説明

画像表示装置

【課題】本発明は、画素の発光領域を大きくすることが可能な画像表示装置を提供することを目的とする。
【解決手段】複数の画素5で構成する絵素3を備えた画像表示装置1において、絵素3は第一方向及び第二方向に沿ってマトリックス状に配列され、絵素3に含まれる各画素5には発光領域Rが形成されているとともに、絵素3に含まれる複数の画素のうちいずれか一つの画素5Aには前記第一方向に沿って発光領域と該発光領域の高さ位置よりも頂部14aが上方に位置する凸部14とが併設されており、凸部14が形成されている画素5Aの発光領域は、凸部14が形成されていない画素5Bの発光領域に比べて、第一方向の幅が小さく形成されており、第二方向の幅が大きく形成されていることを特徴とする画像表示装置1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像表示装置としては、複数の画素(sub pixel)で構成する絵素(pixel)を縦横のマトリックス状に配列したものが一般的に用いられている。
【0003】
複数の画素が異なる色の光を発することにより、画像を表示することができる。有機EL(エレクトロルミネッセンス)を用いた画像表示装置では、画素の発する光の色を異ならせるために、蒸着マスクを用いて、画素ごとに画素を構成する発光層を塗り分ける技術が知られている。
【0004】
発光層を塗り分けるために、画素の一部に孤立してあるいは周囲を囲むようにスペーサーが設けられ、そのスペーサー上に蒸着マスクを載置して、必要な箇所に発光層を構成する蒸着材料を被着させる技術が提案されている(下記特許文献1参照)。また、蒸着時に蒸着マスクと接触箇所を減らすために、画素の一部に孤立してスペーサーを設ける技術が提案されている(下記特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2003−257650号公報
【特許文献2】特開2005−322564号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上述した特許文献1、2に記載の技術であっては、各画素の形状が同一になっているため、発光層を形成する領域に制限がかかり、発光領域を大きくすることが困難であった。
【0006】
本発明は、上述した課題に鑑みなされたものであって、画素の発光領域を大きくすることが可能な画像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態に係る画像表示装置は、複数の画素で構成する絵素を備えた画像表示装置において、前記絵素は第一方向及び第二方向に沿ってマトリックス状に配列され、前記絵素に含まれる各画素には発光領域が形成されているとともに、前記絵素に含まれる複数の画素うちいずれか一つの画素には前記第一方向に沿って前記発光領域と該発光領域の高さ位置よりも頂部が上方に位置する凸部とが併設されており、前記凸部が形成されている画素の発光領域は、前記凸部が形成されていない画素の発光領域に比べて、前記第一方向の幅が小さく形成されており、前記第二方向の幅が大きく形成されていることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の一実施形態に係る画像表示装置は、前記複数の凸部が、一方向に沿って配列されていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の一実施形態に係る画像表示装置は、前記凸部が、上部より下部が幅広に形成されていることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の一実施形態に係る画像表示装置は、前記凸部が形成されている画素の発光領域と、前記凸部が形成されていない画素の発光領域との面積比は、0.95以上1.05以下に設定されていることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の一実施形態に係る画像表示装置は、それぞれ異なる色の光を発する複数の画素を有する絵素を備えた画像表示装置において、前記絵素は第一方向及び第二方向に沿ってマトリックス状に配列されており、前記絵素に含まれる各画素には発光領域が形成されているとともに、前記絵素に含まれる複数の画素のうちいずれか一つの画素には前記第一方向に沿って前記発光領域と該発光領域の高さ位置よりも頂部が上方に位置する凸部とが併設されており、前記凸部は、前記第一方向においては、隣接する絵素において異なる色の光を発する画素に設けられているとともに、前記第二方向においては、隣接する絵素において同じ色の光を発する画素に設けられていることