説明

画像記録用組成物、画像記録用インクセット、および記録装置

【課題】本発明の課題は、多様な記録媒体に対して画像形成がなされ、印字ムラが抑制された画像が形成される、画像記録用組成物の提供。
【解決手段】外部からの刺激により硬化する硬化性材料と、吸水性樹脂粒子と、を含有し、前記吸水性樹脂粒子の体積平均粒子径が0.5μm以上5.0μm以下であり、前記吸水性樹脂粒子の含有量が5質量%以上50質量%以下である画像記録用組成物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像記録用組成物、画像記録用インクセット、および記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクを利用した画像やデータ等を記録する方法の一つとして、インクジェット記録方式がある。インクジェット記録方式の原理は、ノズル、スリット、或いは多孔質フィルム等から液体或いは溶融固体インクを吐出し、紙、布、フィルム等に記録を行うものである。インクを吐出する方法については、静電誘引力を利用してインクを吐出させる、いわゆる電荷制御方式、ピエゾ素子の振動圧力を利用してインクを吐出させる、いわゆるドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式)、高熱により気泡を形成、成長させることにより生じる圧力を利用してインクを吐出させる、いわゆる熱インクジェット方式等、各種の方式が提案されており、これらの方式により、極めて高精細の画像やデータの記録物が得られる。
【0003】
このインクジェット記録方式も含め、インクを利用した記録方式では、浸透媒体や非浸透媒体などの多様な記録媒体に対し高画質で記録を行うために、中間転写体に予め印字記録した後、記録媒体に転写する方式が提案されている。
【0004】
例えば、特許文献1には、吸水性の異なるポリマー、サイズの異なる吸水ポリマー、架橋度の異なる吸水ポリマー等、複数種の粉末混合体を中間体上に供給しつつ記録を行う方式が提案されている。
【0005】
また、特許文献2には、中間体上にインクとの接触でインクを増粘させる固体粒子(多糖高分子、アルギン酸、カラギーナン等の粒子)を供給しつつ記録を行う方式が提案されている。
【0006】
また、特許文献3には、中間体上に疎水性または油性樹脂粒子層を形成し、疎水性樹脂粒子層の空隙にインク(例はSD型染料インクスロードライ型(Slow Dry型))を保持させて記録媒体に転写する方式が提案されている。
【0007】
また、特許文献4には、中間体(シート)に湿式で無機粒子、親水性ポリマー等を塗布した空隙型インク吸収層を設け、そこに染料インクを噴射し、記録媒体に転写する方式が提案されている。
【0008】
また、特許文献5には、熱可塑性樹脂粒子と非熱可塑性粒子とを含有し、熱可塑性樹脂粒子の最低造膜温度(MFT)以下の温度で乾燥されて形成された多孔質インク吸収層を有するインクジェット中間転写媒体が提案されている。
【0009】
特許文献6には、高電気的抵抗体で液体と接触して増粘する粉体を中間転写体上に供給した後、当該粉体に液体を接触させて画像を形成し、中間転写体上の増粘した画像を転写媒体に転写する記録装置が提案されている。
【0010】
特許文献7には、中間転写体上に予め液滴に対して溶解性または膨潤性を示しかつ液滴の粘度を上昇させることができる粉末を形成しておき、液体噴射装置より噴射された液滴を中間転写体に到達させて粉末を液滴により溶解または膨潤させ、当該粉末により高粘度化した液滴を中間転写体によって転写部まで運んで記録紙に転写させる記録装置が提案されている。
【0011】
特許文献8には、印刷版上のインクまたは飛翔インク滴が中間転写体に転写されるのに先だって、中間転写体の表面に液体を付着させ、その液体上にインクを付着させてから、中間転写体上のインクを液体とともに被印刷体に転写することを特徴とする記録方法が提案されている。
【0012】
特許文献9には、静電界を利用して油性インクをインクジェット方式により画像保持体表面に画像を形成し、該画像保持体に形成された画像を印刷媒体上に接触転写することにより印刷物を作成することを特徴とするインクジェット式印刷方法が提案されている。
【0013】
特許文献10には、中間転写体に対して、着色インクの流動性を低下させる第1材料を付与する工程と、第1材料が付与された中間転写体に対して着色インクを記録ヘッドより付与し、インク像を形成する形成工程と、インク像を記録媒体へ転写する転写工程と、転写工程の前に、画像の耐擦過性を向上させる第2材料を中間転写体に付与するインクジェット記録方法が提案されている。
【特許文献1】特開2000−343808号公報
【特許文献2】特開2000−94654号公報
【特許文献3】特開2003−57967号公報
【特許文献4】特開2002−370347号公報
【特許文献5】特開2002−321443号公報
【特許文献6】特開2001−321443号公報
【特許文献7】特開平11−188858号公報
【特許文献8】特開2001−212956号公報
【特許文献9】特開2001−315426号公報
【特許文献10】特開2005−170036号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の課題は、多様な記録媒体に対して画像形成がなされ、印字ムラが抑制された画像が形成される、画像記録用組成物、画像記録用インクセット、および記録装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題は、以下の手段により解決される。即ち、
請求項1に係る発明は、
外部からの刺激により硬化する硬化性材料と、吸水性樹脂粒子と、を含有し、前記吸水性樹脂粒子の体積平均粒子径が0.5μm以上5.0μm以下であり、前記吸水性樹脂粒子の含有量が5質量%以上50質量%以下である画像記録用組成物である。
【0016】
請求項2に係る発明は、
前記吸水性樹脂粒子が吸水架橋性樹脂であること特徴とする請求項1に記載の画像記録用組成物である。
【0017】
請求項3に係る発明は、
前記吸水性樹脂粒子の数平均粒子径が0.5μm以上5.0μm以下であり、体積平均粒子径/数平均粒子径の値が1.5以下である請求項1または請求項2に記載の画像記録用組成物である。
【0018】
請求項4に係る発明は、
前記吸水性樹脂粒子の含有量が20質量%以上50質量%以下である請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の画像記録用組成物である。
【0019】
請求項5に係る発明は、
熱可塑性樹脂を含有する請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の画像記録用組成物である。
【0020】
請求項6に係る発明は、
請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の画像記録用組成物と、水性溶媒を含む水性インクと、を含む画像記録用インクセットである。
【0021】
請求項7に係る発明は、
中間転写体と、請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の画像記録用組成物を前記中間転写体上に供給する供給手段と、前記中間転写体上に供給された前記画像記録用組成物により形成された被硬化層に、水性溶媒を含む水性インクを吐出する吐出手段と、前記水性インクが吐出された前記被硬化層を前記中間転写体から記録媒体に転写する転写手段と、前記被硬化層を硬化させる刺激を供給する刺激供給手段と、を有する記録装置である。
【0022】
請求項8に係る発明は、
請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の画像記録用組成物を記録媒体上に供給する供給手段と、前記記録媒体上に供給された前記画像記録用組成物により形成された被硬化層に、水性溶媒を含む水性インクを吐出する吐出手段と、前記被硬化層を硬化させる刺激を供給する刺激供給手段と、を有する記録装置である。
【発明の効果】
【0023】
請求項1に係る発明によれば、多様な記録媒体に対して転写・画像形成がなされ、印字ムラが抑制されるといった効果を奏する。
【0024】
請求項2に係る発明によれば、本構成を有さない場合に比較して、画像記録用組成物の安定性に優れるという効果を奏する。
【0025】
請求項3に係る発明によれば、多様な記録媒体に対して転写・画像形成がなされ、印字ムラが抑制されるといった効果を奏する。
【0026】
請求項4に係る発明によれば、多様な記録媒体に対して転写・画像形成がなされ、印字ムラが抑制されるといった効果を奏する。
【0027】
請求項5に係る発明によれば、相溶性のある熱可塑性樹脂により樹脂粘性の調整ができ、樹脂と共重合できるモノマー類の添加で低粘性化する方法、プレポリマーや分子量数万程度の樹脂より高い分子量をもつ熱可塑性樹脂の混合により粘性増加させる方法等により、粒子間の沈降性抑制、相溶性の調製が容易となる。また、溶媒を使用せずに記録媒体中に内在させることができ、印字密度の制御やインク浸透・展開の抑制、熱転写時の溶融による融着・粘着転写効率を向上でき、表面光沢性の付与、中間転写体からの剥離性の向上による転写能、硬化時の反応性向上といった効果を奏する。
【0028】
請求項6に係る発明によれば、多様な記録媒体に対して転写・画像形成がなされ、印字ムラが抑制されるといった効果を奏する。
【0029】
請求項7に係る発明によれば、多様な記録媒体に対して画像形成がなされ、かつ、水性インクの拡散が抑制され高精細な画像が転写・形成されるといった効果を奏する。またそれに加えて、中間転写方式であるため、画像保存性が優れかつ記録媒体浸透にかかわる時間を軽減するといった効果を奏する。
【0030】
請求項8に係る発明によれば、多様な記録媒体に対して画像形成がなされ、かつ、水性インクの拡散が抑制され高精細な画像が形成されるといった効果を奏する。またそれに加えて、直接記録転写方式であるため、簡易で利便性に優れた新規な構成であり、より高速かつ低コストで転写画像形成がなされ,記録媒体上での乾燥に関わる浸透時間を短縮できるといった効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、好ましい実施形態について詳細に説明する。
尚、以下の好ましい実施形態においては、外部からの刺激により硬化する硬化性材料と、吸水性樹脂粒子と、を含有し、前記吸水性樹脂粒子の体積平均粒子径が0.5μm以上5.0μm以下であり、前記吸水性樹脂粒子の含有量が5質量%以上50質量%以下である画像記録用組成物を用いることを特徴とする。
上記画像記録用組成物は、中間転写体や記録媒体等に供給されて被硬化層を形成し、その後該被硬化層に水性溶媒を含む水性インクが吐出されて画像が形成される。
【0032】
従来のインクジェット記録装置においては、記録媒体内に残留する未揮発水分の影響で乾燥に要する時間や熱による記録媒体カール、黄変、劣化等、さらには記録速度の低下があった。また、静電的な記録媒体吸着性の低下により、記録媒体搬送性の低下や、記録媒体の姿勢の安定性低下があった。さらに、電子写真などに用いられる中間転写体記録装置のような粉体による画像形成は、記録媒体上での画像定着時の画像劣化、粉体の取り扱い上の微粉粒子成分の粒子径の制約(粉塵対応など環境規制対象になる)による、5μm以上での使用制限により解像度の向上が困難であるといった問題を有していた。また、インクの粒子間隙付着では浸透による画像保持の違いより、解像度の低下があった。さらに水性インク自体の該粉体の静電付着能の低下によって、中間転写体上の吸水性樹脂粒子保持性の低下があった。また電子写真と同様に、加熱定着方式では高速定着のための熱エネルギーの増加があった。中間転写体自体の熱履歴の影響(熱膨張、収縮性)でカラーレジストレーションの低下、インク汚れ、定着残物によるクリーニング性の悪化、記録媒体へのインク浸透性において間隙部分での再浸透による画像劣化、加熱定着による浸透インク成分の再揮発、気泡の内在などがあり、画像欠陥に結びつくとの問題があった。そのため、中間転写体の表面に液体を付着させ、その液体上にインクを付着させてから、中間転写体上のインクを液体とともに記録媒体に転写する方式では、高速適正・高画質化には適さないとの問題があった。
