説明

画像表示装置

【課題】反射電子によるハレーションを抑制し、該ハレーションが原因で発生する色むらを低減した画像表示装置を提供する。
【解決手段】フェースプレート1とリアプレート8との間に介在する板状のスペーサ7に開口11を設け、該スペーサ7によって遮蔽される反射電子を該開口11を介して通過させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子放出素子を用いて構成される平面型の画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、フェースプレートとスペーサの当接時に、メタルバックの損傷が生じにくく、且つ位置合わせの方法を容易にするために、フェースプレート側にリブを設けた構成が開示されている。
【0003】
特許文献2には、混色の低減及びフェースプレートの部材の損傷を低減するための構造として、リブを設けたフェースプレートの構成が記載されている。
【0004】
特許文献3には、蛍光体画素を対応電界エミッタに整列させる内部構造を有する電界放出装置には、反射電子によるハレーションを低減するために、フェースプレートに遮蔽構造であるリブを設けた構造が記載されている。
【0005】
【特許文献1】特開平7−45221号公報
【特許文献2】米国特許第5576596号明細書
【特許文献3】特許登録第3270054号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献に記載されている方法では、反射電子によるハレーションが原因の、スペーサ近傍の色むら低減能力が不十分であり、より一層の色むら低減が望まれていた。本発明は、かかる問題を解決し、反射電子によるハレーションを抑制し、該ハレーションが原因で発生する色むらを低減した画像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、複数の電子放出素子を設けたリアプレートと、発光色の異なる複数の蛍光体膜が配置されているフェースプレートと、該リアプレート及び該フェースプレートの間隔を規定するための板状スペーサを有する画像表示装置であり、
第1の発明は、スペーサが、該フェースプレートで発生する反射電子が、該板状スペーサを厚さ方向に通過して、該フェースプレートに再突入する電子が発生し得る開口を有し、
該開口を通過して該スペーサに最も近接した蛍光体膜に照射される反射電子の量Etが、該スペーサが存在しない場合に該蛍光体膜に照射される反射電子の量Enとした時に、Et>0.3×Enであることを特徴とする。
【0008】
また第2の発明は、フェースプレートには、該板状スペーサと交差する方向に隔壁部材が配置され、且つ該隔壁部材が配置される個所が、発光色の異なる蛍光体膜のうち最も発光効率が高い蛍光体膜の両側に配置されており、
且つ、前記隔壁部材の高さhが前記フェースプレートと前記リアプレートの距離Hとの間に、h>0.1×Hの関係を有することを特徴とする。
【0009】
さらに第3の発明は、フェースプレートには、該板状スペーサと交差する方向に隔壁部材が配置され、且つ該隔壁部材が配置される個所が、発光色の異なる蛍光体膜の境界部全てに配置されており、
且つ、前記リブの高さhが前記フェースプレートと前記リアプレートの距離Hとの間に、h>0.075×Hの関係を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、スペーサ近傍の色ずれが許容値以下となり、画質を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0012】
本発明の画像表示装置は、電子ビームの照射によって画像を形成する装置であり、電子放出素子としては電界放出型素子、MIM型素子、表面伝導型放出素子などを包含している。特に、表面伝導型放出素子は、構造が簡単で製造も容易であり、大面積に渡り多数の素子を形成できる利点から、本発明が適用される好ましい形態である。
【0013】
以下の実施形態においては、複数色の蛍光体、及びこの蛍光体を励起させる素子によって構成される複数の画素と、この素子を駆動するための駆動信号を出力する駆動回路とを有して構成される画像表示装置に対して、この発明を適用した例を示すものである。但し、これらの複数の画素と駆動回路とを有する画像表示装置については、公知であるためその説明を省略する。
【0014】
本発明の実施の形態について、表面伝導型放出素子を用いた画像表示装置(以下SEDと表記する場合がある)を例に挙げ、具体的に説明する。
【0015】
本例では、薄型の真空容器内に、基板上に多数の電子源例えば冷陰極素子を配列してなるマルチ電子源と、電子の照射により画像を形成する画像形成部材とを対向して配置し、間に構造支持体であるスペーサを備えたSEDパネルを用いた。電子放出素子が行方向配線と列方向配線により単純マトリクス状に配線されており、列/行電極バイアスにより選択された素子から放出される電子を高圧電圧により加速し蛍光体に衝突させることで発光を得ている。
【0016】
先ず、本発明の課題である反射電子によるハレーションについて、図3を用いて説明する。図3(a)に、図2で示されるような画像表示装置の行方向(スペーサと平行な方向)の断面模式図を示す。又、図3(b)に、同じく列方向(スペーサと直行する方向、スペーサの厚さ方向)の断面模式図を示す。又、図3(c)に、フェースプレートを平面的に見た時の、スペーサの近傍のみを選択させて発光させた際の発光分布を示す。
【0017】
