説明

画像表示装置及び保護フィルム

【課題】 パネル飛散や傷付きを防止するための保護フィルムを設けた場合にも、偏光サングラスを通して画像を視認できる画像表示装置を安価かつ簡易に実現する。
【解決手段】 透明パネルの保護フィルムが、二軸延伸樹脂フィルムを基材とする保護フィルムであり、画像表示モジュール表面において、前記画像表示部から出射される直線偏光の偏光方向と、二軸延伸樹脂フィルムの一方の延伸軸方向とがなす角度θ1、及び、前記画像表示部から出射される直線偏光の偏光方向と、二軸延伸樹脂フィルムの他方の延伸軸方向とがなす角度θ2とが共に15〜75°である画像表示装置により偏光サングラスを介した場合にも好適に画像を視認できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示部からの出射光が直線偏光である画像表示モジュールと、前記画像表示モジュールの上部に設けられる透明パネルとを有し、前記透明パネルの少なくとも一面に保護フィルムが貼り付けられた画像表示装置からなる。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイ(LCD)や有機ELディスプレイ等の画像表示装置は、パソコンを始めとする広範な分野で用いられている。特に電子手帳、携帯電話、携帯オーディオプレイヤー等においては、近年益々小型化や薄型化が進み、更に動画再生機能等への対応から高精細化の要求も高くなっている。このような画像表示装置として、例えば、LCDモジュールや有機ELモジュール等の画像表示画像表示モジュールをその構成中に有し、当該画像表示画像表示モジュール上部に当該画像表示画像表示モジュールを保護する透明パネルが設けられた構成の画像表示装置が使用されている。特に近年では、電子機器のデザイン性や質感を高める目的から上記透明パネルとしてガラスパネルを用いることが多く、ガラスへの傷つき防止や破損した際のガラスの飛散を防止するための保護フィルムを透明パネル側に設けている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
LCD等の画像表示装置においては、モジュールの構成上の都合から出射光が直線偏光となる場合が多い。そのため、偏光サングラス等を使用して画像を見た場合においては、出射した直線偏光が偏光サングラスと直交し、画像が見えなくなる問題があった。
【0004】
この問題を解決する手段としては、画像表示装置中に位相差フィルムを貼付することで直線偏光を円偏光に変換する方法がある。しかし、画像表示部からの出射光が直線偏光である画像表示モジュールを有する画像表示装置においては、画像表示モジュール中に既に偏光板や偏光フィルムを有することから、画像表示モジュール上に、さらに位相差フィルムを設けた場合には、他数の位相差フィルムにより光の透過性の低下が大きくなる問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−275385号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、パネル飛散や傷付きを防止するための保護フィルムを設けた場合にも、偏光サングラスを通して画像を視認できる画像表示装置を安価かつ簡易に実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、透明パネルの保護フィルムが、二軸延伸樹脂フィルムを基材とする保護フィルムであり、画像表示モジュール表面において、前記画像表示部から出射される直線偏光の偏光方向と、二軸延伸樹脂フィルムの一方の延伸軸方向とがなす角度θ1、及び、前記画像表示部から出射される直線偏光の偏光方向と、二軸延伸樹脂フィルムの他方の延伸軸方向とがなす角度θ2とが共に15〜75°である画像表示装置により上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0008】
本発明における透明パネルの保護フィルムでは、二軸延伸樹脂フィルムを基材とすることで、延伸された二つの軸方向において屈折率を高くしている。さらに、これらの延伸軸方向と画像表示モジュールから出射された直線偏光の偏光方向を15〜75°にすることにより、直線偏光が保護フィルム内を透過する際に複数の屈折率の影響を与え、直線偏光を旋光させることで偏光サングラスを透過できる。
【0009】
本発明においては、新たにフィルム等を積層することがないため、光の透過性の低下や画像表示部の厚みを高くなることがない。
【0010】
また、本発明は透明パネルの保護フィルムを二軸延伸されたフィルムを基材としているため、光の旋光性だけでなく、保護フィルムとして必要となるパネルへの耐傷つき性や衝撃への耐久性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に使用する保護フィルムの形状例を示す概略図である。
【図2】本発明の画像表示装置における直線偏光の偏光方向を示す概略図である。
【図3】本発明の画像表示装置における保護フィルムに使用する二軸延伸樹脂フィルムの延伸軸方向を示す概略図である。
【図4】本発明の画像表示装置における直線偏光の偏光方向と、二軸延伸樹脂フィルム延伸軸方向とがなす角度θ1及びθ2を示す概略図である。
【図5】本発明の実施例における画像視認性の評価の概略図である。
【図6】本発明の実施例1の画像表示装置における画像視認性の評価結果である。
