説明

画像記録検査装置、画像記録装置及びプログラム

【課題】不良の記録素子を高精度に特定する、画像記録検査装置、画像記録装置及びプログラムを提供する。
【解決手段】正規化処理部302は、ビット反転処理部301から入力された濃度信号311を正規化し、DFT部303は、正規化処理部302から入力された濃度信号312のデータを波形信号とみなして離散フーリエ変換を行って濃度スペクトルを算出し、オシレータ304は、DFT部303から入力された基本周波数の逆数をPTXの1周期とした正弦波形315を形成し、比較部306は、濃度信号312から抽出した波形と正弦波形315とを比較し、特定部308は、判定部307から相違通知信号が入力された場合、記憶部309から参照用情報を取得し、取得した参照用情報を参照して、現時点でのカウント値に対応するノズル番号を特定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像記録検査装置、画像記録装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、印刷データを含むジョブ情報に基づいて記録媒体に画像記録を行う記録部と、記録部によって記録された記録媒体を撮像する撮像部と、記録部と撮像部の制御を行う制御部と、を備える画像記録装置において、制御部が、印刷データを記録媒体に記録する前又は印刷データを予め定められた印刷単位毎に記録媒体に記録した後、予め定められた検査画像を記録する制御を行う印刷データ処理部と、記録された検査画像に基づいてその良否判定を行う記録不良検査部と、を備えることを特徴とする画像記録装置が開示されている。
【0003】
特許文献2には、複数のノズルが開口する吐出面を有する記録ヘッドと、記録ヘッドと記録媒体とを相対移動させる移動機構と、移動機構によって記録ヘッドと記録媒体とを相対移動させて、移動方向に延在する直線が形成されるように、ノズルから液滴を吐出させて記録媒体に検査パターンを形成するパターン形成手段と、を備えており、パターン形成手段が、吐出面において移動機構による移動方向に直行する直交方向に等間隔に離隔する複数のノズルからなるノズル群毎に、直交方向に直線が配列する直線群がそれぞれ形成され、直線群において、直交方向の両端に位置する直線のみが、他の直線より太くなっている検査パターンが形成されるように、ノズルから記録媒体に液滴を吐出させることを特徴とする記録装置が開示されている。
【0004】
特許文献3には、ヘッド状態チェックのためのテストパターンを読み取り、読み取ったテストパターンにおける低濃度が画素に基づいて動作不良の記録素子を特定する画像記録方法が開示されている。
【0005】
特許文献4には、出荷検査時に異常吐出検出パターンにより不吐出箇所を検査する画像記録方法であって、異常吐出検出パターンを数本おきに印字し、印字された異常吐出検出パターンをCCDカメラで読み取ることによって不吐出ノズルを検出し、検出した不吐出ノズルの番号をメモリに書き込む画像記録方法が開示されている。
【0006】
特許文献5には、プリントデータのプリントに先立ち、実際のプリントデータから濃度の高いインクで連続してプリントされる領域を抽出し、その領域を各濃度のインクでプリントし、そのプリントパターンを読み取ってプリントヘッドの吐出状態を判定し、その判定結果に基づいてプリントヘッドの回復動作や吐出状態の表示を行うプリント装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−226758号公報
【特許文献2】特開2009−154408号公報
【特許文献3】特開2001−341294号公報
【特許文献4】特開2001−191510号公報
【特許文献5】特開平11−198358号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、不良の記録素子を高精度に特定する、画像記録検査装置、画像記録装置及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の画像記録検査装置を、第1方向に移動される記録材料に各々画像を構成する画素を記録する複数の記録素子が前記第1方向と交差する第2方向に沿って該第2方向の一端から他端に亘って配列され、かつ各区間に予め定められた個数の前記記録素子が含まれるように前記記録素子の列を複数の区間に分割した際に、各区間内の対応する位置に存在する前記記録素子毎に検査用画像を記録させるように制御する制御手段と、前記第2方向に沿って配置され、かつ前記記録材料に記録された検査用画像の濃度を読み取る複数の光電変換素子を備えた読取手段と、前記読取手段の読み取りにより得られた該検査用画像の濃度分布波形に対してフーリエ変換を行って得られた共振周波数に基づいて形成された正弦波形に、前記記録素子の位置を特定する位置特定情報が対応付けられて構成された参照用情報を予め記憶した記憶手段と、前記記録素子の検査を行う際に前記読取手段によって前記検査用画像が読み取られて得られた該検査用画像の濃度分布波形から、前記記憶手段に記憶されている参照用情報を参照して、不良の前記記録素子を特定する特定手段と、を含んで構成した。
【0010】
請求項1に記載の画像記録検査装置を、請求項2に記載の発明のように、前記共振周波数を、前記検査用画像の濃度分布波形に対してフーリエ変換が行われて得られた最大共振周波数と該最大共振周波数に隣接する周波数との加重平均値としたものとした。
【0011】
請求項1又は請求項2に記載の画像記録検査装置を、請求項3に記載の発明のように、前記特定手段が、前記濃度分布波形と前記正弦波形との相違箇所に対応する前記位置特定情報により特定される位置の前記記録素子を不良の記録素子として特定するものとした。
【0012】
請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の画像記録検査装置を、請求項4に記載の発明のように、前記共振周波数に基づいて前記正弦波形を形成する形成手段と、前記形成手段によって形成された前記正弦波形及び前記濃度分布波形を該正弦波形の単位周期毎に取り込み、該単位周期毎に前記濃度分布波形と前記正弦波形とを比較する比較手段と、を更に含み、前記特定手段が、前記比較手段での比較結果と前記参照用情報とを用いて不良の前記記録素子を特定するものとした。
【0013】
請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の画像記録検査装置を、請求項5に記載の発明のように、前記位置特定情報を、前記複数の記録素子の各々の相対的な位置を表す記録素子位置情報としたものとした。
【0014】
請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の画像記録検査装置を、請求項6に記載の発明のように、前記位置特定情報を、前記複数の光電変換素子の各々の相対的な位置を特定すると共に対応する前記記録素子位置情報に対応付けられた光電変換素子特定情報を含んで構成したものとした。
【0015】
請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の画像記録検査装置を、請求項7に記載の発明のように、前記位置特定情報を、前記集合を特定すると共に対応する前記記録素子位置情報に対応付けられた集合特定情報を含んで構成したものとした。
【0016】
請求項1〜請求項7の何れか1項に記載の画像記録検査装置を、請求項8に記載の発明のように、前記フーリエ変換を、離散フーリエ変換としたものとした。
【0017】
請求項1〜請求項8の何れか1項に記載の画像記録検査装置を、請求項9に記載の発明のように、前記検査用画像を、各々前記記録素子毎に前記記録材料に記録された前記第1方向に延びた複数の線画像の集合としたものとした。
【0018】
請求項1〜請求項9の何れか1項に記載の画像記録検査装置を、請求項10に記載の発明のように、前記制御手段が、前記検査用画像を、前記各区間内の前記第2方向の一端から他端にかけて順次に対応する位置に存在する前記記録素子毎に記録させるように制御するものとした。
【0019】
請求項1〜請求項9の何れか1項に記載の画像記録検査装置を、請求項11に記載の発明のように、前記記録素子を、前記記録材料に対して液滴を吐出することにより該記録材料に画像を記録する液滴吐出素子としたものとした。
【0020】
請求項12に記載の画像記録装置を、請求項1〜請求項11の何れか1項に記載の画像記録検査装置と、前記記録素子によって画像が形成された前記記録材料を搬送する搬送手段と、を含んで構成した。
【0021】
請求項13に記載のプログラムを、第1方向に移動される記録材料に各々画像を構成する画素を記録する複数の記録素子が前記第1方向と交差する第2方向に沿って該第2方向の一端から他端に亘って配列され、かつ各区間に予め定められた個数の前記記録素子が含まれるように前記記録素子の列を複数の区間に分割した際に、各区間内の対応する位置に存在する前記記録素子毎に検査用画像を記録させるように制御する制御手段、及び前記第2方向に沿って配置され、かつ前記記録材料に記録された検査用画像の濃度を読み取る複数の光電変換素子を備えた読取手段の読み取りにより得られた該検査用画像の濃度分布波形に対してフーリエ変換を行って得られた共振周波数に基づいて形成された正弦波形に、前記記録素子の位置を特定する位置特定情報が対応付けられて構成された参照用情報を予め記憶した記憶手段に記憶されている参照用情報を参照して、前記記録素子の検査を行う際に前記読取手段によって前記検査用画像が読み取られて得られた該検査用画像の濃度分布波形から、不良の前記記録素子を特定する特定手段として機能させるためのものとした。
【発明の効果】
【0022】
請求項1、請求項12及び請求項13に係る発明によれば、検査用画像の濃度分布波形から参照用情報を参照して不良の記録素子を特定する構成を有しない場合に比べ、不良の記録素子が高精度に特定される、という効果が得られる。
【0023】
請求項2に係る発明によれば、最大共振周波数と該最大共振周波数に隣接する周波数との加重平均値を用いずに不良の記録素子を特定する場合に比べ、不良の記録素子が高精度に特定される、という効果が得られる。
