説明

画像生成装置、画像生成方法、ならびに、プログラム

【課題】互いに繋がったオブジェクトの動きをより自然に且つ簡単に表現する。
【解決手段】仮想空間には、互いに連結点で連結される第1オブジェクトと第2オブジェクトが配置される。画像生成装置200において、記憶部201は、第1オブジェクトの位置及び向きと、第2オブジェクトの位置及び向きと、を記憶する。移動部202は、第1オブジェクトの位置及び/又は向きを移動する。また、移動部202は、第1オブジェクトに対して相対的に固定され、且つ、第1オブジェクトと交差しない移動可能領域に、第2オブジェクトの端点の位置が含まれるように、第2オブジェクトの位置及び/又は向きを移動する。生成部203は、第1オブジェクトと第2オブジェクトを表す画像を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに繋がったオブジェクトの動きをより自然に且つ簡単に表現するために好適な画像生成装置、画像生成方法、ならびに、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コンピュータグラフィックスの分野における技術が発達し、より精密でよりリアルなシミュレーション画像を作成できるようになってきている。例えば特許文献1には、毛髪・布・衣服等の柔軟な物体を複数の四角形ポリゴンで構成し、その頂点を仮想的な質点として、隣り合う質点の間を仮想的なバネで連結したモデルにより、その形状を求めるクロスシミュレーション関連技術が開示されている。この際には、所定の更新間隔時間(典型的には、垂直同期割り込み周期)おきに微分方程式を数値積分して解くことになる。
【0003】
ここで、更新間隔時間とは、数値積分の分野では「ステップ時間」「時間刻み幅」とも呼ばれ、微小時間であることが必要とされるが、「微小」の程度は適用分野に応じて様々であり、更新間隔時間を短かくすればするほど、シミュレーションの誤差は小さくなるが、数値積分に要する計算量が多くなる。また、質点の数を増やせば増やすほど、毛髪等の形状をそれだけ正確にシミュレートできる、とも考えられるが、質点の数を増やせばそれだけ、数値積分に要する計算量が多くなる。
【0004】
例えば、プレイヤーなどに操作されるキャラクターに髪の毛などのオブジェクトが連結されている場合に、キャラクターの動きに合わせて髪の毛が振れる様子を正確にシミュレートしようとすると、ポリゴンの演算量が増えるだけでなく、頭と髪の毛との衝突判定もしなければならず、画像生成にかかる処理の負荷は増大する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−099952号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、計算速度が遅く計算資源が限定された情報処理装置などにおいてこのようなシミュレーションを行う場合には、この更新間隔時間をできるだけ長くし、質点の数をできるだけ少なくして、計算を簡易に済ませたいという要望は大きい。一方で、更新間隔時間を長くしたり質点の数を少なくしたりすると、キャラクターの動きが激しい場合に、現実の髪の毛の動きからかけ離れたものとなってしまうという問題が生じる。また例えば、頭と髪の毛との衝突判定を省略すると、まるで髪の毛が頭に刺さってしまうような不自然な画像になってしまうことがあった。
【0007】
本発明はこのような課題を解決するものであり、互いに繋がったオブジェクトの動きをより自然に且つ簡単に表現するために好適な画像生成装置、画像生成方法、ならびに、プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上の目的を達成するため、本発明の原理にしたがって、下記の発明を開示する。
【0009】
本発明の第1の観点に係る画像生成装置は、記憶部、移動部、生成部を備える。
記憶部は、仮想空間内に配置される第1オブジェクトの位置及び向きと、当該仮想空間内に配置され所定の連結点で前記第1オブジェクトと連結される第2オブジェクトの位置及び向きと、を記憶する。
移動部は、記憶される第1オブジェクトの位置及び向きを移動する。
生成部は、記憶される第1オブジェクトの位置及び向きと、記憶される第2オブジェクトの位置及び向きと、に基づいて、第1オブジェクトと第2オブジェクトを表す画像を生成する。
そして、移動部は、第1オブジェクトに対して相対的に固定され、且つ、第1オブジェクトと交差しない所定の移動可能領域に、第2オブジェクトの端点の位置が含まれるように、第2オブジェクトの位置及び向きを更に移動する。
【0010】
例えば、髪をポニーテールにした女性を描く場合、頭の部分が第1オブジェクトであり、結っているポニーテールの髪の部分が第2オブジェクトである。例えば、犬を描く場合、胴体部分が第1オブジェクトであり、胴体に繋がるしっぽの部分が第2オブジェクトである。所定の部位(以下「連結点」と呼ぶ)で連結される2つのオブジェクトであれば、一方が第1オブジェクトに、他方が第2オブジェクトになり得る。
【0011】
第1オブジェクトの位置あるいは向きが移動すると、第1オブジェクトに連結される第2オブジェクトの位置あるいは向きは、第1オブジェクトの影響を受けて変化する。本発明の画像生成装置は、第1オブジェクトに繋がっている第2オブジェクトの動きがより自然な動きになるような画像を生成する。
【0012】
より詳細には、仮想空間内には、第1オブジェクトに対して相対的に固定され、且つ、第1オブジェクトと交差しない移動可能領域が予め設定される。移動可能領域は、第2オブジェクトの端点が移動できる範囲を定義する。端点は、例えばポニーテールや犬のしっぽの先端である。移動可能領域は、第1オブジェクトと共に移動する。移動可能領域の形状や大きさは任意であるが、典型的には、連結点を中心とする円の一部又は全部、あるいは、連結点を中心とする球面の一部又は全部である。ただし、任意の形状、任意の大きさをもった移動可能領域を定義することができる。
【0013】
第1オブジェクトは仮想空間内で自由に移動することが可能である。一方、第2オブジェクトの端点の位置は、全く自由に位置が変わるのではなく、予め設定された移動可能領域内でのみ変化する。そして、移動可能領域は、第1オブジェクトと交差することがない。従って、画像生成装置は、第1オブジェクトと第2オブジェクトとの衝突判定を行うことなく、第2オブジェクトが第1オブジェクトの影響を受けつつ移動する様子を表現することができる。例えば、頭を大きく動かしたときにポニーテールが頭と重なってしまう(髪が頭に“刺さってしまう”)ような不自然な画像になることはない。本発明によれば、互いに繋がったオブジェクトの動きをより自然に且つ簡単に表現することができる。
