説明

画像形成装置

【課題】 一次電池の電力消費を抑え、この一次電池の寿命を延ばせるようにする。
【解決手段】 給電制御回路106は、AC電源150からの給電が可能な場合には、その給電によりDC電力を生成するDC電源101(主電源手段)又は蓄電装置114(補助電源手段)から電力が必要な電気的負荷に対して、AC電源150からの給電が可能でない場合には、一次電池118から常時給電が必要な電気的負荷であるRTC回路111および揮発性メモリ112に対してそれぞれ給電されるように、給電切り換えスイッチ119〜121によって給電の切り換えを行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、プリンタ,デジタル複写機,デジタル複合機,ファクシミリ装置等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような画像形成装置において、近年、省エネルギー(以下単に「省エネ」という)化、使用部品のリサイクル使用の要求が高まっている。使用部品のリサイクル化においては、廃棄時の環境問題があることより、電池の再利用が注目されている。そして、この電池の利用目的は、画像形成装置に搭載された時計であるリアルタイムクロック(real-time clock:RTC)回路や揮発性メモリへの給電が主な目的である。上記の時計には、AC(交流)給電のオン/オフに関わらず、常時給電する必要があるため、その常時給電を行う電源が一次電池の場合、消費電力の関係上リサイクルは困難であった。
【0003】
一方、印刷(画像形成)中には充電可能な電気二重層コンデンサ等の蓄電媒体を備えた蓄電装置を補助電源として使用し、用紙等の記録媒体に転写された画像を熱定着する定着手段である定着装置の温度の上昇速度を早くし、給電時間を短くすることにより、定着器(定着装置)が消費する単位時間あたりの電力を抑える技術が既に知られている。
例えば、特許文献1には、複数の電気二重層コンデンサを直列に接続したセルバンクを備えた蓄電装置を定着装置の補助電源として使用する画像形成装置について開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、定着器の補助電源として使用する蓄電装置は、印刷中のみにしか使用せず、スリープモード中には定着器に給電しないため、スリープモード中に蓄電媒体に蓄えられた電力を無駄にしてしまうという問題がある。また、通常のDC(直流)電源、補助電源、および時計や揮発性メモリに常時給電する一次電池がそれぞれ独立しているため、一次電池の給電を助けることができず、この一次電池の寿命を延ばせない。よって、一次電池をリサイクルできないという問題もある。
【0005】
ここで、スリープモードとは、電気的負荷(電子部品)による消費電力を低減するための省電力モード(「省エネモード」ともいう)の一つをいう。画像形成装置では、一定時間アクセスがなければデバイスを停止してスリープモードに入る。このスリープモードでは、再起動用の電力しか消費しないため、デバイスの電力消費を低減できる。
この発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、一次電池の電力消費を抑え、この一次電池の寿命を延ばせるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、記録媒体上への画像形成処理を行う画像形成手段と、その画像形成手段を構成する電気的負荷を含む全ての電気的負荷に給電するための主電源手段と、少なくとも上記画像形成手段を構成する電気的負荷のうちの電力消費が大きい所定の電気的負荷に給電するための充電可能な補助電源手段と、上記全ての電気的負荷のうちの常時給電が必要な電気的負荷へ給電するための一次電池の3種類の給電手段を有する画像形成装置であって、上記の目的を達成するため、次のようにしたことを特徴とする。
【0007】
