説明

画像形成装置

【課題】複数の画像形成部を有する場合であっても、良好に記録材に画像を印刷する画像形成装置を提供する。
【解決手段】経路切換爪25は、給紙路R1を介して供給される記録材Pの経路を、モノクロ搬送路Raおよびカラー搬送路Rbのいずれかに切り換える。経路切換爪45は、第2共通搬送路R9から供給される記録材Pを反転路R2に、反転路R2から供給される記録材Pを循環搬送路R3に、それぞれ案内されるように、記録材Pの経路を切り換える。経路切換爪145は、カラー搬送路Rbを介して供給される記録材Pの経路を、架橋路R4と、カラー排紙路R6と、のいずれかに切り換える。経路切換爪155は、モノクロ搬送路Raおよび第1共通搬送路R8を介して供給される記録材Pの経路を、モノクロ排紙路R5と、第2共通搬送路R9と、のいずれかに切り換える。反転ローラー対51は、記録材Pの搬送方向を反転させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、複写機、プリンター、ファクシミリ及びこれらの機能を複合的に備えた複合機等の画像形成装置に関するもので、特に、画像形成速度の異なる複数の画像形成部を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の画像形成装置に用いられる画像形成方式としては、電子写真方式やインクジェット方式が知られている。
【0003】
例えば、電子写真方式の画像形成装置では、帯電した感光体ドラムに対して画像信号に対応したレーザ光が照射されることによって、感光体ドラムに静電潜像が形成される。そして、現像、転写、剥離等の各プロセスを経ることによって、感光体ドラムに形成されたトナー像が記録材に印刷される。
【0004】
一方、インクジェット方式の画像形成装置では、画像信号に応じたインクを各ノズルから吐出させることによって、記録材に画像が印刷される。
【0005】
ここで、一般のオフィス等では、印刷の大半がモノクロ印刷であって一部にカラー印刷を含むという使い方をすることが多いものの、カラー印刷のニーズは高い。そして、それぞれの画像形成方式には一長一短がある。
【0006】
例えば、カラー画像を印刷可能な電子写真方式の画像形成装置は、複雑なハードウェア構成を有する。その結果、画像形成装置の製造コストおよび導入コストが増大する。さらに上述のように、印刷の大半がモノクロ印刷であるため、カラー画像形成部の使用頻度は低い。
【0007】
一方、インクジェット方式の画像形成装置において、主用途であるモノクロ印刷の印刷速度が、電子写真方式より遅いことが知られている。さらに、1枚当りのインクジェット方式の印刷コストは、電子写真方式より高いことも知られている。
【0008】
この点を改良するため、電子写真方式によりモノクロ印刷が実行され、インクジェット方式によりカラー印刷が実行される技術が知られている(例えば、特許文献1および2)。
【0009】
特許文献1および2の技術では、電子写真方式によりモノクロ印刷が、インクジェット方式によりカラー印刷が、それぞれ実行できる。そのため、特許文献1および2の技術は、モノクロ印刷における高速および高画質化と、カラー印刷おける低コスト化と、を同時に実現できるという利点を、有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平8−164636号公報
【特許文献2】特開2009−220508号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、特許文献1の技術において、カラー画像形成部用のカラー搬送路とモノクロ画像形成部用のモノクロ搬送路とが、記録材の搬送方向に沿って直列につながっている。そのため、上流側の画像形成部を通過した記録材が下流側の画像形成部を通過する際に、記録材上のインク又はトナーが下流側の画像形成部に付着等して悪影響を及ぼすというおそれがあった。例えば上流側にカラー画像形成部があり、下流側にモノクロ画像形成部がある画像形成装置において、インクジェット方式でカラー印刷された記録材がモノクロ画像形成部用のモノクロ搬送路を通過する際に、未乾燥のインクがモノクロ画像形成部に付着等して、モノクロ画像形成部に悪影響を及ぼすという問題があった。
【0012】
