説明

画像表示システム

【課題】指がタッチパネルに接触する直前でなければ、指の接近は検出されないので、操作性が損なわれてしまうこと。
【解決手段】液晶ディスプレイ2は、8個の近接センサ5が表示面2aの周囲に埋め込まれている。液晶ディスプレイ2の一辺には、2個の近接センサ5が埋め込まれている。そして、近接センサ5の配置順は、時計回りに第0番目ないし第7番目である。また、近接センサ5は、その検出媒体(例えば、赤外線)の放出方向と表示面2aの法線方向とが平行となる状態で設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像を表示する画像表示システムに関するものであって、より詳しくは、ナビゲーションシステムなどに関するものである。
【背景技術】
【0002】
背景技術として、タッチパネルへの指の接近を検出する指接近検出機構と、この指接近検出機構に接続された画像表示ユニットとを備えるカーナビゲーション装置が知られている。指接近検出機構は、液晶パネルのフレームの内側であって画像表示面の周囲に配置されており、画像表示面に平行な方向に赤外線を発光する発光素子と、発光素子で発光された赤外線を受光する受光素子とからなる。画像表示ユニットは、タッチパネルへの指の接近が指接近検出機構で検出されると、液晶表示パネルに対して所定のメニューを表示させる(例えば、特許文献1を参照)。
【特許文献1】特開2002−358162号公報(段落0010−0011、段落0022ならびに図1を参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
背景技術において、指接近検出機構が画像表示面に平行な方向に赤外線を発光しているので、物体の接近を検出可能な距離は、画像表示面から赤外線に下ろした垂線の長さにほぼ等しい。また、指接近検出機構が液晶パネルのフレームの内側であって画像表示面の周囲に配置されているので、画像表示面から赤外線に下ろした垂線の長さは短くなりやすく、物体の接近を検出可能な距離も短くなりやすい。つまり、指がタッチパネルに接触する直前でなければ、指の接近は検出されないので、操作性が損なわれるという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明に係る画像表示システムは、物体が表示装置に接近すると前記表示装置に対して操作項目を表示させる制御装置と、前記制御装置に接続される非接触センサとを備える画像表示システムであって、前記非接触センサは、その検出媒体を前記表示装置の表示面とのなす角が0度より大きくなる方向に放出し、反射された検出媒体を検出することを特徴とするものである。本発明における字句の解釈は、次のとおりである。
【0005】
「操作項目」とは、その表示座標とセンサによる検出座標とが符合すると、所定の機能の実行を促すものである。
【0006】
「非接触センサ」は、好ましくは、表示装置の表示面の周囲に設けられるものである。
【0007】
「検出媒体」とは、エネルギーを有する媒体である。「検出媒体」の具体例として、電磁波、光や超音波などがある。
【0008】
「表示装置の表示面とのなす角が0度より大きくなる方向」とは、表示装置の表示面に平行ではない方向であって、より好ましくは、表示装置の表示面の法線方向である。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、検出媒体が前記表示装置の表示面とのなす角が0度より大きくなる方向に放出されるので、指の接近を検出可能な範囲が広がり、操作性が高まるという効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明に係る画像表示システムを実施するための最良の形態は、図1ないし図8で示される。
<ナビゲーションシステム1の構成>本実施の形態に係るのナビゲーションシステム1の構成は、図1で示される。ナビゲーションシステム1は、画像を表示する液晶ディスプレイ2(「表示装置」に相当する)と、液晶ディスプレイ2に接続されるナビゲーション装置3(「制御装置」に相当する)と、A/Dコンバータ4を介してナビゲーション装置3に接続される近接センサ5(「非接触センサ」に相当する)とを備える。また、ナビゲーションシステム1は、現在位置に対応するデータを出力する測位センサ6、接触に応じてデータを出力するタッチパネル7および音声を出力するスピーカ8とを備える。
<液晶ディスプレイ2の構成>液晶ディスプレイ2の構成は、図2および図3で示される。液晶ディスプレイ2は、8個の近接センサ5が表示面2aの周囲に埋め込まれているものである。液晶ディスプレイ2の一辺には、2個の近接センサ5が埋め込まれている。そして、近接センサ5の配置順は、時計回りに第0番目ないし第7番目である(図2を参照)。また、近接センサ5は、その検出媒体(例えば、赤外線)の放出方向と表示面2aの法線方向とが平行となる状態で設けられている(図3を参照)。また、液晶ディスプレイ2の表示面上には、タッチパネル7が設けられている。
