説明

画像形成装置

【課題】トナーパッチの検知処理の処理効率の向上、必要とする記憶容量の削減、およびトナー濃度調整時間の削減を達成する。
【解決手段】トナーパッチ作成手段と、トナーパッチの濃度を検知するための検知手段と、検知手段の検知結果に応じてトナー濃度調整を実施するトナー濃度調整手段とを備え、トナーパッチ間の地肌部分を含めた全トナーパッチの範囲を一つの範囲として略連続的に検知し、トナー及びトナーパッチからの反射光の特性とパッチレイアウトとから、各トナーパッチの濃度分布を予め推測した上で、トナーパッチ濃度を算出するとともに、先端のトナーパッチの外側と後端のトナーパッチの外側の余分に測定する地肌部分のサンプリング数を推測し、推測したサンプリング数と実際の検出結果とから検知範囲のずれ量を算出し、検知範囲のずれ量に応じて、検知範囲を減らす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を用いた複写機、レーザビームプリンタ等の画像形成装置では、常に安定した画像濃度が得られるようにするために、感光体及び中間転写ベルト等の像担持体上に濃度検知用トナーパッチ(以下、濃度パターン又は濃度検知用パターンともいう)を作成し、そのパッチ濃度を光学的検知手段により検知し、その検知結果に基づいて現像ポテンシャルを変更(具体的には、LDパワー、帯電バイアス、現像バイアスの変更)をする技術が確立されている。
【0003】
トナーパッチ濃度の光学的検知手段としては、発光素子(発光手段)としてLEDを、受光素子(受光手段)としてPD(フォトダイオード)又はPTr(フォトトランジスタ)を組み合わせた反射型センサが一般的に用いられる。このセンサを用いたトナーパッチ濃度検知方法としては、像胆持体にトナーパッチを作成し始めたタイミングなど任意のトリガタイミングを基準にし、装置のメカレイアウトを元に、トナーパッチがセンサに到達する時間及びパッチがセンサ上を通過し終わる時間を算出し、そのタイミングに合わせて検知を行う方法が知られている。
【0004】
トナー濃度調整の技術においては、近年の画像形成装置の高速化や省エネ需要の高まり等により、高速線速での実現、省時間、省トナーでの実現が求められているが、今までの技術では(1)高速線速への対応、(2)トナー消費削減及びトナー濃度調整時間短縮のため、より短いトナーパッチの作成、(3)感光体や中間転写ベルトの経時劣化や周辺環境の変化による特性の変化、といった要因により、感光体ドラム軸のぶれ、中間転写ベルトの伸縮、ソフトウェア処理時間誤差等が大きくなった場合に、検知範囲がトナーパッチから大きく前後にずれてしまい、トナーパッチ濃度を正確に表すことができず、結果として濃度調整ができないもしくは調整精度が落ちてしまうという問題があった。
【0005】
このような問題があることから、例えば特許文献1では、トナー濃度調整のために発生するダウンタイムの低減のためや、トナー濃度調整においてトナーを多く消費することによって発生するクリーニング不良の防止のために、短いトナーパッチを用いたトナー濃度調整を行う場合でも、その精度を維持することを目的として、予め検知したトナーパッチ濃度を用いて当該トナーパッチ濃度を算出する構成が提案されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示の技術は、検知範囲がトナーパッチから大きく前後にずれが発生した場合にも、トナーパッチ濃度及びそれを使用するトナー濃度調整の精度を保つようにしたものであるが、(1)地肌部分の余計な部分も検知処理を行うため処理効率の低下、(2)全トナーパッチを検知してから予測するため、そのデータをRAMに保持する必要があり、RAM容量の増加、(3)全トナーパッチを検知してから予測するため、トナー濃度調整時間の増加、といった問題は解消できていない。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、画像形成性装置のトナー濃度調整処理において、トナーパッチの検知処理の処理効率の向上、必要とする記憶容量の削減、およびトナー濃度調整時間の削減を達成することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の画像形成装置は、濃度の異なるトナーパッチを像担持体に作成するトナーパッチ作成手段と、前記トナーパッチの濃度を検知するための検知手段と、前記検知手段の検知結果に応じてトナー濃度調整を実施するトナー濃度調整手段と、を備え、前記トナー濃度調整手段により、トナーパッチ間の地肌部分を含めた全トナーパッチの範囲を一つの範囲として略連続的に検知し、トナー及び前記トナーパッチからの反射光の特性とパッチレイアウトとから、各トナーパッチの濃度分布を予め推測した上で、トナーパッチ濃度を算出し、トナー及び前記トナーパッチからの反射光の特性とパッチレイアウトとから、先端のトナーパッチの外側と後端のトナーパッチの外側の余分に測定する地肌部分のサンプリング数を推測し、推測したサンプリング数と実際の検出結果とから検知範囲のずれ量を算出し、前記検知範囲のずれ量に応じて、検知範囲を減らすように制御することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の画像形成装置は、濃度の異なるトナーパッチを像担持体に作成するトナーパッチ作成手段と、前記トナーパッチの濃度を検知するための検知手段と、前記検知手段の検知結果に応じてトナー濃度調整を実施するトナー濃度調整手段と、を備え、前記トナー濃度調整手段により、前記像担持体上に形成された傷を検知し、前記トナーパッチ作成手段により、前記傷が検知された箇所を避けるようにトナーパッチを作成することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の画像形成装置は、濃度の異なるトナーパッチを像担持体に作成するトナーパッチ作成手段と、前記トナーパッチの濃度を検知するための検知手段と、前記検知手段の検知結果に応じてトナー濃度調整を実施するトナー濃度調整手段と、を備え、前記トナー濃度調整手段により、トナーパッチ間の地肌部分を含めた全トナーパッチの範囲を一つの範囲として略連続的に検知し、トナー及び前記トナーパッチからの反射光の特性とパッチレイアウトとから、各トナーパッチの濃度分布を予め推測した上で、トナーパッチ濃度を算出し、前記検知手段による検知結果から得られる前記トナーパッチのトナーパッチ長を元に像担持体の駆動誤差を検出し、該駆動誤差をトナーパッチ濃度算出に反映させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、トナーパッチ濃度検知結果から検知範囲のずれ量を予測し、ずれ量が少なかった場合には、検知回数を削減するようにしたので、トナーパッチの検知処理における処理効率の向上、必要な記憶容量の削減、およびトナー濃度調整時間の削減を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本実施形態の画像形成装置のハードウェア構成について説明する図である。
【図2】図2は、本実施形態の画像形成装置のソフトウェア構成について説明する図である。
【図3】図3は、タンデムタイプの画像形成装置における画像形成およびトナー濃度検知に係る機構構成について説明する図である。
【図4】図4は、トナーパッチ濃度検知のタイミングについて説明する図である。
【図5】図5は、トナーパッチ濃度検知のタイミングのずれについて説明する図である。
【図6】図6は、トナーパッチのパターンについて説明する図である。
【図7】図7は、従来のトナーパッチ濃度検知方法について説明する図である。
【図8】図8は、従来技術において、トナーパッチ濃度を検知した結果の濃度分布と濃度算出方法について説明する図である。
【図9】図9は、従来技術において、タイミングずれが起こった場合のトナーパッチ濃度を検知した結果の濃度分布と濃度算出方法について説明する図である。
【図10】図10は、本実施形態において特徴的なトナーパッチ濃度検知方法について説明する図である。
【図11】図11は、本実施形態において、トナーパッチ濃度を検知した結果の濃度分布について説明する図である。
【図12】図12は、本実施形態において、タイミングずれが起こった場合のトナーパッチ濃度を検知した結果の濃度分布について説明する図である。
【図13−1】図13−1は、本実施形態における、トナーパッチ濃度の第1の濃度算出方法について説明する図である。
【図13−2】図13−2は、本実施形態における、トナーパッチ濃度の第1の濃度算出方法について説明する図である。
【図14−1】図14−1は、本実施形態における、トナーパッチ濃度の第2の濃度算出方法について説明する図である。
【図14−2】図14−2は、本実施形態における、トナーパッチ濃度の第2の濃度算出方法について説明する図である。
【図14−3】図14−3は、本実施形態における、トナーパッチ濃度の第2の濃度算出方法について説明する図である。
【図14−4】図14−4は、本実施形態における、トナーパッチ濃度の第2の濃度算出方法について説明する図である。
【図15】図15は、本実施形態における、トナーパッチ濃度の第3の濃度算出方法について説明する図である。
【図16】図16は、本実施形態における、トナーパッチ濃度の第4の濃度算出方法について説明する図である。
【図17】図17は、トナーパッチ濃度の第1の濃度算出方法を説明するフローチャートである。
【図18】図18は、トナーパッチ濃度の第2の濃度算出方法および後述の第3の濃度算出方法を説明するフローチャートである。
【図19】図19は、図17に傷判定を付加したトナーパッチ濃度の濃度算出方法を説明するフローチャートである。
【図20】図20は、図18に傷判定を付加したトナーパッチ濃度の濃度算出方法を説明するフローチャートである。
【図21】図21は、ずれ量を測定する処理について説明するフローチャートである。
【図22】図22は、ずれ量に基づくトナーパッチ検知方式の切替処理について説明するフローチャートである。
【図23】図23は、検知範囲の先端と後端の前後の検知回数を均等に削減する場合について説明する図である。
【図24】図24は、ずれ量に基づいてサンプリング数を削減する処理(別法)について説明する図である。
【図25】図25は、検知範囲の後端方向の検知回数の削減について説明する図である。
【図26】図26は、検知範囲の先端方向の検知回数の削減について説明する図である。
【図27】図27は、現在の計測結果から得られる検知範囲のずれ量によってサンプリング数を削減する処理について説明するフローチャートである。
【図28】図28は、現在の計測結果から得られる検知範囲のずれ量によってサンプリング数の削減をする場合について説明する図である。
【図29】図29は、中間転写ベルト15の傷がある場合について説明する図である。
【図30】図30は、本実施例において、トナーパッチの位置を傷の位置に重ならないように制御するための処理を説明する図である。
【図31】図31は、トナーパッチの位置を傷の位置に重ならないように制御するための処理を説明するフローチャートである。
【図32】図32は、トナーパッチの位置を傷の位置に重ならないように制御するための処理を説明するフローチャートである。
【図33】図33は、本実施例におけるトナーパッチ濃度の濃度算出方法において、線速誤差(駆動誤差)を考慮したフィードバックをかける処理を説明するフローチャートである。
【図34】図34は、上記線速誤差検出及び検出された線速誤差に応じてトナーパッチ算出方法の補正のためのパラメータ算出の具体例を示すフローチャートである。
【図35】図35は、本実施例におけるトナーパッチ濃度の濃度算出方法において、線速誤差を考慮したフィードバックをかける処理を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる画像形成装置の実施の形態を詳細に説明する。
【0014】
図1は、本実施形態の画像形成装置のハードウェア構成について説明する図である。
【0015】
