説明

画像記録装置

【課題】 高速で品質の安定したFWAインクジェット画像記録装置を提供する。
【解決手段】 ドラム12Aと12Bは公転手段48に回転可能に支持されている。ドラム12A、12Bはそれぞれモータ44A、44Bで回転駆動され、それぞれ独立して速度可変に制御されている。公転手段48はモータ40で公転軸50を中心として回転駆動され、ドラム12A、12Bを給排紙位置(図中下端)/印字位置(図中上端)に移動させる。ドラム12A、12Bは給排紙位置では用紙Pを外周部に巻き付け、または剥離させ、印字位置では巻き付けた用紙Pにヘッド14により画像形成を行う。ヘッド14は用紙Pの幅をカバーするのに足る全長をもっているため移動せずにドラム12A、12Bの自転のみで用紙P全体を走査可能とされている。これによりドラム12A、12Bを1回転させればヘッド14で用紙P全体に画像を形成できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
用紙幅をカバーする、いわゆるFWAインクジェット記録ヘッドを用いたプリンタは、いわゆるシリアル型のインクジェットプリンタに比較して主走査を行わないため大幅な印字高速化を図ることができる。かつ大量の連続印字運転が可能であるとともに、構造が単純であるためトナーを用いたいわゆるレーザプリンタに比較して大幅な機器本体の小型化を図ることができる。
【0003】
たとえば図12に示すようなドラム式プリンタ400では、インクジェット記録ヘッド404がドラム402の回転方向に一回走査(スキャン)すれば(=ドラム402が用紙Pを巻き付けた状態で一回転すれば)印字が完了するため、インクジェット記録ヘッド404を用紙Pの副走査方向に何度も往復走査(スキャン)しなければ印字が完了しないシリアル型のプリンタに比べて高速印字が可能である。また、ドラム式プリンタ400の印刷速度はドラム402の回転速度に依存するため、ドラム402の回転速度を高速にするほど理論上は高速処理が可能となる。
【0004】
しかし、このようなドラム式プリンタはドラムへ用紙Pを装着・剥離する際の時間がタイムロスとなり、ドラムの回転速度を高速にできても実際の処理能力は比例して高くならない。
【0005】
また、高速化のためにドラムの回転速度を高め、用紙を高速で装着するためにドラムの外周面に保持された用紙が位置ずれしたり振動したりすると、インクジェット記録ヘッドから吹付けられたインク滴の着弾地点がずれて用紙に付着することになり、印字品質が大幅に低下してしまう品質故障を起こす危険性もある。
【0006】
この問題に対応して、たとえばドラム回転中に印字媒体の保持,印字,剥離という一連の動作をそれぞれ1回転単位で分けて行う構成が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
しかし上記の方法では給紙・排紙は印字動作と分けて行うため安定した動作となるが、その分の時間が余計に必要となり、当然ながら給・排紙中は印字できないので連続印字の際の処理能力は低下してしまう。
【0008】
あるいはドラムの回転速度を高速と低速とに可変に設け、用紙をドラムに装着する際にはドラムの回転速度を低速に、ドラムに装着された用紙に印刷を行う際にはドラムの回転速度を高速に、それぞれ制御する構成が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0009】
この方法では用紙の装着時にドラムを停止させず回転速度を下げるだけなので、ドラム自体はノンストップで駆動されるが、処理速度の低下を解決することはできない。
【特許文献1】特開平10−193581号公報 (図1、第3頁〜第5頁)
