説明

画像記録装置及び画像記録方法

【課題】つなぎ目部を有する媒体を首尾よく乾燥させる。
【解決手段】本発明に係る画像記録装置は、つなぎ目部を有する媒体を搬送経路に沿って搬送する搬送部と、前記媒体に液体を吐出することにより前記つなぎ目部及び非つなぎ目部の双方に印刷画像を記録するヘッド部と、前記搬送経路上の加熱領域に位置する前記媒体の部位を加熱することにより、前記印刷画像を形成する液体を乾燥させる加熱部と、前記つなぎ目部を検出する検出部と、前記検出部からの検出信号に基づいて、前記つなぎ目部が前記加熱領域において加熱される時間が、前記非つなぎ目部が前記加熱領域において加熱される時間よりも長くなるように、前記搬送部による媒体の搬送を制御するコントローラーと、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像記録装置及び画像記録方法に関する。
【背景技術】
【0002】
画像記録装置の一例として、紙等の媒体にインク等の液体を吐出して印刷を行うインクジェットプリンターが知られている。このインクジェットプリンターは、媒体を搬送経路に沿って搬送する搬送部と、搬送経路上の画像記録領域に位置する媒体の部位に印刷画像を記録するヘッド部と、搬送経路上の乾燥領域に位置する媒体の部位を乾燥させる乾燥部と、を有している(たとえば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−46096号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなインクジェットプリンターでは、つなぎ目部を有する媒体に印刷画像を記録する際、つなぎ目部及びつなぎ目部以外の部分(以下、「非つなぎ目部」という)の双方に印刷画像を記録することが可能である。
しかしながら、印刷画像を記録した後の当該媒体を乾燥させる際には、つなぎ目部と非つなぎ目部とを区別することなく乾燥させることになるため、つなぎ目部に対する乾燥時間が不足し、十分に乾燥しないおそれがある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、つなぎ目部に対する乾燥時間を確保し、画像記録後の当該媒体を首尾よく乾燥させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための主たる発明は、
つなぎ目部を有する媒体を搬送経路に沿って搬送する搬送部と、
前記媒体に液体を吐出することにより前記つなぎ目部及び非つなぎ目部の双方に印刷画像を記録するヘッド部と、
前記搬送経路上の加熱領域に位置する前記媒体の部位を加熱することにより、前記印刷画像を形成する液体を乾燥させる加熱部と、
前記つなぎ目部を検出する検出部と、
前記検出部からの検出信号に基づいて、前記つなぎ目部が前記加熱領域において加熱される時間が、前記非つなぎ目部が前記加熱領域において加熱される時間よりも長くなるように、前記搬送部による媒体の搬送を制御するコントローラーと、
を備えたことを特徴とする画像記録装置である。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】印刷システム1000の構成を示すブロック図である。
【図2】プリンタードライバーが行う処理の概要を説明する図である。
【図3】プリンター1の構成を示す概略図である。
【図4】ヘッド31を列方向へ移動させるための機構例を説明するための説明模式図である。
【図5】図5Aは、プラテン20b上のロール紙2を上下方向から見た状態(ロール紙2の平面図)を示す図である。図5Bは、プラテン20b上のロール紙2を前後方向から見た状態(ロール紙2の側面図)を示す図である。
【図6】4パスで印刷するケースにおいて各パスで形成されるラスタラインを示した模式図である。
【図7】プリンター1がフレーム毎に行う一連の動作を説明するためのフローチャートである。
【図8】乾燥処理について説明するためのフローチャート
【図9】図9Aは、搬送経路に沿って連続するロール紙2のうち、画像記録領域Rから加熱領域Dまでの部位を抜き出し、これを直線状に展開した状態を示した図である。図9Bは、パス数と乾燥時間との関係を示した表である。
【図10】図10Aは、ロール紙2を36インチ単位で間欠搬送する場合の具体例を示す図である。図10Bは、ロール紙2を18インチ単位で間欠搬送する場合の具体例を示す図である。図10Cは、フレームサイズと乾燥時間との関係を示した表である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
即ち、つなぎ目部を有する媒体を搬送経路に沿って搬送する搬送部と、
前記媒体に液体を吐出することにより前記つなぎ目部及び非つなぎ目部の双方に印刷画像を記録するヘッド部と、
前記搬送経路上の加熱領域に位置する前記媒体の部位を加熱することにより、前記印刷画像を形成する液体を乾燥させる加熱部と、
前記つなぎ目部を検出する検出部と、
前記検出部からの検出信号に基づいて、前記つなぎ目部が前記加熱領域において加熱される時間が、前記非つなぎ目部が前記加熱領域において加熱される時間よりも長くなるように、前記搬送部による媒体の搬送を制御するコントローラーと、
を備えたことを特徴とする画像記録装置である。
このような画像記録装置によれば、つなぎ目部の加熱時間が非つなぎ目部の加熱時間よりも長くなるため、つなぎ目部に対する乾燥時間を確保し、つなぎ目部を有する媒体を首尾よく乾燥させることができる。
【0008】
また、かかる画像記録装置であって、
前記搬送部は、前記媒体を搬送方向に沿って間欠搬送し、前記媒体の移動及び静止の際に前記つなぎ目部が前記加熱領域に位置するときに、前記加熱部が前記つなぎ目部を加熱し、
前記媒体が静止している際に前記加熱部が前記加熱領域に位置する前記つなぎ目部を加熱している間、前記ヘッド部は、前記搬送方向に沿う往復移動を複数回行って前記搬送経路上の画像記録領域に位置する前記媒体の部位に液体を吐出することにより印刷動作を行い、
前記印刷動作が終了した後も引き続き、前記加熱部は前記つなぎ目部を所定時間加熱し、その後、前記搬送部は前記媒体の搬送を再開し、
前記コントローラーは、前記所定時間を前記往復移動の回数に応じて変更することとしてもよい。
このような画像記録装置によれば、つなぎ目部を有する媒体を効率良く乾燥させることができる。
【0009】
また、かかる画像記録装置であって、
前記搬送部は、前記媒体を搬送方向に沿ってフレーム単位で間欠搬送し、前記媒体の移動及び静止の際に前記つなぎ目部が前記加熱領域に位置するときに、前記加熱部が前記つなぎ目部を加熱し、
前記媒体が静止している際に前記加熱部が前記加熱領域に位置する前記つなぎ目部を加熱している間、前記ヘッド部は、前記搬送経路上の画像記録領域に位置する前記媒体の部位に液体を吐出することにより印刷動作を行い、
前記印刷動作が終了した後も引き続き、前記加熱部は前記つなぎ目部を所定時間加熱し、その後、前記搬送部は前記媒体の搬送を再開し、
前記コントローラーは、前記所定時間を前記フレーム単位の大きさに応じて変更することとしてもよい。
このような画像記録装置によれば、つなぎ目部を有する媒体を効率良く乾燥させることができる。
【0010】
また、かかる画像記録装置であって、
前記搬送部は、前記媒体を搬送方向に沿って間欠搬送し、前記媒体の移動及び静止の際に前記つなぎ目部が前記加熱領域に位置するときに、前記加熱部が前記つなぎ目部を加熱し、
前記媒体が静止している際に前記加熱部が前記加熱領域に位置する前記つなぎ目部を加熱している間、前記ヘッド部は、前記搬送経路上の画像記録領域に位置する前記媒体の部位に液体を吐出することにより印刷動作を行い、
前記印刷動作が終了した後も引き続き、前記加熱部は前記つなぎ目部を所定時間加熱し、その後、前記搬送部は前記媒体の搬送を再開し、
前記コントローラーは、前記印刷動作が終了した後も引き続き、前記加熱部が前記つなぎ目部を所定時間加熱している間に、フラッシング動作を前記ヘッド部に実行させることとしてもよい。
このような画像記録装置によれば、つなぎ目部の乾燥時間を有効利用し、ノズルの目詰まり等によって生ずる印刷不良を抑えることができる。
【0011】
また、かかる画像記録装置であって、
前記つなぎ目部が前記非つなぎ目部と異なる素材を含み、該素材がフィルムであることとしてもよい。
このような画像記録装置によれば、つなぎ目部を有する媒体を素材に合わせて適切に乾燥させることができる。
【0012】
また、つなぎ目部を有する媒体を搬送経路に沿って搬送する搬送部と、前記媒体に液体を吐出することにより前記つなぎ目部及び非つなぎ目部の双方に印刷画像を記録するヘッド部と、前記搬送経路上の加熱領域に位置する前記媒体の部位を加熱することにより、前記印刷画像を形成する液体を乾燥させる加熱部と、前記つなぎ目部を検出する検出部と、コントローラーと、を備える画像記録装置を準備することと、
前記コントローラーが、前記検出部からの検出信号に基づいて、前記つなぎ目部が前記加熱領域において加熱される時間が、前記非つなぎ目部が前記加熱領域において加熱される時間よりも長くなるように、前記搬送部による媒体の搬送を制御することと、
を有することを特徴とする画像記録方法である。
このような画像記録方法によれば、つなぎ目部の加熱時間が非つなぎ目部の加熱時間よりも長くなるため、つなぎ目部に対する乾燥時間を確保し、つなぎ目部を有する媒体を首尾よく乾燥させることができる。
【0013】
また、かかる画像記録方法であって、