画像形成装置1は、本実施形態に係る主要部として、中央演算装置11、記憶装置12、タイマー13、センサ14、中間転写ベルト15、帯電器16、露光器17、現像器18、および感光体19を備える。中央演算装置11は、装置全体の制御を司り、その制御プログラムや各種処理の際生成されたデータ等は記憶装置12に記憶される。タイマー13は計時機能を有するデバイスであり、各種タイミングを計るために使用される。センサ14は、各種センサからなり、例えば、用紙の位置を検出したり、トナーパッチ濃度を検出したりする。感光体19は、画像形成に際し、その外周面が帯電器16により一様に帯電された後、露光器17からの画像に対応したレーザ光により露光されて、静電潜像が形成される。その後、現像器18により感光体19上にトナー像が形成され、中間転写ベルト15にこのトナー像が転写される。中間転写ベルト15上のトナー像は印刷用紙に転写されて、図示しない定着器により定着される。
【0016】
図2は、本実施形態の画像形成装置のソフトウェア構成について説明する図である。
【0017】
本実施形態の画像形成装置1における主なソフトウェア構成として、図2に示すように、ずれ量制御部21、トナー濃度調整制御部22、タイマー計測部23、不揮発性記憶領域管理部24、感光体制御部と帯電・露光・現像制御部と中間転写ベルト制御部とを含む作像制御部25、センサ検知制御部26、および中央演算制御部27が含まれる。ずれ量制御部21は、トナー能動調整機能を有するトナー濃度調整制御部22によるトナーパッチを用いたトナー濃度検出の結果から、ずれ量を算出し、このずれ量を記憶装置12の不揮発性記憶領域に不揮発性記憶領域管理部24を介して保存する。また、ずれ量制御部21は、算出したずれ量に基づいて、計測範囲を変更する。なお、このずれ量制御部21は、トナー濃度調整制御部22の一機能としてトナー濃度調整制御部22に含める構成としてもよい。タイマー計測部23は、タイマー13の計時機能を利用して各種タイミングを計る。不揮発性記憶領域管理部24は、記憶装置12の不揮発性記憶領域を管理し、作像制御部25は、中間転写ベルト15、帯電器16、露光器17、現像器18、および感光体19を制御して指定された画像やトナーパッチ等の画像形成を実施する。センサ検知制御部26は、濃度検知センサを含むセンサ14を制御するとともに、センサ14から取得される検知結果を必要とする各制御部に与える。中央演算制御部27は、所定の演算処理を行う。
【0018】
図3は、タンデムタイプの画像形成装置における画像形成およびトナー濃度検知に係る機構構成について説明する図である。
【0019】
感光体19に対して、帯電器16および露光器17によって静電潜像が形成され、現像器18によって感光体19の外周面にトナーが付着され、トナー画像が形成される。さらに感光体19から中間転写ベルト15にトナーが転写される。中間転写ベルト15は、回転駆動される駆動ローラ31とテンションローラ32とに巻回されたエンドレスのベルトであり、図示しない駆動モータにより回転駆動される。中間転写ベルト15上の画像が移動し、濃度検知センサ14aの位置に到達すると、濃度検知センサ14aが、中間転写ベルト15に付着したトナー濃度を検知する。
【0020】
図4は、トナーパッチ濃度検知のタイミングについて説明する図である。
【0021】
感光体19に対して、帯電器16および露光器17によってトナーパッチの静電潜像が作られ、現像器18によって感光体19の外周面の一部にトナーが付着され、トナーパッチが形成される。さらに感光体19から中間転写ベルト15にトナーパッチが転写される。中間転写ベルト15上のトナーパッチの画像が移動し、濃度検知センサ14aの位置に到達すると、濃度検知センサ14aが、中間転写ベルト15に付着したトナーパッチ濃度を検知する。この時のセンサ検知のタイミングは、例えばKトナーパッチの帯電のタイミングを基準とした場合、そこから濃度検知センサ14aまでの感光体19と中間転写ベルト15の距離(理論値)と線速とからトナーパッチの画像が濃度検知センサ14aの位置に到達するタイミングを算出し、そのタイミングで濃度検知センサ14aで検知をするようにする。
【0022】
図5は、トナーパッチ濃度検知のタイミングのずれについて説明する図である。
【0023】
経時劣化や環境変動等により中間転写ベルト15が伸びた場合、Kトナーパッチの帯電から濃度検知センサ14aまでの距離も伸びることになる。このため、図5に示すように、理論値で算出したタイミングと実際タイミングがずれる。
【0024】
図6は、トナーパッチのパターンについて説明する図である。
【0025】
例えば、濃度の異なるトナーパッチを5段階で作成する場合、図6に示すように、K:1(1→5に向かってトナー濃度が濃い)を先頭に、K,C,M,Yの各トナー色×5パッチのパターンとなる。
【0026】
図7は、従来のトナーパッチ濃度検知方法について説明する図である。
【0027】
図4で説明した中間転写ベルト15上のトナーパッチが到達する時間(理論値)と、1トナーパッチが通過する時間を算出し、濃度検知センサ14aにより、パッチ毎にトナーパッチ全体の先頭から後尾までの検知を行う。
【0028】
図8は、従来技術において、トナーパッチ濃度を検知した結果の濃度分布と濃度算出方法について説明する図である。
【0029】
例えば、1トナーパッチに対してパッチを捕らえる検知ポイントを19ポイントとした場合、検知した濃度分布は図8のようになる。ここでトナーパッチの濃度算出方法としては、19ポイントの中心ポイントである10ポイント目と前後4ポイントの平均を算出し、当該トナーパッチの濃度とする方法がとられる。
【0030】
図9は、従来技術において、タイミングずれが起こった場合のトナーパッチ濃度を検知した結果の濃度分布と濃度算出方法について説明する図である。
【0031】
例えば、中間転写ベルト15が伸び、トナーパッチの濃度検知センサ14aの位置までの到達タイミングが遅れた場合、トナーパッチが到達するよりも早く検知を開始するため、濃度分布は図9のようになる。その場合、19ポイントの中心ポイントである10ポイント目と前後4ポイントの平均を算出しても、本来のトナーパッチの濃度が得られない。また、ずれを考慮して検知範囲にバッファを加え、トナーパッチを検出できた場合でも、上記の濃度算出方法では本来のトナーパッチ濃度は得られない。
