説明

画像形成装置

【課題】給紙ユニットを装置本体に並設可能な画像形成装置において、ジャム処理時の作業性の向上およびジャム処理に必要な空間幅の縮小を図る。
【解決手段】搬送路140を露出させる開閉自在の第1扉200を上扉210と下扉220とに分割する。そして、給紙ユニット400が未設置の場合には上扉210と下扉220とを連結して一体として開閉可能とする。一方、給紙ユニット400が設置された場合には上扉210と下扉220とを独立して開閉可能とすると共に、下扉220を給紙ユニット400と連結し、給紙ユニット400の移動によって開閉可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大量の被転写材を収納できる給紙ユニットを装置本体に並設可能な画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ファクシミリやプリンター、複写機などの電子写真方式を用いた画像形成装置において、用紙などの被転写材が搬送路途中で詰まる(ジャム)ことがある。このため、搬送路を装置の側面近傍に縦方向に形成すると共に、搬送路を露出させる扉を装置の側面に設けて、搬送路途中で詰まった被転写材を容易に取り除くことができるようにした装置が広く用いられている。
【0003】
ところが、用紙カセットや用紙後処理部などのオプションユニットを装置本体に増設した場合、ジャム処理用の扉が複数設けられることになり、装置の設置環境によっては、複数の扉を同時に開くことができなかったり、扉を開閉する順番があるなどの煩わしさがあった。そこで、例えば特許文献1では、装置本体の扉とオプションユニットの扉とを連結する連結手段を設けると共に両扉の回動中心を一致させて、両扉を一体的に回動可能にする技術が提案されている。
【0004】
また、ジャム処理用の扉を装置の側面に設けた装置では、扉を開閉するための空間を装置の側方に確保する必要があるところ、近年の装置の小型化が求められる中、扉の開閉のための空間はできるだけ狭くすることが求められていた。そこで、例えば特許文献2では、定着装置より下方の搬送路を露出させる扉と、定着装置より上方の搬送路を露出させる扉とを設け、両扉共に扉の下側近傍を枢軸として開閉可能とし、扉を開けるのに必要な空間を狭くする技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004-271841号公報
【特許文献2】特開2005-82307号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、画像形成速度の速い画像形成装置には、被転写材を大量に収納可能な給紙ユニットを装置本体に並設可能とした装置がある。このような装置において、給紙ユニットが装置本体のジャム処理用扉の開閉を妨げないようにするには、給紙ユニットの高さを低くしなければならないが、給紙ユニットの高さを低くすると収納可能な被転写材量が少なくなる。
【0007】
一方、大量の被転写材を収納できる高さの高い給紙ユニットを装置本体に並設すると、ジャム処理用扉を開閉するためには、給紙ユニットを大きく移動・退避させなければならない。
【0008】
そこで、本発明は、給紙ユニットを装置本体に並設可能な画像形成装置において、ジャム処理時の作業性の向上およびジャム処理に必要な空間幅の縮小を図ることなどを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成する本発明に係る画像形成装置は、大量の被転写材を収納可能な給紙ユニットを装置本体に並設可能で、給紙ユニットを装置本体に並設する場合には、給紙ユニットに形成された、装置本体に被転写材を供給するための送出口と、装置本体に形成された、給紙ユニットから被転写材を受け入れるための受入れ口とが対向するように並設する画像形成装置であって、装置本体は、被転写材を下方から上方に搬送する搬送路と、前記搬送路を露出させる開閉自在の第1扉とを有し、前記第1扉は上扉と下扉とに分割され、下扉には前記受入れ口が形成され、給紙ユニットが未設置の場合には上扉と下扉とは連結して一体として開閉可能とされ、給紙ユニットが設置された場合には上扉と下扉とは独立して開閉可能とされると共に、下扉は給紙ユニットと連結し、給紙ユニットの移動によって開閉することを特徴とする。
【0010】
ここで、下扉よりも下方に、前記搬送路を露出させる開閉自在の第2扉をさらに設けたときには、第2扉と給紙ユニットとを連結機構で連結し、給紙ユニットの移動に連動して第2扉を開閉させるのが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る画像形成装置では、給紙ユニットを装置本体に並設しない場合は、上扉と下扉とを連結し一体として開閉可能とするので、ジャム処理の際には一度の操作で上扉と下扉とを開閉でき作業性が向上する。また、給紙ユニットを装置本体に並設した場合は、上扉と下扉とを分割してそれぞれ独立して開閉可能とするので、搬送路の上部でのジャムのときは上扉のみを開閉して作業することができ、さらに、下扉と給紙ユニットとを連結するので、搬送路の下部でのジャムのときは給紙ユニットを移動させることによって同時に下扉を開閉でき利便性や作業性が向上する。そして、ジャム処理に必要な空間幅の縮小を図ることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る画像形成装置の一例を示す概説図。
【図2】用紙カセットの増設を説明する図。
【図3】図1の画像形成装置の右側面図。
【図4】図1の画像形成装置において第1扉及び第2扉を開状態とした図。
