説明

画像表示装置及び照明装置

【課題】安全規格を確保しつつ、明るい画像表示装置及び照明装置を提供する。
【解決手段】画像表示装置は、投写光22を用いて画像を表示する画像表示装置であって、投写光22の光源16と、第1認識手段14と投写光22が通過する開口部26とを有し、投写光22の出射口部24の前面に投写光22を覆うように配設された安全カバー部材10と、第1認識手段14に対応して形成された第2認識手段18と、第2認識手段18からの信号により安全カバー部材10の状態を認識し、安全カバー部材10が所定の状態に配設された場合に光源16から所定の光量で発光させる制御部20と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示装置及び照明装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、プロジェクタ等の画像表示装置用照明光源として超高圧水銀ランプ(UHP)が用いられているが、照明色温度の制約、間歇点灯の不可、及び短寿命等について課題がある。そこで、それらを克服するレーザ光源を用いたモニタ装置が提案されている。
【0003】
一方、レーザ光源は単位面積当たりの光線強度について安全規格が設けられおり、レーザ光源を用いたプロジェクタの照度を定めるうえで、観察者が最大限近づける範囲における単位面積当たりの光線強度が限定条件となっている。又、安全確保のため危険領域への人体侵入検知等の監視装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2003−269915号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、レーザ機器の安全確保のため、単位面積当たりの光線強度を一定レベル以下にする必要がある。一定レベル以下の光線強度になるまで筐体を広げると、レーザ機器が大きくなり運搬が不便となる。又、投影領域に対し観察者が侵入した場合において、光源を消灯するものもあるが、所望の照度を確保しつつ安全を確保することは困難である。
【0006】
本発明は、このような従来の問題点に着目してなされたもので、その目的は、安全規格を確保しつつ、明るい画像表示装置及び照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明に係る画像表示装置は、投写光を用いて画像を表示する画像表示装置であって、前記投写光の光源と、第1認識手段と前記投写光が通過する開口部とを有し、前記投写光の出射口部の前面に前記投写光を覆うように配設された安全カバー部材と、前記第1認識手段に対応して形成された第2認識手段と、前記第2認識手段からの信号により前記安全カバー部材の状態を認識し、前記安全カバー部材が所定の状態に配設された場合に前記光源から所定の光量で発光させる制御部と、を含む。
【0008】
本発明によれば、安全カバー部材が所定の状態に配設されていないと、光源が所定の光量で発光しないため、観察者が光線密度の高い領域に近づけないことから、安全規格を確保しつつ、明るい画像表示装置を提供できる。
【0009】
(2)この画像表示装置において、前記安全カバー部材は、前記出射口部の前面から着脱可能であってもよい。これによれば、運搬時及び収納時のスペースの確保が容易になる。
【0010】
(3)この画像表示装置において、前記第1認識手段は、磁性チップで構成され、前記第2認識手段は、磁気センサで構成されてもよい。これによれば、認識手段の構成が容易になる。
【0011】
(4)この画像表示装置において、前記第1及び第2認識手段は、電気的認識回路で構成されてもよい。これによれば、誤検出の回避が容易になる。
【0012】
(5)この画像表示装置において、前記第1及び第2認識手段は、非接触式ID検出回路で構成されてもよい。これによれば、所定の安全カバー部材の確認が容易になる。
【0013】
(6)この画像表示装置において、前記電気的認識回路は、ロジック回路で構成されてもよい。これによれば、より誤検出の回避が容易になる。
【0014】
(7)この画像表示装置において、前記磁気センサは、前記安全カバー部材が所定の状態に配設されないと前記安全カバー部材の配設の検出ができなくてもよい。これによれば、誤検出の回避が容易になる。
【0015】
(8)この画像表示装置において、前記安全カバー部材の前記開口部の開口面積は、前記出射口部の開口面積より大きくてもよい。これによれば、レーザ光のエネルギー密度を下げることが容易になる。
【0016】
(9)この画像表示装置において、前記安全カバー部材の少なくとも一部は透明部材で形成されてもよい。これによれば、圧迫感のない構成で安全を確保することが容易になる。
