説明

画像補正装置、方法及びプログラム

【課題】入力画像中に存在する画像領域のみを抽出することで、入力画像の歪みを補正する。
【解決手段】画像補正装置100は、画像データから画像領域を抽出する領域抽出部101と、抽出された画像領域の外形を取得する外形取得部102と、取得された前記外形に基づいて前記画像データの歪みを求め、該歪みを補正する補正部103と、を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像補正装置、方法及びプログラムに関し、特に、入力された画像データから歪みを適切に補正する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、入力画像の歪みを補正するために、入力画像からページ外形、罫線、又は文字列を、入力画像の歪みを検出するための基準として抽出し、抽出された基準に基づき歪みを算出し、補正する方法が提案されている(特許文献1ないし3参照)。
【特許文献1】特開2005−348103号公報
【特許文献2】特開2004−088499号公報
【特許文献3】特開2006−019893号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
入力画像から原稿の外形や、罫線や、文字列が抽出できない場合、適切な歪み補正を行うことができない。特に、写真や、画像が貼り付けられているだけの画像が入力された場合、歪み補正を行うことができなかった。
【0004】
そこで本発明は、上記実情に鑑みて、入力画像中に存在する画像領域のみを抽出することで、入力画像の歪みを補正することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために請求項1記載の発明は、画像データから画像領域を抽出する領域抽出手段と、抽出された画像領域の外形を取得する外形取得手段と、取得された前記外形に基づいて前記画像データの歪みを求め、該歪みを補正する補正手段と、を備えることを特徴とする。
【0006】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記領域抽出手段は、画像領域の外接矩形を抽出し、前記外形取得手段は、抽出された前記外接矩形内の画素値の遷移に基づいて前記画像領域の外形を取得することを特徴とする。
【0007】
また、請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、画像データの明度を調整する明度調整手段と、前記調整後の画像データに対し2値化処理を行う2値化手段と、を備え、前記外形取得手段は、前記2値化処理後の画像データから画像領域の外形を取得することを特徴とする。
【0008】
また、請求項4記載の発明は、画像データから画像領域を抽出する領域抽出工程と、抽出された画像領域の外形を取得する外形取得工程と、取得された前記外形に基づいて前記画像データの歪みを求め、該歪みを補正する補正工程と、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、請求項5記載の発明は、請求項4記載の発明において、前記領域抽出工程は、画像領域の外接矩形を抽出し、前記外形取得工程は、抽出された前記外接矩形内の画素値の遷移に基づいて前記画像領域の外形を取得することを特徴とする。
【0010】
また、請求項6記載の発明は、請求項4又は5記載の発明において、画像データの明度を調整する明度調整工程と、前記調整後の画像データに対し2値化処理を行う2値化工程と、を備え、前記外形取得工程は、前記2値化処理後の画像データから画像領域の外形を取得することを特徴とする。
【0011】
また、請求項7記載の発明は、情報処理装置を、画像データから画像領域を抽出する領域抽出手段と、抽出された画像領域の外形を取得する外形取得手段と、取得された前記外形に基づいて前記画像データの歪みを求め、該歪みを補正する補正手段と、として機能させることを特徴とする。
【0012】
また、請求項8記載の発明は、請求項7記載の発明において、前記領域抽出手段は、画像領域の外接矩形を抽出し、前記外形取得手段は、抽出された前記外接矩形内の画素値の遷移に基づいて前記画像領域の外形を取得することを特徴とする。
【0013】
また、請求項9記載の発明は、請求項7又は8記載の発明において、情報処理装置を、画像データの明度を調整する明度調整手段と、前記調整後の画像データに対し2値化処理を行う2値化手段と、として機能させ、前記外形取得手段は、前記2値化処理後の画像データから画像領域の外形を取得することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、入力画像中に存在する画像領域のみを抽出することで、入力画像の歪みを補正することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の好適な実施の形態について図面を参照して説明する。
[第1の実施形態]
図1は、本実施形態に係る画像補正装置100の構成を示す機能ブロック図である。
図1に本実施形態に係る画像補正装置の構成を示す。図1に示す画像補正装置100は、領域抽出部101と、外形取得部102と、補正部103と、を備える。
