説明

画像表示装置の製造方法

【課題】遮光部を備えた保護部と画像表示部との間に樹脂を介在させた薄型の画像表示装置を製造するにあたり、画像表示部の変形に起因する表示不良を生じさせることなく、高輝度及び高コントラストな表示を可能とし、かつ、遮光部の形成領域の樹脂も十分に硬化させる。
【解決手段】液晶表示パネル8等の画像表示部を有する基部2と、遮光部5を有する透光性の保護部3との間に光硬化型樹脂組成物を介在させ、光硬化させて樹脂硬化物層15を形成する工程を有する画像表示装置の製造方法において、光硬化型樹脂組成物として、硬化収縮率が0〜2%、硬化物の25℃における貯蔵弾性率が1.0×10Pa以下、樹脂硬化物層の可視光領域の光透過率を90%以上とする樹脂組成物を使用する。さらに、少なくとも遮光部5と基部2との間に熱重合開始剤を含有する硬化型樹脂組成物11を介在させ、該硬化型樹脂組成物11を加熱する工程を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば携帯電話等に用いられる液晶表示装置(LCD)等の画像表示装置の製造方法に関し、特に、画像表示部上に透明な保護部を設けた画像表示装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の画像表示装置としては、例えば図7に示す液晶表示装置101が知られている。この液晶表示装置101は、液晶表示パネル102上に、例えば、ガラスやプラスチックからなる透明な保護部103を有している。
【0003】
この場合、液晶表示パネル102表面及び偏光板(図示せず)を保護するため、保護部103との間にスペーサ104を介在させることによって液晶表示パネル102と保護部103との間に空隙105が設けられている。
【0004】
しかし、液晶表示パネル102と保護部103との間の空隙105の存在により、光の散乱がおき、それに起因してコントラストや輝度が低下し、また空隙105の存在はパネルの薄型化の妨げとなっている。
【0005】
このような問題に鑑み、液晶表示パネルと保護部との間の空隙に樹脂を充填することも提案されているが(例えば特許文献1)、樹脂硬化物の硬化収縮の際の応力によって液晶表示パネルの液晶を挟持する光学ガラス板に変形が生じ、液晶材料の配向乱れ等の表示不良の原因となっている。
【0006】
また、液晶表示装置101には、表示画像の輝度やコントラストを向上させるため、液晶表示パネル102の周囲の保護部103に、所謂ブラック・マトリクスと呼ばれる黒色枠状の遮光部(図示せず)が形成される。
【0007】
しかし、このような構成において、液晶表示パネル102と保護部103との間の空隙105に光硬化型樹脂組成物を充填して光硬化させようとすると、遮光部の形成領域にある光硬化型樹脂組成物は、光が十分に到達しないことにより未硬化となるおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−55641号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、このような従来の技術の課題を考慮してなされたもので、その目的とするところは、遮光部を備えた保護部と画像表示部との間に樹脂を介在させた薄型の画像表示装置を製造するにあたり、画像表示部の変形に起因する表示不良を生じさせることなく、高輝度及び高コントラストの画像表示を可能とし、かつ、遮光部の形成領域の樹脂も十分に硬化させる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明は、画像表示部を有する基部と、遮光部を有する透光性の保護部との間に光硬化型樹脂組成物を介在させ、光硬化させて樹脂硬化物層を形成する工程を有する画像表示装置の製造方法であって、
光硬化型樹脂組成物として、硬化収縮率が5%以下、硬化物の25℃における貯蔵弾性率が1.0×10Pa以下、樹脂硬化物層の可視光領域の光透過率を90%以上とする樹脂組成物を使用し、
少なくとも遮光部と基部との間に熱重合開始剤を含有する硬化型樹脂組成物を介在させ、該硬化型樹脂組成物を加熱する工程を有する画像表示装置の製造方法を提供する。
【0011】
特に、遮光部と基部との間に介在させる、熱重合開始剤を含有する硬化型樹脂組成物を、光硬化型樹脂組成物とし、それに光照射と加熱を行う態様を提供する。
【0012】
また、この態様において、遮光部と基部との間に介在させる光硬化型樹脂組成物に対する光照射を、遮光部の形成面の外方側面側から行う態様を提供する。
【0013】
本発明では、画像表示部を、液晶表示パネルとすることもできる。
【0014】
本発明では、保護部を、アクリル樹脂からなるものとすることもできる。
【0015】
本発明では、保護部を、光学ガラスからなるものとすることもできる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、画像表示部を有する基部と、遮光部を有する透光性の保護部との間に光硬化型樹脂組成物を介在させ、光硬化させて樹脂硬化物層を形成するにあたり、少なくとも遮光部と基部との間には熱重合開始剤を含有する硬化型樹脂組成物を介在させ、その硬化型樹脂組成物を加熱する工程を有するので、遮光部の形成領域においても樹脂組成物を十分に硬化させることができる。