【0032】
図10は、本実施形態において特徴的なトナーパッチ濃度検知方法について説明する図である。
【0033】
本実施形態では、トナーパッチの先頭が到達する時間と全トナーパッチが通過する時間を算出し、上述の従来の方法と異なり、トナーパッチ全体の先頭から後尾までの検知を行う。
【0034】
図11は、本実施形態において、トナーパッチ濃度を検知した結果の濃度分布について説明する図である。
【0035】
例えば、図11(A)に示すように、全トナーパッチに対してパッチを捕らえる検知ポイントを500ポイントとした場合、検知した濃度分布は図11(B)に示すようになる。なお、本実施形態におけるトナーパッチの濃度算出方法は後述にて説明する。
【0036】
図12は、本実施形態において、タイミングずれが起こった場合のトナーパッチ濃度を検知した結果の濃度分布について説明する図である。
【0037】
例えば中間転写ベルト15が伸び、トナーパッチ到達タイミングが遅れた場合であっても(図12(A))、トナーパッチの濃度検知センサ14aの位置への到達よりも早く検知を開始するため、濃度分布は図12(B)に示すように検知される。
【0038】
図13−1,図13−2は、本実施形態における、トナーパッチ濃度の第1の濃度算出方法について説明する図である。ここでは、さらに図17のフローチャートを参照し説明する。図17は、トナーパッチ濃度の第1の濃度算出方法を説明するフローチャートである。
【0039】
事前にトナーパッチの濃度分布を推測し、トナーパッチを特定するための閾値を決めておく。図13−1に示すように、まず、Y色の濃度分布の後端の抽出起点からデータを順に抽出し、閾値と比較することで、閾値以下となるポイントを抽出し(図17:ステップS101)、Y:パッチ5(Y:Patch:5)を特定する。この抽出ができた場合(図17:ステップS102でYes)、トナーパッチのパターン中心位置を算出する(図17:ステップS103)。なお、あるトナー色について閾値以下となるポイントを抽出できなかった場合は(図17:ステップS102でNo)、他の1トナー色で本フローを再実施する(図17:ステップS107)。
【0040】
Y:パッチ4〜1の特定は、パッチレイアウトを基に、先頭パッチに向ってY:パッチ5からパッチ間隔で決まる固定ピッチ分特定位置を移動させて算出することにより特定する(図17:ステップS104)。他色:パッチ5についても、閾値以下となるポイントまでのY:パッチ5の抽出起点からのポイント数を適用し特定する(図17:ステップS105)。そして、図13−2に示すように、各トナーパッチのパターン中心位置の前後7ポイントの濃度値の平均を求め、その値を該当トナーパッチの濃度として算出する。
【0041】
図14−1〜図14−4は、本実施形態における、トナーパッチ濃度の第2の濃度算出方法について説明する図である。ここでは、さらに図18のフローチャートを参照し説明する。図18は、トナーパッチ濃度の第2の濃度算出方法および後述の第3の濃度算出方法を説明するフローチャートである。
【0042】
図14−1に示すように、色毎のトナー濃度特性および色毎の感光体特性(作像バイアス値)により、色毎にトナーパッチ濃度の濃度分布が異なり、また感光体速度差によりパッチ位置も異なるものとなる(図14−2)。この点を加味して事前にトナーパッチの濃度分布を推測し、トナーパッチを特定するための閾値を決めておく(図14−3)。なお、ここでトナー濃度は、トナーに一定光量を照射した時の反射光量とする。
【0043】
図14−4では、各色の濃度分布の後端の抽出起点からデータを順に抽出し、閾値と比較することで、閾値以下となるポイントを抽出し(図18:ステップS201)、各色:パッチ5を特定する。この抽出ができた場合(図18:ステップS202でYes)、トナーパッチのパターン中心位置を算出する(図18:ステップS204)。なお、図15を用いて後述するように、エラーにより、あるトナー色について閾値以下となるポイントを抽出できなかった場合は(図18:ステップS202でNo)、他のトナー色について抽出されたポイントを適用((1)1色を適用/(2)3色の平均を適用)して(図18:ステップS206)、パターン中心位置を算出する(図18:ステップS204)。各色:パッチ4〜1の特定は、パッチレイアウトを基に、先頭パッチに向って各色:パッチ5からパッチ間隔で決まる固定ピッチ分特定位置を移動させて算出することにより特定する(図18:ステップS205)。
【0044】
図15は、本実施形態における、トナーパッチ濃度の第3の濃度算出方法について説明する図である。図15は、特に、エラーによりある色(Y)のパターン抽出に失敗した場合を例示している。
【0045】
図15の例では、Y:パッチ5の特定に失敗した場合(図18:ステップS202でNo)、Yの代わりにM:5パッチの特定を行い、他色:パッチ5の特定は、閾値以下となるポイントまでのM:パッチ5の抽出起点からのポイント数を適用し特定する。また、M色の特性を平滑化するため、MCKのポイント数の平均(3色の平均)を用いて特定する場合もある(図18:ステップS206)。
【0046】
図16は、本実施形態における、トナーパッチ濃度の第4の濃度算出方法について説明する図である。図16は、特に、中間転写ベルト15に傷がある場合を例示している。
【0047】
事前にベルト傷の濃度分布を推測し、トナーパッチのエッジ間隔の閾値を決めておく。図16(B)では、正常なエッジ間隔:15ポイントに対し、エッジ間隔の閾値を10ポイントとし、それ以下(図16(A)では3ポイント)であれば中間転写ベルト15の傷とみなす。この傷判定を図17のフローチャートに加えたものが図19であり、図18のフローチャートに加えたものが図20である。いずれも共通する処理には同一の符号を附している。両フローチャートにおいて、閾値以下となるポイントが抽出されたか否かの判定(ステップS102/ステップS202)に続いて、傷判定を行うようにしており、傷判定でOKの場合(ステップS110/ステップS210でYes)、前述したパターン中心位置の算出処理以降を行う。この傷判定でOKでない場合は(ステップS110/ステップS210でNo)、最初に戻り、続く処理を再実行する。