すなわち、商用電源からの給電が可能な場合には、該給電により直流電力を生成する上記主電源手段又は上記補助電源手段から電力が必要な電気的負荷に対して、上記商用電源からの給電が可能でない場合には、上記一次電池から上記常時給電が必要な電気的負荷に対してそれぞれ給電されるように、給電の切り換えを行う給電制御手段を設けたものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明の画像形成装置によれば、商用電源からの給電が可能な場合には、その給電により直流電力を生成する主電源手段又は補助電源手段から電力が必要な電気的負荷に対して、商用電源からの給電が可能でない場合には、一次電池から常時給電が必要な電気的負荷に対してそれぞれ給電されるように、給電の切り換えを行う。それによって、一次電池の電力消費を抑え、この一次電池の寿命を延ばすことができる。そのため、一次電池のリサイクルが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この発明の実施形態である画像形成装置の機構部の一例を示す全体構成図である。
【図2】図1に示した画像形成装置の主要部の構成例を示すブロック図である。
【図3】図2の給電制御回路106を含む各制御回路のスリープモード移行時の制御の一例を示すフロー図である。
【図4】同じくACコンセント151からACプラグ102aが外れた場合の制御の一例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、この発明を実施するための形態を説明する。
以下の実施形態では、補助電源として使用する蓄電装置に蓄えられた電力のスリープモード中での有効利用に際して、以下の特徴を有する。つまり、スリープモード中は、必要最低限の回路に給電する電力として蓄電装置に蓄えられた電力をなるべく有効に利用する(その電力も使用できない場合のみ一次電池からの電力を使用する)ため、ACコンセントからの給電を遮断する。また、通常の印刷モード(以下単に「印刷モード」という)時、待機モード時、又はスリープモード時の給電を、通常使用するDC電源からの給電、蓄電装置からの給電、又は一次電池からの給電に切り換える。
【0011】
そこで、その特徴について図1〜図4を参照して具体的に説明する。
まず、この発明の実施形態である画像形成装置の機構部の構成および動作について説明する。なお、以下の説明で使用する作像処理(作像動作による処理)および用紙搬送処理(用紙搬送動作による処理)を次のように定義する。作像処理は、給紙された用紙(他の記録媒体でもよい)に転写する画像を作成する処理とする。用紙搬送処理は、用紙の給紙・排紙を含む搬送の処理に、給紙された用紙に作像処理によって作成された画像を転写する処理と、その転写画像を熱定着する定着処理とを加えた処理とする。
【0012】
図1は、その画像形成装置の機構部の一例を示す全体構成図である。
この画像形成装置は、カラープリンタであり、図1に示すように、転写手段を構成する転写ベルト(「中間転写ベルト」ともいう)5に沿って複数色の電子写真プロセス部であるプロセスカートリッジ6(6Bk,6M,6C,6Y)が並べられた構成を備えるものであり、所謂、タンデムタイプといわれるものである。
【0013】
転写ベルト5は、矢示方向(反時計回り)に回動し、その回動方向の上流側から順に、複数のプロセスカートリッジ6が配列されている。これら複数のプロセスカートリッジ6は、形成するトナー画像の色が異なるだけで内部構成は共通である。プロセスカートリッジ6Bkはブラックのトナー画像を、プロセスカートリッジ6Mはマゼンタのトナー画像を、プロセスカートリッジ6Cはシアンのトナー画像を、プロセスカートリッジ6Yはイエローのトナー画像をそれぞれ形成する。その各プロセスカートリッジ6は、後述する露光器11や転写ベルト5等と共に作像処理を実施する作像手段を構成する。
【0014】
以下の説明では、プロセスカートリッジ6Bkについて具体的に説明するが、他のプロセスカートリッジ6M,6C,6Yはプロセスカートリッジ6Bkと同様である。よって、そのプロセスカートリッジ6M,6C,6Yの各構成要素については、プロセスカートリッジ6Bkの各構成要素に付したBkに替えて、M,C,Yによって区別した符号を図に表示するにとどめ、説明を省略する。
【0015】
転写ベルト5は、回転駆動される二次転写駆動ローラ7と転写ベルトテンションローラ8とに巻回されたエンドレスのベルトである。二次転写駆動ローラ7は、図示しない駆動源である駆動モータにより回転駆動される。その駆動モータと、二次転写駆動ローラ7と、転写ベルトテンションローラ8とが、転写ベルト5を移動させる駆動手段として機能する。
プロセスカートリッジ6Bkは、像担持体である感光体9Bkと、この感光体9Bkの周囲に配置された帯電手段である帯電器10Bkと、現像手段である現像器12Bk、クリーニング手段であるクリーナーブレード13Bk等から構成されている。
【0016】
