説明

画像記録制御装置及び監視システム

【課題】発生した異常に応じて、異常発生時の状況確認に最適な映像を取得する。
【解決手段】対象設備内に設置された複数のセンサから得られる検知信号に基づいて、複数の撮像装置から所定の画像を抽出するための画像記録制御装置において、前記検知信号を受信したセンサの種類に基づいて、前記複数の撮像装置のうち少なくとも1つの撮像装置を選択する撮像装置選択手段と、前記撮像装置選択手段により選択された撮像装置が撮影して一時的に記録されている映像のうち、前記センサの検知タイミングに対応させて取得する画像を抽出する取得画像抽出手段と、前記取得画像抽出手段により得られた画像を送信する送信手段とを有することにより、上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像記録制御装置及び監視システムに係り、特に発生した異常に応じて、異常発生時の状況確認に最適な映像を取得するための画像記録制御装置及び監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、警備対象施設(又は区域)等に設置されている防犯カメラ等の撮像装置は、常時録画する方法が用いられているが、録画するデータ量が必然的に大きくなるため、そのデータを記録するハードディスクやメモリの容量も大きくなってしまう。
【0003】
そこで、近年では、防犯カメラ等やDVR(Digital Video Recorder)等の記録装置を組み合わせて、例えば、防犯カメラ等にて妨害や侵入検知、撮影した映像に対するビデオロス等の異常が発生した場合に、異常発生の前後の映像を記録することができる画像監視記録システムが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
なお、上述した特許文献1に示されている技術では、人物の危険の度合いに応じた複数の異なる特定の動きの画像をテンプレート画像として画像メモリに登録し、撮影した画像毎に抽出される監視領域内での人物と、上述したテンプレート画像とを比較して、特定の動きがあると判定された場合にその人物の動きに応じて危険の度合いを認識し、認識結果(危険の度合い)に応じて記録時間が指定されるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−124526号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来における異常判断では、異常の種類により、その特定の動きが異常であると判断するまでの時間が異なるため、従来の記録方法では重要な映像が正確に得られない場合がある。また、上述した特許文献1に示されているような手法を用いる場合には、予めテンプレート画像を生成してメモリに登録しておく必要があると共に、撮影された全ての映像に対して比較して、異常判断をしなければならないため、システムの処理負担が大きくなってしまう。
【0007】
また、異常の種類により、異常発生前の映像が重要であったり、異常発生後の映像が重要だったりするが、異常発生前後の映像を所定期間取得するため、異常発生の状況確認には、あまり意味のない映像も記録されていた。
【0008】
なお、通常、住居や病院、商店(コンビニエンスストア、百貨店等)、工場、企業ビル等の警備設備等においては、警備設備内に複数の各種検知センサが設置されているが、侵入者を検知した場合、その侵入ルートは検知センサの位置や種類等により推測することができるため、その各種センサの検知内容から、複数のカメラで撮影した映像(画像)を対象に選択して、異常発生時の状況確認に最適な映像を記録するように制御することが望ましい。
【0009】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであって、発生した異常に応じて、異常発生時の状況確認に最適な映像を取得するための画像記録制御装置及び監視システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本件発明は、以下の特徴を有する課題を解決するための手段を採用している。
【0011】
本発明では、対象設備内に設置された複数のセンサから得られる検知信号に基づいて、複数の撮像装置から所定の画像を抽出するための画像記録制御装置において、前記検知信号を受信したセンサの種類に基づいて、前記複数の撮像装置のうち少なくとも1つの撮像装置を選択する撮像装置選択手段と、前記撮像装置選択手段により選択された撮像装置で撮影された映像のうち、前記センサの検知前及び検知時、検知後の映像又は画像から、別々の抽出条件により抽出する取得画像抽出手段と、前記取得画像抽出手段により得られた映像又は画像を送信する送信手段とを有することを特徴とする。これにより、発生した異常に応じて、異常発生時の状況確認に最適な映像を取得することができる。
