説明

画像記録装置、及び画像記録装置の制御方法

【課題】本発明は、画像記録装置内にスタッカのような特別な機構を設けることなく画像記録を継続することが可能な画像記録装置、及び画像記録装置の制御方法の提供を課題とする。
【解決手段】収納量検出部9dの出力は、収納トレイ9a内の記録媒体13の量が一定値以上となったらONとなる。これを受けて、記録媒体搬送制御部12は、給送部2が搬送機構3に給送する給送間隔を間隔の短いTNから長いTWに変更する。オペレータが収納トレイ9a内の記録媒体13を取り除くと、収納量検出部9dの出力はOFFとなり,これを受けて記録媒体搬送制御部12は、給送間隔を間隔の短いTNに戻す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像記録装置及びその制御方法に関し、特に画像記録装置が画像記録を行う記録媒体の給送、及び排送の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、複写機、ファクシミリ等の画像記録装置では、記録媒体に画像記録処理を行った後にその記録媒体を排出して収納トレイに積載してゆく。
このとき、収納トレイの収納量を超えて記録媒体が連続排出されると、記録媒体が収納トレイに収まりきらずに散乱する等の不具合が生じる。これに対処するため、一般的な画像記録装置では、収納トレイ上の記録媒体の積載量が所定量に達するとこれを検知センサ等により検知し、そして収納トレイ上の記録媒体が取り除かれるまで画像記録処理を停止する等の制御が行われている。
【0003】
また特許文献1では、装置内にスタッカを設け、排紙トレイが満杯になった場合には、排紙された用紙を排出トレイから機内スタッカへ一時的に排紙することにより、排紙トレイ上の用紙を取り除くための時間を稼ぐことができ、排紙トレイが満杯になることによる画像記録処理の停止を防ぐ技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−159418号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら特許文献1の装置では、装置内に専用のスタッカを設けることが前提とされている。そのため記録媒体の搬送経路が複雑になり、また装置の規模が大型かつ高価なものとなってしまう。
【0006】
そこで本発明は、画像記録装置内にスタッカのような特別な機構を設けることなく画像記録を継続することが可能な画像記録装置、及び画像記録装置の制御方法の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本画像記録装置は、上位装置からのジョブ情報に基づいて搬送機構にて搬送される記録媒体に画像記録を行う画像記録装置において、前記搬送機構に記録媒体を給送する給送部と、前記記録媒体を収納する収納トレイと、前記搬送機構から前記画像記録が行われた記録媒体を前記収納トレイに排出する排出部と、前記収納トレイに収納された記録媒体の量が一定値以上となるか否かを検出する収納量検出部と、前記収納量検出部が前記記録媒体の一定値以上の量を検出すると、前記給送部が記録媒体を給送する給送間隔を変更する記録媒体搬送制御部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
本画像記録装置の制御方法は、上位装置からのジョブ情報に基づいて搬送機構を搬送される記録媒体に画像記録を行う画像記録装置の制御方法において、前記画像記録を行った記録媒体を収納する収納トレイ内の記録媒体の量が一定値以上となるかどうかを検出し、前記収納トレイ内の記録媒体の量が一定値以上となったとき、前記搬送機構に前記記録媒体を給送する給送間隔を第1の給送間隔から当該第1の給送間隔より長い第2の給送間隔にする、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、特別な機構を設けることを必要とせず、また、収納トレイが満杯近くになっても画像記録処理を停止するとなく、オペレータが容易に収納トレイから記録媒体を取り除くことが出来、記録処理時間の増大を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明における第1及び第2の実施形態の画像記録装置が備える概念的な構成を示すブロック図である。
【図2】本発明における第1及び第2の実施形態の画像記録装置全体のうちの給送部、搬送機構、画像記録部及び排出部についての概念的な構成を示す図である。
