説明

画像表示装置およびその駆動方法

【課題】画像表示品質の低下を抑えつつ2ライン毎同値書込みを行う。
【解決手段】サブフィールドのそれぞれで画素それぞれの点灯・非点灯を制御して階調を表示する画像表示装置の駆動方法であって、サブフィールドのそれぞれの書込み期間において、1つのデータ電極を共有し連続して書込みを行う2つの画素からなる画素対の2つの画素に対して同一の書込み動作を行う2ライン毎同値書込み、または画素対の2つの画素に対して独立した書込み動作を行う1ライン毎独立書込みを行い、画素対のそれぞれに対して、画素対の2つの画素に対する画像信号の差分値の絶対値に最も近い階調重みを持つサブフィールドを、1ライン毎独立書込みを行うサブフィールドとして設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、点灯または非点灯の2値制御を組み合わせて階調を表示する表示デバイスを用いた画像表示装置およびその駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
点灯または非点灯の2値制御を行う表示デバイスとして代表的なプラズマディスプレイパネル(以下、「パネル」と略記する)は、1対の走査電極と維持電極とからなる表示電極対が複数形成された前面基板と、複数の平行なデータ電極が形成された背面基板とを対向配置し、その間に多数の放電セルが形成されている。そして放電セル内でガス放電により紫外線を発生させ、この紫外線で赤色、緑色および青色の各色の蛍光体を励起発光させる。
【0003】
点灯または非点灯の2値制御を組み合わせて階調を表示する方法としては、1フィールドを点灯輝度の異なる複数のサブフィールドに分割し、点灯させるサブフィールドの組み合わせによって所望の階調を表示する、いわゆるサブフィールド法が一般的である。各サブフィールドは書込み期間および維持期間を有する。書込み期間では点灯させる放電セルで書込み放電を発生し壁電荷を形成する。そして維持期間では、書込み放電を発生した放電セルで維持放電を発生させ、維持パルスの数に応じた輝度で点灯させる。
【0004】
プラズマディスプレイ装置は、入力した画像信号を、放電セルのサブフィールド毎の点灯・非点灯を示すサブフィールドコードに変換する画像信号処理回路を備えている。画像信号処理回路は、例えばROM等を用いた変換テーブルを用いて構成され、画像信号の1つの入力レベルに対して1つのサブフィールドコードが出力される。
【0005】
ところが、動画擬似輪郭を抑制するために実際に表示する階調を制限し、かつ滑らかな階調表示と両立させるために、制限する階調を画像信号に応じて切換える必要性が生じてきた。このような要望にこたえる方法として、例えば複数の変換テーブルを備え、映像信号の最小値および平均値からしきい値を算出し、このしきい値に基づき複数の変換テーブルの中から1つの変換テーブルを選択して、画像信号をサブフィールドコードに変換するプラズマディスプレイ装置が特許文献1に開示されている。
【0006】
またプラズマディスプレイ装置は、各電極を駆動するための電極駆動回路を備え、必要な駆動電圧波形をそれぞれの電極に印加する。この中で、データ電極駆動回路は画像信号に基づいて多数のデータ電極毎に独立に書込み動作のための書込みパルスを印加する必要があるので、通常は専用ICを用いて構成されている。データ電極駆動回路側からパネルを見ると、各データ電極は隣接するデータ電極、走査電極および維持電極との間の浮遊容量をもつ容量性の負荷である。したがって各データ電極に駆動電圧波形を印加するためにはこの容量を充放電しなければならず、そのための消費電力が必要となる。しかし、駆動回路をIC化するためにはデータ電極駆動回路の消費電力を極力小さく抑える必要があった。
【0007】
データ電極駆動回路の消費電力を抑える方法の1つとして、例えば特許文献2に記載されているように、2本の走査電極に同時に走査パルスを印加するとともにデータ電極に選択的に書込みパルスを印加する、いわゆる2ライン毎同値書込みがある。2ライン毎同値書込みを行うと、データ電極のそれぞれに印加する書込みパルスの数も半減するので、容量を充放電する回数も減少してデータ電極駆動回路の消費電力を抑えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2000−098959号公報
【特許文献2】特開2008−116894号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
近年は、パネルの大画面化、高精細度化、画像表示品質のさらなる向上とともに、多様な放送方式への対応、3Dディスプレイ表示等の多機能対応が求められている。これらの要請をみたすためには膨大な数の変換テーブルが必要となり、変換テーブルを用いて画像信号処理回路を構成することが現実的ではなくなってきた。あるいは、変換テーブルを用いて構成した画像信号処理回路では、これらの要望にこたえることが難しくなってきた。
【0010】
また2ライン毎同値書込みを行う駆動方法は、1フィールド期間内において隣接する走査電極2本分の画像データが同じになるので、垂直解像度の低下は避けられない。なかでも斜め線を表示する場合には、画像表示品質の低下が特に目につきやすいという課題があった。
【0011】
本発明はこれらの課題に鑑みなされたものであり、画像表示品質の低下を抑えつつ2ライン毎同値書込みを行うことでデータ電極駆動回路の電力を抑制した画像表示装置およびその駆動方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために本発明は、平行に配置された複数の走査電極と、走査電極と交差する方向に平行に配置された複数のデータ電極とを有し、走査電極とデータ電極の交点のそれぞれに画素が形成された画像表示デバイスを備え、画素で書込みを行う書込み期間と、定められた階調重みで画素を点灯させる維持期間とを有するサブフィールドを複数用いて1つのフィールドを構成し、サブフィールドのそれぞれで画素それぞれの点灯・非点灯を制御して階調を表示する画像表示装置の駆動方法であって、サブフィールドのそれぞれの書込み期間において、1つのデータ電極を共有し連続して書込みを行う2つの画素からなる画素対の2つの画素に対して同一の書込み動作を行う2ライン毎同値書込み、または画素対の2つの画素に対して独立した書込み動作を行う1ライン毎独立書込みを行い、画素対のそれぞれに対して、画素対の2つの画素に対する画像信号の差分値の絶対値に最も近い階調重みを持つサブフィールドを、1ライン毎独立書込みを行うサブフィールドとして設定することを特徴とする。この方法により、画像表示品質の低下を抑えつつ2ライン毎同値書込みを行うことでデータ電極駆動回路の電力を抑制した画像表示装置の駆動方法を提供することができる。
【0013】
また本発明の画像表示装置の駆動方法は、2ライン毎同値書込みを行うサブフィールドを用いて、画素対の2つの画素に対する画像信号の平均値から1ライン毎独立書込みを行うサブフィールドの階調重みの1/2を減算した階調を表示し、1ライン毎独立書込みを行うサブフィールドで、画素対の2つの画素の一方を点灯させて2つの画素に対する画像信号の差分値を表示してもよい。
【0014】
また本発明の画像表示装置の駆動方法は、最も大きい階調重みを持つサブフィールドの階調重みよりも差分値の絶対値が大きい場合には、最も大きい階調重みを持つサブフィールドとそれに連続する1以上のサブフィールドからなるサブフィールド群の階調重みの和が差分値の絶対値に最も近い値となるサブフィールド群のサブフィールドを1ライン毎独立書込みを行うサブフィールドとして設定してもよい。
【0015】
また本発明は、平行に配置された複数の走査電極と、走査電極と交差する方向に平行に配置された複数のデータ電極とを有し、走査電極とデータ電極の交点のそれぞれに画素が形成された画像表示デバイスと、画素で書込みを行う書込み期間と、定められた階調重みで画素を点灯させる維持期間とを有するサブフィールドを複数用いて1つのフィールドを構成し、サブフィールドそれぞれで画素それぞれの点灯・非点灯を制御して階調を表示する駆動回路とを備えた画像表示装置であって、駆動回路は、サブフィールドのそれぞれの書込み期間において、1つのデータ電極を共有し連続して書込みを行う2つの画素からなる画素対の2つの画素に対して同一の書込み動作を行う2ライン毎同値書込み、または画素対の2つの画素に対して独立した書込み動作を行う1ライン毎独立書込みを行い、画素対のそれぞれに対して、画素対の2つの画素に対する画像信号の差分値の絶対値に最も近い階調重みを持つサブフィールドを、1ライン毎独立書込みを行うサブフィールドとして設定することを特徴とする。この構成により、画像表示品質の低下を抑えつつ2ライン毎同値書込みを行うことでデータ電極駆動回路の電力を抑制した画像表示装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、画像表示品質の低下を抑えつつ2ライン毎同値書込みを行うことができるので、データ電極駆動回路の電力を抑制した画像表示装置およびその駆動方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態における画像表示装置のパネルの分解斜視図である。