【0048】
図21は、ずれ量を測定する処理について説明するフローチャートである。
【0049】
ずれ量制御部21は、トナー検知のためのサンプリングが開始されると、サンプリング数のカウントアップを開始する(ステップS301)。
【0050】
サンプリング値が、トナーパッチ部の閾値以上になるまでサンプリング数をカウントアップさせる(この場合、ステップS302でNoと判定されステップS301が繰り返し実行される)。
【0051】
サンプリング値が、上記閾値以上になったとき(ステップS302でYes)、事前に推測した地肌部分のサンプリング数と実測した地肌部分のサンプリング数を比較する(ステップS303)。
【0052】
そして、ずれ量を決定する(ステップS304)。例えば、先端方向に5ポイント地肌部分を余計にサンプリングする場合に、実際のサンプリング数は3ポイントだった場合、2ポイント先端方向にずれていると判断することができる。また、本実施形態では、ずれ量は過去10回実施した測定結果の平均値を用いるとする。なお、本処理では、サンプリング開始時にずれ量測定をしているが、全サンプリング終了後のデータからずれ量測定をしても良い。
【0053】
図22は、ずれ量に基づくトナーパッチ検知方式の切替処理について説明するフローチャートである。
【0054】
ずれ量制御部21は、ずれ量の測定結果から制御方式を切り替える。図22において、一定値d1は一定値d2より大きいものとする。
【0055】
ずれ量制御部21にて、ずれ量が一定値d1より大きいと判断した場合に(ステップS401でNo)、サンプリング数を元の初期値の範囲に戻す(ステップS402)。例えば、先端と後端の地肌部分のサンプリング数がそれぞれ初期値5ポイントに対し、現在それぞれ3ポイントであった場合、それぞれ初期値の5ポイントに戻す。一方、ずれ量が一定値d1以下であると判断される場合(ステップS401でYes)、ステップS403へ移行する。
【0056】
ずれ量が一定値d1以下で一定値d2より大きい場合(すなわち、ステップS403でNo)、サンプリング数はそのままにする(ステップS404)。一方、ずれ量が一定値d2以下の場合は、サンプリング数を削減する(ステップS405)。
【0057】
サンプリング数を削減する方式としては、地肌部分を検知範囲としないでトナーパッチ毎にサンプリングを行う方式を採用することができる。あるいは、先端のトナーパッチの外側と後端のトナーパッチの外側の余分に、測定する地肌部分のサンプリング数を削減する方法を採用することもできる。例えば、サンプリング箇所の前後のサンプリング数を均等に例えば2ポイントずつ削減する方法を採用することができる。
【0058】
図23は、検知範囲の先端と後端の前後の検知回数を均等に削減する場合について説明する図である。同図(A)は、トナーパッチ検知サンプリングの初期設定(地肌部分5ポイント余分にサンプリング)を示し、(B)は、推測されたトナーパッチ検知位置(例:過去10回の平均、ずれ量「0」)を示し、(C)は、今回実施するトナーパッチ検知サンプリング位置(先端および後端において、地肌部分3ポイント余分にサンプリング)を示している。
【0059】
この図23を用いて、検知範囲の先端と後端の前後の検知回数を均等に削減する方式について説明する。ずれ量が、前述の一定値d2以下であると判断される場合は(すなわち、ずれ量が「0」または無視できる場合は)、先端のトナーパッチの外側と後端のトナーパッチの外側の余分に測定する前後のサンプリング数を均等に削減する。
【0060】
例えば、初期設定として、先端のトナーパッチの外側と後端のトナーパッチの外側の余分に測定する地肌部分のサンプリング数を5ポイントとすると(図23(A))、過去10回の平均からずれ量を測定した結果(図23(B))、ずれ量が「0」と判断される。そして、11回目のトナーパッチサンプリングからは、先端のトナーパッチの外側と後端のトナーパッチの外側の余分に測定する地肌部分のサンプリング数を3ポイントとする(図23(C))。これにより、500ポイントのサンプリングから496ポイントのサンプリングに削減される。
【0061】
図24は、ずれ量に基づいてサンプリング数を削減する処理(別法)について説明する図である。この図を用いて、ずれ量制御部21のサンプリング数削減の方法についてさらに説明する。
【0062】
ずれ量が先端方向に現われている場合は(ステップS501でYes)、後端方向のサンプリング数を削減する(ステップS502)。一方、ずれ量が後端方向に現われている場合は(ステップS501でNo)、先端方向のサンプリング数を削減する(ステップS503)。
【0063】
図25は、検知範囲の後端方向の検知回数の削減について説明する図である。同図(A)は、トナーパッチ検知サンプリングの初期設定(地肌部分5ポイント余分にサンプリング)を示し、(B)は、推測されたトナーパッチ検知位置(例:過去10回の平均、ずれ量先「先端方向に3ポイント」)を示し、(C)は、今回実施するトナーパッチ検知サンプリング位置(後端6ポイント削減してサンプリング)を示している。
【0064】
この図25を用いて、後端方向のサンプリング数を削減する方法について説明する。ずれ量が先端方向に現われた場合、ずれ量制御部21は、後端方向のサンプリング数を削減する。例えば、初期設定として、先端のトナーパッチの外側と後端のトナーパッチの外側の余分に測定する地肌部分のサンプリング数を5ポイントとすると(図25(A))、過去10回の平均からずれ量を測定した結果(図25(B))、ずれ量が先端方向に3ポイントあると判断される。これに応じて、11回目からは、後端のトナーパッチの外側の余分に測定する地肌部分のサンプリング数を2ポイントとする(図25(C))。これにより、500ポイントのサンプリングから494ポイントのサンプリングに削減される。
【0065】
図26は、検知範囲の先端方向の検知回数の削減について説明する図である。同図(A)は、トナーパッチ検知サンプリングの初期設定(地肌部分5ポイント余分にサンプリング)を示し、(B)は、推測されたトナーパッチ検知位置(例:過去10回の平均、ずれ量「後端方向に3ポイント」)を示し、(C)は、今回実施するトナーパッチ検知サンプリング位置(先端6ポイント削減してサンプリング)を示している。