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の一実施形態に係る画像表示装置は、それぞれ異なる色の光を発する複数の画素を有する絵素を備えた画像表示装置において、前記絵素は第一方向及び第二方向に沿ってマトリックス状に配列されており、前記絵素に含まれる各画素には発光領域が形成されているとともに、前記絵素に含まれる複数の画素のうちいずれか一つの画素には前記第一方向に沿って前記発光領域と該発光領域の高さ位置よりも頂部が上方に位置する凸部とが併設されており、前記凸部が形成されている特定の絵素に対して前記第一方向に沿って隣接する絵素には前記凸部が形成されておらず、前記特定の絵素に対して第二方向に沿って隣接する絵素には前記凸部が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、発光面積を大きくすることが可能な画像表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に、本発明について、図面を参照しつつ説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る画像表示装置としての有機ELディスプレイの平面図である。図2は、有機ELディスプレイの複数の画素を含む絵素の平面図である。また、図3,図4は、画素の拡大断面図である。
【0015】
有機ELディスプレイ1は、図1に示すように、テレビ等の家電機器、携帯電話又はコンピュータ機器等の電子機器に用いるものであり、素子基板2と、素子基板2上に形成される複数の絵素3と、かかる絵素3の発光を制御する駆動IC4と、を含んで構成されている。
【0016】
素子基板2は、例えば、ガラス又はプラスチックから成り、素子基板2の中央に位置する表示領域D1には、マトリックス状に配列された複数の画素3が形成されている。また、素子基板2の端部に位置する非表示領域D2には、駆動IC4が実装されている。
【0017】
図2に示すように、絵素3には、複数の画素5が設けられている。図2の矩形状の点線にて囲まれた領域が一つの絵素を示している。画素5には、発光領域Rが形成されており、かかる発光領域Rに発光可能な有機EL素子6が設けられている。なお、有機EL素子6は、後述する発光領域Rにおける第1電極層と、発光層と、第2電極層とから構成されている。発光領域Rとは、発光層が発光する領域であって、第1電極層と発光層とが直接的に接している領域をいう。なお、図2の発光領域Rの大きさが絵素中にて形状が異なるとともに、ハッチングパターンが異なっているが、これは異なる色を発光することを示している。
【0018】
また、画素3は、赤色、緑色又は青色のいずれかの色を発光することができる。このことは、後述するように有機EL素子6を構成する材料を選択することによって、発光する色を決定することができる。なお、本実施形態においては、画素を赤色、緑色又は青色のいずれかの色を発光するものとしたが、例えば、白色又は橙色等の色を発光するようにしてもよい。
【0019】
次に、図3に示すように、素子基板2上に形成される各種層について説明する。なお、図3は、後述する凸部が形成された一画素の断面図である。また、図4は、凸部が形成されない一画素の断面図である。
【0020】
素子基板2上には、薄膜トランジスタ(TFT)や電気配線等から成る回路層7が形成されている。さらに、回路層7上には、回路層7の所定領域以外が電気的にショートしないように、例えば、窒化珪素、酸化珪素又は酸化窒化珪素等から成る絶縁層8が形成されている。なお、回路層7は、駆動IC4からの電気信号が入力される。
【0021】
また、絶縁層8上には、回路層7及び絶縁層8に起因する表面の凹凸を低減するために、平坦化膜9が形成されている。回路層7は、複数の電気配線がパターニングされているため、その表面には凹凸が形成される。有機EL素子6を凹凸な面上に形成すると、有機EL素子6を構成する電極層同士が短絡する虞があるが、平坦化膜9を形成することによって、有機EL素子6を良好に発光させることができる。
【0022】
かかる平坦化膜9は、例えば、ノボラック樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂又はシリコーン樹脂等の絶縁性を有する有機材料を用いることができる。なお、平坦化膜9の厚みは、例えば2μm以上5μm以下に設定されている。
【0023】
また、平坦化膜9には、平坦化膜9を貫通するコンタクトホールSが形成されている。かかるコンタクトホールSは、上部よりも下部が幅狭に形成されている。コンタクトホールSは、各画素5に形成されており、コンタクトホールSの底部には、回路層7の一部が露出している。
