説明

画像形成装置

【課題】色材の特性に従う印刷出力を出力する画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成手段と、制御手段と、を具備する。画像形成手段は、所定条件で消色する第一の可視化材による第一の画像と第一の可視化材とは異なる第二の可視化材により第一の画像に対する付加情報である第二の画像と、を出力する。制御手段は、画像形成部が出力する第一の画像と第二の画像とを保持する媒体の種類に応じて、第二の画像の出力を設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリントアウト(印刷出力)において、出力画像や写真、あるいは文字等の出力された情報が消去可能な画像形成装置(マルチファンクショナルプリフェラル、MFP)が既に実用化されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−143231号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、印刷出力には、出力された情報が消去されることによる不都合が生じる場合がある。例えば、機密文書等における[機密]表示等が消去された場合、安易な複製文書が生じることがある。また、文書そのもの(印刷出力)全体が消去できることは、不用意な取り扱いによる情報の消滅、例えば受け取った人の誤った取り扱いによって、情報の一部または全部が消えてしまうおそれがある。
【0005】
本発明の目的は、色材の特性に従う印刷出力を出力する画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態において、画像形成装置は、画像形成手段と、制御手段と、を具備する。画像形成手段は、所定条件で消色する第一の可視化材による第一の画像と前記第一の可視化材とは異なる第二の可視化材により前記第一の画像に対する付加情報である第二の画像と、を出力する。制御手段は、前記画像形成部が出力する前記第一の画像と前記第二の画像とを保持する媒体の種類に応じて、前記第二の画像の出力を設定する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】実施形態を適用する画像形成装置の一例を示す。
【図2】実施形態を適用する画像形成装置の印刷出力の一例を示す。
【図3】実施形態を適用する画像形成装置の動作の一例を示す。
【図4】実施形態を適用する画像形成装置の動作(ユーザ指示要求)の一例を示す。
【図5】実施形態を適用する画像形成装置の動作の一例を示す。
【図6】実施形態を適用する画像形成装置の動作の一例を示す。
【図7】実施形態を適用する画像形成装置の動作の一例を示す。
【図8】実施形態を適用する画像形成装置の動作の一例を示す。
【図9】実施形態を適用する画像形成装置の動作(ユーザ指示要求)の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態について、図面を参照して説明する。
【0009】
図1に示す画像形成装置(MFP、Multi-Functional Peripheral)101は、出力すべき画像情報に対応する、例えば“プリントアウト”と称される印刷出力を出力する画像形成部本体1を含む。
【0010】
画像形成部本体1は、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)及びBK(ブラック)の単色画像を形成する第1〜第4の画像形成ステーション11a〜11d、用紙を搬送し、第1〜第4の画像形成ステーション11a〜11dが形成する画像を、搬送する用紙とともに移動する用紙搬送機構13を含む。
【0011】
第1〜第4の画像形成ステーション11a〜11dが静電方式である場合、用紙は、各ステーション11a〜11dからのトナー(画像)を支持した状態で、用紙搬送機構13により、後段に位置する定着装置に移動する。定着装置は、用紙及びトナーに定着のための一定の熱を与え、トナーを用紙に固定(定着)する。
【0012】
第1〜第4の画像形成ステーション11a〜11dがインクジェット方式である場合、用紙搬送機構13が移動する用紙に、インクにより画像を形成する(用紙に、インクが直接、位置する)。
【0013】
なお、第1〜第4の画像形成ステーション11a〜11dが形成する単色画像の色は、任意であり、使用するトナーの特性やインクの色により、さまざまに組み合わせられる。
【0014】
また、第1〜第4の画像形成ステーション11a〜11dが形成する単色画像のうちの少なくとも1つの画像、例えばBK(ブラック)画像は、ある条件において色材の色が消失する「消色」トナーまたはインクで形成される。なお、ある条件の少なくとも1つは、温度(熱)である。また、ある条件の少なくとも1つは、光(紫外線等)である。例えば、トナーにおいては、定着時に定着装置が提供する温度よりも高い、所定温度において、色が消失する。この場合、インクにおいては、トナーを用いる場合に比較して比較的低い温度においても、色が消失するよう(インクの組成を)組成できる。なお、インクの場合には、色材(染料)の組成により、紫外線等の照射で消色できる場合もある。
【0015】
画像形成装置101はまた、画像形成部本体1の動作及び各ステーションにおける印刷出力のための画像処理、及び操作入力の受けつけ等の制御を受け持つ主制御ブロック5を有する。
