説明

画像記録装置

【課題】映像監視において、犯罪発生後に映像の記録を再生して、発生の状況を検証し、また、保存されている映像の記録を再生して、気付かぬうちに発生した犯罪を検証するとともに映像の記録から、犯人を特定するような防犯目的に最適の映像監視システムを提案せんとするのもで、フィルムカメラ方式とNTSC−TVカメラ方式の欠点を補うと同時に欠点を排除する映像監視システムを、比較的低価格で実現することを目的とする。
【解決手段】高精細の画像とこれより精細度の落ちる中精細の少なくとも2種類の画像を発生する撮像装置と、該高精細の画像を記録する記録装置と、前記中精細画像の記録装置とを有し、これらの画像をモニタ上に表示するようにしたものである。更に、本発明は、監視箇所の状態に応じて、前記記録装置の記録レートを変更するようにしたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は映像監視装置に関するもので、特に防犯、監視システムに適した装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
「防犯」とは文字通り「犯罪の発生を未然に防ぐ」意味であるが、実際には次のような幅広い目的をもって導入されている。
(1)犯罪が発生しにくい環境を整える。
(2)犯罪企図者の接近を発見して対抗措置を講ずる。
(3)犯罪の発生をリアルタイムで発見する。
(4)発見した犯罪の発生状況をリアルタイムで通報する。
(5)犯行の推移をリアルタイムで把握して対策を講ずる。
(6)犯罪発生後に映像の記録を再生して、発生の状況を検証する。
(7)保存されている映像の記録を再生して、気付かぬうちに発生した犯罪を検証する。
(8)映像の記録から、犯人を特定する。
(9)映像の記録を検証して犯行の手口を分析し、再発防止策を検討する。
本発明はこれらの目的に最適の映像監視装置を提案せんとするものである。
【0003】
図5は、従来の代表的な方式であるフィルムカメラ方式の防犯用映像システムの構成図である。フィルムカメラ1Fは、例えば容量800こまの35mm映画サイズのフィルムカセット1Faを内蔵している。このカメラ1Fは、例えば銀行の営業フロアや現金自動支払機コーナーのような犯罪が発生する恐れのある場所の壁面の天井付近に接客カウンター付近を見下ろすように設置されている。このカメラは図示しない内蔵のタイマーの設定に従って平常時は例えば3分間隔で接客カウンター付近を自動撮影しているが、挙動不審者に気付いた場合は1こま記録ボタン2で自動撮影間隔とは無関係に1こまを撮影する。その後、自動撮影に戻る。また、事件発生により非常通報ボタン3が押されると、例えば撮影間隔2秒間連写モードで事件の詳細を約4分間(120こま)記録する。このフィルムカメラ方式は解像度が高く画質も優れているので、接客カウンター付近を広範囲に撮影した写真から事件の犯人特定情報を得る目的には適している。しかし、フィルムカメラ固有の問題点やフィルムカセット容量の限界とランニングコストの制約で次のような欠点があった。
(1)フィルム容量800こまであっても、3分間隔で撮影した場合でも約40時間でフィルムが終わるので、1週間の営業時間を6時間×5日間としても、毎週最終営業日の閉店後、または翌週初営業日の開店前にフィルムカセット1Faを交換する必要がある。ところが通常このフィルムカメラは天井付近に接客カウンター付近を見下ろすような位置にあるため、脚立に上ってフィルムカセット1Faを交換する必要がある。これは危険を伴う作業である。
(2)たとえ、3分間隔で撮影しても、フィルムが高価なので毎週交換ではランニングコストが嵩む。
(3)事件発生に気付かないときでも撮り終えたフィルムを現像しておく必要があり、現像代も嵩む。
(4)ランニングコストの制約で撮影間隔を詰めることが難しい。このため、たとえ、犯人の人相が確認できるような画像情景が発生しても、その瞬間が撮影されていなかったり、犯罪発生(犯行)の決定的瞬間が撮影されていないことがある。
(5)ランニングコストの制約で最小限のカメラ台数で運用せざるを得ないので、撮影範囲に死角を生ずることがある。
(6)非常通報ボタンが押されてもその直前の犯罪発生時点の経緯が撮影できない。
(7)静かな場所では、特に連写モードのときにシャッター作動音が際立つ。