【0024】
そして、コンタクトホールSの内壁面から平坦化膜9の上面にかけて第1電極層10が形成されている。コンタクトホールS内に位置する第1電極層10の一部は、コンタクトホールSの底部に位置する回路層7の一部と接続されている。また、第1電極層10は、発光領域Rにも形成されており、各画素5に設けられている。さらに、第1電極層10は、隣接する画素5における第1電極層と離間して設けられている。なお、第1電極層10は、例えばアルミニウム、銀、銅又は金等の金属、あるいはこれらの合金等の材料から成る。なお、第1電極層10の厚みは、例えば50nm以上500nm以下に設定されている。
【0025】
また、発光領域Rを取り囲むように、第1電極層10上に絶縁物11が形成されている。そして、絶縁物11は、第1電極層10と後述する第2電極層12とが短絡するのを防止している。なお、絶縁物11は、例えば、フェノール樹脂、アクリル樹脂又はポリイミド樹脂等の有機絶縁材料、あるいは窒化珪素、酸化珪素又は酸化窒化珪素等の無機絶縁材料から成る。
【0026】
さらに、発光領域Rには、発光層13が形成されている。発光層13は、第1電極層10上から絶縁物11上にかけて形成されている。発光層13は、一層以上から構成されており、正孔と電子が結合することによって、光を発することができる。なお、発光領域Rとは、発光層が光を発することが可能な領域であって、第1電極層10と第2電極層12と直接接して挟まれている箇所である。両者と直接接することによって、電圧が加えられて発光層13に電流が流れ、発光層13が発光する。
【0027】
発光層13は、赤色の光を発する場合、例えば、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)−4−(フェニルフェノラト)アルミニウム、1,4−フェニレンビス(トリフェニルシラン)、1,3−ビス(トリフェニルシリル)ベンゼン、1,3,5−トリ(9H−カルバゾール−9−イル)ベンゼン、CBP、Alq又はSDPVBi等のホスト材料に ビス[2−(2−ベンゾチアゾイル−kN3)フェニル−kC](2,4−ペンタジオナト−kO,kO’)イリジウム等の有機イリジウム化合物、有機白金化合物、DCJTB、クマリン、キナクリドン、フェナンスレン基を有するペリノン誘導体、オリゴチオフェン誘導体又はペリレン誘導体等のドーパント材料を含有したものを用いることができる。
【0028】
また、緑色の光を発する場合、例えば、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)−4−(フェニルフェノラト)アルミニウム、1,4−フェニレンビス(トリフェニルシラン)、1,3−ビス(トリフェニルシリル)ベンゼン、1,3,5−トリ(9H−カルバゾール−9−イル)ベンゼン、CBP、Alq又はSDPVBi等のホスト材料、あるいはこれらのホスト材料にビス[ピリジニル−kN−フェニル−kC](2,4−ペンタジオナト−kO,kO’)イリジウム、ビス[2−(2−ベンゾオキサゾリル)フェノラト]亜鉛(II)、スチリルアミン、ペルリン、ベンゼン環を有するシロール誘導体、フェナンスレン基を有するペリノン誘導体、オリゴチオフェン誘導体、ペリレン誘導体又はアゾメチン亜鉛錯体等のドーパント材料を含有したものを用いることができる。
【0029】
また、青色の光を発する場合、例えば、CBP又はSDPVBi等のホスト材料、あるいはこれらのホスト材料にテトラ(2−メチル−8−ヒドロキシキノリナト)ホウ素リチウム、スチリルアミン、ペルリン、シクロペンタジエン誘導体、テトラフェニルブタジェン、トリフェニルアミン構造とビニル基が結合した化合物、オキサジアゾール誘導体、ピラゾロキノリン誘導体、ジスチリルアリーレン誘導体又はベンゼン環を有するシロール誘導体等のドーパント材料を含有したものを用いることができる。なお、発光層13の厚みは、例えば20nm以上40nm以下に設定されている。
【0030】
また、第2電極層12は、発光層13上から絶縁物11上にかけて形成される。さらに、第2電極層12は、表示領域D1を被覆するように形成されており、隣接する画素同士にて第2電極層12は共通電極として機能している。
【0031】
第2電極層12は、発光層13から放出される光が透過することができる材料から構成され、例えばインジウム錫酸化膜(ITO)又は錫酸化膜等の光透過性を有する導電材料を用いて形成される。また、第2電極層12は、例えばマグネシウム、銀、アルミニウム又はカルシウム等の材料、あるいはこれらの合金等を用いることができ、その厚みを30nm以下にすることによって、光透過性の電極とすることができる。その結果、発光層13から放出された光が、第2電極層12を透過して外部に出射される。
