説明

画像記録装置、画像記録方法

【課題】記録媒体での温度分布を抑えて、記録媒体でのしわの発生を抑制し、高品質の画像を得ることを可能とする。
【解決手段】記録媒体を搬送する搬送部と、その外周面に記録媒体を巻き掛けて、搬送部により搬送される記録媒体との間の摩擦力を受けて回転するドラムと、記録媒体のドラムに巻き掛けられた部分に光硬化性のインクを吐出して画像を記録する吐出部と、吐出部に対して記録媒体の搬送経路の下流側で、記録媒体のドラムに巻き掛けられた部分に光を照射して、記録媒体上のインクを硬化させる光照射部と、ドラムを冷却する冷却部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、記録媒体に吐出された光硬化性のインクを光照射によって硬化させて画像を記録する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、搬送方向に沿って搬送される記録媒体を搬送ドラムで支持しつつ、搬送ドラムの外周面に対向して配置されたヘッドから記録媒体にインクを吐出して、画像を記録するプリンターが記載されている。特にこのプリンターでは、紫外線の照射により硬化するインク(UVインク)が用いられており、記録媒体に吐出されたインクは、紫外線の照射を受けて硬化することで、記録媒体に定着する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−016313号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述のUVインクのように光を照射することで硬化する光硬化性インクは、硬化反応に伴って発熱するとともに、光を吸収することによっても発熱する。したがって、記録媒体上において、インクの付着部分の温度はそれ以外の部分の温度よりも高くなる。そして、このような温度分布が顕著になると、高温部分と低温部分の間で記録媒体の収縮の差が大きくなって、記録媒体にしわが発生する場合があった。このような場合、画像の光沢度にむらが生じて、グロスやマットといった質感が変化したり、色調が変化したりする等して、画像の品質が低下するおそれがあった。
【0005】
この発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、記録媒体での温度分布を抑えて、記録媒体でのしわの発生を抑制し、高品質の画像を得ることを可能とする画像記録技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明にかかる画像記録装置は、上記目的を達成するために、記録媒体を搬送する搬送部と、その外周面に記録媒体を巻き掛けて、搬送部により搬送される記録媒体との間の摩擦力を受けて回転するドラムと、記録媒体のドラムに巻き掛けられた部分に光硬化性のインクを吐出して画像を記録する吐出部と、吐出部に対して記録媒体の搬送経路の下流側で、記録媒体のドラムに巻き掛けられた部分に光を照射して、記録媒体上のインクを硬化させる光照射部と、ドラムを冷却する冷却部とを備えたことを特徴としている。
【0007】
この発明にかかる画像記録方法は、上記目的を達成するために、記録媒体を搬送しつつ、記録媒体に光硬化性のインクを吐出して画像を記録した後に、記録媒体に光を照射して記録媒体上のインクを硬化させる画像記録方法において、記録媒体との間の摩擦力を受けて回転するドラムの外周面で、記録媒体のインクの吐出を受ける部分および光の照射を受ける部分を巻き掛けて支持しつつ、ドラムを冷却することを特徴としている。
【0008】
このように構成された発明(画像記録装置、画像記録方法)では、記録媒体は、当該記録媒体との間の摩擦力を受けて回転するドラムに巻き掛けられて支持されている。このような構成では、記録媒体を支持するドラムが記録媒体の搬送に追従して回転するため、搬送される記録媒体とドラムとの間への空気の混入を抑えて、ドラムへの巻き掛け部分で記録媒体をドラムに密着させることができる。そして、このドラムは冷却されているため、記録媒体の熱は、ドラムに巻き掛けられて密着する部分を介して、ドラムへと伝わることとなる。その上で、この発明は、記録媒体のドラムに巻き掛けられた部分で、光硬化性インクを光照射により硬化させている。したがって、光照射による硬化に伴ってインクが発した熱を、記録媒体のドラムに巻き掛けられた部分を介して、ドラムへと速やかに逃がすことができる。よって、記録媒体のインク付着部分の温度上昇を小さくして、記録媒体での温度分布を抑えることができ、その結果、記録媒体でのしわの発生を抑制し、高品質の画像を得ることが可能となっている。
【0009】
この際、冷却部は、記録媒体が巻き掛けられていない、ドラムの外周面の非巻掛部分を冷却するように、画像記録装置を構成しても良い。このような構成は、記録媒体を挟まずにドラムを冷却して、ドラムを効率的に冷却することができる。
【0010】
この際、冷却部はドラムの外周面の非巻掛部分にファンで送風してドラムを冷却するように、画像記録装置を構成しても良い。あるいは、冷却部はドラムの外周面の非巻掛部分に接触する接触ローラーを有し、接触ローラーを用いてドラムを冷却するように、画像記録装置を構成しても良い。具体的には、冷却部は接触ローラーに取り付けられたヒートパイプによってドラムを冷却するように画像記録装置を構成したり、冷却部はドラムの外周面の非巻掛部分に接触ローラーで液体を塗布することでドラムを冷却するように画像記録装置を構成したりすることができる。
【0011】