前記つなぎ目部が前記非つなぎ目部と異なる素材を含み、該素材がフィルムである媒体を準備すること、を有することとしてもよい。
このような画像記録装置によれば、つなぎ目部を有する媒体を素材に合わせて適切に乾燥させることができる。
以下の実施形態では、画像記録装置としてインクジェットプリンター1(以下、「プリンター1」という)を例に挙げて説明する。
【0014】
===実施の形態===
<<<印刷システムの構成について>>>
図1は、印刷システム1000の構成を説明する図である。本実施形態における印刷システム1000は、プリンター1と、印刷制御装置としてのホストコンピューター1100と、表示装置1200と、入力装置1300と、記録再生装置1400とを有している。
【0015】
ホストコンピューター1100は、プリンター1、表示装置1200、入力装置1300、及び記録再生装置1400と、ケーブル等の有線または無線によりデータ通信可能に接続されている。このコンピューター装置1100は、プリンター1との間でデータの送受信を行うためのインターフェース部と、ホストコンピューター1100全体の制御を行うための演算処理装置としてのCPUと、プリンタードライバー等のプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するコンピューター側メモリーと、を有しており、プリンター1に印刷させようとする画像の印刷データを作成してプリンター1に出力するようになっている。
【0016】
表示装置1200は、アプリケーションプログラムやプリンタードライバー等のユーザーインターフェースを表示する。
【0017】
入力装置1300は、例えばキーボードやマウスからなり、表示装置1200に表示されたユーザーインターフェースに沿って、アプリケーションプログラムの操作やプリンタードライバーの設定等に用いられる。
【0018】
記録再生装置1400は、例えば、フレキシブルディスクドライブ装置やCD−ROMドライブ装置により構成されている。
【0019】
本実施形態に係るホストコンピューター1100には、プリンタードライバーがインストールされている。このプリンタードライバーは、表示装置1200にユーザーインターフェースを表示させる機能を実現させるほか、アプリケーションプログラムから出力された画像データを印刷データに変換する機能を実現させるためのプログラムである。このプリンタードライバーは、フレキシブルディスクやCD−ROMなどの各種記憶媒体(コンピューター読み取り可能な記録媒体等)に記憶されている。または、プリンタードライバーは、インターネットなど、各種通信手段を通じてダウンロードすることも可能である。
【0020】
<プリンタードライバーについて>
図2は、プリンタードライバーが行う基本的な処理を概略的に説明する図である。
【0021】
ホストコンピューター1100では、当該ホストコンピューター1100に搭載されたオペレーティングシステムの下、ビデオドライバー1102やアプリケーションプログラム1104、プリンタードライバー1110などのコンピュータープログラムが動作している。ビデオドライバー1102は、アプリケーションプログラム1104やプリンタードライバー1110からの表示命令に従って、例えばユーザーインターフェース等を表示装置1200に表示する機能を有する。アプリケーションプログラム1104は、例えば、画像編集などを行う機能を有し、画像に関するデータ(画像データ)を作成する。ユーザーは、アプリケーションプログラム1104のユーザーインターフェースを介して、アプリケーションプログラム1104により編集した画像を印刷する指示を与えることができる。アプリケーションプログラム1104は、印刷の指示を受けると、プリンタードライバー1110に画像データを出力する。
【0022】
プリンタードライバー1110は、アプリケーションプログラム1104から画像データを受け取り、この画像データを印刷データに変換し、印刷データをプリンター1に出力する。ここで、印刷データとは、プリンター1が解釈できる形式のデータであって、各種のコマンドデータと画素データとを有するデータである。また、コマンドデータとは、プリンター1に特定の動作の実行を指示するためのデータである。また、画素データとは、印刷される画像(印刷画像)を構成する画素に関するデータであり、例えば、ある画素に対応する媒体上の位置に形成されるドットに関するデータ(ドットの色や大きさ等のデータ)である。
【0023】
プリンタードライバー1110は、アプリケーションプログラム1104から出力された画像データを印刷データに変換するために、解像度変換処理部1112と、色変換処理部1114と、ハーフトーン処理部1116と、ラスタライズ処理部1118とを備えている。以下に、プリンタードライバー1110の各処理部1112、1114、1116、1118が行う各種の処理について説明する。
【0024】
解像度変換処理部1112は、アプリケーションプログラム1104から出力された画像データ(テキストデータ、イメージデータなど)を、媒体に印刷する際の解像度に変換する解像度変換処理を行う。解像度変換処理とは、例えば、媒体に画像を印刷する際の解像度が720×720dpiに指定されている場合、アプリケーションプログラム1104から受け取った画像データを720×720dpiの解像度の画像データに変換する。なお、解像度変換処理後の画像データは、RGB色空間により表される多階調(例えば256階調)のRGBデータである。以下、画像データを解像度変換処理したRGBデータをRGB画像データと呼ぶ。
【0025】
色変換処理部1114は、RGBデータをCMYK色空間により表されるCMYKデータに変換する色変換処理を行う。なお、CMYKデータは、プリンター1が有するインクの色に対応したデータである。この色変換処理は、RGB画像データの階調値とCMYK画像データの階調値とを対応づけたテーブル(色変換ルックアップテーブルLUT)をプリンタードライバー1110が参照することによって行われる。この色変換処理により、各画素についてのRGBデータが、インク色に対応するCMYKデータに変換される。なお、色変換処理後のデータは、CMYK色空間により表される256階調のCMYKデータである。以下、RGB画像データを色変換処理したCMYKデータをCMYK画像データと呼ぶ。
【0026】
ハーフトーン処理部1116は、高階調数のデータを、プリンター1が形成可能な階調数のデータに変換するハーフトーン処理を行う。ハーフトーン処理とは、例えば、256階調を示すデータが、2階調を示す1ビットデータや4階調を示す2ビットデータに変換する処理のことである。このハーフトーン処理では、ディザ法・γ補正・誤差拡散法などを利用して、プリンター1がドットを分散して形成できるように画素データを作成する。ハーフトーン処理部1116は、ハーフトーン処理を行うとき、ディザ法を行う場合にはディザテーブルを参照し、γ補正を行う場合にはガンマテーブルを参照し、誤差拡散法を行う場合は拡散された誤差を記憶するための誤差メモリーを参照する。ハーフトーン処理されたデータは、前述のRGBデータと同等の解像度(例えば、720dpi×720dpi)を有している。ハーフトーン処理されたデータは、例えば、各画素につき1ビット又は2ビットのデータから構成される。
【0027】
ラスタライズ処理部1118は、マトリクス状の画像データを、プリンター1に転送すべきデータ順に変更するラスタライズ処理を行う。これによりラスタライズ処理されたデータは、プリンター1に出力される。
【0028】
<プリンタードライバーの設定について>
プリンタードライバー1110のユーザーインターフェースについて、説明する。
【0029】
プリンタードライバー1110のユーザーインターフェースは、ビデオドライバー1102を介して、表示装置1200に表示される。ユーザーは、入力装置1300を用いて、印刷モード、印刷する画像の解像度(印刷するときのドットの間隔。720dpi、1440dpi等)、印刷に用いられる媒体の種類(普通紙、光沢紙、フィルム等)、印刷する画像の種類(カラー印刷、モノクロ印刷等)など、プリンタードライバー1110の各種の設定を行うことができる。
【0030】
本実施形態においては、ユーザーが設定画面において印刷画像の解像度を設定すると、プリンタードライバー1110はその解像度に応じた印刷データを形成する。すなわち、この印刷データには、その設定された解像度の画素データと、後述するヘッド31に対し搬送方向に沿う往復移動をその解像度に応じた回数分だけ動作するように指示するためのコマンドデータとが含まれることになる。例えば、通常画質の場合、4パスで印刷を行うべく、ヘッド31(キャリッジ42)が前記往復移動を4回行うようにコマンドデータが設定される。高画質の場合には、8パスで印刷を行うべく、ヘッド31(キャリッジ42)が前記往復移動を8回行うようにコマンドデータが設定される。
【0031】
また、ユーザーが設定画面においてフレームサイズを設定すると、プリンタードライバー1110は自動的に印刷画像の面付けを行ってそのフレームサイズに応じた印刷データを形成する。すなわち、この印刷データには、面付けされる印刷画像の画素データと、後述する搬送ユニット20に対しロール紙2を搬送方向に沿ってそのフレームごとに間欠搬送するように指示するためのコマンドデータとが含まれることになる。例えば、フレームサイズを36インチに設定した場合、搬送ユニット20が36インチ単位で間欠搬送するように指示するためのコマンドデータが設定される。
【0032】
