説明

画像形成装置

【課題】劣化が生じているローラ部材を特定することができる安価な画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置に、画像形成部と、記録用紙を給紙する給紙ローラを備えた複数の給紙部と、記録用紙を画像形成部へ搬送する1又は複数の搬送ローラを備えた用紙搬送部と、各給紙部からの記録用紙の搬送経路の合流箇所よりも下流側に配設され、記録用紙の到達を検出するセンサと、を備え、画像形成部による画像形成の度に、記録用紙の給紙が開始された時点から、センサによって当該記録用紙の到達が検出されるまでの搬送時間を測定し、当該搬送時間が目標搬送時間よりも大きい場合に当該搬送時間の測定に係る記録用紙を給紙した給紙部(特定給紙部)からの給紙に異常があると判定して、特定給紙部からセンサまで記録用紙を搬送するために用いられる給紙ローラ及び搬送ローラを劣化しているローラ部材として特定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、特に、当該画像形成装置において、記録用紙を搬送するローラ部材のうち、劣化が生じているローラ部材を特定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば下記特許文献1に記載されているように、記録用紙を搬送する経路上に記録用紙の到達を検出するためのペーパーセンサを複数箇所に設け、各ペーパーセンサで記録用紙の到達が検出されたときの時間差が予め定められた搬送時間(走行時間)よりも大きい場合に、記録用紙を搬送する搬送部材に劣化が生じていることを検出する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平1−133843号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の従来技術を適用して、記録用紙を搬送する複数のローラ部材(搬送部材)のうちの、何れのローラ部材に劣化が生じているかを特定するためには、各ローラ部材の近傍に記録用紙の到達を検出するためのセンサを設け、各センサにおける検出時間の時間差が予め定められた搬送時間よりも大きい場合に、当該各センサ間の近傍の各ローラ部材に劣化が生じていることを特定する必要があった。つまり、記録用紙を搬送する複数のローラ部材のうちの何れのローラ部材に劣化が生じているかを特定するために、複数のセンサを用いる必要があった。このため、コストの上昇を招くという課題があった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、記録用紙を搬送する複数のローラ部材のうち、劣化が生じているローラ部材を特定することができる安価な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る画像形成装置は、記録用紙に画像を形成する画像形成部と、前記記録用紙を給紙する給紙ローラを備えた複数の給紙部と、前記各給紙部から前記画像形成部へ前記記録用紙を搬送するための搬送路と、前記各給紙部から給紙される記録用紙を前記搬送路を介して前記画像形成部へ搬送する1又は複数の搬送ローラを備えた用紙搬送部と、前記搬送路における、前記各給紙部からの前記記録用紙の搬送経路の合流箇所よりも下流側に配設され、前記記録用紙の到達を検出するセンサと、前記画像形成部による記録用紙への画像の形成が開始される度に、前記複数の給紙部のうちの何れかから、前記給紙ローラを用いて当該記録用紙の給紙が開始された時点から、前記センサによって当該記録用紙の到達が検出される時点までの経過時間を搬送時間として測定する搬送時間測定部と、前記各給紙部から記録用紙の給紙が開始された時点から、前記センサによって当該記録用紙の到達が検出される時点までの目標経過時間を前記各給紙部と対応付けて予め目標搬送時間として記憶する目標搬送時間記憶部と、前記各給紙部と、前記各給紙部から前記センサまで前記記録用紙を搬送するために用いられる給紙ローラ及び搬送ローラを特定する情報とを、対応付けて予め記憶するローラ情報記憶部と、前記搬送時間測定部によって測定された搬送時間が前記目標搬送時間記憶部に記憶されている目標搬送時間よりも大きい場合に、当該搬送時間の測定に係る記録用紙を給紙した前記給紙部である特定給紙部からの給紙に異常があると判定する異常判定部と、前記異常判定部によって前記特定給紙部からの給紙に異常があると判定された場合に、当該特定給紙部に対応付けて前記ローラ情報記憶部に記憶されている給紙ローラ及び搬送ローラを、劣化しているローラ部材として特定する劣化部材特定部と、を備える。
【0007】
この構成によれば、画像形成部によって記録用紙に画像が形成される度に、記録用紙の給紙が開始された時点から、センサによって当該記録用紙が到達したことが検出される時点までの経過時間である搬送時間が、予め記憶されている目標搬送時間よりも大きい場合に、当該搬送時間の測定に係る記録用紙を給紙した給紙部である特定給紙部からセンサまで、記録用紙を搬送するために用いられる給紙ローラ及び搬送ローラが、劣化しているローラ部材として特定される。
【0008】
このため、記録用紙を搬送するために用いられる複数の給紙ローラ及び1又は複数の搬送ローラのうち、劣化しているローラを特定するために必要なセンサの数を1つに制限することができ、センサを設けるために係るコストを低減することができる。これによって、記録用紙を搬送する複数のローラ部材のうち、劣化が生じているローラ部材を特定することができる安価な画像形成装置を構成することができる。
【0009】
また、前記異常判定部は、同一の前記特定給紙部について前記搬送時間が前記目標搬送時間よりも大きくなる条件が成立した回数を計数し、同一の前記特定給紙部について前記条件が連続して複数回成立し、且つ、前記計数された回数が予め定められた設定回数を超えた場合に、その特定給紙部からの給紙に異常があると判定することが好ましい。
【0010】
この構成によれば、搬送時間が目標搬送時間よりも大きくなる条件が一度だけ成立した場合に、特定給紙部に異常があると判定するときに比して、当該特定給紙部に異常があると誤って判定する虞を低減することができる。
【0011】
また、前記異常判定部は、同一の前記特定給紙部について、前記計数された回数が前記設定回数に到達する前に、その特定給紙部による給紙の際に前記条件が成立しなかったとき、その特定給紙部について計数された回数を0にすることが好ましい。
【0012】
例えば、ローラ部材に磨耗や紙粉によるすべりが発生した場合等、特定給紙部からの給紙に異常が発生した場合、自然に異常が解消することはない。したがって、搬送時間が目標搬送時間よりも大きくなる条件が成立した回数が予め定められた設定回数に到達する前に、特定給紙部による給紙の際に前記条件が成立しなくなったとき、すなわち自然に異常が解消したときは、当該特定給紙部からの給紙の異常によらない他の要因によって前記条件が成立していた可能性が高いものとして、前記条件が成立した回数を0にして、特定給紙部からの給紙の異常を適切に判定しなおすことができる。
【0013】
また、前記各給紙部と、前記各給紙部からの給紙の異常の有無を判定した結果を示す判定結果情報とを対応付けて記憶する判定結果記憶部を更に備え、前記異常判定部は、前記特定給紙部からの給紙に異常があると判定した場合、当該特定給紙部に対応付けて異常ありの判定結果を示す判定結果情報を前記判定結果記憶部に記憶し、一方、前記特定給紙部からの給紙に異常があると判定しなかった場合、当該特定給紙部に対応付けて異常なしの判定結果を示す判定結果情報を前記判定結果記憶部に記憶し、前記劣化部材特定部は、前記異常判定部によって前記特定給紙部からの給紙に異常があると判定された場合に、前記判定結果記憶部に1つだけ前記判定結果情報が記憶されているときは、当該異常があると判定された特定給紙部に対応付けて、前記ローラ情報記憶部に記憶されている給紙ローラを、劣化しているローラ部材として特定し、前記判定結果記憶部に複数の前記判定結果情報が記憶され、且つ、当該複数の前記判定結果情報のうちの全てが前記異常ありの判定結果を示すときは、当該複数の前記判定結果情報に対応付けられた複数の給紙部のそれぞれに対応付けて前記ローラ情報記憶部に記憶されている給紙ローラ及び搬送ローラのうち、当該複数の前記判定結果情報に対応付けられた全ての給紙部から給紙される記録用紙の搬送に共通して利用される搬送ローラを、劣化しているローラ部材として特定することが好ましい。