また、光照射部による光の照射を受けた記録媒体の温度を検出する温度検出部をさらに備えるように、画像記録装置を構成しても良い。あるいは、ドラムの外周面の非巻掛部分の温度を検出する温度検出部をさらに備えるように、画像記録装置を構成しても良い。その上で、温度検出部の検出結果に基づいて、冷却部によるドラムの冷却動作を制御する制御部をさらに備えるように、画像記録装置を構成しても良い。具体的には、制御部は、温度検出部の検出結果が所定温度以上となった場合に、冷却部にドラムの冷却を実行させるように、画像記録装置を構成しても良い。つまり、ドラムの冷却は常時行なう必要は無く、記録媒体からドラムへの放熱が行われる程度にドラムの温度が十分低い場合は、ドラムの冷却を停止する一方、ドラムの温度が所定温度以上になった場合に、ドラムの冷却を行なっても良い。このような構成では、ドラムの冷却を不必要に行うこと無く、省電力化を図るといった効果が期待できる。
【0012】
また、冷却部はドラムの周方向に並んでドラムに取り付けられたフィンで構成されるように、画像記録装置を構成しても良い。つまり上述のとおり、ドラムは記録媒体の搬送に伴って回転する。したがって、ドラムの周方向に並んでドラムにフィンを取り付けておけば、ドラムと一緒に回転するフィンで周囲の空気を切って、フィンからの放熱を促進し、ドラムを効果的に冷却することができる。
【0013】
この際、ドラムは中空に形成されており、フィンはドラムの内壁に配置されているように、画像記録装置を構成しても良い。このような構成では、フィンの配置スペースをドラムの外側に設ける必要が無く、画像記録装置の小型化を図ることができる。
【0014】
また、冷却部は、ドラムの中空部分に対して送風するファンを有するように、画像記録装置を構成しても良い。これによって、フィンが設けられたドラムの中空部分に気流を作って、フィンからの放熱をさらに促進して、ドラムをより効果的に冷却することができる。ちなみに、このようなファンを設けた場合には、ドラムの内壁の温度を検出する温度検出部と、温度検出部の検出結果に基づいて、冷却部のファンの送風を制御する制御部とをさらに備えるように、画像記録装置を構成しても良い。これによって、ドラムの内壁温度に応じて適切にファンを作動させて、ドラムの冷却を効率的に行うことができる。
【0015】
ところで、上述したように、記録媒体をドラムに密着させて記録媒体からドラムへと放熱するにあたっては、記録媒体に均一なテンションを与えて、記録媒体とドラムとの密着性を高めることが好適となる。しかしながら、搬送経路に直交する直交方向に記録媒体が位置ずれを起こすことによって、記録媒体にかかるテンションが直交方向において分布してしまう場合がある。
【0016】
そこで、記録媒体の搬送経路に直交する直交方向において互いに異なる位置に配置されて、それぞれの位置での記録媒体のテンションを検出する複数のテンション検出部と、各テンション検出部の検出結果に基づいて直交方向における記録媒体の位置を調整する位置調整機構とをさらに備えるように、画像記録装置を構成しても良い。このような構成では、直交方向における記録媒体の位置ずれを適宜修正して、直交方向における記録媒体のテンション分布を抑制することができる。したがって、記録媒体とドラムとの密着性を高めて、記録媒体からドラムへの放熱を促進することができ、その結果、記録媒体でのしわの発生を抑制し、高品質の画像を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明を適用可能なプリンターが備える装置構成の一例を模式的に示す図。
【図2】図1に示すプリンターを制御する電気的構成を模式的に示す図。
【図3】テンションセンサーの配置の一例を模式的に示す図。
【図4】第2実施形態にかかるプリンターが備える装置構成の一例を模式的に示す図。
【図5】第3実施形態にかかるプリンターが備える装置構成の一例を模式的に示す図。
【図6】プラテンドラムの冷却機構の変形例を模式的に示す図。
【図7】プラテンドラムの冷却機構の他の変形例を模式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
第1実施形態
図1は、本発明を適用可能なプリンターが備える装置構成の一例を模式的に示す正面図である。図1に示すように、プリンター1では、その両端が繰出軸20および巻取軸40にロール状に巻き付けられた1枚のシートS(ウェブ)が、繰出軸20と巻取軸40の間に張架されており、シートSはこうして張架された経路Pcに沿って、繰出軸20から巻取軸40へと搬送される。そして、プリンター1では、この搬送経路Pcに沿って搬送されるシートSに対して画像が記録される。シートSの種類は、紙系とフィルム系に大別される。具体例を挙げると、紙系には上質紙、キャスト紙、アート紙、コート紙等があり、フィルム系には合成紙、PET(Polyethylene terephthalate)、PP(polypropylene)等がある。概略的には、プリンター1は、繰出軸20からシートSを繰り出す繰出部2と、繰出部2から繰り出されたシートSに画像を記録するプロセス部3と、プロセス部3で画像の記録されたシートSを巻取軸40に巻き取る巻取部4を備える。なお、以下の説明では、シートSの両面のうち、画像が記録される面を表面と称する一方、その逆側の面を裏面と称する。
【0019】
繰出部2は、シートSの端を巻き付けた繰出軸20と、繰出軸20から引き出されたシートSを巻き掛ける従動ローラー21とを有する。繰出軸20は、シートSの表面を外側に向けた状態で、シートSの端を巻き付けて支持する。そして、繰出軸20が図1の時計回りに回転することで、繰出軸20に巻き付けられたシートSが従動ローラー21を経由してプロセス部3へと繰り出される。ちなみに、シートSは、繰出軸20に着脱自在な芯管(図示省略)を介して繰出軸20に巻き付けられている。したがって、繰出軸20のシートSが使い切られた際には、ロール状のシートSが巻き付けられた新たな芯管を繰出軸20に装着して、繰出軸20のシートSを取り換えることが可能となっている。
【0020】