露光器11は、露光手段であり、各プロセスカートリッジ6(6Bk,6M,6C,6Y)が形成する画像色に対応する露光光であるレーザ光14(14Bk,14M,14C,14Y)を照射するように構成されている。
画像形成に際し、感光体9Bkの外周面は、暗中にて帯電器10Bkにより一様に帯電された後、露光器11からのブラック画像に対応するレーザ光14Bkにより露光され、静電潜像が形成される。
【0017】
現像器12Bkは、この静電潜像をブラックトナーにより可視像化する現像処理を行い、この現像処理により感光体9Bk上にブラックのトナー画像が形成される。
このトナー画像は、感光体9Bkと転写ベルト5とが接する位置(一次転写位置)で、一次転写ローラ15Bkの働きにより転写ベルト5上に転写される。この転写により、転写ベルト5上にブラックのトナーによる画像が形成される。
トナー画像の転写が終了した感光体9Bkは、外周面に残留した不要なトナー(廃トナー)をクリーナーブレード13Bkによって除去された後、次の画像形成のために待機する。
【0018】
以上のようにして、プロセスカートリッジ6Bkでブラックのトナー画像を転写された転写ベルト5は、次のプロセスカートリッジ6Mに搬送される。
プロセスカートリッジ6Mでは、プロセスカートリッジ6Bkでの作像プロセスと同様のプロセスにより感光体9M上にマゼンタのトナー画像が形成され、そのトナー画像が転写ベルト5上に形成されたブラックの画像に重畳されて転写される。
転写ベルト5は、さらに次のプロセスカートリッジ6C,6Yに順次搬送され、同様の動作により、感光体9C上に形成されたシアンのトナー画像と、感光体9Y上に形成されたイエローのトナー画像とが、転写ベルト5上に重畳されて転写される。
【0019】
こうして、転写ベルト5上にフルカラーの画像が形成される。以上が画像形成処理のうちの作像処理である。
このフルカラーの重ね画像が形成された転写ベルト5は、二次転写ローラ16の位置まで搬送される。
なお、画像形成に際して、ブラックのみの画像形成の場合には、一次転写ローラ15M,C,Yがそれぞれ感光体9M,感光体9C,感光体9Yから離間された位置に退避し、前述の作像処理のプロセスをブラックの場合のみ行う。
【0020】
一方、作像処理と並行して、用紙搬送処理が行われ、そこで用紙Sへのトナー画像の転写および定着を含む各処理が順次行われる。これら一連の処理が画像形成処理であり、その画像形成処理を実施する各部が画像形成手段を構成する。
この画像形成装置は、用紙を給紙(供給)可能な本体給紙トレイ1を備えるのみであるが、用紙を給紙可能な本体給紙カセットや第2給紙カセット、更に手差しトレイ又は手差しカセットを有する構成であってもよい。また、用紙以外の記録媒体を供給可能なトレイ又はカセットを備えてもよい。
【0021】
本体給紙トレイ1に収納された用紙Sは、最も上のものから給紙ローラ2を矢示方向(反時計回り)に回転駆動することにより順に給紙され、位置決めローラであるレジストローラ3の位置にて停止して待機する。その停止タイミングは、用紙Sの先端がレジストセンサ4によって検知(検出)されてから所定時間経過した時点となる。
レジストローラ3の駆動開始は、上記の転写ベルト5により搬送されたトナー画像と二次転写ローラ16上で、トナー画像と用紙Sの位置が重なり合うようなタイミングで行われる。このとき、レジストローラ3は矢示方向(反時計回り)に回転駆動することで用紙Sを送り出す。
【0022】
レジストローラ3にて送り出された用紙Sは、二次転写ローラ16にて転写ベルト5上のトナー画像を用紙Sに転写され、定着器20内の定着部材である定着ローラ201と加圧ローラ202との間を通過する際に、熱および圧力によってトナー画像が定着される。
その後、その用紙Sは、矢示方向(反時計回り)に回転駆動された排紙ローラ18によって当該画像形成装置の外部(機外)に排紙される。
【0023】
トナー画像の定着が終了した定着ローラ201は、外周面に残留した廃トナーを図示しないクリーナーブレードにより除去するクリーニング処理が行われた後、次の画像形成のために待機する。また、トナー画像の転写が終了した転写ベルト5も、外周面に残留した廃トナーをベルトクリーナ17により除去するクリーニング処理が行われた後、次の画像形成のために待機する。
用紙Sの表裏両面に画像形成を行う両面モード時には、用紙Sが排紙ローラ18を通過する手前(排紙センサ31によって検知されなくなった時点)で排紙ローラ18を時計回りに回転駆動し、用紙Sを両面搬送経路30に搬送する。
