画像記録装置の搬送量補正値算出方法
【課題】通常使用される紙等からなる記録媒体は、湿気等によって物理的長さ或いは面積が伸縮した場合には、テストパターンを記録した後に記録媒体が伸縮し、求めた媒体搬送量誤差値の精度が低くなり品質を保障しない。
【解決手段】搬送量補正値算出方法は、録媒体の媒体搬送量を求める際に、副走査方向で異なる位置に配置されている2つの記録ヘッドAsBとのそれぞれに対応する同方向1ライン分且つ1つ以上のドットから成るドット群が記録媒体上の任意の位置で重ったときの媒体搬送パルス数と、記録ヘッドAB間の物理的距離を用いて画像長調整値を求める。
【解決手段】搬送量補正値算出方法は、録媒体の媒体搬送量を求める際に、副走査方向で異なる位置に配置されている2つの記録ヘッドAsBとのそれぞれに対応する同方向1ライン分且つ1つ以上のドットから成るドット群が記録媒体上の任意の位置で重ったときの媒体搬送パルス数と、記録ヘッドAB間の物理的距離を用いて画像長調整値を求める。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体にインク滴を吐出して画像を記録する画像記録装置の搬送量補正値算出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、インクジェットプリンタとして知られる画像記録装置は、微小なインク滴を吐出する多数のノズルが配置された記録ヘッドを搭載している。インクジェットプリンタを大別すると、ラインプリンタとシリアルプリンタがある。ラインプリンタは、記録媒体を記録ヘッド直下まで搬送する搬送機構も搭載している。一方、シリアルプリンタでは記録ヘッドを搭載したキャリッジを定位置まで搬送する搬送機構を搭載している。以下の説明では、ラインプリンタを例に説明する。
【0003】
この搬送機構の構成は、概要として搬送ローラ及びベルト、搬送ローラ回転量をパルス信号に変換/出力する部品であるパルスエンコーダが搬送ローラに備え付けられている。プリンタ制御部は、パルスエンコーダが出力するパルス数と搬送ローラの外周長を基に、搬送量を算出する。その算出した媒体搬送量に従って、記録ヘッドは、記録媒体上の媒体搬送方向(副走査方向)における指定された位置にドットを形成するようにインク滴を吐出する。
【0004】
パルスエンコーダから出力されるパルス数を基に導出する媒体搬送量は、誤差を含んでいる場合がある。この媒体搬送量に誤差があると、実際に記録される記録媒体上において、画像データとして指定したドット位置からズレた位置にインク滴が着弾してドットが形成される。尚、特に記載が無い限り、以降で記載する媒体搬送量誤差は、定常的に生じる誤差を示唆し、周期的に生じる媒体搬送量誤差は、搬送ムラとして説明している。
【0005】
媒体搬送量誤差が発生する要因の一例について説明する。
第1に、搬送ローラ形成で生じる搬送ローラ外周長誤差がある。
搬送ローラの外周長が設計値よりも長い場合、1パルス当りの媒体搬送量は増加し、記録される画像は、副走査方向においてドット間に隙間が生じている。一方、搬送ローラの外周長が設計値よりも短い場合、1パルス当りの媒体搬送量は減少し、記録される画像は、副走査方向において、ドット間に重なりが生じている。
【0006】
第2に、搬送ベルト形成で生じるベルト厚み誤差がある。
ベルト厚みが設計値よりも厚い場合には、1パルス当りの媒体搬送量は増加する。一方、ベルト厚みが設計値よりも薄い場合には、1パルス当りの媒体搬送量は減少する。この1パルス当りの媒体搬送量誤差を検出或いは、補正する値を算出する方法について、ラインプリンタを一例として説明する。
【0007】
ある1つの記録ヘッドによって、記録媒体上の主走査方向にドット群を記録した後、媒体を所定の距離搬送させた位置で、先ほど記録を行った記録ヘッドによって、再度、同様のドット群を記録する。そして、記録した2ドット群間の副走査方向における距離を測定し、理論距離との差或いは、比率を算出する方法が挙げられる。
【0008】
他の技術例として、特許文献1及び特許文献2が提案されている。
これらのうち、特許文献1には、媒体搬送方向で異なる位置に配置された各ライン型記録ヘッド間に備えられたマーカ読取手段によって、記録媒体上に記録されたマーカを読取って得られる用紙搬送情報と、モジュール情報(各ライン記録ヘッドとマーカ読取手段間の距離、各ライン記録ヘッド間の距離)に基づいて、インク吐出タイミングを制御する技術が開示されている。
【0009】
また、特許文献2には、媒体搬送量を測定するにあたって、搬送ローラ偏心で生じている搬送ムラ起因とする測定誤差を防止する方法として、記録媒体上にローラN回転周期(N≧1且つ、N=自然数)で2つ以上の画像を記録して、それら画像位置を基に測定する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2007−196568号公報
【特許文献2】特開2007−001183号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
通常使用される記録媒体としては、紙等が主流であり、これらが湿気等によって物理的長さ或いは面積が伸縮する材質であった場合には、高湿な環境下では、テストパターンを記録した後に記録媒体が伸縮する可能性がある。
この伸縮現象によって、互いに大きく離れた位置にある2ドット群間の距離から求めた媒体搬送量誤差値は、精度が低く十分な品質を確保することはできない。
【0012】
前述した特許文献1に開示されている技術例では、マーカ読取手段を各ライン記録ヘッド間に備え付ける必要があり、マーカ読取手段に関する部品/製造コストが増加する。また、特許文献2に開示されている技術例では、搬送ローラの外周長を利用したものであり、搬送ベルトが備え付けられている搬送機構から構成される画像記録装置に対しては利用できない。
そこで本発明は、記録媒体の湿気等による伸縮から生じる精度低下を防止する画像記録装置の搬送量補正値算出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明に従う実施形態は、記録媒体を搬送する複数の搬送ローラと、当該複数の搬送ローラに掛け渡された無端状ベルトと、当該搬送ローラの回転量を算出するエンコーダとを有する搬送手段と、記録媒体搬送方向の複数の異なる位置にそれぞれ配置され、搬送手段によって搬送される記録媒体に対してエンコーダから出力されるパルス数に基づいて画像を記録する少なくとも第1記録ヘッドと第2記録ヘッドを含む複数の記録ヘッドと、前記各記録ヘッドによって記録された画像を読取る画像読取り手段と、前記画像読取り手段によって読取られた画像情報に基づき、各記録ヘッドの記録タイミングを補正すると共に、各記録ヘッドの記録タイミングを制御する制御手段と、を有する画像記録装置における搬送量補正値算出方法であって、前記第1記録ヘッドによって記録媒体搬送方向における任意の位置に第1のテストパターン画像を記録媒体に記録する第1記録ステップと、第1記録ヘッドによる画像記録タイミングから、第1記録ヘッド位置から第2記録ヘッド位置までの配置間隔に相当する記録媒体搬送量に相当するエンコーダパルス数だけ計数した後に、前記第2記録ヘッドによって前記任意位置と同じ位置で且つ記録媒体幅方向に異なる位置に第2のテストパターン画像を前記記録媒体に記録する第2記録ステップと、前記画像読取り手段によって、記録媒体記録された前記各テストパターン画像を読取るステップと、前記画像読取り手段によって読取られた前記各テストパターン画像の記録媒体搬送方向における記録位置ずれ量を求めると共に、当該記録位置ずれ量に対応するパルス補正量を算出する補正量算出ステップと、前記各記録ヘッドによって記録される前記各テストパターン画像が、前記記録媒体搬送方向における同一位置に記録されるように、前記エンコーダパルス数に対して前記パルス補正量を加算することで前記エンコーダパルス数を補正する補正ステップと、前記第1記録ヘッドと前記第2記録ヘッドとの配置間隔と、補正後のエンコーダパルス数との比から、画像長調整値を算出する調整値算出ステップと、を有する搬送量補正値算出方法を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、記録媒体の湿気等による伸縮から生じる精度低下を防止する画像記録装置の搬送量補正値算出方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、第1の実施形態に係る画像記録装置及び媒体搬送量誤差を算出するシステム構成例を示す図である。
【図2】図2は、媒体搬送量の測定で用いる構成部位によるシステムのブロック構成を示す図である。
【図3】図3(a),(b)は、副走査方向で異なる位置にある記録ヘッド2間の距離の定義について説明するための図である。
【図4】図4は、第1の実施形態における記録ヘッド間距離測定機器の構成例を示す図である。
【図5】図5(a)は、ラインプリンタによるテストパターン例を示す図、図5(b)は、シリアルプリンタによるテストパターン例を示す図である。
【図6】図6は、第1の実施形態の画像長調整の手順について説明するためのフローチャートである。
【図7】図7(a)は、2つの記録ヘッド間の記録媒体を搬送する搬送パルス数について説明するための図、図7(b)は、2つの記録ヘッド間の記録媒体12を搬送する設計距離について説明するための図である。
【図8】図8は、2つの記録ヘッドに対応するドット群の副走査方向におけるズレ量について説明するための図である。
【図9】図9は、補正値pulseβについて説明するための図である。
【図10】図10は、第2の実施形態の画像長調整の手順について説明するためのフローチャートである。
【図11】図11は、第3の実施形態の画像長調整の手順について説明するためのフローチャートである。
【図12】図12は、第4の実施形態の画像長調整の手順について説明するためのフローチャートである。
【図13】図13は、ドット群の副走査方向のそれぞれ平均座標について説明するための図である。
【図14】図14は、dot GroupYAiの平均値について説明するための図である。
【図15】図15は、第4の実施形態のテストパターン例を示す図である。
【図16】図16は、第5の実施形態の画像長調整の手順について説明するためのフローチャートである。
【図17】図17は、第5の実施形態のテストパターン例を示す図である。
【図18】図18は、第6の実施形態の画像長調整の手順について説明するためのフローチャートである。
【図19】図19は、ピックアップローラから記録ヘッドまでの距離を示す図である。
【図20】図20は、第7の実施形態の画像長調整の手順について説明するためのフローチャートである。
【図21】図21は、第8の実施形態の画像長調整の手順について説明するためのフローチャートである。
【図22】図22は、第9の実施形態の画像長調整の手順について説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1は、第1実施形態に係る画像記録装置及び媒体搬送量誤差を算出するシステム構成例を示した概略図である。以下に説明する各実施形態では、副走査方向を記録媒体搬送方向とし、副走査方向に直交する方向を主走査方向と定義する。主走査及び副走査方向と直交する上下方向を重力方向とする。尚、以下に例として説明する画像記録装置は、特に記載が無い限り、各インク色の記録ヘッド2を副走査方向に沿って配置し、各記録ヘッドは、記録媒体12の幅以上のノズル列長(画像記録領域)を有するラインヘッド型インクジェットプリンタ(以下、プリンタと称する)とする。
【0017】
図1に示すシステムは、プリンタ1と、記録ヘッド2で記録した記録媒体を読取って画像データに変換する画像読取機器15と、キャリッジ3に組みつけられた記録ヘッド2の各ヘッド間距離を測定するヘッド間距離測定機器29で構成される。この例では、プリンタ1と画像読取機器15とヘッド間距離測定機器29が別体となる構成例である。勿論、プリンタ1の搬送機構と連結可能な搬送機構を有する画像読取機器15を用いるのであれば、後述するユーザによる読取りセット作業は不要である。
【0018】
プリンタ1は、複数の記録媒体12を収納し、1枚ずつ順次、供給する記録媒体供給部9と、記録媒体12を搬送する搬送機構6と、記録媒体12にインクを微小な液滴として吐出して画像を記録する記録ヘッド2と、複数の記録媒体12を収納する記録媒体カセット10と、画像記録を含め装置全体を制御するプリンタ制御部14と、で構成される。
【0019】
プリンタ1の下流側に設けられた画像読取機器15は、一般に市販されているフラットベット型スキャナ等を採用している。この画像読取機器15は、主なものとして、テスト記録媒体13に記録された画像を読取る画像読取部17(例えば、CCD又はCMOS等の固体撮像素子からなるラインセンサ)と、画像読取制御部16で構成され、読込んだ画像を画像データに変換して出力する。尚、ヘッド間距離測定機器29は、図4を参照して後述、詳細に説明する。
【0020】
また、画像処理/制御/演算部(以下、処理制御部と称する)18と表示部19は、パーソナルコンピュータで代用することができる。処理制御部18は、プリンタ制御部14とはLAN接続され、画像読取制御部16及びヘッド間距離測定機29とは、それぞれにUSB接続されている。勿論、これらの接続は、限定されるものではなく、一例であり、有線接続に限らず、無線又は光ファイバーを用いた接続であってもよい。
【0021】
入力部20は、処理制御部18にユーザからの指示等を入力する。この指示に従い、処理制御部18は、プリンタ1、画像読取制御部16及びヘッド間距離測定機器29を制御する。
記録ヘッド2は、複数例えば、300個のノズルが列状に開口されたノズル列(2CN〜2YN)が設けられたノズル面を有している。このノズル面は、搬送されている記録媒体12と対向し、各ノズルからインクが吐出される。勿論、ノズル数は一例であって限定されるものではない。
【0022】
本実施形態では、搬送方向に沿って上流側から少なくとも4色のインクを個々に吐出する4つの記録ヘッド2(2C[シアン色]、2K[ブラック色]、2M[マゼンタ色]、2Y[イエロー色])を有し、記録媒体4に単一色画像又は、カラー画像を記録する。尚、本実施形態では、ライン型の記録ヘッドを例として記載しているが、これに限定されるものではなく、記録媒体12上を主走査方向に反復するように走査移動するシリアル型の記録ヘッドであっても、対象方向を変えれば、同様の原理が適用できる。
【0023】
本実施形態では、記録媒体供給部9は、装置外部に取り付けられたトレイ(又は、カセット)に複数の記録媒体12を収納し、ピックアップローラ11により、1枚ずつ順次取り出して、搬送機構6に供給する。他方は、装置内部に設けられた記録媒体カセット10は、複数の記録媒体12を収納し、1枚ずつ順次取り出されて、搬送機構6に供給する。
【0024】
この搬送機構6は、例えば、少なくとも2つ以上の搬送ローラ5と、これら搬送ローラ5のいずれか一方に備え付けられたパルスエンコーダ4と、これらの搬送ローラ5にテンションを掛けられた状態で捲回する搬送ベルト7と、を備えている。
【0025】
これらのうち、搬送ローラ5の少なくとも一方には、図示しないモータ等の駆動源が接続され、搬送ローラ5を回転させることにより、搬送ベルト7を回転させる。このとき、搬送ローラ5のいずれか一方に備え付けられたパルスエンコーダ4は、搬送ローラ5の回転周期に合わせて、搬送パルス信号を出力する。このパルス信号の出力周期は、搬送機構6を構成する全ての部品が設計値通りであった場合において本実施形態では、記録媒体12上の1ドット分搬送された周期となる。
【0026】
搬送ベルト7は、多数の小孔(図示せず)が開口され、記録ヘッド2の全てのノズル面と平行(又は、同じ間隔)で対向するように構成される。この搬送ベルト7の内側には、吸引手段となるファン8が設けられており、記録媒体12をファン8による負圧により搬送ベルト7上に吸着して固定した状態で搬送して、記録ヘッド2のノズル面の前方を通過させる。
【0027】
図2は、媒体搬送量の測定で用いる構成部位によるシステムのブロック構成を示している。本システムは、プリンタ1、画像読取機器15、ヘッド間距離測定機器29、処理制御部18、表示部19及び、入力部20により構成される。
【0028】
処理制御部18は、主として、演算処理部23と記憶部24とで構成される。記憶部24には、パルス数記憶領域25と、画像データ記憶領域26と、ヘッド間距離記憶領域27と、テストパターン記憶領域28と、の各メモリ領域が確保されている。この処理制御部18は、プリンタ1及び画像読取機器15に対する制御及び、ヘッド間距離測定機器29に対する制御を行い、さらに、前記画像読取機器15によって読取ったテスト記録媒体13画像データを解析して各記録ヘッド2のプリントタイミング(インク吐出タイミング)調整値の算出及び、ヘッド間距離測定機器29におけるヘッド間距離の算出を行う。
【0029】
また、記憶部24及びプリントタイミング調整で得られた記録ヘッド2間の媒体搬送パルス数の記憶及びヘッド間距離測定機器29によるヘッド間距離の測定で得られた記録ヘッド2間の物理的距離、プリントタイミング調整で記録するテストパターン、画像読取機器(フラットベット型スキャナ)15で読込んだ画像データを記憶する。
【0030】
そして、これらのデータを用いて媒体搬送1パルス当りの媒体搬送量を算出する。プリンタ1及び画像読取機器15の制御、ヘッド間距離測定機器29の制御は、ユーザによる入力部20からの入力指示によって行う。
【0031】
プリンタ1は主として、記録ヘッド2と、搬送機構6と、プリンタ制御部14と、プリンタ用記憶部22と、パルスエンコーダ4と、で構成される。プリンタ制御部14は、設定された各調整値に基づき、記録ヘッド2及び搬送機構6を駆動し、記録媒体12にテストパターンを記録してテスト記録媒体13を記録する。ここで用いているプリンタ用記憶部22は、不揮発メモリであるが、パルスエンコーダ4から出力された媒体搬送パルス数の一時的な記憶やテストパターン画像データの一時的な記憶を行う。尚、プリンタ用記憶部22は、処理制御部18におけるテストパターン記憶領域28の代替機能及び各種調整用パラメータの記憶も行う。
【0032】
画像読取機器(フラットベット型スキャナ)15は主として、画像読取制御部16と画像読取部17と、で構成される。画像読取制御部16は、処理制御部18からの指示によって、画像読取部17を制御する。ヘッド間距離測定機器29は、後述する図4にその構成が記載されている。
【0033】
図3(a),(b)は、副走査方向で異なる位置にある記録ヘッド2間の距離の定義を示している。尚、図3(a),(b)では、記録ヘッド2Cと記録ヘッド2Yと各記録ヘッド2からインクを吐出するためのノズル列(2CN、2YN)を一例として示し、図3(a)がラインプリンタにおける記録ヘッド2の配置を示し、図3(b)がシリアルプリンタにおける記録ヘッド2の配置を示している。
【0034】
本実施形態で説明する記録ヘッド2間の距離は、各記録ヘッド2に備わっているノズル列間の副走査方向距離を示唆している。シリアルプリンタである場合の記録ヘッド2間の距離は、各ノズル列間の主走査方向距離とする。記録ヘッド2間の距離を、インクが吐出される各ノズル間の距離とすることで、画像長調整値の精度を高める。
【0035】
ノズル列間距離の求め方の詳細は、各ノズルの重心位置を求めた後、記録ヘッド2毎に重心位置の平均を算出して、プリンタタイプ毎に前記対応する方向の重心位置平均の差をノズル列間の距離としている。ノズルの重心位置及びノズル列間の距離の測定方法については、以下の図4に示す測定装置を参照して説明する。.
