説明

画像表示方法、および表示器

【課題】 性能が低いCPUを用いながら、動画データと画像データとの合成画面における動画の表示速度を向上させることができる画像表示方法、および表示器を提供する。
【解決手段】 表示器Aにおいて、動画モジュール11は、動画情報J1から、動画データをフレーム毎に生成して画像ドライバーへ引き渡し、ブラウザ12は、画像情報J2から、HTMLコンテンツデータをフレーム毎に生成して画像ドライバー1eへ引き渡し、画像ドライバー1eは、画像データ、HTMLコンテンツデータを個別に画像合成回路2へ引き渡し、画像合成回路2は、ハードウェアで構成されており、画像データ、HTMLコンテンツデータを個別に再生して、当該個別に再生した画像データ、HTMLコンテンツデータを合成し、当該合成画面を表示部3に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像を合成して表示する画像表示方法、および表示器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ブラウザを搭載した表示器において、HTMLコンテンツの画像情報にカメラ等の撮像手段からの動画情報を合成して表示することが行われる。図8は、従来の表示器Bのブロック構成を示しており、CPUを含んで構成される画像制御回路101と、LCD等の表示器102とを備えている。画像制御回路101は、デコード部101aおよび画像生成部101b、デコード部1cおよび画像生成部101d、画像合成部101e、画像ドライバー101f、演算部101gで構成され、画像制御回路101のCPU上で実行されるソフトウェアによって実現されている。
【0003】
そして、デコード部101aおよび画像生成部101bは画像生成モジュールを構成する外部モジュール111であり、デコード部101aが動画情報J1を復号した後に、画像生成部101bがフレーム毎に描画された動画データを生成する。また、デコード部101cおよび画像生成部101dおよび画像合成部101eは画像生成モジュールを構成するブラウザ112であり、デコード部101cがHTMLコンテンツの画像情報J2を復号した後に、画像生成部101dがフレーム毎に描画されたHTMLコンテンツデータを生成する。ここで、外部モジュール111は、ブラウザ112にプラグイン等によって関連付けされている。そして、ブラウザ112の画像合成部101dが、HTMLコンテンツデータに動画データを合成して合成画面データを生成した後、画像ドライバー101fが合成画面データを演算部101gに引き渡し、演算部101gが合成画面データを表示部102に出力して、表示部102は、合成画面データを画面上に表示する。
【0004】
このように、HTMLコンテンツデータと動画データとの合成は、画像制御回路101のCPUでのソフトウェア処理によって行われていた(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006−65460号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来例では、HTMLコンテンツデータと動画データとをブラウザ112上の画面合成部101eで合成した後、画像ドライバー101fに引き渡されるため、動画処理の負荷によって合成処理に遅延が生じてしまう。具体的には、HTMLコンテンツデータと動画データとを組み合わせるために、画像合成部101eにおいて、画像の位置、サイズ、フォーマット補正や、データコピー等の時間のかかるソフトウェア処理が必要となり、処理時間が長くなっていた。そのため、画像ドライバー101fの性能が高くて処理速度が速くても、表示器Bとしては動画の表示速度性能が悪化してしまう。
【0006】
例えば、フレーム毎に描画された動画データを生成する画像生成部101bの処理速度[単位時間の表示フレーム数]が10(f/s:フレーム/秒)、フレーム毎に描画されたHTMLコンテンツデータを生成する画像生成部101dの処理速度が15(f/s)、ブラウザ112が出力画面を再描画する処理速度が8(f/s)、画像ドライバー101fの処理速度が15(f/s)であったとしても、HTMLコンテンツデータに動画データを合成して合成画面データを生成する画像合成部101eの処理速度が5(f/s)であれば、表示器Bの処理速度は、最も遅い画像合成部101eの処理速度である5(f/s)となる。また、ブラウザ112全体としての性能も落ちるため、再描画の処理速度も悪化する虞がある。
【0007】