<ナビゲーション装置3の構成>ナビゲーション装置3の構成は、図2で示されている。ナビゲーション装置3は、データを入出力するI/O11と、各種プログラムやデータなどを記憶するHDD12と、BIOSなどの基本プログラムを記憶するROM13と、HDD12およびROM13に記憶されたプログラムを実行するCPU14と、CPU14での処理データなどを記憶するRAM15と、音声データを処理する音声LSI16と、画像データを処理する画像LSI17と、画像LSI17での処理データを保持するVRAM18と、特定の周期で起動データを出力するタイマ19とを備え、これらのハードウエアは、バスで接続されている。
【0011】
I/O11の入力側には、近接センサ5がA/Dコンバータ4を介して接続されている。また、測位センサ6およびタッチパネル7が接続されている。他方、I/O11の出力側には、液晶ディスプレイ2およびスピーカ8が接続されている。
【0012】
HDD12には、物体が液晶ディスプレイ2に接近すると液晶ディスプレイ2に対して操作項目を表示させる処理をCPU14に実行させるためのプログラムが記憶されている。また、HDD12には、操作項目に対応する操作項目データや地図画像に対応する地図画像データなどが記憶されている。
<近接センサ5の構成>近接センサ5の構成は、図4および図5で示される。近接センサ5は、検出媒体を放出する放出素子5aおよび検出媒体を検出する検出素子5bを備える。物体が近接センサ5に対向する場合、放出素子5aが検出媒体を放出すると、検出素子5bは、物体で反射された検出媒体を検出し、この検出媒体の物理量(例えば、エネルギー)に対応する検出値データを出力する(図4を参照)。検出される検出媒体の物理量(例えば、エネルギー)は、近接センサ5と物体との距離に対応している(図5を参照)。
<データ処理>本実施の形態におけるデータ処理は、図6ないし図10で示される。CPU14は、HDD12に記憶された各種プログラムをRAM15に展開し、以下の処理を実行する。
【0013】
CPU14は、RAM15の検出値データ格納領域(N=0〜7)を初期化する(ステップS1)。具体的には、初期値として「0」が検出値データ格納領域(N=0〜7)に格納される。
【0014】
ステップS1で検出値データ格納領域が初期化されると、CPU14は、検出値データVsnが所定値Vsc以上であるか否かを判定する(ステップS2)。具体的には、I/O11のポートアドレス(n=0〜7)には、それぞれ、近接センサ5(第0〜7番目)で出力された検出値データVsnが入力されており(図7を参照)、ポートアドレスに入力された検出値データVsnと所定値Vscとが比較される。本実施の形態では、「Vsc=160mv」が用いられている。
【0015】
ステップS2で検出値データVsnが所定値Vsc以上であるとの判定がなされると(S2のYes)、CPU14は、検出値データVsnをRAM15に格納する(ステップS3)。具体的には、第n番目のポートアドレスに入力された検出値データVsnは、RAM15の第N番目のデータ格納領域に転送される。
【0016】
他方、ステップS2で検出値データVsnが所定値Vsc以上ではないとの判定がなされると(S2のNo)、検出値データVsnはRAM15に格納されず、初期値「0」が維持される。
【0017】
ステップS3で検出値データVsnが格納され、または、初期値「0」が維持されると、CPU14は、ポートアドレス(n=0〜7)の全てについてステップS2からステップS3までの処理が施されたか否かを判定する(ステップS4)。
【0018】
ステップS4でポートアドレスの全てについてステップS2からステップS3までの処理が施されていないとの判定がなされると(S4のNo)、CPU14は、ステップS2からステップ3までの処理を実行する。
【0019】
他方、ステップS4でポートアドレスの全てについてステップS2からステップS3までの処理が施されたとの判定がなされると(S4のYes)、CPU14は、RAM15に格納された検出値データVsNが所定値Vd以上であるか否かを判定する(ステップS5)。具体的には、RAM15の各格納領域(N=0〜7)に格納された検出値データVsNの何れかが所定値Vd以上であればよい。本実施の形態では、「Vd=400mV」が設定されており、液晶ディスプレイ2と物体との距離が14cm以内にあれば、物体が液晶ディスプレイ2に接近しているとの判定がなされる。
【0020】