図4は、本実施形態における記録ヘッド2のノズル重心位置を測定する装置を示している。ノズル重心位置の測定で用いているヘッド間距離測定機器29は、2台以上のCCDカメラ30(CCDカメラ30A及びCCDカメラ30B)と、主走査方向(あるいは副走査方向)に駆動可能で各CCDカメラを支持しているステージ31と、記録ヘッド2が組みつけられているキャリッジ3を支持するキャリッジ支持台32と、処理制御部18から構成される。
【0036】
使用方法は、まずユーザが、記録ヘッド2を組付けたキャリッジ3をキャリッジ支持台32にセットする。その後、ユーザが入力部20から測定命令を入力して、命令を受信した処理制御部18によって、CCDカメラ30が制御される。CCDカメラ30は、対象とする記録ヘッド2のノズル列を撮像する。
【0037】
CCDカメラによる撮像可能範囲が仕様上、1〜5個程度のノズルしか撮像できない場合には、ユーザが入力部20に入力して、処理制御部18を通して、ステージの移動制御を行う。この制御に従ってステージを主走査方向に移動させることで、撮像されるノズル数を増加させる。このように、データのサンプル数を増加させることで、ノズル列の位置算出精度を向上させることができる。
【0038】
各CCDカメラ30の互いの焦点位置間距離は、予め校正されており、焦点間距離は既知である。撮像したノズル列の画像データから、処理制御部18で画像処理を行い、ノズルの重心位置を求める。ここで求められたノズルの重心位置とCCDカメラ30の互いの焦点位置間距離を基に、ノズル列間距離を算出する。算出したノズル列間距離は、記憶部24に記録される。
【0039】
図5(a)は、プリントタイミング調整で記録するテスト記録媒体13の概略を示している。尚、図5(a),(b)及び以下の説明では、図3(a),(b)と同様に、記録ヘッド2Cと記録ヘッド2Yの組合せを例に示している。しかし、プリントタイミング調整においては、記録ヘッド2内に備わっている各ヘッドの全組合せを対象に調整している。
【0040】
以下の説明では、図5(a)によるラインプリンタをモデルにした説明であるが、シリアルプリンタである場合も、図5(b)に示すように、記録媒体12上に記録するパターンにおいて基準とする方向が異なるが、調整原理は同様である。
【0041】
プリントタイミング調整で記録するパターンは、記録ヘッド2C及び記録ヘッド2Yからインクを吐出して、記録媒体12上の副走査方向における任意の1つの位置に描かれる副走査方向1ライン分のドット或いは、ドット群(ドット数≧2)である。このように描かれた画像データを、ユーザが入力部20を操作して、処理制御部18からプリンタ制御部14に送信する。この画像データは、記憶部24に予め記憶されている。
【0042】
インク吐出速度の違いや媒体搬送1パルス当りの搬送量が設計値と異なっていると、ここで描かれた各記録ヘッド2に対応するドット或いはドット群は互いにズレが副走査方向で生じる。プリントタイミング調整では、前記ズレ量を減少させるため、このズレ量を測定し、各記録ヘッド2に対して、プリントタイミング(インク吐出タイミング)補正値を設定する。
【0043】
このとき、記録ヘッド2C及び記録ヘッド2Yによって、記録媒体12上の副走査方向における任意の1つの位置に記録されるドット或いは、ドット群のズレ量を測定することで、互いに離れた位置にあるドット或いはドット群の距離を測定するときに比べて、湿気等による記録媒体12の伸縮を要因とする測定誤差を低減する。
【0044】
ここで、プリントタイミング調整完了時において、前記ズレ量が補正された後、記録ヘッド2Cからドット或いはドット群が記録されてから記録ヘッド2Yからドット或いはドット群が記録されるまでに、パルスエンコーダ4から出力された媒体搬送パルス数を記憶部24で記憶しておく。
【0045】
次に、図6に示すフローチャートを参照して、第1の実施形態の画像長調整(1パルス当りの媒体搬送量の算出)の動作手順について説明する。この図6におけるフローチャートにおいて、以下のように表記している。尚、以降のフローチャートにおいても同様である。第1記録ヘッド位置から第2記録ヘッド位置までの配置間隔を示すノズル列間距離設計値は、head Distance Theoreticalと表記する。記録媒体搬送量に相当するエンコーダパルス数は、pulse NumberABと表記する。記録媒体搬送方向における記録位置ずれ量は、timing gap ABと表記する。記録位置ずれ量に対応するパルス補正量は、pulseβと表記する。画像長調整値は、image Lengthと表記する。
【0046】
以下の説明において、記録ヘッド2C及び記録ヘッド2Yを一例とするため、[2C]を[A]とし、[2Y]を[B]としている。勿論、記録ヘッド2C及び記録ヘッド2Yに限定されるものではなく、他にも副走査方向で異なる位置に配置されている記録ヘッド2の組合せであれば、用いることができる。図7(a)は、2つの記録ヘッド間の記録媒体12を搬送するのに必要とされる設計上の搬送パルス数(pulseAB Theoretical)について説明するための図、図7(b)は、2つの記録ヘッド間の記録媒体12を搬送するのに必要とされる記録ヘッド間設計距離(head Distance Theoretical)について説明するための図である。
【0047】
まず、図7(b)に示す記録ヘッドAと記録ヘッドB間の設計距離(head Distance Theoretical)において、図7(a)に示す記録媒体12を搬送するのに必要とされる設計上の搬送パルス数(pulseAB Theoretical)を、搬送パルス変数pulse NumberABに代入する(ステップS1)。尚、図7(b)の設計距離は、実測値(head Distance Real)であってもよい。また、図7(a)おける搬送パルス数は、実測値(pulseAB Real:1head Distance Realに基づいて算出された値)であってもよい。
【0048】
プリンタ用記憶部22には、搬送パルス数pulse AB Theoretical(設計値)が予め記憶されており、搬送パルス変数pulse NumberAB用の領域も確保されている。これらの代入処理は、プリンタ1の初起動時にプリンタ制御部14によって行われる。尚、プリンタ用記憶部22は、不揮発メモリであるため、搬送パルス変数pulse NumberABに代入された値は、プリンタ1の電源がOFF状態に移行しても記憶されている。
【0049】
次に、ユーザが入力部20からテスト画像の記録命令を入力する。この記録命令を受信した処理制御部18は、テスト画像データをテストパターン記憶領域28から読み込み、テスト画像データと記録命令をプリンタ制御部14にLAN経由で送信する。画像データを受信したプリンタ制御部14は、ピックアップローラ11と、搬送機構6と、記録ヘッド2を駆動させて、記録媒体12に対する記録動作を行う(ステップS2)。この記録動作において、記録ヘッドAによる記録動作からパルスエンコーダ4によって出力されるパルス数をカウントしている。カウントしたパルス数が搬送パルス変数pulse NumberABに達したときに、記録ヘッドBによる記録動作が行われ、図5(a)に示すように、テスト記録媒体13には、副走査方向に連続する1ライン分で、且つ1つ以上のドットから成るドット群を形成する。尚、以下の説明において、図7乃至図9、図13乃至図15、図17、図19において、テスト記録媒体13は、一例として、記録ヘッドA及び記録ヘッドBによってテスト画像が記録された記録媒体として説明する。尚、図19において、ピックアップローラの位置と前記各記録ヘッドの位置は、drA,drBと表記する。
【0050】
次に、ユーザは、記録済みのテスト記録媒体13を、画像読取機器15にセットし、入力部20から画像読取命令を入力する。命令を受信した処理制御部18は、画像読取制御部16に対して画像読取命令をUSB経由で送信する。命令を受信した画像読取制御部16は、CCD又はCMOS等の個体撮像素子からなるラインセンサで構成される画像読取部17を駆動して、セットされたテスト記録媒体13全域を撮像し、画像データに変換して処理制御部18に送信する。画像データを受信した処理制御部18は、テスト記録媒体13上に記録された各記録ヘッド2に対応するそれぞれのドット群(ドット数≧1)の副走査方向における重心位置の平均座標dot GroupYAとdot GroupYB(図8参照)を、2値化やパターンマッチングなどによる画像処理で抽出する(ステップS3)。
【0051】
また、図8に示すように、各記録ヘッドA,Bに対応するドット群の副走査方向におけるズレ量timing Gap ABを、ステップS3で求めた平均座標dot GroupYAとdot GroupYBの差分から算出する(ステップS4)。
【0052】
上記ステップS4において算出されたドット群ズレ量timing GapABを予め定められた規格値と比較する(ステップS5)。この比較において、規格値内であれば(YES)、後述するステップS8に移行する。一方、ドット群ズレ量timing GapABが規格値外であれば(NO)、インク吐出タイミング補正値pulseβを算出する(ステップS6)。
【0053】
つまり、ステップS4で求めたドット群ズレ量timing GapABの値に基づいて、図9に示すように、記録ヘッドBに対応するドット群が記録ヘッドAに対応するドット群よりも副走査方向上流側に位置していた場合には、記録ヘッドBによるインク吐出タイミングを早める補正値pulseβ(timing GapABの物理距離からタイミング調整値用のパルス数に変換した値)を算出する。また、記録ヘッドBに対応するドット群が記録ヘッドAに対応するドット群よりも副走査方向下流側に位置していた場合は、記録ヘッドBによるインク吐出タイミングを遅延させる補正値pulseβを算出する。このとき、インク吐出タイミング補正単位は、本実施形態においては、例えば、1/32ドット分に設定している。
【0054】
次に、搬送パルス変数pulse NumberABに、ステップS6で求めたインク吐出タイミング補正値pulseβを加算して、タイミング調整を行う(ステップS7)。この調整によって、記録ヘッドA或いは、記録ヘッドBのインク吐出タイミングが調整され、各記録ヘッドA,Bによるドット群の記録を行った時に、記録媒体12上の副走査方向における任意の1つの位置に互いのドット群が重なる。これらのステップS1−S7の処理工程は、プリントタイミング調整工程となる。
【0055】
前述したステップS5の比較において、ドット群ズレ量timing GapABが規格値内であった場合、プリンタ用記憶部22から、搬送パルス変数pulse NumberAB及び記憶部24から記録ヘッドAと記録ヘッドB間設計距離head Distance Theoreticalをそれぞれに読込む(ステップS8)。尚、記録ヘッドAと記録ヘッドB間の設計距離は、予めユーザが入力部20から入力を行い、記憶させておく。
【0056】
ステップS8で読込んだ記録ヘッドAと記録ヘッドB間距離head Distance Theoretical(図7(b))を、ステップS7で読込んだpulse NumberABで割り、媒体搬送1パルス当りの媒体搬送量を求める(ステップS9)。これらのステップS8,S9の処理工程は、画像長調整工程となる。
【0057】
以上のように、媒体搬送1パルス当りの媒体搬送量を求めるにあたり、例えば記録ヘッドAからドット群を記録した後、記録媒体を媒体搬送1パルス分搬送させて、再び記録ヘッドAからドット群を記録し、2つのドット群間距離を測定する方法の場合、湿気等によって媒体が伸縮する現象から、2つのドット群間距離の測定結果の信頼性が低下すると共に精度も低下している可能性がある。
【0058】
これに対して、本実施形態は、記録媒体の伸縮の影響を受けないようにするため、記録ヘッドA及び記録ヘッドBに対応するドット群が記録媒体12上の任意の位置で副走査方向に対して重なっているときの媒体搬送パルス数と、記録ヘッドAと記録ヘッドB間のヘッド間設計距離を用いている。これにより、記録位置が互いに離れたドット群間の距離を利用する方法に比べて、高精度な媒体搬送1パルス当りの媒体搬送量を求めることができる。
【0059】
次に、第2の実施形態について説明する。
図10に示すフローチャートを参照して、第2の実施形態に係る画像長調整(1パルス当りの媒体搬送量の算出)の動作手順について説明する。尚、本実施形態の説明において、前述した第1の実施形態と同じ動作手順(ステップS5−S9)においては、同じステップ番号を付して、その説明を簡略化する。
【0060】
本実施形態は、シリアルプリンタに対応する動作手順である。この動作手順では、搬送パルス数を求めるにあたって基準としていた方向を主走査方向に変更し、任意の2つの記録ヘッドA[2C]とB[2Y]間距離において、媒体搬送ではなく、キャリッジ搬送とする点である。
【0061】
まず、記録ヘッドAと記録ヘッドB間の設計距離b(μm)において、キャリッジ搬送で要する設計上の搬送パルス数a(pulse AB Theoretical)を、搬送パルス変数pulse NumberABに代入する(ステップS11)。プリンタ用記憶部22には、搬送パルス数pulse AB Theoretical(設計値)が予め記憶されており、搬送パルス変数pulse NumberAB用の領域も確保されている。これらの代入処理は、プリンタ1の初起動時にプリンタ制御部14によって行われる。尚、プリンタ用記憶部22は、不揮発メモリであるため、搬送パルス変数pulse NumberABに代入された値は、プリンタ1の電源がOFF状態に移行しても記憶されている。
【0062】
次に、画像データを受信したプリンタ制御部14は、ピックアップローラ11と、搬送機構6と、各記録ヘッドA,Bを駆動させて、記録媒体12に対する記録動作を行う。記録ヘッドAによる記録動作により、パルスエンコーダ4から出力されるパルス数が搬送パルス変数pulse NumberABに達したときに、記録ヘッドBによる記録動作が行われ、図5(b)に示すように、キャリッジ搬送方向である主走査方向に1ライン分かつ1つ以上のドットから成るドット群を形成する(ステップS12)。
【0063】
次に、ユーザの指示による処理制御部18からの読取命令を受けた画像読取制御部16は、画像読取部17を駆動して、セットされたテスト記録媒体13全域を撮像し、画像データを生成する。
【0064】
その画像データを受信した処理制御部18は、テスト記録媒体13上に記録された各記録ヘッドA,Bに対応するそれぞれのドット群(ドット数≧1)の主走査方向における位置を、2値化やパターンマッチングなどによる画像処理で各ドット群の重心位置の平均座標dot GroupYAとdot GroupYBを抽出する(ステップS13)。これらの平均座標dot GroupYAとdot GroupYBの差分から各記録ヘッドA,Bに対応するドット群の主走査方向におけるズレ量timing Gap ABを算出する(ステップS14)。
【0065】
以降、前述したステップS5乃至ステップS9に従った動作手続が行われる。
ドット群ズレ量timing GapABを予め定められた規格値と比較し(ステップS5)、格値外であれば(NO)、インク吐出タイミング補正値pulseβを算出し(ステップS6)、搬送パルス変数pulse NumberABに、ステップS6で求めたインク吐出タイミング補正値pulseβを加算して、タイミング調整を行う(ステップS7)。これらのステップS11−S14及び、ステップS5−S7の処理工程は、プリントタイミング調整工程となる。
【0066】
一方、比較において、規格値内であれば(YES)、搬送パルス変数pulse NumberAB及記録ヘッド間設計距離head Distance Theoreticalを読込む(ステップS8)。読込んだ記録ヘッド間設計距離head Distance Theoreticalをpulse NumberABで割り、キャリッジ搬送1パルス当りのキャリッジ搬送量を求める(ステップS9)。これらのステップS8,S9の処理工程は、画像長調整工程となる。
【0067】
以上のように本実施形態によれば、シリアルプリンタに対応する動作手順において、記録媒体の伸縮の影響を受けないようにするため、記録ヘッドA及び記録ヘッドBに対応するドット群が記録媒体12上の任意の位置で主走査方向に対して重なっているときのキャリッジ搬送パルス数と、記録ヘッドAと記録ヘッドB間のヘッド間設計距離を用いている。これにより、記録位置が互いに離れたドット群間の距離を利用する方法に比べて、高精度なキャリッジ搬送1パルス当りのキャリッジ搬送量を求めることができる。
【0068】
次に第3の実施形態について説明する。
図11に示すフローチャートを参照して、第3の実施形態に係る画像長調整(1パルス当りの媒体搬送量の算出)の動作手順について説明する。尚、本実施形態の説明において、前述した第1の実施形態と同じ動作手順(ステップS2−S7)においては、同じステップ番号を付して、その説明を簡略化する。本実施形態は、記録ヘッド間距離を設計値から実測値に変更したことが前述した第1の実施形態との相違点である。また、図11において、実測された第1記録ヘッド位置から第2記録ヘッド位置まで配置間隔は、head Distance Realと表記する。
【0069】
まず、図4に示したヘッド間距離測定機器29の各CCDカメラ30A,30Bを用いて記録ヘッド2のノズル列を撮像する。撮像したノズル列の画像データから、処理制御部18で画像処理を行い、ノズルの重心位置を求める。ここで求められたノズルの重心位置とCCDカメラ30の互いの焦点位置間距離を基に、平均ノズル列間距離実測値head Distance Realを測定する(ステップS21)。測定した平均ノズル列間距離実測値は、図示していないがLAN経由で、データサーバ或いは、記憶部24に記録する(ステップS22)。
【0070】
次に、ステップS22において、記憶されているhead Distance Realを読み出し、任意の2つの記録ヘッドAとB間距離の媒体搬送で要する搬送パルス数であるノズル列間距離実測値pulse AB Realを算出する(ステップS23)。本実施形態では、1パルス当りの設計上の搬送量を1ドット分(84.5μm)に設定しており、head Distance Realから搬送パルス数pulse AB Realを算出するにあたって生じる端数は、インク吐出タイミング補正値pulseβ’で補う。これらのステップS21−S23の処理工程は、ヘッド間距離測定工程となる。
【0071】
次に、ユーザが入力部20からテスト記録媒体13の記録命令を入力する。プリンタ制御部14は、記録命令に従い、記録媒体12に対する記録動作を行う。この記録動作は、まず、pulse Number AB Real及びインク吐出タイミング補正値pulseβ’を搬送パルス変数pulse NumberABに代入する(ステップS24)。続いて、記録動作の開始時からカウントしたパルス数が搬送パルス変数pulse NumberABに達したときに、記録ヘッドBによる記録動作が行われ、図5(a)に示すように、テスト記録媒体13には、副走査方向に連続する1ライン分で、且つ1つ以上のドットから成るドット群を形成する(ステップS2)。
【0072】
次に、テスト記録媒体13上に記録された各記録ヘッドA,Bに対応するそれぞれのドット群(ドット数≧1)の副走査方向の各ドット群の重心位置の平均座標dot GroupYAとdot GroupYBを抽出する(ステップS3)。また、各記録ヘッド2に対応するドット群の副走査方向におけるズレ量(副走査方向座標差分)timing Gap ABを、ステップS3で求めた平均座標dot GroupYAとdot GroupYBの差分から算出し(ステップS4)、予め定められた規格値と比較する(ステップS5)。この比較において、ドット群ズレ量timing GapABが規格値外であれば(NO)、インク吐出タイミング補正値pulseβを算出する(ステップS6)。この補正値pulseβを用いたインク吐出タイミング調整により、各記録A,Bにおいて、記録媒体12上の副走査方向における任意の1つのドット群の記録位置に互いのドット群が重なる。(ステップS7)。これらのステップS24,S2−S7の処理工程は、プリントタイミング調整工程となる。
【0073】
一方、上記比較において、規格値内であれば(YES)、記憶部22から、搬送パルス変数pulse NumberAB及び記憶部24から平均ノズル列間距離実測値(記録ヘッド間実測値)head Distance Realを読込む(ステップS25)。ステップS25で読込んだhead Distance Realをpulse NumberABで割り、画像長調整値となる媒体搬送1パルス当りの媒体搬送量を求める(ステップS26)。これらのステップS25,S26の処理工程は、画像長調整工程となる。
【0074】
以上のように本実施形態では、画像調整値を算出するにあたり、記録ヘッド間距離を設計値から実測値とすることにより、前述した第1の実施形態に比べて、より高精度に画像長調整値を求めることができる。
【0075】
次に、第4実施形態について説明する。
図12に示すフローチャートを参照して、第4の実施形態に係る画像長調整(1パルス当りの媒体搬送量の算出)の動作手順について説明する。尚、本実施形態の説明において、前述した第1の実施形態と同じ動作手順(ステップS1,S5−S9)においては、同じステップ番号を付して、その説明を簡略化する。
【0076】
本実施形態は、媒体搬送パルス数の1パルス当りの媒体搬送距離が、搬送ローラの偏心によって、周期的に変動することがある。この周期的な搬送距離ムラによって、図5(a)に示すテスト記録媒体13の形成で、記録ヘッドA[2C]及び記録ヘッドB[2Y]によるドット群を記録する際の記録媒体12上の位置が異なる都度、パルスエンコーダ4から得られる媒体搬送パルス数も異なってくる。このようにして得られた媒体搬送パルス数から算出した画像長調整値を利用すると、精度が低下する。
【0077】
そこで本実施形態では、搬送距離ムラを原因とするため、テスト記録媒体13aに複数のラインを描き、得られた媒体搬送パルス数の平均値を、画像長調整値の算出に利用して、画像長調整の精度低下を防止する。
【0078】
まず、記録ヘッドAと記録ヘッドB間の設計距離(head Distance Theoretical)μmにおいて、記録媒体12を搬送するのに必要とされる設計上の搬送パルス数(pulse AB Theoretical)を、搬送パルス変数pulse NumberABに代入する(ステップS1)。
【0079】
