説明

画像表示装置

【課題】投射光学系の瞳形状を所望の方向に非対称にすることで、製造誤差に対する敏感度を低減し、収差を良好に補正しながら小型化を達成する。
【解決手段】空間光変調素子と、第1方向及び第1方向と垂直な第2方向に複数個ずつ配列された複数個のLED光源12を含む光源ユニット20からの光束により空間光変調素子を照明する。投射光学系は回転非対称な反射曲面を含み、空間光変調素子の像を被投射面に拡大投影する。LED光源12の発光領域の第1方向の幅D1と第2方向の幅D2とが互いに異なり、投射光学系が第1方向と第2方向とで互いに幅が異なる開口を有する絞りを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フロントプロジェクタ、リアプロジェクタ等の画像表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、画像表示装置は液晶表示パネルやマイクロミラーアレイデバイスを空間光変調素子として使用し、光の透過と遮断又は偏光を制御して、選択された光パターンを投射光学系によって投射することで、被投射面に映像を表示する。
【0003】
この画像表示装置に用いられる照明装置としては、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ等の高輝度放電ランプと、これらの光源からの照明光を平行化する放物面リフレクタから成るものが一般的である。しかし、高輝度放電ランプには、放熱のための冷却装置の設置により照明装置が大型化し、寿命が数千時間と短いなどの課題が存在する。
【0004】
そこで近年では、新しい光源として半導体を用いた光源が注目され、中でもLED(発光ダイオード)の改良はめざましく、照明用途に耐え得る高輝度で高効率な製品が開発されつつある。例えば、特許文献1による図18に示すようなLED1の背後に凹面状反射体2を配置した反射型LEDパッケージや、特許文献2の図19に示すようなLED3の周囲を合成樹脂材4でレンズ状にモールドした砲弾型のLEDパッケージが知られている。
【0005】
LEDは前述した高輝度放電ランプと比較して、小型、軽量、低消費電力、長寿命、点灯の高速応答等の点で有利ではあるが、現在のところLEDを光源とする画像表示装置において、画面において十分な輝度を得ることは難しい。その理由は、LEDは効率の点で未だ超高圧水銀ランプに及んでおらず、定格限界の電流を注入しても1つのLEDから得られる光量が小さいからである。そのため、光量を稼ぐために複数のLEDを平面上に並べてアレイ化する方法がある。
【0006】
例えば、特許文献3では複数の固体発光素子をマトリックス状に配置し、固体発光素子のそれぞれからの光束を空間光変調素子上に重畳するインテグレート照明により輝度向上を達成している。また、例えば特許文献4では複数の固体発光素子を二次元配列し、各固体発光素子の発光面と空間光変調素子を共役な関係に配置することによって、発光面の拡大像を空間光変調素子上に重畳することにより、均一で高輝度な照明を実現している。
【0007】
プロジェクタやリアプロジェクタ等の画像表示装置に用いられる投射光学系としては、従来から特許文献5などに示される物体面中心と像面中心を結ぶ光軸が折れ曲がっていない共軸光学系の広角レンズを用いたものがよく知られている。
【0008】
しかし近年では、特許文献6に示されるような光軸が折れ曲がったオフアキシャル(Off Axial:偏芯)光学系と呼ばれ、構成面が非共軸となっている投射光学系も提案されている。このオフアキシャル光学系には、斜め投射時の台形歪みの補正が可能であることや、共軸系と比較して広角化が容易となる利点がある。
【0009】
【特許文献1】特開2001−185760号公報
【特許文献2】特開2003−234513号公報
【特許文献3】特開2001−281760号公報
【特許文献4】特開2004−286858号公報
【特許文献5】特開2005−106948号公報
【特許文献6】特開2005−24695号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述したような反射面を用いたオフアキシャル光学系は、従来の共軸光学系に対して有利な特性を多く持つが、面精度や偏心などの製造誤差に敏感なことが多く、量産を行う際に問題点として挙げられている。例えば、面形状に非対称な誤差が発生すると、像面全域に渡って像面内の直交する2方向でのピント位置ずれ、つまり非点隔差が発生し、これを機械的な調整で除去することは困難である。
【0011】