ここで、フレームとは、間欠搬送されるロール紙2の搬送単位のことであるとともに、間欠搬送が途切れた合間にヘッドがロール紙2に印刷画像を記録しうる印刷範囲のことである。本実施形態に係るプリンター1にあっては、1フレームの最大サイズが36インチに設定されている。
【0033】
<<<プリンター1の構成例について>>>
プリンター1の構成例について、図1及び図3を用いて説明する。図3は、プリンター1の概略断面図である。
【0034】
なお、以下の説明において、「上下方向」、「左右方向」をいう場合は、図3に矢印で示した方向を基準として示すものとする。また、「前後方向」をいう場合は、図3において紙面に直交する方向を示すものとする。
【0035】
また、本実施の形態においては、プリンター1が画像を記録する記録媒体として、ロール状に巻かれた用紙やフィルム(以下、ロール紙(連続紙)という)を用いて説明する。
【0036】
本実施の形態に係るプリンター1は、図1及び図3に示すように、搬送部の一例としての搬送ユニット20と、及び、該搬送ユニット20がロール紙2を搬送する搬送経路に沿って、給送ユニット10と、位置決めユニット20aと、プラテン20bと、搬送経路上の加熱領域Dにおいて媒体を加熱する加熱部の一例としての加熱ユニット70と、巻き取りユニット80と、を有し、さらに、搬送経路上の画像記録領域Rにおいて画像記録を行うヘッド部の一例としてのヘッドユニット30と、ヘッド移動部の一例としてのキャリッジユニット40と、これらのユニット等を制御しプリンター1としての動作を司るコントローラー60と、検出器群50と、を有している。
【0037】
給送ユニット10は、ロール紙2を搬送ユニット20に給送するものである。この給送ユニット10は、ロール紙2が巻かれ回転可能に支持される巻軸18と、巻軸18から繰り出されたロール紙2を巻き掛けて搬送ユニット20に導くための中継ローラー19と、を有している。
【0038】
搬送ユニット20は、給送ユニット10により送られたロール紙2を、予め設定された搬送経路に沿って搬送するものである。この搬送ユニット20は、図3に示すように、中継ローラー19に対して水平右方に位置する中継ローラー21と、中継ローラー21から見て右斜め下方に位置する中継ローラー22と、中継ローラー22から見て右斜め上方に位置する第一搬送ローラー23と、第一搬送ローラー23から見て右方に位置する第二搬送ローラー24と、第二搬送ローラー24から見て鉛直下方に位置する中継ローラー25と、中継ローラー25から見て左方に位置する中継ローラー26と、中継ローラー26から見て鉛直下方に位置する中継ローラー27と、中継ローラー27から見て右方に位置する中継ローラー28と、中継ローラー28から見て鉛直上方に位置する送り出しローラー29と、を有している。
【0039】
中継ローラー22と第一搬送ローラー23との間の搬送経路に沿った領域には、ロール紙2の幅方向(図3に示す前後方向)における位置を調整する位置決めユニット20aが設けられている。また、第一搬送ローラー23と第二搬送ローラー24との間の搬送経路に沿った領域には、搬送経路上の画像記録領域Rに位置するロール紙2の部位を支持するプラテン20bが設けられている。また、中継ローラー25と中継ローラー26との間の搬送経路に沿った領域には、搬送経路上の加熱領域Dに位置する加熱ユニット70が設けられている。
【0040】
中継ローラー21は、中継ローラー19から送られたロール紙2を、左方から巻き掛けて下方に向かって弛ませるローラーである。
中継ローラー22は、中継ローラー21から送られたロール紙2を、左方から巻き掛けて右斜め上方に向かって搬送するローラーである。
【0041】
第一搬送ローラー23は、不図示のモーターにより駆動される第一駆動ローラー23aと、該第一駆動ローラー23aに対してロール紙2を挟んで対向するように配置された第一従動ローラー23bとを有している。この第一搬送ローラー23は、下方に弛ませたロール紙2を上方に引き上げ、プラテン20bに対向する画像記録領域Rへ搬送するローラーである。第一搬送ローラー23は、画像記録領域R上のロール紙2の部位に対して画像印刷がなされている期間、一時的に搬送を停止させるようになっている。なお、コントローラー60の駆動制御により、第一駆動ローラー23aの回転駆動に伴って第一従動ローラー23bが回転することによって、プラテン20b上に位置させるロール紙2の搬送量(ロール紙の部位の長さ)が調整される。
【0042】
第二搬送ローラー24は、不図示のモーターにより駆動され、ヘッドユニット30により画像が記録された後のロール紙2の部位を、プラテン20bの支持面に沿って水平右方向に搬送した後、鉛直下方に搬送するローラーである。なお、コントローラー60の駆動制御により、第二搬送ローラー24の回転駆動によって、プラテン20b上に位置するロール紙2の部位に対して付与される所定の張力が調整される。
【0043】
中継ローラー25は、第二搬送ローラー24から送られたロール紙2を、上方から巻き掛けて左方に向かって搬送するローラーである。中継ローラー25によって搬送方向が転換されたロール紙2は、加熱ユニット70内に供給される。
中継ローラー26は、中継ローラー25から送られたロール紙2を、右方から巻き掛けて鉛直下方に向かって搬送するローラーである。
中継ローラー27は、中継ローラー26から送られたロール紙2を、上方から巻き掛けて右方に向かって搬送するローラーである。
中継ローラー28は、中継ローラー27から送られたロール紙2を、左方から巻き掛けて鉛直上方に向かって搬送するローラーである。
【0044】
加熱ユニット70により加熱された後のロール紙は、これら中継ローラー26、27、28により搬送方向が転換され、送り出しローラー29に向って移動する。
送り出しローラー29は、中継ローラー28から送られたロール紙2を、左側下方から巻き掛けて巻き取りユニット80に送り出すようになっている。
【0045】
このように、ロール紙2が各ローラーを順次経由して移動することにより、ロール紙2を搬送するための搬送経路が形成されることになる。つまり、このロール紙2は、搬送ユニット20により、フレーム単位で間欠的にその搬送経路に沿って搬送されることになる。
【0046】
ヘッドユニット30は、搬送ユニット20により搬送経路上の画像記録領域Rに(プラテン20b上に)送り込まれたロール紙2の部位に、インクを吐出するためのものである。このヘッドユニット30は、ヘッド31とバルブユニット34とを有している。
【0047】
ヘッド31は、その下面に、列方向に並んだノズル列を有している。本実施形態においては、イエロ(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)等の色ごとにそれぞれ複数のノズル♯1〜♯Nからなるノズル列を有している。各ノズル列の各ノズル♯1〜♯Nは、ロール紙2の搬送方向に交差する交差方向(列方向)に直線状に配列されている。各ノズル列は、当該搬送方向に沿って相互に間隔をあけて平行に配置されている。
【0048】
各ノズル♯1〜♯Nには、インク滴を吐出するための駆動素子としてピエゾ素子(不図示)が設けられている。ピエゾ素子は、その両端に設けられた電極間に所定時間幅の電圧を印加すると、電圧の印加時間に応じて伸張し、インクの流路の側壁を変形させる。これによって、インクの流路の体積がピエゾ素子の伸縮に応じて収縮し、この収縮分に相当するインクが、インク滴となって各色の各ノズル♯1〜♯Nから吐出される。
【0049】
また、ヘッド31は、搬送方向(左右方向)と列方向に往復移動することができるようになっている。具体的には、図4に示すように、ヘッド31の右側には、列方向に沿うように送りねじであるヘッド用ボールねじ120が配置されている。そして、ヘッド31には、ボールねじ係合部材122が固定されており、したがって、ヘッド用ボールねじ120は、ボールねじ係合部材122を介して、ヘッド31に取り付けられている。そして、ヘッド用ボールねじ120が回転すると、ヘッド31が列方向に移動するようになっている。なお、図示していないが、ヘッドガイドレールが備えられており、当該ヘッドガイドレールがヘッド用ボールねじ120によるヘッド31の列方向における移動を案内するようになっている。
【0050】
バルブユニット34は、インクを一時貯留するためのものであり、不図示のインク供給チューブを介してヘッド31に接続されている。このため、ヘッド31は、バルブユニット34から供給されたインクをノズルからプラテン20b上に搬送されて停止された状態のロール紙2の部位に向けて吐出することにより、画像印刷を行うことができる。
【0051】
キャリッジユニット40は、ヘッド31を移動させるためのものである。このキャリッジユニット40は、左右方向に延びるガイドレール41と(図3に二点鎖線で示す)、ガイドレール41に沿って左右方向(ロール紙2の搬送方向)へ往復移動可能に支持されたキャリッジ42と、不図示のモーターとを有する。
【0052】
キャリッジ42は、不図示のモーターの駆動により、ヘッド31と一体となって移動するよう構成されている。キャリッジ42(ヘッド31又は各ノズル列)のガイドレール41における位置(左右方向の位置)は、コントローラー60が不図示のモーターに設けられたエンコーダーから出力されるパルス信号における立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジを検出してこのエッジをカウントすることにより、求めることができる。
【0053】