図3中、リアプレート8は電子放出素子5を有する。又、フェースプレート1は、3つの発光色(赤(R)、緑(G)、青(B))を有する蛍光体2、及び各蛍光体間に配置されたブラックストライプ3、及びメタルバック4を有する。又、スペーサ7はフェースプレート1及びリアプレート8の両側に接触するように配置される。スペーサ7の形状は板状である。このように、基板の厚さが、高さ及び幅よりも小さいような物を板状スペーサと呼ぶ。
【0018】
ここでスペーサの近傍の1絵素を選択して、電子源から電子を放出した場合について考える。電子源から放出された電子は、メタルバック4に印加された高圧電位により加速され、フェースプレート1に向かう。ここで、メタルバック4に印加される加速電圧は概ね5〜15kVが好適に用いられる。加速された電子は、高エネルギーを有するため、あまりエネルギーを損失せずにメタルバック4を通過し、蛍光体2(ここではR:赤の蛍光体)に照射される。
【0019】
ここで、照射された電子の一部は、ほとんどエネルギーを損失することなく反射され、高エネルギーの反射電子(背面散乱電子、弾性散乱電子と呼ばれることもある)となる。反射電子は、リアプレート8に向かって飛翔するが、メタルバッ4クに印加された高圧電位に再び加速され、概ね放物線を描いてフェースプレート1に再突入する。反射電子は、入射電子の方向のみに飛翔するわけではなく、様々な方向に飛翔するため、選択絵素以外にも照射される。従って、選択絵素以外の発光が生じ、コントラストの低下や混色(選択色以外の発光が生じるため、色純度が低下する減少)が生じる。これを反射電子のハレーションと呼ぶ。
【0020】
当然、コントラストの低下や混色は、画像表示装置の画質を低下させる。しかしながら、更に画質を低下させるのが、スペーサ7近傍の不均一性である。前述の通り、反射電子はフェースプレート1とリアプレート8の間の空間を飛翔し、フェースプレート1に再突入するが、途中にスペーサ7が存在すれば、当然スペーサ7に遮蔽される(図3(b))。従って、選択絵素の発光並びに反射電子による発光(ハレーション)は、図3(c)のようにスペーサ7の影響を受けた分布となる。つまり、反射電子によるハレーションはスペーサ7の近傍とスペーサ7から離れたところで大きく異なり、スペーサ7により不均一性が生じるといえる。
【0021】
上述の不均一性の影響を最も受けるのは、ある1色を発光させた時である。例えば、赤単色の画像を表示した際には、反射電子のハレーションにより、青及び緑の発光が混色する。ここで、スペーサ7の近傍だけは上述の通りハレーションが少ない。従って、スペーサ7の近傍だけ混色が少なく、色純度が高くなる。即ち、スペーサ7の近傍とそれ以外のところに色ずれが生じる。スペーサ7が無いところから最も色がずれるのが、スペーサ7の最近接の絵素であり、この例ではスペーサ7の隣の1行の絵素である。この絵素を形成する蛍光体膜を、該スペーサ7に最も近接した蛍光体膜と呼ぶ。板状スペーサを用いた場合には、特にこの色ずれによる妨害感が大きく、画質を著しく低下させてしまう。従って、本発明の画像表示装置では、スペーサに最も近接した蛍光体膜部の発光の色ずれを、許容値未満、好ましくは検知限未満にすることを目的とする。
【0022】
本発明者らは、鋭意検討の結果、次のような方法で上述のスペーサ近傍の色ずれを低減した。
【0023】
即ち、
〔1〕スペーサによる反射電子の遮蔽効果を低下させる、
〔2〕反射電子が再突入する際に隔壁部材により最も発光効率の高い蛍光体への照射を低減する、
〔3〕反射電子が選択絵素から脱出できないように隔壁部材を配置する、
ことで上述の課題を解決できることを見出した。
【0024】
以下に、本発明の特徴であるスペーサの反射電子遮蔽効果の低減について説明する。前述の通り、スペーサがない部分の反射電子の量と、スペーサがある部分の反射電子の量が異なることから色ずれが生じている。反射電子の遮蔽効果について図4−A、図4−Bを用いて説明する。図4−A(a)は、開口11を有するような板状スペーサ7を電子が通過する模式図であり、開口11を通過してスペーサ最近接の蛍光体に電子が照射していることを示す。ここで、板状のスペーサ7を厚さ方向に通過して(図中右から左へ)スペーサ7に最も近接する蛍光体2に照射する電子の量をEtとする。図4−A(b)は、図4(a)のスペーサが存在しないとした時の場合を示す模式図であり、上述と同様にスペーサ7が存在するとして、スペーサ7を厚さ方向に(図中右から左へ)通過した電子の量をEnとする。言い換えると、スペーサ7に最も近接する蛍光体膜に関しての、反射電子の透過率はEt/Enで表されることになる。以下、単に反射電子の透過率と表記する場合がある。
【0025】
図4−Bに反射電子の透過率Et/Enに対する、スペーサ7のない部分とスペーサ7に最も近接した画素との色ずれΔu’v’を示す。この関係は、フェースプレート1の構造、例えば、蛍光体2の種類、メタルバック5の種類や厚さ、画素の配置などによって、変化するものであるが、本発明者等は様々な条件で検討を行い、上記のような関係を見出した。尚、Δu’v’は、CIE1976UCS色度座標上の2色間の距離を表す。
【0026】
次に、主観評価により、スペーサ近傍の色ずれが許容できるレベル(許容値)と、検知できないレベル(検知限)を求めた。複数人の主観評価の結果、許容値Δu’v’=0.006、検知限Δu’v’=0.002と求まった。
【0027】
以上のことにより、スペーサの最近接画素の色ずれを許容値未満にするためには、反射電子の透過率は0.3より多く必要である。又、検知源未満にするには、反射電子の透過率は0.7より多く必要である。