【図3】本発明における第1及び第2の実施形態の画像記録装置の記録媒体搬送制御部の動作について説明するタイミングチャートである。
【図4】本発明における第2の実施形態の画像記録装置1の動作処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
以下の説明では、本実施形態の画像記録装置をインクジェット方式のフルライン型の画像記録装置として構成した場合を例として挙げている。
【0012】
この画像記録装置では、記録媒体が搬送される搬送方向(副走査方向)に対して直交する方向(主走査方向)に、インク吐出のための複数のノズルを形成した記録ヘッドが、副走査方向に離間して、インク色毎に配設されている。このような画像記録装置(カラープリンタ)では、記録処理を行う記録媒体を記録ヘッドにおける複数のインクノズルに対向配置させ、インクノズルから各色のインクを記録媒体へ吐出することで、文字や画像を記録している。
【0013】
なお、本実施形態の画像記録装置は、インクジェット方式の画像記録装置に限定されるものではなく、記録媒体を搬送して画像記録を行う方式の画像記録装置であれば、レーザプリンタ等他の記録方式の画像記録装置であっても良い。
【0014】
まず、本実施形態の画像記録装置の構成について説明する。
図1は、第1及び第2の実施形態の画像記録装置1が備える概念的な構成を示すブロック図である。また図2は、第1及び第2の実施形態の画像記録装置1全体のうちの給送部2、搬送機構3、画像記録部6及び排出部9についての概念的な構成を示す図である。
【0015】
以下の説明においては、記録媒体の搬送方向を副走査方向とし、この搬送方向と直交する方向を主走査方向と定義する。
本実施形態の画像記録装置1は、装置全体を制御する制御部10、記録媒体13を給送して搬送する給送部2、給送部2から受け渡された記録媒体を搬送する搬送機構3、記録媒体に画像を記録する画像記録部6、及び画像記録された記録媒体を排出格納する排出部9を少なくとも備えている。
【0016】
前述した画像記録装置1の各構成部について更に詳細に説明する。
制御部10は、画像記録装置1全体の制御機能及び演算機能を司るMPU(Micro Processing Unit)等による演算処理装置と、画像記録装置1の制御処理をMPUに行わせるための制御プログラムや記録データを記憶する例えば不揮発性メモリによる記憶部11を備える構成となっている。そして記憶部11には、本実施形態に係る用紙搬送を制御する記録媒体搬送制御部12のプログラムが制御プログラムの一部として記憶されている。記憶部11はまた、記録媒体搬送制御で必要な情報、例えば後述する給送可能な記録媒体の枚数等の情報を記憶する。制御部10は、給送部2、搬送機構3、画像記録部6、排出部9を制御信号によってそれぞれ制御する。
【0017】
なお、記録媒体搬送制御部12は、前述したようなソフトウエア的手法によって実現するのではなく、制御部10のMPUによって制御される信号処理回路をロジック回路で組むことによりハードウエア的手法によって実現してもよい。
【0018】
給送部2は、記録媒体13を収容する給送トレイ2a、及び給送トレイ2aに収容された最上面の記録媒体13に当接して1枚ずつ給送トレイ2aから取り出し、搬送機構3側に受け渡す給送駆動部2bによって構成される。給送トレイ2aは、いわゆる給送カセット等で構成される。また給送駆動部2bは、例えば給送ローラで構成される。
【0019】
給送媒体検出部2cは、例えば光学式の透過センサ、光学式の反射型センサ、あるいは静電容量型センサ等で構成され、記録媒体13の搬送方向の先端を検出する。
搬送機構3は、図2に示すように搬送面が複数の記録ヘッド8のインク吐出口に対向して設けられる。搬送機構3のフレーム内には、副走査方向に離間して駆動ローラ14、従動ローラ15、及び駆動ローラ14を回転させる搬送駆動部4が配置され、これらのローラに無端の搬送ベルト16が回転可能に架設される。また、搬送機構3のフレーム内には、搬送情報生成部5、不図示の少なくとも1つの吸引ファンが設けられている。
【0020】
搬送情報生成部5は、搬送ベルト16の移動状態を検出し、搬送タイミング等の搬送情報を生成するもので、例えばエンコーダ等によって構成される。不図示の吸引ファンは、負圧を発生させて搬送ベルト16上に記録媒体13を吸着させて搬送するためのものである。
【0021】
画像記録部6は、インクを吐出する複数のノズルが直線的に且つ設計に基づく最大記録媒体幅を越える長さに配列され、記録ヘッド駆動部7からの駆動信号によりノズルが個々に吐出制御可能な記録ヘッド8、及び上位装置20から受け取った記録データに対応した制御部10からの制御信号に基づいて、記録ヘッド8の各ノズルを個々に駆動する駆動信号を記録ヘッド8に出力する記録ヘッド駆動部7を備えている。