【図7】本発明の実施例3の画像表示装置における画像視認性の評価結果である。
【図8】本発明の比較例1の画像表示装置における画像視認性の評価結果である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、画像表示部からの出射光が直線偏光である画像表示モジュールと、前記画像表示モジュールの上部に設けられる透明パネルとを有し、前記透明パネルの少なくとも一面に保護フィルムが貼り付けられた画像表示装置であって、前記保護フィルムが、二軸延伸樹脂フィルムを基材とする保護フィルムであり、画像表示面表面において、前記画像表示部から出射される直線偏光の偏光方向と、二軸延伸樹脂フィルムの一方の延伸軸方向とがなす角度θ1、及び、前記画像表示部から出射される直線偏光の偏光方向と、二軸延伸樹脂フィルムの他方の延伸軸方向とがなす角度θ2とが共に15〜75°であることを特徴とする画像表示装置である。
【0013】
[画像表示モジュール]
本発明における画像表示モジュールとしては、画像表示部からの出射光が直線偏光であるものであれば特に限定されず、例えば、LCDモジュール、有機ELモジュール等が挙げられる。また、本発明のモジュールには、これらのモジュールの上部にタッチパネルモジュール等を設けたモジュールの積層体も含む。
【0014】
前記画像表示モジュールの画像表示部の形状は、略方形形状であることが望ましい。略方形形状であることで各種の表示装置、特に小型電子端末に組み込みやすくなる。本発明において、略方形形状とは、長方形や正方形の方形形状(図1(a))の他、当該方形形状の任意の角、好ましくは4つの角が面取りされた形状(図1(b),(c))等の方形形状に近似した形状を含む。
【0015】
前記画像表示モジュールの画像表示部が略方形形状である場合において、前記画像表示部から出射される直線偏光の偏光方向と、画像表示部の側辺とがなす角度ψ1が0〜5°であることが望ましい。角度ψ1がこの範囲にあることで直線偏光の偏光方向が容易に認識できるため、二軸延伸樹脂フィルムの一方の延伸軸方向とがなす角度θ1、及び、他方の延伸軸方向とがなす角度θ2を調整しやすくなる。
【0016】
また、前記画像表示部から出射される直線偏光の偏光方向と、画像表示部の底辺とがなす角度ψ2が0〜5°である場合も望ましい。この範囲でも同様に直線偏光の偏光方向が容易に認識できるため、角度θ1及び角度θ2を調整しやすくなる。
【0017】
[透明パネル]
本発明に使用する透明パネルは、特に限定されないが、一般的に使用されるパネルとして、ガラス板、(メタ)アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂等がある。特に近年では、電子機器のデザイン性や質感を高める目的からガラスパネルを用いることが好ましい。
【0018】
上記ガラスパネルは、強化ガラス板であることが好ましい。強化ガラスとしては、例えば、HOYA社製強化ガラス、コーニング社製Gorillaガラス、石塚ガラス社製IG3等が挙げられる。ガラス板を強化する方法としては、物理的強化法と化学的強化法が挙げられる。特に、化学的強化法はイオン交換法と風冷強化法がある。該ガラス板の材質は、フロートガラス、アルカリガラス、無アルカリガラスが挙げられる
【0019】
また、透明パネルには、電極層等がパターニングされ、それ自身がタッチセンサー等の機能を有する場合も含む。
【0020】
透明パネルには装飾部が設けられる場合がある。装飾部は、携帯電子端末の画面表示部の周囲に視認される文字や図形、あるいはこれらの背面に設けられる黒色や白色の下地などがある。これら装飾部は、透明パネルへの印刷により設けることが容易であるため好ましい。印刷方法や印刷インキ等は特に制限されず、シルク印刷、パッド印刷等の通常使用される印刷方法や印刷インキを使用できる。
【0021】
透明パネルの厚さは、50μm〜3mmのものが好ましく、75μm〜2mmのものが好ましく、100μm〜1mmのものがさらに好ましい。透明パネルの厚さが上記の範囲内だと、電子端末への適用時に薄型化が可能となる。
【0022】
[保護フィルム]
本発明に使用する保護フィルムは、二軸延伸樹脂フィルム基材を有するものであればよい。二軸延伸樹脂フィルム基材は、フィルムの延伸工程において二軸で延伸することにより製造されたフィルムである。
【0023】
上記基材の例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネートフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルムを用いることが望ましく、特にポリエチレンテレフタレートフィルムであることが望ましい。ポリエチレンテレフタレートフィルムを用いることで、光の旋光性、透過性、衝撃に対する強靭性に優れる。また、基材は、全光線透過率が85%以上であることが好ましい。
【0024】
上記基材の厚みとしては、25〜200μmであることが望ましく、さらに50〜150μmであることが望ましい。厚みをこの範囲にすることで、パネルへの傷付防止性や衝撃への耐久性と画像表示装置の薄型化を両立することができる。
【0025】
本発明に使用する保護フィルムは、上記二軸延伸樹脂フィルム基材を有するものであればよく、粘着剤や接着剤を介して透明パネルに固定される。なかでも二軸延伸樹脂フィルム基材の一面に粘着剤層が設けられた構成の保護粘着フィルムは、透明パネルへの貼付が容易となるため好ましい。
