説明

画像撮影装置

【課題】照明光の強度が時間的に変動する場合であっても測定対象物の画像を高精度に得ることができる画像撮影装置を提供する。
【解決手段】画像撮影装置1は、光源部10、レンズ21、ハーフミラー22、レンズ23、液晶チューナブルフィルタ24、レンズ25、基準反射板31、基準反射板32、撮像部40、演算部50および表示部60を備える。基準反射板31および基準反射板32は、照明光学系により導かれた照明光が照射される位置であって撮像部40の視野の一部に設けられる。演算部50は、撮像部40による撮像により得られた画像のうち基準反射板31,32の画像部分の値を用いて測定対象物2の画像部分の値を補正する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像撮影装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、照明光が測定対象物へ照射されて生じた反射光を導いて結像する結像光学系と、結像された光を撮像する撮像部とを備える画像撮影装置を記載している。このような画像撮影装置において、同じ測定対象物からの反射光であっても、撮像部へ入射する反射光の強度が時間的に変動する場合がある。この場合、撮像部による撮像により得られる測定対象物の画像は、精度が悪いものとなる。また、或る時刻に撮像して測定対象物の画像Aを得て、他の時刻に撮像して測定対象物の画像Bを得た場合、画像Aと画像Bとの対比も精度が悪い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−145116号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、撮像部へ入射する反射光の強度が測定対象物に起因しない理由で時間的に変動する場合であっても測定対象物の画像を高精度に得ることができる画像撮影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る画像撮影装置は、(1) 照明光が測定対象物へ照射されて生じた反射光を導いて結像する結像光学系と、(2) 結像光学系により結像された光を撮像する撮像部と、(3) 照明光が照射される位置であって撮像部の視野の一部に設けられた基準反射板と、(4) 撮像部による撮像により得られた画像のうち基準反射板の画像部分の値を用いて測定対象物の画像部分の値を補正する演算部とを備える。
【0006】
本発明に係る画像撮影装置は、結像光学系が透過帯域が可変である液晶チューナブルフィルタを光路上に含む場合その効果が顕著に発揮される。基準反射板は、撮像部の視野の中心部を挟む2箇所に設けられているのが好適である。また、基準反射板は、液晶チューナブルフィルタの透過率のむらが存在する方向に撮像部の視野の中心部を挟む2箇所に設けられているのが好適である。基準反射板は、鏡面研磨された金属平板であるのが好適であり、金属コーティングが施された平板であるのが好適であり、或いは、拡散反射板であるのが好適である。演算部は、2箇所に設けられている基準反射板の画像部分の値を用いて、測定対象物の画像部分の各位置に対応する補正係数を計算する第一演算部と、補正係数を使って各位置内の値を規格化する第二演算部とを含むのが好適である。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る画像撮影装置は、撮像部へ入射する反射光の強度が測定対象物に起因しない理由で時間的に変動する場合であっても測定対象物の画像を高精度に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、本発明の実施形態に係る画像撮影装置の概念図である。
【図2】図2は、図1の画像撮影装置における演算部の処理内容の例を説明する概念図である。
【図3】図3は、図1の画像撮影装置における演算部が処理する内容の他の例を説明する概念図である。
【図4】図4は、図1の画像撮影装置における動作の第一実施例を示すフローチャートである。
【図5】図5は、図1の画像撮影装置における動作の第二実施例を示すフローチャートである。
【図6】図6は、図1の画像撮影装置における動作の第三実施例を示すフローチャートである。
【図7】図7は、図1の画像撮影装置における動作の第四実施例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0010】
図1は、本発明の実施形態に係る画像撮影装置1の概念図である。画像撮影装置1は、光源部10、レンズ21、ハーフミラー22、レンズ23、液晶チューナブルフィルタ24、レンズ25、基準反射板31、基準反射板32、撮像部40、演算部50および表示部60を備える。
【0011】
光源部10は、測定対象物2に照射すべき照明光を出力する。光源部10は、狭帯域光を出力するものであってもよいし、広帯域光を出力するものであってもよい。後者の場合、光源部10として例えばハロゲンランプが用いられる。
【0012】