【0014】
移動可能領域は、2次元の当該仮想空間における線状の領域、又は、3次元の当該仮想空間における面状の領域であってもよい。
【0015】
つまり、2次元仮想空間においては、第2オブジェクトの端点は、任意の直線又は曲線の一部分、もしくはそれらの組み合わせの形状をもつ移動可能領域内で移動する。3次元仮想空間においては、第2オブジェクトの端点は、任意の平面又は曲面の一部分、もしくはそれらの組み合わせの形状をもつ移動可能領域内で移動する。本発明の画像生成装置は、2次元仮想空間に配置されるオブジェクトが移動する様子を表す画像を生成することができ、また、3次元仮想空間に配置されるオブジェクトが移動する様子を表す画像を生成することもできる。
【0016】
移動部は、第1オブジェクトが移動されると、
(a)移動された時刻における連結点の位置から、
(b)第1オブジェクトに対する第2オブジェクトの相対的な位置が常に固定されると仮定したときの端点の位置であって、移動された時刻より所定時間だけ前の時刻における端点の位置へ、
と結ぶ半直線と、移動可能領域と、の交点の位置に、端点を配置してもよい。
【0017】
つまり、第2オブジェクトは、第1オブジェクトと一緒に移動するのではなく、まるで慣性が働くかのように、第1オブジェクトより若干遅れて移動する。その際、画像生成装置は、重力や慣性力の厳密な計算や、第1オブジェクトと第2オブジェクトの衝突判定の計算などをしなくてもよい。本発明によれば、互いに繋がったオブジェクトの動きをより自然に且つ簡単に表現することができる。
【0018】
移動部は、
(p)現在の時刻における連結点の位置から、
(q)現在の時刻より所定時間だけ前の時刻における端点の位置へ、
と結ぶ半直線と、移動可能領域と、の交点の位置に、端点を配置してもよい。
【0019】
本発明においても、第2オブジェクトは、第1オブジェクトと一緒に移動するのではなく、まるで慣性が働くかのように、第1オブジェクトより若干遅れて移動する。そして、画像生成装置は、重力や慣性力の厳密な計算や、第1オブジェクトと第2オブジェクトの衝突判定の計算などをしなくてもよい。
【0020】
移動可能領域は、連結点を中心とする円の一部、若しくは、連結点を中心とする球面の一部であってもよい。
そして、移動部は、交点が存在しない場合、移動可能領域のうち半直線に最も近い位置に、端点を配置してもよい。
【0021】
例えば、移動可能領域の形状を円や球面の一部とすると、移動後の連結点(例えば頭を移動した後のポニーテールの結び目)から、所定時間前の端点(例えばX秒前にポニーテールの先端があった位置)へ結ぶ半直線と、移動後の移動可能領域と、の交点が存在しない可能性がある。このような場合には、移動可能領域のうち、求めた半直線に最も近い部分に端点を配置するのである。端点は、あくまで移動可能領域内で移動するものとする。本発明によれば、互いに繋がったオブジェクトの動きをより自然に且つ簡単に表現することができる。
【0022】
本発明のその他の観点に係る画像生成方法は、記憶部、移動部、生成部を有する画像生成装置において実行される画像生成方法であって、移動ステップと生成ステップを備える。
記憶部には、仮想空間内に配置される第1オブジェクトの位置及び向きと、当該仮想空間内に配置され所定の連結点で第1オブジェクトと連結される第2オブジェクトの位置及び向きと、が記憶される。
移動ステップでは、移動部が、記憶される第1オブジェクトの位置及び向きを移動する。
生成ステップでは、生成部が、記憶される第1オブジェクトの位置及び向きと、記憶される第2オブジェクトの位置及び向きと、に基づいて、第1オブジェクトと第2オブジェクトを表す画像を生成する。
また、移動ステップでは、移動部が、第1オブジェクトに対して相対的に固定され、且つ、第1オブジェクトと交差しない所定の移動可能領域に、第2オブジェクトの端点の位置が含まれるように、第2オブジェクトの位置及び向きを更に移動する。
【0023】
本発明によれば、互いに繋がったオブジェクトの動きをより自然に且つ簡単に表現することができる。
【0024】
本発明のその他の観点に係るプログラムは、コンピュータを、記憶部、移動部、生成部として機能させる。
記憶部は、仮想空間内に配置される第1オブジェクトの位置及び向きと、当該仮想空間内に配置され所定の連結点で第1オブジェクトと連結される第2オブジェクトの位置及び向きと、を記憶する。
移動部は、記憶される第1オブジェクトの位置及び向きを移動する。
生成部は、記憶される第1オブジェクトの位置及び向きと、記憶される第2オブジェクトの位置及び向きと、に基づいて、第1オブジェクトと第2オブジェクトを表す画像を生成する。
また、移動部は、第1オブジェクトに対して相対的に固定され、且つ、第1オブジェクトと交差しない所定の移動可能領域に、第2オブジェクトの端点の位置が含まれるように、第2オブジェクトの位置及び向きを更に移動する。
【0025】
本発明によれば、コンピュータを上述のように動作する画像生成装置として機能させることができる。
また、本発明のプログラムは、コンパクトディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、光磁気ディスク、ディジタルビデオディスク、磁気テープ、半導体メモリ等のコンピュータ読取可能な情報記録媒体に記録することができる。
上記プログラムは、プログラムが実行されるコンピュータとは独立して、コンピュータ通信網を介して配布・販売することができる。また、上記情報記録媒体は、コンピュータとは独立して配布・販売することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、互いに繋がったオブジェクトの動きをより自然に且つ簡単に表現するために好適な画像生成装置、画像生成方法、ならびに、プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の画像生成装置が実現される典型的な情報処理装置の概要構成を示す図である。
【図2】画像生成装置の機能的な構成を説明するための図である。
【図3】第1オブジェクト、第2オブジェクト、連結点、端点を説明するための図である。
【図4】ポリゴンを用いた3次元画像モデルによる第1オブジェクト、第2オブジェクト、連結点、端点を説明するための図である。
【図5】移動可能領域を説明するための図である。
【図6】移動可能領域を説明するための図である。
【図7】第1オブジェクトに対する第2オブジェクトの相対的な位置が常に固定されると仮定したときの端点の位置を説明するための図である。
【図8】第1オブジェクトと第2オブジェクトが移動する様子を説明するための図である。
【図9】第1オブジェクトと第2オブジェクトが移動する様子を説明するための図である。