【0012】
また本発明において、前記撮像装置選択手段は、前記複数のセンサから前記検知信号を受信した場合には、前記センサ毎の優先度に基づいて1又は複数の撮像装置を選択することを特徴とする。
【0013】
また本発明において、前記取得画像抽出手段は、前記複数のセンサから前記検知信号を受信した場合には、前記複数のセンサの組み合わせにより前記複数の撮像装置から撮影された複数の映像のうち、前記複数のセンサの検知前及び検知時、検知後の映像又は画像から、別々の抽出条件により抽出することを特徴とする。
【0014】
また本発明において、前記取得画像抽出手段は、前記複数の撮像装置毎に予め設定された優先度に応じて画像サイズ又は解像度を変更して前記送信手段から送信させることを特徴とする。
【0015】
更に本発明では、請求項1乃至4の何れかに記載の画像記録制御装置と、前記画像記録制御装置が設置された前記対象設備内を監視する監視センタとからなる監視システムにおいて、前記画像記録制御装置は、前記監視センタに警報信号を送信すると共に、前記取得画像抽出手段により得られる映像又は画像を送信する際、前記センサ及び前記撮像装置により予め設定された圧縮形式により前記映像又は画像を圧縮して送信することを特徴とする。
【0016】
なお、本発明の構成要素、表現又は構成要素の任意の組み合わせを、方法、装置、システム、コンピュータプログラム、記録媒体、データ構造等に適用したものも本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、発生した異常に応じて、異常発生時の状況確認に最適な映像を取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本実施形態における監視システムの概略構成の一例を示す図である。
【図2】画像記録制御装置の機能構成例の一例を示す図である。
【図3】撮像装置選択手段における撮像装置の選択例を示す図である。
【図4】基準となる取得画像例について説明するための図である。
【図5】撮影画像から所定の画像を抽出する例(その1)を示す図である。
【図6】撮影画像から所定の画像を抽出する例(その2)を示す図である。
【図7】撮影画像から所定の画像を抽出する例(その3)を示す図である。
【図8】監視センタに表示される画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<本発明について>
本発明は、発生した異常に応じて、異常発生時の状況確認に最適な映像を得られるようにする。具体的には、本発明では、センサ等の検知手段により検知される内容(異常種別)に応じて、異常発生の前と後の記録時間を独立して設定できるようにする。これにより、HDD(Hard Disk Drive)やメモリ等の記録装置の容量が小さくても、重要な映像のみを選択的に取得することができ、異常発生時の信号と記録映像の紐付けができる。
【0020】
以下に、本発明における画像記録制御装置及び監視システムを好適に実施した形態について、図面を用いて説明する。
【0021】
<監視システムの概略構成例>
図1は、本実施形態における監視システムの概略構成の一例を示す図である。図1に示す監視システム10は、撮像装置11と、映像記録装置12と、画像記録制御装置13と、各センサ群14と、監視センタ15等を有するように構成されている。また、画像記録制御装置13と、監視センタ15とは、インターネット等に代表される通信ネットワーク16により、データや制御信号の送受信が可能な状態で接続されている。また、図1の例では、撮像装置11、映像記録装置12、画像記録制御装置13、及び各センサ群14は、警備対象施設内に設置されているものとする。
【0022】
撮像装置11は、住居や病院、商店(コンビニエンスストア、百貨店等)、工場、企業ビル等のある所定の警備対象施設内に設置される1又は複数のカメラ等(図1の例では、撮像装置11−1〜11−n)からなる。例えば、撮像装置11は、主に固定型の防犯カメラ等を示しており、ドアや窓周辺等の所定の領域の映像を常時撮影しているものである。
【0023】
映像記録装置12は、一次蓄積手段21と、二次蓄積手段22とを有するように構成されている。一次蓄積手段21は、撮像装置11により撮影された全ての映像を、その撮影された時間情報と共に蓄積する。また、二次蓄積手段22は、撮像装置11により撮影された全ての映像のうち、画像記録制御手段13により指示された画像(映像も含む)を抽出し、その撮影された時間情報と共に蓄積する。なお、本実施形態では、二次蓄積手段22による記録処理は、主に各センサ群14により異常が検知された場合に、映像記録装置12−1〜12−nのうち、画像記録制御手段13により指示を受けた映像記録装置12のみが上述の処理を行う。
【0024】