レンズ21は、光源部10から出力された照明光を入力し、この照明光を平行光としてハーフミラー22へ出力する。ハーフミラー22は、レンズ21から到達した照明光を測定対象物2へ反射させる。また、ハーフミラー22は、照明光が測定対象物2へ照射されて生じた反射光を入力して、この反射光をレンズ23へ透過させる。レンズ23およびレンズ25は、測定対象物2で生じた反射光のうちハーフミラー22を透過した光を入力して、この光を撮像部40の撮像面に結像する。
【0013】
液晶チューナブルフィルタ24は、レンズ23とレンズ25との間の光路上に設けられている。液晶チューナブルフィルタ24は、複屈折フィルタ,平板状の液晶セルおよび偏光子が順に繰り返して積層されたものであって、これらの方位を調整することで透過帯域を変更することができる。
【0014】
レンズ21およびハーフミラー22は、光源部10から出力された照明光を測定対象物2に導く照明光学系を構成している。(光源部10を設けずに環境にある光を照明光として利用する形態も可能である。この場合照射光学系は必要に応じて設ければよい。)ハーフミラー22,レンズ23,液晶チューナブルフィルタ24およびレンズ25は、照明光学系により導かれた照明光が測定対象物2へ照射されて生じた反射光を導いて結像する結像光学系を構成している。
【0015】
撮像部40は、結像光学系により結像された光を撮像する。撮像部40として例えばCCDカメラが用いられる。
【0016】
基準反射板31および基準反射板32は、照明光学系により導かれた照明光が照射される位置であって撮像部40の視野の一部に設けられる。基準反射板31,32は、鏡面研磨された金属平板であるのが好適であり、金属コーティングが施された平板であるのも好適であり、また、拡散反射板であるのも好適である。ここで用いられる金属は、任意であるが、例えば金が用いられる。
【0017】
基準反射板は1つであってもよいが、撮像部40の視野の中心部を挟む2箇所に基準反射板31,32が設けられているのが好適である。また、基準反射板31,32は、液晶チューナブルフィルタ24の透過率のむらを補正できるように、透過率のむらが存在する方向で撮像部40の視野の中心部を挟む2箇所に設けられているのが好適である。(液晶チューナブルフィルタ24の透過率は、液晶全域で等しくはならず一方向に変化していることが多い。)基準反射板31と基準反射板32との間に測定対象物2が挟まれていてもよい。
【0018】
演算部50は、第一演算部51および第二演算部52を含む。第一演算部51は、撮像部40による撮像により得られた画像のうち基準反射板31,32における画像部分の値を用いて補正係数を算出する。第二演算部52は、補正係数を使って測定対象物2の画像部分の値を補正する。表示部60は、撮像部40による撮像により得られた生の画像を表示し、また、演算部50により補正された後の画像を表示する。
【0019】
図2は、画像撮影装置1における演算部50の処理内容の例を説明する概念図である。演算部50の処理は、液晶チューナブルフィルタ24の透過率のむらが存在する場合にも好適なものである。この例では、撮像部40による撮像により得られた画像のうち測定対象物2の画像部分を6×6個の領域(R11〜R16,R21〜R26,R31〜R36,R41〜R46,R51〜R56,R61〜R66)に区分し、基準反射板31の画像部分を6個の領域(R10,R20,R30,R40,R50,R60)に区分し、また、基準反射板32の画像部分を6個の領域(R17,R27,R37,R47,R57,R67)に区分している。8個の領域R10〜R17は、液晶チューナブルフィルタ24の透過率のむらが存在する方向に平行な直線上において、この順に並んでいる。8個の領域R20〜R27,8個の領域R30〜R37,8個の領域R40〜R47,8個の領域R50〜R57および8個の領域R60〜R67それぞれについても同様である。
【0020】
第一演算部51は、撮像部40による撮像により得られた画像のうち基準反射板31,32の画像部分における各領域(R10,R20,R30,R40,R50,R60,R17,R27,R37,R47,R57,R67)の値を用いて、測定対象物2の画像部分における各領域(R11〜R16,R21〜R26,R31〜R36,R41〜R46,R51〜R56,R61〜R66)の値を補正する補正係数を算出する。測定対象物2の画像部分における各領域のうち基準反射板31に最も近い領域R11〜R61各々については領域R10〜R60各々の値を補正係数として使用する。測定対象物2の画像部分における各領域のうち基準反射板32に最も近い領域R16〜R66各々については領域R17〜R67各々の値を補正係数として使用する。そして、その間の領域(R12〜R15,R22〜R25,R32〜R35,R42〜R45,R52〜R55,R62〜R65)については領域R11〜R61各々の寄与と領域R17〜R67各々の寄与を線形に変化させた値を補正係数として算出する。
【0021】