【0017】
(10)この画像表示装置において、前記制御部は、前記安全カバー部材が配設されたことの信号が検出できない場合は、前記光源を所定の光量より低い光量で発光させてもよい。これによれば、使い勝手を考慮しつつ安全を確保することが容易になる。
【0018】
(11)この画像表示装置において、前記安全カバー部材は前記画像表示装置に収納可能であってもよい。これによれば、運搬時及び収納時のスペースの確保が更に容易になる。
【0019】
(12)本発明に係る照明装置は、照明光を照射する照明装置であって、前記照明光の光源と、第1認識手段と前記照明光が通過する開口部とを有し、前記照明光の出射口部の前面に前記照明光を覆うように配設された安全カバー部材と、前記第1認識手段に対応して形成された第2認識手段と、前記第2認識手段からの信号により前記安全カバー部材の状態を認識し、前記安全カバー部材が所定の状態に配設された場合に前記光源から所定の光量で発光させる制御部と、を含む。
【0020】
本発明によれば、安全カバー部材が所定の状態に配設されていないと、光源が所定の光量で発光しないため、観察者が光線密度の高い領域に近づけないことから、安全規格を確保しつつ、明るい照明装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0022】
本実施の形態は、本発明に係る光源を、レーザ(LD)光源に適用した例である。又、本実施の形態は、本発明に係る画像表示装置をプロジェクタに適用した例である。
【0023】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るプロジェクタを示す図である。本実施の形態に係るプロジェクタ2は、安全カバー部材10と、プロジェクタ本体12と、を備える。安全カバー部材10は、第1認識手段14を備える。プロジェクタ本体12は、LD光源16と、第2認識手段18と、制御部20と、を備える。
【0024】
LD光源16は、そこから発光した光を照明光として照射する照明装置(図示せず)に含まれ、プロジェクタ本体12は、照明装置からの照明光を液晶パネル(図示せず)などで変調した投写光22を用いて画像を表示する。尚、照明光の変調手段はミラーデバイスなどでもよい。又、プロジェクタ本体12はLD光源16から発するレーザ光を走査することによって画像を表示するものでもよい。
【0025】
第1認識手段14は、安全カバー部材10に埋め込まれている。
【0026】
第2認識手段18は、プロジェクタ本体12に安全カバー部材10を配設した時、安全カバー部材10と接近或いは接触する面側のプロジェクタ本体12に形成されている。具体的には、第2認識手段18は、投写光22の出射口部24に隣接して形成されている。第2認識手段18は、安全カバー部材10が所定の状態に配設されると、安全カバー部材10に埋め込まれている第1認識手段14を検出する。即ち、第2認識手段18は、安全カバー部材10が所定の状態に配設されないときは、第1認識手段14を検出しない。そして、第2認識手段18は、第1認識手段14の検出状態を示す信号を出力する。
【0027】
制御部20は、第2認識手段18からの信号により安全カバー部材10の状態を認識する。制御部20は、安全カバー部材10が所定の状態に配設されたと認識した場合、LD光源16を所定の光量で発光させる。制御部20は、安全カバー部材10が所定の状態に配設されていないと認識した場合、LD光源16を発光させない。尚、この場合、LD光源16を所定の光量より低い光量で発光させてもよい。
【0028】
安全カバー部材10は、プロジェクタ本体12の外周部に配設されている。具体的には、安全カバー部材10は、プロジェクタ本体12の投写光22が射出される出射口部24の前面に、投写光22を覆うように配設されている。尚、安全カバー部材10は、プロジェクタ本体12に嵌合部を用いて配設されていてもよい。
【0029】
ここで、安全カバー部材10は、プロジェクタ本体12から着脱可能であってもよい。その場合、図1(B)に示すように、安全カバー部材10は、プロジェクタ本体12の外側に被さるように収納され、使用時には安全カバー部材10は、図1(A)に示すように、プロジェクタ本体12の外側から外され、プロジェクタ本体12に配設される。一方、安全カバー部材10は蛇腹状或いは伸縮可能な形状のものであって、プロジェクタ2を使用しないとき、プロジェクタ本体12に収納されてもよい。これにより、使用するときには、広げて或いは引き伸ばして使用し、使用しないときには、閉じる或いはたたむことで、持ち運び時、プロジェクタ2をコンパクトにすることができる。尚、安全カバー部材10は、少なくとも一部が透明部材で形成されていてもよい。