【0017】
さらに、本発明において、非遮光部と基部との間に介在させる光硬化型樹脂組成物には熱重合開始剤を含有させず、遮光部と基部との間にのみ熱重合開始剤を含有する光硬化型樹脂組成物を介在させると、熱重合開始剤の使用量を減少させることができる。また、保護部と基部の間に介在させる硬化型樹脂組成物全体に熱重合開始剤を含有させ、加熱硬化させる場合に比して加熱時間及び加熱温度を相対的に小さくすることができるので、画像表示装置の周辺で多用されているプラスチック材料に与える影響を小さくすることができる。
【0018】
また、本発明において、遮光部と基部との間に介在させる光硬化型樹脂組成物に対する光照射を、遮光部の形成領域の側面側から行うと、遮光部の形成領域の光硬化型樹脂組成物に確実に光が照射されるので、その領域の光硬化型樹脂組成物を十分に硬化させることができる。
【0019】
更に、樹脂が硬化する際に蓄積される内部応力は、硬化後の貯蔵弾性率と硬化収縮率の積で近似できるところ、本発明によれば、光硬化型樹脂組成物として、硬化収縮率が5%以下、硬化物の25℃における貯蔵弾性率が1.0×10Pa以下のものを使用するので、画像表示部及び保護部に対し、樹脂の硬化収縮時の応力の影響を最小限に抑えることができる。したがって、画像表示部及び保護部に歪みがほとんど生じない。その結果、表示不良のない高輝度及び高コントラストの画像表示が可能になる。
【0020】
特に、画像表示部が液晶表示パネルである場合には、液晶材料の配向乱れ等の表示不良を確実に防止して高品位の画像表示を行うことができる。
【0021】
さらに、本発明によれば、画像表示部と保護部との間に樹脂硬化物が介在するので、衝撃に強くなる。
【0022】
加えて、画像表示部と保護部との間に空隙を設けていた従来例に比して薄型の画像表示装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明方法の一実施形態の要部を示す断面工程図である。
【図2】同実施形態における画像表示装置の製造工程の要部を示す平面図である。
【図3】同実施形態の変形態様の要部を示す断面工程図である。
【図4】他の実施形態の要部を示す断面工程図である。
【図5】さらに異なる実施形態の要部を示す断面工程図である。
【図6】さらに異なる実施形態の要部を示す断面工程図である。
【図7】従来技術に係る表示装置の要部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の好ましい実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。なお、各図中、同一符号は同一又は同等の構成要素を表している。
【0025】
図1(a)〜(c)は、本発明に係る画像表示装置の製造方法の一つの実施形態の要部を示す断面工程図、図2は、同実施形態における画像表示装置の製造工程の要部を示す平面図である。
【0026】
図1に示すように、本実施形態では、図示しない駆動回路に接続され所定の画像表示を行う画像表示部を有する基部2と、保護部3とを樹脂硬化物層15により貼り合わせる。
【0027】
ここで、画像表示装置としては、特に限定されるものではなく、種々のものに適用することができ、例えば、携帯電話、携帯ゲーム機器等の液晶表示装置があげられる。以下、液晶表示装置を製造する場合を例にとって本発明を説明する。
【0028】
保護部3は、基部2と同程度の大きさの例えば矩形平板状の透光性部材4から形成されている。この透光性部材4としては、例えば、光学ガラスやプラスチック(アクリル樹脂等)を好適に用いることができる。
【0029】
透光性部材4の基部2側の面の液晶表示パネル8の周縁に対応する領域には、例えば黒色枠状の遮光部5が設けられている。この遮光部5は、例えば印刷法によって均一の厚さの層状に形成されている。
【0030】
一方、基部2は、例えば枠状のフレーム6を有し、このフレーム6の内側の領域に液晶表示パネル(画像表示部)8が取り付けられ、さらに、この液晶表示パネル8の装置背面側の部位にバックライト7が取り付けられている。
【0031】
また、図2に示すように、フレーム6の画像表示面側の周縁部には、複数のスペーサ9が所定の間隔をおいて断続的に設けられている。このスペーサ9の厚さは0.05〜1.5mm程度であり、これにより液晶表示パネル8と保護部3との表面間距離が1mm程度に保持される。
【0032】
また、本実施形態では、特に基部2のフレーム6の貼り合わせ面6aと保護部3の遮光部5の貼り合わせ面5aとが平行になっている。
【0033】
本実施形態では、このような保護部3と基部2を貼り合わせるにあたり、まず、図1(a)に示すように、基板2上のスペーサ9の内側の領域に、光硬化も熱硬化も可能な硬化型樹脂組成物11を所定量滴下する。
【0034】
この滴下量は、保護部3と基部2を貼り合わせた後の樹脂硬化物層15の厚みが50〜200μmとなるようにすることが好ましい。