すなわち、HTMLコンテンツデータと動画データとに関連性があるため(例えば、HTMLコンテンツ上のボタン押下で動作制御を行う等)、ブラウザ112のソフトウェア処理で合成処理を管理していることが、処理速度悪化の原因となっている。このような処理速度の悪化は、特に性能が低いCPUを用いて、画像処理の負荷が大きい動画情報と、画像処理の負荷が小さいHTMLコンテンツ等の画像情報とを合成する場合に問題となる。
【0008】
そこで、このような問題点を解決するために、
(1)ハードウェアの性能を向上させるための、DSP(Digital Signal Processor)の追加、CPUのクロック周波数アップ、メモリ容量アップ
(2)ブラウザのプラグインモジュールの活用
(3)オリジナルアプリケーションの作成
等の手段が考えられる。
【0009】
しかし、上記(1)の解決手段では、チップ搭載によるコストアップや、高速化するモジュールをブラウザから切り出す必要があり、そのためのカスタマイズが必要になるという課題が生じる。
【0010】
次に、上記(2)の解決手段では、CPUへの負荷が大きく、低性能のCPUを用いる組み込み機器には最適のプラグインモジュールを搭載できない。また、プラグインモジュールを実装した場合、画面再描画のタイミングがブラウザで決定されるので、全体として表示速度が遅くなるという課題が生じる。さらに、HTMLコンテンツデータと動画データとに関連性を持たせながら画面の重ね合わせ等を行うために処理が高負荷となり、このような高負荷処理を外部のプラグインモジュールで実現することは難しく、また市販のブラウザに適合する高性能のプラグインモジュールを入手することは困難である。
【0011】
次に、上記(3)の解決手段では、動画データが多くなることによって、SDRAMやFROM等のメモリのリソース資源の枯渇や、リソース資源の追加によるコストアップが発生し、さらにはブラウザとの併用ができないため、制御等のためのモジュールを新たに作成する必要がある。また、動的な画面構成に対応できないので、多くの画面パターンを予めソフトウェアに格納しておく必要があるという課題が生じる。
【0012】
本発明は、上記事由に鑑みてなされたものであり、その目的は、性能が低いCPUを用いながら、動画データと画像データとの合成画面における動画の表示速度を向上させることができる画像表示方法、および表示器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1の発明は、動画情報である第1の画像情報と、動画情報以外の第2の画像情報とを合成して表示する画像表示方法において、第1の画像情報を第1の画像生成モジュールへ引き渡すとともに、第2の画像情報を第2の画像生成モジュールへ引き渡し、第1の画像生成モジュールは、第1の画像情報から、第1の画像データをフレーム毎に生成して画像ドライバーへ引き渡し、第2の画像生成モジュールは、第2の画像情報から、第2の画像データをフレーム毎に生成して画像ドライバーへ引き渡し、画像ドライバーは、第1,第2の画像データを個別に画像合成回路へ引き渡し、画像合成回路は、ハードウェアで構成されており、第1,第2の画像データを個別に再生して、当該個別に再生した第1,第2の画像データを合成し、当該合成画面を表示部に表示することを特徴とする。
【0014】
この発明によれば、画像表示方法において、第1の画像生成モジュールは、第1,第2の画像データの生成を行うのみであり、第1,第2の画像データの合成は、ハードウェアで構成された後段の画像合成回路で行うので、第1の画像生成モジュールでの動画処理の負荷に関わらず合成処理を行うことができる。したがって、性能が低いCPUを用いたとしても、画像の合成処理は、画像生成モジュールのソフトウェア処理には関係ないので、動画データと画像データとの合成画面における動画の表示速度性能を向上させることができる。また、画像合成回路はハードウェアで構成されているので、ソフトウェアで構成する場合に比べて処理性能は安定している。
【0015】
請求項2の発明は、請求項1において、第1,第2の画像生成モジュールが画像データをフレーム毎に生成する各処理速度を計測する計測手段と、当該計測結果に基づいて第1,第2の画像生成モジュールの各処理速度を調整するモジュール制御手段とを備えることを特徴とする。
【0016】
この発明によれば、モジュール制御手段の負荷が重くなり、第1の画像生成モジュールの処理速度が低下した場合は、自動で第2の画像生成モジュールの処理速度を低下させて、第1の画像生成モジュールの処理速度を当初の値にまで上げることで、動画の表示性能の安定化を図ることができる。
【0017】
請求項3の発明は、請求項2において、第1の画像生成モジュールは、動画情報のみから第1の画像データを生成し、第2の画像生成モジュールは、動画情報以外の画像情報のみから第2の画像データを生成することを特徴とする。