【0030】
図2は、本発明の第1の実施の形態に係る安全カバー部材を示す図である。安全カバー部材10は、第1認識手段14を含む。第1認識手段14は、安全カバー部材10に埋め込まれている。第1認識手段14は、第2認識手段18に対向している。安全カバー部材10がプロジェクタ本体12に配設された時、プロジェクタ本体12の第2認識手段18と対向するように形成されている第1認識手段14は、第2認識手段18に検出される。
【0031】
安全カバー部材10は、開口部26を含んでいる。開口部26は、投写光22が通過する。開口部26の投写光22が射出される側の開口面積は、投写光22の出射口部24の開口面積より大きくてもよい。
【0032】
図3及び図4は、本発明の第1の実施の形態に係る第1及び第2の認識手段を示す図である。図3(A)に示すように、プロジェクタ本体12に設けられた第2認識手段18と安全カバー部材10に設けられた第1認識手段14とが近づく或いは接触することにより、第2認識手段18が第1認識手段14を検出する。第2認識手段18は検出結果を制御部20へ送る。制御部20は、安全カバー部材10がプロジェクタ本体12に装着されたことを認識する。正常に安全カバー部材10がプロジェクタ本体12に取り付けられていると制御部20で認識した場合、制御部20は、LD光源16を所定の光量で発光させる。
【0033】
尚、第1及び第2認識手段14,18は、接触型であってもよい。第1及び第2認識手段14,18は、電気的認識回路で構成されていてもよい。電気的認識回路は、ロジック回路で構成されていてもよい。例えば、図3(B)に示すように、第2認識手段18は、カバー検知回路28を含む接点部P30であり、第1認識手段14は、IDが設定されたICを含む接点部C32である。接点部P30と接点部C32とが接触することにより、ICに電流が流れカバー検知回路28でIDを読み取ることができる。
【0034】
又、第1及び第2認識手段14,18は、非接触型であってもよい。第1及び第2認識手段14,18は、電気的認識回路で構成されていてもよい。電気的認識回路は、ロジック回路で構成されていてもよい。例えば、図3(C)に示すように、第2認識手段18は、カバー検知回路34を含むアンテナP36であり、第1認識手段14は、IDが設定されたICを含むアンテナC38である。アンテナP36とアンテナC38とが接近することにより、誘導電力通信でICに電流が流れアンテナP36とアンテナC38との間で通信が行われ、カバー検知回路34でIDを読み取ることができる。第2認識手段18は、非接触式ID検出回路で構成されていてもよい。
【0035】
又、第2認識手段18は、磁気センサで構成されていてもよい。第1認識手段14は、磁性チップで構成されていてもよい。例えば、図4(A)に示すように、第2認識手段18は、マグネットセンサ40であり、第1認識手段14は、マグネット42である。マグネットセンサ40とマグネット42とが近づくことによりマグネットセンサ40でマグネット42を検出することができる。さらに、図4(B)に示すように、複数のマグネットセンサ40と複数のマグネット42とを用い、複数のマグネットセンサ40は、図4(C)に示すように、A接点とB接点との組み合わせにすることで誤検出を回避することができる。
【0036】
図5は、本発明の第1の実施の形態に係るプロジェクタの構成を示すブロック図である。制御部20は、第2認識手段18と接続され、第2認識手段18からの信号により安全カバー部材10の状態を認識し、LD光源制御部44に制御信号を出力する。制御部20は、第2認識手段18からの信号により安全カバー部材10の状態を認識し、安全カバー部材10が所定の状態に配設されたと認識した場合には、正常表示部46に正常であることを表示し、LD光源制御部44にLD光源16を所定の光量で発光させる制御信号を出力する。
【0037】
又、安全カバー部材10が所定の状態に配設されていないと認識した場合には、異常表示部48に異常であることを表示し、LD光源制御部44にLD光源16を発光させる制御信号は出力しない。尚、LD光源制御部44にLD光源16を所定の光量より低い光量で発光させる制御信号を出力するようにしてもよい。制御部20は、操作スイッチによりON/OFFされる。制御部20は、本体カバーの開閉状態、本体温度状態、及びLD光源制御部44の状態を監視している。
【0038】
LD光源制御部44は、駆動部50と接続され、制御部20からの制御信号を受け、駆動部50に駆動信号を出力する。LD光源制御部44は、異常信号を制御部20へ出力する。
【0039】