【0066】
この図26を用いて、先端方向のサンプリング数を削減する方法について説明する。ずれ量が後端方向に現われる場合は、先端方向のサンプリング数を削減する。例えば、初期設定として、先端のトナーパッチの外側と後端のトナーパッチの外側の余分に測定する地肌部分のサンプリング数を5ポイントとすると(図26(A))、過去10回の平均からずれ量を測定した結果(図26(B))、ずれ量が後端方向に3ポイントあると判断される。これに応じて、11回目からは、先端のトナーパッチの外側の余分に測定する地肌部分のサンプリング数を2ポイントとする(図25(C))。これにより、500ポイントのサンプリングから494ポイントのサンプリングに削減される。
【0067】
図27は、現在の計測結果から得られる検知範囲のずれ量によってサンプリング数を削減する処理について説明するフローチャートである。この図27を用いて、ずれ量制御部21によるサンプリング数削減の方法について説明する。
【0068】
図27の例は、先端にずれ量が現われ、後端方向のサンプリング数を削減する場合の例である。ステップS303までは、図21に示すフローチャートと同様である。図21では、そのステップS304でずれ量を決定しているが、本例では、ステップS304’にて、先端のずれ量を決定している。
【0069】
現在計測中にずれ量が先端方向にあると判断される場合は(ステップS305でYes)、現在計測中であるサンプリングに対して後端方向のサンプリング数を削減する(ステップS306)。先端のずれ量がない場合(あるいは無視できる場合)は(ステップS305でNo)、サンプリング数は変更せず終了する。
【0070】
図28は、現在の計測結果から得られる検知範囲のずれ量によってサンプリング数の削減をする場合について説明する図である。同図(A)は、トナーパッチ検知サンプリングの初期設定(地肌部分5ポイント余分にサンプリング)を示し、(B)は、現在検知中のトナーパッチ検知サンプリング位置(ずれ量「先端方向に3ポイント」)を示し、(C)は、今回検知するトナーパッチ検知サンプリング位置(後端6ポイント削減してサンプリング)を示している。
【0071】
この図28を用いて、サンプリング数削減の方法についてさらに説明する。ずれ量制御部21は、ずれ量が先端方向にあると判断した場合は、現在計測中であるサンプリングに対して後端方向のサンプリング数を削減する。例えば、初期設定として、先端のトナーパッチの外側と後端のトナーパッチの外側の余分に測定する地肌部分のサンプリング数を5ポイントとすると(図28(A))、現在検知中のサンプリングから、ずれ量が先端方向に3ポイントあると判断される(図28(B))。これに応じて、現在の計測中のサンプリングにおいて、先端のトナーパッチの外側の余分に測定する地肌部分のサンプリング数を2ポイントとし、後端側も2ポイントとする(図28(C))。これにより、500ポイントのサンプリングから494ポイントのサンプリングに削減される。
【0072】
本実施形態では、トナーパッチ濃度検知結果から検知範囲のずれ量を予測し、ずれ量が少なかった場合には、検知回数を削減するようにしたので、トナーパッチの検知処理における処理効率の向上、必要な記憶容量の削減、およびトナー濃度調整時間の削減を達成することができる。
【0073】
(その他の実施例1)
中間転写ベルト15に傷があった場合は、その傷がトナーパッチを形成していない箇所にある場合、取得できる反射光量はかなり低くなる。また、トナーパッチを形成した箇所から取得できる反射光量も同等である。そのため、傷をトナーパッチとして誤検知する可能性があった。もちろん傷の上にトナーパッチが形成された場合においても、正確なトナー濃度を取得することができない。
【0074】
図29は、中間転写ベルト15の傷がある場合ついて説明する図である。なお、特定座標におけるトナーパッチがない状態でのベルトの地肌濃度は取得できているものとする。例えば、図29(A)に示す傷があった場合、図29(B)に示すような濃度分布が得られる。従って、図29(B)に示す濃度分布を考慮して、傷の位置を特定することができる。この傷の位置は、濃度調整のたびに中間転写ベルト15を一周回して傷の位置を再取得するようにしてもよいし、前のトナー濃度調整時に取得した傷の位置を用いるようにしてもよい。
【0075】
図30は、本実施例において、トナーパッチの位置を傷の位置に重ならないように制御するための処理を説明する図である。
【0076】
中間転写ベルト15上にトナーパッチを形成する際、どのタイミングでトナーパッチを形成するかは適宜決めることができる。図30の例では、トナーパッチ形成スタートタイミング位置からa[mm]の箇所からb[mm]迄、c[mm]からd[mm]迄、e[mm]からf[mm]迄の範囲にトナーパッチを形成している。そして、トナーパッチの位置に傷があるか否かについては、先に特定された傷座標と比較して決まる。
【0077】
仮に、上記a〜b,c〜d,e〜fの間に傷があった場合はスタートタイミングをずらす、つまりは遅らせることで傷とトナーパッチが重なることがないように制御することが可能である。例えば、傷とトナーパッチが重複していた場合は、トナーパッチを後ろに1mmずらして確認、1mm前に進めて確認、といった具合に、前後5mmほど検索を行い、どの程度ずらすかを決定する。
【0078】
図31は、トナーパッチの位置を傷の位置に重ならないように制御するための処理を説明するフローチャートである。
【0079】
図31に示すように、まず、トナーパッチ形成スタートタイミングか否か判定し、スタートタイミングである場合(ステップS601でYes)、トナーパッチと傷の位置が重複するか判定する(ステップS602)。
【0080】
トナーパッチと傷の位置が重複する場合(ステップS602でYes)、上記のように前後5mmほど検索を行い、トナーパッチと傷が重複しない位置を判定し特定する(ステップS603)。
【0081】