【0022】
排出部9は、搬送機構3により搬送され、画像記部6によって画像記録が行われた記憶媒体13を排出する排出駆動部9b、排出された記録媒体13の端部を検出する排出媒体検出部9c、排出された記録媒体13の積載量を検出する収納量検出部9d、及び排出された記録媒体13を収容する収納トレイ9aにより構成される。
【0023】
収納トレイ9aは、いわゆる排出トレイ等で構成される。排出駆動部9bは、例えば排出ローラで構成される。排出媒体検出部9cは、例えば光学式の透過センサ、光学式の反射型センサ、又は静電容量型センサ等で構成され、記録媒体13の搬送方向の後端を検出する。勿論必要であれば、排出媒体検出部9cは、記録媒体13の先端を検出する構成としてもよい。
【0024】
収納量検出部9dは、例えば光学式の透過センサ、光学式の反射型センサ、又は静電容量型センサ等で構成され、収納トレイ9aに収納された記録媒体13が収納トレイ9aの収納限界に近づいたか否かを検出する。
【0025】
上位装置20は、本実施形態の画像記録装置1の外部機器として、例えばLAN等を介して画像記録装置1に接続される。この上位装置20は、本実施形態の画像記録装置1に記録処理を行わせるオペレータのコンピュータに相当し、画像記録装置1に対して記録処理に関する情報としてジョブ情報を通知する。このジョブ情報には、記録媒体13に対し記録処理を行う際に用いられる記録データ、及び記録処理を行う際の記録媒体13の枚数の指定情報が含まれている。
【0026】
制御部10は、上位装置20からジョブ情報が通知されると、搬送機構3の駆動ローラ14を回転させることで、搬送ベルト16の駆動を始める。さらに制御部10は、記録媒体13が搬送機構3の搬送ベルト16上に吸着されるように図示しない吸着ファンを駆動する。制御部10は、給送部2の給送駆動部2bを駆動させることにより、給送トレイ2aから記録媒体13を1枚ずつ繰り出し、搬送機構3側へ受け渡す。
【0027】
記録媒体13の先端部が、給送部2の下流側にある給送媒体検出部2cに到達すると、記録媒体13の検出信号が給送媒体検出部2cから制御部10に送信され、制御部10は、この信号を元に記録処理タイミングを生成して記録制御する。
【0028】
ところで、搬送情報生成部5で生成されるエンコーダパルス信号は、記録ヘッド8により画像記録される際の同期信号としても用いられる。制御部10は、ノズルからインクを吐出開始するタイミングをこのエンコーダパルス信号のパルス数として記憶している。そして制御部10は、その記憶しているパルス数と、搬送情報生成部5から生成されたエンコーダパルスのカウント値が一致した際に、搬送ベルト16上に吸着されて搬送された記録媒体13に向かってノズルからインクを吐出して記録処理する。そして記録処理された後の記録媒体13は、搬送機構3の下流側に設けられた排出部9に受け渡される。
【0029】
排出部9では記録媒体13は、排出駆動部9bによって挟持され、下流側に搬送される。そして記録媒体13の後端部は、排出媒体検出部9cによりエッジ検出され、その後、収納トレイ9aに収納される。
【0030】
次に、第1の実施形態の画像記録装置1について説明する。
図3は第1の実施形態及び後述する第2の実施形態の画像記録装置1の記録媒体搬送制御部12の動作について説明するタイミングチャートである。
【0031】
なお以下の説明では、画像記録装置1が上位装置20から受信したジョブ情報が12枚の記録媒体13に対する画像記録を指示するものであったものとして説明する。
図3に示すタイミングチャートでは、給送駆動部2bの駆動タイミング、排出駆動部9bの駆動タイミング、及び収納量検出部9dの検出状態を示している。
【0032】
図3の給送駆動部2bの駆動タイミングは、給送駆動部2bが給送トレイ2aに収容された記録媒体13を搬送機構3側に受け渡すタイミングを示しており、1回の駆動(1つのパルス)で1枚の記録媒体13の受け渡しを表している。また図3の排出駆動部9bの駆動タイミングは、排出駆動部9bが、画像記録が行われ搬送機構3から搬送された記録媒体13を収納トレイ9aに排出するタイミングを示しており、1回の駆動(1つのパルス)で1枚の記録媒体13の排出を表している。また収納量検出部9dは、収納トレイ9a内に排出された予め定められた一定値を超えたか否かを出力し、図3はその出力値を示している。図3において、収納量検出部9dの出力がOFFのときは収納トレイ9a内の記録媒体の量が上記一定値以下であり、出力がONのときは記録媒体13の量が上記一定値を超えていることを示している。なお上記一定値としては、記録媒体13の量が収納トレイ9aの収納限界より若干余裕を持たせた値を事前に設定しておく。