【0018】
この発明によれば、第1の画像生成モジュールを、予め高負荷の動画処理専用の画像生成モジュールとして作り込むことで、ソフトウェアのリソースを削減でき、さらにモジュール制御手段は、第2の画像生成モジュールよりも第1の画像生成モジュールの処理速度を速くして、処理割合を予め多く設定しておくことで、第1,第2の画像生成モジュールの処理速度の制御処理による負荷を低減できる。
【0019】
請求項4の発明は、請求項2において、第1,第2の画像生成モジュールは、画像情報が、動画情報、または動画情報以外の画像情報のいずれであっても、当該画像情報から画像データをフレーム毎に生成可能に構成されることを特徴とする。
【0020】
この発明によれば、モジュール制御手段は、画像情報に応じて、第1,第2の画像生成モジュールの処理速度を設定することができ、各画像生成モジュールに無駄な処理能力を振り分けることがなく、効率的となる。
【0021】
請求項5の発明は、請求項2乃至4いずれかにおいて、第1,第2の画像生成モジュールに入力される各画像情報の種別を判別する画像判別手段と、第1,第2の画像生成モジュールの各処理速度を制御するパラメータの初期値および上下限値を前記判別結果に対応して格納した設定テーブルとを備え、前記モジュール制御手段は、前記判別結果と設定テーブルとを参照して、第1,第2の画像生成モジュールの前記パラメータの初期値を設定し、前記計測結果に基づいて第1,第2の画像生成モジュールの前記パラメータを上下限値の範囲内で調整することを特徴とする。
【0022】
この発明によれば、画像情報の種別に応じた最適な動画の表示性能を得ることができる。また、処理速度が過度に速くなったり、過度に遅くなることがなく、第1,第2の画像データを表示することができる。
【0023】
請求項6の発明は、請求項2乃至4いずれかにおいて、第1,第2の画像情報の送信元から送信される当該送信元の機器種別情報に対応して、第1,第2の画像生成モジュールの各処理速度を制御するパラメータの初期値および上下限値を格納した設定テーブルを備え、前記モジュール制御手段は、機器種別情報と設定テーブルとを参照して、第1,第2の画像生成モジュールの前記パラメータの初期値を設定し、前記計測結果に基づいて第1,第2の画像生成モジュールの前記パラメータを上下限値の範囲内で調整することを特徴とする。
【0024】
この発明によれば、機器種別情報に応じた最適な動画の表示性能を得ることができる。また、処理速度が過度に速くなったり、過度に遅くなることがなく、第1,第2の画像データを表示することもできる。
【0025】
請求項7の発明は、請求項2乃至4いずれかにおいて、前記モジュール制御手段は、第1,第2の画像生成モジュールの各処理速度を制御するパラメータの初期値および上下限値をネットワークを介して受信して、第1,第2の画像生成モジュールの前記パラメータの初期値を設定し、前記計測結果に基づいて第1,第2の画像生成モジュールの前記パラメータを上下限値の範囲内で調整することを特徴とする。
【0026】
この発明によれば、ユーザが表示性能を決定するパラメータを更新する手間が必要なく、最適な動画の表示性能を得ることができる。
【0027】
請求項8の発明は、動画情報である第1の画像情報と、動画情報以外の第2の画像情報とを合成して表示する表示器において、第1の画像情報から、第1の画像データをフレーム毎に生成して画像ドライバーへ引き渡す第1の画像生成モジュールと、第2の画像情報から、第2の画像データをフレーム毎に生成して画像ドライバーへ引き渡す第2の画像生成モジュールと、第1,第2の画像データを個別に画像合成回路へ引き渡す画像ドライバーと、ハードウェアで構成されており、第1,第2の画像データを個別に再生して、当該個別に再生した第1,第2の画像データを合成する画像合成回路と、当該合成画面を表示する表示部とを備えることを特徴とする。
【0028】
この発明によれば、表示器において、第1の画像生成モジュールは、第1,第2の画像データの生成を行うのみであり、第1,第2の画像データの合成は、ハードウェアで構成された後段の画像合成回路で行うので、第1の画像生成モジュールでの動画処理の負荷に関わらず合成処理を行うことができる。したがって、性能が低いCPUを用いたとしても、画像の合成処理は、画像生成モジュールのソフトウェア処理には関係ないので、動画データと画像データとの合成画面における動画の表示速度性能を向上させることができる。また、画像合成回路はハードウェアで構成されているので、ソフトウェアで構成する場合に比べて処理性能は安定している。