【0033】
ここで、上記構成により、水性インクの拡散が抑制され高精細な転写画像が形成されるとの効果が得られる作用は定かではないが、以下のように推察される。
上記画像記録用組成物によって被硬化層が形成された際には、図1(A)に示すように吸水性樹脂粒子2は被硬化層4中に分散され、その密度差からわずかに一部表面に露出している吸水性樹脂粒子2が存在する状態である。この被硬化層4にインクが吐出されると、図1(B)に示すように被硬化層4の表面にわずかに露出している吸水性樹脂粒子2にインク中の水性溶媒が浸透し、水性溶媒を含んだ吸水性樹脂粒子2は密度の差により被硬化層4の表面に更に露出する。また、被硬化層4表面に露出していない吸水性樹脂粒子2には、既に水性溶媒が浸透した吸水性樹脂粒子2を通じて、水性溶媒が粒子間を拡散浸透し、前述のごとく比重の差により表面に露出するか、或いは表面方向へ移動する。インク吐出後に、上記のごとく吸水性樹脂粒子2が表面に露出することにより、吸水性樹脂粒子2へのインク成分の浸透が良好に進行し、また疎水性媒体中の水性インクの拡散が抑制され高精細な画像が形成されるものと推察される。
さらに硬化時の加熱・収縮による影響は、インク中の水分の揮発を助長し、粒子膨潤の影響を軽減するため、高速転写時においては双方の協奏効果により、かえって画像形成が安定して得られるものと推察される。
【0034】
また、上記被硬化層が中間転写体上に形成され、インクが吐出された後に記録媒体に転写され画像が形成される態様においては、他の効果として、良好な転写性(中間転写体からの被硬化層の剥離性)が得られ、また中間転写面がそのまま維持でき高光沢を有する画像が得られるとの効果を奏する。該効果が得られる作用は定かではないが、以下のように推察される。
吸水性樹脂粒子が被硬化層の表面側(インクが吐出され画像形成する側)に寄った状態で記録媒体への転写が行われることから、被硬化層中の中間転写体側(非印字面側)には吸水性樹脂粒子が存在しない或いは粒子密度が少ない状態であるため、硬化時の良好な転写性(剥離性)が得られるものと推察される。また、記録媒体に転写された後の被硬化層では、吸水性樹脂粒子が記録媒体側に寄っており、表面(記録媒体とは反対側)には存在しない或いは少ない状態であるため、中間体表面のもつ表面特性がそのまま転写でき表面が平滑で高光沢の画像が得られるものと推察される。
またさらに、別の効果としては、塗布時の界面密着性が硬化時には離型性をもつフィルム媒体になり、粘着性をもつ中間転写体の薄膜塗布膜は、記録媒体への転写時に容易に転写でき、かつ硬化時の表面(非印字面、中間転写体接触面側)からの界面剥離を助長し、高効率の転写が可能であると推測される。
【0035】
以下、好ましい実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、実質的に同じ機能を有する部材には、全図面を通して同じ符合を付与し、重複する説明は省略する場合がある。
【0036】
(第1実施形態)
図2は、第1実施形態に係る記録装置を示す構成図である。
【0037】
第1実施形態に係る記録装置101は、図2に示すように、例えば、中間転写ドラム10、中間転写ドラム10上に外部からの刺激(エネルギー、例えば熱、UV、電子線)により硬化する硬化性材料および吸水性樹脂粒子を含有する硬化性溶液(画像記録用組成物)12Aを供給して硬化性溶液12Aにより形成された被硬化層12Bを形成する溶液供給装置12と、被硬化層12B上に水性溶媒を含む水性のインク滴14Aを吐出し画像Tを形成するインクジェット記録ヘッド14と、記録媒体Pを中間転写ドラム10に重ね合わせ圧力を加えることにより画像Tが形成された被硬化層12Bを記録媒体P上に転写する転写装置16と、記録媒体P上に転写された被硬化層12Bを硬化する刺激を供給する刺激供給装置18と、を含んで構成されている。
【0038】
また、中間転写ドラム10の回転方向における転写装置16の下流には、中間転写ドラム10表面に残留する被硬化層12Bの転写残留物の除去、当該残留物以外の異物(記録媒体Pの紙粉等)等の付着物の除去を行うためのクリーニング装置20が配置されている。
【0039】
中間転写ドラム10は、例えば円筒状基体と、当該基体表面に被覆される表面層と、を有する構成が挙げられる。中間転写ドラム10は、記録媒体Pの幅と同等またはそれ以上の幅(軸方向長さ)を有している。
円筒状基体の材質としては、例えば、アルミニウム、ステンレス鋼(SUS)、銅等が挙げられる。
表面層の材質としては、例えば、各種の樹脂[例えば、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエーテルサルフォン、フッ素系樹脂等]、各種のゴム(例えば、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロプレンゴム、イソプレンゴム、スチレンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、ウレタンゴム、エピクロロヒドリンゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム等)等が挙げられる。表面層は、単層構成でもよいし、2層以上の積層構成でもよい。
【0040】
溶液供給装置12は、例えば、硬化性溶液12Aを収納する筐体12C内に、当該硬化性溶液12Aを中間転写ドラム10へ供給する供給ローラ12Dと、供給された硬化性溶液12Aにより形成された被硬化層12Bの層厚を規定するブレード12Eと、を含んで構成されている。
【0041】
溶液供給装置12は、その供給ローラ12Dが中間転写ドラム10に連続的に接触するようにしてもよいし、中間転写ドラム10から離間する構成としてもよい。また、溶液供給装置12は、独立した溶液供給システム(図示せず)より硬化性溶液12Aを筐体12Cへ供給させ、硬化性溶液12Aの供給がとぎれないようにしてもよい。
【0042】
ここで、硬化性溶液12Aに含有される「外部からの刺激(エネルギー)により硬化する硬化性材料」とは、外部からの刺激によって硬化し、「硬化性樹脂」となる材料を意味する。具体的には、例えば、硬化性のモノマー、硬化性のマクロマー、硬化性のオリゴマー、硬化性のプレポリマー等が挙げられる。その詳細については後述する。
【0043】
また硬化性溶液12Aに含有される「吸水性樹脂粒子」とは、水性溶媒を吸収する材料を意味する。その詳細については後述する。
【0044】
溶液供給装置12は、上記構成に限られず、公知の供給法(塗布法:例えば、バーコーター塗布、スプレー方式の塗布、インクジェット方式の塗布、エアーナイフ方式の塗布、ブレード方式の塗布、ロール方式の塗布等)などを利用した装置が適用される。
【0045】
インクジェット記録ヘッド14は、例えば、中間転写ドラム10の回転方向上流側から、ブラックインクを吐出するための記録ヘッド14Kと、シアンインクを吐出するための記録ヘッド14Cと、マゼンタインクを吐出するための記録ヘッド14Mと、イエローインクを吐出するための記録ヘッド14Yと、の各色の記録ヘッドを含んで構成されている。無論、記録ヘッド14の構成は上記構成に限られず、例えば、記録ヘッド14Kのみで構成してもよいし、記録ヘッド14C、記録ヘッド14M、および記録ヘッド14Yのみで構成してもよい。
【0046】
各記録ヘッド14は、例えば、記録媒体Pの幅と同等またはそれ以上の幅を持つライン型インクジェット記録ヘッドが望ましいが、従来のスキャン型のインクジェット記録ヘッドを用いてもよい。各記録ヘッド14のインク吐出方式は、圧電素子駆動型、発熱素子駆動型等、インク吐出可能な方式であれば制限はない。
【0047】
各記録ヘッド14は、例えば、中間転写ドラム10の回転方向上流側から記録ヘッド14K、記録ヘッド14C、記録ヘッド14M、および記録ヘッド14Yの順で直列に配置されている。
【0048】
各記録ヘッド14は、中間転写ドラム10表面とヘッドのノズル面との距離が例えば0.3乃至0.7mm程度にして配置されている。また、各記録ヘッド14は、例えば、その長手方向が中間転写ドラムの回転方向と交差(望ましくは直交)して配設されている。
【0049】
転写装置16は、中間転写ドラム10に対し押し当てて配置される加圧ロール16Aを含んで構成されている。加圧ロール16Aは、例えば、上記中間転写ドラム10の材料構成と同様に構成される。
【0050】
刺激供給装置18は、適用する硬化性溶液12Aに含まれる硬化性材料の種類に応じて選択される。具体的には、例えば、紫外線の照射により硬化する紫外線硬化性材料(UV印刷等で使用される材料系)を適用する場合、刺激供給装置18としては硬化性溶液12A(これにより形成された被硬化層12B)に紫外線を照射する紫外線照射装置を適用する。また、電子線の照射により硬化する電子線硬化性材料を適用する場合、刺激供給装置18として硬化性溶液12A(これにより形成された被硬化層12B)に電子線を照射する電子線照射装置を適用する。また、熱の付与により硬化する熱硬化性材料を適用する場合、刺激供給装置18として硬化性溶液12A(これにより形成された被硬化層12B)に熱を付与する熱付与装置を適用する。
【0051】
ここで、紫外線照射装置としては、例えば、メタルハライドランプ、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、デイープ紫外線ランプ、マイクロ波を用い外部から無電極で水銀灯を励起するランプ、紫外線レーザー、キセノンランプ、UV−LEDなどが適用される。
【0052】
ここで、紫外線の照射条件としては、紫外線硬化性材料を含む硬化性溶液12A(これにより形成された被硬化層12B)が十分に硬化される条件であれば、特に制限はなく、紫外線硬化性材料種、被硬化層12Bの厚みなどに応じて選択し得るが、例えば、高圧水銀灯120W/cm出力密度で2sから数十msオーダーの照射等である。
【0053】
また、電子線照射装置としては、例えば、走査型/カーテン型等があり、カーテン型はフィラメントで生じた熱電子を、真空チャンバー内のグリッドによって引き出し、さらに高電圧(例えば70乃至300kV)によって、一気に加速させ、電子流となり、窓箔を通過して、大気側に放出する装置である。電子線の波長は一般的に1nmより小さく、またエネルギーは大きいもので数MeVに及ぶが、電子線の波長数がpmのオーダーでエネルギーが数十乃至数百keVが適用される。
【0054】
ここで、電子線の照射条件としては、電子線硬化性材料を含む硬化性溶液12A(これにより形成された被硬化層12B)が十分に硬化される条件であれば、特に制限はなく、電子線硬化性材料種、被硬化層12Bの厚みなどに応じて選択し得るが、例えば、電子線量は5乃至100kGyレベル等である。
【0055】
また、熱付与装置としては、例えば、ハロゲンランプ、セラミックヒータ、ニクロム線ヒータ、マイクロ波加熱、赤外線ランプなどが適用される。また、熱付与装置としては、電磁誘導方式の加熱装置も適用できる。
【0056】
ここで、熱の付与条件としては、熱硬化性材料を含む硬化性溶液12A(これにより形成された被硬化層12B)を十分に硬化することが可能な条件であれば、特に制限はなく、熱硬化性材料種、被硬化層12Bの厚みなどに応じて選択し得るが、例えば、空気中において、200℃環境で5min等である。
【0057】
なお、それぞれ十分に硬化された状態とは、被硬化層12Bが刺激供給装置18により硬化された硬化層に浸透性の用紙(普通紙)を重ね、200g荷重をかけても転写がおこらない状態をいう。
【0058】
記録媒体Pとしては、浸透媒体(例えば、普通紙や、コート紙等)、非浸透媒体(例えば、アート紙、樹脂フィルムなど)、いずれも適用される。記録媒体は、これらに限られず、その他、半導体基板など工業製品も含まれる。
【0059】
以下、本実施形態に係る記録装置101の画像記録プロセスにつき、説明する。
【0060】
本実施形態に係る記録装置101では、中間転写ドラム10が回転駆動され、まず、溶液供給装置12により、中間転写ドラム10表面に硬化性溶液12Aを供給して、被硬化層12Bを形成する。
【0061】
ここで、被硬化層と樹脂との混合層にインクが吐出されたのち吸水性樹脂粒子を被硬化層と樹脂との混合層の表面に良好に露出させるとの観点から、被硬化層12Bの厚みは、0.1μm以上100μm以下であることが望ましく、0.5μm以上50μm以下であることがより望ましく、0.5μm以上20μm以下であることが特に望ましい。