【0016】
なお、画像補正装置100は、具体的には、例えば、パーソナルコンピュータ、MFP(Multi−Function Peripheral)、ファクシミリ、スキャナ、携帯電話機、デジタルカメラ等に適用できる。
【0017】
図2に、画像補正装置100をスキャナに適用し、製本された書籍をスキャンする例を示す。図2(a)は、スキャンする書籍をスキャン表面とともに側面から見た図である。図2(b)は、スキャンした画像データの例である。図2(b)に示すように、厚みのある書籍を読み取るとき、綴じ部境界線を挟んで、書籍の外形や綴じ部近傍が歪んだ画像データが得られる場合がある。
【0018】
画像補正装置100に入力される画像データは、このような図2(b)に例示したようなものであり、画像補正装置100は、このような歪みのある入力画像データの中の、歪みのある画像領域を補正するのに好適な装置である。なお、画像領域としては、写真領域がある。また、写真領域に限らず、単に画像が貼り付けられているだけの画像の領域も、本実施形態の処理の対象として好ましい。
【0019】
図1に示す領域抽出部101は、入力画像データから画像領域を抽出する。領域抽出部101は、特に、画像領域に外接する矩形を抽出することが好ましい。図3に、領域抽出部101が抽出する画像領域の例を示す。領域抽出部101は、入力画像データから図3に示すような歪んだ画像領域を外接矩形で囲んで抽出する。抽出される画像領域は、複数に及ぶ場合もある。また、外接矩形は、図3に示すように、左上座標値と右上座標値とで表現する。
【0020】
領域抽出部101による領域抽出手順は、まず、入力画像データの背景色を検出し、次に、背景色と異なる画素を統合して、矩形の領域を生成する。生成された矩形の領域は、図3に示すような、歪んだ画像領域に外接する外接矩形となる。なお、図3の例は、見やすくするために、歪んだ画像領域と外接矩形との間を少し離して表現している。
【0021】
図1に示す外形取得部102は、領域抽出部101が抽出した画像領域から、画像領域の形状(外形)を取得する。図4に、外形取得部102が取得した画像領域の外形の例を示す。図4に示すような、外形取得部102が取得する外形は、歪み形状を表現できる点列の座標が取得できればよい。具体的には、背景色の終端を利用したり、画素の状態変化を利用したりして、外形を取得する。
【0022】
本実施形態では、背景色の終端を利用する。背景色の終端を利用する方法は、領域抽出部101が特定した入力画像データの背景色を用いて、当該背景色以外の色を持つ画素に変化する座標値を求めることによって、境界を求める。図5に、本実施形態の外形取得部102の作用を示す。
【0023】
図5の場合では、外形取得部102は、抽出された画像領域の幅分に対して垂直方向に画素の状態が背景色からそれ以外の画素に変化する座標値を求める。また、幅分に対して平行方向に走査して、座標値の列を求めることによって、背景色の境界を求める。
【0024】
図1に示す補正部103は、外形取得部102により取得した外形に基づき、入力画像データの歪みを求める。また、歪みを求めた上で、歪みを補正する。歪みの補正は、図2(b)に示した主走査方向及び副走査方向に形状を補正することによって行う。
【0025】
以上に説明したように、本実施形態によれば、領域抽出部101を備え、領域抽出部101が入力画像データ中に存在する画像領域のみを抽出することによって、入力画像データの歪みを適切に補正することが可能になる。
【0026】
[第2の実施形態]
図6は、図6(a)(b)ともに、本実施形態に係る画像補正装置100の構成を示す機能ブロック図である。図6に示すように、本実施形態は、明度調整部104と2値化部105を備える点で、上記第1の実施形態と異なる。なお、本実施形態は、入力画像データを「明度調整部104、2値化部105、領域抽出部101」の順で処理する構成(図6(a)に示す構成)と、「領域抽出部101、明度調整部104、2値化部105」の順で処理する構成(図6(b)に示す構成)と、のどちらも可能である。
【0027】
図6に示す領域抽出部101と補正部103は、上記第1の実施形態におけるものと同等であるので説明を省略する。図6に示す明度調整部104は、入力された画像データの明度を調整する作用を有する。なお、ここで言う「画像データ」は、画像補正装置100に入力された画像データではなく、明度調整部104に入力された画像データを言う。また、図6に示す2値化部105は、入力された画像データを所定のしきい値に基づいて2値化する作用を有する。なお、ここで言う「画像データ」は、画像補正装置100に入力された画像データではなく、2値化部105に入力された画像データを言う。
【0028】
上記第1の実施形態では、画像領域の背景色と入力画像データの背景色とが区別できない場合に、適切に画像領域の外形を取得することができないという問題がある。また、区別できる場合であっても、画像領域の外形をより正確に取得し、より正確に入力画像の歪みを求める必要がある。
そこで、図6に示す外形取得部102は、前段の明度調整部104と2値化部105の結果を用い、画素の状態変化を利用して、外形を取得する。次に、画素の状態変化を利用する方法について説明する。
【0029】