【0016】
なお、主制御ブロック5は、主制御装置であるCPU(Central Processing Unit)またはMPU(Main Processing Unit)及び主記憶装置(メインメモリまたはワークメモリ、記憶部(storage section))を、一体に(ファームウエアとして)あるいは外部ユニットとして、有する。また、例えば主記憶装置は、印刷出力のための画像データをRIP処理(Raster Image Processに従うページ単位の画像信号に展開)し、画像形成部本体1の各ステーションに、色成分毎の画像信号として出力する。
【0017】
主制御ブロック5はまた、ユーザからの操作入力を受けつけ、入力に対応する制御コマンドを(主制御ブロックに)出力するとともに、例えば『「消色」トナーもしくはインクを用いた印刷出力が出力される』等のユーザに対する案内や、エラーメッセージ等を表示するユーザ対話ユニット(操作部)7と接続する。
【0018】
なお、画像形成装置101は、対象物、例えば原稿が保持する画像情報を、画像データとして取り込む画像読取部3と、直接またはLAN(Local Area Network)等の通信網を介して接続されてもよい。
【0019】
図1に示す画像形成装置101においては、画像データの入力や、操作部(ユーザ対話ユニット)7を経由する印刷出力の出力指示(コピーあるいはプリント)に従い、入力のあった画像データに対応する印刷出力を出力する。
【0020】
なお、BKステーションにより形成される印刷出力は、特に指示しない通常の印刷出力時には、上述した通り「消色」トナーまたはインクにより形成される。このため、必要に応じて(ユーザ指示に従い)、図2に示すように、例えば『この印刷は、消える色材を使用しています』等の注意文、あるいはマーク(指標)等を、用紙の任意の位置(場所)に入れる(同時に印刷出力する)ことが好ましい。なお、注意文の印刷出力の有無及び位置は、例えば操作部7による入力に従い、図3に示す手順に沿って、任意に(その都度)設定可能である。
【0021】
例えば、注意文挿入(印刷出力へ付加)が選択された場合[031−YES]、注意文の挿入位置を、例えば任意設定(ユーザ設定)位置とする[032−YES]、あるいは初期設定(デフォルト)位置とする[032−NO]ことができる。なお、ユーザ位置の設定方法としては、例えば図4に一例を示すように、操作部7のタッチパネル(表示部)7aに、用紙の外形を示し、注意文(あるいはマーク)を付加する位置を用紙の外形表示領域内に指示する、もしくは予め設定された領域に対して選択入力(タッチパネルの表示に触れる))可能とすればよい。
【0022】
なお、「消色」トナーまたはインクを用いる印刷出力時においては、例えば機密文書等における[機密]表示等を消去して文書を複製できる可能性を考慮する必要がある。
【0023】
このため、「消色」/消去可能な印刷出力が好ましくない印刷出力については、例えば上述の[機密]表示等を検出し、「消色」トナーまたはインクを用いる印刷出力時には、上述の注意文、あるいはマーク等を自動的に付加して印刷出力する、もしくは印刷出力を抑止することが好ましい。なお、用紙の種類やサイズに基づいて、「消色」トナーまたはインクを用いる印刷出力を抑止することも可能である。なお、注意文(あるいはマーク)は、「消色」トナーまたはインクがBk(ブラック)である場合、C,M,Yの3色を重ね合わせることによりBk相当の色の画像(印刷出力)として出力することが好ましい。しかしながら、例えばM(マゼンタ)単色、あるいは任意の2色等、任意の色により出力できる。
【0024】
例えば、図5に示すように、用紙の種類として、例えばグリーティングカード/ポストカード(ハガキ)が選択された場合において[051−YES]、「消色」トナーまたはインクによる印刷が選択された場合には[052−YES]、注意文(あるいはマーク)を付加する[053]ことが好ましい。
【0025】
また、用紙の種類は、実質的に用紙搬送機構13に用紙を供給する用紙供給機構により固定(決定)するため、例えばバイパス給紙部(手差し部)15が供給する用紙に対して注意文(あるいはマーク)を付加することも可能である。
【0026】
なお、図1に示す画像形成装置101は、「消色」トナーまたはインクによる印刷出力があった用紙のリユースすなわち用紙の画像を「消去」(色を消失)した後、出力画像を印刷出力することが可能である。反面、リユースを繰り返した用紙は、僅かではあるが、劣化している場合が認められる。このため、リユース用の用紙供給機構17が供給し、消去部17aにより画像が消去された用紙について、例えばリユースマーク、あるいは注意文を付加することが好ましい。
【0027】
一方、図6に示すように、ユーザが「消色」トナーまたはインクによる印刷を選択[061−YES]し、かつ注意文(あるいはマーク)の印刷(付加)を選択しない[062−YES]場合においても、図5に示したと同様に用紙の種類に応じ、例えばハガキである場合には、注意文(あるいはマーク)を付加することが好ましい[051]〜[053]。
【0028】