【0035】
この硬化型樹脂組成物11としては、その樹脂硬化物の貯蔵弾性率(25℃)を1×10Pa以下、好ましくは1×10〜1×10Paとし、樹脂硬化物の屈折率を好ましくは1.45以上1.55以下、より好ましくは1.51以上1.52以下とし、さらに、樹脂硬化物の厚さが100μmの場合の可視光領域の透過率を90%以上とするように調製したものを用いる。
【0036】
一般に、硬化型樹脂組成物を構成する主要な樹脂成分としては共通でも、共に配合する樹脂成分あるいはモノマー成分等が異なると、それを硬化させた樹脂硬化物の貯蔵弾性率(25℃)が1×10Paを超える場合があるが、そのような樹脂硬化物となる樹脂組成物は、硬化型樹脂組成物11としては用いない。
【0037】
また、この硬化型樹脂組成物11は、硬化収縮率が、好ましくは5.0%以下、より好ましくは4.5%以下、特に好ましくは4.0%以下、さらに好ましくは0〜2%となるように調製したものとする。これにより、硬化型樹脂組成物11が硬化する際に樹脂硬化物に蓄積される内部応力を低減させることができ、樹脂硬化物層15と液晶表示パネル8又は保護部3との界面に歪みができることを防止できる。したがって、硬化型樹脂組成物11を液晶表示パネル8と保護部3との間に介在させ、その硬化型樹脂組成物11を硬化させた場合に、樹脂硬化物層15と液晶表示パネル8又は保護部3との界面で生じる光の散乱を低減させることができ、表示画像の輝度を高めると共に、視認性を向上させることができる。
【0038】
なお、樹脂組成物が硬化する際に樹脂硬化物に蓄積される内部応力の程度は、樹脂組成物を平板上に滴下し、それを硬化させて得られる樹脂硬化物の平均表面粗度によって評価することができる。例えば、樹脂組成物2mgをガラス板上又はアクリル板上に滴下し、それをUV照射により90%以上の硬化率で硬化させて得られる樹脂硬化物の平均表面粗度が6.0nm以下であれば、液晶表示パネル8と保護部3との間に硬化型樹脂組成物を介在させ、それを硬化させた場合にそれらの界面に生じる歪みが実用上無視できる。これに関し、本実施の態様で使用する硬化型樹脂組成物11によれば、この平均表面粗度を6.0nm以下、好ましくは5.0nm以下、より好ましくは1〜3nmにすることができる。したがって、樹脂硬化物の界面に生じる歪みを実用上無視することができる。
【0039】
ここで、ガラス板としては、液晶セルの液晶を挟持するガラス板や液晶セルの保護板として使用されているものを好ましく使用できる。また、アクリル板としては、液晶セルの保護板として使用されているものを好ましく使用できる。これらのガラス板やアクリル板の平均表面粗度は、通常、1.0nm以下である。
【0040】
このような硬化型樹脂組成物11は、オリゴマー乃至ポリマーと、アクリレート系モノマーと、光重合開始剤と、熱重合開始剤とを主剤とし、その他の添加剤、例えば増感剤、可塑剤、透明粒子等を本発明の目的の範囲で添加したものを使用することができる。
【0041】
ここで、オリゴマー乃至ポリマーとしては、ポリウレタンアクリレート、ポリブタジエンアクリレート、ポリイソプレンアクリレート又はそのエステル化物、テルペン系水素添加樹脂、ブタジエン重合体、エポキシアクリレートオリゴマー等を好適に使用することができる。
【0042】
アクリレート系モノマーとしては、イソボルニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート、ヒドロキシメチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート、ラウリルアクリレート、ベンジルアクリレート等を好適に使用することができる。
【0043】
光重合開始剤としては、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルーケトン(商品名IRGACURE 184:チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)、2−ヒロドキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン(商品名IRGACURE 127:チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(商品名DAROCUR 1173:チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)等を好適に用いることができるが、これらには特に限定されない。
【0044】
なお、保護部3には、表示部に対する紫外線保護の観点から紫外線領域をカットする機能が付与されている場合がある。その場合には、本発明で用いる光重合開始剤としては、可視光領域でも硬化できる光重合開始剤(例えば、商品名SpeedCureTPO:日本シイベルヘグナー(株)製等)を用いることが好ましい。
【0045】