【図10】第1オブジェクトと第2オブジェクトが移動する様子を説明するための図である。
【図11】第1オブジェクトと第2オブジェクトが移動する様子を説明するための図である。
【図12】画像生成処理を説明するためのフローチャートである。
【図13】実施形態2において、第1オブジェクトと第2オブジェクトが移動する様子を説明するための図である。
【図14】実施形態2において、第1オブジェクトと第2オブジェクトが移動する様子を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(実施形態1)
本発明の実施形態を説明する。以下では、理解を容易にするため、ゲーム用の情報処理装置を利用して本発明が実現される実施形態を説明するが、以下の実施形態は説明のためのものであり、本願発明の範囲を制限するものではない。したがって、当業者であればこれらの各要素もしくは全要素をこれと均等なものに置換した実施形態を採用することが可能であるが、これらの実施形態も本発明の範囲に含まれる。
【0029】
図1は、プログラムを実行することにより、本発明の画像生成装置の機能を果たす典型的な情報処理装置100の概要構成を示す模式図である。以下、本図を参照して説明する。
【0030】
情報処理装置100は、CPU(Central Processing Unit)101と、ROM(Read Only Memory)102と、RAM(Random Access Memory)103と、インターフェース104と、コントローラ105と、外部メモリ106と、DVD−ROM(Digital Versatile Disk - Read Only Memory)ドライブ107と、画像処理部108と、音声処理部109と、NIC(Network Interface Card)110と、を備える。
【0031】
ゲーム用のプログラムおよびデータを記憶したDVD−ROMをDVD−ROMドライブ107に装着して、情報処理装置100の電源を投入することにより、当該プログラムが実行され、本実施形態の画像生成装置が実現される。
【0032】
CPU 101は、情報処理装置100全体の動作を制御し、各構成要素と接続され制御信号やデータをやりとりする。また、CPU 101は、レジスタ(図示せず)という高速アクセスが可能な記憶域に対してALU(Arithmetic Logic Unit)(図示せず)を用いて加減乗除等の算術演算や、論理和、論理積、論理否定等の論理演算、ビット和、ビット積、ビット反転、ビットシフト、ビット回転等のビット演算などを行うことができる。さらに、マルチメディア処理対応のための加減乗除等の飽和演算や、三角関数等、ベクトル演算などを高速に行えるように、CPU 101自身が構成されているものや、コプロセッサを備えて実現するものがある。
【0033】
ROM 102には、電源投入直後に実行されるIPL(Initial Program Loader)が記録され、これが実行されることにより、DVD−ROMに記録されたプログラムをRAM 103に読み出してCPU 101による実行が開始される。また、ROM 102には、情報処理装置100全体の動作制御に必要なオペレーティングシステムのプログラムや各種のデータが記録される。
【0034】
RAM 103は、データやプログラムを一時的に記憶するためのもので、DVD−ROMから読み出したプログラムやデータ、その他ゲームの進行やチャット通信に必要なデータが保持される。また、CPU 101は、RAM 103に変数領域を設け、当該変数に格納された値に対して直接ALUを作用させて演算を行ったり、RAM 103に格納された値を一旦レジスタに格納してからレジスタに対して演算を行い、演算結果をメモリに書き戻す、などの処理を行う。
【0035】
インターフェース104を介して接続されたコントローラ105は、プレイヤーがダンスゲームやサッカーゲームなどのゲームの実行の際に行う操作入力を受け付ける。インターフェース104には、複数のコントローラ105が接続されていてもよい。
【0036】
インターフェース104を介して着脱自在に接続された外部メモリ106には、ゲームのプレイ状況(過去の成績等)を示すデータ、ゲームの進行状態を示すデータ、ネットワークを用いたゲームのチャット通信のログ(記録)のデータなどが書き換え可能に記憶される。プレイヤーは、コントローラ105を介して操作入力を行うことにより、これらのデータを適宜外部メモリ106に記録することができる。
【0037】
DVD−ROMドライブ107に装着されるDVD−ROMには、ゲームを実現するためのプログラムとゲームに付随する画像データや音声データが記録される。CPU 101の制御によって、DVD−ROMドライブ107は、これに装着されたDVD−ROMに対する読み出し処理を行って、必要なプログラムやデータを読み出し、これらはRAM 103等に一時的に記憶される。
【0038】
画像処理部108は、DVD−ROMから読み出されたデータをCPU 101や画像処理部108が備える画像演算プロセッサ(図示せず)によって加工処理した後、これを画像処理部108が備えるフレームメモリ(図示せず)に記録する。フレームメモリに記録された画像情報は、所定の同期タイミングでビデオ信号に変換され画像処理部108に接続されるモニター(図示せず)へ出力される。これにより、各種の画像表示が可能となる。
【0039】
画像演算プロセッサは、2次元の画像の重ね合わせ演算やαブレンディング等の透過演算、各種の飽和演算を高速に実行できる。
【0040】
また、仮想3次元空間に配置され、各種のテクスチャ情報が付加されたポリゴン情報を、Zバッファ法によりレンダリングして、所定の視点位置から仮想3次元空間に配置されたポリゴンを所定の視線の方向へ俯瞰したレンダリング画像を得る演算の高速実行も可能である。
【0041】
さらに、CPU 101と画像演算プロセッサが協調動作することにより、文字の形状を定義するフォント情報にしたがって、文字列を2次元画像としてフレームメモリへ描画したり、各ポリゴン表面へ描画することが可能である。
【0042】
また、ゲームの画像などの情報をDVD−ROMに用意しておき、これをフレームメモリに展開することによって、ゲームの様子などを画面に表示することができるようになる。
【0043】
音声処理部109は、DVD−ROMから読み出した音声データをアナログ音声信号に変換し、これに接続されたスピーカー(図示せず)から出力させる。また、CPU 101の制御の下、ゲームの進行の中で発生させるべき効果音や楽曲データを生成し、これに対応した音声をスピーカーから出力させる。
【0044】