(8)現像しなければ視覚化できない。このため、例えば警備室等の別フロアでは営業フロアの状況が把握できない。
(9)フィルム交換の際にはどうしてもカメラに触れなければならない。このため、カメラの向きが変わってしまうことある。これに気付かなかったときには肝心の事件発生地点が写っていないことがあり、しかもフィルムの現像完了までそれに気付かない。
(10)フィルムの終わり近くに事件が発生すると、フィルム切れによって事件の詳細が撮影されないことがある。
(11)フィルムの現像やプリントに時間が掛かり、事件発生時の対応が遅れる。
【0004】
図6は、従来の代表的な他の方式であるNTSC−TVカメラ方式映像監視装置の構成図である。他図と同一のものには同一の参照符号を付してある。TVカメラ1Tは先に説明したフィルムカメラ1Fと同様に営業フロア壁面の天井付近に接客カウンター付近を見下ろすように設置されている。撮像素子1Teから読み出し回路1Tcを経て出力される毎秒像数60枚の動画信号1Tsは、切換スイッチ4Tを経由して別フロアの警備室の監視用モニタ5Tに供給される。図示のように切換スイッチ4TがL側にあるときは警備室等の営業フロアの状況を逐一把握することが出来る。更に、必要に応じて伝送装置8Tを介して通信回線9に接続し、この営業フロア(例えば、支店)の状況を外部の施設(例えば、本店)に実時間で動画像、または間欠静止画像形式で伝送することも可能である。また、動画信号1Tsは例えば1秒に1画面の間欠記録モードでタイムラプスVTR等のVTR6に記録される。このVTR6は、事件発生の際は非常通報ボタン3の信号を受けると、録画モードが毎秒60枚の連続記録モードに切り替り事件の詳細が動画記録される。VTR6内のビデオテープ(図示せず)は、例えばTV放送録画時の容量120分用の場合は、1秒に1画像の間欠記録モードでは120時間分に相当する。従って、1ヶ月間の営業時間を6時間×20日とすれば1本のビデオテープに1ヶ月分の平常映像が記録できる。このため、前述のフィルムカメラ方式に比べると消耗品交換間隔が長い。しかも、記録が完了したテープは一定期間保存後には巻き戻し・上書きによって再利用可能である。事件発生等によりビデオテープの記録内容を即時検証する場合は、切換スイッチ4TをP側に切り換え、VTR6を再生して犯罪に関わる映像記録位置を検索してモニタ5Tで精査するほか、必要に応じてプリンタ10Tでその画像のプリントを迅速に作成することもできる。以上に説明したように、NTSC−TVカメラ方式による映像監視装置は前記のフィルムカメラ方式の欠点をことごとく排除する方式ではあるが、次の欠点があった。
(1)解像度と画質の面でフィルムカメラ方式には遠く及ばず、接客カウンター付近を広範囲に撮像した画像から事件の犯人を特定する画像情報を得ることは困難である。
(2)ビデオテープは、再利用のための巻き戻しに数分を要し、記録位置の検索にも時間が掛かる。
【0005】
以上の説明からフィルムカメラ方式とNTSC−TVカメラ方式が一長一短であることが理解できる。長所を生かし短所を補うために同一箇所にフィルムカメラとNTSC−TVカメラの両方を設置したり、フィルムカメラとNTSC−TVカメラを一体化した複合製品も提案されている。しかしながら、これらの装置は価格が嵩むだけでなく、両方式の長所を生かし欠点を補うものであっても欠点を排除するには至らなかった。また、ハイビジョンに代表される高精細TVカメラ方式の採用によってNTSC−TVカメラ方式の長所を生かしつつ欠点を排除する方式の提案もあったが、装置全体の価格が大幅に嵩むので実用性がなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、フィルムカメラ方式とNTSC−TVカメラ方式の欠点を補うと同時に欠点を排除する映像監視装置を、比較的低価格で実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る画像記録装置は、カメラで撮像された画像の画像入力手段と、画像入力手段により入力された画像に基づいて物体を検出する画像認識手段と、画像入力手段により入力された画像を圧縮する画像圧縮手段と、画像に基づいて物体が検出された場合に、所定の記録レートで画像圧縮手段により圧縮された画像を記録する記録手段と、オペレータによりボタンが押された場合に、前記物体が検出された場合と比べて高い記録レートにより画像圧縮手段により圧縮された画像を記録する記録レート設定手段と、を備えた。