熱重合開始剤としては、熱により開始剤として作用する有機過酸化物等を好適に用いることができる。なお、本実施の形態のように、画像表示部として液晶表示パネル8を用いる場合には、そのパネルの材料には、アクリル樹脂などのプラスチック材料が用いられることが多く、その耐熱性が80℃程度であることから、熱重合開始剤としては、有機過酸化物の10時間半減期温度が100℃以下のものを用いることが好ましい。
【0046】
ここで有機過酸化物の半減期とは、有機過酸化物の濃度が初期値の半分に減少するまでの時間をいい、この半減期が10時間となる温度を10時間半減期温度という。
【0047】
10時間半減期温度が100℃以下の熱重合開始剤としては、例えば、日本油脂(株)社製商品名パーブチルO(C1224)、日本油脂(株)社製商品名パーロイルTCP(C1224)等が挙げられる。なお、パーブチル及びパーロイルという名称は、共に登録商標である。
【0048】
熱重合開始剤の配合量は、適正な反応温度及び反応時間を確保する観点からは、上記硬化型樹脂組成物11中のアクリル樹脂に対して1〜10重量%とすることが好ましい。
【0049】
次に、図1(b)に示すように、基部2のスペーサ9上に保護部3を配置し、保護部3の裏面を硬化型樹脂組成物11に接触させ、基部2と保護部3との間の空隙に硬化型樹脂組成物11を介在させる。
【0050】
その後、図1(b)に示すように、遮光部5の非形成領域に対応する画像表示領域にある硬化型樹脂組成物11bに対し、透光性部材4を介して紫外線34を照射する。
【0051】
紫外線34の照射方向は、特に限定されることはないが、画像表示領域にある硬化型樹脂組成物11bのより均一な硬化を達成する観点からは、透光性部材4の表面に対して直交する方向とすることが好ましい。
【0052】
また、これと同時に、図1(b)及び図2に示すように、例えば光ファイバー等からなる微細な照射部30を有するUV光照射装置31を用い、遮光部5と基部2との間の硬化型樹脂組成物(即ち、遮光部5の形成領域にある硬化型樹脂組成物)11aに対し、遮光部5の貼り合わせ面5a(即ち、遮光部の形成面)の外方側面側から、スペーサ9同士の間において、フレーム6と遮光部5との間の空隙を通して紫外線32を直接照射してもよい。
【0053】
紫外線32の照射方向は、特に限定されることはなく、水平方向に対して0°以上90°未満とすることができるが、遮光部5の形成領域にある硬化型樹脂組成物11aのより均一な硬化を達成する観点からは、基部2のフレーム6の貼り合わせ面6aと保護部3の遮光部5の貼り合わせ面5aに対し、ほぼ平行に紫外線32を照射することが好ましい。
【0054】
また、紫外線34の照射と併せて、図1(b)及び図2に示すように、図示しないUV光照射装置を用い、遮光部5と基部2との間の硬化型樹脂組成物11aに対し、遮光部5の貼り合わせ面5aの内方側面側から、透光性部材4を通して紫外線33を照射してもよい。
【0055】
この場合、紫外線33の照射方向は、遮光部5と基部2との間の硬化型樹脂組成物11aに対する紫外線33の照射効率等を考慮すると、基部2のフレーム6の貼り合わせ面6a又は保護部3の遮光部5の貼り合わせ面5aに対して斜め上方から10°〜45°の角度とすることが好ましい。
【0056】
なお、以下に説明する、遮光部5の形成領域の硬化型樹脂組成物11aに対する加熱が十分であれば、紫外線32、33の照射は省略してもよい。
【0057】
本実施形態では、画像表示領域の硬化型樹脂組成物11bに対する紫外線34の照射と同時に、あるいは紫外線34照射の前又は後に、遮光部5の形成領域にある硬化型樹脂組成物11aを加熱する。
【0058】
この場合、加熱温度は、特に限定されることはないが、プラスチック材料部分の変形等を防止する観点からは、60〜100℃とすることが好ましい。加熱方法としては、紫外線照射後又は紫外線照射の際に、画像表示装置を加熱ステージに載置し、硬化型樹脂組成物11a、11bを全体的に加熱することも可能であり、また液晶表示パネル8の周囲の遮光部5の形成領域に加熱ヒータを配置することも可能である。
【0059】
こうして、紫外線32、33、34の照射、及び加熱を行うことにより、図1(c)に示すように、画像表示領域の硬化型樹脂組成物11bと遮光部形成領域の硬化型樹脂組成物11aの双方とも硬化させて樹脂硬化物層15とし、目的とする画像表示装置1を得る。
【0060】
このような本実施形態によれば、保護部3と基部2との貼り合わせ工程において、光重合開始剤及び熱重合開始剤の双方を含有する硬化型樹脂組成物11を用い、画像表示領域の硬化型樹脂組成物11bに対して透過性部材4を通して紫外線34を照射すると共に、遮光部5の形成領域にある硬化型樹脂組成物11aに対しては加熱を行い、必要に応じて遮光部5の貼り合わせ面5aの内方及び外方側面側から紫外線32、33を照射するようにしたことから、画像表示領域の硬化型樹脂組成物11bだけでなく、遮光部5の形成領域にある硬化型樹脂組成物11aも十分に硬化させることができる。
【0061】
また、前述のように特定の硬化型樹脂組成物11を使用することにより、液晶表示パネル8及び保護部3に対し、樹脂硬化収縮時の応力の影響を最小限に抑えることができるので、液晶表示パネル8及び保護部3において歪みがほとんど発生せず、その結果、液晶表示パネル8に変形が発生しないので、表示不良のない高輝度及び高コントラストな画像表示が可能になる。