なお、図7に示すように、ユーザが「消色」トナーまたはインクによる印刷を選択[061−YES]し、かつ注意文(あるいはマーク)の印刷(付加)を選択しない[062−YES]場合においては、印刷出力に用いる色材を、非「消色」トナーまたはインクに切り換えてもよい[072]。但し、この場合には、『非「消色」色材で印刷します』、等のメッセージを操作部7の表示部(タッチパネル)7aに、印刷出力の開始に先立って表示することが好ましい[071]。なお、「消色」トナーまたはインクがBk(ブラック)である場合、C,M,Yの3色を重ね合わせることによりBk相当の色の画像(印刷出力)が出力できるため、ユーザへの不利益は、実質的に存在しない。
【0029】
また、図8に示すように、ユーザが「消色」トナーまたはインクによる印刷を選択[061−YES]し、かつ注意文(あるいはマーク)の印刷(付加)を選択しない[062−YES]場合において、印刷出力に用いる色材を非「消色」トナーまたはインクに切り換える表示を表示させ、タッチパネルに、例えば図9に示すような「はい(同意する)」ボタン表示7bを表示し、「はい(同意する)」ボタン表示7bにより、ユーザの同意が入力された場合[081−YES]に、印刷出力を開始してもよい[082]。
【0030】
なお、各画像形成ステーション11a〜11dのそれぞれにおいて「消色」トナーまたはインクを用い、フルカラーの印刷出力についても消去可能とし、注意文あるいはマークの印刷出力に用いる第5の画像形成ステーションを設けることも可能である。
【0031】
例えば、低い温度で「消色」可能なトナーまたはインクを用いる第1〜第4の画像形成ステーション11a〜11dを用意し、第5の画像形成ステーションによる印刷出力については、「消色」のための所定の温度による「消色」が困難なトナーまたはインクを用意してもよい。
【0032】
このように、本実施形態が提供する「消色」可能な印刷出力は、「消色(消去)」可能であることを明示できるため、不用意な取り扱いによる情報の消滅、例えば受け取った人の誤った取り扱いに起因して情報の一部または全部が消えることを抑止できる。従って、偶発的に、例えば機密文書等における[機密]表示等が消失して、その結果として文書が複製可能となることも抑止できる。
【0033】
なお、上述した「消色」トナーまたはインクすなわち画像形成材料は、呈色性化合物、顕色剤、バインダー樹脂等を含む。顕色剤の作用を受けて呈色性化合物が発色した状態の画像形成材料に熱を加えると、バインダー樹脂が軟化し、主に顕色剤がバインダー樹脂の内部から表面へ移動し易くなると供に、用紙中へ移動及びまたは拡散する。このため、呈色性化合物が顕色剤の作用を受けなくなり、呈色性化合物の色を認識できなくなる。
【0034】
呈色性化合物は、画像を形成する色素の前駆体化合物であり、例えばロイコオーラミン類、ジアリールフタリド類、ポリアリールカルビノール類、アシルオーラミン類、アリールオーラミン類、ローダミンB ラクタム類、インドリン類、スピロピラン類、フルオラン類等の電子供与性有機物を用いることが好ましい。
【0035】
顕色剤は、呈色性化合物との相互作用(主に電子またはプロトンの授受)により呈色性化合物を発色させる化合物であり、例えばフェノール類、フェノール金属塩類、カルボン酸金属塩類、ベンゾフェノン類、スルホン酸、スルホン酸塩、リン酸類、リン酸金属塩類、酸性リン酸エステル、酸性リン酸エステル金属塩類、亜リン酸類、亜リン酸金属塩類等を用いることが好ましい。
【0036】
また、バインダー樹脂は、呈色性化合物と顕色剤を発色状態で分散させるものであり、一定の熱が与えられることにより呈色性化合物と相溶し、顕色剤と親和性を有しない特性を示すものであればよい。
【0037】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0038】
1…画像形成部本体、5…主制御ブロック、7…ユーザ対話ユニット、11a〜11d…画像形成ステーション、101…画像形成装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定条件で消色する第一の可視化材による第一の画像と前記第一の可視化材とは異なる第二の可視化材により前記第一の画像に対する付加情報である第二の画像と、を出力する画像形成手段と、
前記画像形成部が出力する前記第一の画像と前記第二の画像とを保持する媒体の種類に応じて、前記第二の画像の出力を設定する制御手段と、
を具備する画像形成装置。
【請求項2】
前記第二の画像の出力を設定する設定手段をさらに具備する請求項1の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記第二の画像を出力することを、前記設定手段の表示部に表示する請求項2の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記第二の画像の付加の要求が無い場合、前記媒体の種類を変更する請求項1〜3のいずれかの画像形成装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記第二の画像の付加要求が無い場合、前記第一の画像の出力を抑止する請求項1〜3のいずれかの画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−61652(P2013−61652A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−201826(P2012−201826)
【出願日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】