ある程度相溶性のある樹脂媒体中で、吸水性樹脂粒子は一部相溶・浮沈状態であるため、膜厚は樹脂粘度と粒子径およびその分布で決まる。また、中間転写体上での吸液により膨潤性があるため、塗布膜厚にくらべ印字面での膜厚は上がるが、その後の転写前のレベリング、転写時の加圧、樹脂成分の硬化時の収縮、および記録媒体内への表面印字部のインク残液への浸透により塗布膜厚はほぼそのままの膜厚を維持する。また、記録媒体転写時の浸透、樹脂内への侵入により、安定した画像形勢を維持できると推察される。
【0062】
また、例えば、被硬化層12Bの厚みをインク滴14Aが被硬化層12Bの最下層まで到達しない程度とすれば、記録媒体Pへの転写後では被硬化層12Bのうちインク滴14Aが存在する領域が露出せず、インク滴14Aが存在しない領域が硬化後には保護層として機能する。
【0063】
次に、インクジェット記録ヘッド14によりインク滴14Aを吐出し、中間転写ドラム10上に供給された被硬化層12Bに当該インク滴14Aを付与する。インクジェット記録ヘッド14は所定の画像情報に基づき、被硬化層12Bの所定の位置にインク滴14Aを付与する。
【0064】
この際、インクジェット記録ヘッド14によるインク滴14Aの吐出は、剛体である中間転写ドラム10上で行われる。つまり、ドラム表面がたわみのない状態で被硬化層12Bにインク滴14Aの吐出がなされる。
【0065】
次に、転写装置16により記録媒体Pを中間転写ドラム10と挟み込んで、被硬化層12Bに圧力を加えることで、記録媒体P上に、インク滴14Aにより画像が形成された被硬化層12Bが転写される。
【0066】
次に、刺激供給装置18により、被硬化層12Bを硬化させることで、インク滴14Aによる画像Tが硬化性樹脂により記録媒体P上で定着される。これにより、インク滴14Aによる画像Tが含まれる硬化性樹脂層(画像層)が記録媒体Pに形成される。
【0067】
そして、被硬化層12Bが記録媒体Pへ転写された後の中間転写ドラム10表面に残った被硬化層12Bの残留物や異物をクリーニング装置20により除去し、再び、中間転写ドラム10上に、溶液供給装置12により硬化性溶液12Aを供給して被硬化層12Bを形成し、画像記録プロセスが繰り返される。
【0068】
以上のようにして、本実施形態に係る記録装置101では、画像記録が行われる。
尚、上記硬化性樹脂層(画像層)表面の表面粗さは、高光沢な画像を得るという観点から、Rzが10μm以下であることが望ましく、更に5μm以下であることがより望ましい。また、Rmaxが20μm以下であることが望ましく、更に10μm以下であることがより望ましい。上記粗さRzはJIS−B0601(1982年)に準拠して測定することができ、また粗さRmaxはJIS−B0601(1994年)に準拠して測定することができる。
【0069】
(第2実施形態)
図3は、第2実施形態に係る記録装置を示す構成図である。
【0070】
第2実施形態に係る記録装置102は、図3に示すように、第1実施形態における中間転写ドラム10の代わりに中間転写ベルト22を配置した形態である。
【0071】
中間転写ベルト22は、例えば、2つの支持ロール22A、および加圧ロール16B(転写装置16)により内周面側から張力を掛けつつ回転可能に支持されて配設されている。
【0072】
中間転写ベルト22は、記録媒体Pの幅と同等またはそれ以上の幅(軸方向長さ)を有している。
中間転写ベルト22は、例えば、各種の樹脂[例えば、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエーテルサルフォン、フッ素系樹脂等]、各種のゴム(例えば、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロプレンゴム、イソプレンゴム、スチレンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、ウレタンゴム、エピクロロヒドリンゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム等)により構成される。中間転写ベルト22は、ステンレス等の金属材料により構成してもよい。中間転写ベルト22は、単層構成でもよいし、積層構成でもよい。また、中間転写ベルト22は、フッ素樹脂・シリコーンゴム等の離型性の材料により表面層を有していてもよい。
【0073】
各記録ヘッド14は、張力が掛けられて回転支持された中間転写ベルトにおける非屈曲領域上で、且つ中間転写ベルト22表面とヘッドのノズル面との距離が例えば0.7乃至1.5mm程度にして配置されている。
【0074】
転写装置16は、中間転写ベルト22を挟んで対向配置された一対の加圧ロール16A,16Bを含んで構成されている。
【0075】
本実施形態に係る記録装置102では、インクジェット記録ヘッド14によりインク滴14Aを吐出し、中間転写ベルト22上に形成された被硬化層12Bに当該インク滴14Aを付与する。
【0076】
この際、インクジェット記録ヘッド14によるインク滴14Aの吐出は、張力が掛けられて回転支持された中間転写ベルト22における非屈曲領域上で行われる。つまり、ベルト表面がたわみのない状態で被硬化層12Bにインク滴14Aの吐出がなされる。
【0077】
これら以外は、第1実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0078】
(第3実施形態)
図4は、第3実施形態に係る記録装置を示す構成図である。
【0079】
第3実施形態に係る記録装置103は、図4に示すように、第1実施形態において、インク滴14Aによる画像が形成された被硬化層12Bを記録媒体Pへ転写する前に、当該被硬化層12Bを半硬化させる刺激を供給する第2の刺激供給装置24をさらに配置した形態である。
【0080】
第2の刺激供給装置24は、例えば、中間転写ベルト22の回転方向におけるインクジェット記録ヘッド14よりも下流側であって、転写装置16よりも上流側に配置されている。
【0081】
第2の刺激供給装置24は、刺激供給装置18と同様に、適用する硬化性溶液12Aに含まれる硬化性材料の種類に応じて選択される。具体的には、例えば、紫外線硬化性材料を適用する場合、第2の刺激供給装置24としては硬化性溶液12A(これにより形成された被硬化層12B)に紫外線を照射する紫外線照射装置を適用する。また、電子線硬化性材料を適用する場合、第2の刺激供給装置24として硬化性溶液12A(これにより形成された被硬化層12B)に電子線を照射する電子線照射装置を適用する。また、熱硬化性材料を適用する場合、第2の刺激供給装置24として硬化性溶液12A(これにより形成された被硬化層12B)に熱を付与する熱付与装置を適用する。
【0082】
第2の刺激供給装置24における紫外線照射条件、電子線照射条件、熱付与条件は、インクジェット記録ヘッド14によりインク滴14Aを付与された中間転写ドラム10上の被硬化層12Bが、半硬化した状態で転写装置16により記録媒体Pに転写される条件であれば、特に制限はなく、硬化性材料種、被硬化層の厚みなどに応じて選択し得る。
【0083】
本実施形態においては、第2の刺激供給装置24をインクジェット記録ヘッド14よりも下流側であって転写装置16よりも上流側に配置しているが、第2の刺激供給装置24をインクジェット記録ヘッド14よりも上流側に配置してもよい。第2の刺激供給装置24をインクジェット記録ヘッド14よりも上流側に配置すると、被硬化層12Bが半硬化され粘度が上昇した後に、インクジェット記録ヘッド14によりインク滴14Aが被硬化層12Bに吐出される。よって、被硬化層12B内におけるインク滴14Aの拡散がより抑制されるため、さらに高精細な画像が形成される。
【0084】
ここで、「半硬化した状態」とは、硬化性材料が、前記「十分に硬化された状態」には達していないが、中間転写体に供給した時よりも硬化され完全な液体状態ではない状態をいう。「半硬化した状態」の確認方法の1つとしては、以下の方法が挙げられる。具体的には、被硬化層12Bに浸透性の用紙(例えば普通紙)を重ねた場合、荷重をかけない時は被硬化層12Bが用紙側に全く転写されず、200g荷重をかけたときに一部転写された場合を、「半硬化した状態」と判断する。
【0085】
以上説明した本実施形態に係る記録装置103では、インクジェット記録ヘッド14によりインク滴14Aを吐出し、中間転写ドラム10上に供給された被硬化層12Bに当該インク滴14Aを付与した後、第2の刺激供給装置24により、当該被硬化層12Bを半硬化させる。そして、転写装置16により当該被硬化層12Bを記録媒体Pに転写する。この転写の際、被硬化層12Bは、半硬化の状態、つまりある程度剛性を持った状態で記録媒体Pに転写される。
【0086】
これら以外は、第1実施形態と同様なため、説明を省略する。
【0087】
(第4実施形態)
図5は、第4実施形態にかかる記録装置を示す構成図である。
【0088】
第4実施形態に係る記録装置104は、図5に示すように、記録媒体Pに画像を直接形成する形態(直接記録方式)である。
【0089】
記録装置104は、例えば、記録媒体P上に外部からの刺激(エネルギー)により硬化する硬化性材料および吸水性樹脂粒子を含有する硬化性溶液12Aを供給して硬化性溶液12Aにより形成された被硬化層12Bを形成する溶液供給装置12と、被硬化層12B上に水性溶媒を含む水性のインク滴14Aを吐出し画像Tを形成するインクジェット記録ヘッド14と、被硬化層12Bを硬化する刺激を供給する刺激供給装置18と、を含んで構成されている。
【0090】
また記録装置104は、上記記録媒体Pを搬送する搬送ベルト13を備えている。搬送ベルト13としては、例えば、第2実施形態における中間転写ベルト22と同様の無端ベルトが用いられる。搬送ベルト13は、例えば、3つの支持ロール13Aにより内周面側から張力を掛けつつ回転可能に支持されて配設されている。搬送ベルト13は、回転移動することにより、収容容器(図示略)などから送られてきた記録媒体Pを矢印の方向に搬送する。
【0091】
記録装置104では、まず溶液供給装置12により、搬送ベルト13によって搬送されている記録媒体Pの表面上に、硬化性溶液12Aを供給して被硬化層12Bを形成する。次に、所定の画像情報に基づき、インクジェット記録ヘッド14によりインク滴14Aを吐出し、記録媒体P上に形成された被硬化層12Bにインク滴14Aを付与することにより画像Tを形成する。最後に刺激供給装置18によって被硬化層12Bを硬化させることにより、インク滴14Aによる画像Tが含まれる硬化性樹脂層(画像層)が記録媒体Pに形成される。
【0092】
これら以外は、第1実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0093】
上記いずれの実施形態に係る記録装置でも、硬化性溶液12Aを中間転写ドラム10、中間転写ベルト22、または記録媒体Pに塗布して被硬化層12Bを形成する。そして、この被硬化層12Bにインク滴14Aを付与して画像Tを形成した後(第1実施形態乃至第3実施形態においては、さらに記録媒体Pへ転写した後)、画像Tが形成された被硬化層12Bを完全に硬化させる。この際、被硬化層12Bに含有される硬化性材料が硬化することにより「硬化性樹脂」となる。このため、記録媒体Pが非浸透媒体であるか浸透媒体であるかを問わず、多様な記録媒体Pに対して、画像形成がなされる。
【0094】
特に第1実施形態乃至第3実施形態に係る記録装置では、中間転写方式を採用しているため、画像Tが形成された中間転写体(中間転写ドラム10、中間転写ベルト22)上の被硬化層12Bが、記録媒体Pに転写される工程を経る。そのため、例えば被硬化層12Bの厚みをインク滴14Aが被硬化層12Bの最下層まで到達しない程度とした場合、記録媒体Pに転写された被硬化層12Bは、インク滴14Aが存在する領域(画像Tの領域)が露出せず、インク滴14Aが存在しない領域が硬化後に保護層として機能することにより、画像保存性が向上する。
【0095】
これに対し、第4実施形態に係る記録装置では、硬化性溶液12Aを直接記録媒体Pに供給する方式(直接記録方式)を採用しているため、簡易な構成であり、より高速かつ低コストで画像形成がなされる。