【0062】
さらに、この硬化型樹脂組成物11を硬化させた硬化樹脂層15により、衝撃に強く、また、画像表示部と保護部との間に空隙を設けていた従来例に比して薄型の画像表示装置1を得ることができる。
【0063】
上述の実施形態においては、基部2上のスペーサ9の内側の領域に、光硬化も熱硬化も可能な硬化型樹脂組成物11を所定量滴下したが、例えば、図3(a)に示すように、保護部3の遮光部5側の面に所定量滴下し、保護部3を裏返すようにして保護部3と基部2を貼り合わせてもよい。
【0064】
この場合、硬化型樹脂組成物11の光硬化や熱硬化は、図3(b)及び(c)に示すように、上述した実施形態と同様に行うことができる。
【0065】
また、図4に示すように、スペーサ9を省略して画像表示装置1を製造してもよい。この場合には、基部2上に、上述の硬化型樹脂組成物11を塗布し、その上に保護部3を重ね、前述と同様に光硬化と熱硬化を行う。
【0066】
図5(a)〜(c)は、さらに異なる実施形態の要部を示す断面工程図である。以下、上記実施形態と対応する部分については、同一の符号を付しその詳細な説明を省略する。
【0067】
図5(a)に示すように、本実施形態においても、上述した構成の基部2と保護部3とを用いる。
【0068】
そして、本実施形態では、まず、基部2の液晶表示パネル8上に、光硬化型樹脂組成物10を所定量滴下する。この光硬化型樹脂組成物10としては、熱重合開始剤を配合しない以外は、前述の光硬化も熱硬化も可能な硬化型樹脂組成物11と同様のものを使用する。
【0069】
また、図5(a)に示すように、基部2上のスペーサ9の内側の領域で、保護部3の遮光部5に対向する領域(本実施形態では、フレーム6及び液晶表示パネル8の双方にわたる領域)に、前述の光硬化も熱硬化も可能な硬化型樹脂組成物11を所定量滴下する。
【0070】
そして、図5(a)に示すように、基部2のスペーサ9上に、保護部3をその裏面が画像表示領域にある光硬化型樹脂組成物10aと、遮光部形成領域にある硬化型樹脂組成物11aに接触するように配置する。
【0071】
その後、図5(b)に示すように、画像表示領域の光硬化型樹脂組成物10aに対しては、透光性部材4を通して紫外線34を照射する。
【0072】
また、必要に応じて、紫外線34の照射と同時に、図5(b)に示すように、UV光照射装置31を用い、遮光部5と基部2との間の硬化型樹脂組成物11aに対し、上述した条件の下で、遮光部5の貼り合わせ面5aの外方側面側から、すなわち、スペーサ9同士の間において、フレーム6と遮光部5との間の空隙を通して紫外線32を直接照射することもできる。
【0073】
図示しないUV光照射装置を用い、遮光部5と基部2との間の硬化型樹脂組成物11aに対し、遮光部5の貼り合わせ面5aの内方側面側から、透光性部材4を通して紫外線33を照射することもできる。
【0074】
これらの紫外線32,33の照射により、迅速及び確実に樹脂を硬化させることができる。
【0075】
また、本実施形態においても、少なくとも遮光部5と基部2との間の硬化型樹脂組成物11aを加熱する。
【0076】
そして、この紫外線34の照射及び樹脂の加熱、あるいはさらに必要に応じて紫外線33、32の照射を行うことにより、図5(c)に示すように、画像表示領域にある光硬化型樹脂組成物10aと遮光部形成領域にある硬化型樹脂組成物11aを硬化させて樹脂硬化物層14、15とし、目的とする画像表示装置1Aを得る。
【0077】
本実施形態によれば、前述の実施形態で説明した効果に加え、熱重合開始剤を含有する硬化型樹脂組成物11を、基部2のフレーム6と遮光部5との間にのみ配置して硬化するようにしたことから、熱重合開始剤の使用量を減少させることができる。また、保護部3と基部2の間に介在させる硬化型樹脂組成物全体に熱重合開始剤を含有させ、加熱硬化させる場合に比して、相対的に加熱時間を短く、加熱温度を低くすることができ、画像表示装置を構成するプラスチック材料等に与える影響が小さいというメリットがある。その他、前述の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0078】
なお、本実施形態についても、図6に示すように、スペーサ9を省略して画像表示装置1Aを製造してもよい。
【0079】
この他、本発明は、上述した実施形態に限られず、種々の変更を行うことができる。例えば、画像表示領域にある硬化型樹脂組成物に対する紫外線照射と、遮光部形成領域にある硬化型樹脂組成物に対する紫外線照射は、同時に行ってもよいし、また別工程で行ってもよい。
【0080】
また、遮光部形成領域に硬化型樹脂組成物11aを配置するにあたり、フレーム6と遮光部5の貼り合わせ面6a、5aの間の側部に部分的に空隙を設けるようにしてもよい。これにより、遮光部の形成面の外方側面側から紫外線32を照射する際に、光を確実に樹脂組成物に到達させ、十分に硬化させることができる。
【0081】