そこで、特許文献6ではこの問題点の解決策として、オフアキシャル光学系の瞳を、オフアキシャル断面とその断面に垂直方向の断面において、非対称となるような構成とすることを開示している。これにより、オフアキシャル光学系の製造誤差に対する敏感度が低減し、収差を良好に補正しながら小型化を達成できる。即ち、反射面を用いたオフアキシャル光学系を画像表示装置の投射光学系として用いるためには、非対称な瞳形状を画像表示装置全体での照明効率を低下させずに達成するための照明光学系が不可欠である。
【0012】
従来の高輝度放電ランプとリフレクタの組み合わせを光源として用いた画像表示装置では、リフレクタの開口がほぼ円形状をしているため、一般的に回転対称な絞り形状を持つ投射光学系が採用されている。或いは、照明光学系にシリンドリカルレンズ等を配置して、所望の方向へ照明光束を圧縮する手法により、投射光学系の絞りを非対称形状としているものも知られている。
【0013】
しかし、光源の面積と光束の発散立体角の積を光学系において保存(エテンデュの保存)することから、投射光学系の絞り形状の制御には限界がある。この限界を解決するためには、光源自体に縦横比が異なる形状を持たせることが望ましく、そのためには小型の固体発光素子をアレイ状に配置し、所望の投射光学系の絞り形状に合わせた形状とする必要がある。
【0014】
しかし、特許文献3、4は輝度向上や空間光変調素子上の輝度むらの低減を主目的として、固体発光素子をアレイ化している。そのため、光源と投射光学系の瞳や絞りとの関係は記載されておらず、投射光学系の絞り形状を制御するためのものではなく、本発明とは趣旨が異なっている。
【0015】
本発明の目的は、上述の課題を解消し、投射光学系の瞳形状を所望の方向に非対称にすることで、製造誤差に対する敏感度を低減し、収差を良好に補正しながら小型化を達成する画像表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上述の目的を達成するための本発明に係る画像表示装置の技術的特徴は、空間光変調素子と、第1方向及び該第1方向と垂直な第2方向に複数個ずつ配列された複数個の固体発光素子を含む光源ユニットからの光束で、前記空間光変調素子を照明する照明光学系と、回転非対称な反射曲面を含み前記空間光変調素子の像を被投射面に拡大投影する投射光学系とを備えた画像表示装置であって、前記固体発光素子の発光領域の前記第1方向の幅と前記第2方向の幅とが互いに異なり、前記投射光学系が前記第1方向と前記第2方向とで互いに幅が異なる開口を有する絞りを備えることにある。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る画像表示装置によれば、第1方向とそれと垂直な第2方向とで幅が異なる発光領域を持つ光源ユニットと、第1方向と第2方向とで幅が異なる開口の絞りとを有することによって、照明効率を高くすることができる。これにより、明るい画像を表示することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明を図1〜図17に図示の実施例に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0019】
図1は実施例1の光源ユニットの正面図であり、この光源ユニットは後述する図2、図3で用いる光源ユニットや、或いは後述する実施例3の図11等で示す画像表示装置(プロジェクタ)等に用いられる光源ユニットである。この光源ユニット11では、固体発光素子である複数個のLED光源12が、縦方向(第1方向)に8列、縦方向と垂直な横方向(第2方向)に2列の矩形状に配置されている。LED光源12の発光領域の縦対横の比が4:1(8:2)となるように配列されている。
【0020】
図2は照明光学系の光軸と縦方向とを含む平面による断面図、図3は照明光学系の光軸を含み、図2の断面と垂直な平面による断面図を示す。光源ユニット11の前方には、空間光変調素子14、光源ユニット11からの光束で空間光変調素子を照明する照明光学系13、空間光変調素子14からの光束を被投射面Sに投射する投射光学系15が配置されている。この投射光学系15は回転非対称な反射面を複数備えるオフアキシャル投射光学系であり、投射光学系15内には絞り部材として、縦横比が異なる開口を持つ絞り面16が配列されている。
【0021】
なお、このオフアキシャル投射光学系に含まれる回転非対称な反射面(自由曲面)は複数面以上であればよいが、好ましくは4面かそれ以上の面数であることが望ましい。また、これらの複数の回転非対称反射面は1つの図示しない支持構造に一体的に支持されており、この支持構造が画像表示装置の筐体に保持されるような構成であることが望ましい。