ステップS5で検出値データVsNが所定値Vd以上であるとの判定がなされると(S5のYes)、CPU14は、液晶ディスプレイ2に対して操作項目を表示させるための制御データを出力する(ステップS6)。このとき、画像LSI17は、CPU14からの制御データに従って、HDD12に記憶された操作項目データからVRAM18に展開し、VRAM18上の操作項目データを液晶ディスプレイ2に出力する。そして、液晶ディスプレイ2は、その表示面2aで操作項目を表示する。
【0021】
表示処理の結果は、次のとおりである。物体(例えば、指)が液晶ディスプレイ2に近づくと(図8(a)を参照)、物体と液晶ディスプレイ2との距離が14cm程度になった時点で、操作項目(例えば、縮尺変更用のタッチスイッチ)が表示される(図8(b)を参照)。
【0022】
なお、ステップS1からステップS4までの処理は、所定値よりも小さな検出値を「0」とみなすための処理である。なぜなら、近接センサ5は、物体が存在しない場合であっても、検出値を出力しているからである。また、CPU14は、タイマ14で出力される起動データを割り込みデータとして、ステップS1からステップS4までの処理を周期的に実行し、他方、ステップS5からステップS6までの処理をループさせてもよい。
<本実施の形態における効果>本実施の形態によれば、近接センサ5がその検出媒体を液晶ディスプレイ2の表示面2aの法線方向に放出するので、物体が表示面2aの周囲に接近すれば、操作項目は表示面2aに表示される。したがって、ユーザは、物体がタッチパネル7に接触するまでに、操作項目を選択する余地を持つことができる。また、ナビゲーションシステムが車両に搭載されている場合、ユーザは座席に着席した状態でタッチパネル7を操作することになる。この場合、ユーザの指と液晶ディスプレイ2との距離が14cm程度であれば、操作項目が表示されるので、ユーザは、座席に着席した状態であっても前傾姿勢をとることなく、操作項目を知ることができる。
<変形例1>本実施の形態では、8個の近接センサ5が設けられている。もっとも、近接センサ5が液晶ディスプレイ2の左右に1つずつ設けられれば、本発明は実施可能である。
<変形例2>本実施の形態では、近接センサ5がその検出媒体を液晶ディスプレイ2の表示面2aの法線方向に放出している。もっとも、近接センサ5がその検出媒体を液晶ディスプレイ2の表示面2aに平行ではない方向(なす角が0度より大きい)に放出すれば、本発明は実施可能である。
【産業上の利用可能性】
【0023】
以上のように、本発明は、指の接近を検出可能な範囲が広がり、操作性が高まるという効果を有し、ナビゲーションシステムなどとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る画像表示システムを実施するための最良の形態の構成を示すハードウエア構成図
【図2】液晶ディスプレイと近接センサとの配置関係を示す図
【図3】近接センサによる検出媒体の放出方向を示す図
【図4】近接センサの構成を示す構成図
【図5】近接センサにおける近接距離と検出値との関係を示す関係図
【図6】データ処理の流れを示すフロー図
【図7】近接センサ、ポートアドレスおよび格納領域の関係を示す関係図
【図8】(a)物体接近前の表示例を示す図(b)物体接近後の表示例を示す図
【符号の説明】
【0025】
1 ナビゲーションシステム(画像表示システム)
2 液晶ディスプレイ(表示装置)
2a 表示面
3 ナビゲーション装置(制御装置)
5 近接センサ(非接触センサ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体が表示装置に接近すると前記表示装置に対して操作項目を表示させる制御装置と、前記制御装置に接続される非接触センサとを備える画像表示システムであって、
前記非接触センサは、その検出媒体を前記表示装置の表示面とのなす角が0度より大きくなる方向に放出し、反射された検出媒体を検出することを特徴とする画像表示システム。
【請求項2】
前記非接触センサは、その検出媒体を前記表示面の法線方向に放出することを特徴とする請求項1に記載の画像表示システム。
【請求項3】
物体の接近を検出する非接触センサを表示面の周囲に有する表示装置であって、
前記非接触センサは、その検出媒体を前記表示面とのなす角が0度より大きくなる方向に放出し、反射された検出媒体を検出することを特徴とする表示装置。
【請求項4】
前記非接触センサは、その検出媒体を前記表示面の法線方向に放出することを特徴とする請求項3に記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−108842(P2007−108842A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−296314(P2005−296314)
【出願日】平成17年10月11日(2005.10.11)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】