トナーパッチ形成スタートタイミングでない場合(ステップS601でNo)や、トナーパッチ形成スタートタイミングであっても、トナーパッチと傷が重複しない場合(ステップS602でNo)は、特に何も行わない。
【0082】
なお、図31に示したフローで制御しても、トナーパッチが傷と重複してしまう場合は、パッチレイアウトそのものを変えることも可能である。具体的にはa,b,c,d,e,fのパラメータを変更することで傷の位置を避けるようにする。基本的には本制御で傷を避けることができると予想されるが、余りに傷が多い場合は傷を避けられないこともある。さらに、傷を避けても、十分な領域にトナーパッチを形成できない場合は、濃度調整ができないため、異常であるとして、画像形成装置1自体を停止させる。
【0083】
具体的な処理の流れを、図32のフローチャートに示す。図32は、トナーパッチの位置を傷の位置に重ならないように制御するための処理を説明するフローチャートである。同図において、ステップS601〜ステップS603までは図31と同様である。
【0084】
図32のステップS604で、トナーパッチと傷の位置が重複しない位置が見つかったか判定をし、見つかっている場合は(Yesの判定)そのまま終了し、見つかっていない場合(Noの判定)は、トナーパッチのパターンのパラメータを変更して、傷の位置と重複しない位置を決める処理を行う(ステップS605)。
【0085】
ステップS605の処理でトナーパッチと傷の位置が重複しない位置がみつかった場合(ステップS606でYes)、トナーパッチを十分に形成できるか判断をし、十分に形成できる場合は(ステップS607でYes)、処理を終了する。
【0086】
一方、ステップS605の処理でトナーパッチと傷の位置が重複しない位置がみつからない場合(ステップS606でNo)、または、トナーパッチが十分に形成できないと判定される場合(ステップS607でNo)、マシンを異常停止させるか判断をして、所定の条件の元、異常停止させると決定された場合は(ステップS608でYes)、異常として、マシン停止させる(ステップS609)。異常停止させない場合は(ステップS608でNo)、そのまま終了する。
【0087】
本実施例では、中間転写ベルト15に傷があった場合でも、正確なトナー濃度を取得することができるようになる。
【0088】
(その他の実施例2)
図33は、本実施例におけるトナーパッチ濃度の濃度算出方法において、線速誤差(駆動誤差)を考慮したフィードバックをかける処理を説明するフローチャートである。
【0089】
従来のトナーパッチ濃度算出を実施する直前に線速誤差を検出し(ステップS701)、検出された線速誤差に応じてトナーパッチ濃度算出方法の補正のためのパラメータ算出(ステップS702)を行っておくことにより、トナーパッチ濃度算出開始(ステップS703)の際、このトナーパッチ濃度算出に線速誤差を考慮したフィードバックをかけることができる。
【0090】
図34は、上記線速誤差検出及び検出された線速誤差に応じてトナーパッチ算出方法の補正のためのパラメータ算出の具体例を示すフローチャートである。
【0091】
図34の例では、1トナー色において、図14−3〜図16で示された閾値を元に、閾値を下回ったポイントを抽出し(ステップS801)、そのポイント数を予め設定された値と比較することにより、線速アップ/ダウン/不変を判断し、結果に応じてトナーパッチ濃度算出に用いる閾値の値を調整した上でトナーパッチ濃度算出を開始する。
【0092】
ポイント数が第1の規定範囲未満でない場合(ステップS802でNo)、線速ダウンとして閾値を補正し(ステップS804)、ポイント数が第1の規定範囲未満(ステップS802でYes)かつ第2の規定範囲以上である(ステップS803でYes)場合、線速アップとして閾値を補正する(ステップS805)。ポイント数が第2の規定範囲未満(ステップS803でNo)の場合は、補正なしとする。なお、この補正は、例えば、予め設定された値とのポイント数差分に、一定の係数を乗算した値を閾値から増減させるような形で実現される。
【0093】
図35は、本実施例におけるトナーパッチ濃度の濃度算出方法において、線速誤差を考慮したフィードバックをかける処理を説明するフローチャートである。
【0094】
図33と異なる点は、ステップS701で検出された線速誤差に応じて、ステップS702’にて、トナーパッチ濃度分布予測値に補正演算を行っておくことにより、トナーパッチ算出に線速誤差を考慮したフィードバックをかけるようにした点である。
【0095】
本実施例では、さらに、線速誤差を考慮したトナーパッチ濃度算出を実施することができる。
【0096】
以上、本発明に係る実施形態ならびに諸実施例について説明した。なお、本発明に係る画像形成装置としては、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能のうち少なくとも2つの機能を有する複合機のほか、複写機、プリンタ、ファクシミリ装置等の単機能の画像形成装置にも適用することができる。
【符号の説明】
【0097】
1 画像形成装置
11 中央演算装置
12 記憶装置
13 タイマー
14 センサ
14a 濃度検知センサ
15 中間転写ベルト
16 帯電器
17 露光器
18 現像器
19 感光体
21 ずれ量制御部
22 トナー濃度調整制御部
23 タイマー計測部
24 不揮発性記憶領域管理部
25 作像制御部
26 センサ検知制御部
27 中央演算制御部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0098】
【特許文献1】特開2005−148636号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
濃度の異なるトナーパッチを像担持体に作成するトナーパッチ作成手段と、
前記トナーパッチの濃度を検知するための検知手段と、
前記検知手段の検知結果に応じてトナー濃度調整を実施するトナー濃度調整手段と、を備え、
前記トナー濃度調整手段により、
トナーパッチ間の地肌部分を含めた全トナーパッチの範囲を一つの範囲として略連続的に検知し、