そして、キャリッジ42は、画像印刷後にヘッド31のクリーニングを行う際、ヘッド31と一体となってガイドレール41に沿って搬送方向の上流側(プラテン20bから見て搬送方向上流側)へ移動し、クリーニングを行うホームポジションHPで停止する(図3参照)。
【0054】
ホームポジションHPには、不図示のクリーニングユニットが設けられている。このクリーニングユニットは、キャップと、吸引ポンプ等とを有している。キャリッジ42がホームポジションHPに位置すると、ヘッド31の下面(ノズル面)に不図示のキャップが密着するようになっている。このようにキャップが密着した状態で吸引ポンプ(不図示)が作動すると、ヘッド31内のインクが、増粘したインクや紙粉と共に吸引される。このようにして、目詰まりしたノズルが不吐出状態から回復することによってヘッドのクリーニングが完了する。
【0055】
また、キャリッジ42は、画像印刷後にヘッド31のフラッシングを行う際には、ヘッド31と一体となって、プラテン20b側からホームポジションHP側へ向かって移動する。この際、ヘッド31は、キャリッジ42と共に移動しながら、プラテン20bとホームポジションHPとの間に配置されるフラッシングユニット35においてフラッシング動作を行う。
【0056】
フラッシングユニット35は、ヘッド31にフラッシング動作を行わせるためのものであり、フラッシング時にノズルから吐出されたインクを貯留するフラッシングボックスを有している。このフラッシングとは、ノズル付近のインクの粘性によりノズルが目詰まりしたり、ノズル内に気泡が混入したりして、適正な量のインクが吐出されなくなってしまうことを防止すべく、ノズルを回復させるためのメンテナンスのことである。具体的には、ロール紙2に記録する印刷画像とは関係のない駆動信号をピエゾ素子に印加することにより、各ノズルから強制的にインクを吐出させる動作である。
【0057】
加熱ユニット70は、搬送経路上の画像記録領域Rよりも下流側の加熱領域Dに設けられ、搬送ユニット20により加熱領域Dに送り込まれたロール紙2の部位を加熱することにより、印刷画像を形成するインクを乾燥させるものである。この加熱ユニット70は、ニクロム線を有するヒーター(不図示)を内部に配置してなる乾燥炉であり、通電されることによってニクロム線自体が発熱し、加熱領域Dに位置するロール紙2(乾燥炉内のロール紙2)の部位に熱を伝導させることができる。このヒーターは、加熱ユニット70の全域にニクロム線を内蔵させて構成されているため、加熱領域Dに位置するロール紙2の部位に対して熱を均一に伝導することができる。このため、該ロール紙2の部位に着弾された複数のインク滴を万遍なく乾燥させることができる。
【0058】
巻き取りユニット80は、搬送ユニット20により送られたロール紙2(画像印刷済みのロール紙)を巻き取るためのものである。この巻き取りユニット80は、送り出しローラー29から送られたロール紙2を、左側上方から巻き掛けて右斜め下方へ搬送するための中継ローラー81と、回転可能に支持され中継ローラー81から送られたロール紙2を巻き取る巻き取り駆動軸82と、を有している。
【0059】
コントローラー60は、プリンター1の制御を行うための制御ユニットである。このコントローラー60は、図1に示すように、インターフェース部61と、CPU62と、メモリー63と、ユニット制御回路64と、を有している。インターフェース部61は、外部装置であるホストコンピューター1100とプリンター1との間でデータの送受信を行うためのものである。CPU62は、プリンター1全体の制御を行うための演算処理装置である。メモリー63は、CPU62のプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものである。CPU62は、メモリー63に格納されているプログラムに従ったユニット制御回路64により各ユニットを制御する。
【0060】
検出器群50は、プリンター1内の状況を監視するものであり、例えば、搬送ローラーに取り付けられてロール紙2の搬送などの制御に利用されるロータリー式エンコーダー、搬送されるロール紙2の有無を検出する用紙検出センサー、キャリッジ42(又はヘッド31)の移動方向(左右方向)の位置を検出するためのリニア式エンコーダー、ロール紙2のつなぎ目部2aを検出するつなぎ目部検出センサー51などがある。
【0061】
<<<つなぎ目について>>>
ここで、ロール紙2が有するつなぎ目部2aについて、図5A及び図5Bを用いて説明する。図5A及び図5Bは、ロール紙2が有するつなぎ目部2aを説明する図である。ここでは、プラテン20b上のロール紙2を上下方向から見た状態(ロール紙2の平面図)を図5Aに示し、プラテン20b上のロール紙2を前後方向から見た状態(ロール紙2の側面図)を図5Bに示している。
【0062】
本実施形態に係るロール紙2は、図5Aに示すように、つなぎ目部2aと非つなぎ目部2bとを有している。つなぎ目部2aは、一のロール紙の端部と他のロール紙の端部とをつなぎ合わせることにより一体化した1つのロール紙を形成するためのものである。そして、このつなぎ目部2aは、図5A及び図5Bに示すように、検出部の一例としてのつなぎ目部検出センサー51によって検出されるようになっている。本実施形態に係るつなぎ目検出センサー51は、一対の発光素子と受光素子とを有しており、赤外線が発光素子からつなぎ目部2aに向けて照射され、つなぎ目部2aから反射された赤外線が受光素子に受光されることによってつなぎ目部2aを検出することができる。非つなぎ目部2bは、つなぎ目部2a以外のロール紙の部位である。
【0063】
本実施形態においては、つなぎ目部2a及び非つなぎ目部2bの双方に印刷画像を記録するため、図5Aに示すように、ロール紙2に無駄な空白部分を形成することなく一定の間隔で連続した印刷画像を面付けすることができる。
【0064】
ここで、本実施形態にかかるつなぎ目部2aはフィルム(例えば、赤色のカラーフィルム)からなり、紙からなる非つなぎ目部2bとは素材が異なる。フィルムは紙よりも吸水性が低いため、つなぎ目部2a及び非つなぎ目部2bの双方にインクを吐出して印刷画像を形成する際、非つなぎ目部2bに比べてつなぎ目部2aに着弾したインクは定着されにくい。すなわち、つなぎ目部2aに着弾したインクが乾燥するまでの乾燥時間は、非つなぎ目部2bに着弾したインクが乾燥するまでの乾燥時間よりも長くなる傾向がある。
【0065】
しかしながら、従来のプリンターでは、印刷画像を記録した後のロール紙2を乾燥させる際に、つなぎ目部2aと非つなぎ目部2bとを区別することなく乾燥させることになるため、つなぎ目部2aに対する乾燥時間が不足し、十分に乾燥されなくなるおそれがあった。
【0066】
これに対し、本実施の形態におけるプリンター1では、つなぎ目部検出センサー51によってつなぎ目部2aを検出し、つなぎ目部2aの乾燥時間が非つなぎ目部2bの乾燥時間よりも長くなるように制御するようにした。その結果、つなぎ目部2a及び非つなぎ目部2bの双方に印刷画像を記録した場合であっても、印刷画像の記録後のロール紙2を首尾よく乾燥させることができるようになる。
【0067】
以下では、つなぎ目部2aを有するロール紙2を印刷画像の記録後に首尾よく乾燥させるために行われる、プリンター1の動作例を具体的に説明する。
【0068】
<<<プリンター1の動作例について>>>
<画像形成方法>
上述した通り、本実施の形態に係るプリンター1には、列方向(前後方向)にノズルが並んだノズル列を有するヘッド31が設けられている。そして、コントローラー60が、ヘッド31を搬送方向(左右方向)に移動させながら、ノズルからインクを吐出させ、搬送方向(左右方向)に沿ったラスタラインを形成することにより、画像記録領域R上のロール紙2の部位に1ページ分(1フレーム分)の画像記録を行う。
【0069】
ここで、本実施形態に係るコントローラー60は、複数パス(4パス、6パス、8パス等)の印刷を実行する。すなわち、列方向における画像の解像度を高くするために、パス毎に列方向におけるヘッド31の位置を少しずつ変えて印刷を行う。また、画像形成方法としては、例えば、公知のインターレース印刷が実行される。
【0070】
これについて、図6を用いてより具体的に説明する。図6は、4パスで印刷するケースにおいて各パスで形成されるラスタラインを示した模式図である。
【0071】
図6の左側にはヘッド31のノズル列(ノズル)が表されており、ヘッド31(ノズル列)が搬送方向に移動しながらノズルからインクが吐出されることにより、ラスタラインが形成される。図に示されているヘッド31(ノズル列)の列方向における位置は、1パス目のときの位置であり、かかる位置を維持したままヘッド31(ノズル列)が搬送方向に移動すると、1パス目の印刷が実行され、図に示された3つのラスタライン(右端にパス1と書かれているラスタラインL1)が形成される。
【0072】
そして、次に、ヘッド31(ノズル列)が列方向に移動して、移動後の位置を維持したままヘッド31(ノズル列)が搬送方向に移動すると、2パス目の印刷が実行され、図に示された2つのラスタライン(ラスタラインL2)が形成される。なお、インターレース印刷が採用されているため、前記ラスタラインL1に隣接するラスタラインL2は、ラスタラインL1を形成するインクが吐出されたノズルとは異なるノズルから吐出されたインクにより形成されることとなる。そのため、ヘッド31(ノズル列)の列方向への移動距離は、ノズル間距離(例えば、1/180インチ)の1/4分(1/180×1/4=1/720インチ)ではなく、これより大きな距離となる。