【発明の効果】
【0029】
以上説明したように、本発明では、性能が低いCPUを用いながら、動画データと画像データとの合成画面における動画の表示速度を向上させることができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0031】
(実施形態1)
図2は、本発明の表示器Aを用いた表示システムの概略のブロック構成を示し、図3に外観を示しており、CPUを含んで構成される画像制御回路1と、ハードウェアで構成される画像合成回路2と、LCD等の表示部3と、画像制御回路1で実行されるソフトウェアを格納した記憶部4と、宅内ネットワークNT1を介して通信を行い、外部機器50から宅内ネットワークNT1を介して送信される動画情報J1(第1の画像情報)、画像情報J2(第2の画像情報)を受信して、画像制御回路1へ引き渡す通信部5とを、矩形函状のハウジング21に収納している。ハウジング21の前面には、表示部3以外に、各種操作を行う操作ボタン22が設けられている。
【0032】
図1は、本実施形態の表示器Aのブロック構成を示しており(ただし、記憶部4、通信部5を省略している)、画像制御回路1は、デコード部1aおよび画像生成部1b、デコード部1cおよび画像生成部1d、画像ドライバー1e、性能計測部1f、モジュール制御部1g、演算部1hで構成され、画像制御回路1のCPU上で実行されるソフトウェアによって実現されている。
【0033】
そして、デコード部1aおよび画像生成部1bは、動画情報J1のみを処理する動画処理専用の画像生成モジュールを構成する動画モジュール11であり、デコード部1cおよび画像生成部1dは、動画処理能力を必要としないHTMLコンテンツの画像情報J2のみを処理するHTMLコンテンツ専用の画像生成モジュールを構成するブラウザ12である。
【0034】
まず、HTMLコンテンツの画像情報J2と、この画像情報J2に関連付けられた動画情報J1とが、表示器Aに入力された場合、モジュール制御部1gは、各情報の種類を判別して、動画情報J1であれば動画モジュール11へ引き渡し、画像情報J2であればブラウザ12へ引き渡す。動画モジュール11では、デコード部1aが動画情報J1を復号した後に、画像生成部1bがフレーム毎に描画された動画データ(第1の画像データ)を生成して、画像ドライバー1eへ引き渡す。また、ブラウザ12では、デコード部1cがHTMLコンテンツの画像情報J2を復号した後に、画像生成部1dがフレーム毎に描画されたHTMLコンテンツデータ(第2の画像データ)を生成して、画像ドライバー1eへ引き渡す。上記動画モジュール11は、動画処理専用であるため処理が早く、ブラウザ12とは独立して画像ドライバー1eへデータを引き渡す。
【0035】
画像ドライバー1eは、動画モジュール11が生成した動画データと、ブラウザ12が生成したHTMLコンテンツデータとを、演算部1hを介して画像合成回路2へ個別に引き渡す。
【0036】
画像合成回路2は、ハードウェアのみで構成されており(すなわち、ソフトウェアを実行することで動作するものではない)、2つの画像再生部2a,2bと、画像合成部2cとを備える。画像再生部2aは、動画モジュール11からの動画データを再生し、画像再生部2bは、ブラウザ12からのHTMLコンテンツデータを再生し、画像合成部2cは、画像生成部2bが再生したHTMLコンテンツデータに、画像生成部2aが再生した動画データを上書きすることで、動画データとHTMLコンテンツデータとを合成して合成画面データを生成し、この合成画面データを表示部3へ出力して、表示部3は、合成画面データを画面上に表示する。
【0037】
ここで、動画モジュール11は15(f/s:フレーム/秒)、ブラウザ12は10(f/s)、画像ドライバー1eは15(f/s)、画像再生部2aは15(f/s)、画像再生部2bは10(f/s)の各処理速度[単位時間の表示フレーム数]で動作している。そして、画像制御回路1のソフトウェア処理で動画データとHTMLコンテンツデータとの合成を行わず、ハードウェアのみで構成された画像合成回路2で画像合成を行うので、動画モジュール11の動作は画像の合成処理に関係ないものとなり、動画モジュール11における動画の処理速度の低下を抑制している。
【0038】
このように本実施形態では、動画モジュール11およびブラウザ12は、動画データおよびHTMLコンテンツデータの生成を行うのみであり、動画データとHTMLコンテンツデータとの合成は、ハードウェアで構成された後段の画像合成回路2で行うので、動画モジュール11での動画処理の負荷に関わらず合成処理を行うことができる。したがって、性能が低いCPUを画像制御回路1に用いたとしても、画像の合成処理は画像制御回路1でのソフトウェア処理には関係ないので、動画データと画像データとの合成画面における動画の表示速度性能を向上させることができる。また、画像合成回路2はハードウェアで構成されているので、ソフトウェアで構成する場合に比べて処理性能は安定している。