【特許文献2】特開2002−283629号公報(図3、第3頁〜第4頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は上記事実を考慮し、高速で品質の安定したFWAインクジェット画像記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に記載の画像記録方法は、外周面に用紙を保持する複数の用紙保持手段と、前記用紙に画像を形成する印字ヘッドと、前記複数の用紙保持手段を閉鎖軌道上に回送可能に保持するループ手段と、前記複数の用紙保持手段を駆動する複数の第1の駆動手段と前記ループ手段上の前記用紙保持手段を回送する第2の駆動手段と、を備え、前記第1の駆動手段が前記複数の用紙保持手段の一個を駆動して保持された用紙に画像を形成する時、他の用紙保持手段を駆動して給紙を行い、前記第2の駆動手段は画像形成が完了すると一個の用紙保持手段を排紙位置へ、他の用紙保持手段を印字位置へ回送させることを特徴とする。
【0012】
上記構成の発明では、外周面に用紙を保持する複数の用紙保持手段を交互あるいは順番に用いて、一個が印字動作中に他を給紙・排紙動作させることで、給排紙中に印字が行えないロスタイムを低減することができる。
【0013】
請求項2に記載の画像記録方法は、回転可能に支持され外周面に用紙を保持する2個のドラムと、前記用紙に画像を形成する印字ヘッドと、前記2個のドラムの回転軸を周上に保持し回動可能な公転手段と、前記2個のドラムを回転駆動する複数の第1の駆動手段と前記公転手段を回転駆動する第2の駆動手段と、を備え、前記第1の駆動手段が前記2個のドラムの一方を回動させ保持された用紙に画像を形成する時、他方のドラムを回動させて給紙を行い、前記第2の駆動手段は画像形成が完了すると一方のドラムを排紙位置へ、他方のドラムを印字位置へ回動させることを特徴とする。
【0014】
上記構成の発明では、外周面に用紙を保持する2個のドラムを交互に用いて、一方が印字動作中に他方を給紙・排紙動作させることで、給排紙中に印字が行えないロスタイムを低減することができる。また、用紙保持機構にドラムを使用するため、ベルト等を使用する搬送系に対してベルトのしわ、蛇行などが発生しないため、より安定した用紙の保持が可能となる。
【0015】
請求項3に記載の画像記録方法は、回転可能に支持され外周面に用紙を保持する第1、第2、第3の3個のドラムと、前記用紙に画像を形成する印字ヘッドと、前記3個のドラムの回転軸を周上に保持し回動可能な公転手段と、前記3個のドラムを回転駆動する複数の第1の駆動手段と前記公転手段を回転駆動する第2の駆動手段と、を備え、前記第1の駆動手段が前記第1のドラムを回動させ保持された用紙に画像を形成する時、前記第2のドラムを回動させて給紙を行い、第3のドラムを回動させて排紙を行い、前記第2の駆動手段は画像形成が完了すると第1のドラムを排紙位置へ、第2のドラムを印字位置へ、第3のドラムを給紙位置へ回動させることを特徴とする。
【0016】
上記構成の発明では、外周面に用紙を保持する3個のドラムを順番に用いて、一個が印字動作中に一個を給紙、一個を排紙動作させることで、給排紙中に印字が行えないロスタイムを低減することができる。
【0017】
請求項4に記載の画像記録方法は、前記第1の駆動手段は駆動速度が可変であることを特徴とする。
【0018】
上記構成の発明では、印字動作時と給・排紙時とで駆動速度を変えることで安定した給・排紙を行い、また用紙の種類や画質モードにあわせて効率よく処理を行うことができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明は上記構成としたので、高速で品質の安定したFWAインクジェット画像記録装置とすることができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1には、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置が示されている。
【0021】
図1に示すように、画像形成装置10は用紙Pを周囲に巻き付けて印字処理を行うドラム12A、12B、ドラム12の回転軸を公転軸50を中心として公転可能に支持する公転手段48、用紙Pを収納・給紙する給紙部18、ドラム12の外周に用紙Pを巻き付ける着紙部20、ドラム12に巻き付けられた用紙Pに画像を形成するヘッド14、ドラム12から用紙Pを剥離する剥離部22、処理が終了した用紙Pを収納する排紙部24からなる。