【図2】同画像表示装置のパネルの電極配列図である。
【図3】同画像表示装置の駆動電圧波形図である。
【図4】サブフィールドコードセットの一例を示す模式図である。
【図5】同画像表示装置の基底コードセットの一例を示す図である。
【図6】同画像表示装置の回路ブロック図である。
【図7】同画像表示装置の画像信号処理回路のブロック図である。
【図8】同画像表示装置の差分表示用サブフィールドを示す図である。
【図9】同画像表示装置の削除済み基底コードセットの一例を示す図である。
【図10A】同画像表示装置の画像信号処理回路の動作説明図である。
【図10B】同画像表示装置の画像信号処理回路の動作説明図である。
【図10C】同画像表示装置の画像信号処理回路の動作説明図である。
【図10D】同画像表示装置の画像信号処理回路の動作説明図である。
【図10E】同画像表示装置の画像信号処理回路の動作説明図である。
【図10F】同画像表示装置の画像信号処理回路の動作説明図である。
【図10G】同画像表示装置の画像信号処理回路の動作説明図である。
【図11】同画像表示装置の平均コード作成部のブロック図である。
【図12A】同画像表示装置の中間コードセットの一例を示す図である。
【図12B】同画像表示装置の中間コードセットの一例を示す図である。
【図12C】同画像表示装置の中間コードセットの一例を示す図である。
【図13A】同画像表示装置のディザパターンの一例を示す図である。
【図13B】同画像表示装置のディザパターンの一例を示す図である。
【図14】同画像表示装置の誤差拡散部の誤差拡散係数を示す図である。
【図15】同画像表示装置の画像信号処理回路の動作を示すフローチャートである。
【図16】本発明の他の実施の形態における画像表示装置の差分表示用サブフィールドを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態における画像表示装置について、プラズマディスプレイパネルを用いたプラズマディスプレイ装置を例に、図面を用いて説明する。
【0019】
(実施の形態)
図1は、本発明の実施の形態における画像表示装置に用いるパネル10の分解斜視図である。ガラス製の前面基板11上には、走査電極12と維持電極13とからなる表示電極対14が複数形成されている。そして表示電極対14を覆うように誘電体層15が形成され、その誘電体層15上に保護層16が形成されている。背面基板21上にはデータ電極22が複数形成され、データ電極22を覆うように誘電体層23が形成され、さらにその上に井桁状の隔壁24が形成されている。そして、隔壁24の側面および誘電体層23上には赤色、緑色および青色の各色に点灯する蛍光体層25が設けられている。
【0020】
これら前面基板11と背面基板21とは、微小な放電空間を挟んで表示電極対14とデータ電極22とが交差するように対向配置され、その外周部をガラスフリット等の封着材によって封着されている。そして放電空間には、放電ガスとして、例えばネオンとキセノンとの混合ガスが封入されている。放電空間は隔壁24によって複数の区画に仕切られており、表示電極対14とデータ電極22とが交差する部分に放電セルが形成されている。ここで、赤の蛍光体を塗布された放電セルが赤の画素に対応し、緑の蛍光体を塗布された放電セルが緑の画素に対応し、青の蛍光体を塗布された放電セルが青の画素に対応する。そしてこれらの放電セルが点灯することにより画像が表示される。
【0021】
図2は、本発明の実施の形態における画像表示装置に用いるパネル10の電極配列図である。パネル10には、行方向(ライン方向)に長いn本の走査電極SC1〜SCn(図1の走査電極12)およびn本の維持電極SU1〜SUn(図1の維持電極13)が配列され、列方向に長いm本のデータ電極D1〜Dm(図1のデータ電極22)が配列されている。そして1対の走査電極SCi(i=1〜n)および維持電極SUiと1つのデータ電極Dj(j=1〜m)とが交差した部分に放電セルが形成され、放電セルは放電空間内にm×n個形成されている。こうして、行方向に長い走査電極と列方向に長いデータ電極との交差する部分のそれぞれに赤、緑、青のいずれかの色の画素が形成される。
【0022】
このように本実施の形態における画像表示デバイスであるパネル10は、平行に配置された複数の走査電極SC1〜SCnと、走査電極SC1〜SCnと交差する方向に平行に配置された複数のデータ電極D1〜Dmとを有し、走査電極SC1〜SCnとデータ電極D1〜Dmの交点のそれぞれに画素が形成されている。
【0023】
次に、パネル10を駆動するための駆動電圧波形とその動作について説明する。プラズマディスプレイ装置は、サブフィールド法、すなわち、初期化期間と、画素で書込みを行う書込み期間と、定められた階調重みで画素を点灯させる維持期間とを有するサブフィールドを複数用いて1つのフィールドを構成し、サブフィールドのそれぞれで画素それぞれの点灯・非点灯を制御して階調を表示する。
【0024】
初期化期間では初期化放電を発生し、続く書込み放電に必要な壁電荷を各電極上に形成する初期化動作を行う。書込み期間では、走査パルスを走査電極SC1〜SCnに印加するとともに画像信号に応じた書込みパルスをデータ電極D1〜Dmに印加して、点灯させる放電セルで書込み放電を発生し壁電荷を形成する書込み動作を行う。本実施の形態においては、1つのデータ電極を共有し連続して書込みを行う2つの放電セルに対して同一の書込み動作を行う2ライン毎同値書込みを行うか、またはそれぞれの放電セルで独立した書込み動作を行う1ライン毎独立書込みを行う。そして維持期間では、階調重みに応じた数の維持パルスを走査電極SC1〜SCnおよび維持電極SU1〜SUnに交互に印加して、書込み放電を発生した放電セルで維持放電を発生させて点灯させる。
【0025】
本実施の形態においては、8つのサブフィールド(SF1〜SF8)で1フィールドを構成し、サブフィールドのそれぞれは(1、2、3、5、8、13、21、34)の階調重みをもつとして説明する。またサブフィールドSF1は隣接する走査電極2本毎に同時に走査パルスを印加することにより2ライン毎同値書込みのみを行うサブフィールドであり、サブフィールドSF2〜SF8は走査電極1本毎に走査パルスを印加し、データ電極に印加する書込みパルスにより2ライン毎同値書込みおよび1ライン毎独立書込みのいずれかを行うサブフィールドであるとして説明する。しかし本発明は上述のサブフィールド構成に限定するものではない。
【0026】
図3は、本発明の実施の形態における画像表示装置のパネル10の各電極に印加する駆動電圧波形図であり、サブフィールドSF1〜SF4までの駆動電圧波形を示している。
【0027】
サブフィールドSF1の初期化期間Tiの前半部では、データ電極D1〜Dmに電圧0(V)を印加し、維持電極SU1〜SUnに電圧0(V)を印加し、走査電極SC1〜SCnには電圧Vi1から電圧Vi2に向かって緩やかに上昇する傾斜波形電圧を印加する。初期化期間Tiの後半部では、維持電極SU1〜SUnに電圧Veを印加し、走査電極SC1〜SCnには電圧Vi3から電圧Vi4に向かって緩やかに下降する傾斜波形電圧を印加する。この間に、走査電極SC1〜SCnと維持電極SU1〜SUn、データ電極D1〜Dmとの間でそれぞれ微弱な初期化放電が起こる。そして、走査電極SC1〜SCn上の負の壁電圧および維持電極SU1〜SUn上の正の壁電圧が弱められ、データ電極D1〜Dm上の正の壁電圧は書込み動作に適した値に調整される。なお、電極上の壁電圧とは電極を覆う誘電体層上、保護層上、蛍光体層上等に蓄積された壁電荷により生じる電圧を表す。以上により、全ての放電セルに対して初期化放電を発生させる。
【0028】
サブフィールドSF1の書込み期間Twでは、維持電極SU1〜SUnに電圧Veを印加し、走査電極SC1〜SCnには電圧Vcを印加する。
【0029】