そこで、本発明では、複数の画像形成部を有する場合であっても、良好に記録材に画像を印刷する画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決するため、請求項1の発明は、画像形成装置であって、モノクロ搬送路を介して供給される記録材に、モノクロ画像を印刷するモノクロ画像形成部と、カラー搬送路を介して供給される前記記録材に、カラー画像を印刷するカラー画像形成部と、給紙路を介して供給される前記記録材の経路を、前記モノクロ搬送路と、前記カラー搬送路と、のいずれかに切り換える第1切換部と、前記カラー搬送路を介して供給される前記記録材の経路を、排紙トレイ側に前記記録材を案内するカラー排紙路と、前記モノクロ搬送路の下流側と接続された第1共通搬送路に、前記記録材を案内する架橋路と、のいずれかに切り換える第2切換部と、前記モノクロ搬送路および前記第1共通搬送路を介して供給される前記記録材の経路を、排紙トレイ側に前記記録材を案内するモノクロ排紙路と、前記第1共通搬送路の下流側と接続された第2共通搬送路と、のいずれかに切り換える第3切換部と、前記第2共通搬送路の下流側に設けられており、前記第2共通搬送路から供給される前記記録材を反転路に、前記反転路から供給される前記記録材を循環搬送路に、それぞれ案内するように、前記記録材の経路を切り換える第4切換部と、前記反転路を介して供給される前記記録材の搬送方向を反転させる反転部とを備え、前記共通排紙路は、前記モノクロ排紙路および前記カラー排紙路のそれぞれと接続されており、前記循環搬送路は、前記第4切換部を介して供給された前記記録材を前記第1切換部に供給することを特徴とする。
【0014】
また、請求項2の発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、前記反転部は、前記反転路を介して供給される前記記録材の搬送方向を反転させるとともに、前記反転路に供給された前記記録材を前記排紙トレイに排出することを特徴とする。
【0015】
また、請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載の画像形成装置において、前記モノクロ搬送路および前記カラー搬送路に囲繞された空間に配置されており、前記モノクロ画像形成部および前記カラー画像形成部に高電圧を付与する高圧電源、をさらに備えることを特徴とする。
【0016】
また、請求項4の発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の画像形成装置において、前記モノクロ画像形成部および前記カラー画像形成部は、同一のブラックトナー収容器からブラックトナーの供給を受けることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1から請求項4に記載の発明において、給紙路は、モノクロ搬送路およびカラー搬送路に分岐する。また、モノクロ搬送路は、第1共通搬送路およびモノクロ排紙路を介して共通排紙路と接続されており、カラー搬送路は、カラー排紙路を介して共通排紙路と接続されている。さらに、記録材は、共通排紙路を介して排紙トレイ側に排紙される。
【0018】
このように、モノクロ画像形成部およびカラー画像形成部で印刷が実行された記録材は、いずれも排紙トレイ側の共通排紙路に案内される。これにより、モノクロ画像形成部およびカラー画像形成部が並列配置されている場合であっても、排紙トレイを共通化することができる。そのため、画像形成装置の部品点数を削減でき、画像形成装置の製造コストを低減できる。
【0019】
また、請求項1から請求項4に記載の発明において、反転路は、モノクロ排紙路、カラー排紙路、および共通排紙路とは別に設けられている。これにより、反転路に記録材が存在するか否かに関わらず、共通排紙路に記録材を排紙できる。そのため、反転待ち時間が不要となり、画像形成装置の印刷効率を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1の実施の形態におけるプリンターのハードウェア構成の一例を示す図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態におけるプリンターのハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本願発明を画像形成装置の一例であるデジタルプリンター(以下、プリンターと称する)に適用した実施形態を、図面に基づいて説明する。
【0022】
<1.第1の実施の形態>
