説明

画像形成装置

【課題】両面印刷を行う場合に、ワックスが添加されたトナーを用いて形成したトナー像を像担持体に転写する転写手段に付着したワックスにより悪影響を受けることなく印刷することができるように、ワックスを確実に除去し、画質の向上を図ることができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】ワックスwが添加されたトナーを用いて形成したトナー像Tzを担持する像担持体50と、記録媒体Sを搬送する搬送手段73と、像担持体50と圧接する位置において転写ニップ部74を形成し、像担持体50に担持されたトナー像Tzを搬送手段73により搬送された記録媒体Sに転写する転写手段70と、を有する画像形成装置において、転写手段70をワックスwの溶融温度まで加熱する加熱手段76と、搬送手段73により搬送された記録媒体が接触する転写手段70の領域Kを加熱手段76により加熱するように制御する制御手段と、を有することを特徴とする

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ装置、及びこれらの複合機などの画像形成装置に関し、特に、ワックス成分を添加したトナーを使用する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置は、光導電現象を利用して静電気的な電荷の像(静電潜像)を形成する感光体、あるいは、静電潜像に複数の着色トナーを付着させて形成したトナー像が転写される中間転写ベルト等からなる像担持体の他に、静電潜像に帯電粒子(トナー)を静電気力により付着させてトナー像を形成する現像装置、トナー像を記録媒体に転写する転写装置、記録媒体に転写された未定着のトナー像を記録媒体に定着する定着装置を備えている。
【0003】
定着装置は、耐熱性ゴム層や耐熱性離型層を被覆した加熱ローラと、この加熱ローラに圧接される加圧ローラなどにより構成されており、両者間を通る記録媒体を加熱及び加圧することによりトナー像を記録媒体に溶融定着させる。
【0004】
定着装置では、加熱ローラにトナーが付着し、離型性が十分えられないため、オイル供給装置によりシリコンオイルを加熱ローラに塗布し、加熱ローラ及び加圧ローラへのトナーのオフセットを防止することが提案されている。しかし、シリコンオイルを用いると、オイル供給装置が必要となり、さらに、記録媒体上に付着したオイルのべたつき感が避けられない。このため、最近では、ワックス成分を添加したトナーを用いることが行われている。
【0005】
このようなワックス成分を添加したトナーを定着装置において使用すると、トナー像の記録媒体への定着時に加熱ローラからトナーの離型性は上がり、分離性能は向上する。しかし、この場合、記録媒体に形成されたトナー層の上にワックス層が形成される。
【0006】
ここにおいて、両面印刷機能を有する画像形成装置では、記録媒体の一面に一旦トナー像を定着させた後、この記録媒体の裏面に転写手段により再度トナー像を転写することになるが、このような両面印刷を実施すると、先に定着した像のトナー層の上に付いているワックスが転写手段に再付着してしまう場合がある。
【0007】
この結果、両面印刷では、転写手段に付着したワックスにより画質が劣化するおそれがある。また、ワックスの転写手段への付着により、転写手段をクリーニングするクリーニング手段の負荷が大きくなり、クリーニング不良が発生するおそれもある。
【0008】
このようなワックスの付着による画質の劣化を防止するために、例えば、特許文献1では、定着後の記録媒体を搬送する搬送経路に、記録媒体を冷却する装置を設け、ワックスを固化している。特許文献2では、表面にワックスなどが接触して回転する回転体の表面を、第1の位置でワックスの融点以上に加熱し、第2の位置でワックスの融点を下回る温度のワックス除去部材を圧接し、ワックスを融点以下に冷却し固化して掻き取っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2002−91205号公報
【特許文献2】特開2004−38022号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、ワックスを確実に固化し、その後の経路や転写時に悪影響を及ぼさないようにするには、冷却装置によって記録媒体を確実に冷却する必要があるが、このような冷却には、ある程度の時間が必要となり、高速機種では、大掛かりな冷却装置を組み込まなくてはならず、コスト高、装置の大型化を余儀なくされるという問題がある。