次に、1ライン目の走査電極SC1および2ライン目の走査電極SC2に同時に負の電圧Vaの走査パルスを印加する。さらに1ライン目および2ライン目に点灯させる放電セルのデータ電極Dk(k=1〜m)のそれぞれに正の電圧Vdの書込みパルスを印加する。すると書込みパルスを印加した放電セルで書込み放電が起こり、走査電極SC1上および走査電極SC2上に正の壁電圧が蓄積され、維持電極SU1上および維持電極SU2上に負の壁電圧が蓄積され、データ電極Dk上にも負の壁電圧が蓄積される。こうして、1ライン目および2ライン目に点灯させる放電セルで同時に書込み放電を起こして各電極上に壁電圧を蓄積する書込み動作が行われる。一方、書込みパルスを印加しなかった1ライン目および2ライン目の放電セルでは書込み放電は発生しない。
【0030】
次に、3ライン目の走査電極SC3および4ライン目の走査電極SC4に同時に走査パルスを印加するとともにデータ電極D1〜Dmのうち3ライン目および4ライン目に点灯させる放電セルのデータ電極Dkのそれぞれに書込みパルスを印加する。すると3ライン目および4ライン目に点灯させる放電セルで書込みが行われる。
【0031】
以下、順次、奇数ライン目の走査電極SCp(p=奇数)とその次の偶数ライン目の走査電極SCp+1とに同時に走査パルスを印加して書込みを行い、走査電極SCnに至るまで同様に書込みを行う。
【0032】
このようにサブフィールドSF1の書込み期間Twでは、データ電極Dkを共有するpライン目の放電セルとp+1番目の放電セルとに同時に走査パルスが印加されるので、必ず2ライン毎同値書込みを行うことになる。
【0033】
なお上述の説明では、奇数ライン目の走査電極SCpとその次の偶数ライン目の走査電極SCp+1とが2ライン毎同値書込みを行うフィールドについて説明したが、偶数ライン目の走査電極SCp−1とその次の奇数ライン目の走査電極SCpとが2ライン毎同値書込みを行うフィールドも同様である。そして本実施の形態においては、2ライン毎同値書込みを行うラインの組み合わせが異なる2つのフィールドを交互に配置している。
【0034】
続く維持期間Tsでは、走査電極SC1〜SCnに電圧Vsの維持パルスを印加するとともに維持電極SU1〜SUnに電圧0(V)を印加する。すると書込み放電を起こした放電セルでは維持放電が起こり、このとき発生した紫外線により蛍光体層25が発光する。そして走査電極SCi上に負の壁電圧が蓄積され、維持電極SUi上に正の壁電圧が蓄積される。さらにデータ電極Dk上にも正の壁電圧が蓄積される。ただし書込み期間において書込み放電が起きなかった放電セルでは維持放電は発生せず、初期化期間の終了時における壁電圧が保たれる。次に、走査電極SC1〜SCnに電圧0(V)を印加するとともに維持電極SU1〜SUnに電圧Vsの維持パルスを印加する。すると維持放電を起こした放電セルでは再び維持放電が起こり、維持電極SUi上に負の壁電圧が蓄積され走査電極SCi上に正の壁電圧が蓄積される。以降同様に、階調重みに応じた数の維持パルスを走査電極SC1〜SCnと維持電極SU1〜SUnとに交互に印加し、書込み期間において書込み放電を起こした放電セルで維持放電を継続して発生させて放電セルを点灯させる。
【0035】
そして、維持期間の最後には電圧Vrに向かって緩やかに上昇する傾斜波形電圧を走査電極SC1〜SCnに印加して、データ電極Dk上の正の壁電圧を残したまま、走査電極SCi上および維持電極SUi上の壁電圧を弱める。
【0036】
サブフィールドSF2の初期化期間Tiでは、維持電極SU1〜SUnに電圧Veを、データ電極D1〜Dmに電圧0(V)をそれぞれ印加し、走査電極SC1〜SCnには電圧Vi4に向かって緩やかに下降する傾斜波形電圧を印加する。すると直前のサブフィールドSF1で維持放電を起こした放電セルでは微弱な初期化放電が発生し、走査電極SCi上および維持電極SUi上の壁電圧が弱められる。またデータ電極Dkに対しては、直前の維持放電によって蓄積された過剰な壁電荷が放電され、書込み動作に適した壁電圧に調整される。一方、直前のサブフィールドで維持放電を起こさなかった放電セルについては初期化放電は発生せず、それ以前の壁電圧が保たれる。
【0037】
サブフィールドSF2の書込み期間Twでは、維持電極SU1〜SUnに電圧Veを印加し、走査電極SC1〜SCnには電圧Vcを印加する。
【0038】
次に、1ライン目の走査電極SC1に負の電圧Vaの走査パルスを印加する。そして、データ電極D1〜Dmのうち1ライン目に点灯させる放電セルのデータ電極Dkに正の電圧Vdの書込みパルスを印加する。すると書込みパルスを印加した放電セルで書込み放電が起こり、走査電極SC1上に正の壁電圧が蓄積され、維持電極SU1上に負の壁電圧が蓄積され、データ電極Dk上にも負の壁電圧が蓄積される。このようにして、1ライン目に点灯させる放電セルで書込み放電を起こして各電極上に壁電圧を蓄積する書込みが行われる。一方、書込みパルスを印加しなかった1ライン目の放電セルでは書込み放電は発生しない。
【0039】
次に、2ライン目の走査電極SC2に走査パルスを印加するとともにデータ電極D1〜Dmのうち2ライン目に点灯させる放電セルのデータ電極Dkに書込みパルスを印加する。すると2ライン目に点灯させる放電セルで書込み放電が発生する。以下同様に、走査電極SC3〜SCnに走査パルスを順次印加して、走査電極SCnに至るまで書込みを行う。
【0040】
このようにサブフィールドSF2の書込み期間Twにおいては1ライン毎に書込みを行う。そのため、データ電極Dkを共有するpライン目の放電セルとp+1番目の放電セルとに同じ書込みパルスを印加することで2ライン毎同値書込みを行うことができる。また上記2つの放電セルに独立した書込みパルスを印加することで1ライン毎独立書込みを行うことができる。
【0041】
サブフィールドSF2の維持期間Tsの動作は、維持パルスの数を除いてサブフィールドSF1の維持期間の動作と同様であるため説明を省略する。
【0042】
サブフィールドSF3の初期化期間Tiでは、サブフィールドSF2の初期化期間Tiと同様の初期化動作を行う。続く書込み期間Twでは、サブフィールドSF2と同様に、2ライン毎同値書込みおよび1ライン毎独立書込みのいずれかを行う。続く維持期間Tsの動作は、維持パルスの数を除いてサブフィールドSF1、SF2の維持期間の動作と同様である。
【0043】
サブフィールドSF4〜SF8の動作も維持パルスの数を除いてサブフィールドSF3と同様であり、書込み期間Twでは2ライン毎同値書込みまたは1ライン毎独立書込みを行う。
【0044】
このように、サブフィールドのそれぞれの書込み期間において、1つのデータ電極を共有し連続して書込みを行う2つの画素からなる画素対の2つの画素に対して同一の書込み動作を行う2ライン毎同値書込み、または画素対の2つの画素に対して独立した書込み動作を行う1ライン毎独立書込みを行う。
【0045】
なお、本実施の形態において各電極に印加する電圧値は、例えば、電圧Vi1=150(V)、電圧Vi2=340(V)、電圧Vi3=190(V)、電圧Vi4=−160(V)、電圧Va=−180(V)、電圧Vc=−30(V)、電圧Vs=190(V)、電圧Vr=190(V)、電圧Ve=120(V)、電圧Vd=60(V)である。ただしこれらの電圧値は、単に一例を挙げたに過ぎず、パネル10の特性やプラズマディスプレイ装置の仕様等に合わせて、適宜最適な値に設定することが望ましい。
【0046】
次に階調の表示方法について説明する。サブフィールド法においては、1フィールド期間をあらかじめ階調重みの定められた複数のサブフィールドで構成し、放電セルを点灯させるサブフィールドの組合せにより階調を表示している。以下、サブフィールドのそれぞれの点灯または非点灯の組合せを「サブフィールドコード」または単に「コード」と呼び、複数のサブフィールドコードの集合を「コードセット」と呼ぶ。
【0047】
なお説明を簡単にするために、黒を表示したときの階調を「0」とし、階調重み「N」に対応する階調を「N」と表記する。また画像信号の値は表示したい階調に等しいとして説明する。
【0048】
図4は、1フィールド期間を8個のサブフィールドで構成した場合のコードセットの一例を示す図である。ここで最も左の列に示した数値は階調を示し、その右側にはその階調を表示する際に各サブフィールドで放電セルを点灯させるか否か、すなわちサブフィールドコードを示している。ここで空欄「 」は非点灯、「1」は点灯を示す。例えば図4において、階調「2」を表示するためには、サブフィールドSF2でのみ放電セルを点灯させればよく、この場合のサブフィールドコードは「01000000」である。また階調「14」を表示するためには、サブフィールドSF1、SF2、SF3およびSF5で放電セルを点灯させればよく、この場合のサブフィールドコードは「11101000」である。
【0049】
画像を表示するためには、入力した画像信号をサブフィールドコードに変換しなければならないが、本実施の形態においては画像信号からサブフィールドコードへの変換を、変換テーブルを用いるのではなく、以下に説明する基底コードに論理計算を施すことにより実行している。