【図5】給紙ユニットを装置本体に並設した画像形成装置の一例を示す概説図。
【図6】上扉と下扉とが連結されている場合の、第1扉及び第2扉を開状態とした図。
【図7】上扉と下扉とを独立して開閉可能とした場合の、上扉を開状態とした図。
【図8】上扉と下扉とを独立して開閉可能とした場合の、下扉及び第2扉を開状態とした図。
【図9】上扉と下扉とを独立して開閉可能とした場合の、上扉、下扉、第2扉を開状態とした図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る画像形成装置について図に基づいてより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施形態に何ら限定されるものではない。
【0014】
図1に本発明に係る画像形成装置の一実施形態を示す概説図を示す。図1に示す画像形成装置Dは、図2に示すように、装置本体100に、用紙(被転写材)Pを収納した2段の用紙カセット300を増設したものであって、4つの用紙カセット111,112,311,312を有する。それぞれの用紙カセットの側部上方には給紙部113,114,313,314が設けられ、最も上側の用紙Pから一枚ずつ縦方向に伸びた搬送路140又は搬送路310に引き出される。
【0015】
搬送路140に引き出された用紙Pは、搬送ローラ対によって上方へ搬送され、画像形成部120で形成されたトナー画像が転写部121において用紙Pに転写された後、定着ローラ対122によって加熱・加圧されてトナー画像が用紙Pに溶融定着される。そして、用紙Pは排出部130から排紙トレイ160に排出される。
【0016】
画像形成部120では、作像部151において露光装置152によって画像データに基づく露光を行い感光体表面に静電潜像を形成する。次いで、静電潜像にトナーを付着させてトナー画像を形成化する。そして、形成されたトナー画像を中間転写ベルト153に転写する。中間転写ベルト153表面に各色トナー画像を重ね合わせてカラートナー画像を形成する。次いで、このカラートナー画像を転写部121において用紙Pに転写する。なお、作像部151で消費されるトナーは、トナーボトル154から色別に順次補給される。
【0017】
装置本体100の右側面には、ジャムが発生した場合に搬送路140及び搬送路310を露出させるための第1扉200及び第2扉320とが開閉自在に設けられている。第1扉200は、上扉210と下扉220とから構成されている。上扉210には、手差しトレイ215(図3に図示)と、手差しトレイ215から用紙を搬入するための搬入口211と、両面印刷する場合に用紙Pを反転させて搬送するための両面印刷搬送路212とが設けられている。また上扉210には、搬送路140を構成する一方側の側壁及び搬送ローラ対の一方のローラとが設けられている。下扉220には、後述する給紙ユニット400(図5に図示)から用紙Pを受け入れるための受入れ口221と、搬送路140に繋がる誘導路222とが設けられている。一方、第2扉320には、搬送路310を構成する一方側の側壁及び搬送ローラ対の一方のローラとが設けられている。
【0018】
図3に、装置本体100の右側面図を示す。第1扉200は、上下方向に所定間隔で設けられた3つのヒンジ213a,213b,213cによって回転自在に装置本体100に取り付けられている。そして、第1扉200の、ヒンジが設けられた辺と対向する辺側にロック手段214が設けられ、第1扉200を閉状態に維持している。第1扉200は、ロック手段214を解除することによって開放可能となる。上扉210には手差しトレイ215が下辺側を軸として開閉自在に取り付けられている。手差しトレイ215を開状態にすると用紙を載置できる状態となり、手差しトレイ215に載置された用紙は搬入口211(図1に図示)から装置本体100に搬入される。また、第1扉200の下扉220には受入れ口221が形成されており、後述する給紙ユニット400(図5に図示)から送出された用紙Pは受入れ口221から装置本体100に搬入される。前述のように、上扉210と下扉220とは通常は連結されており、第1扉200として一体として開閉されるが、上扉210と下扉220との連結が解除された場合には、上扉210と下扉220とは独立して開閉自在となる。一方、第2扉320は、下辺側を軸として開閉自在に装置本体100に取り付けられている。
【0019】
このような構成の装置本体100において、搬送路140でジャムが発生した場合は、図4に示すように、上扉210と下扉220とが連結された第1扉200が開状態とされる。これによって、搬送路140の全体が露出し、ジャムの発生箇所が直ちに視認できると共に、詰まった用紙を容易に取り除くことができるようになる。なお、第1扉200は、後辺側に設けたヒンジ213a,213b,213cによって回動するので、第1扉200を完全な開状態とせずともジャム処理を行うことができる。
【0020】
搬送路310でジャムが発生した場合は、第2扉320が開状態とされる。前述のように、第2扉320は下辺側を軸として開閉される。これによって、搬送路310が露出し、ジャムの発生箇所が直ちに視認できると共に、詰まった用紙を容易に取り除くことができるようになる。
【0021】
図4において、第1扉200を開状態とするのに必要な空間の幅はAである一方、第2扉320は水平軸を中心に回動するので開状態とするのに必要な空間の幅はAよりも狭くてよい。したがって、装置本体100に給紙ユニット400を並設しない場合、ジャム処理のために必要な空間幅はAとなる。
【0022】