【0014】
この構成によれば、異常判定部によって特定給紙部からの給紙に異常があると判定された場合に、判定結果記憶部に1つだけ判定結果情報が記憶されているときは、当該特定給紙部からの給紙に異常があると判定された結果を示す判定結果情報だけが判定結果記憶部に新たに記憶されたものとして、当該特定給紙部に対応付けてローラ情報記憶部に記憶されている給紙ローラを、劣化しているローラ部材として適切に特定することができる。
【0015】
一方、異常判定部によって特定給紙部からの給紙に異常があると判定された場合に、判定結果記憶部に複数の判定結果情報が記憶され、且つ、当該複数の判定結果情報のうちの全てが異常ありの判定結果を示すときは、当該複数の判定結果情報に対応付けられた複数の給紙部のそれぞれに給紙の異常が発生している可能性よりも、当該複数の判定結果情報に対応付けられた全ての給紙部から給紙される記録用紙の搬送に共通して利用される搬送ローラが劣化している可能性が高いものとして、当該共通して利用される搬送ローラを劣化しているローラ部材として適切に特定することができる。
【0016】
また、前記劣化部材特定部は、前記異常判定部によって前記特定給紙部からの給紙に異常があると判定された場合に、前記判定結果記憶部に複数の前記判定結果情報が記憶され、且つ、当該複数の前記判定結果情報のうちの少なくとも1つが前記異常なしの判定結果を示すときは、当該異常があると判定された特定給紙部に対応付けて、前記ローラ情報記憶部に記憶されている給紙ローラを、劣化しているローラ部材として特定することが好ましい。
【0017】
この構成によれば、異常判定部によって特定給紙部からの給紙に異常があると判定された場合に、判定結果記憶部に複数の判定結果情報が記憶され、且つ、当該複数の判定結果情報のうちの少なくとも1つが異常なしの判定結果を示すときは、当該複数の判定結果情報に対応付けられた全ての給紙部から給紙される記録用紙の搬送に共通して利用される搬送ローラが劣化している可能性はないものとして、当該異常があると判定された特定給紙部に対応付けてローラ情報記憶部に記憶されている給紙ローラを、劣化しているローラ部材として適切に特定することができる。
【0018】
また、前記画像形成部に記録用紙を搬送するタイミングを調整するレジストローラと、前記レジストローラに記録用紙が到達したことを検出するレジストセンサと、を備え、前記センサは前記レジストセンサと兼用されていることが好ましい。
【0019】
この構成によれば、画像形成部に記録用紙を搬送するタイミングを調整するレジストローラに記録用紙が到達したことを検出するレジストセンサを、記録用紙を搬送する複数のローラ部材のうち、劣化が生じているローラ部材を特定するために設けるべきセンサとして兼用することができる。つまり、記録用紙を搬送する複数のローラ部材のうち、劣化が生じているローラ部材を特定するために、専用のセンサを設けるために係るコストを削減することできる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、記録用紙を搬送する複数のローラ部材のうち、劣化が生じているローラ部材を特定することができる安価な画像形成装置を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る画像形成装置の一例である複写機を示す構成図。
【図2】複合機の電気的構成の一例を示すブロック図。
【図3】目標搬送時間記憶部に記憶されている目標搬送時間の一例を示す説明図。
【図4】ローラ情報記憶部に記憶されている給紙ローラ及び搬送ローラの一例を示す説明図。
【図5】劣化しているローラ部材を特定する制御の一例を示すフローチャート。
【図6】劣化しているローラ部材を特定する制御の図5とは別の一例を示すフローチャート。
【図7】搬送時間が目標搬送時間よりも大きい条件が連続して成立した回数が給紙部に対応付けてメモリに記憶されている一例を示す説明図。
【図8】劣化しているローラ部材を特定する制御の図5及び図6とは別の一例を示すフローチャート。
【図9】(a)判定結果記憶部に1つだけ判定結果情報が記憶されているときの一例を示す説明図。(b)判定結果記憶部に複数の判定結果情報が記憶され、且つ、当該複数の判定結果情報のうちの全てが異常ありの判定結果を示すときの一例を示す説明図。(c)判定結果記憶部に複数の判定結果情報が記憶され、且つ、当該複数の判定結果情報のうちの少なくとも1つが異常なしの判定結果を示すときの一例を示す説明図。
【図10】(a)判定結果記憶部に1つだけ判定結果情報が記憶されているときの図9(a)とは別の一例を示す説明図。(b)判定結果記憶部に複数の判定結果情報が記憶され、且つ、当該複数の判定結果情報のうちの全てが異常ありの判定結果を示すときの図9(b)とは別の一例を示す説明図。(c)判定結果記憶部に複数の判定結果情報が記憶され、且つ、当該複数の判定結果情報のうちの少なくとも1つが異常なしの判定結果を示すときの図9(c)とは別の一例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[第一実施形態]
以下、図面を用いて本発明に係る画像形成装置の一例として、複写機の実施形態を説明する。尚、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、適宜、その説明を省略する。
【0023】
図1に示すように、複写機1は、本体部2と、本体部2の左方に配設されたスタックトレイ3と、本体部2の上部に配設された原稿読取部4と、原稿読取部4の上方に配設された原稿給送部5とを備えている。
【0024】
原稿読取部4は、CCD(Charge Coupled Device)センサと露光ランプ等の光源部とを備えるスキャナ部6と、ガラス等の透明部材により構成された原稿台7と、原稿読取スリット8とを備える。スキャナ部6の光源部は、図略の駆動部によって移動可能に構成され、原稿台7に載置された原稿を読み取るときは、原稿台7に対向する位置で原稿面に沿って移動され、原稿画像を走査しつつ取得した画像データを出力する。また、原稿給送部5により給送された原稿を読み取るときは、原稿読取スリット8と対向する位置に移動され、原稿読取スリット8を介して原稿給送部5による原稿の搬送動作と同期して原稿の画像を取得し、その画像データを出力する。
【0025】
原稿給送部5は、原稿を載置するための原稿載置部9と、画像読み取り済みの原稿を排出するための原稿排出部10と、原稿載置部9に載置された原稿を1枚ずつ繰り出して原稿読取スリット8に対向する位置へ搬送し、原稿排出部10へ排出する原稿搬送機構11を備えている。原稿搬送機構11は、更に、原稿を表裏反転させて原稿読取スリット8と対向する位置へ再搬送する用紙反転機構(図略)を備え、原稿の両面の画像を、原稿読取スリット8を介してスキャナ部6から読取可能にしている。
【0026】
原稿給送部5は、その前面側が上方に移動可能となるように原稿読取部4に対して回動自在に設けられている。原稿給送部5の前面側を上方に移動させて原稿台7の上面を開放することにより、原稿台7の上面に読み取り原稿、例えば見開き状態にされた書籍等を操作者が載置できるように構成されている。
【0027】
本体部2は、複数の給紙部30a,30b,30c,30dと、用紙搬送部40と、レジストローラ12と、レジストセンサ13と、画像形成部14とを備えている。
【0028】
給紙部30aは、画像形成部14に給紙する記録用紙を貯留するための給紙カセット31aと、給紙カセット31aから用紙を1枚ずつ繰り出す(給紙する)ための、図略のモータにより駆動される給紙ローラ32aとを備えている。給紙カセット31aは、所謂手差しトレイであり、ユーザが所望する記録用紙が適宜載置される。
【0029】
給紙部30bは、画像形成部14に給紙する記録用紙を貯留するための給紙カセット31bと、給紙カセット31bから用紙を1枚ずつ繰り出すための、図略のモータにより駆動される給紙ローラ32bとを備えている。給紙カセット31bは、本体部2に内蔵されている。
【0030】