【0024】
両面搬送経路30に搬送された用紙Sは、両面ローラ19を経由し、両面センサ32によって検知された後、再びレジストローラ3まで搬送される。
レジストローラ3に到達した用紙Sは、再びレジストローラ3から再給紙され、二次転写ローラ16にて先ほどと逆側の用紙面にトナー画像が転写された後、定着器20にてトナー画像が熱および圧力にて定着される。そして、その定着が行われた用紙Sは矢示方向に回転駆動された排紙ローラ18にて当該画像形成装置の外部に排紙される。
【0025】
次に、図1に示した画像形成装置における3種類のDC電力元について説明する。
図2は、その画像形成装置の主要部(AC給電が停止状態でも給電が必要なRTC回路や揮発性メモリへ給電するための3つの電源とそれを制御するための制御回路を含む)の構成例を示すブロック図である。
【0026】
この実施形態の画像形成装置は、印刷モード又は待機モード中に使用するDC電源101を備えている。このDC電源101が、3種類の給電手段のうちの一つであり、画像形成手段を構成する電気的負荷を含む全ての電気的負荷に給電するための主電源手段に相当する。
商用電源であるAC電源150から供給されるAC電圧は、AC電源150に接続されているACコンセント151、そのACコンセント151にACプラグ102aが挿入されたAC給電ケーブル102、およびACスイッチ103を介してDC電源101へ入力される。
【0027】
そして、上記のAC電圧はDC電源101によってAC(交流)からDC(直流)に変換される。その変換されたDC電圧は、モード移行判定回路104、スリープモード制御回路105、給電制御回路106、AC接続検知回路107、電圧検知回路108、充放電制御回路109、CPU110、RTC回路111、および揮発性メモリ112に給電される。よって、それらの電力元は、DC電源101となる。
【0028】
ここで、CPU110は、画像形成装置に設けられている定着器20内の温度検知手段であるサーミスタ等の温度センサ203を使用し、定着器20内のメインヒータ204や補助ヒータ205により熱せられる定着ローラ201(図1参照)の表面温度(定着温度)を測定する。そして、その測定結果を元にドライブ回路113をオン/オフし、定着温度が予め設定された目標温度に一致するように温度調整制御(以下「定着制御」ともいう)を実施する。CPU110はまた、印刷モード、待機モード、およびスリープモードを含む各モードを選択的に設定する(いずれかのモードに移行させる)こともできる。よって、モード設定手段としての機能を果す。
【0029】
待機モードとは、前述した画像形成処理を行う印刷モード時よりも定着温度を目標温度より低い待機温度にして、メインヒータ204による消費電力を低減させるモードのことである。
スリープモードとは、予め設定されている所定時間内にユーザによる図示しない操作部上での操作がない場合や図示しないパーソナルコンピュータ等の外部機器からデータが来ない場合に、画像形成手段を構成する電気的負荷を含む全ての電気的負荷のうち、常時給電が必要な電気的負荷以外への給電を遮断するモードのことであり、省電力モードの一つである。
【0030】
なお、定着器20は、ヒータとして定着ローラ201内にハロゲンヒータを設けるものに限るものではなく、例えば板状のセラミックヒータを用いたものにしてもよい。
DC電源101は、スリープモード中は、消費電力を抑えるために、スイッチ手段であるACスイッチ103のオフによってACコンセント151からのAC給電が遮断される。そして、DC電源101はコンデンサが出力段に接続されており、AC給電が遮断されても、直ぐに出力電圧が落ちることはない。
【0031】
この実施形態の画像形成装置は、印刷モードと待機モード中にメインヒータ204の温度上昇速度を早めるために、補助ヒータ205に給電(電力を供給)する蓄電装置114を備えている。この蓄電装置114は、AC/DC変換機能を有する充電器115と、充電器115からのDC電力を蓄電する蓄電媒体116とを備えている。蓄電媒体116としては、電気二重層コンデンサ(「電気二重層キャパシタ」ともいう)や二次電池(「蓄電池」ともいう)等がある。よって、蓄電装置114が、3種類の給電手段のうちの一つであり、少なくとも画像形成手段を構成する電気的負荷のうちの電力消費が大きい所定の電気的負荷(この例では補助ヒータ205)に給電するための充電可能な補助電源手段に相当する。