【0032】
また、図3に示すように、平坦化膜9上には、凸部14が形成されている。凸部14は、発光領域Rの高さ位置よりも頂部14aの高さ位置が上方に位置して併設されている。なお、頂部14aとは、素子基板2に対して垂直な方向(Z方向)において凸部14の一部が素子基板2側から封止基板17に向けて最も高くなる箇所である。
【0033】
凸部14aの頂部14aの高さ位置が、発光領域Rの高さ位置よりも上方に位置することにより、蒸着マスクを凸部14上に載置することができ、発光領域Rの色を塗り分けることができる。
【0034】
凸部14は、蒸着法を用いて発光層13を形成する際に、蒸着マスクを支持する台としての機能を有している。なお、凸部14は、例えば、酸化ケイ素、窒化ケイ素又は酸化窒化ケイ素等の無機絶縁材料、あるいはフェノール樹脂、ノボラック樹脂、アクリル樹脂又はポリイミド樹脂等の有機絶縁材料から成る。
【0035】
図5は、本実施形態にて使用する蒸着マスクMの拡大平面図である。図5の矩形状の点線にて囲まれた領域が一つの絵素に対応している。
【0036】
蒸着法にて、画素毎に発光層13を塗り分ける際に、蒸着マスクMの桟fが凸部14と直接接する。かかる蒸着マスクMにおいて、画素の周囲全てを囲むように桟を設けた蒸着マスクに比べて、桟を設ける箇所を少なくすることができ、蒸着マスクMの開口部hの面積を大きくすることができる。その結果、一画素における発光領域Rを大きくすることができ、輝度を向上させることができる。すなわち、凸部14は、絵素3に含まれる複数の画素5のうちいずれか一つの画素にのみ形成し、凸部14の形成されていない画素の領域を活用する。具体的には、凸部14を形成する箇所を少なくすることにより、凸部14が形成されていない画素の発光領域Rの幅を、凸部14が形成されている画素に比べて、一方向に大きくすることができ、発光領域Rを広くすることができ、輝度を向上させることができる。
【0037】
凸部14は、該凸部14が設けられている絵素3中の端部に設けられており、平面視して複数の画素5の配列されている配列方向(X方向)と直交する方向(Y方向)に位置するように設けられている。
【0038】
そして、表示領域D1において、複数の凸部14は、一方向に沿って配列されている。つまり、凸部14が隣接する絵素3同士にて、平面視して直線上に設けられていることにより、蒸着マスクMの桟fを一方向に沿って連続して形成することができ、蒸着マスクを撓みにくくすることができる。強度が維持された蒸着マスクを用いて発光層13を形成することにより、蒸着時に発光層13を構成する材料の回り込みを少なくすることができ、蒸着材料を所望の領域に形成することができる。しいては発光層13の厚みを所望の厚みに調整することも可能である。
【0039】
また、凸部14は、上部より下部が幅広に形成されている。第2電極層12を分断することなく、表示領域D1の全面に連続して形成することができる。そのため、第2電極層12を各画素にて分断するために、別途、上部よりも下部が幅狭な構造物を画素の周囲を取り囲むように設ける必要がなく、画素の発光領域Rを大きくすることができる。
【0040】
凸部14が形成されている画素5Aは、凸部14が形成されていない画素5Bに比べて、発光領域の幅がX方向に大きく形成されている。また、画素5Aは、画素5Bに比べて、平面視してX方向と直交するY方向に発光領域の幅が小さく形成されている。つまり、画素5Aの発光領域の面積と画素5Bの発光領域の面積とは、ほぼ一致するように形成されている。ここでほぼ一致するとは、両者の発光領域の面積比が、0.95以上1.05以下に設定されているものをいう。このように、絵素3中の各画素5の発光領域の大きさをほぼ一致させることにより、各絵素の特性を実質的に同じにすることができる。
【0041】
ここで、図3の画素5Aと図4の画素5Bの違いについて説明する。図3では、一画素中にて凸部14を絶縁物11上に形成するための領域が必要である。そのため、画素5Aは、画素5Bに比べて、Y方向の発光領域の大きさが小さくなるが、X方向の発光領域の大きさを大きく調整することにより、両者の発光領域の面積をほぼ一致させることができる。また、画素5A同士で挟まれる複数の画素5BのX方向及びY方向の発光領域の大きさについては、同じ大きさに設定されている。
【0042】
また、有機EL素子6を被覆するように、表示領域D1上には保護層15が形成されている。保護層15は、有機EL素子6を封止し、有機EL素子6を水分又は外気から保護するものであって、光透過性の機能を有し、例えば窒化珪素、酸化珪素又は窒化炭化珪素等の無機材料から成る。なお、保護層15の厚みは、例えば100nm以上5μm以下に設定されている。