【0050】
基底コードとは、点灯するサブフィールドのうち最も階調重みの大きいサブフィールドの階調重みよりも小さい階調をもつ全てのサブフィールドが点灯するサブフィールドとなるコードである。基底コードはサブフィールドコードの基本となるコードであって、階調重みの小さいサブフィールドから順にひとつずつまたは2つずつ点灯させて生成したコードである。またこのようにして生成したコードセットを基底コードセットと呼ぶ。
【0051】
図5は、本発明の実施の形態における画像表示装置の基底コードセットを示す図であり、NTSC規格で用いられることが多い基底コードセットの一例である。図5に示した基底コードセットは、階調重みの小さいサブフィールドを先頭に、階調重みが順次大きくなるように8個のサブフィールドを配列し、階調重みの小さいサブフィールドから順にひとつずつ点灯させて生成したコードセットである。したがってこの基底コードセットに含まれる基底コードの数は、(1フィールドを構成するサブフィールドの数+1)である。
【0052】
図6は、本発明の実施の形態における画像表示装置30の回路ブロック図である。画像表示装置30は、パネル10、画像信号処理回路31、データ電極駆動回路32、走査電極駆動回路33、維持電極駆動回路34、タイミング発生回路35および各回路ブロックに必要な電源を供給する電源回路(図示せず)を備えている。
【0053】
画像信号処理回路31は、画像信号を入力し、階調を表示するためのサブフィールドコードである表示コードを出力する。
【0054】
データ電極駆動回路32は、m本のデータ電極D1〜Dmのそれぞれに書込みパルス電圧Vdまたは0(V)を印加するためのm個のスイッチ回路32(1)〜32(m)を備えている。そして画像信号処理回路31から出力されたサブフィールドコードをデータ電極D1〜Dmのそれぞれに対応する書込みパルスに変換し、データ電極22のそれぞれに印加する。
【0055】
ここで、データ電極駆動回路32は、複数個の専用ICを用いて構成されている。このように多数のデータ電極を駆動する駆動回路をIC化することにより回路をコンパクトにまとめることができ、実装面積も小さくなりコストも下げることができる。しかし専用ICの許容電力損失には制限があるので、データ電極駆動回路32の消費電力がこの制限を超えないように抑制しなければならない。
【0056】
タイミング発生回路35は水平同期信号、垂直同期信号に基づき、各回路ブロックの動作を制御する各種のタイミング信号を発生し、それぞれの回路ブロックへ供給する。走査電極駆動回路33は、タイミング信号に基づき図3に示した駆動電圧波形を作成し、走査電極SC1〜SCnのそれぞれに印加する。維持電極駆動回路34は、タイミング信号に基づき図3に示した駆動電圧波形を作成し、維持電極SU1〜SUnのそれぞれに印加する。
【0057】
図7は、本発明の実施の形態における画像表示装置30の画像信号処理回路31のブロック図である。画像信号処理回路31は、1H遅延部41、1H遅延部42、2ライン選択部44、2ライン平均部46、2ライン差分部48、基底コードセット記憶部50、差分サブフィールド設定部(以下、「差分SF設定部」と略記する)51、サブフィールド削除部(以下、「SF削除部」と略記する)52、減算部53、平均コード作成部54、差分コード作成部56、表示コード合成部58を有する。
【0058】
1H遅延部41、42のそれぞれは、画像信号を1ライン分遅延する。したがって、1H遅延部41は画像信号処理回路31に入力した画像信号を1ライン分遅延した画像信号を出力し、1H遅延部42は2ライン分遅延した画像信号を出力する。そのため入力した画像信号を(p+1)ライン目の画素の画像信号とすると、1H遅延部41から出力される画像信号はpライン目の画素の画像信号であり、1H遅延部42から出力される画像信号は(p−1)ライン目の画素の画像信号である。
【0059】
2ライン選択部44は、(p−1)ライン目の画像信号およびpライン目の画像信号を選択するか、またはpライン目の画像信号および(p+1)ライン目の画像信号を選択する。そして本実施の形態においては、選択する画像信号の組み合わせをフィールド毎に切換えている。以下では、2ライン選択部44はpライン目の画像信号および(p+1)ライン目の画像信号を選択するとして説明するが、(p−1)ライン目の画像信号およびpライン目の画像信号を選択する場合も同様である。
【0060】
2ライン平均部46は、列方向に隣接しかつ2ライン毎同値書込みを行う1対の画素に対応する画像信号の平均値を算出し、平均画像信号として出力する。以下の説明では、pライン目の画素の画像信号と(p+1)ライン目の画素の画像信号との平均画像信号を出力する。
【0061】
2ライン差分部48は、列方向に隣接しかつ2ライン毎同値書込みを行う1対の画素に対応する画像信号の差分値を算出し、差分画像信号として出力する。以下の説明では、pライン目の画素の画像信号から(p+1)ライン目の画素の画像信号を減じた値を差分画像信号として出力する。
【0062】
基底コードセット記憶部50は、図5に示した基底コードセットと、それに含まれる各基底コードの表示する階調と、各サブフィールドの階調重みとを記憶している。
【0063】
差分SF設定部51は、差分画像信号の絶対値(以下、「差分絶対値」と略記する)と各サブフィールドの階調重みとを比較する。そして差分絶対値に最も近い階調重みを持つサブフィールドを1つ選択し、差分画像信号を表示するための差分表示用サブフィールドとして設定する。このように差分SF設定部51は、画素対のそれぞれに対して、画素対の2つの画素に対する画像信号の差分値の絶対値に最も近い階調重みを持つサブフィールドを、1ライン毎独立書込みを行うサブフィールドとして設定する。なお後述するように、差分表示用サブフィールド以外のサブフィールドは、平均画像信号を表示するためのサブフィールドとして用いられる。
【0064】
図8は、本発明の実施の形態における画像表示装置30の差分SF設定部51の設定する差分表示用サブフィールドを示す図である。ここで最も左の列に示した数値は差分絶対値を示し、その右側の「A」は2ライン毎同値書込みを行う平均画像信号表示用のサブフィールドを示し、「D」は1ライン毎独立書込みを行う差分表示用サブフィールドを示している。本実施の形態においては図3に示したように、サブフィールドSF1の書込み期間Twではデータ電極Dkを共有するpライン目の放電セルとp+1番目の放電セルとに同時に走査パルスが印加される。そのためサブフィールドSF1を差分表示用サブフィールドに設定することはできない。
【0065】
SF削除部52は、基底コードセットから差分表示用サブフィールドを削除したコードセット、すなわち全ての基底コードの差分表示用サブフィールドを「0」に置き換えた基底コードセットを作成する。以下、差分表示用サブフィールドを削除した基底コードおよび基底コードセットを、それぞれ削除済み基底コードおよび削除済み基底コードセットと呼称する。図9は、本発明の実施の形態における画像表示装置30の削除済み基底コードセットの一例であり、差分表示用サブフィールドがサブフィールドSF7の場合の削除済み基底コードセットを示している。
【0066】
減算部53は、差分表示用サブフィールドの階調重みの1/2を平均画像信号から減じる。そしてその値をpライン目および(p+1)ライン目の画素の画像信号として出力する。また差分SF設定部51が差分表示用サブフィールドを設定しなかった場合には画像信号の平均値をそのままpライン目および(p+1)ライン目の画素の画像信号として出力する。ここで差分表示用サブフィールドの階調重みの1/2を平均画像信号から減じた値が負の値にならないように、また差分表示用サブフィールドの階調重みの1/2を平均画像信号に加算した値が表示可能な最大の階調を超えないように、差分表示用サブフィールドが設定されていることが望ましい。
【0067】
平均コード作成部54は、削除済み基底コードセットを用いて、減算部53から出力される画像信号をサブフィールドコードに変換する。例えば差分表示用サブフィールドがサブフィールドSF7であれば、平均コード作成部54から出力されるサブフィールドコードは「XXXXXX0X」である。ただし「0」は非点灯を示し、「X」は点灯および非点灯のいずれかを示す。
【0068】
こうして平均コード作成部54は、2ライン毎同値書込みを行うサブフィールドを用いて、画素対の2つの画素に対する画像信号の平均値から1ライン毎独立書込みを行うサブフィールドの階調重みの1/2を減算した階調を表示するためのサブフィールドコードを作成する。