音声処理部109では、DVD−ROMに記録された音声データがMIDIデータである場合には、これが有する音源データを参照して、MIDIデータをPCMデータに変換する。また、ADPCM(Adaptive Differential Pulse Code Modulation)形式やOgg Vorbis形式等の圧縮済音声データである場合には、これを展開してPCMデータに変換する。PCMデータは、そのサンプリング周波数に応じたタイミングでD/A(Digital/Analog)変換を行って、スピーカーに出力することにより、音声出力が可能となる。
【0045】
NIC 110は、情報処理装置100をインターネット等のコンピュータ通信網(図示せず)に接続するためのものであり、LAN(Local Area Network)を構成する際に用いられる10BASE−T/100BASE−T規格にしたがうものや、電話回線を用いてインターネットに接続するためのアナログモデム、ISDN(Integrated Services Digital Network)モデム、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)モデム、ケーブルテレビジョン回線を用いてインターネットに接続するためのケーブルモデム等と、これらとCPU 101との仲立ちを行うインターフェース(図示せず)により構成される。
【0046】
このほか、情報処理装置100は、ハードディスク等の大容量外部記憶装置を用いて、ROM 102、RAM 103、外部メモリ106、DVD−ROMドライブ107に装着されるDVD−ROM等と同じ機能を果たすように構成してもよい。
【0047】
次に、上記構成を有する情報処理装置100により実現される、本実施形態の画像生成装置200の機能的な構成について説明する。
【0048】
図2は、本実施形態の画像生成装置200の機能的な構成を示す図である。画像生成装置200は、記憶部201、移動部202、生成部203を備える。
【0049】
図3は、画像生成装置200が扱う仮想空間内に配置される第1オブジェクト310と第2オブジェクト320を表す図である。仮想空間にはグローバル座標系が定義される。例えば、髪をポニーテールにした女性を表す画像を生成する場合において、第1オブジェクト310が頭の部分であり、第2オブジェクト320がポニーテールの髪の部分である。
【0050】
第1オブジェクト310と第2オブジェクト320は連結点330で連結される。図3において、第1オブジェクト310(頭)と第2オブジェクト320(ポニーテール)は、厳密には“点”ではなくある程度の幅をもった“領域(結び目)”で連結される。ただし、以下の説明においては、本発明をより理解しやすいように、連結“点”という表現を用いる。第1オブジェクト310と第2オブジェクト320は連結点330で連結されるので、第1オブジェクト310の位置が移動すると、第1オブジェクト310の移動に応じて、第2オブジェクト320の位置も移動することになる。詳細は後述する。
【0051】
端点340は、第2オブジェクト320の先端部分(ポニーテールの最も髪が長い部分)である。端点340の位置は、典型的には、第1オブジェクト310と第2オブジェクト320が静止している状況において、第2オブジェクト320のうち第1オブジェクト310から最も離れている部分の位置である。
【0052】
ここで、第1オブジェクト310、第2オブジェクト320等について、更に詳しく説明する。図4は、ポリゴンを用いた3次元モデルによる第1オブジェクト310、第2オブジェクト320、連結点330、端点340を簡略して表した図である。
【0053】
第1オブジェクト310は、複数の制御点410を網目状に結んでできる多角形(典型的には三角形や四角形)の集合体である。制御点410は、第1オブジェクト310の骨格(以下「ボーン」415という。)に予め対応付けられている。同様に、第2オブジェクト320は、複数の制御点420を網目状に結んでできる多角形の集合体である。制御点420は、第2オブジェクト420のボーン425に予め対応付けられている。
【0054】
制御点410,420の数、制御点410,420同士の連結の仕方、ボーン415,425の数、ボーン415,425と制御点410,420との関連付けの仕方は、いずれも任意である。
【0055】
第1オブジェクト310を構成する制御点410(又は第2オブジェクト320を構成する制御点420)のうちのいずれか1つ以上が連結点330となる。また、第2オブジェクト320を構成する制御点420のうちのいずれか1つが端点340となる。
【0056】
CPU 101は、制御点410が対応付けられているボーン415の位置を移動することにより、あるいは、制御点410の位置を直接移動することにより、第1オブジェクト310の位置及び/又は形状を変化させることができる。また、CPU 101は、ボーン415を回転させることにより、第1オブジェクト310を回転することができる。
【0057】
同様に、CPU 101は、制御点420が対応付けられているボーン425の位置を移動することにより、あるいは、制御点420の位置を直接移動することにより、第2オブジェクト320の位置及び/又は形状を変化させることができる。また、CPU 101は、ボーン425を回転させることにより、第2オブジェクト320を回転させたりすることができる。ただし、第2オブジェクト320の移動は、連結点330の移動の影響を受けることになる。
【0058】
次に、画像生成装置200の記憶部201、移動部202、生成部203の詳細について説明する。
記憶部201は、第1オブジェクト310の位置及び向きを表す第1オブジェクト情報251と、第2オブジェクト320の位置及び向きを表す第2オブジェクト情報252と、を記憶する。CPU 101とRAM 103が協働して記憶部201として機能する。
【0059】
第1オブジェクト310の位置は、例えば、グローバル座標系における第1オブジェクト310を代表する点の座標値によって表される。代表する点とは、典型的には、第1オブジェクト310の重心点である。例えば図3において、第1オブジェクト310(頭)の中心点350を、第1オブジェクト310の位置としてもよい。あるいは、第1オブジェクト310の位置は、第1オブジェクト310を構成する制御点410の全部又は一部の座標値によって表されてもよい。第2オブジェクト320の位置についても同様である。
【0060】
第1オブジェクト310の向きは、例えば、グローバル座標系における第1オブジェクト310を代表する点(例えば“頭”の中心点350)の位置から、第1オブジェクト310の所定の点(例えば“鼻の先端”の点360)の位置へ、と結ぶベクトル370の向きである。
【0061】