つまり、この画像は、後述する監視センタ15に送信するための画像であり、異常発生時の状況確認に最適な画像のみを抽出して送信することにより、無駄な画像の伝送を防止して伝送の効率を向上させることができる。したがって、二次蓄積手段22は、蓄積したデータを所定のデータ量や周期、又は画像記録制御装置13からの要求信号等の予め設定されたトリガー情報に基づいて画像記録制御装置13に出力し、画像記録制御装置13から監視センタ15に送信された後に削除される。
【0025】
なお、図1に示す監視システム10において、映像記録装置12(一次蓄積手段21、二次蓄積手段22)は、撮像装置11−1〜11−n毎に設けている(図1の例では、映像記録装置12−1〜12−n(一次蓄積手段21−1〜21−n、二次蓄積手段22−1〜22−n))。しかしながら、本発明においてはこれに限定されるものではなく、例えば撮像装置11−1〜11−nにそれぞれ映像記録装置12−1〜12−nを内蔵してもよく、また複数の撮像装置11−1〜11−nに対して1つの映像記録装置12を設ける構成であってもよい。
【0026】
画像記録制御装置13は、各センサ群14からの異常検知信号に基づいて、複数の撮像装置11−1〜11−nとそれに対応する映像記録装置12−1〜12−nのうち、映像を取得する対象の撮像装置11及び映像記録装置12を選択し、更に、その選択された撮像装置11で撮影され、映像記録装置12の一次蓄積手段21に蓄積されている映像のうち、予め設定された条件にしたがって所定の画像(又は映像)を抽出する。なお、所定の画像や映像とは、例えば、ある一定期間の映像や、所定時間間隔毎の画像、画像サイズや解像度等を変更した画像等も含まれるが本発明においては上記の内容に限定されるものではない。なお、各センサ群14からの異常検知信号に基づく画像記録制御手段13における撮像装置11の選択手法、及び、所定の映像(又は画像)の抽出方法等の具体例については後述する。
【0027】
また、画像記録制御装置13は、各センサ群14の少なくとも1つで異常等を検知したことを示す警報信号を、通信ネットワーク16を介して監視センタ15に出力する。また、画像記録制御装置13は、上述した警報信号を送信すると共に、映像記録装置12−1〜12−nから所定の抽出条件により抽出された映像又は画像を所定の圧縮形式等により圧縮し、通信ネットワーク16を介して監視センタ15に出力する。
【0028】
各センサ群14は、上述した撮像装置11−1〜11−nが設置された警備対象施設等と同じ施設に設けられるセンサ群である。なお、各センサ群14とは、具体的には、窓の開閉センサ、扉の開閉センサ、空間センサ(ノーマルタイプ(全方位タイプ))、空間センサ(スポットタイプ)、空間センサ(長距離センサ)、非常通報装置等である。なお、本実施形態において、各センサ群14は、撮像装置11−1〜11−nに対応して1つずつ設置させてもよく、また1つのセンサで複数の撮像装置11に対応させてもよく、また複数のセンサで1つの撮像装置に対応させてもよい。各センサ群14のうち、少なくとも1つで異常等を検知した場合、そのセンサはそれぞれに付与されているセンサ識別情報と共に検知信号を画像記録制御装置13に出力する。
【0029】
監視センタ15は、通信ネットワーク16を介して画像記録制御装置13から得られる映像信号や警報情報等を取得して、警備対象施設に対して警備員の派遣や緊急状態に対応した処置等を行う。
【0030】
次に、本実施形態における画像記録制御装置13についての具体的な機能構成例について図を用いて説明する。
【0031】
<画像記録制御装置13:機能構成例>
図2は、画像記録制御装置の機能構成例の一例を示す図である。図2に示す画像記録制御装置13は、入力手段31と、出力手段32と、蓄積手段33と、送受信手段34と、撮像装置選択手段35と、取得画像抽出手段36と、制御手段37とを有するよう構成されている。
【0032】
入力手段31は、ユーザ等からの撮像装置選択指示、取得画像抽出指示、送受信指示等の各種指示を受け付ける。なお、入力手段31は、例えばキーボードや、マウス等のポインティングデバイス、マイク等の音声入力デバイス等からなる。
【0033】
出力手段32は、入力手段31により入力された指示内容や、各指示内容に基づいて生成された制御データや送受信手段34、撮像装置選択手段35、取得画像抽出手段36等の各構成により実行された経過又は結果により得られる各種情報の内容を表示したり、その音声を出力する。なお、出力手段32は、ディスプレイ等の画面表示機能やスピーカ等の音声出力機能等を有する。更に、出力手段32は、実行経過や結果をプリンタ等に出力したりファイルを生成して出力する印刷・出力機能等を有する。
【0034】