駆動部50は、LD光源16と接続され、LD光源制御部44からの駆動信号を受け、駆動電源によりLD光源16を発光させる。
【0040】
図6は、本発明の第1の実施の形態に係るプロジェクタの制御方法のフローチャート図である。
まず、制御部20は、安全カバー部材10がプロジェクタ本体12に配設されたかインターロックチェックを行う(ステップS100)。制御部20は、本体カバーの開閉状態、本体温度状態、及びLD光源制御部44の状態について監視する。
【0041】
次に、これらの監視に基づき、安全カバー部材10が所定の状態に配設され、本体カバーの開閉状態、本体温度状態、及びLD光源制御部44の状態がそれぞれ正常状態であるか認識(判定)する(ステップS110)。
【0042】
上記判定の結果、安全カバー部材10が所定の状態に配設され、本体カバーの開閉状態、本体温度状態、及びLD光源制御部44の状態がそれぞれ正常状態であると判定した場合には(ステップS110:Yes)、制御部20は、正常表示部46に正常であることを表示する(ステップS120)。
【0043】
次に、制御部20は、LD光源16を所定の光量で発光させる(ステップS130)。具体的には、制御部20は、LD光源16を所定の光量で発光させるようにLD光源制御部44を制御信号により制御する。LD光源制御部44は、LD光源16を所定の光量で発光させるように駆動部50を駆動信号により駆動し、LD光源16を所定の光量で発光させる。そして、この処理を終了する。以降、LD光源16より所定の光量が発光される。
【0044】
上記ステップS110において、判定の結果、安全カバー部材10が所定の状態に配設されていない場合、或いは、本体カバーの開閉状態、本体温度状態、及びLD光源制御部44の状態のうち少なくともひとつが正常に動作していないと判定した場合には(ステップS110:No)、制御部20は、異常表示部48に異常であることを表示する(ステップS140)。そして、制御部20は、LD光源16を発光させないで、この処理を終了する。尚、異常表示の場合、LD光源16は、所定の光量より低いパワーで発光してもよい。具体的には、制御部20は、LD光源16を所定の光量より低い光量で発光させるようにLD光源制御部44を制御信号により制御する。LD光源制御部44は、LD光源16を所定の光量より低い光量で発光させるように駆動部50を駆動信号により駆動し、LD光源16を所定の光量より低い光量で発光させる。そして、この処理を終了する。以降、LD光源16より所定の光量より低い光量が発光される。
【0045】
図7は、本発明の第1の実施の形態に係る出射口から離れた状態でのエネルギー密度を示す図である。プロジェクタ2の投写光22の広がり角度θは、出射口部24の投写レンズのF値よりθ=tan-1(1/2F)で求まる。ここで、出射口部24の開口の口径寸法をdとした場合、出射口部24より光路長Lの距離離れた投写光22の断面の径寸法は、D=d+2(tanθ・L)となり、その面積は、A=π((d+2(tanθ・L))/2)2となる。これより、出射口部24より光路長Lの距離離れた投写光22の断面積Aは、投写レンズのF値と出射口部24からの距離の二乗に比例するというエネルギー密度が定義される。つまり、規定値以内のエネルギー密度が出射口部24より光路長Lの距離離れた投写光22である場合、出射口部24より光路長Lの距離の部分の投写光22を観察者から見えないように規制することで、明るいプロジェクタ2であっても安全を確保できるようになる。図7(B)及び図7(C)に示すように、安全カバー部材10の開口部26の投写光22が射出される側の開口面積Aは、プロジェクタ2の出射口部24の開口面積aより大きい。尚、本実施の形態では、プロジェクタ2である画像表示装置に関して説明したが、これを照明装置に適用してもよい。又、本実施の形態では、照明光をレーザ光として説明したが、これを従来のUHPに適用してもよい。
【0046】
(第2の実施の形態)
図8は、本発明の第2の実施の形態に係る照明装置を示す図である。本実施の形態に係る照明装置4は、照明装置本体52を含む。照明装置本体52は、LD光源16を含み、LD光源16から発光する照明光54を照射する。照明装置本体52には、図8(B)に示すように、照明光54が射出する出射口部24の周囲にCマウントタイプの嵌合部56が形成されている。嵌合部56の隣接には、第2認識手段としての複数の磁気センサ58が設けられている。
【0047】