第2オブジェクト320の向きは、連結点330から端点340へと結ぶベクトル380の向きである。ただし、連結点330から第2オブジェクト320内の任意の点へと結ぶベクトルの向きを、第2オブジェクト320の向きとしてもよい。
【0062】
移動部202は、記憶部201に記憶される第1オブジェクト情報251が示す第1オブジェクト310の位置と向きを移動し、移動後の第1オブジェクト310の位置と向きで第1オブジェクト情報251を更新する。また、移動部202は、第1オブジェクト310の位置及び/又は向きを移動すると、第2オブジェクト320の位置及び/又は向きも移動する。CPU 101とRAM 103が協働して移動部202として機能する。
【0063】
ここで、第2オブジェクト320の位置と向きを移動する処理について、図5を用いて詳しく説明する。図5は、3次元仮想空間内に配置される第1オブジェクト310(頭)を真上(Z方向)から見下ろした様子を表す図である。
【0064】
CPU 101は、第1オブジェクト310に対して相対的に固定され、且つ、第1オブジェクト310と交差しない所定の移動可能領域550を仮想空間内に設定する。移動可能領域550は、モニター等に表示されない論理的な領域である。CPU 101は、移動可能領域550に第2オブジェクト320の端点330の位置が含まれるように、第2オブジェクト320の位置及び向きを移動する。
【0065】
例えば、図5に示すように、移動可能領域550は、連結点330を中心とし、第1オブジェクト310と第2オブジェクト320が静止した状態における連結点330と端点340との距離を半径の長さとする、円の一部又は全部である。端点340は、点551と他の点552とを結ぶ弧で表される軌道上を移動可能である。端点340は、弧の形状をした移動可能領域550上を、まるで敷かれたレール上を滑るかのように、移動することができる。
【0066】
また例えば、図6に示すように、移動可能領域550は、連結点330を中心とし、第1オブジェクト310と第2オブジェクト320が静止した状態における連結点330と端点340との距離を半径の長さとする、球面の一部又は全部である。端点340は、曲面の形状をした移動可能領域550上を、まるでお皿の上を転がるかのように、移動することができる。
【0067】
図7は、第1オブジェクト310に対する第2オブジェクト320の相対的な位置が常に固定されていると仮定したとき、ある時刻T1から後の時刻T2にかけて、第1オブジェクト310と第2オブジェクト320が平行移動する様子を表す図である。第1オブジェクト310が移動すると、連結点330と移動可能領域550も共に移動する。第1オブジェクト310が移動すると、連結点330と移動可能領域550も同じ量だけ移動する。線分710は、連結点330が移動する軌跡を表す。線分720は、端点340が描く軌跡を表す。線分720の長さと向きは、線分710の長さと向きと同じである。
【0068】
しかし、第1オブジェクト310(頭)に対して第2オブジェクト320(ポニーテール)を常に固定したまま移動すると、不自然な画像になってしまう恐れがある。そこで、本発明では、第2オブジェクト320上の端点340の位置を、移動可能領域550上で動くこととしている。
【0069】
図8等を用いて具体的に説明する。図8は、ある時刻Tにおける各オブジェクトと、時刻T+ΔTにおける各オブジェクトと、時刻T+2×ΔTにおける各オブジェクトと、を表す図である。所定時刻ΔTは、典型的には、垂直同期割り込み(VSYNC)の時間間隔である。
【0070】
時刻t=Tにおいて、第1オブジェクト810Aと第2オブジェクト820Aは静止している。連結点830A、端点840A、移動可能領域850Aも静止している。
【0071】
次に、時刻t=T+ΔTにおいて、CPU 101は、
(a1)時刻t=T+ΔTにおける連結点830Bの位置と、
(b1)第1オブジェクト810Bに対する第2オブジェクト820Bの相対的な位置が常に固定されると仮定したときの端点の位置であって、時刻t=T+ΔTより所定時間ΔTだけ前の時刻(すなわちt=T)における端点840Aの位置と、
を取得する。
【0072】
そして、CPU 101は、
(c1)連結点830Bから端点840Aへと結ぶ半直線870と、
(d1)時刻t=T+ΔTにおける移動可能領域850Bと、
の交点の位置に、端点840Bを配置する。
【0073】
この結果、第2オブジェクト820Bのうち連結点830Bの近くの部分は、第1オブジェクト810Bと一緒に移動するが、端点840Bの近くの部分は、少し遅れ気味に第1オブジェクト810Bに付いていくように移動する。
【0074】
更に、時刻t=T+2×ΔTにおいて、CPU 101は、
(a2)時刻t=T+2×ΔTにおける連結点830Cの位置と、
(b2)第1オブジェクト810Cに対する第2オブジェクト820Cの相対的な位置が常に固定されると仮定したときの端点の位置であって、時刻t=T+2×ΔTより所定時間ΔTだけ前の時刻(すなわちt=T+ΔT)における端点880(以下「仮想的な端点」ともいう。)の位置と、
を取得する。
【0075】
そして、CPU 101は、
(c2)連結点830Cから仮想的な端点880へと結ぶ半直線890と、
(d2)時刻t=T+2×ΔTにおける移動可能領域850Cと、
の交点の位置に、端点840Cを配置する。すなわち、第2オブジェクト820Cの位置と向きが求まる。CPU 101は、求められた第2オブジェクト820Cの位置と向きを用いて、第2オブジェクト情報252を更新する。
【0076】
つまり、ポニーテールは、頭の移動に合わせて単純に平行移動するのではなく、慣性力が働くかのように逆向きになびく。画像生成装置200は、厳密な慣性力を計算することなく、より自然な髪の動きを表現することができる。
【0077】
上記の処理において、半直線890と移動可能領域850Cとの交点が存在しない場合、図9に示すように、CPU 101は、移動可能領域850Cのうち半直線890に最も近い位置に、端点840Cを配置するものとする。仮に、移動可能領域850Cを設けないとした場合における第2オブジェクト900の一部は、第1オブジェクト810Cと重なることになり、まるで髪が頭に刺さってしまっているかのような不自然な画像になってしまうからである。移動可能領域850A,850B,850Cの位置や形状は、第1オブジェクト810A,810B,810Cと第2オブジェクト820A,820B,820Cの形状を考慮し、互いに重なることのないように予め定義されることが望ましい。
【0078】
CPU 101は、図8,図9に示す方法とは異なる他の方法で、第2オブジェクト820A,820B,820Cを移動させることもできる。他のひとつの方法について説明する。図10は、ある時刻Tにおける各オブジェクトと、時刻T+ΔTにおける各オブジェクトと、時刻T+2×ΔTにおける各オブジェクトと、を表す図である。