【0073】
以下、同様の動作が行なわれることにより、3〜4パス目の印刷が実行されて、図に表された残りのラスタライン(ラスタラインL3〜L4)が形成される。このように、4パスでラスタラインが形成されることにより、列方向における画像の解像度を4倍(=720÷180)の解像度とすることが可能となる。同様に、6パスで印刷するケースでは6倍の解像度、8パスで印刷するケースでは8倍の解像度とすることが可能となるため、パス数を増やすことによって画像の解像度をさらに高めることができる。
【0074】
<フレームに対する一連の動作について>
次に、ロール紙2のうちの1つのフレームに着目し、当該フレームに対してプリンター1が行う一連の各種動作について、図7を用いて説明する。図7は、プリンター1がフレーム毎に行う一連の動作を説明するためのフローチャートである。
【0075】
なお、プリンター1の各種動作は、主としてコントローラー60により実現される。特に、本実施の形態においては、メモリー63に格納されたプログラムをCPU62が処理することにより実現される。そして、このプログラムは、以下に説明する各種の動作を行うためのコードから構成されている。
コントローラー60は、ホストコンピューター1100からインターフェース部61を介して、印刷命令を受信する(S101)。
この印刷命令は、ホストコンピューター1100から送信される印刷データのヘッダに含まれている。
【0076】
そして、コントローラー60は、受信した印刷データに含まれる各種コマンドの内容を解析し、各ユニットを用いて、以下の処理等を行う。
先ず、コントローラー60は、給送処理を行う(S102)。
給送処理とは、ロール紙2を搬送方向に沿ってプラテン20b側へ給送し、印刷開始位置(頭出し位置とも言う)に位置決めする処理である。
【0077】
コントローラー60は、搬送モーターを駆動し、搬送ローラー23を回転させてロール紙2を搬送方向に沿って搬送し、ロール紙2を印刷開始位置に位置決めする。これにより、ロール紙2のうちの最初に印刷対象となる部位(印刷対象となるフレーム。以下、「当該フレーム」という)が、画像記録領域Rに(プラテン20b上に)停止した状態でセットされる。
【0078】
次いで、コントローラー60は、画像記録領域Rに停止するロール紙2の部位(当該フレーム)に対してインク吐出処理を行う(S103)。
インク吐出処理とは、搬送方向(左右方向)に沿って移動するヘッド31からインクを断続的に吐出させ、プラテン20b上のロール紙2の部位(当該フレーム)にドットを形成する処理である。
【0079】
コントローラー60は、キャリッジモーターを駆動し、ホームポジションHPに位置していたキャリッジ42を搬送方向に沿って移動させる。すなわち、キャリッジ42(ヘッド31)はパス数に応じて搬送方向に沿う往復移動を繰り返すことになる。
そして、コントローラー60は、キャリッジ42が移動している間に、印刷データに基づいてヘッド31からインクを吐出させる。
【0080】
このように、ヘッド31が搬送方向に沿う往復移動を繰り返しながらインクを吐出することにより、吐出されたインク滴がロール紙上に着弾して印刷画像が形成されることになる。
【0081】
次いで、コントローラー60は、搬送処理を行う(S104)。
搬送処理とは、印刷画像を記録した後のロール紙2の部位(S103にて画像印刷された後の当該フレーム)を、フレーム単位で間欠的に搬送方向に沿って移動させる処理である。コントローラー60は、搬送モーターを駆動して搬送ローラー23を回転させ、フレームサイズに相当する移動量(例えば、36インチ)だけロール紙2を搬送方向に移動させる。
この搬送処理により、印刷画像を記録した後のロール紙2の部位(S103にて画像印刷された後の当該フレーム)は、画像記録領域Rでの停止状態から解放され、画像記録領域Rから下流側の加熱領域Dへ向って移動することになる。
【0082】
次いで、コントローラー60は、乾燥処理を行う(S105)。
乾燥処理とは、搬送処理によって搬送され加熱領域D上に到達したロール紙2の部位(S103にて画像印刷された後の当該フレーム)を加熱ユニット70により加熱し、当該フレーム上の印刷画像を形成するインクを乾燥させる処理である。
これについて、図8を用いてより具体的に説明する。図8は、乾燥処理について説明するためのフローチャートである。
【0083】
先ず、コントローラー60は、加熱領域D上のロール紙2の部位(S103にて画像印刷された後の当該フレーム)に、つなぎ目部2aが存在するか否かを判定する(S201)。
【0084】
具体的には、搬送ユニット20によるロール紙2の搬送に伴ってつなぎ目部2aがつなぎ目部検出センサー51を通過すると(図5A参照)、コントローラー60はつなぎ目部検出センサー51からの検出信号を受信する。すると、コントローラー60は、つなぎ目部2aが画像記録領域R上に到達したことを認識することができる。その後、コントローラー60は、ロール紙2がフレーム単位で間欠搬送されるため、この間欠搬送の回数をカウントすることにより、画像記録領域R上にあったつなぎ目部2aがどのタイミングで加熱領域Dに到達するのかを認識することができる。本実施形態では、つなぎ目部2aが画像記録領域R上にある状態からフレーム単位の間欠搬送が2回行われると、コントローラー60は当該つなぎ目部2aが加熱領域Dに到達したことを認識できるようになっている。
【0085】
次に、つなぎ目部2aが加熱領域Dに存在する場合には(S201:YES)、画像記録領域Rに停止した状態のロール紙2の部位(当該フレームと異なる他のフレーム)に対して印刷動作が行われている間、コントローラー60は加熱ユニット70により当該つなぎ目部2aを加熱する第一加熱処理を行う(S202)。
【0086】
この第一加熱処理が終了しても、つなぎ目部2aに着弾したインクはまだ完全に乾燥していない状態にある。そのため、コントローラー60は、画像記録領域Rにおける前記印刷動作が終了した後も引き続き、加熱ユニット70により当該つなぎ目部2aを所定時間加熱する第二加熱処理を行う(S203)。
【0087】
この第二加熱処理が終了すると、つなぎ目部2aに対する乾燥時間が延長されることになり、つなぎ目部2aに着弾したインクが乾燥した状態となる。その後、コントローラー60は、搬送ユニット20による搬送を再開させ、加熱ユニット70内に停止していたロール紙2の部位(乾燥後の当該フレーム)が加熱領域Dから下流側へ向って移動することになる。
なお、この第二加熱処理についての具体例については、追って詳述する。
【0088】
このように、つなぎ目部2aを検出した場合には、つなぎ目部2aに対する乾燥時間を十分に確保することができるようになるため、ロール紙2のつなぎ目部2a及び非つなぎ目部2bの双方に印刷画像を記録したとしても、当該ロール紙2を首尾よく乾燥させることが可能となる。
【0089】
一方で、つなぎ目部2aが加熱領域Dに存在しない場合には(S201:NO)、上述した第一加熱処理のみを行う(S204)。この際、加熱領域Dには非つなぎ目部2bが存在することになるため、加熱ユニット70は、非つなぎ目部2bに着弾したインクを乾燥させるべく、つなぎ目部2aを加熱する時間よりも短い時間だけ非つなぎ目部2bに対して加熱を行う。
【0090】
次いで、図7に戻り、コントローラー60は、巻き取り処理を行う(S106)。
【0091】
巻き取り処理とは、乾燥後のロール紙2の部位(乾燥後の当該フレーム)を巻き取りユニット80に巻き取らせる処理である。コントローラー60は、巻き取りモーターを駆動し、巻取軸82を回転させることにより、乾燥後のロール紙2の部位を巻き取る。
【0092】
その後、コントローラー60は、これら一連の動作が終了すると、キャリッジ42をホームポジションHPへ移動させる。
【0093】
<<<第二加熱処理の具体例1>>>
ここでは、上述した第二加熱処理において、つなぎ目部2aを加熱する所定時間を、ヘッド31が行う往復移動の回数に応じて変更する場合について、図9A及び図9Bを用いて説明する。図9Aは、搬送経路に沿って連続するロール紙2のうち、画像記録領域Rから加熱領域Dまでの部位を抜き出し、これを直線状に展開した状態を示した図である。図9Bは、パス数と乾燥時間との関係を示した表である。
【0094】
本実施形態では、図9Aに示すように、1フレームのサイズは36インチであり、ロール紙2はフレーム単位で(36インチごとに)搬送方向に沿って間欠搬送される。すなわち、搬送ユニット20の搬送方向への間欠搬送により、M番目のフレーム、M+1番目のフレーム、M+2番目のフレームの順番で画像記録領域R(プラテン20b)を通過した後、この順番のまま加熱領域Dを順次通過することになる。
【0095】
M番目のフレームは、つなぎ目部検出センサー51を通過した後、画像記録領域Rに停止していた状態から搬送方向へ2回目の間欠搬送により加熱領域Dに到達し、その加熱領域Dに停止している状態である。このM番目のフレームは、つなぎ目部2aを有している。したがって、つなぎ目部2aも加熱領域Dに停止している状態となっている。
【0096】
M+1番目のフレームは、M番目のフレームに続く次のフレームであり、画像記録領域Rに停止していた状態から搬送方向へ1回目の間欠搬送によって加熱領域Dと画像記録領域Rとの間の位置に到達し、その位置に停止している状態である。
【0097】
M+2番目のフレームは、M+1番目のフレームに続く次のフレームであり、つなぎ目部検出センサー51を通過した後、画像記録領域Rに停止している状態である。
【0098】