給紙部30cは、画像形成部14に給紙する記録用紙を貯留するための給紙カセット31cと、給紙カセット31cから用紙を1枚ずつ繰り出すための、図略のモータにより駆動される給紙ローラ32cとを備えている。給紙カセット31cは、オプションカセットとして、本体部2に着脱可能に構成されている。
【0031】
給紙部30dは、画像形成部14に給紙する記録用紙を貯留するための給紙カセット31dと、給紙カセット31dから用紙を1枚ずつ繰り出すための、図略のモータにより駆動される給紙ローラ32dとを備えている。給紙カセット31dは、オプションカセットとして、本体部2に着脱可能に構成されている。
【0032】
以下では、複数の給紙部30a,30b,30c,30dを総称して説明する場合に、給紙部30と示すこととする。また、複数の給紙カセット31a,31b,31c,31dを総称して説明する場合は、給紙カセット31と示し、複数の給紙ローラ32a,32b,32c,32dを総称して説明する場合は、給紙ローラ32と示すこととする。
【0033】
用紙搬送部40は、搬送ローラ41a,41b,41c,41dを備え、給紙部30の給紙ローラ32a,32b,32c,32dから繰り出された記録用紙を画像形成部14に向けて搬送する。
【0034】
例えば、図1に示すように、給紙カセット31aから給紙ローラ32aによって給紙される記録用紙は、給紙ローラ32aと搬送ローラ41aとレジストローラ12とを通過する搬送路上を、1つの搬送ローラ41aによってレジストローラ12まで搬送された後、レジストローラ12によって画像形成部14まで搬送される。
【0035】
また、給紙カセット31bから給紙ローラ32bによって給紙される記録用紙は、給紙ローラ32bと搬送ローラ41b,41aとレジストローラ12とを通過する搬送路上を、2つの搬送ローラ41b,41aによってレジストローラ12まで搬送された後、レジストローラ12によって画像形成部14まで搬送される。
【0036】
また、給紙カセット31cから給紙ローラ32cによって給紙される記録用紙は、給紙ローラ32cと搬送ローラ41c,41b,41aとレジストローラ12とを通過する搬送路上を、3つの搬送ローラ41c,41b,41aによってレジストローラ12まで搬送された後、レジストローラ12によって画像形成部14まで搬送される。
【0037】
また、給紙カセット31dから給紙ローラ32dによって給紙される記録用紙は、給紙ローラ32dと搬送ローラ41d,41c,41b,41aとレジストローラ12とを通過する搬送路上を、4つの搬送ローラ41d,41c,41b,41aによってレジストローラ12まで搬送された後、レジストローラ12によって画像形成部14まで搬送される。
【0038】
このように、搬送ローラ41aは、4つの給紙部30a,30b,30c,30dから給紙される記録用紙を搬送するために共通して利用されている。搬送ローラ41bは、3つの給紙部30b,30c,30dから給紙される記録用紙を搬送するために共通して利用されている。搬送ローラ41cは、2つの給紙部30c,30dから給紙される記録用紙を搬送するために共通して利用されている。
【0039】
以下では、複数の搬送ローラ41a,41b,41c,41dを総称して説明する場合は、搬送ローラ41と示すこととする。
【0040】
レジストローラ12は、各給紙部30a,30b,30c,30dから給紙される記録用紙の搬送経路の合流箇所Pよりも下流側に配設されたローラ部材である。レジストローラ12は、各給紙部30a,30b,30c,30dから給紙され、各搬送路上を搬送されてきた記録用紙を画像形成部14に搬送するタイミングを調整するとともに、記録用紙の姿勢を整える。
【0041】
レジストセンサ13は、レジストローラ12の近傍に設けられている。レジストセンサ13は、例えば、光透過型センサで構成され、記録用紙の先端がレジストローラ12に到達したことを検知すると、当該検出を示す検出信号を出力する。
【0042】
画像形成部14は、スキャナ部6等で取得された画像データに基づき、レーザ光を出力して感光体ドラム15を露光する光走査装置16と、感光体ドラム15の表面に形成された静電潜像を顕像化して画像を形成する現像部17と、感光体ドラム15上に形成された画像を用紙に転写する転写ローラ18と、画像が転写された用紙を加熱して該画像を用紙に定着させる定着部19と、画像形成部14内の用紙搬送路中に設けられ、用紙をスタックトレイ3又は排出トレイ22まで搬送する排出ローラ20等とを備える。
【0043】
用紙の両面に画像を形成する場合は、画像形成部14で用紙の一方の面に画像を形成した後、この用紙を排出トレイ22側の排出ローラ20にニップされた状態とする。この状態で排出ローラ20を反転させて用紙をスイッチバックさせ、用紙を用紙搬送路Lに送って画像形成部14の上流域に再度搬送し、画像形成部14により他方の面に画像を形成した後、用紙をスタックトレイ3又は排出トレイ22に排出する。
【0044】
また、複写機1のフロント部には、操作部23が設けられている。操作部23は、ユーザが印刷実行指示を入力するためのスタートキー24と、印刷部数等を入力するためのテンキー25と、各種複写動作の操作ガイド情報等を表示し、これら各種設定入力用にタッチパネルを有する液晶ディスプレイ等からなる表示部26と、表示部26で設定された設定内容等をリセットするリセットキー27と、実行中の印刷(画像形成)動作を停止させるためのストップキー28と、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能及びファクシミリ機能を切り換えるための機能切換キー29とを備えている。
【0045】
続いて、複写機1の電気的構成について図2を用いて説明する。尚、図1に示す構成と同一の構成については同一の番号を付してその説明を省略する。複写機1は、上記の原稿読取部4、原稿給送部5、原稿搬送機構11、画像形成部14、操作部23、給紙部30、用紙搬送部40、レジストローラ12、及びレジストセンサ13に加えて、複写機1全体の制御を司る制御部50を備えている。
【0046】
制御部50には、CPUと、画像形成動作を制御する制御プログラム等、装置全体の作プログラムを記憶したROM、画像データ等を一時的に格納するとともに作業領域として機能するRAM、各種制御用パラメータの設定値を記憶する不揮発性メモリ、及びハードディスク(HDD)等のメモリ(本発明に係る記憶部の一例)が備えられ、ROMに記憶された制御プログラムがCPUにより実行されることにより、装置全体の制御が行われる。
【0047】
尚、以下では、制御部50により行われる制御のうち、本発明の趣旨である劣化しているローラ部材を特定する制御について説明する。特に、制御部50は、当該劣化しているローラ部材を特定する制御に関連して、図2の実線矩形部に示す、搬送時間測定部51、目標搬送時間記憶部52、ローラ情報記憶部53、異常判定部54、及び劣化部材特定部55として機能する。
【0048】
搬送時間測定部51は、画像形成部14によって記録用紙に画像が形成される度に、給紙部30a,30b,30c,30dのうちの何れかから、給紙ローラ32の駆動によって当該記録用紙の給紙が開始された時点から、レジストセンサ13によって当該記録用紙の到達が検出される時点までの経過時間を計測し、当該計測した経過時間を搬送時間としてメモリに記憶する。
【0049】
目標搬送時間記憶部52は、メモリにおける記憶領域の一部として構成されている。そして、目標搬送時間記憶部52には、製品出荷前の試験運転等の実験値に基づいて、各給紙部30a,30b,30c,30dにおける、記録用紙の給紙が開始された時点から、レジストセンサ13によって当該記録用紙の到達が検出される時点までの経過時間の目標値が、各給紙部30a,30b,30c,30dと対応付けて目標搬送時間として予め記憶されている。
【0050】
例えば、図3に示すように、目標搬送時間記憶部52には、給紙部30aから給紙ローラ32aの駆動によって記録用紙の給紙が開始された時点から、レジストセンサ13によって当該記録用紙の到達が検出される時点までの経過時間の目標値として、目標搬送時間Taが給紙部30aと対応付けて予め記憶されている。
【0051】