さらにまた、本発明は、液晶表示装置のみならず、例えば、有機EL、プラズマディスプレイ装置等の種々のパネルディスプレイに適用することができる。
【実施例】
【0082】
以下、実験例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0083】
次の樹脂組成物a〜hを調製した。
【0084】
<樹脂組成物a>
ポリウレタンアクリレート(商品名UV−3000B、日本合成化学工業(株)製)50重量部、イソボルニルアクリレート(商品名IBXA、大阪有機化学工業(株)製)30重量部、有機過酸化物(商品名パーブチルO、日本油脂(株)製)5重量部、光重合開始剤(商品名IRGACURE 184、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)3重量部、光重合開始剤(商品名SpeedCureTPO、日本シイベルヘグナー(株)製)1重量部を、混練機にて混練して樹脂組成物aを調製した。
【0085】
<樹脂組成物b>
有機過酸化物を添加せず、ポリウレタンアクリレート(商品名UV−3000B、日本合成化学工業(株)製)50重量部、イソボルニルアクリレート(商品名IBXA、大阪有機化学工業(株)製)30重量部、光重合開始剤(商品名IRGACURE 184、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)3重量部、光重合開始剤(商品名SpeedCureTPO、日本シイベルヘグナー(株)製)1重量部を、混練機にて混練して樹脂組成物bを調製した。
【0086】
<樹脂組成物c>
ポリイソプレン重合物の無水マレイン酸付加物と2−ヒドロキシエチルメタクリレートとのエステル化物70重量部、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート30重量部、2−ヒドロキシブチルメタクリレート10重量部、テルペン系水素添加樹脂30重量部、ブタジエン重合体140重量部、光重合開始剤4重量部、可視光領域用光重合開始剤0.5重量部を混練機にて混練して樹脂組成物cを調製した。
【0087】
<樹脂組成物d>
ポリイソプレン重合物の無水マレイン酸付加物と2−ヒドロキシエチルメタクリレートとのエステル化物100重量部、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート30重量部、2−ヒドロキシブチルメタクリレート10重量部、テルペン系水素添加樹脂30重量部、ブタジエン重合体210重量部、光重合開始剤7重量部、可視光領域用光重合開始剤1.5重量部を混練機にて混練して樹脂組成物dを調製した。
【0088】
<樹脂組成物e>
ポリイソプレン重合物の無水マレイン酸付加物と2−ヒドロキシエチルメタクリレートとのエステル化物(商品名UC−203、(株)クラレ製)70重量部、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート(商品名FA512M、日立化成工業(株)製)30重量部、2−ヒドロキシブチルメタクリレート(商品名ライトエステルHOB、共栄社化学(株)製)10重量部、テルペン系水素添加樹脂(商品名クリアロンP−85、ヤスハラケミカル(株)製)30重量部、ブタジエン重合体(商品名Polyoil110、日本ゼオン(株)製)35重量部、光重合開始剤(商品名イルガキュア184D、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)5重量部、光重合開始剤(商品名SpeedCure TPO、日本シイベルヘグナー(株)製)2重量部を混練機にて混練して樹脂組成物eを調製した。
【0089】
<樹脂組成物f>
ポリブタジエンアクリレート50重量部、ヒドロキシルエチルメタクリレート20重量部、光重合開始剤3重量部、可視光領域用光重合開始剤1重量部を混練機にて混練して樹脂組成物fを調製した。
【0090】
<樹脂組成物g>
ポリウレタンアクリレート(商品名UV−3000B、日本合成化学工業(株)製)50重量部、トリシクロデカンジメタノールアクリレート(商品名NKエステルLC2、新中村化学工業(株)製)30重量部、光重合開始剤(IRGACURE 184、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)3重量部、光重合開始剤(商品名SpeedCureTPO、日本シイベルヘグナー(株)製)1重量部を混練機にて混練して樹脂組成物gを調製した。
【0091】
<樹脂組成物h>
ポリブタジエンアクリレート(商品名TE−2000、日本曹達(株)製)50重量部、イソボルニルアクリレート(商品名IBXA、大阪有機化学工業(株)製)20重量部、光重合開始剤(IRGACURE 184、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)3重量部、光重合開始剤(商品名SpeedCureTPO、日本シイベルヘグナー(株)製)1重量部を混練機にて混練して樹脂組成物hを調製した。
【0092】
実験例1−1〔樹脂組成物の硬化率〕