【0022】
複数のLED光源12から発した光束は、投射光学系15を経て、投射光学系15の絞り面16に結像する。ここで、光源像の形成位置は、絞り位置から投射光学系15の焦点距離(変倍光学系の場合は広角端の焦点距離)の1/3以下、又は1/8以下(より好ましくは1/10以下)であれば、ずれていても支障はない。また、空間光変調素子14は照明光学系13の構成要素であるコンデンサレンズにより略均一に照明され、空間光変調素子14によって形成された画像は、投射光学系15によって絞り面16を経て被投射面S上に拡大投影される。
【0023】
図4は空間光変調素子14上での照度分布を示す。図4から分かるように、光源ユニット11の各LED光源12から発した光束を照明光学系13により空間光変調素子14上で重畳しているため、LED光源12の輝度のばらつきを解消し、空間光変調素子14を均一に照明することができる。
【0024】
図5は絞り面16の絞り形状を示し、この絞り開口形状は図1の光源ユニット11の発光領域の外形形状と相似の関係になっている。ここでは、光源ユニット11の発光領域の幅のうち、幅が最も長い方向を第1方向、それと垂直な方向を第2方向とし、発光領域の第1方向の幅をD1、発光領域の第2方向の幅をD2とする。また、この幅D1とD2との比は、投射光学系15中に形成されるこれらの光源ユニット11の光源像の第1方向の幅(D1に相当)、第2方向の幅(D2に相当)に対応させて比を導出することができる。また、そのときの前述の絞り位置において、発光領域での第1方向に対応する方向における絞り開口部の幅をd1、それと垂直な方向における絞り開口部の幅をd2とする。このとき、次の条件式を満足することが望ましい。
d1/d2×0.8<D1/D2<d1/d2×1.2・・・(1)
【0025】
更に好ましくは、次の条件式を満足することが望ましい。
d1/d2×0.9<D1/D2<d1/d2×1.1・・・(1a)
【0026】
なお、前述の相似の関係とは、これらの条件を満足することである。また本実施例1においては、D1/D2=4、d1/d2=4である。
【0027】
図6は絞り面16に入射する光束による照度分布を示す。絞り面16上の照度分布も光源ユニット11の外形形状と相似の関係となっており、相似の関係にある形状の絞りを配置することによって、本来必要としないフレア光や高次の回折光等の光は絞りで遮光できるようにしている。より詳細には、LED光源12と絞りとの間の光学系によって形成される光源像の倍率を考慮することが好ましい。
【0028】
即ち、その光源像の倍率をMとした場合に、以下の条件式を満足することが望ましい。
0.9×M×D1<d1<1.3×M×D1・・・(2)
0.9×M×D2<d2<1.3×M×D2・・・(3)
【0029】
更に好ましくは、以下の条件式を満足することが望ましい。
1.0×M×D1<d1<1.2×M×D1・・・(2a)
1.0×M×D2<d2<1.2×M×D2・・・(3a)
【0030】
ここでは、条件式(2)、(3)で示すように、この値が1を下回ると一部の光がカットされて暗くなってしまう。しかしながら、若干明るさを犠牲にしてもコントラストを高くしたい場合には、コントラストの低下を招く光を遮光するために、条件式(2)、(3)の値を1より小さくしてもよい。また、この際に条件式(1)、(1a)の数値範囲で示すように、発光領域の縦横比と、絞りの開口部の縦横比とを互いに異なるようにすることもあり得る。以後、特に発光領域の縦横比と、絞りの開口部の縦横比との差については述べないが、以下の実施例においても、条件式(1)、(1a)に示す範囲内で互いの比が若干異なっていても支障はない。
【0031】
また、前述のオフアキシャル光学系においては、絞りの開口部の第1方向の幅と第2方向の幅との比である縦横比が或る程度大きいことが望ましい。勿論、それに伴って、発光領域のLED光源12の縦の配列数と横の配列数との比である縦横比も或る程度大きいことが望ましい。即ち、以下の条件を満足することが望ましい。
1.1<D1/D2<10.0・・・(4)
1.1<d1/d2<10.0・・・(5)
【0032】
より好ましくは以下の条件式を満足することが望ましい。
1.2<D1/D2<5.0・・・(4a)
1.2<d1/d2<5.0・・・(5a)
【0033】
更に以下を満足することがなお好ましい。
1.5<D1/D2・・・(4b)
1.5<d1/d2・・・(5b)