【0096】
また、上記いずれの実施形態に係る記録装置でも、硬化性溶液12Aに吸水性樹脂粒子が分散されて含まれており、また該吸水性樹脂粒子の体積平均粒子径および含有量が所望の領域に制御されているため、水性のインク滴14Aに含まれる水性溶媒が吸水性樹脂粒子に吸収される。このため、被硬化層12Bにより受容されたインク滴14Aが表面粒子部位を介して油性の被硬化層12B内において拡散・浸透・膨潤することが抑制されることにより、インク滴14Aが被硬化層12B内および表面において画像固定され、高精細な画像が形成される。
【0097】
以下、硬化性材料について説明する。
【0098】
硬化性材料としては、例えば、紫外線硬化性材料、電子線硬化性材料、熱硬化性材料等が挙げられる。紫外線硬化性材料は、硬化がし易く、他のものに比べ硬化速度も速く、取り扱いやすい。電子線硬化性材料は、重合開始剤が不要であり、硬化後の層の着色制御が実施しやすい。熱硬化性材料は、大掛りな装置を必要とすることなく硬化される。なお、硬化性材料は、これらに限られず、例えば湿気、酸素等により硬化する硬化性材料を適用することもできる。
【0099】
紫外線硬化性材料を硬化することにより得られる「紫外線硬化性樹脂」としては、例えば、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、マレイミド樹脂、エポキシ樹脂、オキセタン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリビニルエーテル樹脂などが挙げられる。そして、その硬化性溶液12Aは、紫外線硬化性のモノマー、紫外線硬化性のマクロマー、紫外線硬化性のオリゴマー、および紫外線硬化性のプレポリマーの少なくとも1種を含んでいる。これらの中でもフッ素系撥水樹脂(変性アクリル共重合体、アクリルウレタンブレンド樹脂)や油性のシリコーン変性樹脂等が好ましく、具体的には、多官能アクリル変性ジメチルシロキサンポリマー部位を含む、ポリウレタンオリゴマー、ポリエステル、ポリエーテル等が好ましく、またさらに粘性調整のため反応性モノマーをブレンドして使用してもよい。さらに予めシリコーン部位をウレタン成分と共重合したオリゴマー等の使用が挙げられる。吸水性樹脂粒子の露出をより良好にする観点で油性のシリコーン変性樹脂が好ましい。また中間転写体材料に高離型性の樹脂フィルムに合わせた塗工性、濡れ性、硬化時の剥離性を考慮し、油性のシリコーン系樹脂およびその変性誘導体樹脂材料が好ましい。
また、硬化性溶液12Aは、紫外線硬化反応を進行させるための紫外線重合開始剤を含んでいることが望ましい。さらに硬化性溶液12Aは、必要に応じて、重合反応をより進行させるための、反応助剤、重合促進剤等、粒子分散沈降性を抑制するための界面活性剤や相溶化剤、沈降防止剤、熱可塑性樹脂材料等を含んでいてもよい。
【0100】
ここで、紫外線硬化性のモノマーとしては、例えば、アルコール/多価アルコール/アミノアルコール類のアクリル酸エステル、アルコール/多価アルコール類のメタクリル酸エステル、アクリル脂肪族アミド、アクリル脂環アミド、アクリル芳香族アミド類等のラジカル硬化性材料;エポキシモノマー、オキセタンモノマー、ビニルエーテルモノマー等のカチオン硬化性材料;などが挙げられる。上記紫外線硬化性のマクロマー、紫外線硬化性のオリゴマー、紫外線硬化性のプレポリマーとしては、これらモノマーを所定の重合度で重合させたものの他、エポキシ、ウレタン、ポリエステル、ポリエーテル骨格に、アクリロイル基やメタクリロイル基の付加した、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ウレタンメタクリレート、ポリエステルメタクリレート等のラジカル硬化性材料が挙げられる。
【0101】
硬化反応がラジカル反応により進行するタイプである場合、紫外線重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、チオキサントン系、ベンジルジメチルケタール、α−ヒドロキシケトン、α−ヒドロキシアルキルフェノン、α−アミノケトン、α−アミノアルキルフェノン、モノアシルフォスフィンオキサイド、ビスアシルフォスフィンオキサイド、ヒドロキシベンゾフェノン、アミノベンゾフェノン、チタノセン型、オキシムエステル型、オキシフェニル酢酸エステル型などが挙げられる。
また硬化反応がカチオン反応により進行するタイプである場合、紫外線重合開始剤としては、例えば、アリールスルホニウム塩、アリールジアゾニウム塩、ジアリールヨードニウム塩、トリアリールスルホニウム塩、アレン−イオン錯体誘導体、トリアジン系開始剤等が挙げられる。
【0102】
電子線硬化性材料を硬化することにより得られる「電子線硬化性樹脂」としては、例えば、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、シリコーン樹脂などが挙げられる。そして、その硬化性溶液12Aは、電子線硬化性のモノマー、電子線硬化性のマクロマー、電子線硬化性のオリゴマー、および電子線硬化性のプレポリマーの少なくとも1種を含んでいる。
【0103】
ここで、電子線硬化性のモノマー、電子線硬化性のマクロマー、電子線硬化性のオリゴマー、電子線硬化性のプレポリマーとしては、紫外線硬化性の材料と同様のものが挙げられる。
【0104】
熱硬化性材料を硬化することにより得られる「熱硬化性樹脂」としては、例えば、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、アルキド樹脂などが挙げられる。そして、その硬化性溶液12Aは、熱硬化性のモノマー、熱硬化性のマクロマー、熱硬化性のオリゴマー、および熱硬化性のプレポリマーの少なくとも1種を含んでいる。また重合の際に硬化剤を添加してもよい。また、硬化性溶液12Aは、熱硬化反応を進行させるための熱重合開始剤を含んでもよい。
【0105】
ここで、熱硬化性のモノマーとしては、例えば、フェノール、ホルムアルデヒド、ビスフェノールA、エピクロルヒドリン、シアヌリル酸アミド、尿素、グリセリン等のポリアルコール、無水フタル酸、無水マレイン酸、アジピン酸等の酸などが挙げられる。熱硬化性のマクロマー、熱硬化性のオリゴマー、熱硬化性のプレポリマーとしては、これらのモノマーを所定の重合度で重合させたものや、エポキシプレポリマー、ポリエステルプレポリマーなどが挙げられる。
【0106】
熱重合開始剤としては、例えば、プロトン酸/ルイス酸等の酸、アルカリ触媒、金属触媒などが挙げられる。
【0107】
以上のように、硬化性材料は、紫外線、電子線、熱等の外部エネルギーにより硬化(例えば、重合反応が進行することによる硬化)するものであれば何でもよい。
上記硬化性材料の中でも、画像記録・転写の高速化という観点を考慮すると、硬化速度が速く且つ低収縮性でインク反応阻害の少ない材料(例えば、重合の反応速度が速い材料)が望ましい。このような硬化性材料としては、例えば、放射線硬化型の硬化性材料(上記紫外線硬化性材料、電子線硬化性材料等)が挙げられる。
【0108】
硬化性材料は、中間転写体等との濡れ性を考慮して、Siやフッ素等による変性がされていてもよい。また硬化性材料は、硬化速度と硬化度を考慮すると、多官能アクリル部位を含む変性のプレポリマーを含有するのが望ましい。
【0109】
また、高精細な画像を形成するという観点から、硬化性材料は、硬化反応による収縮が小さいことが望ましい。さらに硬化反応による収縮を抑制するという観点から、硬化性材料は、柔軟性が高すぎない方が望ましい。硬化性材料の粘度としては、5mPa・s以上であることが望ましい。
また中間転写体上での印字膜の画像保持安定性を考慮した場合、予備硬化によって画像面の劣化防止をするか、あるいはこれ以外の熱可塑性樹脂成分やプレポリマーを複合して粘性を数100から数1000mPa・sおよび30000mPa.sまであげて塗布するように調製してもよい。
【0110】
次に、吸水性樹脂粒子について説明する。
【0111】
吸水性樹脂粒子としては、水性溶媒を吸収するものであれば何でもよい。
ここで「水性溶媒を吸収する」とは、吸液量が100ml/100g以上であることを意味する。また「吸液量」とは、吸液材料100gにより吸収される液体の量(ml)を意味し、以下のようにして測定する。
具体的には、水層に吸水性樹脂粒子を静置したのち、サンプル全体に水が浸透するまで待ち、吸水サンプルを直ちに引き上げ、メッシュ上に5分間放置したのち、重量を測定し、吸水性樹脂粒子との差分を吸液量とした。また、JIS K5101−13−1に準じた方法でも良い。
水性溶媒に対する吸水性樹脂粒子の吸液量は、具体的には、例えば、200ml/100g以上であることがさらに望ましい。
【0112】
吸水性樹脂粒子の体積平均粒子径(体積平均1次粒子径)は、0.5μm以上5.0μm以下の範囲であることが必須であり、また数平均粒子径が0.5μm以上5.0μm以下の範囲であることが好ましく、体積平均粒子径(D50v)と数平均粒子径(D50p)の比がD50v/D50p=1.5以下であることがさらに望ましい。
【0113】
また、吸水性樹脂粒子の粒径範囲は、0.5μm以上5.0μm以下の範囲であることが望ましく、0.5μm以上3.0μm以下であることがさらに望ましい。
【0114】
また、吸水性樹脂粒子の粒度分布に関しては、画質解像度の向上が見られることから、粗粉部分の影響は画像劣化、ディフェクト、表面性・光沢の低下、インク吸液時の表面粒子の膨潤均一性の低下、粗粉による画像割れ、転写効率の低下、樹脂分散時の凝集塊の形成、塗布液の粒子沈降性の悪化、塗布コーターでのノズル詰まり、ギャップの変化による変肉、膜厚均一性の不安定化、硬化時の部分硬化不良など多くの欠陥、画像への影響、装置上の問題を生じやすく、できるだけ粒度分布を抑えることが重要である。
【0115】
尚、上記体積平均粒子径および数平均粒子径は、以下の方法により測定されるものであり、本明細書に記載の数値は該方法により測定した値である。
測定装置としてはコールターカウンターTA−II型(ベックマン−コールター社製)を用い、電解液はISOTON−II(ベックマン−コールター社製)を使用して、粒子径を測定した。
【0116】
測定法としては、分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムの5%水溶液2ml中に、測定試料を0.5〜50mg加え、これを前記電解液100〜150ml中に添加した。この測定試料を懸濁させた電解液を超音波分散器で約1分間分散処理を行い、前記コールターカウンターTA−II型により、アパーチャー径が100μmのアパーチャーを用いて、粒子径が2.0μm以上60μm以下の範囲の粒子の粒度分布を測定した。測定する粒子数は50,000であった。
【0117】
測定された粒度分布を、分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、体積、数それぞれについて小径側から累積分布を描き、体積で累積16%となる粒子径を体積平均粒子径D16v、数で累積16%となる粒子径をD16pと定義する。同様に、体積で累積50%となる粒子径を体積平均粒子径D50v、数で累積50%となる粒子径を数平均粒子径D50pと定義する。また、同様に、体積で累積84%となる粒子径を体積平均粒子径D84v、数で累積84%となる粒子径をD84pと定義する。
【0118】
一方、測定する粒子直径が2μm未満の場合、レーザー回析式粒度分布測定装置(LA−700:堀場製作所製)を用いて測定した。測定法としては分散液となっている状態の試料を固形分で約2gになるように調整し、これにイオン交換水を添加して、約40mlにする。これをセルに適当な濃度になるまで投入し、約2分待って、セル内の濃度がほぼ安定になったところで測定する。得られたチャンネルごとの体積平均粒子径を、体積平均粒子径の小さい方から累積し、累積50%になったところを体積平均粒子径とした。
【0119】