【0043】
また、素子基板2の表示領域D1には、表示領域D1を被覆するようにシール材16が形成されており、素子基板2と封止基板17とシール材16によって各画素3を密封している。各画素3を密封することによって、各画素3に酸素又は水分が浸入するのを低減し、各画素3が劣化するのを抑制することができる。また、シール材16は、接着材としての機能を有し、硬化することによって素子基板2と封止基板17とを固着することができる。かかるシール材16は、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂又はシリコーン樹脂等の光硬化性樹脂、あるいは熱硬化性の樹脂を用いることができる。なお、本実施形態においては、紫外線の照射により硬化する光硬化性のエポキシ樹脂を用いる。
【0044】
また、素子基板2上には、素子基板2に対して対向するように配置された封止基板17が形成されている。封止基板17は透明の基板から成り、例えばガラス又はプラスチックを用いることができる。なお、本実施形態においては、素子基板2側から封止基板17側に向けて光が発せられるトップエミッション型の有機ELディスプレイであるため、封止基板17は透明の部材が用いられる。
【0045】
上述したように本実施形態に係る画像表示装置によれば、絵素中のいずれか一つの画素に凸部を設け、凸部が設けられていない画素の領域を活用して、絵素中の画素のそれぞれの大きさを大きくすることによって、画素の発光領域を大きくすることができ、輝度を向上させることができる。また、発光層に印加する電圧を下げても、輝度を大きくさげることなく、消費電流を下げることも可能である。
【0046】
以下に、本発明の実施形態に係る有機EL素子6を含む有機ELディスプレイ1の製造方法について、図6から図15を用いて詳細に説明する。なお、図6から図15は、凸部が形成される一つの画素の断面図を示している。
【0047】
図6に示すように、回路層7、絶縁層8及び平坦化膜9を上面に積層した素子基板2を準備する。なお、回路層7及び絶縁層8は、従来周知のCVD法、蒸着法又はスパッタリング法等の薄膜形成技術、エッチング法やフォトリソグラフィー法等の薄膜加工技術を用いて、所定パターンに形成される。また、平坦化膜9は、例えば従来周知のスピンコート法を用いて、絶縁層8上に形成する。
【0048】
次に、平坦化膜9上に露光マスクを用いて平坦化膜9を露光し、さらに現像、ベーキング処理を行い、図7に示すように、回路層7の一部を露出させて、上部よりも下部が幅狭なコンタクトホールSを有する平坦化膜9を形成する。さらに、コンタクトホールSを形成した平坦化膜9上に、例えばアルミニウムから成る金属膜を形成する。そして、図8に示すように、金属膜をパターニングして、第1電極層10形成する。
【0049】
次に、例えばスピンコート法を用いて、第1電極層10及び一部露出した平坦化膜9上に、例えばアクリル樹脂から成る有機絶縁材料層を形成する。そして、有機絶縁材料層に対してフォトリソグラフィー法を用いて、有機絶縁材料層をパターニングして、図9に示すように、絶縁物11を形成する。なお、絶縁物11は、発光領域Rを取り囲むように形成され、第1電極層10の上面の一部を露出している。
【0050】
次に、図10に示すように、絶縁物11上に、従来周知のフォトリソグラフィー法を用いて、上部よりも下部が幅広な凸部14を形成する。かかる凸部14は、絶縁物11上の一部に形成され、画素を取り囲むようには形成されない。また、凸部14は、蒸着マスクを載置することができる支持台としての機能を備えている。かかる凸部14は、蒸着マスクを基板に対向させた際に、基板と蒸着マスクが接触し、基板を損傷しないように設けられている。
【0051】
次に、蒸着法を用いて図11に示すように、凸部14上に蒸着マスクMの桟fを接触させて、基板上に蒸着マスクMを載置する。図12は、基板上に蒸着マスクMを載置した状態を平面視したものである。この状態にて、蒸着マスクMの開口部hにて露出する発光領域Rに、例えば、赤色を発することが可能な発光層を構成する材料を発光領域に蒸着させる。その結果、図13に示すように、発光領域に発光層13を形成することができる。
そして、蒸着マスクMを図12のW方向に移動させて、先ほど蒸着させた箇所を蒸着マスクMにて覆いつつ、先ほど蒸着マスクMにて覆われていた箇所の一部を露出させる。さらに、かかる露出した発光領域に、例えば、青色を発することが可能な発光層を構成する材料を発光領域に蒸着させる。この作業を、絵素中に含まれる画素数分、繰り返すことによって、複数の画素のそれぞれに異なる材料を被着させることができる。
【0052】