【0039】
ここで、動画モジュール11は、モジュール制御部1gによってその処理動作を制御され、ブラウザ12よりも高い処理能力を予め与えられているが、動画処理中において、モジュール制御部1gが動画処理以外の処理を行うと、動画処理を行う能力が不足して動画表示性能が低下する場合があった。
【0040】
そこで、本実施形態では、性能計測部1fが、フレーム毎に描画された動画データを生成する動画モジュール11の画像生成部1bの処理速度[単位時間当たりの表示フレーム数]、およびフレーム毎に描画されたHTMLコンテンツデータを生成するブラウザ12の画像生成部1dの処理速度[単位時間当たりの表示フレーム数]を計測しており、モジュール制御部1gは、各計測結果に基づいて、動画モジュール11およびブラウザ12の各プロセス優先度(モジュール制御部1gにおいて、動画モジュール11およびブラウザ12の各処理を実行する優先度)を制御して、動画モジュール11の処理速度を略一定に制御する。例えば、当初、動画モジュール11が15(f/s)、ブラウザ12が10(f/s)、画像ドライバー1eが15(f/s)の各処理速度で動作しているときに、モジュール制御部1gの負荷が増大して、動画モジュール11の処理速度が低下した場合(例えば、10(f/s)にまで低下した場合)、モジュール制御部1gは、ブラウザ12における処理速度を低下させることで(例えば、5(f/s)に低下させる)、モジュール制御部1gの負荷をこれ以上大きくすることなく、動画モジュール11における処理速度を上げて当初の値に維持する(例えば、15(f/s)に維持する)。
【0041】
ブラウザ12の処理速度を低下させる(または動画モジュール11の処理速度を増大させる)には、モジュール制御部1gにおけるブラウザ12のプロセス優先度を下げる、または動画モジュール11のプロセス優先度を上げる方法がある。また、モジュール制御部1gにおける動画モジュール11、ブラウザ12のプロセス優先度を制御する代わりに、動画モジュール11およびブラウザ12への動画情報J1、画像情報J2の入力間隔を調整したり、動画モジュール11およびブラウザ12の各再描画間隔を調整することでも、動画モジュール11およびブラウザ12の各処理速度を制御することができる。
【0042】
このように、モジュール制御部1gの負荷が重くなり、動画モジュール11の処理速度が低下した場合は、自動でブラウザ12の処理速度を低下させて、動画モジュール11の処理速度を当初の値にまで上げることで、動画の表示性能の安定化を図ることができる。
【0043】
また、動画モジュール11を、予め高負荷の動画処理専用の画像生成モジュールとして作り込むことで、ソフトウェアのリソースを削減でき、さらにモジュール制御部1gは、ブラウザ12よりも動画モジュール11のプロセス優先度を高くして、処理割合を予め多く設定しておくことで、動画モジュール11およびブラウザ12の処理速度の制御処理による負荷を低減している。
【0044】
(実施形態2)
図4は、本実施形態の表示器Aのブロック構成を示しており、記憶部4に設定テーブルTBを格納した点が実施形態1とは異なる。なお、実施形態1と同様の構成には同一の符号を付して説明は省略する。
【0045】
まず、実施形態1においては、モジュール制御部1が、画像制御回路1の100%の処理能力を表示状況に応じて動画モジュール11とブラウザ12に振り分けているが、本実施形態では、図5に示すように、動画モジュール11およびブラウザ12の各プロセス優先度の初期値および上下限値が設定テーブルTBに予め格納されている。
【0046】
そして、モジュール制御部1gは、当初、設定テーブルTBを参照して動画モジュール11およびブラウザ12の各プロセス優先度を初期値に設定する。その後、モジュール制御部1gは、性能計測部1fが動画モジュール11の処理速度およびブラウザ12の処理速度を計測した各結果に基づいて、動画モジュール11とブラウザ12との少なくいずれか一方のプロセス優先度を増減して、動画モジュール11の処理速度を略一定に制御する。
【0047】
例えば、モジュール制御部1gの負荷が増大して、動画モジュール11の処理速度が低下した場合、モジュール制御部1gは、モジュール制御部1gにおけるブラウザ12のプロセス優先度を下げる(または動画モジュール11のプロセス優先度を上げる)ことで、ブラウザ12の処理速度を低下させ、モジュール制御部1gの負荷をこれ以上大きくすることなく、動画モジュール11における処理速度を上げて処理速度を一定値に維持する。