プロセス部3は、繰出部2から繰り出されたシートSをプラテンドラム30で支持しつつ、プラテンドラム30の外周面に沿って配置された各機能部51、52、61、62、63により処理を適宜行って、シートSに画像を記録するものである。このプロセス部3では、プラテンドラム30の両側に前駆動ローラー31と後駆動ローラー32とが設けられており、前駆動ローラー31から後駆動ローラー32へと搬送されるシートSがプラテンドラム30に支持されて、画像記録を受ける。
【0021】
前駆動ローラー31は、溶射によって形成された複数の微小突起を外周面に有しており、繰出部2から繰り出されたシートSを裏面側から巻き掛ける。そして、前駆動ローラー31は図1の時計回りに回転することで、繰出部2から繰り出されたシートSを搬送経路の下流側へと搬送する。なお、前駆動ローラー31に対してはニップローラー31nが設けられている。このニップローラー31nは、前駆動ローラー31側へ付勢された状態でシートSの表面に当接しており、前駆動ローラー31との間でシートSを挟み込む。これによって、前駆動ローラー31とシートSの間の摩擦力が確保され、前駆動ローラー31によるシートSの搬送を確実に行なうことができる。
【0022】
プラテンドラム30は図示を省略する支持機構により回転自在に支持された円筒形状のドラムであり、前駆動ローラー31から後駆動ローラー32へと搬送されるシートSを裏面側から巻き掛ける。このプラテンドラム30は、シートSとの間の摩擦力を受けてシートSの搬送方向Dsに従動回転しつつ、シートSを裏面側から支持するものである。ちなみに、プロセス部3では、プラテンドラム30への巻き掛け部の両側でシートSを折り返す従動ローラー33、34が設けられている。これらのうち従動ローラー33は、前駆動ローラー31とプラテンドラム30の間でシートSの表面を巻き掛けて、シートSを折り返す。一方、従動ローラー34は、プラテンドラム30と後駆動ローラー32の間でシートSの表面を巻き掛けて、シートSを折り返す。このように、プラテンドラム30に対して搬送方向Dsの上・下流側それぞれでシートSを折り返すことで、プラテンドラム30へのシートSの巻き掛け部を長く確保することができる。
【0023】
後駆動ローラー32は、溶射によって形成された複数の微小突起を外周面に有しており、プラテンドラム30から従動ローラー34を経由して搬送されてきたシートSを裏面側から巻き掛ける。そして、後駆動ローラー32は図1の時計回りに回転することで、シートSを巻取部4へと搬送する。なお、後駆動ローラー32に対してはニップローラー32nが設けられている。このニップローラー32nは、後駆動ローラー32側へ付勢された状態でシートSの表面に当接しており、後駆動ローラー32との間にシートSを挟み込む。これによって、後駆動ローラー32とシートSの間の摩擦力が確保され、後駆動ローラー32によるシートSの搬送を確実に行なうことができる。
【0024】
このように、前駆動ローラー31から後駆動ローラー32へと搬送されるシートSは、プラテンドラム30の外周面に支持される。そして、プロセス部3では、プラテンドラム30に支持されるシートSの表面に対してカラー画像を記録するために、互いに異なる色に対応した複数の記録ヘッド51が設けられている。具体的には、イエロー、シアン、マゼンタおよびブラックに対応する4個の記録ヘッド51が、この色順で搬送方向Dsに並ぶ。各記録ヘッド51は、プラテンドラム30に巻き掛けられたシートSの表面に対して若干のクリアランスを空けて対向しており、対応する色のインクをインクジェット方式で吐出する。そして、搬送方向Dsへ搬送されるシートSに対して各記録ヘッド51がインクを吐出することで、シートSの表面にカラー画像を形成される。
【0025】
ちなみに、インクとしては、紫外線(光)を照射することで硬化するUV(ultraviolet)インク(光硬化性インク)が用いられる。そこで、プロセス部3では、インクを硬化させてシートSに定着させるために、UVランプ61、62(光照射部)が設けられている。なお、このインク硬化は、仮硬化と本硬化の二段階に分けて実行される。複数の記録ヘッド51の各間には、仮硬化用のUVランプ61が配置されている。つまり、UVランプ61は弱い紫外線を照射することで、インクの形状が崩れない程度にインクを硬化(仮硬化)させるものであり、インクを完全に硬化させるものではない。一方、複数の記録ヘッド51に対して搬送方向Dsの下流側には、本硬化用のUVランプ62が設けられている。つまり、UVランプ62は、UVランプ61より強い紫外線を照射することで、インクを完全に硬化(本硬化)させるものである。こうして仮硬化・本硬化を実行することで、複数の記録ヘッド51が形成したカラー画像をシートS表面に定着させることができる。
【0026】
さらに、UVランプ62に対して搬送方向Dsの下流側には、記録ヘッド52が設けられている。この記録ヘッド52は、プラテンドラム30に巻き掛けられたシートSの表面に対して若干のクリアランスを空けて対向しており、透明のUVインクをインクジェット方式でシートSの表面に吐出する。つまり、4色分の記録ヘッド51によって形成されたカラー画像に対して、透明インクがさらに吐出される。また、記録ヘッド52に対して搬送方向Dsの下流側には、UVランプ63が設けられている。このUVランプ63は強い紫外線を照射することで、記録ヘッド52が吐出した透明インクを完全に硬化(本硬化)させるものである。これによって、透明インクをシートS表面に定着させることができる。
【0027】
上述のとおり、シートSはプラテンドラム30に巻き掛けられて支持される。こうしてプラテンドラム30の外周面の巻掛部Raに巻き掛けられたシートSに対しては、シートS表面に着弾したUVインクを硬化させるために、紫外線が照射される。そして、プロセス部3では、この際のUVインクの温度上昇を抑えるために、プラテンドラム30を冷却して、UVインクが発する熱をプラテンドラム30に逃がすよう構成されている。
【0028】