吸水性樹脂粒子の具体例としては、例えば、ポリアクリル酸及びその塩、ポリメタクリル酸及びその塩、(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸及びその塩から構成される共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸及びその塩から構成される共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸及びその塩から構成される共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル−カルボン酸及びその塩構造を有する脂肪族または芳香族置換基を有するアルコールと(メタ)アクリル酸とから生成するエステルから構成される共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−カルボン酸およびその塩構造を有する脂肪族または芳香族置換基を有するアルコールと(メタ)アクリル酸とから生成するエステルから構成される共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、ブタジエン−(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸およびその塩から構成される共重合体、ブタジエン−(メタ)アクリル酸エステル−カルボン酸およびその塩構造を有する脂肪族または芳香族置換基を有するアルコールと(メタ)アクリル酸とから生成するエステルから構成される共重合体、ポリマレイン酸およびその塩、スチレン−マレイン酸及びその塩から構成される共重合体等、前記それぞれの樹脂のスルホン酸変性体、それぞれの樹脂のリン酸変性体等、等が挙げられる。望ましくは、ポリアクリル酸およびその塩、スチレン−(メタ)アクリル酸およびその塩から構成される共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸およびその塩から構成される共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル−カルボン酸およびその塩構造を有する脂肪族または芳香族置換基を有するアルコールと(メタ)アクリル酸とから生成するエステルから構成される共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸およびその塩から構成される共重合体、が挙げられる。これら樹脂は、未架橋でも架橋されていてもよい。
【0120】
これらの吸水性樹脂粒子は懸濁重合、エマルション重合、溶液重合などにより作製され、そのままの形状での使用や、ボールミルやサンドミル、凍結粉砕などによる粉砕工程、溶剤による再沈降等の処理を施してもよい。
【0121】
上記吸水性樹脂粒子の、硬化性溶液12A全体における含有量は、5質量%以上50質量%以下の範囲であることが必須であり、10質量%以上50質量%以下の範囲であることがより望ましく、さらに20質量%以上50質量%以下の範囲であることが特に望ましい。
【0122】
また硬化性溶液12Aには、硬化性材料および吸水性樹脂粒子の他に、インクの成分を被硬化層12B上や内部で固定化するようなその他の成分(以下、「その他の固定化成分」と称する場合がある)をさらに含んでいてもよい。
本実施形態においては、吸水性樹脂粒子やその他の固定化成分を予め硬化性溶液12Aに混合しているが、例えば、吸水性樹脂粒子やその他の固定化成分を含む溶液を別途調整し、当該溶液を吐出する手段等により被硬化層12Bに吐出することにより、被硬化層12Bに吸水性樹脂粒子やその他の固定化成分を含ませても良い。吸水性樹脂粒子やその他の固定化成分を含む溶液を被硬化層12Bに吐出する工程は、インクジェット記録ヘッド14によりインク滴14Aを被硬化層12Bに吐出する前に行うことが望ましい。
【0123】
その他の固定化成分としては、例えば、インクの成分(例えば色材)を吸着する成分、インクの成分(例えば色材)を凝集または増粘させる成分等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0124】
インクの成分(例えば色材)を吸着する成分としては、シリカ、アルミナ、ゼオライトなどが挙げられる。当該成分の比率としては0乃至30質量%程度の範囲が挙げられる。
【0125】
インクの成分(例えば色材)を凝集または増粘させる成分としては、無機電解質、有機酸、無機酸、有機アミンなどの凝集剤が挙げられる。
【0126】
無機電解質としては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン等のアルカリ金属イオンおよび、アルミニウムイオン、バリウムイオン、カルシウムイオン、銅イオン、鉄イオン、マグネシウムイオン、マンガンイオン、ニッケルイオン、スズイオン、チタンイオン、亜鉛イオン等の多価金属イオンと、塩酸、臭酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、チオシアン酸、および、酢酸、蓚酸、乳酸、フマル酸、クエン酸、サリチル酸、安息香酸等の有機カルボン酸および、有機スルホン酸の塩等が挙げられる。
【0127】
具体例としては、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、硫酸ナトリウム、硝酸カリウム、酢酸ナトリウム、蓚酸カリウム、クエン酸ナトリウム、安息香酸カリウム等のアルカリ金属類の塩、および、塩化アルミニウム、臭化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、硫酸ナトリウムアルミニウム、硫酸カリウムアルミニウム、酢酸アルミニウム、塩化バリウム、臭化バリウム、ヨウ化バリウム、酸化バリウム、硝酸バリウム、チオシアン酸バリウム、塩化カルシウム、臭化カルシウム、ヨウ化カルシウム、亜硝酸カルシウム、硝酸カルシウム、リン酸二水素カルシウム、チオシアン酸カルシウム、安息香酸カルシウム、酢酸カルシウム、サリチル酸カルシウム、酒石酸カルシウム、乳酸カルシウム、フマル酸カルシウム、クエン酸カルシウム、塩化銅、臭化銅、硫酸銅、硝酸銅、酢酸銅、塩化鉄、臭化鉄、ヨウ化鉄、硫酸鉄、硝酸鉄、蓚酸鉄、乳酸鉄、フマル酸鉄、クエン酸鉄、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、硫酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、乳酸マグネシウム、塩化マンガン、硫酸マンガン、硝酸マンガン、リン酸二水素マンガン、酢酸マンガン、サリチル酸マンガン、安息香酸マンガン、乳酸マンガン、塩化ニッケル、臭化ニッケル、硫酸ニッケル、硝酸ニッケル、酢酸ニッケル、硫酸スズ、塩化チタン、塩化亜鉛、臭化亜鉛、硫酸亜鉛、硝酸亜鉛、チオシアン酸亜鉛、酢酸亜鉛等の多価金属類の塩等が挙げられる。
【0128】
有機酸としては、具体的にはアルギニン酸、クエン酸、グリシン、グルタミン酸、コハク酸、酒石酸、システイン、シュウ酸、フマル酸、フタル酸、マレイン酸、マロン酸、リシン、リンゴ酸、および、一般式(1)で表される化合物、これら化合物の誘導体などが挙げられる。
【0129】
【化1】



【0130】
ここで、式中、Xは、O、CO、NH、NR、S、またはSOを表す。Rはアルキル基を表し、Rとして望ましくは、CH、C、COHである。Xとして望ましくは、CO、NH、NR、Oであり、より望ましくは、CO、NH、Oである。
Rはアルキル基を表し、Rとして望ましくは、CH、C、COHである。なお、Rは式中に含んでいてもよいし、含んでいなくても構わない。
Mは、水素原子、アルカリ金属またはアミン類を表す。Mとして望ましくは、H、Li、Na、K、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等であり、より望ましくは、H、Na、Kであり、更に望ましくは、水素原子である。nは、3乃至7の整数である。nとして望ましくは、複素環が6員環または5員環となる場合であり、より望ましくは、5員環の場合である。mは、1または2である。一般式(1)で表される化合物は、複素環であれば、飽和環であっても不飽和環であってもよい。lは、1乃至5の整数である。
【0131】
一般式(1)で表される化合物としては、具体的には、フラン、ピロール、ピロリン、ピロリドン、ピロン、ピロール、チオフェン、インドール、ピリジン、キノリン構造を有し、更に官能基としてカルボキシル基を有する化合物が挙げられる。具体的には、2−ピロリドン−5−カルボン酸、4−メチル−4−ペンタノリド−3−カルボン酸、フランカルボン酸、2−ベンゾフランカルボン酸、5−メチル−2−フランカルボン酸、2,5−ジメチル−3−フランカルボン酸、2,5−フランジカルボン酸、4−ブタノリド−3−カルボン酸、3−ヒドロキシ−4−ピロン−2,6−ジカルボン酸、2−ピロン−6−カルボン酸、4−ピロン−2−カルボン酸、5−ヒドロキシ−4−ピロン−5−カルボン酸、4−ピロン−2,6−ジカルボン酸、3−ヒドロキシ−4−ピロン−2,6−ジカルボン酸、チオフェンカルボン酸、2−ピロールカルボン酸、2,3−ジメチルピロール−4−カルボン酸、2,4,5−トリメチルピロール−3−プロピオン酸、3−ヒドロキシ−2−インドールカルボン酸、2,5−ジオキソ−4−メチル−3−ピロリン−3−プロピオン酸、2−ピロリジンカルボン酸、4−ヒドロキシプロリン、1−メチルピロリジン−2−カルボン酸、5−カルボキシ−1−メチルピロリジン−2−酢酸、2−ピリジンカルボン酸、3−ピリジンカルボン酸、4−ピリジンカルボン酸、ピリジンジカルボン酸、ピリジントリカルボン酸、ピリジンペンタカルボン酸、1,2,5,6−テトラヒドロ−1−メチルニコチン酸、2−キノリンカルボン酸、4−キノリンカルボン酸、2−フェニル−4−キノリンカルボン酸、4−ヒドロキシ−2−キノリンカルボン酸、6−メトキシ−4−キノリンカルボン酸等の化合物が挙げられる。
【0132】
有機酸としては、望ましくは、クエン酸、グリシン、グルタミン酸、コハク酸、酒石酸、フタル酸、ピロリドンカルボン酸、ピロンカルボン酸、ピロールカルボン酸、フランカルボン酸、ピリジンカルボン酸、クマリン酸、チオフェンカルボン酸、ニコチン酸、若しくはこれらの化合物の誘導体、またはこれらの塩である。より望ましくは、ピロリドンカルボン酸、ピロンカルボン酸、ピロールカルボン酸、フランカルボン酸、ピリジンカルボン酸、クマリン酸、チオフェンカルボン酸、ニコチン酸、若しくはこれらの化合物の誘導体、またはこれらの塩である。さらに望ましくは、ピロリドンカルボン酸、ピロンカルボン酸、フランカルボン酸、クマリン酸、若しくは、これらの化合物誘導体、または、これらの塩である。
【0133】
有機アミン化合物としては、1級、2級、3級および4級アミンおよびそれらの塩のいずれであっても構わない。具体例としては、テトラアルキルアンモニウム、アルキルアミン、ベンザルコニウム、アルキルピリジウム、イミダゾリウム、ポリアミン、および、それらの誘導体、または、塩等が挙げられる。具体的には、アミルアミン、ブチルアミン、プロパノールアミン、プロピルアミン、エタノールアミン、エチルエタノールアミン、2−エチルヘキシルアミン、エチルメチルアミン、エチルベンジルアミン、エチレンジアミン、オクチルアミン、オレイルアミン、シクロオクチルアミン、シクロブチルアミン、シクロプロピルアミン、シクロヘキシルアミン、ジイソプロパノールアミン、ジエタノールアミン、ジエチルアミン、ジ2−エチルヘキシルアミン、ジエチレントリアミン、ジフェニルアミン、ジブチルアミン、ジプロピルアミン、ジヘキシルアミン、ジペンチルアミン、3−(ジメチルアミノ)プロピルアミン、ジメチルエチルアミン、ジメチルエチレンジアミン、ジメチルオクチルアミン、1,3−ジメチルブチルアミン、ジメチル−1,3−プロパンジアミン、ジメチルヘキシルアミン、アミノ−ブタノール、アミノ−プロパノール、アミノ−プロパンジオール、N−アセチルアミノエタノール、2−(2−アミノエチルアミノ)−エタノール、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−(2−アミノエトキシ)エタノール、2−(3,4−ジメトキシフェニル)エチルアミン、セチルアミン、トリイソプロパノールアミン、トリイソペンチルアミン、トリエタノールアミン、トリオクチルアミン、トリチルアミン、ビス(2−アミノエチル)1,3−プロパンジアミン、ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン、ビス(3−アミノプロピル)1,3−プロパンジアミン、ビス(3−アミノプロピル)メチルアミン、ビス(2−エチルヘキシル)アミン、ビス(トリメチルシリル)アミン、ブチルアミン、ブチルイソプロピルアミン、プロパンジアミン、プロピルジアミン、ヘキシルアミン、ペンチルアミン、2−メチル−シクロヘキシルアミン、メチル−プロピルアミン、メチルベンジルアミン、モノエタノールアミン、ラウリルアミン、ノニルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルプロピルアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレシジアミン、テトラエチレンペンタミン、ジエチルエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムブロマイド、ジヒドロキシエチルステアリルアミン、2−ヘプタデセニル−ヒドロキシエチルイミダゾリン、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、セチルピリジニウムク口ライド、ステアラミドメチルビリジウムクロライド、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合体、ジアリルアミン重合体、モノアリルアミン重合体等が挙げられる。