【0028】
次に、上述のような反射電子透過率を実現するためのスペーサ形状について図5−A、図5−Bを用いて説明する。反射電子を透過するための構造としては、スペーサに開口が設けてある場合が考えられる。図5−Aに開口11を有するスペーサ7の模式図を示す。図5−A(a)はスペーサ7に平行な方向、図5−A(b)はスペーサ7に直行する方向の断面模式図である。寸法はそれぞれ、フェースプレート1とリアプレート8の距離をH(この図ではスペーサ7の高さでもある)、フェースプレート1から開口11までの距離をa、開口11の高さをb、開口11の横方向の大きさをそれぞれc1〜c2、スペーサ7の長さをdとする。ここで、スペーサ7の最近接画素を照射できる電子の透過率を大きくするためには、
〔1〕なるべくフェースプレート側に近い個所(即ちaが小さい個所)に開口11を設け、
〔2〕開口11の寸法bを大きくする、
〔3〕開口11の横方向の開口率Cを大きくすることである。
【0029】
ここで横方向の開口率Cは、C=(c1+c2)/d、とする。又、開口11が単純に四角形ではない場合には、平均的な開口率を用いることにする。
【0030】
前述の通り、反射電子はフェースプレート1とリアプレート8の間の電子軌道を計算し、開口11を通過してスペーサ7の最近接画素に照射する電子の量から、反射電子の透過率を求めた。その結果を図5−Bに示す。図中、横軸のAはパネル間隔(フェースプレートとリアプレートの距離)に対する開口の位置であり、A=a/Hで求まる。又、図中、縦軸のB×Cは開口の大きさを表す数値で、B×C=(b/H)×Cで求まる。右上のハッチングの領域は、開口が成り立たない形、即ち開口の位置がリアプレートの外側まで広がってしまう形になる。図中、実線は反射電子の透過率Et/En=0.3になる条件で、本発明第一の請求項の効果を得るためには、実線より左上の領域であれば良い。又、グラフ中の一点鎖線は反射電子の透過率Et/Enが0.7になる条件であり、本発明第三の請求項の効果を得るためには、一点鎖線より左上の領域であれば良い。この条件を定式化すると、反射電子の透過率が0.3より大きくなる条件は、B×C>0.9×A+0.13、となる。又反射電子の透過率が0.7より大きくなる条件は、B×C>2.3×A+0.5、となる。
【0031】
同様な考え方ではあるが、反射電子の透過率を大きくするための構造として、スペーサ7自体に開口を設けるのではなく、スペーサ7とフェースプレート1の間に設けられる構造をとることもできる。このような形状を図6−A、図6−Bに示す。図中、(a)はスペーサ7に平行な方向の断面模式図、(b)はスペーサ7に直行する方向の断面模式図である。図6−Aはフェースプレート1とスペーサ7の間に開口を設けるために、スペーサ7に突起形状9を設けた例である。又、図6(b)はフェースプレートとスペーサの間に開口を設けるために、フェースプレート1に突起形状10を設けた例である。いずれの場合も、上述の式においてA=0(開口11とフェースプレート1が接する)である。
【0032】
次に、スペーサ近傍の色ずれを小さくする方法として、スペーサの透過率を大きくすると同時に、混色自体を小さくする方法について述べる。混色は前述の通り反射電子が他色に再突入することで発生する。ここで、各色の蛍光体の発光効率はおのおの別々である場合がほとんどであり、標準視感度から考えると緑色発光の蛍光体の発光効率が高い場合がほとんどである。発光効率の高い蛍光体は、その他の色を発光させる場合に混色の寄与が大きくなる。ここで挙げている例では、緑の蛍光体の混色が、赤や青の蛍光体に影響する程度が大きいといえる。つまり、緑の蛍光体への反射電子の到達を低減できれば、混色は大きく低減できることになる。
【0033】
上記のような理由で反射電子による混色が低減されると、スペーサの近傍の色ずれも低減される。その理由は、もともと混色の程度がスペーサ近傍とそれ以外のところで異なることが色ずれの原因であるため、混色自体が小さくなれば、当然スペーサ近傍の色ずれも小さくなるからである。
【0034】
上記の構造を、図7−A、図7−Bを用いて説明する。図7−A中、(a)はスペーサ7に平行な方向の断面模式図であり、(b)はスペーサ7に直行する方向の断面模式図である。3色の蛍光体のうち、最も発光効率の高い緑の蛍光体膜(G)の両脇に、隔壁部材6(リブと表記する場合もある)を設ける。図7−A(a)中の実線矢印のような軌道の反射電子が生じた際に、隔壁部材6により再突入が防止されることになる。これにより混色自体が低減されスペーサ7の近傍の色ずれも低減される。さらに、隔壁部材6によりフェースプレート1とスペーサ7の間に開口11が生じるため、図7−A(b)中の破線矢印のように開口11を通過して当たるような反射電子が生じる(反射電子の透過率が0より大きくなる)。
【0035】
これらの複合的な効果により、スペーサ近傍の色ずれが低減される。その効果を図7−Bで説明する。図7−B中、横軸はパネル間隔Hに対するリブ高さhであり、縦軸はその時のスペーサのない部分とスペーサに最も近接した画素との色ずれΔu’v’である。従って、スペーサの最近接画素の色ずれを許容値未満にするためには、h/Hは0.1より大きくすればよい。又、検知源未満にするには、h/Hは0.3より大きくすればよい。
【0036】
又、混色が生じた画像表示装置では、表現できる色が少なくなってしまう。そのため、画像を表示した場合に不自然な色になってしまう。そこで、混色の程度の許容値を主観評価で求めた。その結果、図3に示すような反射電子を遮蔽するような構造を持たない画像表示装置では違和感が有ったのに対し、反射電子の遮蔽を行うことで、混色の程度を8割程度に減じたところ、違和感のない画像表示装置となった。