次に、媒体搬送パルス数を求めるときに形成しているドット群を、図15に示すように搬送ローラ1/4周期に合わせて副走査方向に少なくとも4ラインを描いたテスト記録媒体13aとする。図15において、L0は、基準位置、Lrは、搬送ローラ周期長とする。即ち、搬送ローラ周期長Lr×i/Nd(i=1,2,3,…,Nd、Nd≧4、且つNd/2=0)に対応するパルスタイミング毎に記録媒体上に副走査方向1ライン分のドット群(ドット数≧1)Nd個を記録ヘッドAから記録する。その後、記録媒体がpulse Number AB分を搬送された時、記録ヘッドBにおいても同様に記録を行う。この記録された記録媒体の画像読込・画像処理を行う(ステップS41)。その後、図13に示すように、各ドット群の副走査方向のそれぞれ平均座標dot GroupYAi(i=1,2,3,…,Nd)とdot GroupYBi(i=1,2,3,…,Nd)を抽出する(ステップS42)。
【0080】
次に、図14に示すように、dot GroupYAi(i=1,2,3,…,Nd)の平均値dot Group Average YAと、dot Group YBi(i=1,2,3,…,Nd)の平均値dot Group Average YBを求める(ステップS43)。その後、副走査方向座標差分timing Gapをdot Group Average YAとdot Group Average YBの差から求める(ステップS44)。即ち、timing Gap AB = dot Group Average YA − dot Group Average YBである。
【0081】
以降は、前述したステップS5−S9の処理に従った動作手続が行われ、画像長調整値が求められる。副走査方向座標差分timing Gap ABと、予め定められた規格値と比較する(ステップS5)。この比較において、ドット群ズレ量timing GapABが規格値外であれば(NO)、インク吐出タイミング補正値pulseβを算出する(ステップS6)。この補正値pulseβを用いたインク吐出タイミング調整により、各記録A,Bにおいて、記録媒体12上の副走査方向における任意の1つのドット群の記録位置に互いのドット群が重なる。(ステップS7)。これらのステップS1,S41−44,S5−S7の処理工程は、プリントタイミング調整工程となる。
【0082】
一方、比較において、規格値内であれば(YES)、搬送パルス変数pulse NumberAB及記録ヘッド間設計距離head Distance Theoreticalを読込む(ステップS8)。読込んだ記録ヘッド間設計距離head Distance Theoreticalをpulse NumberABで割り、媒体搬送1パルス当りの媒体搬送量を求める(ステップS9)。これらのステップS8,S9の処理工程は、画像長調整工程となる。
【0083】
以上のように、本実施形態では、搬送距離ムラを原因とするため、テスト記録媒体13aに複数のラインを描き、得られたむ媒体搬送パルス数の平均値を、画像長調整値の算出に利用して、画像長調整の精度低下を防止することができる。
【0084】
本実施形態では、図5(a)に示すテスト記録媒体13のテストパターンから、図15に示す搬送ローラ周期長1/Nd(Nd=4)周期毎に連続して、記録ヘッドA及び記録ヘッドBから、それぞれに複数のドット群が描かれているテスト記録媒体13aのテストパターンに変更する。尚、本実施形態では、ローラ偏心による搬送むら対策として、周長の1/4分割当たりのタイミングで形成される4本のラインをテストパターン画像として説明したが、これに限定されるものではなく、複数に分割すれば良いので、Nd=4に限定されるものではない。そして、記録したドット群全てを対象に、副走査方向の平均座標を求め、さらに、副走査方向座標差分timing Gapを、記録したドット群全ての平均値から求めている。
【0085】
よって、本実施形態によれば、前述した第1の実施形態の効果に加えて、さらに搬送ローラの偏心による周期的な変動に対応でき、高精度に画像長調整値を求めることができる。
【0086】
次に、第5実施形態について説明する。
図16に示すフローチャートを参照して、第5の実施形態に係る画像長調整(1パルス当りの媒体搬送量の算出)の動作手順について説明する。尚、本実施形態の説明において、前述した第1の実施形態と同じ動作手順(ステップS1及びS5−S9)においては、同じステップ番号を付して、その説明を簡略化する。
【0087】
前述したように、搬送ベルトの厚みムラによって、媒体搬送パルス数1パルス当りの媒体搬送距離が変動することがある。本実施形態にも、第4実施形態で説明した現象と同様な画像長調整精度の低下が生じる。本実施形態では、搬送ベルト厚みムラによる搬送距離ムラを原因とする画像長調整の精度低下を低減するため、第4の実施形態で利用するテストパターンを、ベルト周長に相当する記録領域全域に亘って、拡張した図17に示すテスト記録媒体13bのパターンに変更する。このテスト記録媒体13bのテストパターンは、搬送ローラ周期長1/4周期毎に連続して、記録ヘッドA及び記録ヘッドBから記録されるドット群が描かれ、且つ同様の周期毎にベルト周長に相当する記録領域全域に亘って描かれている。
【0088】
まず、任意の2つの記録ヘッドAと記録ヘッドB間の距離で媒体搬送に要する設計上の搬送パルス数pulseABTheoreticalを搬送パルス変数pulse NumberABに代入する(ステップS1)。即ち、pulse NumberAB=pulseABTheoreticalとなる。
【0089】
次に、搬送ローラ周期長Lr ×i/Nd(i=1,2,3…,Nd、但し、Nd≧4且つNd/2=0)に対応するパルスタイミング毎に記録媒体13上に副走査方向1ライン分のドット群(ドット数≧1)Nd×Nr個(NrILr×Nr≦副走査方向長さとなる自然数(0含む))をヘッドAから記録する(ステップS61)。尚、記録ヘッドAによる初回記録の後、記録媒体がpulse NumberAB分搬送された時に、記録ヘッドBからも同様の記録を行う。
【0090】
さらに、記録された記録媒体13の画像読込・画像処理を行い、各ドット群の副走査方向のそれぞれ平均座標dot GroupYAi(i=1,2,3,…,Nd×Nr)とdot GroupYBi(i=1,2,3,…,Nd×Nr)を抽出する(ステップS62)。引き続き、dot GroupYAi(i=1,2,3,…,Nd×Nr)の平均値dot Group AverageYAとdot Group YBi(i=1,2,3,…,Nd×Nr)の平均値dot Group AverageYBを求める(ステップS63)。
【0091】
その後、副走査方向座標差分timing Gapをdot Group AverageYAとdot Group AverageYBの差から求める(ステップS64)。即ち、timing GapAB=dot Group AverageYA−dot Group AverageYBである。
【0092】
これらの平均座標dot GroupYAとdot GroupYBの差分から各記録ヘッドA,Bに対応するドット群の主走査方向におけるズレ量timing Gap ABを算出し、予め定められた規格値と比較する(ステップS5)。この比較において、ドット群ズレ量timing GapABが規格値外であれば(NO)、インク吐出タイミング補正値pulseβを算出する(ステップS6)。この補正値pulseβを用いたインク吐出タイミング調整により、各記録ヘッドA,Bにおいて、記録媒体12上の副走査方向における任意の1つのドット群の記録位置に互いのドット群が重なる。(ステップS7)。これらのステップS1,S61−S64及びS5−S7の処理工程は、プリントタイミング調整工程となる。
【0093】
一方、比較において、規格値内であれば(YES)、搬送パルス変数pulse NumberAB及記録ヘッド間設計距離head Distance Theoreticalを読込む(ステップS8)。読込んだ記録ヘッド間設計距離head Distance Theoreticalをpulse NumberABで割り、媒体搬送1パルス当りの媒体搬送量を求める(ステップS9)。これらのステップS8,S9の処理工程は、画像長調整工程となる。
【0094】
本実施形態では、連続記録媒体を用いてベルト周長に相当する記録領域を確保しているが、これに限定されるものではなく、これに限定されず、1枚の使用可能な最大のカットシートを用いて、上記画像長調整を実施することも可能である。
【0095】
よって、本実施形態によれば、前述した第1の実施形態の効果に加えて、さらに搬送ローラの偏心による周期的な変動に対して、ベルト周長分にわたる記録領域全域に対応して、高精度に画像長調整値を求めることができる。
【0096】
次に、第6実施形態について説明する。
図18に示すフローチャートを参照して、第6の実施形態に係る画像長調整(1パルス当りの媒体搬送量の算出)の動作手順について説明する。尚、本実施形態の説明において、前述した第1の実施形態と同じ動作手順(ステップS1及びS3−S9)においては、同じステップ番号を付して、その説明を簡略化する。
【0097】
通常、記録媒体12を記録媒体供給部9から搬送機構6まで搬送する際に、ピックアップローラ11を回転させている。このとき、ピックアップローラ11による媒体搬送速度(ローラ回転速度)が、搬送機構6の媒体搬送速度よりも低い場合、記録媒体12がピックアップローラ11から離れる(接触状態から非接触状態になる)とき、記録媒体12の搬送速度が一瞬変化する。さらに、ピックアップローラ11による記録媒体12の搬送方向の角度と搬送機構6による搬送方向の角度とがズレている場合、記録媒体12に歪みが生じる。この歪みによって、記録媒体12がピックアップローラ11から離れるとき、記録媒体12が元の形に戻ろうとする作用が働き、記録媒体12に振動が一瞬生じる。そのような“一瞬”の際に画像記録を行っていると、副走査方向で形成されるドット群の位置にズレが生じる場合がある。本実施形態は、このズレを防止するため、記録媒体12がピックアップローラ11から離れる瞬間には、記録ヘッド2で対応する記録ヘッドでは記録を行わないテストパターンとする。
【0098】
まず、任意の2つの記録ヘッドAと記録ヘッドB間の距離で媒体搬送に要する設計上の搬送パルス数pulseABTheoreticalを搬送パルス変数pulse NumberABに代入する(ステップS1)。
【0099】
次に、記録媒体13上に副走査方向1ライン分のドット群(ドット数≧1)を記録ヘッドAから記録した後、記録媒体がpulse NumberAB分搬送された時、記録ヘッドBからも記録する。但し、ピックアップローラ11と各記録ヘッドA,b間のそれぞれの距離をdrAとdrBと設定する。この時に、記録媒体13上において、後端エッジから先端に向かって、距離drAとdrBの位置周辺にはドット群を記録しないようにする(ステップS81)。
【0100】
その後、ステップS3乃至S9の処理を行う。即ち、記録された記録媒体の画像読込・画像処理を行い、各ドット群の副走査方向のそれぞれ平均座標dot GroupYAとdot GroupYBを抽出する(ステップS3)。その後、副走査方向座標差分timing GapABをdot GroupYAとdot GroupYBの差から求める(ステップS4)。この差、即ち、ズレ量timing Gap ABを算出し、予め定められた規格値と比較する(ステップS5)。この比較において、ドット群ズレ量timing GapABが規格値外であれば(NO)、インク吐出タイミング補正値pulseβを算出する(ステップS6)。この補正値pulseβを用いたインク吐出タイミング調整により、各記録A,Bにおいて、記録媒体12上の副走査方向における任意の1つのドット群の記録位置に互いのドット群が重なる。(ステップS7)。これらのステップS1,S81及びS5−S7の処理工程は、プリントタイミング調整工程となる。
【0101】
一方、比較において、規格値内であれば(YES)、搬送パルス変数pulse NumberAB及記録ヘッド間設計距離head Distance Theoreticalを読込む(ステップS8)。読込んだ記録ヘッド間設計距離head Distance Theoreticalをpulse NumberABで割り、媒体搬送1パルス当りの媒体搬送量を求める(ステップS9)。これらのステップS8,S9の処理工程は、画像長調整工程となる。
【0102】
図19に示すように、本実施形態は、ピックアップローラ11から記録ヘッドA[2C]及び記録ヘッドB[2Y]までの距離をそれぞれdrAとdrBとした時に、記録媒体13上において、後端エッジから先端に向かって距離drAの位置には、記録ヘッドAによる記録は行わず、距離drBの位置には、記録ヘッドBによる記録を行わないテストパターンとした。
【0103】
従って、副走査方向で形成されるドット群の位置にズレが生じたとしても、そのズレの影響がないテストパターンにより画像長調整を行うことができ、より高精度な画像長調整値を求めることができる。
【0104】
次に、第7実施形態について説明する。
図20に示すフローチャートを参照して、第7の実施形態に係る画像長調整(1パルス当りの媒体搬送量の算出)の動作手順について説明する。尚、本実施形態の説明において、前述した第1の実施形態と同じ動作手順(ステップS2−S9)においては、同じステップ番号を付して、その説明を簡略化する。
【0105】
通常、図5(a)に示すテスト記録媒体13を出力するとき、任意の2つの記録ヘッド2間の媒体搬送に要する媒体搬送パルス数を得ている。このとき、任意の2つの記録ヘッド2が、副走査方向で近距離に配置されているほど、得られる媒体搬送パルス数は短い区間でのサンプリングとなり、画像長調整精度が低下する。
【0106】
そこで、本実施形態では、画像調整精度を向上させるため、備え付けられている複数の記録ヘッド2のうち、媒体搬送パルス数の取得対象とする2つの記録ヘッドA,Bは、最大距離を持つ組合せとする。即ち、任意の2つの記録ヘッド2を、ノズル列間距離が最大である組合せを選択するように規定している。この規定を図1に示すシステム構成例で示すと、記録ヘッドA[2C]と記録ヘッドB[2Y]の組合せがノズル列間距離最大であり、この組合せを対象に画像長調整値の算出を行う。
【0107】
まず、ヘッドノズル列間距離が複数ヘッドの組合せの中で最大距離を持つ2つの記録ヘッドAとB間の距離で、媒体搬送に要する設計上の搬送パルス数pulseABTheoreticalを搬送パルス変数pulse NumberABに代入する(ステップS91)。即ち、Pulse NumberAB=pulseABTheoreticalとする。
【0108】
その後、ステップS2乃至S9の処理を行う。即ち、記録媒体上に副走査方向1ライン分のドット群(ドット数≧1)を記録ヘッドAからテストパターンを記録した後、記録媒体13がpulse NumberAB分搬送された時に、記録ヘッドBからもテストパターン記録する(ステップS2)。記録された記録媒体の画像読込・画像処理を行い、各ドット群の副走査方向のそれぞれ平均座標dot GroupYAとdot GroupYBを抽出する(ステップS3)。
【0109】
引き続き、副走査方向座標差分timing GapABをdot GroupYAとdot GroupYBの差から求める(ステップS4)。この差、即ち、ズレ量timing Gap ABを算出し、予め定められた規格値と比較する(ステップS5)。この比較において、ドット群ズレ量timing GapABが規格値外であれば(NO)、インク吐出タイミング補正値pulseβを算出する(ステップS6)。この補正値pulseβを用いたインク吐出タイミング調整により、各記録A,Bにおいて、記録媒体12上の副走査方向における任意の1つのドット群の記録位置に互いのドット群が重なる。(ステップS7)。これらのステップS1,S81及びS5−S7の処理工程は、プリントタイミング調整工程となる。
【0110】
一方、比較において、規格値内であれば(YES)、搬送パルス変数pulse NumberAB及記録ヘッド間設計距離head Distance Theoreticalを読込む(ステップS8)。読込んだ記録ヘッド間設計距離head Distance Theoreticalをpulse NumberABで割り、媒体搬送1パルス当りの媒体搬送量を求める(ステップS9)。これらのステップS8,S9の処理工程は、画像長調整工程となる。
【0111】
以上説明したように、本実施形態によれば、任意の2つの記録ヘッド2を最大距離を持つ記録ヘッドA,Bに設定することにより、得られる媒体搬送パルス数は最大区間でサンプリングするため、他の記録ヘッドの組合せよりも、高い画像長調整精度を得ることができる。
【0112】
次に、第8実施形態について説明する。
図21に示すフローチャートを参照して、第8の実施形態に係る画像長調整(1パルス当りの媒体搬送量の算出)の動作手順について説明する。尚、 図21におけるフローチャートにおいて、以下のように表記している。第1記録ヘッド位置から第2記録ヘッド位置まで、また、第1記録ヘッド位置から第3記録ヘッド位置までの配置間隔である記録媒体搬送量に相当するエンコーダパルス数は、それぞれpulse NumberAtBx(Bx=第2記録ヘッド、第3記録ヘッド)と表記する。第1のテストパターン画像の記録位置に対する第2のテストパターン画像及び第1のテストパターン画像の記録位置に対する第3のテストパターン画像の記録位置のずれ量は、それぞれtiming GapAtBxと表記する。記録位置ずれ量に対応するパルス補正量は、pulseβxと表記する。算出された各パルス補正量の総和は、pulse Adjustment Totalと表記する。
【0113】
さらに、テストパターン画像を記録する記録ヘッド数(第2記録ヘッド、第3記録ヘッドの計2個)におけるパルス補正量の平均値は、pulse Adjustment Averageと表記する。 2つの記録ヘッドの配置間隔は、head Distance Theoreticalと表記する。該配置間隔に相当する記録媒体搬送量を示すエンコーダパルス数は、(pulse Number Theoreticalと表記する。補正後のエンコーダパルス数と2つの記録ヘッドの配置間隔は、head Distance Theoreticalと表記する。画像長調整値はimage Lengthと表記する。
【0114】
本実施形態は、3つ以上の記録ヘッドを用いて、補正エンコーダパルスの平均値を求め、この平均値(各ヘッド組共通の値となる)を各エンコーダパルス量に加算することにより、高精度に画像長調整値を求める例である。
【0115】
一般的に記録ヘッド2は、記録ヘッド毎にインクを吐出する速度が異なっているインク吐出速度ムラが生じている事態がある。そのため、説明するための仮定として、同じ距離を持つ複数ヘッドの組合せであっても、媒体搬送パルス数の取得対象とする2つの記録ヘッドの組合せ毎に、取得する媒体搬送パルス数は異なっている。
【0116】
そこで、本実施形態において、記録ヘッド2毎のインク吐出速度ムラによる媒体搬送パルス数取得の精度低下を低減するため、備え付けられている記録ヘッド2のうち、媒体搬送パルス数の取得対象とする記録ヘッドを、3つ以上且つ備え付けられている記録ヘッド数以下とする。以下に説明する本実施形態では、媒体搬送パルス数の取得対象とする記録ヘッド数を、1つの記録ヘッドAtを基準として、この基準ヘッドとの組合せる記録ヘッドBxを2つ以上で且つ、備え付けられている個数以下の記録ヘッドと規定する。尚、本実施形態では説明を簡単にするため、記録ヘッドBxは記録ヘッドAtよりも副走査方向下流側に位置する2つ以上の記録ヘッドと仮定して記載する。
【0117】
まず、記録ヘッドAtと他の2つ以上の記録ヘッドBx(Bx=A,B,C,…,Nh、At≠Bx)の組合せ毎に記録ヘッド間の距離で媒体搬送に要する設計上の搬送パルス数pulseAtBx Theoreticalを、各ヘッド間搬送パルス変数pulse NumberAtBxにそれぞれ代入する(ステップS101)。即ち、pulse NumberAtBx=pulseAtBx Theoretical(Bx=A,B,C,…,Nh、At≠Bx)となる。
【0118】
次に、各ヘッドのインク吐出タイミング補正値合計の記憶用変数を初期化する(ステップS102)。つまり、pulse Adjustment Total=0とする。
【0119】
次に、搬送パルス数pulse Number Theoretical= pulseAtBx Theoretical、記録ヘッドの配置間隔をhead Distance Theoretical=head DistanceAtBx Theoreticalに設定する(ステップS103)。
【0120】
引き続き、記録媒体13上に副走査方向1ライン分のドット群(ドット数≧1)を記録ヘッドAから記録された後、記録媒体13が、それぞれpulse NumberAtBx分搬送された時に、各記録ヘッドBxからも記録する(ステップS104)。これは、基準記録ヘッドAtによる記録動作から、パルスエンコーダ4から出力されるパルスカウント数が各搬送パルス変数pulse NumberAtBxに達する毎に、記録ヘッドBxによる記録動作を行うことである。
【0121】
次に、テストパターンが記録された記録媒体13の画像読込・画像処理を行い、各ドット群の副走査方向のそれぞれ平均座標dot GroupYAtとdot GroupYBx(Bx=A,B,C,…,Nh)を抽出する(ステップS105)。その後、副走査方向座標の各差分timing Gap AtBxをdot GroupYAtと各dot GroupYBxの差から求める(ステップS106)。即ち、timing GapAtBx = dot GroupYBx−dot GroupYAt(Bx=A,B,C,…,Nh、At≠Bx)となる。これは、記録したドット群全てを対象に、それぞれの副走査方向平均座標を求めている。そして、ここで求めた各平均値から、各ドット群の組合せ毎に副走査方向座標差分timing GapAtBxを求めている。尚、timing GapAtBxを求めるとき、本実施形態では、1つの記録ヘッド(=At)を基準に、他の各記録ヘッドと組合せた各ドット群の副走査方向座標差分timing GapAtBxを求めている。
【0122】
さらに、副走査方向座標差分timing GapAtBx(Bx=A,B,C,…,Nh、At≠Bx)が予め定めた規格値以下か否かを判定する(ステップS107)。即ち、timing GapAtBx≦規格値を判定する。この判定は、各ドット群の組合せ毎に求めた複数の副走査方向座標差分timing GapAtBxのそれぞれに対して、規格値との比較を行っている。この判定で、1つでも規格値外があれば(NO)、基準ではない一方の記録ヘッドのプリントタイミングを調整する。つまり、算出したtiming GapAtBxから記録ヘッドBxのインク吐出タイミング補正値pulseβx(但し、Bx=βx)を算出する(ステップS108)。
【0123】