【0008】
また、本発明に係る画像記録装置は、カメラで撮像された画像の画像入力手段と、画像入力手段により入力された画像を圧縮する画像圧縮手段と、センサからの信号を入力するセンサ信号入力手段と、センサからの信号が入力された場合に、所定の記録レートで画像圧縮手段により圧縮された画像を記録する記録手段と、オペレータによりボタンが押された場合に、前記変化が検出された場合と比べて高い記録レートにより画像圧縮手段により圧縮された画像を記録する記録レート設定手段と、を備えた。
【0009】
本発明は、NTSC方式程度の画質の動画像の他に35mm映画フィルム程度の高精細静止画像を同時に出力できるTVカメラと、これら動画像と高精細静止画像を記録する記録装置と、この記録装置を制御する録画制御装置の構成によって、フィルムカメラ方式とTVカメラ方式の長所を生かし欠点を補うと同時に欠点をも排除する映像監視システムを比較的低価格で実現せんとするものである。つまり、本発明は高精細の静止画像信号とこれより精細度の落ちる同じ被写体を撮像した中精細の動画像信号を受け、前記静止画像信号および動画像信号は、通常は、低速レート、つまり単位時間の記録こま数を減らして記録手段に記録され、動作切換え時(後述する画像認識装置からの検知信号、および手動操作により発生する非常時信号、1こま記録信号、要注意信号等)には高速レート、つまり単位時間の記録こま数を増やして記録手段に記録するようにし、記録方法を変更するようにしたものである。したがって、このシステムの構成としては、高精細の画像とこれより精細度の落ちる中精細の少なくとも2種類の画像を発生する撮像装置と、該高精細の画像を記録する記録装置と、前記中精細画像の記録装置と、これらの画像を表示するモニタを有し、更に、監視箇所の状態に応じて、前記記録装置の記録レートを変更する手段を有する。ここで、中精細の画像は動画であること望ましく、最低限毎秒3枚以上、できれば毎秒5枚以上、60枚以下で記録装置に記録される。衆知のように毎秒こま数は35mm映画では24枚、PAL方式TVシステムでは25フレーム(50フィールド)、NTSC方式TVシステムでは30フレーム(60フィールド)で、これが人の目の残像特性との関連でスムースな動画像を得る実用限界とされているので、映像監視装置においてもこれ以上の毎秒像数は必要としない。一方、下限のこま数は、記録媒体の容量などの制約で防犯用として許容できる下限の毎秒像数に設定する必要がある。例えば、ゴルフスイングの期間約1.5秒(30〜40代男性のドライバーフルスイングの平均値)を4こまで撮影する簡易型フォーム分解写真の4枚/1.5秒(毎秒像数約3枚相当)が、防犯用動画記録の実用限界と考えられる。高精細の画像は静止画であり毎秒0.5枚以上、15枚以下で記録装置に記録される。高精細静止画記録の記録も記録媒体の容量の制約で防犯用として許容できる下限に設定する必要があり、先に述べたフィルムカメラ方式で採用されている平常時3分間隔・非常時2秒間隔(毎秒像数0.5枚相当)がその実用限界と考えられる。高精細静止画記録の毎秒像数の上限は上記30フレーム(60フィールド)を越える必要は無く、本発明においてはより高速の中精細画像記録を併用するので毎秒像数9〜15枚で目的を果たすことが出来る。
【0010】
さらに、具体的な、本発明の構成は、高精細の静止画像信号を発生する撮像手段と、これより精細度の落ちる中精細の画像信号を発生する撮像手段と、前記高精細の撮像手段の出力画像信号を記録する高精細画像記録装置と、該記録装置に記憶された画像を表示するモニタと、前記中精細の撮像手段の出力画像信号を記録する中精細画像記録装置と、前記中精細画像信号から前記中精細の撮像手段の撮像視野内に監視対象物が入ったことを検出した時に検知信号を発生し、かつ、退去したときに退去信号を発生する画像認識装置と、該画像認識装置からの検知信号と退去信号および手動操作により発生する信号を受けて、前記高精細画像記録手段と前記中精細画像記録装置の記録制御信号を発生する録画制御装置とを有する。これらのうち、撮像手段を除く、記録手段、制御手段等はコンピュータの制御にすべて置き換えることができる。ここでいう高精細とは、中精細の動画像よりも精細度が高いという意味であり、中精細とは同じく高精細の静止画より精細度が低いという意味である。これは、例えば、本発明出願時の技術的レベルでいえば、一例として、高精細は、XGA(ExtendedGraphics Array)クラスの高精細静止画像信号、中精細は1/4VGA(VideoGraphics Array)クラスである。