ここで、蒸着マスクMをW方向に移動させて蒸着させる理由について説明する。絵素3が、第一方向(Y方向)及び第二方向(X方向)に沿ってマトリックス状に配列されており、絵素3中のいずれかの画素5には凸部14が形成されているからである。つまり、凸部14は、第一方向においては、隣接する絵素3同士において同じ色の光を発する画素5に設けられているとともに、第二方向においては、隣接する絵素3同士において異なる色の光を発する画素に設けられているためである。このように、発光領域の形状が同じ画素を平面視して第一方向及び第二方向に対して傾斜させる方向(W方向)に沿って設けることにより、蒸着マスクMをそのW方向に沿って移動させながら、蒸着させることができる。
【0053】
次に、図14に示すように、例えば、従来周知の蒸着法を用いて、表示領域D1を被覆するように、発光層13上に、例えばマグネシウム33質量%と銀67質量%との混合物から成る厚さ15nmの第2電極層12を形成する。第2電極層12は、隣接する画素同士で共通しており、共通電極として機能する。第2電極層12を共通電極とすることで、微細な空孔を備えた蒸着マスクを用いずに第2電極層12を形成することができるので、製造工程を単純化することができる。このようにして、有機EL素子6を形成することができる。
【0054】
さらに、図15に示すように、例えば、化学気相成長法(熱CVD法)を用いて、表示領域D1全面に、有機EL素子6が劣化しないように、窒化ケイ素から成る厚さ1.5μmの保護層15を形成する。
【0055】
そして、有機EL素子6が形成された素子基板2に対して、封止基板17を対向配置し、両者をシール材16を介して接着する。具体的には、封止基板17に対して、例えばスクリーン印刷法を用いて予めシール材16を被着させておく。そして、素子基板2に対してシール材16を介して封止基板17を固着させる。なお、封止基板17をシール材16によって、素子基板2に固定する作業は、例えば窒素ガス又はアルゴンガス等の不活性ガス中や、高真空中で行うことによって、素子基板2と封止基板17との間に酸素や水分が含まれるのを抑制することができる。
【0056】
そして、非表示領域D2に駆動IC4を実装することで、有機ELディスプレイ1を作製することができる。
【0057】
上述したように、本発明の実施形態によれば、絵素中のいずれか一つの画素に凸部を設け、桟の設けられている箇所が少ない蒸着マスクを用いることができる。そのため、発光領域の周囲を被覆するような開口部を有する蒸着マスクを用いる場合に比べて、画素の発光領域を大きくすることができ、輝度を向上させることが可能な画像表示装置を製造することができる。
【0058】
なお、本発明は上述の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良等が可能である。上述した実施形態においては、トップエミッションの有機EL素子について説明したが、本発明の作用効果を奏するのであれば、ボトムエミッションの有機EL素子であっても構わない。
【0059】
また、第2の実施形態に係る画像表示装置としては、図16に示すように、特定の絵素のいずれかの画素には凸部14が形成されているとともに、該特定の絵素のX方向に隣接する絵素中のいずれかの画素には凸部14が形成されており、該特定の絵素のY方向に隣接する絵素中には凸部14が形成されていない。すなわち、Y方向に配列した絵素において、隣接する絵素のいずれか一方にのみ凸部を設けることにより、さらに桟の設けられる箇所の少ない蒸着マスクを用いて、画素の塗りわけを行うことができる。かかる蒸着マスクは、第1の実施形態にて用いる蒸着マスクに比べて、発光領域の面積だけでなく形状も同じ絵素を多く設けることができる。その結果、表示の均一性を更に高めることが可能な画像表示装置を製造することができる。第2の実施形態に係る画像表示装置に用いる蒸着マスクについても、蒸着マスクの桟を一方向に沿って連続して形成することができ、蒸着マスクが撓みにくく、強度を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の実施形態に係る画像表示装置の平面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係るマトリックス状に配列された絵素の平面図である。
【図3】凸部を有する画素の拡大断面図である。
【図4】凸部を有さない画素の断面図である。
【図5】本発明の実施形態に係る画像表示装置を製造するのに用いる蒸着マスクの一部の拡大平面図である。
【図6】本発明の実施形態に係る画像表示装置の製造工程を説明する画素の断面図である。