【0022】
また、画像信号に応じて液滴の噴射タイミング及び使用する素子(ノズル)を決め、ヘッド14の素子に駆動信号を印加する図示しないヘッド制御手段と、記録装置全体の動作を制御するシステム制御手段を備えている。
【0023】
図2には、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置の画像形成部が示されている。
【0024】
図2に示すように、ドラム12Aと12Bは公転手段48に回転可能に支持されている。ドラム12A、12Bはそれぞれモータ44A、44Bで回転駆動され、それぞれ独立して速度可変に制御されている。公転手段48はモータ40で公転軸50を中心として回転駆動され、ドラム12A、12Bを給排紙位置(図中下端)/印字位置(図中上端)に移動させる。ドラム12A、12Bは給排紙位置では用紙Pを外周部に巻き付け、または剥離させ、印字位置では巻き付けた用紙Pにヘッド14により画像形成を行う。
【0025】
ヘッド14は用紙Pの幅をカバーするのに足る全長をもっているため移動せずにドラム12A、12Bの自転のみで用紙P全体を走査可能とされている。これによりドラム12A、12Bを1回転させればヘッド14で用紙P全体に画像を形成できる。
【0026】
または図のようにヘッド移動手段32で用紙Pの幅方向にヘッド14を移動可能に支持する構造とすれば、後述するように分割印字を行うこともできる。
【0027】
以下に実際の印字動作について説明する。
【0028】
図1の給紙部18に収納されている用紙Pは着紙部20まで搬送され、給紙位置で待機しているドラム12Bに巻き付けられる。帯電ロール21が用紙Pの先端をドラム12Bに押圧すると共に用紙Pに電荷を与え、用紙Pにドラム12表面への吸着力を発生させる。ドラム12Bは図中黒矢印のように自転し、用紙Pを表面に巻き付ける。このとき、ドラム12Bを駆動するモータ44Bは用紙Pの物性に最適な巻き付け速度に設定された回転速度で駆動される。すなわち用紙Pの厚みや堅さ、腰の強さに応じて巻き付け速度を設定できる。
【0029】
表面に用紙を巻き付けたドラム12Bは自転を停止し、公転手段48の公転に伴って印字位置(図中上)へ移動する。ヘッド14は画像信号に従ってドラム12B上に画像を形成開始する。ドラム12Bが印字位置で自転することで、外周に巻き付けた用紙Pをヘッド14が走査する。
【0030】
図2のようにヘッド14は用紙Pの幅をカバーする長さを備えているので、ドラム12Bが一回転すればヘッド14は用紙Pを走査できる。このとき、ドラム12Bを駆動するモータ44Bはヘッド14での画像形成のために最適に設定された回転速度で駆動される。すなわち画質に応じてドラフト(高速)モードであれば速く、高画質モードであれば遅く回転させることでヘッド14の走査速度を最適に設定できる。
【0031】
ドラム12Bが一回自転し、用紙P上に画像が形成終了すると再度公転手段48は公転を開始し、ドラム12Bは給排紙位置すなわち下端に移動する。
【0032】
給排紙位置にてドラム12Bの外周に巻き付いた用紙Pは剥離部22によってドラム12Bの外周から剥離され、図1破線矢印の方向に搬送される。搬送された用紙Pは排紙部24に排出される。
【0033】
上記の動作をフローで以下に説明する。
【0034】
図3、図4には本発明の第1実施形態に係る画像形成装置の画像形成部における動作が示されている。図3フロー図内の(a)〜(e)は図4(a)〜(e)に相当する。
【0035】
まず図3ステップ100で印字開始すると、ステップ102でドラム12を自転させ、スタート位置に移動させる。図4(a)の位置がこれに相当する。ここで第1ドラム12Aに用紙Pを補給する(ステップ104)。
【0036】