ここで、M番目のフレームが有するつなぎ目部2aに着目し、このつなぎ目部2aに対する乾燥処理について説明する。
図8に示すように、このつなぎ目部2aに対する乾燥処理では、第一加熱処理(S202)と第二加熱処理(S203)が実行される。
【0099】
先ず、第一加熱処理においては、M番目のフレームが静止している際に加熱ユニット70が加熱領域Dに位置するつなぎ目部2aを加熱する。この間、ヘッド31は、搬送方向に沿う往復移動を複数回行って画像記録領域Rに位置するM+2番目のフレームに対してインクを吐出することにより印刷動作を行う。なお、ヘッド31が行う往復移動の回数は、印刷データに含まれるコマンドデータに基づいて設定される。
【0100】
例えば、4パスで印刷を行うようにコマンドデータが設定されている場合(図6参照)、ヘッド31が搬送方向に沿う往復移動を4回行う間に、つなぎ目部2aは加熱ユニット70により加熱されることになる。
【0101】
ここで、図8Bに示すように、4パスで印刷する場合には、その印刷動作が完了するまでの印字時間は10秒かかる。つまり、画像記録領域Rにおける印字時間は加熱領域Dにおける乾燥時間に等しいため、つなぎ目部2aに対する加熱時間(乾燥時間)は10秒となる。また、6パスで印刷を行う場合は、ヘッド31が搬送方向に沿う往復移動を6回行う間に、つなぎ目部2aは15秒間加熱されることになる。また、8パスで印刷を行う場合には、ヘッド31が搬送方向に沿う往復移動を8回行う間に、つなぎ目部2aは20秒間加熱されることになる。
【0102】
また、図8Bに示すように、4パス、6パス、8パスのいずれも、つなぎ目部2aを乾燥させるために必要な乾燥時間(確保すべき乾燥時間)は35秒である。したがって、4パスで印刷する場合には、35秒−10秒=25秒の乾燥時間が不足することになる。6パスで印刷する場合は、35秒−15秒=20秒の乾燥時間が不足することになる。8パスで印刷する場合は、35秒−20秒=15秒の乾燥時間が不足することになる。
【0103】
このように、各パスともに乾燥時間が不足するため、第一加熱処理の終了時では、つなぎ目部2aに吐出されたインクはまだ乾燥していない状態にある。
したがって、つなぎ目部2aに吐出されたインクを乾燥させるべく、乾燥時間を延長する必要があることから、第一加熱処理の終了後に第二加熱処理が開始される。
【0104】
次に、第二加熱処理では、引き続き、M番目のフレームが静止している際に加熱ユニット70が加熱領域Dに位置するつなぎ目部2aを所定時間だけ加熱する。この間、画像記録領域Rに位置するM+2番目のフレームに対する印刷動作は終了しているため、ヘッド31(キャリッジ42)はホームポジションHPにて待機する(図3参照)。
この所定時間(乾燥延長時間)は、4パスで印刷する場合、第一加熱処理の終了時に25秒の乾燥時間が不足しているため、25秒に設定される。同様に、6パスで印刷する場合は20秒、8パスで印刷する場合は15秒に設定される。
したがって、第二加熱処理においてこの所定時間が経過すれば、つなぎ目部2aに吐出されたインクは十分に乾燥した状態となる。
【0105】
このように、第二加熱処理においてつなぎ目部2aに対する乾燥時間をパス数(往復移動の回数)に応じて延長することにより、つなぎ目部2aに着弾したインクを効率良く乾燥させることが可能となる。
【0106】
なお、第二加熱処理において、M番目のフレームが静止している状態でつなぎ目部2aを所定時間加熱している間に、ヘッド31がフラッシング動作を行うようにしてもよい。これにより、つなぎ目部2aの乾燥時間をヘッド31の待機時間とすることなく有効利用できるとともに、ノズルの目詰まり等によって生ずる印刷不良を抑えることができる。
【0107】
<<<第二加熱処理の具体例2>>>
次に、上述した第二加熱処理において、つなぎ目部2aを加熱する所定時間を、フレーム単位の大きさに応じて変更する場合について、図10A乃至図10Cを用いて説明する。図10Aは、1フレームのサイズを36インチに設定し、ロール紙2をこのフレーム単位で間欠搬送する場合の具体例を示している。図10Bは、フレームサイズを18インチに設定し、ロール紙2をこのフレーム単位で間欠搬送する場合の具体例を示している。図10Cは、フレームサイズと乾燥時間との関係を示した表である。
【0108】
本実施形態では、図10A及び図10Bに示すように、ロール紙2はフレーム単位で搬送方向に沿って間欠搬送される。すなわち、搬送ユニット20による搬送方向への間欠搬送によって、M番目のフレーム、M+1番目のフレーム、M+2番目のフレーム…の順番で画像記録領域Rを通過した後、この順番のまま加熱領域Dを順次通過することになる。なお、間欠搬送されるロール紙2のフレーム単位は、印刷データに含まれるコマンドデータに基づいて設定される。
【0109】
ロール紙2を36インチ毎に間欠搬送する場合は、図10Aに示すように、M番目のフレームは、つなぎ目部検出センサー51を通過した後、画像記録領域Rに停止していた状態から搬送方向へ2回目の間欠搬送により加熱領域Dに到達し、この加熱領域Dに停止する。そして、M番目のフレームはつなぎ目部2aを有している。したがって、つなぎ目部2aも加熱領域Dに停止している状態となっている。
【0110】
かかる場合におけるつなぎ目部2aに対する乾燥処理は、図8に示すように、第一加熱処理(S202)と第二加熱処理(S203)が実行されるが、これは上述した具体例1(図9A及び図9B参照)の4パスで印刷する場合と同様である。すなわち、図10Cに示すとおり、36インチで間欠搬送する場合(4パスで印刷)、つなぎ目部2aに対して、1回の第一加熱処理を10秒行い、1回の第二加熱処理を25秒行うことになる。その結果、第二加熱処理が終了すれば、つなぎ目部2aに着弾したインクの乾燥に必要な乾燥時間35秒が経過したことになるため、つなぎ目部2aに吐出されたインクは十分に乾燥した状態になることができる。
【0111】
一方で、ロール紙2を18インチ毎に間欠搬送する場合では、図10Bに示すように、M番目のフレームは、つなぎ目部検出センサー51を通過した後、搬送方向へ2回の間欠搬送により画像記録領域Rを通過し、さらに3回の間欠搬送により加熱領域Dに到達する。その後、このM番目のフレームは2回の間欠搬送により加熱領域Dを通過する。
【0112】
M番目のフレーム及びM+1番目のフレームは、図10Bに示すとおり、それぞれつなぎ目部2aを有している。すなわち、つなぎ目部2aはこの2つのフレームに跨った状態でロール紙2に形成されている。したがって、M番目のフレーム及びM+1番目のフレームに対する乾燥処理が終了した時点で、つなぎ目部2aに対する乾燥処理が終了することになる。
【0113】
このように、18インチ毎に間欠搬送する場合では、M番目のフレーム及びM+1番目のフレームがつなぎ目部検出センサー51を通過することによりつなぎ目部2aが連続して検出され、このつなぎ目部2aに対する乾燥処理が行われる。そして、この乾燥処理では、このつなぎ目部2aが加熱領域Dにおいて移動及び静止を複数回繰り返しながら加熱ユニット70によって加熱されることになる。
【0114】
ここで、連続する2つのフレームに跨るつなぎ目部2aに着目し、このつなぎ目部2aに対する乾燥処理について説明する。
【0115】
図10Bに示すように、加熱領域Dのサイズは36インチであるため、ロール紙2を18インチ毎に間欠搬送する場合には、加熱領域DにおいてM番目のフレームに対する乾燥処理は2回に分けて行われる。すなわち、このM番目のフレームはつなぎ目部2aを有しているため、このつなぎ目部2aに対する乾燥処理も2回に分けて行われる。
【0116】
図8に示すように、つなぎ目部2aに対する乾燥処理では、第一加熱処理(S202)と第二加熱処理(S203)が実行される。
【0117】
本実施形態では、ロール紙2を18インチ毎に間欠搬送する場合、つなぎ目部2aに対して、1回目の第一加熱処理と1回目の第二加熱処理、及び、2回目の第一加熱処理と2回目の第二加熱処理が行われることになる。
【0118】
先ず、図10Bに示すように、M番目のフレームが加熱領域D(搬送方向上流側のD1領域)に静止している際に、1回目の第一加熱処理が行われる。1回目の第一加熱処理においては、加熱ユニット70はD1領域に位置するつなぎ目部2aを加熱する。一方で、ヘッド31は、この1回目の第一加熱処理の間、搬送方向に沿う往復移動を複数回行って画像記録領域R(搬送方向上流側のR1領域)に位置するM+4番目のフレームに対してインクを吐出することにより印刷動作を行う。すなわち、画像記録領域R(搬送方向下流側のR2領域)に位置するM+3番目のフレームに対して印刷動作は行われない。なお、ヘッド31が行う往復移動の回数は、印刷データに含まれるコマンドデータに基づいて設定される。ここでは、4パスで印刷する場合のコマンドデータが設定されているものとする。
【0119】
M+4番目のフレームに対する印刷動作終了後、ヘッド31(キャリッジ42)はホームポジションHPに待機する(図3参照)。そして、この印刷動作の終了と同時に1回目の第一加熱処理も終了し、1回目の第二加熱処理が開始される。1回目の第二加熱処理においては、引き続き、加熱ユニット70はD1領域に位置するつなぎ目部2aを所定時間だけ加熱する。この間、R1領域に位置するM+4番目のフレームに対する印刷動作は終了しているため、ヘッド31はホームポジションHPに待機したままの状態である。そして、1回目の第二加熱処理が終了すると、搬送ユニット20による間欠搬送が行われ、M番目のフレームは加熱領域D(搬送方向下流側のD2領域)に到達する。なお、この間欠搬送により、M+1番目のフレームはD1領域に到達し、M+4番目のフレームはR2領域に到達し、後続するM+5番目のフレームはR1領域に到達することになる。