【0069】
差分コード作成部56は、差分表示用サブフィールドに対するサブフィールドコードを差分画像信号の符号に基づき作成する。例えば差分表示用サブフィールドがサブフィールドSF7であり差分画像信号の符号が正符号であれば、差分コード作成部56はpライン目の画素の画像信号に対してサブフィールドSF7を点灯とするサブフィールドコード「−−−−−−1−」を作成し、(p+1)ライン目の画素の画像信号に対してサブフィールドSF7を非点灯とするサブフィールドコード「−−−−−−0−」を作成する。ここで「−」は差分表示用サブフィールド以外のサブフィールドに対応するビットを示す。また差分表示用サブフィールドがサブフィールドSF7であり差分画像信号の符号が負符号であれば、差分コード作成部56はpライン目の画素の画像信号に対してサブフィールドSF7を非点灯とするサブフィールドコード「−−−−−−0−」を出力し、(p+1)ライン目の画素の画像信号に対してサブフィールドSF7を点灯するサブフィールドコード「−−−−−−1−」を出力する。
【0070】
こうして差分コード作成部56は、1ライン毎独立書込みを行うサブフィールドで、画素対の2つの画素の一方を点灯させて、2つの画素に対する画像信号の差分値を表示するためのサブフィールドコードを作成する。
【0071】
なお、平均コード作成部54の出力と差分コード作成部56の出力とを合成する際に論理和を用いることを見越して、差分コード作成部56は、「−」に対応するビットを「0」に置き換えて出力する。
【0072】
表示コード合成部58は、平均コード作成部54が変換したサブフィールドコードと差分コード作成部56が作成したサブフィールドコードとを合成して表示コードを作成する。
【0073】
本実施の形態においては、表示コード合成部58は、平均コード作成部54から出力されるpライン目の画素のサブフィールドコードと差分コード作成部56から出力されるpライン目の画素のサブフィールドコードとの論理和を実際の画像表示に用いるpライン目の画素の表示コードとして出力する。また、平均コード作成部54から出力される(p+1)ライン目の画素のサブフィールドコードと差分コード作成部56から出力される(p+1)ライン目の画素のサブフィールドコードとの論理和を実際の画像表示に用いる(p+1)ライン目の画素の表示コードとして出力する。
【0074】
次に画像信号処理回路31の動作について説明する。図10A〜図10Gは、本発明の実施の形態における画像表示装置の画像信号処理回路31の動作を説明するための図である。以下では画像信号の一例として、図10Aに示した斜め線を表示する画像信号を入力した場合について説明する。
【0075】
仮に全てのサブフィールドで2ライン毎同値書込みを行ったと仮定すると、図10Bに示したように粗い階段状の線として表示されることになり、垂直解像度が大幅に低下する。また図10Aに示した斜め線よりも線幅の細い斜め線に対しては点線として表示される。また細い水平線であれば表示されなくなることもある。これは、2ライン毎同値書込みを行う場合に、一方のライン(図10Bでは奇数ライン)の情報のみを表示し、他方のライン(図10Bでは偶数ライン)の情報が表示されないために発生する。
【0076】
2ライン平均部46は、このような情報の欠落を防ぐために設けられている。pライン目の画素の画像信号と(p+1)ライン目の画素の画像信号との平均値を算出し、それらをpライン目および(p+1)ライン目の画素の画像信号とすると、図10Cに示したように情報の欠落を防ぐことはできる。しかしこのままでは垂直解像度の不足は改善されない。
【0077】
本実施の形態においては垂直解像度の不足を補うために、差分画像信号にもとづき差分表示用サブフィールドを1つ設定し、この差分表示用サブフィールドで1ライン毎独立書込みを行う。そしてそれ以外のサブフィールドで2ライン毎同値書込みを行う。
【0078】
図10Eは、差分画像信号の符号を示している。そして差分コード作成部56は差分表示用サブフィールドにおいて、図10Eで「+」と示した画素で点灯、「−」と示した画素で非点灯とするサブフィールドコードを作成する。その結果、差分表示用サブフィールドが設定された画素では、差分表示用サブフィールドにおいて図10Fに示した画像が表示される。
【0079】
図10Fに示した画像を後で合成することを見越して、減算部53で、差分表示用サブフィールドが設定された画素の平均画像信号から差分表示用サブフィールドの階調重みの1/2を減じる。その結果、差分表示用サブフィールド以外のサブフィールドで、図10Dに示した画像が表示される。
【0080】
したがって、平均コード作成部54から出力されるサブフィールドコードと差分コード作成部56から出力されるサブフィールドコードとを合成することにより、図10Gに示したように、もとの画像信号の垂直解像度を大きく損なうことなく、斜め線を表示することができる。
【0081】
このようにして、差分表示用サブフィールドを用いて垂直解像度の低下を抑制しつつ、差分表示用サブフィールド以外のサブフィールドで2ライン毎同値書込みを行うことができるので、データ電極駆動回路の電力を抑制することができる。
【0082】
次に、平均コード作成部54の構成について詳細に説明する。
【0083】
図11は、本発明の実施の形態における画像表示装置30の平均コード作成部54のブロック図である。平均コード作成部54は、属性検出部62、基底コード選択部64、ルール生成部66、上下コード生成部70、出力コード選択部80を有する。
【0084】
属性検出部62は、画像信号とそれを表示する画素の位置との関係を特定するとともに、各画素に対応する画像信号の時間微分、空間微分等に基づき、動画領域・静止画領域の検出、明るさが変化する画像の輪郭部の検出等を行う。そしてそれらを各画素に対応する画像信号の属性として出力する。
【0085】
基底コード選択部64は、平均コード作成部54に入力した画像信号の階調(以下、「入力階調」と呼称する)と削除済み基底コードそれぞれの階調とを比較し、入力階調を超えかつ最も近い階調をもつ削除済み基底コードを上階調基底コードとして出力する。
【0086】
ルール生成部66は、画像信号の属性に基づき上階調基底コードに非点灯サブフィールドを追加して新たにサブフィールドコードを生成するためのルールを生成する。しかし無制限に非点灯サブフィールドを追加することはできない。例えば全てのサブフィールドを非点灯サブフィールドとして生成されたコードの階調は「0」となるが、このようなルールは許されない。また階調重みの大きいサブフィールドに多くの非点灯サブフィールドを追加することはできない。
【0087】
ルール生成部66で生成が許されるルールは、上階調基底コードの階調より小さく、かつ最も近い階調をもつ削除済み基底コードの階調(下階調基底コード)以上の階調をもつコードを生成するルールである。ルール生成部66で生成されるルールは、詳細は後述するが、1つめに追加する非点灯サブフィールドに関するルール、2つめに追加する非点灯サブフィールドに関するルール、非点灯を禁止するサブフィールドに関するルールで記述される。
【0088】
上下コード生成部70は、基底コード選択部64で選択した上階調基底コードにルール生成部66で生成したルールを適用して、入力階調より大きくかつ最も近い階調をもつ上階調コード、および入力階調以下でかつ最も近い階調をもつ下階調コードを生成する。
【0089】
本実施の形態においては、上下コード生成部70は、中間コード生成部72と、上下コード選択部74とを有する。
【0090】
中間コード生成部72は、上階調基底コードにルール生成部66で生成したルールを適用して画像表示に使用するコードを生成する。こうして生成されたコードを「中間コード」と呼称する。また中間コードにもとの上階調基底コードを加えたコードセットを「中間コードセット」と称する。
【0091】
図12A〜図12Cは、本発明の実施の形態における画像表示装置のルールにより生成される中間コードセットの一例を示す図である。図12Aは、1つめに追加する非点灯サブフィールドに関するルール「非点灯サブフィールドを1つ追加する」というルールを削除済み基底コード「11111000」に適用して生成した中間コードセットを示す図である。この例では基底コードに5つの点灯サブフィールドSF1〜SF5が存在するので、このうちの1つを非点灯サブフィールドに変更することにより5個の中間コードが得られる。ただし中間コード「11110000」は削除済み基底コードに等しく、それ以外の4個のコードが新たに生成された中間コードである。
【0092】