次に、装置本体100に給紙ユニット400を並設した場合について説明する。図5に、装置本体100に給紙ユニット400を並設した画像形成装置Dの概説図を示す。装置本体100の構造は、図1に示したものと同じである。給紙ユニット400は、用紙Pを積載し昇降するトレイ420を備える。トレイ420は、積載した用紙Pの最上部が常に給紙部に臨む位置になるように用紙の消費に合わせて上昇する。また、給紙ユニット400の側面には送出口410が形成されている。給紙ユニット400は、送出口410が装置本体100の受入れ口221と対向するように装置本体100に並設される。また給紙ユニット400は、レール430によって装置本体100に対して接続位置と離隔位置とに移動可能とされている。給紙ユニット400に収納された用紙Pは送出口410から送り出され、受入れ口221から装置本体100に搬入される。
【0023】
図5に示す画像形成装置Dにおいて、上扉210と下扉220とが連結されたまま第1扉200として開閉される場合、例えば搬送路120でジャムが生じたときは、図6に示すように、給紙ユニット400を装置本体100から離す方向に移動・退避させた後、第1扉200を開状態とする。このとき、ジャム処理に必要な空間の幅はB(=A+E)と、広い幅を必要とする。
【0024】
そこで、本発明の画像形成装置では、第1扉200の上扉210と下扉220とを独立して開閉可能として、ジャム処理に必要な空間の幅を狭めることに成功した。また、下扉220と給紙ユニット400とを連結し、給紙ユニットの移動によって下扉220を開閉可能とすることで作業効率の向上を図った。
【0025】
図7に示すように、搬送路140の上部でジャムが発生した場合には、上扉210のみを開状態としジャム処理を行う。このとき、給紙ユニット400は移動させる必要がない。また、上扉210を開状態とするのに必要な空間幅Aは給紙ユニット400の幅Eよりも狭いので、ジャム処理に必要な空間の幅は給紙ユニット400の幅Eとなる。
【0026】
また、図8に示すように、搬送路140の下部及び搬送路310でジャムが発生した場合には、給紙ユニット400を装置本体100から離す方向へ移動する。すると、給紙ユニット400に連結した下扉220も移動し開状態となる。また、第2扉320も連結機構440によって給紙ユニット400に連結しているので、給紙ユニット400の移動によって第2扉320も開状態となる。そして、搬送路140の下部及び搬送路310に詰まっている用紙を取り除く。このとき、下扉220及び第2扉320を開状態とするのに必要な空間幅Cは、下扉220と上扉210とが連結され一体として開状態とするのに必要な空間幅A(図6に図示)よりも狭くてよいので、ジャム処理に必要な空間の幅D(=C+E)は図6に示した幅Bよりも狭くなる。
【0027】
図9に示すように、搬送路140及び搬送路310でジャムが発生した場合には、上扉210と下扉220、第2扉320とをすべて開状態とする。このとき、ジャム処理に必要な空間は、図8に示した場合と同様に幅D(=C+E)となり、図6に示した空間の幅Bよりも狭くなる。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明に係る画像形成装置では、給紙ユニットを装置本体に並設した場合は、上扉と下扉とを分割してそれぞれ独立して開閉可能とするので、搬送路の上部でのジャムのときは上扉のみを開閉して作業することができ、さらに、下扉と給紙ユニットとを連結するので、搬送路の下部でのジャムのときは給紙ユニットを移動させることによって同時に下扉を開閉でき作業性が向上する。そして、ジャム処理に必要な空間幅の縮小を図ることができ有用である。
【符号の説明】
【0029】
100 装置本体
140 搬送路
200 第1扉
210 上扉
220 下扉
221 受入れ口
222 誘導路
320 第2扉
400 給紙ユニット
440 連結機構
P 用紙(被転写材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
大量の被転写材を収納可能な給紙ユニットを装置本体に並設可能であって、給紙ユニットを装置本体に並設する場合には、給紙ユニットに形成された、装置本体に被転写材を供給するための送出口と、装置本体に形成された、給紙ユニットから被転写材を受け入れるための受入れ口とが対向するように並設する画像形成装置において、
装置本体は、被転写材を下方から上方に搬送する搬送路と、前記搬送路を露出させる開閉自在の第1扉とを有し、
前記第1扉は上扉と下扉とに分割され、下扉には前記受入れ口が形成され、
給紙ユニットが未設置の場合には上扉と下扉とは連結して一体として開閉可能とされ、給紙ユニットが設置された場合には上扉と下扉とは独立して開閉可能とされると共に、下扉は給紙ユニットと連結し、給紙ユニットの移動によって開閉することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
下扉よりも下方に、前記搬送路を露出させる開閉自在の第2扉をさらに有し、第2扉と給紙ユニットとは連結機構によって連結され、給紙ユニットの移動に連動して第2扉が開閉する請求項1記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−88577(P2013−88577A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−228161(P2011−228161)
【出願日】平成23年10月17日(2011.10.17)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】