【発明の効果】
【0011】
このように、本発明によれば、フィルムカメラ方式とNTSC−TVカメラ方式の欠点を補うと同時に欠点を排除して、犯罪の発生を実時間で把握すると共に現場の状況を的確に記録し、有用な犯人特定資料を得ることができる装置を比較的低価格で実現することが出来る。
【0012】
このような直接的効果により、更に犯罪発生後に映像の記録を再生して、発生の状況を検証し、犯行の手口を分析したり、保存されている映像の記録を再生して、気付かぬうちに発生した犯罪を検証することもできる。このようにして、犯罪が発生しにくい環境を整え、犯罪企図者の接近を発見して対抗措置を講ずることができ、優れた防犯システムを提供することができる。
【0013】
また、本発明は防犯において最もその効果を発揮するが他の映像による監視システム一般にも応用でき、優れた効果を発揮する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施例として、防犯用の映像監視システムについて説明する。図1は本発明の第一の実施例を示すシステムブロック図であり、他図と同一のものには同一の参照符号を付してあるため個々の説明は省略する。次に、これら以外の主な参照符号を説明する。同図において、1Dはマルチ電子カメラである。マルチ電子カメラ1Dは従来技術におけるフィルムカメラ1Fと同様に営業フロア壁面の天井付近に接客カウンター付近を見下ろすように設置されている。このマルチ電子カメラ1Dは、同一の撮像素子1DeからXGAクラスの高精細静止画像信号と1/4VGAクラスの中精細動画像信号が同時に出力されるように構成されている。
【0015】
この高精細静止画像信号と中精細動画信号が同時に出力されるカメラの技術は既に次の文献に紹介されているので詳細説明は省略する。文献:「濱田他、1/2インチ202万画素カラーCCD撮像素子、映情学技法Vol.22 No.67、ISSN1342−6893、P13〜18、1998年11月、(J.Hamadaet all A 1/2−inch2.02M−Pixel Colop CCD Image Sensor,ITETechnical Report Vol.22No.67,PP.13−18,IPU’98−65(Nov.1998))
例えば、このような、マルチ電子カメラは画素数1,280×1,024で毎秒像数1枚以上の高精細静止画像信号1Dhと1/4間引き読み出しによる画素数320×256で毎秒像数10枚以上の動画像信号1Dsが同時に出力される。ここで、一般的には高精細静止画は毎秒0.2枚以上で、9枚以下が適当であり、動画は動きの滑らかさの点で毎秒5枚以上は必要とするが、60枚以下である。1Dhは、たとえばJPEG方式のマルチ電子カメラ1Dからの高精細静止画像信号、1Dsは同じく中精細動画像信号、11は画像認識装置でパターン認識により人の存在を検出する。画像認識装置11を併用するのは閑静な店舗や現金自動支払機室での記録媒体の使用を倹約するためで、超音波・赤外線・マイクロ波等を利用した検知センサであってもよい。
【0016】
14はCPUを中心に構成する録画制御装置であり、外部から供給される標準時計信号7、1こま記録スイッチ2、非常通報ボタン3、人物検知信号11x、人物退去信号11yに応じて、記録装置13hと13sのそれぞれに対し、第1と第2の二種類の記録制御信号を発生する。第1の記録制御信号は1こま記録スイッチ2、人物検知信号11x、人物退去信号11yに応じて出力する。第2の記録制御信号は非常通報ボタン3に応じて出力する。12sはたとえばJPEG方式の中精細画像用データ圧縮装置、13sは中精細画像記録装置、15sは中精細画像用データ伸張装置である。4sはこの中精細画像用データ伸張装置15sからの信号と、マルチ電子カメラ1Dからの信号選択するスイッチである。更に、モニタ5s、プリンタ10s、伝送装置8sで中精細画像側を構成する。12hは高精細画像圧縮装置、13hは第1の高精細画像記録装置でたとえばフラッシュメモリに代表される高速の半導体メモリである。この記録装置13hはその出力端子に入力画像をリアルタイムで転送する他、録画制御装置14の制御により、メモリ内容の読み出しが可能となる。16hは第2の高精細画像用記録装置、15hは高精細画像伸張装置である。その他、モニタ5h、プリンタ10hにより、高精細画像側を構成する。