【0034】
本実施例では、LED光源12を2×8個の配列としたが、光源数はこれに限るものではなく、必要な輝度に応じて増減しても問題はない。また、照明光学系13、投射光学系15は当然ながら複数のレンズを用いることが好ましく、絞り面16よりも被投射面側にも投射光学系15を構成するレンズがあっても支障はない。
【0035】
更に、図2、図3で示した空間光変調素子14は、透過型の単板の液晶表示素子として記載しているが、この限りではない。例えば、色が異なる複数の色光を発する複数のLED光源と、それぞれに対応する複数の空間光変調素子14を用いることも可能である。例えば、赤色光、緑色光、青色光をそれぞれ発光するLED光源と、それぞれの色光に対応する透過型又は反射型の液晶表示素子とを用いて、画像表示装置を構成することもできる。白色LED光源を用いた場合には、装置に色分離機能及び色合成機能を持たせることで、色に応じた複数の空間光変調素子14を用いることができ、空間光変調素子14としては反射型の液晶素子やDMDを用いることもできる。
【0036】
このようにすれば、オフアキシャル投射光学系に好適な縦横比が異なる例えば偏平した開口の絞り形状を持つ画像表示装置において、簡易な構成で照明効率の高い照明を達成することができる。
【実施例2】
【0037】
図7は実施例2の光源ユニット20の正面図を示す。特に記載しない部分に関しては、実施例1と同じであり、この光源ユニット20も前述の図2、図3の光学系、或いは後述の実施例3の画像表示装置等に好適に適用できる。
【0038】
この実施例2の光源ユニット20においては、28個のLED光源12が発光領域が略楕円形になるように配置されている。図8はこの光源ユニット20を使用した場合の空間光変調素子14上での照度分布を示し、楕円形状の均一な照度を得ることができる。
【0039】
図9は絞り面16の絞り形状を示し、開口形状は図7に示す光源ユニット20の外形形状と相似の関係になっている。更に、図10は絞り面16に入射する光による照度分布を示す。この図10から、絞り面16上の照度分布は光源ユニット20の外形形状と相似の関係となっていることが分かる。なお、この実施例2においては、D1/D2=2、d1/d2=2である。
【0040】
図11は変形例1の光源ユニットの正面図を示す。ここでは、合計25個の固体発光素子であるLED光源12を縦長に、つまり第1方向の幅が第2方向の幅よりも長くなるように配列している。図12はこの場合における投射光学系15内の絞り面16の開口形状と、この開口形状に対するLED光源12の像を図示している。この図12から、LED光源12の像がほぼ絞り面16の開口内部に収まっており、光を有効利用できていることが分かる。なお、本実施例においては、D1/D2=d1/d2≒1.59である。
【0041】
また、図13は変形例2の光源ユニットの正面図を示す。ここでは、合計43個のLED光源12を縦長に、つまり第1方向の幅が第2方向の幅よりも長くなるように配列している。この際に、投射光学系15内の絞り部材の開口形状と、その開口形状に対する固体発光素子の像を図示したものが図14である。図14から分かるように、LED光源12の像がほぼ絞り面16の開口内部に収まっており、光を有効利用できていることが分かる。なお、本実施例においては、D1/D2=d1/d2≒1.13である。
【実施例3】
【0042】
図15は実施例3のプロジェクタ(画像表示装置)の構成図を示し、大別して照明部21とオフアキシャル光学系から成る投射光学系22に分かれている。照明部21においては、光源ユニット23、照明光学系24、ダイクロイックミラー25、3つの偏光ビームスプリッタ(PBS)26、27、28、空間光変調素子としてのRGB3板式の3つの反射型液晶パネル29、30、31から構成されている。なお、光源ユニット23は図16に示すように、図7の光源ユニット20と同様の構成としているが、他の光源ユニットを用いてもよい。
【0043】
また、投射光学系22は、照明部21から出射する光を受けるズームレンズ32、絞り面33、折り返しミラー34、反射曲面を有する複数の回転非対称反射面35〜38、折り返しミラー39、レンズ40を構成要素としている。ここで、折り返しミラー34は絞りの機能を果たしている。即ち、絞り(絞り面)とは上述した実施例1、2に記載したような開口部を持つわけではなく、或る領域に入射する光以外を後段の光学系、ここでは回転非対称反射面35に導かないようにするための部材である。
【0044】