【0024】
請求項3に係る発明によれば、濃度分布波形と正弦波形との相違箇所に対応する位置特定情報を用いずに不良の記録素子を特定する場合に比べ、不良の記録素子が高精度に特定される、という効果が得られる。
【0025】
請求項4に係る発明によれば、正弦波形の単位周期毎に濃度分布波形と正弦波形とを比較しない場合に比べ、不良の記録素子が効率的かつ高精度に特定される、という効果が得られる。
【0026】
請求項5に係る発明によれば、位置特定情報を、複数の記録素子の各々の相対的な位置を表す記録素子情報としない場合に比べ、不良の記録素子が容易かつ高精度に特定される、という効果が得られる。
【0027】
請求項6に係る発明によれば、位置特定情報を、複数の光電変換素子の各々の相対的な位置を特定すると共に対応する記録素子位置情報に対応付けられた光電変換素子特定情報としない場合に比べ、不良の記録素子が容易かつ高精度に特定される、という効果が得られる。
【0028】
請求項7に係る発明によれば、位置特定情報を、集合を特定すると共に対応する記録素子位置情報に対応付けられた集合特定情報としない場合に比べ、不良の記録素子が容易かつ高精度に特定される、という効果が得られる。
【0029】
請求項8に係る発明によれば、フーリエ変換を離散フーリエ変換としない場合に比べ、不良の記録素子が高速かつ高精度に特定される、という効果が得られる。
【0030】
請求項9に係る発明によれば、検査用画像を複数の線画像の集合としない場合に比べ、不良の記録素子が簡便かつ高精度に特定される、という効果が得られる。
【0031】
請求項10に係る発明によれば、各区間内の第2方向の一端から他端にかけて順次に対応する位置に存在する記録素子毎に検査用画像を記録させない場合に比べ、不良の記録素子が容易かつ高精度に特定される、という効果が得られる。
【0032】
請求項11に係る発明によれば、検査用画像の濃度分布波形から参照用情報を参照して不良の液滴吐出素子を特定する構成を有しない場合に比べ、不良の液滴吐出素子が高精度に特定される、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】実施形態に係る画像記録装置の構成の一例を示す構成図である。
【図2】実施形態に係る画像記録装置の記録ヘッドの構造例を示す平面透視図であり、(A)は記録ヘッドの平面透視図であり、(B)はその一部の拡大図であり、(C)は記録ヘッドの他の構造例である。
【図3】実施形態に係る画像記録装置の記録ヘッドのインク室ユニットの構成を示す断面図であり、図2(A)及び(B)に示す4−4線に沿った断面図である。
【図4】実施形態に係る画像記録装置の記録ヘッドのノズル配列を示す拡大図である。
【図5】実施形態に係る画像記録装置のインク供給系の構成の一例を示す概略構成図である。
【図6】実施形態に係る画像記録装置の電気系の構成の一例を示すブロック図である。
【図7】実施形態に係る異常吐出検出パターンの一例を示す概略図である。
【図8】実施形態に係る画像記録装置に含まれる画像記録検査装置の機能を示す機能ブロック図である。
【図9】実施形態に係る異常吐出検出処理の過程で得られた濃度分布波形の一例を示す波形図である。
【図10】実施形態に係る異常吐出検出処理の過程で異常吐出検出パターンの濃度変化量に対して離散フーリエ変換が行われて得られた結果の一例を示すヒストグラムである。
【図11】図10に示すヒストグラムのピーク点の周波数に基づいて形成された正弦波形の一例を示す波形図である。
【図12】実施形態に係る異常吐出検出処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図13】図9に示すA部分の濃度分布波形について正規化処理されて得られた濃度分布波形の一例を示す波形図である。
【図14】図11に示す正弦波形と図13に示す濃度分布波形とを重ね合わせた波形図である。
【図15】図7に示すインクリメンタル・パターン群の一列に対して異常吐出検出処理が実行されて得られた結果を示すヒストグラムであって、図14に示す波形図の正弦波形の周期に対応する全てのノズルに対する、図14に示す波形図における正弦波形と濃度分布波形との相違箇所に対応するノズルの相対的な位置を示すヒストグラムである。
【図16】図7に示すインクリメンタル・パターン群に対して異常吐出検出処理が実行されて得られた結果を示すヒストグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、図面を参照して本発明の実施形態の一例を詳細に説明する。図1には、本実施形態に係る画像記録装置100が示されている。画像記録装置100は、記録材料114(本実施形態では、一例として記録用紙)の片面のみに画像を記録可能とされ、記録材料114を供給する給紙部102、記録材料114に対して浸透抑制処理を行う浸透抑制処理部104、記録材料114に処理液を付与する処理液付与部106、記録材料114に色インクを付与して画像形成を行う記録部108、記録材料114に記録された画像に定着処理を施す定着処理部110及び画像が形成された記録材料114を搬送して排出する排紙部112を備えている。
【0035】
給紙部102には、記録材料114が積載される給紙台120が設けられている。給紙台120の前方(図1における左側)にはフィーダボード122が設けられており、給紙台120に積載された記録材料114は、フィーダボード122によって1番上から順に1枚ずつ送り出される。フィーダボード122によって送り出された記録材料114は、渡し胴124aを経由して浸透抑制処理部104の圧胴126aの表面(外周面)に到達される。
【0036】
渡し胴124a及び圧胴126aには、記録材料114の先端部を保持するグリッパ(図示省略)が設けられている。渡し胴124aのグリッパに保持された記録材料114の先端部が、渡し胴124aと圧胴126aとの接触位置(記録材料114の受け渡し位置)に到達すると、渡し胴124aのグリッパから圧胴126aのグリッパへ記録材料114の先端部の受け渡しが行われる。本実施形態では、1つの圧胴に2個のグリッパが設けられ、1つの渡し胴に1個のグリッパが設けられている。
【0037】
また浸透抑制処理部104には、圧胴126aの回転方向(図1における反時計回り方向)に沿って上流側から順に、圧胴126aの表面に対向する位置に、用紙予熱ユニット128、浸透抑制剤ヘッド130及び浸透抑制剤乾燥ユニット132が各々設けられている。用紙予熱ユニット128及び浸透抑制剤乾燥ユニット132には予め定められた温度範囲に制御されるヒータが設けられており、圧胴126aに保持された記録材料114は、用紙予熱ユニット128や浸透抑制剤乾燥ユニット132に対向する位置を通過する際、これらユニットのヒータによって加熱される。
【0038】
浸透抑制剤ヘッド130は浸透抑制剤を液滴として吐出することで、圧胴126aに保持される記録材料114に浸透抑制剤を付着させるものであり、後述する記録部108の各記録ヘッド140C,140M,140Y,140K,140R,140G,140Bと同一構成のヘッドが適用される。なお、浸透抑制剤としては熱可塑性樹脂ラテックス溶液が好適であるが、これに限られるものではなく、例えば平板粒子(雲母等)や撥水剤(フッ素コーティング剤)などを適用してもよい。また、記録材料114への浸透抑制剤の付着にインクジェットヘッドを用いることに代えて、例えばスプレー方式や塗布方式などの各種方式を適用してもよい。
【0039】
浸透抑制処理部104の後段に配置された処理液付与部106は圧胴126bを備え、浸透抑制処理部104の圧胴126aと処理液付与部106の圧胴126bとの間には、これらに各々接するように渡し胴124bが設けられている。これにより、浸透抑制処理部104の圧胴126aに保持された記録材料114は、浸透抑制処理が行われた後に、渡し胴124bを経由して処理液付与部106の圧胴126bに受け渡される。
【0040】
処理液付与部106には、圧胴126bの回転方向(図1における反時計回り方向)に沿って上流側から順に、圧胴126bの表面に対向する位置に、用紙予熱ユニット134、処理液ヘッド136及び処理液乾燥ユニット138が各々設けられている。処理液付与部106の用紙予熱ユニット134、処理液ヘッド136及び処理液乾燥ユニット138は、前述した浸透抑制処理部104の用紙予熱ユニット128、浸透抑制剤ヘッド130及び浸透抑制剤乾燥ユニット132と各々同様の構成であるので説明を省略する。もちろん、浸透抑制処理部104と異なる構成を適用してもよいことは言うまでもない。
【0041】
なお、処理液付与部106によって記録材料114に付着される処理液としては、例えば、後段の記録部108に配置される各記録ヘッド140C,140M,140Y,140K,140R,140G,140Bから記録材料114に向かって吐出されるインクに含有される色材を凝集させる作用を有する酸性液が挙げられる。また、用紙予熱ユニット134は省略しても良いが、本実施形態のように、記録材料114上に処理液が付与される前に用紙予熱ユニット134のヒータによって記録材料114を予備加熱した場合、処理液の乾燥に要する加熱エネルギーを低く抑えられるので、省エネルギー化が図れる。
【0042】
処理液乾燥ユニット138のヒータの加熱温度は、圧胴126bの回転方向上流側に配置される処理液ヘッド136の吐出動作によって記録材料114の表面に付与された処理液を乾燥させ、記録材料114上に固体状又は半固溶状の凝集処理剤層(処理液が乾燥した薄膜層)が形成されるような温度に設定される。ここでいう「固体状または半固溶状の凝集処理剤層」とは、乾燥後の処理液中に含まれる水の単位面積当りの重量(g/m2)を、乾燥後の処理液の単位面積当りの重量(g/m2)で除算することで求まる含水率が0%以上70%以下の範囲内のものをいう。
【0043】
処理液付与部106の後段に配置された記録部108は圧胴126cを備え、処理液付与部106の圧胴126bと記録部108の圧胴126cとの間には、これらに各々接するように渡し胴124cが設けられている。これにより、処理液付与部106の圧胴126bに保持された記録材料114は、処理液が付与されて固体状又は半固溶状の凝集処理剤層が形成された後に、渡し胴124cを経由して記録部108の圧胴126cに受け渡される。