【0011】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたもので、両面印刷を行う場合に、ワックスが添加されたトナーを用いて形成したトナー像を像担持体に転写する転写手段に付着したワックスが、印刷に悪影響を及ぼさないように、ワックスを確実に除去し、画質の向上を図ることができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的は、下記の手段により達成される。
(1)ワックスが添加されたトナーを用いて形成したトナー像を担持する像担持体と、記録媒体を搬送する搬送手段と、前記像担持体と圧接する位置において転写ニップ部を形成し、前記像担持体に担持されたトナー像を前記搬送手段により搬送された記録媒体に転写する転写手段と、転写後の記録媒体上のトナー像を定着する定着手段と、トナー像を定着後の記録媒体を、表裏を反転させた後に前記搬送手段に搬送し裏面プリント動作を行う両面プリント手段と、を有する画像形成装置において、前記転写手段をワックスの溶融温度まで加熱する加熱手段と、前記搬送手段により搬送された記録媒体が接触する前記転写手段の領域を前記加熱手段により加熱するように制御する制御手段と、を有することを特徴とする画像形成装置。
(2)前記制御手段は、前記両面プリント手段の動作時には前記加熱手段による加熱を禁止することを特徴とする上記(1)の画像形成装置。
(3)前記制御手段は、前記両面プリント手段の動作が所定時間あるいは所定枚数以上継続されたと判断される毎に、クリーニング用の記録媒体の搬送を行うように前記搬送手段を制御することを特徴とする上記(2)の画像形成装置。
(4)画像形成装置は、それぞれに記録媒体を収容した複数の給紙用トレイを有し、
前記制御手段は、前記クリーニング用の記録媒体として、複数の給紙用トレイから平滑度が低い記録媒体を収容した給紙用トレイを選択し、該給紙用トレイから記録媒体を搬送することを特徴とする上記(3)の画像形成装置。
(5)前記転写手段は、ベルトにより構成したことを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれか1つの画像形成装置。
(6)前記転写手段は、ローラにより構成したことを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれか1つの画像形成装置。
(7)前記加熱手段は、輻射熱により前記ワックスを溶融させるヒータである上記(1)〜(6)のいずれか1つの画像形成装置。
(8)前記加熱手段は、前記搬送体の回転方向における前記転写ニップ部の上流側に設けたことを特徴とする上記(1)〜(7)のいずれか1つの画像形成装置。
(9)画像形成装置は、前記転写手段の下流に前記転写手段に接して設けられたクリーニング手段を有し、前記加熱手段は、前記転写手段の回転方向における前記クリーニング手段の下流側に設けたことを特徴とする上記(1)〜(8)のいずれか1つの画像形成装置。
(10)前記制御手段は、前記転写手段の表面温度に応じて加熱量を調整するよう前記加熱手段を制御することを特徴とする上記(1)〜(9)のいずれか1つの画像形成装置。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、上記のような構成により、予め転写手段の近傍に設けた加熱手段により、転写手段に付着したワックスの記録媒体に対応する部分を加熱溶融させ、転写ニップ部で記録媒体に付着させるので、前記転写手段からワックスを確実に除去することができ、両面印刷モード時の画質、特に両面印刷が連続した場合の画質を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】両面印刷機能を備えた画像形成装置の構成図である。
【図2】本発明の一実施形態の主要部を示す概略図である。
【図3】片面に画像形成された後の記録媒体の断面図である。
【図4】ワックスクリーニングモードにおけるワックス回収状態の搬送ベルトと加熱領域を示す概略図である。
【図5】ワックスクリーニングモードの制御系ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0016】
図1に示すように、本実施形態の画像形成装置1は、電子写真方式により記録媒体に画像を形成するものであり、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)及び黒(K)の4色のトナーを重ね合わせるタンデム形式のカラー画像形成装置である。
【0017】
この画像形成装置は、概して、記録媒体収容部(給紙ユニット)20、画像読取部30、画像形成部40、中間転写ベルト50、2次転写部70、定着部80、及び、両面印刷機構90を有している。