ここで記載した或る領域は上述の実施例における開口(部)に相当している。或いは、この折り返しミラー34が絞り位置に縦方向の幅d1、横方向の幅d2の開口を持つ絞りを配置した場合と同じ機能を果たすような形状を有するようにしても、それは本実施例に含まれる。また当然のことながら、ズームレンズ32と折り返しミラー34との間、或いは折り返しミラー34と回転非対称反射面35との間に、開口を持つ絞りを配置してもよい。
【0045】
また、投射光学系22において、ズームレンズ32は変倍しなくともよいし、レンズ40は複数のレンズや回折光学素子を含む屈折光学系とすることもできる。また、本実施例の投射光学系22はミラーのみで構成してもよいし、逆にレンズ、回折光学素子のみで構成しても勿論問題はない。
【0046】
ここで、反射型液晶パネル29、30、31の中心を通る、つまり中心から垂直に出射する又は中心から出射する光束の主光線である基準軸光線は、反射面35〜38に沿って紙面上で折れ曲がり、被投射面に対して基準軸光線が斜めに投射されている。従って、ズームレンズ32の射出瞳、即ち絞り面33の形状は、紙面上の絞り径の方向であるY方向が、紙面に垂直な方向であるX方向に対して、幅が小さく潰れた形状とされている。
【0047】
従って、絞り面33の開口形状は、図17に示すようにY方向に潰れた楕円形状とされている。これに対応して、光源ユニット23も絞り面33の開口形状と相似の関係にあり、外形がY方向に潰れた楕円形状になるように配置されていて、収差補正上及び小型化の観点から好適である。
【0048】
このように、光源ユニット23と投射光学系22の絞り面33を共役関係に配置することで、光源ユニット23内のLED光源12の配列によって、絞り面33、即ち瞳面上の照度分布を制御することができる。従って、従来よりも簡単な照明部21の構成で、高効率な非対称瞳形状を実現できる。
【0049】
なお実施例では、投射光学系22の絞り面33上の照度分布を光源ユニット23の外形形状と相似の関係となる構成としたが、シリンドリカルレンズ等を用いて任意の方向に光束を圧縮し、所望の絞り形状となるように調整することも可能である。
【0050】
また、この画像表示装置は本実施例のフロントプロジェクタに限るものではなく、リアプロジェクタにも用いることもでき、また投射光学系の構成要素は必要に応じて増減可能である。
【0051】
なお、本実施例において記載した絞りの開口形状、又は折り返しミラー上の或る領域の形状は、縦幅と横幅とが互いに異なる形状で、180度回転対称(2回回転対称)な形状であることが望ましい。また、これに伴って光源ユニットの発光領域の形状も、縦幅と横幅とが互いに異なる形状で、180度回転対称な形状であることが望ましい。その上で、開口形状の縦幅(第1方向の幅、即ち長い方の幅)が、光学的に発光領域の縦幅(第1方向に対応する幅、即ち長い方の幅)に対応していることが望ましい。ここで言う「幅」とは、照明光学系や投射光学系の光軸に対して垂直な方向の幅であることが望ましい。
【0052】
また、本実施例においては、幅D1とd1、幅D2とd2とが対応していればよく、幅D1やd1が縦方向、幅D2やd2が横方向である必然性はない。縦と横は逆であってもよく、幅D1、d1が幅D2、d2に比べて大きくなるように、第1方向と第2方向を設定すればよい。勿論、開口形状や、発光領域の形状は、非回転対称(360度回転対称、1回回転対称)であっても支障はない。
【0053】
上述のような本実施例を適用すれば、複数個の固体発光素子を縦方向、横方向に配列した二次元状光源の形状制御のみで、従来よりも簡易な照明光学系の構成においても、全体の照明効率を低下させることがなく、高効率な照明を行うことができる。
【0054】
非対称な偏平した絞り形状に最適な瞳形状を実現できるので、オフアキシャル投射光学系の製造誤差に対する敏感度を低減し、収差を良好に補正しながら小型化が達成できる。具体的には、図11における紙面上の方向の絞り径を、紙面と垂直な方向の絞り径よりも小さくすることによって、製造誤差への敏感度低減、投射光学系の収差補正や小型化を達成することが可能となる。また、紙面に平行な方向の絞り径を小さくすることで、ダイクロイックミラーや偏光ビームスプリッタ等の分離合成素子の分離合成面に対する入射角度分布を低減することができる。
【0055】
このような分離合成素子が有する分離合成面への入射角が定格値から外れた場合に、光分離合成の入射角度特性による画像表示装置のコントラスト劣化を改善することができる。なお、ここで言う紙面とは、複数の画像形成素子(液晶パネル)の法線それぞれに対して平行な面である、或るいは、偏光ビームスプリッタの偏光分離面の法線と画像形成素子の法線の両者に対して平行な面である。