【0026】
粘着剤層としては、厚さが5〜50μmの粘着剤層を使用することが好ましい。本発明においては、粘着剤層の厚さを当該厚さとすることで、被着対象との十分な粘着力を発現できると共に、保護粘着フィルムの表面で応力集中が生じた場合にも、保護粘着フィルム全体の弾性率を高く保持できるため、パネルへの傷付きを防止することができる。
【0027】
また、粘着剤層に使用される粘着剤には、公知のアクリル系、ゴム系、シリコーン系の粘着樹脂を使用することができる。そのなかでも、反復単位として炭素数2〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体を主たる単量体成分として含有するアクリル系共重合体が、透明性、耐光性・耐熱性の点から好ましい。
【0028】
炭素数2〜14の(メタ)アクリル酸エステル単量体としては、具体的には、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、sec−ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、イソノニルアクリレート、イソデシルアクリレート、ラウリルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、sec−ブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、イソオクチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、イソノニルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート等が挙げられる。
【0029】
そのなかでも、炭素数が4〜9のアルキル側鎖を有するメタアクリル酸アルキルエステル単量体又は炭素数が4〜9のアルキル側鎖を有するアクリル酸アルキルエステル単量体が好ましく、炭素数が4〜9のアルキル側鎖を有するアクリル酸アルキルエステル単量体がより好ましい。なかでもn−ブチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、イソノニルアクリレート、エチルアクリレートが特に好ましい。当該範囲の炭素数のアルキル側鎖を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルを使用することで、好適な粘着力を確保しやすくなる。
【0030】
粘着剤層に使用するアクリル系共重合体を構成する単量体中の炭素数2〜14の(メタ)アクリル酸エステル単量体の含有量は、90〜99質量%とすることが好ましく、90〜96質量%にすることがより好ましい。当該範囲のカルボキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)中の上記炭素数2〜14の(メタ)アクリル酸エステル単量体の含有量にすることで、好適な粘着力を確保しやすくなる。また、アクリル系共重合体には、さらに単量体成分として、側鎖に水酸基、カルボキシル基、アミノ基などの極性基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体やその他のビニル系単量体を含有することが好ましい。
【0031】
粘着剤層に使用するアクリル系共重合体の重量平均分子量Mwは40万〜140万であることが好ましく、60万〜120万であることが、より好ましい。当該アクリル系共重合体の重量平均分子量Mwが上記範囲内であると、好適な接着力を確保しやすく、保護粘着フィルムとした際に、フィルム表面への荷重を好適に緩和することができる。
【0032】
上記保護フィルムにおいては、二軸延伸樹脂フィルム基材の一面にハードコート層を有することも好ましい。ハードコート層を有することにより、透明パネルへの傷付き防止性を向上することができる。ハードコート層は、上記フィルム基材と積層した際に3H以上の硬度を有するものであるものが望ましい。硬度を3以上にすることで透明パネルへの傷つき防止性能を向上することができる。また、ハードコート層は、二軸延伸樹脂フィルム基材の粘着剤層を有する面の反対面に設けることで、製造が容易となり、表面の傷付き抑制の効果が得られやすいため好ましい。なおハードコート層は、透明性が高いものや、偏光性物質を含まないものが好適な視認性を得やすくなるため好ましい。
【0033】
本発明に使用する保護フィルムの形状は、任意の形状であってよいが、略方形形状とすることで、各種の表示装置、特に小型電子端末に組み込みやすくなるため好ましい。
【0034】