【0079】
時刻t=Tにおいて、第1オブジェクト810Aと第2オブジェクト820Aは静止している。連結点830A、端点840A、移動可能領域850Aも静止している。
【0080】
次に、時刻t=T+ΔTにおいて、CPU 101は、
(p1)時刻t=T+ΔTにおける連結点830Bの位置と、
(q1)現在時刻t=T+ΔTより所定時間ΔTだけ前の時刻(すなわちt=T)における端点840Aの位置と、
を取得する。
【0081】
そして、CPU 101は、
(r1)連結点830Bから端点840Aへと結ぶ半直線870と、
(s1)時刻t=T+ΔTにおける移動可能領域850Bと、
の交点の位置に、端点840Bを配置する。ここまでは、上述の方法と同じである。
【0082】
更に、時刻t=T+2×ΔTにおいて、CPU 101は、
(p2)時刻t=T+2×ΔTにおける連結点830Cの位置と、
(q2)現在時刻t=T+2×ΔTより所定時間ΔTだけ前の時刻(すなわちt=T+ΔT)における端点840Bの位置と、
を取得する。
【0083】
そして、CPU 101は、
(r2)連結点830Cから端点840Bへと結ぶ半直線1090と、
(s2)時刻t=T+2×ΔTにおける移動可能領域850Cと、
の交点の位置に、端点840Cを配置する。CPU 101は、求められた第2オブジェクト820Cの位置と向きを用いて、第2オブジェクト情報252を更新する。
【0084】
半直線1090と移動可能領域850Cとの交点が存在しない場合、図11に示すように、CPU 101は、移動可能領域850Cのうち半直線1090に最も近い位置に、端点840Cを配置するものとする。
【0085】
この方法においても、ポニーテールは、頭の移動に合わせて単純に平行移動するのではなく、慣性力が働くかのように逆向きになびく。画像生成装置200は、厳密な慣性力を計算することなく、より自然な髪の動きを表現することができる。そして、第2オブジェクト820Cの一部が、第1オブジェクト810Cと重なってしまうことがない。
【0086】
生成部203は、記憶部201に記憶される第1オブジェクト情報251が示す第1オブジェクト310の位置及び向きと、記憶部201に記憶される第2オブジェクト情報252が示す第2オブジェクト320の位置及び向きと、に基づいて、第1オブジェクト310と第2オブジェクト320を表す画像を生成する。生成された画像はモニターに表示される。生成部203がVSYNCのタイミングで繰り返し画像を生成することにより、第1オブジェクト310と第2オブジェクト320が仮想空間内を移動する様子を表すアニメーションが作成される。CPU 101とRAM 103と画像処理部108が協働して生成部203として機能する。
【0087】
次に、本実施形態の画像生成装置の上記各部が実行する画像生成処理について、図12のフローチャートを用いて説明する。この画像生成処理は、VSYNCなどの定期的なタイミングで繰り返し行われる。
【0088】
まず、CPU 101は、所定時間ΔT内に第1オブジェクト310の位置及び/又は向きが移動したか否かを判別する(ステップS1201)。
【0089】
第1オブジェクト310が移動していない場合(ステップS1201;NO)、CPU 101は画像生成処理を終了する。
【0090】
第1オブジェクト310が移動した場合(ステップS1201;YES)、CPU 101は、移動後の連結点330の位置と、移動後の移動可能領域550の位置と、を取得する(ステップS1202)。CPU 101は、取得した連結点330の位置を用いて第1オブジェクト情報251を更新する。
【0091】
CPU 101は、第1オブジェクト310に対する第2オブジェクト320の相対的な位置が常に固定されると仮定したときの端点の位置であって、所定時間ΔTだけ前の時刻における端点(仮想的な端点)の位置を取得する(ステップS1203)。
【0092】
CPU 101は、移動後の連結点330から所定時間ΔT前の仮想的な端点へ結ぶ半直線を求める(ステップS1204)。
【0093】
あるいは、CPU 101は、ステップS1203において現在時刻より所定時間ΔT前の端点330の位置を取得し、ステップS1204において移動後の連結点330から現在時刻より所定時間ΔT前の端点330へ結ぶ半直線を求めてもよい。
【0094】
CPU 101は、ステップS1202で取得した移動可能領域550と、ステップS1204で求めた半直線と、の交点を求める(ステップS1205)。
【0095】
交点が存在する場合(ステップS1206;YES)、CPU 101は、ステップS1205で求めた交点の位置に端点340を配置する(ステップS1207)。CPU 101は、求めた端点340の位置を用いて第2オブジェクト情報252を更新する。
【0096】
一方、交点が存在しない場合(ステップS1206;NO)、CPU 101は、ステップS1202で取得した移動可能領域550上の最も半直線に近い位置に端点340を配置する(ステップS1208)。CPU 101は、求めた端点340の位置を用いて第2オブジェクト情報252を更新する。
【0097】
そして、CPU 101は、画像処理部108を制御して、第1オブジェクト310と第2オブジェクト320を表す画像を生成してモニターに表示する(ステップS1209)。
【0098】
以上の処理が繰り返し行われることにより、第1オブジェクト310と第2オブジェクト320の位置や向きが移動する様子を表すアニメーションが生成される。
【0099】
本実施形態によれば、第1オブジェクト310と第2オブジェクト320の当たり判定(衝突判定)の処理を行うことなく、第1オブジェクト310と第2オブジェクト320が移動する様子を表す画像を生成することができる。例えば、第1オブジェクト310と第2オブジェクト320とが重なってしまうような不自然な画像になることを避けることができる。
【0100】
一般に、オブジェクト同士の当たり判定は、オブジェクトの形状が複雑になるほど、負荷の重い処理になる傾向にある。しかし、本発明によれば、当たり判定処理、重力の厳密な計算、慣性力の厳密な計算等をすることなく、互いに繋がったオブジェクトの動きをより自然に且つ簡単に表現することができる。ただし、重力や慣性力等の計算を行った上で上述の画像生成処理を行うこともできる。
【0101】
(実施形態2)
次に、本発明のその他の実施形態について説明する。図8〜11では、第1オブジェクト810A,810B,810Cの位置が移動したときの第2オブジェクト820A,820B,820Cの位置と向きが移動する処理を説明した。本実施形態では、第1オブジェクト810A,810B,810Cの向きが移動したときの第2オブジェクト820A,820B,820Cの位置と向きが移動する処理を説明する。