蓄積手段33は、上述した本実施形態を実現するための様々な情報を蓄積することができ、必要に応じて読み出しや書き込みが行われる。具体的には、蓄積手段33は、撮像装置11の識別情報、種別情報(高感度カメラ、高精細カメラ、赤外線カメラ等)、アドレス情報、及び位置情報、映像記録装置12の識別情報、各センサ群14のそれぞれの識別情報、種別情報(窓の開閉センサ、扉の開閉センサ、空間センサ等)、アドレス情報、及び位置情報、各センサ群14からの検知信号の内容、監視センタ15と接続するためのアドレス情報、撮像装置選択手段35により選択された撮像装置に関する情報、監視センタ15に送信するデータの内容及び取得画像抽出手段36により抽出された映像又は画像等の各種データを蓄積する。
【0035】
また、蓄積手段33は、送受信手段34における送受信情報、制御手段37により制御された情報、エラー発生時のエラー情報、ログ情報、本発明を実現するためのプログラム等の各情報も蓄積される。
【0036】
送受信手段34は、例えばLAN(Local Area Network)やインターネット等の通信ネットワーク等を介して各センサ群14から所定の検知信号等を受信したり、撮像装置11からの監視映像を記録する映像記録装置12に対して所定の画像や映像を抽出させた後、その抽出したデータ等を取得する。なお、送受信手段34は、撮像装置11から直接監視映像を受信してもよい。
【0037】
ここで、本実施形態において、送受信手段34は、画像や映像信号を取得する場合、各センサ群14により得られる異常信号を検知したセンサの位置や種類、異常信号の内容等に基づいて異常発生時の状況確認に最適な画像(映像も含む)を受信する。つまり、本実施形態では、撮像装置選択手段35や取得画像抽出手段36から得られる撮像装置の選択内容や、撮影された全映像から取得する画像や映像をどのように抽出するか等の抽出条件等といった各種情報に基づいて、映像記録装置12によって上述した二次蓄積手段22で抽出画像等を一次的に蓄積させ、また蓄積された画像等を受信する。
【0038】
更に、送受信手段34は、得られた映像や画像を、通信ネットワーク16を介して監視センタ15に出力する。このとき、送受信手段34は、制御手段37による制御により、各センサ群14の種類に応じた異常を示す警報信号等を監視センタ15に出力することができる。
【0039】
また、送受信手段34は、監視システム10の警備対象施設内に含まれる他の端末に送信したり、他の端末から各種データを受信するための通信インタフェースとして用いることもできる。
【0040】
撮像装置選択手段35は、各センサ群14の少なくとも1つから得られる検知信号、センサの識別情報に基づいて、蓄積手段33からセンサの位置や種類、異常信号の内容等を取得し、そのセンサの位置情報と撮像装置11の位置情報とから、対応する撮像装置を選択し、その識別情報とアドレス情報を取得する。なお、撮像装置選択手段35は、どのセンサが検知したときにどの撮像装置11からの画像等を取得するかについての紐付け情報を予め設定して蓄積手段33等に蓄積しておいてもよい。その場合、撮像装置選択手段35は、各センサ群14の少なくとも1つが異常を検知すると、蓄積手段33を参照して上記の紐付け情報から瞬時に対象の撮像装置11を選択することができる。
【0041】
また、撮像装置選択手段35は、蓄積手段33から予め設定された監視センタ15に送信するデータの内容を取得し、取得した設定内容に基づいて検知信号を受信したセンサに対応する撮像装置11を選択することもできる。これにより、監視センタ15で指定した画像(例えば、赤外線カメラからの画像のみ、或いは、解像度が所定値以上の高精細カメラからの画像のみ等)を取得することができる。
【0042】
取得画像抽出手段36は、上述した撮像装置選択手段35により選択された撮像装置11に対して、どの撮像装置からどのような映像(又は画像)を抽出するかといった内容を設定し、設定した取得対象画像の抽出を行う。つまり、取得画像抽出手段36は、撮像装置選択手段35により選択された撮像装置11で撮影された映像のうち、異常を検知したセンサの検知前及び検知後の映像又は画像を、別々の抽出条件により抽出する。
【0043】
なお、取得画像抽出手段36は、条件に対応する映像又は画像を抽出する際、対象の映像記録装置12に対し、その二次蓄積手段22に所定の映像を蓄積させる制御信号を生成し、その制御信号を送受信手段34により送信させる。
【0044】
また、取得画像抽出手段36は、取得した抽出画像に対して、予め設定された伝送時の解像度や圧縮形式にしたがって、画質変換処理や画像圧縮処理等の編集処理を行い、編集された画像(又は映像)を送信手段34により監視センタ15に送信させる。なお、取得画像抽出手段36における具体的な抽出内容については後述する。
【0045】
制御手段37は、画像記録制御装置13における各機能構成全体の制御を行う。具体的には、制御手段37は、入力手段31により入力されたユーザからの入力情報に基づいて、撮影画像の選択や抽出制御を行ったり、送受信制御を行う等の各種制御を行う。