次にステップ106で公転手段48が回転し、第1ドラム12Aを印字位置に、第2ドラム12Bを給・排紙位置に移動させる(図4(b)、(c))。
外周に用紙Pを巻き付けた第1ドラム12Aはステップ108で自転しながらヘッド14により画像形成を行う(図4(d))。
【0037】
次いでステップ110にて第1ドラム12Aの用紙Pが最初の一枚か否か(それ以前に用紙Pが第2ドラム12Bに巻き付けられ、印字されていたか)を判定する。最初の1枚目でなければ第2ドラム12Bには用紙が巻き付いているためステップ112で排紙を行う(図4(d))。第1ドラム12Aの用紙Pが最初の一枚であればドラム12Bに用紙はないので、排紙動作は行わない。
【0038】
次のステップ114で、次のページが有るか無いか(第1ドラム12Aの用紙Pが最後の一枚か否か)を判定する。最後のページであればステップ116で印字終了したのち、ステップ118で公転手段48を回転させて第1ドラム12Aを給・排紙位置へ移動させる。第1ドラム12Aの用紙Pを排紙して処理を終了する(ステップ120)。
【0039】
ステップ114で次のページが存在する場合、ステップ122へ進み、第2ドラム12Bに着紙部20から給紙を行う(図4(e))。ステップ124で第1ドラム12Aが印字終了すると、公転手段48が回転し第2ドラム12Bを印字位置へ移動させる(ステップ126)。
【0040】
ステップ128で第2ドラム12Bは自転を始め、ヘッド14が用紙Pに印字を行う。この後の処理はステップ108以降の繰り返しであり、ステップ114(134)で次ページが無いと判断されるまで2個のドラム12は自転・公転を繰り返しながら印字を行う。
【0041】
本実施例においては2個のドラム12A、12Bを交互に使用することにより、一方が印字動作中に他方が給・排紙動作を行うことができるので機器全体としての処理速度を向上させることができる。また、印字動作と給・排紙動作でドラムの自転速度を変えることもできるので、安定した用紙Pの給排紙が行える。さらに、印字後に給排紙位置で待機中のドラム上の用紙Pは、印字中の他方のドラムが印字を終了するまでの時間を乾燥時間として使えるので、用紙Pの乾燥性にも優れる。
【0042】
また上記実施例において用紙Pの保持は静電吸着方式を用いたが、負圧によるバキューム方式やグリッパーを用いた機械式の保持でもよい。
【0043】
図5、6には、本発明の第2実施形態に係る画像形成装置が示されている。
【0044】
図5(a)に示すように、画像形成装置10は用紙Pを周囲に巻き付けて印字処理を行うドラム12A、12B、ドラム12の回転軸を公転軸50を中心として公転可能に支持する公転手段48、用紙Pを収納・給紙する給紙部18、ドラム12の外周に用紙Pを巻き付ける着紙部20、ドラム12に巻き付けられた用紙Pに画像を形成するヘッド14、ヘッド14の保守を行うメンテナンスユニット26、ドラム12から用紙Pを剥離する剥離部22、処理が終了した用紙Pを収納する排紙部24、ドラム12の外周面を清掃するドラムメンテナンスユニット28からなる。
【0045】
図6に示すように、ヘッド14は用紙幅をカバーする14Y〜14Kの4色のヘッドがドラム12の外周面に対向する形で並んで配置されたヘッドアレイであり、ドラム12の外周面に保持された用紙Pに画像を形成する。ヘッド14は、印字動作時の位置からドラム12から離れる方向に移動する手段を持ち、ドラム公転時およびメンテナンス時におのおのの動作の妨げにならない位置に移動する。ヘッド14Y〜14Kはそれぞれインクタンク16Y〜16Kと接続され、各色のインクが供給される。使用されるインクは水性、油性、溶剤系など様々なものを用いることができる。
【0046】
この4色ヘッド14Y〜14Kによりドラム12が一回自転するだけで用紙Pはヘッド14Y〜14Kによって走査印字され、4色のフルカラー画像を高速に形成することができる。ヘッド14の駆動方法はサーマル方式、圧電方式等、使用されるインクや機器の処理能力などに応じて様々な方法が考えられる。