具体的には、プラテンドラム30の外周面のうち、シートSが巻き掛けられていないリリース部Rb(非巻掛部分)に対向して、冷却ファン81が配置されている。この冷却ファン81は、リリース部Rbにおいて露出するプラテンドラム30の外周面に送風して、プラテンドラム30を冷却する。なお、この際の冷却効率を上げるために、プラテンドラム30は、銅やアルミといった金属製のものを用いることができる。
【0029】
このように、プロセス部3では、プラテンドラム30の外周部に巻き掛けられるシートSに対して、インクの吐出および硬化が適宜実行されて、透明インクでコーティングされたカラー画像が形成される。そして、このカラー画像の形成されたシートSが、後駆動ローラー32によって巻取部4へと搬送される。
【0030】
巻取部4は、シートSの端を巻き付けた巻取軸40の他に、巻取軸40と後駆動ローラー32の間でシートSを裏面側から巻き掛ける従動ローラー41を有する。巻取軸40は、シートSの表面を外側に向けた状態で、シートSの端を巻き取って支持する。つまり、巻取軸40が図1の時計回りに回転すると、後駆動ローラー32から搬送されてきたシートSが従動ローラー41を経由して巻取軸40に巻き取られる。ちなみに、シートSは、巻取軸40に着脱自在な芯管(図示省略)を介して巻取軸40に巻き取られる。したがって、巻取軸40に巻き取られたシートSが満杯になった際には、芯管ごとシートSを取り外すことが可能となっている。
【0031】
以上がプリンター1の装置構成の概要である。続いて、プリンター1を制御する電気的構成について説明を行なう。図2は、図1に示すプリンターを制御する電気的構成を模式的に示すブロック図である。上述したプリンター1の動作は、図2に示すホストコンピューター10によって制御される。ホストコンピューター10では、制御動作を統括するホスト制御部100がCPU(Central Processing Unit)やメモリーにより構成されている。また、ホストコンピューター10にはドライバー120が設けられており、このドライバー120がメディア122からプログラム124を読み出す。なお、メディア122としては、CD(Compact Disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、USB(Universal Serial Bus)メモリー等の種々のものを用いることができる。そして、ホスト制御部100は、メディア122から読み出したプログラム124に基づいて、ホストコンピューター10の各部の制御やプリンター1の動作の制御を行なう。
【0032】
さらに、ホストコンピューター10には作業者とのインターフェースとして、液晶ディスプレー等で構成されるモニター130と、キーボードやマウス等で構成される操作部140とが設けられている。モニター130には、印刷対象の画像の他にメニュー画面が表示される。したがって、作業者は、モニター130を確認しつつ操作部140を操作することで、メニュー画面から印刷設定画面を開いて、印刷媒体の種類、印刷媒体のサイズ、印刷品質等の各種の印刷条件を設定することができる。なお、作業者とのインターフェースの具体的構成は種々の変形が可能であり、例えばタッチパネル式のディスプレーをモニター130として用い、このモニター130のタッチパネルで操作部140を構成しても良い。
【0033】
一方、プリンター1では、ホストコンピューター10からの指令に応じてプリンター1の各部を制御するプリンター制御部200が設けられている。そして、記録ヘッド、UVランプおよびシート搬送系の装置各部はプリンター制御部200によって制御される。これら装置各部に対するプリンター制御部200の制御の詳細は次のとおりである。
【0034】
プリンター制御部200は、カラー画像を形成する各記録ヘッド51のインク吐出タイミングを、シートSの搬送に応じて制御する。具体的には、このインク吐出タイミングの制御は、プラテンドラム30の回転軸に取り付けられて、プラテンドラム30の回転位置を検出するドラムエンコーダーE30の出力(検出値)に基づいて実行される。つまり、プラテンドラム30はシートSの搬送に伴って従動回転するため、プラテンドラム30の回転位置を検出するドラムエンコーダーE30の出力を参照すれば、シートSの搬送位置を把握することができる。そこで、プリンター制御部200は、ドラムエンコーダーE30の出力からpts(print timing signal)信号を生成し、このpts信号に基づいて各記録ヘッド51のインク吐出タイミングを制御することで、各記録ヘッド51が吐出したインクを搬送されるシートSの目標位置に着弾させて、カラー画像を形成する。
【0035】
また、記録ヘッド52が透明インクを吐出するタイミングも、同様にドラムエンコーダーE30の出力に基づいてプリンター制御部200により制御される。これによって、複数の記録ヘッド51によって形成されたカラー画像に対して、透明インクを的確に吐出することができる。さらに、UVランプ61、62、63の点灯・消灯のタイミングや照射光量もプリンター制御部200によって制御される。
【0036】
また、プリンター制御部200は、図1を用いて詳述したシートSの搬送を制御する機能を司る。つまり、シート搬送系を構成する部材のうち、繰出軸20、前駆動ローラー31、後駆動ローラー32および巻取軸40それぞれにはモーターが接続されている。そして、プリンター制御部200はこれらのモーターを回転させつつ、各モーターの速度やトルクを制御して、シートSの搬送を制御する。このシートSの搬送制御の詳細は次のとおりである。
【0037】
プリンター制御部200は、繰出軸20を駆動する繰出モーターM20を回転させて、繰出軸20から前駆動ローラー31にシートSを供給する。この際、プリンター制御部200は、繰出モーターM20のトルクを制御して、繰出軸20から前駆動ローラー31までのシートSのテンション(繰出テンションTa)を調整する。つまり、繰出軸20と前駆動ローラー31の間に配置された従動ローラー21には、繰出テンションTaを検出するテンションセンサーS21が取り付けられている。このテンションセンサーS21は、例えばシートSから受ける力を検出するロードセルによって構成することができる。そして、プリンター制御部200は、テンションセンサーS21の検出結果に基づいて、繰出モーターM20のトルクをフィードバック制御して、シートSの繰出テンションTaを調整する。