【0134】
より望ましくは、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール、エタノールアミン、プロパンジアミン、プロピルアミンなどが使用される。
【0135】
これら凝集剤の中でも、多価金属塩(Ca(NO)、Mg(NO)、Al(OH)、ポリ塩化アルミニウム等が好適に用いられる。
【0136】
凝集剤は単独で使用しても、あるいは2種類以上を混合して使用しても構わない。また、凝集剤の含有量としては、0.01質量%以上30質量%以下の範囲が挙げられる。
【0137】
また、硬化性溶液12Aには、上記硬化反応に寄与する主成分(モノマー、マクロマー、オリゴマー、およびプレポリマー、重合開始剤等)を溶解または分散するための水や有機溶媒を含んでいてもよい。但し、当該主成分および吸水性樹脂粒子の比率が例えば30質量%以上、望ましくは60質量%以上、より望ましくは90質量%以上の範囲が挙げられる。一方、画像形成能はあがるが、樹脂分が少なくなるため記録媒体への付着性の低下、硬化塗膜の折り曲げ・接着性等の機械的特性の低下、耐候性・記録画像の保持寿命の低下、転写残の影響で記録装置の繰り返し転写性の低下等を抑制する観点からは、100質量%以下配合することが好ましい。
【0138】
また、硬化性溶液12Aは、硬化後の層を着色制御する目的で、各種色材を含んでいてもよい。
【0139】
また、硬化性溶液12Aは、粘度を調整する等の目的から、熱可塑性樹脂を含有することが好ましい。該熱可塑性樹脂としては、例えば、各種アクリル樹脂、メタクリル−スチレン樹脂、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエーテル、およびこれらのプレポリマー類等が挙げられ、これらの中でも、メタクリル樹脂、アクリルアミド類、ポリウレタン、アクリル−スチレンコポリマー類、液状アクリルモノマー類等が特に望ましい。
【0140】
尚、被硬化層にインクが吐出されたのち吸水性樹脂粒子を被硬化層の表面に良好に露出させるとの観点から、硬化性材料12Aの粘度としては5mPa・s以上5000mPa・s以下であることが望ましく、50mPa・s以上3000mPa・s以下であることがより望ましい。また、硬化性溶液12Aの粘度は、インクの粘度よりも高いことがよい。
上記粘度は、以下の方法により測定される値であり、本明細書に記載の粘度は下記方法により測定された値である。粘度計としてはTV−22(東機産業製)を用いて、ずり速度=2.25から750(1/s)、15℃での粘度(mPa・s)を計測したものである。
【0141】
ただし、インク相溶性のない樹脂層単独では画像形成保持は不可能である。
【0142】
また、硬化性材料を含む硬化性溶液12Aは、常温(25℃)において低揮発性または不揮発性であることがよい。ここで、低揮発性とは大気圧下において沸点が200℃以上であることを意味する。また、不揮発性とは大気圧下において沸点が300℃以上であることを意味する。以下、同様である。
【0143】
以下、上記実施形態に適用されるインクについて説明する。
【0144】
インクとしては、溶媒として水性溶媒を含む水性インクが使用される。また、インクとしては、紫外線硬化型インクも使用される。
【0145】
水性インクとしては、例えば、記録材として水溶性染料または顔料を水性溶媒に分散または溶解したインクが挙げられる。
【0146】
まず、記録材について説明する。記録材としては、主に色材が挙げられる。色材としては、染料、顔料のいずれも用いることができるが、顔料であることがよい。顔料としては有機顔料、無機顔料のいずれも使用でき、黒色顔料ではファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック顔料等が挙げられる。黒色とシアン、マゼンタ、イエローの3原色顔料のほか、赤、緑、青、茶、白等の特定色顔料や、金、銀色等の金属光沢顔料、無色または淡色の体質顔料、プラスチックピグメント等を使用してもよい。また、本発明のために、新規に合成した顔料でも構わない。
【0147】
また、シリカ、アルミナ、または、ポリマービード等をコアとして、その表面に染料または顔料を固着させた粒子、染料の不溶レーキ化物、着色エマルション、着色ラテックス等を顔料として使用することも可能である。
【0148】
黒色顔料の具体例としては、Raven7000,Raven5750,Raven5250,Raven5000 ULTRAII,Raven 3500,Raven2000,Raven1500,Raven1250,Raven1200,Raven1190 ULTRAII,Raven1170,Raven1255,Raven1080,Raven1060(以上コロンビアン・カーボン社製)、Regal400R,Regal330R,Regal660R,Mogul L,Black Pearls L,Monarch 700,Monarch 800,Monarch 880,Monarch 900,Monarch 1000,Monarch 1100,Monarch 1300,Monarch 1400(以上キャボット社製)、Color Black FW1,Color Black FW2,Color Black FW2V,Color Black 18,Color Black FW200,Color Black S150,Color Black S160,Color Black S170,Printex35,Printex U,Printex V,Printex140U,Printex140V,Special Black 6,Special Black 5,Special Black 4A,Special Black4(以上デグッサ社製)、No.25,No.33,No.40,No.47,No.52,No.900,No.2300,MCF−88,MA600,MA7,MA8,MA100(以上三菱化学社製)等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0149】
シアン色顔料の具体例としては、C.I.Pigment Blue−1,−2,−3,−15,−15:1,−15:2,−15:3,−15:4,−16,−22,−60等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0150】
マゼンタ色顔料の具体例としては、C.I.Pigment Red−5,−7,−12,−48,−48:1,−57,−112,−122,−123,−146,−168,−177,−184,−202, C.I.Pigment Violet −19等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0151】
黄色顔料の具体例としては、C.I.Pigment Yellow−1,−2,−3,−12,−13,−14,−16,−17,−73,−74,−75,−83,−93,−95,−97,−98,−114,−128,−129,−138,−151,−154,−180等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0152】
ここで、色材として顔料を使用した場合には、併せて顔料分散剤を用いることが望ましい。使用可能な顔料分散剤としては、高分子分散剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤等が挙げられる。
【0153】
高分子分散剤としては、親水性構造部と疎水性構造部とを有する重合体が好適に用いられる。親水性構造部と疎水性構造部とを有する重合体としては、縮合系重合体と付加重合体とが使用できる。縮合系重合体としては、公知のポリエステル系分散剤が挙げられる。付加重合体としては、α,β−エチレン性不飽和基を有する単量体の付加重合体が挙げられる。親水基を有するα,β−エチレン性不飽和基を有する単量体と疎水基を有するα,β−エチレン性不飽和基を有する単量体を組み合わせて共重合することにより目的の高分子分散剤が得られる。また、親水基を有するα,β−エチレン性不飽和基を有する単量体の単独重合体も用いることができる。
【0154】
親水基を有するα,β−エチレン性不飽和基を有する単量体としては、カルボキシル基、スルホン酸基、水酸基、りん酸基等を有する単量体、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、イタコン酸モノエステル、マレイン酸、マレイン酸モノエステル、フマル酸、フマル酸モノエステル、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、スルホン化ビニルナフタレン、ビニルアルコール、アクリルアミド、メタクリロキシエチルホスフェート、ビスメタクリロキシエチルホスフェート、メタクリロオキシエチルフェニルアシドホスフェート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート等が挙げられる。
【0155】
疎水基を有するα,β−エチレン性不飽和基を有する単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン誘導体、ビニルシクロヘキサン、ビニルナフタレン、ビニルナフタレン誘導体、アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸フェニルエステル、メタクリル酸シクロアルキルエステル、クロトン酸アルキルエステル、イタコン酸ジアルキルエステル、マレイン酸ジアルキルエステル等が挙げられる。
【0156】
高分子分散剤として用いられる、望ましい共重合体の例としては、スチレン−スチレンスルホン酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−メタクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、アクリル酸アルキルエステル−アクリル酸共重合体、メタクリル酸アルキルエステル−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸アルキルエステル−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸アルキルエステル−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸フェニルエステル−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸シクロヘキシルエステル−メタクリル酸共重合体等が挙げられる。また、これらの重合体に、ポリオキシエチレン基、水酸基を有する単量体を共重合させてもよい。
【0157】
上記高分子分散剤としては、例えば重量平均分子量で2000以上50000以下のものが挙げられる。
【0158】