本発明に使用する保護フィルムは、その形状が略方形形状である場合には、二軸延伸樹脂フィルム基材の一方の延伸軸方向と当該基材の一辺とがなす角度α1、及び、二軸延伸樹脂フィルム基材の他方の延伸軸方向と当該基材の一辺と直行する辺とがなす角度α2とが5〜85°であることが好ましく、15〜75°であることが更に好ましい。具体的には、例えば、略方形形状の保護フィルムの側辺と、二軸延伸樹脂フィルム基材の一方の延伸軸方向とがなす角度α1を5〜85°とし、底辺(又は頂辺)と二軸延伸樹脂フィルム基材の他方の延伸軸方向とがなす角度α2を5〜85°とする。なお、α1及びα2は、保護フィルムの各辺と延伸軸方向とがなす角のうち狭角側の角度であり、延伸軸方向はいずれを基準としてもよい。二軸延伸樹脂フィルムは、通常延伸方向が直交する方向に延伸されていることから、この場合には、α1を上記範囲とすることで、おのずとα2も上記範囲となる。二軸延伸樹脂フィルムの各延伸軸が直交しないように任意の方向に延伸することもできるが、二軸延伸樹脂フィルムの各延伸軸が略直交するように延伸されることで好適な強度や光学特性を得やすいことから、延伸軸二軸が面内で直交方向である二軸延伸樹脂フィルムであることが好ましい。本発明においては、このように保護フィルムの各辺と延伸軸方向が一致しない保護フィルムを使用することで、画像表示モジュールからの直線偏光と、保護フィルムに使用する二軸延伸樹脂フィルム基材の延伸軸方向とがなす角度θ1及びθ2を好適に調整しやすくなる。
【0035】
本発明に使用する保護フィルムは、その総厚さを50〜300μm以下、さらには、100〜250μmとすることが好ましい。厚みをこの範囲にすることで、パネルへの傷付防止性や衝撃への耐久性と画像表示装置の薄型化を両立することができる。
【0036】
[画像表示装置]
本発明の画像表示装置は、画像表示装置表層の画像表示面表面において、画像表示部から出射される直線偏光の偏光方向と、二軸延伸樹脂フィルムの一方の延伸軸方向とがなす角度θ1、及び、前記画像表示部から出射される直線偏光の偏光方向と、二軸延伸樹脂フィルムの他方の延伸軸方向とがなす角度θ2とが共に15〜75°となるように、画像表示モジュールの上部に、上記の保護フィルムが貼り付けられた透明パネルが設けられた画像表示装置である。以下、図面を用いて当該構成の例を説明する。
【0037】
本発明における直線偏光の偏光方向とは、直線偏光3を出射する画像表示モジュール1の上部に透明パネル2を有する画像表示装置において、当該透明パネル2が画像表示装置表層の画像表示面表面4を構成する場合に、画像表示面表面4にて直線偏光3の偏光方向5(偏光軸)をいう(図2)。当該偏光方向は任意の方向であってよいが、画像表示部が略方形形状である場合には、上述したとおり当該偏光方向と画像表示部の側辺とがなす角ψ1又は当該偏光方向と底辺とがなす角ψ2が0〜15°であることが好ましい。
【0038】
また、保護フィルムに使用する二軸延伸樹脂フィルムの延伸軸方向とは、フィルムの延伸工程において延伸された方向である。二軸延伸樹脂フィルムを基材とする保護フィルムは、使用する態様に応じて打ち抜き加工等により所望の形状、好ましくは方形形状に成型される。この際、保護フィルムにおける延伸軸方向は任意の方向であってよい。例えば、方形形状の保護フィルムの場合には、保護フィルム6の各辺と延伸軸方向7及び8が一致する保護フィルム(図3(a))であっても、保護フィルム6の各辺と延伸軸方向7及び8が一致しない保護フィルム(図3(b))であってもよい(図3中の矢印は二軸延伸樹脂フィルムの製造時の延伸方向)。
【0039】
なお、保護フィルム6の各辺と延伸軸方向7及び8が一致しない保護フィルム(図3(b))は、二軸延伸樹脂フィルムを製造する際に、樹脂フィルムの流れ方向及び幅方向に樹脂フィルムを延伸し、打ち抜き加工時に延伸軸方向と角辺とが直交又は並行とならないように打ち抜き加工する方法や、二軸延伸樹脂フィルムを製造する際に、樹脂フィルムの流れ方向及び幅方向に直交又は並行とならない方向に延伸し、流れ方向及び幅方向に準じて打ち抜き加工する方法等により得ることができる。
【0040】
本発明の画像表示装置は、画像表示面表面において、画像表示部から出射される直線偏光の偏光方向5と、二軸延伸樹脂フィルムの一方の延伸軸方向とがなす角度θ1、及び、画像表示部から出射される直線偏光の偏光方向と、二軸延伸樹脂フィルムの他方の延伸軸方向とがなす角度θ2は、15〜75°であり、好ましくは25〜65°である。また、さらに好ましくは35〜55°であり最も好ましくは40〜50°である。本発明においては、これらθ1及びθ2を上記範囲とすることで、偏光サングラスを使用した場合にもあらゆる方向からの視認性を簡易かつ安価に確保できる。
【0041】
方形形状の保護フィルムにおけるθ1及びθ2は、図4(a)(b)のとおりであり、画像表示面表面4において、画像表示部から出射される直線偏光の偏光方向5と、二軸延伸樹脂フィルムの一方の延伸軸方向7とがなす角度がθ1、画像表示部から出射される直線偏光の偏光方向5と、二軸延伸樹脂フィルムの他方の延伸軸方向8とがなす角度がθ2である。なお、θ1及びθ2は、偏光方向と延伸軸方向とがなす角のうち狭角側の角度である。また、延伸軸方向はいずれを基準としてもよい。
【0042】
二軸延伸樹脂フィルムは、通常延伸方向が直交する方向に延伸されていることから、θ1を上記範囲とすることで、おのずとθ2も上記範囲となる。延伸方向が直交していない場合には、θ1及びθ2のそれぞれが上記範囲となるよう画像表示装置を構成すればよい。
【実施例】
【0043】
以下に実施例および比較例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
【0044】
[保護フィルムに使用する粘着剤組成物の調製]
