を落とす必要があるかを判定され、必要がある場合には、ステップS606により速度設定の変更を行われ、無い場合は、ステップS607により、速度設定の変更は行わず、決定された印字方法が分割印字する必要があるかを判定する。分割の必要が無い場合は、ステップS608に進み、通常どおりに、1スキャン印字を行う。
【0038】
ステップS607の判定において、2分割印字である場合には、ステップS609先打ち側の上半分の印字を先に行った後、ステップS610後打ち側の下半分の印字を行う。ステップS607の判定において、4分割印字が必要であると判定された場合は、上側の印字(1/4および2/4)を行ったあと(ステップS611、ステップS612)、下側の印字(3/4、4/4)を行う(ステップS613、ステップS614)。
【0039】
212.過昇温防止モニタ部の制御についてフローチャートを用い説明する。
【0040】
図8は、過昇温防止モニタの各ブロックにおいて実行される処理を図8は、過昇温防止モニタをフローチャートに表したものである。まず、ステップS801において、記録ヘッドで記録する1スキャンに対応する領域を所定のモニタサイズ単位で区画することで得られる分割領域毎にドットカウントが行われる。このドットカウントは各色独立に行われる。なお、この分割領域はドットカウントを行う単位である。
【0041】
次にステップS802において、カウントされたドットカウントは、1バンド内の分割領域それぞれでカウントされたドットカウントの内、最大ドットカウントに対応した値が各色それぞれで算出される。ステップS803では、各色記録ヘッドのヘッド温度が取得され、ステップS804は、取得されたヘッド温度の情報を基に各色のヘッド温度から各色の閾値ドットカウントを算出する。さらに、ステップS805では、各色それぞれに対応した最大ドットカウントと各色それぞれに対応した閾値ドットカウントとが比較され、いずれか1色でも最大ドットカウントが閾値ドットカウントを越えているか否かが判定される。閾値ドットカウントを越えている場合には、ステップS807に進み、駆動周波数及びキャリッジ速度を低下させる。
【0042】
一方、閾値ドットカウントを超えていない場合には、ステップS806に進み、予め定められた駆動周波数及びキャリッジ速度を維持する。次にステップS808に進み、決定された駆動周波数及びキャリッジ速度により、記録が行われる。
【0043】
213.印字方法制御部の制御について図とフローチャートを用いて説明する。
【0044】
図9は、画像データが被記録媒体に印字されたイメージであり、本画像データは、1スキャン目のドットカウントが高く1スキャン目を1度のスキャンで印字すると電力容量のオーバと温度上昇による吐出不良が起こるが、1スキャン目と2スキャン目を往復印字で印字を行っても色むらは発生しない。しかし、F、G、Hでは、中央部での色むらは発生しないが、境界部になった場合に色むらが発生する。本画像データを互いのモニタを考慮せずに、それぞれのモニタ(パワーモニタ210、色むらモニタ211及び過昇温防止モニタ212)で処理した場合に印字されたイメージ図10について説明する。パワーモニタ210の処理フローに図6により4分割印字でキャリッジスピード減速なしと処理される。このため、1スキャン目は、1−1スキャン、1−2スキャン、1−3スキャン及び1−4スキャンの4回のスキャンにより印字される。
【0045】
次に、色むらモニタ211の処理が行われる。色むらモニタでは、1スキャン目を一度のスキャンで処理すると判断するため、1−1スキャン、1−2スキャン、1−3スキャン及び1−4スキャンに対し、同じ印字領域での判定処理が行われる。本画像データは、図3、4の処理により、1スキャン目と2スキャン目で色むらが発生しないと判断され、1−1スキャン、1−2スキャン、1−3スキャン及び1−4スキャンの全てのスキャンで往復印字となる。これにより、F、G、Hで往復印字による色むらが発生する。次に、過昇温防止モニタ212の処理が行われる。1−1スキャン、1−2スキャン、1−3スキャン及び1−4スキャンに対し、同じ印字領域での判定処理が行われる。本画像データは、図6の処理によりキャリッジスピード減速が指示される。しかし、実際に記録ヘッドの温度が閾値を起こるのは、1−2スキャンのみであり、1−1スキャン、1−3スキャン及び1−4スキャンでのキャリッジ速度の減速によりスループットが低下してしまう。
【0046】