これら顔料分散剤は、単独で用いても、二種類以上を併用しても構わない。顔料分散剤の添加量は、顔料により大きく異なるため一概には言えないが、一般に顔料に対し、合計で0.1質量%以上100質量%以下が挙げられる。
【0159】
色材として水に自己分散可能な顔料を用いることもできる。水に自己分散可能な顔料とは、顔料表面に水に対する可溶化基を数多く有し、高分子分散剤が存在しなくとも水中で分散する顔料のことを指す。具体的には、通常のいわゆる顔料に対して酸・塩基処理、カップリング剤処理、ポリマーグラフト処理、プラズマ処理、酸化/還元処理等の表面改質処理等を施すことにより、水に自己分散可能な顔料が得られる。
【0160】
また、水に自己分散可能な顔料としては、上記顔料に対して表面改質処理を施した顔料の他、キャボット社製のCab−o−jet−200、Cab−o−jet−300、IJX−157、IJX−253、IJX−266、IJX−273、IJX−444、IJX−55、Cabot260、オリエント化学社製のMicrojet Black CW−1、CW−2等の市販の自己分散顔料等も使用できる。
【0161】
自己分散顔料としては、その表面に官能基として少なくともスルホン酸、スルホン酸塩、カルボン酸、またはカルボン酸塩を有する顔料であることが望ましい。より望ましくは、表面に官能基として少なくともカルボン酸、またはカルボン酸塩を有する顔料である。
【0162】
更に、樹脂により被覆された顔料等を使用することもできる。これは、マイクロカプセル顔料と呼ばれ、大日本インキ化学工業社製、東洋インキ社製などの市販のマイクロカプセル顔料だけでなく、本発明のために試作されたマイクロカプセル顔料等を使用することもできる。
【0163】
また、高分子物質を上記顔料に物理的に吸着または化学的に結合させた樹脂分散型顔料を用いることもできる。
【0164】
記録材としては、その他、親水性のアニオン染料、直接染料、カチオン染料、反応性染料、高分子染料等や油溶性染料等の染料類、染料で着色したワックス粉・樹脂粉類やエマルション類、蛍光染料や蛍光顔料、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、フェライトやマグネタイトに代表される強磁性体等の磁性体類、酸化チタン、酸化亜鉛に代表される半導体や光触媒類、その他有機、無機の電子材料粒子類などが挙げられる。
【0165】
記録材の含有量(濃度)は、例えばインクに対して5質量%以上30質量%以下の範囲が挙げられる。
【0166】
記録材の体積平均粒子径は、例えば10nm以上1000nm以下の範囲が挙げられる。
【0167】
記録材の体積平均粒子径とは、記録材そのものの粒子径、または記録材に分散剤等の添加物が付着している場合には、添加物が付着した粒子径をいう。体積平均粒子径の測定装置には、マイクロトラックUPA粒度分析計9340(Leeds&Northrup社製)を用いた。その測定は、インク4mlを測定セルに入れ、所定の測定法に従って行った。なお、測定時の入力値として、粘度にはインクの粘度を、分散粒子の密度は記録材の密度とした。
【0168】
次に水性溶媒について説明する。水性溶媒としては、水が挙げられ、特にイオン交換水、超純水、蒸留水、限外濾過水を使用することがよい。また、水性溶媒と共に、水溶性有機溶媒を用いてもよい。水溶性有機溶媒としては、多価アルコール類、多価アルコール類誘導体、含窒素溶媒、アルコール類、含硫黄溶媒等が使用される。
【0169】
水溶性有機溶媒の具体例としては、多価アルコール類では、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1、5−ペンタンジオール、1,2−へキサンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、キシリトールなどの糖アルコール類、キシロース、グルコース、ガラクトースなどの糖類等が挙げられる。
【0170】
多価アルコール類誘導体としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジグリセリンのエチレンオキサイド付加物等が挙げられる。
【0171】
含窒素溶媒としては、ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、トリエタノールアミン等が、アルコール類としてはエタノール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、ベンジルアルコール等のアルコール類が挙げられる。
含硫黄溶媒としては、チオジエタノール、チオジグリセロール、スルフォラン、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
【0172】
水溶性有機溶媒としては、その他、炭酸プロピレン、炭酸エチレン等を用いることもできる。
【0173】
水溶性有機溶媒は、少なくとも1種類以上使用してもよい。水溶性有機溶媒の含有量としては、例えば1質量%以上70質量%以下の範囲が挙げられる。
【0174】
次に、その他の添加剤について説明する。インクには、その他、必要に応じて、界面活性材を添加することができる。
【0175】
これら界面活性剤の種類としては、各種のアニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられ、望ましくは、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤が用いられる。
【0176】
以下、界面活性剤の具体例を列挙する。
アニオン性界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルフェニルスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、高級脂肪酸塩、高級脂肪酸エステルの硫酸エステル塩、高級脂肪酸エステルのスルホン酸塩、高級アルコールエーテルの硫酸エステル塩及びスルホン酸塩、高級アルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩等が使用でき、望ましくは、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、イソプロピルナフタレンスルホン酸塩、モノブチルフェニルフェノールモノスルホン酸塩、モノブチルビフェニルスルホン酸塩、モノブチルビフェニルスルホン酸塩、ジブチルフェニルフェノールジスルホン酸塩等が用いられる。
【0177】
ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、アルキルアルカノールアミド、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールブロックコポリマー、アセチレングリコール、アセチレングリコールのポリオキシエチレン付加物等が挙げられ、望ましくは、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸アルキロールアミド、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールブロックコポリマー、アセチレングリコール、アセチレングリコールのポリオキシエチレン付加物が用いられる。
【0178】
その他、ポリシロキサンオキシエチレン付加物等のシリコーン系界面活性剤や、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、オキシエチレンパーフルオロアルキルエーテル等のフッ素系界面活性剤、スピクリスポール酸やラムノリピド、リゾレシチン等のバイオサーファクタント等も使用できる。
【0179】
これらの界面活性剤は単独で使用しても混合して使用してもよい。また界面活性剤の親水性/疎水性バランス(HLB)は、溶解性等を考慮すると例えば3〜20の範囲が挙げられる。
【0180】
これらの界面活性剤の添加量は、例えば0.001〜5質量%、望ましくは0.01〜3質量%の範囲が挙げられる。
【0181】
また、インクには、その他、浸透性を調整する目的で浸透剤、インク吐出性改善等の特性制御を目的でポリエチレンイミン、ポリアミン類、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等や、導電率、pHを調整するために水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムなどのアルカリ金属類の化合物等、その他必要に応じ、pH緩衝剤、酸化防止剤、防カビ剤、粘度調整剤、導電剤、紫外線吸収剤、及びキレート化剤等も添加することができる。
【0182】
次に、インクの好適な特性について説明する。まず、インクの表面張力は、例えば20mN/m以上45mN/m以下の範囲が挙げられる。
ここで、表面張力としては、ウイルヘルミー型表面張力計(協和界面科学株式会社製)を用い、23℃、55%RHの環境において測定した値を採用した。
【0183】
インクの粘度は、1.5mPa・s以上30mPa・s以下、望ましくは1.5mPa・s以上20mPa・s以下の範囲が挙げられる。また、インクの粘度は、上記硬化性溶液の粘度に比べ低いことがよい。
ここで、粘度としては、レオマット115(Contraves製)を測定装置として用いて、測定温度は23℃、せん断速度は1400s−1の条件で測定した値を採用した。
【0184】
なお、インクは、上記構成に限定されるものではない。記録材以外に、例えば、液晶材料、電子材料など機能性材料を含むものであってもよい。
【0185】
以上、実施形態においては、ブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの各色のインクジェット記録ヘッド14から画像データに基づいて選択的にインク滴14Aが吐出されてフルカラーの画像が記録媒体Pに記録されるようになっているが、記録媒体上への文字や画像の記録に限定されるものではない。すなわち、工業的に用いられる液滴吐出(噴射)装置全般に対して、本発明に係る装置を適用することができる。
【実施例】
【0186】
以下、実施例を挙げてさらに具体的に説明する。ただし、これら各実施例に制限されるものではない。
【0187】
(実施例1)
上記第2実施形態と同様な構成の記録装置(図3参照)を用いて、溶液供給装置により硬化性溶液を中間転写ベルトに供給して被硬化層を形成し、その被硬化層上に記録ヘッドにより各インクを吐出して画像を形成した。そして、転写装置により記録媒体へ被硬化層を転写した後、刺激供給装置により刺激を供給し被硬化層を硬化させて、プリントし、評価を行った。条件は以下の通りである。
【0188】
・中間転写ベルト:厚さ0.1mm、ベルト幅350mm、外径Φ168mmのポリイミド製無端ベルトにフッ素系樹脂を被覆したもの(プロセス速度:400mm/s)
・溶液供給装置:グラビアロールコーター(被硬化層の層厚15μm)
・各記録ヘッド:ピエゾ方式の記録ヘッド(解像度解像度600dpi(dpi:1インチ当たりのドット数、以下同様である))
・転写装置(加圧ロール):径30mmの鋼製パイプにフッ素系樹脂を被覆したもの(中間転写ベルトに対する押し当て力:線圧3kgf/cm)
・刺激供給装置:160Wハロゲンランプ
・記録媒体:アート紙(OK金藤)、普通紙(FX−P紙、富士ゼロックス社製)の2種
【0189】
また、硬化性溶液、各色のインクは、以下のように作製したものを用いた。
【0190】
−硬化性溶液1−
・シリコーン変性アクリル(東芝シリコーン社製、HC1101/硬化性材料)
70質量部
・グリセリンプロポキシアクリレート(ダイセル社製/硬化性材料) 30質量部
上記材料を混合し、そこに架橋スルホン酸変性ポリアクリル酸ナトリウム(「日本触媒製、アクアリックcs7s)」をボールミル粉砕したもの/吸水性樹脂粒子)を、全体に対する含有量が40質量%となるように混合した。こうして、粘度が2600mPa・sの「硬化性溶液1」を得た。
尚、上記吸水性樹脂粒子(架橋スルホン酸変性ポリアクリル酸ナトリウム)について測定された体積平均粒子径(1次粒子径)は0.7μmであった。また参考として測定された2次粒子径(凝集した粒子の粒子径)は3.3μmであり、前述の方法により測定した粒度分布(D84v/D16v分岐点の傾き)は1.5であった。