【0033】
第1の実施形態では、記録媒体搬送制御部12が、一定時間における給送量を収納量検出部9dの出力に基づいて変更する。収納量検出部9dの出力がONになったとき、すなわち収納トレイ9a内の記録媒体13の量が上記一定値を超えた場合には、一定時間における給送量を少なくする。そしてその状態から、収納トレイ9a内の記録媒体13がオペレータによって取り除かれ、収納量検出部9dの出力がONからOFFに変化すると、少なくした給送量を元に戻す。
【0034】
図3では、記録媒体搬送制御部12は、上位装置20からジョブ情報を受信した時刻T0のタイミングで、搬送ベルト16が所定の搬送速度となるように搬送駆動部4の駆動を開始する。そして搬送ベルト16の搬送速度が規定の速度に到達したT1のタイミングで、記録媒体搬送制御部12は給送トレイ2aから記録媒体13の給送を開始する。このとき記録媒体搬送制御部12は、供給駆動部2bに規定の時間間隔TNで、記録媒体13を供給するよう指示する。
【0035】
そして画像記録部6では、給送媒体検出部2cから出力される媒体検出信号をトリガとして画像記録を開始し、搬送情報生成部5から出力されるエンコーダパルスに同期して搬送された記録媒体13に画像記録を行う。
【0036】
以降制御部10は、搬送される記録媒体13の間隔が所定の時間間隔TNとなるように、記録媒体13の給送と画像記録を繰り返す。
T1のタイミングで給送された記録媒体13は、搬送機構3を搬送されて、T2のタイミングで排出駆動部9bにより収納トレイ9aへ排出される。以降、記録媒体13の給送間隔と同じ時間間隔TNで、記録媒体13が収納トレイ9aに排出される。
【0037】
制御部10が、収納量検出部9dの状態がOFFからONに変化したことをT3のタイミングで検出すると、本来はT4のタイミングで給送駆動部2bを駆動すべきところ、このタイミングで給送駆動部2bを駆動せず、最後に給送した記録媒体13との間隔が所定の時間間隔TWとなるように(ただし、TN<TW)、T5のタイミングで給送駆動部2bを駆動して、記録媒体13を給送する。またこのとき報知部17に備えられた表示部や音声通知によって、オペレータに収納トレイ9aが収納限界に近いことを通知する。以降、制御部10は、収納量検出部9dの出力値がOFFに変化するまで、記録媒体13の搬送間隔を間隔TWとなるように、記録媒体13の給送を繰り返す。
【0038】
T5のタイミングで給送された記録媒体13は、搬送機構3を搬送されて、T7のタイミングで排出駆動部9bにより、収納トレイ9aへ排出される。以降、記録媒体13の給送間隔と同じ時間間隔TWで、記録媒体13が収納トレイ9aに排出される。
【0039】
このように、制御部10により、給送駆動部2bの駆動間隔を広げると、それに従って、排出駆動部9bにより記録媒体13が収納トレイ9aに排出される時間間隔が広がる。この広がった期間にオペレータが収納トレイ9aに収納された記録媒体13を容易に取り除くことができる。
【0040】
オペレータにより収納トレイ9aに収納された記録媒体13が取り除かれると、収納量検出部9dの出力値がONからOFFに変化する。制御部10は、T8のタイミングで収納量検出部9dの出力値がOFFに変化したことを検出すると、次以降に給送する記録媒体13の時間間隔をTNに戻し、T9のタイミングで給送駆動部2bを駆動して、記録媒体13を給送する。以降、制御部10は、記録媒体13の給送間隔が所定の時間間隔TNとなるように、記録媒体13の給送を繰り返す。
【0041】
T9のタイミングで給送された記録媒体13は、搬送機構3によって搬送されて画像記録部6によって画像記録が行われ、T10のタイミングで排出駆動部9bによって収納トレイ9aへ排出される。以降、記録媒体13の給送間隔と同じ時間間隔TNで、記録媒体13が収納トレイ9aに排出される。
【0042】
本例では、上位装置20からのジョブ情報によって指定された記録処理枚数が12枚であるので、制御部10は、給送トレイ2aから記録媒体13を12枚給送したら、それ以降は給送駆動部2bを駆動しない。更に、制御部10は、記録媒体13を収納トレイ9aに12枚排出したら、それ以降は排出駆動部9bを駆動せず、記録処理動作を終了する。
【0043】
なお所定の時間間隔TN、TWの値は、画像記録装置1に備わっている、設定入力部18の操作設定部をオペレータが操作することにより変更することが出来る。