【0017】
次に、この動作を詳細に説明する。マルチ電子カメラ1Dから出力される高精細静止画像信号1Dhは、例えばJPEG方式の画像データ圧縮装置12hで圧縮される。圧縮された高精細静止画像信号1Dh'は、例えばフラッシュメモリーに代表される高速の半導体メモリーを記録媒体とする第1の高精細画像記録装置13hに供給され、記憶される。また、この記憶装置13hの出力端子にリアルタイムで転送される高精細静止画像信号1Dh’をデータ伸張装置15hを介してモニタ5hで確認することができる。このときは切換えスイッチ4hは図示のようにM側にする。一方、中精細動画像信号1Dsは切換スイッチ4sを経由して警備室等の監視用モニタ5sに供給される。そして、図示のように切換スイッチ4sがL側にあるときは警備室で営業フロアの状況を逐一把握することが出来る。また、必要に応じて伝送装置8sを介して通信回線9に接続し、支店の状況を本店等の外部の施設に実時間で動画像または間欠静止画像形式で伝送することも可能なように構成されている。また、動画像信号1Dsは例えばJPEG方式の画像データ圧縮装置12sで圧縮される。圧縮された動画像信号1Ds'は、例えばDVD−RAMに代表される着脱可能で書き替え可能な大容量光ディスクを記録媒体とする大容量画像記録装置13sに供給される他、画像認識装置11にも供給される。
【0018】
画像認識装置11は、動画像信号1Dsを画像処理して接客カウンターに近付く人を自動検知すると人物検知信号11xを発生する。反対に接客カウンター付近に人が居なくなると人物退去信号11yを録画制御装置14に送出する。録画制御装置14は大容量画像記録装置13sと第1の高精細画像記録装置13hおよび第2の高精細画像記録装置5hの録画・停止を制御する。更に、録画制御装置14は店舗内のコンピュータ等(図示せず)から供給される標準時計信号に同期可能な計時機能を有し、計時信号を大容量画像記録装置13sと第1の高精細画像記録装置13hに受け渡す。受け渡された計時信号は、後刻の検証時にコンピュータ等に記録されている現金自動支払機等の操作データと画像の記録タイミングを正確に関連付けるために、画像と共に大容量画像記録装置13sと第1の高精細画像記録装置13hに記録される。録画制御装置14から送出される記録信号14aは、人物検知信号11xの到来時点を皮切りに人物退去信号11yの到来までの期間に例えば1秒毎に送出され、カウンター付近に人が居る期間のみ大容量画像記録装置13sにデータ圧縮された動画像信号1Ds'を1秒に1画像の頻度で間欠録画する如く作用する。しかし、事件発生により非常通報ボタン3が押されると、データ圧縮された動画像信号1Ds’が1秒に1画面で連続記録されるように作用する。事件発生後に大容量画像記録装置13sの記録内容を検証する場合は、切換スイッチ4sをP側に切り換え、大容量画像記録装置13sの内容を再生し、画像データ伸張装置15sで伸張された再生画像信号1Ds''をモニタ5sに表示して、犯罪に拘わる画像記録位置を検索、精査することができる。そのほか、その画像から必要に応じてプリンタ10sで迅速にプリントを作成することもできる。大容量画像記録装置13sとして大容量光ディスクを用いた場合には、1秒に1画像の間欠記録モードで1ヶ月分以上の平常画像が記録できる容量がある。記録が完了した大容量光ディスクは一定期間保存し、その後、そのまま上書きによって再利用可能である。
【0019】
一方、録画制御装置14から送出される記録制御信号14bは、人物検知信号11xの到来時点を皮切りに例えば10秒毎に送出される。この制御を受け、第1の高精細画像記録装置13hにはデータ圧縮された高精細静止画像信号1Dh’が例えば10秒に1枚の割合で146画面分が記録される。146画面(24分10秒間相当)分の記録が完了すると、古い記録から順次消去しながら新しい画像に書き替える動作を繰り返すが書き替えによって失われる画像を予め、第2の高精細画像記録装置16hに転送しておくこともできる。第2の高精細画像記録装置16hは、例えばDVD−RAMに代表される着脱可能で書き替え可能な大容量光ディスクを記録媒体とする。