【0032】
DC電源101へ入力されるAC電圧は、蓄電装置114にも入力される。そして、蓄電装置114内の充電器115の中でAC電圧がDC電圧に変換され、このDC電圧が蓄電媒体116に入力されることによりDC電力が蓄えられる。蓄電媒体116に蓄えられたDC電力は、給電切り換えスイッチ117の切り換えにより、補助ヒータ205に給電される。また、スリープモード中で定着器20の補助ヒータ205が使用されない場合には、給電切り換えスイッチ117の切り換えにより、充電器115からモード移行判定回路104、スリープモード制御回路105、給電制御回路106、AC接続検知回路107、電圧検知回路108、充放電制御回路109、RTC回路111、および揮発性メモリ112に給電される。
【0033】
3種類の給電手段のうちの一つである一次電池118の使用は、全ての電気的負荷のうちの常時給電が必要な電気的負荷であるRTC回路111および揮発性メモリ112にのみ給電することを目的としている。その給電は、AC電源150からの給電が受けられず、DC電源101と蓄電装置114のいずれからも給電されない場合にのみ行われる。
ここで、ACスイッチ103は、ユーザによって手動でオフになった場合、給電制御回路106がこれを検知し、DC電源101をオフにできる準備ができた後に、AC給電を制御により遮断することができる。また、給電制御回路106により、蓄電媒体116からの電力によってオンにすることができる。
【0034】
給電切り換えスイッチ119は、給電制御回路106に給電されない場合には、常時オン状態(接続状態)であり、給電切り換えスイッチ120,121は逆に、給電制御回路106に給電されない状態では、オフ状態になるものである。
降圧回路122は、蓄電媒体116から出力される電圧を降圧して適切な電圧にし、各制御回路に供給するためのものである。
給電制御回路106を含む各制御回路のこの発明に関わる動作については、図3および図4を使用して説明する。
【0035】
まず、図3を使用し、給電制御回路106を含む各制御回路のスリープモード移行時の制御(RTC回路111および揮発性メモリ112への給電切り換え制御を含む)ルーチンについて説明する。
図3は、そのスリープモード移行時の制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【0036】
画像形成装置では、給電切り換えスイッチ120がオン状態でDC電源101からRTC回路111および揮発性メモリ112へ給電されているときに図3に示す制御ルーチンがスタートすると、まずステップS1で次の制御を行う。つまり、モード移行判定回路104によりスリープモード移行の判定があった場合に、その判定通知をスリープモード制御回路105が受信する。それによって、スリープモード制御回路105は、スリープモードに移行し、その旨をCPU110と給電制御回路106とに通知する。
【0037】
次のステップS2では、CPU110が、スリープモード制御回路105からスリープモードに移行した旨の通知を受けるので、定着制御をオフにする。
次のステップS3では、給電制御回路106が、スリープモード制御回路105からスリープモードに移行した旨の通知を受けるので、そのスリープモードに移行した旨を充放電制御回路109に通知し、充放電制御回路109に次の制御を行わせる。充放電制御回路109は、スリープモードに移行した旨の通知を受けると、給電切り換えスイッチ117を切り換え、蓄電媒体116の接続を補助ヒータ205側から充電器115側に切り換える。
【0038】
その後、充放電制御回路109は、ステップS4において、充電器115を充電モードにすることにより充電器115から蓄電媒体116に給電させる。同時に、充電器115から、給電切り換えスイッチ117および降圧回路122を介して、モード移行判定回路104、スリープモード制御回路105、給電制御回路106、AC接続検知回路107、および電圧検知回路108への給電を開始させる。
給電制御回路106は、充電器115からの給電開始により、ステップS5において、給電切り換えスイッチ121をオンにし、充電器115からRTC回路111および揮発性メモリ112への給電も開始させる。
【0039】
給電制御回路106は続いて、ステップS6で給電切り換えスイッチ120をオフにした後、ステップS7でDC電源101の出力をオフにする。