これと同様にして、目標搬送時間記憶部52には、給紙部30bから給紙ローラ32bの駆動によって記録用紙の給紙が開始された時点から、レジストセンサ13によって当該記録用紙の到達が検出される時点までの経過時間の目標値として、目標搬送時間Tbが給紙部30bと対応付けて予め記憶されている。
【0052】
また、目標搬送時間記憶部52には、給紙部30cから給紙ローラ32cの駆動によって記録用紙の給紙が開始された時点から、レジストセンサ13によって当該記録用紙の到達が検出される時点までの経過時間の目標値として、目標搬送時間Tcが給紙部30cと対応付けて予め記憶されている。
【0053】
また、目標搬送時間記憶部52には、給紙部30dから給紙ローラ32dの駆動によって記録用紙の給紙が開始された時点から、レジストセンサ13によって当該記録用紙の到達が検出される時点までの経過時間の目標値として、目標搬送時間Tdが給紙部30dと対応付けて予め記憶されている。
【0054】
図2に戻り、ローラ情報記憶部53は、メモリにおける記憶領域の一部として構成されている。そして、ローラ情報記憶部53には、各給紙部30a,30b,30c,30dと、各給紙部30a,30b,30c,30dからレジストセンサ13まで記録用紙を搬送するために用いられる給紙ローラ及び搬送ローラを特定する情報とが、対応付けて予め記憶されている。
【0055】
例えば、図4に示すように、ローラ情報記憶部53には、給紙部30aからレジストセンサ13まで記録用紙を搬送するために用いられる、給紙ローラ32aと搬送ローラ41aとを特定する情報(図中の、「32a」,「41a」)が、給紙部30aと対応付けて予め記憶されている。
【0056】
これと同様にして、ローラ情報記憶部53には、給紙部30bからレジストセンサ13まで記録用紙を搬送するために用いられる、給紙ローラ32bと搬送ローラ41b,41aとを特定する情報(図中の、「32b」,「41b」,「41a」)が、給紙部30bと対応付けて予め記憶されている。
【0057】
また、ローラ情報記憶部53には、給紙部30cからレジストセンサ13まで記録用紙を搬送するために用いられる、給紙ローラ32cと搬送ローラ41c,41b,41aとを特定する情報(図中の、「32c」,「41c」,「41b」,「41a」)が、給紙部30cと対応付けて予め記憶されている。
【0058】
また、ローラ情報記憶部53には、給紙部30dからレジストセンサ13まで記録用紙を搬送するために用いられる、給紙ローラ32dと搬送ローラ41d,41c,41b,41aとを特定する情報(図中の、「32c」,「41d」,「41c」,「41b」,「41a」)が、給紙部30dと対応付けて予め記憶されている。
【0059】
図2に戻り、異常判定部54は、搬送時間測定部51によって測定された搬送時間が目標搬送時間記憶部52に記憶されている目標搬送時間よりも大きい場合に、当該搬送時間の測定に係る記録用紙を給紙した給紙部30である特定給紙部からの給紙に異常があると判定する。
【0060】
例えば、画像形成部14によって給紙部30bから給紙される記録用紙に画像が形成される際に、搬送時間測定部51によって、給紙部30bに備えられた給紙ローラ32bの駆動によって当該記録用紙の給紙が開始された時点から、レジストセンサ13によって当該記録用紙の到達が検出される時点までの経過時間が計測され、当該計測した経過時間が示す搬送時間が目標搬送時間よりも大きい場合、異常判定部54は、当該搬送時間の測定に係る記録用紙を給紙した給紙部30bを特定給紙部として、当該特定給紙部30bからの給紙に異常があると判定する。
【0061】
また、画像形成部14によって給紙部30cから給紙される記録用紙に画像が形成される際に、搬送時間測定部51によって、給紙部30cに備えられた給紙ローラ32cの駆動によって当該記録用紙の給紙が開始された時点から、レジストセンサ13によって当該記録用紙の到達が検出される時点までの経過時間が計測され、当該計測した経過時間が示す搬送時間が目標搬送時間よりも大きい場合、異常判定部54は、当該搬送時間の測定に係る記録用紙を給紙した給紙部30cを特定給紙部として、当該特定給紙部30cからの給紙に異常があると判定する。
【0062】
このように、異常判定部54は、画像形成部14によって画像が形成される記録用紙の給紙元となる給紙部30を特定給紙部として、画像形成部14による画像形成の都度、判定対象となる特定給紙部を適宜切り替えて、当該特定給紙部からの給紙に異常があるか否かを判定する。
【0063】
図2に戻り、劣化部材特定部55は、異常判定部54によって特定給紙部からの給紙に異常があると判定された場合に、当該特定給紙部に対応付けてローラ情報記憶部53に記憶されている給紙ローラ及び搬送ローラを、劣化しているローラ部材として特定する。
【0064】
続いて、制御部50によって行われる、劣化しているローラ部材を特定する制御における処理の流れについて詳述する。
【0065】
図5は、給紙部30aに備えられた給紙カセット31aから記録用紙の給紙を行う場合に、制御部50によって行われる、劣化しているローラ部材を特定する制御における処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0066】
図5に示すように、制御部50は、例えば、操作部23から入力された印刷実行指示に基づいて、給紙カセット31aに貯留されている記録用紙に対する画像形成部14による画像形成動作を開始すると(S1)、当該給紙カセット31aを備えた給紙部30aからの記録用紙の給紙を開始すべく、当該給紙部30aに備えられた給紙ローラ32aの駆動を開始させる(S2)。
【0067】
制御部50によって、給紙ローラ32aの駆動が開始されると、搬送時間測定部51は、当該給紙ローラ32aの駆動の開始時点からの経過時間の計測を開始し(S3)、レジストセンサ13からレジストローラ12に記録用紙が到達したことを示す検出信号が出力された時点(S4;YES)で当該経過時間の計測を終了し、当該計測した経過時間を搬送時間としてメモリに一旦記憶する(S5)。
【0068】
次に、異常判定部54は、ステップS2で駆動された給紙ローラ32aを備えた特定給紙部としての給紙部30aに対応付けられた目標搬送時間Ta(図3)を、目標搬送時間記憶部52から読み出して、ステップS5で一旦記憶された搬送時間との比較を行う(S6)。
【0069】
ステップS6による比較結果、搬送時間が目標搬送時間Taよりも大きい場合(S6;YES)、異常判定部54は、特定給紙部としての給紙部30aからの給紙に異常があると判定する(S7)。
【0070】
ステップS7が行われた場合、劣化部材特定部55は、特定給紙部としての給紙部30aに対応付けてローラ情報記憶部53に記憶されている給紙ローラ32a及び搬送ローラ41aを、劣化しているローラ部材として特定し、当該給紙ローラ32a及び搬送ローラ41aが劣化していることを示す検出信号を制御部50に向けて出力する(S8)。
【0071】
そして、制御部50は、当該受信した検出信号が示す、給紙ローラ32a及び搬送ローラ41aが劣化していることを、例えば、操作部23に備えられた表示部26(図1)に警告表示し(S9)、画像形成部14による画像形成動作を終了する。
【0072】
一方、ステップS6による比較結果、搬送時間が目標搬送時間Ta以下である場合は(S6;NO)、制御部50は、ステップS4でレジストローラ12にまで搬送された記録用紙に対して画像形成するように画像形成部14を動作させる(S10)。そして、制御部50は、指示された枚数分の画像形成動作が終了していない場合(S11;NO)は、次の記録用紙に対して画像形成させるべく、ステップS2の処理を行い、一方、指示された枚数分の画像形成動作が終了した場合(S11;YES)は、画像形成部14による画像形成動作を終了する。
【0073】
尚、図5においては、特定給紙部が給紙部30aであるときを例示しているが、他の給紙部30b,30c,30dが画像形成対象の記録用紙の給紙元の給紙部として選択された場合は、選択された給紙部が特定給紙部となる。そして、図5のステップS2において、上記選択された給紙部に備えられた給紙ローラが駆動され、ステップS7,S8において、上記選択された給紙部が給紙部30aの代わりに用いられる。そして、図5と同様の処理の流れによって、劣化しているローラ部材を特定する制御が行われる。
【0074】