図12Bは、1つめに追加する非点灯サブフィールドに関するルール「非点灯サブフィールドを1つ追加する」に加えて、2つめに追加する非点灯サブフィールドに関するルール「新たに生成された中間コードのうちで階調の最も小さいコードのサブフィールドSF2に非点灯サブフィールドを追加する」というルールを、削除済み基底コード「11111000」に適用して生成した中間コードセットを示す図である。この例では5個の中間コードが新たに生成される。
【0093】
図12Cは、1つめに追加する非点灯サブフィールドに関するルール「非点灯サブフィールドを1つ追加する」に加えて、非点灯を禁止するサブフィールドに関するルール、「サブフィールドSF1、SF2の非点灯を禁止する」というルールを削除済み基底コード「11111000」に適用して生成した中間コードセットを示す図である。この例では2個の中間コードが新たに生成される。
【0094】
このように中間コード生成部72は、基底コード選択部64が生成した上階調基底コードにルール生成部66で生成されたルールを適用して中間コードセットを生成する。
【0095】
上下コード選択部74は、中間コード生成部72で生成した中間コードセットに含まれるコードそれぞれの階調と入力階調とを比較して、入力階調より大きくかつ最も近い階調をもつコードを上階調コードとして選択し出力する。また入力階調以下でかつ最も近い階調をもつコードを下階調コードとして選択し出力する。
【0096】
出力コード選択部80は、入力階調に、誤差およびディザ成分を加算して表示すべき階調を求め、上階調コードおよび下階調コードのうち表示すべき階調に近い階調重みをもつコードを選択する。加えて、その差を誤差として周辺画素に拡散する。
【0097】
出力コード選択部80は、ディザ選択部82と、誤差拡散部84と、出力コード決定部86とを有する。
【0098】
ディザ選択部82は、画像信号およびその属性に基づき、記憶している複数のディザパターンの中から1つのディザパターンを選択する。また対応する画像信号の画素の位置に基づき、選択したディザパターンの対応するディザ要素を選択して出力し、さらに選択したディザ要素に上階調コードの階調と下階調コードの階調との差を乗じてディザ値を求める。ただし本実施の形態においては、差分表示用サブフィールドで2ライン毎同値書込みを行う1対の画素を画素対と定義すると、1つの画素対に含まれる2つの画素には同一のディザ要素が付与されている。
【0099】
図13A、図13Bは、本発明の実施の形態における画像表示装置で使用するディザパターンの一例を示す図である。図13Aは、最も単純な2値ディザを示す図であり、ディザ要素「+0.25」と「−0.25」とが画素対に対して市松状に配列されている。また図13Bは、4値ディザの一例を示す図であり、行方向2画素×列方向2画素対のブロックのそれぞれにディザ要素「+0.375」、「+0.125」、「−0.375」、「−0.125」が配列されている。
【0100】
誤差拡散部84は、対応する画素に加算するための誤差を出力コード決定部86に出力すると共に、出力コード決定部86から出力される誤差を周辺画素に拡散する。ここでも、1つの画素対に含まれる2つの画素には同一の誤差を拡散する。
【0101】
図14は、本発明の実施の形態における画像表示装置における誤差拡散部84の誤差拡散係数を示す図である。行方向を左右方向とし列方向を上下方向とすると、図14の中心に示した画素対(注目画素対)には、左上の画素対で発生した誤差に係数k1をかけた値が拡散され、上の画素対で発生した誤差に係数k2をかけた値が拡散され、右上の画素対で発生した誤差に係数k3をかけた値が拡散され、左の画素対で発生した誤差に係数k4をかけた値が拡散される。また注目画素対で発生した誤差に係数k4をかけた値を右の画素対に拡散し、注目画素対で発生した誤差に係数k3をかけた値を左下の画素対に拡散し、注目画素対で発生した誤差に係数k2をかけた値を下の画素対に拡散し、注目画素対で発生した誤差に係数k1をかけた値を右下の画素対に拡散する。
【0102】
本実施の形態においては、各係数の値を、k1=1/16、k2=4/16、k3=3/16、k4=8/16と設定するか、または、k1=3/16、k2=4/16、k3=1/16、k4=8/16と設定する。何れの値に設定するかは乱数を用いて決定している。
【0103】
出力コード決定部86は、入力階調と、ディザ選択部82から出力されたディザ値と、誤差拡散部84から出力された誤差とに基づき、出力するサブフィールドコードを上階調コードおよび下階調コードのいずれかに決定する。
【0104】
本実施の形態においては、入力階調とディザ値と誤差とを加算して表示すべき階調を算出する。そして上階調コードおよび下階調コードのうち、表示すべき階調に近いほうのコードを出力するサブフィールドコードとして選択する。このとき表示すべき階調と選択したサブフィールドコードの階調との差を求め、新たに発生した誤差として誤差拡散部84に出力する。
【0105】
次に、画像信号処理回路31の動作について説明する。図15は、本発明の実施の形態における画像表示装置の画像信号処理回路31の動作を示すフローチャートである。
【0106】
(ステップS46)2ライン平均部46は、pライン目の画素の画像信号と(p+1)ライン目の画素の画像信号との平均値を算出し、pライン目および(p+1)ライン目の平均画像信号として出力する。
【0107】
例えばpライン目の画素の画像信号の階調値が「15」であり、(p+1)ライン目の画素の画像信号の階調値が「37」であれば、2ライン平均部46は平均画像信号の階調値「26」を出力する。
【0108】
(ステップS48)2ライン差分部48は、pライン目の画素の画像信号から(p+1)ライン目の画素の画像信号を減じて差分画像信号を求める。例えばpライン目の画素の画像信号が「15」であり、(p+1)ライン目の画素の画像信号が「37」であれば、2ライン差分部48は差分画像信号「−22」を出力する。
【0109】
(ステップS51)差分SF設定部51は、差分絶対値と各サブフィールドの階調重みとを比較する。そして差分絶対値に最も近い階調重みを持つサブフィールドを差分表示用サブフィールドとして設定する。例えば差分絶対値が「22」であれば、差分SF設定部51はサブフィールドSF7を差分表示用サブフィールドとして設定する。
【0110】
(ステップS52)SF削除部52は、削除済み基底コードセットを作成する。例えば、差分表示用サブフィールドがサブフィールドSF7であれば、削除済み基底コードセットは、図9に示したように、全ての基底コードのサブフィールドSF7を「0」に置き換えたコードセットを削除済み基底コードセットとして作成する。
【0111】
(ステップS53)減算部53は、平均画像信号から差分表示用サブフィールドの階調重みの1/2を減じた値を出力する。例えば、平均画像信号が「26」であり、差分表示用サブフィールドの階調重みが「21」であれば、減算部53はpライン目および(p+1)ライン目の画像信号の階調値として「15.5」を出力する。
【0112】
(ステップS62)平均コード作成部54の属性検出部62が、減算部53から出力されるpライン目および(p+1)ライン目の画素の画像信号を入力し、その画像信号に付随する属性を検出する。
【0113】
(ステップS64)平均コード作成部54の基底コード選択部64が、入力した画像信号に対する上階調基底コードを選択する。例えば、入力階調が「15.5」であれば、基底コード選択部64は削除済み基底コードセットの中から階調「19」をもつ削除済み基底コード「11111000」を上階調基底コードとして選択する。
【0114】
(ステップS66)平均コード作成部54のルール生成部66が中間コードセット生成のためのルールを生成する。本実施の形態においては、ルール生成部66は、「非点灯サブフィールドを1つ追加する」という基本的なルールに加えて、「サブフィールドSF1、SF2の非点灯を禁止する」というルールを追加するとして説明する。
【0115】
(ステップS72)平均コード作成部54の中間コード生成部72は、ルール生成部66が生成したルールに従って中間コードセットを生成する。
【0116】
例えば、上階調基底コード「11111000」に対して、「サブフィールドSF3〜SF5を非点灯サブフィールドに置き換える」というルールを適用すると、中間コード生成部72は、図12Cに示した3つの中間コード「11110000」、「11101000」、「11011000」を生成する。
【0117】
(ステップS74)平均コード作成部54の上下コード選択部74が、中間コードセットの各コードの階調と入力階調とを比較する。そして入力階調よりも大きくかつ最も近い階調をもつコードおよび入力階調以下であってかつ最も近い階調をもつコードを、それぞれ上階調コードおよび下階調コードとして選択する。
【0118】