給電制御回路106は次に、ステップS8において、蓄電媒体116の出力電圧を電圧検知回路108に検出させ、その出力電圧をチェックする。つまり、その出力電圧が予め設定されている所定の閾値(各回路を正常に動作させることが可能な所定電圧の値)以下であるか否か(もしく閾値を超えるか)を判定する。そして、所定の閾値を超える場合には、ステップS9へ進み、充放電制御回路109によって充電器115の充電モードを停止させる。
【0040】
その後、スリープモード中の消費電力を抑えるために、ステップS10でACスイッチ103をオフにし、ステップS8へ戻る。
このステップS8において、蓄電媒体116の出力電圧が所定の閾値以下となった場合には、ステップS11へ進み、AC接続検知回路107よってACスイッチ103の状態をチェックする。つまり、ACスイッチ103がオン状態か否か(オフ状態)を判定する。そして、ACスイッチ103がオン状態であればそのまま、オフ状態であればステップS12でACスイッチ103をオンにした後、ステップS13へ進む。
【0041】
ステップS13では、充放電制御回路109により充電器115から蓄電媒体116への充電を開始させる。
次に、ステップS14へ進み、蓄電媒体116への充電により、電圧検知回路108によって検出する蓄電媒体116の出力電圧が充電完了を判定するための電圧値(上記閾値を超える値)に達すると、充電完了を判定し、ステップS15で充放電制御回路109により充電器115の充電モードを停止させる。
次に、ステップS16へ進み、ACスイッチ103をオフにし、ステップS8へ戻る。
【0042】
なお、ACスイッチ103が人為的にオフになる場合には、ステップS1が「ユーザによりACスイッチ103がオフになったかどうかを判定する」ことに代わるのみで、ACスイッチ103がオフになった場合に、ステップS2以降の各処理を上述と同様に行うことも可能である。
【0043】
次に、図4を使用し、給電制御回路106を含む各制御回路のACコンセント151からACプラグ102aが外れた場合(つまりAC給電が受けられない状態になった場合)の制御であるRTC回路111および揮発性メモリ112への給電切り換え制御ルーチンについて説明する。
図4は、そのACコンセント151からACプラグ102aが外れた場合の制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【0044】
画像形成装置では、給電切り換えスイッチ120がオン状態でDC電源101から、あるいは給電切り換えスイッチ121がオン状態で蓄電装置114の蓄電媒体116からRTC回路111および揮発性メモリ112へ給電されているときに図4に示す制御ルーチンがスタートすると、まずステップS21で次の制御を行う。つまり、ACコンセント151からACプラグ102aが外れることにより、ACコンセント151からの給電(AC電源150からの給電)が物理的に遮断されると、そのことが遮断検知手段に相当するAC接続検知回路107よって検知される(ACコンセント151への接続が検知されなくなる)。このとき、給電制御回路106は、AC接続検知回路107よりACコンセント151への接続が検知されていない旨の通知を受けるため、その接続の解除を判断し、ステップS22へ進む。
【0045】
ここで、AC接続検知回路107および給電制御回路106への給電は、DC電源101もしくは蓄電装置114のいずれかから必ず行われている。そして、AC給電が遮断されても、DC電源101においては、出力段に取付けられたコンデンサにより、DC出力は直ぐには停止されない。また、蓄電装置114においても、蓄電媒体116を使用しているため、DC出力は直ぐには停止されない。
このことを利用し、ステップS22では、給電制御回路106が、即座に給電切り換えスイッチ119をオンにし、一次電池118からRTC回路111および揮発性メモリ112への給電を確保する。
【0046】
その後、ステップS23において、給電制御回路106が、給電切り換えスイッチ120,121をオフにする。
以後、新たな給電の切り換えを禁止して、給電切り換えスイッチ120,121をオフにした直後(給電切り換え直後)の状態を保持する。
よって、ACコンセント151からACプラグ102aが外れた場合にのみ、一次電池118の電力を使用することになる。
【0047】
したがって、給電制御回路106が、充放電制御回路109等の各回路および給電切り換えスイッチ117,119〜121を使用することにより、給電制御手段としての機能を実現することができる。