画素の状態変化を利用する方法は、抽出された画像領域を2値化部105により2値化し、2値化された画像に対して垂直、又は、並行の方向に画素の状態を調べ、画素の状態の変化により画像領域の境界を抽出する方法である。図7に、本実施形態の外形取得部102の作用を示す。
【0030】
図7の場合では、外形取得部102は、抽出された画像領域の幅分に対して垂直方向に画素の状態が白画素から黒画素に変化する座標値を求める。また、幅分に対して平行方向に走査して、座標値の列を求めることによって、黒画素の境界を求める。
【0031】
また、本実施形態においては、2値化部105により2値化する前処理として、明度調整部104によりコントラストを暗くするフィルタを施す。その結果、2値化の際に写真の形状がよりはっきりとする。
【0032】
以上に説明したように、本実施形態によれば、画像領域の背景色と入力画像データの背景色とが区別できない場合であっても、適切に画像領域の外形を取得することが可能になる。また、明度調整部104と2値化部105を備えることによって、画像領域の外形をより正確に取得し、より正確に入力画像の歪みを求めることが可能となる。
【0033】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施形態に係る画像補正装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係る画像補正装置に入力される画像データの例を説明するための図である。
【図3】本発明の実施形態に係る画像補正装置の領域抽出部が抽出する画像領域を説明するための図である。
【図4】本発明の実施形態に係る画像補正装置の外形取得部が取得した画像領域の外形を説明するための図である。
【図5】本発明の実施形態に係る画像補正装置の外形取得部の作用を説明するための図である。
【図6】本発明の他の実施形態に係る画像補正装置の構成を示すブロック図である。
【図7】本発明の他の実施形態に係る画像補正装置の外形取得部の作用を説明するための図である。
【符号の説明】
【0035】
100 画像補正装置
101 領域抽出部
102 外形取得部
103 補正部
104 明度調整部
105 2値化部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データから画像領域を抽出する領域抽出手段と、
抽出された画像領域の外形を取得する外形取得手段と、
取得された前記外形に基づいて前記画像データの歪みを求め、該歪みを補正する補正手段と、を備えることを特徴とする画像補正装置。
【請求項2】
前記領域抽出手段は、画像領域の外接矩形を抽出し、
前記外形取得手段は、抽出された前記外接矩形内の画素値の遷移に基づいて前記画像領域の外形を取得することを特徴とする請求項1記載の画像補正装置。
【請求項3】
画像データの明度を調整する明度調整手段と、
前記調整後の画像データに対し2値化処理を行う2値化手段と、を備え、
前記外形取得手段は、前記2値化処理後の画像データから画像領域の外形を取得することを特徴とする請求項1又は2記載の画像補正装置。
【請求項4】
画像データから画像領域を抽出する領域抽出工程と、
抽出された画像領域の外形を取得する外形取得工程と、
取得された前記外形に基づいて前記画像データの歪みを求め、該歪みを補正する補正工程と、を備えることを特徴とする画像補正方法。
【請求項5】
前記領域抽出工程は、画像領域の外接矩形を抽出し、
前記外形取得工程は、抽出された前記外接矩形内の画素値の遷移に基づいて前記画像領域の外形を取得することを特徴とする請求項4記載の画像補正方法。
【請求項6】
画像データの明度を調整する明度調整工程と、
前記調整後の画像データに対し2値化処理を行う2値化工程と、を備え、
前記外形取得工程は、前記2値化処理後の画像データから画像領域の外形を取得することを特徴とする請求項4又は5記載の画像補正方法。
【請求項7】
情報処理装置を、
画像データから画像領域を抽出する領域抽出手段と、
抽出された画像領域の外形を取得する外形取得手段と、
取得された前記外形に基づいて前記画像データの歪みを求め、該歪みを補正する補正手段と、として機能させることを特徴とする画像補正プログラム。
【請求項8】
前記領域抽出手段は、画像領域の外接矩形を抽出し、
前記外形取得手段は、抽出された前記外接矩形内の画素値の遷移に基づいて前記画像領域の外形を取得することを特徴とする請求項7記載の画像補正プログラム。
【請求項9】
情報処理装置を、
画像データの明度を調整する明度調整手段と、
前記調整後の画像データに対し2値化処理を行う2値化手段と、として機能させ、
前記外形取得手段は、前記2値化処理後の画像データから画像領域の外形を取得することを特徴とする請求項7又は8記載の画像補正プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−152667(P2009−152667A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−326244(P2007−326244)
【出願日】平成19年12月18日(2007.12.18)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】