<1.1.プリンターの概要>
図1は、本実施の形態におけるプリンター1のハードウェア構成の一例を示す図である。プリンター1は、電子写真方式によりモノクロ画像およびカラー画像を印刷する画像形成装置である。また、プリンター1は、循環式の両面印刷機能を有している。図1に示すように、プリンター1は、主として、モノクロ画像形成部10と、カラー画像形成部101と、給紙部20と、循環搬送部40と、を備えている。
【0023】
モノクロ画像形成部10とカラー画像形成部101とは、給紙部20上に横方向に並べて配置されている。図示は省略するが、プリンター1は、例えばLANといったネットワークに接続されていて、外部端末(図示省略)等からモノクロ印刷指令やカラー印刷指令を受け付けると、当該指令に基づいてモノクロ印刷ジョブやカラー印刷ジョブを実行するように構成されている。これら印刷ジョブには、記録材Pの片面に印刷(画像形成)する片面モードによるジョブと、記録材Pの一方面および他方面に印刷する両面モードによるジョブとが含まれる。
【0024】
なお、本実施の形態において、カラー画像形成部101による画像形成速度は、モノクロ画像形成部10による画像形成速度より遅い。また、後述するモノクロ搬送路Raおよびカラー搬送路Rbにおける記録材Pの搬送速度は、可変とされている。さらに、図1中の各搬送路R1〜R9、Ra、Rbに付された矢印は、記録材Pの搬送方向を示す。
【0025】
モノクロ画像形成部10は、周知の電子写真方式によって、モノクロ感光体ドラム13上に形成されたモノクロトナー像を記録材Pに転写する役割を担うものである。これにより、モノクロ搬送路Raを介して供給される記録材Pには、モノクロ画像が印刷される。
【0026】
モノクロ画像形成部10のモノクロ感光体ドラム13は、図1の反時計方向に回転駆動する。モノクロ感光体ドラム13の周囲には、モノクロ露光部15、並びに帯電部、現像部、除電ランプ、および感光体クリーナ(いずれも図示省略)等が配置されている。
【0027】
図1に示すように、モノクロ感光体ドラム13と、モノクロ転写ローラー7とは、対峙しており、モノクロ感光体ドラム13とモノクロ転写ローラー7とは、モノクロ転写位置18で当接する。モノクロ画像形成部10の現像剤は、トナー及びキャリアからなる2成分系現像剤が好ましいが、キャリアを用いない1成分系現像剤であっても構わない。
【0028】
カラー画像形成部101は、周知の電子写真方式によって、カラー感光体ドラム103上に形成されたカラートナー像を記録材Pに転写する役割を担うタンデム型のものである。これにより、カラー搬送路Rbを介して供給される記録材Pには、カラー画像が印刷される。
【0029】
カラー画像形成部101は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各色に対応する計4つの作像部102、並びに、中間転写ベルト111等を備えている。4つの作像部102は、中間転写ベルト111の下方において、例えばイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの順に、中間転写ベルト111に沿って並べて配置されている。各作像部102は、図1の反時計方向に回転駆動するカラー感光体ドラム103を有している。
【0030】
なお、本実施の形態において、モノクロ画像形成部10およびカラー画像形成部101は、ユニット化されており、装置本体1aから分離可能とされている。
【0031】
カラー感光体ドラム103の周囲には、カラー露光部105、並びに帯電部、現像部、一次転写ローラー、および感光体クリーナ(いずれも図示省略)等が配置されている。なお、図1では説明の便宜上、再現色に応じた符号Y、M、C、Kを、それぞれの作像部102及びカラー感光体ドラム103に添えている。
【0032】
中間転写ベルト111は駆動ローラー112及び従動ローラー113に巻き掛けられていて、図1の反時計方向に回転駆動する。中間転写ベルト111のうち駆動ローラー112に巻き掛けられた部分の外側に二次転写ローラー114が配置されている。中間転写ベルト111と二次転写ローラー114とは、カラー転写位置118で当接する。中間転写ベルト111のうち従動ローラー113に巻き掛けられた部分の外側には、中間転写ベルト111上の未転写トナーを除去する転写ベルトクリーナ(図示省略)が配置される。カラー画像形成部101の画像形成速度がモノクロ画像形成部10のそれよりも遅い。