【0046】
<撮像装置選択手段35における撮像装置11の選択例>
次に、本実施形態における撮像装置選択手段35における撮像装置11−1〜11−nの選択例について図を用いて説明する。図3は、撮像装置選択手段における撮像装置の選択例を示す図である。なお、図3に示す情報は、蓄積手段33に蓄積され、適宜読み出されるものである。なお、これらの情報は、撮像装置選択手段35等により追加、削除、変更といった更新処理を行うことができる。
【0047】
本実施形態では、異常等の検知信号を検知した各センサ群14の位置(場所)、及びそのセンサ種別や内容等により、どの撮像装置(カメラ)11から映像信号を取得するかを選択する。具体的には、図3に示すように、各センサ群14を識別するセンサ識別情報としてのセンサ番号と、撮像装置11−1〜11−nを識別するためのカメラ識別情報としてのカメラ番号と、監視センタ15に対して送信する情報が設定された監視センタ送信条件等の項目が蓄積手段33に蓄積されている。
【0048】
撮像装置選択手段35は、あるセンサからの検知信号(異常信号等)を送受信手段34により取得すると、その取得した内容に基づいて蓄積手段33から上述した図3に示すような情報を取得し、その検知信号を送信したセンサのセンサ番号を参照することで、センサ番号に紐付けされたカメラ番号と監視センタ15への送信条件を取得する。
【0049】
例えば、図3の例であれば、センサ番号「センサ1」からの異常信号を検知した場合には、カメラ番号が「カメラ1」である撮像装置11からの映像を取得し、送信条件1で設定された条件にしたがって、対応する画像を取得し、必要に応じて所定の編集等を行った後、監視センタ15に出力する。なお、本発明においてはこれに限定されるものではなく、例えばセンサ1からの検知信号に対して複数の撮像装置からの映像を取得するようにしてもよく、時間の経過と共に、取得する撮像装置を変更してもよい。これにより、適切な位置の映像を取得することができると共に、追跡した画像を取得することができる。
【0050】
<取得画像抽出手段37における取得画像例>
次に、本実施形態における取得画像抽出手段37における取得画像例について図を用いて説明する。図4は、基準となる取得画像例について説明するための図である。なお、図4に示す情報は、上述した蓄積手段33に蓄積され、適宜読み出されるものである。
【0051】
取得画像抽出手段36は、各センサ群14から取得した異常等の検知信号に基づいて、対応する画像や映像をどのように抽出するかを判断するための情報である。この情報を参照することにより、適切な画像や映像のみを取得することができ、異常の状態を適切に監視センタ15に通知することができる。
【0052】
なお、取得対象画像を抽出するために設定される内容としては、例えば図4の例では、「センサ種類」、及び「抽出条件」等の項目等を有している。
【0053】
ここで、取得画像抽出手段37における取得画像例について、図4を用いて具体的に説明する。例えば、各センサ群14からの検知信号として、開閉センサ(窓)からの信号を受信した場合には、窓を開ける前後の画像が必要であるため、センサ検知前と検知時、検知後までの画像を抽出する。そのため、具体的には、検知した時間の1秒前から検知時までの映像と、検知した時間から1秒後の画像等を抽出する。
【0054】
また、開閉センサ(扉)からの信号を受信した場合には、扉を開けて侵入する侵入者を確認できる画像が必要であるため、センサ検知後の画像送信を抽出する。これは、扉を開ける前は、侵入者が部屋の外側にいるため、扉が開く前の映像には侵入者等がカメラに撮影されていることがないと想定されるためである。そのため、具体的には、検知した時間から1秒後の画像等を抽出する。これにより、扉を開いて顔が見える状態になったときの画像を取得することができる。
【0055】
なお、侵入者の移動経路が部屋の中から外へ向かうと想定される場所においては、扉を開けて退出する侵入者を確認できるように、検知する1秒前から検知時までの画像等を抽出すればよい。
【0056】
また、空間センサ(ノーマルタイプ(全方位型))の信号を受信した場合には、センサ範囲を通過する前後の画像が必要であるため、センサ検知前は少なめ、検知後は多めに画像を抽出する。そのため、具体的には、検知時の0.5秒前から検知時までの映像と、1,2,3秒後の画像等を抽出する。
【0057】
また、空間センサ(スポットタイプ)の信号を受信した場合には、例えば、そのスポットが出入り口付近を監視する際には、センサ範囲通過時の画像が必要であるため、センサ検知前後の画像を抽出する。そのため、具体的には、検知した時間の1秒前から検知時までの映像と、検知した時間から1秒後の画像等を抽出する。
【0058】