本実施の形態に係る照明装置4は、安全カバー部材60を含む。安全カバー部材60は、第1認識手段としての複数の磁性チップ62を含む。安全カバー部材60の内部には、図8(A)に示すように、折り返しミラー64が設けられ光路長Lが確保されている。図8(C)に示すように、磁気センサ58と磁性チップ62とが近づくことにより、磁気センサ58が磁性チップ62を検出する。磁気センサ58は検出結果を制御部20へ送る。制御部20は、安全カバー部材60が照明装置本体52に配設されたことを認識する。又、複数の磁気センサ58と複数の磁性チップ62とを用いることで、他の磁性体が近づくことによる誤検出を防止することができる。尚、本実施の形態は、照明装置4に関して説明したが、これを画像表示装置に適用してもよい。
【0048】
(第3の実施の形態)
図9は、本発明の第3の実施の形態に係るプロジェクタを示す図である。本実施の形態に係るプロジェクタ6は、図9(A)に示すように、プロジェクタ本体66を含む。プロジェクタ本体66は、図9(C)に示すように、投写光22が射出される出射口部24の周囲にCマウントタイプの嵌合部68が形成されている。嵌合部68の隣接には、第2認識手段としてのID検出手段70(図9(B))が設けられている。
【0049】
本実施の形態に係るプロジェクタ6は、コーン型の安全カバー部材72を含む。安全カバー部材72には、図9(B)に示すように、第2認識手段としての複数のID74が埋め込まれている。プロジェクタ本体66と安全カバー部材72とは、嵌合部68で結合され配設されている。ID検出手段70とID74とが近づくことにより、ID検出手段70がID74を検出する。ID検出手段70がID74を検出することにより、制御部20は、安全カバー部材72がプロジェクタ本体66に配設されたと認識する。安全カバー部材72により、規定値以内のエネルギー密度が出射口部24より光路長Lの距離離れた投写光22である場合、図9(C)に示すように、出射口部24より光路長Lの距離の部分の投写光22を観察者から見えないように規制することで、明るいプロジェクタ6であっても安全を確保できる。尚、本実施の形態は、プロジェクタ6である画像表示装置に関して説明したが、これを照明装置に適用してもよい。
【0050】
(第4の実施の形態)
図10は、本発明の第4の実施の形態に係るプロジェクタを示す図である。図11及び図12は、本発明の第4の実施の形態に係る第1及び第2認識手段を示す図である。本実施の形態に係るプロジェクタ8は、図10に示すように、プロジェクタ本体76を含む。プロジェクタ本体76は、図11に示すように、第2認識手段としての接点部AP78及び接点部BP80を含む。接点部AP78及び接点部BP80は、プロジェクタ本体76に安全カバー部材82を配設した時、安全カバー部材82と対向する面に形成されている。接点部AP78は、図12(A)に示すように、AP1〜AP6の接点で構成されている。接点部BP80は、図12(C)に示すように、BP1〜BP6の接点で構成されている。
【0051】
本実施の形態に係るプロジェクタ8は、安全カバー部材82を含む。安全カバー部材82は、プロジェクタ本体76の片側に収納可能である。安全カバー部材82は、U字溝の形状である。安全カバー部材82は、長手方向と直交する断面がU字である。
【0052】
安全カバー部材82は、図11に示すように、第2認識手段としての接点部AC84及び接点部BC86を含む。接点部AC84及び接点部BC86は、安全カバー部材82がプロジェクタ本体76に配設された時、プロジェクタ本体76の接点部AP78と対向するように接点部AC84、接点部BP80と対抗するように接点部BC86が形成されている。
【0053】
接点部AC84は、図12(B)に示すように、AC1〜AC6の接点が接点部AP78のAP1〜AP6の接点に対向するように構成されている。AC1〜AC6の接点は、安全カバー部材82側で配線をクロスさせておく。具体的には、AC1−AC6、AC2−AC5、及びAC3−AC4を結線する。これにより、接点部AP78と接点部AC84とが接触した場合、プロジェクタ本体76側からみた接点の繋がり方は、AP1−AC1−AC6−AP6、AP2−AC2−AC5−AP5、及びAP3−AC3−AC4−AP4となる。
【0054】
接点部BC86は、図12(D)に示すように、BC1〜BC6の接点が接点部BP80のBP1〜BP6の接点に対向するように構成されている。BC1〜BC6の接点は、安全カバー部材82側で配線をクロスさせておく。具体的には、BC1−BC5及びBC2−BC4を結線する。これにより、接点部BP80と接点部BC86とが接触した場合、プロジェクタ本体76側からみた接点の繋がり方は、BP1−BC1−BC5−BP5、BP2−BC2−BC4−BP4、BP3−BC3、及びBP6−BC6となる。これにより、コストが安く、単純に接点部をショートしても回路が成立しない誤作動の少ない第1及び第2認識手段ができる。更に、図13のような回路と組み合わせることで論理回路が組み立てられる。