具体的には、領域R11については、領域R10の値を補正係数とする。領域R12については、領域R10の値を80%反映させる一方、領域R17の値を20%反映させた値(領域R10の値×0.8+領域R17の値×0.2)を補正係数とする。同様に、領域R13については、領域R10の値を60%反映させる一方、領域R17の値を40%反映させた値を補正係数とする。領域R14については、領域R10の値を40%反映させる一方、領域R17の値を60%反映させた値を補正係数とする。領域R15については、領域R10の値を20%反映させる一方、領域R17の値を80%反映させた値を補正係数とする。また、領域R16については、領域R17の値を補正係数とする。8個の領域R20〜R27,8個の領域R30〜R37,8個の領域R40〜R47,8個の領域R50〜R57および8個の領域R60〜R67それぞれについても同様である。
【0022】
そして、第二演算部52は、撮像部40による撮像により得られた画像のうち測定対象物2の画像部分における各領域(R11〜R16,R21〜R26,R31〜R36,R41〜R46,R51〜R56,R61〜R66)の値を、第一演算部51で決めた各領域に対応する補正係数で割り規格化することにより補正する。
【0023】
図3は、画像撮影装置1における演算部50が処理する内容の他の例を説明する概念図である。この例でも、同図(a)に示されるように、撮像部40による撮像により得られた画像のうち測定対象物2の画像部分を6×6個の領域(R11〜R16,R21〜R26,R31〜R36,R41〜R46,R51〜R56,R61〜R66)に区分し、基準反射板31の画像部分を6個の領域(R10,R20,R30,R40,R50,R60)に区分し、また、基準反射板32の画像部分を6個の領域(R17,R27,R37,R47,R57,R67)に区分している。領域Ri0と領域Ri1(i=1〜6)との間の距離はl31、領域Ri6と領域Ri7(i=1〜6)との間の距離はl32、領域Ri0と領域Ri7(i=1〜6)との間の距離はLである。(領域間の距離は各領域の中心相互間の距離。)
【0024】
第一演算部51は、撮像部40による撮像により得られた画像のうち基準反射板31,32の画像部分における各領域の値を用いて補正係数を算出する。同図(b)に示されるように、測定対象物2の画像部分における各領域のうち基準反射板31に最も近い領域R11〜R61各々については領域R10〜R60各々の値の寄与を(L−l31)/Lとし領域R17〜R67各々の値の寄与をl31/Lとした値を補正係数とする。測定対象物2の画像部分における各領域のうち基準反射板32に最も近い領域R16〜R66各々については領域R10〜R60各々の値の寄与をl32/Lとし領域R17〜R67各々の値の寄与を(L−l32)/Lとした値を補正係数とする。そして、その間の領域(R12〜R15,R22〜R25,R32〜R35,R42〜R45,R52〜R55,R62〜R65)については、領域R11〜R61各々の寄与と領域R17〜R67各々の寄与を線形に変化させた値を補正係数とする。
【0025】
そして、第二演算部52は、撮像部40による撮像により得られた画像のうち測定対象物2の画像部分における各領域(R11〜R16,R21〜R26,R31〜R36,R41〜R46,R51〜R56,R61〜R66)の値を、第一演算部51で決めた各領域に対応する補正係数で割り規格化することにより補正する。
【0026】
図4は、画像撮影装置1の動作の第一実施例を示すフローチャートである。第一実施例では、測定対象物の画像部分の画素を各々m×p個の画素からなる領域R11〜R66にグループ分けし、基準反射板の画像部分の画素を各々m×n個の画素からなる領域R10〜R60、R17〜R67にグループ分けし、各領域において図2で説明した補正処理を行う。まず、撮像部40への入射光を遮断して測定し(ステップS10)、これにより得られたダークデータDijλを格納する(ステップS11)。ここで、添え字i,jは画素位置を表し、添え字λは波長を表す。すなわち、Dijλは、画素位置(i,j)における波長λでの値を表す。
【0027】
測定位置に参照反射板を置いて、この参照反射板および基準反射板31,32へ照明光を照射し、これらからの反射光を撮像部40により撮像して(ステップS20)、これにより得られた参照データXijλを格納する(ステップS21)。参照データXijλは、参照反射板の画像部分と基準反射板31,32の画像部分とを含む。参照反射板は、基準反射板31,32と同様のものが用いられる。続いて、参照データXijλおよびダークデータDijλを用いて、ダーク成分を補正した後の参照データX´ijλ=Xijλ− Dijλを計算する(ステップS22)。参照データX´ijλのうち基準反射板31,32の画像部分では、領域RHJ(H=1〜6、J=0, 7)毎に参照データX´ijλの平均値AHJλを求める。参照反射板の画像部分では、領域RHI(I=1〜6)毎に、図2で説明した方法で平均値AHJλから補正係数AHIλを算出する。領域RHI内の参照データX´ijλを補正係数AHIλで補正(規格化)し(ステップS23)、これにより補正後の参照データX"ijλを得る(ステップS24)。