ここで収納量検出部9dの出力値がONに変化してから収納トレイ9aが満載状態になるまでに、収納トレイ9aに排出可能な記録媒体13の枚数を排出許容枚数Meとする。すなわち収納量検出部9dの出力値がONになってから収納トレイ9aに収納できる記録媒体13の枚数はMe枚となる。収納量検出部9dの出力値がOFFからONに変化してから排出される記録媒体13の排出枚数が排出許容枚数Meと一致した場合、これ以降に排出される記録媒体13は収納トレイ9aに正しく収納されない。従って制御部10は、収納量検出部9dの状態がOFFからONに変化して、給送間隔を時間間隔TWにした後には、記録媒体13の排出枚数が排出許容枚数Meを超えないようにモニタする。そして収納量検出部9dの出力値がONに変化してからの記録媒体13の排紙枚数と既に給送済みであるが未だ排出されていない記録媒体枚数との総数が、排出許容枚数Meに達すると、制御部10は給送トレイ2aから記録媒体13を給送するのを停止する。そして給送済みの記録媒体13が全て収納トレイ9aに収納されたら、制御部10は、記録処理動作を終了し、収納トレイ9aが満載状態になったことを、報知部17に備えられた操作パネルに表示したり音声等でオペレータに報知する。
【0044】
以上説明したように、第1の実施形態の画像記録装置1では、記録処理中に収納トレイ9aが記録媒体の収納限界に近づいたことを検出したら、記録媒体の給送間隔を広げることにより、収納トレイ9aへの排出間隔も広がるため、画像記録処理動作を停止させることなくオペレータが収納トレイに収納されている記録媒体を容易に除去することができる。またこれを実施するために装置内にスタッカ等の特別な機構を設ける必要がない。
【0045】
また、オペレータが収納トレイ9a内の記録媒体13を除去し、収納トレイ9aの状態が収納限界でなくなったことを検出すると、記録媒体の給送間隔を狭めて元の間隔に戻すため、画像記録装置の稼働率の低下を防止することができる。
【0046】
次に第2実施形態の画像記録装置1の動作について第1の実施形態の場合と同じく図3を用いて説明する。
第1の実施形態の画像記録装置1では、収納量検出部9dの状態変化に応じて、給送駆動部2bの駆動間隔を変更させていた。それに対して、第2の実施形態の画像記録装置1では、残りの給送枚数と排出許容枚数Meとの大小関係をも考慮して、給送駆動部2bの駆動間隔を変更させる。
【0047】
以下の説明では上位装置20から受信したジョブ情報が指示する記録処理枚数が8枚であり、排出許容枚数Meが10枚である場合を想定する。
制御部10は、上位装置20からジョブ情報を受信した時刻T0のタイミングで、搬送ベルト16が所定の搬送速度となるように搬送駆動部4の駆動を開始する。そして搬送ベルト16の搬送速度が規定の速度に到達したT1のタイミングで、制御部10は給送トレイ2aから記録媒体13の給送を開始する。
【0048】
次に制御部10は、規定の時間間隔TNで記録媒体13を給送し、第1の実施形態の場合と同様に画像記録処理を行う。以降、制御部10は、給送した記録媒体13の間隔が所定の時間間隔TNとなるように、記録媒体13の給送と画像記録処理を繰り返す。
【0049】
T1のタイミングで給送された記録媒体13は、搬送機構3によって搬送されて画像記録部6によって画像記録処理が行われた後に、T2のタイミングで排出駆動部9bによって収納トレイ9aへ排出される。以降、記録媒体13の給送間隔と同じ時間間隔TNで、記録媒体13が収納トレイ9aに排出される。
【0050】
収納トレイ9a内に記録媒体13が溜まってゆき、一定量以上となると、収納量検出部9dの出力値がOFFからONに変化し、これをT3のタイミングで制御部10が検出する。これを受けて検出部10は、まだ給送していない記録媒体13の給送枚数と既に給送済みであるがまだ排出されていない記録媒体13の枚数の和と排出許容枚数Meを比較する。
【0051】
その結果、未給送枚数と未排出枚数の和が排出許容枚数Meを超えていなければ、このジョブ情報による画像記録処理が完了して、全て画像記録処理を終えた記録媒体13を排出しても収納トレイ9aから記録媒体13があふれることは無い。よって制御部10の記録媒体搬送制御部12は、タイミングT4以降も記録媒体13の給送間隔を変更せず所定の間隔TNのままで画像記録処理を行う。そして上位装置20から受信したジョブ情報で指定された記録処理枚数が8枚であるので、記録媒体搬送制御部12は、給送トレイ2aから記録媒体13を8枚給送したら、それ以降は給送駆動部2bを駆動しない。更に、制御部10は、記録媒体13を収納トレイ9aに8枚排出したら、それ以降は排出駆動部9bを駆動せず、記録処理動作を終了する。