【0037】
そこで、上記隔壁部材6による反射電子の遮蔽効果を、図8−A、図8−Bを用いて説明する。図8−Aは反射電子の再突入時の遮蔽効果を示す模式図であり、隔壁部材6の高さをh、隔壁部材6の間隙(即ち蛍光体膜の幅)をWとする。1絵素のみの点灯という非常に限定された形態で画像を表示しない限り、図8−Aの実線矢印で示すように、反射電子が再突入する角度は、様々な角度で侵入してくる。このうち、蛍光体膜に衝突できるのは入射角θの小さいものだけとなる。この効果は蛍光体膜幅Wに対してhが大きい、即ちアスペクト比h/Wが大きいほど、効果が大きくなる。その効果を求めた結果を図8−Bに示す。図8−Bの横軸は前述のアスペクト比であり、縦軸は反射電子の到達確率であり、隔壁部材6が無かった時の反射電子到達量を1として、隔壁部材6のアスペクト比を大きくするとどの程度反射電子の到達確率になるかを示す。ここで、隔壁部材6に挟まれた蛍光体膜に照射する反射電子量をR1、隔壁部材6が無い場合に蛍光体膜に照射する反射電子量をR2とした時に、R1<0.8×R2である場合に混色が目立たなくなる。従って、上述のように反射電子による混色の量を8割未満に抑えるためには、アスペクト比h/Wを0.5より大きくすれば良い。
【0038】
次に、さらに混色を低減し、それによりスペーサの近傍の色ずれを低減する方法として、反射電子を選択した絵素から脱出しにくくする構造について、図9−A、図9−Bを用いて説明する。図9−A中、(a)はスペーサ8に平行な方向の断面模式図であり、(b)はスペーサ8に直行する方向の断面模式図である。図9−Aに示すように、各蛍光体膜の両脇に隔壁部材6を形成する。図9−A(a)中の実線矢印のような軌道の反射電子が生じた際に、隔壁部材6により選択された蛍光体膜(R)からの反射電子の脱出が防止されることになる。又、前述の再突入を防止する効果も得られるため、混色自体が低減されスペーサの近傍の色ずれも低減される。さらに、隔壁部材6によりフェースプレート1とスペーサ7の間に開口11が生じるため、図9−A(b)中の破線矢印のように開口11を通過して当たるような反射電子が生じる(反射電子の透過率が0より大きくなる)。
【0039】
これらの複合的な効果により、スペーサ近傍の色ずれが低減される。その効果を図9−Bで説明する。図9−B中、横軸はパネル間隔Hに対するリブ高さhであり、縦軸はその時のスペーサのない部分とスペーサに最も近接した画素との色ずれΔu’v’である。従って、スペーサの最近接画素の色ずれを許容値未満にするためには、h/Hは0.075より大きくすればよい。又検知源未満にするには、h/Hは0.2より大きくすればよい。
【0040】
次に、前述と同様に混色の程度を8割未満に低減する方法について、図10−A、図10−Bを用いて説明する。図10−Aに隔壁部材6による反射電子の脱出及び再突入時の遮蔽効果の模式図を示す。図10−A中の実線矢印は再突入の効果を示しており、前述と同様である。又、図10−A中の破線矢印は選択された蛍光体膜部分からの反射電子の軌道を示しており、反射電子の一部は隔壁部材6に衝突することにより脱出を防止することができる。これらの効果は傾向膜の幅Wに対してhが大きい、即ちアスペクト比h/Wが大きいほど、効果が大きくなる。その効果を求めた結果を図10−Bに示す。図10−Bの横軸は前述のアスペクト比であり、縦軸は反射電子の到達確率であり、隔壁部材が無かった時の反射電子到達量を1として、隔壁部材6のアスペクト比を大きくするとどの程度反射電子の到達確率になるかを示す。従って、上述のように反射電子による混色の量を8割未満に抑えるためには、アスペクト比h/Wを0.35より大きくすれば良い。
【0041】
以下、本発明の画像表示装置の好ましい形態について説明する。
【0042】
先ず、本発明の画像表示装置に用いるリアプレートについて、図2を用いて説明する。リアプレート8上には、行方向配線12、列方向配線13、電極間絶縁層(不図示)及び電子放出素子5を形成した電子源基板14が固定されている。電子源基板14はリアプレート8と兼ねても良い。
【0043】
電子放出素子5は、一対の素子電極間に電子放出部を有する導電性膜が接続された表面伝導型放出素子である。本例は、この電子放出素子5をN×M個配置し、それぞれ等間隔で形成したM本の行方向配線12とN本の列方向配線13でマトリクス配線したマルチ電子ビーム源を有するものとなっている。又、本例においては、行方向配線12が電極間絶縁層を介して列方向配線13上に位置している。行方向配線12には引出端子Dx1〜Dxmを介して走査信号が印加され、列方向配線13には引出端子Dy1〜Dynを介して変調信号(画像信号)が印加されるものとなっている。
【0044】
行方向配線12及び列方向配線13は、銀ペーストをスクリーン印刷法により塗布することで形成することができる。又、例えばフォトリソグラフィ法を用いて形成することもできる。
【0045】
行方向配線12及び列方向配線13の構成材料としては、上記銀ペーストの他に、各種導電材料を適用することができる。例えば、スクリーン印刷法を用いて形成する場合には、金属とガラスペーストと混合させた塗布材料を用いることができる。又、めっき法を用いて金属を析出させることで形成する場合には、めっき浴材料を適用することができる。
【0046】
次に、本発明の画像表示装置に用いるフェースプレートについて説明する。
【0047】