【0033】
なお、カラー画像形成部101の現像剤は、キャリアを用いない1成分系現像剤が好ましいが、トナー及びキャリアからなる2成分系現像剤であっても構わない。また、カラー画像形成部101は、電子写真方式のものに限らず、電子写真方式以外のもの、例えばインクジェット方式やトナージェット方式のものでもよい。
【0034】
給紙部20は、モノクロ画像形成部10とカラー画像形成部101とに共用されるものであり、記録材Pを収容する複数段の給紙カセット21、各給紙カセット21内の記録材Pを最上層から繰り出す繰り出しローラー22、繰り出された記録材Pを1枚ずつに分離する分離ローラー対23等を備えている。各給紙カセット21内の記録材Pは、対応する繰り出しローラー22及び分離ローラー対23の回転駆動によって、最上層のものから1枚ずつ各給紙路R1に送り出される。給紙部20(各給紙カセット21)から延びる給紙路R1は一旦合流してから、モノクロ画像形成部10用のモノクロ搬送路Raと、カラー画像形成部101用のカラー搬送路Rbとに分岐している。
【0035】
なお、第1実施形態のプリンター1はA3対応機であり、各給紙カセット21には、最大でA3サイズの記録材Pを、各画像形成部10、101等に短辺側から進入する縦送りの姿勢で収容することが可能である。この場合、A3縦の記録材Pの幅寸法長さは297mm、搬送方向長さは420mmである。
【0036】
経路切換爪25(第1切換部)は、給紙路R1を介して供給される記録材Pの経路を、モノクロ搬送路Raおよびカラー搬送路Rbのいずれかに切り換える。より具体的に言うと、経路切換爪25は、後述する制御部60に接続されたソレノイド(図示省略)の励磁によって、(a)カラー搬送路Rb側が閉止され、かつ、各給紙路R1とモノクロ搬送路Raとが接続された状態と、(b)モノクロ搬送路Ra側が閉止され、かつ、各給紙路R1と、カラー搬送路Rbとが接続された状態と、を切り換える。そのため、経路切換爪25の切換動作によって、給紙部20の各給紙カセット21から供給される記録材Pは、画像形成部10、101のいずれかに搬送できる。
【0037】
レジストローラー対24は、図1に示すように、モノクロ搬送路Raに沿った経路上のうち、モノクロ転写位置18と経路切換爪25との間の位置に設けられている。そして、レジストローラー対24の回転動作が制御されることによって、モノクロ転写位置18に記録材Pが送り出されるタイミングが、制御される。
【0038】
上流側中継ローラー対123およびレジストローラー対124は、カラー搬送路Rbに沿った経路上のうち、カラー転写位置118と経路切換爪25との間の位置に、設けられている。図1に示すように、上流側中継ローラー対123およびレジストローラー対124は、記録材Pの搬送方向における上流側から下流側に向かって、この順番に設けられている。
【0039】
上流側中継ローラー対123は、レジストローラー対124に向けて搬送される記録材Pの搬送動作を中継する。また、レジストローラー対124の回転動作が制御されることによって、カラー転写位置118に記録材Pが送り出されるタイミングが、制御される。
【0040】
モノクロ定着部30は、記録材P上に転写されたモノクロトナー像を定着させる。図1に示すように、モノクロ定着部30は、モノクロ搬送路Raに沿った経路上のうち、モノクロ転写位置18よりも下流側に配置されており、主として、定着ローラー31と、加圧ローラー32とを有している。
【0041】
定着ローラー31は、ハロゲンランプ等の定着ヒーターを内蔵している。加圧ローラー32は、定着ローラー31と対峙して設けられており、両ローラー31、32の間の記録材Pを加圧する。そして、両ローラー31、32は、モノクロ定着位置で当接する。
【0042】
カラー定着部130は、記録材P上に転写されたカラートナー像を定着させる。図1に示すように、カラー定着部130は、カラー搬送路Rbに沿った経路上のうち、カラー転写位置118よりも下流側に配置されており、主として、定着ローラー131と、加圧ローラー132と、を有している。
【0043】
定着ローラー131は、定着ローラー31と同様に、ハロゲンランプ等の定着ヒーターを内蔵している。加圧ローラー132は、定着ローラー131と対峙して設けられており、両ローラー131、132の間の記録材Pを加圧する。そして、両ローラー131、132は、カラー定着位置で当接する。
【0044】