樹脂組成物a及び樹脂組成物bを、それぞれ図1(a)に示すような液晶表示基板上のスペーサの内側領域に0.2g滴下し、保護部として、幅2.0mmの遮光部を有するアクリル板をスペーサ上に載置し、次いで、以下の硬化条件A〜Dでそれぞれ樹脂組成物を光硬化させ、表1に示すように、液晶表示装置を作製した。
【0093】
そして、得られた液晶表示装置のアクリル板を引き剥がし、各樹脂組成物a,bの硬化物の硬化率を後述するように測定した。結果を表1に示す。
【0094】
硬化条件A:
上記アクリル板から10cmほど離れた箇所から、UVランプ(ウシオ電機社製)を使って積算光量5,000mJの紫外線を照射し、樹脂組成物を光硬化させ、液晶表示装置を作成した。
【0095】
硬化条件B:
硬化条件Aの照射条件に加え、フレームの周囲に加熱ヒータを配置して、80℃で60分間加熱した。
【0096】
硬化条件C:
硬化条件Aの照射条件に加え、液晶表示装置の遮光部が形成されたフレームの周囲全体にわたって、3cmほど離れたところから、光ファイバーを使って積算光量5,000mJの紫外線を照射した。
【0097】
硬化条件D:
硬化条件Aの照射条件に加え、液晶表示装置を加熱ステージ上にのせ、80℃で60分間加熱するとともに、液晶表示装置の遮光部が形成されたフレームの周囲全体にわたって、3cmほど離れたところから、光ファイバーを使って積算光量5,000mJの紫外線を照射した。
【0098】
硬化率の測定方法:
照射前の樹脂組成物と照射後の硬化物のそれぞれから、それらの硬化成分(モノマー、オリゴマー)を、樹脂組成物、硬化物が0.2wt%となる量のアセトニトリルを用いて抽出し、液体クロマトグラフィーで樹脂組成物における硬化成分のピーク強度Iと、硬化物における硬化成分のピーク強度Iを求め、次式により硬化率を算出した。
【0099】
【数1】

【0100】
実験例1−2
保護部として幅5.0mmの遮光部を有するアクリル板を用いた以外は実験例1−1と同様にして、樹脂組成物a、bを使用し、硬化条件を変えて液晶表示装置を作製し、得られた液晶表示装置における樹脂硬化物の硬化率を測定した。結果を表2に示す。
【0101】
【表1】

硬化条件A:アクリル板側からの紫外線照射のみ
硬化条件B:アクリル板側からの紫外線照射と加熱ヒータによる加熱
硬化条件C:アクリル板側からの紫外線照射と側面側からの紫外線照射
硬化条件D:アクリル板からの紫外線照射と加熱ステージによる加熱と側面側からの紫外線照射
【0102】
【表2】

硬化条件A〜D:表1の硬化条件と同一
【0103】
表1、表2から明らかなように、アクリル板側から紫外線照射のみを行った場合(硬化条件A)には、光重合開始剤と熱重合開始剤の双方を含む樹脂組成物aも、光重合開始剤は含むが熱重合開始剤を含まない樹脂組成物bも、その硬化率は、画像表示部の中央部については良好であったが、遮光部の幅に拘わらず、遮光部の直下においては硬化が十分でなかった。
【0104】
また、アクリル板側及び側面側からの紫外線照射を行った場合(硬化条件C)には、遮光部の幅が狭い(2mm)ときは、画像表示部の中央部及び遮光部の直下の双方で良好な硬化性を示したが、遮光部の幅が広くなると(5mm)、遮光部の直下のは硬化率が低下した(75%:表2樹脂組成物bの硬化条件C参照)。
【0105】
一方、樹脂組成物aを用い、紫外線の照射と加熱の双方を行った場合(硬化条件B、D)には、遮光部の幅に拘わらず、画像表示部の中央部及び遮光部の直下のいずれについても、樹脂組成物の硬化率が95%まで向上し、非常に良好な結果が得られた。
【0106】
実験例2:樹脂硬化物の各種測定
樹脂組成物a〜gを、厚さ100μmの白色のガラス板上に、所定の膜厚となるように滴下してUVコンベアにて搬送し、所定の厚さの樹脂硬化物を得、これを試料とした。各試料について、「光透過率」、「貯蔵弾性率」、「硬化収縮率」、「表面粗度」を以下の通り測定した。
【0107】
〔光透過率〕
各試料(樹脂硬化物の厚さ100μm)について、紫外可視分光光度計(日本分光(株)製V−560)によって可視光領域の透過率を測定したところ、全て90%以上であった。
【0108】
〔貯蔵弾性率〕
各試料について、粘弾性測定装置(セイコーインスツルメンツ(株)製DMS6100)を用い、測定周波数1Hzで貯蔵弾性率(Pa)(25℃)を測定した。得られた結果を表3に示す。
【0109】
〔硬化収縮率〕
硬化収縮率(%)については、硬化前の樹脂液と硬化後の固体の比重を電子比重計(MIRAGE社製SD−120L)を用いて測定し、両者の比重差から次式により算出した。得られた結果を表3に示す。
【0110】
【数2】

【0111】
〔表面粗度〕
各樹脂組成物について、それぞれ2mgを液晶セル用ガラス板に滴下し、UV硬化の際に生ずる内部応力により発生するガラス板表面の所定領域(2.93mm×2.20mm)の歪み(Ra:平均表面粗度)を、Zygo社製3次元非接触表面粗度測定計にて測定した。得られた結果を表3に示す。
【0112】
【表3】

【0113】