【0120】
次に、M番目のフレームがD2領域に静止している際に、2回目の第一加熱処理が行われる。2回目の第一加熱処理においては、加熱ユニット70はD2領域に位置するつなぎ目部2aを加熱する。一方で、ヘッド31は、この2回目の第一加熱処理の間、搬送方向に沿う往復移動を複数回行ってR1領域に位置するM+5番目のフレームに対してインクを吐出することにより印刷動作を行う。すなわち、R2領域に位置するM+4番目のフレームに対して印刷動作は行われない。
【0121】
M+5番目のフレームに対する印刷動作終了後、ヘッド31(キャリッジ42)はホームポジションHPに待機する(図3参照)。そして、この印刷動作の終了と同時に2回目の第一加熱処理も終了し、2回目の第二加熱処理が開始される。2回目の第二加熱処理においては、引き続き、加熱ユニット70はD2領域に位置するつなぎ目部2aを所定時間だけ加熱する。この間、R1領域に位置するM+5番目フレームに対する印刷動作が終了しているため、ヘッド31はホームポジションHPに待機したままの状態である。そして、2回目の第二加熱処理が終了すると、搬送ユニット20による間欠搬送が行われ、M番目のフレームは加熱領域Dからさらに下流側へ移動する。
【0122】
このように、M番目フレームに含まれるつなぎ目部2aに対する乾燥処理について説明したが、M+1番目のフレームに含まれるつなぎ目部2aに対しても、これと同様の乾燥処理が行われる。
【0123】
ここで、このつなぎ目部2aに対する乾燥処理について、より具体的に説明する。
図10Cに示すように、4パスで印刷する場合には、2回の印刷動作(M+4番目フレームに対する印刷動作、及び、M+5番目フレームに対する印刷動作)が完了するまでの印字時間は5秒×2回=10秒かかる。つまり、画像記録領域R(R1領域)における印字時間は加熱領域D(D1領域、D2領域)における乾燥時間に等しいため、第一加熱処理におけるつなぎ目部2aの加熱時間(乾燥時間)は1回目及び2回目の合計で10秒となる。
【0124】
また、図10Cに示すように、18インチで間欠搬送する場合、つなぎ目部2aを乾燥させるために必要な乾燥時間(確保すべき乾燥時間)は35秒である。したがって、35秒−10秒=25秒の乾燥時間が不足することになる。
【0125】
このように、つなぎ目部2aに対する乾燥時間が不足するため、第一加熱処理を2回繰り返しただけでは、つなぎ目部2aに吐出されたインクは乾燥していない状態である。
【0126】
したがって、つなぎ目部2aに吐出されたインクを乾燥させるべく、乾燥時間を延長する必要があることから、1回目及び2回目それぞれの第一加熱処理の終了後に1回目及び2回目の第二加熱処理が開始される。そして、1回目及び2回目それぞれの第二加熱処理において、つなぎ目部2aは所定時間加熱されることになる。
【0127】
この所定時間(乾燥延長時間)は、1回目及び2回目の第一加熱処理の終了時に25秒の乾燥時間が不足しており、第二加熱処理は2回に分けて行われるため、1回当り12.5秒(25秒/2回)に設定される。
【0128】
したがって、18インチで間欠搬送する場合、つなぎ目部2aに対して、1回目の第一加熱処理を5秒と1回目の第二加熱処理を12.5秒行って、18インチの間欠搬送後、2回目の第一加熱処理を5秒と2回目の第二加熱処理を12.5秒行うことになる。その結果、2回目の第二加熱処理が終了すれば、つなぎ目部2aに着弾したインクの乾燥に必要な乾燥時間35秒が経過したことになるため、つなぎ目部2aに吐出されたインクは十分に乾燥した状態となる。
【0129】
このように、18インチで間欠搬送する場合には、36インチで間欠搬送する場合よりも、第二加熱処理における1回あたりの乾燥延長時間を短くすることができる。したがって、第二加熱処理においてつなぎ目部2aに対する乾燥時間を間欠搬送時の単位フレームの大きさに応じて変更することにより、つなぎ目部2aに着弾したインクを効率良く乾燥させることが可能となる。
【0130】
なお、上述の第二加熱処理において、M番目のフレーム(又はM+1番目のフレーム)が静止している状態でつなぎ目部2aを所定時間加熱している間に、ヘッド31がフラッシング動作を行うようにしてもよい。これにより、つなぎ目部2aの乾燥時間をヘッド31の待機時間とすることなく有効利用できるとともに、ノズルの目詰まり等によって生ずる印刷不良を抑えることができる。
【0131】
また、上述の第二加熱処理では、1回目及び2回目の第一加熱処理の終了時に不足している乾燥時間25秒を均等に分配し、1回当りの乾燥延長時間を12.5秒(25秒/2回)に設定したが、これに限定されることはない。たとえば、1回目の第二加熱処理を20秒行って、2回目の第二加熱処理を5秒行うように設定してもよいし、1回目の第二加熱処理を10秒行って、2回目の第二加熱処理を15秒行うように設定してもよい。
【0132】
<<<本実施の形態に係るプリンター1の有効性について>>>
上述したとおり、本実施形態に係るプリンター1は、つなぎ目部2aを有するロール紙2を搬送経路に沿って搬送する搬送ユニット20と、前記ロール紙2にインクを吐出することにより前記つなぎ目部2a及び非つなぎ目部2bの双方に印刷画像を記録するヘッドユニット30と、前記搬送経路上の加熱領域Dに位置する前記ロール紙2の部位を加熱することにより、前記印刷画像を形成するインクを乾燥させる加熱ユニット70と、前記つなぎ目部2aを検出するつなぎ目部検出センサー51と、前記つなぎ目部検出センサー51からの検出信号に基づいて、前記つなぎ目部2aが前記加熱領域Dにおいて加熱される時間が、前記非つなぎ目部2bが前記加熱領域Dにおいて加熱される時間よりも長くなるように、前記搬送ユニット20によるロール紙2の搬送を制御するコントローラー60と、を備えている。そして、このことにより、つなぎ目部2aに対する乾燥時間を確保し、つなぎ目部2aに着弾したインクを定着させることできるため、つなぎ目部2aを有するロール紙2を首尾よく乾燥させることが可能となる。
【0133】
また、前記搬送ユニット20は、前記ロール紙2を搬送方向に沿って間欠搬送し、前記ロール紙2の移動及び静止の際に前記つなぎ目部2aが前記加熱領域Dに位置するときに、前記加熱ユニット70が前記つなぎ目部2aを加熱し、前記ロール紙2が静止している際に前記加熱ユニット70が前記加熱領域Dに位置する前記つなぎ目部2aを加熱している間、前記ヘッドユニット30は、前記搬送方向に沿う往復移動を複数回行って前記搬送経路上の画像記録領域Rに位置する前記ロール紙2の部位にインクを吐出することにより印刷動作を行い、前記印刷動作が終了した後も引き続き、前記加熱ユニット70は前記つなぎ目部2aを所定時間加熱し、その後、前記搬送ユニット20は前記ロール紙2の搬送を再開し、前記コントローラー60は、前記所定時間を前記往復移動の回数に応じて変更することとした。このため、ヘッドユニット30の印刷動作に合わせてつなぎ目部2aに対する乾燥時間を変更することができるようになるため、つなぎ目部2aを有するロール紙2を効率良く乾燥させることが可能となる。
【0134】
また、前記搬送ユニット20は、前記ロール紙2を搬送方向に沿ってフレーム単位で間欠搬送し、前記ロール紙2の移動及び静止の際に前記つなぎ目部2aが前記加熱領域Dに位置するときに、前記加熱ユニット70が前記つなぎ目部2aを加熱し、前記ロール紙2が静止している際に前記加熱ユニット70が前記加熱領域Dに位置する前記つなぎ目部2aを加熱している間、前記ヘッドユニット30は、前記搬送経路上の画像記録領域Rに位置する前記ロール紙2の部位にインクを吐出することにより印刷動作を行い、前記印刷動作が終了した後も引き続き、前記加熱ユニット70は前記つなぎ目部2aを所定時間加熱し、その後、前記搬送ユニット20は前記ロール紙2の搬送を再開し、前記コントローラー60は、前記所定時間を前記フレーム単位の大きさに応じて変更することとした。このため、前記搬送ユニット20による間欠搬送に合わせてつなぎ目部2aに対する乾燥時間を変更することができるようになるため、つなぎ目部2aを有するロール紙2を効率良く乾燥させることが可能となる。
【0135】
また、前記搬送ユニット20は、前記ロール紙2を搬送方向に沿って間欠搬送し、前記ロール紙2の移動及び静止の際に前記つなぎ目部2aが前記加熱領域Dに位置するときに、前記加熱ユニット70が前記つなぎ目部2aを加熱し、前記ロール紙2が静止している際に前記加熱ユニット70が前記加熱領域Dに位置する前記つなぎ目部2aを加熱している間、前記ヘッドユニット30は、前記搬送経路上の画像記録領域Rに位置する前記ロール紙2の部位にインクを吐出することにより印刷動作を行い、前記印刷動作が終了した後も引き続き、前記加熱ユニット70は前記つなぎ目部2aを所定時間加熱し、その後、前記搬送ユニット20は前記ロール紙2の搬送を再開し、前記コントローラー60は、前記印刷動作が終了した後も引き続き、前記加熱ユニット70が前記つなぎ目部2aを所定時間加熱している間に、フラッシング動作を前記ヘッドユニット30に実行させることとした。このため、つなぎ目部2aの乾燥時間中に並行してフラッシング動作を行うことができると共に、ノズルの目詰まり等によって生ずる印刷不良を抑えることができる。
【0136】