【0018】
この画像形成装置においては、原稿搬送部10から搬送された原稿Gの画像を画像読取部30が読取り、所定色に関して生成された画像データに基づいて、画像形成部40において、感光体41の表面を露光し、感光体41上に静電潜像を形成する。そして、この静電潜像に所定色のトナーを付着させ、トナー像を形成し、このトナー像を、中間転写ベルト50を介して2次転写部70により記録媒体Sに転写し、定着部80で定着することになる。
【0019】
このような画像形成部40には、4つの画像形成ユニット40Y,40M,40C,40Kが設けられ、これら4つの画像形成ユニット40Y,40M,40C,40Kは、それぞれ同一の構成であるため、例えば、イエロー(Y)の画像形成ユニット40Yについて説明する。
【0020】
この画像形成ユニット40Yは、ドラム状の感光体41と、感光体41の周囲に配置された帯電部42と、露光部43と、現像部44と、クリーニング部45と、を有している(図2参照)。感光体41は、図外のモータにより反時計回り(矢印A方向)に回転され、帯電部42は、感光体41の表面を一様に帯電させる。露光部43は、原稿Gから読み取られた画像データに基づいて、感光体41の表面を露光し、感光体41上に静電潜像を形成する。現像部44は、感光体41に形成された静電潜像にイエローのトナーを付着させ、イエローのトナー像を形成する。感光体41上に付着したトナーは、中間転写ベルト50に転写され、クリーニング部45は、感光体41表面の残留現像剤を除去する。中間転写ベルト50は、無端で、図外のモータで感光体41の回転方向とは逆の時計回り(矢印B方向)に回転される。中間転写ベルト50の感光体41と対向する位置には、1次転写部53が設けられ、中間転写ベルト50にトナーと反対の極性を印可させ、感光体41上に形成されたトナー像を中間転写ベルト50に転写させる。
【0021】
中間転写ベルト50には、同様にして、他の3つの画像形成ユニット40M,40C,40Kからそれぞれマゼンダ(M)、シアン(C)及び黒(K)のトナーがそれぞれ塗布され、イエローと合せて4つの各色のトナー像が重畳的に転写され、カラー画像が形成される。
【0022】
カラー画像は、2次転写部70において記録媒体Sに転写される。2次転写部70は、中間転写ベルト50の近傍でかつ搬送部23の下流に配置されたローラあるいはベルトより構成されており、搬送部23から送られてきた記録媒体Sを中間転写ベルト50側に押圧し、カラー画像を記録媒体S上に転写する。2次転写後、記録媒体Sは、定着部80に送られ、転写されたトナー像が加圧加熱され、定着される。
【0023】
両面印刷機構90は、定着部80の下流に切換ゲート24を有し、定着部80を通過した記録媒体Sの搬送路を切り替えるようになっている。片面画像形成におけるフェースアップ排紙を行う場合には、記録媒体Sを直進させ、一対の排紙ローラ25によって排紙する。また、片面画像形成におけるフェースダウン排紙及び両面画像形成を行う場合には、記録媒体Sを下方に案内する。フェースダウン排紙を行う場合は、切換ゲート24によって記録媒体Sを下方に案内した後に、記録媒体反転搬送部26によって表裏を反転して上方に搬送する。これにより、記録媒体Sは、一対の排紙ローラ25によって排紙される。両面画像形成を行う場合は、切換ゲート24によって記録媒体Sを下方に案内した後に、記録媒体反転搬送部26によって表裏を反転し、再給紙路27により再び転写位置へ送ることになる。
【0024】
図2は本実施形態の主要部を示す概略図、図3は片面に画像形成された後の記録媒体の断面図である。なお、図2に示す画像形成装置は、図1に示す記録媒体反転搬送部26と再給紙路27を有する両面印刷機構を備えたものであるが、図2では簡素化のため省略している。
【0025】
図2において、中間転写ベルト50は、第1の駆動ローラ51と第1の従動ローラ52との間に掛け渡され、矢印B方向に回転する。2次転写部70は、帯状の搬送ベルトからなる2次転写ベルト(以下、搬送体)73を有し、搬送体73は、第2の駆動ローラ71と第2の従動ローラ72との間に掛け渡されている。
【0026】
中間転写ベルト50と搬送体73は、第1の駆動ローラ51と、トナーを吸着するバイアスが印加された第2の駆動ローラ71とにより圧接され、中間転写ベルト50のトナー像を記録媒体Saに2次転写する機能と、記録媒体Saをニップする機能と、を有する転写ニップ部74を端部に有している。搬送体73は、矢印C方向に回転し、記録媒体Saを定着部80に搬送する転写搬送手段でもある。
【0027】