【0044】
記録部108には、圧胴126cの回転方向(図1における反時計回り方向)に沿って上流側から順に、圧胴126cの表面に対向する位置に、CMYKRGBの7色のインクに各々対応した記録ヘッド140C、140M、140Y、140K、140R、140G、140Bと、溶媒乾燥ユニット142a、142bが各々設けられている。なお、以下では、記録ヘッド140C、140M、140Y、140K、140R、140G、140Bを区別して説明する必要がない場合は末尾のアルファベットを省略して「記録ヘッド140」と称する。
【0045】
本実施形態では、各記録ヘッド140として、前述の浸透抑制剤ヘッド130や処理液ヘッド136と同様に、インクジェット方式の記録ヘッド(インクジェットヘッド)を適用している。すなわち、各記録ヘッド140は、それぞれ対応する色のインク滴を圧胴126cに保持された記録材料114に向けて吐出する。
【0046】
各記録ヘッド140は、それぞれ圧胴126cに保持される記録材料114における画像形成領域の最大幅に対応する長さを有し、そのインク吐出面には画像形成領域の全幅に亘ってインク吐出用のノズル(図2の符号161を参照)が複数配列されたフルライン型のヘッドとなっている。各記録ヘッド140は圧胴126cの回転方向(記録材料114の搬送方向)と略直交する方向に延在するように固定設置されている。なお、本実施形態では上記のようにCMYKRGBの7色のインクを用いて画像を記録する構成を例に挙げているが、これに限らず、インクの色やその組み合わせは変更しても良く、例えば必要に応じて淡インク(例えばライトシアン、ライトマゼンタなどのライト系インク)や濃インク、特別色インクを追加してもよい。また、各色のヘッドの配置順序についても図1に示した順序に限られるものではない。
【0047】
上記のように、記録材料114の画像形成領域の全幅をカバーするノズル列を有するフルラインヘッドがインクの各色毎に設けられた構成では、記録材料114の搬送方向(副走査方向)について、記録材料114と各記録ヘッド140を相対的に移動させる動作を1回行うだけで(すなわち1回の副走査で)、記録材料114の画像形成領域に画像を記録できる。これにより、記録材料114の搬送方向(副走査方向)と直交する方向(主走査方向)に往復動作するシリアル(シャトル)型ヘッドを用いる場合と比較して画像を高速に記録可能であり、プリント生産性が向上する。
【0048】
また、溶媒乾燥ユニット142a、142bは、前述した用紙予熱ユニット128、134や浸透抑制剤乾燥ユニット132、処理液乾燥ユニット138のように、予め定められた温度範囲に制御されるヒータを含んで構成される。後述するように、記録材料114上に形成された固体状又は半固溶状の凝集処理剤層上にインク滴が付着すると、記録材料114上にはインク凝集体(色材凝集体)が形成されると共に、色材と分離されたインク溶媒が広がり、凝集処理剤が溶解した液体層が形成される。このようにして記録材料114上に残った溶媒成分(液体成分)は、記録材料114の反り返りだけでなく、画像劣化を招く要因となる。そこで本実施形態では、各記録ヘッド140から各色のインク滴が記録材料114上に付着された後、溶媒乾燥ユニット142a、142bのヒータによって熱を与えることで溶媒成分を蒸発させる乾燥処理を行っている。
【0049】
また、記録部108の後段に配置された定着処理部110は圧胴126dを備え、記録部108の圧胴126cと定着処理部110の圧胴126dとの間には、これらに各々接するように渡し胴124dが設けられている。これにより、記録部108の圧胴126cに保持された記録材料114は、記録部108で各色のインク滴が付着された後に、渡し胴124dを経由して記録部108の圧胴126cに受け渡される。定着処理部110には、圧胴126dの回転方向(図1における反時計回り方向)に沿って上流側から順に、圧胴126dの表面に対向する位置にインラインセンサ144、加熱ローラ148a,148bがそれぞれ設けられている。
【0050】
インラインセンサ144は、複数の光電変換セルが記録材料114の幅方向に沿って一列に配列されたラインセンサ(これに代えてエリアセンサを用いてもよい)と、1回の走査でラインセンサが記録材料114の全幅に亘る範囲を読み取るように配置された縮小レンズと、を含んで構成され、各記録ヘッド140によって記録材料114上に記録された画像が読み取られる。なお、インラインセンサ144の読取解像度は、コストの抑制、ラインセンサからの読取結果の読出時間の短縮を目的として、記録部108の各記録ヘッド140の記録解像度よりも十分に低く設定されている。
【0051】
後述するように、各記録ヘッド140の不吐出状態のノズルを検出する不吐出検出処理が行われる際には、記録材料114上の画像非記録領域(例えば記録材料114の先端部)に異常吐出検出パターン(図7参照)が記録され、記録材料114上の異常吐出検出パターンがインラインセンサ144によって読み取られる。そして、インラインセンサ144が記録材料114上の異常吐出検出パターンを読み取ることで得られたパターン読取画像に基づいて、不吐出状態のノズルを含む不良のノズル161を検出する処理(異常吐出検出処理)が行われる。
【0052】
なお、本実施形態の定着処理部110では、画像記録後に、加熱ローラ148a,148bによる加熱及び加圧によって定着処理が行われるが、これに限られるものではなく、例えば透明UVインクを付着させた後にUV光を照射することで、透明UVインクの硬化によって記録材料114に画像を定着させる等の他の構成を適用してもよい。
【0053】
定着処理部110の後段に配置された排紙部112には、定着処理が施された記録材料114を受ける排紙胴150と、該記録材料114を積載する排紙台152と、排紙胴150に設けられたスプロケットと排紙台152の上方に設けられたスプロケットとの間に掛け渡され、複数の排紙用グリッパを備えた排紙用チェーン154と、が設けられている。
【0054】
次に、記録ヘッド140について説明する。一例として図2(A),(B)に示すように、本実施形態に係る記録ヘッド140は、インク滴の吐出口であるノズル161と、各ノズル161に対応する圧力室162等から成る複数のインク室ユニット163がマトリクス状に(2次元的に)配置された構成とされ、これにより、ヘッド長手方向(記録材料114の搬送方向と直交する主走査方向)に沿った実質的なノズル間隔(投影ノズルピッチ)の高密度化、ひいては記録材料114上に形成されるドットピッチの高密度化を実現している。なお、記録ヘッド140は図2(A)に示す構成に限られるものではなく、例えば図2(C)に示すように、複数のノズル161が2次元に配列された短尺のヘッドブロック160を千鳥状に配列して繋ぎ合わせた構成でもよいし、図示は省略するが、短尺のヘッドを一列に並べた構成でもよい。
【0055】
圧力室162はその平面形状が略正方形とされ、対角線上の両隅部にノズル161と供給口164が設けられている。一例として図3に示すように、各圧力室162は供給口164を介して共通流路165と連通されている。共通流路165はインク供給源であるインク供給タンク(図示省略)と連通しており、該インク供給タンクから供給されるインクは共通流路165を介して各圧力室162に分配供給される。圧力室162の天面を構成すると共に、共通電極としての機能を兼ね備えた振動板166には、個別電極167を備えた圧電素子168が接合されており、圧電素子168は個別電極167に駆動電圧が印加されると変形し、この圧電素子168の変形に伴ってノズル161からインク滴が吐出される。そして、ノズル161からのインク滴の吐出に伴い、共通流路165から供給口164を通って新しいインクが圧力室162に供給される。
【0056】
なお、本実施形態では、ノズル161からインク滴を吐出させる吐出力発生手段として圧電素子168を用いているが、これに代えて圧力室162内にヒータを設け、ヒータの加熱による膜沸騰の圧力を利用してインクを吐出させるサーマル方式を適用しても良い。 一例として図4に示すように、本実施形態に係る記録ヘッド140は、上述した構成のインク室ユニット163が、主走査方向に沿う行方向と、主走査方向に対して直交しない一定角度θを成す傾斜した列方向と、に沿って一定の配列パターンでマトリクス状に多数配列されていることで、投影ノズルピッチの高密度化を実現している。すなわち、主走査方向に対して一定角度θを成す方向に沿ってインク室ユニット163が一定のピッチdで複数配列されていることで、主走査方向に沿った投影ノズルピッチPはd×cosθとなり、主走査方向については、各ノズル161が一定のピッチPで直線状に配列されたものと等価的に取り扱われる。これにより、主走査方向に沿って1インチ当たり2400個(2400ノズル/インチ)にも及ぶ高密度にノズルが配列されたに等しい記録ヘッドが得られる。
【0057】
また、本実施形態では、画像が記録され得る幅の全幅に対応した長さのノズル列を有するフルラインヘッドで、各ノズルからインク滴を吐出させて記録材料114の幅方向(記録材料114の搬送方向と略直交する方向)に沿った1ライン(1列のドットによるラインまたは複数列のドットから成るライン)を記録する際のノズル駆動方式としては、(1)全ノズルを同時に駆動する、(2)ノズルを一方から他方に向けて順次駆動する、(3)ノズルを複数ブロックに分割し、ブロック毎に一方から他方に向けて順次駆動する、等の何れかが適用される。なお、本明細書では、上記何れかの駆動方式によって記録材料114の幅方向に沿った1ラインを記録させるためのノズルの駆動を主走査と定義する。
【0058】
なお、図2(A),(B)に示すようなマトリクス状に配置されたノズル161を駆動する場合は、上記(3)の主走査(ノズル駆動方式)が好ましい。具体的には、図4に示すノズル161-11、161-12、16-13、161-14、161-15、161-16を1つのブロックとし(他にはノズル161-21、…、161-26を1つのブロック、ノズル161-31、…、161-36を1つのブロック、…として)、記録材料114の搬送速度に応じてノズル161-11、161-12、…、161-16を順次駆動することで記録材料114の幅方向に1ラインを記録する。