【0055】
図13は、本発明の第4の実施の形態に係る第2認識手段を示すブロック構成図である。本実施の形態では、図12(A)に示す接点部AP78及び図12(C)に示す接点部BP80、並びに図12(B)に示す接点部AC84及び図12(D)に示す接点部BC86において、プロジェクタ本体76側のAP1及びAP3の接点にH(ハイ)の信号を、BP2の接点にL(ロー)の信号を入力する。この状態で、安全カバー部材82がプロジェクタ本体76に配設されると、接点部AP78及び接点部AC84、並びに接点部BP80及び接点部BC86のそれぞれ対向する接点が接触し、制御部20にHの信号を出力する。Hの信号が入力された制御部20は、安全カバー部材82が所定の状態に配設されたと認識し、LD光源16を所定の光量で発光させる。具体的には、AP1の接点のHの入力信号は、AP1−AC1−AC6−AP6の各接点を介してAP6の接点にHの信号として出力される。又、AP3の接点のHの入力信号は、AP3−AC3−AC4−AP4の各接点を介してAP4の接点にHの信号として出力される。更に、BP2の接点のLの入力信号は、BP2−BC2−BC4−BP4−BP5−BC5−BC1−BP1−AP2−AC2−AC5−AP5の各接点を介してAP5の接点にLの信号として出力される。AP4及びAP6の接点のHの出力信号は、AND回路88に入力されAND回路88はHの信号として出力される。AP5の接点のLの出力信号は、NOT回路90に入力され、NOT回路90はHの信号を出力する。AND回路88のHの出力信号とNOT回路90のHの出力信号は、AND回路92に入力され、AND回路92はHの信号を制御部20に出力する。Hの信号が入力された制御部20は、LD光源16を点灯させる。
【0056】
本実施の形態によれば、安全カバー部材82を取り付けることにより観察者が、光線密度の高い領域に近づけないことから、安全規格を確保しつつ、明るいプロジェクタを実現できる。更に、ロック構造を有する。又、安全カバー部材の非装着時には、安全を確保できる弱いパワーでの投写とすることで不慮の場合でも最低限の照明機能を確保できる。尚、本実施の形態は、プロジェクタ8である画像表示装置に関して説明したが、これを照明装置に適用してもよい。
【0057】
以上、本発明の種々の実施の形態について説明したが、本発明はこのような実施の形態に限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の構成を採ることができることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るプロジェクタを示す図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る安全かバー部材を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る第1及び第2認識手段を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る第1及び第2認識手段を示す図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係るプロジェクタの構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係るプロジェクタの制御方法のフローチャート図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態に係る出射口から離れた状態でのエネルギー密度を示す図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係る照明装置を示す図である。
【図9】本発明の第3の実施の形態に係るプロジェクタを示す図である。
【図10】本発明の第4の実施の形態に係るプロジェクタを示す図である。
【図11】本発明の第4の実施の形態に係る第1及び第2認識手段を示す図である。
【図12】本発明の第4の実施の形態に係る第1及び第2認識手段を示す図である。
【図13】本発明の第4の実施の形態に係る第2認識手段を示すブロック構成図である。
【符号の説明】
【0059】