搬送体73は、図1に2次転写部70として示すローラにより構成してもよく、また、図2では、記録媒体収容部20を、記録媒体収容部20aと、後述するクリーニング用の記録媒体Sbとして用いる記録媒体が収容される記録媒体収容部20bの2段のみ示すが、記録媒体のサイズ、紙種に応じて適数段設けてもよい。
【0028】
本実施形態の画像形成装置は、第2の従動ローラ72の近傍に搬送体73上の異物を除去するクリーニング手段75と、第2の駆動ローラ71の外側近傍であって、転写ニップ部74に対し搬送方向上流側に設けられた加熱手段76と、加熱手段76を制御するため、搬送体73の下部に設けられた非接触式の温度検知手段(温度センサ)77と、を有している。
【0029】
ここにおいて、両面印刷モード時には、定着後の記録媒体Saが両面印刷機構90を経て、再度転写ニップ部74を通過する。この記録媒体Saは、図3に示すように、用紙S1にトナー像Tzが付着し、トナー像Tzをワックスwが覆うように存在している状態である。したがって、記録媒体Saが、転写ニップ部74においてニップされ、搬送体73により搬送されるときには、ワックスwが搬送体73に表面に接触することになる。このため、大量の枚数の両面印刷モードが実行されると、ワックスwが繰り返し搬送体73に接触することになり、徐々にワックスwが搬送体73に付着することになる。
【0030】
本実施形態は、この搬送体73に付着したワックスwを回収除去するため、転写ニップ部74の上流側近傍に配置した加熱手段76により、ワックスwを融点以上、つまりワックスwの溶融温度まで加熱して溶融状態とし、両面印刷モード時であっても、片面印刷モードに設定し、記録媒体収容部20bに収容されているクリーニング記録媒体Sbを転写ニップ部74に通紙し、ワックスwをこれに付着させ、搬送体73の表面からワックスwを回収除去している。そして、ワックスwが付着したクリーニング記録媒体Sbは、排紙ローラ25などから排紙される。
【0031】
このように、本実施形態では、両面印刷可能な装置であっても、片面印刷モードに設定し、クリーニング用の記録媒体Sbを排紙すれば、クリーニング用の記録媒体Sbが、両面印刷機構に導かれることはなく、排紙され、ワックスwが及ぼす各部に対する悪影響を回避でき、画質の向上を図ることができる。
【0032】
ここに、クリーニング記録媒体Sbは、平滑度の低い、つまり、溶融ワックスを吸収し易い紙種を使用することが好ましい。ワックスwの除去が円滑で、ワックスwが装置の各部に及ぼす悪影響を回避できる。クリーニング記録媒体Sbとしては、複数の用紙トレイにそれぞれ収納されている記録媒体のうち、最も平滑度の低いものを用いるようにしてもよいし、専用のクリーニング記録媒体を収納しておいてもよい。
【0033】
この結果、搬送体73の表面に付着していたワックスwは、クリーニング記録媒体Sb側に移動し、搬送体73の表面からは除去される。しかも、本実施形態のようにワックスwを有する搬送体73の表面とクリーニング記録媒体Sbが接する部分が、転写ニップ部74という加圧を伴う部分であり、搬送体73表面のワックスwは、クリーニング記録媒体Sbに押圧されることから、搬送体73の表面から取り除かれやすいものとなり、また、クリーニング記録媒体Sbの紙種がワックスを吸収し易いものであることからしても、搬送体73の表面から取り除かれやすく、これら総じて、搬送体73表面のワックスwは、いわゆる「根こそぎ」取り除かれることになる。
【0034】
しかも、加熱手段76をクリーニング手段75の、搬送体73の回転方向における下流側に設けると、加熱手段76が、ある程度量的に少ないワックスwを溶融処理でき、ワックスwを確実に処理できる。
【0035】
また、温度検知手段(温度センサ)77が、搬送体73の表面温度に応じて加熱手段76の加熱量を調整すれば、不必要にエネルギを使用することなく、ワックスを処理できる。
【0036】
次に、加熱手段76によりワックスwを加熱溶融し、クリーニング記録媒体Sbにワックスwを吸着させて回収除去するモード(以下、「ワックスクリーニングモード」)の制御について説明する。
【0037】
図4A〜図4Cはワックスクリーニングモードにおけるワックス回収状態の搬送体と加熱領域との関係を示す概略図、図5はワックスクリーニングモードの制御系ブロック図である。
【0038】
ワックスクリーニングモードで使用される加熱手段76は、図4に示すように、搬送体73の幅と同程度の長さを有するラインヒータ(加熱手段)76により構成され、クリーニング記録媒体Sbの幅Wに合わせてラインヒータのセグメントを作動し、搬送体73の加熱領域Kを調節して、ワックスwを加熱溶融させるようにしている。
【0039】