【0028】
測定位置に測定対象物2を置いて、測定対象物2および基準反射板31,32へ照明光を照射し、これらからの反射光を撮像部40により撮像して(ステップS30)、これにより得られた測定データYijλを格納する(ステップS31)。測定データYijλは、測定対象物2の画像部分と基準反射板31,32の画像部分とを含む。続いて、測定データYijλおよびダークデータDijλを用いて、ダーク成分を補正した後の測定データY´ijλ=Yijλ−Dijλを計算する(ステップS32)。測定データY´ijλのうち基準反射板31,32の画像部分では、領域RHJ(H=1〜6、J=0, 7)毎に参照データY´ijλの平均値EHJλを求める。測定対象物2の画像部分では、領域RHI(I=1〜6)毎に、図2で説明した方法で平均値EHJλから補正係数EHIλを算出する。領域RHI内の測定データX´ijλを補正係数EHIλで補正(規格化)し(ステップS33)、これにより補正後の測定データY"ijλを得る(ステップS34)。
【0029】
そして、補正後の参照データX"ijλおよび補正後の測定データY"ijλを用いて、最終データZijλ=Y"ijλ/X"ijλを計算する(ステップS40)。データZijλは、ダーク補正(ステップS22、S32)、照明光強度の時間的変動についての補正(ステップS23、S24、S33、S34)、および、画素間のムラについての補正(ステップS40)が施されたものである。
【0030】
図5は、画像撮影装置1における動作の第二実施例を示すフローチャートである。第二実施例でも、測定対象物の画像部分の画素を領域R11〜R66にグループ分けし、基準反射板の画像部分の画素を領域R10〜R60、R17〜R67にグループ分けし、各領域において図2で説明した補正処理を行う。第二実施例におけるステップS10,S11,S20〜S22およびS30〜S32は、第一実施例と同じである。
【0031】
ダーク補正後の参照データX´ijλの計算(ステップS22)の後、参照データX´ijλのうち基準反射板31,32の画像部分では、領域RHJ(H=1〜6、J=0, 7)毎に参照データX´ijλの平均値AHJλを得るとともに、参照データX´ijλのうち参照反射板の画像部分でも領域RHI(I=1〜6)毎に参照データX´ijλの平均値BHIλを得て、平均値AHJλを使って算出される領域RHI毎の補正係数AHIλを用いてデータBHIλを補正(規格化)し(ステップS25)、これにより補正後の参照データB´HIλを得る(ステップS26)。
【0032】
ダーク補正後の測定データY´ijλの計算(ステップS32)の後、測定データY´ijλのうち基準反射板31,32の画像部分では、領域RHJ(H=1〜6、J=0, 7)毎に測定データY´ijλの平均値EHJλを得るとともに、測定データY´ijλのうち測定対象物2の画像部分でも、領域RHI(I=1〜6)毎に測定データY´ijλの平均値FHIλを得て、平均値EHJλを使って算出される領域RHI毎の補正係数EHIλを用いてデータFHIλを補正(規格化)し(ステップS35)、これにより補正後の測定データF´HIλを得る(ステップS36)。
【0033】
そして、補正後の参照データB´HIλおよび補正後の測定データF´HIλを用いて、最終データZ´HIλ=F´HIλ/B´HIλ を計算する(ステップS50)。データZ´HIλは、ダーク補正(ステップS22、S32)、照明光強度の時間的変動についての補正(ステップS25、S26、S35、S36)、および、画素間のムラについての補正(ステップS50)が施されたものである。
【0034】
図6は、画像撮影装置1における動作の第三実施例を示すフローチャートである。第三実施例でも、測定対象物の画像部分の画素を領域R11〜R66にグループ分けし、基準反射板の画像部分の画素を領域R10〜R60、R17〜R67にグループ分けし、各領域において図2で説明した補正処理を行っている。第三実施例におけるステップS10,S11,S20〜S22およびS30〜S32は、第一実施例と同じである。
【0035】
第三実施例において、基準反射板31,32の画像部分では、領域RHJ(H=1〜6、J=0, 7)毎に、ダーク補正後の参照データX´ijλの平均値AHJλとダーク補正後の測定データY´ijλの平均値EHJλを計算する(ステップS27、S37)。測定対象物2の画像部分となる(i, j)に対して、測定データと参照データとの比Zijλ=Y´ijλ/X´ijλを計算する(ステップS41)。一方、平均値AHJλと平均値EHJλとの比EHJλ/AHJλから、領域RHI(I=1〜6)毎に、図2で説明した方法で補正係数を算出する(ステップS42)。最後に比Zijλを補正係数で規格化したZ´ijλを得る(ステップS43)。
【0036】