【0052】
一方未給送枚数と未排出枚数の和が排出許容枚数Meを超えていれば、このまま最後まで画像記録処理を行って、処理済みの記録媒体13を排出すると、やがて収納トレイ9aから記録媒体13があふれてしまう。よって制御部10の記録媒体搬送制御部12は、タイミングT4以降、記録媒体13の給送間隔を所定の間隔TWにして大きくすると共にオペレータに報知を行う。この報知を受けてオペレータが、収納トレイ9aから記録媒体13を取り除くと、収納量検出部9dの出力値がONからOFFに変化する。これを検出すると記録媒体搬送制御部12は、給送部2に対して記録媒体13の給送間隔を元に戻す。
【0053】
以上のように第2の実施形態では、収納量検出部9dの出力がONになったとき、第1の実施形態の場合のように直ちに記録媒体13の給送量を変更するのではなく、収納トレイ9a内に全ての処理後の記録媒体13が収納できるかどうか判断し、収納できると判断した場合には、給送量は変更しない。
【0054】
これにより、第2の実施形態では、記録処理中に排出トレイが記録媒体の収納限界に近づいたことを検出しても、残り排出枚数が排出限界以内であれば、給送間隔を変更しないため、第1の実施形態より無用な記録処理時間の増大を回避することができる。
【0055】
図4は本実施形態の画像記録装置1の動作処理を示すフローチャートである。
同図の処理は、制御部10が記憶部11内の制御プログラムを実行することにより実現する。
【0056】
以下に図4を用いて、第1及び第2の実施形態における動作処理を説明する。
図4において処理が開始されると、まずステップS1として、上位装置20から画像記録を指示するジョブ情報を受信したかどうかを判定し、受信待ち状態となる(ステップS1、NO)。
【0057】
ステップS1において、上位装置20からジョブ情報を受信したと判定したら(ステップS1、YES)、ステップS2として画像記録部6を画像記録処理が可能な状態にする等の画像記録装置の準備を行い、また給送間隔を長い給送間隔TWにしたことを示すフラグをOFFにする。
【0058】
次に制御部10は、ステップS3として、排出部9の収納量検出部9dの出力値がONであるかどうか判定する。そして収納量検出部9dの出力値がOFFで、収納トレイ9aの空きにまだ余裕があるのならば(ステップS3、NO)、制御部10は、給送間隔を長い給送間隔TWにしたこと示すフラグをOFFにし(ステップS8)、給送部2による記録媒体13の給送間隔を短い給送間隔TNとする(ステップS9)。そして制御部10は、ステップS15として、給送駆動部2bを駆動して給送間隔TNで記録媒体13を給送し、ステップS16として画像記録部6を制御してこの記録媒体13に対して画像記録処理を行う。そして制御部10は、ステップS17として画像記録を行った記録媒体13を収納トレイ9aに排出する。
【0059】
このステップS3、S8、S9、S15乃至S17の処理を、収納量検出部9dの出力がONとなる(ステップS3、YES)か、ジョブ情報が指定する枚数の記録媒体13に対する画像記録処理が終了(ステップS18、YES)するまで繰り返す(ステップS18、NO)。
【0060】
上記画像記録処理で収納トレイ9a内の記録媒体13の量が増えてゆき、収納トレイ9aが収納限界に近づくと、収納量検出部9dの出力がONとなる。これを制御部10が検出すると(ステップS3、YES)、次に制御部10は、ステップS4として給送間隔を長い給送間隔TWにしたこと示すフラグがONかどうかを判断する。その結果フラグがOFFならば(ステップS4、NO)、制御部10は、ステップS10として、まだ給送していない記録媒体13の給送枚数と既に給送済みであるがまだ排出されていない記録媒体13の枚数の和を、排出許容枚数Meと比較する。その結果、未給送枚数と未排出枚数の和が排出許容枚数Meを超えていれば(ステップS10、NO)、制御部10は、収納トレイ9aの記録媒体を取り除く必要がある旨、報知部17に備えられた操作パネルに表示したり音声等でオペレータに報知し(ステップS11)、給送間隔を長い給送間隔TWにしたこと示すフラグをONにし(ステップS12)、給送部2による記録媒体13の給送間隔を長い給送間隔TWとする(ステップS13)。そして次に制御部10は、ステップS14として記録媒体13の給送可能枚数を算出後、処理をステップS15に移す。
【0061】