例えばその一例として、制御部50は、ステップS1において、給紙カセット31dに貯留している記録用紙に対する画像形成部14による画像形成動作を開始した場合は、ステップS2において、給紙カセット31dを備えた給紙部30dからの記録用紙の給紙を開始すべく、給紙部30dに備えられた給紙ローラ32dの駆動を開始する。
【0075】
次に、制御部50によって、給紙ローラ32dの駆動が開始されると、搬送時間測定部51は、当該給紙ローラ32dの駆動の開始時点からの経過時間の計測を開始し(S3)、レジストセンサ13からレジストローラ12に記録用紙が到達したことを示す検出信号が出力された時点(S4;YES)で当該経過時間の計測を終了し、当該計測した経過時間を搬送時間としてメモリに一旦記憶する(S5)。
【0076】
次に、異常判定部54は、ステップS6において、特定給紙部としての給紙部30dに対応付けられた目標搬送時間Td(図3)と、ステップS5で一旦記憶された搬送時間との比較を行い、当該搬送時間が目標搬送時間Tdよりも大きい場合は(S6;YES)、ステップS7において、給紙部30dからの給紙に異常があると判定する。
【0077】
そして、劣化部材特定部55は、ステップS8において、特定給紙部としての給紙部30dに対応付けてローラ情報記憶部53に記憶されている給紙ローラ32d及び搬送ローラ41d,41c,41b,41a(図4)を、劣化しているローラ部材として特定し、当該給紙ローラ32d及び搬送ローラ41d,41c,41b,41aが劣化していることを示す検出信号を制御部50に向けて出力する。
【0078】
尚、制御部50は、ステップS9において、劣化部材特定部55から受信した検出信号が示す、劣化している給紙ローラ及び搬送ローラを示す情報をメモリに累積して記憶し、メモリに記憶されている給紙ローラ及び搬送ローラを示す情報に従って、当該情報が示す給紙ローラ及び搬送ローラが劣化していることを表示部26に表示するようにしてもよい。そして、例えば、操作部23によって削除指示が入力された場合等に、メモリに記憶した劣化している給紙ローラ及び搬送ローラを示す情報を削除するように構成してもよい。
【0079】
また、ステップS9において、制御部50は、劣化部材特定部55から受信した検出信号が示す、給紙ローラ及び搬送ローラが劣化していることを表示部26に表示することに代えて、例えば、ステップS4でレジストローラ12に到達した記録用紙を、画像形成させることなくそのまま排出させた後、当該給紙ローラ及び当該搬送ローラの回転速度を予め定められた速度分だけ速め、再びステップS2以降の処理を行うように構成してもよい。
【0080】
つまり、第一実施形態の構成によれば、記録用紙を搬送するために用いられる給紙ローラ及び搬送ローラのうち、劣化しているローラを特定するために設けるセンサを、レジストセンサ13のみに制限することができる。これによって、記録用紙を搬送するために用いられる給紙ローラ及び搬送ローラのうち、劣化しているローラを特定するために、給紙ローラ及び搬送ローラのそれぞれの近傍に、記録用紙の到達を検出するセンサを設ける必要がなくなり、当該センサを設けるためにコストをかけることを回避することができる。
【0081】
また、上記第一実施形態の構成において、レジストセンサ13とは別に、レジストローラ12と搬送ローラ41aとの間に、記録用紙の到達を検出するセンサを更に設け、当該センサを上記レジストセンサ13に代えて用いるように、搬送時間測定部51、目標搬送時間記憶部52、及びローラ情報記憶部53を構成してもよい。ただし、この場合、上記第一実施形態の構成に比して、当該センサを設けるためのコストが必要になる。
【0082】
[第二実施形態]
以下の第二実施形態の説明では、第一実施形態とは異なる部分についてのみ詳述し、第一実施形態と同じ部分については説明を省略する。
【0083】
第二実施形態の構成では、異常判定部54は、同一の特定給紙部についてステップS6における搬送時間が目標搬送時間よりも大きくなる条件が成立した回数を計数し、同一の特定給紙部について前記条件が連続して複数回成立し、且つ、前記計数された回数が予め定められた設定回数を超えた場合に、その特定給紙部からの給紙に異常があると判定する。
【0084】
また、異常判定部54は、同一の特定給紙部について、前記計数された回数が前記設定回数に到達する前に、その特定給紙部による給紙の際にステップS6における搬送時間が目標搬送時間よりも大きくなる条件が成立しなかったとき、その特定給紙部について計数された回数を0にする。
【0085】
図6は、第二実施形態の構成において、給紙部30aに備えられた給紙カセット31aから記録用紙の給紙を行う場合に、制御部50によって行われる、劣化しているローラ部材を特定する制御における処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0086】
図6に示すように、異常判定部54は、ステップS6において、搬送時間が目標搬送時間Ta(図3)よりも大きい場合(S6;YES)、ステップS2で駆動が開始された給紙ローラ32aを備えた特定給紙部としての給紙部30aに対応付けてメモリに記憶されている条件連続成立回数Ca(本発明に係る計数された回数の一例)に1加算する(S21)。
【0087】
例えば、図7に示すように、異常判定部54は、ステップS21において、特定給紙部としての給紙部30aに対応付けてメモリに記憶されている条件連続成立回数「4」に1加算し、当該加算結果の「5」を、当該給紙部30aに対応付けて条件連続成立回数Caとしてメモリに記憶する。
【0088】
尚、異常判定部54は、ステップS21において、特定給紙部としての給紙部30aに対応付けて条件連続成立回数Caが未だメモリに記憶されていない場合は、当該給紙部30aに対応付けて条件連続成立回数Caを初期値の「1」として記憶する。
【0089】
次に、異常判定部54は、特定給紙部としての給紙部30aに対応付けてメモリに記憶されている条件連続成立回数Caが予め定められた設定回数よりも大きいか否かを判断する(S22)。
【0090】
ここで、異常判定部54は、ステップS22において、当該条件連続成立回数Caが予め定められた設定回数よりも大きくないと判断した場合(S22;NO)、特定給紙部としての給紙部30aからの給紙に異常がないものとして、制御部50にステップS10以降の処理を実行させる。
【0091】
そして、例えば、他の給紙部30b,30c,30dから給紙される記録用紙への画像形成動作等が行われる等した後、ステップS1において、給紙部30aから給紙される記録用紙への画像形成動作が開始された場合は、ステップS2において給紙ローラ32aの駆動が開始され、ステップS3以降の処理が行われる。
【0092】
そして、ステップS6において、搬送時間が目標搬送時間Ta(図3)よりも大きい場合(S6;YES)、異常判定部54は、ステップS21において、ステップS2で駆動が開始された給紙ローラ32aを備えた特定給紙部としての給紙部30aに対応付けてメモリに記憶されている条件連続成立回数Caに1加算する。
【0093】
このようにして、同一の特定給紙部についてのステップS6の肯定判定結果が累積して加算され、当該加算結果が各特定給紙部に対応付けて条件連続成立回数としてメモリに記憶される。
【0094】
図6に戻り、異常判定部54は、ステップS22において、特定給紙部としての給紙部30aに対応付けてメモリに記憶されている条件連続成立回数Caが、予め定められた設定回数よりも大きいと判断した場合(S22;YES)、特定給紙部としての給紙部30aからの給紙に異常があると判定する(S7)。
【0095】
例えば、予め定められた設定回数が「4」であり、上記具体例に示したように、ステップS21の実行後、特定給紙部としての給紙部30aに対応付けて条件連続成立回数Caが「5」としてメモリに記憶されているとすると、ステップS22において、異常判定部54は、当該条件連続成立回数「5」が予め定められた設定回数「4」よりも大きいと判断して、ステップS7を実行する。
【0096】
つまり、異常判定部54は、ステップS6において、搬送時間が目標搬送時間よりも大きいことが、予め定められた設定回数よりも多くの回数連続して発生していない間は、例えば、急激な振動が複写機1に与えられたこと等に起因して、突発的にステップS6の肯定的な結果を招いたものとして、特定給紙部からの給紙に異常が発生しているとは判定しない。