【0020】
挙動不審者に気付いた場合は、1こま記録ボタン2で自動撮像間隔とは無関係に不審者記録であることを表す記号を付けて1画面が記録される。この記号は1こま記録ボタン2の押下を受け、録画制御装置14からの記録制御信号14bに重畳される。この1こま画像は、第1の高精細記録装置13hを経由して、第2の高精細画像記録装置16hに転送複写される。記録ボタン2の押下による記録画像は犯罪に結びついている画面となる可能性がある。このため、一画面記録画像は長期保存を必要とする。そこで、書き替えによる喪失を防止する必要性から、一旦第1の高精細画像記録装置13hに記録した後に第2の高精細画像記録装置16hに転送複写するのである。ただし、第1の高精細画像用記録装置に高速で、かつ、大容量の記録媒体が使用できれば第2の高精細画像用記録装置を省略することもできる。
【0021】
また、事件発生により非常通報ボタン3が押されると、録画制御装置14からの制御により、第1の高精細画像記録装置13hは、記録間隔を例えば2秒間隔に変更して事件の詳細を4分間記録後、書き替えを停止する。従って、第1の高精細画像記録装置13hには、非常通報ボタン3が押される4分前迄は10秒間隔、非常通報ボタン3が押されてから4分後までは2秒間隔のカウンター付近の高精細静止画像記録が残されることになる。
【0022】
この動作を図3、図4により説明する。これらの図は第1の高精細画像記録装置13hの動作を模式的に説明したものである。両図において、円弧20に付した「1〜146」の数字は第1の高精細画像記録装置13hの記録容量146画面分記録位置の通し番号(アドレス)を示し、矢印21は記録の更新方向を示す。初めに平常時の動作について説明する。図3はその平常時の記録状況を示す。人物検知信号11xの到来時刻を11時00分00秒とするとその時点でその時の画像はアドレス「1」に記録される。以下10秒間隔で1画面ずつ高精細静止画像信号1Dh’を記録し、11時24分10秒にアドレス「146」に記録する。その後、11時24分20秒にはアドレス「1」に記録されている11時00分00秒の画像に当該時刻の画像を上書きする。以下この動作を繰り返して、人物退去信号11yの到来時点で記録を停止する(11時24分30秒以降の画像記録や記録終了は図示せず)。この間に、1こま記録ボタン2が押されると当該時刻の画像1画面を記録(つまり、10秒を待たずに記録される)後、次の記録位置から10秒間隔の記録を継続する。
【0023】
次に、非常通報ボタン3が押された場合の動作を図4によって説明する。記録装置13hのアドレス「2」に12時30分50秒の画像が記録された後の12時30分54秒に非常通報ボタン3が押されたとすると、先ず12時30分54秒の画像がアドレス「3」に記録される。以下記録装置13hは2秒間隔で12時34分54秒の画像が記録位置「123」に記録される迄の121画面分(4分間相当)書き替え記録動作を続けて停止する。この結果、アドレス「124〜146」と「1〜2」には先に記録された12時26分50秒〜12時30分50秒の画像記録が書き替えられずに残ることになる。つまり、非常通報発報前の4分間は10秒間隔で捉えた画像が、発報後の4分間は2秒間隔の画像記録が残っていることになる。この画像記録は記録終了後直ちに第2の高精細画像記録装置16hに転送複写される。事件発生等により第2の高精細画像記録装置16hの記録内容を検証する場合は、切換スイッチ4hをD側にして当該高精細画像記録装置16hを再生する。この再生画像は、画像データ伸張装置15hで伸張され高精細モニタ5hに表示される。ここでその画像を精査するほか、必要に応じて高画質のプリンタ10hで犯人特定が可能な程度に実用可能な、銀塩写真に匹敵するレベルのプリントを迅速に作成することもできる。以上、プリンタ10sとプリンタ10hを別機種として説明したが、入力画像の信号形式に応じて動作する1台のプリンタを共用することもできる。また、記録済みの第2の高精細画像記録装置16hの光ディスクは必要に応じて交換保存される。また、事件発生後の検証に際して、高精細画像の記録間隔は非常通報発報前が10秒毎、発報後は2秒毎なので、中精細画像の記録を併用して、高精細画像記録の中間の犯行状況を把握することによって更に精密な検証が可能である。