またステップS10において、未給送枚数と未排出枚数の和が排出許容枚数Meを超えていなければ(ステップS10、YES)、ステップS11乃至ステップS14の処理をスキップして処理をステップS15に移し、記録媒体13の給送間隔を変更しない。
【0062】
ステップS15では、制御部10は給送駆動部2bを制御して、ステップS13で設定した長い給送間隔TW若しくはステップS13をスキップした場合は短い給送間隔TNで、記録媒体13を給送する。そしてステップS16で制御部10は、画像記録部6によって記録媒体13に画像記録処理を行い、その記録媒体13を排出する(ステップS17)。そしてこの時点でジョブ情報が指示する枚数の画像記録処理を終了していなければ(ステップS18、NO)、ステップS3に処理を戻し、ジョブ情報が指示する枚数の画像記録処理を終了していれば(ステップS18、YES)、本処理を終了する。
【0063】
このステップS10の判定処理は、第2の実施形態の場合のみ行われるものであり、第1の実施形態ではこのステップS10判定処理は行わない。
またステップS4において、給送間隔を長い給送間隔TWにしたこと示すフラグがONを示していたならば(ステップS4、YES)、次に制御部10はステップS5として、ステップS12で給送間隔を長い給送間隔TWにしたこと示すフラグをONにしてから給送した枚数がステップS14で算出した給送可能枚数以下かどうかを判定する。その結果フラグをONにしてから給送した枚数が給送可能枚数以下であれば(ステップS5、YES)、ステップS15に処理を移し、給送した枚数が給送可能枚数を超えていれば(ステップS5、NO)、これ以上記録媒体13を給送すると収納トレイ9aがあふれてしまうので、制御部10は、ステップS6として画像記録処理を中止し、ステップS7としてオペレータにエラーを報知後、本処理を終了する。
【0064】
制御部10が、ステップS5でフラグをONにしてから給送した枚数が給送可能枚数以下であると判定した場合(ステップS5、YES)、制御部10は、ステップS15として給送駆動部2bを制御して、ステップS13で設定した長い給送間隔TWで、記録媒体13を給送する。そしてステップS16で制御部10は、画像記録部6によって記録媒体13に画像記録処理を行い、その記録媒体13を排出する(ステップS17)。そしてこの時点でジョブ情報が指示する枚数の画像記録処理を終了していなければ(ステップS18、NO)、ステップS3に処理を戻し、ジョブ情報が指示する枚数の画像記録処理を終了していれば(ステップS18、YES)、本処理を終了する。
【0065】
以上の説明のように、本実施形態の画像記録装置1では、特別な機構を設けることなく、収納量検出部9dによって収納トレイ9aが収納限界に近づいたことを検出すると、給送間隔を変更することにより、オペレータが収納トレイ9aから記録媒体13を取り除くことが出来る。またその際に、画像記録処理1が画像記録処理を止めることはない。したがって記録処理時間の増大を回避することができる。
【0066】
また収納トレイ9aが収納限界に近づいたことが検出されると、排出許容枚数Meと残りの未給送枚数及び未排出枚数を比較して、これを考慮して記録媒体13の給送間隔を変更する構成とすることも出来る。この場合、未給送枚数及び未排出枚数が少ない場合には記録媒体13の給送間隔を長くしないので、更に記録処理時間の増大を回避することができる。
【0067】
なお本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、本発明は、前述した実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明をなすことができる。例えば、本発明は実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良いし、更には各実施形態の異なる構成要素を適宜組み合わせても良い。
【符号の説明】
【0068】
1 画像記録装置
2 給送部
3 搬送機構
4 搬送駆動部
5 搬送情報生成部
6 画像記録部
7 記録ヘッド駆動部
8 記録ヘッド
9 排出部
10 制御部
11 記憶部
12 記録媒体搬送制御部
13 記録媒体
14 駆動ローラ
15 従動ローラ
16 搬送ベルト
17 報知部
18 設定入力部
20 上位装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
上位装置からのジョブ情報に基づいて搬送機構にて搬送される記録媒体に画像記録を行う画像記録装置において、
前記搬送機構に記録媒体を給送する給送部と、
前記記録媒体を収納する収納トレイと、