次に、ヘッド間搬送パルス変数pulse NumberAtBxを pulse NumberAtBx+pulse/βxとする(ステップS109)。但し、Bx=βx=A,B,C,…,Nh、At≠Bxとする。そして、全ヘッド組合せのインク吐出タイミング補正値の合計を記憶する(ステップS110)。つまり、インク吐出タイミング補正値pulse Adjustment Totalとして、pulse Adjustment Total及び、pulseβxを記憶し、ステップS104にリターンする。これらのステップS101乃至ステップS110の処理工程は、プリントタイミング調整工程となる。
【0124】
一方、ステップS107において、副走査方向座標差分timing GapAtBxが規格値以下であれば(YES)、インク吐出タイミング補正値の平均を算出する(ステップS111)。つまり、平均は、Pulse Adjustment Average = pulse Adjustment Totalをヘッド組合せ数で除して求める。さらに、画像長調整値image Length は、head Distance Theoreticalを(pulse Number Theoretical + pulse Adjustment Average)で除すことにより、インク吐出タイミング補正値の平均が算出される。
【0125】
さらに、対象とした各記録ヘッドの組合せ毎の搬送パルス変数pulse NumberAtBxから媒体搬送パルス数の平均値pulse Number Average及び各ヘッド間設計距離head DistanceAtBx Theoreticalから平均ヘッド間設計距離head DistanceAtBx Theoretical Averageを算出する(ステップS112)。
以上のように本実施形態によれば、算出されたpulse Number Average及びhead DistanceAtBx Theoretical Averageから、画像長調整値を求めることができる。
【0126】
次に、第9実施形態について説明する。
図22に示すフローチャートを参照して、第9の実施形態に係る画像長調整(1パルス当りの媒体搬送量の算出)の動作手順について説明する。尚、22におけるフローチャートにおいて、以下のように表記している。第1記録ヘッド位置から第2記録ヘッド位置まで、また、第1記録ヘッド位置から第3記録ヘッド位置までの配置間隔である記録媒体搬送量に相当するエンコーダパルス数は、それぞれpulse NumberAtBx(Bx=第2記録ヘッド、第3記録ヘッド)と表記する。
【0127】
第1記録ヘッドと第2記録ヘッドとの配置間隔は、head DistanceAtBx[Atが1、Bxが2とする]と表記する。補正後のエンコーダパルス数は、pulse NumberAtBx[Atが1、Bxが2とする]と表記する。第1の画像長調整値は、image LengthAtBx[Atが1、Bxが2とする]と表記する。
【0128】
また、第1記録ヘッドと第3記録ヘッドとの配置間隔は、head DistanceAtBx[Atが1、Bxが3とする]と表記する。補正後のエンコーダパルス数は、pulse NumberAtBx[Atが1、Bxが3とする]と表記する。第2の画像長調整値は、image LengthAtBx[Atが1、Bxが3とする]と表記する。各画像長調整値の平均値は、image Length Averageと表記する。本実施形態は、3つ以上の記録ヘッドを用いて、各ヘッドの組合せから求められる各画像長調整値の平均値を求め、その平均値を画像長調整値とする例である。
【0129】
本実施形態のプリントタイミング調整工程において、前述した第8の実施形態と同じ動作手順(ステップS101、ステップS104乃至ステップS109)は、同じステップ番号を付して、その説明を簡略化する。以下に説明する本実施形態では、第8の実施形態と同様に、1つの記録ヘッドAtを基準として、この基準ヘッドとの組合せる記録ヘッドBxを2つ以上で且つ、備え付けられている個数以下の記録ヘッドと規定する。尚、本実施形態では説明を簡単にするため、記録ヘッドBxは記録ヘッドAtよりも副走査方向下流側に位置する2つ以上の記録ヘッドと仮定して記載する。
【0130】
まず、記録ヘッドAtと他の2つ以上の記録ヘッドBx(Bx=A,B,C,…,Nh、At≠Bx)の組合せ毎に記録ヘッド間の距離で媒体搬送に要する設計上の搬送パルス数pulseAtBx Theoreticalを、各ヘッド間搬送パルス変数pulse NumberAtBxにそれぞれ代入する(ステップS101)。
【0131】
次に、記録媒体13上に副走査方向1ライン分のドット群(ドット数≧1)を記録ヘッドAから記録された後、記録媒体13がそれぞれpulse NumberAtBx分搬送された時に、各記録ヘッドBxからも記録する(ステップS104)。
【0132】
次に、記録媒体13に記録されたテストパターンに基づき、各ドット群の副走査方向のそれぞれ平均座標dot GroupYAtとdot GroupYBx(Bx=A,B,C,…,Nh)を抽出する(ステップS105)。その後、副走査方向座標の各差分timing Gap AtBxをdot GroupYAtと各dot GroupYBxの差から求める(ステップS106)。
【0133】
さらに、副走査方向座標差分timing GapAtBx(Bx=A,B,C,…,Nh、At≠Bx)が予め定めた規格値以下か否かを判定する(ステップS107)。この判定で、1つでも規格値外があれば(NO)、基準ではない一方の記録ヘッドのプリントタイミングを調整する。算出したtiming GapAtBxから記録ヘッドBxのインク吐出タイミング補正値pulseβxを算出する(ステップS108)。次に、ヘッド間搬送パルス変数pulse NumberAtBxを pulse NumberAtBx+pulse/βxとし(ステップS109)、ステップS104にリターンする。これらのステップS101乃至ステップS109の処理工程は、プリントタイミング調整工程となる。
【0134】
前記ステップS107の判定において、副走査方向座標差分timing GapAtBxが予め定めた規格値以下であれば(YES)、各記録ヘッドAtBxのpulse NumberAtBxとノズル列間距離設計値head DistanceAtBx Theoretical(予め記憶していた各ヘッド間距離データから算出される)を読込む(ステップS121)。
【0135】
次に、記録ヘッドの組合せ毎の画像長調整値をそれぞれ算出する(ステップS122)。即ち、image LengthAtBx=head DistanceAtBx Theoretical/pulse NumberAtBx(Bx=A,B,C,…,Nh、At≠Bx)とする。
【0136】
ここで、求められた記録ヘッドの組合せ毎の画像長調整値の合計を代入する変数を初期化する(ステップS123)。例えば、image Length Total=0とする。引き続き、記録ヘッドの組合せ毎の画像長調整値を全て合計する(ステップS124)。これは、image Length Total=image Length Total+image Length AtBx(Bx=A,B,C,…,Nh、At≠Bx)とする。さらに、平均画像長調整値を求める(ステップS125)。平均画像長調整値image Length Average=image Length Total/記録ヘッドの組合せ数とする。
以上のように本実施形態によれば、算出されたimage Length Totalを記録ヘッドの組合せ数で除することで 画像長調整値を求めることができる。
【0137】
尚、以上説明した各実施形態において、以下のように定めている。
・主走査方向は、記録媒体幅方向又は、キャリッジ搬送方向(シリアルプリンタ)とする。副走査方向は、記録媒体搬送方向又は、キャリッジ搬送方向に垂直な方向とする。
・プリントタイミング調整は、各記録ヘッドから記録媒体上の副走査方向(又はキャリッジ搬送方向)の同じ位置に記録する際に、各色ドットがズレなく重なるように、ヘッド毎のインク吐出タイミングを設定する調整を意味する。(但し、例えば、調整単位:1/32ドットとする。)
・搬送パルス(ラインプリンタでは記録媒体搬送パルス及び、シリアルプリンタではキャリッジ搬送パルス)は、ラインプリンタにおいて、記録媒体搬送ローラ(又は、シリアルプリンタではキャリッジ搬送ローラ)が、回転されたときに回転周期に合わせて出力される信号とする。本実施形態において、搬送機構を構成する全部品が理論値で形成されている場合の設計上、1パルス当りの搬送量は、1ドット(84.5μm)分となる。
【0138】
・任意の2つのヘッドAB間設計距離は、設計(又は実測)において、距離任意の2つの記録ヘッドAとBのノズル間距離をいう。特に、指定していない場合、記録ヘッドAとB(さらに、C、D、…、Nh)は、副走査方向(シリアルプリンタの場合は主走査方向)でキャリッジ上異なる位置に配置されているものとする。
【0139】
・画像長調整値は、(搬送ローラの回転量に合わせて出力されるパルスの)1パルス当りの記録媒体/キャリッジ搬送量とする。1パルス当りの搬送量に誤差があると、副走査方向に線を引いたとき、各ドット間に隙間或いは各ドットが重なった線が描かれる。その結果、記録媒体の副走査方向において入力した画像データよりも伸縮した線となるため、この補正を行う調整値を示唆する。
【0140】
以上説明したように、各実施形態は以下の作用を奏している。
1)記録媒体の湿気等による伸縮から生じる精度低下を防止して、高精度に媒体搬送量を求める。媒体搬送量を求めるにあたり、本発明では、副走査方向で異なる位置に配置されている任意の2つの記録ヘッドA及びBの、それぞれに対応する同方向1ライン分かつ1つ以上のドットから成るドット群が記録媒体上の任意の位置で重ったときの媒体搬送パルス数と、記録ヘッドAB間の物理的距離を用いている。これにより、媒体搬送パルス数を記録媒体上において離れて位置しているドット群の距離から求めるときと比べて、記録媒体の湿気等による伸縮から生じる精度低下を防止する。さらに、搬送機構が、搬送ベルトも備え付けられている構成である場合も、利用することができる。
【0141】
2)ラインプリンタにおいて、副走査方向で異なる位置に配置されている任意の2つの記録ヘッドA及びBに対応する同方向1ライン分かつ1つ以上のドットから成るドット群が、それぞれ記録媒体上の副走査方向における任意の1つの位置に描かれたときの搬送パルス数を記録する、次に、任意の2つの記録ヘッドAB間設計距離を、先に得られた搬送パルス数で割って得られる値を画像長調整値とする。
【0142】
3)シリアルプリンタにおいて、主走査方向で異なる位置に配置されている任意の2つの記録ヘッドA及びBに対応する同方向1ライン分且つ、1つ以上のドットから成るドット群が、それぞれ記録媒体上の主走査方向における任意の1つの位置に描かれたときのキャリッジ搬送パルス数を記録する、次に、任意の2つの記録ヘッドAB間設計距離を、先に得られたキャリッジ搬送パルス数で割って得られる値を画像長調整値とする。
【0143】
4)ヘッド間距離実測による高調整精度化は、前述した第1の実施形態及び第2の実施形態において、任意の2つのヘッド間距離を実測距離とする。実測方法は、2つのCCDカメラが、ヘッドノズルを撮影可能な所定の位置・高さ・傾き(測定対象とする任意の記録ヘッド直下)で配置され、且つ校正された測定機で、2つのヘッドノズルを撮影及び重心座標を画像処理で求める。そして、ここで求めたノズル重心座標とCCDカメラ間距離から算出する。
【0144】
5)ローラ偏心による搬送ムラを起因とする測定誤差を無効にしたパルス数取得による高調整精度化。前述した第1の実施形態乃至第3の実施形態における、パルス数取得方法において、パルスエンコーダが具備されている搬送ローラ周期長を等間隔且つ、少なくとも4以上の偶数値Ndで分割したタイミングで、2つの任意の記録ヘッドA及びBから1つ以上のドットから成るドット群を形成して、記録ヘッド毎のドット群が、互いに記録媒体上の副走査方向におけるNd個の位置に描碗たときに得られるパルス数の平均とする。
【0145】
6)ベルト厚みムラ/ローラに対するベルト滑り搬送ムラ起因の測定誤差を低減したパルス数取得による高調整精度化。前述した第4の実施形態におけるパルス数取得方法で、搬送ローラ周期長×N回を繰返し行ったときに得られるパルス数の平均とする。ここで、Nは1以上且つ、搬送ベルト周期長L2/搬送ローラ周期長L1で求まる値未満(整数値)とする。副走査方向における記録領域長さが、1枚当りの副走査方向記録媒体長を超える場合は、記録媒体を複数枚使用する。
【0146】
7)レジ抜け搬送ムラ起因の測定誤差を無効にしたパルス取得による高調整精度化。前述した第1の実施形態乃至第5の実施形態のパルス数取得方法において、給紙台から給紙された記録媒体の後端エッジが給紙ローラを抜ける瞬間(記録媒体において、後端エッジから先端方向に向かって、給紙ローラの重心と吐出ヘッドのノズル間距離分離れた位置)には記録しないテストパターンとする。
【0147】
8)最大ヘッド間距離の2つのヘッド間パルス数取得による高調整精度化。前述した第1の実施形態乃至第3の実施形態のパルス数取得方法且つラインプリンタに適用した場合において、副走査方向で異なる位置にある記録ヘッドの内、最も離れた2つの記録ヘッドを用いる。
【0148】
9)インク吐出速度ムラ起因の測定誤差を低減したパルス数取得方法。前述した第1の実施形態乃至第3の実施形態のパルス数取得方法において、具備されている全記録ヘッドを2つ以上ずつ組合せて得られるパルス数の平均とする。
【0149】
前述した各実施形態は、以下の発明の要旨を含んでいる。
所定の一方向に沿って移動可能なキャリッジと、
前記キャリッジを前記所定の一方向に移動させる複数の搬送ローラと、当該複数の搬送ローラに掛け渡された無端状ベルトと、当該搬送ローラの回転量を算出するエンコーダとを有するキャリッジ移動手段と、
前記キャリッジ上に、前記所定の一方向に沿って複数の異なる位置にそれぞれ配置され、記録媒体に対して画像を記録する少なくとも第1記録ヘッドと第2記録ヘッドとを有する複数の記録ヘッドと、
前記各記録ヘッドによって記録された画像を読取る画像読取り手段(画像読取機器15)と、
画像読取り手段によって読取られた画像情報に基づき、各記録ヘッドの記録タイミングを補正すると共に、各記録ヘッドの記録タイミングを制御する制御手段[画像処理/制御/演算部(処理制御部)18]と、
を有する画像記録装置におけるキャリッジ移動量補正値算出方法において、
第1記録ヘッドによって記録媒体搬送方向における任意の位置に第1のテストパターン画像(テストパターン:ドット群)を記録媒体に記録する第1記録ステップと、(ステップS2)
第1記録ヘッドによる画像記録タイミングから、第1記録ヘッド位置から第2記録ヘッド位置までの配置間隔に相当するキャリッジ移動量に相当するエンコーダパルス数(pulse NumberAB)だけ計数した後に、第2記録ヘッドによって第2のテストパターン画像(テストパターン:ドット群)を前記記録媒体に記録する第2記録ステップと、(ステップS2)
前記画像読取り手段によって、記録媒体記録された前記各テストパターン画像を読取るステップと、(ステップS3)
前記画像読取り手段によって読取られた前記各テストパターン画像の記録位置に基づいて、各記録ヘッドによって記録される前記各テストパターン画像が、前記所定の一方向における同一位置に記録されるように、前記エンコーダパルス数を補正するステップと、(ステップS4,S6,S7)
前記第1記録ヘッドと前記第2記録ヘッドとの配置間隔と、補正後のエンコーダパルス数との比から、エンコーダからの所定パルスに関するキャリッジ移動量補正値(画像長調整値)を算出するステップと、(ステップS8,S9)
を有することを特徴とする搬送量補正値算出方法。以上の付記はシリアルプリンタに適用される(第2実施形態)。
【符号の説明】
【0150】
1…プリンタ(画像記録装置)、2…記録ヘッド、3…キャリッジ、4…パルスエンコーダ、5…搬送ローラ、6…搬送機構、7…搬送ベルト、8…ファン、9…記録媒体供給部、10…記録媒体カセット、11…ピックアップローラ、12…記録媒体、13…テスト記録媒体、14…プリンタ制御部、15…画像読取機器、16…画像読取制御部、17…画像読取部、18…画像処理/制御/演算部(処理制御部)、19…表示部、20…入力部、22…プリンタ用記憶部、23…演算処理部、24…記憶部、25…パルス数記憶領域、26…画像データ記憶領域、27…ヘッド間距離記憶領域、28…テストパターン記憶領域、29…ヘッド間距離測定機器、30…CCDカメラ、31…ステージ、32…キャリッジ支持台。
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体にインク滴を吐出して画像を記録する画像記録装置の搬送量補正値算出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、インクジェットプリンタとして知られる画像記録装置は、微小なインク滴を吐出する多数のノズルが配置された記録ヘッドを搭載している。インクジェットプリンタを大別すると、ラインプリンタとシリアルプリンタがある。ラインプリンタは、記録媒体を記録ヘッド直下まで搬送する搬送機構も搭載している。一方、シリアルプリンタでは記録ヘッドを搭載したキャリッジを定位置まで搬送する搬送機構を搭載している。以下の説明では、ラインプリンタを例に説明する。
【0003】
この搬送機構の構成は、概要として搬送ローラ及びベルト、搬送ローラ回転量をパルス信号に変換/出力する部品であるパルスエンコーダが搬送ローラに備え付けられている。プリンタ制御部は、パルスエンコーダが出力するパルス数と搬送ローラの外周長を基に、搬送量を算出する。その算出した媒体搬送量に従って、記録ヘッドは、記録媒体上の媒体搬送方向(副走査方向)における指定された位置にドットを形成するようにインク滴を吐出する。
【0004】
パルスエンコーダから出力されるパルス数を基に導出する媒体搬送量は、誤差を含んでいる場合がある。この媒体搬送量に誤差があると、実際に記録される記録媒体上において、画像データとして指定したドット位置からズレた位置にインク滴が着弾してドットが形成される。尚、特に記載が無い限り、以降で記載する媒体搬送量誤差は、定常的に生じる誤差を示唆し、周期的に生じる媒体搬送量誤差は、搬送ムラとして説明している。
【0005】
媒体搬送量誤差が発生する要因の一例について説明する。
第1に、搬送ローラ形成で生じる搬送ローラ外周長誤差がある。
搬送ローラの外周長が設計値よりも長い場合、1パルス当りの媒体搬送量は増加し、記録される画像は、副走査方向においてドット間に隙間が生じている。一方、搬送ローラの外周長が設計値よりも短い場合、1パルス当りの媒体搬送量は減少し、記録される画像は、副走査方向において、ドット間に重なりが生じている。
【0006】
第2に、搬送ベルト形成で生じるベルト厚み誤差がある。
ベルト厚みが設計値よりも厚い場合には、1パルス当りの媒体搬送量は増加する。一方、ベルト厚みが設計値よりも薄い場合には、1パルス当りの媒体搬送量は減少する。この1パルス当りの媒体搬送量誤差を検出或いは、補正する値を算出する方法について、ラインプリンタを一例として説明する。
【0007】
ある1つの記録ヘッドによって、記録媒体上の主走査方向にドット群を記録した後、媒体を所定の距離搬送させた位置で、先ほど記録を行った記録ヘッドによって、再度、同様のドット群を記録する。そして、記録した2ドット群間の副走査方向における距離を測定し、理論距離との差或いは、比率を算出する方法が挙げられる。
【0008】
他の技術例として、特許文献1及び特許文献2が提案されている。
これらのうち、特許文献1には、媒体搬送方向で異なる位置に配置された各ライン型記録ヘッド間に備えられたマーカ読取手段によって、記録媒体上に記録されたマーカを読取って得られる用紙搬送情報と、モジュール情報(各ライン記録ヘッドとマーカ読取手段間の距離、各ライン記録ヘッド間の距離)に基づいて、インク吐出タイミングを制御する技術が開示されている。
【0009】
また、特許文献2には、媒体搬送量を測定するにあたって、搬送ローラ偏心で生じている搬送ムラ起因とする測定誤差を防止する方法として、記録媒体上にローラN回転周期(N≧1且つ、N=自然数)で2つ以上の画像を記録して、それら画像位置を基に測定する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2007−196568号公報
【特許文献2】特開2007−001183号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
通常使用される記録媒体としては、紙等が主流であり、これらが湿気等によって物理的長さ或いは面積が伸縮する材質であった場合には、高湿な環境下では、テストパターンを記録した後に記録媒体が伸縮する可能性がある。
この伸縮現象によって、互いに大きく離れた位置にある2ドット群間の距離から求めた媒体搬送量誤差値は、精度が低く十分な品質を確保することはできない。
【0012】
前述した特許文献1に開示されている技術例では、マーカ読取手段を各ライン記録ヘッド間に備え付ける必要があり、マーカ読取手段に関する部品/製造コストが増加する。また、特許文献2に開示されている技術例では、搬送ローラの外周長を利用したものであり、搬送ベルトが備え付けられている搬送機構から構成される画像記録装置に対しては利用できない。
そこで本発明は、記録媒体の湿気等による伸縮から生じる精度低下を防止する画像記録装置の搬送量補正値算出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明に従う実施形態は、記録媒体を搬送する複数の搬送ローラと、当該複数の搬送ローラに掛け渡された無端状ベルトと、当該搬送ローラの回転量を算出するエンコーダとを有する搬送手段と、記録媒体搬送方向の複数の異なる位置にそれぞれ配置され、搬送手段によって搬送される記録媒体に対してエンコーダから出力されるパルス数に基づいて画像を記録する少なくとも第1記録ヘッドと第2記録ヘッドを含む複数の記録ヘッドと、前記各記録ヘッドによって記録された画像を読取る画像読取り手段と、前記画像読取り手段によって読取られた画像情報に基づき、各記録ヘッドの記録タイミングを補正すると共に、各記録ヘッドの記録タイミングを制御する制御手段と、を有する画像記録装置における搬送量補正値算出方法であって、前記第1記録ヘッドによって記録媒体搬送方向における任意の位置に第1のテストパターン画像を記録媒体に記録する第1記録ステップと、第1記録ヘッドによる画像記録タイミングから、第1記録ヘッド位置から第2記録ヘッド位置までの配置間隔に相当する記録媒体搬送量に相当するエンコーダパルス数だけ計数した後に、前記第2記録ヘッドによって前記任意位置と同じ位置で且つ記録媒体幅方向に異なる位置に第2のテストパターン画像を前記記録媒体に記録する第2記録ステップと、前記画像読取り手段によって、記録媒体記録された前記各テストパターン画像を読取るステップと、前記画像読取り手段によって読取られた前記各テストパターン画像の記録媒体搬送方向における記録位置ずれ量を求めると共に、当該記録位置ずれ量に対応するパルス補正量を算出する補正量算出ステップと、前記各記録ヘッドによって記録される前記各テストパターン画像が、前記記録媒体搬送方向における同一位置に記録されるように、前記エンコーダパルス数に対して前記パルス補正量を加算することで前記エンコーダパルス数を補正する補正ステップと、前記第1記録ヘッドと前記第2記録ヘッドとの配置間隔と、補正後のエンコーダパルス数との比から、画像長調整値を算出する調整値算出ステップと、を有する搬送量補正値算出方法を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、記録媒体の湿気等による伸縮から生じる精度低下を防止する画像記録装置の搬送量補正値算出方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、第1の実施形態に係る画像記録装置及び媒体搬送量誤差を算出するシステム構成例を示す図である。