【0048】
このとき、モジュール制御部1gは、設定テーブルTBを参照して、動画モジュール11およびブラウザ12の各プロセス優先度の上下限値内で、各プロセス優先度を制御する。したがって、処理速度が過度に速くなったり、過度に遅くなることがなく、動画およびHTMLコンテンツを表示することができる。
【0049】
また、モジュール制御部1gにおける動画モジュール11、ブラウザ12のプロセス優先度をパラメータとして制御する代わりに、動画モジュール11およびブラウザ12への動画情報J1、画像情報J2の入力間隔を調整したり、動画モジュール11およびブラウザ12の各再描画間隔を調整することでも、動画モジュール11およびブラウザ12の各処理速度を制御することができ、上記同様に設定テーブルTBには、各パラメータの初期値、上下限値を格納しておく。例えば、再描画間隔の場合、動画モジュール11の最描画間隔の初期値を20msec、ブラウザ12の再描画間隔の初期値を200msecに設定する。
【0050】
(実施形態3)
本実施形態の表示器Aは図4のブロック構成を備えており、実施形態2と同様の構成には同一の符号を付して説明は省略する。
【0051】
外部機器50から送信される動画情報J1は、同一規格で送信された動画情報であっても、その送信元の外部機器50の機器種別によって、要求される動画モジュール11の処理速度が異なる場合がある。例えば、MPEG4の規格で形成された動画情報J1であっても、送信元の外部機器50が玄関に設置された来客撮像用の監視カメラである場合と、送信元の外部機器50がビデオレコーダやDVDレコーダである場合とでは、要求される動画モジュール11の処理速度が異なる。
【0052】
そこで、本実施形態では図6に示すように、設定テーブルTBに、動画情報J1の送信元である外部機器50のIPアドレス(機器種別情報)と、送信された動画情報の種別(動画種別情報)と、モジュール制御部1g内における動画モジュール11のプロセス優先度の初期値とを互いに対応させて予め格納している。外部機器50のIPアドレスは、各外部機器50の各IPアドレス以外にデフォルトを設定しており、設定テーブルTBに登録されていないIPアドレスの外部機器50はデフォルトに該当する。また、動画情報の種別としては、IPアドレス毎にMPEG4およびMJPEGが設定され、IPアドレスと動画情報の種別との組み合わせ毎に、動画モジュール11のプロセス優先度の初期値が設定される。なお、ブラウザ12のプロセス優先度は、所定の初期値に予め設定されている。
【0053】
そして、画像制御回路1は、送信元の外部機器50のIPアドレスとともに動画情報J1を受け取ると、モジュール制御部1gが、送信元の外部機器50のIPアドレスと受け取った動画情報J1の種別とに基づき、設定テーブルTBを参照して動画モジュール11のプロセス優先度の初期値を設定する。その後、モジュール制御部1gは、性能計測部1fが動画モジュール11の処理速度およびブラウザ12の処理速度を計測した各結果に基づいて、動画モジュール11とブラウザ12との少なくいずれか一方のプロセス優先度を増減して、画像生成部1bの処理速度を略一定に制御する。したがって、表示器Aは、外部機器50の機器種別情報に応じた、最適な動画の表示性能を得ることができる。
【0054】
例えば、モジュール制御部1gの負荷が増大して、動画モジュール11の処理速度が低下した場合、モジュール制御部1gは、モジュール制御部1gにおけるブラウザ12のプロセス優先度を下げる(または動画モジュール11のプロセス優先度を上げる)ことで、ブラウザ12の処理速度を低下させ、モジュール制御部1gの負荷をこれ以上大きくすることなく、動画モジュール11における処理速度を上げて処理速度を一定値に維持する。
【0055】
また、設定テーブルTBにプロセス優先度の上下限値を格納しておき、モジュール制御部1gは、この上下限値内で、動画モジュール11およびブラウザ12の各プロセス優先度を制御してもよく、処理速度が過度に速くなったり、過度に遅くなることがなく、動画およびHTMLコンテンツを表示することができる。
【0056】
また、モジュール制御部1gにおける動画モジュール11、ブラウザ12のプロセス優先度をパラメータとして制御する代わりに、動画モジュール11およびブラウザ12への動画情報J1、画像情報J2の入力間隔を調整したり、動画モジュール11およびブラウザ12の各再描画間隔を調整することでも、動画モジュール11およびブラウザ12の各処理速度を制御することができ、上記同様に設定テーブルTBには、動画種別情報毎に各パラメータの初期値(必要であれば、上下限値も)を格納しておく。