トナー及び前記トナーパッチからの反射光の特性とパッチレイアウトとから、各トナーパッチの濃度分布を予め推測した上で、トナーパッチ濃度を算出し、
トナー及び前記トナーパッチからの反射光の特性とパッチレイアウトとから、先端のトナーパッチの外側と後端のトナーパッチの外側の余分に測定する地肌部分のサンプリング数を推測し、推測したサンプリング数と実際の検出結果とから検知範囲のずれ量を算出し、
前記検知範囲のずれ量に応じて、検知範囲を減らすように制御する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記トナー濃度調整手段は、過去の計測結果から検知範囲のずれ量が一定以下と判断したとき、検知範囲を狭くすることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記トナー濃度調整手段は、過去の計測結果から検知範囲のずれ量が一定以下と判断したとき、検知範囲の先端と後端の前後の検知回数を均等に減らすことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記トナー濃度調整手段は、過去の計測結果から検知範囲のずれ量がトナーパッチの先端方向あるいは後端方向に一定以下ずれていると判断したとき、検知範囲の後端または先端の検知回数を減らすことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記トナー濃度調整手段は、現在の計測結果から検知範囲のずれ量が、先端方向に一定以上あると判断したとき、検知範囲の後端の検知回数を減らすことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
タイミングを計るタイマー手段をさらに備え、
前記トナー濃度調整手段は、過去の計測結果から検知範囲のずれ量が一定以下であると判断したとき、本画像形成装置のメカレイアウトを元に、前記トナーパッチが前記検知手段の位置に到達する時間及び前記トナーパッチが前記検知手段の位置を通過し終わる時間を算出し、前記タイマー手段により計られるそのタイミングに合わせて検知を行うことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記トナー濃度調整手段は、過去の計測結果から検知範囲のずれ量が一定以上あると判断したとき、検知範囲を元に戻すことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項8】
濃度の異なるトナーパッチを像担持体に作成するトナーパッチ作成手段と、
前記トナーパッチの濃度を検知するための検知手段と、
前記検知手段の検知結果に応じてトナー濃度調整を実施するトナー濃度調整手段と、を備え、
前記トナー濃度調整手段により、前記像担持体上に形成された傷を検知し、
前記トナーパッチ作成手段により、前記傷が検知された箇所を避けるようにトナーパッチを作成することを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
前記トナーパッチ作成手段により、前のトナー濃度調整時に取得した傷の位置を避けるようにトナーパッチを形成することを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記トナー濃度調整手段により、一度トナー濃度調整の直前に前記像担持体を一周回して傷の位置を再取得することを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記トナーパッチ作成手段により、通常レイアウトのトナーパッチをどのように形成しても、傷の位置と重複してしまう場合は、トナーパッチレイアウトを変更することを特徴とする請求項9または請求項10に記載の画像形成装置。
【請求項12】
濃度の異なるトナーパッチを像担持体に作成するトナーパッチ作成手段と、
前記トナーパッチの濃度を検知するための検知手段と、
前記検知手段の検知結果に応じてトナー濃度調整を実施するトナー濃度調整手段と、を備え、
前記トナー濃度調整手段により、
トナーパッチ間の地肌部分を含めた全トナーパッチの範囲を一つの範囲として略連続的に検知し、
トナー及び前記トナーパッチからの反射光の特性とパッチレイアウトとから、各トナーパッチの濃度分布を予め推測した上で、トナーパッチ濃度を算出し、
前記検知手段による検知結果から得られる前記トナーパッチのトナーパッチ長を元に像担持体の駆動誤差を検出し、該駆動誤差をトナーパッチ濃度算出に反映させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項13】
前記トナーパッチ長と基準値とを比較することにより、像担持体の駆動誤差を検出することを特徴とする請求項12に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13−1】
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【図13−2】
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【図14−1】
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【図14−2】
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【図14−3】
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【図14−4】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【公開番号】特開2013−44865(P2013−44865A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−181438(P2011−181438)
【出願日】平成23年8月23日(2011.8.23)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】