次に、それぞれのモニタを考慮した印字方法制御部213についてについてフローチャートを用い説明する。図12は、印字方法制御部213モニタをフローチャートに表したものである。まず、ステップS1201においてパワーモニタ210に処理を依頼する。パワーモニタは、図6の処理を行い、印字方法(分割印字、キャリッジスピードの減速)を決定する。次にステップS1202に進み、2分割又は4分割と判定された場合、ステップ1203に進み、スキャン回数を2もしくは4に設定し直す。分割印字しないと判定された場合は、スキャン回数を1から変更せず、ステップS1204に進む。ステップS1204は、分割印字数とスキャン数から次スキャンで印字される範囲を決定する。印字範囲は、図13に示すように、分割数2の場合は、1−1スキャン目と1−2スキャン目が1回のスキャンで行われる印字範囲となる。分割数4の場合は、1−1スキャン目が1回のスキャンで行われる印字範囲となる。分割されない場合は、スキャン範囲は変更されず1−1スキャン目、1−2スキャン目、1−3スキャン目及び1−4スキャン目が印字範囲となる。
【0047】
次にステップS1205において、色むらモニタ211に処理を依頼する。色むらモニタは、ステップ1204で決定された印字範囲を基に、図3、4の処理を行い、スキャン方向を決定する。次にステップS1206に進み、片方向印字と判定された場合は、ステップS1207に進む。ステップS1207では、過昇温防止モニタ211用の温度による閾値を変更する。前記閾値は、キャリッジの戻る距離から決定される。ステップS1206において、往復印字と判定された場合は、過昇温防止モニタ211用の温度による閾値を変更せず、ステップS1208に進む。ステップS1208において、過昇温防止モニタ212に処理を依頼する。色むらモニタは、ステップ1207によって決定された前記閾値を基にキャリッジ速度を決定する。
【0048】
次にステップ1209に進み、前記処理により決定された、分割印字数、印字方向及びキャリッジ速度を設定し印字を行う。ステップS1210に進み、スキャン回数が到達していない場合は、ステップ1204からステップS1209までの処理を繰り返す。スキャン回数が到達した場合は、終了し、2スキャン目の処理に移行する。
【符号の説明】
【0049】
11 キャリッジ
12 記録ヘッド
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録ヘッドを搭載したキャリッジを走査させながら記録を行う記録装置であって、走査領域への画像の混合状態をドットカウントから定量化し、前記定量化情報に基づいて前記走査領域に対する前記キャリッジの方向を決定するキャリッジ方向決定手段と、記録ヘッドにおける記録素子の駆動回数ドットカウントから求め、走査領域における部分領域の大きさに関連させ、駆動回数が所定値より大であるか否かを判別し、分割印字の分割数を決定する分割印字決定手段と、記録ヘッドの温度を検出するヘッド温度検出手段と、走査領域を所定単位に複数に分割することで得られる分割領域毎のドットカウントと記録ヘッドの温度の情報に対応する所定値より大であるか否かを判別し、前記キャリッジの移動速度を決定するキャリッジ速度決定手段と、前記分割数決定手段によって決定した分割数を前記キャリッジ方向決定手段と前記キャリッジ速度決定手段の走査領域を変更する走査領域変更手段と、前記キャリッジ方向決定手段で決定した走査方向により前記キャリッジ速度決定手段の所定値に反映する手段と、前記決定手段から印字方法を決定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
記録ヘッドを搭載したキャリッジを走査させながら記録を行う記録装置であって、走査領域への画像の混合状態をドットカウントから定量化し、前記定量化情報に基づいて前記走査領域に対する前記キャリッジの方向を決定するキャリッジ方向決定手段と、記録ヘッドにおける記録素子の駆動回数ドットカウントから求め、走査領域における部分領域の大きさに関連させ、駆動回数が所定値より大であるか否かを判別し、分割印字の分割数を決定する分割印字決定手段と、記録ヘッドの温度を検出するヘッド温度検出手段と、走査領域を所定単位に複数に分割することで得られる分割領域毎のドットカウントと記録ヘッドの温度の情報に対応する所定値より大であるか否かを判別し、前記キャリッジの移動速度を決定するキャリッジ速度決定手段と、前記分割数決定手段によって決定した分割数を前記キャリッジ方向決定手段と前記キャリッジ速度決定手段の走査領域を変更する走査領域変更手段と、前記キャリッジ方向決定手段で決定した走査方向により前記キャリッジ速度決定手段の所定値に反映する手段と、前記決定手段から印字方法を決定することを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−35254(P2013−35254A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−175514(P2011−175514)
【出願日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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