【0059】
一方、本明細書では、上述したフルラインヘッドと記録材料114とを相対移動させることによって、上述した主走査で形成された1ライン(1列のドットによるラインまたは複数列のドットから成るライン)の記録を繰り返し行うことを副走査と定義する。そして、上述の主走査によって記録される1ライン(或いは帯状領域の長手方向)の示す方向を主走査方向といい、上述の副走査を行う方向を副走査方向という。すなわち、本実施形態では記録材料114の搬送方向が副走査方向、それに直交する記録材料114の幅方向が主走査方向となる。
【0060】
なお、ノズル161の配置構造は図示の例に限定されない。例えば、副走査方向に1列のノズル列を有する配置構造など、様々なノズル配置構造を適用できる。また、本発明のはライン型ヘッドによる記録方式に限定されず、記録材料114の幅方向の長さに満たない短尺のヘッドを記録材料114の幅方向に走査させて当該幅方向の記録を行い、1回の幅方向の記録が終わると記録材料114を幅方向と略直交する方向に予め定められた量だけ移動させて、次の記録領域の記録材料114の幅方向の記録を行い、この動作を繰り返して記録材料114の記録領域の全面にわたって記録を行うシリアル方式に適用することも可能である。
【0061】
次に、画像記録装置100のインク供給系の構成を説明する。一例として図5に示すように、インク供給系には、記録ヘッド140にインクを供給する基タンクであるインク供給タンク170が設けられている。インク供給タンク170の形態には、インク残量が少なくなった場合に図示が省略された補充口からインクを補充する方式と、タンクごと交換するカートリッジ方式とがある。使用用途に応じてインク種類を変える場合には、カートリッジ方式が適している。この場合、インクの種類情報をバーコード等で識別して、インク種類に応じた吐出制御を行うことが好ましい。
【0062】
インク供給タンク170と記録ヘッド140の中間には、異物や気泡を除去するためのフィルタ172が設けられている。フィルタ172のメッシュサイズは、ノズル径と同等かノズル径以下(例えば20μm程度)とすることが好ましい。また、図示は省略するが、記録ヘッド140の近傍又は記録ヘッド140と一体にサブタンクを設けてもよい。サブタンクは、記録ヘッドの内圧変動を防止するダンパ効果を発揮すると共に、リフィルを改善する機能を有する。
【0063】
また、画像記録装置100には、ノズル161の乾燥防止又はノズル近傍のインク粘度上昇を防止するためのキャップ174と、記録ヘッド140のインク吐出面の清掃手段としてクリーニングブレード176が設けられている。記録ヘッド140は、これらキャップ174及びクリーニングブレード176を含むメンテナンスユニットに対し、図示を省略した移動機構によって相対移動されるように構成されており、必要に応じて画像記録のための位置からメンテナンスユニットの上方のメンテナンス位置へ移動される。キャップ174は、図示を省略した昇降機構によって記録ヘッド140に対して相対的に昇降変位される。記録ヘッド140は、電源OFF時や印刷待機時に、キャップ174が予め定められた上昇位置まで上昇されて密着されることで、ノズル161の先端面がキャップ174によって覆われる。
【0064】
また、画像記録中又は待機中の特定のノズル161の使用頻度が低く、特定のノズル161からインク滴が吐出されない状態がある時間以上継続すると、ノズル161近傍に滞留しているインク中の溶媒が蒸発することでインク粘度が増大し、圧電素子168が動作してもノズル161からインク滴が吐出されない不吐出状態に陥る恐れが生ずる。このため、本実施形態では、不吐出状態になる前に(インク粘度が、圧電素子168の動作によりインク滴が吐出される範囲から逸脱する前に)圧電素子168を動作させ、その劣化インク(ノズル近傍に滞留している粘度が上昇したインク)を排出すべくキャップ174(インク受け)に向かって予備吐出(パージ、空吐出、ダミー吐出ともいう)が行われる。
【0065】
また、記録ヘッド140内のインク(圧力室162内)に気泡が混入した場合にも、圧電素子168が動作してもノズル161からインク滴が吐出されない状態となる。本実施形態では、このような場合に記録ヘッド140のノズル161の先端面をキャップ174で覆い、吸引ポンプ177を作動させることで圧力室162内のインク(気泡が混入したインク)を吸引により除去し、吸引除去したインクを回収タンク178へ送液する吸引動作が行われる。この吸引動作(粘度上昇(固化)した劣化インクの吸い出し)は、初期のインクのヘッドへの装填時、或いは長時間の停止後の使用開始時にも行われる。なお、吸引動作は圧力室162内のインク全体に対して行われ、インク消費量が大きいので、インクの粘度上昇が小さい場合には予備吐出を行う態様が好ましい。
【0066】
また、クリーニングブレード176はゴムなどの弾性部材で構成されており、図示を省略したブレード移動機構により記録ヘッド140のインク吐出面に摺動される。インク吐出面にインク滴または異物が付着した場合、クリーニングブレード176をインク吐出面に摺動させることでインク吐出面が拭き取られ、インク吐出面が清掃される。
【0067】
一例として図6に示すように、画像記録装置100はシステム制御部182を備え、システム制御部182には通信インターフェース(I/F)部180、メモリ184、UIパネル185、モータドライバ186、ヒータドライバ188及びプリント制御部190が各々接続されている。なお、プリント制御部190とシステム制御部182とを統合して1つのプロセッサで構成することも可能である。
【0068】
通信I/F部180は、ホストコンピュータ196から送られてくる画像データを受信するインターフェース部である。通信I/F部180における通信プロトコルとしてはUSB(Universal Serial Bus)、IEEE1394、イーサネット(登録商標)、無線ネットワーク等のシリアルインターフェースや、セントロニクス等のパラレルインターフェースの何れかが適用される。ホストコンピュータ196から送出された画像データは通信I/F部180を介して画像記録装置100に取り込まれ、メモリ184に一旦記憶される。
【0069】
メモリ184は、システム制御部182を通じてデータの読み書きが行われる一次記憶部と、半導体素子から成るEEPROMやハードディスクなど磁気記憶媒体などの二次記憶部と、を含んで構成されている。このように構成されたメモリ184は、画像データの一時記憶領域として利用されると共に、プログラムの展開領域及びCPU(中央処理装置)の演算作業領域としても利用される。また、メモリ184には、システム制御部182のCPUが実行する処理に必要な各種データ等が記憶されている。更に、メモリ184には、後述する異常吐出検出パターンのデータが予め記憶されている。
【0070】
UIパネル185は、ディスプレイ上に透過型のタッチパネルが重ねられたタッチパネルディスプレイ等から構成され、各種情報がディスプレイの表示面に表示されると共に、利用者がタッチパネルに触れることにより情報や指示が受け付けられる。なお、本実施形態では、UIパネル185を適用した形態例を挙げて説明しているが、これに限らず、液晶ディスプレイなどの表示部とテンキーや操作ボタンなどが設けられた操作部とが別々に設けられた形態としてもよい。
【0071】
システム制御部182は、CPU及びその周辺回路等から構成され、予め定められたプログラムに従って画像記録装置100の全体を制御する制御装置として機能すると共に、各種演算を行う演算装置として機能する。すなわち、システム制御部182は、ホストコンピュータ196との情報の授受、メモリ184に対するアクセス、UIパネル185で受け付けられた情報や指示の取得及びUIパネル185による情報の表示等を行うと共に、搬送系のモータ198やヒータ199を制御するための制御信号を生成する。
【0072】
また、システム制御部182はプログラム格納部182Aを内蔵している。プログラム格納部182Aには各種制御プログラムが格納されており、システム制御部182の指令に応じて、制御プログラムが読み出され、CPUによって実行される。プログラム格納部はROMやEEPROMなどの半導体メモリを用いてもよいし、磁気ディスクなどを用いてもよい。外部インターフェースを備え、メモリカードやPCカードを用いてもよい。もちろん、これらの記憶媒体のうちの1つ又は複数を備えてもよい。なお、プログラム格納部182Aは動作パラメータ等の記億手段と兼用してもよい。また、プログラム格納部182Aには、システム制御部182のCPUによって後述する異常吐出検出処理を行うための異常吐出検出プログラムも格納されている。
【0073】
また、モータドライバ186にはモータ198が接続されており、モータドライバ186はシステム制御部182からの指示に従ってモータ198を駆動する。なお、図7に示すモータ198は実際には複数個のモータから成り、例えば図1に示す圧胴126a〜126dや渡し胴124a〜124d、排紙胴150を駆動するモータ等が含まれている。ヒータドライバ188にはヒータ199が接続されており、ヒータドライバ188はシステム制御部182からの指示に従ってヒータ199を駆動する。なお、図7に示すヒータ199についても実際には複数個のヒータから成り、例えば図1に示す用紙予熱ユニット128、134や浸透抑制剤乾燥ユニット132、処理液乾燥ユニット138、溶媒乾燥ユニット142a、142bのヒータ、加熱ローラ148a,148bに内蔵されるヒータ等が含まれている。
【0074】
また、システム制御部182にはインラインセンサ144も接続されており、記録材料114に記録された異常吐出検出パターンがインラインセンサ144によって読み取られることで得られたパターン読取画像のデータは、インラインセンサ144からシステム制御部182に入力される。
【0075】