前記搬送機構から前記画像記録が行われた記録媒体を前記収納トレイに排出する排出部と、
前記収納トレイに収納された記録媒体の量が一定値以上となるか否かを検出する収納量検出部と、
前記収納量検出部が前記記録媒体の一定値以上の量を検出すると、前記給送部が記録媒体を給送する給送間隔を変更する記録媒体搬送制御部と、
を備えることを特徴とする画像記録装置。
【請求項2】
演算処理部、及び制御プログラムを予め記憶している記憶部を少なくとも備える制御部をさらに備え、
前記制御部は、前記演算処理部に前記制御プログラムを実行させることにより、前記記録媒体搬送制御部として機能する、ことを特徴とする請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項3】
前記収納量検出部が前記記録媒体の一定値以上の量を検出すると、前記記録媒体搬送制御部は、予め設定された第1の給送間隔から、当該第1の給送間隔より長い第2の給送間隔に変更することを特徴とする請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項4】
前記記録媒体搬送制御部は、前記収納量検出部が前記記録媒体の一定値以上の量を検出した後に、前記記録媒体の一定値未満の量を検出すると、前記給送間隔を前記第2の給送間隔から前記第1の給送間隔に戻すことを特徴とする請求項3に記載の画像記録装置。
【請求項5】
前記記録媒体搬送制御部が、前記給送間隔を前記第1の給送間隔から前記第2の給送間隔にするよう制御したとき、オペレータに報知を行う報知部を更に備えることを特徴とする請求項3に記載の画像記録装置。
【請求項6】
前記記録媒体搬送制御部は、前記収納トレイに格納されている記録媒体の量が排出許容枚数を超えていれば、前記給送部を停止すると共に、前記報知部は前記報知を行うことを特徴とする請求項5に記載の画像記録装置。
【請求項7】
オペレータの入力に基づいて前記第1の給送間隔及び第2の給送間隔の大きさを設定する設定入力部を更に備えることを特徴とする請求項3に記載の画像記録装置。
【請求項8】
前記記録媒体搬送制御部は、前記収納量検出部が前記記録媒体の一定値以上の量を検出したとき、前記ジョブ情報が指示する枚数の内の前記給送部がまだ給送していない記録媒体の給送枚数と既に給送済みであるがまだ前記収納トレイに排出されていない記録媒体の枚数の和が、前記収納量検出部の出力が前記記録媒体の一定値以上の量を検出してから前記収納トレイが満載状態になるまでに、当該収納トレイに排出可能な記録媒体の枚数である排出許容枚数を超えていなければ、前記給送間隔を前記第1の給送間隔のままとすることを特徴とする請求項3に記載の画像記録装置。
【請求項9】
上位装置からのジョブ情報に基づいて搬送機構を搬送される記録媒体に画像記録を行う画像記録装置の制御方法において、
前記画像記録を行った記録媒体を収納する収納トレイ内の記録媒体の量が一定値以上となるかどうかを検出し、
前記収納トレイ内の記録媒体の量が一定値以上となったとき、前記搬送機構に前記記録媒体を給送する給送間隔を第1の給送間隔から当該第1の給送間隔より長い第2の給送間隔にする、
ことを特徴とする画像記録装置の制御方法。
【請求項10】
前記収納トレイ内の記録媒体の量が一定値以上となった後に、前記前記収納トレイ内の記録媒体の量が一定値以上でなくなったとき、前記給送間隔を前記第2の給送間隔から前記第1の給送間隔に戻すことを特徴とする請求項9に記載の画像記録装置の制御方法。
【請求項11】
前記収納トレイ内の前記記録媒体の量が一定値以上となったとき、
前記ジョブ情報が指示する枚数の内の前記搬送機構にまだ給送していない前記記録媒体の給送枚数と既に給送済みであるがまだ前記収納トレイに排出されていない前記記録媒体の枚数の和が、前記収納トレイ内の前記記録媒体の量が一定値以上となってから前記収納トレイが満載状態になるまでに、当該収納トレイに排出可能な前記記録媒体の枚数である前記排出許容枚数を超えていなければ、前記給送間隔を前記第1の給送間隔のままとすることを特徴とする請求項9に記載の画像記録装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−56680(P2011−56680A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−205832(P2009−205832)
【出願日】平成21年9月7日(2009.9.7)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】