アクリル共重合体の調製攪拌機、還流冷却器、温度計、滴下漏斗及び窒素ガス導入口を備えた反応容器に、ブチルアクリレート65質量部、メチルアクリレート30質量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート5質量部を酢酸エチルに溶解し、重合を行い、質量平均分子量(Mw)70万のアクリル共重合体を得た(固形分30%)。このアクリル共重合体100質量部に対し、イソシアネート系架橋剤(日本ポリウレタン社製コロネートHL 固形分75%)を0.05質量部添加し、20分間攪拌機で攪拌し、粘着剤組成物を得た。
【0045】
[保護フィルムの作製]
上記粘着剤組成物を使用して、保護フィルムを以下のとおり調製した。
【0046】
<保護フィルムAの作製>
各延伸軸が直交した、厚さ100μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレート製フィルム(東洋紡社製コスモシャインA4100)の片面に上記方法で調整した粘着剤組成物を塗工して90℃で90秒間乾燥し、乾燥後の厚さが10μmの粘着剤層を有する保護フィルムAを得た。
【0047】
<保護フィルムBの作製>
各延伸軸が直交した、厚さ50μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレート製フィルム(東洋紡社製コスモシャインA4100)の片面に上記方法で調整した粘着剤組成物を塗工して90℃で90秒間乾燥し、乾燥後の厚さが10μmの粘着剤層を有する保護フィルムBを得た。
【0048】
<保護フィルムCの作製>
各延伸軸が直交した、厚さ100μmの二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルム(帝人デュポン社製テオネックス)の片面に上記方法で調整した粘着剤組成物を塗工して90℃で90秒間乾燥し、乾燥後の厚さが10μmの粘着剤層を有する保護フィルムCを得た。
【0049】
<保護フィルムDの作製>
厚さ100μmの無延伸ポリシクロオレフィンポリマーフィルム(日本ゼオン社製ゼオノアフィルム)の片面に上記方法で調整した粘着剤組成物を塗工して90℃で90秒間乾燥し、乾燥後の厚さが10μmの粘着剤層を有する保護フィルムDを得た。
【0050】
<保護フィルムEの作製>
厚さ50μmの無延伸アクリルフィルム(三菱レイヨン社製アクリプレン)片面に上記方法で調整した粘着剤組成物を塗工して90℃で90秒間乾燥し、乾燥後の厚さが10μmの粘着剤層を有する保護フィルムEを得た。
【0051】
[画像表示装置の作製]
上記保護フィルムを使用して、画像表示装置を以下のとおり作製した。
【0052】
<実施例1>
透明なガラスパネルの一面に長方形に切り出した保護フィルムAを貼り合わせ、保護フィルムAを貼り合わせたガラスパネルと、画像表示部からの出射光が直線偏光である液晶モジュールとを、ガラスパネルが最上部に位置するように固定した。この時、ガラスパネル表面(画像表示面表面)において、保護フィルムの基材のPETフィルムの一方の延伸軸方向と、液晶モジュールの画像表示部から出射される直線偏光とがなす角度が45°になる角度で固定して画像表示装置を作製した。
【0053】
<実施例2>
透明なガラスパネルの一面に長方形に切り出した保護フィルムAを貼り合わせ、保護フィルムAを貼り合わせたガラスパネルと、画像表示部からの出射光が直線偏光である液晶モジュールとを、ガラスパネルが最上部に位置するように固定した。この時、ガラスパネル表面(画像表示面表面)において、保護フィルムの基材のPETフィルムの一方の延伸軸方向と液晶モジュールの画像表示部から出射される直線偏光とがなす角度が30°になる角度で固定して画像表示装置を作製した。
【0054】
<実施例3>
透明なガラスパネルの一面に長方形に切り出した保護フィルムAを貼り合わせ、保護フィルムAを貼り合わせたガラスパネルと、画像表示部からの出射光が直線偏光である液晶モジュールとを、ガラスパネルが最上部に位置するように固定した。この時、ガラスパネル表面(画像表示面表面)において、保護フィルムの基材のPETフィルムの一方の延伸軸方向と液晶モジュールの画像表示部から出射される直線偏光とがなす角度が60°になる角度で固定して画像表示装置を作製した。
【0055】
<実施例4>
透明なガラスパネルの一面に長方形に切り出した保護フィルムAを貼り合わせ、保護フィルムAを貼り合わせたガラスパネルと、画像表示部からの出射光が直線偏光である液晶モジュールとを、ガラスパネルが最上部に位置するように固定した。この時、ガラスパネル表面(画像表示面表面)において、保護フィルムの基材のPETフィルムの一方の延伸軸方向と液晶モジュールの画像表示部から出射される直線偏光とがなす角度が15°になる角度で固定して画像表示装置を作製した。
【0056】
<実施例5>
透明なガラスパネルの一面に長方形に切り出した保護フィルムAを貼り合わせ、保護フィルムAを貼り合わせたガラスパネルと、画像表示部からの出射光が直線偏光である液晶モジュールとを、ガラスパネルが最上部に位置するように固定した。この時、ガラスパネル表面(画像表示面表面)において、保護フィルムの基材のPETフィルムの一方の延伸軸方向と液晶モジュールの画像表示部から出射される直線偏光とがなす角度が75°になる角度で固定して画像表示装置を作製した。
【0057】
<実施例6>
透明なガラスパネルの一面に長方形に切り出した保護フィルムBを貼り合わせ、保護フィルムBを貼り合わせたガラスパネルと、画像表示部からの出射光が直線偏光である液晶モジュールとを、ガラスパネルが最上部に位置するように固定した。この時、ガラスパネル表面(画像表示面表面)において、保護フィルムの基材のPETフィルムの一方の延伸軸方向と液晶モジュールの画像表示部から出射される直線偏光とがなす角度が45°になる角度で固定して画像表示装置を作製した。