フェースプレート1の基板としては、光透過性の基板が用いられ、ガラス基板が好適に用いられる。フェースプレート1の内面には、電子線照射により発光する蛍光体2が塗布されている。本発明は、複数の発光色を持つ蛍光体2を塗り分けてカラーディスプレイを形成しており、一般的には、赤・青・緑の3色の蛍光体を塗布した蛍光体膜が形成されている。蛍光体2としてはCRTで用いられるP22蛍光体が好適に用いられるが、もちろんこれに限定されるわけではない。蛍光体膜の形成方法としては、スクリーン印刷法、フォトリソグラフィ法などのパターニング方法から選択して形成すればよい。
【0048】
蛍光体膜の間には、ストライプ状もしくはマトリクス状の黒色材料が配置され、ブラックストライプ(BS)3並びにブラックマトリクス(BM)構造を有する。BS・BMの効果としては、外光の反射を低減しコントラストを向上することや、各色の蛍光体を塗布する際に隣同士混ざり合い混色することを防ぐ、といったことが挙げられる。BS・BMの材料としては、カーボンブラックや黒色顔料を含有した低融点ガラスペーストなどが好適に用いられる。BS・BMの形成方法としては、スクリーン印刷法、フォトリソグラフィ法などのパターニング方法から選択して形成すればよい。
【0049】
蛍光体膜のリアプレート側表面には、CRTの分野で公知であるメタルバック(MB)4が形成されている。メタルバック4の効果としては、電子源からの電子を加速する加速電圧印加のための電極として作用することや、加速された電子を透過することや、蛍光体膜で発光した光を観察者側に取り出すための反射膜として作用すること、などが挙げられる。メタルバックの構造としては、非常に薄い金属膜であることが特徴である。材料としては、電子を透過しやすいアルミニウムが好適に用いられる。又、電子がメタルバック4を通過する時にエネルギー損失が小さくなる、蛍光体の発光効率が加速電圧による、高電圧下ではフェースプレート1とリアプレート8の間で放電が生じる可能性が高くなる、などからメタルバック4には5〜15kVの電圧が印加される。メタルバック4の作製方法は、CRT分野で公知のフィルミングを用いて形成すればよい。
【0050】
次に、本発明の特徴部分である、隔壁部材6について説明する。隔壁部材6もしくはリブは、蛍光体膜の配置されない個所に設けられる。好適にはBS・BM上に設けられる。隔壁部材6の効果としては、前述した通り、
〔1〕フェースプレート1とスペーサ7の間に開口11を設けるための間隔規定部材、
〔2〕反射電子が再突入する時に、反射電子を遮蔽する効果、
〔3〕反射電子が選択した蛍光体膜から脱出しないように遮蔽する効果、
が挙げられる。
【0051】
これらの効果から選択して、隔壁部材6を配置すればよく、図6−Bのように飛び飛びに配置する、図7−Aのように緑の蛍光体膜の両脇にのみ配置する、図9−Aのように、全ての蛍光体膜の両脇に配置する、ことが挙げられる。隔壁部材6の材料としては、Ni,Cu,Ag,Alなどの金属や、低融点ガラスフリット、セラミック、ポリイミドなどの誘電体などから選択して使用することができる。ここで、プラズマディスプレイなどで用いられる、セラミックと低融点ガラスフリットなどからなるペーストを用いて形成することが、コストや形成のしやすさから好適に用いられる。又、隔壁材料6として、BSと兼ねるために黒色材料を含有させて形成しても良い。隔壁部材6の作製方法としては、スクリーン印刷法、フォトリソグラフィ法、サンドブラスト法、ブレイド形成法などから選択して形成することができる。ここで、サンドブラスト法はパターンの自由度や精度、タクトタイムなどから好適に用いられる。
【0052】
次に、本発明の特徴部分である、板状スペーサ7について説明する。本発明のような電子線を利用した画像表示装置では、原理上画像表示パネル内は真空にする必要がある。そのため、フェースプレート1並びにリアプレート8には大気圧がかかることになる。従って、フェースプレート1とリアプレート8の間には間隔規定部材であるスペーサ7が必要である。又、スペーサ7は高電圧のかかるフェースプレート1とリアプレート8の間に配置されるため、絶縁耐圧が必要である。スペーサ7に用いられる材料としては、絶縁体である必要からガラス、セラミックなどの無機材料や、ポリイミドなどの絶縁耐圧の高く放出ガスの少ない有機材料などが挙げられる。スペーサ7の作製方法としては、ガラス材料の加熱延伸や、ガラス・セラミックなどの研磨、低融点ガラスを用いたプレス成型法、感光性ポリイミドを用いた方法、等が挙げられるが、その容易さからガラスの加熱延伸が好適に用いられる。又、本発明の特徴である開口11を有したスペーサ7を作製する場合には、形状の自由度からプレス成型法が好適に用いられる。又、スペーサ7表面には機能膜を形成する場合があるが、ここでは省略する。
【0053】
尚、本発明においてフェースプレート1から前記リアプレート8までの平均距離Hは、好ましくは1mm<H<3mmである。
【実施例】
【0054】
以下、具体的な実施例を挙げて本発明を詳しく説明する。
【0055】
[実施例1]
図9−A、図11(a)、図12を用いて、本発明第一の実施例について説明する。尚、図11において紙面左側は断面模式図、右側は平面模式図である。
【0056】
図9−A及び図11(a)に示すように、本実施例の画像表示装置に用いたフェースプレート1は、3色(赤・緑・青)の蛍光体2を塗布し蛍光体膜を設けた。蛍光体膜の間には、ブラックストライプ3を形成し、各蛍光体膜を分割した。蛍光体膜の形状は、各色とも幅を150μm、長さを600μmとし、厚さを15μmとした。ブラックストライプ3は、幅を50μmとし、長さを600μm、厚さを15μmとした。3色の蛍光体2とブラックストライプ3にて、600μm×600μmの正方画素を形成した。又、ブラックストライプ3上には、本発明の特徴部分であるリブ6を設けた。リブ6の幅はブラックストライプ3と同様、50μmとし、高さを200μmとした。