加熱手段76の加熱は、第2の駆動ローラ71により駆動される搬送体73が加熱手段76と対向する位置を通過するときに、輻射熱により行われ、これにより生じる搬送体73の加熱領域Kは、搬送体73上の溶融された状態のワックスwを伴って、図4A〜図4Cに斜線で示すように、徐々に移動する。
【0040】
したがって、加熱領域Kに存在する溶融状態のワックスwは、転写ニップ部74に到達すると、ここに供給されたクリーニング記録媒体Sbと接し、クリーニング記録媒体Sb側に吸着されることになる。ワックスwが付着したクリーニング記録媒体Sbは、搬送体73により搬送され、排紙乃至回収される。
【0041】
このワックスクリーニングモードは、本実施形態の装置が両面印刷可能な装置であっても、これを片面印刷モードに設定し、転写ニップ部74がクリーニング用の記録媒体Sbを挟持し、搬送体73により搬送し排紙すれば、ワックスwが付着したクリーニング用の記録媒体Sbが、両面印刷機構90に導かれることはなく排紙され、再度画像形成装置内に付着することが防止されるため、ワックスが及ぼす各部に対する悪影響を回避でき、画質の向上を図ることができる。
【0042】
ワックスクリーニングモードの制御系は、図5に示すように、CPU(主制御手段)78、加熱制御手段79、ワックスクリーニングモード指令手段91、加熱範囲設定手段92、給紙部選択手段93を有している。なお、ワックスクリーニングモード指令手段91、加熱範囲設定手段92は、図外の操作部に配置されている。
【0043】
CPU78は、ワックスクリーニングモード指令手段91からの実行指令を受け、加熱範囲設定手段92によってクリーニング記録媒体Sbの幅Wに基づいて搬送体73の加熱幅が設定され、温度検知手段77が検知した搬送体73の表面温度を検知すると、加熱制御手段79に所定の温度で加熱する旨の制御指令を出力する。 これにより、クリーニング記録媒体Sbの幅Wに対応するラインヒータのセグメントが作動し、対向する搬送体73を輻射熱により加熱し、搬送体73上のワックスwが溶融される。
【0044】
CPU78は、ワックスwが溶融された領域が搬送体73の移動に伴って転写ニップ部74に到達するとき、クリーニング記録媒体Sbも到達するように、給紙部選択手段93に作動信号を出力し、クリーニング記録媒体Sbが収納されている記録媒体収容部20からクリーニング記録媒体Sbを転写ニップ部74に向けて搬出させる。この場合、CPU78(制御手段)は、クリーニング記録媒体Sbとして、複数の用紙トレイにそれぞれ収納されている記録媒体のうち、最も平滑度の低いものを給紙するように給紙部選択手段93を制御してもよく、また専用のクリーニング記録媒体を給紙するように給紙部選択手段93を制御してもよい。 搬送体73のワックスwが溶融された領域とクリーニング記録媒体Sbが、転写ニップ部74で合致すると、溶融状態のワックスwは、クリーニング記録媒体Sbに付着し、搬送体73からワックスが根こそぎ除去され、ワックスクリーニングモードが完了する。
【0045】
このように、本実施形態のワックスクリーニングモードでは、搬送体73に付着した所定領域のワックスを確実に除去し、クリーニング記録媒体Sbに付着させて回収することができる。
【0046】
一方、トナー像を定着後の記録媒体Saを、表裏を反転させた後に、搬送体73に搬送し裏面プリント動作を行う両面プリント動作が実施されている場合、裏面側のプリント中に加熱を行うと、定着後のトナー像表層に存在するワックスを溶融させ、転写手段へ転移する量が却って増加してしまう恐れがあるため、CPU78(制御手段)は、ラインヒータ76(加熱手段)による加熱を禁止することが好ましい。
【0047】
両面プリントが実施されている場合は、両面プリントが所定時間あるいは所定枚数以上継続して行われた場合に、ワックスクリーニングモードが実行されることが好ましい。つまり、CPU78(制御手段)は、両面プリント手段の動作が所定時間あるいは所定枚数以上継続して行われたと判断される毎に、クリーニング用の記録媒体Sbの搬送を行うように搬送体73(搬送手段)を制御することが好ましい。
【0048】
本発明は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の技術的思想内において当業者により種々変更が可能である。例えば、前述した実施形態は、タンデム形式のカラー画像形成装置について説明したが、本発明は、これのみでなく、両面印刷機構を有するものであれば、どのようなものであってもよい。
(実施例)