【図2】図2は、媒体搬送量の測定で用いる構成部位によるシステムのブロック構成を示す図である。
【図3】図3(a),(b)は、副走査方向で異なる位置にある記録ヘッド2間の距離の定義について説明するための図である。
【図4】図4は、第1の実施形態における記録ヘッド間距離測定機器の構成例を示す図である。
【図5】図5(a)は、ラインプリンタによるテストパターン例を示す図、図5(b)は、シリアルプリンタによるテストパターン例を示す図である。
【図6】図6は、第1の実施形態の画像長調整の手順について説明するためのフローチャートである。
【図7】図7(a)は、2つの記録ヘッド間の記録媒体を搬送する搬送パルス数について説明するための図、図7(b)は、2つの記録ヘッド間の記録媒体12を搬送する設計距離について説明するための図である。
【図8】図8は、2つの記録ヘッドに対応するドット群の副走査方向におけるズレ量について説明するための図である。
【図9】図9は、補正値pulseβについて説明するための図である。
【図10】図10は、第2の実施形態の画像長調整の手順について説明するためのフローチャートである。
【図11】図11は、第3の実施形態の画像長調整の手順について説明するためのフローチャートである。
【図12】図12は、第4の実施形態の画像長調整の手順について説明するためのフローチャートである。
【図13】図13は、ドット群の副走査方向のそれぞれ平均座標について説明するための図である。
【図14】図14は、dot GroupYAiの平均値について説明するための図である。
【図15】図15は、第4の実施形態のテストパターン例を示す図である。
【図16】図16は、第5の実施形態の画像長調整の手順について説明するためのフローチャートである。
【図17】図17は、第5の実施形態のテストパターン例を示す図である。
【図18】図18は、第6の実施形態の画像長調整の手順について説明するためのフローチャートである。
【図19】図19は、ピックアップローラから記録ヘッドまでの距離を示す図である。
【図20】図20は、第7の実施形態の画像長調整の手順について説明するためのフローチャートである。
【図21】図21は、第8の実施形態の画像長調整の手順について説明するためのフローチャートである。
【図22】図22は、第9の実施形態の画像長調整の手順について説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1は、第1実施形態に係る画像記録装置及び媒体搬送量誤差を算出するシステム構成例を示した概略図である。以下に説明する各実施形態では、副走査方向を記録媒体搬送方向とし、副走査方向に直交する方向を主走査方向と定義する。主走査及び副走査方向と直交する上下方向を重力方向とする。尚、以下に例として説明する画像記録装置は、特に記載が無い限り、各インク色の記録ヘッド2を副走査方向に沿って配置し、各記録ヘッドは、記録媒体12の幅以上のノズル列長(画像記録領域)を有するラインヘッド型インクジェットプリンタ(以下、プリンタと称する)とする。
【0017】
図1に示すシステムは、プリンタ1と、記録ヘッド2で記録した記録媒体を読取って画像データに変換する画像読取機器15と、キャリッジ3に組みつけられた記録ヘッド2の各ヘッド間距離を測定するヘッド間距離測定機器29で構成される。この例では、プリンタ1と画像読取機器15とヘッド間距離測定機器29が別体となる構成例である。勿論、プリンタ1の搬送機構と連結可能な搬送機構を有する画像読取機器15を用いるのであれば、後述するユーザによる読取りセット作業は不要である。
【0018】
プリンタ1は、複数の記録媒体12を収納し、1枚ずつ順次、供給する記録媒体供給部9と、記録媒体12を搬送する搬送機構6と、記録媒体12にインクを微小な液滴として吐出して画像を記録する記録ヘッド2と、複数の記録媒体12を収納する記録媒体カセット10と、画像記録を含め装置全体を制御するプリンタ制御部14と、で構成される。
【0019】
プリンタ1の下流側に設けられた画像読取機器15は、一般に市販されているフラットベット型スキャナ等を採用している。この画像読取機器15は、主なものとして、テスト記録媒体13に記録された画像を読取る画像読取部17(例えば、CCD又はCMOS等の固体撮像素子からなるラインセンサ)と、画像読取制御部16で構成され、読込んだ画像を画像データに変換して出力する。尚、ヘッド間距離測定機器29は、図4を参照して後述、詳細に説明する。
【0020】
また、画像処理/制御/演算部(以下、処理制御部と称する)18と表示部19は、パーソナルコンピュータで代用することができる。処理制御部18は、プリンタ制御部14とはLAN接続され、画像読取制御部16及びヘッド間距離測定機29とは、それぞれにUSB接続されている。勿論、これらの接続は、限定されるものではなく、一例であり、有線接続に限らず、無線又は光ファイバーを用いた接続であってもよい。
【0021】
入力部20は、処理制御部18にユーザからの指示等を入力する。この指示に従い、処理制御部18は、プリンタ1、画像読取制御部16及びヘッド間距離測定機器29を制御する。
記録ヘッド2は、複数例えば、300個のノズルが列状に開口されたノズル列(2CN〜2YN)が設けられたノズル面を有している。このノズル面は、搬送されている記録媒体12と対向し、各ノズルからインクが吐出される。勿論、ノズル数は一例であって限定されるものではない。
【0022】
本実施形態では、搬送方向に沿って上流側から少なくとも4色のインクを個々に吐出する4つの記録ヘッド2(2C[シアン色]、2K[ブラック色]、2M[マゼンタ色]、2Y[イエロー色])を有し、記録媒体4に単一色画像又は、カラー画像を記録する。尚、本実施形態では、ライン型の記録ヘッドを例として記載しているが、これに限定されるものではなく、記録媒体12上を主走査方向に反復するように走査移動するシリアル型の記録ヘッドであっても、対象方向を変えれば、同様の原理が適用できる。
【0023】
本実施形態では、記録媒体供給部9は、装置外部に取り付けられたトレイ(又は、カセット)に複数の記録媒体12を収納し、ピックアップローラ11により、1枚ずつ順次取り出して、搬送機構6に供給する。他方は、装置内部に設けられた記録媒体カセット10は、複数の記録媒体12を収納し、1枚ずつ順次取り出されて、搬送機構6に供給する。
【0024】
この搬送機構6は、例えば、少なくとも2つ以上の搬送ローラ5と、これら搬送ローラ5のいずれか一方に備え付けられたパルスエンコーダ4と、これらの搬送ローラ5にテンションを掛けられた状態で捲回する搬送ベルト7と、を備えている。
【0025】
これらのうち、搬送ローラ5の少なくとも一方には、図示しないモータ等の駆動源が接続され、搬送ローラ5を回転させることにより、搬送ベルト7を回転させる。このとき、搬送ローラ5のいずれか一方に備え付けられたパルスエンコーダ4は、搬送ローラ5の回転周期に合わせて、搬送パルス信号を出力する。このパルス信号の出力周期は、搬送機構6を構成する全ての部品が設計値通りであった場合において本実施形態では、記録媒体12上の1ドット分搬送された周期となる。
【0026】
搬送ベルト7は、多数の小孔(図示せず)が開口され、記録ヘッド2の全てのノズル面と平行(又は、同じ間隔)で対向するように構成される。この搬送ベルト7の内側には、吸引手段となるファン8が設けられており、記録媒体12をファン8による負圧により搬送ベルト7上に吸着して固定した状態で搬送して、記録ヘッド2のノズル面の前方を通過させる。
【0027】
図2は、媒体搬送量の測定で用いる構成部位によるシステムのブロック構成を示している。本システムは、プリンタ1、画像読取機器15、ヘッド間距離測定機器29、処理制御部18、表示部19及び、入力部20により構成される。
【0028】
処理制御部18は、主として、演算処理部23と記憶部24とで構成される。記憶部24には、パルス数記憶領域25と、画像データ記憶領域26と、ヘッド間距離記憶領域27と、テストパターン記憶領域28と、の各メモリ領域が確保されている。この処理制御部18は、プリンタ1及び画像読取機器15に対する制御及び、ヘッド間距離測定機器29に対する制御を行い、さらに、前記画像読取機器15によって読取ったテスト記録媒体13画像データを解析して各記録ヘッド2のプリントタイミング(インク吐出タイミング)調整値の算出及び、ヘッド間距離測定機器29におけるヘッド間距離の算出を行う。
【0029】
また、記憶部24及びプリントタイミング調整で得られた記録ヘッド2間の媒体搬送パルス数の記憶及びヘッド間距離測定機器29によるヘッド間距離の測定で得られた記録ヘッド2間の物理的距離、プリントタイミング調整で記録するテストパターン、画像読取機器(フラットベット型スキャナ)15で読込んだ画像データを記憶する。
【0030】
そして、これらのデータを用いて媒体搬送1パルス当りの媒体搬送量を算出する。プリンタ1及び画像読取機器15の制御、ヘッド間距離測定機器29の制御は、ユーザによる入力部20からの入力指示によって行う。
【0031】
プリンタ1は主として、記録ヘッド2と、搬送機構6と、プリンタ制御部14と、プリンタ用記憶部22と、パルスエンコーダ4と、で構成される。プリンタ制御部14は、設定された各調整値に基づき、記録ヘッド2及び搬送機構6を駆動し、記録媒体12にテストパターンを記録してテスト記録媒体13を記録する。ここで用いているプリンタ用記憶部22は、不揮発メモリであるが、パルスエンコーダ4から出力された媒体搬送パルス数の一時的な記憶やテストパターン画像データの一時的な記憶を行う。尚、プリンタ用記憶部22は、処理制御部18におけるテストパターン記憶領域28の代替機能及び各種調整用パラメータの記憶も行う。
【0032】
画像読取機器(フラットベット型スキャナ)15は主として、画像読取制御部16と画像読取部17と、で構成される。画像読取制御部16は、処理制御部18からの指示によって、画像読取部17を制御する。ヘッド間距離測定機器29は、後述する図4にその構成が記載されている。
【0033】
図3(a),(b)は、副走査方向で異なる位置にある記録ヘッド2間の距離の定義を示している。尚、図3(a),(b)では、記録ヘッド2Cと記録ヘッド2Yと各記録ヘッド2からインクを吐出するためのノズル列(2CN、2YN)を一例として示し、図3(a)がラインプリンタにおける記録ヘッド2の配置を示し、図3(b)がシリアルプリンタにおける記録ヘッド2の配置を示している。
【0034】
本実施形態で説明する記録ヘッド2間の距離は、各記録ヘッド2に備わっているノズル列間の副走査方向距離を示唆している。シリアルプリンタである場合の記録ヘッド2間の距離は、各ノズル列間の主走査方向距離とする。記録ヘッド2間の距離を、インクが吐出される各ノズル間の距離とすることで、画像長調整値の精度を高める。
【0035】
ノズル列間距離の求め方の詳細は、各ノズルの重心位置を求めた後、記録ヘッド2毎に重心位置の平均を算出して、プリンタタイプ毎に前記対応する方向の重心位置平均の差をノズル列間の距離としている。ノズルの重心位置及びノズル列間の距離の測定方法については、以下の図4に示す測定装置を参照して説明する。.
図4は、本実施形態における記録ヘッド2のノズル重心位置を測定する装置を示している。ノズル重心位置の測定で用いているヘッド間距離測定機器29は、2台以上のCCDカメラ30(CCDカメラ30A及びCCDカメラ30B)と、主走査方向(あるいは副走査方向)に駆動可能で各CCDカメラを支持しているステージ31と、記録ヘッド2が組みつけられているキャリッジ3を支持するキャリッジ支持台32と、処理制御部18から構成される。
【0036】
使用方法は、まずユーザが、記録ヘッド2を組付けたキャリッジ3をキャリッジ支持台32にセットする。その後、ユーザが入力部20から測定命令を入力して、命令を受信した処理制御部18によって、CCDカメラ30が制御される。CCDカメラ30は、対象とする記録ヘッド2のノズル列を撮像する。
【0037】
CCDカメラによる撮像可能範囲が仕様上、1〜5個程度のノズルしか撮像できない場合には、ユーザが入力部20に入力して、処理制御部18を通して、ステージの移動制御を行う。この制御に従ってステージを主走査方向に移動させることで、撮像されるノズル数を増加させる。このように、データのサンプル数を増加させることで、ノズル列の位置算出精度を向上させることができる。
【0038】
各CCDカメラ30の互いの焦点位置間距離は、予め校正されており、焦点間距離は既知である。撮像したノズル列の画像データから、処理制御部18で画像処理を行い、ノズルの重心位置を求める。ここで求められたノズルの重心位置とCCDカメラ30の互いの焦点位置間距離を基に、ノズル列間距離を算出する。算出したノズル列間距離は、記憶部24に記録される。
【0039】
図5(a)は、プリントタイミング調整で記録するテスト記録媒体13の概略を示している。尚、図5(a),(b)及び以下の説明では、図3(a),(b)と同様に、記録ヘッド2Cと記録ヘッド2Yの組合せを例に示している。しかし、プリントタイミング調整においては、記録ヘッド2内に備わっている各ヘッドの全組合せを対象に調整している。
【0040】
以下の説明では、図5(a)によるラインプリンタをモデルにした説明であるが、シリアルプリンタである場合も、図5(b)に示すように、記録媒体12上に記録するパターンにおいて基準とする方向が異なるが、調整原理は同様である。
【0041】
プリントタイミング調整で記録するパターンは、記録ヘッド2C及び記録ヘッド2Yからインクを吐出して、記録媒体12上の副走査方向における任意の1つの位置に描かれる副走査方向1ライン分のドット或いは、ドット群(ドット数≧2)である。このように描かれた画像データを、ユーザが入力部20を操作して、処理制御部18からプリンタ制御部14に送信する。この画像データは、記憶部24に予め記憶されている。
【0042】
インク吐出速度の違いや媒体搬送1パルス当りの搬送量が設計値と異なっていると、ここで描かれた各記録ヘッド2に対応するドット或いはドット群は互いにズレが副走査方向で生じる。プリントタイミング調整では、前記ズレ量を減少させるため、このズレ量を測定し、各記録ヘッド2に対して、プリントタイミング(インク吐出タイミング)補正値を設定する。
【0043】
このとき、記録ヘッド2C及び記録ヘッド2Yによって、記録媒体12上の副走査方向における任意の1つの位置に記録されるドット或いは、ドット群のズレ量を測定することで、互いに離れた位置にあるドット或いはドット群の距離を測定するときに比べて、湿気等による記録媒体12の伸縮を要因とする測定誤差を低減する。
【0044】
ここで、プリントタイミング調整完了時において、前記ズレ量が補正された後、記録ヘッド2Cからドット或いはドット群が記録されてから記録ヘッド2Yからドット或いはドット群が記録されるまでに、パルスエンコーダ4から出力された媒体搬送パルス数を記憶部24で記憶しておく。
【0045】
次に、図6に示すフローチャートを参照して、第1の実施形態の画像長調整(1パルス当りの媒体搬送量の算出)の動作手順について説明する。この図6におけるフローチャートにおいて、以下のように表記している。尚、以降のフローチャートにおいても同様である。第1記録ヘッド位置から第2記録ヘッド位置までの配置間隔を示すノズル列間距離設計値は、head Distance Theoreticalと表記する。記録媒体搬送量に相当するエンコーダパルス数は、pulse NumberABと表記する。記録媒体搬送方向における記録位置ずれ量は、timing gap ABと表記する。記録位置ずれ量に対応するパルス補正量は、pulseβと表記する。画像長調整値は、image Lengthと表記する。
【0046】
以下の説明において、記録ヘッド2C及び記録ヘッド2Yを一例とするため、[2C]を[A]とし、[2Y]を[B]としている。勿論、記録ヘッド2C及び記録ヘッド2Yに限定されるものではなく、他にも副走査方向で異なる位置に配置されている記録ヘッド2の組合せであれば、用いることができる。図7(a)は、2つの記録ヘッド間の記録媒体12を搬送するのに必要とされる設計上の搬送パルス数(pulseAB Theoretical)について説明するための図、図7(b)は、2つの記録ヘッド間の記録媒体12を搬送するのに必要とされる記録ヘッド間設計距離(head Distance Theoretical)について説明するための図である。
【0047】
まず、図7(b)に示す記録ヘッドAと記録ヘッドB間の設計距離(head Distance Theoretical)において、図7(a)に示す記録媒体12を搬送するのに必要とされる設計上の搬送パルス数(pulseAB Theoretical)を、搬送パルス変数pulse NumberABに代入する(ステップS1)。尚、図7(b)の設計距離は、実測値(head Distance Real)であってもよい。また、図7(a)おける搬送パルス数は、実測値(pulseAB Real:1head Distance Realに基づいて算出された値)であってもよい。
【0048】
プリンタ用記憶部22には、搬送パルス数pulse AB Theoretical(設計値)が予め記憶されており、搬送パルス変数pulse NumberAB用の領域も確保されている。これらの代入処理は、プリンタ1の初起動時にプリンタ制御部14によって行われる。尚、プリンタ用記憶部22は、不揮発メモリであるため、搬送パルス変数pulse NumberABに代入された値は、プリンタ1の電源がOFF状態に移行しても記憶されている。
【0049】
次に、ユーザが入力部20からテスト画像の記録命令を入力する。この記録命令を受信した処理制御部18は、テスト画像データをテストパターン記憶領域28から読み込み、テスト画像データと記録命令をプリンタ制御部14にLAN経由で送信する。画像データを受信したプリンタ制御部14は、ピックアップローラ11と、搬送機構6と、記録ヘッド2を駆動させて、記録媒体12に対する記録動作を行う(ステップS2)。この記録動作において、記録ヘッドAによる記録動作からパルスエンコーダ4によって出力されるパルス数をカウントしている。カウントしたパルス数が搬送パルス変数pulse NumberABに達したときに、記録ヘッドBによる記録動作が行われ、図5(a)に示すように、テスト記録媒体13には、副走査方向に連続する1ライン分で、且つ1つ以上のドットから成るドット群を形成する。尚、以下の説明において、図7乃至図9、図13乃至図15、図17、図19において、テスト記録媒体13は、一例として、記録ヘッドA及び記録ヘッドBによってテスト画像が記録された記録媒体として説明する。尚、図19において、ピックアップローラの位置と前記各記録ヘッドの位置は、drA,drBと表記する。
【0050】
次に、ユーザは、記録済みのテスト記録媒体13を、画像読取機器15にセットし、入力部20から画像読取命令を入力する。命令を受信した処理制御部18は、画像読取制御部16に対して画像読取命令をUSB経由で送信する。命令を受信した画像読取制御部16は、CCD又はCMOS等の個体撮像素子からなるラインセンサで構成される画像読取部17を駆動して、セットされたテスト記録媒体13全域を撮像し、画像データに変換して処理制御部18に送信する。画像データを受信した処理制御部18は、テスト記録媒体13上に記録された各記録ヘッド2に対応するそれぞれのドット群(ドット数≧1)の副走査方向における重心位置の平均座標dot GroupYAとdot GroupYB(図8参照)を、2値化やパターンマッチングなどによる画像処理で抽出する(ステップS3)。
【0051】
また、図8に示すように、各記録ヘッドA,Bに対応するドット群の副走査方向におけるズレ量timing Gap ABを、ステップS3で求めた平均座標dot GroupYAとdot GroupYBの差分から算出する(ステップS4)。
【0052】
上記ステップS4において算出されたドット群ズレ量timing GapABを予め定められた規格値と比較する(ステップS5)。この比較において、規格値内であれば(YES)、後述するステップS8に移行する。一方、ドット群ズレ量timing GapABが規格値外であれば(NO)、インク吐出タイミング補正値pulseβを算出する(ステップS6)。
【0053】
つまり、ステップS4で求めたドット群ズレ量timing GapABの値に基づいて、図9に示すように、記録ヘッドBに対応するドット群が記録ヘッドAに対応するドット群よりも副走査方向上流側に位置していた場合には、記録ヘッドBによるインク吐出タイミングを早める補正値pulseβ(timing GapABの物理距離からタイミング調整値用のパルス数に変換した値)を算出する。また、記録ヘッドBに対応するドット群が記録ヘッドAに対応するドット群よりも副走査方向下流側に位置していた場合は、記録ヘッドBによるインク吐出タイミングを遅延させる補正値pulseβを算出する。このとき、インク吐出タイミング補正単位は、本実施形態においては、例えば、1/32ドット分に設定している。
【0054】
次に、搬送パルス変数pulse NumberABに、ステップS6で求めたインク吐出タイミング補正値pulseβを加算して、タイミング調整を行う(ステップS7)。この調整によって、記録ヘッドA或いは、記録ヘッドBのインク吐出タイミングが調整され、各記録ヘッドA,Bによるドット群の記録を行った時に、記録媒体12上の副走査方向における任意の1つの位置に互いのドット群が重なる。これらのステップS1−S7の処理工程は、プリントタイミング調整工程となる。
【0055】