また、つなぎ目部2aが非つなぎ目部2bと異なる素材を含み、該素材がフィルムであることとした。このため、つなぎ目部2aが非つなぎ目部2bと異なるフィルム素材であっても、つなぎ目部2aを有するロール紙2をその素材に合わせて適切に乾燥させることができる。なお、つなぎ目部2aのフィルムは、樹脂(例えば、ポリエステル樹脂やポリイミド樹脂等)をフィルム状に加工したものであっても良く、また金属(例えば、アルミニウムや銅等)をフィルム上に圧延等により加工したものであっても良い。
【0137】
===その他の実施の形態===
本実施形態は、主として画像記録装置について記載されているが、画像記録方法等の開示も含まれる。また、本実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは言うまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれるものである。
【0138】
<画像記録装置>
上記の実施形態においては、画像記録装置としてインクジェット式プリンターを例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。たとえば、インク以外の他の液体を吐出する画像記録装置であってもよい。微小量の液滴を吐出させる液体噴射ヘッド等を備える各種の画像記録装置に流用可能である。なお、液滴とは、上記画像記録装置から吐出される液体の状態をいい、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする。また、ここでいう液体とは、画像記録装置が吐出させることができるような材料であればよい。例えば、物質が液相であるときの状態のものであればよく、粘性の高い又は低い液状体、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)のような流状態、また物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散又は混合されたものなどを含む。また、液体の代表的な例としては上記実施形態で説明したようなインクや液晶等が挙げられる。ここで、インクとは一般的な水性インク及び油性インク並びにジェルインク、ホットメルトインク等の各種液体組成物を包含するものとする。画像記録装置の具体例としては、例えば液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ、面発光ディスプレイ、カラーフィルターの製造などに用いられる電極材や色材などの材料を分散又は溶解のかたちで含む液体を吐出する画像記録装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を吐出する画像記録装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を吐出する画像記録装置、捺染装置やマイクロディスペンサ等であってもよい。さらに、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を吐出する画像記録装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に吐出する画像記録装置、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を吐出する画像記録装置を採用してもよい。そして、これらのうちいずれか一種の画像記録装置に本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0139】
1 プリンター、2 ロール紙、
2a つなぎ目部、2b 非つなぎ目部、
10 給送ユニット、18 巻軸、
19 中継ローラー、20 搬送ユニット、
20a 位置決めユニット、20b プラテン、
21 中継ローラー、22 中継ローラー、
23 第一搬送ローラー、24 第二搬送ローラー、
25 中継ローラー、26 中継ローラー、
27 中継ローラー、28 中継ローラー、
29 送り出しローラー、30 ヘッドユニット、
31 ヘッド、34 バルブユニット、
35 フラッシングユニット、40 キャリッジユニット、
41 ガイドレール、42 キャリッジ、
50 検出器群、51 つなぎ目部検出センサー、
60 コントローラー、70 加熱ユニット、
80 巻き取りユニット、81 中継ローラー、
82 巻き取り駆動軸、 1000 印刷システム、
1100 ホストコンピューター、1200 表示装置、
1300 入力装置、1400 記録再生装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
つなぎ目部を有する媒体を搬送経路に沿って搬送する搬送部と、
前記媒体に液体を吐出することにより前記つなぎ目部及び非つなぎ目部の双方に印刷画像を記録するヘッド部と、
前記搬送経路上の加熱領域に位置する前記媒体の部位を加熱することにより、前記印刷画像を形成する液体を乾燥させる加熱部と、
前記つなぎ目部を検出する検出部と、
前記検出部からの検出信号に基づいて、前記つなぎ目部が前記加熱領域において加熱される時間が、前記非つなぎ目部が前記加熱領域において加熱される時間よりも長くなるように、前記搬送部による媒体の搬送を制御するコントローラーと、
を備えたことを特徴とする画像記録装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像記録装置であって、
前記搬送部は、前記媒体を搬送方向に沿って間欠搬送し、前記媒体の移動及び静止の際に前記つなぎ目部が前記加熱領域に位置するときに、前記加熱部が前記つなぎ目部を加熱し、
前記媒体が静止している際に前記加熱部が前記加熱領域に位置する前記つなぎ目部を加熱している間、前記ヘッド部は、前記搬送方向に沿う往復移動を複数回行って前記搬送経路上の画像記録領域に位置する前記媒体の部位に液体を吐出することにより印刷動作を行い、
前記印刷動作が終了した後も引き続き、前記加熱部は前記つなぎ目部を所定時間加熱し、その後、前記搬送部は前記媒体の搬送を再開し、
前記コントローラーは、前記所定時間を前記往復移動の回数に応じて変更することを特徴とする画像記録装置。
【請求項3】
請求項1に記載の画像記録装置であって、
前記搬送部は、前記媒体を搬送方向に沿ってフレーム単位で間欠搬送し、前記媒体の移動及び静止の際に前記つなぎ目部が前記加熱領域に位置するときに、前記加熱部が前記つなぎ目部を加熱し、
前記媒体が静止している際に前記加熱部が前記加熱領域に位置する前記つなぎ目部を加熱している間、前記ヘッド部は、前記搬送経路上の画像記録領域に位置する前記媒体の部位に液体を吐出することにより印刷動作を行い、
前記印刷動作が終了した後も引き続き、前記加熱部は前記つなぎ目部を所定時間加熱し、その後、前記搬送部は前記媒体の搬送を再開し、
前記コントローラーは、前記所定時間を前記フレーム単位の大きさに応じて変更することを特徴とする画像記録装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の画像記録装置であって、
前記搬送部は、前記媒体を搬送方向に沿って間欠搬送し、前記媒体の移動及び静止の際に前記つなぎ目部が前記加熱領域に位置するときに、前記加熱部が前記つなぎ目部を加熱し、
前記媒体が静止している際に前記加熱部が前記加熱領域に位置する前記つなぎ目部を加熱している間、前記ヘッド部は、前記搬送経路上の画像記録領域に位置する前記媒体の部位に液体を吐出することにより印刷動作を行い、
前記印刷動作が終了した後も引き続き、前記加熱部は前記つなぎ目部を所定時間加熱し、その後、前記搬送部は前記媒体の搬送を再開し、
前記コントローラーは、前記印刷動作が終了した後も引き続き、前記加熱部が前記つなぎ目部を所定時間加熱している間に、フラッシング動作を前記ヘッド部に実行させることを特徴とする画像記録装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の画像記録装置であって、
前記つなぎ目部が前記非つなぎ目部と異なる素材を含み、該素材がフィルムであることを特徴とする画像記録装置。
【請求項6】
つなぎ目部を有する媒体を搬送経路に沿って搬送する搬送部と、前記媒体に液体を吐出することにより前記つなぎ目部及び非つなぎ目部の双方に印刷画像を記録するヘッド部と、前記搬送経路上の加熱領域に位置する前記媒体の部位を加熱することにより、前記印刷画像を形成する液体を乾燥させる加熱部と、前記つなぎ目部を検出する検出部と、コントローラーと、を備える画像記録装置を準備することと、
前記コントローラーが、前記検出部からの検出信号に基づいて、前記つなぎ目部が前記加熱領域において加熱される時間が、前記非つなぎ目部が前記加熱領域において加熱される時間よりも長くなるように、前記搬送部による媒体の搬送を制御することと、
を有することを特徴とする画像記録方法。
【請求項7】
請求項6に記載の画像記録方法であって、
前記つなぎ目部が前記非つなぎ目部と異なる素材を含み、該素材がフィルムである媒体を準備すること、
を有することを特徴とする画像記録方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−39681(P2013−39681A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−176204(P2011−176204)
【出願日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】