例えば入力階調が「15.5」であれば、上下コード選択部74は、図12Cに示した中間コードセットの中から、階調「16」をもつコード「11011000」を上階調コードとして選択し、階調「14」をもつコード「11101000」を下階調コードとして選択する。
【0119】
(ステップS82)平均コード作成部54のディザ選択部82がディザ要素を選択し、選択したディザ要素に、上階調コードの階調と下階調コードの階調との差を乗じてディザ値を算出する。例えばディザ選択部82は、図13Aに示した2値ディザパターンの、対応する画素対の位置によりディザ要素「0.25」を選択したとする。すると、ディザ要素「0.25」に上階調コードの階調と下階調コードの階調との差「2」を乗じてディザ値「0.5」を出力する。
【0120】
(ステップS86)平均コード作成部54の出力コード決定部86が、入力階調にディザ値を加算し、さらに誤差拡散部84から出力された誤差を加算して、対応する画素対で表示すべき階調を算出する。そして表示すべき階調が上階調コードの階調に近い場合は上階調コードを出力し、表示すべき階調が下階調コードの階調に近い場合は下階調コードを出力する。さらに出力コード決定部86が表示すべき階調からサブフィールドコードの階調を減じた値を新たに発生した誤差として誤差拡散部84に出力する。
【0121】
例えば入力階調が「15.5」、ディザ値が「0.5」であり、出力された誤差が「0.4」であれば、表示すべき階調は「16.4」である。そして出力コード決定部86は、表示すべき階調と上階調コードの階調「16」および下階調コードの階調「14」とを比較する。そして、階調「16」をもつサブフィールドコード「11011000」を出力する。さらに出力コード決定部86は誤差「0.4」を誤差拡散部84に出力する。
【0122】
(ステップS96)差分コード作成部56は、差分画像信号を表示するサブフィールドコードを作成する。例えば、差分表示用サブフィールドがサブフィールドSF7であり、差分画像信号が負符号であれば、pライン目の画素の画像信号に対してサブフィールドSF7を非点灯とするサブフィールドコード「−−−−−−0−」を出力し、(p+1)ライン目の画素の画像信号に対してサブフィールドSF2を点灯するサブフィールドコード「−−−−−−1−」を出力する。ここで差分コード作成部56は、「−」に対応するビットを「0」に置き換えて出力する。
【0123】
(ステップS98)表示コード合成部58は、平均コード作成部54から出力されるサブフィールドコードと差分コード作成部56から出力されるサブフィールドコードとの論理和を算出し、実際の画像表示に用いる表示コードとしてデータ電極駆動回路32に出力する。
【0124】
例えば、pライン目の画素のサブフィールドコードとして、平均コード作成部54から「11011000」が出力され差分コード作成部56から「00000000」が出力されると、表示コード合成部58は、pライン目の画素の表示コードとして「11011000」を出力する。また(p+1)ライン目の画素のサブフィールドコードとして、平均コード作成部54から「11011000」が出力され差分コード作成部56から「00000010」が出力されると、表示コード合成部58は、(p+1)ライン目の画素の表示コードとして「11011010」を出力する。
【0125】
そしてステップS42に戻る。
【0126】
このように本実施の形態においては、サブフィールドのそれぞれの書込み期間において、1つのデータ電極を共有し連続して書込みを行う2つの画素からなる画素対の2つの画素に対して同一の書込み動作を行う2ライン毎同値書込み、または2つの画素に対して独立した書込み動作を行う1ライン毎独立書込みを行い、画素対のそれぞれに対して、画素対の2つの画素に対する画像信号の差分値の絶対値に最も近い階調重みを持つサブフィールドを、1ライン毎独立書込みを行うサブフィールドとして設定する。そして2ライン毎同値書込みを行うサブフィールドでは平均コード作成部54で作成したサブフィールドコードに基づき、また1ライン毎独立書込みを行うサブフィールドでは差分コード作成部56で作成したサブフィールドコードに基づき画像表示を行う。これにより画像表示品質の低下を抑えつつ、2ライン毎同値書込みを行うことでデータ電極駆動回路の電力を抑制することができる。
【0127】
また平均コード作成部54は、入力階調よりも大きい階調をもつ上階調基底コードを生成し、上階調基底コードに非点灯サブフィールドを追加して上階調コードおよび下階調コードを生成し、表示すべき階調に近い階調をもつコードを選択する。これにより、画像信号からサブフィールドコードへの変換を、変換テーブルを用いることなく論理計算で実行している。
【0128】
なお、本実施の形態においては、複数のサブフィールドの中の1つだけを1ライン毎独立書込みする差分表示用サブフィールドとして設定し、それ以外のサブフィールドでは2ライン毎同値書込みをする構成について説明した。しかし本発明はこれに限定されるものではなく、複数のサブフィールドで1ライン毎独立書込みする差分表示用サブフィールドとして設定してもよい。
【0129】
図16は、本発明の他の実施の形態における画像表示装置30の差分SF設定部51の設定する差分表示用サブフィールドを示す図である。ここで最も左の列に示した数値は差分絶対値を示し、その右側の「A」は2ライン毎同値書込みを行うサブフィールドを、「D」は1ライン毎独立書込みを行う差分表示用サブフィールドを示している。本実施の形態においては、差分絶対値が「44.5」未満の場合には、図8と同様に、1つのサブフィールドを差分表示用サブフィールドとして設定し、差分絶対値が「44.5」以上の場合には複数のサブフィールドを差分表示用サブフィールドとして設定する。差分表示用サブフィールドとして設定する複数のサブフィールドは任意に選択してもよいが、ここでは、階調重みの最も大きいサブフィールドSF8を含みかつ連続する複数のサブフィールドからなるサブフィールド群を差分表示用サブフィールドとして設定した。具体的には、差分絶対値が「44.5」〜「61.5」ではサブフィールドSF7〜SF8を、差分絶対値が「61.5」〜「72」ではサブフィールドSF6〜SF8を、差分絶対値が「72」〜「78.5」ではサブフィールドSF5〜SF8を、差分絶対値が「78.5」〜「82.5」ではサブフィールドSF4〜SF8を、差分絶対値が「82.5」〜「85」ではサブフィールドSF3〜SF8を、差分絶対値が「82.5」以上ではサブフィールドSF2〜SF8を、それぞれ差分表示用サブフィールドとして設定した。
【0130】
このように、最も大きい階調重みを持つサブフィールドの階調重みよりも差分値の絶対値が大きい場合には、最も大きい階調重みを持つサブフィールドとそれに連続する1以上のサブフィールドからなるサブフィールド群の階調重みの和が差分値の絶対値に最も近い値となるサブフィールド群のサブフィールドを1ライン毎独立書込みを行うサブフィールドとして設定する。
【0131】
そしてSF削除部52は、基底コードセットから全ての差分表示用サブフィールドを削除したコードセット、すなわち全ての基底コードに対して全ての差分表示用サブフィールドを「0」に置き換えた基底コードセットを削除済み基底コードセットとして作成する。
【0132】
また減算部53は、全ての差分表示用サブフィールドの階調重みの総和を求める。そしてその総和の1/2を平均画像信号から減じ、その値をpライン目および(p+1)ライン目の画素の画像信号として出力する。
【0133】
そして平均コード作成部54は、SF削除部52から出力される削除済み基底コードセットを用いて、減算部53から出力される画像信号をサブフィールドコードに変換する。例えば差分表示用サブフィールドがサブフィールドSF6〜SF8の場合には、平均コード作成部54から出力されるサブフィールドコードは「XXXXX000」である。
【0134】
また差分コード作成部56は、全ての差分表示用サブフィールドのサブフィールドコードを差分画像信号の符号により作成する。例えば差分表示用サブフィールドがサブフィールドSF6〜SF8でありかつ差分画像信号が正符号であれば、差分コード作成部56はpライン目の画素の画像信号に対してサブフィールドSF6〜SF8を点灯とするサブフィールドコード「−−−−−111」を出力し、(p+1)ライン目の画素の画像信号に対してサブフィールドSF6〜SF8を非点灯とするサブフィールドコード「−−−−−000」を出力する。また差分表示用サブフィールドがサブフィールドSF7でありかつ差分画像信号が負符号であれば、差分コード作成部56はpライン目の画素の画像信号に対してサブフィールドSF6〜SF8を非点灯とするサブフィールドコード「−−−−−000」を出力し、(p+1)ライン目の画素の画像信号に対してサブフィールドSF6〜SF8を点灯するサブフィールドコード「−−−−−111」を出力する。