プリント制御部190にはヘッドドライバ194、処理液ヘッドドライバ195、浸透抑制剤ヘッドドライバ197、画像バッファメモリ192が各々接続されている。プリント制御部190は、システム制御部182からの指示に従い、メモリ184に記憶されている画像データから画像記録用のデータや、浸透抑制剤吐出用の信号、処理液吐出用の信号を生成するための処理を行う信号処理機能を有しており、生成された画像記録用のデータ(ドットデータ)はヘッドドライバ194に供給され、生成された浸透抑制剤吐出用の信号は浸透抑制剤ヘッドドライバ197に供給され、生成された処理液吐出用の信号は処理液ヘッドドライバ195に供給される。また、プリント制御部190で上記の信号処理が行われる際には、画像データやパラメータ等のデータが画像バッファメモリ192に一時的に格納される。
【0076】
ヘッドドライバ194には記録ヘッド140が接続されており、ヘッドドライバ194は、プリント制御部190から供給された画像記録用のデータに基づいて記録ヘッド140の圧電素子168に印加するための駆動信号を生成すると共に、該駆動信号を圧電素子168に印加して圧電素子168を駆動する駆動回路を含んで構成される。また、圧電素子168を駆動して記録ヘッド140からインク滴を吐出させる際には、ヘッドドライバ194によって記録ヘッド140の吐出液滴量や吐出タイミングの制御も行われる。これにより、要求に応じたサイズのドットが要求に応じた配置で記録材料114に記録される。なお、ヘッドドライバ194は、記録ヘッド140の駆動条件を一定に保つためのフィードバック制御系を含んで構成してもよい。
【0077】
また、浸透抑制剤ヘッドドライバ197には浸透抑制剤ヘッド130が接続されており、浸透抑制剤ヘッドドライバ197はプリント制御部190から供給された浸透抑制剤吐出用の信号に従って、浸透抑制剤ヘッド130から浸透抑制剤を吐出させる。また、処理液ヘッドドライバ195には処理液ヘッド136が接続されており、処理液ヘッドドライバ195はプリント制御部190から供給された処理液吐出用の信号に従って、処理液ヘッド136から処理液を吐出させる。
【0078】
次に本実施形態の作用として、まず記録材料114に画像を記録する場合の画像記録装置100の各部の動作を説明する。記録材料114に画像を記録する場合、給紙部102の給紙台120からフィーダボード122に記録材料114が送り出される。記録材料114は、渡し胴124aを経由して浸透抑制処理部104の圧胴126aに保持され、用紙予熱ユニット128によって予備加熱され、浸透抑制剤ヘッド130から吐出された浸透抑制剤が付着される。その後、圧胴126aに保持された記録材料114は、浸透抑制剤乾燥ユニット132によって加熱され、浸透抑制剤の溶媒成分(液体成分)が蒸発することで乾燥される。
【0079】
上記の浸透抑制処理が行われた記録材料114は、浸透抑制処理部104の圧胴126aから渡し胴124bを経由して処理液付与部106の圧胴126bに受け渡される。圧胴126bに保持された記録材料114は、用紙予熱ユニット134によって予備加熱され、処理液ヘッド136から吐出された処理液が付着される。その後、圧胴126bに保持された記録材料114は、処理液乾燥ユニット138によって加熱され、処理液の溶媒成分(液体成分)が蒸発することで乾燥される。これにより、記録材料114上には固体状又は半固溶状の凝集処理剤層が形成される。
【0080】
処理液が付着されて固体状又は半固溶状の凝集処理剤層が形成された記録材料114は、処理液付与部106の圧胴126bから渡し胴124cを経由して、記録部108の圧胴126cに受け渡される。圧胴126bに保持された記録材料114の先端部が記録ヘッド140の位置に到達すると、記録ヘッド140によって記録材料114の先端部に異常吐出検出パターンが各々記録され、続いて、異常吐出検出パターンが記録された記録材料114の先端部が定着処理部110のインラインセンサ144の配設位置に到達すると、インラインセンサ144によって異常吐出検出パターンが読み取られ、当該読み取りによって得られたパターン読取画像のデータに基づいて、不良のノズル161が検出され、検出結果に応じた処理が実行される。異常吐出検出処理が行われた後、各記録ヘッド140からは互いに異なる色のインク滴が入力画像データに応じて吐出され、各記録ヘッド140から吐出されたインク滴は、圧胴126bに保持されている記録材料114上の画像記録領域に付着される。
【0081】
ここで、記録材料114に形成された凝集処理剤層上にインク滴が着弾すると、インク滴の飛翔エネルギーと表面エネルギーとのバランスにより、インク滴と凝集処理剤層との接触面は予め定められた面積になる。インク滴が凝集処理剤上に着弾した直後に凝集反応が始まるが、この凝集反応は、インク滴と凝集処理剤層との接触面から始まると共に接触面近傍のみで起こり、インク着弾時における予め定められた接触面積で付着力を得た状態でインク内の色材が凝集されるため、色材移動が抑止される。このインク滴に隣接して他のインク滴が着弾しても先に着弾したインクの色材は既に凝集化しているので後から着弾するインクとの間で色材同士が混合せず、ブリードが抑止される。なお、色材の凝集後には、分離されたインク溶媒が広がり、凝集処理剤が溶解した液体層が記録材料114上に形成される。そして、圧胴126cに保持された記録材料114は溶媒乾燥ユニット142a、142bによって加熱され、記録材料114上でインク凝集体と分離した溶媒成分(液体成分)が蒸発することで乾燥される。この結果、記録材料114の反り返りが防止されると共に、溶媒成分に起因する画像品質の劣化が抑制される。
【0082】
記録部108によって色インクが付与されて画像が記録された記録材料114は、記録部108の圧胴126cから渡し胴124dを経由して定着処理部110の圧胴126dに受け渡される。圧胴126dに保持された記録材料114は、前述のように、インラインセンサ144によって異常吐出検出パターンが読み取られると共に、加熱ローラ148a,148bによって加熱及び押圧処理が施される。更に、その後、記録材料114は圧胴126dから排紙胴150に受け渡され、排紙用チェーン154によって排紙台152まで搬送される。このようにして画像が記録された記録材料114は、排紙用チェーン154によって排紙台152の上方に搬送され、排紙台152上に積載される。
【0083】
次に、異常吐出検出処理の説明に先立ち、異常吐出検出処理で記録材料114の先端部に記録される異常吐出検出パターンを説明する。一例として図7に示すように、本実施形態に係る異常吐出検出パターン200は、開始基準パターンとなるアブソリュート・パターン201と多数個のインクリメンタル・パターン202からなるインクリメンタル・パターン群204から構成される。なお、図7において、矢印Y方向は第1方向としての副走査方向(記録材料114の搬送方向)を、矢印X方向は第2方向としての主走査方向を、各々表している。
【0084】
最初に記録されるアブソリュート・パターン201は多数個のインクリメンタル・パターン202を読み取る時にY方向に対して基準位置となるように、X方向に延びるバー状のパターンである。また、このアブソリュート・パターン201は記録開始時に上記の予備吐出の動作に相当する動作を行うものとしても機能し、Y方向に沿って全てのノズル161から予め定められたドット数で吐出すると共に基準位置を示すパターンとして記録するものである。
【0085】
アブソリュート・パターン201に引き続いて記録される個々のインクリメンタル・パターン202は、Y方向に延びる線画像としての線状のパターンとされ、記録材料114上への単一のインクリメンタル・パターン202の記録は、記録材料114がY方向に搬送されている状態で、単一のノズル161からのインク滴の吐出を予め定められた時間(予め定められた回数;図7に示す例では、6回)繰り返すことによって実現される。インクリメンタル・パターン202は不吐出を含む異常吐出状態のノズル161(不良ノズル)を検出するためのパターンである。インクリメンタル・パターン群204は、複数のインクリメンタル・パターン202を含んで構成されたものであり、全てのノズル161を対象にしてインク滴を吐出させて記録材料114上にノズル161毎のインクリメンタル・パターン202が記録されるように記録ヘッド140を制御することによって形成される。つまり、インクリメンタル・パターン群204は、各区間に予め定められた個数(一例として11個)のノズル161が含まれるようにノズル161の列(主走査方向の列)を複数の区間に分割した際に、各区間内の対応する位置に存在するノズル161毎に駆動させることで記録材料114に記録される。
【0086】
本実施形態では異常吐出検出パターン200を記録材料114に形成するにあたり、各記録ヘッド140について、全てのノズル161をX方向に沿ったノズル列(主走査方向に沿った投影ノズル列)における一端部からN個のノズル161ずつグループ化することによってノズル161のグループ分けを行っている。これにより、各々N個のノズル161からなるノズル161のグループ(集合)が多数形成される。そして、本実施形態では、個々のグループ内における同一番目の単一のノズル161から各々インク滴を吐出させて記録材料114上にインクリメンタル・パターン202を記録することを、個々のグループ内の全てのノズル161によって記録材料114にインクリメンタル・パターン202が記録されるまで繰り返すことでインクリメンタル・パターン群204が形成されるように記録ヘッド140が制御されている。
【0087】
記録材料114にインクリメンタル・パターン群204を形成する場合、先ず個々のグループ内における1番目のノズル161から各々インク滴を吐出させて記録材料114に1列目のインクリメンタル・パターン202−1が記録されるように記録ヘッド140が制御される。次に、個々のグループ内における2番目のノズル161から各々インク滴を吐出させて記録材料114に2列目のインクリメンタル・パターン202−2が記録されるように記録ヘッド140が制御され、以後、3番目、4番目、・・・・・、N番目の順でインク滴を吐出させるように記録ヘッド140が制御される。このように個々のグループ内において液滴を吐出させる対象とするノズル161を順次に切り替えていくことによって記録材料114にインクリメンタル・パターン群204が形成される。