【0057】
又、蛍光体膜上にはメタルバック4を設けた。メタルバック4としては、厚さ100nmのアルミニウム薄膜を用いた。
【0058】
次に、本実施例に用いたリアプレート1について説明する。リアプレート1上には表面伝導型電子放出素子からなる電子源14を配置した。電子放出素子5のピッチは、列方向に200μm、行方向に600μmとし、フェースプレート1の蛍光体膜のそれぞれに対向して配置した。又、電子放出素子5を電気的に接続する行方向配線12・列方向配線13は銀と低融点ガラスからなる銀ペーストにより形成した。尚、電子放出素子5並びにリアプレート1の詳細な構造及び製法は省略する。
【0059】
次に、本発明に用いたスペーサ7について説明する。スペーサ7はガラス基板により形成され、加熱延伸法にて厚さ200μm、高さ1.8mmとし、長さは画像領域(電子源並びに蛍光体膜が配置され、画像を表示する領域)よりも長くした。スペーサ7はリアプレート8の走査配線とフェースプレート1のリブ6に接触し、その間を1.8mmに規定した。従って、フェースプレート1のメタルバック4からリアプレート8のまでの距離、即ちパネルの間隔は2mmとなった。尚、スペーサ7の詳細な説明及び製法は省略する。
【0060】
次に、本実施例に用いたフェースプレート1の製法を、図1を用いて説明する。
【0061】
(工程1)
厚さ1.8mmの青板ガラスからなるフェースプレート基板1を洗浄した。
【0062】
(工程2)
フェースプレート1上に、厚さ20μmのカーボンブラックをスリットコーターにて塗布し、所望のパターンに露光し、現像し、焼成することで前述の形状のブラックストライプ3を得た(図1(a))。
【0063】
(工程3)
続いて、スリットコーターにてガラス面からの厚さで215μm(ブラックストライプ3上から200μm)のリブ材のペーストを塗布した。リブ材のペーストとしては、アルミナ及び低融点ガラスフリットを含有するペーストを用いた。次に、塗布したリブ材の上に、ドライフィルムレジスト(DFR)をラミネートし、露光・現像を行いサンドブラスト用のマスクを形成した。次に、サンドブラスト法にて不要な部分のリブ材を除去した。次に、DFRを剥離し、基板を洗浄し、焼成することにより前述の形状のリブ6を得た(図1(b))。
【0064】
(工程4)
次に、リブ6及びブラックストライプ3により形成される開口部に、蛍光体2を塗布した。蛍光体2の塗布はスクリーン印刷法により、所望の厚さになるように、RGBの各色を塗り分けた。蛍光体としては、P22蛍光体を用いた。その後、焼成することにより、前述の形状の蛍光体膜を得た(図1(c))。
【0065】
(工程5)
次に、メタルバック4をCRTの分野で公知のフィルミング法により形成した。先ず、アクリルエマルジョンを蛍光体膜面にスプレー法にて塗布し、乾燥した。次に、アルミニウムを真空蒸着法にて形成し、大気中にて焼成することにより有機成分を除去することにより、前述の形状のメタルバックを得た(図1(d))。
【0066】
上述のように作製したフェースプレート1と、電子放出素子5を形成したリアプレート8と、スペーサ7を用いて、画像表示装置を作製した。作製した画像表示装置を点灯して画質を確認したところ、スペーサ7の近傍の色ずれは気にならず、表示色も自然な、質の高い画像を得ることができた。
【0067】
[実施例2]
次に、本発明第2の実施例について、図11(b)を用いて説明する。本実施例では、ブラックストライプ3の変わりに格子状のブラックマトリクス16を用いた点にある。その他の点は、実施例1とほぼ同様であるため、説明を省略する。
【0068】
ブラックマトリクス16を用いた理由としては、明所コントラストの向上にある。蛍光体は拡散反射率が高いため、開口率を小さくして平均的な拡散反射率を低下させないと、明所では白っぽい画像となる。
【0069】
次に、ブラックマトリクス16の寸法について説明する。ブラックマトリクス16の縦方向の幅を300μm、横方向の幅を50μmとし、1色分の開口が150μm×300μmとした。厚さは実施例1と同様に15μmとした。その上に、ストライプ状のリブ6を、幅50μm、高さ160として、実施例1と同様な方法にて形成した。又、パネル間隔が1.96mmであった。
【0070】
上述のような画像表示装置を点灯して画質を確認したところ、スペーサ7の近傍の色ずれは気にならず、表示色も自然な、質の高い画像を得ることができた。又、明るいところでもコントラストのついた良好な画像を得られた。
【0071】
[実施例3]
次に、本発明第3の実施例について、図7−A、図11(c)を用いて説明する。本実施例では、リブ部材を最も発光効率の高い緑の蛍光体の両側に設けたところが特徴である。その他の点は、実施例1とほぼ同様であるため、説明を省略する。
【0072】
実施例1と同様なブラックストライプ3上に、高さ220μm、幅50μmのリブ6を形成した。形成した個所は緑の両脇の蛍光体部分とし、赤と青に挟まれた領域には形成しなかった(図11(c))。又、パネル間隔が2.02mmであった。
【0073】
上述のような画像表示装置を点灯して画質を確認したところ、スペーサ7の近傍の色ずれは気にならず、表示色も自然な、質の高い画像を得ることができた。
【0074】
[実施例4]