経路切換爪145(第2切換部)は、カラー搬送路Rbを介して供給される記録材Pの経路を、架橋路R4と、カラー排紙路R6と、のいずれかに切り換える。より具体的に言うと、経路切換爪145は、後述する制御部60に接続されたソレノイド(図示省略)の励磁によって、(c)カラー排紙路R6側が閉止され、かつ、カラー搬送路Rbと架橋路R4とが接続された状態と、(d)架橋路R4側が閉止され、かつ、カラー搬送路Rbと、カラー排紙路R6とが接続された状態と、を切り換える。
【0045】
なお、図1に示すように、架橋路R4は、第1共通搬送路R8と接続されており、第1共通搬送路R8は、記録材Pの搬送方向におけるモノクロ搬送路Raの下流側と、接続されている。
【0046】
また、図1に示すように、カラー排紙路R6は、共通排紙路R7と接続されており、記録材Pを排紙トレイ52側に案内する。例えば、カラー排紙路R6には、カラー印刷が実行された直後の記録材Pが、案内される。
【0047】
経路切換爪155(第3切換部)は、モノクロ搬送路Raおよび第1共通搬送路R8を介して供給される記録材Pの経路を、モノクロ排紙路R5と、第2共通搬送路R9と、のいずれかに切り換える。より具体的に言うと、経路切換爪155は、後述する制御部60に接続されたソレノイド(図示省略)の励磁によって、(e)第2共通搬送路R9側が閉止され、かつ、第1共通搬送路R8とモノクロ排紙路R5とが接続された状態と、(f)モノクロ排紙路R5側が閉止され、かつ、第1および第2共通搬送路R8、R9が接続された状態と、を切り換える。
【0048】
なお、図1に示すように、第2共通搬送路R9は、記録材Pの搬送方向における第1共通搬送路R8の下流側と、接続されている。また、図1に示すように、モノクロ排紙路R5は、記録材Pを排紙トレイ52側に案内する。
【0049】
反転ローラー対51(反転部)は、反転路R2を介して供給される記録材Pの搬送方向を反転させる。図1に示すように、反転ローラー対51で反転させられた記録材Pは、反転路R2および経路切換爪45を介して、循環搬送路R3に供給される。
【0050】
排紙ローラー対53は、印刷済の記録材Pを排紙トレイ52に排出する。図1に示すように、排紙ローラー対53は、共通排紙路R7に設けられている。例えば、排紙トレイ52には、カラー印刷が実行された記録材P、および/または、モノクロ印刷が実行された記録材Pが、それぞれ排出される。
【0051】
ここで、図1に示すように、反転ローラー対51は、排紙トレイ52に面して設けられている。したがって、反転ローラー対51の回転方向が逆転されず、記録材Pの搬送方向が反転させられない場合、反転路R2に供給された記録材Pは、排紙トレイ52に排出される。このように、反転ローラー対51は、排紙ローラー対53と同様に、排出部としての機能を有する。
【0052】
循環搬送部40は、片面印刷後の記録材Pを表裏反転させる反転部としての反転ローラー対51と、複数の両面搬送ローラー対41、42とを備えている。循環搬送部40では、片面印刷後の記録材Pを表裏反転させ、循環搬送路R3を介して再びレジストローラー対24、124まで搬送させる。
【0053】
経路切換爪45(第4切換部)は、図1に示すように、記録材Pの搬送方向における第2共通搬送路R9の下流側に設けられている。経路切換爪45は、第2共通搬送路R9から供給される記録材Pを反転路R2に、反転路R2から供給される記録材Pを循環搬送路R3に、それぞれ案内されるように、記録材Pの経路を切り換える。
【0054】
より具体的に言うと、経路切換爪45は、後述する制御部60に接続されたソレノイド(図示省略)の励磁によって、(g)第2共通搬送路R9側が閉止され、かつ、反転路R2と循環搬送路R3とが接続された状態と、(h)循環搬送路R3側が閉止され、かつ、第2共通搬送路R9と、反転路R2とが接続された状態と、を切り換える。
【0055】
なお、モノクロ排紙路R5には、例えば、モノクロ印刷が実行された記録材Pが案内される。また、図1に示すように循環搬送路R3は、経路切換爪45を介して供給された記録材Pを経路切換爪25に供給する。
【0056】
なお、最上層の給紙部20と上流側中継ローラー対123との間には、制御部60が配置されている。制御部60は、外部端末(図示省略)等からの画像信号を受けて、これをデジタル化したY−K色用の画像データに変換し、モノクロ画像形成部10、カラー画像形成部101及び給紙部20等を制御して、印刷動作を実行するものである。