【0088】
また、インクリメンタル・パターン群204は、X方向に沿ったインクリメンタル・パターン202の配置ピッチPTXがPTX=P・Nとなる(但し、“P”は図4に示す主走査方向に沿った投影ノズルピッチ)。本実施形態では、インラインセンサ144のX方向に沿った読み取りピッチ(画素ピッチ)をPSXとしたときに、インクリメンタル・パターン202の配置ピッチPTXがPTX≧PSXの条件を満たすように単一のグループを成すノズル161の数Nが設定されている。また、本実施形態では、記録材料114上におけるインラインセンサ144に含まれる複数の光電変換セルによる1例である受光素子列205で、1画素分の読み取り領域のY方向に沿った長さをLSYとしたときに、インクリメンタル・パターン202のY方向に沿った長さLTYがLTY≧LSYの条件を満たすように、単一のインクリメンタル・パターン202の記録におけるノズル161からのインク滴の吐出時間(吐出回数;図7に示す例では6回)が設定されている。
【0089】
このように、上記の条件を満たすように記録材料114にインクリメンタル・パターン202(インクリメンタル・パターン群204)を形成することで、インラインセンサ144によるインクリメンタル・パターン群204の読み取り時には、記録材料114上におけるインラインセンサ144の個々の画素に対応する読み取り領域内に、インクリメンタル・パターン202が1個のみ存在するか、インクリメンタル・パターン202が全く存在しないかの何れかになるので、読み取り解像度が記録ヘッド140の記録解像度よりも充分に低いインラインセンサ144を用いて、ノズル161単位で異常吐出状態を検出することになる。なお、図7に示す例では、単一のグループを成すノズル161の数NをN=11としているが、単一のグループを成すノズル161の数Nは、上記の条件を満たすのであれば如何なる数に変更してもよいことは言うまでもない。
【0090】
また、画像記録装置100は、異常吐出検出パターン200を記録ヘッド140によって記録材料114に記録するために、異常吐出検出パターン200を示す記録用データを生成し、生成した記録用データをヘッドドライバ194に供給し、供給した記録用データに基づきヘッドドライバ194によって記録ヘッド140C、140M,140Y,140K,140R,140G,140Bを順に駆動させることで、各色の異常吐出検出パターン200を、互いに重ならないように記録材料114の先端部に各々記録する。
【0091】
図8は、本実施形態に係る画像記録装置100の画像記録検査装置としての機能を示す機能ブロック図である。なお、この機能ブロック図は、機能別にブロック化して示したものであり、ハード構成を限定するものではない。例えば、本実施形態では、機能ブロック図により示される機能は、主としてシステム制御部182のCPUによってプログラムが実行されることによって実現される。
【0092】
同図に示すように、インラインセンサ144は、受光素子列205を有するCCD144A及びシフトレジスタ144Bを含んで構成されており、シフトレジスタ144Bの出力端は、ビット反転処理部301の入力端に接続されている。インラインセンサ144は、記録材料114に形成された異常吐出検出パターン200を光学系145を介してCCD144Aで読み取り、シフトレジスタ144Bから、量子化された輝度信号310(例えば8ビットの輝度信号)をビット反転処理部301にシリアル転送する。
【0093】
ビット反転処理部301の出力端は正規化処理部302の入力端に接続されており、ビット反転処理部301は、シフトレジスタ144Bから入力された輝度信号310をビット反転し、ビット反転して得た濃度信号311を正規化処理部302に出力する。図9には、ビット反転処理部301によって1ライン分の輝度信号310が変換されて得られた濃度信号311の一例が示されている。なお、図9の例では、横軸にCCD144Aの光電変換セルを一意に特定する番号である光電変換セル番号が、縦軸に8ビットで表された濃度が各々示されている。
【0094】
正規化処理部302は、ビット反転処理部301から入力された濃度信号311における異常吐出検出パターン200の読み取り範囲のデータを抽出し、抽出したデータの平均値を算出し、算出した平均値が“0”となるように濃度信号311を正規化する。正規化処理部302の出力端は離散フーリエ変換部(DFT部)303の入力端及び比較部306の第1入力端に接続されており、正規化処理部302は、濃度信号311を正規化して得た濃度信号312をDFT部303及び比較部306に出力する。
【0095】
DFT部303は、正規化処理部302から入力された濃度信号312のデータを波形信号とみなし、読み取りピッチPSXを単位時間とした時系列信号として離散フーリエ変換(DFT)を行って濃度スペクトルを算出する。また、DFT部303は、離散フーリエ変換を行うことによって一意に定まる最大共振周波数313(図10参照)に基づいて基本周波数を算出する。この基本周波数についての詳細は後述する。なお、図10には、DFT部303によって濃度信号312に対して離散フーリエ変換が行われて得られた濃度スペクトルと周波数との関係を示すヒストグラムの一例が示されている。図10に示す例では、横軸に周波数が、縦軸に濃度スペクトルが各々示されている。ここでの“周波数”とは、読み取りピッチPSXを1単位とした配置ピッチPTXの逆数に相当する値、すなわち、1/PTXに相当する値のことを意味する。
【0096】
DFT部303の出力端はオシレータ304の入力端に接続されており、DFT部303は、基本周波数をオシレータ304に出力する。オシレータ304は、DFT部303から入力された基本周波数の逆数をPTXの1周期とした正弦波形315を形成する(図11参照)。なお、図11には、オシレータ304によって形成された正弦波形315の一例が示されている。図11に示す例では、横軸に時間が、縦軸に濃度信号311の濃度を正規化した値が各々示されている。
【0097】
なお、本実施形態では、上記のDFT部303及びオシレータ304により、複素数形式で正弦波形315を算出している。つまり、上記の正弦波形315は、x(t)を周期信号とし、nを自然数とし、a0を直流成分とし、周期をTnとし、周波数fnをfn=1/Tnとし、振幅スペクトル(本実施形態では「濃度」に相当)XnをXn=(an+ bn)1/2とし、位相スペクトルθnをθn=tan-1(bn/ an)とし、ωn= 2π/Tnとした場合、振幅スペクトルXnが最大となる基本周波数f1の逆数、すなわち、ピッチPTXに対応する値であるT1=1/f1を基本周期とした波形として、x(t)=a0+(a1cosω1t + b1sinω1t)=a0+ X1cos(ω1t + θ1)の式を用いて算出している。
【0098】
オシレータ304の出力端はカウンタ305の第1入力端に接続されており、オシレータ304は、正弦波形315をカウンタ305に出力する。カウンタ305の第1出力端は比較部306の入力端に接続されており、カウンタ305の第2出力端は特定部308の第1入力端に接続されている。カウンタ305は、予め定められた条件を満足したときにオシレータ304から正弦波形315を1周期毎に取り込み、取り込んだ正弦波形315を比較部306に出力すると共に、正弦波形315を1周期毎にカウントし、カウント値を特定部308に出力する。
【0099】
比較部306は、正規化処理部302から入力された濃度信号312から抽出した波形とカウンタ305から入力された正弦波形315とを比較し、双方の波形が相違しているか否かを判定する。比較部306の出力端は判定部307の入力端に接続されており、比較部306は、正規化処理部302から入力された濃度信号312の波形とカウンタ305から入力された正弦波形315とが相違していると判定した場合に相違通知信号を特定部308に出力し、正規化処理部302から入力された濃度信号312の波形とカウンタ305から入力された正弦波形とが相違していないと判定した場合に非相違通知信号を判定部307に出力する。判定部307の第1出力端はカウンタ305の第2入力端に接続されており、判定部307は、比較部306から非相違通知信号又は相違通知信号が入力された場合にカウンタ305にカウントアップ指示信号を出力する。カウンタ305は、判定部307から入力されたカウントアップ指示信号に応じてオシレータ304から1周期分の正弦波形315を取り込んで比較部306に転送すると共に、変数iを1インクリメントすることによりカウント値をカウントアップする。また、判定部307の第2出力端は特定部308の第2入力端に接続されており、判定部307は、比較部306から相違通知信号が入力された場合、入力された相違通知信号を特定部308に転送する。
【0100】
記憶部309は、参照用情報を予め記憶したものである。参照用情報は、オシレータ304によって形成された正弦波形315に相当する正弦波形の周期数(カウンタ305のカウント値に相当する値)毎に、記録ヘッド140におけるノズル161の位置を特定するノズル番号が対応付けられ、かつノズル番号にそのノズル161が属するグループを特定するグループ番号及び光電変換セルを特定する光電変換セル番号が対応付けられて構成されたものである。記憶部309の出力端は特定部308の第3入力端に接続されており、記憶部309の入力端は特定部308の第1出力端に接続されている。従って、特定部308は、判定部307から相違通知信号が入力された場合、記憶部309から参照用情報を取得し、取得した参照用情報を参照して、カウンタ305から入力された現時点でのカウント値に対応するノズル番号、グループ番号及び光電変換セル番号を特定する。
【0101】
特定部308の第2出力端は補正処理部320の入力端子に接続されており、特定部308は、参照用情報を参照して特定したノズル番号を補正処理部320に出力する。補正処理部320は、特定部308から入力されたノズル番号に基づいて、そのノズル番号により特定されるノズル161が不良ノズルであるとみなし、その不良ノズルの存在に起因して引き起こされる画質の低下を補正する補正処理を実行する。なお、この補正処理としては、例えば、不良ノズルの吐出不良に起因する画質の低下が視覚的に知覚されないように画像データを補正する処理や不吐出のノズル161に隣接する他のノズル161から吐出される液滴の大きさを調整する処理などが挙げられる。