次に、本発明第4の実施例について、図5−A、図11(d)を用いて説明する。本実施例では、フェースプレート1にはリブ6を設けずに、スペーサ7に開口11を設けたところが特徴である。その他の点は、実施例1とほぼ同様であるため、説明を省略する。
【0075】
本実施例では、実施例1〜3とは異なり、フェースプレート1にリブ6は設けず、それ以外のフェースプレート1の構造・製法は実施例1と同様である(図11(d))。又、本実施例で用いたスペーサ7は、図5−Aで示す通り開口11を有するものを用いた。スペーサ7の寸法は、高さ2.0mm、フェースプレート1から開口11までの距離を0.4mm、開口の高さを1.0mm、横方向の開口率を0.7とした。
【0076】
スペーサ7は、低融点ガラスを用いたプレス成型法を用いた。低融点ガラスを含有したガラス粉末を、所望の形を得られるようなカーボンの型につめて、500℃に加熱しながらプレスした。その後冷却し所望のスペーサを得た。
【0077】
上述のようにして作製したスペーサ7を用いて画像表示装置を形成し、その画質を確認したところ、スペーサ7の近傍の色ずれは気にならない、質の高い画像を得ることができた。
【0078】
[実施例5]
次に、本発明第5の実施例について説明する。本実施例では、リブ6の高さ以外は実施例2と同様である。本実施例ではリブ6の高さを高くすることで、さらにスペーサ7近傍の色ずれが注意深く観察しても検知できず、混色も大幅に減じた画像表示装置を得られることが特徴である。その他の点は、実施例2とほぼ同様であるため、説明を省略する。
【0079】
実施例2と同様な構成・製法のフェースプレート1において、リブ部材の高さを360μmとした。又、スペーサ7の高さを1.4mmとし、パネル間隔を1.76mmとした。
【0080】
上述のような画像表示装置を点灯して画質を確認したところ、スペーサ7の近傍の色ずれは注意深く観察しても検知することはできなかった。又、表示色を確認したところ、色純度が高く、自然な画像を得ることができた。
【0081】
[比較例]
次に、比較例として図3を用いて板状スペーサを有する画像表示装置の例を説明する。各部材の基本的な構成は実施例1と同様であるが、フェースプレート1にはリブ部材6を設けない構造であり、スペーサ7にも開口11は存在しない。
【0082】
このようにして作製した画像表示装置の画質を確認したところ、スペーサ近傍にその他の部分との色ずれが認識され、妨害感のある画像が得られた。又、表示色を確認したところ、色純度の高いはずの画像が、一部表示色が不自然な画像が得られた。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の実施例のフェースプレートの製法図である。
【図2】本発明の画像表示装置の構成例を模式的に示す斜視図である。
【図3】スペーサによる反射電子の遮蔽効果を示す図である。
【図4−A】本発明における反射電子の透過効果を示す図である。
【図4−B】反射電子の透過率Et/Enに対する、スペーサのない部分とスペーサに最も近接した画素との色ずれΔu’v’を示す。
【図5−A】本発明におけるスペーサの開口の説明図である。
【図5−B】本発明におけるスペーサの開口率と反射電子の透過率の関係を示す図である。
【図6−A】本発明におけるスペーサとフェースプレートとの間に開口形状を設けた形態の説明図である。
【図6−B】本発明におけるスペーサとフェースプレートとの間に開口形状を設けた別の形態の説明図である。
【図7−A】本発明において隔壁部材の色ずれ低減効果を説明する図である。
【図7−B】本発明における隔壁部材の高さと色ずれ低減効果との関係を示す図である。
【図8−A】本発明における隔壁部材による反射電子の再突入時の遮蔽効果を示す模式図である。
【図8−B】本発明における隔壁部材の高さと反射電子の蛍光体膜への到達確率との関係を示す図である。
【図9−A】本発明における隔壁部材の色ずれ低減効果の説明図である。
【図9−B】本発明における隔壁部材の高さと色ずれ低減効果との関係を示す図である。
【図10−A】本発明における隔壁部材による反射電子の脱出及び再突入時の遮蔽効果の説明図である。
【図10−B】本発明における隔壁部材の高さと反射電子の蛍光体膜への到達確率との関係を示す図である。
【図11】本発明の実施例のフェースプレートを説明する図である。
【符号の説明】
【0084】
1 フェースプレート
2 蛍光体
3 ブラックストライプ
4 メタルバック
5 電子放出素子
6 隔壁部材(リブ)
7 スペーサ
8 リアプレート
9 スペーサ突起
10 フェースプレート突起
11 開口
12 行方向配線
13 列方向配線
14 電子源
15 側壁
16 ブラックマトリクス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電子放出素子を設けたリアプレートと、発光色の異なる複数の蛍光体膜が配置されているフェースプレートと、該リアプレート及び該フェースプレートの間隔を規定するための板状スペーサを有する画像表示装置において、
該スペーサが、該フェースプレートで発生する反射電子が、該板状スペーサを厚さ方向に通過して、該フェースプレートに再突入する電子が発生し得る開口を有し、
該開口を通過して該スペーサに最も近接した蛍光体膜に照射される反射電子の量Etが、該スペーサが存在しない場合に該蛍光体膜に照射される反射電子の量Enとした時に、Et>0.3×Enであることを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