また、空間センサ(長距離タイプ)の信号を受信した場合には、例えば、その長距離として廊下等を監視する際には、センサ範囲を通過する前後の画像が必要であるため、センサ検知前は少なめ、検知後はノーマルタイプより多めに画像を抽出する。そのため、具体的には、検知した時間の0.5秒前から検知時までの映像と、検知した時間から1,2,3,4,5秒後の画像等を抽出する。
【0059】
また、非常通報装置からの非常通報を受信した場合には、通報者が非常事態から逃れながら、或いは非常事態から逃れた後に非常通報を行うことが想定されるので、非常釦を押す前の画像を確認できるように、釦押下前の画像を多めに抽出する。そのため、具体的には、非常通報装置の釦を押した時間から1,2,3,4,5,6,7,8,9,10秒前の画像等を抽出する。
【0060】
なお、抽出条件は、本発明においては、上記内容に限定されるものではなく、例えば複数のセンサからの検知信号を組み合わせて、対応する他の撮像装置で撮影された映像(又は画像)等を抽出したり、取得する映像や画像を取得する時間により適宜変更して抽出することができる。
【0061】
<具体例>
ここで、センサに対応する抽出条件の関係について具体例を用いて説明する。図5〜図7は、撮影画像から所定の画像を抽出する例(その1〜その3)を示す図である。なお、後述する例において、上述した映像記録装置12における機能は、撮像装置にそれぞれ内蔵されているものとする。
【0062】
まず、図5に示す撮影画像から所定の画像を抽出する例(その1)では、警備対象施設40に、窓41−1〜41−4と、扉42が設けられており、その中に上述した撮像装置11が2台(窓用の撮像装置11−1,扉用の撮像装置11−2)設けられている。また、各窓41−1〜41−4には、それぞれ窓開閉センサ43−1〜43−4が設けられており、扉42には、扉開閉センサ44が設けられている。
【0063】
なお、図5の例では、窓開閉センサ43−1〜43−4に対して撮像装置11−1が紐付けられており、扉開閉センサ44に対して撮像装置11−2が紐付けられているものとする。
【0064】
ここで、図5において、例えば、窓41−1〜41−4の何れかが開くと、対応する窓開閉センサ43−1〜43−4の何れかが作動する。このとき、検知した窓開閉センサ43からの検知信号を画像記録制御装置13で受信すると、上述した図3,図4に示すデータを蓄積手段33から読み出し、撮像装置11の選択と、取得画像の抽出を行う。
【0065】
具体的には、画像記録制御装置13からの指示情報に基づき、撮像装置11−1に内蔵された一次蓄積手段21で蓄積された全映像から、センサ検知前と検知した時間の1秒前から検知時までの映像と、検知した時間から1秒後の画像を抽出して二次蓄積手段22に蓄積する。また、蓄積したデータは、瞬時又は所定のタイミングで画像記録制御装置13に出力される。
【0066】
また、扉42が開いたことを扉開閉センサ44が検知した場合には、撮像装置11−2によって、上述した処理と同様の処理が行われ、画像記録制御装置13からの指示情報に基づき、撮像装置11−1に内蔵された一次蓄積手段21で蓄積された全映像から、センサで検知した時間から1秒後の画像を抽出して二次蓄積手段22に蓄積する。また、蓄積したデータは、瞬時又は所定のタイミングで画像記録制御装置13に出力される。これにより、画像記録制御装置13は、異常発生時の状況確認に最適な取得対象画像(映像も含む)を抽出することができる。
【0067】
次に、図6に示す撮影画像から所定の画像を抽出する例(その2)について説明する。図6に示す例では、空間センサ45が設けられている。つまり、図6では、扉42から侵入し、金庫に近づく人物(犯人)を撮影する例を示している。このような場合には、空間センサ45が人物を検知すると、空間センサ45からの検知信号が画像記録制御装置13に送信され、撮像装置選択手段35及び取得画像抽出手段36により設定された条件により、撮像装置11−1にて撮影されている全映像から、上述したように所定の画像(又は映像)が抽出されて二次蓄積手段22に蓄積し、その後、その画像等を取得する。
【0068】
なお、画像記録制御装置13は、空間センサ45の検知信号を受信した場合には、上述した図4に示すデータを参照し、例えばセンサ検知時の0.5秒前から検知時までの映像と、1,2,3秒後の画像を抽出する。
【0069】
次に、図7に示す撮影画像から所定の画像を抽出する例(その3)について説明する。図7に示す例では、警備対象施設40の外にも撮像装置11−2が設けられ、また、部屋の外の廊下にも撮像装置11−3が設けられている。図7の例において、空間センサ45又は窓開閉センサ43−1〜43−4のうち、一方のセンサのみが検知した場合は、上述した処理と同様の処理を行い、撮像装置11−1で撮影された画像から取得対象画像を抽出する。
【0070】