【0097】
そして、異常判定部54は、ステップS6において、搬送時間が目標搬送時間よりも大きいことが、予め定められた設定回数よりも多くの回数連続して発生した場合に限り、特定給紙部からの給紙に異常が発生していると判定する。つまり、ステップS6において、突発的に肯定的な判定結果になったことによって、特定給紙部からの給紙に異常が発生していると誤判定する虞を低減することができる。
【0098】
一方、異常判定部54は、ステップS6において、搬送時間が目標搬送時間Taよりも大きくない場合は(S6;NO)、突発的にステップS6において肯定的な判定結果を招く状況がなくなったものと考えられるので、特定給紙部としての給紙部30aに対応付けてメモリに記憶されている条件連続成立回数Caを0に設定(クリア)した後(S23)、制御部50にステップS10以降の処理を実行させる。
【0099】
例えば、ローラ部材に磨耗や紙粉によるすべりが発生した場合等、特定給紙部からの給紙に異常が発生した場合、自然に異常が解消することはない。したがって、メモリに記憶されている条件連続設立回数が予め定められた設定回数に到達する前に、ステップS6において、当該条件連続設立回数に対応付けられた給紙部30から給される記録用紙の搬送時間が目標搬送時間以下に低減され、つまり、特定給紙部による給紙の際に前記条件が成立しなかったときは、自然に異常が解消したものと考えられる。
【0100】
第二実施形態の構成によれば、このようなときに、当該特定給紙部からの給紙の異常によらない他の要因によって前記条件が成立していた可能性が高いものとして、当該特定給紙部に対応付けられた前記条件が成立した回数を0にして、当該特定給紙部からの給紙の異常を適切に判定しなおすことができる。
【0101】
尚、図6においては、特定給紙部が給紙部30aであるときを例示しているが、他の給紙部30b,30c,30dが画像形成対象の記録用紙の給紙元の給紙部として選択された場合は、選択された給紙部が特定給紙部となる。そして、図6のステップS2において、上記選択された給紙部に備えられた給紙ローラが駆動され、ステップS7,S8,S21,S22,S23において、上記選択された給紙部が給紙部30aの代わりに用いられる。そして、図6と同様の処理の流れによって、劣化しているローラ部材を特定する制御が行われる。
【0102】
例えばその一例として、制御部50は、ステップS1において、給紙カセット31bに貯留している記録用紙に対する画像形成部14による画像形成動作を開始した場合は、ステップS2において、給紙カセット31bを備えた給紙部30bからの記録用紙の給紙を開始すべく、給紙部30bに備えられた給紙ローラ32bの駆動を開始する。
【0103】
その後、異常判定部54は、ステップS6において、給紙部30bによって記録用紙が搬送された際に、搬送時間測定部51により計測された搬送時間が目標搬送時間Tb(図3)よりも大きい場合に、ステップS21において、当該特定給紙部としての給紙部30bに対応付けてメモリに記憶されている条件連続成立回数Cb(図7)を1加算する。そして、異常判定部54は、ステップS22において、特定給紙部としての給紙部30bに対応付けてメモリに記憶されている条件連続成立回数Cbが予め定められた設定回数よりも大きいか否かを判断する。また、異常判定部54は、ステップS6において、搬送時間が目標搬送時間Tbよりも大きくない場合は(S6;NO)、特定給紙部としての給紙部30bに対応付けてメモリに記憶されている条件連続成立回数Cbを0に設定(クリア)した後(S23)、制御部50にステップS10以降の処理を実行させる。
【0104】
尚、第二実施形態の構成において、図6に示した、制御部50によって行われる、劣化しているローラ部材を特定する制御を、ステップS23を実行しない簡易な制御として構成してもよい。また、これに合わせて、当該劣化していると特定されたローラ部材の交換時等に、当該ローラ部材を用いて記録用紙を搬送する全ての給紙部に対応付けてメモリに記憶されている条件連続成立回数をクリアしてもよい。
【0105】
[第三実施形態]
以下の第三実施形態の説明では、第一実施形態又は第二実施形態とは異なる部分についてのみ詳述し、第一実施形態又は第二実施形態と同じ部分については説明を省略する。
【0106】
第三実施形態の構成では、図2の破線矩形部に示すように、制御部50は、更に、判定結果記憶部56として機能する。
【0107】
判定結果記憶部56は、メモリにおける記憶領域の一部として構成されている。そして、判定結果記憶部56には、各給紙部30a,30b,30c,30dと、異常判定部54によって各給紙部30a,30b,30c,30dからの給紙の異常の有無を判定した結果を示す判定結果情報と、が対応付けて記憶される。
【0108】
例えば、図8は、第三実施形態の構成において、給紙部30aに備えられた給紙カセット31aから記録用紙の給紙を行う場合に、制御部50によって行われる、劣化しているローラ部材を特定する制御における処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0109】
図8に示すように、第三実施形態の構成では、異常判定部54は、ステップS6又はステップS22において、否定的な判定結果(S6;NO又はS22;NO)であり、ステップS7を行わなかった場合、つまり、特定給紙部としての給紙部30aからの給紙に異常があると判定しなかった場合は、当該特定給紙部としての給紙部30aに対応付けて異常なしの判定結果を示す判定結果情報を判定結果記憶部56に記憶する(S36)。
【0110】
一方、異常判定部54は、ステップS6及びステップS22において肯定的な判定結果(S6;YES及びS22;YES)であり、ステップS7を行った場合、つまり、特定給紙部としての給紙部30aからの給紙に異常があると判定した場合は、当該特定給紙部としての給紙部30aに対応付けて異常ありの判定結果を示す判定結果情報を判定結果記憶部56に記憶する(S31)。
【0111】
ステップS31を行った後、劣化部材特定部55は、判定結果記憶部56に判定結果情報が複数記億され(S32;YES)、且つ、当該複数の判定結果情報のうちの全てが異常ありの判定結果を示すとき(S33;YES)は、当該複数の判定結果情報に対応付けられた全ての給紙部から給紙される記録用紙の搬送に共通して利用される搬送ローラが劣化している可能性が高いものと判断する。
【0112】
そして、劣化部材特定部55は、当該複数の判定結果情報に対応付けられた全ての給紙部のそれぞれに対応付けてローラ情報記憶部53に記憶されている給紙ローラ及び搬送ローラのうち、当該複数の判定結果情報に対応付けられた全ての給紙部から給紙される記録用紙の搬送に共通して利用される搬送ローラを、劣化しているローラ部材として特定し、当該共通して利用される搬送ローラが劣化していることを示す検出信号を制御部50に向けて出力する(S35)。そして、制御部50は、ステップS9の処理を実行する。
【0113】
一方、劣化部材特定部55は、ステップ32において、判定結果記憶部56に判定結果情報が1つだけ記億されている場合には(S32;NO)、特定給紙部に備えられた給紙ローラが劣化している可能性が高いものと判断して、当該特定給紙部としての給紙部30aに対応付けてローラ情報記憶部53に記憶されている給紙ローラ32aを、劣化しているローラ部材として特定し、当該給紙ローラ32aが劣化していることを示す検出信号を制御部50に向けて出力する(S34)。そして、制御部50は、ステップS9の処理を実行する。
【0114】
また、劣化部材特定部55は、ステップ32において、判定結果記憶部56に判定結果情報が複数記億され(S32;YES)、且つ、当該複数の判定結果情報のうちの全てが異常ありの判定結果を示さないとき、つまり、当該該複数の判定結果情報のうちの少なくとも1つが異常なしの判定結果を示すとき(S33;NO)にも、特定給紙部に備えられた給紙ローラが劣化している可能性が高いものと判断して、当該特定給紙部としての給紙部30aに対応付けてローラ情報記憶部53に記憶されている給紙ローラ32aを、劣化しているローラ部材として特定し、当該給紙ローラ32aが劣化していることを示す検出信号を制御部50に向けて出力する(S34)。そして、制御部50は、ステップS9の処理を実行する。