前述したステップS5の比較において、ドット群ズレ量timing GapABが規格値内であった場合、プリンタ用記憶部22から、搬送パルス変数pulse NumberAB及び記憶部24から記録ヘッドAと記録ヘッドB間設計距離head Distance Theoreticalをそれぞれに読込む(ステップS8)。尚、記録ヘッドAと記録ヘッドB間の設計距離は、予めユーザが入力部20から入力を行い、記憶させておく。
【0056】
ステップS8で読込んだ記録ヘッドAと記録ヘッドB間距離head Distance Theoretical(図7(b))を、ステップS7で読込んだpulse NumberABで割り、媒体搬送1パルス当りの媒体搬送量を求める(ステップS9)。これらのステップS8,S9の処理工程は、画像長調整工程となる。
【0057】
以上のように、媒体搬送1パルス当りの媒体搬送量を求めるにあたり、例えば記録ヘッドAからドット群を記録した後、記録媒体を媒体搬送1パルス分搬送させて、再び記録ヘッドAからドット群を記録し、2つのドット群間距離を測定する方法の場合、湿気等によって媒体が伸縮する現象から、2つのドット群間距離の測定結果の信頼性が低下すると共に精度も低下している可能性がある。
【0058】
これに対して、本実施形態は、記録媒体の伸縮の影響を受けないようにするため、記録ヘッドA及び記録ヘッドBに対応するドット群が記録媒体12上の任意の位置で副走査方向に対して重なっているときの媒体搬送パルス数と、記録ヘッドAと記録ヘッドB間のヘッド間設計距離を用いている。これにより、記録位置が互いに離れたドット群間の距離を利用する方法に比べて、高精度な媒体搬送1パルス当りの媒体搬送量を求めることができる。
【0059】
次に、第2の実施形態について説明する。
図10に示すフローチャートを参照して、第2の実施形態に係る画像長調整(1パルス当りの媒体搬送量の算出)の動作手順について説明する。尚、本実施形態の説明において、前述した第1の実施形態と同じ動作手順(ステップS5−S9)においては、同じステップ番号を付して、その説明を簡略化する。
【0060】
本実施形態は、シリアルプリンタに対応する動作手順である。この動作手順では、搬送パルス数を求めるにあたって基準としていた方向を主走査方向に変更し、任意の2つの記録ヘッドA[2C]とB[2Y]間距離において、媒体搬送ではなく、キャリッジ搬送とする点である。
【0061】
まず、記録ヘッドAと記録ヘッドB間の設計距離b(μm)において、キャリッジ搬送で要する設計上の搬送パルス数a(pulse AB Theoretical)を、搬送パルス変数pulse NumberABに代入する(ステップS11)。プリンタ用記憶部22には、搬送パルス数pulse AB Theoretical(設計値)が予め記憶されており、搬送パルス変数pulse NumberAB用の領域も確保されている。これらの代入処理は、プリンタ1の初起動時にプリンタ制御部14によって行われる。尚、プリンタ用記憶部22は、不揮発メモリであるため、搬送パルス変数pulse NumberABに代入された値は、プリンタ1の電源がOFF状態に移行しても記憶されている。
【0062】
次に、画像データを受信したプリンタ制御部14は、ピックアップローラ11と、搬送機構6と、各記録ヘッドA,Bを駆動させて、記録媒体12に対する記録動作を行う。記録ヘッドAによる記録動作により、パルスエンコーダ4から出力されるパルス数が搬送パルス変数pulse NumberABに達したときに、記録ヘッドBによる記録動作が行われ、図5(b)に示すように、キャリッジ搬送方向である主走査方向に1ライン分かつ1つ以上のドットから成るドット群を形成する(ステップS12)。
【0063】
次に、ユーザの指示による処理制御部18からの読取命令を受けた画像読取制御部16は、画像読取部17を駆動して、セットされたテスト記録媒体13全域を撮像し、画像データを生成する。
【0064】
その画像データを受信した処理制御部18は、テスト記録媒体13上に記録された各記録ヘッドA,Bに対応するそれぞれのドット群(ドット数≧1)の主走査方向における位置を、2値化やパターンマッチングなどによる画像処理で各ドット群の重心位置の平均座標dot GroupYAとdot GroupYBを抽出する(ステップS13)。これらの平均座標dot GroupYAとdot GroupYBの差分から各記録ヘッドA,Bに対応するドット群の主走査方向におけるズレ量timing Gap ABを算出する(ステップS14)。
【0065】
以降、前述したステップS5乃至ステップS9に従った動作手続が行われる。
ドット群ズレ量timing GapABを予め定められた規格値と比較し(ステップS5)、格値外であれば(NO)、インク吐出タイミング補正値pulseβを算出し(ステップS6)、搬送パルス変数pulse NumberABに、ステップS6で求めたインク吐出タイミング補正値pulseβを加算して、タイミング調整を行う(ステップS7)。これらのステップS11−S14及び、ステップS5−S7の処理工程は、プリントタイミング調整工程となる。
【0066】
一方、比較において、規格値内であれば(YES)、搬送パルス変数pulse NumberAB及記録ヘッド間設計距離head Distance Theoreticalを読込む(ステップS8)。読込んだ記録ヘッド間設計距離head Distance Theoreticalをpulse NumberABで割り、キャリッジ搬送1パルス当りのキャリッジ搬送量を求める(ステップS9)。これらのステップS8,S9の処理工程は、画像長調整工程となる。
【0067】
以上のように本実施形態によれば、シリアルプリンタに対応する動作手順において、記録媒体の伸縮の影響を受けないようにするため、記録ヘッドA及び記録ヘッドBに対応するドット群が記録媒体12上の任意の位置で主走査方向に対して重なっているときのキャリッジ搬送パルス数と、記録ヘッドAと記録ヘッドB間のヘッド間設計距離を用いている。これにより、記録位置が互いに離れたドット群間の距離を利用する方法に比べて、高精度なキャリッジ搬送1パルス当りのキャリッジ搬送量を求めることができる。
【0068】
次に第3の実施形態について説明する。
図11に示すフローチャートを参照して、第3の実施形態に係る画像長調整(1パルス当りの媒体搬送量の算出)の動作手順について説明する。尚、本実施形態の説明において、前述した第1の実施形態と同じ動作手順(ステップS2−S7)においては、同じステップ番号を付して、その説明を簡略化する。本実施形態は、記録ヘッド間距離を設計値から実測値に変更したことが前述した第1の実施形態との相違点である。また、図11において、実測された第1記録ヘッド位置から第2記録ヘッド位置まで配置間隔は、head Distance Realと表記する。
【0069】
まず、図4に示したヘッド間距離測定機器29の各CCDカメラ30A,30Bを用いて記録ヘッド2のノズル列を撮像する。撮像したノズル列の画像データから、処理制御部18で画像処理を行い、ノズルの重心位置を求める。ここで求められたノズルの重心位置とCCDカメラ30の互いの焦点位置間距離を基に、平均ノズル列間距離実測値head Distance Realを測定する(ステップS21)。測定した平均ノズル列間距離実測値は、図示していないがLAN経由で、データサーバ或いは、記憶部24に記録する(ステップS22)。
【0070】
次に、ステップS22において、記憶されているhead Distance Realを読み出し、任意の2つの記録ヘッドAとB間距離の媒体搬送で要する搬送パルス数であるノズル列間距離実測値pulse AB Realを算出する(ステップS23)。本実施形態では、1パルス当りの設計上の搬送量を1ドット分(84.5μm)に設定しており、head Distance Realから搬送パルス数pulse AB Realを算出するにあたって生じる端数は、インク吐出タイミング補正値pulseβ’で補う。これらのステップS21−S23の処理工程は、ヘッド間距離測定工程となる。
【0071】
次に、ユーザが入力部20からテスト記録媒体13の記録命令を入力する。プリンタ制御部14は、記録命令に従い、記録媒体12に対する記録動作を行う。この記録動作は、まず、pulse Number AB Real及びインク吐出タイミング補正値pulseβ’を搬送パルス変数pulse NumberABに代入する(ステップS24)。続いて、記録動作の開始時からカウントしたパルス数が搬送パルス変数pulse NumberABに達したときに、記録ヘッドBによる記録動作が行われ、図5(a)に示すように、テスト記録媒体13には、副走査方向に連続する1ライン分で、且つ1つ以上のドットから成るドット群を形成する(ステップS2)。
【0072】
次に、テスト記録媒体13上に記録された各記録ヘッドA,Bに対応するそれぞれのドット群(ドット数≧1)の副走査方向の各ドット群の重心位置の平均座標dot GroupYAとdot GroupYBを抽出する(ステップS3)。また、各記録ヘッド2に対応するドット群の副走査方向におけるズレ量(副走査方向座標差分)timing Gap ABを、ステップS3で求めた平均座標dot GroupYAとdot GroupYBの差分から算出し(ステップS4)、予め定められた規格値と比較する(ステップS5)。この比較において、ドット群ズレ量timing GapABが規格値外であれば(NO)、インク吐出タイミング補正値pulseβを算出する(ステップS6)。この補正値pulseβを用いたインク吐出タイミング調整により、各記録A,Bにおいて、記録媒体12上の副走査方向における任意の1つのドット群の記録位置に互いのドット群が重なる。(ステップS7)。これらのステップS24,S2−S7の処理工程は、プリントタイミング調整工程となる。
【0073】
一方、上記比較において、規格値内であれば(YES)、記憶部22から、搬送パルス変数pulse NumberAB及び記憶部24から平均ノズル列間距離実測値(記録ヘッド間実測値)head Distance Realを読込む(ステップS25)。ステップS25で読込んだhead Distance Realをpulse NumberABで割り、画像長調整値となる媒体搬送1パルス当りの媒体搬送量を求める(ステップS26)。これらのステップS25,S26の処理工程は、画像長調整工程となる。
【0074】
以上のように本実施形態では、画像調整値を算出するにあたり、記録ヘッド間距離を設計値から実測値とすることにより、前述した第1の実施形態に比べて、より高精度に画像長調整値を求めることができる。
【0075】
次に、第4実施形態について説明する。
図12に示すフローチャートを参照して、第4の実施形態に係る画像長調整(1パルス当りの媒体搬送量の算出)の動作手順について説明する。尚、本実施形態の説明において、前述した第1の実施形態と同じ動作手順(ステップS1,S5−S9)においては、同じステップ番号を付して、その説明を簡略化する。
【0076】
本実施形態は、媒体搬送パルス数の1パルス当りの媒体搬送距離が、搬送ローラの偏心によって、周期的に変動することがある。この周期的な搬送距離ムラによって、図5(a)に示すテスト記録媒体13の形成で、記録ヘッドA[2C]及び記録ヘッドB[2Y]によるドット群を記録する際の記録媒体12上の位置が異なる都度、パルスエンコーダ4から得られる媒体搬送パルス数も異なってくる。このようにして得られた媒体搬送パルス数から算出した画像長調整値を利用すると、精度が低下する。
【0077】
そこで本実施形態では、搬送距離ムラを原因とするため、テスト記録媒体13aに複数のラインを描き、得られた媒体搬送パルス数の平均値を、画像長調整値の算出に利用して、画像長調整の精度低下を防止する。
【0078】
まず、記録ヘッドAと記録ヘッドB間の設計距離(head Distance Theoretical)μmにおいて、記録媒体12を搬送するのに必要とされる設計上の搬送パルス数(pulse AB Theoretical)を、搬送パルス変数pulse NumberABに代入する(ステップS1)。
【0079】
次に、媒体搬送パルス数を求めるときに形成しているドット群を、図15に示すように搬送ローラ1/4周期に合わせて副走査方向に少なくとも4ラインを描いたテスト記録媒体13aとする。図15において、L0は、基準位置、Lrは、搬送ローラ周期長とする。即ち、搬送ローラ周期長Lr×i/Nd(i=1,2,3,…,Nd、Nd≧4、且つNd/2=0)に対応するパルスタイミング毎に記録媒体上に副走査方向1ライン分のドット群(ドット数≧1)Nd個を記録ヘッドAから記録する。その後、記録媒体がpulse Number AB分を搬送された時、記録ヘッドBにおいても同様に記録を行う。この記録された記録媒体の画像読込・画像処理を行う(ステップS41)。その後、図13に示すように、各ドット群の副走査方向のそれぞれ平均座標dot GroupYAi(i=1,2,3,…,Nd)とdot GroupYBi(i=1,2,3,…,Nd)を抽出する(ステップS42)。
【0080】
次に、図14に示すように、dot GroupYAi(i=1,2,3,…,Nd)の平均値dot Group Average YAと、dot Group YBi(i=1,2,3,…,Nd)の平均値dot Group Average YBを求める(ステップS43)。その後、副走査方向座標差分timing Gapをdot Group Average YAとdot Group Average YBの差から求める(ステップS44)。即ち、timing Gap AB = dot Group Average YA − dot Group Average YBである。
【0081】
以降は、前述したステップS5−S9の処理に従った動作手続が行われ、画像長調整値が求められる。副走査方向座標差分timing Gap ABと、予め定められた規格値と比較する(ステップS5)。この比較において、ドット群ズレ量timing GapABが規格値外であれば(NO)、インク吐出タイミング補正値pulseβを算出する(ステップS6)。この補正値pulseβを用いたインク吐出タイミング調整により、各記録A,Bにおいて、記録媒体12上の副走査方向における任意の1つのドット群の記録位置に互いのドット群が重なる。(ステップS7)。これらのステップS1,S41−44,S5−S7の処理工程は、プリントタイミング調整工程となる。
【0082】
一方、比較において、規格値内であれば(YES)、搬送パルス変数pulse NumberAB及記録ヘッド間設計距離head Distance Theoreticalを読込む(ステップS8)。読込んだ記録ヘッド間設計距離head Distance Theoreticalをpulse NumberABで割り、媒体搬送1パルス当りの媒体搬送量を求める(ステップS9)。これらのステップS8,S9の処理工程は、画像長調整工程となる。
【0083】
以上のように、本実施形態では、搬送距離ムラを原因とするため、テスト記録媒体13aに複数のラインを描き、得られたむ媒体搬送パルス数の平均値を、画像長調整値の算出に利用して、画像長調整の精度低下を防止することができる。
【0084】
本実施形態では、図5(a)に示すテスト記録媒体13のテストパターンから、図15に示す搬送ローラ周期長1/Nd(Nd=4)周期毎に連続して、記録ヘッドA及び記録ヘッドBから、それぞれに複数のドット群が描かれているテスト記録媒体13aのテストパターンに変更する。尚、本実施形態では、ローラ偏心による搬送むら対策として、周長の1/4分割当たりのタイミングで形成される4本のラインをテストパターン画像として説明したが、これに限定されるものではなく、複数に分割すれば良いので、Nd=4に限定されるものではない。そして、記録したドット群全てを対象に、副走査方向の平均座標を求め、さらに、副走査方向座標差分timing Gapを、記録したドット群全ての平均値から求めている。
【0085】
よって、本実施形態によれば、前述した第1の実施形態の効果に加えて、さらに搬送ローラの偏心による周期的な変動に対応でき、高精度に画像長調整値を求めることができる。
【0086】
次に、第5実施形態について説明する。
図16に示すフローチャートを参照して、第5の実施形態に係る画像長調整(1パルス当りの媒体搬送量の算出)の動作手順について説明する。尚、本実施形態の説明において、前述した第1の実施形態と同じ動作手順(ステップS1及びS5−S9)においては、同じステップ番号を付して、その説明を簡略化する。
【0087】
前述したように、搬送ベルトの厚みムラによって、媒体搬送パルス数1パルス当りの媒体搬送距離が変動することがある。本実施形態にも、第4実施形態で説明した現象と同様な画像長調整精度の低下が生じる。本実施形態では、搬送ベルト厚みムラによる搬送距離ムラを原因とする画像長調整の精度低下を低減するため、第4の実施形態で利用するテストパターンを、ベルト周長に相当する記録領域全域に亘って、拡張した図17に示すテスト記録媒体13bのパターンに変更する。このテスト記録媒体13bのテストパターンは、搬送ローラ周期長1/4周期毎に連続して、記録ヘッドA及び記録ヘッドBから記録されるドット群が描かれ、且つ同様の周期毎にベルト周長に相当する記録領域全域に亘って描かれている。
【0088】
まず、任意の2つの記録ヘッドAと記録ヘッドB間の距離で媒体搬送に要する設計上の搬送パルス数pulseABTheoreticalを搬送パルス変数pulse NumberABに代入する(ステップS1)。即ち、pulse NumberAB=pulseABTheoreticalとなる。
【0089】
次に、搬送ローラ周期長Lr ×i/Nd(i=1,2,3…,Nd、但し、Nd≧4且つNd/2=0)に対応するパルスタイミング毎に記録媒体13上に副走査方向1ライン分のドット群(ドット数≧1)Nd×Nr個(NrILr×Nr≦副走査方向長さとなる自然数(0含む))をヘッドAから記録する(ステップS61)。尚、記録ヘッドAによる初回記録の後、記録媒体がpulse NumberAB分搬送された時に、記録ヘッドBからも同様の記録を行う。
【0090】
さらに、記録された記録媒体13の画像読込・画像処理を行い、各ドット群の副走査方向のそれぞれ平均座標dot GroupYAi(i=1,2,3,…,Nd×Nr)とdot GroupYBi(i=1,2,3,…,Nd×Nr)を抽出する(ステップS62)。引き続き、dot GroupYAi(i=1,2,3,…,Nd×Nr)の平均値dot Group AverageYAとdot Group YBi(i=1,2,3,…,Nd×Nr)の平均値dot Group AverageYBを求める(ステップS63)。
【0091】
その後、副走査方向座標差分timing Gapをdot Group AverageYAとdot Group AverageYBの差から求める(ステップS64)。即ち、timing GapAB=dot Group AverageYA−dot Group AverageYBである。
【0092】
これらの平均座標dot GroupYAとdot GroupYBの差分から各記録ヘッドA,Bに対応するドット群の主走査方向におけるズレ量timing Gap ABを算出し、予め定められた規格値と比較する(ステップS5)。この比較において、ドット群ズレ量timing GapABが規格値外であれば(NO)、インク吐出タイミング補正値pulseβを算出する(ステップS6)。この補正値pulseβを用いたインク吐出タイミング調整により、各記録ヘッドA,Bにおいて、記録媒体12上の副走査方向における任意の1つのドット群の記録位置に互いのドット群が重なる。(ステップS7)。これらのステップS1,S61−S64及びS5−S7の処理工程は、プリントタイミング調整工程となる。
【0093】
一方、比較において、規格値内であれば(YES)、搬送パルス変数pulse NumberAB及記録ヘッド間設計距離head Distance Theoreticalを読込む(ステップS8)。読込んだ記録ヘッド間設計距離head Distance Theoreticalをpulse NumberABで割り、媒体搬送1パルス当りの媒体搬送量を求める(ステップS9)。これらのステップS8,S9の処理工程は、画像長調整工程となる。
【0094】
本実施形態では、連続記録媒体を用いてベルト周長に相当する記録領域を確保しているが、これに限定されるものではなく、これに限定されず、1枚の使用可能な最大のカットシートを用いて、上記画像長調整を実施することも可能である。
【0095】
よって、本実施形態によれば、前述した第1の実施形態の効果に加えて、さらに搬送ローラの偏心による周期的な変動に対して、ベルト周長分にわたる記録領域全域に対応して、高精度に画像長調整値を求めることができる。
【0096】
次に、第6実施形態について説明する。
図18に示すフローチャートを参照して、第6の実施形態に係る画像長調整(1パルス当りの媒体搬送量の算出)の動作手順について説明する。尚、本実施形態の説明において、前述した第1の実施形態と同じ動作手順(ステップS1及びS3−S9)においては、同じステップ番号を付して、その説明を簡略化する。
【0097】
通常、記録媒体12を記録媒体供給部9から搬送機構6まで搬送する際に、ピックアップローラ11を回転させている。このとき、ピックアップローラ11による媒体搬送速度(ローラ回転速度)が、搬送機構6の媒体搬送速度よりも低い場合、記録媒体12がピックアップローラ11から離れる(接触状態から非接触状態になる)とき、記録媒体12の搬送速度が一瞬変化する。さらに、ピックアップローラ11による記録媒体12の搬送方向の角度と搬送機構6による搬送方向の角度とがズレている場合、記録媒体12に歪みが生じる。この歪みによって、記録媒体12がピックアップローラ11から離れるとき、記録媒体12が元の形に戻ろうとする作用が働き、記録媒体12に振動が一瞬生じる。そのような“一瞬”の際に画像記録を行っていると、副走査方向で形成されるドット群の位置にズレが生じる場合がある。本実施形態は、このズレを防止するため、記録媒体12がピックアップローラ11から離れる瞬間には、記録ヘッド2で対応する記録ヘッドでは記録を行わないテストパターンとする。
【0098】
まず、任意の2つの記録ヘッドAと記録ヘッドB間の距離で媒体搬送に要する設計上の搬送パルス数pulseABTheoreticalを搬送パルス変数pulse NumberABに代入する(ステップS1)。
【0099】
次に、記録媒体13上に副走査方向1ライン分のドット群(ドット数≧1)を記録ヘッドAから記録した後、記録媒体がpulse NumberAB分搬送された時、記録ヘッドBからも記録する。但し、ピックアップローラ11と各記録ヘッドA,b間のそれぞれの距離をdrAとdrBと設定する。この時に、記録媒体13上において、後端エッジから先端に向かって、距離drAとdrBの位置周辺にはドット群を記録しないようにする(ステップS81)。
【0100】