また、例えば、窓開閉センサ43−1〜43−4の何れかで異常等を検知し、その後、空間センサ45が異常等を検知した場合、その侵入者は、まず窓から侵入し、その後部屋内を通って廊下に出たものと推定することができる。したがって、その場合には、例えば、撮像装置11−2において、侵入者の窓41−1〜41−4からの侵入の様子を確認するため、窓開閉センサ43−1〜43−4の検知前の画像を多めに抽出する。また、撮像装置11−3において、廊下に移動する様子を確認するため、空間センサ45の検知後の画像を多めに抽出する。これにより、不審者がどこに向かっていったか、その経路を追跡することができる。
【0071】
つまり、上述の実施例に示すように、複数のセンサにより検知した場合には、その検知した時間や順序等に基づいて、予め設定されたタイミングで複数の撮像装置から取得対象画像をそれぞれ抽出することができる。また、本実施形態においては、同時に複数の撮像装置からそれぞれの抽出条件に対応した取得対象画像を抽出することができる。
【0072】
<他の実施形態>
なお、上述した実施形態では、各センサ群14のセンサ毎に対応させた抽出条件により、撮像装置11で撮影された映像又は画像を取得して、監視センタ15に出力していたが、本発明においてはこれに限定されるものではなく、例えばセンサ毎に予め優先順位を設定しておき、設定された優先順位にしたがって、画像の解像度等を変更することができる。これにより、例えば、より重要な画像である程、その画像の解像度を高くし、重要でない画像である程、その画像の解像度を低くしたり、画像サイズの小さくして送信することができる。
【0073】
また、上述した本実施形態においては、画像記録制御装置13にて得られる画像を、通信ネットワーク16を介して監視センタ15に送信しているが、本発明においてはこれに限定されるものではなく、例えば送信先を警備員の携帯端末や警備対象施設内に設けられた施設管理者のPC(Personal Computer)等にメール等により通知することができる。
【0074】
更に、本実施形態では、送信先が監視センタ15であるか、警備員の携帯端末であるか、又は警備対象施設内の管理者のPCであるかに応じて、映像や画像の圧縮手法や圧縮率を変更することもできる。例えば、異常を検知したセンサに一番近い警備員や、その検知したセンサの区域を担当している警備員の携帯端末に映像や画像を送信する場合には、より緊急性を要するため、あまり解像度等は考慮せず、例えば携帯端末の画面に表示できる程度の解像度に変換する。更に、その映像や画像の伝送時には、圧縮率を高くすることで迅速に担当の警備員に通報することができる。
【0075】
なお、主な伝送時における主な圧縮手法としては、映像であればMPEGやH.264、MP4等の圧縮形式を用いることができ、画像であればJPEGやGIF、TIFF等の圧縮形式を用いることができる。
【0076】
また、上述した他の実施形態におけるセンサの優先順位や、警備員の携帯端末のメールアドレス情報、管理者のPCのIPアドレス情報等は、予め画像記録制御装置13の蓄積手段33にて管理されており、必要に応じて対象となるデータが読み出されて上述した処理がなされる。
【0077】
<画面例>
次に、監視センタ15に表示される画像記録制御装置13からの画像例について図を用いて説明する。図8は、監視センタに表示される画面の一例を示す図である。図8に示す画面例では、画面モニタ50に、前画像表示領域51と、検知時画像表示領域52と、後画像表示領域53と、警備情報表示領域と、釦表示領域55とを有するよう構成されている。
【0078】
前画像表示領域51には、各センサ群14の何れかが異常を検知した時間(検知時)よりも前の映像又は画像が表示される。また、検知時画像表示領域52には、異常を検知した時間における映像又は画像が表示される。更に、後画像表示領域53には、異常を検知した時間よりも後の映像又は画像が表示される。また、各表示領域に表示する画像がない場合には、何も表示されないか、又は何も表示するものがない旨のメッセージを表示する。
【0079】
また、警備情報表示領域54には、異常を検知した検知日時や場所情報、センサの識別情報等が表示される。
【0080】
図8に示すように、前画像表示領域51と、検知時画像表示領域52と、後画像表示領域53とに表示される映像や画像は、例えば検知したセンサの種類や位置、優先度等により、取得画像抽出手段36における抽出条件にて抽出された映像又は画像が表示される。なお、各表示領域において映像を表示する場合には、取得した映像を繰り返し自動再生したり、その領域を選択することにより再生や停止等をさせることができる。
【0081】
これにより、監視センタ15側では、表示される画像によりその対象者である不審者等を迅速に把握することができる。
【0082】