【0038】
この際、シートSが幅方向(図1の紙面の直交方向)に位置ずれを起こして、シートSにかかるテンションが幅方向において分布しないように、プリンター制御部200は、繰出軸20から前駆動ローラー31へ供給されるシートSの幅方向の位置を調整しつつ、シートSの繰り出しを行う。つまり、プリンター1には、繰出軸20および従動ローラー21それぞれを軸方向(言い換えればシートSの幅方向)に変位させるステアリングユニット7が設けられている。そして、ステアリングユニット7の動作が、従動ローラー33に取り付けられた2つのテンションセンサーS33(図3)の検出結果に基づいて制御される。
【0039】
図3はテンションセンサーの配置の一例を模式的に示す図である。同図に示すように、従動ローラー33には、その軸方向(言い換えればシートSの幅方向)の両端部それぞれにテンションセンサーS33が取り付けられている。これらテンションセンサーS33は、それぞれの取り付け位置におけるシートSのテンションを計測するロードセルによって構成される。これによって、幅方向において異なる複数の位置でシートSのテンションを検出することができる。そして、プリンター制御部200は、これらテンションセンサーS33の検出値の差分がゼロになるように、ステアリングユニット7をフィードバック制御して、シートSの幅方向への位置を調整する。これによって、シートSの幅方向への位置が適切化されて、シートSには幅方向に均一なテンションが与えられる。
【0040】
また、プリンター制御部200は、前駆動ローラー31を駆動する前駆動モーターM31と、後駆動ローラー32を駆動する後駆動モーターM32とを回転させる。これによって、繰出部2から繰り出されたシートSがプロセス部3を通過する。この際、前駆動モーターM31に対しては速度制御が実行される一方、後駆動モーターM32に対してはトルク制御が実行される。つまり、プリンター制御部200は、前駆動モーターM31のエンコーダー出力に基づいて、前駆動モーターM31の回転速度を一定に調整する。これによって、シートSは、前駆動ローラー31によって一定速度で搬送される。
【0041】
一方、プリンター制御部200は、後駆動モーターM32のトルクを制御して、前駆動ローラー31から後駆動ローラー32までのシートSのテンション(プロセステンションTb)を調整する。つまり、プラテンドラム30と後駆動ローラー32の間に配置された従動ローラー34には、プロセステンションTbを検出するテンションセンサーS34が取り付けられている。このテンションセンサーS34は、例えばシートSから受ける力を検出するロードセルによって構成することができる。そして、プリンター制御部200は、テンションセンサーS34の検出結果に基づいて、後駆動モーターM32のトルクをフィードバック制御して、シートSのプロセステンションTbを調整する。
【0042】
また、プリンター制御部200は、巻取軸40を駆動する巻取モーターM40を回転させて、後駆動ローラー32が搬送するシートSを巻取軸40に巻き取る。この際、プリンター制御部200は、巻取モーターM40のトルクを制御して、後駆動ローラー32から巻取軸40までのシートSのテンション(巻取テンションTc)を調整する。つまり、後駆動ローラー32と巻取軸40の間に配置された従動ローラー41には、巻取テンションTcを検出するテンションセンサーS41が取り付けられている。このテンションセンサーS41は、例えばシートSから受ける力を検出するロードセルによって構成することができる。そして、プリンター制御部200は、テンションセンサーS41の検出結果に基づいて、巻取モーターM40のトルクをフィードバック制御して、シートSの巻取テンションTcを調整する。
【0043】
さらに、プリンター制御部200は、プラテンドラム30を冷却する冷却ファン81を、温度センサーS30の検出結果に基づいて制御する。この温度センサーS30は、赤外線放射温度計等の非接触式の温度計で構成することができる。図1に示すように、温度センサーS30は、リリース部Rbにおいて露出するプラテンドラム30の外周面に対向して配置されている。具体的には、リリース部Rbのうち、シートSから分岐してから冷却ファン81の対向部分に至るまでの範囲の温度を検出するように、温度センサーS30は配置されている。そして、プリンター制御部200は、温度センサーS30の検出温度が所定の閾値以上の場合に、冷却ファン81を動作させてプラテンドラム30を冷却する一方、温度センサーS30の検出温度が当該閾値未満の場合は、冷却ファン81を停止する。
【0044】
以上に説明したように、この実施形態では、シートSは、当該シートSとの間の摩擦力を受けて回転するプラテンドラム30に巻き掛けられて支持されている。このような構成では、シートSを支持するプラテンドラム30がシートSの搬送に追従して回転するため、搬送されるシートSとプラテンドラム30との間への空気の混入を抑えて、プラテンドラム30への巻き掛け部分でシートSをプラテンドラム30に密着させることができる。そして、このプラテンドラム30は冷却されているため、シートSの熱は、プラテンドラム30に巻き掛けられて密着する部分を介して、プラテンドラム30へと伝わることとなる。その上で、この実施形態は、シートSのプラテンドラム30に巻き掛けられた部分で、UVインクを紫外線照射により硬化させている。したがって、紫外線照射による硬化に伴ってUVインクが発した熱を、シートSのプラテンドラム30に巻き掛けられた部分を介して、プラテンドラム30へと速やかに逃がすことができる。よって、シートSのインク付着部分の温度上昇を小さくして、シートSでの温度分布を抑えることができ、その結果、シートSでのしわの発生を抑制し、高品質の画像を得ることが可能となっている。