【0058】
<実施例7>
透明なガラスパネルの一面に長方形に切り出した保護フィルムBを貼り合わせ、保護フィルムBを貼り合わせたガラスパネルと、画像表示部からの出射光が直線偏光である液晶モジュールとを、ガラスパネルが最上部に位置するように固定した。この時、ガラスパネル表面(画像表示面表面)において、保護フィルムの基材のPETフィルムの一方の延伸軸方向と液晶モジュールの画像表示部から出射される直線偏光とがなす角度が30°になる角度で固定して画像表示装置を作製した。
【0059】
<実施例8>
透明なガラスパネルの一面に長方形に切り出した保護フィルムBを貼り合わせ、保護フィルムBを貼り合わせたガラスパネルと、画像表示部からの出射光が直線偏光である液晶モジュールとを、ガラスパネルが最上部に位置するように固定した。この時、ガラスパネル表面(画像表示面表面)において、保護フィルムの基材のPETフィルムの一方の延伸軸方向と液晶モジュールの画像表示部から出射される直線偏光とがなす角度が60°になる角度で固定して画像表示装置を作製した。
【0060】
<実施例9>
透明なガラスパネルの一面に長方形に切り出した保護フィルムCを貼り合わせ、保護フィルムCを貼り合わせたガラスパネルと、画像表示部からの出射光が直線偏光である液晶モジュールとを、ガラスパネルが最上部に位置するように固定した。この時、ガラスパネル表面(画像表示面表面)において、保護フィルムの基材のPENフィルムの一方の延伸軸方向と液晶モジュールの画像表示部から出射される直線偏光とがなす角度が45°になる角度で固定して画像表示装置を作製した。
【0061】
<実施例10>
透明なガラスパネルの一面に長方形に切り出した保護フィルムCを貼り合わせ、保護フィルムCを貼り合わせたガラスパネルと、画像表示部からの出射光が直線偏光である液晶モジュールとを、ガラスパネルが最上部に位置するように固定した。この時、ガラスパネル表面(画像表示面表面)において、保護フィルムの基材のPENフィルムの一方の延伸軸方向と液晶モジュールの画像表示部から出射される直線偏光とがなす角度が30°になる角度で固定して画像表示装置を作製した。
【0062】
<実施例11>
透明なガラスパネルの一面に長方形に切り出した保護フィルムCを貼り合わせ、保護フィルムCを貼り合わせたガラスパネルと、画像表示部からの出射光が直線偏光である液晶モジュールとを、ガラスパネルが最上部に位置するように固定した。この時、ガラスパネル表面(画像表示面表面)において、保護フィルムの基材のPENフィルムの一方の延伸軸方向と液晶モジュールの画像表示部から出射される直線偏光とがなす角度が60°になる角度で固定して画像表示装置を作製した。
【0063】
<比較例1>
透明なガラスパネルの一面に長方形に切り出した保護フィルムAを貼り合わせ、保護フィルムAを貼り合わせたガラスパネルと、画像表示部からの出射光が直線偏光である液晶モジュールとを、ガラスパネルが最上部に位置するように固定した。この時、ガラスパネル表面(画像表示面表面)において、保護フィルムの基材のPETフィルムの一方の延伸軸方向と液晶モジュールの画像表示部から出射される直線偏光とがなす角度が90°になる角度で固定して画像表示装置を作製した。
【0064】
<比較例2>
透明なガラスパネルの一面に長方形に切り出した保護フィルムAを貼り合わせ、保護フィルムAを貼り合わせたガラスパネルと、画像表示部からの出射光が直線偏光である液晶モジュールとを、ガラスパネルが最上部に位置するように固定した。この時、ガラスパネル表面(画像表示面表面)において、保護フィルムの基材のPETフィルムの一方の延伸軸方向と液晶モジュールの画像表示部から出射される直線偏光とがなす角度が0°になる角度で固定して画像表示装置を作製した。
【0065】
<比較例3>
透明なガラスパネルの一面に長方形に切り出した保護フィルムBを貼り合わせ、保護フィルムBを貼り合わせたガラスパネルと、画像表示部からの出射光が直線偏光である液晶モジュールとを、ガラスパネルが最上部に位置するように固定した。この時、ガラスパネル表面(画像表示面表面)において、保護フィルムの基材のPETフィルムの一方の延伸軸方向と液晶モジュールの画像表示部から出射される直線偏光とがなす角度が90°になる角度で固定して画像表示装置を作製した。
【0066】
<比較例4>
透明なガラスパネルの一面に長方形に切り出した保護フィルムBを貼り合わせ、保護フィルムBを貼り合わせたガラスパネルと、画像表示部からの出射光が直線偏光である液晶モジュールとを、ガラスパネルが最上部に位置するように固定した。この時、ガラスパネル表面(画像表示面表面)において、保護フィルムの基材のPETフィルムの一方の延伸軸方向と液晶モジュールの画像表示部から出射される直線偏光とがなす角度が0°になる角度で固定して画像表示装置を作製した。
【0067】
<比較例5>
透明なガラスパネルの一面に長方形に切り出した保護フィルムCを貼り合わせ、保護フィルムCを貼り合わせたガラスパネルと、画像表示部からの出射光が直線偏光である液晶モジュールとを、ガラスパネルが最上部に位置するように固定した。この時、ガラスパネル表面(画像表示面表面)において、保護フィルムの基材のPENフィルムの一方の延伸軸方向と液晶モジュールの画像表示部から出射される直線偏光とがなす角度が90°になる角度で固定して画像表示装置を作製した。