【0135】
そして表示コード合成部58は、平均コード作成部54が変換したサブフィールドコードと差分コード作成部56が作成したサブフィールドコードとを合成して表示コードを作成する。
【0136】
このように、複数のサブフィールドを差分表示用サブフィールドとして設定することにより、差分絶対値が1つのサブフィールドの階調重みより大きい場合であっても、より忠実に階調表示を行うことができる。
【0137】
なお、上記の実施の形態においては、1つの画素対に対して、その差分絶対値にもとづき、1つのサブフィールドまたは1組のサブフィールドを差分表示用サブフィールドとして設定するとして説明した。しかし、1つの画素対に対して2つのサブフィールドまたは2組のサブフィールドを差分表示用サブフィールドとして設定し、それらを市松状に配置してもよい。
【0138】
例えばサブフィールドの階調重みまたは1組のサブフィールドの階調重みの合計が差分絶対値より小さい1つのサブフィールドまたは1組のサブフィールドを第1の差分表示用サブフィールドとして設定し、サブフィールドの階調重みまたは1組のサブフィールドの階調重みの合計が差分絶対値より大きい1つのサブフィールドまたは1組のサブフィールドを第2の差分表示用サブフィールドとして設定する。そして差分絶対値をD、第1の差分表示用サブフィールドの階調重みまたは階調重みの合計をW1、第2の差分表示用サブフィールドの階調重みまたは階調重みの合計をW2とするとき、
D>(W2×3+W1)/4
なら第2の差分表示用サブフィールドを用いて画像表示を行い、
D≦(W1×3+W2)/4
なら第1の差分表示用サブフィールドを用いて画像表示を行い、
(W1×3+W2)/4<D≦(W2×3+W1)/4
なら、第1の差分表示用サブフィールドと第2の差分表示用サブフィールドとを市松状に配置して画像表示を行ってもよい。
【0139】
また本実施の形態においては、上下コード生成部70は、中間コード生成部72で中間コードセットを生成した後に、上下コード選択部74で上階調コードおよび下階調コードを選択する構成について説明した。しかし本発明はこれに限定されるものではない。例えば、階調が大きくなる順に中間コードを生成すると同時に入力階調と比較する構成であってもよい。
【0140】
また本実施の形態においては、出力コード選択部80がディザ選択部82と誤差拡散部84とを有する構成について説明した。しかし本発明は必ずしもこれに限定されるものではない。例えばディザ処理を行わない場合にはディザ選択部82を省略してもよく、誤差拡散処理を行わない場合には誤差拡散部84を省略してもよい。ただし誤差拡散処理を省略すると階調表示の忠実性が損なわれる恐れがあり注意が必要である。
【0141】
また、本実施の形態において用いた具体的な各数値は、単に一例を挙げたに過ぎず、画像表示装置の仕様等に合わせて、適宜最適な値に設定することが望ましい。
【産業上の利用可能性】
【0142】
本発明は、画像表示品質の低下を抑えつつ2ライン毎同値書込みを行うことでデータ電極駆動回路の電力を抑制することができ、画像表示装置およびその駆動方法として有用である。
【符号の説明】
【0143】
10 パネル
12 走査電極
13 維持電極
22 データ電極
30 画像表示装置
31 画像信号処理回路
41,42 1H遅延部
46 2ライン平均部
48 2ライン差分部
44 ライン選択部
45 平均コード変換部
62 属性検出部
50 基底コードセット記憶部
51 差分SF設定部
52 SF削除部
53 減算部
54 平均コード作成部
56 差分コード作成部
58 表示コード合成部
64 基底コード選択部
66 ルール生成部
70 上下コード生成部
72 中間コード生成部
74 上下コード選択部
80 出力コード選択部
82 ディザ選択部
84 誤差拡散部
86 出力コード決定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平行に配置された複数の走査電極と、前記走査電極と交差する方向に平行に配置された複数のデータ電極とを有し、前記走査電極と前記データ電極の交点のそれぞれに画素が形成された画像表示デバイスを備え、
前記画素で書込みを行う書込み期間と、定められた階調重みで前記画素を点灯させる維持期間とを有するサブフィールドを複数用いて1つのフィールドを構成し、前記サブフィールドのそれぞれで前記画素それぞれの点灯・非点灯を制御して階調を表示する画像表示装置の駆動方法であって、
前記サブフィールドのそれぞれの書込み期間において、1つのデータ電極を共有し連続して書込みを行う2つの画素からなる画素対の2つの画素に対して同一の書込み動作を行う2ライン毎同値書込み、または前記画素対の2つの画素に対して独立した書込み動作を行う1ライン毎独立書込みを行い、
前記画素対のそれぞれに対して、前記画素対の2つの画素に対する画像信号の差分値の絶対値に最も近い階調重みを持つサブフィールドを、前記1ライン毎独立書込みを行うサブフィールドとして設定することを特徴とする画像表示装置の駆動方法。
【請求項2】
前記2ライン毎同値書込みを行うサブフィールドを用いて、前記画素対の2つの画素に対する画像信号の平均値から前記1ライン毎独立書込みを行うサブフィールドの階調重みの1/2を減算した階調を表示し、
前記1ライン毎独立書込みを行うサブフィールドで、前記画素対の2つの画素の一方を点灯させて前記2つの画素に対する画像信号の差分値を表示する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置の駆動方法。
【請求項3】
最も大きい階調重みを持つサブフィールドの階調重みよりも前記差分値の絶対値が大きい場合には、最も大きい階調重みを持つサブフィールドとそれに連続する1以上のサブフィールドからなるサブフィールド群の階調重みの和が前記差分値の絶対値に最も近い値となるサブフィールド群のサブフィールドを前記1ライン毎独立書込みを行うサブフィールドとして設定することを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置の駆動方法。
【請求項4】
平行に配置された複数の走査電極と、前記走査電極と交差する方向に平行に配置された複数のデータ電極とを有し、前記走査電極と前記データ電極の交点のそれぞれに画素が形成された画像表示デバイスと、
前記画素で書込みを行う書込み期間と、定められた階調重みで前記画素を点灯させる維持期間とを有するサブフィールドを複数用いて1つのフィールドを構成し、前記サブフィールドそれぞれで前記画素それぞれの点灯・非点灯を制御して階調を表示する駆動回路と、を備えた画像表示装置であって、
前記駆動回路は、
前記サブフィールドのそれぞれの書込み期間において、1つのデータ電極を共有し連続して書込みを行う2つの画素からなる画素対の2つの画素に対して同一の書込み動作を行う2ライン毎同値書込み、または前記画素対の2つの画素に対して独立した書込み動作を行う1ライン毎独立書込みを行い、
前記画素対のそれぞれに対して、前記画素対の2つの画素に対する画像信号の差分値の絶対値に最も近い階調重みを持つサブフィールドを、前記1ライン毎独立書込みを行うサブフィールドとして設定することを特徴とする画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図10D】
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【図10E】
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【図10F】
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【図10G】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図13A】
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【図13B】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−104997(P2013−104997A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−248336(P2011−248336)
【出願日】平成23年11月14日(2011.11.14)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】