【0045】
また、プラテンドラム30を搬送されるシートSに対して滑らせずに従動させる構成では、プラテンドラム30とシートSの間における摩擦熱の発生を抑えることができる。したがって、プラテンドラム30の冷却を効果的に実行できるといった利点がある。
【0046】
また、この実施形態では、シートSが巻き掛けられていない、プラテンドラム30の外周面のリリース部Rbを、冷却ファン81によって冷却している。このような構成は、シートSを挟まずにプラテンドラム30を直接冷却して、プラテンドラム30を効率的に冷却することができる。
【0047】
さらに、リリース部Rbに対向して冷却ファン81を配置した構成は、次のような利点も有する。つまり、上述のとおり、プラテンドラム30はシートSの搬送に追従して回転する。したがって、シートSを巻き掛ける巻掛部RaでUVインクの熱を吸収したプラテンドラム30の外周面は、プラテンドラム30の回転に伴って、リリース部Rbを通過した後に再び巻掛部Raに至ってUVインクの放熱に供する。この際、この放熱を効果的に行うためには、再び巻掛部Raに至る前に、プラテンドラム30の外周面を冷却しておくことが好適となる。これに対して、この実施形態では、再び巻掛部Raに至る前のリリース部Rbにおいてプラテンドラム30の外周面が冷却されるため、その後のUVインクの放熱を効果的に行うことが可能となっている。
【0048】
ちなみに、プラテンドラム30の冷却は常時行なう必要は無い。つまり、シートSからプラテンドラム30への放熱が行われる程度にプラテンドラム30の温度が十分低い場合は、プラテンドラム30の冷却を停止する一方、プラテンドラム30の温度が所定温度以上になった場合に、プラテンドラム30の冷却を行なっても良い。そこで、この実施形態では、温度センサーS30の検出温度が所定の閾値以上となった場合に、冷却ファン81はプラテンドラム30の冷却を実行する。このような構成では、プラテンドラム30の冷却を不必要に行うこと無く、省電力化を図るといった効果が期待できる。
【0049】
ところで、この実施形態のように、シートSをプラテンドラム30に密着させてシートSからプラテンドラム30へと放熱するにあたっては、シートSに均一なテンションを与えて、シートSとプラテンドラム30との密着性を高めることが好適となる。しかしながら、搬送経路Pcに直交する幅方向にシートSが位置ずれを起こすことによって、シートSにかかるテンションが直交方向において分布してしまう場合がある。
【0050】
これに対してこの実施形態では、シートSの幅方向において互いに異なる位置に配置されて、それぞれの位置でのシートSのテンションを検出する複数のテンションセンサーS33が設けられている。そして、各テンションセンサーS33の検出結果に基づいて、幅方向におけるシートSの位置が調整される。したがって、幅方向におけるシートSの位置ずれを適宜修正して、幅方向におけるシートSのテンション分布を抑制することができる。よって、シートSとプラテンドラム30との密着性を高めて、シートSからプラテンドラム30への放熱を促進することができ、その結果、シートSでのしわの発生を抑制し、高品質の画像を得ることが可能となる。
【0051】
第2実施形態
図4は、第2実施形態にかかるプリンターが備える装置構成の一例を模式的に示す正面図である。第2実施形態が第1実施形態と異なるのは、主としてプラテンドラム30の構成であるので、以下ではこの差異部分を中心に説明を行なうこととし、共通部分については相当符号を付して適宜説明を省略する。ただし、第2実施形態においても、上記実施形態と共通する構成を具備することで、上記実施形態と同様の効果を奏することは言うまでも無い。
【0052】
第2実施形態では、プラテンドラム30は中空に形成されており、その中空部301(中空部分)は、プラテンドラム30の軸方向に開口している。図示は省略しているが、中空部301の中心部分にはプラテンドラム30の回転軸が通っている。そして、プラテンドラム30の外周部分302は、この回転軸から放射状に延びる複数のリブ(図示省略)によって支持されて、回転軸中心に回転自在となっている。
【0053】
このようなプラテンドラム30の内壁303には、プラテンドラム30の周方向に並んで複数のフィン304が形成されている。各フィン304は、内壁303からプラテンドラム30の中心軸に向いて突出するように形成されている。なお、図4では、フィン304は部分的に示されているが、実際にはプラテンドラム30の全周に渡ってフィン304が並んでいる。
【0054】
そして、このように構成されたプラテンドラム30がシートSの搬送に伴って回転する。したがって、プラテンドラム30の周方向に並んで取り付けられた複数のフィン304が、プラテンドラム30と一緒に回転する。これによって、フィン304で周囲の空気を切って、フィン304からの放熱を促進し、プラテンドラム30を効果的に冷却することが可能となっている。特に第2実施形態では、フィン304を冷却ファン81と併用することで、プラテンドラム30をより効果的に冷却することができる。
【0055】
また、第2実施形態では、プラテンドラム30は中空に形成されており、フィン304はプラテンドラム30の内壁に形成されている。このような構成では、フィン304の配置スペースをプラテンドラム30の外側に設ける必要が無く、プリンター1の小型化を図ることができる。
【0056】
第3実施形態
図5は、第3実施形態にかかるプリンターが備える装置構成の一例を模式的に示す正面図である。以下では、第3実施形態と上記実施形態との差異部分を中心に説明を行なうこととし、共通部分については相当符号を付して適宜説明を省略する。ただし、第3実施形態においても、上記実施形態と共通する構成を具備することで、上記実施形態と同様の効果を奏することは言うまでも無い。