【0115】
具体的には、例えば、図9(a)に示すように、異常判定部54は、ステップS7において特定給紙部としての給紙部30aからの給紙に異常があると判定すると、ステップS31において、給紙部30aに対応付けて異常ありの判定結果を示す判定結果情報を判定結果記憶部56に記憶する。そして、劣化部材特定部55は、ステップS32において、判定結果記憶部56に判定結果情報が1つだけ記億されているため(S32;NO)、ステップS34を実行する。
【0116】
このように、異常判定部54によって特定給紙部としての給紙部30aからの給紙に異常があると判定された場合に、判定結果記憶部56に1つだけ判定結果情報が記憶されているときは、当該特定給紙部としての給紙部30aからの給紙に異常があると判定された結果を示す判定結果情報だけが判定結果記憶部56に新たに記憶されたものとして、当該特定給紙部としての給紙部30aに対応付けてローラ情報記憶部53に記憶されている給紙ローラ32a(図4)を、劣化しているローラ部材として適切に特定することができる。
【0117】
また、例えば、図9(b)に示すように、既に、給紙部30cに対応付けて異常ありの判定結果を示す判定結果情報が判定結果記憶部56に記憶されている場合に、異常判定部54は、ステップS7において特定給紙部としての給紙部30aからの給紙に異常があると判定すると、ステップS31において、給紙部30aに対応付けて異常ありの判定結果を示す判定結果情報を判定結果記憶部56に記憶する。そして、劣化部材特定部55は、ステップS32において、判定結果記憶部56に判定結果情報が複数記億されているため(S32;YES)、ステップS33を実行する。
【0118】
この場合、判定結果記憶部56に記憶されている複数の判定結果情報の全てが異常ありの判定結果を示すため(S33;YES)、劣化部材特定部55は、ステップS35を実行し、当該複数の判定結果情報に対応付けられた全ての給紙部30a,30cのそれぞれに対応付けてローラ情報記憶部53に記憶されている給紙ローラ32a,32c及び搬送ローラ41c,41b,41aのうち(図4)、当該複数の判定結果情報に対応付けられた全ての給紙部30a,30cから給紙される記録用紙の搬送に共通して利用される搬送ローラ41aを、劣化しているローラ部材として特定し、当該共通して利用される搬送ローラ41aが劣化していることを示す検出信号を制御部50に向けて出力する。
【0119】
このように、異常判定部54によって特定給紙部としての給紙部30aからの給紙に異常があると判定された場合に、判定結果記憶部56に複数の判定結果情報が記憶され、且つ、当該複数の判定結果情報のうちの全てが異常ありの判定結果を示すときは、当該複数の判定結果情報に対応付けられた複数の給紙部のそれぞれに給紙の異常が発生している可能性よりも、当該複数の判定結果情報に対応付けられた全ての給紙部から給紙される記録用紙の搬送に共通して利用される搬送ローラが劣化している可能性が高いものとして、当該共通して利用される搬送ローラを劣化しているローラ部材として適切に特定することができる。
【0120】
また、別の具体例として、図9(c)に示すように、既に、給紙部30cに対応付けて異常なしの判定結果を示す判定結果情報が判定結果記憶部56に記憶されている場合に、異常判定部54は、ステップS7において特定給紙部としての給紙部30aからの給紙に異常があると判定すると、ステップS31において、給紙部30aに対応付けて異常ありの判定結果を示す判定結果情報を判定結果記憶部56に記憶する。そして、劣化部材特定部55は、ステップS32において、判定結果記憶部56に判定結果情報が複数記億されているため(S32;YES)、ステップS33を実行する。
【0121】
この場合、判定結果記憶部56に記憶されている複数の判定結果情報の全てが異常ありの判定結果を示さないため、つまり、当該該複数の判定結果情報のうちの少なくとも1つが異常なしの判定結果を示すため(S33;NO)、劣化部材特定部55は、ステップS34を実行する。
【0122】
このように、異常判定部54によって特定給紙部としての給紙部30aからの給紙に異常があると判定された場合に、判定結果記憶部56に複数の判定結果情報が記憶され、且つ、当該複数の判定結果情報のうちの少なくとも1つが異常なしの判定結果を示すときは、当該複数の判定結果情報に対応付けられた全ての給紙部から給紙される記録用紙の搬送に共通して利用される搬送ローラが劣化している可能性はないものとして、当該異常があると判定された特定給紙部としての給紙部30aに対応付けてローラ情報記憶部53に記憶されている給紙ローラ32aを、劣化しているローラ部材として適切に特定することができる。
【0123】
尚、図8においては、特定給紙部が給紙部30aであるときを例示しているが、他の給紙部30b,30c,30dが画像形成対象の記録用紙の給紙元の給紙部として選択された場合は、選択された給紙部が特定給紙部となる。そして、図8のステップS2において、上記選択された給紙部に備えられた給紙ローラが駆動され、ステップS7,S8,S21,S22,S23,S31,S34,S36において、上記選択された給紙部が給紙部30aの代わりに用いられる。そして、図8と同様の処理の流れによって、劣化しているローラ部材を特定する制御が行われる。
【0124】
例えばその一例として、制御部50は、ステップS1において、給紙カセット31bに貯留している記録用紙に対する画像形成部14による画像形成動作を開始した場合は、ステップS2において、給紙カセット31bを備えた給紙部30bからの記録用紙の給紙を開始すべく、給紙部30bに備えられた給紙ローラ32bの駆動を開始する。
【0125】
そして、例えば、図10(a)に示すように、異常判定部54は、ステップS7において特定給紙部としての給紙部30bからの給紙に異常があると判定すると、ステップS31において、給紙部30bに対応付けて異常ありの判定結果を示す判定結果情報を判定結果記憶部56に記憶する。
【0126】
そして、劣化部材特定部55は、ステップS32において、判定結果記憶部56に判定結果情報が1つだけ記億されているため(S32;NO)、ステップS34を実行し、当該特定給紙部としての給紙部30bに対応付けてローラ情報記憶部53に記憶されている給紙ローラ32bを、劣化しているローラ部材として特定し、当該給紙ローラ32bが劣化していることを示す検出信号を制御部50に向けて出力する。
【0127】
また、例えば、図10(b)に示すように、既に、給紙部30cに対応付けて異常ありの判定結果を示す判定結果情報が判定結果記憶部56に記憶されている場合に、異常判定部54は、ステップS7において特定給紙部としての給紙部30bからの給紙に異常があると判定すると、ステップS31において、給紙部30bに対応付けて異常ありの判定結果を示す判定結果情報を判定結果記憶部56に記憶する。そして、劣化部材特定部55は、ステップS32において、判定結果記憶部56に判定結果情報が複数記億されているため(S32;YES)、ステップS33を実行する。
【0128】
この場合、判定結果記憶部56に記憶されている複数の判定結果情報の全てが異常ありの判定結果を示すため(S33;YES)、劣化部材特定部55は、ステップS35を実行し、当該複数の判定結果情報に対応付けられた全ての給紙部30b,30cのそれぞれに対応付けてローラ情報記憶部53に記憶されている給紙ローラ32b,32c及び搬送ローラ41c,41b,41aのうち、当該複数の判定結果情報に対応付けられた全ての給紙部30b,30cから給紙される記録用紙の搬送に共通して利用される搬送ローラ41b,41aを、劣化しているローラ部材として特定し、当該共通して利用される搬送ローラ41b,41aが劣化していることを示す検出信号を制御部50に向けて出力する。
【0129】
また、別の具体例として、図10(c)に示すように、既に、給紙部30cに対応付けて異常なしの判定結果を示す判定結果情報が判定結果記憶部56に記憶されている場合に、異常判定部54は、ステップS7において特定給紙部としての給紙部30bからの給紙に異常があると判定すると、ステップS31において、給紙部30bに対応付けて異常ありの判定結果を示す判定結果情報を判定結果記憶部56に記憶する。そして、劣化部材特定部55は、ステップS32において、判定結果記憶部56に判定結果情報が複数記億されているため(S32;YES)、ステップS33を実行する。