【0057】
また、装置本体1a内のうち、モノクロ搬送路Raおよびカラー搬送路Rbに囲繞された空間には、高圧電源19が配置されている。高圧電源19は、モノクロ画像形成部10およびカラー画像形成部101に高電圧を付与する。そして、図1に示すように、高圧電源19が、モノクロ画像形成部10およびカラー画像形成部101の中央付近に配置されることによって、モノクロ画像形成部10およびカラー画像形成部101に含まれるモノクロおよびカラー露光部15、105、および高圧電源19等を装置本体1a内に集約して配置することができる。
【0058】
<1.2.プリンターの両面印刷動作>
ここでは、図1を参照しつつ、プリンター1により両面印刷する手法の一例について説明する。具体的には、(1)記録材Pの一方面および他方面のそれぞれにカラー印刷が実行される場合、(2)記録材Pの一方面および他方面のそれぞれにモノクロ印刷が実行される場合、(3)記録材Pの一方面にカラー印刷が実行された後、他方面にモノクロ印刷が実行される場合、並びに(4)記録材Pの一方面にモノクロ印刷が実行された後、他方面にカラー印刷が実行される場合、について説明する
<1.2.1.両面にカラー印刷が実行される場合>
記録材Pの両面にカラー印刷が実行される場合、各給紙部20から供給される記録材Pは、経路切換爪25の切換動作により、給紙路R1を介してカラー搬送路Rbに供給される。これにより、記録材Pの一方面に、カラー印刷が実行される。
【0059】
次に、経路切換爪145の切換動作によって、記録材Pは、架橋路R4、第1および第2共通搬送路R8、R9、並びに反転路R2を介して、反転ローラー対51に供給される。これにより、記録材Pは、反転ローラー対51により反転させられる。
【0060】
続いて、反転させられた記録材Pは、反転路R2、経路切換爪45、循環搬送路R3、および経路切換爪25を介して、再びカラー搬送路Rbに供給される。これにより、記録材Pの他方面に、カラー印刷が実行される。
【0061】
そして、経路切換爪145、カラー排紙路R6および共通排紙路R7を介して、両面印刷された記録材Pは、排紙トレイ52に排出される。
【0062】
<1.2.2.両面にモノクロ印刷が実行される場合>
記録材Pの両面にモノクロ印刷が実行される場合、各給紙部20から供給される記録材Pは、経路切換爪25の切換動作により、給紙路R1を介してモノクロ搬送路Raに供給される。これにより、記録材Pの一方面に、モノクロ印刷が実行される。
【0063】
次に、経路切換爪155および経路切換爪45の切換動作によって、記録材Pは、第1および第2共通搬送路R8、R9、並びに反転路R2を介して、反転ローラー対51に供給される。これにより、記録材Pは、反転ローラー対51により反転させられる。
【0064】
続いて、反転させられた記録材Pは、反転路R2、経路切換爪45、循環搬送路R3、および経路切換爪25を介して、再びモノクロ搬送路Raに供給される。これにより、記録材Pの他方面に、モノクロ印刷が実行される。
【0065】
そして、経路切換爪155、モノクロ排紙路R5、および共通排紙路R7を介して、両面印刷された記録材Pは、排紙トレイ52に排出される。
【0066】
<1.2.3.カラー印刷後モノクロ印刷が実行される場合>
記録材Pの一方面にカラー印刷が実行された後、他方面にモノクロ印刷が実行される場合、各給紙部20から供給される記録材Pは、経路切換爪25の切換動作により、給紙路R1を介してカラー搬送路Rbに供給される。これにより、記録材Pの一方面に、カラー印刷が実行される。
【0067】
次に、経路切換爪145の切換動作によって、記録材Pは、架橋路R4、第1および第2共通搬送路R8、R9、並びに反転路R2を介して、反転ローラー対51に供給される。これにより、記録材Pは、反転ローラー対51により反転させられる。
【0068】
続いて、反転させられた記録材Pは、反転路R2、経路切換爪45、循環搬送路R3、および経路切換爪25を介して、モノクロ搬送路Raに供給される。これにより、記録材Pの他方面に、モノクロ印刷が実行される。
【0069】
そして、経路切換爪155、モノクロ排紙路R5、および共通排紙路R7を介して、両面印刷された記録材Pは、排紙トレイ52に排出される。
【0070】
<1.2.4.モノクロ印刷後カラー印刷が実行される場合>