【0102】
図13は、ある時刻Tにおける各オブジェクトと、時刻T+ΔTにおける各オブジェクトと、時刻T+2×ΔTにおける各オブジェクトと、を表す図である。
【0103】
時刻t=Tにおいて、第1オブジェクト810Aと第2オブジェクト820Aは静止している。連結点830A、端点840A、移動可能領域850Aも静止している。
【0104】
次に、時刻t=T+ΔTにおける第1オブジェクト810Bの向きは、時刻t=Tにおける第1オブジェクト810Aの向きと比べて、角度θ1だけ変化している。CPU 101は、
(a’1)時刻t=T+ΔTにおける連結点830Bの位置と、
(b’1)第1オブジェクト810Bに対する第2オブジェクト820Bの相対的な位置が常に固定されると仮定したときの端点の位置であって、時刻t=T+ΔTより所定時間ΔTだけ前の時刻(すなわちt=T)における端点840Aの位置と、
を取得する。
【0105】
そして、CPU 101は、
(c’1)連結点830Bから端点840Aへと結ぶ半直線1370と、
(d’1)時刻t=T+ΔTにおける移動可能領域850Bと、
の交点の位置に、端点840Bを配置する。
【0106】
更に、時刻t=T+2×ΔTにおける第1オブジェクト810Cの向きは、時刻t=T+ΔTにおける第1オブジェクト810Cの向きと比べて、更に角度θ2だけ変化している。CPU 101は、
(a’2)時刻t=T+2×ΔTにおける連結点830Cの位置と、
(b’2)第1オブジェクト810Cに対する第2オブジェクト820Cの相対的な位置が常に固定されると仮定したときの端点の位置であって、時刻t=T+2×ΔTより所定時間ΔTだけ前の時刻(すなわちt=T+ΔT)における仮想的な端点1380の位置と、
を取得する。
【0107】
そして、CPU 101は、
(c’2)連結点830Cから仮想的な端点1380へと結ぶ半直線1390と、
(d’2)時刻t=T+2×ΔTにおける移動可能領域850Cと、
の交点の位置に、端点840Cを配置する。すなわち、第2オブジェクト820Cの位置と向きが求まる。CPU 101は、求められた第2オブジェクト820Cの位置と向きを用いて、第2オブジェクト情報252を更新する。
【0108】
半直線1390と移動可能領域850Cとの交点が存在しない場合、CPU 101は、移動可能領域850Cのうち半直線1390に最も近い位置に、端点840Cを配置するものとする。
【0109】
CPU 101は、図13に示す方法とは異なる他の方法で、第2オブジェクト820A,820B,820Cを移動させることもできる。図14は、ある時刻Tにおける各オブジェクトと、時刻T+ΔTにおける各オブジェクトと、時刻T+2×ΔTにおける各オブジェクトと、を表す図である。
【0110】
時刻t=Tにおいて、第1オブジェクト810Aと第2オブジェクト820Aは静止している。連結点830A、端点840A、移動可能領域850Aも静止している。
【0111】
次に、時刻t=T+ΔTにおいて、CPU 101は、
(p’1)時刻t=T+ΔTにおける連結点830Bの位置と、
(q’1)現在時刻t=T+ΔTより所定時間ΔTだけ前の時刻(すなわちt=T)における端点840Aの位置と、
を取得する。
【0112】
そして、CPU 101は、
(r’1)連結点830Bから端点840Aへと結ぶ半直線1470と、
(s’1)時刻t=T+ΔTにおける移動可能領域850Bと、
の交点の位置に、端点840Bを配置する。
【0113】
更に、時刻t=T+2×ΔTにおいて、CPU 101は、
(p’2)時刻t=T+2×ΔTにおける連結点830Cの位置と、
(q’2)現在時刻t=T+2×ΔTより所定時間ΔTだけ前の時刻(すなわちt=T+ΔT)における端点840Bの位置と、
を取得する。
【0114】
そして、CPU 101は、
(r’2)連結点830Cから端点840Bへと結ぶ半直線1490と、
(s’2)時刻t=T+2×ΔTにおける移動可能領域850Cと、
の交点の位置に、端点840Cを配置する。CPU 101は、求められた第2オブジェクト820Cの位置と向きを用いて、第2オブジェクト情報252を更新する。
【0115】
半直線1490と移動可能領域850Cとの交点が存在しない場合、CPU 101は、移動可能領域850Cのうち半直線1490に最も近い位置に、端点840Cを配置するものとする。
【0116】
第1オブジェクト810A,810B,810Cと第2オブジェクト820A,820B,820Cの移動は平面的な移動に限られず、立体的な移動でもよい。簡単に言えば、画像生成装置200は、キャラクターが左右に頭を振ったときのポニーテールの動きのほか、キャラクターが上下に頭を振ったときのポニーテールの動きや、キャラクターが立ったりしゃがんだりしたときのポニーテールの動きを、自然に且つ簡単に表現することができる。
【0117】
本発明は、上述した実施形態に限定されず、種々の変形及び応用が可能である。また、上述した実施形態の各構成要素を自由に組み合わせることも可能である。
【0118】
上記の説明では、CPU 101は、3次元の仮想空間に配置されるオブジェクトを表す画像を生成しているが、2次元の仮想空間に配置されるオブジェクトを表す画像を生成することもできる。簡単に言えば、図5を、3次元仮想空間内に配置される第1オブジェクト310等を真上(Z方向)から見下ろした画像ではなく、2次元仮想空間内に配置される第1オブジェクト310等を表す画像とみなしてもよい。
【0119】
2次元仮想空間においては移動可能領域550は線状の領域であればよく、3次元仮想空間においては移動可能領域550は面状の領域であればよい。
【0120】
移動可能領域550の形状や大きさは任意であるが、連結点330を中心とする円もしくは球面に設定すると、連結点330と端点340(もしくは仮想的な端点900)との交点をより簡単に求めることができる。ただし、円もしくは球面の中心は連結点330でなくてもよい。
【0121】
第1オブジェクト310と第2オブジェクト320は、頭と髪に限られず、任意の形状、任意の大きさをもつオブジェクトであってもよい。例えば、第1オブジェクト310が犬の胴体であり、第2オブジェクト320が犬のしっぽであるとすると、犬が走ってしっぽが振れる様子を表す画像を簡単に生成することができる。その際、胴体の部分としっぽの部分との当たり判定を行う必要がない。そして、例えば犬が複雑な動きあるいは俊敏な動きをしたとき、犬の胴体にしっぽが突き刺さってしまうような不自然な画像になることがない。
【0122】