その後、ステップS3乃至S9の処理を行う。即ち、記録された記録媒体の画像読込・画像処理を行い、各ドット群の副走査方向のそれぞれ平均座標dot GroupYAとdot GroupYBを抽出する(ステップS3)。その後、副走査方向座標差分timing GapABをdot GroupYAとdot GroupYBの差から求める(ステップS4)。この差、即ち、ズレ量timing Gap ABを算出し、予め定められた規格値と比較する(ステップS5)。この比較において、ドット群ズレ量timing GapABが規格値外であれば(NO)、インク吐出タイミング補正値pulseβを算出する(ステップS6)。この補正値pulseβを用いたインク吐出タイミング調整により、各記録A,Bにおいて、記録媒体12上の副走査方向における任意の1つのドット群の記録位置に互いのドット群が重なる。(ステップS7)。これらのステップS1,S81及びS5−S7の処理工程は、プリントタイミング調整工程となる。
【0101】
一方、比較において、規格値内であれば(YES)、搬送パルス変数pulse NumberAB及記録ヘッド間設計距離head Distance Theoreticalを読込む(ステップS8)。読込んだ記録ヘッド間設計距離head Distance Theoreticalをpulse NumberABで割り、媒体搬送1パルス当りの媒体搬送量を求める(ステップS9)。これらのステップS8,S9の処理工程は、画像長調整工程となる。
【0102】
図19に示すように、本実施形態は、ピックアップローラ11から記録ヘッドA[2C]及び記録ヘッドB[2Y]までの距離をそれぞれdrAとdrBとした時に、記録媒体13上において、後端エッジから先端に向かって距離drAの位置には、記録ヘッドAによる記録は行わず、距離drBの位置には、記録ヘッドBによる記録を行わないテストパターンとした。
【0103】
従って、副走査方向で形成されるドット群の位置にズレが生じたとしても、そのズレの影響がないテストパターンにより画像長調整を行うことができ、より高精度な画像長調整値を求めることができる。
【0104】
次に、第7実施形態について説明する。
図20に示すフローチャートを参照して、第7の実施形態に係る画像長調整(1パルス当りの媒体搬送量の算出)の動作手順について説明する。尚、本実施形態の説明において、前述した第1の実施形態と同じ動作手順(ステップS2−S9)においては、同じステップ番号を付して、その説明を簡略化する。
【0105】
通常、図5(a)に示すテスト記録媒体13を出力するとき、任意の2つの記録ヘッド2間の媒体搬送に要する媒体搬送パルス数を得ている。このとき、任意の2つの記録ヘッド2が、副走査方向で近距離に配置されているほど、得られる媒体搬送パルス数は短い区間でのサンプリングとなり、画像長調整精度が低下する。
【0106】
そこで、本実施形態では、画像調整精度を向上させるため、備え付けられている複数の記録ヘッド2のうち、媒体搬送パルス数の取得対象とする2つの記録ヘッドA,Bは、最大距離を持つ組合せとする。即ち、任意の2つの記録ヘッド2を、ノズル列間距離が最大である組合せを選択するように規定している。この規定を図1に示すシステム構成例で示すと、記録ヘッドA[2C]と記録ヘッドB[2Y]の組合せがノズル列間距離最大であり、この組合せを対象に画像長調整値の算出を行う。
【0107】
まず、ヘッドノズル列間距離が複数ヘッドの組合せの中で最大距離を持つ2つの記録ヘッドAとB間の距離で、媒体搬送に要する設計上の搬送パルス数pulseABTheoreticalを搬送パルス変数pulse NumberABに代入する(ステップS91)。即ち、Pulse NumberAB=pulseABTheoreticalとする。
【0108】
その後、ステップS2乃至S9の処理を行う。即ち、記録媒体上に副走査方向1ライン分のドット群(ドット数≧1)を記録ヘッドAからテストパターンを記録した後、記録媒体13がpulse NumberAB分搬送された時に、記録ヘッドBからもテストパターン記録する(ステップS2)。記録された記録媒体の画像読込・画像処理を行い、各ドット群の副走査方向のそれぞれ平均座標dot GroupYAとdot GroupYBを抽出する(ステップS3)。
【0109】
引き続き、副走査方向座標差分timing GapABをdot GroupYAとdot GroupYBの差から求める(ステップS4)。この差、即ち、ズレ量timing Gap ABを算出し、予め定められた規格値と比較する(ステップS5)。この比較において、ドット群ズレ量timing GapABが規格値外であれば(NO)、インク吐出タイミング補正値pulseβを算出する(ステップS6)。この補正値pulseβを用いたインク吐出タイミング調整により、各記録A,Bにおいて、記録媒体12上の副走査方向における任意の1つのドット群の記録位置に互いのドット群が重なる。(ステップS7)。これらのステップS1,S81及びS5−S7の処理工程は、プリントタイミング調整工程となる。
【0110】
一方、比較において、規格値内であれば(YES)、搬送パルス変数pulse NumberAB及記録ヘッド間設計距離head Distance Theoreticalを読込む(ステップS8)。読込んだ記録ヘッド間設計距離head Distance Theoreticalをpulse NumberABで割り、媒体搬送1パルス当りの媒体搬送量を求める(ステップS9)。これらのステップS8,S9の処理工程は、画像長調整工程となる。
【0111】
以上説明したように、本実施形態によれば、任意の2つの記録ヘッド2を最大距離を持つ記録ヘッドA,Bに設定することにより、得られる媒体搬送パルス数は最大区間でサンプリングするため、他の記録ヘッドの組合せよりも、高い画像長調整精度を得ることができる。
【0112】
次に、第8実施形態について説明する。
図21に示すフローチャートを参照して、第8の実施形態に係る画像長調整(1パルス当りの媒体搬送量の算出)の動作手順について説明する。尚、 図21におけるフローチャートにおいて、以下のように表記している。第1記録ヘッド位置から第2記録ヘッド位置まで、また、第1記録ヘッド位置から第3記録ヘッド位置までの配置間隔である記録媒体搬送量に相当するエンコーダパルス数は、それぞれpulse NumberAtBx(Bx=第2記録ヘッド、第3記録ヘッド)と表記する。第1のテストパターン画像の記録位置に対する第2のテストパターン画像及び第1のテストパターン画像の記録位置に対する第3のテストパターン画像の記録位置のずれ量は、それぞれtiming GapAtBxと表記する。記録位置ずれ量に対応するパルス補正量は、pulseβxと表記する。算出された各パルス補正量の総和は、pulse Adjustment Totalと表記する。
【0113】
さらに、テストパターン画像を記録する記録ヘッド数(第2記録ヘッド、第3記録ヘッドの計2個)におけるパルス補正量の平均値は、pulse Adjustment Averageと表記する。 2つの記録ヘッドの配置間隔は、head Distance Theoreticalと表記する。該配置間隔に相当する記録媒体搬送量を示すエンコーダパルス数は、(pulse Number Theoreticalと表記する。補正後のエンコーダパルス数と2つの記録ヘッドの配置間隔は、head Distance Theoreticalと表記する。画像長調整値はimage Lengthと表記する。
【0114】
本実施形態は、3つ以上の記録ヘッドを用いて、補正エンコーダパルスの平均値を求め、この平均値(各ヘッド組共通の値となる)を各エンコーダパルス量に加算することにより、高精度に画像長調整値を求める例である。
【0115】
一般的に記録ヘッド2は、記録ヘッド毎にインクを吐出する速度が異なっているインク吐出速度ムラが生じている事態がある。そのため、説明するための仮定として、同じ距離を持つ複数ヘッドの組合せであっても、媒体搬送パルス数の取得対象とする2つの記録ヘッドの組合せ毎に、取得する媒体搬送パルス数は異なっている。
【0116】
そこで、本実施形態において、記録ヘッド2毎のインク吐出速度ムラによる媒体搬送パルス数取得の精度低下を低減するため、備え付けられている記録ヘッド2のうち、媒体搬送パルス数の取得対象とする記録ヘッドを、3つ以上且つ備え付けられている記録ヘッド数以下とする。以下に説明する本実施形態では、媒体搬送パルス数の取得対象とする記録ヘッド数を、1つの記録ヘッドAtを基準として、この基準ヘッドとの組合せる記録ヘッドBxを2つ以上で且つ、備え付けられている個数以下の記録ヘッドと規定する。尚、本実施形態では説明を簡単にするため、記録ヘッドBxは記録ヘッドAtよりも副走査方向下流側に位置する2つ以上の記録ヘッドと仮定して記載する。
【0117】
まず、記録ヘッドAtと他の2つ以上の記録ヘッドBx(Bx=A,B,C,…,Nh、At≠Bx)の組合せ毎に記録ヘッド間の距離で媒体搬送に要する設計上の搬送パルス数pulseAtBx Theoreticalを、各ヘッド間搬送パルス変数pulse NumberAtBxにそれぞれ代入する(ステップS101)。即ち、pulse NumberAtBx=pulseAtBx Theoretical(Bx=A,B,C,…,Nh、At≠Bx)となる。
【0118】
次に、各ヘッドのインク吐出タイミング補正値合計の記憶用変数を初期化する(ステップS102)。つまり、pulse Adjustment Total=0とする。
【0119】
次に、搬送パルス数pulse Number Theoretical= pulseAtBx Theoretical、記録ヘッドの配置間隔をhead Distance Theoretical=head DistanceAtBx Theoreticalに設定する(ステップS103)。
【0120】
引き続き、記録媒体13上に副走査方向1ライン分のドット群(ドット数≧1)を記録ヘッドAから記録された後、記録媒体13が、それぞれpulse NumberAtBx分搬送された時に、各記録ヘッドBxからも記録する(ステップS104)。これは、基準記録ヘッドAtによる記録動作から、パルスエンコーダ4から出力されるパルスカウント数が各搬送パルス変数pulse NumberAtBxに達する毎に、記録ヘッドBxによる記録動作を行うことである。
【0121】
次に、テストパターンが記録された記録媒体13の画像読込・画像処理を行い、各ドット群の副走査方向のそれぞれ平均座標dot GroupYAtとdot GroupYBx(Bx=A,B,C,…,Nh)を抽出する(ステップS105)。その後、副走査方向座標の各差分timing Gap AtBxをdot GroupYAtと各dot GroupYBxの差から求める(ステップS106)。即ち、timing GapAtBx = dot GroupYBx−dot GroupYAt(Bx=A,B,C,…,Nh、At≠Bx)となる。これは、記録したドット群全てを対象に、それぞれの副走査方向平均座標を求めている。そして、ここで求めた各平均値から、各ドット群の組合せ毎に副走査方向座標差分timing GapAtBxを求めている。尚、timing GapAtBxを求めるとき、本実施形態では、1つの記録ヘッド(=At)を基準に、他の各記録ヘッドと組合せた各ドット群の副走査方向座標差分timing GapAtBxを求めている。
【0122】
さらに、副走査方向座標差分timing GapAtBx(Bx=A,B,C,…,Nh、At≠Bx)が予め定めた規格値以下か否かを判定する(ステップS107)。即ち、timing GapAtBx≦規格値を判定する。この判定は、各ドット群の組合せ毎に求めた複数の副走査方向座標差分timing GapAtBxのそれぞれに対して、規格値との比較を行っている。この判定で、1つでも規格値外があれば(NO)、基準ではない一方の記録ヘッドのプリントタイミングを調整する。つまり、算出したtiming GapAtBxから記録ヘッドBxのインク吐出タイミング補正値pulseβx(但し、Bx=βx)を算出する(ステップS108)。
【0123】
次に、ヘッド間搬送パルス変数pulse NumberAtBxを pulse NumberAtBx+pulse/βxとする(ステップS109)。但し、Bx=βx=A,B,C,…,Nh、At≠Bxとする。そして、全ヘッド組合せのインク吐出タイミング補正値の合計を記憶する(ステップS110)。つまり、インク吐出タイミング補正値pulse Adjustment Totalとして、pulse Adjustment Total及び、pulseβxを記憶し、ステップS104にリターンする。これらのステップS101乃至ステップS110の処理工程は、プリントタイミング調整工程となる。
【0124】
一方、ステップS107において、副走査方向座標差分timing GapAtBxが規格値以下であれば(YES)、インク吐出タイミング補正値の平均を算出する(ステップS111)。つまり、平均は、Pulse Adjustment Average = pulse Adjustment Totalをヘッド組合せ数で除して求める。さらに、画像長調整値image Length は、head Distance Theoreticalを(pulse Number Theoretical + pulse Adjustment Average)で除すことにより、インク吐出タイミング補正値の平均が算出される。
【0125】
さらに、対象とした各記録ヘッドの組合せ毎の搬送パルス変数pulse NumberAtBxから媒体搬送パルス数の平均値pulse Number Average及び各ヘッド間設計距離head DistanceAtBx Theoreticalから平均ヘッド間設計距離head DistanceAtBx Theoretical Averageを算出する(ステップS112)。
以上のように本実施形態によれば、算出されたpulse Number Average及びhead DistanceAtBx Theoretical Averageから、画像長調整値を求めることができる。
【0126】
次に、第9実施形態について説明する。
図22に示すフローチャートを参照して、第9の実施形態に係る画像長調整(1パルス当りの媒体搬送量の算出)の動作手順について説明する。尚、22におけるフローチャートにおいて、以下のように表記している。第1記録ヘッド位置から第2記録ヘッド位置まで、また、第1記録ヘッド位置から第3記録ヘッド位置までの配置間隔である記録媒体搬送量に相当するエンコーダパルス数は、それぞれpulse NumberAtBx(Bx=第2記録ヘッド、第3記録ヘッド)と表記する。
【0127】
第1記録ヘッドと第2記録ヘッドとの配置間隔は、head DistanceAtBx[Atが1、Bxが2とする]と表記する。補正後のエンコーダパルス数は、pulse NumberAtBx[Atが1、Bxが2とする]と表記する。第1の画像長調整値は、image LengthAtBx[Atが1、Bxが2とする]と表記する。
【0128】
また、第1記録ヘッドと第3記録ヘッドとの配置間隔は、head DistanceAtBx[Atが1、Bxが3とする]と表記する。補正後のエンコーダパルス数は、pulse NumberAtBx[Atが1、Bxが3とする]と表記する。第2の画像長調整値は、image LengthAtBx[Atが1、Bxが3とする]と表記する。各画像長調整値の平均値は、image Length Averageと表記する。本実施形態は、3つ以上の記録ヘッドを用いて、各ヘッドの組合せから求められる各画像長調整値の平均値を求め、その平均値を画像長調整値とする例である。
【0129】
本実施形態のプリントタイミング調整工程において、前述した第8の実施形態と同じ動作手順(ステップS101、ステップS104乃至ステップS109)は、同じステップ番号を付して、その説明を簡略化する。以下に説明する本実施形態では、第8の実施形態と同様に、1つの記録ヘッドAtを基準として、この基準ヘッドとの組合せる記録ヘッドBxを2つ以上で且つ、備え付けられている個数以下の記録ヘッドと規定する。尚、本実施形態では説明を簡単にするため、記録ヘッドBxは記録ヘッドAtよりも副走査方向下流側に位置する2つ以上の記録ヘッドと仮定して記載する。
【0130】
まず、記録ヘッドAtと他の2つ以上の記録ヘッドBx(Bx=A,B,C,…,Nh、At≠Bx)の組合せ毎に記録ヘッド間の距離で媒体搬送に要する設計上の搬送パルス数pulseAtBx Theoreticalを、各ヘッド間搬送パルス変数pulse NumberAtBxにそれぞれ代入する(ステップS101)。
【0131】
次に、記録媒体13上に副走査方向1ライン分のドット群(ドット数≧1)を記録ヘッドAから記録された後、記録媒体13がそれぞれpulse NumberAtBx分搬送された時に、各記録ヘッドBxからも記録する(ステップS104)。
【0132】
次に、記録媒体13に記録されたテストパターンに基づき、各ドット群の副走査方向のそれぞれ平均座標dot GroupYAtとdot GroupYBx(Bx=A,B,C,…,Nh)を抽出する(ステップS105)。その後、副走査方向座標の各差分timing Gap AtBxをdot GroupYAtと各dot GroupYBxの差から求める(ステップS106)。
【0133】
さらに、副走査方向座標差分timing GapAtBx(Bx=A,B,C,…,Nh、At≠Bx)が予め定めた規格値以下か否かを判定する(ステップS107)。この判定で、1つでも規格値外があれば(NO)、基準ではない一方の記録ヘッドのプリントタイミングを調整する。算出したtiming GapAtBxから記録ヘッドBxのインク吐出タイミング補正値pulseβxを算出する(ステップS108)。次に、ヘッド間搬送パルス変数pulse NumberAtBxを pulse NumberAtBx+pulse/βxとし(ステップS109)、ステップS104にリターンする。これらのステップS101乃至ステップS109の処理工程は、プリントタイミング調整工程となる。
【0134】
前記ステップS107の判定において、副走査方向座標差分timing GapAtBxが予め定めた規格値以下であれば(YES)、各記録ヘッドAtBxのpulse NumberAtBxとノズル列間距離設計値head DistanceAtBx Theoretical(予め記憶していた各ヘッド間距離データから算出される)を読込む(ステップS121)。
【0135】
次に、記録ヘッドの組合せ毎の画像長調整値をそれぞれ算出する(ステップS122)。即ち、image LengthAtBx=head DistanceAtBx Theoretical/pulse NumberAtBx(Bx=A,B,C,…,Nh、At≠Bx)とする。
【0136】
ここで、求められた記録ヘッドの組合せ毎の画像長調整値の合計を代入する変数を初期化する(ステップS123)。例えば、image Length Total=0とする。引き続き、記録ヘッドの組合せ毎の画像長調整値を全て合計する(ステップS124)。これは、image Length Total=image Length Total+image Length AtBx(Bx=A,B,C,…,Nh、At≠Bx)とする。さらに、平均画像長調整値を求める(ステップS125)。平均画像長調整値image Length Average=image Length Total/記録ヘッドの組合せ数とする。
以上のように本実施形態によれば、算出されたimage Length Totalを記録ヘッドの組合せ数で除することで 画像長調整値を求めることができる。
【0137】
尚、以上説明した各実施形態において、以下のように定めている。
・主走査方向は、記録媒体幅方向又は、キャリッジ搬送方向(シリアルプリンタ)とする。副走査方向は、記録媒体搬送方向又は、キャリッジ搬送方向に垂直な方向とする。
・プリントタイミング調整は、各記録ヘッドから記録媒体上の副走査方向(又はキャリッジ搬送方向)の同じ位置に記録する際に、各色ドットがズレなく重なるように、ヘッド毎のインク吐出タイミングを設定する調整を意味する。(但し、例えば、調整単位:1/32ドットとする。)
・搬送パルス(ラインプリンタでは記録媒体搬送パルス及び、シリアルプリンタではキャリッジ搬送パルス)は、ラインプリンタにおいて、記録媒体搬送ローラ(又は、シリアルプリンタではキャリッジ搬送ローラ)が、回転されたときに回転周期に合わせて出力される信号とする。本実施形態において、搬送機構を構成する全部品が理論値で形成されている場合の設計上、1パルス当りの搬送量は、1ドット(84.5μm)分となる。
【0138】
・任意の2つのヘッドAB間設計距離は、設計(又は実測)において、距離任意の2つの記録ヘッドAとBのノズル間距離をいう。特に、指定していない場合、記録ヘッドAとB(さらに、C、D、…、Nh)は、副走査方向(シリアルプリンタの場合は主走査方向)でキャリッジ上異なる位置に配置されているものとする。
【0139】
・画像長調整値は、(搬送ローラの回転量に合わせて出力されるパルスの)1パルス当りの記録媒体/キャリッジ搬送量とする。1パルス当りの搬送量に誤差があると、副走査方向に線を引いたとき、各ドット間に隙間或いは各ドットが重なった線が描かれる。その結果、記録媒体の副走査方向において入力した画像データよりも伸縮した線となるため、この補正を行う調整値を示唆する。
【0140】
以上説明したように、各実施形態は以下の作用を奏している。
1)記録媒体の湿気等による伸縮から生じる精度低下を防止して、高精度に媒体搬送量を求める。媒体搬送量を求めるにあたり、本発明では、副走査方向で異なる位置に配置されている任意の2つの記録ヘッドA及びBの、それぞれに対応する同方向1ライン分かつ1つ以上のドットから成るドット群が記録媒体上の任意の位置で重ったときの媒体搬送パルス数と、記録ヘッドAB間の物理的距離を用いている。これにより、媒体搬送パルス数を記録媒体上において離れて位置しているドット群の距離から求めるときと比べて、記録媒体の湿気等による伸縮から生じる精度低下を防止する。さらに、搬送機構が、搬送ベルトも備え付けられている構成である場合も、利用することができる。
【0141】
2)ラインプリンタにおいて、副走査方向で異なる位置に配置されている任意の2つの記録ヘッドA及びBに対応する同方向1ライン分かつ1つ以上のドットから成るドット群が、それぞれ記録媒体上の副走査方向における任意の1つの位置に描かれたときの搬送パルス数を記録する、次に、任意の2つの記録ヘッドAB間設計距離を、先に得られた搬送パルス数で割って得られる値を画像長調整値とする。
【0142】
3)シリアルプリンタにおいて、主走査方向で異なる位置に配置されている任意の2つの記録ヘッドA及びBに対応する同方向1ライン分且つ、1つ以上のドットから成るドット群が、それぞれ記録媒体上の主走査方向における任意の1つの位置に描かれたときのキャリッジ搬送パルス数を記録する、次に、任意の2つの記録ヘッドAB間設計距離を、先に得られたキャリッジ搬送パルス数で割って得られる値を画像長調整値とする。