なお、この実施形態では、常時給電が必要な電気的負荷をRTC回路111および揮発性メモリ112としたが、常時給電が必要な電気的負荷はそれらに限らない。
【0048】
この実施形態の画像形成装置によれば、以下の(a)〜(d)に示す作用効果を得ることができる。
(a)給電制御回路106が、AC電源150からの給電が可能な場合には、その給電によりDC電力を生成するDC電源101(主電源手段)又は蓄電装置114(補助電源手段)から電力が必要な電気的負荷に対して、AC電源150からの給電が可能でない場合には、一次電池118から常時給電が必要な電気的負荷であるRTC回路111および揮発性メモリ112に対してそれぞれ給電されるように、給電切り換えスイッチ119〜121によって給電の切り換えを行う。それによって、一次電池118の電力消費を抑え、この一次電池の寿命を延ばすことができる。そのため、一次電池118のリサイクルが可能になる。
【0049】
(b)給電制御回路106が、スリープモード(省電力モード)が設定された場合に、AC電源150からの給電によって蓄電装置114を充電させ、その充電が完了した後、ACスイッチ103によってAC電源150からの給電をオフにさせる。具体的には、電圧検知回路108によって蓄電装置114の出力電圧をチェックし、その出力電圧が予め設定された所定電圧以下の場合にはAC接続検知回路107よってACスイッチ103(スイッチ手段)の状態をチェックする。そして、ACスイッチ103がAC電源150からの給電をオンにさせている場合にはそのまま、オフにさせている場合にはAC電源150からの給電をオンにさせる。その後、AC電源150からの給電によって蓄電装置114を充電させ、その充電が完了した後、ACスイッチ103によってAC電源150からの給電をオフにさせる。それによって、一層の省エネ効果が期待できる。
【0050】
(c)給電制御回路106が、DC電源101もしくは蓄電装置114から常時給電が必要な電気的負荷であるRTC回路111および揮発性メモリ112に対して給電されている場合に、AC電源150からの給電が物理的に遮断されたことがAC接続検知回路107よって検知された場合に、一次電池118からRTC回路111および揮発性メモリ112に対して給電されるように、給電切り換えスイッチ119〜121によって給電の切り換えを行う。よって、AC電源150から切り離された場合でも、RTC回路111および揮発性メモリ112に給電されなくなることがない。
【0051】
(d)給電制御回路106が、一次電池118からRTC回路111および揮発性メモリ112に対して給電されるように、給電の切り換えを行った後は、新たな給電の切り換えを禁止して、その切り換え直後の状態を保持する。それによって、一次電池118の無駄な電力消費を抑えることができる。
【0052】
以上、この発明を、各感光体から各色のトナー画像を転写ベルト上に順次重ねて転写した後、そのフルカラーのトナー画像を記録媒体に一括転写する間接転写方式のカラープリンタに適用した実施形態について説明したが、この発明はこれに限らない。つまり、各感光体から記録媒体に直接各色のトナー画像を転写する直接転写方式のカラープリンタには勿論、間接転写方式又は直接転写方式のカラー複写機,カラーファクシミリ装置,デジタルカラー複合機(MFP)等の電子写真方式の画像形成装置にもこの発明を適用可能である。あるいは、モノクロ等の単色の画像形成装置や、2色又は3色等の色数の画像形成装置にも、この発明を適用可能である。
また、この発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが対象となることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0053】
1:本体給紙トレイ 2:給紙ローラ 3:レジストローラ 4:レジストセンサ
5:転写ベルト 6(6Bk,6M,6C,6Y):プロセスカートリッジ
7:二次転写駆動ローラ 8:転写ベルトテンションローラ
9(9Bk,9M,9C,9Y):感光体
10(10Bk,10M,10C,10Y):帯電器 11:露光器
12(12Bk,12M,12C,12Y):現像器
13(13Bk,13M,13C,13Y):クリーナーブレード
15(15Bk,15M,15C,15Y):一次転写ローラ 17:ベルトクリーナ
18:排紙ローラ 19:両面ローラ 20:定着器 31:排紙センサ