【0047】
図5(b)に示すように、メンテナンスユニット26はヘッド14のノズル面(ドラム12に対向する面)に対向する位置に移動可能に支持されており、印字動作中は図5(a)のように印字およびドラム公転の妨げにならない位置へ待避し、印字動作が終了すると(あるいは印字動作前に)図5(b)の位置に移動する。図5(a)のように複数のヘッド14が存在するとき、メンテナンスユニット26は例えば2色分ずつ2個に分けて配置してもよい。また、メンテナンス時にはヘッド14がドラム12から離れる方向に移動し、ドラム12とヘッド14の間にメンテナンスユニット26を移動させてもよい。
【0048】
メンテナンスユニット26はダミージェット受け部材、ワイピング部材、キャップ部材などから構成され、ノズル詰まりを防ぐためのダミージェットで機内が汚れるのを防ぐためのダミージェット受け、ヘッド14のノズル面を清掃するワイピング、ヘッド14のノズル穴が乾燥したインクで詰まるのを防ぐためのキャップ動作などを行う。
【0049】
給排紙位置のドラム12の表面に用紙Pが巻き付けられる前、あるいは用紙Pが排紙された後、ドラム12の表面にドラムメンテナンスユニット28が当接し、ドラム12の自転を利用して外周面を清掃する。これにより用紙Pと接触するドラム12の外周面を常にインク汚れや紙粉などから清浄に保つことができる。
【0050】
図7には、本発明の第3実施形態に係る画像形成装置が示されている。
【0051】
図7に示すように、画像形成装置11は用紙Pを周囲に巻き付けて印字処理を行う3個のドラム12A、12B、12C、ドラム12の回転軸を公転軸50を中心として公転可能に支持する公転手段48、用紙Pを収納・給紙する給紙部18、ドラム12の外周に用紙Pを巻き付ける着紙部20、ドラム12に巻き付けられた用紙Pに画像を形成するヘッド14、ヘッド14の保守を行うメンテナンスユニット26、ドラム12から用紙Pを剥離する剥離部22、処理が終了した用紙Pを収納する排紙部24、ドラム12の外周面を清掃するドラムメンテナンスユニット28からなる。
【0052】
ヘッド14の構造は第2実施形態と同様であり、すなわち図6に示すように、ヘッド14は用紙幅をカバーする14Y〜14Kの4色のヘッドがドラム12の外周面に対向する形で並んで配置されたヘッドアレイであり、ドラム12の外周面に保持された用紙Pに画像を形成する。ヘッド14は、印字動作時の位置からドラム12から離れる方向に移動する手段を持ち、ドラム公転時およびメンテナンス時におのおのの動作の妨げにならない位置に移動する。ヘッド14Y〜14Kはそれぞれインクタンク16Y〜16Kと接続され、各色のインクが供給される。
【0053】
この4色ヘッド14Y〜14Kによりドラム12が一回自転するだけで用紙Pはヘッド14Y〜14Kによって走査印字され、4色のフルカラー画像を高速に形成することができる点もまた第2実施形態と同様である。
【0054】
メンテナンスユニット26の動作も第2実施形態と同様であり、すなわち図7(b)に示すように、メンテナンスユニット26はヘッド14のノズル面(ドラム12に対向する面)に対向する位置に移動可能に支持されており、印字動作中は図5(a)のように印字およびドラム公転の妨げにならない位置へ待避し、印字動作が終了すると(あるいは印字動作前に)図7(b)の位置に移動する。図7(a)のように複数のヘッド14が存在するとき、メンテナンスユニット26は例えば2色分ずつ2個に分けて配置してもよい。また、メンテナンス時にはヘッド14がドラム12から離れる方向に移動し、ドラム12とヘッド14の間にメンテナンスユニット26を移動させてもよい。
【0055】
給排紙位置のドラム12の表面から用紙Pが排紙され、次の用紙Pが巻き付けられる前、すなわち図7(b)においてはドラム12Aとドラム12Cの中間位置にドラム12が来る時、ドラム12の表面にドラムメンテナンスユニット28が当接し、ドラム12を自転させ、これを利用して外周面を清掃する。これにより用紙Pと接触するドラム12の外周面を常にインク汚れや紙粉などから清浄に保つことができる。