【0143】
4)ヘッド間距離実測による高調整精度化は、前述した第1の実施形態及び第2の実施形態において、任意の2つのヘッド間距離を実測距離とする。実測方法は、2つのCCDカメラが、ヘッドノズルを撮影可能な所定の位置・高さ・傾き(測定対象とする任意の記録ヘッド直下)で配置され、且つ校正された測定機で、2つのヘッドノズルを撮影及び重心座標を画像処理で求める。そして、ここで求めたノズル重心座標とCCDカメラ間距離から算出する。
【0144】
5)ローラ偏心による搬送ムラを起因とする測定誤差を無効にしたパルス数取得による高調整精度化。前述した第1の実施形態乃至第3の実施形態における、パルス数取得方法において、パルスエンコーダが具備されている搬送ローラ周期長を等間隔且つ、少なくとも4以上の偶数値Ndで分割したタイミングで、2つの任意の記録ヘッドA及びBから1つ以上のドットから成るドット群を形成して、記録ヘッド毎のドット群が、互いに記録媒体上の副走査方向におけるNd個の位置に描碗たときに得られるパルス数の平均とする。
【0145】
6)ベルト厚みムラ/ローラに対するベルト滑り搬送ムラ起因の測定誤差を低減したパルス数取得による高調整精度化。前述した第4の実施形態におけるパルス数取得方法で、搬送ローラ周期長×N回を繰返し行ったときに得られるパルス数の平均とする。ここで、Nは1以上且つ、搬送ベルト周期長L2/搬送ローラ周期長L1で求まる値未満(整数値)とする。副走査方向における記録領域長さが、1枚当りの副走査方向記録媒体長を超える場合は、記録媒体を複数枚使用する。
【0146】
7)レジ抜け搬送ムラ起因の測定誤差を無効にしたパルス取得による高調整精度化。前述した第1の実施形態乃至第5の実施形態のパルス数取得方法において、給紙台から給紙された記録媒体の後端エッジが給紙ローラを抜ける瞬間(記録媒体において、後端エッジから先端方向に向かって、給紙ローラの重心と吐出ヘッドのノズル間距離分離れた位置)には記録しないテストパターンとする。
【0147】
8)最大ヘッド間距離の2つのヘッド間パルス数取得による高調整精度化。前述した第1の実施形態乃至第3の実施形態のパルス数取得方法且つラインプリンタに適用した場合において、副走査方向で異なる位置にある記録ヘッドの内、最も離れた2つの記録ヘッドを用いる。
【0148】
9)インク吐出速度ムラ起因の測定誤差を低減したパルス数取得方法。前述した第1の実施形態乃至第3の実施形態のパルス数取得方法において、具備されている全記録ヘッドを2つ以上ずつ組合せて得られるパルス数の平均とする。
【0149】
前述した各実施形態は、以下の発明の要旨を含んでいる。
所定の一方向に沿って移動可能なキャリッジと、
前記キャリッジを前記所定の一方向に移動させる複数の搬送ローラと、当該複数の搬送ローラに掛け渡された無端状ベルトと、当該搬送ローラの回転量を算出するエンコーダとを有するキャリッジ移動手段と、
前記キャリッジ上に、前記所定の一方向に沿って複数の異なる位置にそれぞれ配置され、記録媒体に対して画像を記録する少なくとも第1記録ヘッドと第2記録ヘッドとを有する複数の記録ヘッドと、
前記各記録ヘッドによって記録された画像を読取る画像読取り手段(画像読取機器15)と、
画像読取り手段によって読取られた画像情報に基づき、各記録ヘッドの記録タイミングを補正すると共に、各記録ヘッドの記録タイミングを制御する制御手段[画像処理/制御/演算部(処理制御部)18]と、
を有する画像記録装置におけるキャリッジ移動量補正値算出方法において、
第1記録ヘッドによって記録媒体搬送方向における任意の位置に第1のテストパターン画像(テストパターン:ドット群)を記録媒体に記録する第1記録ステップと、(ステップS2)
第1記録ヘッドによる画像記録タイミングから、第1記録ヘッド位置から第2記録ヘッド位置までの配置間隔に相当するキャリッジ移動量に相当するエンコーダパルス数(pulse NumberAB)だけ計数した後に、第2記録ヘッドによって第2のテストパターン画像(テストパターン:ドット群)を前記記録媒体に記録する第2記録ステップと、(ステップS2)
前記画像読取り手段によって、記録媒体記録された前記各テストパターン画像を読取るステップと、(ステップS3)
前記画像読取り手段によって読取られた前記各テストパターン画像の記録位置に基づいて、各記録ヘッドによって記録される前記各テストパターン画像が、前記所定の一方向における同一位置に記録されるように、前記エンコーダパルス数を補正するステップと、(ステップS4,S6,S7)
前記第1記録ヘッドと前記第2記録ヘッドとの配置間隔と、補正後のエンコーダパルス数との比から、エンコーダからの所定パルスに関するキャリッジ移動量補正値(画像長調整値)を算出するステップと、(ステップS8,S9)
を有することを特徴とする搬送量補正値算出方法。以上の付記はシリアルプリンタに適用される(第2実施形態)。
【符号の説明】
【0150】
1…プリンタ(画像記録装置)、2…記録ヘッド、3…キャリッジ、4…パルスエンコーダ、5…搬送ローラ、6…搬送機構、7…搬送ベルト、8…ファン、9…記録媒体供給部、10…記録媒体カセット、11…ピックアップローラ、12…記録媒体、13…テスト記録媒体、14…プリンタ制御部、15…画像読取機器、16…画像読取制御部、17…画像読取部、18…画像処理/制御/演算部(処理制御部)、19…表示部、20…入力部、22…プリンタ用記憶部、23…演算処理部、24…記憶部、25…パルス数記憶領域、26…画像データ記憶領域、27…ヘッド間距離記憶領域、28…テストパターン記憶領域、29…ヘッド間距離測定機器、30…CCDカメラ、31…ステージ、32…キャリッジ支持台。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体を搬送する複数の搬送ローラと、当該複数の搬送ローラに掛け渡された無端状ベルトと、当該搬送ローラの回転量を算出するエンコーダとを有する搬送手段と、
記録媒体搬送方向の複数の異なる位置にそれぞれ配置され、搬送手段によって搬送される記録媒体に対してエンコーダから出力されるパルス数に基づいて画像を記録する少なくとも第1記録ヘッドと第2記録ヘッドを含む複数の記録ヘッドと、
前記各記録ヘッドによって記録された画像を読取る画像読取り手段と、
前記画像読取り手段によって読取られた画像情報に基づき、各記録ヘッドの記録タイミングを補正すると共に、各記録ヘッドの記録タイミングを制御する制御手段と、
を有する画像記録装置における搬送量補正値算出方法であって、
前記第1記録ヘッドによって記録媒体搬送方向における任意の位置に第1のテストパターン画像を記録媒体に記録する第1記録ステップと、
第1記録ヘッドによる画像記録タイミングから、第1記録ヘッド位置から第2記録ヘッド位置までの配置間隔に相当する記録媒体搬送量に相当するエンコーダパルス数だけ計数した後に、前記第2記録ヘッドによって前記任意位置と同じ位置で且つ記録媒体幅方向に異なる位置に第2のテストパターン画像を前記記録媒体に記録する第2記録ステップと、
前記画像読取り手段によって、記録媒体記録された前記各テストパターン画像を画像読取りステップと、
前記画像読取り手段によって読取られた前記各テストパターン画像の記録媒体搬送方向における記録位置ずれ量を求めると共に、当該記録位置ずれ量に対応するパルス補正量を算出する補正量算出ステップと、
前記各記録ヘッドによって記録される前記各テストパターン画像が、前記記録媒体搬送方向における同一位置に記録されるように、前記エンコーダパルス数に対して前記パルス補正量を加算することで前記エンコーダパルス数を補正する補正ステップと、
前記第1記録ヘッドと前記第2記録ヘッドとの配置間隔と、補正後のエンコーダパルス数との比から、画像長調整値を算出する調整値算出ステップと、
を有することを特徴とする搬送量補正値算出方法。
【請求項2】
前記第1記録ヘッドと前記第2記録ヘッドとの間隔を直接測定するヘッド間隔測定手段をさらに有し、
前記第2記録ステップは、前記ヘッド間隔測定手段によって測定された前記第1記録ヘッド位置から第2記録ヘッド位置までの配置間隔に基づいて算出されるエンコーダパルス数を計数した後に第2のテストパターン画像を記録することを特徴とする請求項1に記載の搬送量補正値算出方法。
【請求項3】
前記第1記録ステップ及び第2記録ステップは、互いに前記搬送ローラの周長の1/N(Nは2以上の整数)の画像記録タイミングに基づいて、前記搬送ローラの周長に相当する記録領域に亘ってN個の画像で構成されるテストパターン画像をそれぞれ記録するものであって、
前記パルス補正量算出ステップは、前記テストパターン画像毎に当該テストパターン画像を構成するN個の画像における記録媒体搬送方向における記録位置の平均値を算出し、各テストパターン画像の平均値のずれ量に対応するパルス補正量を算出することを特徴とする請求項1に記載の搬送量補正値算出方法。
【請求項4】
前記第1記録ステップ及び第2記録ステップは、互いに一定間隔でかつ複数回の画像記録タイミングで、前記無端状ベルトの周長に相当する長さの記録領域に亘って、複数個の画像で構成されるテストパターン画像をそれぞれ記録するものであって、
前記パルス補正量算出ステップは、前記テストパターン画像毎に当該テストパターン画像を構成する複数個の画像における記録媒体搬送方向における記録位置の平均値を算出し、各テストパターン画像の平均値のずれ量に対応するパルス補正量を算出することを特徴とする請求項1に記載の搬送量補正値算出方法。
【請求項5】
前記第1記録ステップ及び第2記録ステップは、複数枚のカットシート状記録媒体を用いて前記無端状ベルトの周長に相当する長さの記録領域を構成し、前記複数枚のカットシート状記録媒体にそれぞれ前記各テストパターン画像を記録することを特徴とする請求項4に記載の搬送量補正値算出方法。
【請求項6】
前記第1記録ステップ及び第2記録ステップは、互いに一定間隔でかつ複数回の画像記録タイミングで、前記画像記録装置において使用可能な最大の記録領域を有するカットシート状記録媒体の記録領域全域に亘って、複数個の画像で構成されるテストパターン画像をそれぞれに記録するものであって、
前記パルス補正量算出ステップは、前記テストパターン画像毎に当該テストパターン画像を構成する複数個の画像における記録媒体搬送方向における記録位置の平均値を算出し、各テストパターン画像の平均値のずれ量に対応するパルス補正量を算出することを特徴とする請求項1に記載の搬送量補正値算出方法。
【請求項7】
前記搬送手段は、
前記搬送ローラを具備する第1の搬送機構と、
前記第1の搬送機構よりも記録媒体搬送方向上流側に配置され、記録媒体を前記第1搬送機構に向けて搬送するピックアップローラを具備する第2搬送機構と、を有し、
前記第1記録ステップ及び第2記録ステップは、前記各テストパターン画像を記録する記録位置と記録媒体における搬送方向後端との間隔と、前記第2搬送機構におけるピックアップローラの位置と前記各記録ヘッドの位置との間隔とが一致する位置以外の記録媒体上の記録領域に対して、各テストパターン画像を記録することを特徴とする請求項1に記載の搬送量補正値算出方法。
【請求項8】
前記第1記録ヘッドと前記第2記録ヘッドとの記録媒体搬送方向における間隔は、他の記録ヘッドとの間隔に対して最も広くなるように配置され、
前記第1記録ステップ及び第2記録ステップは、前記複数の記録ヘッドのうち、最もヘッド間隔が広い第1記録ヘッドと第2記録ヘッドとを用いて、各テストパターン画像を記録することを特徴とする請求項1に記載の搬送量補正値算出方法。
【請求項9】
さらに、前記複数の記録ヘッドのうち、前記第1,2記録ヘッドとは異なる第3記録ヘッドを用いて、第1記録ヘッドによる画像記録タイミングから、第1記録ヘッド位置から第3記録ヘッド位置までの配置間隔に相当する記録媒体搬送量に相当するエンコーダパルス数のみ計数した後に、第3のテストパターン画像を前記記録媒体に記録する第3記録ステップを有し、
前記パルス補正量算出ステップは、
前記第1のテストパターン画像の記録位置に対する第2のテストパターン画像及び第3のテストパターン画像の記録位置のずれ量をそれぞれ算出すると共に、
算出した各記録位置ずれ量に対応するパルス補正量をそれぞれ算出し、算出された各パルス補正量の総和を算出し、
前記エンコーダパルス数補正ステップは、
算出された各パルス補正量の総和を、第1のテストパターン画像との記録位置ずれ量を算出するテストパターン画像を記録する記録ヘッド数(第2記録ヘッド、第3記録ヘッドの計2個)でパルス補正量の平均値を算出し、
前記画像長算出ステップは、
前記パルス補正量平均値を前記複数の記録ヘッドのうちの予め決められていた2つの記録ヘッドの配置間隔に相当する記録媒体搬送量に相当するエンコーダパルス数に加算することでエンコーダパルス数を補正し、当該補正後のエンコーダパルス数と前記2つの記録ヘッドの配置間隔との比から、画像長調整値を算出することを特徴とする請求項1に記載の搬送量補正値算出方法。
【請求項10】
さらに、前記複数の記録ヘッドのうち、前記第1,2記録ヘッドとは異なる第3記録ヘッドを用いて、第1記録ヘッドによる画像記録タイミングから、第1記録ヘッド位置から第3記録ヘッド位置までの配置間隔に相当する記録媒体搬送量に相当するエンコーダパルス数のみ計数した後に、第3のテストパターン画像を前記記録媒体に記録する第3記録ステップを有し、
前記画像長調整値算出ステップは、
前記第1記録ヘッドと前記第2記録ヘッドとの配置間隔と、補正後のエンコーダパルス数との比から、第1の画像長調整値を算出すると共に、 前記第1記録ヘッドと前記第3記録ヘッドとの配置間隔と、補正後のエンコーダパルス数との比から、第2の画像長調整値を算出し、算出した各画像長調整値の平均値を算出することを特徴とする請求項1に記載の搬送量補正値算出方法。
【請求項1】
記録媒体を搬送する複数の搬送ローラと、当該複数の搬送ローラに掛け渡された無端状ベルトと、当該搬送ローラの回転量を算出するエンコーダとを有する搬送手段と、
記録媒体搬送方向の複数の異なる位置にそれぞれ配置され、搬送手段によって搬送される記録媒体に対してエンコーダから出力されるパルス数に基づいて画像を記録する少なくとも第1記録ヘッドと第2記録ヘッドを含む複数の記録ヘッドと、
前記各記録ヘッドによって記録された画像を読取る画像読取り手段と、
前記画像読取り手段によって読取られた画像情報に基づき、各記録ヘッドの記録タイミングを補正すると共に、各記録ヘッドの記録タイミングを制御する制御手段と、
を有する画像記録装置における搬送量補正値算出方法であって、
前記第1記録ヘッドによって記録媒体搬送方向における任意の位置に第1のテストパターン画像を記録媒体に記録する第1記録ステップと、
第1記録ヘッドによる画像記録タイミングから、第1記録ヘッド位置から第2記録ヘッド位置までの配置間隔に相当する記録媒体搬送量に相当するエンコーダパルス数だけ計数した後に、前記第2記録ヘッドによって前記任意位置と同じ位置で且つ記録媒体幅方向に異なる位置に第2のテストパターン画像を前記記録媒体に記録する第2記録ステップと、
前記画像読取り手段によって、記録媒体記録された前記各テストパターン画像を画像読取りステップと、
前記画像読取り手段によって読取られた前記各テストパターン画像の記録媒体搬送方向における記録位置ずれ量を求めると共に、当該記録位置ずれ量に対応するパルス補正量を算出する補正量算出ステップと、
前記各記録ヘッドによって記録される前記各テストパターン画像が、前記記録媒体搬送方向における同一位置に記録されるように、前記エンコーダパルス数に対して前記パルス補正量を加算することで前記エンコーダパルス数を補正する補正ステップと、
前記第1記録ヘッドと前記第2記録ヘッドとの配置間隔と、補正後のエンコーダパルス数との比から、画像長調整値を算出する調整値算出ステップと、
を有することを特徴とする搬送量補正値算出方法。
【請求項2】
前記第1記録ヘッドと前記第2記録ヘッドとの間隔を直接測定するヘッド間隔測定手段をさらに有し、
前記第2記録ステップは、前記ヘッド間隔測定手段によって測定された前記第1記録ヘッド位置から第2記録ヘッド位置までの配置間隔に基づいて算出されるエンコーダパルス数を計数した後に第2のテストパターン画像を記録することを特徴とする請求項1に記載の搬送量補正値算出方法。
【請求項3】
前記第1記録ステップ及び第2記録ステップは、互いに前記搬送ローラの周長の1/N(Nは2以上の整数)の画像記録タイミングに基づいて、前記搬送ローラの周長に相当する記録領域に亘ってN個の画像で構成されるテストパターン画像をそれぞれ記録するものであって、
前記パルス補正量算出ステップは、前記テストパターン画像毎に当該テストパターン画像を構成するN個の画像における記録媒体搬送方向における記録位置の平均値を算出し、各テストパターン画像の平均値のずれ量に対応するパルス補正量を算出することを特徴とする請求項1に記載の搬送量補正値算出方法。
【請求項4】
前記第1記録ステップ及び第2記録ステップは、互いに一定間隔でかつ複数回の画像記録タイミングで、前記無端状ベルトの周長に相当する長さの記録領域に亘って、複数個の画像で構成されるテストパターン画像をそれぞれ記録するものであって、
前記パルス補正量算出ステップは、前記テストパターン画像毎に当該テストパターン画像を構成する複数個の画像における記録媒体搬送方向における記録位置の平均値を算出し、各テストパターン画像の平均値のずれ量に対応するパルス補正量を算出することを特徴とする請求項1に記載の搬送量補正値算出方法。
【請求項5】
前記第1記録ステップ及び第2記録ステップは、複数枚のカットシート状記録媒体を用いて前記無端状ベルトの周長に相当する長さの記録領域を構成し、前記複数枚のカットシート状記録媒体にそれぞれ前記各テストパターン画像を記録することを特徴とする請求項4に記載の搬送量補正値算出方法。
【請求項6】
前記第1記録ステップ及び第2記録ステップは、互いに一定間隔でかつ複数回の画像記録タイミングで、前記画像記録装置において使用可能な最大の記録領域を有するカットシート状記録媒体の記録領域全域に亘って、複数個の画像で構成されるテストパターン画像をそれぞれに記録するものであって、
前記パルス補正量算出ステップは、前記テストパターン画像毎に当該テストパターン画像を構成する複数個の画像における記録媒体搬送方向における記録位置の平均値を算出し、各テストパターン画像の平均値のずれ量に対応するパルス補正量を算出することを特徴とする請求項1に記載の搬送量補正値算出方法。
【請求項7】
前記搬送手段は、
前記搬送ローラを具備する第1の搬送機構と、
前記第1の搬送機構よりも記録媒体搬送方向上流側に配置され、記録媒体を前記第1搬送機構に向けて搬送するピックアップローラを具備する第2搬送機構と、を有し、
前記第1記録ステップ及び第2記録ステップは、前記各テストパターン画像を記録する記録位置と記録媒体における搬送方向後端との間隔と、前記第2搬送機構におけるピックアップローラの位置と前記各記録ヘッドの位置との間隔とが一致する位置以外の記録媒体上の記録領域に対して、各テストパターン画像を記録することを特徴とする請求項1に記載の搬送量補正値算出方法。
【請求項8】
前記第1記録ヘッドと前記第2記録ヘッドとの記録媒体搬送方向における間隔は、他の記録ヘッドとの間隔に対して最も広くなるように配置され、
前記第1記録ステップ及び第2記録ステップは、前記複数の記録ヘッドのうち、最もヘッド間隔が広い第1記録ヘッドと第2記録ヘッドとを用いて、各テストパターン画像を記録することを特徴とする請求項1に記載の搬送量補正値算出方法。
【請求項9】
さらに、前記複数の記録ヘッドのうち、前記第1,2記録ヘッドとは異なる第3記録ヘッドを用いて、第1記録ヘッドによる画像記録タイミングから、第1記録ヘッド位置から第3記録ヘッド位置までの配置間隔に相当する記録媒体搬送量に相当するエンコーダパルス数のみ計数した後に、第3のテストパターン画像を前記記録媒体に記録する第3記録ステップを有し、
前記パルス補正量算出ステップは、
前記第1のテストパターン画像の記録位置に対する第2のテストパターン画像及び第3のテストパターン画像の記録位置のずれ量をそれぞれ算出すると共に、
算出した各記録位置ずれ量に対応するパルス補正量をそれぞれ算出し、算出された各パルス補正量の総和を算出し、
前記エンコーダパルス数補正ステップは、
算出された各パルス補正量の総和を、第1のテストパターン画像との記録位置ずれ量を算出するテストパターン画像を記録する記録ヘッド数(第2記録ヘッド、第3記録ヘッドの計2個)でパルス補正量の平均値を算出し、
前記画像長算出ステップは、
前記パルス補正量平均値を前記複数の記録ヘッドのうちの予め決められていた2つの記録ヘッドの配置間隔に相当する記録媒体搬送量に相当するエンコーダパルス数に加算することでエンコーダパルス数を補正し、当該補正後のエンコーダパルス数と前記2つの記録ヘッドの配置間隔との比から、画像長調整値を算出することを特徴とする請求項1に記載の搬送量補正値算出方法。
【請求項10】
さらに、前記複数の記録ヘッドのうち、前記第1,2記録ヘッドとは異なる第3記録ヘッドを用いて、第1記録ヘッドによる画像記録タイミングから、第1記録ヘッド位置から第3記録ヘッド位置までの配置間隔に相当する記録媒体搬送量に相当するエンコーダパルス数のみ計数した後に、第3のテストパターン画像を前記記録媒体に記録する第3記録ステップを有し、
前記画像長調整値算出ステップは、
前記第1記録ヘッドと前記第2記録ヘッドとの配置間隔と、補正後のエンコーダパルス数との比から、第1の画像長調整値を算出すると共に、 前記第1記録ヘッドと前記第3記録ヘッドとの配置間隔と、補正後のエンコーダパルス数との比から、第2の画像長調整値を算出し、算出した各画像長調整値の平均値を算出することを特徴とする請求項1に記載の搬送量補正値算出方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2011−245802(P2011−245802A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−123339(P2010−123339)
【出願日】平成22年5月28日(2010.5.28)
【出願人】(000250502)理想科学工業株式会社 (1,191)
【出願人】(511050985)オルテック株式会社 (24)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月28日(2010.5.28)
【出願人】(000250502)理想科学工業株式会社 (1,191)
【出願人】(511050985)オルテック株式会社 (24)
【Fターム(参考)】
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