【0057】
この実施形態では、上記実施形態と異なり、プラテンドラム30の外周面の温度を検出する温度センサーS30が排される一方、シートSの表面温度を検出する温度センサーSsが設けられている。この温度センサーSsは、赤外線放射温度計等の非接触式の温度計で構成されており、搬送経路PcにおいてUVランプ62の下流側でシートSの表面の温度を検出する。そして、プリンター制御部200は、プラテンドラム30を冷却する冷却ファン81を、温度センサーSsの検出結果に基づいて制御する。なお、このときの制御内容は、上述した温度センサーS30を用いたそれと同様であるので、説明を省略する。
【0058】
また、プラテンドラム30の中空部301の開口に対しては、冷却ファン82が対向する。そして、この冷却ファン82によって、プラテンドラム30の中空部301に送風が行われる。これによって、フィン304が設けられたプラテンドラム30の中空部301に気流が作られて、フィン304からの放熱がさらに促進され、プラテンドラム30をより効果的に冷却することができる。
【0059】
この際、冷却ファン82の送風は、温度センサーS303の検出結果に基づいて制御される。この温度センサーS303は、赤外線放射温度計等の非接触式の温度計で構成されており、プラテンドラム30の内壁303の温度を検出する。そして、プリンター制御部200が、温度センサーS303の検出温度が所定の閾値以上の場合に、冷却ファン82を動作させてプラテンドラム30を冷却する一方、温度センサーS303の検出温度が当該閾値未満の場合は、冷却ファン82を停止する。これによって、プラテンドラム30の内壁温度に応じて適切に冷却ファン82を作動させて、プラテンドラム30の冷却を効率的に行うことが可能となっている。
【0060】
その他
以上のように、上記実施形態では、プリンター1が本発明の「画像記録装置」に相当し、シートSが本発明の「記録媒体」に相当し、プラテンドラム30が本発明の「ドラム」に相当し、記録ヘッド51が本発明の「吐出部」に相当し、UVランプ62、63が本発明の「光照射部」に相当し、UVインクが本発明の「インク」に相当し、冷却ファン81、フィン304あるいは冷却ファン82が本発明の「冷却部」に相当し、前駆動ローラー31、後駆動ローラー32、前駆動モーターM31、後駆動モーターM32およびプリンター制御部200が協働して本発明の「搬送部」として機能している。また、搬送経路Pcが本発明の「搬送経路」に相当し、シートSの幅方向が本発明の「直行方向」に相当する。
【0061】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したものに対して種々の変更を加えることが可能である。例えば、プラテンドラム30を冷却する構成は、上記のものに限られず種々の変形が可能である。したがって、プラテンドラム30の冷却機構を図6のように構成することもできる。ここで、図6はプラテンドラムの冷却機構の変形例を模式的に示す図である。図6では、ヒートパイプを内蔵する冷却ローラー83(接触ローラー)が、リリース部Rbにおいてプラテンドラム30の外周面に当接しつつ、プラテンドラム30に対して従動して回転する。こうして、プラテンドラム30は、冷却ローラー83によって冷却される。この際、冷却ローラー83の冷却動作は、温度センサーS30の検出結果に基づいて制御する。なお、このときの制御内容は、上述した冷却ファン81を用いたそれと同様であるので、説明を省略する。
【0062】
あるいは、プラテンドラム30の冷却機構を図7のように構成することもできる。ここで、図7はプラテンドラムの冷却機構の他の変形例を模式的に示す図である。図7では、プラテンドラムの冷却機構として、液体塗布部84が設けられている。この液体塗布部84は、アルコールや水等の液体を貯留する容器841と、容器841内の液体を汲み上げる汲上ローラー842と、汲上ローラー842が汲み上げた液体をリリース部Rbにおいてプラテンドラム30の外周面に塗布する塗布ローラー843(接触ローラー)を有する。そして、プラテンドラム30は、塗布された液体の気化熱によって冷却される。
【0063】
なお、この構成では、汲上ローラー842の回転数を変えて、汲上ローラー842が単位時間に汲み上げる液体の量を調整することで、プラテンドラム30への液体の塗布量を増減して、プラテンドラム30の冷却度合を制御することができる。具体的には、この冷却度合は、温度センサーS30の検出結果に基づいて制御する。なお、このときの制御内容は、上述した冷却ファン81を用いたそれと同様であるので、説明を省略する。
【0064】
また、図6や図7で示した機構以外で、プラテンドラム30を冷却しても良い。具体的には、プラテンドラム30そのものにヒートパイプを取り付けて、このヒートパイプでプラテンドラム30を冷却するように構成しても良い。
【0065】
また、上では、プラテンドラム30を冷却する種々の機構81、304、82、83、84を挙げたが、これらは併用しても良いし、単独で用いても良い。具体例を挙げると、上記第2実施形態では、冷却ファン81とフィン304が併用されていた。しかしながら、冷却ファン81を用いずにフィン304のみでプラテンドラム30を冷却するように構成しても良い。
【0066】
上記実施形態では、プラテンドラム30の冷却機構81、82、83、84の動作タイミングを制御していた。しかしながら、これら冷却機構81、82、83、84を特に制御すること無く、常時動作させるように構成することもできる。
【0067】
上記実施形態では、プラテンドラム30の冷却機構81、82、83、84をリリース部Rbに対して配置していた。しかしながら、これら冷却機構81、82、83、84の位置はこれに限られない。
【0068】
上述した各種温度センサーS30、S303、Ssの構成や位置も上述のものに限られず、適宜変更可能である。