また、図8に示す釦表示領域55には、一例として保存釦、印刷釦、閉じる釦が設けられている。これにより、得られた映像や画像等をファイルに保存したり、画像を印刷したりすることができ、また画面モニタ50を閉じる釦により終了させることもできる。なお、図8に示す画面レイアウトはあくまでも一例であり、他のレイアウトでもよく、更に本実施形態においては、表示される項目や表示される画像サイズや解像度等を前画像、検知時画像、後画像とで異ならせて画像を表示させてもよい。
【0083】
その場合には、例えば、異常を検知したセンサの位置や種類、紐付けされた撮像装置の位置情報等により前画像、検知時画像、後画像のうち、どの画像を大きくするかについて予め設定して、画像記録制御装置13の蓄積手段33等に蓄積し、抽出された映像や画像を画像記録制御装置13から監視センタに伝送する際に、それぞれの画像に対応させて画像変換や圧縮等を行うことができる。
【0084】
更に、本実施形態において、画像記録制御装置13は、異常検知後のリアルタイム画像を取得して監視センタ15に即座に伝送してもよく、更に顔認識機能等を有する場合には、抽出された映像や画像に対して顔認識処理を行い、その認識結果を監視センタ15に送信して図8に示す画面にその認識結果等を表示させることもできる。
【0085】
上述したように、本発明によれば、発生した異常に応じて、異常発生時の状況確認に最適な映像を取得することができる。
【0086】
以上本発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
【符号の説明】
【0087】
10 監視システム
11 撮像装置
12 映像記録装置
13 画像記録制御装置
14 各センサ群
15 監視センタ
16 通信ネットワーク
21 一次蓄積手段
22 二次蓄積手段
31 入力手段
32 出力手段
33 蓄積手段
34 送受信手段
35 撮像装置選択手段
36 取得画像抽出手段
37 制御手段
40 警備対象施設
41 窓
42 扉
43 窓開閉センサ
44 扉開閉センサ
45 空間センサ
50 画面モニタ
51 前画像表示領域
52 検知時画像表示領域
53 後画像表示領域
54 警備情報領域
55 釦表示領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象設備内に設置された複数のセンサから得られる検知信号に基づいて、複数の撮像装置から所定の画像を抽出するための画像記録制御装置において、
前記検知信号を受信したセンサの種類に基づいて、前記複数の撮像装置のうち少なくとも1つの撮像装置を選択する撮像装置選択手段と、
前記撮像装置選択手段により選択された撮像装置で撮影された映像のうち、前記センサの検知前及び検知時、検知後の映像又は画像から、別々の抽出条件により抽出する取得画像抽出手段と、
前記取得画像抽出手段により得られた映像又は画像を送信する送信手段とを有することを特徴とする画像記録制御装置。
【請求項2】
前記撮像装置選択手段は、
前記複数のセンサから前記検知信号を受信した場合には、前記センサ毎の優先度に基づいて1又は複数の撮像装置を選択することを特徴とする請求項1に記載の画像記録制御装置。
【請求項3】
前記取得画像抽出手段は、
前記複数のセンサから前記検知信号を受信した場合には、前記複数のセンサの組み合わせにより前記複数の撮像装置から撮影された複数の映像のうち、前記複数のセンサの検知前及び検知時、検知後の映像又は画像から、別々の抽出条件により抽出することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像記録制御装置。
【請求項4】
前記取得画像抽出手段は、
前記複数の撮像装置毎に予め設定された優先度に応じて画像サイズ又は解像度を変更して前記送信手段から送信させることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の画像記録制御装置。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れかに記載の画像記録制御装置と、前記画像記録制御装置が設置された前記対象設備内を監視する監視センタとからなる監視システムにおいて、
前記画像記録制御装置は、前記監視センタに警報信号を送信すると共に、前記取得画像抽出手段により得られる映像又は画像を送信する際、前記センサ及び前記撮像装置により予め設定された圧縮形式により前記映像又は画像を圧縮して送信することを特徴とする監視システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−217055(P2011−217055A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−82186(P2010−82186)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000202361)綜合警備保障株式会社 (266)
【Fターム(参考)】