【0024】
図2は本発明の第2の実施例を示すシステムブロック図であり、他図と同一のものには同一の参照符号を付してある。同図において、17は撮像レンズの光路を分割するビームスプリッタで、分割された光路の一つは高精細静止画像信号1Thを出力する高精細TVカメラ18hに供給される。他の光路は中精細動画像信号1Tsを出力する中精細TVカメラ18sに供給される。この場合、高精細TVカメラ、中精細TVカメラは必要な特性に応じて数多くの機種から選択することができる。因に、図1で用いるマルチ出力の電子カメラは本発明の出願時点ではまだ機種が限られているので必要とする特性に合ったものがない場合には第2の実施例が有利である。また、第2の実施例では、モニタ5hは高精細モニタを1つを用いる。伸張された高精細画像信号と中精細画像信号は画像合成装置20により、必要とする高精細または中精細の画像をモニタ5h上の1画面に全面表示したり、両者をマルチウインドウにより表示する。また、周知のマルチスキャンディスプレを用いることもできる。このマルチスキャンディスプレイは、入力画像の信号形式に適合した操作方式で自動的に動作する。この場合、警備室等の設置場所のスペースに制約がある場合には有効となる。この図2の実施例では、モニタを一つとしているが、スイッチ4h、4s以降を図1と同一の構成としてもまったく問題ないことは言うまでもない。なお、以上の実施例では画像認識装置11と録画制御装置14を別装置として説明したがこれらの機能は1つのパソコンにより行わせることもできる。
【0025】
更に、TVカメラを高精細TVカメラ1台として、一つの撮像素子から高精細静止画としての信号と中精細の動画像信号として画像信号を分離し、同時に出力するようにしてもよい。つまり、高精細TVカメラの後段に高精細信号中精細信号の分離手段を設け、高精細TVカメラからの出力をフルに使い高精細静止画像とする一方、画像信号の間引き処理により、中精細の動画像信号を得るようにしてもよい。この場合も、後の処理は図1、図2の構成の装置でよい。
【0026】
更に、以上の説明に於いては、説明の便宜上装置の各機能を独立した機器として説明したが、この機能の一部または全てをコンピュータおよびソフトウェア処理によって実現することも可能であることは言うまでもない。図7はその一例を示す第3の実施例を示す図で、同図において、30はコンピュータであり、2’は先に説明した1こま記録ボタン2と類似した目的のための要注意記録ボタン、5はコンピュータ30のディスプレイ、113sは中精細外部記録装置、116hは高精細外部記録装置である。図8は、図7における記録動作のフローチャートを示す。次にこれらの図面を用いこの動作を説明する。
【0027】
マルチ電子カメラ1Dから出力される高精細静止画像信号1Dh、中精細動画像信号1Dsは、コンピュータ30を介してそれぞれ高精外部像記録装置113h、中精細外部記録装置113sに供給され記憶される。このとき、ステップ112:OFF、ステップ111:OFFに示すように非常通報スイッチ3と要注意記録ボタン2’の何れも押下されていなければ、中精細外部画像記録装置113sには1秒に1枚の間欠記録モード(ステップ113)で平常画像が記録される。また、高精細外部記録装置16hには10秒に1枚の割合の低速繰り返し記録モード(ステップ114)でマルチ電子カメラの画像が記録される。要注意記録ボタン2’が押下(ステップ111:ON)された場合には、記録装置113sには1秒に15画面の高速記録モード(ステップ117)で要注意像が記録される。また、このとき、高精細外部記録装置116hには1秒に1枚の割合の高速繰り返し返し記録モード(ステップ118)でマルチ電子カメラ1Dの画像が記録される。また、事件発生により非常通報ボタン3が押下された時(ステップ112:ON)には、高精細外部記録装置113hには、記録間隔を1秒間隔に変更して事件の詳細を数分間(例えば4分間)記録後、書き替えを停止する。この書き替えを停止するタイミングは、高精細外部記録装置113hの全容量の書き替えは行わずに全体の1/2から1/6程度を非常通報スイッチ3の押下前の画像として残しておくように設定する。