2…プロジェクタ 4…照明装置 6…プロジェクタ 8…プロジェクタ 10…安全カバー部材 12…プロジェクタ本体 14…第1認識手段 16…LD光源(光源) 18…第2認識手段 20…制御部 22…投写光 24…出射口部 26…開口部 28…カバー検知回路 30…接点部P 32…接点部C 34…カバー検知回路 36…アンテナP 38…アンテナC 40…マグネットセンサ 42…マグネット 44…LD光源制御部 46…正常表示部 48…異常表示部 50…駆動部 52…照明装置本体 54…照明光 56…嵌合部 58…磁気センサ 60…安全カバー部材 62…磁性チップ 64…折り返しミラー 66…プロジェクタ本体 68…嵌合部 70…ID検出手段 72…安全カバー部材 74…ID 76…プロジェクタ本体 78…接点部AP 80…接点部BP 82…安全カバー部材 84…接点部AC 86…接点部BC 88…AND回路 90…NOT回路 92…AND回路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
投写光を用いて画像を表示する画像表示装置であって、
前記投写光の光源と、
第1認識手段と前記投写光が通過する開口部とを有し、前記投写光の出射口部の前面に前記投写光を覆うように配設された安全カバー部材と、
前記第1認識手段に対応して形成された第2認識手段と、
前記第2認識手段からの信号により前記安全カバー部材の状態を認識し、前記安全カバー部材が所定の状態に配設された場合に前記光源から所定の光量で発光させる制御部と、
を含むことを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像表示装置において、
前記安全カバー部材は、前記出射口部の前面から着脱可能であることを特徴とする画像表示装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の画像表示装置において、
前記第1認識手段は、磁性チップで構成され、
前記第2認識手段は、磁気センサで構成されていることを特徴とする画像表示装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の画像表示装置において、
前記第1及び第2認識手段は、電気的認識回路で構成されていることを特徴とする画像表示装置。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の画像表示装置において、
前記第1及び第2認識手段は、非接触式ID検出回路で構成されていることを特徴とする画像表示装置。
【請求項6】
請求項4に記載の画像表示装置において、
前記電気的認識回路は、ロジック回路で構成されていることを特徴とする画像表示装置。
【請求項7】
請求項3に記載の画像表示装置において、
前記磁気センサは、前記安全カバー部材が所定の状態に配設されないと前記安全カバー部材の配設の検出ができないことを特徴とする画像表示装置。
【請求項8】
請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載の画像表示装置において、
前記安全カバー部材の前記開口部の開口面積は、前記出射口部の開口面積より大きいことを特徴とする画像表示装置。
【請求項9】
請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載の画像表示装置において、
前記安全カバー部材の少なくとも一部は透明部材で形成されていることを特徴とする画像表示装置。
【請求項10】
請求項1〜請求項9のいずれか一項に記載の画像表示装置において、
前記制御部は、前記安全カバー部材が配設されたことの信号が検出できない場合は、前記光源を所定の光量より低い光量で発光させることを特徴とする画像表示装置。
【請求項11】
請求項1〜請求項10のいずれか一項に記載の画像表示装置において、
前記安全カバー部材は前記画像表示装置に収納可能であることを特徴とする画像表示装置。
【請求項12】
照明光を照射する照明装置であって、
前記照明光の光源と、
第1認識手段と前記照明光が通過する開口部とを有し、前記照明光の出射口部の前面に前記照明光を覆うように配設された安全カバー部材と、
前記第1認識手段に対応して形成された第2認識手段と、
前記第2認識手段からの信号により前記安全カバー部材の状態を認識し、前記安全カバー部材が所定の状態に配設された場合に前記光源から所定の光量で発光させる制御部と、
を含むことを特徴とする照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−192478(P2008−192478A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−26452(P2007−26452)
【出願日】平成19年2月6日(2007.2.6)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】