【0057】
(実施形態4)
本実施形態の表示器Aは、実施形態1と同様に図1に示すブロック構成を備えており、実施形態1と同様の構成には同一の符号を付して説明は省略する。
【0058】
実施形態3では、表示器A内の記憶部4内の設定テーブルTBに表示性能を決定するパラメータ(プロセス優先度、または情報の入力間隔、または再描画間隔)を外部機器50に対応して予め格納し、モジュール制御部1gは、設定テーブルTBを参照して、動画モジュール11およびブラウザ12の各処理速度を制御しているが、例えば新しい外部機器50が接続されると、この新しい外部機器50のIPアドレスやプロセス優先度等のデータを設定テーブルTBに書き込む必要があり、ユーザにとってデータの更新処理が手間であった。
【0059】
そこで、本実施形態では、外部機器50が、動画情報J1、画像情報J2を送信する際に、動画モジュール11およびブラウザ12の各プロセス優先度の初期値および上下限値のデータを付加して表示器Aへ送信し、表示器Aのモジュール制御部1gは、受信したプロセス優先度の初期値および上下限値を保持する。そして、モジュール制御部1gは、動画モジュール11およびブラウザ12の各プロセス優先度を初期値に設定し、その後、性能計測部1fが動画モジュール11の処理速度およびブラウザ12の処理速度を計測した各結果に基づいて、動画モジュール11とブラウザ12との少なくいずれか一方のプロセス優先度を増減して、動画モジュール11の処理速度を略一定に制御する。
【0060】
また、外部機器50が、動画情報J1、画像情報J2にプロセス優先度の初期値および上下限値のデータが付加されていない場合、モジュール制御部1gは、予め設定されているデフォルト値に各パラメータを設定する。
【0061】
したがって、表示器Aは、ユーザが表示性能を決定するパラメータを更新する手間が必要なく、外部機器50に応じた最適な動画の表示性能を得ることができる。
【0062】
また、モジュール制御部1gにおける動画モジュール11、ブラウザ12のプロセス優先度をパラメータとして制御する代わりに、動画モジュール11およびブラウザ12への動画情報J1、画像情報J2の入力間隔を調整したり、動画モジュール11およびブラウザ12の各再描画間隔を調整することでも、動画モジュール11およびブラウザ12の各処理速度を制御することができる。
【0063】
(実施形態5)
実施形態1乃至4では、動画モジュール11が動画処理専用の画像生成モジュールを構成し、ブラウザ12がHTMLコンテンツの処理専用の画像生成モジュールを構成している。
【0064】
一方、本実施形態の表示器Aは、図7に示すように、動画モジュール11、ブラウザ12を、動画とHTMLコンテンツの両方が処理可能な画像生成モジュール13に置き換えたものである。
【0065】
まず、モジュール制御部1gは、入力された情報が、動画情報またはHTMLコンテンツの画像情報のいずれであるかを判別し、この判別結果に基づいて、当該情報を振り分けた画像生成モジュール13に行わせる処理を、動画処理またはHTMLコンテンツ画像処理のいずれかに設定する。すなわち、各画像生成モジュール13は、画像処理、HTMLコンテンツ画像処理の何れも可能であり、表示器Aは、2つの動画情報J1を表示部3に重ね合わせて表示したり、2つのHTMLコンテンツの画像情報を表示部3に重ね合わせて表示することもできる。
【0066】
したがって、画像情報の種類(動画情報J1、画像情報J2)に応じて、画像生成モジュール13の処理速度を設定するので、モジュール制御部1gが各画像生成モジュール13に無駄な処理能力を振り分けることがなく、効率的となる。
【0067】
なお、他の動作は実施形態1乃至4いずれかと同様であり、説明は省略する。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】実施形態1の表示器のブロック構成を示す図である。
【図2】同上の表示システムの概略のブロック構成を示す図である。
【図3】同上の表示器の外観構成を示す図である。
【図4】実施形態2の表示器のブロック構成を示す図である。
【図5】同上の設定テーブルの構造を示す図である。
【図6】実施形態3の設定テーブルの構造を示す図である。
【図7】実施形態5の表示器のブロック構成の一部を示す図である。
【図8】従来の表示器のブロック構成を示す図である。
【符号の説明】
【0069】
A 表示器
1 画像制御回路
1a デコード部
1b 画像生成部
1c デコード部
1d 画像生成部
1e 画像ドライバー
1f 性能計測部