【0068】
<比較例6>
透明なガラスパネルの一面に長方形に切り出した保護フィルムCを貼り合わせ、保護フィルムCを貼り合わせたガラスパネルと、画像表示部からの出射光が直線偏光である液晶モジュールとを、ガラスパネルが最上部に位置するように固定した。この時、ガラスパネル表面(画像表示面表面)において、保護フィルムの基材のPENフィルムの一方の延伸軸方向と液晶モジュールの画像表示部から出射される直線偏光とがなす角度が0°になる角度で固定して画像表示装置を作製した。
【0069】
<比較例7>
透明なガラスパネルの一面に長方形に切り出した保護フィルムDを貼り合わせ、保護フィルムDを貼り合わせたガラスパネルと、画像表示部からの出射光が直線偏光である液晶モジュールとを、ガラスパネルが最上部に位置するように固定した。この時の保護フィルムの側辺と液晶モジュールの画像表示部から出射される直線偏光とがなす角度γが45°となるよう固定して画像表示装置を作製した。
【0070】
<比較例8>
透明なガラスパネルの一面に長方形に切り出した保護フィルムDを貼り合わせ、保護フィルムDを貼り合わせたガラスパネルと、画像表示部からの出射光が直線偏光である液晶モジュールとを、ガラスパネルが最上部に位置するように固定した。この時の保護フィルムの側辺と液晶モジュールの画像表示部から出射される直線偏光とがなす角度γが30°となるよう固定して画像表示装置を作製した。
【0071】
<比較例9>
透明なガラスパネルの一面に長方形に切り出した保護フィルムDを貼り合わせ、保護フィルムDを貼り合わせたガラスパネルと、画像表示部からの出射光が直線偏光である液晶モジュールとを、ガラスパネルが最上部に位置するように固定した。この時の保護フィルムの側辺と液晶モジュールの画像表示部から出射される直線偏光とがなす角度γが60°となるよう固定して画像表示装置を作製した。
【0072】
<比較例10>
透明なガラスパネルの一面に長方形に切り出した保護フィルムDを貼り合わせ、保護フィルムDを貼り合わせたガラスパネルと、画像表示部からの出射光が直線偏光である液晶モジュールとを、ガラスパネルが最上部に位置するように固定した。この時の保護フィルムの側辺と液晶モジュールから出射される直線偏光とがなす角度γが90°となるよう固定して画像表示装置を作製した。
【0073】
<比較例11>
透明なガラスパネルの一面に長方形に切り出した保護フィルムDを貼り合わせ、保護フィルムDを貼り合わせたガラスパネルと、画像表示部からの出射光が直線偏光である液晶モジュールとを、ガラスパネルが最上部に位置するように固定した。この時の保護フィルムの側辺と液晶モジュールの画像表示部から出射される直線偏光とがなす角度γが0°となるよう固定して画像表示装置を作製した。
【0074】
<比較例12>
透明なガラスパネルの一面に長方形に切り出した保護フィルムEを貼り合わせ、保護フィルムEを貼り合わせたガラスパネルと、画像表示部からの出射光が直線偏光である液晶モジュールとを、ガラスパネルが最上部に位置するように固定した。この時の保護フィルムの側辺と液晶モジュールの画像表示部から出射される直線偏光とがなす角度γが45°となるよう固定して画像表示装置を作製した。
【0075】
<比較例13>
透明なガラスパネルの一面に長方形に切り出した保護フィルムEを貼り合わせ、保護フィルムEを貼り合わせたガラスパネルと、画像表示部からの出射光が直線偏光である液晶モジュールとを、ガラスパネルが最上部に位置するように固定した。この時の保護フィルムの側辺と液晶モジュールの画像表示部から出射される直線偏光とがなす角度γが30°となるよう固定して画像表示装置を作製した。
【0076】
<比較例14>
透明なガラスパネルの一面に長方形に切り出した保護フィルムEを貼り合わせ、保護フィルムEを貼り合わせたガラスパネルと、画像表示部からの出射光が直線偏光である液晶モジュールとを、ガラスパネルが最上部に位置するように固定した。この時の保護フィルムの側辺と液晶モジュールの画像表示部から出射される直線偏光とがなす角度γが60°となるよう固定して画像表示装置を作製した。
【0077】
<比較例15>
透明なガラスパネルの一面に長方形に切り出した保護フィルムEを貼り合わせ、保護フィルムEを貼り合わせたガラスパネルと、画像表示部からの出射光が直線偏光である液晶モジュールとを、ガラスパネルが最上部に位置するように固定した。この時の保護フィルムの側辺と液晶モジュールの画像表示部から出射される直線偏光とがなす角度γが90°となるよう固定して画像表示装置を作製した。
【0078】
<比較例16>
透明なガラスパネルの一面に長方形に切り出した保護フィルムEを貼り合わせ、保護フィルムEを貼り合わせたガラスパネルと、画像表示部からの出射光が直線偏光である液晶モジュールとを、ガラスパネルが最上部に位置するように固定した。この時の保護フィルムの側辺と液晶モジュールの画像表示部から出射される直線偏光とがなす角度γが0°となるよう固定して画像表示装置を作製した。
<比較例17>
透明なガラスパネルと、画像表示部からの出射光が直線偏光である液晶モジュールとを、ガラスパネルが上部に位置するように固定して画像表示装置を作製した。
【0079】
[画像の視認性の確認]