記録材Pの一方面にモノクロ印刷が実行された後、他方面にカラー印刷が実行される場合、各給紙部20から供給される記録材Pは、経路切換爪25の切換動作により、給紙路R1を介してモノクロ搬送路Raに供給される。これにより、記録材Pの一方面に、モノクロ印刷が実行される。
【0071】
次に、経路切換爪155および経路切換爪45の切換動作によって、記録材Pは、第1および第2共通搬送路R8、R9、並びに反転路R2を介して、反転ローラー対51に供給される。これにより、記録材Pは、反転ローラー対51により反転させられる。
【0072】
続いて、反転させられた記録材Pは、反転路R2、経路切換爪45、循環搬送路R3、および経路切換爪25を介して、カラー搬送路Rbに供給される。これにより、記録材Pの他方面に、カラー印刷が実行される。
【0073】
そして、経路切換爪145、カラー排紙路R6および共通排紙路R7を介して、両面印刷された記録材Pは、排紙トレイ52に排出される。
【0074】
<1.3.第1の実施の形態のプリンターの利点>
以上のように、本実施の形態のプリンター1において、給紙路R1は、モノクロ搬送路Raおよびカラー搬送路Rbに分岐する。また、モノクロ搬送路Raは、第1共通搬送路R8およびモノクロ排紙路R5を介して共通排紙路R7と接続されており、カラー搬送路Rbは、カラー排紙路R6を介して共通排紙路R7と接続されている。さらに、記録材Pは、共通排紙路R7を介して排紙トレイ52側に排紙される。
【0075】
このように、モノクロ画像形成部10およびカラー画像形成部101で印刷が実行された記録材Pは、いずれも排紙トレイ52側の共通排紙路R7に案内される。これにより、モノクロ画像形成部およびカラー画像形成部が並列配置されている場合であっても、排紙トレイ52を共通化できる。そのため、プリンター1の部品点数を削減でき、プリンター1の製造コストを低減できる。
【0076】
また、本実施の形態のプリンター1において、反転路R2は、モノクロ排紙路R5、カラー排紙路R6、および共通排紙路R7とは別に設けられている。これにより、反転路R2に記録材Pが存在するか否かに関わらず、共通排紙路R7に記録材Pを排紙できる。そのため、反転待ち時間が不要となり、プリンター1の印刷効率を向上できる。
【0077】
<2.第2の実施の形態>
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。図2は、第2の実施の形態におけるプリンター200のハードウェア構成の一例を示す図である。図2に示すように、第2の実施の形態のプリンター200は、露光部のハードウェア構成が異なる点を除いては、第1の実施の形態のプリンター1と同様なものである。
【0078】
そこで、以下ではこの相違点を中心に説明する。なお、以下の説明において、第1の実施の形態のプリンター1における構成要素と同様な構成要素については同一符号を付している。これら同一符号の構成要素は、第1の実施の形態において説明済みであるため、本実施形態では説明を省略する。
【0079】
露光部205は、各カラー感光体ドラム103Y、103M、103C、103Kに対してレーザ光を照射することによって、各カラー感光体ドラム103Y、103M、103C、103Kに静電潜像を形成する。また、露光部205は、モノクロ感光体ドラム13に対してレーザ光を照射することによって、モノクロ感光体ドラム13に静電潜像を形成する。
【0080】
このように、本実施の形態のプリンター200は、共通の露光部205により、モノクロ画像形成部10およびカラー画像形成部101に静電潜像を形成することができる。そのため、プリンター200の部品点数をさらに削減でき、プリンター200の製造コストをさらに低減できる。
【0081】
また、本実施の形態のプリンター200は、第1の実施の形態のプリンター1と同様な経路切換爪25、45、145、155、並びに反転ローラー対51および排紙ローラー対53を有しており、モノクロ画像形成部10およびカラー画像形成部101は、並列配置されている。
【0082】
そのため、本実施の形態のプリンター200は、第1の実施の形態のプリンター1と同様に、部品点数を削減でき、プリンター200の製造コストが低減できる。また、反転待ち時間が不要となり、プリンター200の印刷効率が向上できる。
【0083】
なお、本実施の形態において、モノクロ画像形成部10およびカラー画像形成部101は、露光部205だけでなく、ブラックトナーの収容器をも共有するように構成されても良い。この場合、同一のブラックトナー収容器からブラックトナーの供給を受けることができる。そのため、プリンター200の部品点数をさらに削減でき、プリンター200の製造コストをさらに低減できる。