【0069】
また、テンションセンサーS33の配設位置も上述した従動ローラー33に限られない。したがって、シートSの搬送系を構成するその他の部材にテンションセンサーS33を設けても良い。
【0070】
また、上記実施形態では、前駆動ローラー31に対して速度制御を実行し、後駆動ローラー32に対してトルク制御を実行していた。しかしながら、後駆動ローラー32に対して速度制御を実行して、後駆動ローラー32によりシートSの搬送速度を決定するとともに、前駆動ローラー31に対してトルク制御を実行して、前駆動ローラー31によりシートSのテンションTbを調整しても良い。なお、この際に、シートSのテンションTbを検出するセンサーを、従動ローラー33に設けるように構成しても良い。
【0071】
また、シートSの幅方向への位置を調整するステアリングユニット7の具体的構成についても、上述のものに限られず、適宜変更が可能である。したがって、例えば特許第4328043号公報等に記載の蛇行制御装置によってステアリングユニット7を構成しても良い。
【符号の説明】
【0072】
1…プリンター、 S…シート、 200…プリンター制御部、 30…プラテンドラム、 31…前駆動ローラー、 32…後駆動ローラー、 51…記録ヘッド、 52…記録ヘッド、 62…UVランプ、 63…UVランプ、 81…冷却ファン、 82…冷却ファン、 83…冷却ローラー、 84…液体塗布部、 303…フィン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体を搬送する搬送部と、
その外周面に前記記録媒体を巻き掛けて、前記搬送部により搬送される前記記録媒体との間の摩擦力を受けて回転するドラムと、
前記記録媒体の前記ドラムに巻き掛けられた部分に光硬化性のインクを吐出して画像を記録する吐出部と、
前記吐出部に対して前記記録媒体の搬送経路の下流側で、前記記録媒体の前記ドラムに巻き掛けられた部分に光を照射して、前記記録媒体上のインクを硬化させる光照射部と、
前記ドラムを冷却する冷却部と
を備えたことを特徴とする画像記録装置。
【請求項2】
前記冷却部は、前記記録媒体が巻き掛けられていない、前記ドラムの外周面の非巻掛部分を冷却する請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項3】
前記冷却部は、前記ドラムの外周面の前記非巻掛部分にファンで送風して、前記ドラムを冷却する請求項2に記載の画像記録装置。
【請求項4】
前記冷却部は、前記ドラムの外周面の前記非巻掛部分に接触する接触ローラーを有し、前記接触ローラーを用いて前記ドラムを冷却する請求項1または2に記載の画像記録装置。
【請求項5】
前記冷却部は、前記接触ローラーに取り付けられたヒートパイプによって、前記ドラムを冷却する請求項4に記載の画像記録装置。
【請求項6】
前記冷却部は、前記ドラムの外周面の前記非巻掛部分に前記接触ローラーで液体を塗布することで、前記ドラムを冷却する請求項4に記載の画像記録装置。
【請求項7】
前記光照射部による光の照射を受けた前記記録媒体の温度を検出する温度検出部をさらに備える請求項1ないし6のいずれか一項に記載の画像記録装置。
【請求項8】
前記ドラムの外周面の前記非巻掛部分の温度を検出する温度検出部をさらに備える請求項1ないし6のいずれか一項に記載の画像記録装置。
【請求項9】
前記温度検出部の検出結果に基づいて、前記冷却部による前記ドラムの冷却動作を制御する制御部をさらに備えた請求項7または8に記載の画像記録装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記温度検出部の検出結果が所定温度以上となった場合に、前記冷却部に前記ドラムの冷却を実行させる請求項9に記載の画像記録装置。
【請求項11】
前記冷却部は、前記ドラムの周方向に並んで前記ドラムに取り付けられたフィンで構成される請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項12】
前記ドラムは中空に形成されており、前記フィンは前記ドラムの内壁に配置されている請求項11に記載の画像記録装置。
【請求項13】
前記冷却部は、前記ドラムの中空部分に対して送風するファンを有する請求項11または12に記載の画像記録装置。
【請求項14】
前記ドラムの内壁の温度を検出する温度検出部と、
前記温度検出部の検出結果に基づいて、前記冷却部の前記ファンの送風を制御する制御部と
をさらに備える請求項13に記載の画像記録装置。
【請求項15】
前記記録媒体の搬送経路に直交する直交方向において互いに異なる位置に配置されて、それぞれの位置での前記記録媒体のテンションを検出する複数のテンション検出部と、
前記各テンション検出部の検出結果に基づいて前記直交方向における前記記録媒体の位置を調整する位置調整機構と
をさらに備える請求項1ないし14のいずれか一項に記載の画像記録装置。
【請求項16】
記録媒体を搬送しつつ、前記記録媒体に光硬化性のインクを吐出して画像を記録した後に、前記記録媒体に光を照射して前記記録媒体上のインクを硬化させる画像記録方法において、
前記記録媒体との間の摩擦力を受けて回転するドラムの外周面で、前記記録媒体のインクの吐出を受ける部分および前記光の照射を受ける部分を巻き掛けて支持しつつ、前記ドラムを冷却することを特徴とする画像記録方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−107275(P2013−107275A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−253864(P2011−253864)
【出願日】平成23年11月21日(2011.11.21)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】