【0028】
これは第1の実施例で説明したように、事件発生直前の映像は重要なものが多いためである。これらはコンピュータ30の制御により行われる。また、この書き替えタイミングの動作は先に図3、図4により説明したように制御してもよい。また、第1の実施例と同じく、画像認識による人物の検出、あるいは各種センサにより人物の検出をステップ115、ステップ116のための判断ステップとしてもよい。なお、以上3つの実施例では記録速度の切換えスイッチを1こま記録ボタン(あるいは要注意記録ボタン)と非常通報スイッチの2種としたが、簡易には非常通報スイッチ1つでもよい。以上の実施例は防犯を主眼にした映像監視装置について説明したが、当然その他一般の監視システムとして実施できることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明による防犯用映像システムの第1の実施例を説明するためのブロック図
【図2】本発明による防犯用映像システムの第2の実施例を説明するためのブロック図
【図3】本発明の実施例における記憶装置の動作説明図
【図4】本発明の実施例における記憶装置の動作説明図
【図5】従来例における防犯用映像システムの一実施例であるフィルムカメラ方式を説明するためのブロック図
【図6】従来例における防犯用映像システムの他の実施例であるNTSC−TVカメラ方式を説明するためのブロック図
【図7】本発明の第3の実施例を示すブロック図
【図8】本発明の第3の実施例の動作を示すフローチャート
【符号の説明】
【0030】
1D:マルチ電子カメラ、2:1こま記録ボタン、3:非常通報ボタン、4h:高精細信号用切換スイッチ、4s:中精細信号用切換スイッチ、5s:中精細動画像用モニタ、5h:高精細静止画像用モニタ、7:標準時計信号、8s:中精細画像用伝送装置、9:伝送回線、10s:中精細画像用プリンタ、10h:高精細画像用プリンタ、11x:人物検知信号、11y:人物退去信号、12s:中精細画像用データ圧縮装置、12h:高精細画像用データ圧縮装置、13s:中精細画像用記録装置、13h:高精細画像用記録装置、14:録画制御装置、14a:中精細画像記録装置用制御信号、14b:高精細画像記録装置用制御信号、15s:中精細画像用データ伸張装置、15h:高精細画像用データ伸張装置、16h:高精細画像用記録装置。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラで撮像された画像の画像入力手段と、
画像入力手段により入力された画像に基づいて物体を検出する画像認識手段と、
画像入力手段により入力された画像を圧縮する画像圧縮手段と、
画像に基づいて物体が検出された場合に、所定の記録レートで画像圧縮手段により圧縮された画像を記録する記録手段と、
オペレータによりボタンが押された場合に、前記物体が検出された場合と比べて高い記録レートにより画像圧縮手段により圧縮された画像を記録する記録レート設定手段と、
を備えたことを特徴とする画像記録装置。
【請求項2】
カメラで撮像された画像の画像入力手段と、
画像入力手段により入力された画像を圧縮する画像圧縮手段と、
センサからの信号を入力するセンサ信号入力手段と、
センサからの信号が入力された場合に、所定の記録レートで画像圧縮手段により圧縮された画像を記録する記録手段と、
オペレータによりボタンが押された場合に、前記変化が検出された場合と比べて高い記録レートにより画像圧縮手段により圧縮された画像を記録する記録レート設定手段と、
を備えたことを特徴とする画像記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−53818(P2007−53818A)
【公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−316107(P2006−316107)
【出願日】平成18年11月22日(2006.11.22)
【分割の表示】特願2006−104165(P2006−104165)の分割
【原出願日】平成10年12月7日(1998.12.7)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】