上記実施例及び比較例にて作製した画像表示装置の上部に、液晶モジュールから出射される直線偏光と直交する直線偏光のみが透過する偏光板を設置した。偏光板を360°回転させ、画像表示装置から射出される画像の視認性を確認した(図5)。評価基準は以下の通りとした。評価結果を表1〜3に示した。また、実施例1の画像表示装置の視認性を確認した結果を図6に、実施例3の画像表示装置にて輝度が落ちる領域での視認性を確認した結果を図7に、比較例1の画像表示装置において画像が暗くなる領域での視認性を確認した結果を図8に示した。なお図6〜8中のカーソルは画像表示部の画像である。
◎:回転域全域で輝度が変化せず、良好な輝度を有し、回転域全域での画像の視認性が極めて良好である。
○:回転域全域で輝度がほとんど変化せず、十分な輝度を有し、回転域全域での画像の視認性が良好である。
○△:回転域の一部で輝度が落ちる領域があり、当該領域で若干暗さを感じるが、回転域全域で実用可能な画像視認性を有する。
×:回転域の一部で画像が暗くなり、当該領域では画像がほとんど見えない。
【0080】
[ガラスの強度向上及び飛散防止性]
ガラスの強度及び飛散防止性の評価は、JIS R1601規格の3点曲げ試験法に基づき行った。上記実施例及び比較例にて作製した画像表示装置の上記実施例及び比較例にて作製した画像表示装置の保護フィルムを貼り合わせたガラスパネル(比較例17は保護フィルム無しのガラスパネル)の保護フィルム側の面を2点で固定した。次にガラスパネル側の中央に応力をかけ、ガラスが割れた際の応力とガラスの飛散度を確認した。ガラス飛散の評価基準は以下の通りとした。
○:ガラス破片の飛散なし
×:ガラス破片の飛散あり
【0081】
【表1】

【0082】
【表2】

【0083】
【表3】

【0084】
表1〜3に示した通り、ガラスパネルに貼付した保護フィルムが、二軸延伸樹脂フィルムを基材とする保護フィルムであり、かつ、角度θ1及び、角度θ2とが共に15〜75°である実施例1〜11の画像表示装置は、ガラスパネルの強度向上や、割れが生じた際のガラス飛散を防止できると共に、偏光板を介して視認した場合にも画像を良好に視認することができる。
【符号の説明】
【0085】
1 画像表示モジュール
2 透明パネル
3 画像表示モジュールから出射される直線偏光
4 画像表示面表面
5 直線偏光の偏光方向
6 保護フィルム
7 二軸延伸樹脂フィルム基材の延伸軸方向
8 二軸延伸樹脂フィルム基材の延伸軸方向
11 直線偏光を出射する液晶モジュール
12 保護フィルム
13 透明ガラスパネル
14 偏光板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像表示部からの出射光が直線偏光である画像表示モジュールと、前記画像表示モジュールの上部に設けられる透明パネルとを有し、前記透明パネルの少なくとも一面に保護フィルムが貼り付けられた画像表示装置であって、
前記保護フィルムが、二軸延伸樹脂フィルムを基材とする保護フィルムであり、
画像表示面表面において、前記画像表示部から出射される直線偏光の偏光方向と、二軸延伸樹脂フィルムの一方の延伸軸方向とがなす角度θ1、及び、前記画像表示部から出射される直線偏光の偏光方向と、二軸延伸樹脂フィルムの他方の延伸軸方向とがなす角度θ2とが共に15〜75°であることを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
前記保護フィルムが、基材の一面に粘着剤層を有し、他面にハードコート層を有する保護フィルムである請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記透明パネルが、画像表示モジュール側表面に保護フィルムが貼り付けられた透明パネルである請求項1又は2に記載の画像表示装置。
【請求項4】
前記画像表示モジュールの画像表示部が略方形形状であり、前記画像表示部から出射される直線偏光の偏光方向と、画像表示部の側辺とがなす角度ψ1が0〜15°である請求項1〜3のいずれかに記載の画像表示装置。
【請求項5】
前記画像表示モジュールの画像表示部が略方形形状であり、前記画像表示部から出射される直線偏光の偏光方向と、画像表示部の底辺とがなす角度ψ2が0〜15°である請求項1〜3のいずれかに記載の画像表示装置。
【請求項6】
画像表示部からの出射光が直線偏光である画像表示モジュールと、前記画像表示モジュールの上部に設けられる透明パネルとを有する画像表示装置において、前記透明パネルの少なくとも一面に貼り付けられる保護フィルムであって、
二軸延伸樹脂フィルムからなる基材の一面に粘着剤層を有し、
前記基材が略方形形状を有し、
前記二軸延伸樹脂フィルムの一方の延伸軸方向と前記基材の一辺とがなす角度α1、および、前記二軸延伸樹脂フィルムの他方の延伸軸方向と前記基材の一辺と直行する辺とがなす角度α2とが5〜85度であることを特徴とする保護フィルム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−19941(P2013−19941A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−150837(P2011−150837)
【出願日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(000002886)DIC株式会社 (2,597)
【Fターム(参考)】