上記の画像生成装置200の全部又は一部としてコンピュータを動作させるためのプログラムを、メモリカード、CD−ROM、DVD、MO(Magneto Optical disk)などのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布し、これを別のコンピュータにインストールし、上述の手段として動作させ、あるいは、上述の工程を実行させてもよい。
【0123】
さらに、インターネット上のサーバ装置が有するディスク装置等にプログラムを格納しておき、例えば、搬送波に重畳させて、コンピュータにダウンロード等するものとしてもよい。
【0124】
以上説明したように、本発明によれば、互いに繋がったオブジェクトの動きをより自然に且つ簡単に表現するために好適な画像生成装置、画像生成方法、ならびに、プログラムを提供することができる。
【符号の説明】
【0125】
100 情報処理装置
101 CPU
102 ROM
103 RAM
104 インターフェース
105 コントローラ
106 外部メモリ
107 DVD−ROMドライブ
108 画像処理部
109 音声処理部
110 NIC
200 画像生成装置
201 記憶部
202 移動部
203 生成部
251 第1オブジェクト情報
252 第2オブジェクト情報
310,810A,810B,810C 第1オブジェクト
320,820A,820B,820C 第2オブジェクト
330,830A,830B,830C 連結点
340,840A,840B,840C 端点
350 中心点
360 所定の点
370,380 ベクトル
410,420 制御点
415,425 ボーン
550,850A,850B,850C 移動可能領域
551,552 点
710 線分(連結点が描く軌跡)
720 線分(端点が描く軌跡)
870,890,1090,1370,1390,1490 半直線
880,1380 仮想的な端点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
仮想空間内に配置される第1オブジェクトの位置及び向きと、当該仮想空間内に配置され所定の連結点で前記第1オブジェクトと連結される第2オブジェクトの位置及び向きと、を記憶する記憶部と、
前記記憶される第1オブジェクトの位置及び向きを移動する移動部と、
前記記憶される第1オブジェクトの位置及び向きと、前記記憶される第2オブジェクトの位置及び向きと、に基づいて、前記第1オブジェクトと前記第2オブジェクトを表す画像を生成する生成部と、
を備え、
前記移動部は、前記第1オブジェクトに対して相対的に固定され、且つ、前記第1オブジェクトと交差しない所定の移動可能領域に、前記第2オブジェクトの端点の位置が含まれるように、前記第2オブジェクトの位置及び向きを更に移動する、
ことを特徴とする画像生成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像生成装置であって、
前記移動可能領域は、2次元の当該仮想空間における線状の領域、又は、3次元の当該仮想空間における面状の領域である、
ことを特徴とする画像生成装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像生成装置であって、
前記移動部は、前記第1オブジェクトが移動されると、
(a)移動された時刻における前記連結点の位置から、
(b)前記第1オブジェクトに対する前記第2オブジェクトの相対的な位置が常に固定されると仮定したときの前記端点の位置であって、前記移動された時刻より所定時間だけ前の時刻における前記端点の位置へ、
と結ぶ半直線と、前記移動可能領域と、の交点の位置に、前記端点を配置する、
ことを特徴とする画像生成装置。
【請求項4】
請求項2に記載の画像生成装置であって、
前記移動部は、
(p)現在の時刻における前記連結点の位置から、
(q)前記現在の時刻より所定時間だけ前の時刻における前記端点の位置へ、
と結ぶ半直線と、前記移動可能領域と、の交点の位置に、前記端点を配置する、
ことを特徴とする画像生成装置。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の画像生成装置であって、
前記移動可能領域は、前記連結点を中心とする円の一部、若しくは、前記連結点を中心とする球面の一部であり、
前記移動部は、前記交点が存在しない場合、前記移動可能領域のうち前記半直線に最も近い位置に、前記端点を配置する、
ことを特徴とする画像生成装置。
【請求項6】
記憶部、移動部、生成部を有する画像生成装置において実行される画像生成方法であって、
前記記憶部には、仮想空間内に配置される第1オブジェクトの位置及び向きと、当該仮想空間内に配置され所定の連結点で前記第1オブジェクトと連結される第2オブジェクトの位置及び向きと、が記憶され、
前記移動部が、前記記憶される第1オブジェクトの位置及び向きを移動する移動ステップと、
前記生成部が、前記記憶される第1オブジェクトの位置及び向きと、前記記憶される第2オブジェクトの位置及び向きと、に基づいて、前記第1オブジェクトと前記第2オブジェクトを表す画像を生成する生成ステップと、
を備え、
前記移動ステップでは、前記移動部が、前記第1オブジェクトに対して相対的に固定され、且つ、前記第1オブジェクトと交差しない所定の移動可能領域に、前記第2オブジェクトの端点の位置が含まれるように、前記第2オブジェクトの位置及び向きを更に移動する、
ことを特徴とする画像生成方法。
【請求項7】
コンピュータを、
仮想空間内に配置される第1オブジェクトの位置及び向きと、当該仮想空間内に配置され所定の連結点で前記第1オブジェクトと連結される第2オブジェクトの位置及び向きと、を記憶する記憶部、
前記記憶される第1オブジェクトの位置及び向きを移動する移動部、
前記記憶される第1オブジェクトの位置及び向きと、前記記憶される第2オブジェクトの位置及び向きと、に基づいて、前記第1オブジェクトと前記第2オブジェクトを表す画像を生成する生成部、
として機能させ、
前記移動部は、前記第1オブジェクトに対して相対的に固定され、且つ、前記第1オブジェクトと交差しない所定の移動可能領域に、前記第2オブジェクトの端点の位置が含まれるように、前記第2オブジェクトの位置及び向きを更に移動する、
ことを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−39619(P2011−39619A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−184068(P2009−184068)
【出願日】平成21年8月7日(2009.8.7)
【出願人】(506113602)株式会社コナミデジタルエンタテインメント (1,441)
【Fターム(参考)】