表3から明らかなように、樹脂組成物a〜eでは貯蔵弾性率が4×10〜1×10Paであり、硬化収縮率が1.0〜4.5%であり、そのため、平均表面粗度Ra=1.5〜5.5nmで歪みがほとんどなく、良好な結果が得られた。これに対し、樹脂組成物f(Ra=12.4nm)、樹脂組成物g(Ra=36.5nm)、樹脂組成物h(Ra=64.2nm)は、Raが大きく、樹脂が硬化する際の内部応力により、樹脂とガラス板との界面が歪んでいることが理解される。したがって、このような樹脂組成物を基部と保護部との間で充填硬化すると、画像表示部及び保護部の界面が歪むため、画像が歪む不具合の発生を解消することができない。
【産業上の利用可能性】
【0114】
本発明は液晶表示装置等の画像表示装置の製造に有用である。
【符号の説明】
【0115】
1…画像表示装置
1A…画像表示装置
2…基部
3…保護部
4…透光性部材
5…遮光部
5a…遮光部の貼り合わせ面
6…フレーム
6a…フレームの貼り合わせ面
7…バックライト
8…液晶表示パネル(画像表示部)
9…スペーサ
10…光硬化型樹脂組成物
10a…画像表示領域にある光硬化型樹脂組成物
11…光硬化も熱硬化も可能な硬化型樹脂組成物
11a…遮光部形成領域にある硬化型樹脂組成物
11b…画像表示領域(遮光部の非形成領域)にある硬化型樹脂組成物
14…樹脂硬化物層
15…樹脂硬化物層
30…照射部
31…UV光照射装置
32、33、34…紫外線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像表示部を有する基部と、遮光部を有する透光性の保護部との間に光硬化型樹脂組成物を介在させ、光硬化させて樹脂硬化物層を形成する工程を有する画像表示装置の製造方法であって、
光硬化型樹脂組成物として、硬化収縮率が0〜2%、硬化物の25℃における貯蔵弾性率が1.0×10Pa以下、樹脂硬化物層の可視光領域の光透過率を90%以上とする樹脂組成物を使用し、
少なくとも遮光部と基部との間に熱重合開始剤を含有する硬化型樹脂組成物を介在させ、該硬化型樹脂組成物を加熱する工程を有する画像表示装置の製造方法。
【請求項2】
遮光部と基部との間に介在させる、熱重合開始剤を含有する硬化型樹脂組成物が、光硬化型樹脂組成物である請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
保護部の非遮光部と基部との間に介在させる光硬化型樹脂組成物には熱重合開始剤を含有させず、遮光部と基部との間に介在させた、熱重合開始剤を含有する光硬化型樹脂組成物に対して光照射及び加熱を行う請求項2記載の製造方法。
【請求項4】
遮光部と基部との間に介在させる硬化型樹脂組成物が、硬化収縮率が5%以下、硬化物の25℃における貯蔵弾性率が1.0×10Pa以下である請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
【請求項5】
光硬化型樹脂組成物の硬化物の25℃における貯蔵弾性率が1×10〜1×10Paである請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
【請求項6】
樹脂硬化物層の厚みが50〜200μmである請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
【請求項7】
遮光部と基部との間に介在させる光硬化型樹脂組成物に対する光照射を、遮光部の形成面の外方側面側から行う請求項3記載の製造方法。
【請求項8】
光硬化型樹脂組成物が、ポリウレタンアクリレート、ポリイソプレン系アクリレート又はそのエステル化物、テルペン系水素添加樹脂及びブタジエン重合体から選ばれる1種以上のポリマーと、イソボルニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート及び2−ヒドロキシブチルメタクリレートから選ばれる1種以上のアクリレート系モノマーと、光重合開始剤とを含有する請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法。
【請求項9】
画像表示部が、液晶表示パネルである請求項1〜8のいずれかに記載の製造方法。
【請求項10】
保護部が、アクリル樹脂からなる請求項1〜9のいずれかに記載の製造方法。
【請求項11】
保護部が、光学ガラスからなる請求項1〜9のいずれかに記載の製造方法。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれかに記載の製造方法により製造される画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−208501(P2012−208501A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−120861(P2012−120861)
【出願日】平成24年5月28日(2012.5.28)
【分割の表示】特願2008−96150(P2008−96150)の分割
【原出願日】平成20年4月2日(2008.4.2)
【出願人】(000108410)ソニーケミカル&インフォメーションデバイス株式会社 (595)
【Fターム(参考)】