上述したワックスクリーニングモードを行う場合の具体例を挙げると、プロセス速度400mm/sのフルカラー複合機を使用する場合では、両面印刷モードで500枚以上印刷した後、ワックスクリーニングモードを行う。500枚以上に達するまでは、ワックスクリーニングモードを行わない。ここで使用する搬送体73としては、PVDF、130μmであり、トナーとして、ワックス含有スチレンアクリルトナーで融点が100℃のものでは、ワックスの融点は70℃である。加熱手段76として、IHヒータを使用でき、制御温度は80±5℃であり、目標温度は、ワックスの融点が70℃であるので、80℃に設定することが好ましい。
【0049】
ワックスクリーニングモードの結果は、ワックスが搬送体73表面から確実に除去され、良好な結果が得られた。
【符号の説明】
【0050】
20 記録媒体収容部、
50 中間転写ベルト(像担持体)、
70 転写部(転写手段)、
73 搬送体(搬送手段)、
74 転写ニップ部、
75 クリーニング手段、
76 ラインヒータ(加熱手段)、
77 温度センサ(温度検知手段)、
78 制御手段(CPU)、
80 定着手段、
90 両面印刷機構(両面プリント手段)、K…加熱領域、
S,Sa 記録媒体、
Sb クリーニング用の記録媒体、
Tz トナー像、
w ワックス。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワックスが添加されたトナーを用いて形成したトナー像を担持する像担持体と、
記録媒体を搬送する搬送手段と、
前記像担持体と圧接する位置において転写ニップ部を形成し、前記像担持体に担持されたトナー像を前記搬送手段により搬送された記録媒体に転写する転写手段と、
転写後の記録媒体上のトナー像を定着する定着手段と、
トナー像を定着後の記録媒体を、表裏を反転させた後に前記搬送手段に搬送し裏面プリント動作を行う両面プリント手段と、
を有する画像形成装置において、
前記転写手段をワックスの溶融温度まで加熱する加熱手段と、
前記搬送手段により搬送された記録媒体が接触する前記転写手段の領域を前記加熱手段により加熱するように制御する制御手段と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記両面プリント手段の動作時には前記加熱手段による加熱を禁止することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記両面プリント手段の動作が所定時間あるいは所定枚数以上継続されたと判断される毎に、クリーニング用の記録媒体の搬送を行うように前記搬送手段を制御することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
画像形成装置は、それぞれに記録媒体を収容した複数の給紙用トレイを有し、
前記制御手段は、前記クリーニング用の記録媒体として、複数の給紙用トレイから平滑度が低い記録媒体を収容した給紙用トレイを選択し、該給紙用トレイから記録媒体を搬送することを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記転写手段は、ベルトにより構成したことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記転写手段は、ローラにより構成したことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記加熱手段は、輻射熱により前記ワックスを溶融させるヒータである請求項1〜6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記加熱手段は、前記搬送体の回転方向における前記転写ニップ部の上流側に設けたことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
画像形成装置は、前記転写手段の下流に前記転写手段に接して設けられたクリーニング手段を有し、
前記加熱手段は、前記転写手段の回転方向における前記クリーニング手段の下流側に設けたことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記制御手段は、前記転写手段の表面温度に応じて加熱量を調整するよう前記加熱手段を制御することを特徴とする請求項1〜9のいずれかに1項に記載の画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2013−7795(P2013−7795A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−138897(P2011−138897)
【出願日】平成23年6月22日(2011.6.22)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】