【0056】
このときヘッド14の直下にはドラム12は存在しないので、ヘッド14の下には比較的余裕があり、このタイミングで前述のメンテナンスユニット26をヘッド14の直下に移動させ、メンテナンスを行うようにしてもよい。
【0057】
図8、図9には本発明の第3実施形態に係る画像形成装置の画像形成部における動作が示されている。図8フロー図内の(a)〜(e)は図9(a)〜(e)に相当する。
【0058】
まず図8ステップ200で印字開始すると、ステップ202でドラム12を自転させ、スタート位置に移動させる。図9(a)の位置がこれに相当する。ここで第1ドラム12Aに用紙Pを補給する(ステップ204)。
【0059】
次にステップ208で公転手段48が回転し、第1ドラム12Aを印字位置に、第2ドラム12Bを排紙位置に、第3ドラム12Cを給紙位置に移動させる(図9(b))。
【0060】
外周に用紙Pを巻き付けた第1ドラム12Aはステップ210で自転しながらヘッド14により画像形成を行う(図9(c))。
【0061】
次いでステップ212にて第1ドラム12Aの用紙Pが最初の一枚か否か(それ以前に用紙Pが第2ドラム12Bに巻き付けられ、印字されていたか)を判定する。最初の1枚目でなければ第2ドラム12Bには用紙が巻き付いているためステップ214で排紙を行う(図9(c))。第1ドラム12Aの用紙Pが最初の一枚であればドラム12Bに用紙はないので、排紙動作は行わない。
【0062】
次のステップ216で、次のページが有るか無いか(第1ドラム12Aの用紙Pが最後の一枚か否か)を判定する。最後のページであればステップ218で印字終了したのち、ステップ220で公転手段48を回転させて第1ドラム12Aを排紙位置へ移動させる。第1ドラム12Aの用紙Pを排紙して処理を終了する(ステップ222)。
【0063】
ステップ216で次のページが存在する場合、ステップ224へ進み、第2ドラム12Bに着紙部20から給紙を行う(図9(c))。ステップ226で第1ドラム12Aが印字終了すると、公転手段48が回転し、第1ドラム12Aを排紙位置に、第2ドラム12Bを給紙位置に、第3ドラム12Cを印字位置に移動させる(ステップ228、図9(d))。
【0064】
ステップ230で第3ドラム12Cは自転を始め、ヘッド14が用紙Pに印字を行う(図9(e))。
【0065】
続くステップ232にて第3ドラム12Cの用紙Pが最初の一枚か否か(それ以前に用紙Pが第1ドラム12Aに巻き付けられ、印字されていたか)を判定するが、ここでは上記のように既に第1ドラム12Aで用紙P上に印字されているのでステップ234に進み、第1ドラム12Aが排紙動作を行う(次回以降に起動した際、第1ドラム12Aが給紙位置に来なかった場合、ステップ232にて分岐する可能性がある)。
【0066】
次のステップ236で、次のページが有るか無いか(第3ドラム12Cの用紙Pが最後の一枚か否か)を判定する。最後のページであればステップ238で印字終了したのち、ステップ240で公転手段48を回転させて第3ドラム12Cを排紙位置へ移動させる。第3ドラム12Cの用紙Pを排紙して処理を終了する(ステップ242)。
【0067】
ステップ236で次のページが存在する場合、ステップ244へ進み、第2ドラム12Bに着紙部20から給紙を行う(図9(e))。ステップ246で第3ドラム12Cが印字終了すると、公転手段48が回転し、第1ドラム12Aを給紙位置に、第2ドラム12Bを印字位置に、第3ドラム12Cを排紙位置に移動させる(ステップ248)。
【0068】
以降も同様に第1ドラム12A〜第3ドラム12Cを順次入れ替えながら給紙・印字・排紙の工程を繰り返し、ステップ216、236、256のいずれかで、次のページが存在するか否かの判定において最終ページであると判断されるまで処理を続行する。
【0069】