【0130】
この場合、判定結果記憶部56に記憶されている複数の判定結果情報の全てが異常ありの判定結果を示さないため、つまり、当該該複数の判定結果情報のうちの少なくとも1つが異常なしの判定結果を示すため(S33;NO)、劣化部材特定部55は、ステップS34を実行し、特定給紙部としての給紙部30bに対応付けてローラ情報記憶部53に記憶されている給紙ローラ32bを、劣化しているローラ部材として特定し、当該給紙ローラ32bが劣化していることを示す検出信号を制御部50に向けて出力する。
【0131】
また、図8に示した、制御部50によって行われる、劣化しているローラ部材を特定する制御を、ステップS21,ステップS22,及びステップS23を実行しない簡易な制御として構成してもよい。
【0132】
また、図8に示した、制御部50によって行われる、劣化しているローラ部材を特定する制御のステップS33において、判定結果記憶部56に記憶されている複数の判定結果情報の全てが異常ありの判定結果を示さない場合、つまり、当該該複数の判定結果情報のうちの少なくとも1つが異常なしの判定結果を示す場合には、ステップS8(図5、図6)を行うように構成してもよい。
【0133】
また、本発明は、上記実施形態の構成に限られず種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、本発明に係る画像形成装置の一例として複写機1について説明したが、これに限らず、本発明に係る画像形成装置は、カラー画像形成用のカラープリンタや、スキャナ装置、ファクシミリ装置、プリンタ装置及びコピー装置であってもよい。
【0134】
また、上記実施形態において図1乃至図10に示した構成及び設定は単なる一例に過ぎず、本発明を当該実施形態に限定する趣旨ではない。
【0135】
例えば、上記実施形態の構成において、本体部2に備えられる給紙部30の数や、各給紙部30a,30b,30c,30dの構成を変更してもよい。また、用紙搬送部40の構成についても、給紙部30の数や、各給紙部30a,30b,30c,30dの構成に応じて、適宜変更してもよい。
【符号の説明】
【0136】
1 複写機(画像形成装置)
13 レジストセンサ(センサ)
14 画像形成部
30(30a,30b,30c,30d) 給紙部
32(32a,32b,32c,32d) 給紙ローラ
40 用紙搬送部
41(41a,41b,41c,41d) 搬送ローラ
50 制御部
51 搬送時間測定部
52 目標搬送時間記憶部
53 ローラ情報記憶部
54 異常判定部
55 劣化部材特定部
56 判定結果記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録用紙に画像を形成する画像形成部と、
前記記録用紙を給紙する給紙ローラを備えた複数の給紙部と、
前記各給紙部から前記画像形成部へ前記記録用紙を搬送するための搬送路と、
前記各給紙部から給紙される記録用紙を前記搬送路を介して前記画像形成部へ搬送する1又は複数の搬送ローラを備えた用紙搬送部と、
前記搬送路における、前記各給紙部からの前記記録用紙の搬送経路の合流箇所よりも下流側に配設され、前記記録用紙の到達を検出するセンサと、
前記画像形成部による記録用紙への画像の形成が開始される度に、前記複数の給紙部のうちの何れかから、前記給紙ローラを用いて当該記録用紙の給紙が開始された時点から、前記センサによって当該記録用紙の到達が検出される時点までの経過時間を搬送時間として測定する搬送時間測定部と、
前記各給紙部から記録用紙の給紙が開始された時点から、前記センサによって当該記録用紙の到達が検出される時点までの目標経過時間を前記各給紙部と対応付けて予め目標搬送時間として記憶する目標搬送時間記憶部と、
前記各給紙部と、前記各給紙部から前記センサまで前記記録用紙を搬送するために用いられる給紙ローラ及び搬送ローラを特定する情報とを、対応付けて予め記憶するローラ情報記憶部と、
前記搬送時間測定部によって測定された搬送時間が前記目標搬送時間記憶部に記憶されている目標搬送時間よりも大きい場合に、当該搬送時間の測定に係る記録用紙を給紙した前記給紙部である特定給紙部からの給紙に異常があると判定する異常判定部と、
前記異常判定部によって前記特定給紙部からの給紙に異常があると判定された場合に、当該特定給紙部に対応付けて前記ローラ情報記憶部に記憶されている給紙ローラ及び搬送ローラを、劣化しているローラ部材として特定する劣化部材特定部と、
を備える画像形成装置。
【請求項2】
前記異常判定部は、同一の前記特定給紙部について前記搬送時間が前記目標搬送時間よりも大きくなる条件が成立した回数を計数し、同一の前記特定給紙部について前記条件が連続して複数回成立し、且つ、前記計数された回数が予め定められた設定回数を超えた場合に、その特定給紙部からの給紙に異常があると判定する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記異常判定部は、同一の前記特定給紙部について、前記計数された回数が前記設定回数に到達する前に、その特定給紙部による給紙の際に前記条件が成立しなかったとき、その特定給紙部について計数された回数を0にする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記各給紙部と、前記各給紙部からの給紙の異常の有無を判定した結果を示す判定結果情報とを対応付けて記憶する判定結果記憶部を更に備え、
前記異常判定部は、前記特定給紙部からの給紙に異常があると判定した場合、当該特定給紙部に対応付けて異常ありの判定結果を示す判定結果情報を前記判定結果記憶部に記憶し、一方、前記特定給紙部からの給紙に異常があると判定しなかった場合、当該特定給紙部に対応付けて異常なしの判定結果を示す判定結果情報を前記判定結果記憶部に記憶し、
前記劣化部材特定部は、前記異常判定部によって前記特定給紙部からの給紙に異常があると判定された場合に、
前記判定結果記憶部に1つだけ前記判定結果情報が記憶されているときは、当該異常があると判定された特定給紙部に対応付けて、前記ローラ情報記憶部に記憶されている給紙ローラを、劣化しているローラ部材として特定し、
前記判定結果記憶部に複数の前記判定結果情報が記憶され、且つ、当該複数の前記判定結果情報のうちの全てが前記異常ありの判定結果を示すときは、当該複数の前記判定結果情報に対応付けられた複数の給紙部のそれぞれに対応付けて前記ローラ情報記憶部に記憶されている給紙ローラ及び搬送ローラのうち、当該複数の前記判定結果情報に対応付けられた全ての給紙部から給紙される記録用紙の搬送に共通して利用される搬送ローラを、劣化しているローラ部材として特定する請求項1から3の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記劣化部材特定部は、前記異常判定部によって前記特定給紙部からの給紙に異常があると判定された場合に、
前記判定結果記憶部に複数の前記判定結果情報が記憶され、且つ、当該複数の前記判定結果情報のうちの少なくとも1つが前記異常なしの判定結果を示すときは、当該異常があると判定された特定給紙部に対応付けて、前記ローラ情報記憶部に記憶されている給紙ローラを、劣化しているローラ部材として特定する請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記画像形成部に記録用紙を搬送するタイミングを調整するレジストローラと、
前記レジストローラに記録用紙が到達したことを検出するレジストセンサと、
を備え、
前記センサは前記レジストセンサと兼用されている請求項1から5の何れか一項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−49497(P2013−49497A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−186896(P2011−186896)
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】