【0191】
−ブラックインク−
・Bk顔料分散液(カーボンブラックにソルスパース13940(noveon社製:分散剤)を加え、アイソパーLに分散)(顔料濃度15質量%): 40質量部
・アイソパーL(エクソンモービル社製): 20質量部
・オレイン酸エチル 26質量部
上記組成にアイソパーG(エクソンモービル社製)およびオレイルアルコール5質量部を加えて、粘度調整し「ブラックインク1」とした。粘度は6.5mPa・sであった。
【0192】
−シアンインク1−
・Cyan顔料分散液(フタロシアニン顔料にソルスパース16000(noveon社製:分散剤)を加え、アイソパーMに分散)(顔料濃度10質量%): 50質量部
・アイソパーM(エクソンモービル社製): 20質量部
・大豆油: 20質量部
上記組成にアイソパーG(エクソンモービル社製)およびオレイルアルコール8質量部を加えて、粘度調整し「シアンインク1」とした。粘度は7.5mPa・sであった。
【0193】
−マゼンタインク1−
・Magenta顔料分散液(キナクリドン顔料にソルスパース34750(noveon社製:分散剤)を加え、アイソパーMに分散)(顔料濃度15質量%): 30質量部
・アイソゾール(新日本石油社製): 12質量部
・大豆油エチル: 15質量部
・オレイルアルコール: 30質量部
上記組成にアイソパーG(エクソンモービル社製)およびオレイルアルコール10質量部を加えて、粘度調整し「マゼンタインク1」とした。粘度は8.8mPa・sであった。
【0194】
−イエローインク1−
・Yellow顔料分散液(Pigment Yellow 74にDisperbyk−101(ビックケミー社製:分散剤)を加え、アイソパーGに分散)(顔料濃度18質
量%): 25質量部
・アイソパーM(エクソンモービル社製): 40質量部
・オレイン酸ブチル: 15質量部
上記組成にアイソパーG(エクソンモービル社製)およびオレイルアルコール5質量部を加えて、粘度調整し「イエローインク1」とした。粘度は6.7mPa・sであった。
【0195】
「硬化性溶液1」をエリクセンアプリケーター塗布により、塗布ギャップ7μmにて前記中間転写ベルト上に塗工し、膜厚12μmの「被硬化層」を形成した。その後、上記4種のインクをそれぞれ前記記録ヘッド(解像度600dpi)にて「被硬化層」上に印字した。その後、中間転写ベルトとアート紙(OK金藤トップコート紙)および普通紙(FX−P紙、富士ゼロックス社製)を密着させ「被硬化層」をアート紙上に、加重1kGでロール加圧転写し、160Wハロゲンランプで5秒間UV照射することにより硬化を行い、画像を形成した。
【0196】
(実施例2)
実施例1において、硬化性溶液1に用いたグリセリンプロポキシアクリレートを、PEG400ジアクリレート(ダイセル社製)に変更し、エリクセンアプリケーターの塗布ギャップを12μmに、被硬化層の膜厚を23μmに変更した以外、実施例1に記載の方法により画像を形成した。
【0197】
(実施例3)
実施例1において、硬化性溶液1に用いたシリコーン変性アクリルをTEGONET2200(デグサ製)に変更し、架橋スルホン酸変性ポリアクリル酸ナトリウムを架橋アクリルアミド変性ポリアクリル酸ナトリウムに変更すると共に、全体に対する含有量が35質量%となるよう変更し、実施例2と同様に塗布した場合の被硬化層の膜厚を18μmに変更した以外、実施例1に記載の方法により画像を形成した。用いた吸水性樹脂粒子(架橋アクリルアミド変性ポリアクリル酸ナトリウム)の体積平均粒子径(1次粒子径)、2次粒子径(凝集した粒子の粒子径)、粒度分布(D84v/D16v分岐点の傾き)は表1に記載する。
【0198】
(実施例4)
実施例1において、硬化性溶液1に用いたグリセンリンプロポキシアクリレートをウレタン変性アクリル樹脂(ダイセル製)M313に変更し、架橋スルホン酸変性ポリアクリル酸ナトリウムを架橋アクリルアミド変性ポリアクリル酸ナトリウムに変更すると共に、全体に対する含有量が30質量%となるよう変更し、実施例1と同様に塗布した場合の被硬化層の膜厚を24μmに変更した以外、実施例1に記載の方法により画像を形成した。用いた吸水性樹脂粒子(架橋アクリルアミド変性ポリアクリル酸ナトリウム)の体積平均粒子径(1次粒子径)、2次粒子径(凝集した粒子の粒子径)、粒度分布(D84v/D16v分岐点の傾き)は表1に記載する。
【0199】
(実施例5)
実施例1において、硬化性溶液1に用いた架橋スルホン酸変性ポリアクリル酸ナトリウムを架橋アンモニウム塩アクリル変性ポリアクリル酸ナトリウム(三共化学製)に変更すると共に、全体に対する含有量が12質量%となるよう変更し、実施例1と同様に塗布した場合の被硬化層の膜厚を15μmに変更した以外、実施例1に記載の方法により画像を形成した。用いた吸水性樹脂粒子(架橋アンモニウム塩アクリル変性ポリアクリル酸ナトリウム)の体積平均粒子径(1次粒子径)、2次粒子径(凝集した粒子の粒子径)、粒度分布(D84v/D16v分岐点の傾き)は表1に記載する。
【0200】
(実施例6)
実施例3において、硬化性溶液に用いた架橋アクリルアミド変性ポリアクリル酸ナトリウムをポリアクリル酸ナトリウム塩(三共化学製)に変更すると共に、全体に対する含有量が45質量%となるよう変更し、実施例1と同様に塗布した場合の被硬化層の膜厚を22μmに変更した以外、実施例3に記載の方法により画像を形成した。用いた吸水性樹脂粒子(ポリアクリル酸ナトリウム塩)の体積平均粒子径(1次粒子径)、2次粒子径(凝集した粒子の粒子径)、粒度分布(D84v/D16v分岐点の傾き)は表1に記載する。
【0201】
(比較例1)
実施例1において、硬化性溶液1に用いた吸水性樹脂粒子(架橋スルホン酸変性ポリアクリル酸ナトリウム)を、粒子径をより小径にして分級したものに変更した以外、実施例1に記載の方法により画像を形成した。用いた分級後の吸水性樹脂粒子(架橋スルホン酸変性ポリアクリル酸ナトリウム)の体積平均粒子径(1次粒子径)、2次粒子径(凝集した粒子の粒子径)、粒度分布(D84v/D16v分岐点の傾き)は表1に記載する。
【0202】
(比較例2)
実施例1において、硬化性溶液1に用いた吸水性樹脂粒子(架橋スルホン酸変性ポリアクリル酸ナトリウム)を、架橋アクリルアミド変性ポリアクリル酸ナトリウムであって粗粉状態で取り出し分級したものに変更した以外、実施例1に記載の方法により画像を形成した。用いた分級後の吸水性樹脂粒子(架橋アクリルアミド変性ポリアクリル酸ナトリウム)の体積平均粒子径(1次粒子径)、2次粒子径(凝集した粒子の粒子径)、粒度分布(D84v/D16v分岐点の傾き)は表1に記載する。
【0203】
(比較例3)
実施例5において、硬化性溶液に用いた吸水性樹脂粒子(架橋アンモニウム塩アクリル変性ポリアクリル酸ナトリウム)の全体に対する含有量が3質量%となるよう変更した以外、実施例5に記載の方法により画像を形成した。
【0204】
(比較例4)
実施例6において、硬化性溶液に用いた吸水性樹脂粒子(ポリアクリル酸ナトリウム塩)の全体に対する含有量が100質量%となるよう変更した以外、実施例6に記載の方法により画像を形成した。
【0205】
【表1】

【0206】
[評価]
−表面光沢G75°の測定−
デジタル精密グロスメーター(村上色彩技研製)で入射角75°で表面を計測し、形成された画像(硬化後)の表面光沢G75°(単位:グロス)を測定した。
【0207】
−表面粗さRzおよびRmaxの測定−
前述の方法により、形成された画像(硬化後)の表面粗さRzおよびRmaxを測定した。
【0208】
−接触角の測定−
接触角計CA−X(協和界面科学製)を用い、塗膜表面の水の接触角を測定した。
【0209】
−転写効率−
以下の方法により、被硬化層の記録媒体への転写効率(%)を測定した。
中間転写ベルト上での硬化性溶液の塗布膜をUV硬化後、予め質量を計測した100μm膜厚のA4用紙上に転写し、その際の塗膜硬化後の質量変化から転写効率を求めた。
【0210】
−印字ムラの評価−
以下の基準により、形成された画像の印字ムラの発生度合いを目視により評価した。
○:高光沢であり、印字ムラ・画像ボケ・転写ムラ等の欠陥がない
△:印字ムラ・画像ぼけが少し発生しているが、転写ムラはない
×:印字ムラ・画像ボケ・にじみ等の塗膜欠陥が多く、転写ムラが目立つ
【0211】
【表2】

【図面の簡単な説明】
【0212】
【図1】(A)はインクが吐出される前の被硬化層中の吸水性樹脂粒子の状態を示す概略断面図であり、(B)はインクが吐出された後の被硬化層中の吸水性樹脂粒子の状態を示す概略断面図である。
【図2】第1実施形態に係る記録装置を示す構成図である。
【図3】第2実施形態に係る記録装置を示す構成図である。
【図4】第3実施形態に係る記録装置を示す構成図である。
【図5】第4実施形態に係る記録装置を示す構成図である。
【符号の説明】
【0213】
2 吸水性樹脂粒子
4 被硬化層
6 中間転写体或いは記録媒体
10 中間転写ドラム
12 溶液供給装置
12A 硬化性溶液
12B 被硬化層
12C 筐体
12D 供給ローラ
12E ブレード
13 搬送ベルト
13A 支持ロール
14 インクジェット記録ヘッド
16 転写装置
16A 加圧ロール
16B 加圧ロール
18 刺激供給装置
20 クリーニング装置
22 中間転写ベルト
22A 支持ロール
24 第2の刺激供給装置
101 記録装置
102 記録装置
103 記録装置
104 記録装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部からの刺激により硬化する硬化性材料と、吸水性樹脂粒子と、を含有し、
前記吸水性樹脂粒子の体積平均粒子径が0.5μm以上5.0μm以下であり、
前記吸水性樹脂粒子の含有量が5質量%以上50質量%以下である画像記録用組成物。
【請求項2】
前記吸水性樹脂粒子が吸水架橋性樹脂であること特徴とする請求項1に記載の画像記録用組成物。
【請求項3】
前記吸水性樹脂粒子の数平均粒子径が0.5μm以上5.0μm以下であり、体積平均粒子径/数平均粒子径の値が1.5以下である請求項1または請求項2に記載の画像記録用組成物。
【請求項4】
前記吸水性樹脂粒子の含有量が20質量%以上50質量%以下である請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の画像記録用組成物。
【請求項5】
熱可塑性樹脂を含有する請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の画像記録用組成物。
【請求項6】
請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の画像記録用組成物と、水性溶媒を含む水性インクと、を含む画像記録用インクセット。
【請求項7】
中間転写体と、
請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の画像記録用組成物を前記中間転写体上に供給する供給手段と、
前記中間転写体上に供給された前記画像記録用組成物により形成された被硬化層に、水性溶媒を含む水性インクを吐出する吐出手段と、
前記水性インクが吐出された前記被硬化層を前記中間転写体から記録媒体に転写する転写手段と、
前記被硬化層を硬化させる刺激を供給する刺激供給手段と、
を有する記録装置。
【請求項8】
請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の画像記録用組成物を記録媒体上に供給する供給手段と、
前記記録媒体上に供給された前記画像記録用組成物により形成された被硬化層に、水性溶媒を含む水性インクを吐出する吐出手段と、
前記被硬化層を硬化させる刺激を供給する刺激供給手段と、
を有する記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−712(P2010−712A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−162071(P2008−162071)
【出願日】平成20年6月20日(2008.6.20)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】