【0102】
特定部308の第3出力端は報知部322の入力端子に接続されており、特定部308は、参照用情報を参照して特定したノズル番号、グループ番号及び光電変換セルを報知部322に出力する。報知部322は、特定部308から入力されたノズル番号、グループ番号及び光電変換セルに基づいて不良ノズルに関する情報の報知を行う。この報知としては、例えば、利用者に不良ノズルの修理又は交換を促すために不良ノズルが存在していることの報知、処理や不良ノズルの位置を特定するためにノズル番号、グループ番号及び光電変換セル番号の少なくとも1つを表示することによる報知などが挙げられる。
【0103】
続いて、上述した異常吐出検出パターン200を用いてシステム制御部182によって実行される異常吐出検出処理について、図12を参照して説明する。なお、この異常吐出検出処理は、プログラム格納部182Aに格納されている異常吐出検出処理プログラムがシステム制御部182のCPUによって実行されることで実現され、圧胴126bに保持された新たな記録材料114の先端部が記録ヘッド140C、140M、140Y、140K、140R、140G、140Bの各々の位置に到達する度に行われる。なお、ここでは、錯綜を回避するために、記録ヘッド140Cによって記録材料114に異常吐出検出パターン200を記録させる場合を例に挙げて説明するが、記録ヘッド140M、140Y、140K、140R、140G、140Bによる場合も同様の処理が実行されることは言うまでもない。
【0104】
同図のステップ400では、異常吐出検出パターン(一例として図7に示す異常吐出検出パターン200)のデータをメモリ184から読み出し、読み出したデータから異常吐出検出パターン200を記録ヘッド140Cによって記録材料114に記録させるための異常吐出検出パターン200の記録用データを生成し、生成した記録用データをヘッドドライバ104に供給し、供給した記録用データに基づきヘッドドライバ194によって記録ヘッド140Cを駆動させることで、記録材料114の先端部に異常吐出検出パターン200を記録させる。
【0105】
次のステップ402では、インラインセンサ144によって記録材料114の先端部の異常吐出検出パターン200を読み取らせ、インラインセンサ144が異常吐出検出パターン200を読み取ることで得られた輝度信号310をインラインセンサ144から取得する。
【0106】
次にステップ404では、上記ステップ402の処理によって取得された輝度信号310をビット反転することによって濃度信号311に変換した後、ステップ406に移行し、上記ステップ404の処理によって変換されて得られた濃度信号311のうち、インクリメンタル・パターン群204に係る濃度信号311を抽出する。
【0107】
次のステップ408では、上記ステップ406の処理によって抽出された濃度信号311の平均値を算出し、その平均値が“0”となるように濃度信号311を正規化する。図13には、図9に示す濃度信号311のA部分を正規化した結果の一例が示されている。図13に示すグラフにおいて、縦軸は濃度信号311の濃度を正規化した値を、横軸は光電変換セル番号を各々示しており、白丸は光電変換セルを表している。図13に示すように、上記ステップ406の処理によって抽出された濃度信号311が上記ステップ408の処理によって正規化されると、濃度信号312の波形(以下、「濃度分布波形」という。)が得られる。ここで得られる濃度分布波形は2種類の波形に分類され、1つは不良ノズルが存在しない場合の波形であり、もう1つは不良ノズルが存在する場合の波形である。つまり、不良ノズルが存在しない場合は、インクリメンタル・パターン202が正しく記録されるため(予め想定した通りに記録されるため)、正常なインク吐出が行われているものとして予め想定された濃度分布波形に相当する波形が得られる。これに対し、不良ノズルが存在する場合にはその不良ノズルによってインクリメンタル・パターン202が正しく記録されないため(予め想定した通りに記録されないため)、その部分だけ濃度分布波形の周期性が崩れて歪みが生じ、前述の予め想定された濃度分布波形に相当する波形が得られない。なお、図13には、不良ノズルが存在する場合が例示されており、スプラッシュによって濃度が低下した不良ノズルの位置及びインクの不吐出によって濃度が低下した不良ノズルの位置が表されている。
【0108】
次のステップ410では、上記ステップ408の処理によって濃度信号311が正規化されて得られた濃度信号312の濃度分布波形に対して離散フーリエ変換を行った後、ステップ412に移行し、上記ステップ410の処理によって離散フーリエ変換が行われることで得られた最大共振周波数に基づいて基本周波数を算出する。この基本周波数の逆数は、インラインセンサ144の読み取りピッチPSXを単位としたインクリメンタル・パターン202の配置ピッチPTXの量に対応している(図7参照)。濃度分布波形に、インクの異常吐出に起因するインクリメンタル・パターン202の欠落による歪みが存在していたとしても、一例として図13に示すようにその歪みは全体の波形に比べて一般的に少ないので(正常なノズル161による濃度データがほとんどであるため)、最大共振周波数は濃度分布波形に存在する歪みの影響を受けることはほとんどない。また、記録材料114の地肌の濃度むらや記録材料114の伸縮などの影響を受けることもほとんどない。従って、上記の基本周波数は、図10に示す最大共振周波数313そのものであっても良い。しかし、読み取りピッチPSXがノズルピッチPに比べて粗いので、配置ピッチPTXの精度を可能な限り確保する必要がある。そこで、本実施形態では、最大共振周波数313とこの最大共振周波数313に隣接する周波数との加重平均値を基本周波数として採用している。具体的には、図10に示す最大共振周波数313と最大共振周波数313の次に大きな濃度スペクトルに対応する周波数(同図の例では、最大共振周波数313に隣接する周波数のうちの濃度スペクトルが大きい方の周波数314)とを抽出し、抽出した最大共振周波数313及び周波数314を用いて次の(1)式から基本周波数を算出している。なお、(1)式において、“X”は基本周波数を、“Z”は濃度分布波形における最大振幅を、“Z”は濃度分布波形における最大振幅の次に大きな振幅を、“X”はZに対応する周波数を、“X”はZに対応する周波数を各々示している。
【0109】
X=X+{Z/(Z+Z)}(X−X)・・・・(1)
【0110】
次のステップ414では、上記ステップ412の処理によって算出された基本周波数の逆数(配置ピッチPTXに対応した値)を1周期とした正弦波形315を形成する。この正弦波形315は、インクリインクリメンタル・パターン202と光電変換セルのピッチの不整合による濃度信号312のふらつきの影響を回避するためのものであり、その周期はインクリメンタル・パターン202のピッチに高精度に対応しているほど良い。その点において、上記ステップ414の処理によって形成された正弦波形315は、上記ステップ412の処理によって算出された基本周波数によって一意に決まるものであるため、最大共振周波数313そのものを基本周波数として採用した場合に比べ、インクリメンタル・パターン202のピッチに対応する周期が正確である。
【0111】
次のステップ416にて、上記ステップ408の処理によって濃度信号311が正規化されて得られた濃度信号312の濃度分布波形と上記ステップ414の処理によって形成された正弦波形315との1周期分の波形を取得した後、ステップ418に移行し、変数i(カウント値)を1インクリメント(カウントアップ)する。
【0112】
次にステップ420では、変数iが、上記ステップ400の処理によって記録材料114にインクリメンタル・パターン群204が記録されるように制御された全てのノズル161の個数に対応する予め定められた値(所定カウント値)に到達したか否かを判定し、肯定判定となった場合には本異常吐出検出処理を終了し、否定判定となった場合にはステップ422に移行する。ステップ422では、上記ステップ416の処理によって各々1周期分取得された濃度分布波形と正弦波形とを比較する。
【0113】
次のステップ424では、上記ステップ422の処理によって比較された結果を判定する。すなわち、濃度分布波形と正弦波形とが相違しているか否かを判定し、否定判定となった場合にはステップ416に戻る一方、肯定判定となった場合にはステップ426に移行する。
【0114】
ステップ426では、変数i毎にノズル番号が対応付けられ、かつノズル番号に、対応するグループ番号及び光電変換セル番号が対応付けられて構成された参照用情報を参照して、現時点での変数i(上記ステップ418の処理によって得られた変数i)に対応するノズル番号、グループ番号及び光電変換セル番号を特定する。
【0115】
次のステップ426では、上記ステップ424の処理によって特定されたノズル番号、グループ番号及び光電変換セル番号を対応付けてメモリ184に記憶した後、ステップ430に移行する。本実施形態では、メモリ184に記憶されたノズル番号は、システム制御部182によってプリント制御部190に送られ、画像データの補正処理が実施される。また、メモリ184に記憶されたノズル番号、グループ番号及び光電変換セル番号は、システム制御部182によってUIパネル185に表示される。
【0116】
ステップ430では、変数iが上記の予め定められた値(所定カウント値)に到達したか否かを判定し、否定判定となった場合にはステップ416に戻る一方、肯定判定となった場合には本異常吐出検出処理を終了する。
【0117】