前記リアプレートと前記フェースプレートの平均距離をH、前記スペーサの開口と該フェースプレートの最短距離をa、開口のスペーサの高さ方向の開口幅をb、開口のスペーサの長手方向の開口率をCとした時に
A=a/H
B=b/H
B×C>0.9×A+0.13
を満たす請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記EnとEtの関係が、Et>0.7×Enである請求項1又は2に記載の画像表示装置。
【請求項4】
前記A,B,Cの関係が、B×C>2.3×A+0.5を満たす請求項1乃至3のいずれかに記載の画像表示装置。
【請求項5】
前記開口は前記スペーサと前記フェースプレートの間に設けられている請求項1乃至4のいずれかに記載の画像表示装置。
【請求項6】
複数の電子放出素子を設けたリアプレートと、発光色の異なる複数の蛍光体膜が配置されているフェースプレートと、前記リアプレート及びフェースプレートの間隔を規定するための板状スペーサを有する画像表示装置において、
該フェースプレートには、該板状スペーサと交差する方向に隔壁部材が配置され、且つ該隔壁部材が配置される個所が、発光色の異なる蛍光体膜のうち最も発光効率が高い蛍光体膜の両側に配置されており、
且つ、前記隔壁部材の高さhが前記フェースプレートと前記リアプレートの距離Hとの間に、h>0.1×Hの関係を有することを特徴とする画像表示装置。
【請求項7】
前記hとHの関係が、h>0.3×Hである請求項6に記載の画像表示装置。
【請求項8】
前記隔壁部材が、該隔壁に挟まれた蛍光体膜に照射する反射電子量をR1、隔壁が無い場合に蛍光体膜に照射する反射電子量をR2とした時に、R1<0.8×R2を満たす請求項6又は7に記載の画像表示装置。
【請求項9】
前記隔壁の高さをh、該隔壁に挟まれた蛍光体膜の幅をWとした時に、h/W>0.5を満たす請求項6乃至8に記載の画像表示装置。
【請求項10】
複数の電子放出素子を設けたリアプレートと、発光色の異なる複数の蛍光体膜が配置されているフェースプレートと、前記リアプレート及びフェースプレートの間隔を規定するための板状スペーサを有する画像表示装置において、
該フェースプレートには、該板状スペーサと交差する方向に隔壁部材が配置され、且つ該隔壁部材が配置される個所が、発光色の異なる蛍光体膜の境界部全てに配置されており、
且つ、前記リブの高さhが前記フェースプレートと前記リアプレートの距離Hとの間に、h>0.075×Hの関係を有することを特徴とする画像表示装置。
【請求項11】
前記hとHの関係が、h>0.2×Hである請求項10に記載の画像表示装置。
【請求項12】
前記隔壁部材が、蛍光体膜に照射する反射電子量をR1、隔壁が無い場合に蛍光体膜に照射する反射電子量をR2とした時に、R1<0.8×R2を満たす請求項10乃至11に記載の画像表示装置。
【請求項13】
前記隔壁の高さをh、該隔壁に挟まれた蛍光体膜の幅をWとした時に、h/W>0.35を満たす請求項10乃至12に記載の画像表示装置。
【請求項14】
前記フェースプレートから前記リアプレートまでの平均距離Hが、1mm<H<3mmである請求項1乃至13のいずれかに記載の画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4−A】
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【図4−B】
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【図5−A】
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【図5−B】
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【図6−A】
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【図6−B】
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【図7−A】
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【図7−B】
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【図8−A】
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【図8−B】
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【図9−A】
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【図9−B】
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【図10−A】
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【図10−B】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−97861(P2008−97861A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−274998(P2006−274998)
【出願日】平成18年10月6日(2006.10.6)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】