【0084】
<3.変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく様々な変形が可能である。
【0085】
第1および第2の実施の形態において、モノクロ画像形成部10およびカラー画像形成部101のそれぞれは、電子写真方式により画像を形成するものとして説明したが、これに限定されるものでない。例えば、カラー画像形成部101の印刷方式は、インクジェット方式であっても良いし、熱転写方式であっても良い。
【符号の説明】
【0086】
1、200 プリンター(画像形成装置)
1a 装置本体
10 モノクロ画像形成部
20 給紙部
25 経路切換爪(第1切換部)
30 モノクロ定着部
40 循環搬送部
45 経路切換爪(第4切換部)
50 排紙部
51 反転ローラー対(反転部)
101 カラー画像形成部
145 経路切換爪(第2切換部)
155 経路切換爪(第3切換部)
R1 給紙路
R2 反転路
R3 循環搬送路
R4 架橋路
R5 モノクロ排紙路
R6 カラー排紙路
R7 共通排紙路
R8 第1共通搬送路
R9 第2共通搬送路
Ra モノクロ搬送路
Rb カラー搬送路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置であって、
(a) モノクロ搬送路を介して供給される記録材に、モノクロ画像を印刷するモノクロ画像形成部と、
(b) カラー搬送路を介して供給される前記記録材に、カラー画像を印刷するカラー画像形成部と、
(c) 給紙路を介して供給される前記記録材の経路を、
前記モノクロ搬送路と、
前記カラー搬送路と、
のいずれかに切り換える第1切換部と、
(d) 前記カラー搬送路を介して供給される前記記録材の経路を、
排紙トレイ側に前記記録材を案内するカラー排紙路と、
前記モノクロ搬送路の下流側と接続された第1共通搬送路に、前記記録材を案内する架橋路と、
のいずれかに切り換える第2切換部と、
(e) 前記モノクロ搬送路および前記第1共通搬送路を介して供給される前記記録材の経路を、
排紙トレイ側に前記記録材を案内するモノクロ排紙路と、
前記第1共通搬送路の下流側と接続された第2共通搬送路と、
のいずれかに切り換える第3切換部と、
(f) 前記第2共通搬送路の下流側に設けられており、
前記第2共通搬送路から供給される前記記録材を反転路に、
前記反転路から供給される前記記録材を循環搬送路に、
それぞれ案内するように、前記記録材の経路を切り換える第4切換部と、
(g) 前記反転路を介して供給される前記記録材の搬送方向を反転させる反転部と、
を備え、
前記共通排紙路は、前記モノクロ排紙路および前記カラー排紙路のそれぞれと接続されており、
前記循環搬送路は、前記第4切換部を介して供給された前記記録材を前記第1切換部に供給することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記反転部は、
(i) 前記反転路を介して供給される前記記録材の搬送方向を反転させるとともに、
(ii) 前記反転路に供給された前記記録材を前記排紙トレイに排出することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の画像形成装置において、
前記モノクロ搬送路および前記カラー搬送路に囲繞された空間に配置されており、前記モノクロ画像形成部および前記カラー画像形成部に高電圧を付与する高圧電源、
をさらに備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の画像形成装置において、
前記モノクロ画像形成部および前記カラー画像形成部は、同一のブラックトナー収容器からブラックトナーの供給を受けることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−68714(P2013−68714A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−205909(P2011−205909)
【出願日】平成23年9月21日(2011.9.21)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】