本実施例においては3個のドラム12A、12B、12Cを交互に使用することにより、一個のドラムが印字動作中に別の一個が給紙動作を、さらに別の一個が排紙動作を行うことができるので、ドラムを2個使用した第1実施形態よりも機器全体としての処理速度を向上させることができる。また、印字動作と給・排紙動作でドラムの自転速度を変えることもできるので、安定した用紙Pの給排紙が行える。さらに、印字後に排紙位置で待機中のドラム上の用紙Pは、印字中の他のドラムが印字を終了するまでの時間を乾燥時間として使えるので、用紙Pの乾燥性にも優れる。
【0070】
また上記実施例において用紙Pの保持は静電吸着方式を用いたが、負圧によるバキューム方式やグリッパーを用いた機械式の保持でもよいのは第1実施形態と同様である。
【0071】
図10には、本発明の第4実施形態に係る画像形成装置の動作が示されている。
【0072】
図10(a)に示すように、ドラム12が用紙Pを周囲に巻き付けて印字処理を行う際、ヘッド14は用紙Pの幅をカバーしているので、一回の走査で印字は終了する。
【0073】
このとき、ヘッド14がモータ30、ヘッド移動手段32で用紙幅方向に移動可能に支持されていれば、一回の走査終了後にヘッド14を移動し、再度走査して用紙P上に画像を重ねて記録することができる。
【0074】
すなわち図10(b)に示すように、ステップ300でスタートした印字動作がステップ302で一旦走査(パス)終了し、この時点でのパス回数がステップ304で予め設定された印字回数よりも少なければ、ステップ306でヘッド14を規定量だけ移動させ、ステップ302へ戻り再度印字を行う。
【0075】
これを繰り返すことにより、設定された印字回数分だけ印字を繰り返すことができる。このときヘッド14を移動させながら印字を行うので、用紙P上の少しずつずれた箇所にドットを形成することができる。これにより所謂分割印字が可能となり、ヘッド14の位置を、ドットを形成するヘッド14のノズル間隔の整数倍とならない距離だけずらしながら複数回印字することで、ドットの間隔をヘッド14のノズル間隔よりも小さくし、解像度の高い画像を得ることができる。
【0076】
本実施形態では用紙Pの幅をカバーするヘッド14を使用し、さらに用紙Pをドラム12に巻き付けて高速で繰り返し走査できる構成としたことで、高速な分割印字が可能となる。
【0077】
図11には、本発明の第5実施形態に係る画像形成装置が示されている。
【0078】
図11に示すように、画像形成装置11では用紙Pを周囲に巻き付けて印字処理を行う用紙保持ユニット60がループ軌道68上を回送され、ヘッド14の直下である印字位置に位置する一個の用紙保持ユニット60では巻き付けられた用紙P上に印字を行い、同時に他の用紙保持ユニット60は給排紙位置(図中下)で給排紙を行う。
【0079】
用紙保持ユニット60は無限軌道状の用紙保持ベルト62を巻きかけたローラ対64とローラ対64を保持するフレーム66からなり、ループ軌道68上を回送される。用紙保持ユニット60は内部に図示しないモータを備え、ローラ対64を回動させて用紙保持ベルト62を駆動し、用紙Pの給排紙および印字動作を行う。
【0080】
ループ軌道68上の用紙保持ユニット60を回送する機構は用紙保持ユニット60自体に駆動装置を内蔵していてもよいし、ローラーチェーンやタイミングベルトなどを用いて外部のモータによって移動させるようにしてもよい。
【0081】
本実施形態ではドラムに代えて用紙保持ベルトを用いたので、円筒形のドラムに比較して用紙保持ユニットの形状が自由に設定できる。ループ軌道の形状も装置の内部機構に合わせて様々な形状とすることができる。
【0082】
本発明は上記の構成としたことで、高速で品質の安定したFWAインクジェット画像記録装置とすることができる。
【0083】
さらに公転手段にカウンターウエイトを設けてドラムの公転による振動を抑え、公転速度を高めてより高速化してもよい。また給紙・排紙のタイミングを印字時間外とすることで、給紙・排紙による振動の発生が印字品質に影響を与えないようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明の第1形態に係る画像形成装置を示す側面図である。