【図7】本発明の実施形態に係る画像表示装置の製造工程を説明する画素の断面図である。
【図8】本発明の実施形態に係る画像表示装置の製造工程を説明する画素の断面図である。
【図9】本発明の実施形態に係る画像表示装置の製造工程を説明する画素の断面図である。
【図10】本発明の実施形態に係る画像表示装置の製造工程を説明する画素の断面図である。
【図11】本発明の実施形態に係る画像表示装置の製造工程を説明する画素の断面図である。
【図12】蒸着マスクを基板に対向させて画素を塗り分ける際の蒸着マスクと基板を重ねた平面図である。
【図13】本発明の実施形態に係る画像表示装置の製造工程を説明する画素の断面図である。
【図14】本発明の実施形態に係る画像表示装置の製造工程を説明する画素の断面図である。
【図15】本発明の実施形態に係る画像表示装置の製造工程を説明する画素の断面図である。
【図16】本発明の第2の実施形態に係るマトリックス状に配列された絵素の平面図である。
【符号の説明】
【0061】
1 有機ELディスプレイ
2 素子基板
3 絵素
4 駆動IC
5 画素
6 有機EL素子
7 回路層
8 絶縁層
9 平坦化膜
10 第1電極層
11 絶縁物
12 第2電極層
13 発光層
14 凸部
15 保護層
16 シール材
17 封止基板
D1 表示領域
D2 非表示領域
R 発光領域
S コンタクトホール
M 蒸着マスク
f 桟
h 開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素で構成する絵素を備えた画像表示装置において、
前記絵素は第一方向及び第二方向に沿ってマトリックス状に配列され、
前記絵素に含まれる各画素には発光領域が形成されているとともに、前記絵素に含まれる複数の画素うちいずれか一つの画素には前記第一方向に沿って前記発光領域と該発光領域の高さ位置よりも頂部が上方に位置する凸部とが併設されており、
前記凸部が形成されている画素の発光領域は、前記凸部が形成されていない画素の発光領域に比べて、前記第一方向の幅が小さく形成されており、前記第二方向の幅が大きく形成されていることを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像表示装置において、
前記複数の凸部は、一方向に沿って配列されていることを特徴とする画像表示装置。
【請求項3】
請求項1に記載の画像表示装置において、
前記凸部は、上部より下部が幅広に形成されていることを特徴とする画像表示装置。
【請求項4】
請求項1に記載の画像表示装置において、
前記凸部が形成されている画素の発光領域と、前記凸部が形成されていない画素の発光領域との面積比は、0.95以上1.05以下に設定されていることを特徴とする画像表示装置。
【請求項5】
それぞれ異なる色の光を発する複数の画素を有する絵素を備えた画像表示装置において、
前記絵素は第一方向及び第二方向に沿ってマトリックス状に配列されており、
前記絵素に含まれる各画素には発光領域が形成されているとともに、前記絵素に含まれる複数の画素のうちいずれか一つの画素には前記第一方向に沿って前記発光領域と該発光領域の高さ位置よりも頂部が上方に位置する凸部とが併設されており、
前記凸部は、前記第一方向においては、隣接する絵素において異なる色の光を発する画素に設けられているとともに、前記第二方向においては、隣接する絵素において同じ色の光を発する画素に設けられていることを特徴とする画像表示装置。
【請求項6】
それぞれ異なる色の光を発する複数の画素を有する絵素を備えた画像表示装置において、
前記絵素は第一方向及び第二方向に沿ってマトリックス状に配列されており、
前記絵素に含まれる各画素には発光領域が形成されているとともに、前記絵素に含まれる複数の画素のうちいずれか一つの画素には前記第一方向に沿って前記発光領域と該発光領域の高さ位置よりも頂部が上方に位置する凸部とが併設されており、
前記凸部が形成されている特定の絵素に対して前記第一方向に沿って隣接する絵素には前記凸部が形成されておらず、前記特定の絵素に対して第二方向に沿って隣接する絵素には前記凸部が形成されていることを特徴とする画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図5】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−55963(P2010−55963A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−220484(P2008−220484)
【出願日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】