図7は、画像撮影装置1における動作の第四実施例を示すフローチャートである。第四実施例でも、測定対象物の画像部分の画素を領域R11〜R66にグループ分けし、基準反射板の画像部分の画素を領域R10〜R60、R17〜R67にグループ分けし、各領域において図2で説明した補正処理を行う。第四実施例におけるステップS10,S11,S20〜S22およびS30〜S32は、第一実施例と同じである。
【0037】
第四実施例において、ダーク補正後の参照データX´ijλに対して、基準反射板31,32の画像部分では領域RHJ(H=1〜6、J=0, 7)毎に平均値AHJλを計算し、参照反射板の画像部分では領域RHI(I=1〜6)毎に平均値BHIλを計算する(ステップS28)。また、ダーク補正後の測定データY´ijλに対して、基準反射板31,32の画像部分では領域RHJ毎に平均値EHJλを計算し、測定対象物2の画像部分では領域RHI毎に平均値FHIλを計算する(ステップS38)。さらに、平均値FHIλと平均値BHIλとの比ZHIλ=FHIλ/BHIλ(ステップS51)を計算し、また、平均値AHJλと平均値EHJλとの比EHJλ/AHJλから、領域RHI(I=1〜6)毎に、図2で説明した方法で補正係数を算出する(ステップS52)。最後に比ZHIλを補正係数で規格化する(ステップS53)。
【0038】
以上のように、本実施形態に係る画像撮影装置1は、照明光が照射される位置であって撮像部の視野の一部に設けられた基準反射板を有し、演算部50がここから得られた値を使って補正を行うことにより、光源部10から出力される照明光の強度が時間的に変動する場合であっても測定対象物2の画像を高精度に得ることができる。また、本実施形態に係る画像撮影装置1は、液晶チューナブルフィルタ24における透過波長帯域の切り替えの際に突発的な透過率変動が発生したとしても、測定対象物2の画像を高精度に得ることができる。
【0039】
以上の説明では、基準反射板領域を6個(6行1列)の領域に区分けし、測定対象物の画像部分を6行6列に区分けした例を説明したが、行の数は測定対象の大きさや必要な測定精度に対応した任意の数とすることが可能である。また、測定対象物の画像部分の列数も任意の数とすることが可能である。さらに、第一実施例〜第四実施例において図2で説明した補正の代わりに図3で説明した補正を使用することも可能である。
【符号の説明】
【0040】
1…画像撮影装置、2…測定対象物、10…光源部、21…レンズ、22…ハーフミラー、23…レンズ、24…液晶チューナブルフィルタ、25…レンズ、31,32…基準反射板、40…撮像部、50…演算部、51…第一演算部、52…第二演算部、60…表示部。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明光が測定対象物へ照射されて生じた反射光を導いて結像する結像光学系と、
前記結像光学系により結像された光を撮像する撮像部と、
前記照明光が照射される位置であって前記撮像部の視野の一部に設けられた基準反射板と、
前記撮像部による撮像により得られた画像のうち前記基準反射板の画像部分の値を用いて前記測定対象物の画像部分の値を補正する演算部と、
を備えることを特徴とする画像撮影装置。
【請求項2】
前記結像光学系は、透過帯域が可変である液晶チューナブルフィルタを光路上に含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像撮影装置。
【請求項3】
前記基準反射板は、前記撮像部の視野の中心部を挟む2箇所に設けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像撮影装置。
【請求項4】
前記基準反射板は、前記液晶チューナブルフィルタの透過率のむらが存在する方向に前記撮像部の視野の中心部を挟む2箇所に設けられている、
ことを特徴とする請求項2に記載の画像撮影装置。
【請求項5】
前記基準反射板は鏡面研磨された金属平板である
ことを特徴とする請求項1に記載の画像撮影装置。
【請求項6】
前記基準反射板は金属コーティングが施された平板である
ことを特徴とする請求項1に記載の画像撮影装置。
【請求項7】
前記基準反射板は拡散反射板である
ことを特徴とする請求項1に記載の画像撮影装置。
【請求項8】
前記演算部は、前記画像のうち前記2箇所に設けられている基準反射板の画像部分の値を用いて、前記画像のうち前記測定対象物の画像部分の各位置に対応する補正係数を計算する第一演算部と、前記補正係数を使って前記各位置内の値を規格化する第二演算部とを含むことを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の画像撮影装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−147108(P2011−147108A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−234815(P2010−234815)
【出願日】平成22年10月19日(2010.10.19)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】