【図2】本発明の第1形態に係る画像形成装置の内部構造を示す斜視図である。
【図3】本発明の第1形態に係る画像形成装置の動作を示すフロー図である。
【図4】本発明の第1形態に係る画像形成装置の動作を示す側面図である。
【図5】本発明の第2形態に係る画像形成装置を示す側面図である。
【図6】本発明の第2形態に係る画像形成装置の内部構造を示す斜視図である。
【図7】本発明の第3形態に係る画像形成装置を示す側面図である。
【図8】本発明の第3形態に係る画像形成装置の動作を示すフロー図である。
【図9】本発明の第3形態に係る画像形成装置の動作を示す側面図である。
【図10】本発明の第4形態に係る画像形成装置の動作を示すフロー図および側面図である。
【図11】本発明の第5形態に係る画像形成装置の動作を示す側面図である。
【図12】従来の画像形成装置の構造を示す断面図である。
【符号の説明】
【0085】
10 画像形成装置
12 ドラム
14 ヘッド
16 インクタンク
18 給紙部
20 着紙部
22 剥離部
26 メンテナンス部
46 自転軸
48 公転手段
50 公転軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周面に用紙を保持する複数の用紙保持手段と、
前記用紙に画像を形成する印字ヘッドと、
前記複数の用紙保持手段を閉鎖軌道上に回送可能に保持するループ手段と、
前記複数の用紙保持手段を駆動する複数の第1の駆動手段と
前記ループ手段上の前記用紙保持手段を回送する第2の駆動手段と、
を備え、
前記第1の駆動手段が前記複数の用紙保持手段の一個を駆動して保持された用紙に画像を形成する時、他の用紙保持手段を駆動して給紙を行い、
前記第2の駆動手段は画像形成が完了すると一個の用紙保持手段を排紙位置へ、他の用紙保持手段を印字位置へ回送させることを特徴とする画像記録装置。
【請求項2】
回転可能に支持され外周面に用紙を保持する2個のドラムと、
前記用紙に画像を形成する印字ヘッドと、
前記2個のドラムの回転軸を周上に保持し回動可能な公転手段と、
前記2個のドラムを回転駆動する複数の第1の駆動手段と
前記公転手段を回転駆動する第2の駆動手段と、
を備え、
前記第1の駆動手段が前記2個のドラムの一方を回動させ保持された用紙に画像を形成する時、他方のドラムを回動させて給紙を行い、
前記第2の駆動手段は画像形成が完了すると一方のドラムを排紙位置へ、他方のドラムを印字位置へ回動させることを特徴とする画像記録装置。
【請求項3】
回転可能に支持され外周面に用紙を保持する第1、第2、第3の3個のドラムと、
前記用紙に画像を形成する印字ヘッドと、
前記3個のドラムの回転軸を周上に保持し回動可能な公転手段と、
前記3個のドラムを回転駆動する複数の第1の駆動手段と
前記公転手段を回転駆動する第2の駆動手段と、
を備え、
前記第1の駆動手段が前記第1のドラムを回動させ保持された用紙に画像を形成する時、前記第2のドラムを回動させて給紙を行い、第3のドラムを回動させて排紙を行い、
前記第2の駆動手段は画像形成が完了すると第1のドラムを排紙位置へ、第2のドラムを印字位置へ、第3のドラムを給紙位置へ回動させることを特徴とする画像記録装置。
【請求項4】
前記第1の駆動手段は駆動速度が可変であることを特徴とする請求項1乃至請求項3に記載の画像記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−76131(P2006−76131A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−262580(P2004−262580)
【出願日】平成16年9月9日(2004.9.9)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】