1g モジュール制御部
1h 演算部
2 画像合成回路
2a,2b 画像再生部
2c 画像合成部
3 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動画情報である第1の画像情報と、動画情報以外の第2の画像情報とを合成して表示する画像表示方法において、
第1の画像情報を第1の画像生成モジュールへ引き渡すとともに、第2の画像情報を第2の画像生成モジュールへ引き渡し、
第1の画像生成モジュールは、第1の画像情報から、第1の画像データをフレーム毎に生成して画像ドライバーへ引き渡し、第2の画像生成モジュールは、第2の画像情報から、第2の画像データをフレーム毎に生成して画像ドライバーへ引き渡し、
画像ドライバーは、第1,第2の画像データを個別に画像合成回路へ引き渡し、
画像合成回路は、ハードウェアで構成されており、第1,第2の画像データを個別に再生して、当該個別に再生した第1,第2の画像データを合成し、当該合成画面を表示部に表示する
ことを特徴とする画像表示方法。
【請求項2】
第1,第2の画像生成モジュールが画像データをフレーム毎に生成する各処理速度を計測する計測手段と、当該計測結果に基づいて第1,第2の画像生成モジュールの各処理速度を調整するモジュール制御手段とを備えることを特徴とする請求項1記載の画像表示方法。
【請求項3】
第1の画像生成モジュールは、動画情報のみから第1の画像データを生成し、第2の画像生成モジュールは、動画情報以外の画像情報のみから第2の画像データを生成することを特徴とする請求項2記載の画像表示方法。
【請求項4】
第1,第2の画像生成モジュールは、画像情報が、動画情報、または動画情報以外の画像情報のいずれであっても、当該画像情報から画像データをフレーム毎に生成可能に構成されることを特徴とする請求項2記載の画像表示方法。
【請求項5】
第1,第2の画像生成モジュールに入力される各画像情報の種別を判別する画像判別手段と、第1,第2の画像生成モジュールの各処理速度を制御するパラメータの初期値および上下限値を前記判別結果に対応して格納した設定テーブルとを備え、
前記モジュール制御手段は、前記判別結果と設定テーブルとを参照して、第1,第2の画像生成モジュールの前記パラメータの初期値を設定し、前記計測結果に基づいて第1,第2の画像生成モジュールの前記パラメータを上下限値の範囲内で調整することを特徴とする請求項2乃至4いずれか記載の画像表示方法。
【請求項6】
第1,第2の画像情報の送信元から送信される当該送信元の機器種別情報に対応して、第1,第2の画像生成モジュールの各処理速度を制御するパラメータの初期値および上下限値を格納した設定テーブルを備え、
前記モジュール制御手段は、機器種別情報と設定テーブルとを参照して、第1,第2の画像生成モジュールの前記パラメータの初期値を設定し、前記計測結果に基づいて第1,第2の画像生成モジュールの前記パラメータを上下限値の範囲内で調整することを特徴とする請求項2乃至4いずれか記載の画像表示方法。
【請求項7】
前記モジュール制御手段は、第1,第2の画像生成モジュールの各処理速度を制御するパラメータの初期値および上下限値をネットワークを介して受信して、第1,第2の画像生成モジュールの前記パラメータの初期値を設定し、前記計測結果に基づいて第1,第2の画像生成モジュールの前記パラメータを上下限値の範囲内で調整することを特徴とする請求項2乃至4いずれか記載の画像表示方法。
【請求項8】
動画情報である第1の画像情報と、動画情報以外の第2の画像情報とを合成して表示する表示器において、
第1の画像情報から、第1の画像データをフレーム毎に生成して画像ドライバーへ引き渡す第1の画像生成モジュールと、
第2の画像情報から、第2の画像データをフレーム毎に生成して画像ドライバーへ引き渡す第2の画像生成モジュールと、
第1,第2の画像データを個別に画像合成回路へ引き渡す画像ドライバーと、
ハードウェアで構成されており、第1,第2の画像データを個別に再生して、当該個別に再生した第1,第2の画像データを合成する画像合成回路と、
当該合成画面を表示する表示部と
を備えることを特徴とする表示器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−98483(P2010−98483A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−266836(P2008−266836)
【出願日】平成20年10月15日(2008.10.15)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】