32:両面センサ 101:DC電源 102:AC給電ケーブル
102a:ACプラグ 103:ACスイッチ 104:モード移行判定回路
105:スリープモード制御回路 106:給電制御回路
107:AC接続検知回路 108:電圧検知回路 109:充放電制御回路
110:CPU 111:リアルタイムクロック(RTC)回路
112:揮発性メモリ 113:ドライブ回路 114:蓄電装置
115:充電器 116:蓄電媒体
117,119〜121:給電切り換えスイッチ 122:降圧回路
151:ACコンセント 150:AC電源 201:定着ローラ
202:加圧ローラ 203:温度センサ 204:メインヒータ
205:補助ヒータ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0054】
【特許文献1】特開2009−71968号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体上への画像形成処理を行う画像形成手段と、該画像形成手段を構成する電気的負荷を含む全ての電気的負荷に給電するための主電源手段と、少なくとも前記画像形成手段を構成する電気的負荷のうちの電力消費が大きい所定の電気的負荷に給電するための充電可能な補助電源手段と、前記全ての電気的負荷のうちの常時給電が必要な電気的負荷へ給電するための一次電池の3種類の給電手段を有する画像形成装置であって、
商用電源からの給電が可能な場合には、該給電により直流電力を生成する前記主電源手段又は前記補助電源手段から電力が必要な電気的負荷に対して、前記商用電源からの給電が可能でない場合には、前記一次電池から前記常時給電が必要な電気的負荷に対してそれぞれ給電されるように、給電の切り換えを行う給電制御手段を設けたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、
商用電源からの給電をオン又はオフにするスイッチ手段と、
消費電力を低減するための省電力モードを設定するモード設定手段とを設け、
前記給電制御手段は、前記モード設定手段によって省電力モードが設定された場合に、前記商用電源からの給電によって前記補助電源手段を充電させ、該充電が完了した後、前記スイッチ手段によって前記商用電源からの給電をオフにさせることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
前記給電制御手段は、前記モード設定手段によって省電力モードが設定された場合に、前記補助電源手段の出力電圧をチェックし、該出力電圧が予め設定された所定電圧以下の場合にのみ前記スイッチ手段の状態をチェックして、該スイッチ手段が前記商用電源からの給電をオンにさせている場合にはそのまま、オフにさせている場合には前記商用電源からの給電をオンにさせた後、前記商用電源からの給電によって前記補助電源手段を充電させ、該充電が完了した後、前記スイッチ手段によって前記商用電源からの給電をオフにさせることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の画像形成装置において、
前記商用電源からの給電が物理的に遮断されたことを検知する遮断検知手段を設け、
前記給電制御手段は、前記主電源手段もしくは前記補助電源手段から前記常時給電が必要な電気的負荷に対して給電されている場合に、前記遮断検知手段によって前記商用電源からの給電が物理的に遮断されたことが検知された場合に、前記一次電池から前記常時給電が必要な電気的負荷に対して給電されるように、給電の切り換えを行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
前記給電制御手段は、前記一次電池から前記常時給電が必要な電気的負荷に対して給電されるように、給電の切り換えを行った後は、新たな給電の切り換えを禁止して、その切り換え直後の状態を保持することを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−66289(P2013−66289A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−203148(P2011−203148)
【出願日】平成23年9月16日(2011.9.16)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】