【0056】
固体発光素子の像が光源ユニットと被投射面の間で2回以上結像することにより、投射光学系内で中間結像を行い、光学面の大型化を抑制しながら、広画角な投射光学系が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】実施例1の光源ユニットの正面図である。
【図2】照明光学系の光軸と縦方向とを含む平面による断面図である。
【図3】照明光学系の光軸を含み、図2の断面と垂直な平面による断面図である。
【図4】空間光変調素子上の照度分布図である。
【図5】絞り形状の正面図である。
【図6】絞り面上の照度分布図である。
【図7】実施例2の光源ユニットの正面図である。
【図8】空間光変調素子上の照度分布図である。
【図9】絞り形状の正面図である。
【図10】絞り面上の照度分布図である。
【図11】変形例1の光源ユニットの正面図である。
【図12】変形例1の絞り形状及び光源ユニットの像の説明図である。
【図13】変形例2の光源ユニットの正面図である。
【図14】変形例2の絞り形状及び光源ユニットの像の説明図である。
【図15】実施例3の光学系の構成図である。
【図16】光源ユニットの正面図である。
【図17】絞り形状の正面図である。
【図18】従来例の反射型LEDパッケージの構成図である。
【図19】従来例の砲弾型LEDパッケージの構成図である。
【符号の説明】
【0058】
11、20、23 光源ユニット
12 LED光源
13 照明光学系
14 空間光変調素子
15、22 投射光学系
16、33 絞り面
21 照明部
29、30、31 反射型液晶パネル
32 ズームレンズ
34、39 折り返しミラー
35〜38 回転非対称反射面
40 レンズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空間光変調素子と、第1方向及び該第1方向と垂直な第2方向に複数個ずつ配列された複数個の固体発光素子を含む光源ユニットからの光束で、前記空間光変調素子を照明する照明光学系と、回転非対称な反射曲面を含み前記空間光変調素子の像を被投射面に拡大投影する投射光学系とを備えた画像表示装置であって、前記固体発光素子の発光領域の前記第1方向の幅と前記第2方向の幅とが互いに異なり、前記投射光学系が前記第1方向と前記第2方向とで互いに幅が異なる開口を有する絞りを備えることを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
前記固体発光素子の像を前記絞りの位置に結像することを特徴とする請求項1記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記固体発光素子の前記第1方向の配列数と前記第2方向の配列数とが互いに異なっていることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像表示装置。
【請求項4】
前記発光領域と前記絞りの開口形状とが相似の関係にあることを特徴とする請求項1〜3の何れか1つの請求項に記載の画像表示装置。
【請求項5】
前記固体発光素子の像が、前記光源ユニットと前記被投射面の間で2回以上結像することを特徴とする請求項1〜4の何れか1つの請求項に記載の画像表示装置。
【請求項6】
前記発光領域の第1方向の幅をD1、第2方向の幅をD2、前記絞りの開口の第1方向の幅をd1、第2方向の幅をd2とするとき、
d1/d2×0.8<D1/D2<d1/d2×1.2
を満足することを特徴とする請求項1〜5の何れか1つの請求項に記載の画像表示装置。
【請求項7】
前記発光領域の第1方向の幅をD1、第2方向の幅をD2とするとき、
1.1<D1/D2<10.0
を満足することを特徴とする請求項1〜6の何れか1つの請求項に記載の画像表示装置。
【請求項8】
前記開口の第1方向の幅をd1、第2方向の幅をd2とするとき、
1.1<d1/d2<10.0
を満足することを特徴とする請求項1〜7の何れか1つの請求項に記載の画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2008−90017(P2008−90017A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−271350(P2006−271350)
【出願日】平成18年10月3日(2006.10.3)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】