図14には、図13に示す濃度分布波形(インクリメンタル・パターン群204を構成しているインクリメンタル・パターン202−1〜202−11のうちの一列に対応する濃度分布波形)と正弦波形とを重ね合わせたグラフの一例が示されている。なお、図14に示す例では、濃度分布波形が実線で、正弦波形315が破線で各々表されている。本実施形態に係る画像記録装置100では、上述した異常吐出検出処理を実行することによって、不良ノズルが存在する場合、一例として図14に示すように濃度分布波形と正弦波形315とで相違箇所が表れるので、その相違箇所に対応する正弦波形315の周期数、すなわち、変数iから不良ノズルのノズル番号が特定される。つまり、正弦波形315の1周期はN個分(図7に示す例では11個分)のノズル161に対応しているため、正弦波形315の周期数をカウントすることによって得たカウント値に対応付けられているノズル番号が一例として図15に示すように特定される。図15に示す例は、インクリメンタル・パターン202の1列分の結果であるため、全てのノズル161の異常吐出を検出するには、残りの全列に対しても同様の処理を実行する必要がある。図15に示す処理結果及び残りの全列に対して吐出異常処理が実行されて得られた結果をノズル番号に対応させて重ね合わせると一例として図16に示すように表される。本実施形態では、メモリ184に記憶されたノズル番号をUIパネル185に表示する場合の形態例を挙げたが、これに限らず、例えば図16に示すヒストグラムを異常吐出検出処理の結果としてUIパネル185に表示しても良い。
【0118】
なお、上記実施形態では、1周期毎に濃度分布波形と正弦波形との比較を行う場合の形態例を挙げて説明したが、これに限らず、例えば、2周期毎に濃度分布波形と正弦波形との比較を行ってもよい。このように複数周期毎に濃度分布波形と正弦波形との比較を行うことによって処理の高速化が図れる。
【0119】
また、上記実施形態では、濃度信号312に対して離散フーリエ変換を行うことによって正弦波形315を導出する形態例を挙げて説明したが、濃度信号312に対してフーリエ変換を行って正弦波形315を導出してもよい。
【0120】
また、上記実施形態では、UIパネル185にノズル番号、グループ番号及び光電変換セル番号を表示する場合の形態例を挙げて説明したが、これに限らず、ノズル番号、グループ番号及び光電変換セル番号の少なくとも1つを不良のノズル161の位置を特定する位置特定情報としてUIパネル185に表示してもよい。例えば単一のノズル161を特定する必要がない場合にはグループ番号及び光電変換セル番号の少なくとも一方をUIパネル185に表示し、利用者がその表示された番号を参照して不良のノズル161を特定するようにしてもよい。但し、この場合、グループ番号及び光電変換セル番号とノズル番号との対応表を予め準備しておく必要がある。
【0121】
また、上記実施形態では、インクジェット方式で画像を記録する画像記録装置100を例に挙げて説明したが、これに限らず、ゼログラフィ方式で画像を記録する画像記録装置であってもよい。この場合、例えば、複数のLED(light-emitting diode)を含んで構成されているLEDアレイを用いて、画像情報に基づいて変調された光ビームを感光体ドラムに露光して静電潜像を形成し、その静電潜像を現像剤で現像して得た現像像を記録材料(例えば記録用紙)に転写することにより画像を記録する画像記録装置において、LEDアレイにおけるLEDの不良を検出する形態例が挙げられる。これは、LEDアレイを構成しているLEDを上記実施形態のノズル161と見立てることによって実現される。
【0122】
また、上記実施形態では、システム制御部182によって異常吐出検出処理プログラムが実行されることにより異常吐出検出処理プログラムの各ステップを実現するソフトウェア的な形態を例示したが、これに限らず、各種回路(一例として、ASIC(Application Specific Integrated Circuit))を接続して構成されるハードウェア的な形態や、ソフトウェア的な形態とハードウェア的な形態とを組み合わせた形態が挙げられる。
【0123】
また、上記実施形態では、異常吐出検出処理プログラムがプログラム格納部182Aに予め記憶されている場合の形態例を挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、これらのプログラムをCD−ROMやDVD−ROM、USBメモリなどのコンピュータによって読み取られる記録媒体に格納した状態で提供する形態を適用してもよいし、有線又は無線による通信手段を介して配信する形態を適用しても良い。
【符号の説明】
【0124】
100 画像記録装置
144 インラインセンサ
182 システム制御部
184 メモリ
185 UIパネル
302 正規化処理部
303 DFT部
304 オシレータ
305 カウンタ
306 比較部
307 判定部
308 特定部
309 記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に移動される記録材料に各々画像を構成する画素を記録する複数の記録素子が前記第1方向と交差する第2方向に沿って該第2方向の一端から他端に亘って配列され、かつ各区間に予め定められた個数の前記記録素子が含まれるように前記記録素子の列を複数の区間に分割した際に、各区間内の対応する位置に存在する前記記録素子毎に検査用画像を記録させるように制御する制御手段と、
前記第2方向に沿って配置され、かつ前記記録材料に記録された検査用画像の濃度を読み取る複数の光電変換素子を備えた読取手段と、
前記読取手段の読み取りにより得られた該検査用画像の濃度分布波形に対してフーリエ変換を行って得られた共振周波数に基づいて形成された正弦波形に、前記記録素子の位置を特定する位置特定情報が対応付けられて構成された参照用情報を予め記憶した記憶手段と、
前記記録素子の検査を行う際に前記読取手段によって前記検査用画像が読み取られて得られた該検査用画像の濃度分布波形から、前記記憶手段に記憶されている参照用情報を参照して、不良の前記記録素子を特定する特定手段と、
を含む画像記録検査装置。
【請求項2】
前記共振周波数を、前記検査用画像の濃度分布波形に対してフーリエ変換が行われて得られた最大共振周波数と該最大共振周波数に隣接する周波数との加重平均値とした請求項1に記載の画像記録検査装置。
【請求項3】
前記特定手段は、前記濃度分布波形と前記正弦波形との相違箇所に対応する前記位置特定情報により特定される位置の前記記録素子を不良の記録素子として特定する請求項1又は請求項2に記載の画像記録検査装置。
【請求項4】
前記共振周波数に基づいて前記正弦波形を形成する形成手段と、
前記形成手段によって形成された前記正弦波形及び前記濃度分布波形を該正弦波形の単位周期毎に取り込み、該単位周期毎に前記濃度分布波形と前記正弦波形とを比較する比較手段と、を更に含み、
前記特定手段は、前記比較手段での比較結果と前記参照用情報とを用いて不良の前記記録素子を特定する請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の画像記録検査装置。
【請求項5】
前記位置特定情報を、前記複数の記録素子の各々の相対的な位置を表す記録素子位置情報とした請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の画像記録検査装置。
【請求項6】
前記位置特定情報を、前記複数の光電変換素子の各々の相対的な位置を特定すると共に対応する前記記録素子位置情報に対応付けられた光電変換素子特定情報を含んで構成した請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の画像記録検査装置。
【請求項7】
前記位置特定情報を、前記集合を特定すると共に対応する前記記録素子位置情報に対応付けられた集合特定情報を含んで構成した請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の画像記録検査装置。
【請求項8】
前記フーリエ変換を、離散フーリエ変換とした請求項1〜請求項7の何れか1項に記載の画像記録検査装置。
【請求項9】
前記検査用画像を、各々前記記録素子毎に前記記録材料に記録された前記第1方向に延びた複数の線画像の集合とした請求項1〜請求項8の何れか1項に記載の画像記録検査装置。
【請求項10】
前記制御手段は、前記検査用画像を、前記各区間内の前記第2方向の一端から他端にかけて順次に対応する位置に存在する前記記録素子毎に記録させるように制御する請求項1〜請求項9の何れか1項に記載の画像記録検査装置。
【請求項11】
前記記録素子を、前記記録材料に対して液滴を吐出することにより該記録材料に画像を記録する液滴吐出素子とした請求項1〜請求項10の何れか1項に記載の画像記録検査装置。
【請求項12】
請求項1〜請求項11の何れか1項に記載の画像記録検査装置と、
前記記録素子によって画像が形成された前記記録材料を搬送する搬送手段と、
を含む画像記録装置。
【請求項13】
コンピュータを、
第1方向に移動される記録材料に各々画像を構成する画素を記録する複数の記録素子が前記第1方向と交差する第2方向に沿って該第2方向の一端から他端に亘って配列され、かつ各区間に予め定められた個数の前記記録素子が含まれるように前記記録素子の列を複数の区間に分割した際に、各区間内の対応する位置に存在する前記記録素子毎に検査用画像を記録させるように制御する制御手段、及び
前記第2方向に沿って配置され、かつ前記記録材料に記録された検査用画像の濃度を読み取る複数の光電変換素子を備えた読取手段の読み取りにより得られた該検査用画像の濃度分布波形に対してフーリエ変換を行って得られた共振周波数に基づいて形成された正弦波形に、前記記録素子の位置を特定する位置特定情報が対応付けられて構成された参照用情報を予め記憶した記憶手段に記憶されている参照用情報を参照して、前記記録素子の検査を行う際に前記読取手段によって前記検査用画像が読み取られて得られた該検査用画像の濃度分布波形から、不良の前記記録素子を特定する特定手段として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−201033(P2012−201033A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−68824(P2011−68824)
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】